(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】無水のアルコールフリーの滑らかな芳香剤配合物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20231102BHJP
A61K 8/9767 20170101ALI20231102BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231102BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231102BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/9767
A61K8/37
A61K8/34
A61Q13/00 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519935
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021054673
(87)【国際公開番号】W WO2022086766
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522010646
【氏名又は名称】エーケーアイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ミーハン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・オハロラン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC351
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC391
4C083AC421
4C083AD021
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD201
4C083AD611
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD23
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE17
4C083KK03
(57)【要約】
組成物の総重量に対して約1~40重量%の量で存在する少なくとも1種の香料化合物、組成物の総重量に対して約10~50重量%の量で存在するクエン酸トリエチル、および組成物の総重量に対して約10~40重量%の量のエチルヘキシルグリセリン、またはそれらの組み合わせを含む、滑らかで高級感のある質感および感触を有する無水アルコールフリー芳香剤担体組成物。さらに、この処方物は、防腐剤を含まず天然の静菌特性を有し、さらにその審美性が改善している。この製品は、様々な化粧品または芳香剤ベースの製品と共に使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の総重量に対して約1~40重量%の量で存在する少なくとも1種の香料化合物;
組成物の総重量に対して約10~50重量%の量で存在するクエン酸トリエチル;及び
組成物の総重量に対して約10~40重量%の量のエチルヘキシルグリセリン
を含む、無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項2】
1種以上の希釈剤をさらに含む、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項3】
前記1種以上の希釈剤が、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項4】
1種以上の芳香剤希釈剤をさらに含む、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項5】
前記1種以上の芳香剤希釈剤が、グリコール、天然油、グルコースエーテル、グリセリンエステル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項6】
前記1種以上のグリコールが、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項7】
前記1種以上の天然油が、天然油、ホホバ油、植物由来油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項8】
前記グルコースエーテルがプロポキシ化メチルグルコースエーテルを含む、請求項5に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項9】
前記グリセリンエステルがカプリル酸グリセリン又はカプリン酸グリセリンを含む、請求項5に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項10】
老化防止成分、しわ防止成分、ビタミン、日焼け止め剤、抗ニキビ成分、又は芳香油をさらに含む、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項11】
少なくとも1種の皮膚軟化剤をさらに含む、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項12】
前記皮膚軟化剤が、イソノナン酸イソノニル、アロエベラ、ジステアリン酸PPG-20メチルグルコースエーテル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ホホバ油、イソステアリン酸イソプロピル、又はポリイソブテンを含む、請求項11に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項13】
VOCを含まない、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項14】
防腐剤を含まない、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項15】
防腐強化保湿剤及び/又は安定剤をさらに含む、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種の香料化合物が、組成物の総重量に対して約10~30重量%の量で存在する、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項17】
前記クエン酸トリエチルが、組成物の総重量に対して約10~35重量%の量で存在する、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項18】
前記エチルヘキシルグリセリンが、組成物の総重量に対して約10~25重量%の量で存在する、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項19】
前記エチルヘキシルグリセリンが、組成物の総重量に対して約5~25重量%の量で存在する、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項20】
わずかに粘性のある油の質感を有する、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項21】
20~55センチポアズ(cP)の粘度を有する、請求項21に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項22】
前記組成物の特性又は審美性に影響を及ぼすことなく最大30%の高濃度の芳香ノートを保持することができる、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項23】
