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特表2023-547487硫黄含量及び硫酸塩灰分量が少なく、かつ、モリブデン及びホウ素化合物を含有する再生可能なベース油を有する潤滑油組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】硫黄含量及び硫酸塩灰分量が少なく、かつ、モリブデン及びホウ素化合物を含有する再生可能なベース油を有する潤滑油組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/04 20060101AFI20231102BHJP
   C10M 139/00 20060101ALN20231102BHJP
   C10N 10/12 20060101ALN20231102BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20231102BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20231102BHJP
【FI】
C10M169/04
C10M139/00 A
C10M139/00 Z
C10N10:12
C10N40:25
C10N30:00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526341
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 IB2021059908
(87)【国際公開番号】W WO2022090946
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/106,538
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ダム、ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】パテル、ミハイル ケイ.
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA02A
4H104BA07A
4H104DA02A
4H104DA06A
4H104FA06
4H104LA20
4H104PA41
4H104PA42
(57)【要約】
炭化水素混合物、及び、硫黄含量が約0.4重量%までであり、かつ、炭化水素混合物と硫酸塩灰分量が約0.5重量%までである潤滑油添加剤を含む再生可能なベース油組成物を含む潤滑油組成物、及びそれを使用してエンジン性能を改善する方法を、本願では記載している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑組成物であって
a.炭化水素混合物を含む少なくとも約25重量%の再生可能なベース油を有するベース油の混合物であって、(a)FIMSに従って偶数個の炭素原子を有する分子の割合が≧80%であり、(b)BP/BI≧-0.6037(内部アルキル分岐/分子)+2.0、(c)平均で、0.3~1.5 5+メチル/分子である、前記ベース油の混合物;及び
b.ASTM D874で決定した、約0.4重量%までの硫黄含量、及び約0.5重量%までの硫酸塩灰分量を有する添加剤組成物であって、(a,)組成物の全質量に基づいて、400ppm~2000ppm以下のホウ素を有する化合物を含有する少なくとも1つの油溶性の分散油安定ホウ素、(b)組成物の全質量に基づいて、700ppmのモリブデン~1500ppm以下のモリブデンを有する化合物を含有する少なくとも1つの油溶性または分散油安定性モリブデンを含み、前記潤滑油組成物は、硫黄:モリブデンの比率が、約0.5:1~約4:1以下であり、さらに、前記潤滑油組成物は、ジアルキルジチリン酸亜鉛を実質的に含まず、全添加剤濃度が、約20%~30%の範囲であり、かつ、ベース油混合物が、約70%~80%の範囲である、前記添加剤組成物、を含む前記潤滑組成物。
【請求項2】
ASTM D5481に基づいた潤滑高温高剪断粘度が、3.2cP以下である、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項3】
ASTM D445に基づいた100℃での動粘性率が、12.5cSt以下である、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項4】
ASTM D5293に基づいた-25℃での潤滑低温冷間割れ粘度が、7000mPa.s以下である、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項5】
ASTM D4686に基づいた低温ポンピング粘度が、降伏応力なしで、30℃で、60,000mPa.S以下である、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項6】
