(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】集積化電気駆動システムの冷却構造及び集積化電気駆動システム
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20231102BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20231102BHJP
【FI】
H02K9/19 B
H02K9/19 A
H02K11/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526511
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 CN2021127073
(87)【国際公開番号】W WO2022089539
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】202011195481.8
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】凌和平
(72)【発明者】
【氏名】▲ざい▼震
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼琳娜
(72)【発明者】
【氏名】梁▲ゆぃん▼
(72)【発明者】
【氏名】熊雨超
【テーマコード(参考)】
5H609
5H611
【Fターム(参考)】
5H609BB01
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP05
5H609PP06
5H609PP07
5H609PP16
5H609QQ04
5H609QQ10
5H609RR26
5H609RR36
5H609RR37
5H609RR42
5H611AA09
5H611BB04
5H611TT01
5H611TT02
5H611UA04
(57)【要約】
集積化電気駆動システムの冷却構造及び集積化電気駆動システムであり、前記冷却構造は、モータアセンブリ(1)を含み、前記モータアセンブリ(1)は、回転軸(15)と、内孔(161)を有する冷却管(16)とを含み、前記回転軸(15)には、前記冷却管を挿入するための取付孔(151)が設けられ、前記冷却管(16)の外壁と前記取付孔(151)の内壁との間に環状水路(17)が形成され、前記内孔(161)と前記環状水路(17)は、ロータ冷却水路(12)を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータアセンブリを含み、前記モータアセンブリは、回転軸と、内孔を有する冷却管とを含み、前記回転軸には、前記冷却管を挿入するための取付孔が設けられ、前記冷却管の外壁と前記取付孔の内壁との間に環状水路が形成され、前記内孔と前記環状水路は、ロータ冷却水路を構成する、ことを特徴とする集積化電気駆動システムの冷却構造。
【請求項2】
前記回転軸は、中間ロータと、前記中間ロータの対向する両端に接続された第1ロータ及び第2ロータとを含み、前記取付孔は、前記第1ロータに設けられた第1貫通孔と、前記中間ロータに設けられた第2貫通孔とを含み、前記第1貫通孔は、前記第2貫通孔に連通する、ことを特徴とする請求項1に記載の集積化電気駆動システムの冷却構造。
【請求項3】
前記中間ロータは、前記第2貫通孔を中心として周方向に間隔を隔てて設けられた複数の分岐溝をさらに含み、複数の前記分岐溝は、いずれも前記第2貫通孔に連通する、ことを特徴とする請求項2に記載の集積化電気駆動システムの冷却構造。
【請求項4】
前記内孔の直径は、第1方向に沿って徐々に小さくなり、前記第1方向は、前記内孔内の、冷却液が流入する端から冷却液が流出する端への方向であり、
前記環状水路の前記回転軸の軸線に垂直な断面積は、第2方向に沿って徐々に小さくなり、前記第2方向は、環状水路内の、冷却液が流入する端から冷却液が流出する端への方向であり、前記第1方向は、第2方向とは逆である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の集積化電気駆動システムの冷却構造。
【請求項5】