前記芳香ノートが、ジャスミン、レッドベリー、ベルガモット、スパイス、バニラビーン、バニラオーキッド、ココナッツ、サンダルウッド、花葉(フローラルリーフ)、ベチバー、ローズ、ダークフルーツ、ウッド、オレンジゼスト、酸味のあるピンクグレープフルーツ、ジューシーなマンダリン、フローラルネロリ、及び/又はシダーウッド、あるいはそれらの組み合わせのうちの1種以上を含む、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項24】
シリコーンを含まない、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項25】
組成物の総重量に対して最大5重量%で存在する、皮膚の鎮静、保湿作用を有する1種以上の天然油をさらに含む、請求項1に記載の無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【請求項26】
組成物の総重量に対して約10~30重量%の量で存在する少なくとも1種の香料化合物;
組成物の総重量に対して約10~35重量%の量で存在するクエン酸トリエチル;及び
組成物の総重量に対して約5~25重量%の量のエチルヘキシルグリセリン
を含む、無水のアルコールフリー芳香剤担体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT出願は、2020年10月21日に出願された米国仮出願第63/094,581号に基づく優先権を主張し、その内容は参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0002】
開示される主題は、消費者にとって審美的にも芳香剤としても満足のいく、香料またはコロン最終製品のための無水のアルコールフリー芳香剤担体配合物に関する。この配合物は、滑らかな(silky)、かつ/または保湿性の香料ベースの半透明製品に使用され得る。このような配合物は、香料化合物、クエン酸トリエチル、およびエチルヘキシルグリセリンを含み、皮膚に塗布した場合、平滑化および/または保湿効果と相まって高級感のある滑らかな感触を有する、元の芳香ノートのより顕著な強度、寿命、および特性を特徴とする。
【背景技術】
【0003】
エタノールなどのアルコールは、特に芳香剤、例えば香水、コロン、アフターシェーブ、および他の香料物質のための溶媒として、化粧品業界において一般的に使用されている。しかしながら、アルコールは、皮膚の乾燥および刺激、皮膚疾患、ならびにエタノールの蒸発によって引き起こされる芳香分子の急速な蒸発、特に芳香剤のトップノートの急速な蒸発に起因する、芳香剤の低い持続性などの既知の悪影響を有し、このことが当初意図された全体の芳香の全体的なバランスを急速に変化させる可能性がある。したがって、皮膚から立ちのぼる元の芳香の利点を維持しながら、エタノールの悪影響を回避するアルコールフリーの化粧品および芳香剤配合物が必要とされている。さらに、多くの消費者は、心地よい滑らかな質感および良好なクリア感を有する化粧品および/または芳香剤を好む。このような製品の全体的な審美的品質およびそれに対する高級感は、消費者から、このような水およびアルコール含有芳香製品のねばつく及び/又はべたつく感触を伴わないことがしばしば望まれる。
【0004】
より詳細には、エタノールは、高級芳香剤の担体として業界で一般に広く使用されてきた。エタノールの局所塗布の安全性は依然として議論の的であり、両方向を指し示す科学的証拠があるようである。一方では、研究者らは、皮膚のエタノール曝露の悪影響は、エタノール摂取後の肝臓、中枢神経系、および他の身体系への影響と比較して軽微であり得るが、アルコールによって皮膚に引き起こされる広範囲な損傷は無視できず、また無視すべきではないと結論付けた。他方では、科学的研究では、局所使用のためのエタノールは、それ自体は安全であるとされた。しかし、マウスウォッシュの使用に関する疫学的データや、皮膚上または口腔内のエタノールが慢性的に使用されると害を引き起こし得ることを示す動物実験からのデータを含めて、少なくともいくつかの証拠があるようである。EU化粧品規制および化学物質の安全性に関する他の法令による評価は、エタノールの慢性毒性および発癌性の可能性を考慮しているはずである。Lachenmeierの論文(Dirk W. Lachenmeier, Safety evaluation of topical applications of ethanol on the skin and inside the oral cavity, J. Occup. Med. Toxicol., 2008; 3:26)において、エタノールの局所使用の安全性が科学文献の批判的レビューによって評価された。著者は、エタノール乱用が、いくつかの皮膚障害、例えば、乾癬、貨幣状湿疹、および表在性感染症の発症に関連していると述べた。慢性アルコール乱用もまた、とりわけ壊死性創傷感染、創傷治癒の遅延、および蜂巣炎の素因であった。
【0005】
従来の香料は、選択された溶媒中に溶解した芳香性化合物(例えば、芳香性エッセンシャルオイル、アブソリュート、香り化合物、固定剤)の溶液である。香料製品に使用される最も典型的な溶媒は、エタノールまたは水とエタノールとの混合物(アルコール水溶液)である。溶液中の芳香族化合物の濃度によって、以下の様々な芳香剤を区別することができる:パルファムとして知られているエクストレ・ドゥ・パルファン(90~96%アルコール溶液中最大40%の芳香剤組成物)、オー・ドゥ・パルファン、すなわちEDP(80~90%アルコール水溶液中10~15%の芳香剤組成物)、オー・ドゥ・トワレ、すなわちEDT(60~85%アルコール水溶液中5~10%の芳香剤組成物)、アフターシェーブ(希釈アルコール溶液中5%の芳香剤組成物)、通称コロンとよばれるオー・ドゥ・コロン(70~80%アルコール水溶液中3~8%の芳香族化合物)、およびボディスプラッシュ、ボディスプレー、ボディミスト、またはボディスプリッツとしても知られているオー・フレッシュ(主に水で希釈された最大3%の芳香剤組成物)。これらの配合物では、エタノールが芳香剤の溶媒として使用されるが、さらに、エタノールは抗菌剤として機能する。アルコールのさらなる利点は、その速乾性である。他方で、前述の記載のとおり、アルコールは皮膚を乾燥させて皮膚不耐性またはアレルギー性接触皮膚炎を引き起こす可能性があり、結果として、他の悪影響の中でもとりわけ皮膚刺激および皮膚炎を引き起こす可能性がある。
【0006】
アルコールベースの香料は、市場で入手可能な最も一般的な種類の芳香製品である。しかしながら、エタノールの潜在的な刺激特性、その可燃性、さらにはその使用に関する中東での倫理的制約のために、主に固体または液体油の形態のアルコールフリー香料製品の市場が成長している。特定の宗教は、いかなるアルコールの使用も禁止しており、例えば、特定の中東諸国において、アルコールを生産し、輸入し、販売し、消費することは、いかなる人にとっても違法であると考えられている。したがって、いかなる形態のアルコールの使用も禁止しているこのようなあらゆる国および/または宗教について、世界的に許容可能な配合物が必要とされている。
【0007】
しかしながら、代替形態の製品は、上で論じたいくつかの欠点を有する。したがって、香料ベースの製品の物理的および化学的形態に関して、新しい解決策が依然として求められている。さらに、新たな消費者の群、例えば、子供、青年、およびアレルギーを患う人にも市場を拡大する必要があり、したがって、最も一般的に使用される溶媒、すなわちエタノールを使用しないことが必要になるが、これも依然として非常に難題のままである。
【0008】
したがって、現在、コロンおよび香料業界は、製品中のアルコールの量を減らすための圧力を感じている。水性香料がアルコールベースの香料の見た目および感触を有することができるのであれば、水性香料を製造することが推奨されるであろう。しかしながら、芳香成分のほとんどは水に不溶の油であり、このことは、このような最終製品の審美的要素に影響を与え得る。さらに、アルコールベースの香料組成物の物理的特性、特にクリア感および透明さ、皮膚上での清潔感、ならびに皮膚および衣類上での汚れ防止特性をもたらす速い蒸発速度(すべてが望ましいと考えられる)に慣れた消費者に受け入れられるアルコールフリー配合物を実現することは、難題である。
