(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】家具駆動装置
(51)【国際特許分類】
E05D 11/06 20060101AFI20231102BHJP
E05D 15/40 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
E05D11/06
E05D15/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524839
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 AT2021060385
(87)【国際公開番号】W WO2022082242
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ペータールンガー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ヘッツィンガー
(72)【発明者】
【氏名】マークス ズィンガー
(72)【発明者】
【氏名】アルブレヒト クライスィヒ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ヴァイベル
【テーマコード(参考)】
2E032
【Fターム(参考)】
2E032BA03
2E032DA02
2E032DC00
(57)【要約】
家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)、特に家具フラップ(3a,3b)を運動させるための家具駆動装置(4)であって、家具キャビネット(2)に取り付けるための少なくとも1つの支持体(5)と、支持体(5)に対して相対的に回動軸(6a)を中心として閉鎖位置と最大開放位置との間で旋回可能に支持されている少なくとも1つの作動アーム(6)と、少なくとも1つの作動アーム(6)の最大開放位置の位置を調整することができる少なくとも1つの調整装置(9)とを備え、少なくとも1つの調整装置(9)は、少なくとも1つの作動アーム(6)に対して相対的に少なくとも2つの旋回位置に可動である少なくとも1つの旋回部分(21)を有し、少なくとも1つの旋回部分(21)は、少なくとも1つの作動アーム(6)が最大開放位置に配置されている場合に、少なくとも2つの旋回位置において少なくとも1つの作動アーム(6)を、少なくとも1つの支持体(5)に配置された少なくとも1つのストッパ(22)から異なる距離離間させる、家具駆動装置(4)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)、特に家具フラップ(3a,3b)を運動させるための家具駆動装置(4)であって、
- 前記家具キャビネット(2)に取り付けるための少なくとも1つの支持体(5)と、
- 前記支持体(5)に対して相対的に回動軸(6a)を中心として閉鎖位置と最大開放位置との間で旋回可能に支持されている少なくとも1つの作動アーム(6)と、
- 前記少なくとも1つの作動アーム(6)の前記最大開放位置の位置を調整することができる少なくとも1つの調整装置(9)と
を備える、家具駆動装置(4)において、
前記少なくとも1つの調整装置(9)は、前記少なくとも1つの作動アーム(6)に対して相対的に少なくとも2つの旋回位置に可動である少なくとも1つの旋回部分(21)を有し、前記少なくとも1つの旋回部分(21)は、前記少なくとも1つの作動アーム(6)が前記最大開放位置に配置されている場合に、前記少なくとも2つの旋回位置において前記少なくとも1つの作動アーム(6)を、前記少なくとも1つの支持体(5)に配置された少なくとも1つのストッパ(22)から異なる距離離間させることを特徴とする、家具駆動装置(4)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの調整装置(9)は、前記少なくとも1つの旋回部分(21)に連動するように結合された少なくとも1つの操作部分(24)を有し、好ましくは、前記少なくとも1つの操作部分(24)は、
- 前記少なくとも1つの作動アーム(6)に旋回可能に支持されており、かつ/または
- 前記少なくとも1つの旋回部分(21)に、少なくとも1つの歯列(24a,21b)を介して互いに連動するように結合されており、かつ/または
