(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】サイドリンクブロードキャストのための通信装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/40 20230101AFI20231102BHJP
H04W 72/02 20090101ALI20231102BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20231102BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20231102BHJP
H04W 76/28 20180101ALI20231102BHJP
【FI】
H04W72/40
H04W72/02
H04W72/0446
H04W52/02 110
H04W76/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523311
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 SG2021050414
(87)【国際公開番号】W WO2022086435
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】10202010497R
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】シム ホン チェン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】トラン スアン ツオン
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067CC14
5K067CC22
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE25
5K067EE71
5K067GG02
(57)【要約】
本開示は、V2Xブロードキャストのための通信装置および通信方法を提供する。通信装置は、動作時に、第1の信号を送信するための周期的送信時間間隔を決定する回路と、動作時に、決定に応えて、周期的送信時間間隔で第1の信号を送信する送信機と、を備えている、通信装置、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
動作時に、第1の信号を送信するための周期的送信時間間隔を決定する回路と、
動作時に、前記決定に応えて、前記周期的送信時間間隔で前記第1の信号を送信する送信機と、
を備えている、通信装置。
【請求項2】
前記回路が、前記周期的送信時間間隔の第1の周期を乗数パラメータの値に基づいて計算するように、さらに構成されている、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記回路が、前記乗数パラメータの前記値がより大きいとき、前記周期的送信時間間隔の前記第1の周期を増大させるように、さらに構成されている、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記回路が、前記周期的送信時間間隔の前記第1の周期を動作サイクルの第2の周期に基づいて計算するように、さらに構成されており、前記動作サイクルの一部が、前記通信装置がアクティブであるアクティブ期間に関連しており、前記動作サイクルの残りの部分が、前記通信装置が非アクティブである非アクティブ期間に関連している、
請求項2および請求項3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記回路が、前記乗数パラメータの前記値が特定の値であるとき、前記周期的送信時間間隔の前記第1の周期を、前記動作サイクルの前記第2の周期よりも短くなるように計算するように、さらに構成されている、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記回路が、前記乗数パラメータの前記値が特定の値であるとき、前記通信装置が前記動作サイクル全体を通じてアクティブであるように、前記動作サイクルの前記残りの部分まで前記アクティブ期間を延長するように、さらに構成されている、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
前記回路が、前記乗数パラメータの前記値が特定の値であるとき、前記第1の信号を送信しないことを決定するように、さらに構成されている、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項8】
前記回路が、
複数の危険レベルのうち前記通信装置に関連付けられる1つの危険レベルを識別し、
前記1つの危険レベルに対応する前記乗数パラメータの前記値を決定する、
ようにさらに構成されている、
請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記回路が、前記周期的送信時間間隔の前記周期を、前記複数の危険レベルのうちの前記1つの危険レベルに基づいて計算するように、さらに構成されている、
請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記回路が、前記複数の危険レベルのうちの前記1つの危険レベルが高いと判定されたとき、前記周期的送信時間間隔の前記周期を短くするように、さらに構成されている、
請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記回路が、前記複数の危険レベルのうちの前記危険レベルを、前記通信装置の位置に基づいて識別される地理的ゾーンに基づいて決定するように、さらに構成されている、
請求項9および請求項10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記回路が、全地球航法衛星システムによる前記通信装置の位置および予めロードされた地図データに基づいて、前記地理的ゾーンを識別するように、さらに構成されている、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項13】
動作時に、事前定義された期間内にピア通信装置から第2の信号を受信する受信機、
をさらに備えており、
前記回路が、前記第1の信号をさらに送信するかどうかを、前記ピア通信装置からの前記第2の信号に基づいて決定するように、構成されている、
請求項8から請求項12のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
前記回路が、
前記ピア通信装置が前記地理的ゾーン内にあるかどうかを、前記第2の信号に基づいて判定する、
ようにさらに構成されており、
前記回路が、前記ピア通信装置が前記地理的領域内にあると判定されたことに応えて、前記第1の信号を送信しないことを決定する、
請求項13に記載の通信装置。
【請求項15】
送信リソースプールおよび受信リソースプールを備えているリソースプールが、前記通信装置用に特別に設定されており、
前記送信リソースプールが、別の通信装置用に設定されている別の送信リソースプールと重ならない、
請求項8から請求項12のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項16】
通信方法であって、
第1の信号を送信するための周期的送信時間間隔を決定するステップと、
前記決定に応えて、前記周期的送信時間間隔で前記第1の信号を送信するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、NR(新無線:New Radio)通信のための通信装置および通信方法に関し、より詳細には、サイドリンクブロードキャストのための通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
V2X(ビークルトゥエブリシング:vehicle-to-everything)通信は、車両が公道および他の道路利用者と対話することを可能にし、したがって自律走行車を実現するうえで不可欠な要素であると考えられる。
【0003】
この過程を加速するため、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)は、高度なV2Xサービスの技術的解決策を明らかにする目的で、5G新無線アクセス技術(NR)ベースのV2X通信(同義語としてNR V2X通信とも呼ばれる)を検討しており、このV2X通信では、車両(同義語として、V2Xアプリケーションをサポートする通信装置またはユーザ機器(UE)とも呼ばれる)は、近くの別の車両、インフラストラクチャノード、および/または歩行者と、自身のステータス情報をサイドリンク(SL)を通じて交換することができる。ステータス情報は、位置、速度、進行方向などに関する情報を含む。
【0004】
リリース17(Rel-17)NR SL強化WID(作業項目説明:Work Item Description)(非特許文献1)における認識によれば、バッテリに制約のあるUEは、省電力により、電力効率の良い方法でサイドリンク(SL)動作を行うことが可能となる。リリース16のNRサイドリンクは、UEがサイドリンクを動作させる際に「常時オン」を前提に設計されており、例えば、十分なバッテリ容量を有する車載UEのみに焦点が当てられている。したがってリリース17では、V2Xユースケースにおける交通弱者(VRU:vulnerable road users)と、UEの消費電力を最小限に抑える必要がある公共安全および商用ユースケースにおけるUEを対象に、省電力のためのソリューションが求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】RP-201385
【非特許文献2】3GPP TS 38.300 v16.3.0
【非特許文献3】3GPP TS 38.211 v16.3.0
【非特許文献4】TS 23.502
【非特許文献5】ITU-R M.2083
【非特許文献6】TR 38.913
【非特許文献7】TS 23.287 v16.4.0
【非特許文献8】ETSI TR 103 300
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
VRUの安全性を配慮するうえで、最も基本となるステップは、VRUの存在を検知することに基づく。無線通信の観点からは、車両UE(V-UE)がVRUに注意を払うことができるようにV-UEに警告を発するために、VRUの存在を示すブロードキャスト信号(例:安全メッセージのブロードキャスト)が必要である。
【0007】
特に、交通弱者のUE(VRU-UE)が、自身の存在を示すためにブロードキャスト信号/メッセージを送信するべきタイミングが明確ではない。さらに、自身の存在を示すVRUのブロードキャスト信号/メッセージを送信するために不連続受信(DRX)機能を利用することに関しても議論されていない。
【0008】
したがって、上記の課題の1つ以上に対処し、V2Xブロードキャストのための新しい通信装置および通信方法を開発する必要がある。さらに、他の望ましい特徴および特性は、添付の図面および本開示のこの背景技術のセクションと合わせて考慮される、以下の詳細な説明および添付の請求項から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
非限定的かつ例示的な一実施形態は、V2Xリソースのセンシングおよび選択においてSL-RSRPを利用する通信装置および通信方法を提供することを容易にする。
【0010】
第1の態様において、本開示は、通信装置であって、動作時に、第1の信号を送信するための周期的送信時間間隔を決定する回路と、動作時に、決定に応えて、周期的送信時間間隔で第1の信号を送信する送信機と、を備えている、通信装置、を提供する。
【0011】
第2の態様において、本開示は、通信方法であって、第1の信号を送信するための周期的送信時間間隔を決定するステップと、決定に応えて、周期的送信時間間隔で第1の信号を送信するステップと、を含む方法、を提供する。