a.炭化水素混合物を含む少なくとも約25重量%の再生可能なベース油を有するベース油の混合物であって、(a)FIMSに従って偶数個の炭素原子を有する分子の割合が≧80%であり、(b)BP/BI≧-0.6037(内部アルキル分岐/分子)+2.0、(c)平均で、0.3~1.5 5+メチル/分子である、前記ベース油の混合物;及び
b.ASTM D874で決定した、約0.4重量%までの硫黄含量、及び約0.5重量%までの硫酸塩灰分量を有する添加剤組成物であって、(a,)組成物の全質量に基づいて、400ppm~2000ppm以下のホウ素を有する化合物を含有する少なくとも1つの油溶性の分散油安定ホウ素、(b)組成物の全質量に基づいて、700ppmのモリブデン~1500ppm以下のモリブデンを有する化合物を含有する少なくとも1つの油溶性または分散油安定性モリブデンを含み、前記潤滑油組成物は、硫黄:モリブデンの比率が、約0.5:1~約4:1以下であり、さらに、前記潤滑油組成物は、ジアルキルジチリン酸亜鉛を実質的に含まない、前記添加剤組成物、
を含む潤滑油を用いて、内燃機関の燃費保持を改善する、排油間隔を延長する、及びオイル消費量を削減する方法。
【請求項7】
前記燃費保持を、0.2%以上改善する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記内燃機関が、大型ディーゼルエンジンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記排油間隔を、30%以上延長する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記内燃機関が、大型ディーゼルエンジンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記オイル使用量を、50%以上削減する、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記内燃機関が、大型ディーゼルエンジンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物を供給して、内燃機関における燃費の損失を6%以下に低下させる方法。
【請求項14】
前記内燃機関が、中型ディーゼルエンジンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の組成物を供給して、内燃機関における瞬時最大トルクの損失を70Nm以下に低下させる方法。
【請求項16】
前記内燃機関が、中型ディーゼルエンジンである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の組成物を供給して、内燃機関における最大出力の損失を、20KW以下に低下させる方法。
【請求項18】
前記内燃機関が、中型ディーゼルエンジンである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物を供給して、内燃機関における排気マニホールド温度の上昇を50℃以下に低下させる方法。
【請求項20】
前記内燃機関が、中型ディーゼルエンジンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物を供給して、内燃機関におけるオイル使用量を、7500グラム以下に削減する方法。
【請求項22】
前記内燃機関が、中型ディーゼルエンジンである、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
炭化水素混合物と、約0.4重量%までの硫黄含量、及び、約0.5重量%までの硫酸塩灰分量を有する潤滑油添加剤とを含む潤滑油組成物。炭化水素混合物と、約0.4重量%までの硫黄含量、及び、約0.5重量%までの硫酸塩灰分量を有する潤滑油添加剤とを含む再生可能なベース油組成物を含有する炭化水素混合物を使用してエンジン性能を向上させる方法を開発しており、独自の組成特性を有する、及び燃費効率保持、ターボチャージャーの効率保持、瞬時最大トルク保持、瞬時最大パワー保持、排気マニホールド温度の低下、及び、様々なタイプの内燃機関を潤滑するための使用に際して潤滑油の寿命期間におけるオイル使用量の削減に関する改善について実証をする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
地球温暖化防止に向けて、自動車産業の排ガス規制は、年々厳しくなっている。これらの規制が故に、自動車業界は、燃費(FE)を改善する手立てを模索している。
【0003】
