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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】強化ガラスセラミック物品
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/32 20060101AFI20231102BHJP
   C03C 17/34 20060101ALI20231102BHJP
   B32B 18/00 20060101ALI20231102BHJP
   B32B 27/04 20060101ALI20231102BHJP
   F24C 15/10 20060101ALI20231102BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
C03C17/32 A
C03C17/34 A
B32B18/00 C
B32B27/04 Z
F24C15/10 B
H05B6/12 305
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526372
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 FR2021051902
(87)【国際公開番号】W WO2022090670
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】2011128
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504374919
【氏名又は名称】ユーロケラ ソシエテ オン ノーム コレクティフ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ティボー ゲドン
(72)【発明者】
【氏名】ミシュリーヌ プリシャール
(72)【発明者】
【氏名】グザビエ ブラジェール
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ ルー
【テーマコード(参考)】
3K151
4F100
4G059
【Fターム(参考)】
3K151BA62
4F100AA20B
4F100AD00A
4F100AD11B
4F100AG00B
4F100AK01B
4F100AK33B
4F100AK48B
4F100AK49B
4F100AK53B
4F100AR00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100DG00B
4F100DG12B
4F100DH01B
4F100DH02B
4F100EJ212
4F100EJ242
4F100EJ422
4F100GB48
4F100GB81
4F100JA02A
4F100JA02B
4F100JB13B
4F100JK10
4F100YY002
4F100YY00B
4G059AA01
4G059AA08
4G059AC16
4G059FA07
4G059FA20
4G059FA21
4G059FA28
4G059FA29
4G059GA01
4G059GA05
4G059GA07
4G059GA11
(57)【要約】
本発明は、ガラスセラミック材料でできている少なくとも1つの基材、例えばプレート、を含むガラスセラミック物品に関し、基材は、その下面において、少なくとも1つの領域で、樹脂を含む少なくとも1つの繊維構造体でコーティングされている。
したがって、このガラスセラミック物品は、明らかに改善された耐衝撃性を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの基材、例えばガラスセラミックプレート、を備える、ガラスセラミック物品であり、
前記基材が、その下面において、少なくとも1つの領域で、繊維及び樹脂マトリックスを含む繊維構造体でコーティングされている、
ガラスセラミック物品。
【請求項2】
前記構造体が、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、石英繊維、ケブラー繊維、及びそれらの混合物から選択される繊維を含むことを特徴とする、請求項1に記載のガラスセラミック物品。
【請求項3】
前記構造体が、50~1000g/m、好ましくは100~800g/m、より好ましくは150~600g/mの繊維密度を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のガラスセラミック物品。