【0009】
アルコールフリーの水性製品のいくつかの例が文献に記載されている。しかしながら、エチルアルコールを完全に水で置き換えることは、科学者にとって困難な課題であることが証明されている。香料製品に使用されるエッセンスは、本質的に、疎水性(水不溶性)化合物の混合物である。したがって、水をベースとする安定した溶液を得ることは困難であることが証明されている。疎水性芳香剤の水への導入を容易にする解決策の1つは、例えばエマルジョン、マイクロエマルジョン、ミセル、および/またはリポソームの形態の疎水性芳香剤の安定な水分散液を得るために、可溶化剤(溶解度を高める物質)、例えばグリコール、グリセリン、または界面活性剤(2つの液体間の表面張力を低下させる化合物)を使用することである。
【0010】
香料は、数百の個別の有機疎水性芳香成分がブレンドされて最終的な香りを生成する配合物である。香料またはコロン配合物中のアルコールの一部または全部を不揮発性有機化合物(VOC)で置き換えようとすると、芳香族化合物の溶解度および物理化学的環境が変化し、最終的な香り、持続性芳香ノート、およびアルコール含有香料またはコロンと同様の感触特性を得ようとする試みにおいて、希釈剤および乳化剤の再配合が必要になる。溶解度が低下すると、芳香性化合物が溶液中で沈殿することさえあり得る。一般的な界面活性剤および乳化剤を使用して可溶化を強化すると、皮膚上にべたつく石鹸質の汚れた感覚がもたらされ、これは消費者にとって魅力的ではない。すなわち、界面活性剤は界面を活性化する薬剤、すなわち、一般に疎水性成分と親水性成分とを有し、疎水性相と親水性相との間の隙間を架橋して溶解度を改善する際に果たす機能性のためにのみ添加される化合物である。界面活性剤は、芳香油の水への溶解または分散を容易にするために必要であるが、他方では最終組成物を劣化させる。したがって、このような配合物では、界面活性剤をできるだけ使用しないことが好ましい。
【0011】
香料に使用されるアルコールは、ますます多くの規制を受けているVOCの1つである。VOCが少ない香料を提供するための1つのアプローチは、芳香剤送達組成物を乾燥粉末として提供することであった。しかしながら、このアプローチはVOCの問題を解決する一方で、製品の物理的特性が従来の香料組成物とは非常に異なるため、香料の許容可能な代替物を提供するものではないと考えられている。この目的のために開発された別のアプローチは、芳香剤の非アルコール性配合物を製造することである。
【0012】
例えば、米国特許第5,468,725号明細書は、アルコールフリー香料基剤、水、および安定で透明な水中油型マイクロエマルジョン芳香剤濃縮物を含有するアルコールフリーの透明香料を記載している。水中油型マイクロエマルジョン芳香剤濃縮物は、水、少なくとも1種の疎水性芳香油、少なくとも1種のカチオン性界面活性剤、および少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含有する。カチオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤を水性媒体および芳香油と共に使用して、透明なアルコールフリー芳香剤マイクロエマルジョンを調製する。
【0013】
さらに別の米国特許第6,774,101号は、香料油、親水性/親油性比が10以上の界面活性剤系、および水を少なくとも含有する、水中油型エマルジョンの形態のアルコールフリー半透明香料組成物に関する。配合物中に多量に使用される水は、芳香剤の安定性および表現に影響を及ぼし得る。さらに、界面活性剤の使用は、香料組成物の芳香ノートを変化させることに加えて、配合物が皮膚に塗布されたときのフレッシュな感覚および清潔感に影響を及ぼし得る。
【0014】
アルコール溶液の代替物の1つは、油性香料である。一般に、油性香料の製造のために、実質的にあらゆる中性油を最も弱い芳香剤とすら組み合わせることができる。芳香物質の担体としての油は、設計された芳香剤組成物の香りをマスクしたり歪めたりする可能性がない。最も一般的に使用される油は、アーモンド油、ホホバ油、または分留ココナッツ油である。油性香料の本質的な利点は、アルコール溶液のように皮膚を乾燥させないことである。事実、それとは全く逆に、油性製品は皮膚を保湿し、芳香寿命を改善することがわかっている。この種の製品は、一般に「スキンセント」として知られており、体温によって香りを徐々に放出することができる。アルコールベースの香料の香りが約3時間持続する一方で、油性香料の香りは6~15時間持続すると推定される。油製品中の芳香剤濃度は非常に高く、通常は約20%である。しかしながら、これらの製品の欠点の1つは、「トップノート」とよばれるフレッシュで軽い香調がなく、全体的な匂いが重くなっていることである。さらに、これらの製品を衣類上や空気中に分散させると脂っぽい汚れが生じ、表面を滑りやすくし、べたつくようにすることになりうる。
【0015】
マイクロエマルジョンの欠点は、組成物中の界面活性剤濃度が高いこと(最大40%)である。これは、高い製品粘度および/またはその透明さの欠如の理由であり得る。さらに、このような組成物に配合される芳香剤は、界面活性剤と反応する可能性があり、製品の安定性および官能特性に悪影響を及ぼす分解プロセスを経ることがある。さらに、上記の特許のいくつかに記載されているカチオン性界面活性剤は、それらの刺激特性が知られているので、香料商品などの「リーブオン製品」では避けるべきであることに留意すべきである。さらに、これらの製品は、この種の配合物に耐性のある特別な包装の使用を必要とし得る。
【0016】
したがって、アルコールおよび多量の水を含有する芳香製品が知られているが、皮膚に塗布されると滑らかな感触を有する滑らかな無水化粧品および/または芳香剤担体配合物が依然として必要とされている。本発明は、界面活性剤または水を含まないアルコールフリー芳香剤配合物を実現する。本発明はさらに、当初意図された芳香を変化させることなく元の芳香ノートの持続時間を実現するが、さらに半透明でねばつかない配合物を実現する。
【0017】
さらに、同じ上述の利点を有するシリコーンを含まない芳香剤担体配合物が必要とされている。シリコーンは、多くの顧客が回避しようとする合成材料であるが、完全に禁止されているわけではない。シリコーンは、最終的に皮膚の乾燥を引き起こすことに加えて、滑らかで柔らかい皮膚の錯覚を引き起こすとはいえ、シリコーンがその環境にどのように影響を及ぼすかについての懸念もあり、いくつかの非生分解性のものはEUによって禁止されている。シリコーンはまた、一般に皮膚に対して明らかな長期的な利点を有しない一方で、他の潜在的な健康上の懸念の中でも、皮膚から除去することが困難であり、ニキビおよび他の皮膚刺激さえ引き起こすことがわかっている。
【0018】
本発明は、良好なクリア感、溶解度、および皮膚に塗布する際にべたつかずに擦り込める心地よいさらさらの感触を示す、アルコールを含まず、シリコーンを含まず、かつ防腐剤も含まない無水芳香剤配合物によって、前述の様々な問題を解決する。芳香剤担体組成物は、クエン酸トリエチルとエチルヘキシルグリセリンとの組み合わせから構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第5,468,725号明細書
【特許文献2】米国特許第6,774,101号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Dirk W. Lachenmeier, Safety evaluation of topical applications of ethanol on the skin and inside the oral cavity, J. Occup. Med. Toxicol., 2008; 3:26
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
