IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司の特許一覧

特表2023-547430電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置
<>
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図1
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図2
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図3
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図4
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図5
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図6
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図7
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図8
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図9
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図10
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図11
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図12
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図13
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図14
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図15
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図16
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図17
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図18
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図19
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図20
  • 特表-電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20231102BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20231102BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20231102BHJP
【FI】
H01M50/262 M
H01M50/244 A
H01M50/209
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524943
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 CN2021117625
(87)【国際公開番号】W WO2023035217
(87)【国際公開日】2023-03-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 夏▲逸▼
(72)【発明者】
【氏名】于 晶晶
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 文忠
(72)【発明者】
【氏名】唐 ▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 振▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】李 星
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040CC28
5H040CC37
5H040LL06
5H040NN00
5H040NN03
(57)【要約】
本願の実施例は、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置を提供する。該電池は、電池セルと、第1部材と、を含み、前記第1部材の第1表面と少なくとも1つの前記電池セルとの間が、第1接着構造と第2接着構造とを含む接着部材により接続され、前記第1接着構造は前記第2接着構造の周囲に位置し、前記第1接着構造の破断伸び率は前記第2接着構造の破断伸び率よりも大きい。本願の実施例に係る電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置は、電池の安全性を向上することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セル(20)と、
第1部材と、を含む電池であって、
前記第1部材の第1表面(1111)と少なくとも1つの前記電池セル(20)との間が、第1接着構造(51)と第2接着構造(52)とを含む接着部材(50)により接続され、前記第1接着構造(51)は前記第2接着構造(52)の周囲に位置し、前記第1接着構造(51)の破断伸び率は前記第2接着構造(52)の破断伸び率よりも大きい、
ことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記第1接着構造(51)の破断伸び率A1は、100%≦A1≦500%を満足し、及び/又は、
前記第2接着構造(52)の破断伸び率B1は、10%≦B1≦150%を満足する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記接着部材(50)は少なくとも1つの前記電池セル(20)の第2表面(201)と、前記第1表面(1111)とを接着することに用いられ、前記第2接着構造(52)は前記第2表面(201)の中心点を被覆する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1接着構造(51)は前記第2接着構造(52)の外周を取り囲む、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の電池。
【請求項5】
前記接着部材(50)は少なくとも1つの前記電池セル(20)の第2表面(201)と前記第1表面(1111)とを接着することに用いられ、前記第2表面(201)の面積はS0であり、前記第1接着構造(51)が前記第2表面(201)に接触する面積はS1であり、前記第2接着構造(52)が前記第2表面(201)に接触する面積はS2であり、S0、S1及びS2は、
0.25≦(S1+S2)/S0<1を満足する、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の電池。
【請求項6】
S0、S1及びS2は、
0.5≦(S1+S2)/S0≦0.85を満足する、
ことを特徴とする請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記第1接着構造(51)が前記第1表面(1111)に接触する面積はS1であり、前記第2接着構造(52)が前記第1表面(1111)に接触する面積はS2であり、S1及びS2は、0.05≦S1/(S1+S2)≦0.85を満足する、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の電池。
【請求項8】
S1及びS2は、
0.15≦S1/(S1+S2)≦0.55を満足する、
ことを特徴とする請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記第1接着構造(51)の弾性率は前記第2接着構造(52)の弾性率よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の電池。
【請求項10】
前記第1接着構造(51)の弾性率A2は、10MPa≦A2≦150MPaを満足し、及び/又は、
前記第2接着構造(52)の弾性率B2は、150MPa≦B2≦1000MPaを満足する、
ことを特徴とする請求項9に記載の電池。
【請求項11】
前記第1接着構造(51)の強度は前記第2接着構造(52)の強度よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の電池。
【請求項12】
前記第1接着構造(51)の強度A3は、2MPa≦A3≦15MPaを満足し、及び/又は、
前記第2接着構造(52)の強度B3は、6MPa≦B3≦25MPaを満足する、
ことを特徴とする請求項11に記載の電池。
【請求項13】
前記電池は、複数の前記電池セル(20)を含み、複数の前記電池セル(20)と前記第1表面(1111)との間に複数の前記接着部材(50)が設けられており、複数の前記接着部材(50)と複数の前記電池セル(20)は1対1で対応する、
ことを特徴とする請求項1~12の何れか1項に記載の電池。
【請求項14】
前記第1接着構造(51)と前記第2接着構造(52)との間に隙間が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~13の何れか1項に記載の電池。
【請求項15】
前記第1接着構造(51)と前記第2接着構造(52)との間に遮断部材(53)が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~13の何れか1項に記載の電池。
【請求項16】
前記第1接着構造(51)の材料は、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂及び有機シリコーンゴムの少なくとも1種を含み、及び/又は、
前記第2接着構造(52)の材料は、エポキシ樹脂、ポリウレタン及びアクリル樹脂の少なくとも1種を含む、
ことを特徴とする請求項1~15の何れか1項に記載の電池。
【請求項17】
前記電池は、第1筐体(111)と第2筐体(112)とを含み、前記電池セル(20)が収容される収容空間を形成するように前記第1筐体(111)と前記第2筐体(112)が係合され、前記第1部材は、前記第1筐体(111)及び/又は前記第2筐体(112)を含む、
ことを特徴とする請求項1~16の何れか1項に記載の電池。
【請求項18】
前記電池は、上蓋(113)と、第1筐体(111)と、第2筐体(112)とを含み、前記電池セル(20)が収容される収容空間を形成するように前記第1筐体(111)と前記第2筐体(112)が係合され、前記上蓋(113)は前記収容空間に設けられ、前記電池セル(20)を被覆し、前記第1部材は、前記上蓋(113)を含む、
ことを特徴とする請求項1~16の何れか1項に記載の電池。
【請求項19】
前記第1筐体(111)及び/又は前記第2筐体(112)における面積の最も大きな表面は前記第1表面(1111)である、
ことを特徴とする請求項17又は18に記載の電池。
【請求項20】
前記電池セル(20)は、
電極アセンブリ(22)と、
開口が設けられており、前記電極アセンブリ(22)を収容するためのキャビティを有するケース(211)と、
前記ケース(211)の開口に蓋をするためのカバープレート(212)と、を含む、
ことを特徴とする請求項1~19の何れか1項に記載の電池。
【請求項21】
前記接着部材(50)は、前記ケース(211)における面積の最も大きな側壁と前記第1表面(1111)との間に設けられる、
ことを特徴とする請求項20に記載の電池。
【請求項22】
電気エネルギーを提供するための請求項1~21の何れか1項に記載の電池を含む、
ことを特徴とする電力利用装置。
【請求項23】
電池セル(20)を提供することと、
第1部材を提供することと、を含む電池を製造する方法であって、前記第1部材の第1表面(1111)と少なくとも1つの前記電池セル(20)との間が、第1接着構造(51)と第2接着構造(52)とを含む接着部材(50)により接続され、前記第1接着構造(51)は前記第2接着構造(52)の周囲に位置し、前記第1接着構造(51)の破断伸び率は前記第2接着構造(52)の破断伸び率よりも大きい、
ことを特徴とする電池を製造する方法。
【請求項24】
電池セル(20)を提供することと、
第1部材を提供することとに用いられる、提供モジュールを含む電池を製造する装置であって、前記第1部材の第1表面(1111)と少なくとも1つの前記電池セル(20)との間が、第1接着構造(51)と第2接着構造(52)とを含む接着部材(50)により接続され、前記第1接着構造(51)は前記第2接着構造(52)の周囲に位置し、前記第1接着構造(51)の破断伸び率は前記第2接着構造(52)の破断伸び率よりも大きい、
ことを特徴とする電池を製造する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池技術分野に関し、特に、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネ・排出削減は、自動車産業の持続可能な発展の鍵である。この場合、電気自動車は、省エネ及び環境に優しいという利点により、自動車業界の持続可能な発展の重要な部分になっている。電気自動車にとって、電池技術はその発展に関する重要な要素でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池技術の発展において、電池の性能を向上させることに加えて、安全性も無視できない問題である。電池の安全性が保証できない場合、該電池は使用できなくなる。従って、電池の安全性を如何に強化するかは、電池技術において解決すべき緊急の技術的問題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は、電池の安全性を向上することができる電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置を提供する。
【0005】
第1態様によれば、電池セルと、第1部材と、を含む電池であって、前記第1部材の第1表面と少なくとも1つの前記電池セルとの間が、第1接着構造と第2接着構造とを含む接着部材により接続され、前記第1接着構造は前記第2接着構造の周囲に位置し、前記第1接着構造の破断伸び率は前記第2接着構造の破断伸び率よりも大きい電池を提供する。
【0006】
従って、本願の実施例に係る電池は、電池セルと第1部材との間に、2種類の接着構造を含む接着部材を設置して電池セルを固定する。破断伸び率の大きな第1接着構造は破断伸び率の小さな第2接着構造の周囲に位置するように、該第1部材は電池の筐体又は筐体内の上蓋を含むことができる。このように、電池セルが膨張し変形した後、エッジ位置は破断伸び率の高い第1接着構造であり、電池セルと上蓋との間、又は電池セルと筐体との間の接続固定を保持して、該電池における電池セルの安定性を向上し、さらに電池の安全性を向上することができる。
【0007】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の破断伸び率A1は、100%≦A1≦500%を満足し、及び/又は、前記第2接着構造の破断伸び率B1は、10%≦B1≦150%を満足する。
【0008】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の破断伸び率A1は、150%≦B1≦400%を満足し、及び/又は、前記第2接着構造の破断伸び率B1は、60%≦B1≦120%を満足する。
【0009】
第1接着構造と第2接着構造の破断伸び率を合理的に設置することにより、電池セルが膨張し変形した後、破断伸び率の高い第1接着構造により、電池セルと上蓋との間、又は電池セルと筐体との間の接続固定を保持することができる。
【0010】
幾つかの実施例において、前記接着部材は少なくとも1つの前記電池セルの第2表面と前記第1表面とを接着することに用いられ、前記第2接着構造は前記第2表面の中心点を被覆する。
【0011】
電池セルが膨張する場合、電池セルの中心位置の変形量は大きく、エッジ領域の変形量は相対的に小さく、つまり、電池セルの中心位置が第1表面から離れる距離は、エッジ領域が第1表面から離れる距離よりも小さい。従って、破断伸び率が小さく強度が大きな第2接着構造を中心位置に設けることで、所在する電池セル表面の中心点を被覆することができ、電池セルと第1部材との間の安定性を確保することができる。
【0012】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造は前記第2接着構造の外周を取り囲む。
【0013】
電池セルが膨張する場合、電池セルの中心位置の変形量は大きく、電池セルのエッジ位置の変形量は小さく、つまり、電池セルのエッジ領域が第1表面から離れる距離は、中心位置の第1表面から離れる距離よりも大きい。従って、第2接着構造の周りに破断伸び率の大きな第1接着構造が周設されることで、電池セルが膨張し変形した後、電池セルの周りのエッジ領域で接着剤が裂けるというリスクを低減することができる。
【0014】
幾つかの実施例において、前記接着部材は少なくとも1つの前記電池セルの第2表面と前記第1表面とを接着することに用いられ、前記第2表面の面積はS0であり、前記第1接着構造が前記第2表面に接触する面積はS1であり、前記第2接着構造が前記第2表面に接触する面積はS2であり、S0、S1及びS2は、0.25≦(S1+S2)/S0<1を満足する。
【0015】
接着部材が第1表面に接触する面積、或いは電池セルが第2表面に接触する面積が小さい場合、該接着構造は電池セルに対する束縛力が弱く、振動衝撃により故障のリスクがあり、電池セルの容量維持率が悪くなる。接着部材が第1表面に接触する面積、或いは電池セルが第2表面に接触する面積が大き過ぎる場合、また接着剤のはみ出しを引き起こし、電池セルの電極端子又は電池ワイヤーハーネス等の構造部品に付着し、さらに、振動衝撃を引き起こして、故障のリスクがある。従って、0.25≦(S1+S2)/S0<1である場合、電池が振動においても故障しないことを確保できるだけでなく、電池の容量維持率が良い区間にあることも確保できる。
【0016】
幾つかの実施例において、S0、S1及びS2は、0.5≦(S1+S2))/S0≦0.85を満足する。
【0017】
従って、0.5≦(S1+S2)/S0≦0.85である場合、電池の振動衝撃及び容量維持率がより良くなる。
