IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特表2023-547420気体状の媒体を貯蔵するためのタンク装置
<>
  • 特表-気体状の媒体を貯蔵するためのタンク装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】気体状の媒体を貯蔵するためのタンク装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/04 20060101AFI20231102BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20231102BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20231102BHJP
   B60L 50/70 20190101ALI20231102BHJP
【FI】
F17C13/04 301A
H01M8/04 J
F02M21/02 G
B60L50/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524887
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 EP2021079160
(87)【国際公開番号】W WO2022100974
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】102020214214.9
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ラウ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュティーバー,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シャイッヒ,ウド
【テーマコード(参考)】
3E172
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD03
3E172JA03
5H125AA01
5H125AC07
5H125FF09
5H127AB04
5H127AC02
5H127BA22
5H127BA59
5H127EE13
5H127EE19
(57)【要約】
気体状の媒体を、特に水素を貯蔵するためのタンク装置(1)において、バルブ装置(2)と、タンク(10)と、長軸(11)とを有する。バルブ装置(2)はバルブハウジング(20)を有し、該バルブハウジング(20)の中に長軸(11)に沿って可動のパイロットバルブ部材(18)が配置され、該パイロットバルブ部材(18)は第1の流出開口部(56)を開閉するために第1のバルブシート(27)と協同作用し、そのようにしてパイロットバルブ(44)を構成する。バルブ装置(2)は磁気コイル(14)によって作動可能であり、バルブハウジング(20)の中にマスタバルブ部材(19)が配置され、該マスタバルブ部材(19)は第2の流出開口部(31)を開閉するために第2のバルブシート(40)と協同作用し、そのようにしてマスタバルブ(191)を構成する。タンク装置(1)はねじ込みハウジング部材(24)を含み、バルブ装置(2)はねじ込みハウジング部材(24)によってタンク(10)のネック領域(6)に固定的に統合される。バルブ装置(2)はタンク(10)内のタンク圧力によって、およびばね(26)によって、オフになった磁気コイル(14)のもとで閉止された位置に配置される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体状の媒体を、特に水素を貯蔵するためのタンク装置(1)において、バルブ装置(2)と、タンク(10)と、長軸(11)とを有し、前記バルブ装置(2)はバルブハウジング(20)を有し、該バルブハウジング(20)の中に前記長軸(11)に沿って可動のパイロットバルブ部材(18)が配置され、該パイロットバルブ部材(18)は第1の流出開口部(56)を開閉するために第1のバルブシート(27)と協同作用し、そのようにしてパイロットバルブ(44)を構成し、前記バルブ装置(2)は磁気コイル(14)によって作動可能であり、前記バルブハウジング(20)の中にマスタバルブ部材(19)が前記パイロットバルブ部材(18)に対して同軸に配置され、該マスタバルブ部材(19)は第2の流出開口部(31)を開閉するために第2のバルブシート(40)と協同作用し、そのようにしてマスタバルブ(191)を構成し、前記タンク装置(1)はねじ込みハウジング部材(24)を含み、前記バルブ装置(2)は前記ねじ込みハウジング部材(24)によって前記タンク(10)のネック領域(6)に固定的に統合され、前記バルブ装置(2)は前記タンク(10)内のタンク圧力によって、およびばね(26)によって、オフになった前記磁気コイル(14)のもとで閉止された位置に配置される、タンク装置。
