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特表2023-547419超音波トランスデューサの精度及び性能を試験するためのプロセス
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  • 特表-超音波トランスデューサの精度及び性能を試験するためのプロセス 図1
  • 特表-超音波トランスデューサの精度及び性能を試験するためのプロセス 図2
  • 特表-超音波トランスデューサの精度及び性能を試験するためのプロセス 図3
  • 特表-超音波トランスデューサの精度及び性能を試験するためのプロセス 図4a
  • 特表-超音波トランスデューサの精度及び性能を試験するためのプロセス 図4b
  • 特表-超音波トランスデューサの精度及び性能を試験するためのプロセス 図4c
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】超音波トランスデューサの精度及び性能を試験するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   H04R 29/00 20060101AFI20231102BHJP
   A61B 17/22 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H04R29/00 330
A61B17/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524844
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2021079430
(87)【国際公開番号】W WO2022084547
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】20306276.5
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523143017
【氏名又は名称】カーディアウェイブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プノー,ロビン
(72)【発明者】
【氏名】スアレス,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】レモン,マチュー
(72)【発明者】
【氏名】クフィエチンスキ,ボイチェフ
【テーマコード(参考)】
4C160
5D019
【Fターム(参考)】
4C160EE03
4C160JJ38
5D019AA27
5D019FF06
(57)【要約】
本発明は、超音波伝達媒体の体積内において超音波トランスデューサの予想されるキャビテーション領域にエラストマーブロックを置くこと、エラストマーブロックにおいてキャビテーション気泡を生じさせるように超音波トランスデューサを作動させることと、生じたキャビテーション気泡に対応するマークをエラストマーにおいて検出することと、マークから超音波トランスデューサの実際のキャビテーション領域の3次元特徴を推定することとによりキャビテーション気泡を生じさせることができる超音波トランスデューサの精度及び性能を試験するための方法に関する。本発明はまた、超音波伝達媒体の体積と、超音波伝達媒体の体積に配置されたエラストマーブロックと、超音波トランスデューサとを含むシステムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビテーション気泡を生じさせることができる超音波トランスデューサの精度及び性能を試験する方法であって、
- 超音波伝達媒体の体積内において前記超音波トランスデューサの予想されるキャビテーション領域にエラストマーブロックを置くことと、
- 前記エラストマーブロックにおいてキャビテーション気泡を生じさせるように前記超音波トランスデューサを作動させることと、
- 前記生じたキャビテーション気泡に対応するマークを前記エラストマーブロックにおいて検出することと、
- 前記マークから前記超音波トランスデューサの実際のキャビテーション領域の3次元特徴を推定することと
を含む方法。
【請求項2】
前記エラストマーブロックが少なくとも20%の全光透過率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、1つ又は複数の撮像システムの前記超音波トランスデューサとの正しい整列を検証するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記エラストマーブロックが、シリコーン、ウレタン、ポリウレタン又はその組合せから選択された材料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記エラストマーブロックが、ショア硬度10A~ショア硬度80D、好ましくはショア硬度30A~ショア硬度80D、なおより好ましくはショア硬度30A~ショア硬度95Aに含まれる硬度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、前記エラストマーブロックに埋め込まれた複数の目盛要素をさらに含み、前記目盛要素が、前記生じたキャビテーション気泡によるゆがみ又は機械的損傷に耐性がある、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記目盛要素が、裸眼で見える及び/又は撮像モダリティで見えるワイヤ又はマーカである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記超音波伝達媒体が液体又は半液体であるとともに器内に含まれる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
