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特表2023-547327ダイズ外皮の繊維に富むバイオマスに由来する飼料又は食品成分
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】ダイズ外皮の繊維に富むバイオマスに由来する飼料又は食品成分
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/30 20160101AFI20231102BHJP
   A23K 20/163 20160101ALI20231102BHJP
   A23K 20/189 20160101ALI20231102BHJP
【FI】
A23K10/30
A23K20/163
A23K20/189
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023519931
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2021061281
(87)【国際公開番号】W WO2022069084
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】20199889.5
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514085229
【氏名又は名称】ハムレット・プロテイン・エ/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ライラ・ティルプ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーネ・ブレクナー
(72)【発明者】
【氏名】ヨナタン・エー・ディコウ
(72)【発明者】
【氏名】ペルニレ・トフト・ラスムッセン
【テーマコード(参考)】
2B150
【Fターム(参考)】
2B150AA03
2B150AA05
2B150AB03
2B150AD02
2B150CE08
2B150DA07
(57)【要約】
本発明は、ダイズ外皮に由来する飼料又は食品成分であって、可溶性及び不溶性多糖類の形態のダイズ外皮由来の食物繊維を含み、ダイズ外皮由来の食物繊維が、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼ、及びセルラーゼから選択される1種又は複数のカルボヒドラーゼによって、3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(オリゴ糖DP3~30)に部分的に分解されており、飼料又は食品製品が、5質量%以下の単糖を含み、好ましくはプレバイオティクス効果をもたらす、飼料又は食品成分を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイズ外皮に由来する飼料又は食品成分であって、可溶性及び不溶性多糖類の形態のダイズ外皮由来の食物繊維を含み、ダイズ外皮由来の食物繊維が、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼ、及びセルラーゼから選択される1種又は複数のカルボヒドラーゼによって、3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(オリゴ糖DP3~30)に部分的に分解されており、飼料又は食品製品が、5質量%以下の単糖類を含む、飼料又は食品成分。
【請求項2】
ダイズ外皮由来の食物繊維が、1種又は複数のカルボヒドラーゼによって、オリゴ糖(オリゴ糖DP3~30)に部分的に分解されており、プレバイオティクス効果をもたらす、請求項1に記載の飼料又は食品成分。
【請求項3】
4質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(オリゴ糖DP3~30)、例えば5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、9質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(オリゴ糖DP3~30)を含む、請求項1又は2に記載の飼料又は食品成分。
【請求項4】
飼料又は食品製品が、4質量%以下の単糖類、例えば3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下の単糖類を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の飼料又は食品成分。
【請求項5】
酵母、例えば使用済み醸造用酵母及び使用済み蒸留酒酵母及びワイン生産からの使用済み酵母、バイオエタノール酵母、又はバイオエタノール生産からの使用済み酵母、パン酵母を含むサッカロミセス・セレビシエ株、並びにC5糖を発酵させる酵母株の中から選択される酵母を更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の飼料又は食品成分。
【請求項6】
ダイズ外皮中に存在するオリゴ糖ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースが、完全に又は部分的に分解されていることを更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の飼料又は食品成分。
【請求項7】
1種若しくは複数の微生物及び/又は1種若しくは複数の微生物によるダイズ外皮の炭水化物分解の代謝産物を更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の飼料又は食品成分。
【請求項8】
乳酸菌及び/又は乳酸菌によるダイズ外皮の炭水化物分解の代謝産物を更に含む、請求項7に記載の飼料又は食品成分。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の飼料又は食品成分を生産するための方法であって、
・ダイズ外皮を、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼ、及びセルラーゼから選択される1種又は複数のカルボヒドラーゼと混合する工程、
・混合物を、DM含有量が55質量%以下である条件下、1から48時間の期間で、20から60℃の温度で加水分解する工程、
・任意選択で、1種又は複数のカルボヒドラーゼの活性を完全に不活性化する工程、
・飼料又は食品成分を単離する工程
を含む、方法。
【請求項10】
ダイズ外皮が、1種又は複数のカルボヒドラーゼと混合される前に解砕されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
加水分解する工程の前に、酵母、例えば使用済み醸造用酵母及び使用済み蒸留酒酵母及びワイン生産からの使用済み酵母、バイオエタノール酵母、又はバイオエタノール生産からの使用済み酵母、パン酵母を含むサッカロミセス・セレビシエ株、並びにC5糖を発酵させる酵母株の中から選択される酵母がダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの混合物に添加されることを更に含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
加水分解する工程の前に、1種又は複数の微生物がダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの混合物に添加されることを更に含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
加水分解する工程の前に、乳酸菌がダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの混合物に添加されることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