【請求項2】
前記ねじ込みハウジング部材(24)は、第1のねじ山(241)を備えた付加成形部(240)と、第2のねじ山(243)を備えたカップ状の端部(242)とを有することを特徴とする、請求項1に記載のタンク装置(1)。
【請求項3】
前記ねじ込みハウジング部材(24)に貫通通路(244)が構成されていて、該貫通通路(244)を介して前記タンク(10)が前記バルブ装置(2)と接続されることを特徴とする、請求項1または2に記載のタンク装置(1)。
【請求項4】
前記第2のバルブシート(40)は前記バルブハウジング(20)および前記第2の流出開口部(31)の下流側に構成され、円筒状の前記流出開口部(31)は円筒状の通過通路(80)に連通し、前記通過通路(80)の直径Dは前記流出開口部(31)の直径dよりも大きいことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項5】
前記通過通路(80)はテーパ状の移行領域(36)によって前記流出開口部(31)へと移行することを特徴とする、請求項4に記載のタンク装置(1)。
【請求項6】
前記タンク装置(1)は固定部材(12)を有し、該固定部材(12)によって前記バルブ装置(2)が前記ねじ込みハウジング部材(24)と固定的に結合され、そのようにして前記バルブ装置(2)が前記ねじ込みハウジング部材(24)に固定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項7】
前記通過通路(80)は前記バルブハウジング(20)に構成された流入開口部(28)によって、および前記ねじ込みハウジング部材(24)の貫通通路(244)によって、タンク内部空間(100)と接続可能であることを特徴とする、請求項4または5に記載のタンク装置(1)。
【請求項8】
前記パイロットバルブ部材(18)の切欠き(45)に前記ばね(26)が配置されてばね室(25)が構成され、前記ばね(26)によって前記パイロットバルブ部材(18)と前記マスタバルブ部材(16)とが前記第2のバルブシート(40)の方向に力で付勢されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項9】
前記パイロットバルブ部材(18)は縦開口部(33)と横穴(180)とを有し、該縦開口部(33)と該横穴(180)は前記ばね室(25)と流体接続されることを特徴とする、請求項8に記載のタンク装置(1)。
【請求項10】
前記バルブハウジング(20)と前記マスタバルブ部材(19)との間に制御室(32)が構成され、該制御室(32)の中にばね(7)が配置され、該ばね(7)は前記第2のバルブシート(40)の方向と反対向きの力で前記マスタバルブ部材(19)を付勢することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項11】
前記マスタバルブ部材(19)は排出通路(56)を有し、該排出通路(56)は通過開口部(57)に連通し、前記通過開口部(57)は前記流出開口部(31)に連通することを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項12】
前記第1のバルブシート(27)は前記マスタバルブ部材(19)に構成され、前記第2のバルブシート(40)は前記バルブハウジング(20)に構成されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項13】
燃料電池の作動のための水素を貯蔵するために請求項1から12のいずれか1項に記載のタンク装置(1)を有している燃料電池機構。
【請求項14】
圧縮流体を貯蔵するために請求項1から12のいずれか1項に記載のタンク装置(1)を有している燃料電池駆動式の車両。
【請求項15】