改良潤滑油から得られる燃費は、ハードウェアを改めてデザインするよりも低コストで達成できるので、効率改善に向けた魅力的な手順として考えられている。OEMは、さらに優良な車両効率を求めている、及び車両効率を維持する方法も模索し始めている。したがって、潤滑油の耐用年数を通して燃費を維持することは、重要な基準になりつつある。自動車エンジンを稼働させている間は、潤滑油に対して酸化劣化及び熱劣化が作用して劣化を招く。酸化劣化及び熱劣化は、潤滑特性、例えば、粘度、耐酸化性、耐摩耗性などを低下させる。この劣化は、重要なエンジン部品を早々に故障させる、及び、燃費を低下させる。
【0004】
ベースストックは、内燃エンジン、タービン、コンプレッサー、油圧システムなどに供する潤滑油などの様々な潤滑油を製造するために一般的に使用されている。また、これらは、プロセスオイル、ホワイトオイル、熱伝達流体としても使用されている。完成品の潤滑油は、一般的に、ベース油と添加剤の2つの成分からなる。
【0005】
単一のベースストックまたはベースストックの混合物であるベース油は、これらの完成品の潤滑油の主成分であり、粘度及び粘度指数、揮発性、安定性、及び低温性能などの性能に大きく関係する。一般的に、一部のベースストックは、個別のベースストックと個別の添加剤との混合物を多様化させて、多種多様な完成品の潤滑油を製造するために使用する。
【0006】
脂肪酸エステルを含有する潤滑油組成物を使用して、エンジン燃料効率を改善する方法は、U.S.9,885,004に記載されている。
【0007】
American Petroleum Institute(API)は、飽和炭化水素含量、硫黄レベル、及び粘度指数に基づいて、ベースストックを5つのグループに分類している(以下の表1)。グループI、II、及びIIIのベースストックは、グループIについては溶剤精製、グループII及びグループIIIについては水素化処理など、広範な処理を介しており、そのほとんどが原油から得られる。また、特定のグループIIIベースストックは、天然ガス液体燃料化プロセス(GTL)を介して、合成炭化水素液体から製造することができる、及び、天然ガス、石炭、またはその他の化石資源から得る。グループIVのベースストックであるポリオレフィン(PAO)は、1-デセンなどのアルファオレフィンをオリゴマー化して製造する。グループVのベースストックは、ナフテン系ベースストック、ポリアルキレングリコール(PAG)、エステルなど、グループI~IVに属さないすべてを含む。大規模なベースストック製造のための原料のほとんどは、再生不可能である。
【表1】
【0008】
自動車用エンジンオイルは、ベースストックに関して飛び抜けて大きな市場である。自動車業界は、排ガス量の削減、排出間隔の延長、及び燃費の向上が求められているので、エンジンオイルの性能仕様がさらに厳しくなってきている。具体的には、自動車OEM(相手先ブランド供給)は、摩擦損失を減らして、燃料経済性の向上を達成するために、0W-20~0W-8などの低粘度エンジンオイルの使用を推進している。エンジンオイルのNoack揮発度が低いベース油は、製剤に関してデザインした粘度を、長時間稼働させても維持することを可能にしているので、US6300291で説明したものよりも、燃費保持の改善と、長い排出間隔を可能にする。グループI及びグループIIでの0W-xxエンジンオイルの使用は制限が非常に多く、それらと混合しても、0W-xxエンジンオイルの性能仕様を満たすことができず、そのため、グループIII及びグループIVのベースストックの需要が高まっている。
【0009】
グループIIIのベースストックは、そのほとんどを、水素化分解及び触媒脱ロウ(水素異性化など)を通じて真空ガスオイル(VGO)から製造する。また、グループIIIのベースストックは、溶媒精製に由来するスラックワックスの触媒脱ロウ、または天然ガスまたは石炭をベースとした原料、別名、天然ガス液体燃料化ベース油(GTL)のFischer-Tropsch合成に由来するワックスの触媒脱ロウによって製造することができる。
【0010】
VGOからのグループIIIベースストックの製造プロセスは、米国特許第5,993,644号及び第6,974,535号に記載されている。それらの沸点分布は、同じ粘度のPAOと比較した場合、通常は高く、PAOよりも揮発性は高い。さらに、グループIIIのベースストックは、通常、同等の温度及び粘度でグループIVのベースストックよりも高いコールドクランク粘度(すなわち、ASTM D5293、CCSに準拠した動的粘度)を示す。
【0011】
GTLベースストック処理は、米国特許第6,420,618号及び第7,282,134号、ならびに米国特許出願公開第2008/0156697号に記載されている。例えば、後者の文献は、Fischer-Tropsch合成物からベースストックを調製するためのプロセスを説明しており、その適切な沸点範囲を有する画分は、GTLベースストックを生成するために水素異性化に供される。
【0012】