【0012】
なお、一般的または特定の実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組合せとして実施できることに留意されたい。
【0013】
開示されている実施形態のさらなる恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面の様々な実施形態および特徴によって個別に得ることができ、このような恩恵および/または利点の1つまたは複数を得るために、これらの特徴すべてを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
この技術分野における通常の技術を有する者には、一例にすぎない以下の説明を図面を参照しながら読み進めることによって、本開示の実施形態が深く理解され容易に明らかになるであろう。
【
図1】例示的な3GPP NR-RANアーキテクチャを示している。
【
図2】NG-RANと5GCとの間の機能の分離を示した概略図を示している。
【
図3】RRC(無線リソース制御:Radio Resource Control)接続確立/再設定手順のシーケンス図を示している。
【
図4】拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)、および超高信頼・低遅延通信(URLLC)の使用シナリオを示した概略図を示している。
【
図5】非ローミングシナリオにおけるV2X通信のための例示的な5Gシステムアーキテクチャを示したブロック図を示している。
【
図6】様々な実施形態に従った通信装置の概略的な例を示している。通信装置は、UEまたはgNB/基地局として実施することができ、本開示の様々な実施形態に従って、交通弱者が周期的送信時間間隔で第1の信号を送信するように構成することができる。
【
図7】本開示の様々な実施形態に従って、交通弱者が周期的送信時間間隔で第1の信号を送信するための通信方法を示したフローチャートを示している。
【
図8】地理的ゾーンに基づくリソースの例を示している。
【
図9】VRU-UEのリッスンビフォアトーク(LBT:Listen-Before-Talk)期間を図解した例示的な時間ダイアグラムを示している。
【
図10】VRU-UEのLBT期間を図解した別の例示的な時間ダイアグラムを示している。
【
図11】一実施形態による、道路ジャンクションと、道路ジャンクションを形成している2つの道路と、2つの道路に隣接する地理的ゾーン1106~1120のマップを示している。
【
図12】VRU-UEのDRXサイクルに関連する、VRU-UEの例示的な時間リソースプールを示している。
【
図13A】V-UEの送信(Tx)リソースプールに関連する、VRU-UEの例示的な受信(Rx)リソースプールを示している。
【
図13B】V-UEのRxリソースプールに関連する、VRU-UEの例示的なTxリソースプールを示している。
【
図14A】本開示の実施形態による、DRXオン期間内にSL Rx期間およびSL Tx期間を割り当てる2つの設定を示している。
【
図14B】本開示の実施形態による、DRXオン期間内にSL Rx期間およびSL Tx期間を割り当てる2つの設定を示している。
【
図15A】本開示の別の実施形態による、DRXオン期間内にSL Rx期間およびSL Tx期間を割り当てる2つの設定を示している。
【
図15B】本開示の別の実施形態による、DRXオン期間内にSL Rx期間およびSL Tx期間を割り当てる2つの設定を示している。
【
図16】本開示のさらに別の実施形態による、DRXオン期間内にSL Tx期間のみを割り当てる設定を示している。
【0015】
図中の要素は簡潔かつ明確であるように図解されており、必ずしも正しい縮尺では描かれていないことが、当業者には理解されるであろう。本発明の実施形態を深く理解できるように、例えば、図解、ブロック図、またはフローチャートの中のいくつかの要素の寸法が、他の要素に比べて誇張して描かれていることがある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示のいくつかの実施形態について、図面を参照しながら、一例としてのみ説明する。図面内の類似する参照数字および参照文字は、類似する要素または等価の要素を指している。
【0017】
3GPPは、最大100GHzの周波数で動作する新しい無線アクセス技術(NR)の開発を含む第5世代セルラー技術(単に5Gと呼ばれる)の次のリリースに取り組んでいる。5G標準の最初のバージョンは、2017年の終わりに完了し、これにより、5G NR標準に準拠したスマートフォンの試験および商用展開に進むことができる。2020年6月には5G規格の第2版が完成し、これにより5Gの範囲がさらに拡大されて、免許不要の周波数帯(NR-U)、非公衆網(NPN:non-public network)、時間感応ネットワーキング(TSN:time sensitive networking)、セルラーV2Xなど、新しいサービス、周波数帯、および配備がサポートされる。
【0018】
特に、全体的なシステムアーキテクチャは、gNBを備えるNG-RAN(次世代-無線アクセスネットワーク:Next Generation - Radio Access Network)を想定しており、gNBは、UEに向かうNG無線アクセスユーザプレーン(SDAP/PDCP/RLC/MAC/PHY)プロトコルおよび制御プレーン(RRC)プロトコルを終端させる。gNBは、Xnインタフェースによって互いに相互接続されている。さらにgNBは、次世代(NG)インタフェースによってNGC(次世代コア:Next Generation Core)に接続され、より具体的には、NG-CインタフェースによってAMF(アクセスおよびモビリティ管理機能:Access and Mobility Management Function)(例:AMFを実行する特定のコアエンティティ)に接続され、NG-UインタフェースによってUPF(ユーザプレーン機能:User Plane Function)(例:UPFを実行する特定のコアエンティティ)に接続される。
図1はNG-RANのアーキテクチャを示している(例えば非特許文献2を参照)。
【0019】
NRにおけるユーザプレーンプロトコルスタック(例えば非特許文献2の4.4.1節を参照)は、PDCP(パケットデータコンバージェンスプロトコル:Packet Data Convergence Protocol、非特許文献2の6.4節を参照)サブレイヤ、RLC(無線リンク制御:Radio Link Control、非特許文献2の6.3節を参照)サブレイヤ、およびMAC(媒体アクセス制御:Medium Access Control、非特許文献2の6.2節を参照)サブレイヤを含み、これらのサブレイヤは、ネットワーク側ではgNBにおいて終端する。これに加えて、PDCPの上に、アクセス層(AS)の新しいサブレイヤ(SDAP:サービスデータアダプテーションプロトコル:Service Data Adaptation Protocol)が導入される(例えば非特許文献2の6.5節を参照)。NRにおいても制御プレーンプロトコルスタックが定義されている(例えば非特許文献2の4.4.2節を参照)。レイヤ2の機能の概要は、非特許文献2の6節に記載されている。PDCPサブレイヤ、RLCサブレイヤ、およびMACサブレイヤの機能は、それぞれ非特許文献2の6.4節、6.3節、および6.2節に記載されている。RRCレイヤの機能は、非特許文献2の7節に記載されている。
【0020】
媒体アクセス制御(MAC)層は、例えば、論理チャネルの多重化と、スケジューリングおよびスケジューリング関連機能(様々なヌメロロジーの処理を含む)を扱う。
【0021】
物理層(PHY)は、例えば、符号化、PHYハイブリッド自動再送要求(HARQ:hybrid automatic repeat request)処理、変調、マルチアンテナ処理、および適切な物理的時間-周波数リソースへの信号のマッピングの責務を担う。さらに物理層(PHY)は、物理チャネルへのトランスポートチャネルのマッピングを処理する。物理層(PHY)は、トランスポートチャネルの形でMAC層にサービスを提供する。物理チャネルは、特定のトランスポートチャネルの送信に使用される時間周波数リソースのセットに対応し、各トランスポートチャネルが、対応する物理チャネルにマッピングされる。例えば、物理チャネルは、アップリンク用として、PRACH(物理ランダムアクセスチャネル:Physical Random Access Channel)、PUSCH(物理アップリンク共有チャネル:Physical Uplink Shared Channel)、およびPUCCH(物理アップリンク制御チャネル:Physical Uplink Control Channel)があり、ダウンリンク用として、PDSCH(物理ダウンリンク共有チャネル:Physical Downlink Shared Channel)、PDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル:Physical Downlink Control Channel)、およびPBCH(物理ブロードキャストチャネル:Physical Broadcast Channel)があり、サイドリンク(SL)用として、PSSCH(物理サイドリンク共有チャネル:Physical Sidelink Shared Channel)、PSCCH(物理サイドリンク制御チャネル:Physical Sidelink Control Channel)、およびPSFCH(物理サイドリンクフィードバックチャネル:Physical Sidelink Feedback Channel)がある。
【0022】
SLでは、SLリソース割当てモード、物理層信号/チャネル、および物理層手順を使用して、UE間の直接通信がサポートされる。2つのSLリソース割当てモードがサポートされ、(a)モード1では、SLリソースの割当てがネットワークによって提供され、(b)モード2では、UEがリソースプール内のSL送信リソースを決定する。
【0023】
PSCCHは、UEがPSSCHにおいて使用するリソースおよび他の送信パラメータを示す。PSCCHの送信は、キュービックメトリック参照信号(CM-RS:cubic metric reference signal)に関連付けられる。PSSCHは、データ自体のトランスポートブロック(TB)と、HARQ手順の制御情報やチャネル状態情報(CSI:channel state information)フィードバックトリガーなどを送信する。PSSCH送信には、1スロット内の少なくとも6個の直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplex)シンボルが使用される。PSSCH送信は、CM-RSに関連付けられ、位相追跡参照信号(PT-RS:phase-tracking reference signal)に関連付けられ得る。
【0024】
PSFCHは、PSSCH送信の宛先の受信者であるUEから、PSSCH送信を行ったUEへの、SLを通じたHARQフィードバックを伝える。PSFCHシーケンスは、スロット内のSLリソースの終端付近の2個のOFDMシンボル上で繰り返される1PRBで送信される。
【0025】
SL同期信号は、SLプライマリ同期信号およびSLセカンダリ同期信号(S-PSS、S-SSS)からなり、それぞれが2個のシンボルおよび127のサブキャリアを占有する。物理サイドリンクブロードキャストチャネル(PSBCH:Physical Sidelink Broadcast Channel)は、関連する復調用参照信号(DM-RS:demodulation reference signal)を含め、通常のサイクリックプレフィックスおよび拡張サイクリックプレフィックスの場合にそれぞれ9個のシンボルおよび5個のシンボルを占有する。
【0026】