【請求項4】
前記樹脂が、熱硬化性樹脂から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項5】
前記樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、又はポリイミド樹脂から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項6】
前記繊維構造体が、織られた、一方向又は多軸構造体の、1つ又は複数の層を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項7】
前記構造体が、前記基材の表面の少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは前記基材の表面の少なくとも60%にわたって、堆積されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項8】
前記繊維構造体が、前記ガラスセラミックプレートの膨張係数よりも大きい膨張係数を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項9】
前記基材が、また、その表面の特定の部分上に、エナメルコーティングを、含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項10】
前記エナメルコーティングが、前記基材の上面に配置されていることを特徴とする、請求項9に記載のガラスセラミック物品。
【請求項11】
ガラスセラミック材料でできている、少なくとも1つの基材、例えばプレート、を含む、ガラスセラミック物品の製造方法であって、
この基材の上に、繊維及び樹脂マトリックスを含む繊維構造体を適用し、
次いで、このようにしてコーティングされた前記基材を、(オートクレーブ内での)加圧下又は真空下で、熱処理に供する、
方法。
【請求項12】
前記熱処理が、100~200℃、好ましくは120~150℃の温度で行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記熱処理が、100~400ミリバール、好ましくは150~350ミリバールの圧力で行われることを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱処理が、30分~3時間、好ましくは40分~2時間、さらにより好ましくは50分~1時間30分にわたって行われることを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記物品が、加熱領域及び制御パネルを有する調理用プレートであり、前記繊維構造体を適用する前に、前記繊維構造体を前記基材のサイズにプレカットし、かつ、前記加熱領域のところでかつ随意に前記制御パネルのところで、構造体中に隙間を切り入れることを特徴とする、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスセラミックスの分野に関する。より具体的には、本発明は、ガラスセラミックでできている物品又は製品、特には家具の表面及び/又は調理用表面として使用することが意図されている、ガラスセラミックプレート、に関する。
【0002】
ガラスセラミック物品は、非多孔質ガラスセラミック材料でできている基材(例えばプレート)に基づいている物品として定義され、この基材は、その最終的な目的のために要求される、アクセサリー又は追加的な(装飾的又は機能的な)要素を備えることができる。物品は、基材のみを示している場合もあり、追加的な備品を備えている基材(例えば、制御パネル、その加熱要素等を備えている調理用プレート)を示している場合もある。
【背景技術】
【0003】
ガラスセラミックは、元々は、ガラスであり、前駆体ガラス又は母体ガラス又はグリーンガラスとして知られるガラスであり、その特定の化学組成は、セラミック化と呼ばれる、適切な熱処理によって、制御された結晶化をもたらすことを可能にする。この特定の、部分的に結晶化された構造は、ガラスセラミックに特徴的な特性を付与する。
【0004】
現在、異なるタイプのガラスセラミックスが存在し、これらの変形種それぞれは、広範囲の研究及び無数の試験の結果である。なぜならば、所望の特性に悪影響を及ぼすリスクなくこれらのプレート及び/又はそれらの製造方法を修正することは、非常に困難だからである。
【0005】
