(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】回転式操舵駆動装置を備えた産業車両
(51)【国際特許分類】
B62D 7/14 20060101AFI20231102BHJP
B62D 5/06 20060101ALI20231102BHJP
B62D 5/14 20060101ALI20231102BHJP
B62D 5/26 20060101ALI20231102BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B62D7/14 B
B62D5/06 B
B62D5/14
B62D5/26
B62D5/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526280
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(85)【翻訳文提出日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2021077430
(87)【国際公開番号】W WO2022089891
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】102020128489.6
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519073553
【氏名又は名称】フープテクス マシーネンバウ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】HUBTEX Maschinenbau GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Werner-von-Siemens-Str. 8, 36041 Fulda, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ラーバン クナッカー
【テーマコード(参考)】
3D034
3D333
【Fターム(参考)】
3D034CB01
3D034CC17
3D034CD12
3D034CD18
3D333CB04
3D333CB27
3D333CC13
3D333CC18
3D333CC33
3D333CD04
3D333CD06
3D333CD14
3D333CE03
3D333CE04
3D333CE06
3D333CE12
3D333CE31
3D333KA05
(57)【要約】
産業車両(100)であって、互いに独立して操舵可能な少なくとも2つのホイール(1,1’,1’’,1’’’,1’’’’)を備え、操舵可能なホイール(1,1’,1’’,1’’’,1’’’’)の各々は、操舵軸(2)を介して操舵駆動装置ユニット(3)の回転式操舵モータ(4)に結合されており、回転式操舵モータ(4)を制御するために、操舵軸(2)の実際回動角位置を検出するための回動角検出装置(6)を備える操舵角制御装置(5)が設けられている、産業車両(100)。回動角検出装置(6)は、操舵駆動装置ユニット(3)の一部として形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両(100)であって、
互いに独立して操舵可能な少なくとも2つのホイール(1,1’,1’’,1’’’,1’’’’)を備え、
前記操舵可能なホイール(1,1’,1’’,1’’’,1’’’’)の各々は、操舵軸(2)を介して操舵駆動装置ユニット(3)の回転式操舵モータ(4)に結合されており、
前記回転式操舵モータ(4)を制御するために、前記操舵軸(2)の実際回動角位置を検出するための回動角検出装置(6)を備える操舵角制御装置(5)が設けられている、
産業車両(100)において、
前記回動角検出装置(6)は、前記操舵駆動装置ユニット(3)の一部として形成されていることを特徴とする、産業車両(100)。
【請求項2】
前記操舵可能なホイール(1,1’,1’’,1’’’,1’’’’)の各々にそれぞれ1つの操舵駆動装置ユニット(3)が割り当てられている、請求項1記載の産業車両(100)。
【請求項3】
前記操舵駆動装置ユニット(3)は、前記回動角検出装置(6)を取り囲む操舵駆動装置ハウジング(7)を有している、請求項1または2記載の産業車両(100)。
【請求項4】
前記回動角検出装置(6)は、前記操舵軸(2)に相対回動不能に結合された発生器ユニット(8)と、前記発生器ユニット(8)と機能的に協働するセンサユニット(9)とを備える、請求項1から3までのいずれか1項記載の産業車両(100)。
【請求項5】