加水分解する工程の前に、α-ガラクトシダーゼがダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの混合物に添加されることを更に含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
0.5から99質量%の請求項1から8のいずれか一項に記載の飼料又は食品成分を含有する、飼料若しくは食品製品又は栄養補助食品。
【請求項16】
生産動物用の食餌、例えば能力を改善するための食餌における使用のための、請求項15に記載の飼料製品又は栄養補助食品。
【請求項17】
プレバイオティクスオリゴ糖を必要とする生産動物、好ましくは新生及び幼若動物、例えば仔ブタ、仔ウシ、及びニワトリ用の食餌における使用のための、請求項15又は16に記載の飼料製品。
【請求項18】
製品動物、好ましくは新生及び幼若動物、例えば仔ブタ、仔ウシ、及びニワトリ用の食餌における、請求項1から8のいずれか一項に記載の飼料成分の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、ダイズ外皮の繊維に富む植物バイオマスに由来する飼料又は食品成分、該飼料/食品成分を生産するための方法、該飼料/食品成分の使用、及び該飼料/食品成分を含む飼料又は食品製品に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
繊維は、生産動物の代替給餌においてますます重要になっている。以前は、繊維は、飼料のエネルギー濃度及び消化性を低減し、動物の能力の低下につながる、抗栄養因子と考えられてきた。しかしながら、過去20から30年間に、ある特定の繊維を含めることが動物の能力及び健康な腸管の発達に有益であることを示す証拠が増加している;Agyekum & Nyachoti(2017)、Molist等(2009)。可溶性及び不溶性の非デンプン多糖類(NSP)の含有量並びにプレバイオティクスオリゴ糖の含有量はいずれも、動物においてプラスの効果を有しうる食物繊維の一部である。より一般的には、繊維は、現在集中的に調査されて、動物分野における抗生物質及び亜鉛の使用の制限に対する解決手段の1つとなっている。抗生物質及び亜鉛の使用が少なくなると、不十分な能力、疾患、及び下痢が増加し、これは深刻な問題である。
【0003】
専用の(dedicated)繊維源が、単胃動物の給餌においてますます使用されるようになっている。ダイズ外皮は、総繊維及び不溶性繊維含量が高いそのような専用の繊維源である。驚くべきことに、繊維バイオマスであるダイズ外皮を特定の炭水化物標的化酵素で処理した場合、これらの繊維は、繊維含有量が高い他の多くの天然バイオマスと比較して、かなり多量のオリゴ糖を放出することができることが本発明者等によって今回見出された。適用される標的化酵素のタイプに応じて、ダイズ外皮及び他のバイオマスから放出されるオリゴ糖の性質は異なりうる。
【0004】
いくつかの動物の給餌においては、「外因性」酵素を最終食餌配合物に添加することが現在一般的であるが、酵素は、その他の食餌とともに摂取される前には作用しておらず、動物の腸内環境において働く(Kiarie等2013、Scapini等2018)。飼料バイオマスのプレバイオティクスオリゴ糖含有量を増加させるための生産助剤としてのカルボヒドラーゼ酵素の使用は、限られた程度しか記載されていない。いくつかのオリゴ糖の潜在的効果は、オリゴ糖が豊富な供給源が生産動物、例えばブタ及び家禽などに給餌されて、動物の能力及び健康の向上を生じる場合、プレバイオティックであると予想される。ヒトの食品製品、又は研究目的のために、バイオマスを酵素及び/又は物理的/化学的手段で処理して、プレバイオティクスオリゴ糖を生成、抽出及び精製している。或いは、いくつかのプレバイオティクス製品が、同じ使用のために化学的に合成され、精製される(例えばポリデキストロース、デキストリン)。このタイプの製品は高価であり、したがって、動物飼料において相当程度使用されない;Babber等(2015);Aachary & Prapulla(2011);Dotsenko等(2017);Kurakake等(2006)。
【0005】
現時点で、カルボヒドラーゼ酵素処理によって、未処理のダイズ外皮と比較して増加した特殊なオリゴ糖含有量を有する、ダイズ外皮を起源とする飼料又は食品製品は市場に存在しないようである。摂取用のカルボヒドラーゼ酵素処理されたダイズ外皮を記載している先行技術も存在しない;いくつかの文献は、動物に給餌する前にダイズ外皮を外部カルボヒドラーゼ酵素源とともに食餌に添加することができることのみを記載している。
【0006】
本発明者等は、仔ブタ給餌試験及びin vitro仔ブタ試験において、炭水化物標的化酵素、例えばマンナナーゼ、キシラナーゼ、又はペクチナーゼで処理された異なるダイズ外皮製品を検査し、対照群と比較した能力の改善を見出した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Maribo(2005):「Tilsetningsstoffer til svin. Landsudvalget for svin」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ダイズ外皮の繊維に富む植物バイオマスを起源とする、独特の組成を有する新たな飼料又は食品成分を提供することである。
【0009】
別の目的は、適用される炭水化物標的化酵素に好都合なコスト方式で、ダイズ外皮を起源とする新たな改善された飼料又は食品成分であって、その供給源が、食物繊維の形態のある特定の量の複合炭水化物及び炭水化物標的化酵素の作用によって得られる増加した量のプレバイオティクスオリゴ糖の両方を含むものを提供することであり、これは、動物又はヒトの食餌において使用される場合に有利である。
【0010】
また別の目的は、ダイズ外皮を炭水化物標的化酵素で処理することによって取得可能な新たな飼料又は食品成分を提供することである。
【0011】
更に、未処理の(生)ダイズ外皮と比較して高い消化性を有する、プレバイオティクスオリゴ糖を含有する改善された飼料又は食品成分を提供することを目的とする。
【0012】
最後に、高い水結合能及び低い粘度を有する新たな製品を提供することを目的とする;これらの特性はいずれも、動物の食餌における製品の適用に重要である。
【0013】
これらの目的は、本発明の製品により果たされる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の概要
したがって、第1の態様では、本発明は、ダイズ外皮に由来する飼料又は食品成分であって、可溶性及び不溶性多糖類の形態のダイズ外皮由来の食物繊維を含み、ダイズ外皮由来の食物繊維が、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼ、及びセルラーゼから選択される1種又は複数のカルボヒドラーゼによって、3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(オリゴ糖DP3~30)に部分的に分解されており、飼料又は食品製品が、5質量%以下の単糖類を含む、飼料又は食品成分に関する。
【0015】
本発明の文脈では、食物繊維に由来するオリゴ糖DP3~30は、ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースを含まない。
【0016】
驚くべきことに、本発明者等は、様々な異なる繊維に富む植物バイオマスを選択されたカルボヒドラーゼ、すなわち、複合多糖類に作用する酵素で処理した場合、ダイズ外皮は、極めて多量のオリゴ糖を放出することができるバイオマスとして傑出していたことを見出した。また、いくつかの選択されたマンナナーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼ、及びβ-グルカナーゼは、他のバイオマスから典型的に見られるものと比較して、相当量のダイズ外皮由来のオリゴ糖を生成する。これらのオリゴ糖のいくつかは、オリゴ糖の化学的特性に応じて、動物飼料又はヒトの食品中のプレバイオティクスとして作用しうると予想される。