- 手動操作のために直接かつダイレクトにアクセス可能であり、かつ/または
- 周面側に配置された少なくとも1つの操作輪郭部(24b)を有し、特に好ましくは、前記操作輪郭部(24b)は、手動操作のための、前記作動アーム(6)に配置または形成された開口(25)を通して少なくとも部分的にアクセス可能であることが特定されており、かつ/または
- 前記少なくとも1つの作動アーム(6)の前記最大開放位置の位置を読み取るための、好ましくは型押し加工された少なくとも1つの目盛り(29)を有し、かつ/または
- 前記操作部分(24)を少なくとも2つの異なる位置で解離可能に係止することができる、好ましくはばね弾性に形成されたまたはばね舌片として形成された少なくとも1つの係止要素(24d)を有し、かつ/または
- 好ましくは非円形歯列として形成された少なくとも1つの歯列(24a)を有する、
請求項1記載の家具駆動装置(4)。
【請求項3】
前記支持体(5)は、少なくとも1つの開口(17a)を備えた端面(17)を有し、前記開口(17a)を貫いて前記少なくとも1つの作動アーム(6)は開放位置で突出しており、前記操作部分(24)は、前記端面(17)に対して横方向の方向(X)から操作可能である、請求項2記載の家具駆動装置(4)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの旋回部分(21)は、
- 前記少なくとも1つの作動アーム(6)の前記少なくとも1つの回動軸(6a)に対して平行に配置された回動軸(21a)を中心として旋回可能であり、かつ/または
- 前記少なくとも1つの作動アーム(6)に旋回可能に支持されており、かつ/または
- 前記ストッパ(22)を部分的に収容するための少なくとも2つ以上の凹部(26a,26b,26c,26d,26e)を有し、かつ/または
- 好ましくは非円形歯列として形成された少なくとも1つの歯列(21b)を有する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の家具駆動装置(4)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのストッパ(22)は、
- 前記少なくとも1つの支持体(5)に位置不変に配置されており、かつ/または
- 実質的に円筒形のピンとして形成されており、かつ/または
- 前記少なくとも1つの作動アーム(6)の前記少なくとも1つの回動軸(6a)に対して平行に延びる長手方向軸線を有し、かつ/または
- 前記支持体(5)の、互いに平行に延びる2つのハウジング壁(5a)を安定させるための安定要素として形成されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の家具駆動装置(4)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの作動アーム(6)は、作動アーム延長体(11)が解離可能に配置可能な作動アーム延長部(6b)を有し、好ましくは、前記作動アーム延長部(6b)は、前記作動アーム延長体(11)に配置されたロック要素を部分的に収容するための、互いに離間させられた少なくとも2つの切欠き(23)を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の家具駆動装置(4)。
【請求項7】
前記家具駆動装置(4)は、前記少なくとも1つの作動アーム(6)に力を加えるための少なくとも1つのばね装置(10)を有し、好ましくは、前記ばね装置(10)は、少なくとも1つのコイルばね、特に好ましくは少なくとも1つの圧縮ばねを有することが特定されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の家具駆動装置(4)。
【請求項8】
前記家具駆動装置(4)は、空の作動アーム(6)、つまり、可動の家具部分(3)がまだ取り付けられていない作動アーム(6)の開放速度を制限するための、前記空の作動アーム(6)用の取付け安全装置(20)を有し、前記取付け安全装置(20)は、前記ばね装置(10)の力による前記空の作動アーム(6)の意図しない開放または振れを阻止し、好ましくは、前記取付け安全装置(20)は、少なくとも1つの遠心力連結器(20a)を備えることが特定されている、請求項7記載の家具駆動装置(4)。
【請求項9】