開示される主題の目的および利点は、以下の説明に記載されており、この説明に基づく当業者の実践および知識によって、さらなる利点を得ることができる。(段落0002を参照されたい)
【課題を解決するための手段】
【0022】
開示される主題は、いくつかの実施形態によれば、提供する、開示される主題の好ましい実施形態によれば、滑らかな無水のアルコールフリー芳香剤担体配合物は、より好ましくは、1~40重量%、好ましくは10~30重量%の(1種以上の)香料化合物、10~50重量%、好ましくは10~35重量%のクエン酸トリエチル、5~40重量%、好ましくは5~25重量%のエチルヘキシルグリセリンから構成され、場合により、いくつかの希釈剤、例えばプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、または組み合わせが添加され得る。皮膚の鎮静、保湿作用を有する天然油も、最大5重量%添加され得る。滑らかな芳香剤担体配合物は、さらにシリコーンを含まず、防腐剤も含まない。開示される滑らかな芳香剤担体配合物は、皮膚に塗布されると、平滑化および/または保湿効果と相まって滑らかな高級感を有する、元の芳香ノートのより顕著な強度、寿命、および特性を特徴とする。芳香剤担体配合物の1つ以上の好ましい実施形態を含めて、さらなる実施形態を以下に開示する。
【0023】
前述の概要および以下の詳細な説明は例示であり、開示される主題の説明を提供することを意図している。本発明の詳細な説明の全体を通して、かつ/または開示される非限定的な例示的実施形態の例示目的のために引用される実施例によって、他の利点が明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、具体的な実施例によって本発明をより詳細に説明する。具体的には、本発明をより詳細に、かつ/または例として説明するが、本発明はこれらの例に限定されると解釈されないものとする。本発明の主題および範囲から逸脱することなく、本発明の概念に含まれる他の組み合わせおよび様々な変更が可能である。
【0025】
特に明記しない限り、百分率(%)は、組成物の重量パーセントを示すことを意図する。
【0026】
本明細書において、すべての量、百分率、および比は、特に指示しない限り重量基準である。さらに、すべての百分率は、組成物全体の重量基準である。すべての量、百分率、および比は、その前に「約」という語が付されているものと理解すべきである。
【0027】
本明細書において、「含む(comprising)」および「からなる(comprised of)」などの用語は、他の成分/特徴も存在し得ることを意味すると理解すべきである。すなわち、列挙されたステップまたは選択肢は網羅的である必要はない。
【0028】
本発明の組成物は、いかなる手段で人体に塗布してもよい。液体組成物の塗布は、担体マトリックス、例えば紙、布、スポンジへの吸収によるか、または別の手段、例えば芳香油スポイト/塗布器、液体ポンプの使用によるものであり得る。塗布は、前記担体マトリックスを身体または皮膚の表面と接触させることによって行われる。あるいは、例えば油スポイト/塗布器または液体ポンプを使用して芳香剤組成物を塗布する。このような芳香剤組成物の塗布はまた、上記方法のうちのいずれか2つ以上の組み合わせを含み得る。
【0029】
本明細書において、「好ましい」として示すあらゆる材料、比、または重量は、「好ましい」として示すあらゆる他の材料、比、または重量と組み合わせて好ましく使用されると理解すべきである。
【0030】
本明細書における「(1つ以上の)実施形態」などへの言及は、実施形態に関連して記載される特定の材料、特徴、構造、および/または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意図するが、すべての実施形態が記載される材料、特徴、構造、および/または特性を組み込むことを意図するものではない。さらに、材料、特徴、構造、および/または特性は、異なる実施形態にわたって任意の適切な様式で組み合わせてよく、材料、特徴、構造、および/または特性は、記載された内容から省略または置換してもよい。
【0031】
「含まない」または記載された成分が「フリー」とは、記載された成分が組成物に添加されていないことを意味する。しかしながら、記載された成分は、芳香剤担体組成物の他の成分の副生成物または反応生成物として偶発的に形成され得る。
【0032】
「安定」とは、経時的に分解せず、その化合物が互いに反応しない組成物を意味する。「安定」とは、組成物の均一性、透明さ、心地よい匂い、および粘度が保持されることを意味する。より詳細には、本発明による組成物は、光から保護され5℃に維持された試料と比較して、UV(Suntest)で24時間後、ならびに25℃および45℃で2カ月後に、加速老化において安定である。
【0033】
「わずかに粘性のある油」の粘度に近い「粘度」を有するとは、前記組成物の粘度が好ましくは20~55センチポアズであることを意味する。
【0034】
本開示は、他の香料物質を含む香料またはコロンベースの最終製品のための無水のアルコールフリー芳香剤担体用の組成物に関し、さらに、向上した持続する芳香剤を残しながら皮膚に溶け込む高級感のある滑らかな処方物を特徴とする。具体的には、香料またはコロンベースの最終製品のための無水のアルコールフリー芳香剤担体は、良好な芳香剤の溶解度、クリア感、および製品安定性を示す他の最終製品の中でも、高級感のある滑らかな配合物を包含する。特にトップノートのエッセンス芳香剤の持続する品質は、開示される芳香剤担体配合物の利点である。
【0035】
本明細書に提示される無水のアルコールフリー芳香剤担体は、皮膚を刺激する可能性があり、また芳香剤をかなり迅速に蒸発させる可能性があるこのような芳香剤ベースの製品において、特にトップノートにおいてアルコールを使用することに関連する欠点なしに、芳香製品配合物の利点を得るために使用者によって使用され得る。特に、芳香剤のトップノートのこのような蒸発は、芳香剤全体の全体的な元のバランスを急速に変化させ得る。
【0036】
特定の実施形態では、開示される主題は、油入り香料組成物、例えば、特に敏感肌の使用者のための香料またはコロン用の油の最終製品、例えばローラーボール芳香製品、スポイトベースの最終製品、液体ポンプディスペンサ、さらにはクリーム、ゲル、ローションなどの配合物の担体としての使用に適している。このような製品は、皮膚に使用することができ、上品な、または高級感のある芳香の非常に濃厚な表現が可能なしなやかな栄養補給と共に、滑らかな保湿を実現することができる。このような最終製品はまた、繊細な布地が皮膚と接触する前に完全に吸収される。
【0037】
限定ではなく説明および例示の目的で、開示される主題による滑らかな無水芳香剤担体組成物の例示的な実施形態を本明細書に記載する。
【0038】
開示される主題は、香料製造に使用される香料またはコロン成分を含有する滑らかな無水芳香剤担体配合物に関する。これらの成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、テルペンなどの化学分類に属する。これらの成分は、芳香剤担体に可溶性であるために本質的に極性でなければならない。
【0039】
「芳香製品」という用語は、本出願を通して、人の皮膚の外観、芳香、魅力、滑らかな高級感などを改善するために人体に塗布することが意図されたあらゆる化合物、組成物、製品などを指すために使用される。これらとしては、香料ベースのメイク用化粧品、クリーム、および/もしくはゲル、ならびに/または芳香剤、例えば香水、コロン、芳香性香料油製品(ローラーボールもしくはスポイト)、アフターシェーブ、化粧用クリームおよび/もしくは他の化粧品配合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
開示される主題によれば、本明細書において具体化され広く記載されているように、滑らかな無水のアルコールフリー芳香剤担体配合物は、好ましくは、例示的な実施形態では、