前記モータアセンブリに取り付けられたコントローラケースをさらに含み、前記コントローラケースに電気制御冷却水路が設けられ、前記モータアセンブリにステータ冷却水路が設けられ、前記内孔は、前記電気制御冷却水路に連通し、前記環状水路は、前記ステータ冷却水路に連通する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の集積化電気駆動システムの冷却構造。
【請求項6】
前記モータアセンブリは、モータケースを含み、前記回転軸は、前記モータケース内に取り付けられ、前記コントローラケースは、前記モータケースに取り付けられ、前記ステータ冷却水路は、前記モータケースに設けられる、ことを特徴とする請求項5に記載の集積化電気駆動システムの冷却構造。
【請求項7】
前記電気制御冷却水路の対向する両端にそれぞれ水路入口と電気制御水路出口が設けられ、
前記モータアセンブリは、カバープレートと、前記回転軸を前記モータケースに取り付けるためのエンドカバーとをさらに含み、前記エンドカバーは、前記モータケースに取り付けられ、前記カバープレートは、前記エンドカバーの前記モータケースから離れる端面に取り付けられ、
前記カバープレートに接続水路が設けられ、前記エンドカバーに第1連通通路、第2連通通路、及び前記取付孔に連通する第3貫通孔が設けられ、前記冷却管は、一端が前記カバープレートに取り付けられ、他端が前記第3貫通孔を貫通するとともに前記取付孔内に挿入され、前記環状水路は、前記第1連通通路により前記ステータ冷却水路に連通し、前記電気制御冷却水路は、順に前記第2連通通路及び前記接続水路により前記内孔に連通する、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の集積化電気駆動システムの冷却構造。
【請求項8】
前記モータアセンブリは、回転リングと、前記第3貫通孔の内側壁に固定された固定リングとを含むメカニカルシールをさらに含み、前記回転リングは、前記回転軸に嵌設されるとともに前記回転軸と一緒に回転し、前記固定リングは、前記回転リングに嵌設されるとともに前記回転リングに回転可能に接続される、ことを特徴とする請求項7に記載の集積化電気駆動システムの冷却構造。
【請求項9】
前記ステータ冷却水路は、前記モータケースに間隔を隔てて設けられた複数の直線水路と、隣接する2つの前記直線水路を連通させる複数の遷移水路とを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の集積化電気駆動システムの冷却構造。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の集積化電気駆動システムの冷却構造を含む、ことを特徴とする集積化電気駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年10月30日に提出された、出願番号が202011195481.8である中国特許出願に基づくものであり、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、自動車の電気駆動システムの冷却の技術分野に属し、特に、集積化電気駆動システムの冷却構造及び集積化電気駆動システムに関する。
【背景技術】
【0003】
電気駆動システムは、電気自動車のコア部品であり、新エネルギー自動車の発展に伴い、自動車の駆動システムに対する配置要件もますます高くなる。電気駆動システムは、駆動モータ、コントローラ、変速機などの部品を組み合わせて構成され、コントローラ内の発熱素子が動作中に大量の熱を放出し、モータのステータ及びロータも回転中に大量の熱を放出する。従来技術において、電気駆動システムに、放熱のために複数の冷却水路が設けられるが、従来技術における冷却水路の放熱効果が常に低いため、電気駆動システムにおけるコントローラ及びモータの放熱速度が低く、冷却効果が低い。
【発明の概要】
【0004】
本願は、従来技術における、電気駆動システムの冷却水路に存在する、放熱速度が低く、冷却効果が低いなどの技術的課題を解決する、集積化電気駆動システムの冷却構造及び集積化電気駆動システムを提供する。
【0005】
以上の問題に鑑み、本願の実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造は、モータアセンブリを含み、前記モータアセンブリは、回転軸と、内孔を有する冷却管とを含み、前記回転軸には、前記冷却管を挿入するための取付孔が設けられ、前記冷却管の外壁と前記取付孔の内壁との間に環状水路が形成され、前記内孔と前記環状水路は、ロータ冷却水路を構成する。