前記家具駆動装置(4)は、前記少なくとも1つの作動アーム(6)の運動を減衰するための少なくとも1つの減衰装置(18)を有し、好ましくは、前記減衰装置(18)は、
- 流体ダンパとして形成されており、かつ/または
- 少なくとも1つのピストンシリンダユニットを有し、かつ/または
- 閉鎖運動時に前記少なくとも1つの作動アーム(6)によって負荷を受けることができ、かつ/または
- 前記少なくとも1つの作動アーム(6)の開放運動時にも閉鎖運動時にも、同じ側から負荷を受けることができる、
請求項1から8までのいずれか1項記載の家具駆動装置(4)。
【請求項10】
前記家具駆動装置(4)は、前記少なくとも1つの作動アーム(6)に作用する前記ばね装置(10)の力を調整することができる力調整装置(14)を有し、好ましくは、前記力調整装置(14)は、
- 回動可能に支持された少なくとも1つの調整ホイール(14a)を有し、前記作動アーム(6)に作用する前記ばね装置(10)の、前記少なくとも1つの作動アーム(6)に作用する力が、前記調整ホイール(14a)の回動によって調整可能であり、かつ/または
- 少なくとも1つのねじ山付きスピンドル(16)を有し、前記ねじ山付きスピンドル(16)に沿って前記ばね装置(10)の作用箇所(15)が、前記力調整装置(14)の操作時に可動であり、かつ/または
- 前記支持体(5)は、少なくとも1つの開口(17a)を備えた端面(17)を有し、前記開口(17a)を貫いて前記少なくとも1つの作動アーム(6)は開放位置で突出しており、前記力調整装置(14)の調整ホイール(14a)が、前記端面(17)に対して横方向の方向(X)から前記開口(17a)を通して操作可能である、
請求項7から9までのいずれか1項記載の家具駆動装置(4)。
【請求項11】
前記家具駆動装置(4)は、前記ばね装置(10)の力を前記少なくとも1つの作動アーム(6)に伝達するための伝達機構(13)を有し、好ましくは、前記伝達機構(13)は、制御カム(13a)と、前記ばね装置(10)によって荷重が加えられる押圧ローラ(13b)とを有し、前記押圧ローラ(13b)は、前記少なくとも1つの作動アーム(6)の運動時に前記制御カム(13a)に沿って走行可能であることが特定されている、請求項7から10までのいずれか1項記載の家具駆動装置(4)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの旋回部分(21)は、前記少なくとも1つのストッパ(22)に当付け可能である円弧状の少なくとも2つの当付け輪郭部(30a,30b,30c,30d,30e)を有し、前記少なくとも2つの当付け輪郭部(30a,30b,30c,30d,30e)はそれぞれ、前記旋回部分(21)の回動軸(21a)を中心とした仮想円の円弧に相当しており、両方の前記仮想円は、互いに異なる半径を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の家具駆動装置(4)。
【請求項13】
家具キャビネット(2)と、前記家具キャビネット(2)に対して相対的に可動に支持された家具部分(3)、特に家具フラップ(3a,3b)と、前記可動に支持された家具部分(3)を運動させるための、請求項1から12までのいずれか1項記載の家具駆動装置(4)とを備える家具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分、特に家具フラップを運動させるための家具駆動装置であって、
- 家具キャビネットに取り付けるための少なくとも1つの支持体と、
- 支持体に対して相対的に回動軸を中心として閉鎖位置と最大開放位置との間で旋回可能に支持されている少なくとも1つの作動アームと、
- 少なくとも1つの作動アームの最大開放位置の位置を調整することができる少なくとも1つの調整装置と
を備える、家具駆動装置に関する。
【0002】
さらに、本発明は、家具キャビネットと、家具キャビネットに対して相対的に可動に支持された家具部分、特に家具フラップと、可動に支持された家具部分を運動させるための、以下に記載の形態の家具駆動装置とを備える家具に関する。
【0003】
家具駆動装置の上述した調整装置によって、作動アームの最大開放位置、ひいては、作動アームに結合された家具部分の最大開放位置を調整することができる。作動アームの最大開放位置の制限によって、可動の家具部分と、側方で隣接する棚または室天井との衝突を阻止することができる。