サイドリンクにおけるHARQフィードバックの物理層手順に関して、SL HARQフィードバックはPSFCHを使用し、2つのオプションのいずれかで動作させることができる。ユニキャストおよびグループキャスト用に設定することのできる一方のオプションでは、PSFCHは、PSFCHを送信する単一のUEに専用のリソースを使用して、ACKまたはNACKのいずれかを送信する。グループキャスト用に設定することのできる他方のオプションでは、PSFCHは、PSFCHを送信する複数のUEによって共有することのできるリソースを使用して、NACKを送信する、またはPSFCH信号を送信しない。
【0027】
SLリソース割当てモード1では、PSFCHを受信したUEは、PUCCHまたはPUSCHを介してSL HARQフィードバックをgNBに報告することができる。
【0028】
サイドリンクにおける電力制御のための物理層手順に関して、インカバレッジ動作(in-coverage operation)では、SL送信の電力スペクトル密度を、gNBからのパスロスに基づいて調整することができ、一方、ユニキャストでは、いくつかのSL送信の電力スペクトル密度を、通信する2つのUE間のパスロスに基づいて調整することができる。
【0029】
CSI報告の物理層手順に関して、ユニキャストでは、サイドリンクにおけるCSIの測定および報告用にチャネル状態情報参照信号(CSI-RS:channel state information reference signal)がサポートされる。CSI報告は、SL MAC CEにおいて伝えられる。
【0030】
サイドリンクに関する測定では、以下のUE測定量がサポートされる。
・ PSBCH参照信号受信電力(PSBCH RSRP)
・ PSSCH参照信号受信電力(PSSCH-RSRP)
・ PSCCH参照信号受信電力(PSCCH-RSRP)
・ サイドリンク受信信号強度インジケータ(SL RSSI)
・ サイドリンクチャネル占有率(SL CR)
・ サイドリンクチャネルビジー率(SL CBR)
【0031】
NRのユースケース/配置シナリオには、拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、超高信頼・低遅延通信(URLLC)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)が含まれ、これらのサービスは、データレート、レイテンシ、およびカバレッジに関して多様な要件を有する。例えばeMBBは、IMT-Advancedによって提供される3倍のオーダーのピークデータレート(ダウンリンクが20Gbps、アップリンクが10Gbps)およびユーザ体感データレートをサポートすることが期待される。これに対してURLLCの場合、より厳しい要件として、極めて低いレイテンシ(ユーザプレーンのレイテンシはアップリンクおよびダウンリンクそれぞれで0.5ms)および高い信頼性(1ms内で1~10-5)が課せられる。さらにmMTCでは、高い接続密度(都市環境では1km2あたり1,000,000個のデバイス)、過酷な環境における広いカバレッジ、デバイスコストを下げるための極めて長寿命のバッテリ(15年)が好ましくは要求されうる。
【0032】
したがって、あるユースケースに適したOFDMヌメロロジー(例:サブキャリア間隔、OFDMシンボル持続時間、サイクリックプレフィックス(CP)持続時間、スケジューリング間隔あたりのシンボル数)が、別のユースケースではうまく機能しないことがある。例えば、低レイテンシのサービスでは、mMTCサービスよりも短いシンボル持続時間(したがってより大きいサブキャリア間隔)、および/または、スケジューリング間隔(TTIとも称される)あたりの少ないシンボル、が好ましくは要求されうる。さらには、チャネルの遅延スプレッドが大きい配置シナリオでは、遅延スプレッドが短いシナリオよりも長いサイクリックプレフィックス(CP)持続時間が好ましくは要求されうる。同程度のサイクリックプレフィックス(CP)オーバーヘッドを維持するため、遅延スプレッドに応じてサブキャリア間隔を最適化するべきである。NRでは、サブキャリア間隔の2つ以上の値がサポートされうる。したがって現在のところ、15kHz、30kHz、60kHz、...のサブキャリア間隔が検討されている。シンボル持続時間Tuとサブキャリア間隔Δfは、式Δf=1/Tuにより、直接関係している。LTEシステムの場合と同様に、1個のOFDM/SC-FDMAシンボルの長さに対する1つのサブキャリアから構成される最小リソース単位を表すのに、用語「リソースエレメント」を使用することができる。
【0033】
新しい無線システム5G NRでは、各ヌメロロジーおよびキャリアごとに、アップリンクおよびダウンリンクそれぞれにおいて、サブキャリアとOFDMシンボルのリソースグリッドが定義される。リソースグリッド内の各要素は、リソースエレメントと呼ばれ、周波数領域における周波数インデックスと時間領域におけるシンボル位置とに基づいて識別される(非特許文献3を参照)。
【0034】
図2は、NG-RANと5GCとの間での機能の分割を示している。NG-RANの論理ノードは、gNBまたはng-eNBである。5GCの論理ノードは、AMF、UPF、およびSMFである。
【0035】
gNBおよびng-eNBは、特に次の主要機能を処理する。
- 無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、無線アドミッション制御(Radio Admission Control)、接続モビリティ制御(Connection Mobility Control)、アップリンクおよびダウンリンクの両方向におけるUEへの動的なリソース割当て(スケジューリング)など、無線リソース管理(Radio Resource Management)の機能
- IPヘッダ圧縮、暗号化、およびデータの整合性保護
- UEによって提供される情報からAMFへのルーティングを決定できないときのUEのアタッチ時のAMFの選択
- UPFへのユーザプレーンデータのルーティング
- AMFへの制御プレーン情報のルーティング
- 接続の確立および解放
- ページングメッセージのスケジューリングおよび送信
- (AMFまたはOAMから送られる)システムブロードキャスト情報のスケジューリングおよび送信
- モビリティおよびスケジューリングのための測定および測定報告の設定
- アップリンクにおけるトランスポートレベルのパケットマーキング
- セッション管理
- ネットワークスライシングのサポート
- QoSフロー管理およびデータ無線ベアラへのマッピング
- RRC_INACTIVE状態にあるUEのサポート
- NASメッセージの配信機能
- 無線アクセスネットワークシェアリング
- 二重接続
- NRとE-UTRA間の緊密なインターワーキング
【0036】
アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)は、次の主要機能を処理する。
- 非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングの終端
- NASシグナリングのセキュリティ
- アクセス層(AS:Access Stratum)のセキュリティ制御
- 3GPPアクセスネットワーク間のモビリティのためのコアネットワーク(CN:Core Network)ノード間シグナリング
- アイドルモードUEの到達可能性(ページング再送の制御および実行を含む)
- レジストレーションエリア(Registration Area)管理
- システム内モビリティおよびシステム間モビリティのサポート
- アクセス認証
- ローミング権のチェックを含むアクセス認証
- モビリティ管理制御(サブスクリプションおよびポリシー)
- ネットワークスライシングのサポート
- セッション管理機能(SMF:Session Management Function)の選択
【0037】
さらに、ユーザプレーン機能(UPF:User Plane Function)は、次の主要機能を処理する。
- RAT内/RAT間モビリティのためのアンカーポイント(適用可能時)
- データネットワークとの相互接続の外部PDUセッションポイント
- パケットのルーティングおよび転送
- パケット検査およびポリシールール施行のユーザプレーン部分
- トラフィック使用報告
- データネットワークへのトラフィックフローのルーティングをサポートするためのアップリンク分類器
- マルチホームPDUセッションをサポートするためのブランチングポイント
- ユーザプレーンのQoS処理(例:パケットフィルタリング、ゲーティング、UL/DLレート強制)
- アップリンクトラフィックの検証(SDFからQoSフローへのマッピング)
- ダウンリンクパケットのバッファリングおよびダウンリンクデータ通知のトリガーリング
【0038】
最後に、セッション管理機能(SMF)は、次の主要機能を処理する。
- セッション管理
- UE IPアドレスの割当ておよび管理
- UP機能の選択および制御
- トラフィックを正しい宛先にルーティングするためのユーザプレーン機能(UPF)におけるトラフィックステアリングの設定
- ポリシー施行およびQoSの制御部分
- ダウンリンクデータ通知
【0039】
図3は、UEがRRC_IDLEからRRC_CONNECTEDに遷移するときの、NAS部分における、UE、gNB、AMF(5GCエンティティ)の間のインタラクションの一部を示している(非特許文献2を参照)。遷移ステップは以下のとおりである。
1. UEが、RRC_IDLEから、新しい接続を確立するように要求する。
2/2a. gNBが、RRC確立手順を完了する。
注: gNBが要求を拒否するシナリオは、後から説明する。
3. RRCSetupCompleteでピギーバックされた、UEからの最初のNASメッセージがAMFに送信される。
4/4a/5/5a. UEとAMFの間で追加のNASメッセージを交換することができる(非特許文献4を参照)。
6. AMFがUEのコンテキストデータ(PDUセッションコンテキスト、セキュリティキー、UE無線能力、UEセキュリティ能力を含む)を作成し、gNBに送信する。
7/7a. gNBが、UEとのASセキュリティをアクティブにする。
8/8a. gNBが、SRB2およびDRBを確立するための再設定を実行する。
9. gNBが、確立手順が完了したことをAMFに通知する。
【0040】
RRCは、UEおよびgNBの設定に使用される上位層シグナリング(プロトコル)である。特に、この移行では、AMFがUEコンテキストデータ(例:PDUセッションコンテキスト、セキュリティキー、UE無線能力、UEセキュリティ能力などを含む)を作成し、それをINITIAL CONTEXT SETUP REQUESTによってgNBに送る。次にgNBが、UEとのASセキュリティをアクティブにし、これはgNBがSecurityModeCommandメッセージをUEに送信し、UEがSecurityModeCompleteメッセージでgNBに応答することによって実行される。その後gNBは、再設定を実行してシグナリング無線ベアラ2(SRB2)およびデータ無線ベアラ(DRB)を確立し、これは、gNBがRRCReconfigurationメッセージをUEに送信し、これに応答してUEからのRRCReconfigurationCompleteをgNBが受信することによる。シグナリングのみの接続の場合、SRB2およびDRBが確立されないため、RRCReconfigurationに関連するこれらのステップはスキップされる。最後にgNBは、確立手順が完了したことを、INITIAL CONTEXT SETUP RESPONSEによってAMFに通知する。
【0041】
図4は、5G NRのユースケースのいくつかを示している。3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)の新無線(3GPP NR)では、初期のIMT-2020による様々なサービスおよびアプリケーションをサポートするために想定される3つのユースケースが考慮されている。拡張モバイルブロードバンド(eMBB)のフェーズ1の仕様は決定された。現在および今後の作業としては、eMBBのサポートをさらに拡張することに加えて、超高信頼・低遅延通信(URLLC)および大規模マシンタイプ通信の標準化が含まれる。
図4は、IMT-2000およびそれ以降に想定される使用シナリオのいくつかの例を示している(例えば非特許文献5の