【0006】
本願の一実施例において、前記回転軸は、中間ロータと、前記中間ロータの対向する両端に接続された第1ロータ及び第2ロータとを含み、前記取付孔は、前記第1ロータに設けられた第1貫通孔と、前記中間ロータに設けられた第2貫通孔とを含み、前記第1貫通孔は、前記第2貫通孔に連通する。
【0007】
本願の一実施例において、前記中間ロータは、前記第2貫通孔を中心として周方向に間隔を隔てて設けられた複数の分岐溝をさらに含み、複数の前記分岐溝は、いずれも前記第2貫通孔に連通する。
【0008】
本願の一実施例において、前記内孔の直径は、第1方向に沿って徐々に小さくなり、前記第1方向は、前記内孔内の、冷却液が流入する端から冷却液が流出する端への方向であり、
前記環状水路の前記回転軸の軸線に垂直な断面積は、第2方向に沿って徐々に小さくなり、前記第2方向は、環状水路内の、冷却液が流入する端から冷却液が流出する端への方向であり、前記第1方向は、第2方向とは逆である。
【0009】
本願の一実施例において、前記集積化電気駆動システムの冷却構造は、前記モータアセンブリに取り付けられたコントローラケースをさらに含み、前記コントローラケースに電気制御冷却水路が設けられ、前記モータアセンブリにステータ冷却水路が設けられ、前記内孔は、前記電気制御冷却水路に連通し、前記環状水路は、前記ステータ冷却水路に連通する。
【0010】
本願の一実施例において、前記モータアセンブリは、モータケースを含み、前記回転軸は、前記モータケース内に取り付けられ、前記コントローラケースは、前記モータケースに取り付けられ、前記ステータ冷却水路は、前記モータケースに設けられる。
【0011】
本願の一実施例において、前記電気制御冷却水路の対向する両端にそれぞれ水路入口と電気制御水路出口が設けられ、
前記モータアセンブリは、カバープレートと、前記回転軸を前記モータケースに取り付けるためのエンドカバーとをさらに含み、前記エンドカバーは、前記モータケースに取り付けられ、前記カバープレートは、前記エンドカバーの前記モータケースから離れる端面に取り付けられ、
前記カバープレートに接続水路が設けられ、前記エンドカバーに第1連通通路、第2連通通路、及び前記取付孔に連通する第3貫通孔が設けられ、前記冷却管は、一端が前記カバープレートに取り付けられ、他端が前記第3貫通孔を貫通するとともに前記取付孔内に挿入され、前記環状水路は、前記第1連通通路により前記ステータ冷却水路に連通し、前記電気制御冷却水路は、順に前記第2連通通路及び前記接続水路により前記内孔に連通する。
【0012】
本願の一実施例において、前記モータアセンブリは、回転リングと、前記第3貫通孔の内側壁に固定された固定リングとを含むメカニカルシールをさらに含み、前記回転リングは、前記回転軸に嵌設されるとともに前記回転軸と一緒に回転し、前記固定リングは、前記回転リングに嵌設されるとともに前記回転リングに回転可能に接続される。
【0013】
本願の一実施例において、前記ステータ冷却水路は、前記モータケースに間隔を隔てて設けられた複数の直線水路と、隣接する2つの前記直線水路を連通させる複数の遷移水路とを含む。
【0014】
本願において、内孔を有する冷却管は、回転軸の取付孔内に挿入され、冷却管の外壁と取付孔の内壁との間に環状水路が形成され、内孔と環状水路は、モータアセンブリのロータ冷却水路を構成し、かつ前記内孔は、前記環状水路に連通し、冷却液は、冷却管の内孔から流入し、内孔全体及び環状水路を順に流れた後、環状水路から流出する。上記冷却液の流れ過程において、冷却液は、前記内孔を流れる方向が、前記環状水路を流れる方向とは逆である。
【0015】
上記回転軸の取付孔と冷却管の内孔とが嵌合されるという設計により、冷却液が小さい流量で内孔に流入するが、環状水路に流入した後、該小さい流量が回転軸の取付孔の内壁に最大の接触面積で接触して、回転軸及びロータを最大限に冷却することができるため、冷却液が前記ロータ冷却水路内に前記回転軸及びステータを冷却する効果を強化し、冷却液が前記内孔及び前記環状水路内に小さい流量で前記モータアセンブリの回転軸及びロータから放出された熱を十分に吸収することを保証し、該集積化電気駆動システムの冷却構造の放熱効率を高め、前記モータアセンブリの耐用年数を延長する。
【0016】
本願の一実施例に係る集積化駆動システムは、上記集積化電気駆動システムの冷却構造を含む。
【0017】