【0004】
国際公開第2017/219055号には、可動に支持された家具フラップを運動させるための家具用金具が開示されており、この家具用金具には、家具フラップに結合することができる作動アームの最大開放角度を制限するための調整装置が設けられている。作動アームは、複数のレバーを介して、家具キャビネットに取り付けることができる支持体に対して相対的に旋回可能に支持されている。作動アームの最大開放角度を制限するための調整装置は、操作要素を備えており、この操作要素は、第1のレバーに回動可能に支持されていて、第2のレバーに支持されている。この公知の構成の欠点は、つまり、互いに相対的に可動の2つのレバーを設ける必要があることである。したがって、調整装置を、ただ1つの作動アームしか備えていない家具駆動装置にも適用することができることが望まれている。
【0005】
本発明の課題は、冒頭に記載した形態の家具駆動装置を改良して、上で論じた欠点を回避することである。
【0006】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴によって解決される。本発明のその他の有利な構成は、従属請求項に定義されている。
【0007】
本発明によれば、少なくとも1つの調整装置は、少なくとも1つの作動アームに対して相対的に少なくとも2つの旋回位置に可動である少なくとも1つの旋回部分を有し、少なくとも1つの旋回部分は、少なくとも1つの作動アームが最大開放位置に配置されている場合に、少なくとも2つの旋回位置において少なくとも1つの作動アームを、少なくとも1つの支持体に配置されたストッパから異なる距離離間させることが特定されている。
【0008】
言い換えれば、少なくとも2つの異なる旋回位置に可動である旋回部分を用いて、少なくとも1つの作動アームの、支持体に配置されたストッパに関して異なる距離が生じる。こうして、少なくとも1つの作動アームを支持するための別の作動アームが、必ずしも必要ではなくなり、これによって、家具駆動装置の部材の数および材料消費を節減することができる。
【0009】
1つの好適な実施例によれば、少なくとも1つの旋回部分は、少なくとも1つの作動アームに旋回可能に支持されていることが特定されていてよい。こうして、旋回部分を支持するための追加的な支持要素が不要となる。さらに、これによって、旋回部分が作動アームと一緒に可動となり、作動アームの最大開放位置の直観的な調整を可能にする。
【0010】
本発明の更なる詳細および利点を、図面に示した実施例を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1a】少なくとも1つの作動アームが1つの最大開放位置にある、家具キャビネットに取り付けられた家具駆動装置を示す図である。
【
図1b】少なくとも1つの作動アームが別の最大開放位置にある、家具キャビネットに取り付けられた家具駆動装置を示す図である。
【
図1c】少なくとも1つの作動アームがさらに別の最大開放位置にある、家具キャビネットに取り付けられた家具駆動装置を示す図である。
【
図2b】家具駆動装置を拡大して示す詳細図である。
【
図3b】家具駆動装置を拡大して示す斜視図である。
【
図4a】作動アームの最大開放位置の位置を調整するための調整装置であって、作動アームが1つの最大開放位置にある、調整装置を示す図である。
【
図4b】作動アームの最大開放位置の位置を調整するための調整装置であって、作動アームが別の最大開放位置にある、調整装置を示す図である。
【
図4c】作動アームの最大開放位置の位置を調整するための調整装置であって、作動アームがさらに別の最大開放位置にある、調整装置を示す図である。
【
図5a】1つの最大開放位置にある作動アームを示す図である。
【
図5b】別の最大開放位置にある作動アームを示す図である。
【
図5c】1つの最大開放位置にある作動アームを拡大して示す詳細図である。
【
図5d】別の最大開放位置にある作動アームを拡大して示す詳細図である。
【
図6a】旋回部分が1つの位置にある、僅かに変更された実施形態による家具駆動装置を示す図である。
【
図6b】旋回部分が別の位置にある、僅かに変更された実施形態による家具駆動装置を示す図である。
【0012】
図1a~
図1cには、家具キャビネット2を備えた家具1が示してあり、家具キャビネット2の側壁2aには、可動に支持された家具部分3を運動させるための家具駆動装置4が取り付けられている。