ガラスセラミックプレートは、また、その使用の分野において 要求される十分な機械的強度を有している必要がある。特に、家庭用家電製品の分野における調理用プレートとして、又は家具の表面として、使用するためには、ガラスセラミックプレートは、圧力、衝撃(支持、及び調理器具の落下等)への良好な耐性を有している必要がある。
【0006】
典型的に、ガラスセラミックプレートは、調理用プレートとして用いられ、又は、例えば暖炉インサートを形成するなど、他の用途において加熱要素と組み合わせることもできる。最近では、その使用が日常生活の他の領域に拡大されている:ガラスセラミックプレートは、家具の表面として、特に、作業台、セントラルアイランド、コンソールなどを形成するために、用いられうる。これらの新しい用途で占める表面積は、昔よりも大きくなった。
【0007】
出願人の名における、仏国特許出願公開第2868065号明細書は、スクリーン印刷により適用され、かつ空気中において250℃で重合されるペイントの添加により、機械的強度が強化される、ガラスセラミックプレートについて記載している。この層は、下面全体にわたって堆積される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、より大きな機械的強度を得ることを目的とする。
【0009】
現在、ガラスセラミックプレートの衝撃強度を高めるために、次のことも可能である。
- 厚さを増やすか、
- 又は、製造方法の厳格な制御を実行するかである:下面の摩擦/傷を制限したり、又は炉の出口での欠陥の品質制御を強化したりする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、ガラスセラミックプレートの下面に、樹脂を含む繊維構造体を、特に、一般に「プリプレグ」と呼ばれるものなどの構造体を、適用することにより、ガラスセラミックプレートの衝撃強度を改良できることを実証した。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、参照例1と比較した、実施例1a、1b、及び1cの強度結果を示す。
図2図2は、参照例3と比較した、実施例3a、3b、及び3cの強度結果を示す。
図3図3は、参照例4と比較した、比較例4の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、ガラスセラミックプレートなどの、少なくとも1つの基材を含む、ガラスセラミック物品に関し、前記基材は、その下面の、少なくとも1つの領域において、繊維及び樹脂マトリックス、特にポリマー樹脂マトリックスを含む繊維構造体で、コーティングされている。
【0013】
特に、本発明による物品は、1つ又は複数の加熱要素をさらに含む調理装置である。
【0014】
特に、前記繊維構造体は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、石英繊維、ケブラー繊維(「ケブラー」は登録商標)、及びそれらの混合物から選択される繊維を含む。
好ましくは、繊維はガラス繊維又は炭素繊維であり、さらにより好ましくはガラス繊維である。
【0015】
有利には、前記繊維構造体は、50~1000g/m、好ましくは100~800g/m、より好ましくは150~600g/mの繊維密度を有する。
【0016】
特に、前記樹脂は、熱硬化性樹脂、好ましくはエポキシ樹脂、フェノール樹脂又はポリイミド樹脂から選択される。
【0017】
繊維構造体は、織られた一方向又は多軸構造体の、好ましくは織られた構造体の、1つ又は複数の層を含んでよい。
【0018】
特に、上記構造体は、基材の表面の少なくとも40%、好ましくは基材の表面の少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%にわたって堆積される。加熱領域の位置で、随意に制御ストリップの位置で、及び基材の端部で、繊維構造体内に隙間が提供される。
【0019】
特に、前記繊維構造体は、ガラスセラミックプレートの膨張係数よりも大きい膨張係数を有する。
【0020】
特定の実施形態によると、基材は、その表面の特定の部分上に、基材の上面に有利に堆積される、エナメルコーティングも含む。
【0021】
本発明の別の目的は、ガラスセラミック材料でできている、少なくとも1つの基材、例えばプレートなど、を含む、ガラスセラミック物品を製造するための方法であり、この基材の上に繊維及び樹脂マトリックスを含む繊維構造体を適用し、そして、こうしてコーティングされた上記基材を、(オートクレーブ内での)加圧下又は真空下で熱処理に供する。
【0022】