超音波伝達媒体の前記体積がアクセスポートを含む固体ブロックを形成し、前記アクセスポートが、前記エラストマーブロックの表面の一部を前記超音波トランスデューサにより放射された超音波に暴露するのに適合している、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記固体ブロックが少なくとも1つの開口をさらに含み、前記少なくとも1つの開口が前記エラストマーブロックを見る及び/又は交換するのに適合している、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
- 音響結合媒体を含む超音波伝達媒体の体積と、
- 超音波伝達媒体の前記体積に配置されたエラストマーブロックと、
- 超音波トランスデューサであって、前記超音波トランスデューサが前記音響結合媒体内にある又は超音波伝達媒体の前記体積と音響的に結合されるように支持構造に取り付けられる超音波トランスデューサと
を含むシステム。
【請求項12】
1つ又は複数の撮像システムをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記超音波伝達媒体が液体又は半液体であるとともに器内に含まれる、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
超音波伝達媒体の前記体積がアクセスポートを含む固体ブロックを形成し、前記アクセスポートが、前記エラストマーブロックの表面の一部を前記超音波トランスデューサにより放射された超音波に暴露するのに適合している、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項15】
前記固体ブロックが少なくとも1つの開口をさらに含み、前記少なくとも1つの開口が前記エラストマーブロックを見る及び/又は交換するのに適合している、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
25℃の温度及び1atmの圧力で、超音波伝達媒体の前記体積及び前記エラストマーブロックにおける音の速度が500m.s-1~2500m.s-1に含まれるとともに10%以下だけ異なる、及び/又は
前記固体ブロックの材料及び前記エラストマーブロックの音響インピーダンスが0.5MRayl~2.5MRaylに含まれるとともに10%以下だけ異なる、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムが、前記エラストマーブロックに埋め込まれた複数の目盛要素をさらに含み、前記目盛要素が、前記生じたキャビテーション気泡によるゆがみ又は機械的損傷に耐性がある、請求項11~16のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマーにおけるキャビテーション気泡の発生を引き起こすことにより超音波トランスデューサの精度及び性能を試験するためのプロセスに関する。本発明はまた、超音波伝達媒体の体積と、超音波トランスデューサと、超音波伝達媒体の体積内に配置されたエラストマーブロックとを含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を使用する技術への関心は、数多くの潜在的な用途が発見されるにつれて着実に高まっている。超音波は、超音波パルスを焦点に集中させることによりキャビテーション気泡を誘導するために使用されることができ、焦点に含まれる、部分的に含まれる又は近い特定の標的に向かって機械的エネルギーを放射することを可能にする。複数のキャビテーション気泡が焦点に近いそのような領域又は焦点で生じることがあり、これはしたがってキャビテーション領域として特定され得る。誘導されたキャビテーション気泡はキャビテーションクラウドと呼ばれ得る。超音波により生じたキャビテーション気泡又はクラウドは、医療用途、例えばヒストトリプシー(組織の機械的破壊)、トロンボトリプシー(血栓の機械的破壊)及びリソトリプシー(結石の破砕)のために使用されてもよく、そのような用途には非侵襲性であるという特定の利点がある。
【0003】
集束された超音波パルスのそのような用途には、特に医療用途では、焦点及びキャビテーション気泡又はクラウドが生じるキャビテーション領域に関して高いレベルの精度が求められる。予想されたキャビテーション領域は標的により及び装置の位置により変更され得るため、キャビテーション領域の位置及び/又は寸法の評価及び特徴付けは依然として困難である。キャビテーション気泡が生じることが予想される位置に対応する予想されたキャビテーション領域が、最小限の不確実性で、キャビテーション気泡が生じる位置に対応する実際のキャビテーション領域に最も近くなることを確実にすることが特に重要である。
【0004】
単純な解決策は、予想されたキャビテーション領域に、生じたキャビテーション気泡により損傷を受け得る標的を置き、超音波トランスデューサを、治療手順のためにそれを使用する前にインビトロで試験することである。しかしながら、標的が損傷を受けた場合に、少なくともキャビテーションが、予想されたキャビテーション領域で生じていることを確実にするが、そのような方法は、実際のキャビテーション領域の3次元特徴を確実に評価することを可能にしない。したがって、そのような方法は、治療手順のための方法の信頼性を確実にするのに十分に厳密ではない。
【0005】