【0018】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造が前記第1表面に接触する面積はS1であり、前記第2接着構造が前記第1表面に接触する面積はS2であり、S1及びS2は、0.05≦S1/(S1+S2)≦0.85を満足する。
【0019】
幾つかの実施例において、S1及びS2は、0.15≦S1/(S1+S2)≦0.55を満足する。
【0020】
上記のように第1接着構造と第2接着構造の面積の比例を設置することにより、構造強度を確保するもとで、接着剤の使用量をできるだけ減少することができる。
【0021】
エッジ位置にある第1接着構造における接着剤塗布面積の割合は構造強度に影響を与え、一定の範囲で第1接着構造の含有量を増加させることで、電池の構造強度の向上、容量維持率の向上に寄与する。S1/(S1+S2)が1に等しい場合、即ち、第1接着構造のみを用いる場合、接着構造の電池構造に対する束縛強度が弱くなる。S1/(S1+S2)が0.02に等しい場合、殆どの接着構造が第2接着構造である時、接着剤が裂けるという問題を引き起こすことが示されている。0.05≦S1/(S1+S2)≦0.85である場合、電池が振動においても故障しないことを確保できるだけでなく、電池の容量維持率が良い区間にあることも確保できる。特に0.15≦S1/(S1+S2)≦0.55である場合、電池の耐振動衝撃性能がより良くなる。
【0022】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の弾性率は前記第2接着構造の弾性率よりも小さい。接着剤等の接着構造の破断伸び率は通常、弾性率と負の相関関係にあるので、第1接着構造の弾性率が第2接着構造の弾性率よりも小さくなるように設置されると、第1接着構造の破断伸び率が第2接着構造の破断伸び率よりも大きいことを確保して、電池セルのエッジにおいて接着剤が裂けるというリスクを低減することもできる。
【0023】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の弾性率A2は、10MPa≦A2≦150MPaを満足し、及び/又は、前記第2接着構造の弾性率B2は、150MPa≦B2≦1000MPaを満足する。
【0024】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の弾性率A2は、30MPa≦A2≦60MPaを満足し、及び/又は、前記第2接着構造の弾性率B2は、150MPa≦B2≦500MPaを満足する。
【0025】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の強度は前記第2接着構造の強度よりも小さい。接着剤等の接着構造の強度は通常、弾性率と正の相関関係にあり、破断伸び率は弾性率と負の相関関係にあるので、第2接着構造の強度が大きいと、電池セルの安定性を確保することができ、第1接着構造の強度が大きく、破断伸び率が大きいと、電池セルのエッジにおいて接着剤が裂けるというリスクを低減することができる。
【0026】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の強度A3は、2MPa≦A3≦15MPaを満足し、及び/又は、
【0027】
前記第2接着構造の強度B3は、6MPa≦B3≦25MPaを満足する。
【0028】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の強度A3は、6MPa≦A3≦15MPaを満足し、及び/又は、前記第2接着構造の強度B3は、8MPa≦B3≦25MPaを満足する。
【0029】
幾つかの実施例において、前記電池は、前記第1表面に垂直である第1方向に配列される複数の電池セルパックを含み、前記複数の電池セルパックにおける各電池セルパックは、前記第1方向に垂直である第2方向に配列される少なくとも2つの電池セルを含み、前記複数の電池セルパック中の第1電池セルパックと前記第1表面との間に前記接着部材が設けられている。
【0030】
幾つかの実施例において、前記第1電池セルパックと前記第1表面との間に複数の前記接着部材が設けられており、複数の前記接着部材と前記第1電池セルパック中の電池セルは1対1で対応する。このように、電池セルが膨張し変形する場合、各電池セルの安定性をより良く確保することができる。
【0031】
幾つかの実施例において、加工過程を簡略化するように、前記第1電池セルパックと前記第1表面との間に1つの前記接着部材が設けられている。
【0032】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造と前記第2接着構造との間に隙間が設けられている。
【0033】
上記形態において、第1接着構造と第2接着構造が同一システムにおける異なる特徴の材料を選択した場合、両者間は互いに影響し合う可能性がある。例えば、第1接着構造と第2接着構造の材料が同じポリウレタンシステムにおける異なる特性の接着剤を選択した場合、両者は反応して互いに影響し合う可能性がある。第1接着構造51と第2接着構造52との間に隙間が設けられていることで、第1接着構造51と第2接着構造52との間の相互影響を低減することができる。
【0034】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造と前記第2接着構造との間に遮断部材が設けられている。
【0035】
遮断部材を設置することにより、第1接着構造と第2接着構造との間の相互影響をより良く避けることができる。
【0036】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の材料は、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂及び有機シリコーンゴムの少なくとも1種を含み、及び/又は、前記第2接着構造の材料は、エポキシ樹脂、ポリウレタン及びアクリル樹脂の少なくとも1種を含む。
【0037】
幾つかの実施例において、前記電池は、第1筐体と第2筐体とを含み、前記電池セルが収容される収容空間を形成するように前記第1筐体と前記第2筐体が係合され、前記第1部材は、前記第1筐体及び/又は前記第2筐体を含む。
【0038】
幾つかの実施例において、前記電池は、上蓋と、第1筐体と、第2筐体とを含み、前記電池セルが収容される収容空間を形成するように前記第1筐体と前記第2筐体が係合され、前記上蓋は前記収容空間に設けられ、前記電池セルを被覆し、前記第1部材は、前記上蓋を含む。
【0039】
幾つかの実施例において、前記第1筐体及び/又は前記第2筐体における面積の最も大きな表面は前記第1表面である。
【0040】
上記形態の設置により、第1部材と電池セルとの接着面積を大きくし、両者の接着強度を向上することができる。
【0041】
幾つかの実施例において、前記電池セルは、電極アセンブリと、開口が設けられており、前記電極アセンブリを収容するためのキャビティを有するケースと、前記ケースの開口に蓋をするためのカバープレートと、を含む。
【0042】
幾つかの実施例において、前記接着部材は、前記ケースにおける面積の最も大きな側壁と前記第1表面との間に設けられる。
【0043】
上記形態の設置によれば、接着部材と電池セルとの接着面積を大きくし、両者の接着強度を向上することができる。
【0044】
第2態様によれば、電気エネルギーを提供するための第1態様における電池を含む、電力利用装置を提供する。
【0045】
幾つかの実施例において、前記電力利用装置は、車両、船舶又は宇宙機である。
【0046】
第3態様によれば、電池セルを提供することと、第1部材を提供することと、を含む電池を製造する方法であって、前記第1部材の第1表面と少なくとも1つの前記電池セルとの間が、第1接着構造と第2接着構造とを含む接着部材により接続され、前記第1接着構造は前記第2接着構造の周囲に位置し、前記第1接着構造の破断伸び率は前記第2接着構造の破断伸び率よりも大きい電池を製造する方法を提供する。
【0047】
第4態様によれば、上記第3態様の方法を実行するモジュールを含む、電池を製造する装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本願の一実施例に開示される車両の概略構成図である。
図2】本願の一実施例に開示される電池の概略分解図である。
図3】本願の一実施例に開示される電池セルの概略分解図である。
図4】本願の一実施例に開示される電池の別の概略分解図である。
図5図4に示す電池の部分断面図である。
図6】本願の一実施例に開示される電池のまた別の概略分解図である。
図7図6に示す電池の部分断面図である。
図8】本願の一実施例に開示される電池セルと接着部材の概略分解図である。
図9】本願の一実施例に開示される接着部材が設けられている電池セルの模式図である。
図10】本願の一実施例に開示される接着部材が設けられている電池セルの膨張時の側面図である。
図11図8に示すA-A’方向の部分断面図である。
図12】本願の一実施例に開示される電池セルと接着部材の別の概略分解図である。
図13】本願の一実施例に開示される接着部材が設けられている電池セルの膨張時の別の模式図である。
図14図8に示すA-A’方向の別の部分断面図である。
図15】本願の一実施例に開示される電池のまた別の概略分解図である。
図16図15に示す電池の部分断面図である。
図17】本願の一実施例に開示される複数の電池セルと接着部材の概略分解図である。
図18】本願の一実施例に開示される接着部材が設けられている複数の電池セルの模式図である。
図19】本願の一実施例に開示される接着部材が設けられている複数の電池セルの側面図である。
図20】本願の一実施例に開示される電池を製造する方法の概略的フロー図である。
図21】本願の一実施例に開示される電池を製造する装置の概略的ブロック図である。
【0049】
図面において、図面は実際の比例に応じて描かれたものではない。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面及び実施例に基づき本願の実施の態様をさらに詳しく説明する。下記の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するためのものであるが、本願の範囲を制限するために使用され得ず、即ち、本願は説明された実施例に制限されるものではない。
【0051】
なお、本願の説明において、特に断らない限り、「複数」とは2つ以上を意味する。「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などにより示される方位又は位置関係は、本願を容易に説明し、説明を簡略化するためのものに過ぎず、示される装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成又は操作されることを指示又は暗示するものではない。従って、本願を制限するものと理解されるべきではない。これに加えて、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、目的を説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものと理解されるべきではない。「垂直」とは厳密な意味での垂直ではなく、許容誤差範囲にある。「平行」とは厳密な意味での平行ではなく、許容誤差範囲にある。
【0052】
以下の説明で出現する方位用語はすべて図面に示される方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。なお、本願の説明において、別途明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」という用語は、広く理解されるべきである。例えば、固定するように接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよい。直接連結されてもよく、中間仲介部材によって間接的に連結されてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて、本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0053】
本願において、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。電池セルは、円柱体、扁平体、長方体、又はその他の形状などであってもよく、本願の実施例はこれについても限定しない。電池セルは一般的に、包装方法に応じて、円筒形電池セル、四角形電池セル及びパウチ電池セルの3つのタイプに分けられ、本願の実施例はこれについても限定しない。
【0054】
本願の実施例で言及される電池は、より高い電圧と容量を提供するために1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。電池パックは一般的に、1つ又は複数の電池セルをカプセル化するための筐体を含む。筐体は、液体又はその他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えるのを避けることができる。
【0055】
電池セルは、正極プレート、負極プレート及びセパレータで構成された電極アセンブリと、電解液と、を含む。電池セルは主に、金属イオンが正極プレートと負極プレートとの間を移動することにより動作する。正極プレートは正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面にコーティングされ、正極活物質層でコーティングされていない集電体は、正極活物質層でコーティングされた集電体から突出し、正極活物質層でコーティングされていない集電体は正極タブとして使用されている。リチウムイオン電池を例に挙げると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極プレートは負極集電体と、負極活物質層と、を含み、負極活物質層は負極集電体の表面にコーティングされ、負極活物質層でコーティングされていない集電体は、負極活物質層でコーティングされた負極集電体から突出し、負極活物質層でコーティングされていない集電体は負極タブとして使用されている。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はケイ素などであってもよい。溶断せずに大きな電流を通すことを確保するように、正極タブは複数であり、積み重ねられており、負極タブは複数であり、積み重ねられている。セパレータの材質はPP又はPEなどであってもよい。また、電極アセンブリは、巻取構造であっても、積層構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0056】
また、電池セルの安全性能を向上するために、一般的に、電池セルにはさらに圧力解放機構が設けられる。圧力解放機構は、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達する時に内部圧力又は温度を解放するように作動する素子又は部材を指す。該所定の閾値は設計要求によって調整することができる。前記閾値は、電池セル内の正極プレート、負極プレート、電解液及びセパレータの1つ又は複数の材料に依存することが可能である。圧力解放機構は、例えば、圧力感応又は温度感応素子又は部材を用いることができる。即ち、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達する場合、圧力解放機構は作動して、内部圧力又は温度を解放することが可能な通路を形成する。
【0057】
電池技術の発展では、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レートなどの性能パラメータなど、多くの設計要素を同時に考慮する必要がある。また、電池の安全性を考慮する必要もある。
【0058】
電池の安全性には、多くの点を含む。なかでも、電池セルを固定する点で、電池における電池セルの安定性及び安全性を向上するために、通常、接着構造により複数の電池セルを筐体内に固定し取り付ける。電池セルと筐体のある表面との間に、構造用接着剤で粘着により、電池セルが筐体内に固定されることを例に挙げると、構造用接着剤を選択する場合、通常、2つのタイプを含む。一方は「高強度接着剤」である。このような接着剤の接着強度が大きく、筐体と強固に接着され、「高強度接着剤」の高強度により筐体と電池セルの同期変形を実現できる。しかし、電池セルの使用過程で、電池セルは膨張し変形する可能性があり、このような「高強度接着剤」の形態では、接着剤の強度に制限されて、電池セルが膨張し変形した後、そのエッジに接着剤が裂けるというリスクがある可能性が高く、かつ高強度接着剤が低温振動衝撃においても接着剤が裂けるというリスクがある。他方は「高弾性接着剤」である。このような接着剤は高弾性及び高伸び率を有し、接着剤の変形能力が強く、変形とともに延伸することができ、さらに、接着剤が変形することにより筐体と電池セルとの間の同期変形が実現される。しかし、このような「高弾性接着剤」の形態では、接着剤の伸び率が大きく相対強度が低いので、電池全体の剛度が低く、構造が安定せず、電池の使用過程で、電池セルと筐体との間は十分に安定せず、構造破壊のリスクがある。
【0059】
従って、本願の実施例に係る電池セルの表面に設置される接着部材は、2種類の接着構造を含む。第1接着構造は第2接着構造の周囲に位置し、かつ第1接着構造の破断伸び率は第2接着構造の破断伸び率よりも大きい。このように、電池における電池セル全体の剛度及び安定性を確保できるだけでなく、電池セルの膨張変形により接着剤が裂けることもなく、さらに、接着剤が裂けた後振動衝撃による電池の故障を避けることが可能である。
【0060】
本願の実施例に説明される技術的解決手段は、いずれも、携帯電話、ポータブルデバイス、ノートパソコン、電動自転車、電気玩具、電動工具、電気自動車、船舶、及び飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙シャトルなどを含む宇宙機のような、電池を使用する様々な装置に適用される。
【0061】
なお、本願の実施例に説明される技術的解決手段は、上述したデバイスに適用されるだけでなく、電池を使用する全てのデバイスにも適用可能である。しかし、説明の便宜上、下記の実施例はいずれも、電気自動車を例として説明する。
【0062】
例えば、図1に示すように、本願の一実施例に係る車両1の概略構成図である。車両1は、燃料自動車、ガソリン自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、バッテリー式電気自動車、ハイブリッド車又はジエクステンダー式電気自動車等であってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10が設置されてもよい。コントローラ30は、電池10を制御してモータ40に電力を提供することに用いられる。例えば、車両1の底部又は車両の前部又は後部に電池10を設置することができる。電池10は車両1に電力を提供することに用いられてもよい。例えば、電池10は車両1の操作電源として、車両1の回路システムに使用されてもよい。例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び走行時の動作電力の需要に用いられる。本願の別の実施例において、電池10は車両1の操作電源だけでなく、車両1の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は一部代替して車両1に駆動の動力を提供することもできる。