【0013】
図示の実施例では、可動の家具部分3は2つの家具フラップ3a,3bを有しており、第1の家具フラップ3aは、少なくとも2つのヒンジ7aを介して、水平に延びる回動軸を中心として家具キャビネット2に旋回可能に結合されており、第2の家具フラップ3bは、少なくとも2つのヒンジ7bを介して、水平に延びる回動軸を中心として第1の家具フラップ3aに旋回可能に結合されている。
【0014】
家具駆動装置4は、家具キャビネット2、好ましくは家具キャビネット2の側壁2aに取り付けることができる支持体5と、支持体5に対して相対的に旋回可能な少なくとも1つの作動アーム6とを有しており、この作動アーム6は、可動の家具部分3、好ましくは第2の家具フラップ3bに結合されている。
【0015】
図面から認識できるように、家具1は、
図1a~
図1cにおいて室天井8に関して異なる高さ位置をとっている。家具1は、
図1aでは、室天井8に対して相対的に最も低い位置にあり、
図1bでは中間位置にあり、
図1cでは最も高い位置にある。つまり、
図1aで作動アーム6は、支持体5に関して最大の旋回角を、
図1bでは中間の旋回角を、
図1cでは最小の旋回角をとっている。
【0016】
可動の家具部分3と室天井8との衝突を阻止するために、家具駆動装置4は、以下に記載する調整装置9(
図3b)を有しており、この調整装置9によって、作動アーム6の最大開放位置の位置を調整可能に制限することができる。こうして、作動アーム6の最大開放位置を、
図1a~
図1cに示した取付け状況に適合させることができる。
【0017】
図2aには、家具駆動装置4が側面図で示してあり、家具駆動装置4は、家具キャビネット2に取り付けることができる支持体5と、少なくとも1つの作動アーム6とを有しており、この作動アーム6は、支持体5に回動軸6aを中心として旋回可能に支持されている。
【0018】
図示の実施例では、作動アーム6に作動アーム延長体11が解離可能に配置されており、作動アーム延長体11は、互いに相対的に移動可能な2つの作動アーム部分11a,11bを有している。好ましくは、作動アーム部分11a,11bは互いに相対的に伸縮自在に摺動可能であることが特定されており、第1の作動アーム部分11aは、作動アーム6に解離可能に結合可能である。第2の作動アーム部分11bは、固定装置12を有しており、この固定装置12は、可動の家具部分3に取り付けることができる金具部分に解離可能に結合可能であり、好ましくは工具なしにロック可能であり、また、解除可能である。
【0019】
作動アーム6に力を加えるために、ばね装置10が設けられており、このばね装置10は、例えば少なくとも1つのコイルばね、好ましくは少なくとも1つの圧縮ばねを有していてよい。これに対して代替的に、ばね装置10は、例えばガス圧ばねの形態の流体蓄力器のような他の蓄力器を有していてもよい。
【0020】
家具駆動装置4は、ばね装置10の力を少なくとも1つの作動アーム6に伝達するための伝達機構13を有しており、好ましくは、伝達機構13は、制御カム13aと、ばね装置10によって荷重が加えられる押圧ローラ13bとを有しており、押圧ローラ13bは、少なくとも1つの作動アーム6の運動時に制御カム13aに沿って走行可能であることが特定されている。
【0021】
制御カム13aは、好適な実施例によれば、作動アーム6に配置または形成されていてよい。もちろん、制御カム13aを伝達機構13における他の箇所に配置することも可能である。
【0022】
力調整装置14によって、少なくとも1つの作動アーム6に作用するばね装置10の力が調整可能であり、好ましくは、力調整装置14は、
- 回動可能に支持された少なくとも1つの調整ホイール14aを有しており、作動アーム6に作用するばね装置10の、少なくとも1つの作動アーム6に作用する力が、調整ホイール14aの回動によって調整可能であり、かつ/または
- 少なくとも1つのねじ山付きスピンドル16を有しており、このねじ山付きスピンドル16に沿ってばね装置10の作用箇所15が、力調整装置14の操作時に可動であり、かつ/または
- 支持体5は、少なくとも1つの開口17aを備えた端面17(
図3b)を有しており、開口17aを貫いて、少なくとも1つの作動アーム6は、開放位置で突出しており、力調整装置14の調整ホイール14aが、端面17に対して横方向の方向(X、