米国特許第8539813号明細書は、容器と、容器に配置されたゲルと、容器に配置されたインジケータとを含むキャビテーショナル損傷インジケータプラットフォームを開示し、インジケータは、キャビテーショナル超音波エネルギーをインジケータへ加える間に目に見えて変わるように構成される。開示されたインジケータは、マイクロスフェア又はポリスチレンビーズ、マイクロカプセル化したビーズ、又はカーボン粒子を含む。目に見える変化は、粒子がより暗くなること又はそれらのサイズの減少、又は色素の流出に対応する。しかしながら、これらの目に見える変化は、インジケータは単一の層に存在し、したがって限られた3次元情報のみ提供するため、実際のキャビテーション領域の3次元特徴を評価するのに十分な情報を提供しない。超音波トランスデューサが、重要な中心周波数での長期間の増加したパルス繰り返し周波数で使用される場合、インジケータの構造は耐久性が不十分となり得るとともに分裂し得る。したがって、目に見える変化は、インジケータにおける裂け目に対応し、これは実際のキャビテーション領域に関する情報を提供しないか誤った情報を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8539813号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、キャビテーション気泡が生じる実際のキャビテーション領域をより正確に特定することを可能にするプロセス及びシステムが必要である。さらに、超音波トランスデューサを使用する処置は超音波の放射シーケンスを含むことができ、放射シーケンス中に変位される予想されたキャビテーション領域及び/又は放射シーケンス中に変化するトランスデューサパラメータを備えるため、実際のキャビテーション領域の位置及び/又は3次元特徴を確実に決定することが特に重要である。本発明は、超音波トランスデューサの精度及び性能を確保するために、予想されたキャビテーション領域及び実際のキャビテーション領域の一致に関してより信頼性のある情報に基づき超音波トランスデューサを試験するためのプロセスを提供することをねらいとしているため、先行技術の前述の欠点を克服しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この趣旨で、本発明は、キャビテーション気泡の生成を引き起こすことができる超音波トランスデューサの精度及び性能を試験する方法であって、超音波伝達媒体の体積内において超音波トランスデューサの予想されるキャビテーション領域にエラストマーブロックを置くことと、エラストマーブロックにおいてキャビテーション気泡を生じさせるように超音波トランスデューサを作動させることと、生じたキャビテーション気泡に対応するマークをエラストマーブロックにおいて検出することと、マークから超音波トランスデューサの実際のキャビテーション領域を推定することとを含む方法を開示する。
【0009】
有利には、エラストマーブロックは少なくとも20%の全光透過率を有する。全光透過率のそのような割合は、キャビテーション気泡が生じたときにエラストマーにおける目に見える変化を裸眼で観察することを可能にする。好ましくは、全光透過率は少なくとも50%、又はなおより好ましくは少なくとも95%である。
【0010】
有利には、エラストマーブロックは、シリコーン、ウレタン、ポリウレタン又はその組合せから選択された材料を含む。
【0011】
有利には、方法は、1つ又は複数の撮像システムの超音波トランスデューサとの正しい整列を検証するステップを含む。
【0012】
有利には、エラストマーブロックはショア硬度10A~ショア硬度80D、好ましくはショア硬度30A~ショア硬度80D、なおより好ましくはショア硬度30A~ショア硬度95Aに含まれる硬度を有する。エラストマーブロックの好ましい硬度はショア硬度30A~ショア硬度35Aに含まれる。
【0013】
有利には、方法は、エラストマーブロックに埋め込まれた複数の目盛要素をさらに含み、前記目盛要素は、生じたキャビテーション気泡によるゆがみ又は機械的損傷に耐性がある。
【0014】
有利には、目盛要素は、裸眼で見える及び/又は撮像モダリティ、好ましくは医用撮像モダリティで見えるワイヤ又はマーカである。撮像モダリティにより、X線、コンピューター断層撮影、超音波撮像又は磁気共鳴撮像を使用する撮像方法と理解される。これらの撮像モダリティは、撮像プローブを含み得る1つ又は複数の撮像システムを含み得る。例えば、ワイヤ又はマーカは、超音波検査によるそれらの観察を可能にするために音波を発生し得る、及び/又は放射線学によるそれらの観察を可能にするためにX線を通さなくてもよい。「目盛要素」により、実際のキャビテーション領域の3次元特徴を決定するためにこれらの要素とエラストマーブロックに形成されたマークとの比較を可能にする任意のタイプの要素を意味する。特に、目盛要素は、エラストマーブロックにおいて一定の間隔で配置された要素に対応し得る。
【0015】
有利には、超音波伝達媒体は液体又は半液体であるとともに器内に含まれる。
【0016】
代替的に、超音波伝達媒体の体積はアクセスポートを含む固体ブロックを形成し、アクセスポートは、エラストマーブロックの表面の一部を超音波トランスデューサにより放射された超音波に暴露するのに適合している。
【0017】
有利には、固体ブロックは少なくとも1つの開口をさらに含み、少なくとも1つの開口はエラストマーブロックを見る及び/又は交換するのに適合している。
【0018】
有利には、超音波トランスデューサは治療超音波トランスデューサである。
【0019】
本発明はまた、音響結合媒体を含む超音波伝達媒体の体積と、超音波伝達媒体の体積に配置されたエラストマーブロックと、超音波トランスデューサであって、超音波トランスデューサが音響結合媒体内にある又は超音波伝達媒体の体積と音響的に結合されるように支持構造に取り付けられる超音波トランスデューサとを含むシステムを開示する。
【0020】
有利には、システムは1つ又は複数の撮像システムをさらに含む。
【0021】
有利には、システムの超音波伝達媒体は液体又は半液体であるとともに器内に含まれる。
【0022】