・約1~40重量%、より好ましくは10~30重量%の(1又は複数の)香料化合物;
・約10~50重量%、より好ましくは10~35重量%のクエン酸トリエチル;
・約10~40重量%、より好ましくは10~25重量%のエチルヘキシルグリセリン;
から構成され、
・任意選択により場合によっては、いくつかの希釈剤(1又は複数)、例えば、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、および/または組み合わせが添加され;かつ
・皮膚の鎮静、保湿作用を有する1種以上の天然油もまた、任意選択により場合によって最大5重量%添加され得る。
【0041】
特定の開示される実施形態では、いくつかの希釈剤(1又は複数)、例えば、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、または組み合わせが上記の基剤配合物に添加され得る(すなわち、1~40重量%、好ましくは10~30重量%の(1種以上の)香料化合物;10~50重量%、好ましくは10~35重量%のクエン酸トリエチル;及び、5~40重量%、好ましくは5~25重量%のエチルヘキシルグリセリン)。例示の実施形態は、同じ先に列挙した主成分の組み合わせを含む。
【0042】
開示される主題の好ましい実施形態によれば、無水のアルコールフリーの滑らかな芳香剤担体配合物は、より好ましくは、
・1~40重量%、好ましくは10~30重量%の(1種又は複数の)香料化合物;
・10~50重量%、好ましくは10~35重量%のクエン酸トリエチル;
・5~40重量%、好ましくは5~25重量%のエチルヘキシルグリセリン;
から構成され、
・任意選択により場合によっては、いくつかの希釈剤(1又は複数)、例えば、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、または組み合わせが添加されてもよく;かつ
・皮膚の鎮静、保湿作用を有する1種以上の天然油も、任意選択により場合によっては最大5重量%添加されていてもよい。
【0043】
本開示による香料化合物に含まれる芳香ノートおよび/またはエッセンスの量および/または種類は、所望する芳香強度にしたがって、当業者によって選択され得る。様々な芳香ノートを以下でさらに詳細に説明する。
【0044】
開示される主題の一実施形態によれば、より詳細には、柑橘類の果実由来のクエン酸エステルであるクエン酸トリエチルは、開示される芳香剤担体配合物の主成分の1つである。クエン酸トリエチルは、無色の不燃性の透明液体である。クエン酸トリエチルは、極性成分を含む成分の希釈剤として、主要な香料製造業者によって非常に広く使用されている。クエン酸トリエチル(別名はクエン酸エチル、E1505、クエン酸エチルエステルである)は、下記式(1)で表される。
【化1】
【0045】
したがって、クエン酸トリエチルは、滑らかな芳香剤担体配合物中の成分の希釈剤として使用され得る。クエン酸トリエチルは、添加剤として使用される無色無臭の液体化合物である。化学分子式は、C12H20O7または(CH2COOC2H5)2COHCOOC2H5(好ましい国際純正応用化学連合(IUPAC名は2-ヒドロキシプロパン-1,2,34-トリカルボン酸トリエチルである)である。クエン酸トリエチルの線形式は、HOC(COOC2H5)(CH2COOC2H5)2としてさらに表される。
【0046】
クエン酸トリエチルは、天然由来の農業資源から製造される、優れたスキンケア特性を有する汎用化粧品成分であると考えられている。クエン酸トリエチルは、100%再生可能な炭素源から作られた無毒で環境に優しい生分解性の成分である。クエン酸トリエチルは、ヒトおよび実験動物の皮膚に対する刺激剤であることは示されていない。希釈形態では、クエン酸トリエチルはヒトにおいて感作能を示さない。急性毒性は、実験動物において、経口、皮膚、および吸入経路によって低いことが示された。クエン酸トリエチルは、クエン酸をエタノールでエステル化する方法によって製造される。クエン酸トリエチルはワインの中に天然に少量存在し、人体によって容易に代謝される。化粧品において、この成分は、アルミニウム塩の代替物として配合されて消臭剤によく使用される。クエン酸トリエチルは、汗の成分の酵素分解を阻害する能力のために、体臭との闘いにおいて優れた活性成分であると考えられている。クエン酸トリエチルは抗菌特性も有する。クエン酸トリエチルは有機認証も受けている。したがって、クエン酸トリエチルは、香料および芳香原料のための望ましい成分であると考えられている。
【0047】
開示される無水の滑らかな芳香剤担体の配合物の実施形態に含まれる別の成分は、グリセリルエーテルであるエチルヘキシルグリセリンである。エチルヘキシルグリセリンは、植物性グリセリン、しばしばココナッツ油または植物由来油から誘導される無色透明の液体防腐剤である。さらに、開示される芳香剤担体配合物の例示的な実施形態中のエチルヘキシルグリセリンは、芳香剤のための効果推進剤(ブースター)および固定剤として作用する。
【0048】
成分エチルヘキシルグリセリンは、下記式(2)で表される。
【化2】
【0049】
より詳細には、エチルヘキシルグリセリンは、グリセリンの直接誘導体である化合物である。エチルヘキシルグリセリンは、合成原料から誘導される。エチルヘキシルグリセリンは、一般に、非常に安全であり、かつ、皮膚に対して非刺激性であると考えられる。さらに、エチルヘキシルグリセリンは、その消臭性について知られており、防腐剤として作用し、かつ、活性皮膚コンディショニング剤としても作用する。パラベンは、ヒトにおけるいくつかの重大な疾患の原因として何度も特定されてきたので、エチルヘキシルグリセリンは、化粧品調製物においてパラベンの代替物として広範に使用されている。エチルヘキシルグリセリンも、活性界面活性剤であると考えられる。防腐剤として化学物質を使用することになると、少量でも非常によく機能し、大量生産の化粧品工場にとって経済的な選択肢となる。多くの種類の研究において、エチルヘキシルグリセリンは、化粧品調製物のための補助剤としての使用が証明されており、それによりパラベンに取って代わる。この化学物質はまた、あらゆる皮膚または香りベースの配合物において、ヒト皮膚上に存在する有益な細菌を妨害することなく、体臭を引き起こす細菌の増殖を阻止する。エチルヘキシルグリセリンは、すべての既知の従来の防腐剤の効率を補助する能力で知られている。さらに、エチルヘキシルグリセリンは、化粧品または芳香剤調製物において、微生物の生命を抑制する安定剤としても作用する。この化学物質は、非常に純粋で無色であり、おそらくよく訓練された鼻でなければ無視できるほどの穏やかな香気を有する。
【0050】
保湿配合物中で、エチルヘキシルグリセリンは、優れた皮膚保湿剤である。エチルヘキシルグリセリンは、皮膚のための化粧品配合物の全体的な質感を改善することが知られている。芳香剤ベースの配合物を含む例示的な実施形態では、エチルヘキシルグリセリンは、芳香成分の効果を補助するのに役立ち、芳香成分を適切に安定化し、かつ/または配合物に固定する。特定の実施態様では、エチルヘキシルグリセリンは、美容製品において様々な液体と油との間の表面張力を低下させるのにも役立つ。この化学物質は、スキンケア製品に一般的に使用される成分である。エチルヘキシルグリセリンは、化粧品および/または皮膚用の芳香剤ベースの配合物の皮膚感触を改善することも知られている。エチルヘキシルグリセリンは、化粧品業界において多機能成分として本質的に機能する。エチルヘキシルグリセリンはまた、抗菌効力を補助し、典型的に使用される防腐剤、例えばパラベンまたはトリクロサンをより低濃度にすることを可能にし、したがって、皮膚軟化剤および保湿剤の機能性を有する多機能性防腐剤成分であると考えられる。
【0051】
エチルヘキシルグリセリンの化学式はC11H24O3である。IUPAC名は、3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-1,2-プロパンジオールである。同化学物質の別名はオクトキシグリセリンである。