GTLベースストックのそのような構造及び特性は、例えば、米国特許第6,090,989号及び第7,083,713号、ならびに米国特許出願公開第2005/0077208号に記載されている。米国特許出願公開第2005/0077208号では、最適化した分岐を有する潤滑油ベースストックが説明されており、ベースストックのコールドフロー特性を改善するために、分子の中心に向けて分岐アルキル基が集中している。それにもかかわらず、GTLベースストックの流動点は、一般的に、PAOまたはその他の合成炭化水素ベースストックよりも高い。
【0013】
GTLベースストックに関するさらなる懸念は、新規のGTL製造施設に莫大な資本投入が求められる結果、商業的供給にあたって大きな障壁が存在することにある。GTLベースストックを、収益性の高い方法で生産するには、低コストの天然ガスへのアクセスも必要となる。さらに、GTLベースストックは、一般的には、広い沸点分布を有する異性化油から蒸留するので、このプロセスは、典型的なPAOプロセスと比較すると、所望の粘度を有するベースストックに対して比較的に低い収率になる。これらの経済的及び収率の制約があるが故に、現在のところ、サプライチェーン及び価格変動のリスクに曝されるGTLを使用する製剤であるグループIII+GTLベースストックの製造工場は1つしかない。
【0014】
ポリアルファオレフィン(PAO)、またはグループIVベース油は、AlCl3、BF3、またはBF3錯体などのフリーデルクラフツ触媒の存在下でのアルファオレフィンの重合によって生成する。例えば、1-オクテン、1-デセン、及び1-ドデセンは、100℃で、低分子量で、約2cStの低粘度から、100℃で、高分子量で、100cStを超える粘度の粘性材料まで、幅広い粘度のPAOの製造に使用する。重合反応は、通常は、水素の非存在下で行われる;潤滑油範囲の製品は、その後、残留不飽和を低減するために精製または水素化する。PAOをベースとした潤滑油を製造するためのプロセスは、例えば、米国特許第3,382,291号;第4,172,855号;第3,742,082号;第3,780,128号;第3,149,178号;第4,956,122号;第5,082,986号;第7,456,329号;第7,544,850号;及び、米国特許出願公開第2014/0323665号に開示されている。
【0015】
現代の潤滑油及び自動車用エンジンオイルに関して厳格化が進む性能要件を満たすことができる様々なPAOを調製するためのこれまでの取り組みでは、特に、1-デセン単独、またはその他の鉱油と混合して得られる低粘度のポリアルファオレフィンベースストックが好んで使われていた。しかしながら、1-デセンから得たポリオレフィンは、供給が限られているので、非常に高価になる。1-デセンの利用可能性の制約を克服する試みがなされた結果、C8~C12の混合アルファ-オレフィン原料からPAOが生成されるようになり、特性を付与する上で必要な1-デセンの量が減った。しかしながら、性能上の懸念から、主要なオレフィン原料として1-デセンの供給を受ける必要性を完全に排除することは未だできていない。
【0016】
同様に、C14~C20の範囲にある線状アルファオレフィンを使用する従前の取り組みでは、流動点が許容できないほど高いポリアルファオレフィンが製造されており、このものは、0Wエンジンオイルなどの様々な潤滑油での使用には適していない。
【0017】
したがって、商業的に許容可能な範囲内で、例えば、自動車及びその他の用途で使用するための特性を有する潤滑油組成物が依然として待望されており、そのような特性は、粘度、Noack揮発度、及び低温冷間割れ粘度の1つ以上を含む。さらに、改善した特性を有する潤滑油組成物、及びその製造方法が依然として待望されており、すなわち、ベースストック組成物が含有している1-デセンの量を減らすこと、及び、さらに好ましくは、その製造において1-デセンの使用を排除することが待望されている。
【0018】
自動車産業に対する技術的要求に加えて、環境への意識と規制も相俟って、製造業者は、ベースストックと潤滑油の生産において、再生可能な原料及び原材料を使用するようになってきている。再生可能で、かつ生物学的起源のエステル、及び一部のグループIII炭化水素ベースストック(US9862906B2)が、冷却コンプレッサー潤滑油、油圧オイル、金属加工用油などの用途で使用されており、及び、最近では自動車及び工業用潤滑油(US20170240832A1)での使用が知られている。炭化水素の一般的な生物的供給源として、天然油があり、これらは、植物供給源、例えば、キャノーラ油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、菜種油、落花生油、大豆油、トール油、またはパーム油から得られる。炭化水素のその他の商業的供給源として、藻類または酵母などの遺伝子操作した微生物がある。
【0019】
高性能潤滑油ベースストックの需要の高まりを受けて、改善した炭化水素混合物の継続的な需要がある。業界は、これらの炭化水素混合物、好ましくは、再生可能な資源由来のものが、優れたNoack揮発度、及び低温粘度測定特性を有しており、厳格なエンジンオイル要件を満たすことを求めている。