前記発生器ユニット(8)は、少なくとも1つの磁気的な発生器要素(8a)を有し、前記センサユニット(9)は、前記少なくとも1つの磁気的な発生器要素(8a)を検出するための少なくとも1つの磁界センサを有している、請求項4記載の産業車両(100)。
【請求項6】
前記回動角検出装置(6)は、前記回転式操舵モータ(4)と前記操舵駆動装置ユニット(3)の固定装置(10)との間に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の産業車両(100)。
【請求項7】
前記操舵軸(2)は、前記操舵駆動装置ユニット(3)の操舵駆動装置軸線(A3)および/または前記操舵可能なホイール(1,1’,1’’,1’’’,1’’’’)の操舵軸線(A1)に相当する操舵軸軸線(A2)を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の産業車両(100)。
【請求項8】
前記操舵軸(2)は、前記操舵駆動装置ユニット(3)の被駆動軸(11)によって形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の産業車両(100)。
【請求項9】
前記操舵駆動装置ユニット(3)と、操舵される前記ホイール(1,1’,1’’,1’’’,1’’’’)との間に伝動装置(12)が配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の産業車両(100)。
【請求項10】
前記回転式操舵モータ(4)は、液圧モータ、特にオービタルモータとして、または電動モータとして形成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の産業車両(100)。
【請求項11】
前記回転式操舵モータ(4)は、前記回動角検出装置(6)から独立して交換可能に形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の産業車両(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両であって、互いに独立して操舵可能な少なくとも2つのホイール、特に好ましくは互いに独立して操舵可能な少なくとも3つのホイールを備え、操舵可能なホイールの各々は、それぞれ1つの操舵軸を介して操舵駆動装置ユニットの回転式操舵モータに結合されており、回転式操舵モータを制御するために、操舵角制御装置であって、この操舵角制御装置に作用接続されていて、操舵軸の実際回動角位置を検出するための回動角検出装置を備える操舵角制御装置が設けられている、産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
このような産業車両と、このような産業車両のための相応の操舵システムおよび操舵法とは、既に以前から知られている。通常、このような産業車両では、操舵可能なホイールを操舵するために、まず、各々のホイールに対して回動角検出装置を用いて瞬時の実際回動角位置が検出され、これらの回動角位置は、操舵制御装置または操舵コンピュータにおいて、設定された角度目標値と比較される。次いで、操舵制御装置によって、操舵指令または操舵角補正を導入するための相応の制御信号が、ホイールの回動運動または操舵運動を実施するために、操舵可能なホイールの各々の操舵モータに送信される。操舵モータは、特に、別体に形成されたコンパクトな操舵駆動装置ユニットの一部であってよい。付言しておくと、このような構成において操舵可能なホイールというのは、当然ながら、例えば2つの個別ホイールが配置されている心皿のような、複数の個別ホイール、特に双子ホイールを備えた、操舵可能なホイール懸架装置またはホイールアセンブリも意味することは明らかである。
【0003】
操舵可能なホイールの実際回動角位置を検出するために、様々な回動角検出装置が知られており、これらの回動角検出装置は、特に、ホイール取付け部を備えた心皿を有する軸のようなホイール懸架軸の自由端部、多くの場合、上端部に、または操舵駆動装置の被駆動軸の自由端部に配置されている。このような配置形態における欠点としては、特に、回動角検出装置のこのような取付け箇所へのアクセスが比較的困難であることのほか、特に耐荷ホイールの上の領域のような、他の目的のために有利に利用可能である、車両箇所における所要スペースが必要であることが挙げられる。ゆえに、従来の開発は、このような回動角検出装置を小型化しかつ最小化することを目指していた。しかしながら、このような回動角検出装置は、製造に関しても組立てに関しても比較的高価である。