図3b)から開口17aを通して操作可能である。
【0023】
図2bには、
図2aにおいて丸で囲まれた領域が拡大して示してある。伝達機構13は中間レバー19を有しており、この中間レバー19は、支持体5に回動軸19aを中心として旋回可能に支持されている。ねじ山付きスピンドル16は、中間レバー19に支持されている。工具を用いた力調整装置14の調整ホイール14aの回動によって、ねじ山付きスピンドル16は回動可能であり、これによって、ばね装置10の作用箇所15は、ねじ山付きスピンドル16に沿って運動する。こうして、作用箇所15と中間レバー19の回動軸19aとの間の相対間隔ひいてはばね装置10の、作動アーム6に作用するトルクを増減させることができる。
【0024】
家具駆動装置4は、さらに、少なくとも1つの作動アーム6の運動を減衰するための少なくとも1つの減衰装置18を含んでおり、好ましくは、減衰装置18は、
- 流体ダンパとして形成されており、かつ/または
- 少なくとも1つのピストンシリンダユニットを有しており、かつ/または
- 閉鎖運動時に少なくとも1つの作動アーム6によって負荷を受けることができ、かつ/または
- 少なくとも1つの作動アーム6の開放運動時にも閉鎖運動時にも、同じ側から負荷を受けることができる。
【0025】
図3aには、家具駆動装置4が斜視図で示してあり、伝達機構13によって、ばね装置10の力が少なくとも1つの作動アーム6に伝達可能である。力調整装置14は、例えば回動可能な調整ホイール14aを備えていてよく、ばね装置10の作用箇所15は、ねじ山付きスピンドル16に沿って調整ホイール14aの回動によって調整可能であり、これによって、作動アーム6に作用するトルクが調整可能である。
【0026】
家具駆動装置4は、さらに、空の作動アーム6、つまり、可動の家具部分3がまだ取り付けられていない作動アーム6の開放速度を制限するための、空の作動アーム6用の取付け安全装置20を有していてよく、取付け安全装置20は、ばね装置10の力による空の作動アーム6の意図しない開放または振れを阻止する。好ましくは、取付け安全装置20は、少なくとも1つの遠心力連結器20aを備えていることが特定されている。
【0027】
図3bには、
図3aにおいて四角く囲まれた領域が拡大して示してあり、この
図3bから、少なくとも1つの作動アーム6の最大開放位置の位置を調整するための調整装置9がさらに詳しく分かる。
【0028】
調整装置9は、少なくとも1つの旋回部分21を有しており、この旋回部分21は、少なくとも1つの作動アーム6に対して相対的に少なくとも2つの旋回位置に可動であり、少なくとも1つの旋回部分21は、少なくとも1つの作動アーム6が最大開放位置に配置されている場合に、少なくとも2つの旋回位置において少なくとも1つの作動アーム6を、支持体5に配置されたストッパ22から異なる距離離間させる。
【0029】
好ましくは、少なくとも1つの旋回部分21は、
- 少なくとも1つの作動アーム6の少なくとも1つの回動軸6aに対して平行に配置された回動軸21aを中心として旋回可能であり、かつ/または
- 少なくとも1つの作動アーム6に旋回可能に支持されており、かつ/または
- ストッパ22を部分的に収容するための少なくとも2つ以上の凹部26a,26b,26c,26d,26eを有しており、かつ/または
- 好ましくは非円形歯列として形成された少なくとも1つの歯列21bを有している
ことが特定されている。
【0030】
つまり、旋回部分21の様々な凹部26a,26b,26c,26d,26eは、ストッパ22を部分的に収容するように構成されていて、設定された位置における作動アーム6の最大開放位置を制限するために働く。
【0031】
調整装置9は操作部分24をさらに有しており、この操作部分24は、少なくとも1つの旋回部分21に連動するように結合されており、好ましくは、少なくとも1つの操作部分24は、
- 少なくとも1つの作動アーム6に旋回可能に支持されており、かつ/または
- 少なくとも1つの旋回部分21に、少なくとも1つの歯列24a,21bを介して互いに連動するように結合されており、かつ/または
- 手動操作のために直接かつダイレクトにアクセス可能であり、かつ/または
- 周面側に配置された少なくとも1つの操作輪郭部24bを有しており、特に好ましくは、操作輪郭部24bは、手動操作のための、作動アーム6に配置または形成された開口25を通して少なくとも部分的にアクセス可能であることが特定されており、かつ/または