本願の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施形態に使用する必要のある図面を簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本願の一実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造の概略構成図である。
【
図2】本願の一実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造の断面図である。
【
図3】本願の一実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造の分解概略構成図である。
【
図4】本願の一実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造の部分概略構成図である。
【
図5】本願の一実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造のエンドカバーの概略構成図である。
【
図6】本願の別の実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造のエンドカバーの概略構成図である。
【
図7】本願のまた別の実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造のエンドカバーの概略構成図である。
【
図8】本願の一実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造の回転軸の概略構成図である。
【
図9】本願の一実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造の回転軸の断面図である。
【
図10】本願の一実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造の中間ロータの断面図である。
【
図11】本願の一実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造の中間ロータの平面図である。
【
図12】本願の一実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造のモータケースの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願が解決しようとする技術的課題、技術手段及び有益な効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。本明細書に記載された具体的な実施例は、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するものではないことを理解されたい。
【0020】
用語「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「中部」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有し、特定の方位で構成され操作されなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものとして理解すべきではない。
【0021】
本願において、集積化電気駆動システムの冷却構造の構造及びその接続関係をよりよく示すために、本願で言及された「先端」は、実際にモータアセンブリの先端(すなわち、
図2における右方)を向き、本願に記載の末端は、実際にモータアセンブリの末端(すなわち、
図2における左方)を向く。
【0022】
図1、
図2及び
図9に示すように、本願の一実施例に係る集積化電気駆動システムの冷却構造は、モータアセンブリ1を含み、上記モータアセンブリ1は、回転軸15と、内孔161を有する冷却管16とを含み、上記回転軸15には、上記冷却管を挿入するための取付孔151が設けられ、上記冷却管16の外壁と上記取付孔151の内壁との間に環状水路17が形成され、上記内孔161と上記環状水路17は、ロータ冷却水路12を構成する。
【0023】