熱処理は、一般に、100~200℃、好ましくは120~150℃の温度で、100~400ミリバール、好ましくは150~350ミリバールの圧力で、30分~3時間、好ましくは40分~2時間、さらにより好ましくは50分~1時間30分の時間にわたって実施される。
【0023】
本発明によるガラスセラミック物品は、特には、ガラスセラミック材料でできた少なくとも1つの基材を統合した(又はそれを含むか、又はそれで形成された)、調理又は任意の家具のための、プレート、又は装置若しくは器具である。(基材は、最も一般的にはプレートの形態であり、ユニット中に統合又は取り付けられ、及び/又はユニットを形成するために他の要素と組み合わせられる)。上記基材は、必要な場合には、(例えば、発光源と組み合わせて)表示文字を有する領域若しくは装飾領域を有することができ、又は加熱要素と組み合わせられることができる。最も一般的な用途において、本発明による物品は、調理用プレートとして機能することが意図されており、このプレートは、一般には、加熱要素、例えば放射型若しくはハロゲンヒーター、又は誘導加熱要素などの加熱要素も有する、クックトップ又は調理器具内に統合されることが意図されている。
【0024】
本発明による物品が、加熱領域及び制御ストリップを含む調理用ホブであるとき、繊維構造体を適用する前に、後者は、基材の大きさに予め切断され、加熱領域においてかつ随意に制御パネルにおいて、構造体内に隙間が切り込まれる。
【0025】
ガラスセラミック基材の厚みは、一般に、少なくとも2mm、特には少なくとも2.5
mmであり、有利には、15mm未満であり、特には、約3mm~15mm、特には
約3mm~8mm、又は約3mm~6mmである。基材は、好ましくは、平坦又は準平坦
なプレート(特には、プレートの対角線方向の0.1%未満、好ましくは約0のたわみを
有するプレート)である。
【0026】
基材は、任意のガラスセラミックに基づいていてよく、この基材は、有利には、ゼロ又はほぼゼロの熱膨張係数(CTE)、特には(絶対値で)20~700℃での30×10-7-1未満、特には20~700℃での15×10-7-1未満、又はさらには5×10-7-1未満のCTEを有する。
【0027】
本発明は、暗色の外観の基材にとって特に有利であり、これらの基材は、低透過性及び低拡散性を有し、特に、厚さ6mmまでのガラスセラミックに関して、内在的に40%未満、特に5%未満、特に0.2~2%の光透過率T、及び、可視範囲に含まれる625nmの波長に関して0.5~3%の(所与の波長において、透過強度と入射強度との間の比をとることによって既知の方法で決定される)光学的透過率を有する、任意のガラスセラミックに基づいている。
【0028】
「内在的に」は、基材が、いかなるコーティングの存在もなく、それ自体としてこのような透過特性を有していることを、意味していると理解される。光学的な計測は、EN410規格に従って行われる。特には、視感透過率Tは、EN410規格に従って、イルミナントD65を用いて計測され、かつ、(特には、可視範囲にわたって統合され、かつ人間の目の分光感度曲線によって重みづけされた)合計透過率であり、直接の透過及びありうる拡散透過率の両方が、考慮される。計測は、例えば、積分球を備えるスペクトロフォトメーターを用いて(特には、Lambda950という製品としてPerkin Elmer社によって市販されているスペクトロフォトメーターによって)実施される。
【0029】
一実施形態によると、基材は、黒色又はブラウン色の外観を有し、下に配置される光源との組み合わせにおいて、下方にある任意の要素を隠しつつ、照明領域又は装飾を表示することを可能にする。これは、残存ガラス相の中にβ水晶構造の結晶を有する黒色ガラスセラミックに基づいていてよく、その膨張係数の絶対値が、有利には、15×10-7-1以下、又はさらには5×10-7-1以下であり、例えば、Eurokera社によってKerablack+の名称の下で市販されているプレートのガラスセラミックであってよい。特には、欧州特許出願公開第0437228号明細書若しくは米国特許第5070045号明細書若しくは仏国特許出願第2657079号明細書に記載の組成を有したガラスセラミック、又は、例えば国際公開第2012/156444号に記載されている、好ましくは0.1%未満の酸化ヒ素を含有する、スズで精製されたガラスセラミック、又は、国際公開第2008053110号に記載されている1又は複数の硫化物で精製されているガラスセラミック、などであってよい。
【0030】
一実施形態によると、基材は、酸でつや消しされた上面を有してもよい。
【0031】