【0017】
そのような製品が、動物の食餌において適用された場合、動物の能力、例えば仔ブタ及び家禽の能力を向上させることができることは更に驚くべきことである。本発明者等は、これを仔ブタ給餌試験において確認した。プレバイオティクスオリゴ糖を使用した場合の能力の向上の背景にある公知の作用機序は、腸内の健康な微生物群集の改善/安定化、腸の感染及び炎症のリスクの低減、腸機能(便の嵩、規則性(regulatority)及び硬さ)の改善、腸のバリア機能の改善、免疫機能の調節/モジュレーション並びに胃腸のペプチド産生及びエネルギー代謝のモジュレーションである;Roberfroid等(2010)。最もよく知られており、最も十分に研究され、文献化されたオリゴ糖は、典型的にはイヌリンに由来する、フラクトオリゴ糖(FOS);Ghoddusi等(2007);Probert等(2004);及びマンナンオリゴ糖(MOS);Corrigan等(2015);Zivkovic等(2011);Kim等(2010)である。MOSの場合、その効果について十分に文献化されているのは、酵母細胞壁に由来するMOSのタイプである。これらは、α-1,3及びα-1,6分岐マンナンである。プレバイオティクスオリゴ糖の新たに出現する群の例は、キシロオリゴ糖(XOS);Liu等(2018);Moura等(2008);Aachary & Prapulla(2011);Dotsenko等(2017);Nielsen等(2014);ペクチンに由来するオリゴ糖(POS);Babber等(2015);Chung等(2017);Strube等(2015);及びβ-グルカンに由来するオリゴ糖;Meyer等(2015);Miguez等(2016)である。ガラクトオリゴ糖(GOS)は、ラクトースから合成することができ、これもまた、新たなプレバイオティクスオリゴ糖である;Torres等(2010)。オリゴ糖がプレバイオティクス効果を有するか否かに重要な化学的特性は、糖部分間の化学結合のタイプ、糖分子の識別情報、及びその分岐である;Markowiak & Slizewska(2018);Pourabeden & Zhao(2015)、Kim等(2019)。
【0018】
ブタに対するMOSの動物飼料中の推奨量は、最終飼料配合物のおよそ0.25から0.5%であり、FOSの推奨量は、飼料配合物のおよそ0.03から1.25%である。Maribo(2005):「Tilsetningsstoffer til svin. Landsudvalget for svin」。これは、生産動物飼料に添加された少量のプレバイオティクスオリゴ糖でさえ違いを生むという考えを支持する。
【0019】
第2の態様では、本発明は、本発明による飼料又は食品成分を生産するための方法であって、
・ダイズ外皮を、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼ、及びセルラーゼから選択される1種又は複数のカルボヒドラーゼと混合する工程と、
・混合物を、乾物(DM)含有量が55質量%以下である条件下、1から48時間の期間で、20から60℃の温度で加水分解する工程と、
・任意選択で、1種又は複数のカルボヒドラーゼの活性を完全に不活性化する工程と、
・飼料又は食品成分を単離する工程と
を含む、方法に関する。
【0020】
本発明は更に、0.5から99質量%の本発明の飼料又は食品成分を含有する生産動物用の飼料若しくは食品製品又は栄養補助食品、例えばプレバイオティクスオリゴ糖を必要とする生産動物、好ましくは新生及び幼若動物、例えば仔ブタ、仔ウシ、及び家禽用の食餌における使用のための飼料製品を提供する。
【0021】
定義
本発明の文脈では、以下の用語は、本明細書の他の箇所で定義されていない限り、以下を含むことが意図される。
【0022】
「含む(comprising)」という用語は、記述された部分、工程、特徴、組成物、化学物質、又は成分の存在を特定すると解釈されるべきであるが、1つ又は複数の追加の部分、工程、特徴、組成物、化学物質又は成分の存在を排除しない。したがって、例えば、化合物を含む組成物は、追加の化合物等を含みうる。
【0023】
バイオマス:
光合成によって生成され、工業生産において使用することができる生物学的材料を含む。本発明の文脈では、バイオマスとは、ダイズ外皮の形態の繊維に富む植物を指す。ダイズ外皮は、その性質及び特定の原料に対する当業者の手法に応じて、生形態又は解砕及び/若しくは前処理された形態で適用可能でありうる。
【0024】
ダイズ製品:
ダイズ製品、本発明の文脈では特にダイズ外皮由来の製品、及びそれらの混合物の形態の植物を指す。ダイズは、任意のダイズ供給源、例えば南米若しくは北米又はアジア又は欧州由来であってもよく、遺伝子改変起源(GMO)又は非遺伝子改変起源(非GMO)でありうる。
【0025】
ダイズ外皮(Soy hulls)
ダイズ外皮は、総繊維及び不溶性繊維含量が高い専用の繊維源であり、いくらかのタンパク質も含有する。ダイズ外皮は、ダイズ加工の副産物であり、ダイズのコーティングからなる。ダイズ外皮は、複合炭水化物、例えばペクチン、ヘミセルロース、及びセルロースを含有し、良好な食物繊維源である。
【0026】
解砕される(Disintegrated):
例えば、当技術分野で公知の方法に従う化学的又は物理的手段、例えばミリング、ブレンド、調理、及び/又は酸若しくはアルカリ処理によって解砕されることを意味する。当業者は、解砕が必要であるか否か及び必要とされる場合、いずれの解砕が本発明において適用される特定の植物バイオマスに適当でありうるかを知っている。
【0027】
オリゴ糖:
オリゴ糖は、通常、少数(3~10個)の成分モノマー糖を含有する糖類オリゴマーとして定義される。本発明の文脈では、オリゴ糖は、より広く定義され、3から30個のモノマー糖単位を含有する糖類オリゴマーでありうる。
【0028】
3~30個の糖単位のオリゴ糖/オリゴ糖DP3~30
本発明の文脈では、これらの用語は、3~30個のモノマー糖単位を含有する糖類オリゴマーを表し、本発明の新たな製品の定義において適用される特徴である。本発明の文脈では、生ダイズ外皮に含まれるダイズオリゴ糖、特にラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースは、本明細書で定義されるDP3~30に含まれない。
【0029】
プレバイオティクスオリゴ糖
プレバイオティクスと考えられるオリゴ糖は、胃腸管の上部において加水分解又は吸収されてはならず、結腸において有益な微生物によって選択的に同化されて、有益な管腔又は全身効果を促進しなければならない;Meyer等(2015);Miguez等(2016)。これらは、後腸において微生物によって発酵されうるが、そこに到達するまで「生き残る」必要がある;Smiricky-Tjardes等(2003)。
【0030】
単糖類/単糖
単糖類、又は単糖は、5個及び/又は6個の炭素原子を含む単純な糖類モノマーであり、糖及び炭水化物の基本単位である。本発明の文脈では、単糖類/単糖は、特にグルコース、フルクトース、及びガラクトースである。
【0031】
多糖類
多糖類は、多数の成分モノマー糖を含有する糖類ポリマーであり、複合炭水化物としても知られている。多糖類は、可溶性及び不溶性でありうる。
【0032】
食物繊維
食物繊維は、可溶性及び不溶性の非デンプン多糖類を含み、オリゴ糖、リグニン、及び難消化性デンプンを含みうる。本発明の文脈における選択された生バイオマスは、微量のオリゴ糖及び難消化性デンプンしか含有しないか、又は難消化性デンプンを実質的に含まない。
【0033】
カルボヒドラーゼ
本発明の文脈におけるカルボヒドラーゼは、任意の炭水化物構造を加水分解することが可能な任意の酵素、例えばマンナナーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼ、及びセルラーゼである。