【0052】
開示される芳香剤担体配合物の特定の実施形態では、他の芳香剤希釈剤、例えば、グリコール(ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール)、エステル(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル)、天然油(植物油、ホホバ油)、グルコースエーテル(プロポキシ化メチルグルコースエーテル)、および/またはグリセリンエステル(カプリル酸/カプリン酸グリセリル)が配合物に添加されてもよい。
【0053】
芳香剤業界では、一般に、香味料または芳香剤配合物は、香り化合物の混合物を表すか、場合によっては単一の化合物を使用して、様々な消費財製品で使用するための特定の匂いを作り出す。配合物は、一般に、特別な訓練を受けた科学者、香味料業者、または香料業者によって作られるが、彼らの仕事は、化学物質のパレットの科学的知識を創造性と組み合わせて、新しい独特の香りのある創造物を開発している。香料業者は、入手可能な化学成分の知識を使用して処方物および化合物を作り、次いでこれは試験のために顧客に提出される。適切な、または所望の配合物が見出されるまでに、顧客からのフィードバックさえも伴って、ある程度の繰り返しが行われ得る。配合物に対する消費者の支持を判断し、「感覚空間」についてさらに調査するために、感覚試験がさらに行われ得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、「芳香剤」は、芳香剤消費者にとって一般に心地よいと考えられるあらゆる香気材料を示すために使用される。化粧品として許容されるあらゆる芳香剤が組成物に使用され得る。例えば、芳香剤は、室温で液体であるものであり得る。好ましい実施形態では、芳香ノートを含む香料化合物は、約1~40重量%、より好ましくは10~30重量%存在する。
【0055】
アルデヒド、ケトン、およびエステルを含む多種多様な化学物質が芳香剤として知られている。より一般的には、様々な化学成分の複雑な混合物を含む天然の植物油および動物油ならびに滲出物が、芳香剤として使用するために知られている。本明細書で有用な芳香剤の非限定的な例としては、プロフレグランス、例えばアセタールプロフレグランス、ケタールプロフレグランス、エステルプロフレグランス、加水分解性無機-有機プロフレグランス、およびそれらの混合物が挙げられる。芳香剤は、いくつかの方法でプロフレグランスから放出され得る。例えば、芳香剤は、単純な加水分解の結果として、平衡反応のシフトによって、pH変化によって、または酵素的放出によって放出され得る。本開示の実施形態は、元の芳香ノートへのこのような劣化を防止および/または減速するのに役立つ。芳香剤は、単一の化学物質を含むそれらの化学的構成が比較的単純であってもよく、あるいは、すべて所望の香気を与えるように選択された、天然および合成化学成分の高度に洗練された複雑な混合物を含んでもよい。
【0056】
一般的に言えば、例示的な芳香剤は、約500℃以下、約400℃以下、または約350℃以下の沸点(BP)を有し得る。多くの芳香剤のBPは、Perfume and Flavor Chemicals (Aroma Chemicals), Steffen Arctander (1969)に開示されている。芳香剤のC log P値は、約0.1以上、約0.5以上、約1.0以上、または約1.2以上であり得る。本明細書で使用される場合、「C log P」は、オクタノール/水分配係数の底10に対する対数を意味する。C log Pは、米国カリフォルニア州アーバインのDaylight Chemical Information Systems Inc.から入手可能な「C LOG P」と呼ばれるプログラムによって容易に計算することができる。オクタノール/水分配係数は、米国特許第5,578,563号により詳細に記載されている。
【0057】
適切な芳香剤は、米国特許第4,145,184号、第4,209,417号、第4,515,705号、および第4,152,272号にも開示されている。芳香剤の非限定的な例としては、動物性芳香剤、例えばムスク油、シベット、カストリウム、アンバーグリス、植物性芳香剤、例えばナツメグ抽出物、カルダモン抽出物、ジンジャー抽出物、シナモン抽出物、パチョリ油、ゼラニウム油、オレンジ油、マンダリン油、オレンジ花抽出物、シダーウッド、ベチバー、ラバンジン、イラン抽出物、チュベローズ抽出物、サンダルウッド油、ベルガモット油、ローズマリー油、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、ラベンダー油、シトロネラ油、カモミール油、クローブ油、セージ油、ネロリ油、ラブダナム油、ユーカリ油、バーベナ油、ミモザ抽出物、スイセン抽出物、ニンジン種子抽出物、ジャスミン抽出物、オリバナム抽出物、ローズ抽出物、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0058】
適切な芳香剤の他の例としては、化学物質、例えばアセトフェノン、アドキサール、アルデヒドC-12、アルデヒドC-14、アルデヒドC-18、カプリル酸アリル、アンブロキサン、酢酸アミル、ジメチルインダン誘導体、α-アミルシンナミックアルデヒド、アネトール、アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアルコールおよびエステル誘導体、プロピオン酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、ボルネオール、酢酸ブチル、カンファー、カルビトール、シンナムアルデヒド、酢酸シンナミル、シンナミルアルコール、シス-3-ヘキサノールおよびエステル誘導体、シス-3-ヘキセニルメチルカーボネート、シトラール、シトロネロールおよびエステル誘導体、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シクロガルバネート、ダマスコン、デカラクトン、デカノール、エストラゴール、ジヒドロミルセノール、ジメチルベンジルカルビノール、6,8-ジメチル-2-ノナノール、酪酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸エチル、イソ酪酸エチル、酪酸エチル、プロピオン酸エチル、カプリル酸エチル、ケイ皮酸エチル、ヘキサン酸エチル、吉草酸エチル、エチルバニリン、オイゲノール、エグザルトリド、フェンコン、果実エステル、例えば2-メチル酪酸エチル、ガラクソリド、ゲラニオールおよびエステル誘導体、ヘリオナール、2-ヘプトノン、ヘキセノール、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、インドール、酢酸イソアミル、酢酸イソオイゲノール、イオノン、イソオイゲノール、イソ吉草酸イソアミル、イソEスーパー、リモネン、リナロール、リリアル、酢酸リナリル、リラール、マジャントール、マイヨール、メロナール、メントール、p-メチルアセトフェノン、アントラニル酸メチル、メチルセドリロン、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチルオイゲノール、メチルイオノン、メチル-α-ナフチルケトン、メチルフェニルカルビニルアセテート、ムゲタノール、γ-ノナラクトン、オクタナール、フェニルエチルアセテート、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、フェニルエチルアルコール、ピネン、サンダロア、サンタロール、ステモン、チモール、テルペン、トリプラール、クエン酸トリエチル、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、γ-ウンデカラクトン、ウンデセナール、バニリン、ヴェロートン、ベルドックス、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
