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▶ ライカ インストゥルメンツ (シンガポール) プライヴェット リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】手術用顕微鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/20 20160101AFI20231102BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A61B90/20
G02B21/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526923
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2021080347
(87)【国際公開番号】W WO2022096439
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】20205398.9
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516114695
【氏名又は名称】ライカ インストゥルメンツ (シンガポール) プライヴェット リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Leica Instruments (Singapore) Pte. Ltd.
【住所又は居所原語表記】12 Teban Gardens Crescent, Singapore 608924, Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アルヴィン コック
(72)【発明者】
【氏名】ケン ワン
(72)【発明者】
【氏名】マルコ シュッツ
(72)【発明者】
【氏名】リー ナー チュア
(72)【発明者】
【氏名】オスカー ポルティラ
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AD04
2H052AF21
(57)【要約】
本開示のさまざまな態様は手術用顕微鏡システムに関し、特に手術用顕微鏡システムのためのアームに関する。手術用顕微鏡システムは、この手術用顕微鏡システムの顕微鏡の光学部品を含む光学系キャリアを含む。手術用顕微鏡システムは、この手術用顕微鏡システムの光学イメージングセンサによって記録されたイメージデータを表示するためのディスプレイデバイスを含む。手術用顕微鏡システムはアームを含む。アームは、第1のセクションおよび第2のセクションを含む。第1のセクションは、光学系キャリアのポジションの垂直方向および/または横方向の調節を行うことができるように構成されている。第2のセクションは、第1のセクションの懸架ポイントと光学系キャリアとに取り付けられている。第2のセクションは、ディスプレイデバイスの中央領域と光学系キャリアの反対側にいる外科医との間の光路が、第2のセクションによって遮られないまま維持されるように、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線の周囲に自由空間を作り出す形状を有する。光路は、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線と交差する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用顕微鏡システム(100)であって、前記手術用顕微鏡システム(100)は、
前記手術用顕微鏡システムの顕微鏡の光学部品を含む光学系キャリア(110)と、
前記手術用顕微鏡システムの光学イメージングセンサにより記録されたイメージデータを表示するためのディスプレイデバイス(120)と、
第1のセクション(130)および第2のセクション(140)を含むアームと、
を含み、
前記第1のセクションは、前記光学系キャリアのポジションの垂直方向および/または横方向の調節を行うことができるように構成されており、前記第2のセクションは、前記第1のセクションの懸架ポイントと前記光学系キャリアとに取り付けられており、
前記第2のセクションは、前記ディスプレイデバイスの中央領域(125)と前記光学系キャリアの反対側にいる外科医との間の光路が、前記第2のセクションによって遮られないまま維持されるように、前記懸架ポイントと前記光学系キャリアとの間の幾何学的軸線(150)の周囲に自由空間を作り出す形状を有し、前記光路は、前記懸架ポイントと前記光学系キャリアとの間の前記幾何学的軸線と交差する、
手術用顕微鏡システム(100)。
【請求項2】
前記中央領域は、前記ディスプレイデバイスの中心点を中心にセンタリングされており、かつ/または、前記中央領域は、前記ディスプレイデバイスの全領域の少なくとも20%を占める、
請求項1記載の手術用顕微鏡システム。
【請求項3】
前記第2のセクションの形状は、前記懸架ポイントから外側に向かって横方向に延在している第1のサブセクション(142)と、前記第1のサブセクションから下方に向かって延びている第2のサブセクション(144)と、次いで前記第2のサブセクションから前記光学系キャリアへと内側に向かって戻る第3のサブセクション(146)と、を含む、
請求項1または2記載の手術用顕微鏡システム。
【請求項4】
前記第2のセクションは、実質的に文字“C”のような形状である、
請求項3記載の手術用顕微鏡システム。
【請求項5】
前記第1のサブセクションは、少なくとも15cmにわたり外側に向かって延在している、
請求項3または4記載の手術用顕微鏡システム。
【請求項6】
前記第2のサブセクションは、少なくとも20cmにわたり下方に向かって延びている、
請求項3から5までのいずれか1項記載の手術用顕微鏡システム。
【請求項7】
前記第2のサブセクションは、真下に向かって延びている部分を含み、前記部分は、前記第2のサブセクションの垂直高の少なくとも40%を占める、