【0063】
様々な電力使用の需要を満たすために、電池は、複数の電池セルを含んでもよく、なかでも、複数の電池セル間は直列接続、並列接続又は直並列接続されてもよい。直並列接続とは、直列接続と並列接続を混合したものを指す。電池は電池パックと呼ばれてもよい。幾つかの実施例において、複数の電池セルはまず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池を構成することができる。つまり、複数の電池セルは電池を直接構成してもよく、まず電池モジュールを構成して、さらに電池モジュールで電池を構成してもよい。
【0064】
例えば、図2に示すように、本願の一実施例に係る電池10の概略構成図である。電池10は、複数の電池セル20からなる電池モジュール200を少なくとも1つ含んでもよい。電池10は筐体をさらに含んでもよい。筐体の内部は中空構造であり、複数の電池セル20が筐体内に収容されている。図2に示すように、筐体は、ここでそれぞれ第1筐体111と第2筐体112と呼ばれる2つの部分を含んでもよく、第1筐体111と第2筐体112が嵌合されている。第1筐体111及び第2筐体112の形状は電池モジュール200が組み合わせられた形状に応じて決定されてもよく、第1筐体111及び第2筐体112の少なくとも1つは1つの開口を有する。例えば、図2に示すように、該第1筐体111及び第2筐体112はいずれも、中空の長方体であり、それぞれ1つの面のみが開口面であり、第1筐体111の開口及び第2筐体112の開口が対向して設置され、且つ第1筐体111及び第2筐体112は互いに嵌合して密閉チャンバを有する筐体を形成する。また、例えば、図2に示すのとは異なり、開口を覆うように、第1筐体111及び第2筐体112の一方のみは開口を有する中空長方体であり、他方は板状であることが可能である。例えば、ここで、第2筐体112が中空長方体であり、かつ1つの面のみが開口面であり、第1筐体111が板状であることを例に挙げると、第1筐体111は、第2筐体112の開口部に覆われて、複数の電池セル20を収容することに用いられ得る閉鎖チャンバを有する筐体を形成する。複数の電池セル20は、互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続されて組み合わせられた後、第1筐体111及び第2筐体112によって嵌合された後に形成された筐体内に置かれる。
【0065】
幾つかの実施例において、電池10は、他の構造を含んでもよく、ここで重複する説明を省略する。例えば、該電池10は、複数の電池セル20間の電気的接続、例えば、並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するための合流部材をさらに含んでもよい。具体的には、合流部材は、電池セル20の電極端子を接続することによって、電池セル20間の電気的接続を実現できる。さらに、合流部材は、溶接によって電池セル20の電極端子に固定され得る。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに、導電機構によって筐体を通過して導出され得る。
【0066】
様々な電力の需要に応じて、電池モジュール200中の電池セル20の数は任意の数にされてもよい。大きな容量又は電力を実現するために、複数の電池セル20は直列接続、並列接続又は直並列接続されてもよい。各電池10に含まれている電池セル20の数が多い可能性があるので、組立を容易にするために、電池セル20をグループに分けて設置して、各グループの電池セル20で電池モジュール200を構成することができる。電池モジュール200に含まれている電池セル20の数は限定されず、必要に応じて設けられてもよい。
【0067】
図3は本願の一実施例に係る電池セル20の概略構成図である。電池セル20は、1つ又は複数の電極アセンブリ22、ケース211及びカバープレート212を含む。ケース211及びカバープレート212によってハウジング21が形成される。ケース211の壁及びカバープレート212はいずれも電池セル20の壁と呼ばれる。ケース211は、1つ又は複数の電極アセンブリ22を組み合わせた後の形状に応じて決定される。例えば、ケース211は、中空の長方体又は正方体又は円柱体であってもよく、1つ又は複数の電極アセンブリ22をケース211内に置くことができるように、ケース211の1つの面は開口を有する。例えば、ケース211が中空の長方体又は正方体である場合、ケース211の1つの平面は開口面であり、即ち、ケース211の内外が通じ合うように該平面は壁体を有しない。ケース211が中空の円柱体であってもよい場合、ケース211の端面は開口面であり、即ち、ケース211の内外が通じ合うように該端面は壁体を有しない。カバープレート212は開口を被覆し、ケース211と接続されて、電極アセンブリ22が置かれる密閉のチャンバが形成される。ケース211内に電解質、例えば、電解液が充填されている。
【0068】
該電池セル20は、カバープレート212に設置される2つの電極端子214をさらに含んでもよい。カバープレート212は通常、平板形状であり、2つの電極端子214は、カバープレート212の平面に固定され、それぞれ、正電極端子214aと負電極端子214bである。2つの電極端子214の極性は逆である。例えば、第1電極端子214aが正電極端子である場合、第2電極端子214bは負電極端子である。各電極端子214には、電極アセンブリ22と電極端子214との電気的接続を実現するための、カバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置する1つの接続部材23がそれぞれ対応して設置される。
【0069】
図3に示すように、各電極アセンブリ22は、第1タブ221aと第2タブ222aとを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は逆である。例えば、第1タブ221aが正極タブである場合、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1タブ221aは、一方の接続部材23を介して一方の電極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2タブ222aは、他方の接続部材23を介して他方の電極端子に接続される。例えば、正電極端子214aは、一方の接続部材23を介して正極タブに接続され、負電極端子214bは、他方の接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0070】
該電池セル20において、実際の必要に応じて、電極アセンブリ22は、1つ又は複数にされてもよい。図3に示すように、電池セル20には、4つの独立した電極アセンブリ22が設置されている。
【0071】
この他に、電池セル20の安全性を向上するために、さらに、電池セル20の1つの壁に圧力解放機構が設置されてもよい。例えば、電池セル20の第1壁に圧力解放機構が設置されてもよい。なかでも、該第1壁は電池セル20の何れか1つの壁であってもよい。圧力解放機構は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達する時に作動して、内部圧力又は温度を解放することに用いられる。具体的には、電池セル20に発生したガスが多すぎて、ケース211の内部圧力が上昇し閾値に達する時に、又は電池セル20の内部で反応して熱量を生じることにより電池セル20の内部温度が上昇し閾値に達する時に、圧力解放機構は破裂することにより、ケース211内外が通じ合い、ガス圧力及び温度が圧力解放機構の開裂により外部へ解放され、さらに電池セル20の爆発を避けることが可能である。
【0072】
本願の実施例において、電池セル20は筐体内に固定される必要がある。例えば、電池セル20の表面に構造用接着剤を設置して、電池セル20を固定することを例に挙げると、構造用接着剤を選択する場合、通常、2つのタイプを含む。一方は「高強度接着剤」である。このような接着剤の接着強度が大きく、電池セル20が筐体と強固に接着され、「高強度接着剤」の高強度により筐体と電池セル20の同期変形を実現できる。しかし、電池セル20の使用過程で、電池セル20は膨張し変形する可能性があり、このような「高強度接着剤」の形態では、接着剤の強度に制限されて、電池セル20が膨張し変形した後、そのエッジに接着剤が裂けるというリスクがある可能性が高く、かつ高強度接着剤が低温振動衝撃においても接着剤が裂けるというリスクがある。他方は「高弾性接着剤」である。このような接着剤は高弾性及び高伸び率を有し、接着剤の変形能力が強く、変形とともに延伸することができ、さらに、接着剤が変形することにより筐体と電池セル20との間の同期変形が実現される。しかし、このような「高弾性接着剤」の形態では、接着剤の伸び率が大きく相対強度が低いので、電池10全体の剛度が低く、構造が安定せず、電池10の使用過程で、電池セル20と筐体との間は十分に安定せず、構造破壊のリスクがある。
【0073】
従って、本願の実施例は、上記問題を解決することができる電池を提供している。
【0074】
図4及び図6には、それぞれ本願の異なる実施例の電池10の分解模式図が示されている。それに応じて、図5図4に示す電池10の部分断面図であり、図7図6に示す電池10の部分断面図である。図4図7に示すように、該電池10は、電池セル20と、第1部材と、を含み、第1部材の第1表面1111と少なくとも1つの電池セル20との間が、第1接着構造51及び第2接着構造52を含む接着部材50により接続され、第1接着構造51は第2接着構造52の周囲に位置し、第1接着構造51の破断伸び率は第2接着構造52の破断伸び率よりも大きい。
【0075】
従って、本願の実施例に係る電池10は、電池セル20と第1部材との間に、2種類の接着構造を含む接着部材50を設置して電池セル20を固定する。破断伸び率の大きな第1接着構造51が破断伸び率の小さな第2接着構造52の周囲に位置するように、該第1部材は、電池10の筐体又は筐体内の上蓋113を含むことができる。このように、電池セル20が膨張し変形した後、エッジ位置は破断伸び率の高い第1接着構造51であり、電池セル20と上蓋113との間、又は電池セル20と筐体との間の接続固定を保持して、該電池10における電池セル20の安定性を向上し、さらに電池10の安全性を向上することができる。
【0076】
なお、本願の実施例において、第1接着構造51が第2接着構造52の周囲に設けられることは、該第1接着構造51が該第2接着構造52の外周を取り囲むこと、又は、該第1接着構造51が第2接着構造52の周りの一部の領域に設けられ、第2接着構造52を不完全に取り囲むことを含むが、本願の実施例は、これに限定されない。説明の便宜上、本願の実施例では、主として第1接着構造51が第2接着構造52を取り囲むことを例として説明する。
【0077】
そして、本願の実施例における第2接着構造52の形状は実際の応用に応じて設置されてもよい。例えば、該第2接着構造52は矩形又は円形であってもよい。それに応じて、第1接着構造51の形状は実際の応用に応じて設置されてもよい。例えば、該第1接着構造52は角リング又は円形リングに設置されてもよいが、本願の実施例は、これに限定されない。説明の便宜上、本願の実施例では、主として第1接着構造51が角リングであり、第2接着構造52が方形であることを例として説明する。
【0078】
なお、本願の実施例に係る第1部材の第1表面は、該第1部材が電池セル20と接続される何れか1つの表面であってもよく、かつ該第1部材は1つ又は複数の第1表面1111を含んでもよい。具体的には、該第1部材は筐体を含んでもよく、該筐体は第1筐体111及び第2筐体112を含んでもよく、該第1表面1111は第1筐体111又は第2筐体112の何れか1つの表面であってもよい。幾つかの実施例において、該第1部材はさらに上蓋113を含んでもよく、該第1表面1111はさらに上蓋113の1つの表面であってもよい。
【0079】
幾つかの実施例において、図4図7に示すように、電池10に上蓋113が含まれると、該上蓋113は通常電池セル20と筐体との間に設けられる。例えば、図4図7では、該上蓋113が電池セル20と筐体の第1筐体111との間に設けられることを例に挙げると、該電池10における電池セル20は、接着部材50により上蓋113と接続固定され得る。即ち、上蓋113の電池セル20に向かう表面は第1表面1111である。また、筐体内には上蓋113が設けられていない一側に、例えば、図4図7における電池セル20と第2筐体112との間に、さらに、接着部材50により電池セル20を直接筐体の第2筐体112の表面に固定してもよい。例えば、図4図7に示すように、電池セル20は、第2筐体112と接続固定されてもよく、即ち、第2筐体112は第1表面1111を有してもよい。
【0080】
幾つかの実施例において、電池10に上蓋113が含まれないと、電池セル20と第1筐体111との間は接着部材50により固定接続されてもよく、即ち、該第1筐体111は第1表面1111を有する。そして、電池セル10と第2筐体112との間に接着部材50が設置されてもよく、即ち、該第2筐体112は第1表面1111を有してもよいが、本願の実施例は、これに限定されない。
【0081】
なお、説明の便宜上、本願の図面において、いずれも、電池10に上蓋113を有することを例に挙げる。第1表面1111は、図4図7に示される第2筐体112の1つの内面、及び上蓋113の電池セル20に向かう1つの表面を含むことを例に挙げ、即ち、該第2筐体112の電池セル20に向かう面積の最も大きな表面は第1表面1111であり、上蓋の電池セル20に向かう表面も第1表面1111であるが、本願の実施例は、これに限定されない。
【0082】
なお、本願の実施例における電池10は、複数の電池セル20を含んでもよく、該複数の電池セル20における各電池セル20の設置方向は、実際の応用に応じて柔軟に設置されてもよい。具体的には、ここで図3に示すような長方体の電池セル20を例として説明し、それに、このような複数の電池セル20を筐体内に固定し取り付ける場合、各電池セル20の筐体における設置方向は同じであってもよい。
【0083】
図4図7に示すように、電池10には、第1方向Yに配列される複数の電池セルパックを含んでもよい。第1方向Yは第1表面1111に垂直であり、即ち、電池10における電池セル20が1層又は複数層に設置され、各層の電池セル20で1つの電池セルパックが構成されてもよい。例えば、図4図7において2層を例に挙げ、即ち、2つの電池セルパックを含む。該複数の電池セルパックにおける各電池セルパックは、第1方向Yに垂直である第2方向Xに配列される少なくとも2つの電池セル20を含む。例えば、図4図7において、各電池セルパックに、X方向に配列される6つの電池セル20が含まれることを例として、かつ、本明細書において、図4図7に示すような各電池セルパックに、1列の電池セルのみを含むことを例としてを例として説明したが、電池10に含まれる各電池セルパック内には、1列ごとに第2方向Xに配列される少なくとも2つの電池セル20を含む複数列の電池セルを含んでもよく、本願の実施例は、これに限定されない。
【0084】
本願の実施例において、複数の電池セルパック中の第1電池セルパックと第1表面1111との間に接着部材50が設けられており、即ち、第1電池セルパック中の電池セル20の第2表面201と第1表面1111との間に接着部材50が設けられている。具体的には、該複数の電池セルパックには1つ又は複数の第1電池セルパックを含んでもよい。例えば、図4図7に示すように、複数の電池セルパックに最上の一層に位置する電池セルパックが上蓋113の第1表面1111と接続固定され得るので、該最上の一層の電池セルパックは第1電池セルパックであってもよい。即ち、該最上の第1電池セルパックにおける電池セル20の上表面は第2表面201であり、該第2表面201と第1表面1111との間に接着部材50が設けられている。同様に、図4図7に示すように、該複数の電池セルパックに最下の一層に位置する電池セルパックが第2筐体112の第1表面1111と接続固定され得るので、該最下の一層の電池セルパックは第1電池セルパックであってもよい。即ち、該下の第1電池セルパックの電池セル20の下表面は第2表面201であってもよく、該第2表面201と第2筐体112の第1表面1111との間に接着部材50が設けられている。
【0085】
なお、本願の実施例における電池セル20は長方体であり、第1電池セルパック中の電池セル20の第2表面201と第1表面1111との間に接着部材50が設けられており、なかでも、接着部材50と電池セル20との間の接着面積を大きくし、両者の接着強度を向上するように、該第2表面201は各電池セル20の表面積の最も大きな表面であってもよい。例えば、図4図7に示すように、長方形の電池セル20は6つの側壁を有し、なかでも、ケース211は2つの面積の大きな側壁を有し、該側壁には、接着部材50が設けられている第2表面201を形成することができる。このように電池セル20を設置することで、電池セル20の放熱により寄与することができる。
【0086】
本願の実施例において、第1電池セルパックと第1表面1111との間に1つ又は複数の接着部材50が設けられてもよい。説明の便宜上、以下に図面に基づき、まず該第1電池セルパックと第1表面1111との間に複数の接着部材50が設けられていることを例に、本願の実施例に係る接着部材50を詳しく説明する。
【0087】
幾つかの実施例において、1つの実施例として、該第1電池セルパックと第1表面1111との間に複数の接着部材50が設けられていてもよい。例えば、図4図7に示すように、該複数の接着部材50と第1電池セルパック中の電池セル20は1対1で対応する。
【0088】
図4及び図5に対応して、図8には図4及び図5における電池セル20と接着部材50の分解模式図が示されており、図9には電池セル20の表面に接着部材50が設置される模式図が示されており、図10は表面に接着部材50が設置される電池セル20の膨張時の側面図であり、図11図10に示すA-A’方向の部分断面図である。図8図11に示すように、1つの電池セル20の第2表面201に、第1接着構造51及び第2接着構造52を含む1つの接着部材50が設けられており、該第1接着構造51は第2接着構造52の周囲に設けられる。このように、電池セル20が膨張し変形する場合、各電池セル20の安定性をより良く確保することができる。
【0089】