別の実施形態によると、基材は、不透明及び/又は低透過性であり、一方、拡散性があり十分に透明(透明度は明度Lによって与えられる)であり、ガラス材料は、そのバルクにおいて、以下に指定するように、特に着色又は色づけされている(この着色には、白色及び明度Lが10を超える全ての色が含まれ、黒又はダークブラウンなどの暗色は除外される)。
【0032】
用いられるガラスセラミックは、特に、以下の番号で公開された特許出願に記載されているような組成を有することができる:欧州特許出願公開第1300372号明細書、米国特許第6706653号明細書、国際公開第9906334号明細書、国際公開第2007113242号明細書、欧州特許出願公開第1840093号明細書、米国特許第2007213192号明細書、米国特許第7476633号明細書、特許第2009531261号明細書、国際公開第2012156444号明細書、国際公開第2012001300号明細書、独国特許出願公開第202012011811号明細書。このガラスセラミックは、特にはリチウムアルミノケイ酸塩ガラスセラミックであり、有利には着色剤も含む。
【0033】
有利には、例えば、以下の成分を含み、かつ/又は、以下の組成を有するガラスから出発してセラミック化によって得られる、ガラスセラミックが用いられる:
以下の範囲内で、質量百分率で表して:SiO:52~75%;Al:18~27%;LiO:2.5~5.5%;KO:0~3%;NaO:0~3%;ZnO:0~4%;MgO:0~5%;CaO:0~2.5%;BaO:0~3.5%;SrO:0~2%。TiO:0~5.5%;ZrO:0~3%;P:0~8%;B:0~5%、好ましくは、以下の範囲内で、質量百分率で表して:SiO:55~70%;Al:18~24%;LiO:2.5~4.5%;KO:0~2.0%;NaO:0~2.0%;ZnO:1.5~4%;MgO:0.20~5%;CaO:0~1%;BaO:0~3%;SrO:0~1.4%;TiO:1.8~5%;ZrO:0~2.5%;P:0~8%;B:0~5%。この組成は、必要に応じて、追加の着色剤も含む。
【0034】
本発明による基材は、必要な場合には、機能的効果を有する他のコーティング又は層(オーバーフロー防止層、不透明化層など)で、かつ/又は、装飾、特に局所的な装飾、例えば、エナメルに基づいて(例えば、単純なパターン又はロゴを形成するための、上面において)通常のパターンなどで、又はその基材の下面に不透明ペイントの層などで、コーティングされてもよい。特に、基材は、エナメル及び/又はペイントの少なくとも1つの層で、特に光沢タイプの層で、局所的に又は局所的にではなく、コーティングされてよい。
【0035】
本発明に係る物品は、基材に関連して、又は基材と組み合わせて、一般的には基材の下面に配置される、1若しくは複数の光源、及び/若しくは1若しくは複数の加熱要素(例えば、1若しくは複数の放射型若しくはハロゲン要素、及び/若しくは、1若しくは複数の周囲雰囲気ガスバーナー及び/若しくは1若しくは複数の誘導加熱要素など)を、さらに有してよい。特には、本発明に係る物品は、種々のタイプの加熱器の使用と適合的である良好な耐熱性を有する。特に、本発明に係る製品は、400℃超の温度において熱的な劣化を生じない。400℃超の温度は、特に調理用プレートとしての使用などの用途において、到達しうる温度である。
【0036】
必要な場合には、この方法は、(一般にセラミック化の前における)切断操作、例えば、ウォータージェット、スコアリングホイールを用いた機械的スコアリング等による切断操作を含むこともでき、その後に続く(研磨、面取りなどの)成形操作を含むこともできる。
【実施例
【0037】
ボール落下試験:
ガラスセラミックプレートの衝撃強度を確認するための試験が開発された。この実験では、ガラスセラミック基材のサンプルを木製のフレーム上に置き、500gのスチールボールベアリングを5~195cmの高さ(サンプルが破損するまで5cmずつ増加)で落とす。
【0038】
結果の表には次のものが含まれる。
-最も低いボール落下高さで破損したサンプルの高さ;
-最も高い落下高さで破損したサンプルの高さ;及び
-全てのサンプルの平均高さ。
【0039】
195cmの衝撃に耐えたサンプルは195cmで破損したとみなす。これにより、平均落下高さがわずかに過小評価される。
【0040】
<例1>
図1
参照例1:
300×300mmかつ厚さ6mmのKerawhite(登録商標)タイプの10枚の白色ガラスセラミックプレートに、ボール落下試験を行った。
【0041】