請求項3から6までのいずれか1項記載の手術用顕微鏡システム。
【請求項8】
前記第1のサブセクションと前記第2のサブセクションとの間の移行部(143)は、以下のように傾斜させられている、すなわち前記手術用顕微鏡システムの前記アームの前記第1のセクションおよび前記第2のセクションの待機ポジションにおいて、前記第1のセクションと、前記第2のセクションの前記第1のサブセクションと前記第2のサブセクションとの間の傾斜させられた前記移行部と、の間に予め定義された距離(143a)が維持されるように、傾斜させられている、
請求項3から7までのいずれか1項記載の手術用顕微鏡システム。
【請求項9】
前記第3のサブセクションの垂直高は、前記第3のサブセクションの横幅よりも少なくとも20%大きい、
請求項3から8までのいずれか1項記載の手術用顕微鏡システム。
【請求項10】
前記ディスプレイデバイスは、3次元イメージデータを表示するためのディスプレイデバイスである、
請求項1から9までのいずれか1項記載の手術用顕微鏡システム。
【請求項11】
前記光学系キャリアは、光学接眼レンズを備えていない光学系キャリアであり、かつ/または、前記第2のセクションは、ケーブルダクトと、前記ケーブルダクト内のケーブルにアクセスするために取り外し可能なカバー(148)と、を含む、
請求項1から10までのいずれか1項記載の手術用顕微鏡システム。
【請求項12】
前記第2のセクションの形状は、前記光学系キャリアに取り付けられた前記第2のセクションのサブセクションと前記ディスプレイデバイスとの間の第1の横方向距離が、前記第1のセクションに取り付けられた前記第2のセクションのサブセクションと前記ディスプレイデバイスとの間の横方向距離よりも短くなるような形状である、
請求項1から11までのいずれか1項記載の手術用顕微鏡システム。
【請求項13】
前記光学系キャリアは、前記第2のセクションが取り付けられている前記光学系キャリアの側に、デジタル接眼レンズ(160)を含む、
請求項12記載の手術用顕微鏡システム。
【請求項14】
前記第2のセクションは、前記懸架ポイントを中心に回転するように適合されている、
請求項1から13までのいずれか1項記載の手術用顕微鏡システム。
【請求項15】
手術用顕微鏡システムのための方法であって、前記方法は以下のステップを含む、すなわち、
前記手術用顕微鏡システムの光学系キャリアを準備するステップ(710)であって、前記光学系キャリアは、前記手術用顕微鏡システムの顕微鏡の光学部品を含むステップ(710)と、
前記手術用顕微鏡システムのディスプレイデバイスを準備するステップ(720)であって、前記ディスプレイデバイスは、前記手術用顕微鏡システムの光学イメージングセンサによって記録されたイメージデータを表示するために適しているステップ(720)と、
第1のセクションおよび第2のセクションを含む、前記手術用顕微鏡システムのアームを準備するステップ(730)であって、前記第1のセクションは、前記光学系キャリアのポジションの垂直方向および/または横方向の調節を行うことができるように構成されており、前記第2のセクションは、前記第1のセクションの懸架ポイントと前記光学系キャリアとに取り付けられているステップ(730)と、
を含み、
前記アームには前記第2のセクションが設けられており、前記第2のセクションは、前記ディスプレイデバイスの中央領域と前記光学系キャリアの反対側にいる外科医との間の光路が、前記第2のセクションによって遮られないまま維持されるように、前記懸架ポイントと前記光学系キャリアとの間の幾何学的軸線の周囲に自由空間を作り出す形状を有し、前記光路は、前記懸架ポイントと前記光学系キャリアとの間の幾何学的軸線と交差し、
前記ディスプレイデバイスは、外科医の望ましいポジションの反対側である前記光学系キャリアの一方の側に設けられている、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示のさまざまな態様は手術用顕微鏡システムに関し、特に手術用顕微鏡システムのためのアームに関する。
【背景技術】
【0002】
先進的な手術誘導技術の導入により手術がいっそうデジタル的なワークフローを目指して進むにつれて、そのトレンドの1つが「手術用コックピット」コンセプトへと移行し、これによれば外科医は、(双眼鏡を覗き込み、次いでデータ用画面に目を向け、それによって集中力を途切れさせてしまうかもしれないのとは対照的に)、単一の視線で捉えられるオンスクリーン手術用データが組み込まれた組織構造の精密な大画面3D可視化により手術を行う。
【0003】
手術用顕微鏡に対する3Dヘッドアップアプローチの主要な価値ある提案のうちの1つは、顕微鏡スタックの高さに起因する外科医の人間工学の改善に関するものである。3Dヘッドアップビューにより、外科医は、互いに連結されたワークフローを維持するために画面上でリアルタイムに手術データを観察しながら(手術の確実性の向上)、いっそう良好な人間工学および自然な姿勢で(外科医の快適性の向上)、手術のワークフローを快適に可視化することができる。光学系キャリアへの光学装備品(インバータ、イメージ注入、光干渉断層撮影、レーザフィルタ、カメラブリッジ、網膜観察装備品など)の組み込みに伴い、スタックの高さが高くなることが、従来の接眼レンズを使用する外科医が直面する共通の難点であることが多い。したがってその結果、顕微鏡スタックの高さが高いことに起因して、不快な非人間工学的ポジションが生じてしまう可能性がある。しかも光学系キャリアのアームは、外科医が前方を見ることができるようにする上で障害物となる。3Dヘッドアップモニタは、顕微鏡光学系キャリアアームによって外科医の左側の視界が遮られることから、右に向かって中心からずれた角度でポジショニングされることが多い。