本願において、内孔161を有する冷却管16は、回転軸15の取付孔151内に挿入され、冷却管16の外壁と取付孔151の内壁との間に環状水路17が形成され、内孔161と環状水路17は、モータアセンブリ1のロータ冷却水路12を構成し、かつ上記内孔161は、上記環状水路17に連通し、冷却液は、冷却管16の内孔161から流入し、内孔161全体及び環状水路17を順に流れた後、環状水路17から流出する。上記冷却液の流れ過程において、冷却液は、上記内孔161を流れる方向が、上記環状水路17を流れる方向とは逆である。
【0024】
上記回転軸15の取付孔151と冷却管16の内孔161とが嵌合されているという設計により、冷却液が小さい流量で内孔161に流入するが、環状水路17に流入した後、該小さい流量が回転軸15の取付孔151の内壁に最大の接触面積で接触して、回転軸15及びロータを最大限に冷却することができるため、冷却液が上記ロータ冷却水路12内に上記回転軸15及びステータを冷却する効果を強化し、冷却液が上記内孔161及び上記環状水路17内に小さい流量で上記モータアセンブリ1の回転軸15及びロータから放出された熱を十分に吸収することを保証し、該集積化電気駆動システムの冷却構造の放熱効率を高め、上記モータアセンブリ1の耐用年数を延長する。
【0025】
一実施例において、
図8~
図9に示すように、上記回転軸15は、中間ロータ152と、上記中間ロータ152の対向する両端に接続された第1ロータ153及び第2ロータ154とを含み、上記取付孔151は、上記第1ロータ153に設けられた第1貫通孔1531と、上記中間ロータ152に設けられた第2貫通孔1521とを含み、上記第1貫通孔1531は、上記第2貫通孔1521に連通する。理解できるように、上記第1ロータ153、上記第2ロータ154及び上記中間ロータ152は、溶接の方式で接続されてもよい。本願の一実施例において、上記第1ロータ153、上記第2ロータ154及び上記中間ロータ152は、摩擦溶接の方式で接続され、該摩擦溶接の方式では、上記第1ロータ153と上記中間ロータ152との間、及び上記第2ロータ154と上記中間ロータ152との間にスプラインを設ける必要がない。また、摩擦溶接の方式を用いると、上記第2貫通孔1521の孔径は、上記第1貫通孔1531の孔径よりも大きくてもよく、このようにして冷却液と上記中間ロータ152との接触面積を大きくし、上記回転軸15の冷却効率を高める。本願において、上記回転軸15は、3段式機構設計を用い、各段のロータの構造が簡単であり、加工されやすいため、該集積化電気駆動システムの冷却構造の製造コストを低減する。
【0026】
なお、上記第1ロータ153及び上記中間ロータ152は、主に、回転駆動の作用を果たし、すなわち、上記第1ロータ153及び上記中間ロータ152は、モータアセンブリ1が動作するときに大量の熱を生成し、上記第2ロータ154は、主に、上記モータアセンブリ1の回転を減速機などの伝送機構に伝達する作用を果たし、上記モータアセンブリ1が動作するときに生成する熱が少ない。したがって、上記第1ロータ153及び上記中間ロータ152には、いずれも上記冷却液が流れる上記取付孔151が設けられ、上記第1ロータ153及び上記中間ロータ152を冷却する効果を達成し、上記第2ロータ154に上記取付孔151を設ける必要がない。
【0027】
一実施例において、
図10及び
図11に示すように、上記中間ロータ152は、上記第2貫通孔1521を中心として周方向に間隔を隔てて設けられた複数の分岐溝1522をさらに含み、複数の上記分岐溝1522は、いずれも上記第2貫通孔1521に連通する。理解できるように、上記分岐溝1522の数は、実際の需要に応じて設定することができ、上記中間ロータ152には、上記第2貫通孔1521を中心として周方向に均一に3個、6個、10個などの上記分岐溝1522が設けられ、上記分岐溝1522の設計により、冷却液と上記中間ロータ152との接触面積を大きくして、上記中間ロータ152の放熱効率を高める。
【0028】
一実施例において、
図2及び
図3に示すように、上記内孔161の直径(すなわち、上記冷却管16の内径)は、第1方向に沿って徐々に小さくなり、上記第1方向は、上記内孔161内の、冷却液が流入する端から冷却液が流出する端への方向である。理解できるように、上記第1方向は、上記モータアセンブリ1の末端から上記モータアセンブリ1の先端に向かう方向である。