代替的に、超音波伝達媒体の体積は、アクセスポートを含む固体ブロックを形成し、アクセスポートは、エラストマーブロックの表面の一部を超音波トランスデューサにより放射された超音波に暴露するのに適合している。
【0023】
有利には、固体ブロックは少なくとも1つの開口をさらに含み、少なくとも1つの開口はエラストマーブロックを見る及び/又は交換するのに適合している。
【0024】
有利には、25℃の温度及び1atmの圧力で、超音波伝達媒体の体積及びエラストマーブロックにおける音の速度は、500m.s-1~2500m.s-1に含まれるとともに、10%以下だけ異なり、なおより好ましくは1200m.s-1~1800m.s-1であり5%以下だけ異なり、及び/又は超音波伝達媒体の体積及びエラストマーブロックの音響インピーダンスは0.5MRayl~2.5MRaylに含まれるとともに10%以下だけ異なり、なおより好ましくは0.8MRayl~2.1MRaylであり5%以下だけ異なる。
【0025】
追加的に及び好ましくは、超音波伝達媒体の体積及びエラストマーブロックにおける音響減衰は、20dB.cm-1.MHz-1未満であり20%以下だけ異なり、なおより好ましくは1dB.cm-1.MHz-1未満であり20%以下だけ異なる。
【0026】
有利には、システムの超音波トランスデューサは治療超音波トランスデューサである。
【0027】
有利には、システムは、エラストマーブロックに埋め込まれた複数の目盛要素をさらに含み、前記目盛要素は、生じたキャビテーション気泡によるゆがみ又は機械的損傷に耐性がある。
【0028】
有利には、固体ブロックの材料は、ウレタン、ハイドロゲルポリマー、又はこれらの材料の少なくとも2つの組合せから選択される。
【0029】
多くの例示的な実施形態の以下の説明及びその添付図面から本発明はより良好に理解され、その様々な特徴及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】液体又は半液体であるとともに器内に含まれる超音波伝達媒体の体積と、超音波伝達媒体の体積に配置されたエラストマーブロックと、トランスデューサとを含むシステムを示す。
図2】固体ブロックである超音波伝達媒体の体積と、固体ブロックに配置されたエラストマーブロックとを含むシステムを示す。
図3】キャビテーション気泡が生じ、キャビテーションマークを形成するエラストマーブロックを示す。
図4a】四角形を形成する埋め込まれた目盛要素としてワイヤを含むエラストマーブロックを示す。
図4b】十字形を形成する埋め込まれた目盛要素としてワイヤを含むエラストマーブロックを示す。
図4c】エラストマーブロックの面に十字形を形成する突起を含むエラストマーブロックを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この明細書において、本発明は例として説明される。しかしながら、本発明はこれらの例に限定されない。
【0032】
図1は、システム10であって、液体又は半液体であるとともに音響結合媒体を含む器11内に含まれる超音波伝達媒体の体積12と、超音波伝達媒体の体積において予想されたキャビテーション領域15に配置されたエラストマーブロック13と、撮像システムの撮像プローブ19を備えた超音波トランスデューサ14とを含むシステム10を示す。
【0033】
図1に示されるとおり、器11は平行六面体形を有するが他の形、例えば回転柱、錐体又は台形なども可能である。典型的には、器は、器の面を見通すために透明なガラスでできているが他の材料も可能である。典型的には、器の上面は開いているとともに、エラストマーブロックの器の内部への配置又は器の内部からの除去を可能にするが、しかしながら他の形も可能である。
【0034】
器11は、音響結合媒体を含む超音波伝達媒体の体積12を含む。典型的には、超音波伝達媒体の体積は器の容積全体を充填するが、器は部分的にのみ充填されていてもよい。液体又は半液体の超音波伝達媒体は水であってもよいが、他の超音波伝達媒体、例えば脱気又はガス抜き水又は超音波ゲルでもよい。使用する超音波伝達媒体の選択肢は、試験後に超音波トランスデューサを使用することが必要な環境に依存する。超音波トランスデューサが患者での治療のためにさらに使用される場合、超音波伝達媒体の体積は、人体が有するのと同じ音響的特徴を有するように選択される可能性が最も高い。音響結合媒体は、超音波トランスデューサと超音波伝達媒体の体積との結合を可能にし、概して水であるが、他の音響結合媒体が使用されてもよい。例えば、音響結合媒体は、脱気又はガス抜き水又は超音波ゲルであってもよい。
【0035】
図1に示されるとおり、エラストマーブロック13は平行六面体形を有するとともに超音波伝達媒体の体積12内部に配置されるが、例えば回転柱、錐体又は台形など他の形も可能である。
【0036】
好ましくは、エラストマーブロックは少なくとも20%、なおより好ましくは少なくとも50%の全光透過率を有する。
【0037】
エラストマーブロックの大きさは、トランスデューサにより放射された超音波の波長より大きく、好ましくははるかにより大きく、例えばエラストマーブロックは少なくとも1cm*1cm*1cmである。エラストマーブロック寸法は、予想されたキャビテーション領域が超音波トランスデューサの使用中に移動させられるときに、そのような予想されたキャビテーション領域の経路を全体として包含するように適合され得る。
【0038】
エラストマーブロックは、ショア硬度10A~ショア硬度80D、好ましくはショア硬度30A~ショア硬度80D、なおより好ましくはショア硬度30A~ショア硬度95Aに含まれる硬度を有する。エラストマーブロックの好ましい硬度はショア硬度30A~ショア硬度35Aに含まれる。
【0039】