図2を参照)。
【0042】
URLLCのユースケースは、スループット、レイテンシ、可用性などの能力に関する厳しい要件を有し、産業製造や生産工程のワイヤレス制御、リモート医療手術、スマートグリッドにおける配電自動化、輸送の安全性など、将来の垂直アプリケーションを実現する手段の1つとして想定されている。URLLCの超高信頼性は、非特許文献6によって設定される要件を満たすための技術を特定することによってサポートされる。リリース15のNR URLLCでは、重要な要件として、UL(アップリンク)およびDL(ダウンリンク)それぞれで0.5msの目標ユーザープレーンレイテンシが含まれる。パケットの1回の送信における一般的なURLLCの要件は、1msのユーザープレーンレイテンシでパケットサイズ32バイトの場合にBLER(ブロック誤り率)1E-5である。
【0043】
物理層の観点から、信頼性を向上させる方法はいくつか考えられる。現在、信頼性を向上させるためには、URLLC用の個別のCQIテーブルの定義、よりコンパクトなDCIフォーマット、PDCCHの繰り返しなどがある。しかしながら、(NR URLLCの重要な要件について)NRがさらに安定し、開発が進むにつれて、超高信頼性を実現するための範囲が広がりうる。リリース15におけるNR URLLCの具体的なユースケースとしては、拡張現実/仮想現実(AR/VR)、e-ヘルス、e-セーフティ、ミッションクリティカルなアプリケーションが挙げられる。
【0044】
さらに、NR URLLCが対象とする技術強化は、レイテンシの改善および信頼性の向上を目標としている。レイテンシを改善するための技術強化としては、設定可能なヌメロロジー、柔軟なマッピングを使用する非スロットベースのスケジューリング、グラントフリー(設定済みグラント(configured grant))のアップリンク、データチャネルのスロットレベルの繰り返し、およびダウンリンクのプリエンプションが挙げられる。プリエンプションとは、リソースがすでに割り当てられている送信が中止され、すでに割り当てられているリソースが、後から要求された、より小さいレイテンシ/より高い優先度要件を有する別の送信に使用されることを意味する。したがって、すでに許可された送信が、より後の送信によってプリエンプトされる。プリエンプションは、サービスタイプに関係なく適用される。例えば、サービスタイプA(URLLC)の送信を、サービスタイプB(eMBBなど)の送信によってプリエンプトすることができる。信頼性の向上に関連する技術強化としては、1E-5の目標BLERのための専用CQI/MCSテーブルが挙げられる。
【0045】
mMTC(大規模マシンタイプ通信)のユースケースは、非常に多数の接続されたデバイスが、一般には遅延の影響が小さい比較的少量のデータを送信することを特徴とする。デバイスは、低コストでありかつ極めて長いバッテリ寿命を有することが要求される。NRの観点からは、非常に狭い帯域幅部分を利用することは、UEの観点からの省電力を達成して長いバッテリ寿命を可能にするための1つの可能な解決策である。
【0046】
上に述べたように、NRにおける信頼性の範囲が広がることが予測される。あらゆるケース、特にURLLCおよびmMTCの場合に必要な1つの重要な要件は、高信頼性または超高信頼性である。無線の観点およびネットワークの観点から、信頼性を向上させるためのいくつかのメカニズムを考えることができる。一般には、信頼性の向上に役立つ可能性のある重要な領域がいくつか存在する。これらの領域としては、コンパクトな制御チャネル情報、データチャネル/制御チャネルの繰り返し、周波数領域、時間領域、および/または空間領域に関連するダイバーシティが挙げられる。これらの領域は、特定の通信シナリオには関係なく、一般的に信頼性に適用可能である。
【0047】
NR URLLCの場合、ファクトリーオートメーション、運輸業、配電など、より厳しい要件のさらなるユースケースが特定されている。より厳しい要件とは、ユースケースに応じて、より高い信頼性(最大10-6レベル)、より高い可用性、最大256バイトのパケットサイズ、数μsオーダーの時刻同期(周波数範囲に応じて1μsないし数μs)、0.5~1msオーダーの短いレイテンシ、特に0.5msの目標ユーザープレーンレイテンシである。
【0048】
さらに、NR URLLCの場合、物理層の観点からいくつかの技術的強化が確認されている。特に、PDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル)に関連する強化として、コンパクトなDCI、PDCCHの繰り返し、PDCCHモニタリングの増加などが挙げられる。また、UCI(アップリンク制御情報:Uplink Control Information)に関連する強化として、HARQ(ハイブリッド自動再送要求)の強化およびCSIフィードバックの強化が挙げられる。また、ミニスロットレベルのホッピングや再送/繰り返しの強化に関連するPUSCHの強化も認識されている。用語「ミニスロット」は、スロットよりも少ない数のシンボルを含むTTI(送信時間間隔:Transmission Time Interval)を意味する(スロットは14個のシンボルを含む)。
【0049】
5G QoS(サービス品質)モデルは、QoSフローに基づいており、保証フロービットレートを必要とするQoSフロー(GBR QoSフロー)と、保証フロービットレートを必要としないQoSフロー(非GBR QoSフロー)の両方をサポートする。したがってNASレベルでは、QoSフローはPDUセッションにおけるQoS差別化の最も細かい粒度である。QoSフローは、PDUセッション内では、NG-Uインタフェースを通じてカプセル化ヘッダ内で伝えられるQoSフローID(QFI)によって識別される。
【0050】
5GCは、各UEごとに1つまたは複数のPDUセッションを確立する。NG-RANは、各UEごとに、PDUセッションと一緒に少なくとも1つのデータ無線ベアラ(DRB)を確立し、次にそのPDUセッションのQoSフローのための追加のDRBを、例えば
図3を参照しながら上述したように設定することができる(いつ設定するかはNG-RANが決定する)。NG-RANは、異なるPDUセッションに属するパケットを異なるDRBにマッピングする。UEおよび5GCにおけるNASレベルのパケットフィルタによって、ULおよびDLのパケットがQoSフローに関連付けられ、UEおよびNG-RANにおけるASレベルのマッピング規則によって、ULおよびDLのQoSフローがDRBに関連付けられる。
【0051】
図5は、5G NRの非ローミング基準アーキテクチャ(非特許文献7の4.2.1.1節を参照)を示している。アプリケーション機能(AF:Application Function)(例えば
図4に例示的に記載されている5Gサービスを処理する外部アプリケーションサーバ)は、サービスを提供する目的で、3GPPコアネットワークと対話する。例えば、トラフィックのルーティングに対するアプリケーションの影響をサポートしたり、ネットワーク公開機能(NEF:Network Exposure Function)にアクセスしたり、ポリシー制御(例:QoS制御)のためのポリシーフレームワーク(ポリシー制御機能(PCF)を参照)と対話する。事業者の配備に基づいて、事業者によって信頼されるものとみなされるアプリケーション機能(AF)を、関連するネットワーク機能(Network Function)と直接対話できるようにすることができる。ネットワーク機能に直接アクセスすることが事業者によって許可されていないアプリケーション機能(AF)は、NEFを介して外部の公開フレームワークを使用して、関連するネットワーク機能と対話する。
【0052】
さらに
図5は、V2X通信のための5Gアーキテクチャのさらなる機能ユニットとして、5GCにおける統一データ管理(UDM:Unified Data Management)、ポリシー制御機能(PCF:Policy Control Function)、ネットワーク公開機能(NEF:Network Exposure Function)、アプリケーション機能(AF)、統合データリポジトリ(UDR:Unified Data Repository)、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF:Access and Mobility Management Function)、セッション管理機能(SMF:Session Management Function)、ユーザプレーン機能(UPF:User Plane Function)に加えて、V2Xアプリケーションサーバ(V2AS:V2X Application Server)およびデータネットワーク(DN:Data Network)(例:事業者のサービス、インターネットアクセス、またはサードパーティのサービス)を示している。コアネットワーク機能およびアプリケーションサービスのすべてまたは一部を、クラウドコンピューティング環境に配置して実行してもよい。
【0053】
欧州電気通信標準化機構(ETSI)の技術報告書である非特許文献8によると、交通弱者(VRU)のためのV2Xユースケースから要約されるフローは以下のとおりである。
1.VRUの存在を検知する。選択肢は以下のとおりである。
・ VRUの自己位置推定。VRUは、位置および速度を含む自身の特性を求めることを可能にするセンサおよびその他の情報源を有する。
・ 別の道路利用者(例:V-ITS-S)がVRUを検知および追跡する。
・ R-ITS-Sまたは中央のITS-Sに接続された路側機がVRUを検知および追跡する。
2.VRUが他の道路利用者からの潜在的に危険な状態にあるかどうかを評価し、VRUの位置および動的状態を送信するべきである。いずれの当事者も、自身が認識しているVRUに関する情報を送信することができる。VRUに関する情報をフィルタリングし、メッセージトリガー条件に従ってのみ送信するべきである。他の道路利用者からの潜在的なリスクは、特に以下の条件によって決まる。
・ 道路のレイアウト
・ VRUおよび他の道路利用者の動的な状態
・ VRUおよび車両の両方の交通信号機の状況(該当する場合)、および交通信号灯の遵守状況
3.安全メッセージ環境、特にVRUがクラスターの一部であるかどうかを評価し、VRUの自身のITS-Sが送信するべきかどうかを決定する。
4.危険な状態にあるVRUに関する情報の送信。選択肢は以下のとおりである。
・ VRUが自己ステータス情報(ego-status information)を送信する。
・ VRUのクラスターのリーダーがクラスター情報を送信する。
・ V-ITS-S、R-ITS-S、C-ITS-S、または別の道路利用者が、潜在的に危険な状況にあるVRUに関する情報を送信する。
5.リスク評価。段階(受信機側):
・ センサーデータと、他の道路利用者によって送信された観測情報を融合し、道路利用者の位置、速度、および場合によっては他のデータ(例えば意図)を含む局所的な動的マップを構築する。
・ 様々な道路利用者の推定される軌跡および速度に基づいてリスクを評価する。
6.VRUを保護するための警告または動作:
・ デバイスの保持者(VRUまたはその他の道路利用者)の警告
・ 他の道路利用者への衝突警告の送信
・ 自動運転車の場合の動作
【0054】
前述したように、VRUの安全性を配慮するうえで、最も基本となるステップは、VRUの存在の検知である。VRU-UEが自身の存在を示すためにSLブロードキャスト信号およびセキュリティメッセージを送信するべきタイミングが明確ではない。さらに、LTEおよびNRのアップリンクおよびダウンリンク(Uu)では、省電力を目的としてDRXが使用されることに留意されたい。VRU-UEは、送信され得るPDCCHを監視して必要な送信を行うためにDRXのオン期間の間ウェイクアップするのみでよい。このため、SL機能を有するUEは、省電力を目的として、DRX機能をできる限り利用してウェイクアップ時間を短縮するべきである。
【0055】
以降の様々な実施形態において、以下のタイプの道路利用者は、非特許文献8および規則(EU)168/2013[i.8]の付録1の分類に従って、交通弱者(VRU)とみなされる。