水素を貯蔵するために請求項1から12のいずれか1項に記載のタンク装置(1)を有している水素駆動式の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体状の媒体を貯蔵するための、特に水素を貯蔵するための、たとえば燃料電池駆動部を有する車両で適用するための、または水素燃焼器を駆動部として有する車両で適用するための、タンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、制御弁を有し、配管システムを介して出力配管と接続された、少なくとも1つの貯蔵ユニットを有するタンク装置を記載している。この場合、少なくとも1つの貯蔵ユニットの少なくとも1つの制御弁がマスタバルブとして構成され、少なくとも1つの貯蔵ユニットの少なくとも1つの制御弁がスレーブバルブとして構成され、マスタバルブとスレーブバルブは別様に構成される。
【0003】
このようなタンク装置のための安全装置は標準化されている。その場合、各々のタンク装置がこのような遮蔽弁を有さなくてはならない。そのようにして遮蔽弁は、燃料電池駆動部を有する車両の事故によって引き起こされるタンク装置の損傷のときに、あるいはタンク装置の配管が破損したときに、タンク容器を閉止することができ、それによりガスがタンク装置から漏出し得なくなる。
【0004】
遮蔽弁に関わる高い安全要求事項に基づき、および、たとえば800バールまたはそれ以上の高いシステム圧力に基づき、このような遮蔽弁は設計的に非常なチャレンジであり、広い設計スペースを有する。このことは、ひいてはタンク装置全体の総重量を増やし、このことは、燃料電池駆動部を有する車両の事故の発生時に発生する高い加速度力や、バルブ装置またはタンク装置の考えられる変形につながり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102018201055号明細書
【発明の概要】
【0006】
それに対して請求項1の特徴部の構成要件を有する本発明のタンク装置は、正のエネルギーバランスをもって、および安全性関連のあらゆる基準の順守をもって、安全弁を有するコンパクトに設計されたタンク装置が設計的に簡素な方式で提供されるという利点を有する。
【0007】
そのために、気体状の媒体を、特に水素を貯蔵するためのタンク装置は、バルブ装置と、タンクと、長軸とを有する。さらにバルブ装置はバルブハウジングを有し、該バルブハウジングの中に、長軸に沿って可動のパイロットバルブ部材が配置される。パイロットバルブ部材は第1の流出開口部を開閉するために第1のバルブシートと協同作用し、そのようにしてパイロットバルブを構成する。さらに、バルブ装置は磁気コイルによって作動可能である。バルブハウジングの中にマスタバルブ部材が配置され、該マスタバルブ部材は第2の流出開口部を開閉するために第2のバルブシートと協同作用し、そのようにしてマスタバルブを構成する。さらにタンク装置はねじ込みハウジング部材を含み、バルブ装置はねじ込みハウジング部材によってタンクのネック領域に固定的に統合される。これに加えてバルブ装置はタンク内のタンク圧力によって、およびばねによって、オフになった磁気コイルのもとで閉止された位置に配置される。
【0008】
このようにして、統合型の設計形態に基づいて安全性要求を満たすとともにコスト削減を達成する、コンパクトに設計された二重切換式の遮蔽弁を実現することができる。さらに、特にオフになった磁気コイルのもとで、気体状の媒体が、特に水素が、バルブ装置を介してタンクから逃げ得ないことが確保される。というのもタンクと通過通路との間の圧力差に基づき、およびばねの力に基づき、パイロットバルブ部材がバルブシートに押圧されるからである。
【0009】
さらに、バルブ装置をタンクの外部に配置するという構造上の設計に基づき、および、その結果として生じる縮小された圧力作用面に基づき、明らかに低い軸方向押圧力がもたらされる。このように小さくなった圧力作用面は、高い圧力のもとでコンポーネント負荷を著しく低減し、このことはいっそう少ない変形、摩耗、および密閉性への影響に反映され、それに伴ってタンク装置のいっそう長い耐用寿命が実現される。
【0010】
第1の好ましい発展例では、ねじ込みハウジング部材は、第1のねじ山を備えた付加成形部と、第2のねじ山を備えたカップ状の端部とを有することが意図される。
【0011】
本発明の別の実施形態では、ねじ込みハウジング部材に貫通通路が構成されていて、該貫通通路を介してタンクがバルブ装置と接続されることが意図されるのが好ましい。このことは、特に事故が発生した場合に、タンク全体のいっそう高いロバスト性につながる。
【0012】
好ましい発展例では、第2のバルブシートはバルブハウジングおよび流出開口部の下流側に構成され、円筒状の流出開口部は円筒状の通過通路に連通し、通過通路の直径Dは流出開口部の直径dよりも大きいことが意図される。このようにして相応の圧力状況により、力がバルブ装置に対してバルブ装置の閉じた位置の方向に及ぼされる。