図1に示されるとおり、エラストマーブロック13は超音波トランスデューサ14の予想されたキャビテーション領域15に配置され、例えば、エラストマーブロックの表面は、予想されたキャビテーション領域がエラストマーブロックの容積内部に位置するように超音波トランスデューサにより放射された超音波に暴露される。予想されたキャビテーション領域は、超音波トランスデューサの特定の構成により複数のキャビテーション気泡が生じることが予想される領域に対応し、したがって典型的には、エラストマーブロックの標的とされた部分に対応する。実際のキャビテーション領域は、超音波トランスデューサの特定の構成においてエラストマーブロックにおいて複数のキャビテーション気泡が生じた位置に対応する。したがって、本発明の方法を実施する一方で超音波トランスデューサが既に正しく校正されている場合、予想されたキャビテーション領域位置は前記実際のキャビテーション領域位置と同一である。本発明の方法を実施する一方で超音波トランスデューサが正しく校正されない場合、前記実際のキャビテーション領域位置は、エラストマーブロックの、エラストマーブロックの標的とされた部分とは異なる部分に対応し得る。例えば、前記実際のキャビテーション領域は予想されたキャビテーション領域位置に隣接し得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサはその焦点を移動させ得る。焦点は、例えば超音波トランスデューサの構成を変えることにより容積において、例えば電子的に又は機械的に移動させられ得る。そのような場合において、エラストマーブロックは、超音波トランスデューサの特定の構成のための予想されたキャビテーション領域に置かれる。超音波トランスデューサの作動は、複数の異なる構成により、したがって複数の異なる焦点により複数回繰り返されてもよい。したがって、焦点が各構成間を移動する間に複数の構成により超音波トランスデューサを試験することが可能である。
【0041】
図1に示されるとおり、システムは撮像システムの撮像プローブ19を含む。撮像システムは、予想されたキャビテーション領域を囲むゾーン、すなわちエラストマーブロック及びエラストマーブロックを囲むものを撮像することを可能にする。撮像システムは、エラストマーブロックにおいて、超音波トランスデューサにより生じたキャビテーションクラウド又は気泡により形成されたマークを検出することを可能にするが、マークを検出するステップは裸眼でもまた実施され得る。典型的には、撮像システムは超音波撮像システムであるが、他の撮像モダリティ、例えばX線、コンピューター断層撮影、又は磁気共鳴撮像を使用する撮像方法が使用されてもよい。超音波トランスデューサを試験するために撮像システムを使用することは、超音波トランスデューサとの及び実際のキャビテーション領域との撮像システムの正しい整列を検証することを可能にする。典型的には、超音波トランスデューサとの撮像システムの正しい整列を検証するステップは、エラストマーブロックマークにおける検出のステップの後、又はマークから超音波トランスデューサの実際のキャビテーション領域の位置を推定するステップの後に実施される。
【0042】
図2は、システム20であって、固体ブロック21を形成する超音波伝達媒体の体積と、固体ブロックに配置されたエラストマーブロック23と、超音波トランスデューサ24と、撮像システムの撮像プローブ29とを含むシステム20を示す。エラストマーブロックは予想されたキャビテーション領域25に配置される。固体ブロック21は平行六面体形を有するが、他の形、例えば回転柱又は錐体又は台形などが使用されてもよい。固体ブロックはまた、凹部又は突起を備えた不規則な形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、固体ブロックは人体の一部をまねた形状を有する。
【0043】
図2に示されるとおり、固体ブロック21は固体ブロックの第1面にアクセスポート27を含む。アクセスポートは、エラストマーブロック23の表面の一部を超音波トランスデューサにより放射された超音波に暴露するために適合される。アクセスポートは四角形を有してもよいが、例えば円形など他の形も可能である。有利には、アクセスポートの形状は、超音波トランスデューサとのプラグインインターフェイスとなるように超音波トランスデューサの形状に対応する。
【0044】
図2に示されるとおり、固体ブロック21は中空であり、固体ブロックの中空は音響結合媒体22を含む。固体ブロックはまた、固体ブロックの内面から固体ブロックの内部に向かって延在する突起を含んでもよく、突起はエラストマーブロック23を固体ブロック内部に保持するために配置される。
【0045】
典型的には、固体ブロック21はシリコーン、ポリウレタン、ウレタン、ハイドロゲルポリマー、相溶性超音波流体又はその組合せであるが、他の材料が使用されてもよい。実施形態において、固体ブロックの少なくとも1つの面は透明である。実施形態において、固体ブロックは人体の一部をまねた1つ又は複数の材料でできている。
【0046】
図2に示されるとおり、固体ブロック21の、第1面に垂直な第2面に、固体ブロックは開口26を含む。開口は四角形又は長方形を有するとともにエラストマーブロック23のサイズ及び形状に対応し、固体ブロックにおけるエラストマーブロックの交換を可能にする。開口26はまた、エラストマーブロックが固体ブロック内部に配置されたときにエラストマーブロックを固体ブロックの外側から見ることを可能にする。図2に同様に示されているとおり、固体ブロックは、固体ブロックの第3面に第2開口28を含み、開口は第2エラストマーブロック又は相溶性音響結合媒体で充填される。
【0047】
いくつかの実施形態において、アクセスポート22及び開口26は固体ブロック21の同じ面にある。他の実施形態において、アクセスポート及び開口は対向する面にあるが他の構成も可能である。
【0048】