【0020】
排気後処理装置を内燃機関に搭載し、排出ガス規制に向けた対応を図っている。燃料及び潤滑油の燃焼副産物は、排気後処理装置の耐用年数を縮める。特に、燃料及び潤滑油に由来する硫黄、潤滑油に由来するリン、潤滑油に由来する硫酸塩灰分は、排気後処理装置の寿命を縮めることが知られている。したがって、排気後処理装置の寿命を延ばすために、一般的に、低SAPS製剤として知られている特定のタイプの潤滑油を開発して、硫酸塩灰分、リン、及び硫黄の量を減らしている。
【0021】
米国特許第9,523,061号B2は、約0.4重量%までの硫黄含量、及び約0.5重量%までの硫酸塩灰分量を有する潤滑油組成物を開示している。
【発明の概要】
【0022】
発明の概要
本発明の実施形態は、炭化水素混合物と、約0.4重量%までの硫黄含量、及び、約0.5重量%までの硫酸塩灰分量を有する潤滑油添加剤パッケージとを含む再生可能なベース油組成物を含有する潤滑油組成物である。
【0023】
別の実施形態は、炭化水素混合物と、約0.4重量%までの硫黄含量、及び、約0.5重量%までの硫酸塩灰分量を有する潤滑油添加剤パッケージとを含む再生可能なベース油組成物を含有する潤滑油組成物を使用してエンジン性能を向上させる方法であって、燃費保持、ターボチャージャーの効率保持、瞬時最大トルク保持、瞬時最大パワー保持、排気マニホールド温度の低下、及び、様々なタイプの内燃機関を潤滑するための使用に際して潤滑油の寿命期間におけるオイル使用量の削減に関する改善について実証をする。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の説明
本発明の一実施形態に従って、FIMSに従って偶数個の炭素原子を有する分子が80%超の飽和炭化水素混合物を有するベース油として本明細書で定義する「再生可能なベース油」を有する潤滑油組成物は、BP/BI≧-0.6037(内部アルキル分岐/分子)+2.0、及び、炭化水素混合物全体を炭素NMRで分析すると、平均で、0.3~1.5 5+メチル/分子を有する。本明細書に開示する炭化水素混合物を合成する1つの方法は、C14~C20アルファ、または内部-オレフィンのオリゴマー化、それに続く、オリゴマーの水素異性化によるものである。
【0025】
C14~C20オレフィンを使用すると、原料として高価な1-デセン、及びその他の原油または合成ガスをベースとしたオレフィンの必要性が緩和されて、C14~C20アルコールに由来するオレフィン原料の代替供給源が利用可能になる。炭化水素組成物は、1つ以上のオレフィンコモノマーから誘導されており、当該オレフィンコモノマーは、二量体、三量体、及び高級オリゴマーへとオリゴマー化される。次いで、オリゴマーは、水素異性化に供される。得られた炭化水素混合物は、優れた流動点、揮発性、及び粘度特性、ならびに添加剤溶解特性を有する。
【0026】
本発明の実施形態は、添加剤パッケージと混合した上記した再生可能なベース油を提供しており、ASTM D874に従って決定した、約0.4重量%までの硫黄含量、及び、約0.5重量%までの硫酸塩灰分量を有しており、(1)組成物の全質量に基づいて、400ppm~2000ppm以下、好ましくは、組成物の全質量に基づいて、600ppm~1000ppm以下のホウ素に寄与する化合物を含有する油溶性ホウ素;(2)組成物の全質量に基づいて、700ppmのモリブデン~1500ppm以下のモリブデンに寄与する化合物を含有する油溶性モリブデンを含み、また、当該潤滑油での硫黄:モリブデンの比率が、約0.5:1~約4:1以下であり、また、さらに、当該潤滑油組成物は、ジアルキルジチリン酸亜鉛を実質的に含まない。代表的な添加剤パッケージは、参照により本明細書に援用する、U.S.9,523,061 B2に記載している。
【0027】
本発明の別の実施形態に従って、100℃で、ASTM D445に基づいた動粘性率が12.5cSt以下である少量の硫酸塩灰分の添加剤パッケージを有する再生可能なベース油を有する潤滑油組成物を提供しており、ASTM D5481に基づいた高温高剪断粘度は、3.2cP以下である:ASTM D2593に基づいた-30℃での低温冷間割れ粘度は、6600mPa.s以下である;SAE J300に基づいたSAE動粘等級は、5W-30以下、例えば、5W-20、0W-30、0W-20、0W-16、0W-12、及び0W-8である。
【0028】
「従来の潤滑油」とは、本明細書では、本明細書に記載した「再生可能なベース油」を使用しない潤滑油組成物として定義する。
【0029】
本明細書で定義する「内燃機関」は、ディーゼルエンジン、例えば、大型及び中型のディーゼルエンジンを含む。
【0030】