なお、該接着部材50は1つの電池セル20の第2表面201のいずれかの領域に位置してもよい。例えば、図8図11に示すように、接着部材50はほぼ完全に該電池セル20の第2表面201を被覆することができる。又は、該接着部材50は第2表面201の一部の領域を占めることもできる。そして、図11に示すように、電池セル20が膨張し変形した後、電池セル20の第2表面201の中心領域の変形量は大きく、エッジ領域の変形量は小さく、つまり、電池セル20の中心位置が第1表面1111から離れる距離は、エッジ領域が第1表面1111から離れる距離よりも小さい。従って、破断伸び率が小さく強度が大きな第2接着構造52を各電池セル20の中心位置に設けることができる。即ち、第1接着構造51が第2表面201の周りのエッジ位置にあるように、第2接着構造52は電池セル20の中心点を被覆する。なかでも、電池セル20の第2表面201の中心領域又は中心位置は、該電池セル20の第2表面201の中心点を含む。このように、電池セル20の中心位置における第2接着構造52は、電池セル20と第1表面1111との間の相対的安定性を確保でき、各電池セル20の周りのエッジにおける第1接着構造51の相対的に大きな破断伸び率は、各電池セル20の周りのエッジと第1表面1111との間で接着剤が裂けないことを確保できる。
【0090】
幾つかの実施例において、1つの電池セル20の第2表面201の面積をS0と表示し、それに応じて、第1接着構造51が第2表面201に接触する面積はS1(それに応じて、第1接着構造51が第1表面1111に接触する面積もS1と表示され得る)であり、第2接着構造52が第2表面201に接触する面積はS2(それに応じて、第2接着構造52が第1表面1111に接触する面積もS2と表示され得る)であり、S0、S1及びS2は、0.25≦(S1+S2)/S0<1を満足するように設置されてもよい。例えば、S0、S1及びS2は、0.5≦(S1+S2)/S0≦0.85を満足するように設置されてもよい。さらに、S1及びS2は、0.05≦S1/(S1+S2)≦0.85を満足するように設置されてもよい。例えば、S1及びS2は、0.15≦S1/(S1+S2)≦0.55を満足するように設置されてもよい。
【0091】
幾つかの実施例において、図8図11において、第1接着構造51は第2接着構造52の外周を取り囲むが、第1接着構造51及び第2接着構造52は異なる材料であるので、図6及び図7に示すように、第1接着構造51と第2接着構造52との間の相互影響を避けるように、第1接着構造51と第2接着構造52との間に遮断部材53をさらに設置してもよい。
【0092】
図6及び図7に対応して、図12には図6及び図7における電池セル20と接着部材50の別の分解模式図が示されている。それに応じて、図13には電池セル20の表面に接着部材50が設置され、電池セルが膨張する時の別の模式図が示されている。そして、図12及び図13に示す電池セル20について、その側面図は依然として図10であってもよく、対応するA-A’方向の部分断面図は図14に示す通りである。図12図14に示すように、1つの電池セル20の第2表面201に、第1接着構造51及び第2接着構造52を含む1つの接着部材50が設けられている。また、該第1接着構造51と第2接着構造52との間に遮断部材53が設けられている。
【0093】
幾つかの実施例において、第1接着構造51と第2接着構造52との間の相互影響を阻害するように、該遮断部材53はフォーム、プラスチック部品等であってもよい。そして、該遮断部材53の形状は実際の応用に応じて設置されてもよい。例えば、第1接着構造51及び第2接着構造52の形状に応じて、対応して遮断部材53の形状を設置することができる。例えば、図12図14において、該遮断部材53が角リングであることを例に挙げる。
【0094】
幾つかの実施例において、第1接着構造51と第2接着構造52との間の相互影響を避けるために、該遮断部材53が設置されないと、該第1接着構造51と第2接着構造52との間に隙間が設けられていてもよい。このように、余分の部材を設置する必要がなく、設置方式も簡単である。例えば、図12図14には、遮断部材53のある位置に隙間を設置するように変更することで、同様に第1接着構造51と第2接着構造52との間の相互影響を避けることができる。本願の実施例は、これに限定されない。
【0095】
なお、遮断部材53又は隙間がある場合、依然として上記S0、S1及びS2が満足する関係に従い、第1接着構造51及び第2接着構造52の比例を割り当てることができる。ここで重複する説明は省略する。
【0096】
以上の図4図14における各実施例について、上記のように第1接着構造51及び第2接着構造52の面積の比例を設置することにより、構造強度を確保するもとで、接着剤の使用量をできるだけ減少することができる。
【0097】
電池セル20と接着部材50は1対1で対応し、かつ遮断部材53を設置することを例に、電池10を測定する。なかでも、該第1接着構造51及び第2接着構造52はいずれも、ポリウレタン材を用いることを例に挙げることができる。具体的には、測定する前に、まず表1中の「初期比例(S1+S2)/S0」に説明されたパラメータに従い、それぞれ接着部材50の面積の比例を設置し、かつ、第1接着構造51及び第2接着構造52の面積の比例S1/(S1+S2)が0.15に設置され、測定条件は60℃であった。なかでも、接着部材50が1つの電池セル20の1つの側壁の表面に設けられることを考えると、該接着部材50が該表面に接触する面積と該表面の面積との比例は1よりも大きくなることが可能ではない。そのため、表1中の「初期比例(S1+S2)/S0」の数値はすべて、1よりも小さいか、又はそれに等しい。サイクル試験において、電圧範囲は2.8Vから4.2Vであり、2Cの倍率で充電してから、3Cの倍率で放電し、800回のサイクルを経てサイクル容量保持率を得た。該サイクル容量保持率は800回目のサイクルの3C放電容量の、2回目の3C放電容量に対する比例であり、該サイクル容量保持率は表1中の「容量維持率」であった。そして、800回のサイクル後、カップリング温度で振動衝撃測定を行って、表1中の「振動衝撃」の結果を決めた。振動衝撃測定にパスすると、超音波検出器で電池セル20の表面における残りの接着部材50の面積の比例を決めれば、対応して表1における最後の1列の「残りの接着剤面積比」を得た。該残りの接着剤の面積比は依然として(S1+S2)/S0に設置された。
【0098】
【表1】
【0099】
表1から分かるように、接着部材50が第1表面1111に接触する面積、或いは電池セル20が第2表面201に接触する面積が小さい場合、特に面積の比例(S1+S2)/S0が0.25よりも小さい場合、例えば、(S1+S2)/S0が0.2に等しい場合、該接着構造50は電池セル20に対する束縛力が弱く、振動衝撃により故障のリスクがあり、電池セル20の容量維持率が悪くなる。接着部材50が第1表面1111に接触する面積、或いは電池セル20が第2表面201に接触する面積が大き過ぎる場合、例えば面積の比例(S1+S2)/S0が1に等しい場合、また接着剤のはみ出しを引き起こし、電池セル20の電極端子又は電池ワイヤーハーネス等の構造部品に付着し、さらに、振動衝撃を引き起こして、故障のリスクがある。従って、0.25≦(S1+S2)/S0<1である場合、電池が振動においても故障しないことを確保できるだけでなく、電池の容量維持率が良い区間にあることも確保できる。
【0100】
実施例1~実施例2のデータから分かるように、(S1+S2)/S0が0.25に等しい場合、電池容量維持率は、実施例2及び実施例3の電池容量維持率に比べ低減し、残りの接着剤面積比も低減した。従って、0.5≦(S1+S2)/S0≦0.85である場合、電池の振動衝撃と容量維持率がより良くなる。
【0101】
さらには、表1の測定条件と同様に、依然として図6及び図7の実施例を例に挙げると、表2に示すように、S1とS2の比が異なる場合、測定結果は表2に示す通りであった。具体的には、表2に示すように、(S1+S2)/S0が0.85に設置される場合、S1とS2の比例を調整し、即ち、表2に示す「S1/(S1+S2)」に従いS1とS2の比例を設置して、対応する3種類の性能を得、なかでも、「残りの接着剤面積比」は振動衝撃測定を経た後、測定し取得したS1/(S1+S2)の比であった。
【0102】
【表2】
【0103】
表2から分かるように、エッジ位置にある第1接着構造51における接着剤塗布面積の割合は構造強度に影響を与え、一定の範囲で第1接着構造51の含有量を増加させることで、電池10の構造強度の向上、容量維持率の向上に寄与する。S1/(S1+S2)が1に等しい場合、電池10が振動衝撃により故障することから、第1接着構造51のみを用いると、接着構造50の電池10に対する束縛強度が弱くなることが示されている。S1/(S1+S2)が0.02に等しい場合、電池10が振動衝撃により故障することから、殆どの接着構造50が第2接着構造52である場合、依然として接着剤が裂けるという問題を引き起こすことが示されている。0.05≦S1/(S1+S2)≦0.85である場合、電池10が振動においても故障しないことを確保できるだけでなく、電池10の容量維持率が良い区間にあることも確保できる。実施例5~実施例9を比較すれば、0.15≦S1/(S1+S2)≦0.55である場合、残りの接着剤面積比は0.62-0.82であり、電池10の耐振動衝撃性能がより良くなることが分かっている。
【0104】
なお、該接着部材50の厚さhは0.02cm≦h≦1cmに設置されてもよく、例えば、0.05cm≦h≦0.5cmに設置されてもよい。
【0105】
なお、上記図8図14はいずれも、1つの電池セル20に対応して1つの接着部材50が設置されることを例として説明したが、これとは異なり、第1電池セルパックに複数の電池セル20が1つの接着部材50に対応するように設置されてもよい。
【0106】
幾つかの実施例において、別の実施例として、本願の実施例における複数の電池セル20に対応して1つの接着部材50が設置されてもよい。例えば、図15には、本願の実施例に係る電池10の別の分解模式図が示されており、図16図15の部分断面図であり、図15及び図16に示すように、第1電池セルパックと第1表面1111との間に1つの接着部材50が設けられていてもよい。即ち、第1電池セルパックに、全ての電池セル20に対応して1つの接着部材50が設置される。また、例えば、第1電池セルパックと第1表面1111との間に複数の接着部材50が設置されてもよい。なかでも、各接着部材50は複数の電池セル20に対応する。
【0107】
具体的には、図17には、本願の実施例に係る複数の電池セル20と接着部材50の分解模式図が示されており、図18には、本願の実施例に係る複数の電池セル20の表面に接着部材50が設置される模式図が示されている。説明の便宜上、図17及び図18に示すように、ここで3つの電池セル20の第2表面201に1つの接着部材50が設置されることを例に挙げ、即ち、1つの接着部材50が設けられている第2表面201は、3つの電池セル20における各電池セル20の1つの側壁を含む。複数の電池セル20に対応して同一の接着部材50が設置されることで、電池10に含まれる電池セル20の数が多い場合、加工過程を簡略化することができる。
【0108】
なお、図17図8の違いを比較すれば、又は、図18図9の違いを比較すれば、それらの違いは、いずれも、1つの接着部材50が対応する電池セル20の数のみにある。そして、図19にB-B’の方向に従い取得した部分断面図は図11と一致しており、簡潔化のために、ここで重複する説明は省略する。
【0109】
なお、1つの接着部材50は複数の電池セル20の第2表面201のいずれかの領域に位置してもよい。例えば、図15図18に示すように、接着部材50はほぼ完全に複数の電池セル20の第2表面201を被覆することができる。又は、該接着部材50は第2表面201の一部の領域を占めることもできる。そして、図19及び図11に基づき、複数の電池セル20の表面により第2表面201が構成され、電池セル20が膨張し変形した後、各電池セル20の側壁の中心領域の変形量は大きく、エッジ領域の変形量は小さく、つまり、電池セル20の中心位置が第1表面1111から離れる距離は、エッジ領域が第1表面1111から離れる距離よりも小さい。従って、破断伸び率が小さく強度が大きな第2接着構造52を第2表面201の中心位置に設けることができる。即ち、該第2接着構造52ができるだけ複数の電池セル20の中心点を被覆できるように、第2接着構造52は第2表面201の中心点を被覆し、エッジに接着剤が裂けるというリスクを避けるように、第1接着構造51は第2表面201の周りのエッジ位置にある。なかでも、第2表面201の中心領域又は中心位置は、該第2表面201の中心点を含む。このように、第2表面201の中心位置における第2接着構造52は、複数の電池セル20と第1表面1111との間の相対的安定性を確保でき、第2表面201の周りのエッジにおける第1接着構造51の相対的に大きな破断伸び率は、電池セル20の周りのエッジと第1表面1111との間で接着剤が裂けないことを確保できる。
【0110】
幾つかの実施例において、図12及び図13の実施例を参照する。1つの接着部材50が複数の電池セル20の表面に設けられることについて、第1接着構造51と第2接着構造52との間の相互影響を避けるように、同様に、第1接着構造51と第2接着構造52との間に遮断部材53を設置するか、隙間を設置することができる。
【0111】
幾つかの実施例において、1つの接着部材50が複数の電池セル20の表面に設けられることについて、即ち、複数の電池セル20が共同で形成した第2表面201と第1表面1111との間に1つの接着部材50が設置される場合、第2表面201の面積をS0と表示し、第1接着構造51が第2表面201に接触する面積はS1(それに応じて、第1接着構造51が第1表面1111に接触する面積もS1と表示され得る)であり、第2接着構造52が第2表面201に接触する面積はS2(それに応じて、第2接着構造52が第1表面1111に接触する面積もS2と表示され得る)であり、S0、S1及びS2は、0.25≦(S1+S2)/S0<1を満足する。例えば、S0、S1及びS2は、0.5≦(S1+S2)/S0≦0.85を満足するように設置されてもよい。さらに、S1及びS2は、0.05≦S1/(S1+S2)≦0.85を満足するように設置されてもよく、例えば、S1及びS2は、0.15≦S1/(S1+S2)≦0.55を満足するように設置されてもよい。
【0112】
図4図14の実施例の効果と同様に、上記のように第1接着構造51及び第2接着構造52の面積の比例を設置することにより、構造強度を確保するもとで、接着剤の使用量をできるだけ減少することができる。ここで重複する説明は省略する。
【0113】
幾つかの実施例において、該接着部材50の厚さhは0.02cm≦h≦1cmに設置されてもよく、例えば、0.05cm≦h≦0.5cmに設置されてもよい。
【0114】
なお、以上、図面に基づき本願の実施例に係る接着部材50の設置位置等を説明したが、以下に接着部材50の材料を詳しく説明する。
【0115】
本願の実施例に係る第1接着構造51の破断伸び率は第2接着構造52の破断伸び率よりも大きい。具体的には、第1接着構造51の破断伸び率A1は、100%≦A1≦500%を満足するように設置されてもよく、及び/又は、第2接着構造52の破断伸び率B1は、10%≦B1≦150%を満足するように設置されてもよい。例えば、第1接着構造51の破断伸び率A1は、150%≦B1≦400%を満足し、及び/又は、第2接着構造52の破断伸び率B1は、60%≦B1≦120%を満足する。
【0116】
幾つかの実施例において、本願の実施例における第1接着構造51及び第2接着構造52の破断伸び率の測定方式は、ISO 527-2を参照し、完全に硬化した接着テープを用いて測定することができる。なかでも、引張速度は10mm/minである。
【0117】
例えば、切断又は凍結により第1接着構造51と第2接着構造52を第1表面1111又は第2表面201から剥離し、10mm*20mm、厚さ1mmのブロック状にカットし、引張機により破断伸び率の測定を行うことができ、具体的な測定方法はISO 527-2を参照する。
【0118】
なお、接着剤等の接着構造の強度は通常、弾性率と正の相関関係にあり、破断伸び率は弾性率と負の相関関係にあることを考え、さらに第1接着構造51及び第2接着構造52が他の関係を満足するように設置されてもよい。
【0119】
幾つかの実施例において、第1接着構造51の弾性率が第2接着構造52の弾性率よりも小さいように設置されてもよい。具体的には、第1接着構造51の弾性率A2が、10MPa≦A2≦150MPaを満足するように設置され、及び/又は、第2接着構造52の弾性率B2が、150MPa≦B2≦1000MPaを満足するように設置されてもよい。例えば、第1接着構造51の弾性率A2が、30MPa≦A2≦60MPaを満足するように設置され、及び/又は、第2接着構造52の弾性率B2が、150MPa≦B2≦500MPaを満足するように設置される。
【0120】
なお、本願の実施例に係る弾性率は常温での弾性モジュールであり、弾性率の測定方式は、IPC-TM-650 2.4.24.4を参照し、動的熱機械分析(Dynamic thermomechanical analysis、DMA)で接着剤の強度を測定する標準測定方法であってもよい。
【0121】
幾つかの実施例において、さらに、第1接着構造51の強度が第2接着構造52の強度よりも小さいように設置されてもよい。具体的には、第1接着構造51の強度A3が、2MPa≦A3≦15MPaを満足し、及び/又は、第2接着構造52の強度B3が、6MPa≦B3≦25MPaを満足するように設置されてもよい。例えば、第1接着構造51の強度A3は、6MPa≦A3≦15MPaを満足し、及び/又は、第2接着構造52の強度B3は、8MPa≦B3≦25MPaを満足する。
【0122】
なお、本願の実施例に係る強度は体積強度及び/又は剪断強度を含んでもよい。具体的には、体積強度はISO 527-2を参照し、完全に硬化した接着テープを用いて測定したものであり、引張速度は10mm/minである。剪断強度はGB/T 7124を参照して測定したものである。
【0123】
幾つかの実施例において、本願の実施例に係る第1接着構造51の材料は凝固する前に液状又はペースト状であるものを選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂及び有機シリコーンゴムの少なくとも1種を選択することができ、及び/又は、該第2接着構造52の材料は凝固する前に液状又はペースト状であるものを選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン及びアクリル樹脂の少なくとも1種を選択することができる。
【0124】
なお、第1接着構造51及び第2接着構造52の材料を選択する場合、同一システムにおける異なる特徴の材料を選択すると、両者間は互いに影響し合う可能性があり、例えば第1接着構造51及び第2接着構造52の材料は同じポリウレタンシステムにおける異なる特性の接着剤を選択した場合、両者は反応して互いに影響する可能性があるので、第1接着構造51と第2接着構造52との間に遮断部材53又は隙間を設置する必要がある。第1接着構造51及び第2接着構造52の材料は反応せず互いに影響しないものを選択した場合、例えば、それぞれ有機シリカゲルとポリウレタン型構造用接着剤を選択した場合、遮断部材53と隙間を設置しなくてもよい。本願の実施例は、これに限定されない。