【0034】
酵母
本発明の文脈では、酵母は、特に、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株、例えば使用済み醸造用酵母及び使用済み蒸留酒酵母及びワイン生産からの使用済み酵母、バイオエタノール酵母、又はバイオエタノール生産からの使用済み酵母、パン酵母、並びにC5糖を発酵させる酵母株の中から選択されうる。
【0035】
微生物
微生物は、顕微鏡的であるため、小さ過ぎてヒトの肉眼によって見ることができない生物である。微生物は、細菌、真菌、古細菌、原生生物、及びウイルスを含む。
【0036】
乳酸菌
腐敗植物及び乳製品中に普通に存在し、炭水化物生物変換の主要な代謝最終産物として乳酸を産生する。乳酸菌は、炭水化物生物変換の代謝産物として、有機酸、例えば乳酸及びいくらかの酢酸を産生する微生物の属である。この属は、特に、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ワイセラ属(Weisella)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、及びロイコノストック属(Leuconostoc)であるがこれらに限定されない。
【0037】
他の属
本発明の文脈では、他の属とは、本発明に関して最も関連のある他の細菌属を指す。これらは、炭水化物生物変換の代謝産物として、有機酸、例えば乳酸及び酢酸を同じく産生するが、多くの場合乳酸菌よりも程度が低いいくつかの属を含む。本発明の文脈では、乳酸以外の他の属は、バチルス属(Bacillus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ブレビバチルス属(Brevibacillus)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、及びゲオバチルス属(Geobacillus)を含むがこれらに限定されない。ある特定の株は、プロバイオティクスとして使用される。
【0038】
飼料製品
生産動物、例えば仔ブタ、仔ウシ、家禽、毛皮動物、及びヒツジ用のすぐに使用できる飼料又は飼料成分を含む。
【0039】
食品製品
ヒトの栄養のためのすぐに使用できる食品又は食品成分を含む。
【0040】
本発明を以下の図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】ダイズ外皮バイオマスをpH調節下で異なる炭水化物標的化酵素とともにインキュベートした後の最初のスクリーニング結果を示す図である。測定されたオリゴ糖DP3~30は、ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースを含まない。
図2】ダイズ外皮バイオマスをpH調節せずに、ただしパン酵母を添加して同様にインキュベートした後の同様のスクリーニングを示す図である。測定されたオリゴ糖DP3~30は、ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースを含まない。
図3】ダイズ外皮を異なるカルボヒドラーゼ酵素とともにインキュベートしたもののTLC結果を示す図である。
図4】Vland社のペクチナーゼ又はマンナナーゼをダイズ外皮バイオマスのインキュベートに使用した場合の加水分解時間の影響を示す図である。測定されたオリゴ糖DP3~30は、ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースを含まない。
図5】ダイズ外皮バイオマスを異なるカルボヒドラーゼ酵素とともにインキュベートした場合の加水分解時間及び酵素用量の影響を示す図である。測定されたオリゴ糖DP3~30は、ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースを含まない。
図6】比較として、異なるバイオマス、すなわち、生バイオマス、酵素なしのインキュベートされたバイオマス、又はカルボヒドラーゼ酵素とともにインキュベートした後の酵素処理されたバイオマスのいずれかにおける、オリゴ糖DP3~30(ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースを含まない)の定量を示す図である。
図7】それぞれ、Depol 793L(ペクチナーゼ)、Strowin社のキシラナーゼ、マンナナーゼ、及びセルラーゼとともにインキュベートした後のダイズ外皮バイオマスについてのTLCを示す図である。
図8】生形態又は本発明による処理後のいずれかの、異なるバイオマスと比較したダイズ外皮における保水量を示す図である。
図9】生形態又は本発明による処理後のいずれかの、異なるバイオマスにおける粘度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の詳細な説明
第1の態様における本発明の製品:
第1の態様では、本発明は、ダイズ外皮に由来する飼料又は食品成分であって、可溶性及び不溶性多糖類の形態のダイズ外皮由来の食物繊維を含み、ダイズ外皮由来の食物繊維が、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼ、及びセルラーゼから選択される1種又は複数のカルボヒドラーゼによって、3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(オリゴ糖DP3~30)に部分的に分解されており、飼料又は食品製品が、5質量%以下の単糖類を含む、飼料又は食品成分に関する。
【0043】
この文脈では、食物繊維に由来するオリゴ糖DP3~30は、ラフィノース、スタキオース及びベルバスコースを含まない。
【0044】
この態様の一実施形態では、ダイズ外皮由来の食物繊維は、1種又は複数のカルボヒドラーゼによって、オリゴ糖に部分的に分解されており、プレバイオティクス効果をもたらす。
【0045】
いずれかの実施形態では、飼料又は食品製品は、5質量%以下の単糖類;例えば4質量%以下;3質量%以下;2質量%以下;1質量%以下;0.5質量%以下を含むか;単糖類を実質的に含まないか、又は単糖類を含まない。
【0046】
別の実施形態では、飼料又は食品成分は、4質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(オリゴ糖DP3~30)、例えば5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、9質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(DP3~30)を含みうる。この文脈では、食物繊維に由来するオリゴ糖DP3~30は、ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースを含まない。
【0047】
第1の態様における本発明の実施形態のいずれかでは、飼料又は食品成分は、場合により、生酵母、例えば使用済み醸造用酵母、パン酵母、使用済み蒸留酒酵母、及びワイン生産からの使用済み酵母、バイオエタノール酵母、又はバイオエタノール生産からの使用済み酵母を含むサッカロミセス・セレビシエ株、並びにC5糖を発酵させる酵母株の中から選択される生酵母を更に含みうる。生酵母は、例えば、0.05から10%、例えば0.10%、0.15%、0.20%、0.25%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5、5%、6%、7%、8%又は9%の量で存在しうる。
【0048】
第1の態様における本発明の実施形態のいずれかでは、生ダイズ外皮中に存在するオリゴ糖ラフィノース、スタキオース、及び/又はベルバスコースは、場合により、完全に又は部分的に分解されていてもよい。
【0049】