本発明のさらなる実施形態は、潤滑油組成物を、大型ディーゼルエンジンに供給して、燃料効率保持を改善する方法であり、また、内燃機関は、ディーゼルエンジンを含む。特に、燃費保持は、少なくとも0.2%改善される、及び、同等の粘度を有する従来の潤滑油よりも、好ましくは0.4%を超える改善を示す内燃機関において燃費保持を改善する方法。
【0031】
さらなる実施形態は、潤滑油組成物を、大型ディーゼルエンジンに供給してオイル使用量を減らす方法である。総オイル使用量とは、エンジン稼働中に消費する潤滑油と、内燃機関を潤滑する効果の損失の原因となる排出された潤滑油のことを説明している。オイル使用量の削減は、等しい粘度の従来の潤滑油と比較して、少なくとも30%、好ましくは、50%以上減っている。
【0032】
本明細書に記載した潤滑組成物を、大型ディーゼルエンジンに供給する方法は、等しい粘度の従来の潤滑油と比較して、排油間隔を、少なくとも50%、好ましくは60%以上延長する結果をもたらす。
【0033】
本明細書に記載した中型ディーゼルエンジンに潤滑油組成物を供給する方法は:
(a)試験開始時の燃費の損失が、等しい粘度の従来の潤滑油と比較して、5%未満、好ましくは3%以下である;
(b)オイルの総消費量が、等しい粘度の従来の潤滑油と比較して、7500グラム、好ましくは、6500グラム少ない;
(c)試験開始時の瞬時最大トルクの損失が、等しい粘度の従来の潤滑油と比較して、50Nm以下、及び、好ましくは30Nm以下である;
(d)試験開始時の最大ピーク電力の損失が、等しい粘度の従来の潤滑油と比較して、20KW以下、及び、好ましくは10KW以下である;
(e)ターボチャージャー効率の損失が、10%未満、好ましくは5%以下である、
(f)試験開始時の排気マニホールド温度の上昇が、同じ粘度の従来の潤滑油と比較して、50℃未満である、及び、好ましくは、20℃以下である、
ことを含むさらなる改良を提供する。
【0034】
(実施例)
比較潤滑油組成物1は、ミネラルベース油グループIIを、従来レベルの硫酸塩灰分を含む添加剤パッケージと混合して調製した。比較潤滑油組成物2は、ミネラルベース油グループIIを、低レベルの硫酸塩灰分を含む添加剤パッケージと混合して調製した。比較潤滑油組成物3は、再生可能ベース油を、従来レベルの硫酸塩灰分を含む添加剤パッケージと混合して調製した。本発明の潤滑油は、再生可能ベース油を、低レベルの硫酸塩灰分を含む添加剤パッケージと混合して調製した。粘度調整剤とトリミング液を加えたところ、100℃で、7.25~8.25cStの動粘性率、及び150℃で、2.5~2.6cPの高温高剪断粘度が得られた。表1に、潤滑油の詳細な組成、及びそれぞれの添加濃度を示す。

【表1】
【0035】
大型ディーゼルエンジンでの試験:
自動車のエンジンが稼働している間に、潤滑油が、その酸化劣化及び熱劣化によって劣化することは周知の事項である。酸化劣化及び熱劣化は、粘度、耐酸化性、耐摩耗性などの潤滑特性を低下させる。これにより、重要なエンジン部品が早期に故障する、及び燃料消費量が増加する、または燃費が低下する。燃費低下とオイル使用量を測定するために、ターボチャージャー及び排気ガス再循環を備えた直列6気筒4サイクルディーゼルエンジンを搭載したVolvo D-13/MP8 13Lを、超少量硫黄ディーゼル燃料を使用して走行させた。
【0036】
燃費保持(%)の決定
エンジン稼働時の潤滑特性の低下に起因する燃費保持を測定するために、燃費-オイル劣化(経年変化)-燃費を順次に測定する試験をデザインした。このサイクルは、エンジンを稼働させて、燃費の大幅な損失が認められるまで繰り返した。
【0037】
燃費サイクルは、EPA Supplemental Emission Testing (SET)手順を利用した離散モードサイクルとして実行した。SETサイクルは、13モードの定常状態エンジンダイナモメーター試験からなる。それぞれのモードでは、エンジンは、規定の時間に関する特定の速度と負荷の組み合わせで稼働する、及び、次のモードに移行する。13モードサイクルを、7回繰り返す、及び、7サイクルの平均燃料消費量を、グラム/分で測定した。オイル劣化(経年劣化)サイクルは、エンジン回転数1500rpm、燃料流量68kg/時間、オイルギャラリー温度130℃で実施した。劣化(経年劣化)試験条件の詳細な説明は、ASTM D8048に記載されている。
【0038】
燃費保持試験は、上記したように13モードSETサイクルを使用して、劣化していない潤滑油で満たしたエンジンオイルの燃費を測定することから始めた。これに続いて、上記したエンジン試験条件に従って、オイル劣化(経年劣化)サイクルを行う。オイル劣化サイクルを、90時間実施した。これに続いて、90時間のオイル劣化に起因する燃費の変化を測定するための燃費サイクルが続く。燃費効率-オイル劣化-燃費サイクルを、360時間繰り返し、均等な90時間セグメントを設けた。
【0039】