【0013】
本発明の別の実施形態では、通過通路はテーパ状の移行領域によって流出開口部へと移行することが意図されるのが好ましい。
【0014】
好ましい発展例では、タンク装置は固定部材を有し、該固定部材によってバルブ装置がねじ込みハウジング部材と固定的に結合され、そのようにしてバルブ装置がねじ込みハウジング部材に固定される。
【0015】
本発明の別の実施形態では、通過通路は、バルブハウジングに構成された流入開口部によって、およびねじ込みハウジング部材の貫通通路によって、タンク内部空間と接続可能であることが意図されるのが好ましい。そのようにして簡易な方式で、タンクからの気体状の媒体の流動断面積を制御可能である。
【0016】
好ましい発展例では、パイロットバルブ部材の切欠きにばねが配置されてばね室が構成され、該ばねによってパイロットバルブ部材とマスタバルブ部材とがバルブシートの方向に力で付勢されることが意図される。このようにして、ばねの力によって、およびタンクと貫通通路の間の圧力差によって、パイロットバルブ部材がバルブシートに押圧されることを保証することができる。そのようにして、通電されていない磁気コイルのもとでバルブ装置の密閉性が保証される。
【0017】
本発明の別の実施形態では、パイロットバルブ部材は縦開口部と横穴とを有し、該縦開口部と該横穴はばね室と流体接続されることが意図されるのが好ましい。そのようにして、バルブ装置を通して気体状の媒体を最善の方式で案内することができる。
【0018】
好ましい発展例では、バルブハウジングとマスタバルブ部材との間に制御室が構成され、該制御室の中にばねが配置され、該ばねは第2のバルブシートの方向と反対向きの力でマスタバルブ部材を付勢する。
【0019】
本発明の別の実施形態では、マスタバルブ部材は排出通路を有し、該排出通路は通過開口部に連通し、通過開口部は流出開口部に連通することが意図されるのが好ましい。
【0020】
好ましい発展例では、第1のバルブシートはマスタバルブ部材に構成され、第2のバルブシートはバルブハウジングに構成されることが意図される。
【0021】
上述したタンク装置は、燃料電池機構で燃料電池の動作のための水素を貯蔵するのに好ましく適している。
【0022】
さらに上述したタンク装置は、燃料電池駆動型の車両で水素を貯蔵するのに適している。
【0023】
さらに上述したタンク装置は、たとえば水素燃焼器を駆動部として有する車両などの水素駆動型の車両で水素を貯蔵するのに適している。
【0024】
図面には、気体状の媒体を、特に水素を貯蔵するための本発明によるタンク装置の実施例が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】バルブ装置を有する本発明によるタンク装置の実施例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には、気体状の媒体のための、長軸11を有する本発明によるタンク装置1の実施例が示されている。タンク装置1はタンク10とバルブ装置2とを有している。タンク10はタンクハウジング47を有していて、その中にタンク内部空間100が形成されている。さらにタンクハウジング47はネック領域6を含んでいて、これにバルブ装置2がねじ込みハウジング部材24によって統合されている。
【0027】
ここではネック領域6にねじ山の形態の結合個所が取り付けられており、それにより、バルブ装置2をねじ込みハウジング部材24によってタンク10にねじ込むことができる。さらに、バルブ装置2とねじ込みハウジング部材24をたとえばねじ止めによって互いに固定的に結合する固定部材12が設けられる。
【0028】
そのためにねじ込みハウジング部材24は、第1のねじ山241が形成された付加成形部240を有しており、それによりこれを簡易な方式でタンク10のネック領域6に挿入することができる。これに加えてねじ込みハウジング部材24は、バルブ装置2が中に収容されるカップ状の端部242を有している。さらにカップ状の端部242は、ねじ込みハウジング部材24にバルブ装置2を固定するときに固定部材12をねじ結合することができる、第2のねじ山243を有している。
【0029】
ねじ込みハウジング部材24には貫通通路244が形成されており、それにより気体状の媒体を、特に水素を、そのような方式でバルブ装置2を介してタンク内部空間100から円筒状の通過通路80を介して、たとえば燃料電池機構の燃料電池のアノード領域に供給可能である。
【0030】