実施例1a:300×300mmのそれぞれ厚さ6mmであるKerawhite(登録商標)タイプの白色ガラスセラミックの5つのサンプルの下面を、3層のTenCat Laminate 7781含浸済み織物で覆った。各層は、エポキシ樹脂を含浸させた、密度300g/mのガラス繊維を含む。
【0042】
次いで、サンプルは、オートクレーブ処理を受けた。
【0043】
実施例1b:300×300mmのそれぞれ厚さ6mmであるKerawhite(登録商標)タイプの白色ガラスセラミックの8つのサンプルの下面を、1層のSicomin社のCBX401含浸済み織物で覆った。その織物は、エポキシ樹脂(IMP503Z)を含浸させた、密度400g/mのガラス繊維を含む。
【0044】
次いで、サンプルを、大気圧で、130℃で1時間30分間にわたって熱処理した。
【0045】
例1C(比較):300×300mmかつ厚さ6mmであるKerawhite(登録商標)タイプの白色ガラスセラミックの5つのサンプルの下面を、非繊維強化Loctite EA9497タイプのエポキシ樹脂で覆った。樹脂は、熱処理を行わずに、大気中で重合される。
【0046】
<例2>
参照例2:例1と同様に、300×300mmかつそれぞれ厚さが6mmであるKerawhite(登録商標)タイプの同じ白色ガラスセラミックプレートを用いる。この例では、厚さ28mmの平坦な積層木材支持体上に、それらを堆積させる。
【0047】
実施例2:サンプルの下面を、3層のTenCat Laminate 7781タイプの含浸済み織物で覆った。各層は、エポキシ樹脂を含浸させた、密度300g/m2のガラス繊維を含む。
【0048】
次いで、サンプルを、真空下で、120℃で1時間にわたって熱処理した。また、試験中、サンプルは、厚さ28mmの積層木材支持体上に置かれる。
【0049】
<例3>
図2
参照例3:厚さ6mmの黒色ガラスセラミックプレートである、Kerablack+(登録商標)タイプを用いる。この例では、寸法は900×600mmである。
【0050】
実施例3a:サンプルの下面を、2層のGG204T Sergeタイプの含浸済み織物で覆った。各層は、エポキシ樹脂を含浸させた、密度220g/mの炭素繊維を含む。
【0051】
次いで、サンプルを、真空下で、120℃で1時間にわたって処理した。
【0052】
例3b(比較):サンプルの下面を、2層のGG204T Sergeタイプの含浸済み織物で覆った。各層は、エポキシ樹脂を含浸させた、密度220g/mの炭素繊維を含む。
【0053】
次いで、サンプルを、120℃で1時間にわたって処理した。
【0054】
例3c:別のサンプルの下面を、エポキシ樹脂を含浸させた、ガラス繊維織物(300g/m)の層で覆った。次いで、サンプルを、130℃かつ250mbarで1時間にわたって熱処理した。
【0055】
<例4>
図3
参照例4:厚さ6mmの黒色ガラスセラミックプレートである、例3と同じKerablack+(登録商標)タイプを用いる。この例では、寸法は300×300mmである。
【0056】
例4(比較):5つのサンプルの下面をエポキシ接着剤で覆い、次いで、EV200タイプのガラス繊維織物で覆った(事前に含浸されていない)。
【0057】
織物は、熱処理をせずに、手作業で接着されている。樹脂は、大気中で重合される。
【0058】
結果:
図1は、例1の破壊高さ(平均値、最小値、最大値)を示す。
【0059】
図2は、例3の破壊高さ(平均値、最小値、最大値)を示す。
【0060】
図3は、例4の破壊高さ(平均値、最小値、最大値)を示す。
【0061】
以下の表は、ボール落下試験中に得られた、各例示的実施形態の破損高さの値を示す。星「」は、プレートがこのボール落下高さで損傷なく耐えたことを示す。
【0062】
【表1】
【0063】
破片の保持:
実施例1a、1b、2、3a、3c及び例4は、破損中にガラスセラミック破片が保持されることを示すことを可能にした。参照例では、基材が破損したときに、破片を保持することは決して可能ではなかった。例1c(非繊維樹脂を使用)では、破片の保持ができない。
【0064】
破損高さ:
実施例1a、1b、2、並びに3a及び3cは、それぞれの参照例と比較して、落下した500gのボールの衝撃に対する耐性が大幅に向上していることを示している。例4(非含浸織物、熱処理なしで接着)は、衝撃強さにおける有意な改善を示さない。
【0065】
本発明による物品は、特には、レンジ若しくはホブのための新規の調理用プレート、又は新規の、作業台、コンソール、サイドボード、セントラルアイランドなどを作製するために、有利に使用することができる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】