第1の態様における本発明の実施形態のいずれかでは、飼料又は食品成分は、場合により、1種若しくは複数の微生物及び/又は1種若しくは複数の微生物によるダイズ外皮の炭水化物分解の代謝産物を更に含みうる。
【0050】
第1の態様における本発明の実施形態のいずれかでは、飼料又は食品成分は、場合により、乳酸菌から選択される1種若しくは複数の微生物並びに/又は乳酸菌、例えばラクトバチルス属、ペディオコッカス属、ラクトコッカス属、エンテロコッカス属、ワイセラ属、ストレプトコッカス属、及びロイコノストック属によるダイズ外皮の炭水化物分解の代謝産物を更に含みうる。
【0051】
第1の態様における本発明の実施形態のいずれかでは、飼料又は食品成分は、場合により、1種若しくは複数の微生物並びに/又はバチルス属、ビフィドバクテリウム属、ブレビバチルス属、プロピオニバクテリウム属、クロストリジウム属、及びゲオバチルス属から選択される1種若しくは複数の微生物によるダイズ外皮の炭水化物分解の代謝産物を更に含みうる。
【0052】
第1の態様における本発明の実施形態のいずれかでは、飼料又は食品成分は、ダイズ外皮に由来することができ、ダイズ外皮繊維は、1種又は複数のβ-マンナナーゼによって、4質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖、例えば5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(DP3~30)を含むオリゴ糖に分解されている。この文脈では、食物繊維に由来するオリゴ糖DP3~30は、ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースを含まない。
【0053】
第1の態様における本発明の実施形態のいずれかでは、飼料又は食品成分は、ダイズ外皮に由来することができ、ダイズ外皮繊維は、1種又は複数のペクチナーゼによって、4質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖、例えば5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(DP3~30)を含むオリゴ糖に分解されている。この文脈では、食物繊維に由来するオリゴ糖DP3~30は、ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースを含まない。
【0054】
第1の態様における本発明の実施形態のいずれかでは、飼料又は食品成分は、ダイズ外皮に由来することができ、ダイズ外皮繊維は、1種又は複数のキシラナーゼによって、4質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖、例えば5質量%以上、又は10質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(DP3~30)を含むオリゴ糖に分解されている。この文脈では、食物繊維に由来するオリゴ糖DP3~30は、ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースを含まない。
【0055】
第1の態様における本発明の実施形態のいずれかでは、飼料又は食品成分は、ダイズ外皮に由来することができ、ダイズ外皮繊維は、1種又は複数のグルカナーゼによって、4質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖、例えば5質量%以上、又は10質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(DP3~30)を含むオリゴ糖に分解されている。この文脈では、食物繊維に由来するオリゴ糖DP3~30は、ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースを含まない。
【0056】
第1の態様における本発明の実施形態のいずれかでは、飼料又は食品成分は、ダイズ外皮に由来することができ、ダイズ外皮繊維は、数種のカルボヒドラーゼによって、3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(DP3~30)に分解されている。
【0057】
第2の態様における本発明の方法:
本発明の第2の態様では、本発明は、本発明による飼料又は食品成分を生産するための方法であって、
・ダイズ外皮を、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼ、及びセルラーゼから選択される1種又は複数のカルボヒドラーゼと混合する工程、
・混合物を、乾物(DM)含有量が55質量%以下である条件下、1から48時間の期間で、20から60℃の温度で加水分解する工程、
・任意選択で、1種又は複数のカルボヒドラーゼの活性を完全に不活性化する工程、
・飼料又は食品成分を単離する工程
を含む、方法に関する。
【0058】
当業者は、プロセス条件、意図された結果、及び最適なプロセス経済性に応じて、方法の要件を満たすカルボヒドラーゼ酵素の好適な量を選択することができる。
【0059】
この態様の一実施形態では、繊維に富む植物バイオマスは、1種又は複数のカルボヒドラーゼと混合される前に解砕されていてもよい。解砕のための手段は、物理的又は化学的であってもよく、当業者は、解砕が適切かつ必要であるか否か、及びいずれの手段が特定のバイオマスに適用可能であるかを知っている。
【0060】
第2の態様における本発明のいずれかの実施形態では、方法は、混合物を加水分解する工程の後に実行される、1種又は複数のカルボヒドラーゼの活性を完全に不活性化する工程を含む。不活性化工程は、オリゴ糖DP3~30が単糖類に分解されないことを確実にする。
【0061】
第2の態様における本発明のいずれかの実施形態では、乾物含有量は、55質量%以下、例えば53質量%以下、51質量%以下、50質量%以下、48質量%以下、46質量%以下、又は45質量%以下である。
【0062】
第2の態様における本発明のいずれかの実施形態では、反応時間は、1から48時間、例えば2、4、6、8、12、16、20、24、28、32、36、40又は44時間である。
【0063】
第2の態様における本発明のいずれかの実施形態では、反応温度は、20から60℃、例えば25、30、32、35、37、40、45、50、55、又は58℃である。
【0064】
第2の態様における本発明のいずれかの実施形態では、当業者は、選択されたカルボヒドラーゼ及びその量に比例して反応時間及び反応温度を選択し、適合させることができる。
【0065】
第2の態様における本発明のいずれかの実施形態では、加水分解する工程の前に、酵母、例えば使用済み醸造用酵母、パン酵母、使用済み蒸留酒酵母、及びワイン生産からの使用済み酵母、バイオエタノール酵母、又はバイオエタノール生産からの使用済み酵母を含むサッカロミセス・セレビシエ株、並びにC5糖を発酵させる酵母株の中から選択される生酵母が、例えば0.05から10%、例えば0.1%、0.15%、0.20%、0.25%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5、5%、6%、7%、8%又は9%の量で、ダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの混合物に添加されてもよい。当業者は、プロセス条件及び意図された結果に応じて、好適な量を選択することができる。
【0066】
第2の態様における本発明のいずれかの実施形態では、加水分解する工程の前に、1種又は複数の微生物がダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの混合物に添加されてもよい。微生物の添加は、ダイズ外皮中に存在する炭水化物の、有用な代謝産物、特に有機酸、例えば乳酸及び酢酸への変換に好適である。当業者は、プロセス条件及び意図された結果に応じて、好適な量を選択することができる。
【0067】