天然由来の芳香製品の例としては、植物の様々な部分(花、茎、葉、果実、樹皮、根、木質部分、草本、針、樹液、およびガム)から抽出されたエッセンシャルオイル、レジノイド、コンクリート、またはそれらから得られたアブソリュートが挙げられるが、これらに限定されない。天然の複雑な生成物の好ましい例としては、ホワイトマグワート油(Artemisia Herba-Alba)、Pogostemon Cablin葉油(Pogostemon Cablin Leaf Oil)、Citrus nobilis樹皮油(Citrus nobilis peel oil)、Barosma Betulina葉油(Barosma Betulina Leaf Extract)、シトラスレモンピール抽出物、Eucalyptus globulus葉油、Dipterocarpus turbinatus油(Dipterocarpus turbinatus Balsam Oil)、Pogostemon cablin葉油、Rosmarinus officinalis葉油、Juniperus virginiana油、ワイルドミント葉油(Mentha Arvensis)、スペアミント葉油(Mentha viridis)、Citrus Aurantium Dulcis樹皮、Citrus Aurantium Dulcis樹皮抽出物、地中海サイプレス葉油(Cupressus sempervirens)、パチョリ葉油(Pogostemon cablin)、テキサスシーダー(Juniperus Mexicana)、およびLavandulaハイブリッド油(Lavandula Hybrida)が挙げられる。
【0060】
アルコールフリー芳香剤担体組成物に含まれる1種以上またはすべての香気エッセンスはまた、天然原料からの抽出物の形態で、例えば、精油、コンクリート、アブソリュート、樹脂、レジノイド、バルサム、またはチンキ剤の形態で、好ましくは以下からなる群からのものの形態で、本開示による香料油マイクロエマルジョンに含まれ得る:アンバーグリスチンキ剤、アミリス油、アンゼリカ種子油、アンゼリカ根油、アニス油、バレリアン油、バジル油、ツリーモスアブソリュート、ベイ油、ヨモギ油、安息香酸樹脂、ベルガモット油、蜜蝋アブソリュート、カバノキタール油、ビターアーモンド油、セイボリー油、ブチュリーフ油、カブリューバ油、ケード油、カラマス油、カンファー油、カナンガ油、カルダモン油、カスカリラ油、カッシア油、カッシアアブソリュート、カストリウムアブソリュート、シダーリーフ油、シダーウッド油、シトラス油、シトロネロール、レモン油、コパイババルサム、コパイババルサム油、コリアンダー油、コスタスルート油、クミン油、ヒノキ油、ダバナ油、ディル油、ディル種子油、オードブロートアブソリュート、オークモスアブソリュート、エレミ油、タラゴン油、ユーカリシトリオドラ油、ユーカリ油、フェンネル油、トウヒ針油、ガルバナム油、ガルバナム樹脂、ゼラニウム油、グレープフルーツ油、グアヤックウッド油、グルジャンバルサム、グルジャンバルサム油、ヘリクリサムアブソリュート、ヘリクリサム油、ジンジャー油、アイリスルートアブソリュート、アイリスルート油、ジャスミンアブソリュート、カラマス油、青色カモミール油、ローマンカモミール油、ニンジン種子油、カスカリラ油、松葉油、スペアミント油、キャラウェイ油、ラブダナム油、ラブダナムアブソリュート、ラブダナム樹脂、ラバンジンアブソリュート、ラバンジン油、ラベンダーアブソリュート、ラベンダー油、レモングラス油、ラベージ油、蒸留ライム油、圧搾ライム油、リナロール油、アオモジ果実油、ベイリーフ油、メース油、マジョラム油、マンダリン油、マソイ樹皮油、ミモザアブソリュート、ムスク種子油、ムスクチンキ剤、マスカテルセージ油、ナツメグ油、ミルラアブソリュート、ミルラ油、マートル油、クローブ葉油、クローブ花油、ネロリ油、オリバナムアブソリュート、オリバナム油、オポパナクス油、オレンジの花のアブソリュート、オレンジ油、オリガヌム油、パルマローザ油、パチョリ油、シソ油、ペルーバルサム油、パセリ葉油、パセリ種子油、プチグレイン油、ペパーミント油、トウガラシ油、ピメント油、松脂、ポレイ油、ローズアブソリュート、ローズウッド油、ローズ油、ローズマリー油、ダルマチアンセージ油、スパニッシュセージ油、サンダルウッド油、セロリ種子油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、スチラックス油、タゲテス油、ファーニードル油、ティーツリー油、テレビン油、タイム油、トルーバルサム、トンカアブソリュート、チュベローズアブソリュート、バニラ抽出物、バイオレットリーフアブソリュート、バーベナ油、ベチバー油、ジュニパーベリー油、ワインリース油、ニガヨモギ油、ウインターグリーン油、イランイラン油、ヒソップ油、シベットアブソリュート、シナモン葉油、シナモン樹皮油、およびそれらの留分、またはそれらから単離される成分。
【0061】
本開示による芳香剤配合物は、天然の成分を含むことができ、あるいは特定の実施形態では合成由来の成分を含むことができる。この香料の選択は、一方では所望の香気効果に左右され、他方ではそれを含有する製品の性質に左右される。
【0062】
本発明は、先に言及した様々な問題および欠点を、開示される無水の非アルコール性(またはアルコールフリーの)滑らかな芳香剤配合物によって解決し、この配合物は、良好なクリア感、溶解度、審美的に満足のいく品質を示し、皮膚に塗布する際にべたついたりねばついたりせずに擦り込める効果を含めて、高級感のあるさらさらの感触を有する。開示される配合物のための担体は、クエン酸トリエチルとエチルヘキシルグリセリンとの組み合わせから構成される。
【0063】
化粧品最終製品において具体化される無水の滑らかな芳香剤担体配合物の実施形態では、組成物は、1種以上の親油性活性物質、例えば、老化防止剤、しわ防止剤、ビタミン、日焼け止め剤、抗ニキビ成分、および芳香剤を含む。
【0064】
実施形態では、1種以上の皮膚軟化剤を使用して皮膚を保湿し、または他の実施形態では、活性物質および芳香剤の混和性を高めることができる。さらに、特定の実施形態によれば、天然の防腐強化剤(natural preservative enhancer)(例えば、zemea)および/またはいくつかの顔料を処方物に添加して、製品を細菌汚染から自然に保護し、審美性を改善することができる。開示される主題による無水の滑らかな芳香剤担体配合物は、ポリマーとの反応を引き起こすことなく、様々な化粧品または芳香製品、例えばクリーム、ゲル、およびローションと共に使用され得る。
【0065】
開示される主題により、無水の滑らかな化粧品および/または芳香製品は、アルコールおよび水の両方を含まないことが可能になる。したがって、いくつかの実施形態では、約1~90重量%の非シリコーン流体の添加を使用して粘度を調整することができ、揮発性流体を使用する場合、ドライ感を得ることができる。さらに、いくつかの実施形態では、1種以上の皮膚軟化剤が滑らかな無水芳香剤担体配合物および/または化粧品に添加されて、活性油もしくは芳香油の混和性を高め、皮膚を保湿し柔軟に保ち、またはひび割れの防止に役立ち得る。
【0066】
特定の実施形態では、芳香製品の中でも、ジプロピレングリコール、へディオン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、クエン酸トリエチル、または安息香酸ベンジルは、一般に、芳香剤を製造するために使用される希釈剤である。しかしながら、ジプロピレングリコールおよびクエン酸トリエチルは、他の希釈剤よりも極性が高いと考えられる希釈剤である。
【0067】
実施形態では、0.01~1.0%の天然または化粧品「活性」である油、例えば天然由来の植物系油が、皮膚を保湿するため、または活性もしくは芳香製品の混和性を高めるために、無水の滑らかな化粧品芳香剤担体配合物に添加され得る。特定の実施形態では、例えば、高濃度の非シリコーン揮発性流体が配合物に使用される場合。適切な皮膚軟化剤の例は、イソノナン酸イソノニル、アロエベラ、ジステアリン酸PPG-20メチルグルコースエーテル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ホホバ油、イソステアリン酸イソプロピル、およびポリイソブテンである。