さらに、未劣化潤滑油及び経年劣化潤滑油(それぞれ90時間セグメント時点)の燃費数値を使用して、燃費の変化(%)を算出した。さらに、エンジンを稼働させて360時間後の平均燃費変化を、90時間、180時間、270時間、360時間で算出した燃費変化の平均値を平均して算出した。本発明の潤滑油と比較例の平均燃費の変化の概要を、表2に示す。
【0040】
排油間隔性能の決定
ASTM D8048に記載された試験条件下で360時間使用する潤滑油は、潤滑特性を悪化させる可能性がある、及び、通常のエンジンの稼働に利用できなくなり得る。潤滑油が、そのような状態になるまで劣化したら、エンジンから排出して、新規の潤滑油と交換しなくてはならない。潤滑油の排出限界は、用途、及び用途の重要度によって異なる。当業者であれば、すべての潤滑油に関して、統一された不合格点または許容限界を決定することが困難であることは自明である。したがって、所与の実験では、0.5%の燃料効率の損失を、潤滑油交換の時点として使用した。したがって、排油間隔(ODI)は、試験の開始から新規の潤滑油の交換に至るまでのエンジン稼働期間を時間で表したものとして定義する。エンジン稼働が360時間に至るまでに0.5%の燃費の低下を示さない潤滑油は、0.5%の燃費の低下が認められるまで試験サイクルを延長した。比較例及び本発明の潤滑油の燃費が、0.5%の損失を示した後の排油間隔の概要を、表2に示す。
【0041】
オイル使用量の決定
エンジン稼働期間内に使用した総潤滑油は、最初に入れた新規の潤滑油に、エンジン稼働期間内に消費した潤滑油を加えて計算した。最初に入れた新規の潤滑油の量は、21.5kgであった。エンジン稼働期間内に消費する潤滑油は、定期的にオイルレベルインジケーターを確認して、試験の期間はエンジン内の潤滑油レベルをモニタリングする、及び、確認した潤滑油レベルをエンジンに存在するオイルの量に変換して計算した。次いで、この量を、エンジンから排出した潤滑油試料に関して補正した、及び潤滑油レベルを維持するために30時間ごとに加えた新規の潤滑油の量で補正した。360時間で消費した総潤滑油は、消費したオイルを、30時間間隔で、グラム単位で加えて計算した。本発明の潤滑油と比較例で、360時間のエンジン稼働で消費した総オイルの概要を、表2に示す。


【表2】
【0042】
表2は、潤滑油を360時間かけて劣化させた後の平均燃費変化率(%)、エンジンの燃費が0.5%損失した場合の排油間隔、及び360時間後のオイルの総消費量をまとめてある。表2に示したように、本発明の潤滑油は、比較例と比較して、360時間かけて劣化した後の燃費損失の変化が最も小さい。また、本発明の潤滑油は、比較例と比較して、排油間隔が最も長い。さらに、本発明の潤滑油は、比較例と比較して、エンジンを360時間稼働させた後に消費するオイルの量が最少であったことが示されている。
【0043】
比較例1は、従来のベース油、及び従来の潤滑油添加剤で製剤したパッケージである。比較例2は、従来の潤滑油添加パッケージを、少量の硫酸塩灰分の添加剤パッケージに置き換えて製剤し、及び、従来のベース油をそのまま維持した。比較例3は、従来のベース油を再生可能なベース油に置き換えて製剤し、及び、従来の潤滑油添加剤パッケージをそのまま維持した。本発明の潤滑油は、少量の硫酸塩灰分の添加剤パッケージと、再生可能なベース油とで製剤したものである。それらの相対性能を決定するために、比較例2、3、及び本発明の潤滑油を、例1と比較した。例えば、例2、3は、例1と比較して、燃費保持が、0.104%、及び-0.098%だけ改善している。一方、本発明の潤滑油は、例1に対して、燃費保持が、0.481%改善している。これらの結果から、再生可能なベース油と少量の硫酸塩灰分の添加剤パッケージとを組み合わせることで、少量の硫酸塩灰分の添加パッケージ(例2)と再生可能なベース油(例3)の個々の寄与の合計よりも大きな燃費向上が見込まれる。このことは、再生可能なベース油と、少量の硫酸塩灰分の添加剤技術との相乗効果を示している。同様に、エンジンが、0.5%の燃費を損失した後のODIの改善も、再生可能なベース油と、少量の硫酸塩灰分の添加剤技術との相乗効果を示している。
【0044】
中型ディーゼルエンジンでの試験:
内燃機関のクランクケースは、ガスとオイルミストを蓄積しており、ブローバイと称する。クランクケースブローバイガスは、粒子状物質の排出源となり得るものであり、ならびに、オイル消費量の増加、ピストン及びライナーでの堆積物の蓄積、及びエンジンの清浄度の低下にも影響する。一部のICエンジンは、ブローバイガスの環境への有害な影響を減らすために、閉鎖クランクケース換気(CCV)システムを使用している。米国EPAは、PMを約10%削減するための改良システムとしてCCVをリストしている。CCVシステムでは、ブローバイガスは、オイルミストセパレーター(OMS)を介して、エンジンの吸気システムを再循環して、燃焼プロセスに戻る。OMSは、合体の原理に基づいて作用して、ガスから石油を分離する。