第2の態様における本発明のいずれかの実施形態では、加水分解する工程の前に、乳酸菌、例えばラクトバチルス属、ペディオコッカス属、ラクトコッカス属、エンテロコッカス属、ワイセラ属、ストレプトコッカス属、及びロイコノストック属がダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの混合物に添加されてもよい。乳酸菌の添加は、植物バイオマス中に存在する炭水化物の、有用な代謝産物、特に有機酸、例えば乳酸及び酢酸への変換に好適である。当業者は、プロセス条件及び意図された結果に応じて、好適な量を選択することができる。
【0068】
第2の態様における本発明のいずれかの実施形態では、加水分解する工程の前に、バチルス属、ビフィドバクテリウム属、ブレビバチルス属、プロピオニバクテリウム属、クロストリジウム属、及びゲオバチルス属から選択される1種又は複数の微生物がダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの混合物に添加されてもよい。当業者は、プロセス条件及び意図された結果に応じて、好適な量を選択することができる。
【0069】
第2の態様における本発明のいずれかの実施形態では、加水分解する工程の前に、α-ガラクトシダーゼがダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの混合物に添加されてもよい。α-ガラクトシダーゼの添加は、ダイズ外皮中に存在するラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースの分解に好適である。当業者は、プロセス条件、及び意図された結果に応じて、好適な量を選択することができる。
【0070】
第3の態様における本発明の飼料若しくは食品製品又は栄養補助食品:
本発明の第3の態様では、本発明は、0.5から99質量%の本発明による飼料又は食品成分を含有する、飼料若しくは食品製品又は栄養補助食品に関する。
【0071】
第3の態様における本発明のいずれかの実施形態では、飼料製品又は栄養補助食品は、生産動物用の食餌、例えば生産動物、特に新生及び幼若動物、例えば仔ブタ、仔ウシ、及び家禽における能力を改善するための食餌における使用のためのものであってもよい。
【0072】
第3の態様における本発明のいずれかの実施形態では、飼料製品又は栄養補助食品は、プレバイオティクスオリゴ糖を必要とする生産動物、特に新生及び幼若動物、例えば仔ブタ、仔ウシ、及びニワトリ用の食餌における使用のためのものであってもよい。
【0073】
本発明の第4の態様では、本発明は、生産動物、特に新生及び幼若動物、例えば仔ブタ、仔ウシ、及びニワトリ用の食餌における、本発明による飼料成分の使用に関する。
【0074】
実施例
材料及び方法
酵素及び酵素供給業者:
BIO-CAT社、Vland Biotech Inc社、Strowin社、Jinan BestZyme社、Winovazyme社、Habio社、Challenge Group社、Biocatalysts Ltd社及びDSM社。酵素は2018年4月から2019年12月の間に供給され、酵素の具体的名称は下記に示される。
【0075】
【表1】
【0076】
薄層クロマトグラフィー(TLC法)
サンプルの10%DM懸濁液を最初に調製し、Ultra Thorax機器をレベル2で使用して30秒間ホモジナイズした。サンプルを室温で30分間撹拌し、3000Gで10分間遠心分離した。上清をTLCに直接使用した。
【0077】
1.4μlのサンプル、及び異なる標準ミックスをTLCプレートに添加した。乾燥後、プレートをクロマトグラフィータンクに50~60分間入れ、続いて、乾燥し、顕色剤液に2秒間浸漬した。乾燥後、150℃で短時間の後にTLCパターンが視認可能となった。クロマトグラフィー流体は、46vol/vol%のn-ブタノール及び31vol/vol%のピリジンを含む脱塩水からなっていた。顕色剤溶液は、100ml当たり2gのジフェニルアミン、84mlのアセトン、2mlのアニリン及び15mlの85%リン酸からなっていた。
【0078】
イオン交換クロマトグラフィー分析(Dionex)
サンプルの10%DM懸濁液を調製し、Ultra Turrax T25機器、IKA社をレベル2で使用して30秒間ホモジナイズした。サンプルを室温で30分間撹拌し、3000Gで10分間遠心分離した。上清をDionex又はViscotek分析に使用した。
【0079】
パルスドアンペロメトリック検出を伴う高性能陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC-PAD、Dionex)によってオリゴ糖及び糖を分離し、定量した。外部マルトデキストリン標準を使用してオリゴ糖を見積もった。サンプルを、0.4mL min-1の流量、150mMのアイソクラティックNaOH及び以下のNaOAc勾配プロファイル:0~5分:0~110mMの直線勾配、5~30分:110~350mMの凸型勾配を使用して、CarboPacPA-200カラムへ注入した。
【0080】
サイズ排除クロマトグラフィー分析(Viscotek)
サンプルを、屈折率検出器(RI)、4ブリッジ式粘度計検出器(VIS)及び光散乱検出器(LS)を含むTDA 302モジュール(三重検出器アレイ)に取り付けた直列の2つのカラム:GS-320 HQ及びGS-620 HQカラム(Shodex社)を備えたViscotekシステム(Malvern社、英国)を使用して、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって調べた。LSは、入射ビームに対して7°及び90°で散乱光を測定する直角光散乱(RALS)及び低角度光散乱(LALS)を含んでいた。99℃で120分間1000rpmでMilliQ水(1mg/mL)に可溶化したプルラン(50kDa、多分散度1.07、Showa Denko社)を使用して機器を較正した。50mMギ酸アンモニウム(HCO2NH4)緩衝液及び0.5mL min-1の流量で溶出を実施した。サンプルを0.22μm遠心分離フィルターを通して濾過し、50μlのサンプルをカラムに注入し(GPCmaxモジュール)、60℃で分離した。信頼性のある十分に特徴付けられた直鎖状マルトオリゴ糖を外部標準として使用した。OmniSecソフトウェア4.7(Malvern Instrument, Ltd.社)を使用してデータを分析した。
【0081】
(実施例1)
ダイズ外皮におけるカルボヒドラーゼの影響を示す小規模スクリーニング
異なる供給業者のマンナナーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼ、β-グルカナーゼ、及びペクチナーゼの一般的な群を少なくとも網羅する合計40種の市販のカルボヒドラーゼ酵素をダイズ外皮バイオマスにおいて検査した。酵素は酵素価格に従って投入され、ダイズ外皮乾物の質量当たり一定の価格に相当する用量を添加し、それに応じて比較した。ダイズ外皮は、乾燥丸剤として納品され、ブレンダーにおいて粗く解砕した。酵素及びダイズ外皮を混合し、45~48質量%の乾物(DM)含有量で、32℃で8~44時間インキュベートした。この小規模スクリーニングにおいてはおよそ90gのダイズ外皮を使用し、α-ガラクトシダーゼをすべてのサンプルに添加して、ダイズ外皮バイオマス中のオリゴ糖スタキオース及びラフィノースを除去した。いくつかの実験では、パン酵母を反応混合物に添加した。いくつかの実験では、pHをH2SO4で4.5に調節した。
【0082】
バイオマスの加水分解後、そのオリゴ糖DP3~30(3~30個の糖単位を有するオリゴ糖)の含有量をDionex又はViscotek法のいずれかにより決定した。異なる酵素によるオリゴ糖への酵素切断のパターンの更なる定量のためにTLC法も適用した。
【0083】
図1A、B及びCは、pH調節して21時間インキュベートし、製品をDionex法により分析した後の最初のスクリーニング結果を示す。
【0084】