バルブ装置2は、円筒状の流入開口部28が中に形成されたバルブハウジング20を有しており、流入開口部28はねじ込みハウジング部材24の貫通通路244に連通する。バルブ装置2への流入も流出も、ここではタンク装置1の長軸11に対して軸方向に行われる。
【0031】
さらにバルブハウジング20の中に磁気コイル14が収容されて統合されており、磁気コイル14は支持部材22によりバルブハウジング20の中で固定されるとともに、支持部材22にあるシール部材によってバルブ装置2の内部領域に対して封止されている。磁気コイル14は、ここでは電気接続部30を通じて作動可能である。
【0032】
バルブハウジング20の中に、長軸11に沿って可動のパイロットバルブ部材18が配置されている。パイロットバルブ部材18は、ばね室25が中に構成された切欠き45を有している。このばね室25の中に、ばね26が配置されている。さらにパイロットバルブ部材18は、ばね室25と流体接続された縦開口部33と横穴180とを有している。さらに、ばね室25は流入開口部28に連通する。
【0033】
さらにバルブ装置2の中に、マスタバルブ部材19がパイロットバルブ部材18に対して同軸に配置されており、マスタバルブ部材19はパイロットバルブ部材18を部分的に包囲する。マスタバルブ部材19には、パイロットバルブ部材18の横穴180に連通する横穴190が形成されている。さらにマスタバルブ部材19は、通過開口部57に連通する第1の流出開口部56を有している。これがさらに第2の流出開口部31に連通する。
【0034】
マスタバルブ部材19には、第1の流出開口部56を開閉するためにパイロットバルブ部材18と協同作用し、そのようにしてパイロットバルブ44を構成する第1のバルブシート27が構成されている。
【0035】
バルブハウジング20には、第2の流出開口部31を開閉するためにマスタバルブ部材19と協同作用し、そのようにしてマスタバルブ191を構成する第2のバルブシート40が構成されている。さらに第2のバルブシート40は、バルブハウジング20および第2の流出開口部31の下流側に構成されている。
【0036】
バルブハウジング20とマスタバルブ部材19との間には制御室32が形成されていて、その中に、第2のバルブシート40の方向と逆向きの力でマスタバルブ部材19を付勢するばね7が配置されている。
【0037】
ばね室25の中のばね26は、第2のバルブシート40の方向の力でパイロットバルブ部材18とマスタバルブ部材16を付勢する。さらにばね26は、一方ではねじ込みハウジング部材24に支持され、他方ではパイロットバルブ部材18に支持されている。
【0038】
通過通路80は、テーパ状の移行領域36によって第2の流出開口部31に連通し、通過通路80は直径Dを有し、第2の流出開口部31は直径dを有する。通過通路80の直径Dは、第2の流出開口部31の直径dよりも大きい。
【0039】
バルブハウジング20はここでは多部分で構成されており、それにより、磁気コイル14は多部分のバルブハウジング20の間に収容されて統合される。さらに、バルブ装置2は磁気コイル14によって作動可能である。
【0040】
さらに、タンク10内の圧力pは、通過通路80内の圧力pよりも高くなっており、それにより、ばね26の力に加えて、さらなる閉止力がパイロットバルブ部材18とマスタバルブ部材19とに対して作用し、バルブ装置1は無通電の磁気コイル14のもとで閉じた位置に配置される。
【0041】
バルブ装置2の機能形態は次のとおりである:磁気コイル14が通電されると磁場が形成され、このことは、ねじ込みハウジング部材24とパイロットバルブ部材18との間の力作用につながる。それにより、パイロットバルブ部材18に対する磁力が生成され、この磁力は、ばね26の力および気体状の媒体により生成される圧縮力と反対に向けられている。磁力が十分に高くなると、パイロットバルブ部材18が第1のバルブシート27から持ち上げられ、流入開口部28と通過通路80の間の開放断面を解放する。すると気体状の媒体がタンク内部空間100から流入開口部28、ばね室25、縦開口部33、排出通路56、および通過開口部57を介して通過経路80の中へ、引込配管50を介して消費システムの取込領域55の方向へと流れ、たとえば燃料電池機構のアノード領域の方向へと流れる。
【0042】