- 少なくとも1つの作動アーム6の最大開放位置の位置を読み取るための、好ましくは型押し加工された少なくとも1つの目盛り29(
図5b、
図5d)を有しており、かつ/または
- 操作部分24を少なくとも2つの異なる位置で解離可能に係止することができる、好ましくはばね弾性に形成されたまたはばね舌片として形成された少なくとも1つの係止要素24dを有しており、かつ/または
- 好ましくは非円形歯列として形成された少なくとも1つの歯列24aを有している。
【0032】
互いに協働する歯列24a,21bのサイズおよび幾何学形状によって、操作部分24と旋回部分21との間の相対運動の伝達比を変化させることができ、例えば、旋回部分21が、比較的小さな操作部分24によってかつ手動による大きな力作用なしに回動軸21aを中心として旋回可能であるようにすることができる。
【0033】
支持体5は、少なくとも1つの開口17aを備えた端面17を有しており、この開口17aを貫いて少なくとも1つの作動アーム6は、開放位置で突出しており、操作部分24は、端面17に対して横方向の方向(X)から開口17aを通して操作可能である。
【0034】
好ましくは、少なくとも1つのストッパ22は、
- 少なくとも1つの支持体5に位置不変に配置されており、かつ/または
- 実質的に円筒形のピンとして形成されており、かつ/または
- 少なくとも1つの作動アーム6の少なくとも1つの回動軸6aに対して平行に延びる長手方向軸線を有しており、かつ/または
- 支持体5の、互いに平行に延びる2つのハウジング壁5aを安定させるための安定要素として形成されている
ことが特定されている。
【0035】
作動アーム6または作動アーム延長部6bは、作動アーム延長体11(
図2a)に配置された(ここでは図示しない)ロック要素を部分的に収容するための、互いに離間させられた少なくとも2つの切欠き23を有している。
【0036】
作動アーム延長体11を作動アーム6に取り付けるために、例えば、
- 作動アーム延長体11を、第1のロック要素を介して第1の切欠き23に掛け込むステップと、
- 作動アーム延長体11を、掛け込まれた状態で1つの軸を中心として旋回させるステップであって、特に好ましくは、軸は、家具キャビネット2への家具駆動装置4の取付け状態で実質的に水平に延びていることが特定されている、旋回させるステップと、
- 作動アーム延長体11を、蓄力器によって力が加えられた第2のロック要素の力によって作動アーム6に解離可能にロックするステップであって、第2のロック要素を、作動アーム延長体11と作動アーム6との間の結合状態で第2の切欠き23内に係合させる、ロックするステップと
が特定されていてよい。
【0037】
図4a~
図4cには、作動アーム6の最大開放位置の位置を調整するための調整装置9が示してあり、作動アーム6は、異なる最大開放位置にある。
【0038】
図4aでは、位置不変のストッパ22は旋回部分21の凹部26e内にあり、これによって、作動アーム6は、支持体5に関して最大の最大開放角度で位置決めされている。図面から認識できるように、作動アーム6または作動アーム延長部6bは、当接要素27を有しており、減衰装置18、好ましくはピストンシリンダユニットには、作動アーム6の開放運動時に当接要素27によって力を加えることができる。こうして、作動アーム6の最後の開放運動を、完全な開放位置に達するまで制動することができる。
【0039】
図4bには、作動アーム6の最大旋回角の中間的な調整が示してあり、このとき、ストッパ22は、旋回部分21の凹部26d内に収容されている。
【0040】
最後に、
図4cには、作動アーム6の旋回角の最小の調整が示してあり、このとき、位置不変のストッパ22は、旋回部分21の凹部26a内に収容されている。
【0041】
図5aには、最小の最大開放位置における作動アーム6が示してある。作動アーム6は、回動軸6aを中心として回動可能に支持されていて、回動軸6aに関して偏心した制御カム13aを有しており、この制御カム13aに対して、ばね装置10によって荷重が加えられた押圧ローラ13b(
図3a)が転動可能である。
【0042】
作動アーム6は、作動アーム延長部6bに結合されているかまたは解離可能に結合可能であり、作動アーム延長部6bは、切欠き23を介して作動アーム延長体11(