さらに確認されたこととしては、多くの車両上部構造および車両取付け構造では、回動角検出装置が望ましくない形で故障しやすくなってしまい、しかも、このような故障のしやすさは、上述した理由、特にアクセスの困難性、比較的高いランニングコストおよび保守コストに起因する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、上述した欠点のうちの少なくとも1つの欠点を改善し、とりわけ、特にスペースを節減した廉価な回動角検出装置を実現する産業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、課せられた課題を、独立請求項の特徴を有する産業車両によって解決する。本発明の有利な構成および改良形態は、従属請求項、明細書および図面に開示されている。
【0006】
本発明によれば、回動角検出装置は、操舵駆動装置ユニットの一部として、特に構造的なまたは統合型の構成部材として形成されていることが特定されている。したがって、回動角検出装置を操舵駆動装置ユニット内に組み込むことができ、これによって、操舵角の検出を操舵駆動装置において直接、特に別の取付け部材なしに行うことができる。これは、特に、操舵軸において心皿の上におけるまたは操舵駆動装置の外部における別途の構造空間が必要ではなく、ひいては、例えば車両シャーシを耐荷ホイールの領域で、特に床近傍にまたは低床式に形成することができ、その結果、物品を特に床近傍で荷積み・荷下ろしおよび運搬することができ、これによって、車両の機能容量を増大させ、車両の運転安全性を高めることができるという利点がある。さらに、通常、操舵可能なホイールの側方に並んで、かつ車両の下からまたは側方から自由にアクセス可能に配置された操舵駆動装置ユニットによって、回動角検出装置に対しても特に迅速で取り付けしやすいアクセスが可能になる。操舵駆動装置ユニットは、特に、操舵駆動装置ハウジングと、この操舵駆動装置ハウジングに配置されたモータ部分、特に操舵モータと、被駆動軸と、駆動軸の軸受装置と回動角検出装置とを備えるアセンブリによって形成されていてよい。駆動軸は、典型的には、操舵モータから操舵駆動装置ハウジングの一部および操舵駆動装置ハウジングの開口を貫いて、操舵駆動装置ユニットの周囲の方向に延在していてよい。
【0007】
特に好ましくは、操舵可能なホイールの各々に、それぞれ1つの操舵駆動装置ユニットが割り当てられている。この構成において、操舵駆動装置ユニットは、相応に割り当てられたホイールを操舵する働きをし、それぞれ1つまたは複数の回動角検出装置を有していてよい。結果として、各々の操舵可能なホイールを、それぞれ1つの固有の操舵駆動装置ユニットを用いて、特に固有の操舵モータを用いて操舵することができる。操舵駆動装置ユニットおよび/または操舵モータは、同一構造に形成されていてよく、これによって、産業車両の製造および保守を特に廉価にすることができる。
【0008】
本発明の特に有利な構成では、回動角検出装置は、操舵駆動装置ユニットの操舵駆動装置ハウジングによって取り囲まれており、特に好ましくは完全に取り囲まれている。これによって、回動角検出装置は、製造時にまたは保守目的のために、操舵駆動装置ユニットと一緒に、特に操舵駆動装置ハウジングと一緒に、産業車両に対して特に簡単に取り付けることもできるし、取り外すこともできる。代替的に、回動角検出装置の少なくとも一部が、操舵駆動装置ハウジングに別個に固定されていてよく、特にハウジングの取外しを必要とせずに交換可能であってよい。
【0009】
回動角検出装置は、好ましくは、操舵軸に相対回動不能に結合された発生器ユニットと、発生器ユニットと機能的に協働するセンサユニットとを含んでいる。センサユニットは、特に産業車両のシャーシに対して不動にまたは位置固定に配置されていてよく、特に独立して交換可能であってよい。これによって、操舵可能なホイールの実際回動角位置の特に確実な検出が可能となる。基本的に、回動角検出装置は、触感式のシステム、光学式のシステム、磁気式のシステム、または無線ベースのシステムとして形成されていてよい。
【0010】
本発明の有利な構成では、回動角検出装置は、磁気によって作動するように形成されている。このような構成では、発生器ユニットは、少なくとも1つの磁気的な発生器要素を有しており、センサユニットは、少なくとも1つの磁気的な発生器要素によって発生した磁界を検出するための少なくとも1つの磁界センサを有していてよい。特に発生器ユニットは、磁石リングとして形成されていてよく、特に操舵軸を取り囲む磁石リングとして形成されていてよい。磁石リングは、例えば部分的に磁化されていてよい。磁界センサは、可逆式に作動するように形成されており、特に簡単に交換可能であってよい。特に、異なる安全段階のセンサを相互に交換することができる。これによって、産業車両の製造および保守のコストパフォーマンスを特に良好にすることができる。回動角検出装置、特に発生器要素およびセンサユニットは、特に、部材を個々の指示に応じて交換することができるモジュラシステムを形成することができる。