いくつかの実施形態において、固体ブロック21は、エラストマーブロック23を見る又は交換するための追加的な開口をさらに含んでもよく、これらの追加的な開口は、固体ブロックの、アクセスポート27及び開口26と同じ面又は異なる面にある。
【0049】
いくつかの実施形態において、固体ブロックは中空であるとともに音響結合媒体で充填されていてもよい。音響結合媒体が液体である場合、液体は開口から固体ブロックを出ることができる。そのような実施形態において、エラストマーブロックは、開口を通じて置かれるとともに、開口を充填して液体が開口を通じて出るのを防ぐ。他の実施形態において、固体ブロックの形状は、少なくとも1つの開口が、音響結合媒体を含む固体ブロックの中空と連通しない固体ブロック内部の空洞へ至るようなものである。そのような実施形態において、エラストマーブロックはしたがって、固体ブロックによりほぼ完全に囲まれ、音響結合媒体は、それらが互いと連通していないため、開口を通じて固体ブロックから出ることができない。
【0050】
なおさらなる実施形態において、固体ブロックは、1つ又は複数の組織、例えば骨及び表皮組織をまねた人体の一部の形状を有し、1つ又は複数の他の組織をまねた音響結合媒体で充填され、予想されたキャビテーション領域でエラストマーブロックを交換するための開口を有する。
【0051】
図3は、キャビテーション気泡が生じ、マークを形成するエラストマーブロックを示す。図3のエラストマーブロックは平行六面体形を有するとともに、95%の全光透過率を有し、このことは、集束された超音波によりその本体内に生じたキャビテーション気泡のマークを裸眼で見ることを可能にする。エラストマーブロックにおいて生じたキャビテーション気泡のマーク30は、楕円形を有するキャビテーションクラウドを形成するとともに全体的にエラストマーブロックの容積に含まれる。いくつかの実施形態において、キャビテーション気泡又はクラウドのマークは、超音波トランスデューサの構成、エラストマーブロック及び超音波伝達媒体の体積の材料、及び音響結合媒体に依存して異なる形を有してもよい。生じたキャビテーション気泡により形成されたマークは、キャビテーション領域全体を観察することを可能にするわけではないが、超音波の強度が最高であるキャビテーション領域の中心部分のみを観察することを可能にする。キャビテーション領域のそのような中心部分は、マークがエラストマーブロックにおいて現れ得る領域に対応し、したがってこの説明において実際のキャビテーション領域と呼ばれているものに対応する。
【0052】
特に、エラストマーブロックにおけるマークは、裸眼で、及び、特定のインジケータ又は化合物であって、その流出により複数のキャビテーション気泡が生じたゾーンを前面に押し出す特定のインジケータ又は化合物を使用せずに三次元で容易に評価され得ることに留意されるべきである。
【0053】
本発明によると、エラストマーブロックはエラストマーブロックに埋め込まれた目盛要素を含んでもよく、前記目盛要素は、生じたキャビテーション気泡によるゆがみ又は機械的損傷に耐性がある。「目盛要素」により、実際のキャビテーション領域の3次元特徴を決定するためにこれらの要素とエラストマーブロックにおいて形成されたマークとの比較を可能にする任意のタイプの要素を意味する。特に、目盛要素は、エラストマーブロックにおいて一定の間隔で配置された要素に対応し得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、目盛要素は等しい間隔で測定方向において順に配置され、エラストマーブロックにおける実際のキャビテーション領域のサイズを決定することを可能にする計測スケールを形成する。目盛要素はエラストマーブロックのバルクにあっても、エラストマーブロックの1つ又は複数の面に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、目盛要素はエラストマーブロックの断面全体に配置される。いくつかの実施形態において、目盛要素は、超音波トランスデューサの軸方向に沿って及び/又は超音波トランスデューサの軸方向に垂直に実際のキャビテーション領域の長さを測定するように配置される。
【0055】
いくつかの実施形態において、目盛要素は、固体ブロックの外部から固体ブロックの開口を通じて見えるエラストマーブロックの表面に配置される。
【0056】
いくつかの実施形態において、目盛要素はワイヤに対応する。ワイヤは、生じたキャビテーション気泡によるゆがみ又は機械的損傷に耐性がある任意の材料でできていてもよい。ワイヤはグリッドを形成するように配置され得る。
【0057】
図4aは、裸眼で見えるとともに四角形を形成するワイヤ41を含むエラストマーブロックを示す。図4aから分かり得るとおり、ワイヤは、エラストマーブロックの中心で四角形を形成するように本質的に単一面においてエラストマーブロックに埋め込まれる。そのような四角形は標的に対応し得る。したがって、エラストマーブロックは、予想されたキャビテーション領域がワイヤにより形成された四角形に入るように超音波伝達媒体の体積に配置され得る。
【0058】
特定の実施形態において、目盛要素は撮像モダリティで見えるワイヤ又はマーカに対応する、例えばワイヤは音波を発生するワイヤである。超音波トランスデューサに埋め込まれ得る撮像システムの撮像プローブは、したがってワイヤ又はマーカにより形成された標的を超音波撮像で特定し得る。超音波撮像以外の撮像モダリティ、例えばコンピューター断層撮影及び磁気共鳴撮像が使用されてもよい。超音波トランスデューサの試験に加えて、そのような撮像モダリティでエラストマーブロックにおいて見えるワイヤ又はマーカを備えたそのようなシステムは、撮像モダリティが超音波トランスデューサ及び実際のキャビテーション領域と正しく整列しているかどうか検証することを可能にする。
【0059】