・ 歩行者(子供、高齢者、ジョギングをする人を含む)
・ 緊急対応者、安全作業者、道路作業者
・ 馬、犬などの動物から、該当する野生動物(下記の注を参照)
・ 車椅子の使用者、乳母車
・ スケーター、スケートボード、セグウェイ、電動エンジンを搭載している可能性のあるもの
・ 時速25kmに制限された自転車およびeバイク(eバイク、クラスL1e-A[i.8])
・ 時速25km以上の高速eバイク、クラスL1e-B[i.8]
・ 動力付き二輪車(PTW)、モペット(スクーター)、クラスL1e[i.8]
・ PTW、オートバイ、クラスL3e[i.8]
・ PTW、トライサイクル、時速45kmに制限されたクラスL2e、L4e、L5e[i.8]
・ PTW、四輪車、時速45kmに制限されたクラスL5eおよびL6e[i.8]
・ 注:該当する野生動物とは、他の道路利用者(VRU、車両)に安全上のリスクを与える動物のみである。
【0056】
以下の様々な実施形態において、通信装置は、VRU-UEを意味し得る。第1の信号は、通信装置またはVRU-UEが自身の存在を示すために送信するSLブロードキャスト信号(例えばセキュリティメッセージ)を意味し得る。
【0057】
以下の様々な実施形態において、周期的送信時間間隔は、通信装置が第1の信号(例えばSLブロードキャスト信号)を周期的にブロードキャスト(または送信)する各ブロードキャストサイクルの間の時間間隔に関連しうる。
【0058】
以下の様々な実施形態において、周期的送信時間間隔の第1の周期は、ブロードキャスト(送信)の周期と、第1の信号をブロードキャスト(または送信)する機会の繰り返しを意味する。
【0059】
以下の様々な実施形態において、動作サイクルは、DRX期間の周期設定であるDRXサイクル(例えばshortDRX-CycleまたはlongDRX-cycle)を意味し得る。動作サイクルは、通信装置がアクティブであるアクティブ期間(例えばDRXオン期間)と、通信装置が非アクティブである非アクティブ期間(例えばDRXオフ期間)とを含む。一実施形態では、動作サイクルは、1280ミリ秒(ms)のlongDRX-Cycleである。
【0060】
以下の様々な実施形態において、第2の周期は、通信装置のDRXサイクル(およびアクティブ期間/非アクティブ期間)の周期または繰り返しとして説明され得る。
【0061】
図6に示したように、通信装置600は、回路614と、少なくとも1つの無線送信機602と、少なくとも1つの無線受信機604と、少なくとも1つのアンテナ612(簡潔さのため
図6には図解を目的として1つのみのアンテナを示してある)を含むことができる。回路614は、少なくとも1つのコントローラ606を含むことができ、コントローラ606は、無線ネットワーク内の1基または複数の別の通信装置との通信の制御を含む、実行するように設計されているタスクをソフトウェアおよびハードウェアの支援下で実行するために使用される。回路614は、さらに、少なくとも1つの送信信号生成器608および少なくとも1つの受信信号処理器610を含むことができる。少なくとも1つのコントローラ606は、少なくとも1つの無線送信機602を通じて1つ以上の他の通信装置(例えばピア(peer)通信装置)に送信される信号(例えばブロードキャスト信号)を生成するように、少なくとも1つの送信信号生成器608を制御することができ、さらに、少なくとも1つのコントローラ606の制御下で1つ以上の他の通信装置から少なくとも1つの無線受信機604を通じて受信された信号(例えばブロードキャスト信号)を処理するように、少なくとも1つの受信信号処理器610を制御することができる。少なくとも1つの送信信号生成器608および少なくとも1つの受信信号処理器610は、
図6に示したように、上述した機能のために少なくとも1つのコントローラ606と通信する、通信装置600の独立したモジュールとすることができる。あるいは、少なくとも1つの送信信号生成器608および少なくとも1つの受信信号処理器610を、少なくとも1つのコントローラ606に含めることができる。これらの機能モジュールの配置は柔軟であり、実際のニーズおよび/または要件に応じて変化してもよいことが当業者には理解されるであろう。データ処理装置、記憶装置、および他の関連する制御装置を、適切な回路基板および/またはチップセットに設けることができる。様々な実施形態において、動作時、少なくとも1つの無線送信機602、少なくとも1つの無線受信機604、および少なくとも1つのアンテナ612を、少なくとも1つのコントローラ606によって制御することができる。
【0062】
通信装置600は、動作時に、V2Xブロードキャストに必要な機能を提供する。例えば、通信装置600は、VRU-UEとすることができ、回路614は、動作時に、第1の信号を送信するための周期的送信時間間隔を決定することができる。無線送信装置602は、動作時に、回路614の決定に応えて、周期的送信時間間隔で第1の信号を送信することができる。
【0063】
無線受信機604は、動作時に、事前定義された期間内に1つ以上の他の通信装置から第2の信号を受信することがあり、回路614は、1つ以上の他の通信装置からの第2の信号に基づいて、第1の信号をさらに送信するかどうかを決定するように構成されている。
【0064】
回路614は、乗数パラメータの値に基づいて、周期的送信時間間隔の第1の周期を計算するように、さらに構成することができる。回路614は、乗数パラメータの値がより大きいとき、周期的送信時間間隔の第1の周期を増加させるように、さらに構成することができる。
【0065】
回路614は、動作サイクルの第2の周期に基づいて、周期的送信時間間隔の第1の周期を計算するように、さらに構成することができ、動作サイクルの一部は、通信装置がアクティブであるアクティブ期間に関連し、動作サイクルの残りの部分は、通信装置が非アクティブである非アクティブ期間に関連している。
【0066】
回路614は、乗数パラメータの値が特定の値であるとき、周期的送信時間間隔の第1の周期を、動作サイクルの第2の周期よりも短くなるように計算するように、さらに構成することができる。
【0067】
回路614は、乗数パラメータの値が特定の値であるとき、通信装置が動作サイクル全体を通じてアクティブな状態を維持するように、アクティブ期間を動作サイクルの残りの部分まで延長するように、さらに構成することができる。
【0068】
回路614は、乗数パラメータの値が特定の値であるときに第1の信号を送信しないことを決定するように、さらに構成することができる。
【0069】
回路614は、複数の危険レベルのうち通信装置に関連付けられる1つの危険レベルを識別し、その1つの危険レベルに対応する乗数パラメータの値を決定するように、さらに構成することができる。
【0070】
回路614は、複数の危険レベルのうちのその1つの危険レベルに基づいて、周期的送信時間間隔の周期を計算するように、さらに構成することができる。
【0071】
回路614は、複数の危険レベルのうちのその1つの危険レベルが高いと判定されたときに、周期的送信時間間隔の周期を短くするように、さらに構成することができる。
【0072】
回路614は、複数の危険レベルのうちの危険レベルを、通信装置の位置に基づいて識別される地理的ゾーンに基づいて決定するように、さらに構成することができる。回路614は、全地球航法衛星システムによる通信装置の位置および予めロードされた地図データに基づいて地理的ゾーンを識別するように、さらに構成することができる。
【0073】
回路614は、ピア通信装置が、識別された地理的ゾーン内にあるどうかを、第2の信号に基づいて判定するように、さらに構成することができ、回路は、ピア通信装置が識別された地理的ゾーン内にあるという判定に応えて、第1の信号を送信しないことを決定する。
【0074】
回路614は、複数の危険レベルのうち通信装置に関連付けられる1つの危険レベルに従って、アクティブ期間内に送信期間および受信期間を割り当てるように、さらに構成することができる。
【0075】
図7は、本開示の様々な実施形態に従って、交通弱者が周期的送信時間間隔で第1の信号を送信するための通信方法700を示したフローチャートを示している。ステップ702においては、第1の信号を送信するための周期的送信時間間隔を決定するステップが実行される。ステップ704においては、決定に応えて、周期的送信時間間隔で第1の信号を送信するステップが実行される。
【0076】
本開示によれば、SLブロードキャスト信号は、DRXオン期間中に送信されるが、DRXオン期間毎でなくてもよい。言い換えれば、省電力を目的として、ブロードキャスト機会は、UEのDRXオン期間に一致する、またはそれに近いタイミングであるべきである。SLブロードキャストの周期は、DRXサイクルと同じ、または複数のDRXサイクルとすることができる。
【0077】
これを達成する目的で、乗数パラメータ(例えば「drxCycleMultiplier」)が、VRU-UEに対して設定され、既存のDRXサイクル(shortDRX-CycleまたはlongDRX-cycle)を使用してVRU-UEのブロードキャスト周期を計算するために使用される。本開示の様々な実施形態において、ブロードキャスト送信の周期は、以下に示した等式(1)を使用して計算することができる。
【数1】
【0078】
例えば、乗数パラメータ「drxCycleMultiplier」が値5を有し、longDRX-cycleが1280msであるとき、VRUのブロードキャストサイクルは6400msまたは6.4sの周期を有する。様々な実施形態によれば、乗数パラメータ「drxCycleMultiplier」が値1を有するとき、ブロードキャストの周期は、DRXサイクルの周期と同じであり、この場合、DRXサイクルごとにDRXオン期間中にブロードキャスト信号が送信される。乗数パラメータ「drxCycleMultiplier」が値5を有するときには、ブロードキャストの周期は5DRXサイクルであり、この場合、5DRXサイクル毎の5番目のDRXサイクルのDRXオン期間中にブロードキャスト信号が送信される。
【0079】
なお、乗数パラメータの名称、すなわち「drxCycleMultiplier」は、非限定的な例である。乗数パラメータは、加算、減算、および除算など他の事前定義された数学的演算、またはブロードキャストの周期を計算するための他の等式に使用することができる。乗数パラメータの異なる値は、異なる数学的演算に対応することができる。例えば、乗数パラメータ「drxCycleMultiplier」の値2は、longDRX-cycleに2を乗じる数学的演算に対応することができ、乗数パラメータの値3は、longDRX-cycleを3で除する別の数学的演算に対応することができる。さらに、乗数パラメータは、RRC層、MAC層、またはPHY層のシグナリングによって示すこともできる。
【0080】
本開示の様々な実施形態によれば、乗数パラメータ「drxCycleMultiplier」は、通信装置に関連付けられる危険レベルにリンクさせることができる。一実施形態において、危険レベルインジケータ「DangerZoneIndicator」は、複数の危険レベルのうちの1つの危険レベルを示すために使用される。この場合、乗数パラメータ「drxCycleMultiplier」の値は、危険レベルインジケータ「DangerZoneIndicator」の値によって決まり、乗数パラメータ「drxCycleMultiplier」の異なる値は、危険レベルインジケータ「DangerZoneIndicator」の異なる値に対応することができる。なお危険レベルインジケータの名称、すなわち「DangerZoneIndicator」は、非限定的な例であることに留意されたい。
【0081】
危険レベルインジケータの値は、0~3の範囲で、それぞれ最も危険から安全までの4つの異なる危険レベルを示すことができ、4つの危険レベルのそれぞれに対応する乗数パラメータ「drxCycleMultiplier」の値は、以下のとおりである。
・ DangerZoneIndicator=0(最も危険)の場合、drxCycleMultiplier=1
・ DangerZoneIndicator=1(危険)の場合、drxCycleMultiplier=2