図2は、pH調節せずに8~44時間インキュベートし、製品をDionex及びViscotek法により分析した後のスクリーニング結果を示す。同じ酵素でより多くの分析を行った場合、平均値を図中で使用した。
【0085】
図3は、異なるカルボヒドラーゼ酵素での処理に供されたダイズ外皮の糖組成を示し、異なるタイプの酵素がダイズ外皮中で異なる様式で切断して、それぞれ、マンナナーゼ、キシラナーゼ、ペクチナーゼ、及びβ-グルカナーゼ/セルロースに典型的なパターンを生じることを明らかに示している。レーン1~4に表示された基準糖混合物は、上から以下の通り含有する:
ミックス1:キシロース、スクロース、ラフィノース、スタキオース
ミックスA:アラビノビオース、アラビノース、マンノビオース、マンノトリオース
ミックスB:キシロース、キシロビオース、キシロトリオース、マンノビオース、マンノトリオース
ミックスC:ガラクトース、ガラクツロン酸
【0086】
16時間の加水分解後の異なる酵素群での小規模スクリーニングにおいて取得された平均最大取得オリゴ糖レベルを、下記の最良の酵素についての平均分析値として示す:
【0087】
【表2】
【0088】
(実施例2)
パイロット規模でのダイズ外皮におけるカルボヒドラーゼの影響を示す
水平な、ゆっくりと回転する反応器において、パイロット実験に従って450kgのダイズ外皮、及びスクリーニング例からの最も有効に働く酵素、並びにパン酵母及びα-ガラクトシダーゼを加えて、3回の加水分解実験を実行した。ダイズ外皮丸剤は事前に解砕されておらず、初期DM及び温度は48質量%及び30℃であり、インキュベート時間は16時間であった。
【0089】
Viscotek分析を実施した。オリゴ糖DP3~30(3~30個の糖単位を有するオリゴ糖)の含有量を総ダイズ外皮バイオマスの質量%に再計算した。
【0090】
【表3】
【0091】
(実施例3)
インキュベート時間及び酵素用量の影響を示す
実施例1に記載した通り、4.5のpH(図4)又は無調節のpH(図5)での加水分解条件のいずれかを使用してインキュベート時間の影響を調べた。図5はまた、半分の酵素用量を含むことの影響を示す。予想される通り、実験は、インキュベート時間の影響が酵素依存性であることを示す。
【0092】
(実施例4)
ダイズ外皮と比較した他のバイオマスにおけるオリゴ糖レベル及びカルボヒドラーゼの影響を示す
オリゴ糖のレベルを異なる形態の様々な異なるバイオマスにおいて検査した:
a)生バイオマス(対照)、
b)カルボヒドラーゼ酵素を添加せずにインキュベートされたバイオマス(ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースを含有するバイオマスには、これらのオリゴ糖を除去するためにα-ガラクトシダーゼを添加した)、又は
c)市販のカルボヒドラーゼ酵素とともにインキュベートされたバイオマス。
【0093】
酵素は価格に従って投入され、バイオマス乾物の質量当たり一定の価格に相当する用量を添加し、それに応じて比較した。シュガービートパルプ及びダイズ外皮バイオマスは、乾燥丸剤として納品され、ブレンダーにおいて粗く解砕した。他のバイオマスは、納品されたまま使用した。酵素、パン酵母、及びバイオマスを混合し、45又は48%DMで、32又は37℃で16、20又は44時間インキュベートした。加水分解後、バイオマスを実施例1において説明したのと同様に分析した。結果は図6に示される。ダイズオリゴ糖(ラフィノース、スタキオース及びベルバスコース)は、生バイオマス中に存在する場合、差し引かれている。
【0094】
図6は、異なるバイオマス、すなわち、生バイオマス、酵素なしのインキュベートされたバイオマス、又は酵素処理されたバイオマスのいずれかにおけるオリゴ糖のDionex又はViscotek定量を示す。
【0095】
相対的な(原料における開始レベルと比較した)オリゴ糖の放出を比較すると、ダイズ外皮は、最も高い相対量を放出することができるバイオマスとして傑出している。
【0096】
【表4】
【0097】
(実施例5)
ダイズ外皮におけるインキュベートDMの影響を示す
調節されていないpHで実施例1に記載した通りに実施される実験を実施して、3つの開始バイオマスDMレベル:45、48及び51%のDMを検査した。結果はTLCを示す図7に示され、Depol 793L(ペクチナーゼ)、Strowin社のキシラナーゼ、マンナナーゼ及びセルラーゼでDM%を45%から51%に増加させることの影響がないことを示している。
【0098】
(実施例6)
仔ブタ給餌試験(trail)を2018年5月~8月にデンマークの検査場:「Skjoldborg teststation, TestGris, SvineRadgivningen, Herning, Denmark」で実行した。従来のブタ生産システムを使用し、以下を含む、4種の食餌を検査した:
1. ダイズ外皮を含まない対照、
2. FaserGold、押出ダイズ外皮、DM質量で2.5%の量、
3. α-ガラクトシダーゼ及びパン酵母とともに8時間インキュベートされ、ミリングされ、乾燥されたダイズ外皮、DM質量で2%の量、
4. α-ガラクトシダーゼ、Ronozyme VP、及びパン酵母とともに7時間インキュベートされ、ミリングされ、乾燥されたダイズ外皮、DM質量で2%の量。
【0099】
試験は離乳後6週間、各々2週間の3つの別個のフェーズ(A、B、及びC)で実行した。ダイズ外皮製品は、フェーズAの間にのみ含まれた。フェーズB及びCにおいては、仔ブタに同じ飼料を給餌した。いずれの食餌も、抗生物質又は治療レベルの獣医用ZnOを含有しなかった。食餌はすべて不断給餌した。ブタは新鮮な水を常に利用することができた。フェーズAにおける食餌は、コムギ(35~38%)及びオオムギ(15%)ベースであり、Hamlet Protein社のHP300(19%)をタンパク質源として使用した。各食餌において等量の「プレミックス」を使用し(25%)、ダイズ油を使用して、食餌中のエネルギーレベルを均等化した(2.7~3.7%)。コムギ及びオオムギをミリングし、食餌をペレット化した。フェーズB及びCの食餌は、デンマークの給餌標準に従って、TestGrisによって生産した。
【0100】
25±3日の離乳日齢、及び6.4kgの平均体重の、4111匹のDanbred交雑種仔ブタを使用した。64個のダブルケージ(double pen)を使用した。各ダブルケージにおいておよそ2*32匹の仔ブタを使用した。ダブルケージを4種の食餌のうちの1種に割り当てた。
【0101】
産出量の測定は、平均1日増体量(ADG)、飼料摂取量(FI)、及び飼料利用率(FU)(飼料変換率(FCR)としても知られている)として行った。結果はTable 1(表5)に示す通りである。
【0102】
【表5】
【0103】
全般的に、仔ブタは、実験の間良好な健康状態を維持した。
【0104】
ADGは、フェーズAにおける食餌療法による大きな影響を受ける傾向があったと結論付けられ、食餌4群において最も高いADGであった。FIは、食餌療法による影響を受けなかったが、FUは、食餌1群と比較して、食餌4群において有意に高かった。フェーズAにおいて給餌された異なる食餌は、フェーズB又はCにおける成績に影響を与えなかった。
【0105】
(実施例7)
保水能(WHC)及び粘度のようなパラメータは、繊維製品において重要である。繊維製品における比較的高い保水能は、動物における満腹感を確保し、最適な便の硬さの確保を助ける。粘度は、多くの場合、懸念を生じさせる繊維の性状であり、とりわけ家禽の給餌においては、高い粘度は、栄養素の吸収を遅らせ、病原体が腸内で増殖するより十分な余地を与えうることから望ましくない。保水能は、自由水を放出せずに、重力に逆らってバイオマスが保持することができる水の量として測定され、単位はkg水/kgバイオマスである。
【0106】
保水能(WHC)