【0125】
従って、本願の実施例に係る電池10は、電池セル20と第1部材との間に、2種類の接着構造を含む接着部材50を設置して電池セル20を固定する。破断伸び率の大きな第1接着構造51が破断伸び率の小さな第2接着構造52の周囲に位置するように、該第1部材は電池10の筐体又は筐体内の上蓋113を含むことができる。このように、電池セル20が膨張し変形した後、エッジ位置は破断伸び率の高い第1接着構造51であり、電池セル20と上蓋113との間、又は電池セル20と筐体との間の接続固定を保持して、該電池10における電池セル20の安定性を向上し、さらに電池10の安全性を向上することができる。
【0126】
以上、本願の実施例に係る電池10を説明したが、以下に本願の実施例に係る電池を製造する方法及び装置を説明する。なかでも、詳しく説明されていない部分は前記各実施例を参照することができる。
【0127】
図20には、本願の一実施例に係る、電池を製造する方法300の概略的フロー図が示されている。図20に示すように、該方法300は、電池セル20を提供することS310と、第1部材を提供することとを含んでもよい。なかでも、前記第1部材の第1表面1111と少なくとも1つの前記電池セル20との間が、第1接着構造51及び第2接着構造52を含む接着部材50により接続され、前記第1接着構造51は前記第2接着構造52の周囲に位置し、前記第1接着構造51の破断伸び率は前記第2接着構造52の破断伸び率よりも大きい。
【0128】
図21には、本願の一実施例に係る、電池を製造する装置400の概略的ブロック図が示されている。図21に示すように、該装置400は、電池セル20を提供することと、第1部材を提供することとに用いられる提供モジュール410を含んでもよい。なかでも、前記第1部材の第1表面1111と少なくとも1つの前記電池セル20との間が、第1接着構造51及び第2接着構造52を含む接着部材50により接続され、前記第1接着構造51は前記第2接着構造52の周囲に位置し、前記第1接着構造51の破断伸び率は前記第2接着構造52の破断伸び率よりも大きい。
【0129】
好ましい実施例を参照して本願を詳しく説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、それに対して種々の改善を行うことができ、かつ等価物によりその中の部材を置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及された各技術的特徴はいずれも、任意の方法で組み合わせることができる。本願は、明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内にある全ての技術的解決手段を含んでいる。
【符号の説明】
【0130】
1 車両
10 電池
20 電池セル
21 ハウジング
22 電極アセンブリ
23 接続部材
30 コントローラ
40 モータ
50 接着部材
51 第1接着構造
52 第2接着構造
53 遮断部材
111 第1筐体
112 第2筐体
113 上蓋
200 電池モジュール
201 第2表面
211 ケース
212 カバープレート
214 電極端子
214a 正電極端子
214b 負電極端子
221a 第1タブ
222a 第2タブ
400 装置
410 提供モジュール
1111 第1表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2023-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セと、
第1部材と、を含む電池であって、
前記第1部材の第1表と少なくとも1つの前記電池セとの間が、第1接着構と第2接着構とを含む接着部により接続され、前記第1接着構は前記第2接着構の周囲に位置し、前記第1接着構の破断伸び率は前記第2接着構の破断伸び率よりも大きい、
ことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記第1接着構の破断伸び率A1は、100%≦A1≦500%を満足し、及び/又は、
前記第2接着構の破断伸び率B1は、10%≦B1≦150%を満足する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記接着部は少なくとも1つの前記電池セの第2表と、前記第1表とを接着することに用いられ、前記第2接着構造は前記第2表の中心点を被覆する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1接着構は前記第2接着構の外周を取り囲む、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の電池。
【請求項5】
前記接着部は少なくとも1つの前記電池セの第2表と前記第1表とを接着することに用いられ、前記第2表の面積はS0であり、前記第1接着構が前記第2表に接触する面積はS1であり、前記第2接着構が前記第2表に接触する面積はS2であり、S0、S1及びS2は、
0.25≦(S1+S2)/S0<1を満足する、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の電池。
【請求項6】
S0、S1及びS2は、
0.5≦(S1+S2)/S0≦0.85を満足する、
ことを特徴とする請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記第1接着構が前記第1表に接触する面積はS1であり、前記第2接着構が前記第1表に接触する面積はS2であり、S1及びS2は、0.05≦S1/(S1+S2)≦0.85を満足する、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の電池。
【請求項8】
S1及びS2は、
0.15≦S1/(S1+S2)≦0.55を満足する、
ことを特徴とする請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記第1接着構の弾性率は前記第2接着構の弾性率よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の電池。
【請求項10】
前記第1接着構の弾性率A2は、10MPa≦A2≦150MPaを満足し、及び/又は、
前記第2接着構の弾性率B2は、150MPa≦B2≦1000MPaを満足する、
ことを特徴とする請求項9に記載の電池。
【請求項11】
前記第1接着構の強度は前記第2接着構の強度よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の電池。
【請求項12】
前記第1接着構の強度A3は、2MPa≦A3≦15MPaを満足し、及び/又は、
前記第2接着構の強度B3は、6MPa≦B3≦25MPaを満足する、
ことを特徴とする請求項11に記載の電池。
【請求項13】
前記電池は、複数の前記電池セを含み、複数の前記電池セと前記第1表との間に複数の前記接着部が設けられており、複数の前記接着部と複数の前記電池セは1対1で対応する、
ことを特徴とする請求項1~12の何れか1項に記載の電池。
【請求項14】
前記第1接着構と前記第2接着構との間に隙間が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~13の何れか1項に記載の電池。
【請求項15】
前記第1接着構と前記第2接着構との間に遮断部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~13の何れか1項に記載の電池。
【請求項16】
前記第1接着構の材料は、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂及び有機シリコーンゴムの少なくとも1種を含み、及び/又は、
前記第2接着構の材料は、エポキシ樹脂、ポリウレタン及びアクリル樹脂の少なくとも1種を含む、
ことを特徴とする請求項1~15の何れか1項に記載の電池。
【請求項17】
前記電池は、第1筐と第2筐とを含み、前記電池セが収容される収容空間を形成するように前記第1筐と前記第2筐が係合され、前記第1部材は、前記第1筐及び/又は前記第2筐を含む、
ことを特徴とする請求項1~16の何れか1項に記載の電池。
【請求項18】
前記電池は、上と、第1筐と、第2筐とを含み、前記電池セが収容される収容空間を形成するように前記第1筐と前記第2筐が係合され、前記上は前記収容空間に設けられ、前記電池セを被覆し、前記第1部材は、前記上を含む、
ことを特徴とする請求項1~16の何れか1項に記載の電池。
【請求項19】
前記第1筐及び/又は前記第2筐における面積の最も大きな表面は前記第1表である、
ことを特徴とする請求項17又は18に記載の電池。
【請求項20】
前記電池セは、
電極アセンブリと、
開口が設けられており、前記電極アセンブリを収容するためのキャビティを有するケーと、
前記ケーの開口に蓋をするためのカバープレーと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~19の何れか1項に記載の電池。
【請求項21】
前記接着部は、前記ケーにおける面積の最も大きな側壁と前記第1表との間に設けられる、
ことを特徴とする請求項20に記載の電池。
【請求項22】
電気エネルギーを提供するための請求項1~21の何れか1項に記載の電池を含む、
ことを特徴とする電力利用装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池技術分野に関し、特に、電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネ・排出削減は、自動車産業の持続可能な発展の鍵である。この場合、電気自動車は、省エネ及び環境に優しいという利点により、自動車業界の持続可能な発展の重要な部分になっている。電気自動車にとって、電池技術はその発展に関する重要な要素でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池技術の発展において、電池の性能を向上させることに加えて、安全性も無視できない問題である。電池の安全性が保証できない場合、該電池は使用できなくなる。従って、電池の安全性を如何に強化するかは、電池技術において解決すべき緊急の技術的問題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は、電池の安全性を向上することができる電池、電力利用装置、電池を製造する方法及び装置を提供する。
【0005】
第1態様によれば、電池セルと、第1部材と、を含む電池であって、前記第1部材の第1表面と少なくとも1つの前記電池セルとの間が、第1接着構造と第2接着構造とを含む接着部材により接続され、前記第1接着構造は前記第2接着構造の周囲に位置し、前記第1接着構造の破断伸び率は前記第2接着構造の破断伸び率よりも大きい電池を提供する。
【0006】
従って、本願の実施例に係る電池は、電池セルと第1部材との間に、2種類の接着構造を含む接着部材を設置して電池セルを固定する。破断伸び率の大きな第1接着構造は破断伸び率の小さな第2接着構造の周囲に位置するように、該第1部材は電池の筐体又は筐体内の上蓋を含むことができる。このように、電池セルが膨張し変形した後、エッジ位置は破断伸び率の高い第1接着構造であり、電池セルと上蓋との間、又は電池セルと筐体との間の接続固定を保持して、該電池における電池セルの安定性を向上し、さらに電池の安全性を向上することができる。
【0007】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の破断伸び率A1は、100%≦A1≦500%を満足し、及び/又は、前記第2接着構造の破断伸び率B1は、10%≦B1≦150%を満足する。
【0008】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の破断伸び率A1は、150%≦B1≦400%を満足し、及び/又は、前記第2接着構造の破断伸び率B1は、60%≦B1≦120%を満足する。
【0009】
第1接着構造と第2接着構造の破断伸び率を合理的に設置することにより、電池セルが膨張し変形した後、破断伸び率の高い第1接着構造により、電池セルと上蓋との間、又は電池セルと筐体との間の接続固定を保持することができる。
【0010】
幾つかの実施例において、前記接着部材は少なくとも1つの前記電池セルの第2表面と前記第1表面とを接着することに用いられ、前記第2接着構造は前記第2表面の中心点を被覆する。
【0011】
電池セルが膨張する場合、電池セルの中心位置の変形量は大きく、エッジ領域の変形量は相対的に小さく、つまり、電池セルの中心位置が第1表面から離れる距離は、エッジ領域が第1表面から離れる距離よりも小さい。従って、破断伸び率が小さく強度が大きな第2接着構造を中心位置に設けることで、所在する電池セル表面の中心点を被覆することができ、電池セルと第1部材との間の安定性を確保することができる。
【0012】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造は前記第2接着構造の外周を取り囲む。
【0013】
電池セルが膨張する場合、電池セルの中心位置の変形量は大きく、電池セルのエッジ位置の変形量は小さく、つまり、電池セルのエッジ領域が第1表面から離れる距離は、中心位置の第1表面から離れる距離よりも大きい。従って、第2接着構造の周りに破断伸び率の大きな第1接着構造が周設されることで、電池セルが膨張し変形した後、電池セルの周りのエッジ領域で接着剤が裂けるというリスクを低減することができる。
【0014】
幾つかの実施例において、前記接着部材は少なくとも1つの前記電池セルの第2表面と前記第1表面とを接着することに用いられ、前記第2表面の面積はS0であり、前記第1接着構造が前記第2表面に接触する面積はS1であり、前記第2接着構造が前記第2表面に接触する面積はS2であり、S0、S1及びS2は、0.25≦(S1+S2)/S0<1を満足する。
【0015】
接着部材が第1表面に接触する面積、或いは電池セルが第2表面に接触する面積が小さい場合、該接着構造は電池セルに対する束縛力が弱く、振動衝撃により故障のリスクがあり、電池セルの容量維持率が悪くなる。接着部材が第1表面に接触する面積、或いは電池セルが第2表面に接触する面積が大き過ぎる場合、また接着剤のはみ出しを引き起こし、電池セルの電極端子又は電池ワイヤーハーネス等の構造部品に付着し、さらに、振動衝撃を引き起こして、故障のリスクがある。従って、0.25≦(S1+S2)/S0<1である場合、電池が振動においても故障しないことを確保できるだけでなく、電池の容量維持率が良い区間にあることも確保できる。
【0016】
幾つかの実施例において、S0、S1及びS2は、0.5≦(S1+S2))/S0≦0.85を満足する。
【0017】
従って、0.5≦(S1+S2)/S0≦0.85である場合、電池の耐振動衝撃及び容量維持率がより良くなる。
【0018】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造が前記第1表面に接触する面積はS1であり、前記第2接着構造が前記第1表面に接触する面積はS2であり、S1及びS2は、0.05≦S1/(S1+S2)≦0.85を満足する。
【0019】
幾つかの実施例において、S1及びS2は、0.15≦S1/(S1+S2)≦0.55を満足する。
【0020】
上記のように第1接着構造と第2接着構造の面積の比例を設置することにより、構造強度を確保するもとで、接着剤の使用量をできるだけ減少することができる。
【0021】
エッジ位置にある第1接着構造における接着剤塗布面積の割合は構造強度に影響を与え、一定の範囲で第1接着構造の含有量を増加させることで、電池の構造強度の向上、容量維持率の向上に寄与する。S1/(S1+S2)が1に等しい場合、即ち、第1接着構造のみを用いる場合、接着構造の電池構造に対する束縛強度が弱くなる。S1/(S1+S2)が0.02に等しい場合、殆どの接着構造が第2接着構造である時、接着剤が裂けるという問題を引き起こすことが示されている。0.05≦S1/(S1+S2)≦0.85である場合、電池が振動においても故障しないことを確保できるだけでなく、電池の容量維持率が良い区間にあることも確保できる。特に0.15≦S1/(S1+S2)≦0.55である場合、電池の耐振動衝撃性能がより良くなる。
【0022】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の弾性率は前記第2接着構造の弾性率よりも小さい。接着剤等の接着構造の破断伸び率は通常、弾性率と負の相関関係にあるので、第1接着構造の弾性率が第2接着構造の弾性率よりも小さくなるように設置されると、第1接着構造の破断伸び率が第2接着構造の破断伸び率よりも大きいことを確保して、電池セルのエッジにおいて接着剤が裂けるというリスクを低減することもできる。
【0023】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の弾性率A2は、10MPa≦A2≦150MPaを満足し、及び/又は、前記第2接着構造の弾性率B2は、150MPa≦B2≦1000MPaを満足する。
【0024】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の弾性率A2は、30MPa≦A2≦60MPaを満足し、及び/又は、前記第2接着構造の弾性率B2は、150MPa≦B2≦500MPaを満足する。
【0025】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の強度は前記第2接着構造の強度よりも小さい。接着剤等の接着構造の強度は通常、弾性率と正の相関関係にあり、破断伸び率は弾性率と負の相関関係にあるので、第2接着構造の強度が大きいと、電池セルの安定性を確保することができ、第1接着構造の強度が大きく、破断伸び率が大きいと、電池セルのエッジにおいて接着剤が裂けるというリスクを低減することができる。
【0026】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の強度A3は、2MPa≦A3≦15MPaを満足し、及び/又は、
【0027】
前記第2接着構造の強度B3は、6MPa≦B3≦25MPaを満足する。
【0028】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の強度A3は、6MPa≦A3≦15MPaを満足し、及び/又は、前記第2接着構造の強度B3は、8MPa≦B3≦25MPaを満足する。
【0029】