図3に示す集積化電気駆動システムの冷却構造の分解概略構成図において、上記内孔161の上記モータアセンブリ1に近接する端の直径が大きく、上記内孔161の直径が上記モータアセンブリ1から離れる方向に徐々に小さくなる(すなわち、上記内孔161の上記カバープレート18に近接する端の直径が大きく、上記内孔161の上記カバープレート18から離れる端の直径が徐々に小さくなる)。上記内孔161の直径(すなわち、上記冷却管16の内径)が上記第1方向に沿って徐々に小さくなるため、上記内孔161内の冷却液の流速が徐々に大きくなり(すなわち、上記内孔161内の冷却液の流速を加速する)、さらに上記内孔161内の冷却液による上記回転軸15の冷却効率を高める。
【0029】
上記環状水路17の上記回転軸15の軸線に垂直な断面積(すなわち、上記冷却管16の外径)は、第2方向に沿って徐々に小さくなり、上記第2方向は、環状水路17内の、冷却液が流入する端から冷却液が流出する端への方向であり、上記第1方向は、第2方向とは逆である。理解できるように、上記第2方向は、上記モータアセンブリ1の先端から上記モータアセンブリ1の末端に向かう方向である。
図2に示す集積化電気駆動システムの冷却構造の断面図において、上記環状水路17の上記モータアセンブリ1の先端に近接する断面積が小さく、上記環状水路17の断面積が上記モータアセンブリ1から離れる方向に徐々に大きくなる。上記環状水路17の断面積が上記第2方向に沿って徐々に小さくなる(すなわち、上記環状水路17の上記カバープレート18に近接する端の断面積が大きく、上記環状水路17の上記カバープレート18から離れる端の断面積が徐々に小さくなる)ため、上記内孔161から上記環状水路17に流入した冷却液は、上記環状水路17に沿って流れる流速が徐々に大きくなる(すなわち、上記環状水路17内の冷却液の流速を加速する)。迅速に流れる冷却液により、上記回転軸15の冷却効率をさらに高め、上記モータアセンブリ1における、過昇温による永久磁石鋼の消磁リスクを回避する。
【0030】
一実施例において、
図1~
図4に示すように、上記集積化電気駆動システムの冷却構造は、上記モータアセンブリ1に取り付けられた(ネジ接続、溶接などの方式で取り付けられる)コントローラケース2をさらに含み、上記コントローラケース2に電気制御冷却水路21が設けられ、上記モータアセンブリ1にステータ冷却水路11が設けられ、上記内孔161は、上記電気制御冷却水路21に連通し、上記環状水路17は、上記ステータ冷却水路11に連通する。理解できるように、上記コントローラケース2には、上記電気制御冷却水路21に連通する水路入口22がさらに設けられ、上記モータアセンブリ1には、上記ステータ冷却水路11に連通する水路出口13が設けられる。上記コントローラケース2は、主に、モータコントローラ、車両制御ユニット、車載型充電器、直流変換器などを取り付けるためのものであり、上記コントローラケース2内の発熱しやすい部品(例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタなど)が上記電気制御冷却水路21に密着して取り付けられることにより、上記電気制御冷却水路21は、コントローラ内の発熱しやすい部品から放出された熱をより容易に吸収する。本願の一実施例において、上記ステータ冷却水路11は、主に、モータアセンブリ1のモータケース14から放出された熱を吸収し、上記ロータ冷却水路12は、主に、上記モータアセンブリ1の回転軸15から放出された熱を吸収する。
【0031】
上記水路入口22から流入した冷却液は、上記電気制御冷却水路21、上記ロータ冷却水路12及び上記ステータ冷却水路11を順に流れた後、上記水路出口13から流出する。本願の一実施例において、上記冷却液は、順に、上記電気制御冷却水路21内にコントローラから放出された熱を吸収し、上記ロータ冷却水路12内に上記モータアセンブリ1の回転軸15及びロータから放出された熱を吸収し、かつ上記ステータ冷却水路11内に上記モータアセンブリ1のモータケース14及びステータから放出された熱を吸収した後、上記水路出口13から流出する。
【0032】