このことは、通過通路80が気体状の媒体で充填され、そのようにして圧力システムにより、補償作用をする圧力レベルがマスタバルブ部材19の周囲で生成されることにつながる。このとき、パイロットバルブ部材18での圧力レベルに匹敵する圧力レベルが時間とともに生じる。マスタバルブ部材19の圧力補償性により、これがばね7の力によって第2のバルブシート40から持ち上げられ、そのようにして、広い開放断面すなわち主開口部28と制御室32との間の接続を開く。そのようにして気体状の媒体が第2のバルブシート40を介してもタンク内部空間100から流入開口部28、ばね室25、縦開口部33、パイロットバルブ部材18の横穴180、マスタバルブ部材19の横穴190を介して、制御室32を通って通過通路80の中へ引込配管50を介して消費システムの取込領域53の方向へと、たとえば燃料電池機構のアノード領域の方向へと、流れる。
【0043】
磁気コイル14の通電が中断されると磁界が消滅し、パイロットバルブ部材18およびマスタバルブ部材19に対する閉止力がばね26によって、およびバルブ装置2の空気圧の圧力状況によって及ぼされる。それによってパイロットバルブ部材18とマスタバルブ部材19が再び第1のバルブシート27および第2のバルブシート40の方向へと動き、そのようにして、第1のバルブシート27および第2のバルブシート40の開放断面を再び封止する。すると気体状の媒体は、タンク装置1からバルブ装置2を介して取込領域53の方向に流れなくなる。
【0044】
バルブ装置2の自動式の閉止の原理は、たとえば電流供給が停止したときなどの緊急時にも作用する。そのようにして水素がタンク装置1の中に閉じ込められ、管理不能な形で水素が周囲に放出されないことを保証することができる。
【0045】
ここでは水素である気体状の媒体がタンク10にタンク充填されるとき、流動方向は、外部のタンクステーション54から引込配管50とバルブ装置2を介してタンク内部空間100の方向に進行する。タンク充填のときに通電されてはならないので、バルブ装置2は、バルブ装置2で生じる圧力状況を通じてバルブ装置2を加圧することができるように設計されていなければならない。タンク充電の場合には通過通路80の圧力がマスタバルブ部材19の領域におけるよりも高いので、ばね26の力に抗して、およびタンク10の中で生じている圧力に抗して、マスタバルブ部材19を押圧して開放することができ、それによってタンク10をたとえば水素などの気体状の媒体で充填することができるように、圧力状況が設計されていなければならない。タンク充填プロセスが終了するとただちに、第2のバルブシート40の前後で同じ圧力状況が生じ、それによりバルブ装置2がばね26の力を通じて再び閉じられる。それに伴い、ここでは外部のタンクステーション54に接続される引込配管50を介して、供給システムに水素が提供されるのと同一のバルブ装置2を通じてタンク内部空間100を水素で充填することができる。
【0046】
気体状の媒体を貯蔵するためのタンク装置1は、燃料電池駆動式の車両のほか、たとえば駆動部として水素燃焼器を有する車両での水素貯蔵にも利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 タンク装置
2 バルブ装置
6 ネック領域
7 ばね
10 タンク
11 長軸
12 固定部材
14 磁気コイル
18 パイロットバルブ部材
19 マスタバルブ部材
20 バルブハウジング
24 ねじ込みハウジング部材
25 ばね室
26 ばね
27 第1のバルブシート
28 流入開口部
31 第2の流出開口部
32 制御室
33 縦開口部
36 移行領域
40 第2のバルブシート
44 パイロットバルブ
45 切欠き
56 第1の流出開口部
57 通過開口部
80 通過通路
100 タンク内部空間
180 横穴
191 マスタバルブ
240 付加成形部
241 第1のねじ山
242 カップ状の端部
243 第2のねじ山
244 貫通通路
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体状の媒体を貯蔵するためのタンク装置(1)において、バルブ装置(2)と、タンク(10)と、長軸(11)とを有し、前記バルブ装置(2)はバルブハウジング(20)を有し、該バルブハウジング(20)の中に前記長軸(11)に沿って可動のパイロットバルブ部材(18)が配置され、該パイロットバルブ部材(18)は第1の流出開口部(56)を開閉するために第1のバルブシート(27)と協同作用し、そのようにしてパイロットバルブ(44)を構成し、前記バルブ装置(2)は磁気コイル(14)によって作動可能であり、前記バルブハウジング(20)の中にマスタバルブ部材(19)が前記パイロットバルブ部材(18)に対して同軸に配置され、該マスタバルブ部材(19)は第2の流出開口部(31)を開閉するために第2のバルブシート(40)と協同作用し、そのようにしてマスタバルブ(191)を構成し、前記タンク装置(1)はねじ込みハウジング部材(24)を含み、前記バルブ装置(2)は前記ねじ込みハウジング部材(24)によって前記タンク(10)のネック領域(6)に固定的に統合され、前記バルブ装置(2)は前記タンク(10)内のタンク圧力によって、およびばね(26)によって、オフになった前記磁気コイル(14)のもとで閉止された位置に配置される、タンク装置。