幾つかの実施例において、前記電池は、前記第1表面に垂直である第1方向に配列される複数の電池セルパックを含み、前記複数の電池セルパックにおける各電池セルパックは、前記第1方向に垂直である第2方向に配列される少なくとも2つの電池セルを含み、前記複数の電池セルパック中の第1電池セルパックと前記第1表面との間に前記接着部材が設けられている。
【0030】
幾つかの実施例において、前記第1電池セルパックと前記第1表面との間に複数の前記接着部材が設けられており、複数の前記接着部材と前記第1電池セルパック中の電池セルは1対1で対応する。このように、電池セルが膨張し変形する場合、各電池セルの安定性をより良く確保することができる。
【0031】
幾つかの実施例において、加工過程を簡略化するように、前記第1電池セルパックと前記第1表面との間に1つの前記接着部材が設けられている。
【0032】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造と前記第2接着構造との間に隙間が設けられている。
【0033】
上記形態において、第1接着構造と第2接着構造が同一システムにおける異なる特徴の材料を選択した場合、両者間は互いに影響し合う可能性がある。例えば、第1接着構造と第2接着構造の材料が同じポリウレタンシステムにおける異なる特性の接着剤を選択した場合、両者は反応して互いに影響し合う可能性がある。第1接着構造51と第2接着構造52との間に隙間が設けられていることで、第1接着構造51と第2接着構造52との間の相互影響を低減することができる。
【0034】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造と前記第2接着構造との間に遮断部材が設けられている。
【0035】
遮断部材を設置することにより、第1接着構造と第2接着構造との間の相互影響をより良く避けることができる。
【0036】
幾つかの実施例において、前記第1接着構造の材料は、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂及び有機シリコーンゴムの少なくとも1種を含み、及び/又は、前記第2接着構造の材料は、エポキシ樹脂、ポリウレタン及びアクリル樹脂の少なくとも1種を含む。
【0037】
幾つかの実施例において、前記電池は、第1筐体と第2筐体とを含み、前記電池セルが収容される収容空間を形成するように前記第1筐体と前記第2筐体が係合され、前記第1部材は、前記第1筐体及び/又は前記第2筐体を含む。
【0038】
幾つかの実施例において、前記電池は、上蓋と、第1筐体と、第2筐体とを含み、前記電池セルが収容される収容空間を形成するように前記第1筐体と前記第2筐体が係合され、前記上蓋は前記収容空間に設けられ、前記電池セルを被覆し、前記第1部材は、前記上蓋を含む。
【0039】
幾つかの実施例において、前記第1筐体及び/又は前記第2筐体における面積の最も大きな表面は前記第1表面である。
【0040】
上記形態の設置により、第1部材と電池セルとの接着面積を大きくし、両者の接着強度を向上することができる。
【0041】
幾つかの実施例において、前記電池セルは、電極アセンブリと、開口が設けられており、前記電極アセンブリを収容するためのキャビティを有するケースと、前記ケースの開口に蓋をするためのカバープレートと、を含む。
【0042】
幾つかの実施例において、前記接着部材は、前記ケースにおける面積の最も大きな側壁と前記第1表面との間に設けられる。
【0043】
上記形態の設置によれば、接着部材と電池セルとの接着面積を大きくし、両者の接着強度を向上することができる。
【0044】
第2態様によれば、電気エネルギーを提供するための第1態様における電池を含む、電力利用装置を提供する。
【0045】
幾つかの実施例において、前記電力利用装置は、車両、船舶又は宇宙機である。
【0046】
第3態様によれば、電池セルを提供することと、第1部材を提供することと、を含む電池を製造する方法であって、前記第1部材の第1表面と少なくとも1つの前記電池セルとの間が、第1接着構造と第2接着構造とを含む接着部材により接続され、前記第1接着構造は前記第2接着構造の周囲に位置し、前記第1接着構造の破断伸び率は前記第2接着構造の破断伸び率よりも大きい電池を製造する方法を提供する。
【0047】
第4態様によれば、上記第3態様の方法を実行するモジュールを含む、電池を製造する装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本願の一実施例に開示される車両の概略構成図である。
図2】本願の一実施例に開示される電池の概略分解図である。
図3】本願の一実施例に開示される電池セルの概略分解図である。
図4】本願の一実施例に開示される電池の別の概略分解図である。
図5図4に示す電池の部分断面図である。
図6】本願の一実施例に開示される電池のまた別の概略分解図である。
図7図6に示す電池の部分断面図である。
図8】本願の一実施例に開示される電池セルと接着部材の概略分解図である。
図9】本願の一実施例に開示される接着部材が設けられている電池セルの模式図である。
図10】本願の一実施例に開示される接着部材が設けられている電池セルの膨張時の側面図である。
図11】図10に示すA-A’方向の部分断面図である。
図12】本願の一実施例に開示される電池セルと接着部材の別の概略分解図である。
図13】本願の一実施例に開示される接着部材が設けられている電池セルの膨張時の別の模式図である。
図14】図10に示すA-A’方向の別の部分断面図である。
図15】本願の一実施例に開示される電池のまた別の概略分解図である。
図16図15に示す電池の部分断面図である。
図17】本願の一実施例に開示される複数の電池セルと接着部材の概略分解図である。
図18】本願の一実施例に開示される接着部材が設けられている複数の電池セルの模式図である。
図19】本願の一実施例に開示される接着部材が設けられている複数の電池セルの側面図である。
図20】本願の一実施例に開示される電池を製造する方法の概略的フロー図である。
図21】本願の一実施例に開示される電池を製造する装置の概略的ブロック図である。
【0049】
図面において、図面は実際の比例に応じて描かれたものではない。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面及び実施例に基づき本願の実施の態様をさらに詳しく説明する。下記の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するためのものであるが、本願の範囲を制限するために使用され得ず、即ち、本願は説明された実施例に制限されるものではない。
【0051】
なお、本願の説明において、特に断らない限り、「複数」とは2つ以上を意味する。「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などにより示される方位又は位置関係は、本願を容易に説明し、説明を簡略化するためのものに過ぎず、示される装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成又は操作されることを指示又は暗示するものではない。従って、本願を制限するものと理解されるべきではない。これに加えて、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、目的を説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものと理解されるべきではない。「垂直」とは厳密な意味での垂直ではなく、許容誤差範囲にある。「平行」とは厳密な意味での平行ではなく、許容誤差範囲にある。
【0052】
以下の説明で出現する方位用語はすべて図面に示される方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。なお、本願の説明において、別途明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」という用語は、広く理解されるべきである。例えば、固定するように接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよい。直接連結されてもよく、中間仲介部材によって間接的に連結されてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて、本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0053】
本願において、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本願の実施例はこれについて限定しない。電池セルは、円柱体、扁平体、長方体、又はその他の形状などであってもよく、本願の実施例はこれについても限定しない。電池セルは一般的に、包装方法に応じて、円筒形電池セル、四角形電池セル及びパウチ電池セルの3つのタイプに分けられ、本願の実施例はこれについても限定しない。
【0054】
本願の実施例で言及される電池は、より高い電圧と容量を提供するために1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理モジュールを指す。例えば、本願で言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。電池パックは一般的に、1つ又は複数の電池セルをカプセル化するための筐体を含む。筐体は、液体又はその他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えるのを避けることができる。
【0055】
電池セルは、正極プレート、負極プレート及びセパレータで構成された電極アセンブリと、電解液と、を含む。電池セルは主に、金属イオンが正極プレートと負極プレートとの間を移動することにより動作する。正極プレートは正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は正極集電体の表面にコーティングされ、正極活物質層でコーティングされていない集電体は、正極活物質層でコーティングされた集電体から突出し、正極活物質層でコーティングされていない集電体は正極タブとして使用されている。リチウムイオン電池を例に挙げると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極プレートは負極集電体と、負極活物質層と、を含み、負極活物質層は負極集電体の表面にコーティングされ、負極活物質層でコーティングされていない集電体は、負極活物質層でコーティングされた負極集電体から突出し、負極活物質層でコーティングされていない集電体は負極タブとして使用されている。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はケイ素などであってもよい。溶断せずに大きな電流を通すことを確保するように、正極タブは複数であり、積み重ねられており、負極タブは複数であり、積み重ねられている。セパレータの材質はPP又はPEなどであってもよい。また、電極アセンブリは、巻取構造であっても、積層構造であってもよく、本願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0056】
また、電池セルの安全性能を向上するために、一般的に、電池セルにはさらに圧力解放機構が設けられる。圧力解放機構は、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達する時に内部圧力又は温度を解放するように作動する素子又は部材を指す。該所定の閾値は設計要求によって調整することができる。前記閾値は、電池セル内の正極プレート、負極プレート、電解液及びセパレータの1つ又は複数の材料に依存することが可能である。圧力解放機構は、例えば、圧力感応又は温度感応素子又は部材を用いることができる。即ち、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達する場合、圧力解放機構は作動して、内部圧力又は温度を解放することが可能な通路を形成する。
【0057】
電池技術の発展では、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レートなどの性能パラメータなど、多くの設計要素を同時に考慮する必要がある。また、電池の安全性を考慮する必要もある。
【0058】
電池の安全性には、多くの点を含む。なかでも、電池セルを固定する点で、電池における電池セルの安定性及び安全性を向上するために、通常、接着構造により複数の電池セルを筐体内に固定し取り付ける。電池セルと筐体のある表面との間に、構造用接着剤で粘着により、電池セルが筐体内に固定されることを例に挙げると、構造用接着剤を選択する場合、通常、2つのタイプを含む。一方は「高強度接着剤」である。このような接着剤の接着強度が大きく、筐体と強固に接着され、「高強度接着剤」の高強度により筐体と電池セルの同期変形を実現できる。しかし、電池セルの使用過程で、電池セルは膨張し変形する可能性があり、このような「高強度接着剤」の形態では、接着剤の強度に制限されて、電池セルが膨張し変形した後、そのエッジに接着剤が裂けるというリスクがある可能性が高く、かつ高強度接着剤が低温振動衝撃においても接着剤が裂けるというリスクがある。他方は「高弾性接着剤」である。このような接着剤は高弾性及び高伸び率を有し、接着剤の変形能力が強く、変形とともに延伸することができ、さらに、接着剤が変形することにより筐体と電池セルとの間の同期変形が実現される。しかし、このような「高弾性接着剤」の形態では、接着剤の伸び率が大きく相対強度が低いので、電池全体の剛度が低く、構造が安定せず、電池の使用過程で、電池セルと筐体との間は十分に安定せず、構造破壊のリスクがある。
【0059】
従って、本願の実施例に係る電池セルの表面に設置される接着部材は、2種類の接着構造を含む。第1接着構造は第2接着構造の周囲に位置し、かつ第1接着構造の破断伸び率は第2接着構造の破断伸び率よりも大きい。このように、電池における電池セル全体の剛度及び安定性を確保できるだけでなく、電池セルの膨張変形により接着剤が裂けることもなく、さらに、接着剤が裂けた後振動衝撃による電池の故障を避けることが可能である。
【0060】
本願の実施例に説明される技術的解決手段は、いずれも、携帯電話、ポータブルデバイス、ノートパソコン、電動自転車、電気玩具、電動工具、電気自動車、船舶、及び飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙シャトルなどを含む宇宙機のような、電池を使用する様々な装置に適用される。
【0061】
なお、本願の実施例に説明される技術的解決手段は、上述したデバイスに適用されるだけでなく、電池を使用する全てのデバイスにも適用可能である。しかし、説明の便宜上、下記の実施例はいずれも、電気自動車を例として説明する。
【0062】
例えば、図1に示すように、本願の一実施例に係る車両1の概略構成図である。車両1は、燃料自動車、ガソリン自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、バッテリー式電気自動車、ハイブリッド車又はジエクステンダー式電気自動車等であってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10が設置されてもよい。コントローラ30は、電池10を制御してモータ40に電力を提供することに用いられる。例えば、車両1の底部又は車両の前部又は後部に電池10を設置することができる。電池10は車両1に電力を提供することに用いられてもよい。例えば、電池10は車両1の操作電源として、車両1の回路システムに使用されてもよい。例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び走行時の動作電力の需要に用いられる。本願の別の実施例において、電池10は車両1の操作電源だけでなく、車両1の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替又は一部代替して車両1に駆動の動力を提供することもできる。
【0063】
様々な電力使用の需要を満たすために、電池は、複数の電池セルを含んでもよく、なかでも、複数の電池セル間は直列接続、並列接続又は直並列接続されてもよい。直並列接続とは、直列接続と並列接続を混合したものを指す。電池は電池パックと呼ばれてもよい。幾つかの実施例において、複数の電池セルはまず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールがさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池を構成することができる。つまり、複数の電池セルは電池を直接構成してもよく、まず電池モジュールを構成して、さらに電池モジュールで電池を構成してもよい。
【0064】
例えば、図2に示すように、本願の一実施例に係る電池10の概略構成図である。電池10は、複数の電池セル20からなる電池モジュール200を少なくとも1つ含んでもよい。電池10は筐体をさらに含んでもよい。筐体の内部は中空構造であり、複数の電池セル20が筐体内に収容されている。図2に示すように、筐体は、ここでそれぞれ第1筐体111と第2筐体112と呼ばれる2つの部分を含んでもよく、第1筐体111と第2筐体112が嵌合されている。第1筐体111及び第2筐体112の形状は電池モジュール200が組み合わせられた形状に応じて決定されてもよく、第1筐体111及び第2筐体112の少なくとも1つは1つの開口を有する。例えば、図2に示すように、該第1筐体111及び第2筐体112はいずれも、中空の長方体であり、それぞれ1つの面のみが開口面であり、第1筐体111の開口及び第2筐体112の開口が対向して設置され、且つ第1筐体111及び第2筐体112は互いに嵌合して密閉チャンバを有する筐体を形成する。また、例えば、図2に示すのとは異なり、開口を覆うように、第1筐体111及び第2筐体112の一方のみは開口を有する中空長方体であり、他方は板状であることが可能である。例えば、ここで、第2筐体112が中空長方体であり、かつ1つの面のみが開口面であり、第1筐体111が板状であることを例に挙げると、第1筐体111は、第2筐体112の開口部に覆われて、複数の電池セル20を収容することに用いられ得る閉鎖チャンバを有する筐体を形成する。複数の電池セル20は、互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続されて組み合わせられた後、第1筐体111及び第2筐体112によって嵌合された後に形成された筐体内に置かれる。
【0065】
幾つかの実施例において、電池10は、他の構造を含んでもよく、ここで重複する説明を省略する。例えば、該電池10は、複数の電池セル20間の電気的接続、例えば、並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するための合流部材をさらに含んでもよい。具体的には、合流部材は、電池セル20の電極端子を接続することによって、電池セル20間の電気的接続を実現できる。さらに、合流部材は、溶接によって電池セル20の電極端子に固定され得る。複数の電池セル20の電気エネルギーは、さらに、導電機構によって筐体を通過して導出され得る。