図2a)に解離可能にロック可能である。
【0043】
作動アーム6には、2つ以上の孔28が形成されており、これらの孔28には、それぞれ、操作部分24の係止要素24d(
図3b)が解離可能に係止可能である。こうして、作動アーム6を、孔28によって設定された少なくとも2つの異なる最大開放位置に位置決めすることができる。図示の実施例では、5つの孔28が設けられており、つまり、これらの孔28によって、作動アーム6の5つの異なる最大開放位置も調整可能である。当然ながら、孔28の数は変えることができる。
【0044】
図5bには、
図5aにおいて丸で囲まれた領域が拡大して示してある。この図面から認識できるように、作動アーム6に配置された開口25を貫いて、操作部分24の操作輪郭部24bが部分的に突出している。好ましくは型押し加工された少なくとも1つの目盛り29によって、作動アーム6の最大開放位置の調整を読み取ることができる。
【0045】
図5cには、別の最大開放位置における作動アーム6が示してある。
図5dには、
図5cにおいて丸で囲まれた領域が拡大して示してある。
【0046】
つまり、作動アーム6は、調整装置9によって2つ以上の最大開放位置に位置決め可能である。最大開放位置を変化させるために、作動アーム6は、1つの最大開放位置を起点として閉鎖方向に僅かに運動させられ、次いで、操作部分24を手動で回動軸24cを中心として、好ましくは所定の切換位置1~5のうちの1つの切換位置に回動させる。次いで、作動アーム6は、再び開放方向に運動させられ、このとき、ストッパ22を操作部分24の凹部26a,26b,26c,26d,26eのうちの1つの凹部に選択的に係合させることができる。
【0047】
図6aおよび
図6bには、僅かに変更された実施形態による家具駆動装置4が、旋回部分21の2つの異なる位置で示してある。
【0048】
作動アーム6は、回動軸6aを中心として旋回可能に支持体5に支持されており、作動アーム6の最大開放位置は、調整装置9によって制限可能である。調整装置9は、回動軸24cを中心として回動可能な操作部分24を備えており、操作部分24の歯列24aは、旋回部分21の歯列21bに係合している。旋回部分21は、作動アーム6の最大開放位置を調整するために、操作部分24を手によってまたは工具を用いて回動させることによって、回動軸21aを中心として回動させることができる。
【0049】
上述した実施例では、旋回部分21の回動位置は、選択的に1つの孔28(
図5a)内に収容可能である少なくとも1つの係止要素24d(
図3b)によって固定されている。しかしながら、旋回部分21は、特に作動アーム6を大きな速度で開放位置に向かって運動させた場合に、回動軸21aを中心として望ましくない形で旋回する傾向を有している。
【0050】
少なくとも1つの係止要素24dの代わりにまたは少なくとも1つの係止要素24dに加えて、
図6a、
図6bの実施例によれば、少なくとも1つの旋回部分21が、少なくとも1つのストッパ22に当付け可能である円弧状の少なくとも2つの当付け輪郭部30a,30b,30c,30d,30eを有していることが特定されていてよい。
【0051】
少なくとも2つの当付け輪郭部30a,30b,30c,30d,30eはそれぞれ、旋回部分21の回動軸21aを中心とした仮想円32a,32bの円弧に相当しており、両方の仮想円32a,32bは、それぞれ異なる半径を有している。両方の仮想円32a,32bの異なる半径は、
図6aと
図6bとの直接的な比較から良好に認識することができる。
【0052】
言い換えれば、好ましくは円筒形のストッパ22と、旋回部分21の当付け輪郭部30a,30b,30c,30d,30eとの間の接触面は、それぞれ、ストッパ22の中心軸線と旋回部分21の回動軸21aとを互いに結合する仮想の結合線31上に位置している。
【0053】
こうして、当付け輪郭部30a,30b,30c,30d,30eで発生する接線方向力が阻止され、結果として、旋回部分21にトルクが作用することはない。つまり、こうして、旋回部分21は、設定された回動位置で当付け輪郭部30a,30b,30c,30d,30eのうちの1つの当付け輪郭部に安定的に支持される。
【0054】
図示の実施例では、旋回部分21は、作動アーム6を5つの異なる最大開放位置で固定することができる5つの異なる当付け輪郭部30a,30b,30c,30d,30eを有している。
【国際調査報告】