【請求項2】
前記ねじ込みハウジング部材(24)は、第1のねじ山(241)を備えた付加成形部(240)と、第2のねじ山(243)を備えたカップ状の端部(242)とを有することを特徴とする、請求項1に記載のタンク装置(1)。
【請求項3】
前記ねじ込みハウジング部材(24)に貫通通路(244)が構成されていて、該貫通通路(244)を介して前記タンク(10)が前記バルブ装置(2)と接続されることを特徴とする、請求項1または2に記載のタンク装置(1)。
【請求項4】
前記第2のバルブシート(40)は前記バルブハウジング(20)および前記第2の流出開口部(31)の下流側に構成され、円筒状の前記流出開口部(31)は円筒状の通過通路(80)に連通し、前記通過通路(80)の直径Dは前記流出開口部(31)の直径dよりも大きいことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項5】
前記通過通路(80)はテーパ状の移行領域(36)によって前記流出開口部(31)へと移行することを特徴とする、請求項4に記載のタンク装置(1)。
【請求項6】
前記タンク装置(1)は固定部材(12)を有し、該固定部材(12)によって前記バルブ装置(2)が前記ねじ込みハウジング部材(24)と固定的に結合され、そのようにして前記バルブ装置(2)が前記ねじ込みハウジング部材(24)に固定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項7】
前記通過通路(80)は前記バルブハウジング(20)に構成された流入開口部(28)によって、および前記ねじ込みハウジング部材(24)の貫通通路(244)によって、タンク内部空間(100)と接続可能であることを特徴とする、請求項4または5に記載のタンク装置(1)。
【請求項8】
前記パイロットバルブ部材(18)の切欠き(45)に前記ばね(26)が配置されてばね室(25)が構成され、前記ばね(26)によって前記パイロットバルブ部材(18)と前記マスタバルブ部材(16)とが前記第2のバルブシート(40)の方向に力で付勢されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項9】
前記パイロットバルブ部材(18)は縦開口部(33)と横穴(180)とを有し、該縦開口部(33)と該横穴(180)は前記ばね室(25)と流体接続されることを特徴とする、請求項8に記載のタンク装置(1)。
【請求項10】
前記バルブハウジング(20)と前記マスタバルブ部材(19)との間に制御室(32)が構成され、該制御室(32)の中にばね(7)が配置され、該ばね(7)は前記第2のバルブシート(40)の方向と反対向きの力で前記マスタバルブ部材(19)を付勢することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項11】
前記マスタバルブ部材(19)は排出通路(56)を有し、該排出通路(56)は通過開口部(57)に連通し、前記通過開口部(57)は前記流出開口部(31)に連通することを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項12】
前記第1のバルブシート(27)は前記マスタバルブ部材(19)に構成され、前記第2のバルブシート(40)は前記バルブハウジング(20)に構成されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項13】
前記気体状の媒体が水素を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載のタンク装置(1)。
【請求項14】
燃料電池の作動のための水素を貯蔵するために請求項1から13のいずれか1項に記載のタンク装置(1)を有している燃料電池機構。
【請求項15】
圧縮流体を貯蔵するために請求項1から13のいずれか1項に記載のタンク装置(1)を有している燃料電池駆動式の車両。
【請求項16】
水素を貯蔵するために請求項1から13のいずれか1項に記載のタンク装置(1)を有している水素駆動式の車両。
【国際調査報告】