・ DangerZoneIndicator=2(危険度低)の場合、drxCycleMultiplier=5
・ DangerZoneIndicator=3(安全)の場合、drxCycleMultiplier=10
【0082】
この例では、危険レベルが安全であるとき、ブロードキャスト周期は10DRXサイクルとすることができ、10DRXサイクルごとにブロードキャスト信号が送信され、一方、危険レベルが危険であるとき、ブロードキャスト周期は2DRXサイクルとすることができ、2DRXサイクルごとにブロードキャスト信号が送信される。
【0083】
本開示の別の実施形態によれば、VRU-UEの異なる省電力モードを、異なる危険レベル(例えば危険レベルインジケータの値)に関連付けることができる。特に、VRU-UEは、危険レベルが低いかまたは安全であると判定されたとき(例えば「DangerZoneIndicator」=3)、ディープスリープ省電力モードに入り、危険レベルが中程度または(低)危険度であると判定されたとき(例えば「DangerZoneIndicator」=1または2)、ライトスリープ省電力モードに入り、危険レベルが高いかまたは最も危険であると判定されたとき(例えば「DangerZoneIndicator」=0)、マイクロスリープ省電力モードに入るように、構成することができる。
【0084】
別の実施形態では、乗数パラメータ「drxCycleMultiplier」を使用して、SLブロードキャストをオフに切り替えることができる。特に、VRU-UEは、乗数パラメータ「drxCycleMultiplier」の値が特定の値であるとき、例えばdrxyCycleMultiplier=0であるとき、および/または、危険レベルインジケータの値が特定の値であるとき、例えばDangerZoneIndicator=3(安全)であるとき、SLブロードキャスト信号を送信しないことを決定するように、構成することができる。
【0085】
さらに別の実施形態では、乗数パラメータ「drxCycleMultiplier」を使用して、DRX機能をオフに切り替えることができる。特に、VRU-UEは、乗数パラメータの値が特定の値であるとき、例えばdrxCycleMultiplier=-1であるとき、および/または、危険レベルインジケータの値が特定の値であるとき、例えばDangerZoneIndicator=0(最も危険)であるとき、VRU-UEが常にオンまたはアクティブであるように、DRXオン期間をDRXサイクル全体に延長するように、構成することができる。
【0086】
一実施形態では、乗数パラメータの値が特定の値であるとき、例えばdrxCycleMultiplier=0.5であるとき、および/または、危険レベルインジケータの値が特定の値であるとき、例えばDangerZoneIndicator=1(危険)であるとき、乗数パラメータ「drxCycleMultiplier」を使用して、ブロードキャスト周期をDRXサイクルの周期より短くなるように切り替えることができる。
【0087】
なお、DRXサイクルより短い周期における周期的送信間隔でブロードキャスト信号を送信することにより、潜在的な衝突問題が発生し得ることに留意されたい。しかしながら、この問題は、ジオロケーションベースの送信および/またはLBT(リッスンビフォアトーク)動作によって軽減することができる(後からさらに詳しく説明する)。
【0088】
以下の段落では、VRUのためのブロードキャストリソースおよびブロードキャスト機会を決定する際にLBTに類似する動作を有利に実行するVRU通信メカニズムを参照しながら、特定の例示的な実施形態について説明する。
【0089】
都市部では通常、人口が密集しており、ビジネス街や商業地区には多くのVRU(例えば歩行者)が集まりうる。結果として、すべてのVRU-UEが自身の存在をブロードキャストしようとすると、トラフィックの衝突と、リソースの大量浪費の可能性が高くなる。
【0090】
省電力および/またはリソース効率を目的として、LBT期間などの事前定義された期間をVRU-UEに対して設計することができる。特に、VRU-UEは、LBT期間内に、VRU-UEの位置に近い他のピア通信装置(すなわち他のVRU-UE)からのブロードキャスト信号が検出された場合、自身のブロードキャスト信号(例えば安全メッセージ)を送信しない、または自身の存在を示さないことを決定するように、構成することができる。このようなLBTに類似する動作は、上位層(動作A)または物理層(動作B)によって実現することができる。
【0091】
LBT期間とは、VRU-UEのブロードキャスト機会に先立つ期間であり、この期間中、ある位置にいるVRU-UEは、自身の位置の近くに位置するピアVRU-UEからのSL送信(例えばブロードキャスト信号)を受信し、ピアVRU-UEからの受信したSL送信に基づいて、自身のブロードキャスト信号を送信しないことを決定するように構成されている。
【0092】
動作Aに関して、LBT期間を示すためのパラメータ「SL-LBTperiod」が、VRU-UEに対して(事前に)設定または事前定義される。VRU-UEは、そのLBT期間内に、他のUEのSL送信を受信する。他のUEからの受信されたSL送信が復号され、復号結果が上位層(MACまたはRRC)に報告され、それぞれの上位層は、結果としてSLブロードキャストを実行するかどうかを決定する。なお、パラメータの名称「SL-LBTperiod」は一例であり、記載されている名称に限定されるものではない。
【0093】
動作Bに関して、物理層において、異なる地理的ゾーンに対してジオロケーション/ゾーン固有のリソースが(事前に)設定される。例えば
図8は、6つの異なる地理的ゾーン1~6に対してそれぞれ設定された6つのゾーン固有リソースのリソースマップを示している。同じ地理的ゾーン内のすべてのVRU-UEは、自身の存在を示すために、同じジオロケーション/ゾーン固有リソースを使用するべきである。一実施形態において、VRU-UEの地理的ゾーンは、VRU-UEのGNSS(全地球航法衛星システム)による位置および/または予めロードされた地図データに基づいて識別することができる。別の実施形態では、ゾーン固有リソースにおいて1ビットのみがシーケンスによって伝えられ、したがって、車両UEの受信のために複数のUEの送信を重ねる(overlapped)ことができ、物理サイドリンクフィードバックチャネル(PSFCH)を再利用することができる。
【0094】
動作Bでは、LBT期間が(事前に)設定または事前定義される。LBT期間は、VRU-UEの最後の送信機会を含むことができる。VRU-UEは、同じ地理的ゾーン内で他のUEの指示情報を受信すると、後続の送信機会において自身の存在をブロードキャストしない。
【0095】
図9は、VRU-UEのLBT期間を図解した例示的な時間ダイアグラム900を示している。LBT期間902は、自身の存在を示す信号を送信するための、VRU-UE(この場合にはUE-A)の周期的送信時間間隔(例えば送信機会)906の前に設定することができる。UE-Aが、UE-Aの位置に基づいて決定されたゾーン1内に自身がいるものと認識したと想定すると、UE-AのLBT期間902の間に、UE-Aは、UE-Aと同じ地理的ゾーンに対応するゾーン1リソース904において、他のUEの指示情報を受信することがある。この場合、UE-Aは、ゾーン1リソースでは送信しないことを決定し、自身の送信機会906の間、ゾーン1リソースでは送信しない。
【0096】
図10は、VRU-UEのLBT期間を図解した別の例示的な時間ダイアグラム1000を示している。LBT期間1002は、自身の存在を示す信号を送信するための、VRU-UE(この場合にはUE-A)の周期的送信時間間隔(例えば送信機会)1006の前に設定することができる。UE-Aが、UE-Aの位置に基づいて決定されたゾーン1内に自身がいるものと認識したと想定すると、UE-AのLBT期間1002の間に、UE-Aはゾーン1リソースにおける他のUEからの指示情報を受信しないことがあり、この場合、UE-Aの地理的ゾーンとは異なる地理的ゾーンに対応するゾーン2リソース1004のみが別のUEから受信され、したがってUE-Aは、自身の送信機会1006の間にゾーン1リソースを送信することを決定する。
【0097】
様々な実施形態において、地理的ゾーンは、柔軟な形状とすることができ、高度を含む様々な地理的特徴(地方、都市、路側、ジャンクションなど)に対して(事前に)設定することができる。ゾーンは、3GPPによってすでに定義されているゾーンID(GNSS位置による12ビット)に従って、長方形として設定することができる。
【0098】
図11は、一実施形態による、道路ジャンクション1101と、道路ジャンクション1101を形成している2つの道路1102、1104と、2つの道路に隣接する地理的エリア1106~1120のマップを示している。道路ジャンクション1101を形成している2つの道路1102、1104に隣接する長方形の地理的エリア1106~1120は、GNSS位置によるゾーンIDに従って設定することができる。地理的エリアの各々は、ゾーン内の地理的特徴に基づいて、地理的ゾーン1~6(または実装によっては1~8)のいずれか1つに分類することができる。地理的ゾーン1~6の各々は、危険レベルにさらに関連付けることができる。例えば、危険レベルインジケータ「DangerZoneIndicator」は、複数の危険レベルのうちの1つの危険レベルを示すために使用される。ゾーン1~4(例えばエリア1106、エリア1108、エリア1112、エリア1114、エリア1116、エリア1120)は、VRU-UEが最も危険な危険レベルを有する地理的ゾーンにいることを示す、危険レベルインジケータ「DangerZoneIndicator」の値0に関連付けられ、一方、ゾーン5~8(例えばエリア1110、エリア1118)は、VRU-UEがより危険性の低い危険レベルを有する地理的ゾーンにいることを示す、危険レベルインジケータ「DangerZoneIndicator」の値2に関連付けられ得る。
【0099】
本開示の様々な実施形態において、このような危険レベル(または危険レベルインジケータ「DangerZoneIndicator」の値)は、乗数パラメータ(または乗数パラメータ「drxCycleMultiplier」の値)にリンクされており、乗数パラメータは、VRU-UEが自身の存在を示すためにブロードキャスト信号を送信するのに使用するブロードキャスト周期を決定するために使用される。
【0100】
以下の段落では、VRU-UEが自身のブロードキャスト信号を送信するために特別に設定される専用ブロードキャストリソースを参照しながら、特定の例示的な実施形態について説明する。
【0101】
VRU-UEおよび車両UE(V-UE)はいずれもSL UEであるが、VRU-UEは、V-UEとはまったく異なる役割を有する。VRU-UEとV-UEとの間でリソースを共有すると、非効率なリソース利用、あるいは望ましくない無線衝突が発生することがある。特に、VRU-UEのユースケースは主として自身の安全のためであるが、V-UEは、より多くのユースケースを有する。
【0102】
さらに、VRU-UEは大部分がバッテリによって駆動され、電力の余裕が極めて小さく、これは、大部分が自動車エンジンまたは電気自動車(EV)用の大型バッテリによって駆動されるV-UEとは異なる。
【0103】
上記の課題に対処する目的で、送信リソースプール(VRU-TxPool)および受信リソースプール(VRU-RxPool)から構成される専用のリソースプールがVRU-UE用に(事前に)設定され、この場合、VRU-TxPoolは、VRU-UE用に特別であり、V-UEなどの他のSL UEによって使用されないが、一方で、VRU-RxPoolはV-UEに認識されるべきであり、V-UEのSLメッセージは、VRUがターゲット受信機である場合にはVRUリソースプール内である。本開示の様々な実施形態によれば、省電力を目的として、リソースプールはVRU-UEのDRXサイクルに一致させることができる。
【0104】