生ダイズ外皮、及び本発明による完成繊維成分、すなわち、ペクチナーゼ処理されたダイズ外皮並びにオオムギ、コムギ、トウモロコシ、及びダイズミール(SBM)を含む様々な乾燥繊維製品においてWHCを測定した。サンプルはすべて最初に500μm篩を通して解砕した。結果は図8に示され、本発明の製品が、他の多くの繊維製品も特徴付けるように、申し分なく高いWHCを有することを示す。
【0107】
粘度
粘度測定には、以下の方法を適用した:サンプルはすべて500μm篩を通してミリングした。1gのサンプル及び20mLの0.05Mリン酸緩衝液(pH7)を40℃で0.5時間インキュベートした。その後、レオロジー分析の前に、サンプルをAllegar X-22R遠心分離機、Beckman Coulter社において500rpm(31G)で10分間遠心分離した。サンプルをDiscovery HR-3レオメータ(TA Instruments社)で分析した。本発明による完成繊維成分、すなわち、ペクチナーゼ処理されたダイズ外皮を、生ダイズ外皮、シュガービートパルプ、コムギフスマ及びEasy Fibre(アブラナワラ及びコムギワラのブレンド)と比較する。結果は図9に示され、生ダイズ外皮、コムギフスマ、シュガービートパルプ及びEasy Fibreと比較して、本発明の製品が低減された粘度を有することを示す。腸内で関連のある剪断率は、図に示されている通り、およそ1から10s-1の間である。
【表6】
【表7】
【表8】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイズ外皮に由来する飼料又は食品成分であって、前記飼料又は食品成分が、可溶性及び不溶性多糖類の形態のダイズ外皮由来の食物繊維を含み、前記ダイズ外皮由来の前記食物繊維の一部が、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼ、及びセルラーゼから選択される1種又は複数のカルボヒドラーゼによって、3から30個のモノマー糖単位を有するオリゴ糖(オリゴ糖DP3~30)へと分解されて、ダイズオリゴ糖ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースを含まないものとして計算して4質量%以上の前記オリゴ糖DP3~30を含む前記飼料又は食品成分を提供しており、前記飼料又は食品成分が、酵母を更に含み、ただし、前記飼料又は食品成分が、5質量%超の単糖類を含まない、飼料又は食品成分。
【請求項2】
ダイズ外皮由来の前記食物繊維の一部が、前記1種又は複数のカルボヒドラーゼによって、オリゴ糖(オリゴ糖DP3~30)へと分解されており、プレバイオティクス効果をもたらす、請求項1に記載の飼料又は食品成分。
【請求項3】
5質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有する前記オリゴ糖(オリゴ糖DP3~30)、例えば6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、9質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上の3から30個のモノマー糖単位を有する前記オリゴ糖(オリゴ糖DP3~30)を含む、請求項1又は2に記載の飼料又は食品成分。
【請求項4】
サッカロミセス・セレビシエ株、例えば使用済み醸造用酵母及び使用済み蒸留酒酵母及びワイン生産からの使用済み酵母、バイオエタノール酵母、又はバイオエタノール生産からの使用済み酵母、パン酵母、並びにC5糖を発酵させる酵母株の中から選択される酵母を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の飼料又は食品成分。
【請求項5】
0.05から10%、例えば0.10%、0.15%、0.20%、0.25%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5、5%、6%、7%、8%又は9%の量の酵母を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の飼料又は食品成分。
【請求項6】
前記ダイズ外皮中に存在するオリゴ糖ラフィノース、スタキオース、及びベルバスコースが、完全に又は部分的に分解されていることを更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の飼料又は食品成分。
【請求項7】
1種若しくは複数の微生物及び/又は前記1種若しくは複数の微生物による前記ダイズ外皮の炭水化物分解の代謝産物を更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の飼料又は食品成分。
【請求項8】
乳酸菌及び/又は乳酸菌による前記ダイズ外皮の炭水化物分解の代謝産物を更に含む、請求項7に記載の飼料又は食品成分。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の飼料又は食品成分を生産するための方法であって、以下の工程:
・ダイズ外皮を、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼ、及びセルラーゼから選択される1種又は複数のカルボヒドラーゼと混合する工程、
・酵母を、ダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの前記混合物に添加する工程、
前記混合物を、DM含有量が55質量%以下である条件下、1から48時間の期間で、20から60℃の温度で加水分解する工程、
・任意選択で、前記1種又は複数のカルボヒドラーゼの活性を完全に不活性化する工程、
前記飼料又は食品成分を単離する工程
を含む、方法。
【請求項10】
前記ダイズ外皮が、前記1種又は複数のカルボヒドラーゼと混合される前に解砕されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記加水分解する工程の前に、サッカロミセス・セレビシエ株、例えば使用済み醸造用酵母及び使用済み蒸留酒酵母及びワイン生産からの使用済み酵母、バイオエタノール酵母、又はバイオエタノール生産からの使用済み酵母、パン酵母、並びにC5糖を発酵させる酵母株の中から選択される酵母が、ダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの前記混合物に添加されることを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記加水分解する工程の前に、1種又は複数の微生物がダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの前記混合物に添加されることを更に含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記加水分解する工程の前に、乳酸菌がダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの前記混合物に添加されることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記加水分解する工程の前に、α-ガラクトシダーゼがダイズ外皮及びカルボヒドラーゼの前記混合物に添加されることを更に含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
0.5から99質量%の請求項1から8のいずれか一項に記載の飼料又は食品成分を含有する、飼料若しくは食品製品又は栄養補助食品。
【請求項16】
生産動物用の食餌、例えば能力を改善するための食餌における使用のための、請求項15に記載の飼料製品又は栄養補助食品。
【請求項17】
プレバイオティクスオリゴ糖を必要とする生産動物、好ましくは新生及び幼若動物、例えば仔ブタ、仔ウシ、及びニワトリ用の食餌における使用のための、請求項15又は16に記載の飼料製品。
【請求項18】
製品動物、好ましくは新生及び幼若動物、例えば仔ブタ、仔ウシ、及びニワトリ用の食餌における、請求項1から8のいずれか一項に記載の飼料成分の使用。
【国際調査報告】