本願の一実施例において、上記水路入口22から流入した冷却液は、上記電気制御冷却水路21、上記ロータ冷却水路12及び上記ステータ冷却水路11を順に流れた後、上記水路出口13から流出することにより、上記電気制御冷却水路21、上記ロータ冷却水路12及び上記ステータ冷却水路11を順に連通し、冷却液は、上記水路入口22から上記電気制御冷却水路21内に入り、上記電気制御冷却水路21内にコントローラから放出された熱を吸収した後、上記内孔161に流入し、かつ上記内孔161から上記環状水路17に流入し、すなわち、冷却液は、上記ロータ冷却水路12に流入してモータの回転軸15から放出された熱を吸収した後、上記ステータ冷却水路11に流入して上記モータケース14の熱を吸収してから、上記水路出口13から流出する。該集積化電気駆動システムの冷却構造では、上記電気制御冷却水路21、上記ロータ冷却水路12及び上記ステータ冷却水路11を直列接続することにより、3つの冷却水路(上記電気制御冷却水路21、上記ロータ冷却水路12及び上記ステータ冷却水路11)がいずれも同じ冷却液流量を有し、冷却液の冷却効率を高め、冷却効果を向上させ、すなわち、コントローラ、モータステータ及びモータロータの冷却効率を高める。また、該集積化電気駆動システムの冷却構造は、上記モータアセンブリ1及びコントローラケース2が集積されているため、該集積化電気駆動システムの冷却構造の集積度を向上させ、その自動車における取付空間を小さくし、本願の集積化電気駆動システム冷却構造の構造が簡単であり、製造コストが低い。
【0033】
一実施例において、
図1~
図3に示すように、上記モータアセンブリ1は、モータケース14を含み、上記回転軸15は、上記モータケース14内に取り付けられ、上記コントローラケース2は、上記モータケース14に取り付けられ(ネジ接続などの方式で取り付けられる)、上記ステータ冷却水路11は、上記モータケース14に設けられる。本願の一実施例において、上記電気制御冷却水路21から流出した冷却液は、まず上記ロータ冷却水路12に入って上記回転軸15及びロータから放出された熱を吸収し、次に上記ステータ冷却水路11に流入して上記モータケース14及びステータから放出された熱を吸収し、その後に上記水路出口13から流出する。それにより、上記ロータ冷却水路12及び上記ステータ冷却水路11内の冷却液は、モータアセンブリ1から放出された熱を完全に吸収することができ、さらに上記モータアセンブリ1の正常動作を保証し、モータアセンブリ1の耐用年数を延長する。
【0034】
一実施例において、
図2及び
図3に示すように、上記モータアセンブリ1は、内孔161を有する冷却管16をさらに含み、上記回転軸15には、上記冷却管16を挿入するための取付孔151が設けられ、上記冷却管16の外壁と上記取付孔151の内壁との間に環状水路17が形成され、上記内孔161は、一端が上記電気制御冷却水路21に連通し、他端が上記環状水路17に連通し、上記内孔161と上記環状水路17は、上記ロータ冷却水路12を構成する。理解できるように、上記冷却管16は、上記取付孔151と隙間嵌めされ、かつ上記回転軸15の回転中に動かない。
【0035】
上記電気制御冷却水路21から流入した冷却液は、上記内孔161及び上記環状水路17を順に流れた後、上記ステータ冷却水路11に流入する。本願の一実施例において、冷却液は、上記内孔161を流れた後、上記冷却管16の端部から流出し、かつ上記環状水路17に流入し、上記環状水路17内に上記回転軸15の軸線に沿って流れた後、上記ステータ冷却水路11に入る。本願において、上記ロータ冷却水路12は、上記内孔161及び上記環状水路17を含み、冷却液は、上記内孔161を流れる方向が、上記環状水路17を流れる方向とは逆であるため、上記ロータ冷却水路12内の冷却液による上記回転軸15の冷却効果をさらに強化し、さらに上記モータアセンブリ1の耐用年数を延長する。
【0036】
一実施例において、
図2及び
図3に示すように、上記電気制御冷却水路21の対向する両端にそれぞれ水路入口22と電気制御水路出口23が設けられ、本願の一実施例において、上記電気制御水路出口23の水路出口13は、上記モータアセンブリ1に向かって設けられる。
【0037】
上記モータアセンブリ1は、カバープレート18と、上記回転軸15を上記モータケース14に取り付けるためのエンドカバー19とを含み、上記エンドカバー19は、上記モータケース14に取り付けられ(ネジ接続、溶接などの方式で取り付けられる)、上記カバープレート18は、上記エンドカバー19の上記モータケース14から離れる端面に取り付けられる(ネジ接続、溶接などの方式で取り付けられる)。理解できるように、上記エンドカバー19は、上記回転軸15の軸線方向に沿って上記モータケース14の後端に取り付けられる。
【0038】