追加的に、超音波トランスデューサは、超音波トランスデューサを動かし得る電子機械工学的アーム又はロボットアームに接続され得る。本発明のシステムは、エラストマーブロックに形成されたマークから予想されたキャビテーション領域が実際のキャビテーション領域に対応するかどうか推定することにより、電子機械工学的アーム又はロボットアームの移動を原因とする超音波トランスデューサの移動が実際のキャビテーション領域の移動に対応することを検証することを可能にする。
【0060】
図4bは、エラストマーブロックであって、裸眼で見えるとともに十字形を形成するワイヤ42を含むエラストマーブロックを示す。図4bから分かり得るとおり、ワイヤは、エラストマーブロックの中心で十字形を形成するように本質的に単一面でエラストマーブロックに埋め込まれる。そのような十字形は標的に対応し得る。したがって、エラストマーブロックは、予想されたキャビテーション領域がワイヤにより形成された十字形の中心となるように超音波伝達媒体の体積において配置され得る。
【0061】
図4cは、エラストマーブロックの面に突起43を含むエラストマーブロックを示し、十字形は裸眼で見えるとともに十字形を形成する。突起は、超音波トランスデューサが正しく校正されたかどうか決定するのを支援することができ、実際のキャビテーション領域の3次元形状及び位置をこの突起を通じて裸眼で評価する。
【0062】
エラストマーブロックの突起及びワイヤ又はマーカである目盛要素は、超音波トランスデューサの試験を支援するためにあわせて使用され得る。
【0063】
図3、4a、4b及び4cに示されるとおり、エラストマーブロックは均質であるとともに、超音波トランスデューサの使用中、温度、光放射及びpH変動が原因で着色を変える又は液化する要素を含まない。特に、エラストマーブロックは、ロイコ染料又は他のカプセル化した染料であって、それらの流出により、キャビテーション気泡が生じるときに、生じたキャビテーションクラウド及びしたがって実際のキャビテーション領域の形を厳密に反映しない場合があるロイコ染料も他のカプセル化した染料も含まない。
【0064】
典型的には、超音波トランスデューサは、10~180秒の総試験時間の間に、1Hz~1000Hz、なおより好ましくは50~500Hzにわたるパルス繰り返し周波数で送達された、0.1~50μs、なおより好ましくは1~20μsにわたる高強度パルス超音波放射での、100kHz~10MHz、なおより好ましくは500kHz~2.5MHzの周波数で作動するように構成される。
【0065】
本発明のシステムにおいて、超音波トランスデューサは、超音波トランスデューサが音響結合媒体内にある又は超音波伝達媒体の体積と音響的に結合されるように支持構造に取り付けられる。典型的には、超音波伝達媒体の体積が液体又は半液体であるとき、支持構造は、音響結合媒体における少なくとも超音波トランスデューサを支持するために、器の外側から器の内部へ、特に音響結合媒体において延在する。しかしながら、支持構造は異なる形を有してもよいとともに器及び/又は音響結合媒体に部分的に又は全体的に含まれてもよい。他の実施形態において、支持構造は超音波伝達媒体の体積に含まれず、超音波トランスデューサが超音波伝達媒体の体積と音響的に結合されるように超音波トランスデューサを支持する。別の特定の実施形態において、支持構造は、ロボットアームであって、超音波トランスデューサが音響結合媒体において又は超音波伝達媒体の体積と音響的に結合されるように置くことを可能にするロボットアームである。
【0066】
本発明の方法は、エラストマーブロックを超音波トランスデューサの予想されるキャビテーション領域に置くステップを含む。エラストマーブロックは典型的には、予想されたキャビテーション領域がエラストマーブロックのバルクにおける中心部分に対応するように配置されるが、しかしながらエラストマーブロックは予想されたキャビテーション領域がエラストマーブロックのバルクの周辺部分に対応するように配置されてもよい。
【0067】
本発明の方法は、エラストマーブロックにおいてキャビテーション気泡を生じさせるように超音波トランスデューサを作動させるステップを含む。超音波トランスデューサの作動は、典型的には、単一の周波数及び特定の時間での繰り返しのパルスの放射に対応するが、しかしながら、作動はまた、同じ又は異なる周波数でのパルスの放射の1つ又は複数のシーケンスに対応してもよく、シーケンスは同じ又は異なる期間を有する。
【0068】
本発明の方法は、生じたキャビテーション気泡に対応するマークをエラストマーブロックにおいて検出するステップを含む。検出は、典型的には、エラストマーブロックにおいて生じたキャビテーション気泡に対応するマークがエラストマーブロックに存在するかどうか裸眼で見るステップに対応する。例えばエラストマーブロックがエラストマーブロックを交換するための開口を備えた固体ブロックに配置されるときにエラストマーブロックが超音波伝達媒体の体積から除去され得る特定の実施形態において、エラストマーブロックは、超音波トランスデューサを作動させた後及びエラストマーブロックマークにおける検出の前に超音波伝達媒体の体積から除去される。
【0069】
代替的に、検出のステップは、医用撮像、例えば超音波撮像、コンピューター断層撮影又は磁気共鳴撮像により、エラストマーブロックにおいて生じたキャビテーション気泡に対応するマークがエラストマーブロックに存在するかどうか見るステップに対応する。
【0070】
本発明の方法は、エラストマーブロックにおけるマークから超音波トランスデューサの実際のキャビテーション領域位置を推定することを含む。マークから実際のキャビテーション領域を推定するステップは、例えば生じたキャビテーション気泡により形成されたマークの重心を決定することによる目盛要素の使用を含み得る。
【0071】