【0068】
さらに、いくつかの実施形態では、製品を細菌汚染から保護し審美性を改善するために、1種以上の防腐剤、顔料、またはそれらの組み合わせが、無水の滑らかな芳香剤担体配合物に添加され得る。化粧品に現在使用されている防腐剤の多くが、多くの化粧品顧客によって禁止されているので、開示される芳香剤配合物に対する防腐剤を含まない品質。そのため、例えば、パラベン、ホルムアルデヒド、およびホルムアルデヒド供与体、ならびに他の多くの材料が、業界の監視リストに記載されている。
【0069】
防腐剤を含まないことは、本芳香剤担体配合物の別の望ましい品質である。大量の水を含めること、または水性配合物を作ることは、芳香剤のトップノートを保護するのに役立つことが多いが、配合物の特性に不安定性またはねばつく感触を持たせがちであり得る。今般開示される配合物は、アルコール、シリコーン、および水を含まないだけでなく、優れた芳香特性、審美性、および皮膚感触を示し、さらなる高級感のある保湿品質を示す。その結果は、防腐剤を含まない配合物であり、VOCを含まない非常に滑らか且つ非油性の感触であり、したがって、それ自体、全体的に安定した芳香特性を有する全体的な高級感および/または滑らかな感触をもたらし、特に、多くの場合に蒸発または劣化し得る芳香剤のトップノートの保護をもたらす。本開示は、最大30%の高濃度の芳香剤を保持することができる。特定の実施形態では、高濃度の芳香剤を保持する%値は、芳香特性または審美性に影響を及ぼすことなく30%超であり得る。開示される担体配合物は、最大8時間、特定の実施形態ではさらに長く、優れた芳香持続時間を実現する。
【0070】
本芳香剤担体配合物は防腐剤を含まず、その無水特性に起因するだけでなく、天然の静菌特性を有する天然由来のzemea(1,3-プロパンジオール)(または同様の成分)に起因して自然に保護される。具体的には、zemeaは多機能性の防腐強化保湿剤(preservative-boosting humectant)をもたらし、このような成分は、化粧品および芳香剤を含む様々な用途において高い性能をもたらす。Zemeaは持続可能に供給されると考えられ、その寿命にわたって最大40%少ない温室効果ガス排出しか生じない。
【0071】
無水でアルコールフリーの滑らかな芳香剤担体配合物の粘度範囲は、特定の開示される実施形態では約20~55センチポアズ(cP)である。この軽い感覚の調製物は、脂っぽくなく、わずかに粘性のある「油」の質感および感触を示す。これは、皮膚に塗布されると高級感のある滑らかな感触を有し、持続性芳香ノートを伴うが、この芳香ノートは、消費者にとって魅力的であると考えられ、特定の開示される実施形態では1種以上の芳香性エッセンシャルオイル、香り化合物、固定剤、および/または溶媒の混合物を含み得る。
【0072】
本開示による無水の滑らかな芳香剤担体配合物の例示的な実施形態および/または実施例を以下に記載する。
【実施例】
【0073】
実施例
以下の成分を指示された量で室温においてブレンドした。
【0074】
例1
表1は、本開示による無水の滑らかなアルコールフリー芳香剤担体配合物の3つの異なる例示実施形態の成分および組成を列挙している。各試料について示されている異なる配合物は、芳香ノートの変化なしに良好な嗅覚的表現を伴って透明であり、したがって元の芳香特性を保持していた。
【0075】
【0076】
例2
表2は、本開示の実施形態による無水の滑らかなアルコールフリー芳香剤配合物の例の成分および組成を列挙している。
【0077】
【0078】
表2は、本開示の実施形態による芳香剤希釈剤の成分および組成を示す。示されている添加剤である天然油を含む各成分をブレンドし、その結果、消費者の皮膚に栄養を与えるとともに、向上した芳香体験を消費者にもたらす芳香剤担体配合物が得られた。
【0079】
例示的な実施形態は、フルーティー、フローラル、および/またはウッドの温かみのある少しのスパイスの芳香ノートを含むローズ香料油配合物を含む。別の実施形態は、シトラス香料油配合物を含む。このような例示的な配合物は、フローラルネロリおよびシダーウッドと共に軽やかなオレンジゼスト、酸味のあるピンクグレープフルーツ、および/またはジューシーなマンダリンのノートを含む。さらに別の実施形態では、赤い果実、スパークリングシトラス、および/またはスパイスに囲まれた強いジャスミンアブソリュートと共にジャスミンの芳香ノートを含むホワイトフローラル香料油配合物である。さらに別の実施形態では、バニラ香料油配合物は、バニラビーンの温かみのあるエッセンス、バニラオーキッドのかすかなフローラルさ、および/または少しのココナッツを伴う芳香ノートを含む。さらに別の例示的な実施形態では、サンダルウッド、フレッシュフローラル、および/またはベチバーの濃縮芳香剤エッセンスを伴うオーストラリアサンダルウッド香料油配合物である。さらに別の例示的な実施形態では、ローズ、みずみずしいフルーツ、および/またはウッドである。他の考えられる芳香ノートのバリエーション(トップ、ミドル、および/またはベースの芳香ノートを含む)が、開示された主題によって意図されており、上記の例示的な配合物に限定されると解釈されるべきではない。「ベース」ノート(しばしば「ドライダウン」ともよばれる)としての最も揮発性の低いものに対して、最も揮発性の匂いは「トップ」ノートと説明される。通常、芳香剤の主要なテーマは、芳香剤のミドルノート、またはいわゆる「ハート」と説明される。考えられる実施形態は、芳香剤担体のトップノート、ミドルノート、および/またはベースノートに必要な安定性および持続性品質を与えることができる芳香剤配合物を含む。
【0080】
要約書は、米国特許法施行規則§1.72(b)に準拠するために提供されており、この規則は、技術的開示を検討する際にその性質を迅速に確認できるようにする要約書を必要としている。要約書は、一般に、要約書を大まかに確認した際に、技術的開示の性質および要旨を迅速に判断することを可能にする。要約書は、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないという理解で提出される。さらに、前述の詳細な説明では、本開示を簡素化する目的で、様々な特徴が単一の実施形態にまとめられていることがわかる。この開示方法は、特許請求される実施形態が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とする、という意図を反映すると解釈されないものとする。そうではなく、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示される実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴にある。したがって、以下の特許請求の範囲は詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、個別に特許請求される主題として独立している。
【0081】
実施例を含む例示的な実施形態の前述の説明は、開示される主題の広い概念を記載し、説明し、例示するためにのみ提示されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、そのように解釈されないものとする。この範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な変更および改良が行われ得る。したがって、開示される主題は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあるすべての変更および改良を含む。開示され特許請求される実施形態のすべては、本開示に照らして、過度の実験をすることなく行い実施することができる。
【国際調査報告】