リソースプールは、VRU-TxPoolおよびVRU-RxPoolの両方に対応する時間リソースプール(例えばVRU-timeresourcepool)および周波数リソースプール(例えばVRU-frequencyresourcepool)に関連する上位層パラメータによって示される。本開示によれば、VRU-TxPoolおよびVRU-RxPoolの両方に対応するVRU-timeresourcepoolビットマップは、VRU-UEのアクティブ期間(例えばウェイクアップ期間またはDRXオン期間)内である。一実施形態では、時間リソースプールは、VRU-UEのアクティブ期間と部分的に(近いタイミングで)一致または完全に一致していることができる。
図12は、VRU-UEのDRXサイクル1202に関連する、VRU-UEの例示的な時間リソースプール1204を示している。この例では、VRU-UEの時間リソースプール1204(例えば1204a、1204b、1204c)は、VRU-UEのDRXサイクル、特に2つのDRXサイクルごとのDRU-UEのオン期間(例えば1202a、1202c、および1202e)に一致している。
【0105】
図13Aは、V-UEの送信Txプール(V-UE-TxPool)1302に関連して、VRU-UEの例示的なVRU-RxPool 1304を示しており、一方で
図13Bは、V-UEのRxリソースプール(V-UE-RxPool)1308に関連して、VRU-UEの例示的なVRU-TxPool 1310を示している。本開示によれば、VRU-UE用に設定された受信リソースプール(例えばVRU-RxPool 1304)の一部が、他のSL UE用に設定された送信リソースプール(例えばV-UE-TxPool 1302)の一部と重なる。V-UEは、VRU-RxPool 1304とV-UE-TxPool 1302とが重なった部分1306においてのみ、VRU-UE宛のメッセージを送信することができる。
【0106】
VRU-UE用に設定された送信リソースプール(例えばVRU-TxPool 1310)は、V-UEのような別のSL UE用に設定された送信リソースプール(例えばV-UE-TxPool 1302)と重ならないが、他のSL UE用に設定された受信リソースプール(例えばV-UE-RxPool 1308)と重なる。特に、V-UE-RxPool 1308は、VRU-TxPool 1310全体をカバーするべきである。
【0107】
なお、VRU-UEおよびV-UE用に設定された送信リソースプールおよび受信リソースプールを図解するために使用されている、
図13Aおよび
図13Bのそれぞれのブロック(例えば1302、1304、1308、1310)は、説明のみを目的としていることに留意されたい。実際のリソースプールは、連続的でなくてもよく、複数のブロックにマッピングされてもよい。さらに、送信リソースプール「VRU-TxPool」、受信リソースプール「VRU-RxPool」、時間リソースプール「VRU-timeresoucepool」、および周波数リソースプール「VRU-frequencypool」の各名称は、非限定的な例であることに留意されたい。
【0108】
本開示によれば、DRXサイクルは、VRU-UEのブロードキャスト信号を送信するための周期的送信時間間隔として、VRU-UEのために整列させることができる。また、リソースプールの設定の一部として、いくつかの他の機能/特性を設定することもできる。送信時間間隔がDRXオン期間に一致する実施形態では、SL Rx期間およびSL TX期間の両方をDRXオン期間内に割り当てることができる。
【0109】
図14Aおよび
図14Bは、本開示の一実施形態による、DRXオン期間内にSL Rx期間およびSL Tx期間を割り当てる2つの設定を示している。
図14Aは、第1の例示的な設定を示しており、DRXオン期間1402の50%が、時間期間1404によって示されているようにセンシング/受信に割り当てられており、DRXオン期間1402の残りの50%が、時間期間1406によって示されているように選択/送信に割り当てられている。
図14Bは、第2の例示的な設定を示しており、DRXオン期間1402の40%が、時間期間1414によって示されているようにセンシング/受信に割り当てられており、DRXオン期間1402の残りの60%が、時間期間1416によって示されているように選択/送信に割り当てられている。
【0110】
図15Aおよび
図15Bは、本開示の別の実施形態による、DRXオン期間内にSL Rx期間およびSL Tx期間を割り当てる2つの設定を示している。この実施形態では、DRXオン期間内のSL Rx期間およびSL TX期間は、例えば、危険レベル(または危険レベルインジケータ「DangerZoneIndicator」の値)および/または地理的ゾーンに従って、動的に割り当てることができる。例えば、
図15Aにおいて、VRU-UEがより危険性の高い危険レベル(例えば危険レベルインジケータ値1)に関連付けられる地理的ゾーンにいることが識別されると、DRXオン期間1502の40%が、時間期間1504によって示されているようにセンシング/受信に割り当てられ、DRXオン期間1502の残りの60%が、時間期間1506によって示されているように選択/送信に割り当てられる。例えば、その後、
図15Bにおいて、VRU-UEが、危険性の低い危険レベル(例えば危険レベルインジケータ値2)に関連付けられる地理的ゾーンにいることが識別されると、DRXオン期間1502の60%が、時間期間1514によって示されているようにセンシング/受信に割り当てられ、DRXオン期間1502の残りの40%が、時間期間1516によって示されているように選択/送信に割り当てられるように、SL Rx期間およびSL Tx期間の割当てを変更することができる。
【0111】
さらに別の実施形態では、リソースプールの特性において、「センシングなし」または「部分センシング」が可能であり、
図16は、DRXオン期間1602内にSL Tx期間1604のみを割り当てる設定を示している。この実施形態では、DRXオン期間1602の全体が、時間期間1604によって示されているように、選択/送信用に設定されており、センシング/受信のためのSL Rx期間はなく、その結果、VRU-UEはDRXオン期間1602の間SL Rxを実行しない。
【0112】
なお、DRXオン期間を占めるRx期間とTx期間の割合(例えば上記の50%-50%または40%-60%)の合計は、100%でなくてもよいことにさらに留意されたい。Rx期間とTx期間が、DRXオン期間全体を占めないことがあり(例えばConnectedモードDRXの場合)、したがって、Rx期間の割合とTx期間の割合の合計が100%未満である。一方、例えばDRX非アクティブタイマーがDRXオン期間を超える場合など、Rx期間の割合とTx期間の割合の合計が100%を超えることがある。
【0113】
以下の段落では、5Gコアネットワークに関連する用語と、サイドリンクブロードキャストのための通信装置および通信方法に関する本開示とを参照しながら、特定の例示的な実施形態について説明する。
【0114】
(制御信号)
本開示では、本開示に関連するダウンリンク制御信号(情報)は、物理層のPDCCHを介して送信される信号(情報)とすることができる、または、上位層のMAC制御要素(CE)またはRRCを介して送信される信号(情報)とすることができる。ダウンリンク制御信号は、事前定義される信号(情報)とすることができる。
【0115】
本開示に関連するアップリンク制御信号(情報)は、物理層のPUCCHを介して送信される信号(情報)とすることができる、または、上位層のMAC CEもしくはRRCを介して送信される信号(情報)とすることができる。さらに、アップリンク制御信号は、事前定義される信号(情報)とすることができる。アップリンク制御信号は、アップリンク制御情報(UCI)、第1段サイドリンク制御情報(SCI)(1st stage sildelink control information (SCI))、または第2段SCI(2nd stage SCI)に置き換えることができる。
【0116】
(基地局)
本開示において、基地局は、例えば、送信受信ポイント(TRP:Transmission Reception Point)、クラスタヘッド、アクセスポイント、遠隔無線ヘッド(RRH:Remote Radio Head)、eNodeB(eNB)、gNodeB(gNB)、基地局(BS)、ベーストランシーバステーション(BTS:Base Transceiver Station)、ベースユニット、またはゲートウェイとすることができる。さらに、サイドリンク通信では、基地局に代えて端末を採用してもよい。基地局は、上位ノードと端末との間の通信を中継する中継装置であってもよい。基地局は、ロードサイドユニット(roadside unit)であってもよい。
【0117】
(アップリンク/ダウンリンク/サイドリンク)
本開示は、アップリンク、ダウンリンク、およびサイドリンクのいずれにも適用することができる。
【0118】
本開示は、例えば、PUSCH、PUCCH、およびPRACHなどのアップリンクチャネル、PDSCH、PDCCH、およびPBCHなどのダウンリンクチャネル、ならびに物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH)、物理サイドリンク制御チャネル(PSCCH)、および物理サイドリンクブロードキャストチャネル(PSBCH)などのサイドリンクチャネルに適用することができる。
【0119】
PDCCH、PDSCH、PUSCH、PUCCHは、それぞれ、ダウンリンク制御チャネル、ダウンリンクデータチャネル、アップリンクデータチャネル、アップリンク制御チャネルの一例である。PSCCHおよびPSSCHは、それぞれ、サイドリンク制御チャネルおよびサイドリンクデータチャネルの一例である。PBCHおよびPSBCHは、それぞれブロードキャストチャネルの一例であり、PRACHは、ランダムアクセスチャネルの一例である。
【0120】
(データチャネル/制御チャネル)
本開示は、データチャネルおよび制御チャネルのいずれにも適用することができる。本開示におけるチャネルは、PDSCH、PUSCH、およびPSSCHを含むデータチャネル、および/または、PDCCH、PUCCH、PBCH、PSCCH、およびPSBCHを含む制御チャネルに置き換えることができる。
【0121】
(参考信号)
本開示において、参照信号は、基地局および移動局の両方に既知である信号であり、各参照信号は、基準信号(RS)または場合によりパイロット信号と呼ばれることがある。参照信号は、DMRS、チャネル状態情報-参照信号(CSI-RS:Channel State Information - Reference Signal)、追跡参照信号(TRS:Tracking Reference Signal)、位相追跡参照信号(PTRS:Phase Tracking Reference Signal)、セル固有参照信号(CRS:Cell-specific Reference Signal)、およびサウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)のいずれであってもよい。
【0122】
(時間間隔)
本開示において、時間リソース単位は、スロットおよびシンボルの一方または組合せに限定されず、フレーム、スーパーフレーム、サブフレーム、スロット、時間スロットサブスロット、ミニスロットなどの時間リソース単位、または、シンボル、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル、シングルキャリア-周波数分割多重アクセス(SC-FDMA:Single Carrier-Frequency Division Multiplexing Access)シンボルなどの時間リソース単位、または他の時間リソース単位であってもよい。1スロットに含まれるシンボルの数は、上述した実施形態において例示した数に限定されず、別のシンボル数であってもよい。
【0123】
(周波数帯域)
本開示は、ライセンスバンドおよびアンライセンスバンドのいずれにも適用することができる。
【0124】
(通信)