方法は、予想されたキャビテーション領域及び実際のキャビテーション領域の位置確認の差をさらに特定することを含み得る。位置確認間の差が特定されると、方法は、予想されたキャビテーション領域及び実際のキャビテーション領域が同じ位置確認を有するように超音波トランスデューサの構成をさらに修正することを含み得る。また、位置確認間の差が特定されると、方法は、実際のキャビテーション領域と対応するように予想されたキャビテーション領域をさらに修正することを含み得る。
【0072】
本発明の方法は、キャビテーション気泡の生成を引き起こすことができる超音波トランスデューサを試験することを可能にする。超音波トランスデューサを試験することは、超音波トランスデューサの使用が予想されたキャビテーション領域でキャビテーション気泡が生じること、例えば、予想されたキャビテーション領域が超音波トランスデューサの実際のキャビテーション領域に対応することを確実にする。
【実施例
【0073】
具体例
実施例1
エラストマーブロックは、23℃で16時間の硬化時間の、体積で1:1の比率での4,4’メチレンジシロヘキシルジイソシアネート(A)と変性脂肪族ジイソシアネート(B)との混合物に対応する。結果としてのエラストマーブロックはショア硬度A30、引張強度が5MPaであり、その色は透明でくすみが無い。そのようなエラストマーブロックは、固体ブロックの第1面の開口を通じてウレタンの固体ブロック内に置かれ、固体ブロックは、トランスデューサを受けるよう機械的に適合された固体ブロックの第2面を介してトランスデューサに結合される。そのような第2面は例えば、トランスデューサが凸形面を有する場合は凹形面などトランスデューサを補完する形状を有する。第2面は、超音波が通過することを可能にするアクセスポートを含む。エラストマーブロックは2cmの厚さを有する。
【0074】
トランスデューサは、1MHzの中心周波数、100Hzのパルス繰り返し周波数(PRF)及び120秒間に10回の振動で作動する。トランスデューサの作動後、エラストマーブロックは任意選択的に除去され、マークが評価される。円錐形の永続的なマークは目に見えるため、キャビテーションクラウドの形状は評価され得る。キャビテーションマークから、トランスデューサの実際のキャビテーション領域が推定され得るとともに、トランスデューサが校正される必要があるかどうか決定するために予想されたキャビテーション領域と比較される。
【0075】
実施例2
エラストマーブロックは、23℃で16時間の硬化時間の、重量で1:1.5の比率(A:B)での4,4’メチレンジシロヘキシルジイソシアネート(A)とネオデカン酸フェニル水銀(B)との混合物に対応する。結果としてのエラストマーブロックはショア硬度A95、引張強度が17MPaであり、その色は透明でくすみが無い。エラストマーブロックは1.9cmの厚さを有する。トランスデューサは、1MHzの中心周波数、100HzのPRF及び180秒間に10回の振動で作動する。トランスデューサの作動後、エラストマーブロックは任意選択的に除去され、キャビテーションクラウドが評価される。米粒形の永続的キャビテーションマークは目に見えるため、実際のキャビテーション領域の形状は評価され得る。キャビテーションマークから、トランスデューサの実際のキャビテーション領域が推定され得るとともに、トランスデューサが校正される必要があるかどうか決定するために予想されたキャビテーション領域と比較される。
【0076】
実施例3
エラストマーブロックは、ショア硬度A33である無色透明なシリコーンに対応し、その色は透明でくすみが無い。エラストマー厚さは1.8cmである。トランスデューサは、700kHzの中心周波数、70HzのPRF及び60秒間に10回の振動で作動する。トランスデューサの作動後、エラストマーブロックは任意選択的に除去され、実際のキャビテーション領域が評価される。米粒形の永続的なマークは目に見えるため、キャビテーションマークの形状は評価され得る。キャビテーションマークから、トランスデューサの実際のキャビテーション領域が推定され得るとともに、トランスデューサが校正される必要があるかどうか決定するために予想されたキャビテーション領域と比較される。
【0077】
実施例4
別の特定の実施形態において、エラストマーブロックは、ショア硬度A30である無色透明なシリコーンに対応し、その色はくすみが無い琥珀色である。エラストマーブロックの厚さは1.5cmである。トランスデューサは、700kHzの中心周波数、70HzのPRF及び60秒間に10回の振動で作動する。トランスデューサの作動後、エラストマーブロックは任意選択的に除去され、キャビテーションマークが評価される。米粒形の永続的なマークは目に見えるため、キャビテーションクラウドの形状は評価され得る。キャビテーションマークから、トランスデューサの実際のキャビテーション領域が推定され得るとともに、トランスデューサが校正される必要があるかどうか決定するために予想されたキャビテーション領域と比較される。
【0078】
実施例5
別の特定の実施形態において、エラストマーブロックは、ショア硬度D80であるポリウレタンマトリクスに対応し、その色はくすみが無い黄色である。エラストマーブロックの厚さは2cmである。トランスデューサは、700kHzの中心周波数、100HzのPRF及び95秒間に10回の振動で作動する。トランスデューサの作動後、エラストマーブロックは任意選択的に除去され、キャビテーションマークが評価される。楕円形の永続的なマークは目に見えるため、キャビテーションクラウドの形状は評価され得る。キャビテーションマークから、トランスデューサの実際のキャビテーション領域が推定され得るとともに、トランスデューサが校正される必要があるかどうか決定するために予想されたキャビテーション領域と比較される。
【0079】
上述の例は本発明の実施形態の例証として与えられている。それらは決して、以下の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
【国際調査報告】