上記カバープレート18に接続水路181が設けられ、上記エンドカバー19に第1連通通路191、第2連通通路192、及び上記取付孔151に連通する第3貫通孔193が設けられ、上記冷却管16は、一端が上記カバープレート18に取り付けられ、他端が上記第3貫通孔193を貫通するとともに上記取付孔151内に挿入される。上記環状水路17は、上記第1連通通路191により上記ステータ冷却水路11に連通し、上記電気制御冷却水路21は、順に上記第2連通通路192及び上記接続水路181により上記内孔161に連通する。理解できるように、上記モータケース14が上記モータアセンブリ1に取り付けられている場合、上記電気制御水路出口23は、上記第2連通通路192に密封接続されることにより、上記電気制御水路出口23から流出した冷却液は、上記第2連通通路192を流れて内孔161に流入し、上記内孔161内の冷却液は、上記環状水路17を流れて上記第1連通通路191に流入し、上記第1連通通路191内の冷却液は、さらに上記ステータ冷却水路11に流入し、上記ステータ冷却水路11内に上記モータケース14から放出された熱を吸収した後、上記水路出口13から流出する。本願において、該集積化電気駆動システムの冷却構造は、加工プロセスが簡単であり、製造コストが低い。
【0039】
一実施例において、
図2に示すように、上記モータアセンブリ1は、回転リングと、上記第3貫通孔193の内側壁に固定された固定リングとを含むメカニカルシール100をさらに含み、上記回転リングは、上記回転軸15に嵌設されるとともに上記回転軸15と一緒に回転し、上記固定リングは、上記回転リングに嵌設されるとともに上記回転リングに回転可能に接続される。本願の一実施例において、上記回転軸15の対向する両端は、それぞれ第1軸受及び第2軸受により上記モータケース14内に取り付けられ、上記回転軸15が高速回転の状態にあり、かつ上記環状水路17内の冷却液が漏れないことを保証する必要があるため、上記回転軸15の上記エンドカバー19に近接する端に上記メカニカルシール100が取り付けられ、上記メカニカルシール100は、回転リングが上記回転軸15と一緒に回転することができ、固定リングが上記第3貫通孔193の内壁に固定され、上記回転リングと上記固定リングが相対的に回転するときに密封性を保証するため、上記環状水路17内の冷却液の漏れ事故が発生しないことを保証し、モータアセンブリ1の短絡事故を回避し、該集積化電気駆動システムの冷却構造の耐用年数を延長する。
【0040】
一実施例において、
図12に示すように、上記ステータ冷却水路11は、上記モータケース14に間隔を隔てて設けられた複数の直線水路(図示せず)と、隣接する2つの上記直線水路を連通させる複数の遷移水路(図示せず)とを含む。理解できるように、上記直線水路の個数は、実際の需要に応じて設計することができ、上記ステータ冷却水路11は、上記モータケース14に「S」字形で設けられ、隣接する2つの上記直線水路内の冷却液の流れ方向が逆であるため、上記直線水路内の冷却液の吸熱効率を高める。
【0041】
一実施例において、
図1及び
図8に示すように、上記集積化電気駆動システムの冷却構造は、上記モータケース14に取り付けられた減速機ケースをさらに含む。上記回転軸15の外壁に出力歯車155が設けられ、上記モータケース14内に減速機本体が取り付けられ、上記減速機本体は、上記出力歯車155と噛み合う減速歯車を含む。本願において、該集積化電気駆動システムの冷却構造に減速機がさらに集積されているため、その集積度をさらに向上させ、該集積化電気駆動システムの冷却構造の自動車における取付空間を小さくする。
【0042】
本願の別の実施例に係る集積化電気駆動システムは、上記集積化電気駆動システムの冷却構造を含む。
【0043】
以上、本願の実施例を詳細に説明し、本明細書において具体例を用いて本願の原理及び実施形態を解説したが、以上の実施例の説明は、本願の方法及びその主旨の理解を助けるためのものに過ぎない。
【符号の説明】
【0044】
1 モータアセンブリ
11 ステータ冷却水路
12 ロータ冷却水路
13 水路出口
14 モータケース
15 回転軸
151 取付孔
152 中間ロータ
1521 第2貫通孔
1522 分岐溝
153 第1ロータ
1531 第1貫通孔
154 第2ロータ
155 出力歯車
16 冷却管
161 内孔
17 環状水路
18 カバープレート
181 接続水路
19 エンドカバー
191 第1連通通路
192 第2連通通路
193 第3貫通孔
100 メカニカルシール
2 コントローラケース
21 電気制御冷却水路
22 水路入口
23 電気制御水路出口
3 減速機
【国際調査報告】