【0066】
様々な電力の需要に応じて、電池モジュール200中の電池セル20の数は任意の数にされてもよい。大きな容量又は電力を実現するために、複数の電池セル20は直列接続、並列接続又は直並列接続されてもよい。各電池10に含まれている電池セル20の数が多い可能性があるので、組立を容易にするために、電池セル20をグループに分けて設置して、各グループの電池セル20で電池モジュール200を構成することができる。電池モジュール200に含まれている電池セル20の数は限定されず、必要に応じて設けられてもよい。
【0067】
図3は本願の一実施例に係る電池セル20の概略構成図である。電池セル20は、1つ又は複数の電極アセンブリ22、ケース211及びカバープレート212を含む。ケース211及びカバープレート212によってハウジング21が形成される。ケース211の壁及びカバープレート212はいずれも電池セル20の壁と呼ばれる。ケース211は、1つ又は複数の電極アセンブリ22を組み合わせた後の形状に応じて決定される。例えば、ケース211は、中空の長方体又は正方体又は円柱体であってもよく、1つ又は複数の電極アセンブリ22をケース211内に置くことができるように、ケース211の1つの面は開口を有する。例えば、ケース211が中空の長方体又は正方体である場合、ケース211の1つの平面は開口面であり、即ち、ケース211の内外が通じ合うように該平面は壁体を有しない。ケース211が中空の円柱体であってもよい場合、ケース211の端面は開口面であり、即ち、ケース211の内外が通じ合うように該端面は壁体を有しない。カバープレート212は開口を被覆し、ケース211と接続されて、電極アセンブリ22が置かれる密閉のチャンバが形成される。ケース211内に電解質、例えば、電解液が充填されている。
【0068】
該電池セル20は、カバープレート212に設置される2つの電極端子214をさらに含んでもよい。カバープレート212は通常、平板形状であり、2つの電極端子214は、カバープレート212の平面に固定され、それぞれ、正電極端子214aと負電極端子214bである。2つの電極端子214の極性は逆である。例えば、第1電極端子214aが正電極端子である場合、第2電極端子214bは負電極端子である。各電極端子214には、電極アセンブリ22と電極端子214との電気的接続を実現するための、カバープレート212と電極アセンブリ22との間に位置する1つの接続部材23がそれぞれ対応して設置される。
【0069】
図3に示すように、各電極アセンブリ22は、第1タブ221aと第2タブ222aとを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は逆である。例えば、第1タブ221aが正極タブである場合、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極アセンブリ22の第1タブ221aは、一方の接続部材23を介して一方の電極端子に接続され、1つ又は複数の電極アセンブリ22の第2タブ222aは、他方の接続部材23を介して他方の電極端子に接続される。例えば、正電極端子214aは、一方の接続部材23を介して正極タブに接続され、負電極端子214bは、他方の接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0070】
該電池セル20において、実際の必要に応じて、電極アセンブリ22は、1つ又は複数にされてもよい。図3に示すように、電池セル20には、4つの独立した電極アセンブリ22が設置されている。
【0071】
この他に、電池セル20の安全性を向上するために、さらに、電池セル20の1つの壁に圧力解放機構が設置されてもよい。例えば、電池セル20の第1壁に圧力解放機構が設置されてもよい。なかでも、該第1壁は電池セル20の何れか1つの壁であってもよい。圧力解放機構は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達する時に作動して、内部圧力又は温度を解放することに用いられる。具体的には、電池セル20に発生したガスが多すぎて、ケース211の内部圧力が上昇し閾値に達する時に、又は電池セル20の内部で反応して熱量を生じることにより電池セル20の内部温度が上昇し閾値に達する時に、圧力解放機構は破裂することにより、ケース211内外が通じ合い、ガス圧力及び温度が圧力解放機構の開裂により外部へ解放され、さらに電池セル20の爆発を避けることが可能である。
【0072】
本願の実施例において、電池セル20は筐体内に固定される必要がある。例えば、電池セル20の表面に構造用接着剤を設置して、電池セル20を固定することを例に挙げると、構造用接着剤を選択する場合、通常、2つのタイプを含む。一方は「高強度接着剤」である。このような接着剤の接着強度が大きく、電池セル20が筐体と強固に接着され、「高強度接着剤」の高強度により筐体と電池セル20の同期変形を実現できる。しかし、電池セル20の使用過程で、電池セル20は膨張し変形する可能性があり、このような「高強度接着剤」の形態では、接着剤の強度に制限されて、電池セル20が膨張し変形した後、そのエッジに接着剤が裂けるというリスクがある可能性が高く、かつ高強度接着剤が低温振動衝撃においても接着剤が裂けるというリスクがある。他方は「高弾性接着剤」である。このような接着剤は高弾性及び高伸び率を有し、接着剤の変形能力が強く、変形とともに延伸することができ、さらに、接着剤が変形することにより筐体と電池セル20との間の同期変形が実現される。しかし、このような「高弾性接着剤」の形態では、接着剤の伸び率が大きく相対強度が低いので、電池10全体の剛度が低く、構造が安定せず、電池10の使用過程で、電池セル20と筐体との間は十分に安定せず、構造破壊のリスクがある。
【0073】
従って、本願の実施例は、上記問題を解決することができる電池を提供している。
【0074】
図4及び図6には、それぞれ本願の異なる実施例の電池10の分解模式図が示されている。それに応じて、図5図4に示す電池10の部分断面図であり、図7図6に示す電池10の部分断面図である。図4図7に示すように、該電池10は、電池セル20と、第1部材と、を含み、第1部材の第1表面1111と少なくとも1つの電池セル20との間が、第1接着構造51及び第2接着構造52を含む接着部材50により接続され、第1接着構造51は第2接着構造52の周囲に位置し、第1接着構造51の破断伸び率は第2接着構造52の破断伸び率よりも大きい。
【0075】
従って、本願の実施例に係る電池10は、電池セル20と第1部材との間に、2種類の接着構造を含む接着部材50を設置して電池セル20を固定する。破断伸び率の大きな第1接着構造51が破断伸び率の小さな第2接着構造52の周囲に位置するように、該第1部材は、電池10の筐体又は筐体内の上蓋113を含むことができる。このように、電池セル20が膨張し変形した後、エッジ位置は破断伸び率の高い第1接着構造51であり、電池セル20と上蓋113との間、又は電池セル20と筐体との間の接続固定を保持して、該電池10における電池セル20の安定性を向上し、さらに電池10の安全性を向上することができる。
【0076】
なお、本願の実施例において、第1接着構造51が第2接着構造52の周囲に設けられることは、該第1接着構造51が該第2接着構造52の外周を取り囲むこと、又は、該第1接着構造51が第2接着構造52の周りの一部の領域に設けられ、第2接着構造52を不完全に取り囲むことを含むが、本願の実施例は、これに限定されない。説明の便宜上、本願の実施例では、主として第1接着構造51が第2接着構造52を取り囲むことを例として説明する。
【0077】
そして、本願の実施例における第2接着構造52の形状は実際の応用に応じて設置されてもよい。例えば、該第2接着構造52は矩形又は円形であってもよい。それに応じて、第1接着構造51の形状は実際の応用に応じて設置されてもよい。例えば、該第1接着構造52は角リング又は円形リングに設置されてもよいが、本願の実施例は、これに限定されない。説明の便宜上、本願の実施例では、主として第1接着構造51が角リングであり、第2接着構造52が方形であることを例として説明する。
【0078】
なお、本願の実施例に係る第1部材の第1表面は、該第1部材が電池セル20と接続される何れか1つの表面であってもよく、かつ該第1部材は1つ又は複数の第1表面1111を含んでもよい。具体的には、該第1部材は筐体を含んでもよく、該筐体は第1筐体111及び第2筐体112を含んでもよく、該第1表面1111は第1筐体111又は第2筐体112の何れか1つの表面であってもよい。幾つかの実施例において、該第1部材はさらに上蓋113を含んでもよく、該第1表面1111はさらに上蓋113の1つの表面であってもよい。
【0079】
幾つかの実施例において、図4図7に示すように、電池10に上蓋113が含まれると、該上蓋113は通常電池セル20と筐体との間に設けられる。例えば、図4図7では、該上蓋113が電池セル20と筐体の第1筐体111との間に設けられることを例に挙げると、該電池10における電池セル20は、接着部材50により上蓋113と接続固定され得る。即ち、上蓋113の電池セル20に向かう表面は第1表面1111である。また、筐体内には上蓋113が設けられていない一側に、例えば、図4図7における電池セル20と第2筐体112との間に、さらに、接着部材50により電池セル20を直接筐体の第2筐体112の表面に固定してもよい。例えば、図4図7に示すように、電池セル20は、第2筐体112と接続固定されてもよく、即ち、第2筐体112は第1表面1111を有してもよい。
【0080】
幾つかの実施例において、電池10に上蓋113が含まれないと、電池セル20と第1筐体111との間は接着部材50により固定接続されてもよく、即ち、該第1筐体111は第1表面1111を有する。そして、電池セル20と第2筐体112との間に接着部材50が設置されてもよく、即ち、該第2筐体112は第1表面1111を有してもよいが、本願の実施例は、これに限定されない。
【0081】
なお、説明の便宜上、本願の図面において、いずれも、電池10に上蓋113を有することを例に挙げる。第1表面1111は、図4図7に示される第2筐体112の1つの内面、及び上蓋113の電池セル20に向かう1つの表面を含むことを例に挙げ、即ち、該第2筐体112の電池セル20に向かう面積の最も大きな表面は第1表面1111であり、上蓋の電池セル20に向かう表面も第1表面1111であるが、本願の実施例は、これに限定されない。
【0082】
なお、本願の実施例における電池10は、複数の電池セル20を含んでもよく、該複数の電池セル20における各電池セル20の設置方向は、実際の応用に応じて柔軟に設置されてもよい。具体的には、ここで図3に示すような長方体の電池セル20を例として説明し、それに、このような複数の電池セル20を筐体内に固定し取り付ける場合、各電池セル20の筐体における設置方向は同じであってもよい。
【0083】
図4図7に示すように、電池10には、第1方向Yに配列される複数の電池セルパックを含んでもよい。第1方向Yは第1表面1111に垂直であり、即ち、電池10における電池セル20が1層又は複数層に設置され、各層の電池セル20で1つの電池セルパックが構成されてもよい。例えば、図4図7において2層を例に挙げ、即ち、2つの電池セルパックを含む。該複数の電池セルパックにおける各電池セルパックは、第1方向Yに垂直である第2方向Xに配列される少なくとも2つの電池セル20を含む。例えば、図4図7において、各電池セルパックに、X方向に配列される6つの電池セル20が含まれることを例として、かつ、本明細書において、図4図7に示すような各電池セルパックに、1列の電池セルのみを含むことを例として説明したが、電池10に含まれる各電池セルパック内には、1列ごとに第2方向Xに配列される少なくとも2つの電池セル20を含む複数列の電池セルを含んでもよく、本願の実施例は、これに限定されない。
【0084】
本願の実施例において、複数の電池セルパック中の第1電池セルパックと第1表面1111との間に接着部材50が設けられており、即ち、第1電池セルパック中の電池セル20の第2表面201と第1表面1111との間に接着部材50が設けられている。具体的には、該複数の電池セルパックには1つ又は複数の第1電池セルパックを含んでもよい。例えば、図4図7に示すように、複数の電池セルパックに最上の一層に位置する電池セルパックが上蓋113の第1表面1111と接続固定され得るので、該最上の一層の電池セルパックは第1電池セルパックであってもよい。即ち、該最上の第1電池セルパックにおける電池セル20の上表面は第2表面201であり、該第2表面201と第1表面1111との間に接着部材50が設けられている。同様に、図4図7に示すように、該複数の電池セルパックに最下の一層に位置する電池セルパックが第2筐体112の第1表面1111と接続固定され得るので、該最下の一層の電池セルパックは第1電池セルパックであってもよい。即ち、該最下の第1電池セルパックの電池セル20の下表面は第2表面201であってもよく、該第2表面201と第2筐体112の第1表面1111との間に接着部材50が設けられている。
【0085】
なお、本願の実施例における電池セル20は長方体であり、第1電池セルパック中の電池セル20の第2表面201と第1表面1111との間に接着部材50が設けられており、なかでも、接着部材50と電池セル20との間の接着面積を大きくし、両者の接着強度を向上するように、該第2表面201は各電池セル20の表面積の最も大きな表面であってもよい。例えば、図4図7に示すように、長方形の電池セル20は6つの側壁を有し、なかでも、ケース211は2つの面積の大きな側壁を有し、該側壁には、接着部材50が設けられている第2表面201を形成することができる。このように電池セル20を設置することで、電池セル20の放熱により寄与することができる。
【0086】
本願の実施例において、第1電池セルパックと第1表面1111との間に1つ又は複数の接着部材50が設けられてもよい。説明の便宜上、以下に図面に基づき、まず該第1電池セルパックと第1表面1111との間に複数の接着部材50が設けられていることを例に、本願の実施例に係る接着部材50を詳しく説明する。
【0087】
幾つかの実施例において、1つの実施例として、該第1電池セルパックと第1表面1111との間に複数の接着部材50が設けられていてもよい。例えば、図4図7に示すように、該複数の接着部材50と第1電池セルパック中の電池セル20は1対1で対応する。
【0088】
図4及び図5に対応して、図8には図4及び図5における電池セル20と接着部材50の分解模式図が示されており、図9には電池セル20の表面に接着部材50が設置される模式図が示されており、図10は表面に接着部材50が設置される電池セル20の膨張時の側面図であり、図11図10に示すA-A’方向の部分断面図である。図8図11に示すように、1つの電池セル20の第2表面201に、第1接着構造51及び第2接着構造52を含む1つの接着部材50が設けられており、該第1接着構造51は第2接着構造52の周囲に設けられる。このように、電池セル20が膨張し変形する場合、各電池セル20の安定性をより良く確保することができる。
【0089】
なお、該接着部材50は1つの電池セル20の第2表面201のいずれかの領域に位置してもよい。例えば、図8図11に示すように、接着部材50はほぼ完全に該電池セル20の第2表面201を被覆することができる。又は、該接着部材50は第2表面201の一部の領域を占めることもできる。そして、図11に示すように、電池セル20が膨張し変形した後、電池セル20の第2表面201の中心領域の変形量は大きく、エッジ領域の変形量は小さく、つまり、電池セル20の中心位置が第1表面1111から離れる距離は、エッジ領域が第1表面1111から離れる距離よりも小さい。従って、破断伸び率が小さく強度が大きな第2接着構造52を各電池セル20の中心位置に設けることができる。即ち、第1接着構造51が第2表面201の周りのエッジ位置にあるように、第2接着構造52は電池セル20の中心点を被覆する。なかでも、電池セル20の第2表面201の中心領域又は中心位置は、該電池セル20の第2表面201の中心点を含む。このように、電池セル20の中心位置における第2接着構造52は、電池セル20と第1表面1111との間の相対的安定性を確保でき、各電池セル20の周りのエッジにおける第1接着構造51の相対的に大きな破断伸び率は、各電池セル20の周りのエッジと第1表面1111との間で接着剤が裂けないことを確保できる。
【0090】
幾つかの実施例において、1つの電池セル20の第2表面201の面積をS0と表示し、それに応じて、第1接着構造51が第2表面201に接触する面積はS1(それに応じて、第1接着構造51が第1表面1111に接触する面積もS1と表示され得る)であり、第2接着構造52が第2表面201に接触する面積はS2(それに応じて、第2接着構造52が第1表面1111に接触する面積もS2と表示され得る)であり、S0、S1及びS2は、0.25≦(S1+S2)/S0<1を満足するように設置されてもよい。例えば、S0、S1及びS2は、0.5≦(S1+S2)/S0≦0.85を満足するように設置されてもよい。さらに、S1及びS2は、0.05≦S1/(S1+S2)≦0.85を満足するように設置されてもよい。例えば、S1及びS2は、0.15≦S1/(S1+S2)≦0.55を満足するように設置されてもよい。
【0091】
幾つかの実施例において、図8図11において、第1接着構造51は第2接着構造52の外周を取り囲むが、第1接着構造51及び第2接着構造52は異なる材料であるので、図6及び図7に示すように、第1接着構造51と第2接着構造52との間の相互影響を避けるように、第1接着構造51と第2接着構造52との間に遮断部材53をさらに設置してもよい。
【0092】
図6及び図7に対応して、図12には図6及び図7における電池セル20と接着部材50の別の分解模式図が示されている。それに応じて、図13には電池セル20の表面に接着部材50が設置され、電池セルが膨張する時の別の模式図が示されている。そして、図12及び図13に示す電池セル20について、その側面図は依然として図10であってもよく、対応するA-A’方向の部分断面図は図14に示す通りである。図12図14に示すように、1つの電池セル20の第2表面201に、第1接着構造51及び第2接着構造52を含む1つの接着部材50が設けられている。また、該第1接着構造51と第2接着構造52との間に遮断部材53が設けられている。
【0093】
幾つかの実施例において、第1接着構造51と第2接着構造52との間の相互影響を阻害するように、該遮断部材53はフォーム、プラスチック部品等であってもよい。そして、該遮断部材53の形状は実際の応用に応じて設置されてもよい。例えば、第1接着構造51及び第2接着構造52の形状に応じて、対応して遮断部材53の形状を設置することができる。例えば、図12図14において、該遮断部材53が角リングであることを例に挙げる。