【0011】
回動角検出装置は、特に好ましくは、回転式操舵モータと操舵駆動装置ユニットの固定装置、特に固定フランジとの間に配置されている。回動角検出装置は、特に回転式操舵モータと、被駆動軸の軸受装置、特に被駆動側の軸受装置との間に配置されていてよい。これによって、回動角検出装置を、特にスペースを節減してコンパクトに配置することが可能になる。例えば、特に被駆動軸を低振動に支持するために設けられた、操舵駆動装置ハウジングの内部の空間を効果的に利用することができる。
【0012】
操舵軸は、各々の操舵可能なホイールの操舵軸線もしくは回動軸線および/または操舵駆動装置ユニットの操舵駆動装置軸の軸線に相当する操舵軸軸線を有していてよい。最初に述べた変化形態は、特に、操舵可能なホイールの回動軸線が実質的に操舵モータの回動軸線に相当している場合に実現することができる。極めて多く頻繁に発生する第2の変化形態では、操舵駆動装置軸は、操舵可能なホイールの回動軸線に対して任意に平行に配置された、操舵モータの被駆動軸によって、または操舵モータとホイールとの間に任意に配置された伝動装置軸によって形成されていてよい。したがって、操舵駆動装置軸の軸線は、操舵駆動装置ユニットまたは操舵モータの回動軸線に相当することができるが、しかしながら、基本的には、操舵駆動装置ユニットまたは操舵モータの回動軸線に対して角度を成してまたは平行に配置されていてよい。特に伝動装置が操舵可能なホイールと操舵駆動装置ユニットとの間に配置されている場合には、操舵軸軸線は、各々の操舵可能なホイールの操舵軸線に対して平行に間隔を置いてまたは角度を成して配置されていてよい。
【0013】
特に好ましくは、操舵軸は、操舵駆動装置ユニットの被駆動軸によって形成されている。これによって、操舵可能なホイールの実際回動角位置の特に確実かつ正確な検出が可能となる。
【0014】
本発明の有利な構成では、操舵駆動装置ユニットと、操舵されるホイールとの間に伝動装置、有利には変速伝動装置が、特に有利には操舵オービタル式の変速伝動装置が配置されている。このような構成では、例えば操舵制御装置を用いて、操舵されるホイールの実際の実際回動角位置を求める場合に伝動装置の変速比が考慮されると特に有利であることが判明している。伝動装置は、特に、操舵可能なホイールの所望の回動角位置を特に正確に開始させる働きをすることができる。
【0015】
回転式操舵モータは、液圧モータ、特にオービタルモータとして、または電動モータとして形成されていてよい。液圧モータとして形成された回転式操舵モータの場合には、回転式操舵モータは、好ましくは産業車両の液圧システム全体の一部として配置されている。
【0016】
特に好ましくは、回転式操舵モータは、回動角検出装置から独立して交換可能に配置されている。特に、モータ部分または操舵モータは、別体の部分として操舵駆動装置ハウジング内にまたは操舵駆動装置ハウジングに接して配置されていることが特定されていてよい。操舵モータが故障した場合、操舵モータは、回動角検出装置なしに交換することができるので、保守コストを特に低く抑えることができる。
【0017】
以下に、本発明の1つの実施例を図面を参照しながら詳しく説明する。同じ符号は同じ構成要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2a】産業車両の操舵可能な荷重受けホイールを示す詳細図である。
【
図2b】産業車両の操舵可能な駆動ホイールを示す詳細図である。
【
図3】産業車両の操舵駆動装置ユニットを示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1において符号100で示した本発明に係る産業車両は、車両シャーシ13を概略的に例示しており、この車両シャーシ13は、車両シャーシ13に配置された操舵可能なホイール1を備えている。本実施例では、4つの操舵可能なホイール1が設けられており、4つの操舵可能なホイール1の各々のホイールは、操舵軸線A1を中心にして無制限の角度で操舵可能に形成されている。「無制限の角度で操舵可能」という表現は、操舵可能なホイール1の操舵または回転が360°を超えて可能であるということを意味している。
【0020】
したがって、産業車両100は、第1の操舵可能なホイール1’と、第2の操舵可能なホイール1’’と、第3の操舵可能なホイール1’’’と、第4の操舵可能なホイール1’’’’とを備えている。図示の実施例では、操舵可能なホイール1’,1’’は、車両シャーシ13の耐荷領域に配置されていて、ゆえに、耐荷ホイールとも呼ばれる。操舵可能なホイール1’’’,1’’’’は、それぞれ1つの走行モータ14を備えた駆動ホイールとして形成されていてよい。