本開示は、基地局と端末との間の通信(Uuリンク通信)、端末と端末の間の通信(サイドリンク通信)、および、車両と何らかのエンティティとの通信(V2X:Vehicle to Everything)のいずれにも適用することができる。本開示におけるチャネルは、PSCCH、PSSCH、物理サイドリンクフィードバックチャネル(PSFCH:Physical Sidelink Feedback Channel)、PSBCH、PDCCH、PUCCH、PDSCH、PUSCH、およびPBCHに置き換えることができる。
【0125】
さらに、本開示は、地上ネットワーク、または、衛星もしくは高高度疑似衛星(HAPS:High Altitude Pseudo Satellite)を使用する地上ネットワーク以外のネットワーク(NTN:非地上系ネットワーク:Non-Terrestrial Network)のいずれにも適用することができる。さらに、本開示は、セルサイズが大きいネットワークや、超広帯域伝送ネットワークのようにシンボル長やスロット長に比べて遅延が大きい地上ネットワークに適用してもよい。
【0126】
(アンテナポート)
アンテナポートとは、1つまたは複数の物理アンテナで形成される論理アンテナ(アンテナ群)のことを指す。すなわち、アンテナポートは、必ずしも1つの物理アンテナを指すものではなく、複数のアンテナで形成されるアレイアンテナ等を指す場合もある。例えば、アンテナポートを形成する物理アンテナの数は定義されておらず、代わりに、端末が基準信号を送信することのできる最小単位をアンテナポートと定義する。また、アンテナポートは、プリコーディングベクトル重み付けの乗算のための最小単位として定義されることもある。
【0127】
本開示は、ソフトウェアによって、ハードウェアによって、またはハードウェアと協働するソフトウェアによって、実施することができる。上述した各実施形態の説明において使用される各機能ブロックは、その一部または全体を、集積回路などのLSIによって実施することができ、各実施形態において説明した各プロセスは、その一部または全体を、同じLSIまたはLSIの組合せによって制御することができる。LSIは、チップとして個別に形成する、または、機能ブロックの一部またはすべてが含まれるように1個のチップを形成することができる。LSIは、自身に結合されたデータ入出力部を含むことができる。LSIは、集積度の違いに応じて、IC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIとも称される。しかしながら、集積回路を実施する技術は、LSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ、または専用プロセッサを使用することによって実施することができる。さらには、LSIの製造後にプログラムすることのできるFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)や、LSI内部に配置されている回路セルの接続および設定を再設定できるリコンフィギャラブル・プロセッサを使用することもできる。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実施することができる。半導体技術または別の派生技術が進歩する結果として、LSIが将来の集積回路技術に置き換わる場合、その将来の集積回路技術を使用して機能ブロックを集積化することができる。バイオテクノロジを適用することもできる。
【0128】
本開示は、通信の機能を有する任意の種類の装置、デバイス、またはシステム(通信装置と呼ばれる)によって実施することができる。
【0129】
通信装置は、送受信機および処理/制御回路を備えていることができる。送受信機は、受信機および送信機を備えている、および/または、受信機および送信機として機能することができる。送信機および受信機としての送受信機は、増幅器、RF変調器/復調器などを含むRF(無線周波数)モジュールと、1つまたは複数のアンテナを含むことができる。
【0130】
通信装置は、送受信機および処理/制御回路を備えていることができる。送受信機は、受信機および送信機を備えている、および/または、受信機および送信機として機能することができる。送信機および受信機としての送受信機は、増幅器、RF変調器/復調器などを含むRF(無線周波数)モジュールと、1つまたは複数のアンテナを含むことができる。
【0131】
このような通信装置の非限定的ないくつかの例としては、電話(例:携帯電話、スマートフォン)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)(例:ラップトップ、デスクトップ、ノートブック)、カメラ(例:デジタルスチル/ビデオカメラ)、デジタルプレイヤー(デジタルオーディオ/ビデオプレイヤー)、ウェアラブルデバイス(例:ウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、トラッキングデバイス)、ゲームコンソール、電子書籍リーダー、遠隔医療/テレメディシン(リモート医療・医薬)装置、通信機能を提供する車両(例:自動車、飛行機、船舶)、およびこれらのさまざまな組合せ、が挙げられる。
【0132】
通信装置は、携帯型または可搬型に限定されず、非携帯型または据付け型である任意の種類の装置、デバイス、またはシステム、例えば、スマートホームデバイス(例:電化製品、照明、スマートメーター、制御盤)、自動販売機、および「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」のネットワーク内の任意の他の「モノ」なども含むことができる。
【0133】
通信は、例えばセルラーシステム、無線LANシステム、衛星システム、その他、およびこれらのさまざまな組合せを通じてデータを交換するステップ、を含むことができる。
【0134】
通信装置は、本開示の中で説明した通信の機能を実行する通信デバイスに結合されたコントローラやセンサなどのデバイスを備えることができる。例えば、通信装置は、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスによって使用される制御信号またはデータ信号を生成するコントローラまたはセンサ、を備えていることができる。
【0135】
通信装置は、インフラストラクチャ設備、例えば、上の非限定的な例における装置等の装置と通信する、またはそのような装置を制御する基地局、アクセスポイント、および任意の他の装置、デバイス、またはシステムなどを、さらに含むことができる。
【0136】
特定の実施形態に示した本開示には、広範に説明した本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、多数の変更および/または修正を行い得ることが、当業者には理解されるであろう。したがって本明細書における実施形態は、あらゆる点において説明を目的としており、本発明を制限するものではないとみなされたい。
1. 通信装置であって、
動作時に、第1の信号を送信するための周期的送信時間間隔を決定する回路と、
動作時に、前記決定に応えて、前記周期的送信時間間隔で前記第1の信号を送信する送信機と、
を備えている、通信装置。
2. 前記回路が、前記周期的送信時間間隔の第1の周期を乗数パラメータの値に基づいて計算するように、さらに構成されている、
項1に記載の通信装置。
3. 前記回路が、前記乗数パラメータの前記値がより大きいとき、前記周期的送信時間間隔の前記第1の周期を増大させるように、さらに構成されている、
項2に記載の通信装置。
4. 前記回路が、前記周期的送信時間間隔の前記第1の周期を動作サイクルの第2の周期に基づいて計算するように、さらに構成されており、前記動作サイクルの一部が、前記通信装置がアクティブであるアクティブ期間に関連しており、前記動作サイクルの残りの部分が、前記通信装置が非アクティブである非アクティブ期間に関連している、
項2および項3のいずれか1項に記載の通信装置。
5. 前記回路が、前記乗数パラメータの前記値が特定の値であるとき、前記周期的送信時間間隔の前記第1の周期を、前記動作サイクルの前記第2の周期よりも短くなるように計算するように、さらに構成されている、
項4に記載の通信装置。
6. 前記回路が、前記乗数パラメータの前記値が特定の値であるとき、前記通信装置が前記動作サイクル全体を通じてアクティブであるように、前記動作サイクルの前記残りの部分まで前記アクティブ期間を延長するように、さらに構成されている、
項4に記載の通信装置。
7. 前記回路が、前記乗数パラメータの前記値が特定の値であるとき、前記第1の信号を送信しないことを決定するように、さらに構成されている、
項2に記載の通信装置。
8. 前記回路が、
複数の危険レベルのうち前記通信装置に関連付けられる1つの危険レベルを識別し、
前記1つの危険レベルに対応する前記乗数パラメータの前記値を決定する、
ようにさらに構成されている、
項4から項6のいずれか1項に記載の通信装置。
9. 前記回路が、前記周期的送信時間間隔の前記周期を、前記複数の危険レベルのうちの前記1つの危険レベルに基づいて計算するように、さらに構成されている、
項8に記載の通信装置。
10. 前記回路が、前記複数の危険レベルのうちの前記1つの危険レベルが高いと判定されたとき、前記周期的送信時間間隔の前記周期を短くするように、さらに構成されている、
項9に記載の通信装置。
11. 前記回路が、前記複数の危険レベルのうちの前記危険レベルを、前記通信装置の位置に基づいて識別される地理的ゾーンに基づいて決定するように、さらに構成されている、
項9および項10のいずれか1項に記載の通信装置。
12. 前記回路が、全地球航法衛星システムによる前記通信装置の位置および予めロードされた地図データに基づいて、前記地理的ゾーンを識別するように、さらに構成されている、
項11に記載の通信装置。
13. 動作時に、事前定義された期間内にピア通信装置から第2の信号を受信する受信機、
をさらに備えており、
前記回路が、前記第1の信号をさらに送信するかどうかを、前記ピア通信装置からの前記第2の信号に基づいて決定するように、構成されている、
項8から項12のいずれか1項に記載の通信装置。
14. 前記回路が、
前記ピア通信装置が前記地理的ゾーン内にあるかどうかを、前記第2の信号に基づいて判定する、
ようにさらに構成されており、
前記回路が、前記ピア通信装置が前記地理的領域内にあると判定されたことに応えて、前記第1の信号を送信しないことを決定する、
項13に記載の通信装置。
15. 送信リソースプールおよび受信リソースプールを備えているリソースプールが、前記通信装置用に特別に設定されている、
項8から項12のいずれか1項に記載の通信装置。
16. 前記送信リソースプールが、別の通信装置用に設定されている別の送信リソースプールと重ならない、
項15に記載の通信装置。
17. 前記送信リソースプールが、前記別の通信装置用に構成されている別の受信リソースプールと重なる、
項16に記載の通信装置。
18. 前記受信リソースプールの一部が、前記別の通信装置用に構成されている前記別の送信プールの一部と重なる、
項16および項17のいずれか1項に記載の通信装置。
19. 動作時に、前記受信リソースプールの一部を通じて前記別の通信装置から第3の信号を受信する受信機、をさらに備えている、
項18に記載の通信装置。
20. 前記送信リソースプールおよび前記受信リソースプールを示す時間リソースプールが、部分的に、または完全に、前記アクティブ期間に一致している、
項15から項19のいずれか1項に記載の通信装置。
21. 前記回路が、前記複数の危険レベルのうち前記通信装置に関連付けられる前記1つの危険レベルに従って、前記アクティブ期間内に送信期間および受信期間を割り当てるように、さらに構成されている、
項20に記載の通信装置。
22. 前記送信期間が、前記複数の危険レベルのうちの前記危険レベルと正の相関があり、一方で、前記受信期間が、前記複数の危険レベルのうちの前記危険レベルと負の相関がある、
項21に記載の通信装置。
23. 通信方法であって、
第1の信号を送信するための周期的送信時間間隔を決定するステップと、
前記決定に応えて、前記周期的送信時間間隔で前記第1の信号を送信するステップと、
を含む、方法。
【国際調査報告】