ブローバイガスが、媒体(フィルターまたはバッフル)を通過すると、小さな油滴が媒体の表面に集まる。これらの油滴は、合体してOMSの底に回収されて、オイル試料に戻る。清澄なブローバイガスを、エンジンの吸気と混合する、及び、ターボチャージャーを介して燃焼室に入れる。モデムCCVシステムは非常に効率的であるが、CCVシステムの濾過効率を、クランクケースの圧力を制限下に保つために限定する。したがって、一部のオイル粒子(ミスト)は、CCVシステムから放出される、及びターボチャージャーコンプレッサーに蓄積する、及びコンプレッサー内に煤含有堆積物を形成する。この現象は、ターボチャージャーの効率を著しく低下させる、及び、その結果、燃料消費量が増加して、エンジン比出力が低下する。ターボチャージャー効率の低下、及び、それに伴う瞬時最大トルクと燃費の低下、ならびに排気温度の上昇を測定するために、Ford 6.7リッターV8エンジンを使用した。Ford 6.7リッターV8エンジンは、直噴コモンレール、排気ガス再循環、及び可変容量ターボチャージャーを装備しており、及び、1800rpmで、1050lb-ftの瞬時最大トルクを定格とする。
【0045】
ターボチャージャーの効率の変化と、それに続く燃料消費量、最大出力、瞬時最大トルク、排気ガス温度、及びオイル消費量の変化を決定するために、試験は、3つのステップで実施した。
【0046】
ステップ1:試験開始時の燃料消費量とパワースイープ
試験開始時に、エンジンを稼働させて、パワースイープと燃費試験を実行した。燃料効率サイクルは、EPA Supplemental Emission Testing (SET)手順を利用した離散モードサイクルとして実行した。SETサイクルは、13モードの定常状態エンジンダイナモメーター試験からなる。それぞれのモードでは、エンジンは規定の時間、特定の速度と負荷の組み合わせで稼働する、及び、次のモードに移行した。エンジンは、13モードサイクルを4回繰り返し、及び4サイクルの平均燃料消費量をグラム/分で測定した。
【0047】
パワースイープは、様々なエンジン回転数(rpm)で生成するディーゼルエンジンのトルク(Nm)と出力(KW)を測定する。エンジンのトルクと出力の値は、ダイナモメーターをディーゼルエンジンに接続する、及びエンジンが様々な速度で生成するトルクと出力を測定して生成した。所与の実験では、エンジンを1000rpmで稼働させる、及び最大トルク値を記録する。これに続いて、次に高速の最大トルクを測定する。所与の実験では、トルクと出力の値は、100RPM刻みで、1000と3000rpmとの間のエンジン速度について記録した。Ford 6.7Lエンジンは、1800rpmで瞬時最大トルク、2800rpmで最大出力を生成する定格である。瞬時最大トルク及び最大出力値は、比較例1と本発明の潤滑油を比較するために使用した。
【0048】
ステップ2:ターボチャージャーの効率
エンジンを、ほぼ全負荷状態で稼働させて、100時間の終了時に、3%の煤の発生を目標としている。この段階で、ターボチャージャーコンプレッサーの入口に向かう温度(Tin)と圧力(Pin)、及び給気冷却器に向けて排出されるコンプレッサーの温度(Tout)と圧力(Pout)も測定した。これらの温度と圧力を使用して、次の式を使用して、ターボチャージャーの効率を計算した。
【数1】
【0049】
シリンダー出口(排ガス)温度も測定した。この段階は、シリンダー出口温度が800℃(ターボチャージャーの定格温度)を超えると完了したものとみなした。この時点で、ターボチャージャーの効率の低下を記録した。比較例1の潤滑油に関して排気温度上昇が生じた時点で、本発明の潤滑油に関する試験の試験期間を規定した。
【0050】
ステップ3:試験終了時の燃料消費量とパワースイープステップ
ステップ1で記載したようにして、比較例1の潤滑油についてパワースイープ及び燃費試験を実施した。本発明の潤滑油に関するその後の試験は、ステップ1~3に記載した手順に従って実施した。
【0051】
ターボチャージャー効率の変化は、試験全体を通して測定した。ターボチャージャー効率の損失を計算するために、測定したターボチャージャー効率を、すべてのエンジン部品が清浄であった試験開始時のターボチャージャー効率と比較した。表3は、本発明の潤滑油と比較例1について、試験開始時と比較したターボチャージャー効率の損失の概要を示す。
【0052】
同様に、燃料効率の変化(%)、ピークパワーの損失、瞬時最大トルクの損失、排気温度の上昇を、試験終了時、及び試験開始時のそれぞれのパラメータの値を控除して算出した。表3は、比較例1及び本発明の潤滑油に関するこれらのパラメータの概要を示す。
【表3】
【0053】
表3に示したように、本発明の潤滑油は、比較例1よりもターボチャージャー効率の損失が小さく、燃費損失が小さく、ピーク電力損失が小さく、瞬時最大トルク損失が小さく、排気温度の上昇が小さく、及び、オイルの総消費量が少ない。
【国際調査報告】