図1に示した実施例おいて、操舵可能なホイール1はすべて、走行駆動技術を除いて同一構造に形成されていてよい。特に、操舵可能なホイール1はそれぞれ心皿15を備えており、これらの心皿15は、心皿15に配置された2つの個別ホイールを備えている。ゆえに、操舵可能なホイール1は、ホイールアセンブリ1とも呼ぶことができる。
【0021】
図2aおよび
図2bには、産業車両100のそれぞれ1つの操舵可能なホイール1が詳細図で示してある。
図2aに示したホイールは、耐荷ホイール1’,1’’として形成されている。
図2bに示したホイールは、駆動ホイール1’’’,1’’’’として形成されている。
【0022】
図2bに示したホイールアセンブリは、
図2aに示したホイールアセンブリとは異なり、追加的に走行モータ14を有している。走行モータ14は、両個別ホイールの上または個別ホイールを保持する心皿15の上で実質的に鉛直に配置されており、特に図面には詳しく示さない回動軸に配置されている。この回動軸は、走行モータ14とホイールアセンブリ1との間で実質的に鉛直に配置されていてよく、産業車両100を走行させることを目的として走行モータ14からホイールアセンブリ1の個別ホイールに回動運動を伝達する働きをする。走行モータ14の回動軸線は、本実施例では、上に述べた図示しない回動軸の回動軸線に実質的に相当しており、この回動軸線は、本実施例では操舵軸線A1にも相当している。追加的に、走行モータ14または回動軸と、操舵可能なホイール1との間に、オービタル伝動装置が設けられていてよい。走行モータ14は、このような産業車両の従来のモータとして形成されていてよく、車両100を走行させるための各々のホイール1を駆動する働きをする。
【0023】
操舵可能なホイール1の側方に並んで、操舵駆動装置ユニット3が配置されている。この操舵駆動装置ユニット3は、操舵駆動装置ハウジング7を備えており、この操舵駆動装置ハウジング7は、固定装置10、特に固定フランジを介して、車両シャーシ13に固定されている。操舵駆動装置ユニット3は、この操舵駆動装置ユニット3にそれぞれ割り当てられた操舵可能なホイール1をモータによって操舵する働きをし、そのために、操舵駆動装置ハウジング7内に配置された回転式操舵モータ4を有している。操舵駆動装置ユニット3の上側では、操舵軸2が操舵駆動装置ハウジング7から延在しているので、操舵軸2は、操舵モータ4の被駆動軸11とも呼ぶことができる。被駆動軸11は、図示の構成では操舵駆動装置軸線A3を形成しており、この操舵駆動装置軸線A3は、本実施例では操舵軸2の操舵軸軸線A2と合致している。
【0024】
操舵軸2は区分20を有しており、この区分20を介して操舵軸2は、心皿15を回転させるために心皿15に作用結合されている。特に、区分20で操舵軸2の回動運動を、例えば本実施例のようにチェーンアセンブリ16を用いて、ホイールアセンブリ1の心皿15に、または心皿15に結合された軸に伝達することができる。そのために追加的に、本実施例のように、伝動装置12、特に変速伝動装置が設けられていてよい。これによって、特に確実な力の伝達と、ホイールアセンブリ1の特に正確な位置決めおよび操舵とが可能となる。
【0025】
当然ながら、基本的には、操舵駆動装置ユニット3が、操舵可能なホイールアセンブリ1の上に直接配置されている配置形態も可能である。このような構成では、操舵軸2の操舵軸軸線A2は、操舵可能なホイール1の操舵軸線A1に相当することができる。
【0026】
操舵軸2をモータによって回動させるために、ひいては、最終的に操舵可能なホイール1を操舵するために、操舵駆動装置ユニット3は操舵モータ4を備えている。各々の操舵モータ4を開ループ制御および閉ループ制御するために、産業車両100は、詳しく示さない操舵角制御装置5を有している。操舵角制御装置5は、操舵可能なホイール1の操舵駆動装置ユニット3の各々の操舵駆動装置ユニットと機能的に協働する。
【0027】
図3には、操舵駆動装置ユニット3がさらに詳細に示してあり、この図では、操舵駆動装置ハウジング7は、より見やすくするために、全く示していないかまたは部分的にしか示していない。特に
図3には、単に操舵駆動装置ハウジング7の固定フランジ10だけが示してある。操舵駆動装置ユニット3は、固定フランジ10を介して車両シャーシ13の収容装置17に固定されていて、収容装置17に向かって、特に
図3では下方に向かって延在している。
【0028】