【0094】
幾つかの実施例において、第1接着構造51と第2接着構造52との間の相互影響を避けるために、該遮断部材53が設置されないと、該第1接着構造51と第2接着構造52との間に隙間が設けられていてもよい。このように、余分の部材を設置する必要がなく、設置方式も簡単である。例えば、図12図14には、遮断部材53のある位置に隙間を設置するように変更することで、同様に第1接着構造51と第2接着構造52との間の相互影響を避けることができる。本願の実施例は、これに限定されない。
【0095】
なお、遮断部材53又は隙間がある場合、依然として上記S0、S1及びS2が満足する関係に従い、第1接着構造51及び第2接着構造52の比例を割り当てることができる。ここで重複する説明は省略する。
【0096】
以上の図4図14における各実施例について、上記のように第1接着構造51及び第2接着構造52の面積の比例を設置することにより、構造強度を確保するもとで、接着剤の使用量をできるだけ減少することができる。
【0097】
電池セル20と接着部材50は1対1で対応し、かつ遮断部材53を設置することを例に、電池10を測定する。なかでも、該第1接着構造51及び第2接着構造52はいずれも、ポリウレタン材を用いることを例に挙げることができる。具体的には、測定する前に、まず表1中の「初期比例(S1+S2)/S0」に説明されたパラメータに従い、それぞれ接着部材50の面積の比例を設置し、かつ、第1接着構造51及び第2接着構造52の面積の比例S1/(S1+S2)が0.15に設置され、測定条件は60℃であった。なかでも、接着部材50が1つの電池セル20の1つの側壁の表面に設けられることを考えると、該接着部材50が該表面に接触する面積と該表面の面積との比例は1よりも大きくなることが可能ではない。そのため、表1中の「初期比例(S1+S2)/S0」の数値はすべて、1よりも小さいか、又はそれに等しい。サイクル試験において、電圧範囲は2.8Vから4.2Vであり、2Cの倍率で充電してから、3Cの倍率で放電し、800回のサイクルを経てサイクル容量保持率を得た。該サイクル容量保持率は800回目のサイクルの3C放電容量の、2回目の3C放電容量に対する比例であり、該サイクル容量保持率は表1中の「容量維持率」であった。そして、800回のサイクル後、カップリング温度で振動衝撃測定を行って、表1中の「振動衝撃」の結果を決めた。振動衝撃測定にパスすると、超音波検出器で電池セル20の表面における残りの接着部材50の面積の比例を決めれば、対応して表1における最後の1列の「残りの接着剤面積比」を得た。該残りの接着剤の面積比は依然として(S1+S2)/S0に設置された。
【0098】
【表1】
【0099】
表1から分かるように、接着部材50が第1表面1111に接触する面積、或いは電池セル20が第2表面201に接触する面積が小さい場合、特に面積の比例(S1+S2)/S0が0.25よりも小さい場合、例えば、(S1+S2)/S0が0.2に等しい場合、該接着部材50は電池セル20に対する束縛力が弱く、振動衝撃により故障のリスクがあり、電池セル20の容量維持率が悪くなる。接着部材50が第1表面1111に接触する面積、或いは電池セル20が第2表面201に接触する面積が大き過ぎる場合、例えば面積の比例(S1+S2)/S0が1に等しい場合、また接着剤のはみ出しを引き起こし、電池セル20の電極端子又は電池ワイヤーハーネス等の構造部品に付着し、さらに、振動衝撃を引き起こして、故障のリスクがある。従って、0.25≦(S1+S2)/S0<1である場合、電池が振動においても故障しないことを確保できるだけでなく、電池の容量維持率が良い区間にあることも確保できる。
【0100】
実施例1~実施例2のデータから分かるように、(S1+S2)/S0が0.25に等しい場合、電池容量維持率は、実施例2及び実施例3の電池容量維持率に比べ低減し、残りの接着剤面積比も低減した。従って、0.5≦(S1+S2)/S0≦0.85である場合、電池の耐振動衝撃と容量維持率がより良くなる。
【0101】
さらには、表1の測定条件と同様に、依然として図6及び図7の実施例を例に挙げると、表2に示すように、S1とS2の比が異なる場合、測定結果は表2に示す通りであった。具体的には、表2に示すように、(S1+S2)/S0が0.85に設置される場合、S1とS2の比例を調整し、即ち、表2に示す「S1/(S1+S2)」に従いS1とS2の比例を設置して、対応する3種類の性能を得、なかでも、「残りの接着剤面積比」は振動衝撃測定を経た後、測定し取得したS1/(S1+S2)の比であった。
【0102】
【表2】
【0103】
表2から分かるように、エッジ位置にある第1接着構造51における接着剤塗布面積の割合は構造強度に影響を与え、一定の範囲で第1接着構造51の含有量を増加させることで、電池10の構造強度の向上、容量維持率の向上に寄与する。S1/(S1+S2)が1に等しい場合、電池10が振動衝撃により故障することから、第1接着構造51のみを用いると、接着部材50の電池10に対する束縛強度が弱くなることが示されている。S1/(S1+S2)が0.02に等しい場合、電池10が振動衝撃により故障することから、殆どの接着部材50が第2接着構造52である場合、依然として接着剤が裂けるという問題を引き起こすことが示されている。0.05≦S1/(S1+S2)≦0.85である場合、電池10が振動においても故障しないことを確保できるだけでなく、電池10の容量維持率が良い区間にあることも確保できる。実施例5~実施例9を比較すれば、0.15≦S1/(S1+S2)≦0.55である場合、残りの接着剤面積比は0.62-0.82であり、電池10の耐振動衝撃性能がより良くなることが分かっている。
【0104】
なお、該接着部材50の厚さhは0.02cm≦h≦1cmに設置されてもよく、例えば、0.05cm≦h≦0.5cmに設置されてもよい。
【0105】
なお、上記図8図14はいずれも、1つの電池セル20に対応して1つの接着部材50が設置されることを例として説明したが、これとは異なり、第1電池セルパックに複数の電池セル20が1つの接着部材50に対応するように設置されてもよい。
【0106】
幾つかの実施例において、別の実施例として、本願の実施例における複数の電池セル20に対応して1つの接着部材50が設置されてもよい。例えば、図15には、本願の実施例に係る電池10の別の分解模式図が示されており、図16図15の部分断面図であり、図15及び図16に示すように、第1電池セルパックと第1表面1111との間に1つの接着部材50が設けられていてもよい。即ち、第1電池セルパックに、全ての電池セル20に対応して1つの接着部材50が設置される。また、例えば、第1電池セルパックと第1表面1111との間に複数の接着部材50が設置されてもよい。なかでも、各接着部材50は複数の電池セル20に対応する。
【0107】
具体的には、図17には、本願の実施例に係る複数の電池セル20と接着部材50の分解模式図が示されており、図18には、本願の実施例に係る複数の電池セル20の表面に接着部材50が設置される模式図が示されている。説明の便宜上、図17及び図18に示すように、ここで3つの電池セル20の第2表面201に1つの接着部材50が設置されることを例に挙げ、即ち、1つの接着部材50が設けられている第2表面201は、3つの電池セル20における各電池セル20の1つの側壁を含む。複数の電池セル20に対応して同一の接着部材50が設置されることで、電池10に含まれる電池セル20の数が多い場合、加工過程を簡略化することができる。
【0108】
なお、図17図8の違いを比較すれば、又は、図18図9の違いを比較すれば、それらの違いは、いずれも、1つの接着部材50が対応する電池セル20の数のみにある。そして、図19にB-B’の方向に従い取得した部分断面図は図11と一致しており、簡潔化のために、ここで重複する説明は省略する。
【0109】
なお、1つの接着部材50は複数の電池セル20の第2表面201のいずれかの領域に位置してもよい。例えば、図15図18に示すように、接着部材50はほぼ完全に複数の電池セル20の第2表面201を被覆することができる。又は、該接着部材50は第2表面201の一部の領域を占めることもできる。そして、図19及び図11に基づき、複数の電池セル20の表面により第2表面201が構成され、電池セル20が膨張し変形した後、各電池セル20の側壁の中心領域の変形量は大きく、エッジ領域の変形量は小さく、つまり、電池セル20の中心位置が第1表面1111から離れる距離は、エッジ領域が第1表面1111から離れる距離よりも小さい。従って、破断伸び率が小さく強度が大きな第2接着構造52を第2表面201の中心位置に設けることができる。即ち、該第2接着構造52ができるだけ複数の電池セル20の中心点を被覆できるように、第2接着構造52は第2表面201の中心点を被覆し、エッジに接着剤が裂けるというリスクを避けるように、第1接着構造51は第2表面201の周りのエッジ位置にある。なかでも、第2表面201の中心領域又は中心位置は、該第2表面201の中心点を含む。このように、第2表面201の中心位置における第2接着構造52は、複数の電池セル20と第1表面1111との間の相対的安定性を確保でき、第2表面201の周りのエッジにおける第1接着構造51の相対的に大きな破断伸び率は、電池セル20の周りのエッジと第1表面1111との間で接着剤が裂けないことを確保できる。
【0110】
幾つかの実施例において、図12及び図13の実施例を参照する。1つの接着部材50が複数の電池セル20の表面に設けられることについて、第1接着構造51と第2接着構造52との間の相互影響を避けるように、同様に、第1接着構造51と第2接着構造52との間に遮断部材53を設置するか、隙間を設置することができる。
【0111】
幾つかの実施例において、1つの接着部材50が複数の電池セル20の表面に設けられることについて、即ち、複数の電池セル20が共同で形成した第2表面201と第1表面1111との間に1つの接着部材50が設置される場合、第2表面201の面積をS0と表示し、第1接着構造51が第2表面201に接触する面積はS1(それに応じて、第1接着構造51が第1表面1111に接触する面積もS1と表示され得る)であり、第2接着構造52が第2表面201に接触する面積はS2(それに応じて、第2接着構造52が第1表面1111に接触する面積もS2と表示され得る)であり、S0、S1及びS2は、0.25≦(S1+S2)/S0<1を満足する。例えば、S0、S1及びS2は、0.5≦(S1+S2)/S0≦0.85を満足するように設置されてもよい。さらに、S1及びS2は、0.05≦S1/(S1+S2)≦0.85を満足するように設置されてもよく、例えば、S1及びS2は、0.15≦S1/(S1+S2)≦0.55を満足するように設置されてもよい。
【0112】
図4図14の実施例の効果と同様に、上記のように第1接着構造51及び第2接着構造52の面積の比例を設置することにより、構造強度を確保するもとで、接着剤の使用量をできるだけ減少することができる。ここで重複する説明は省略する。
【0113】
幾つかの実施例において、該接着部材50の厚さhは0.02cm≦h≦1cmに設置されてもよく、例えば、0.05cm≦h≦0.5cmに設置されてもよい。
【0114】
なお、以上、図面に基づき本願の実施例に係る接着部材50の設置位置等を説明したが、以下に接着部材50の材料を詳しく説明する。
【0115】
本願の実施例に係る第1接着構造51の破断伸び率は第2接着構造52の破断伸び率よりも大きい。具体的には、第1接着構造51の破断伸び率A1は、100%≦A1≦500%を満足するように設置されてもよく、及び/又は、第2接着構造52の破断伸び率B1は、10%≦B1≦150%を満足するように設置されてもよい。例えば、第1接着構造51の破断伸び率A1は、150%≦B1≦400%を満足し、及び/又は、第2接着構造52の破断伸び率B1は、60%≦B1≦120%を満足する。
【0116】
幾つかの実施例において、本願の実施例における第1接着構造51及び第2接着構造52の破断伸び率の測定方式は、ISO 527-2を参照し、完全に硬化した接着テープを用いて測定することができる。なかでも、引張速度は10mm/minである。
【0117】
例えば、切断又は凍結により第1接着構造51と第2接着構造52を第1表面1111又は第2表面201から剥離し、10mm*20mm、厚さ1mmのブロック状にカットし、引張機により破断伸び率の測定を行うことができ、具体的な測定方法はISO 527-2を参照する。
【0118】
なお、接着剤等の接着構造の強度は通常、弾性率と正の相関関係にあり、破断伸び率は弾性率と負の相関関係にあることを考え、さらに第1接着構造51及び第2接着構造52が他の関係を満足するように設置されてもよい。
【0119】
幾つかの実施例において、第1接着構造51の弾性率が第2接着構造52の弾性率よりも小さいように設置されてもよい。具体的には、第1接着構造51の弾性率A2が、10MPa≦A2≦150MPaを満足するように設置され、及び/又は、第2接着構造52の弾性率B2が、150MPa≦B2≦1000MPaを満足するように設置されてもよい。例えば、第1接着構造51の弾性率A2が、30MPa≦A2≦60MPaを満足するように設置され、及び/又は、第2接着構造52の弾性率B2が、150MPa≦B2≦500MPaを満足するように設置される。
【0120】
なお、本願の実施例に係る弾性率は常温での弾性モジュールであり、弾性率の測定方式は、IPC-TM-650 2.4.24.4を参照し、動的熱機械分析(Dynamic thermomechanical analysis、DMA)で接着剤の強度を測定する標準測定方法であってもよい。
【0121】
幾つかの実施例において、さらに、第1接着構造51の強度が第2接着構造52の強度よりも小さいように設置されてもよい。具体的には、第1接着構造51の強度A3が、2MPa≦A3≦15MPaを満足し、及び/又は、第2接着構造52の強度B3が、6MPa≦B3≦25MPaを満足するように設置されてもよい。例えば、第1接着構造51の強度A3は、6MPa≦A3≦15MPaを満足し、及び/又は、第2接着構造52の強度B3は、8MPa≦B3≦25MPaを満足する。
【0122】
なお、本願の実施例に係る強度は体積強度及び/又は剪断強度を含んでもよい。具体的には、体積強度はISO 527-2を参照し、完全に硬化した接着テープを用いて測定したものであり、引張速度は10mm/minである。剪断強度はGB/T 7124を参照して測定したものである。
【0123】
幾つかの実施例において、本願の実施例に係る第1接着構造51の材料は凝固する前に液状又はペースト状であるものを選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂及び有機シリコーンゴムの少なくとも1種を選択することができ、及び/又は、該第2接着構造52の材料は凝固する前に液状又はペースト状であるものを選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン及びアクリル樹脂の少なくとも1種を選択することができる。
【0124】
なお、第1接着構造51及び第2接着構造52の材料を選択する場合、同一システムにおける異なる特徴の材料を選択すると、両者間は互いに影響し合う可能性があり、例えば第1接着構造51及び第2接着構造52の材料は同じポリウレタンシステムにおける異なる特性の接着剤を選択した場合、両者は反応して互いに影響する可能性があるので、第1接着構造51と第2接着構造52との間に遮断部材53又は隙間を設置する必要がある。第1接着構造51及び第2接着構造52の材料は反応せず互いに影響しないものを選択した場合、例えば、それぞれ有機シリカゲルとポリウレタン型構造用接着剤を選択した場合、遮断部材53と隙間を設置しなくてもよい。本願の実施例は、これに限定されない。
【0125】
従って、本願の実施例に係る電池10は、電池セル20と第1部材との間に、2種類の接着構造を含む接着部材50を設置して電池セル20を固定する。破断伸び率の大きな第1接着構造51が破断伸び率の小さな第2接着構造52の周囲に位置するように、該第1部材は電池10の筐体又は筐体内の上蓋113を含むことができる。このように、電池セル20が膨張し変形した後、エッジ位置は破断伸び率の高い第1接着構造51であり、電池セル20と上蓋113との間、又は電池セル20と筐体との間の接続固定を保持して、該電池10における電池セル20の安定性を向上し、さらに電池10の安全性を向上することができる。
【0126】
以上、本願の実施例に係る電池10を説明したが、以下に本願の実施例に係る電池を製造する方法及び装置を説明する。なかでも、詳しく説明されていない部分は前記各実施例を参照することができる。
【0127】
図20には、本願の一実施例に係る、電池を製造する方法300の概略的フロー図が示されている。図20に示すように、該方法300は、電池セル20を提供することS310と、第1部材を提供することとを含んでもよい。なかでも、前記第1部材の第1表面1111と少なくとも1つの前記電池セル20との間が、第1接着構造51及び第2接着構造52を含む接着部材50により接続され、前記第1接着構造51は前記第2接着構造52の周囲に位置し、前記第1接着構造51の破断伸び率は前記第2接着構造52の破断伸び率よりも大きい。
【0128】
図21には、本願の一実施例に係る、電池を製造する装置400の概略的ブロック図が示されている。図21に示すように、該装置400は、電池セル20を提供することと、第1部材を提供することとに用いられる提供モジュール410を含んでもよい。なかでも、前記第1部材の第1表面1111と少なくとも1つの前記電池セル20との間が、第1接着構造51及び第2接着構造52を含む接着部材50により接続され、前記第1接着構造51は前記第2接着構造52の周囲に位置し、前記第1接着構造51の破断伸び率は前記第2接着構造52の破断伸び率よりも大きい。
【0129】
好ましい実施例を参照して本願を詳しく説明したが、本願の範囲を逸脱することなく、それに対して種々の改善を行うことができ、かつ等価物によりその中の部材を置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及された各技術的特徴はいずれも、任意の方法で組み合わせることができる。本願は、明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内にある全ての技術的解決手段を含んでいる。
【符号の説明】
【0130】
1 車両
10 電池
20 電池セル
21 ハウジング
22 電極アセンブリ
23 接続部材
30 コントローラ
40 モータ
50 接着部材
51 第1接着構造
52 第2接着構造
53 遮断部材
111 第1筐体
112 第2筐体
113 上蓋
200 電池モジュール
201 第2表面
211 ケース
212 カバープレート
214 電極端子
214a 正電極端子
214b 負電極端子
221a 第1タブ
222a 第2タブ
400 装置
410 提供モジュール
1111 第1表面
【国際調査報告】