操舵駆動装置ユニット3の、固定装置10とは反対側に位置している端部領域には、回転式操舵モータ4が配置されている。この操舵モータ4は、液圧モータ、特にオービタルモータとして、または電動モータとして形成されていてよい。操舵モータ4は、特に別体として形成されていてよく、詳しく示さない操舵駆動装置ハウジング7内にまたは操舵駆動装置ハウジング7に接して位置固定されていてよい。これによって、操舵モータ4を、特に簡単にかつ容易に交換することができ、特に操舵駆動装置ユニット3の別の構成要素から独立して交換することができる。
【0029】
操舵軸2は、操舵モータ4から長手延在方向に、図示しない操舵駆動装置ハウジング7を貫いて延在していて、操舵モータ4から間隔を置いた領域、特に固定フランジ10の領域に被駆動側の軸受18を用いて支持されており、操舵軸2の自由端部19は、さらに、操舵駆動装置ユニット3の周囲(
図3で固定フランジ10の上)まで延在している。端部領域19には区分20が設けられており、この区分20において、操舵軸2から心皿15への上に述べた力の伝達が行われる。
【0030】
産業車両100の各々の操舵モータ4の確実な運転、特に操舵角制御装置5を用いた産業車両100の各々の操舵モータ4の正確な制御を可能にするために、各々の操舵駆動装置ユニット3は、操舵軸2の実際回動角位置を検出するための回動角検出装置6を備えている。これによって、操舵角制御装置5に、操舵軸2の実際の実際回動角位置に関する情報ひいては操舵軸2に間接的に結合された心皿15の実際の実際回動角位置に関する情報も提供することができる。操舵角制御装置5によって、この情報に基づいて、例えば心皿15の実際回動角位置を計算によって求めることができ、操舵モータ4を制御するために、心皿15の実際回動角位置と回動角位置の設定された目標値との補償調整を行うことができる。
【0031】
回動角検出装置6は、本発明によれば操舵駆動装置ユニット3の一部として形成されており、特に操舵駆動装置ユニット3内に組み込まれている。本実施例では、回動角検出装置6は、操舵駆動装置ハウジング7の内部に、特に軸方向で被駆動側の軸受18と操舵モータ4との間に配置されており、操舵駆動装置ハウジング7によって完全に取り囲まれている。この領域には、操舵軸2を低振動で支持するために、回動角検出装置6をスペースを節減して組み込むことができる一定の空間が存在している。
【0032】
回動角検出装置6は、操舵軸2に相対回動不能に結合された発生器ユニット8と、発生器ユニット8と機能的に協働するセンサユニット9とを備えている。
【0033】
発生器ユニット8は、本実施例では、全周にわたって分配された複数の磁気的な発生器要素8aを備えた磁石リングとして形成されている。磁気的な発生器要素8aは、特に永久磁石として形成されていてよく、磁石リング8の全周にわたって少なくとも外方に向かって異なる極性を有していてよい。これによって、操舵軸2の実際回動角位置の特に正確な検出が可能となる。
【0034】
センサユニット9は、従来の磁気的なセンサユニットとして、例えばホールセンサとして形成されていて、磁気的な発生器要素8aから発生した磁界を検出する働きをする。センサユニット9は、図示の構成では不動に、つまり、操舵駆動装置ハウジング7に対して位置不変に配置されており、特に操舵駆動装置ハウジング7に固定されていてよい。これによって、センサユニット9を必要な場合に迅速に、特に簡単に交換することができる。特に、精度要求に応じて、異なるセンサ機能を備えたセンサユニット9を使用することができ、取付け場所および取付け形態は同様に形成されていてよい。これによって、産業車両100を特に良好なコストパフォーマンスで製造することが可能となる。
【0035】
付言しておくと、本発明の保護範囲は、記載した実施例に限定されるものではないことは明らかである。特に、操舵可能なホイールアセンブリに関連した操舵駆動装置ユニットの配置形態は、本発明の要旨を変えることなしに、様々な形態に変更することが可能である。例えば、操舵駆動装置ユニットは、その長手延在方向でホイールアセンブリの操舵軸線の側方に並んでまたは操舵軸線上に配置されていてよい。
【符号の説明】
【0036】
1,1’,1’’,1’’’,1’’’’ 操舵可能なホイール、ホイールアセンブリ
2 操舵軸
3 操舵駆動装置ユニット
4 回転式操舵モータ
5 操舵角制御装置
6 回動角検出装置
7 操舵駆動装置ハウジング
8 発生器ユニット
8a 発生器要素
9 センサユニット
10 固定装置、固定フランジ
11 被駆動軸
12 伝動装置、変速伝動装置
13 シャーシ
14 走行モータ
15 心皿
16 チェーン
17 収容装置
18 軸受
19 自由端部
20 区分
100 産業車両
A1 操舵軸線、回動軸線
A2 操舵軸軸線
A3 操舵駆動装置軸線、被駆動軸軸線
【国際調査報告】