その結果、外科医の頭部が手術中に所定の角度で傾くことになり、これによってシステムの人間工学が悪化するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外科医の人間工学を改善する顕微鏡システムのための改善されたコンセプトを提供することが強く望まれている、と言っても差し支えない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のさまざまな実施形態は、遮られることなく手術領域を可視化するために真正面の視界を外科医に与えることによって、手術用顕微鏡システムの利用に関する人間工学を外科医のために改善することができる、という知見に基づくものである。したがって実施形態によれば、手術用コックピットを真正面から見ることができるようになる。一般に、手術用顕微鏡システムは、光学系キャリア(すなわち実際の顕微鏡)とベースユニットまたは天井マウントの双方に取り付けられたアームを含む。このアームは、光学系キャリアの地上の垂直高を制御するために使用することができる第1のセクション(「平行四辺形セクション」とも称される)と、第1のセクションと光学系キャリアとの間に配置された第2のセクション(または「光学系キャリアアーム」、「光学系キャリアセクション」)と、を含むことができる。一般に第2のセクションを、光学系キャリアの向きのきめ細かい調節および/または回転の調節を行うことができるようにするために使用することができる。本開示のさまざまな実施形態において、この第2のセクションは、手術用顕微鏡システムのディスプレイデバイスに向かう外科医の視界を解放する自由空間を作り出すように適合されている。一般にこのことを、顕微鏡スタック越しにいっそう大きく開けた視界が得られるようにするために、拡げられた「C字型またはV字型」構造になるよう第2のセクションを再設計することによって、達成することができる。
【0006】
本開示のさまざまな実施形態によれば、光学系キャリアを含む手術用顕微鏡システムが提供され、この光学系キャリアは、手術用顕微鏡システムの顕微鏡の光学部品を含む。手術用顕微鏡システムは、この手術用顕微鏡システムの光学イメージングセンサによって記録されたイメージデータを表示するためのディスプレイデバイスを含む。手術用顕微鏡システムはアームを含む。アームは、第1のセクションおよび第2のセクションを含む。第1のセクションは、光学系キャリアのポジションの垂直方向および/または横方向の調節を行うことができるように構成されている。第2のセクションは、第1のセクションの懸架ポイントと光学系キャリアとに取り付けられている。第2のセクションは、ディスプレイデバイスの中央領域と光学系キャリアの反対側にいる外科医との間の光路が、第2のセクションによって遮られないまま維持されるように、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線の周囲に自由空間を作り出す形状を有する。この光路は、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線と交差する。このようにして適合された形状を有する第2のセクションを用いることによって、外科医が自身の首を曲げることなくディスプレイデバイスに対し良好なビューを有するように、外科医の視界をほとんど遮られないまま残しておくことができる。
【0007】
一般に中央領域を、ディスプレイデバイスの中心点を中心にセンタリングすることができる。例えば中央領域は、ディスプレイデバイスの全領域の少なくとも20%を占めることができる。一般に、焦点が合わせられる手術部位の部分が、ディスプレイデバイスの中央領域内に表示される。遮られることなく外科医が見ることのできる中央領域が大きければ大きいほど、手術用コックピットはいっそう有用になる。
【0008】
一般に、このように遮られていないビューをさまざまな手法で達成することができるけれども、以下では特定の実装形態について示す。例えば第2のセクションの形状は、懸架ポイントから外側に向かって横方向に延在している第1のサブセクションと、この第1のサブセクションから下方に向かって延びている第2のサブセクションと、次いでこの第2のサブセクションから光学系キャリアへと内側に向かって戻る第3のサブセクションと、を含むことができる。このようにすることで、ディスプレイデバイスに向かう光路によりいっそう広々とした視界が実現されるよう、第2のサブセクションを邪魔にならない場所に移すことができる。一般に上述の形状を、「C字型」または横倒しの「V字型」と形容することができる。換言すれば、第2のセクションを実質的に、文字「C」または横倒しにした文字「V」のような形状にすることができる。
【0009】
さまざまな実施例において、第1のサブセクションは、少なくとも15cmにわたり外側に向かって延在している。これによって、光路周辺に自由区間を作り出すことができる。他方の端部において第3のサブセクションを、例えば光学系キャリアが占める空間だけ差し引いて同様の距離にわたり内側に向かって戻るようにすることができる。これによって、遮られずに外科医が見ることのできる中央領域の幅を決定することができる。
【0010】
さまざまな実施例において、第2のサブセクションを少なくとも20cmにわたり下方に向かって延ばすことができる。例えば第2のサブセクションは、真下に向かって延びている部分を含むことができる。この部分は、第2のサブセクションの垂直高の少なくとも40%を占めることができる。第2のサブセクションの高さによって、特に、真下に向かって延びている部分の高さによって、ディスプレイデバイスの中央領域の高さを決定することができる。
【0011】
例えば、第1のサブセクションと第2のサブセクションとの間の移行部を以下のように傾斜させることができる。すなわち、手術用顕微鏡システムのアームの第1のセクションおよび第2のセクションの待機ポジションにおいて、第1のセクションと、第2のセクションの第1のサブセクションと第2のサブセクションとの間の傾斜した移行部と、の間に予め定義された距離が維持されるように、傾斜させることができる。その結果、第2のセクションを、手術用顕微鏡システムのアームの待機ポジションにおいて自由に回転可能な状態のまま維持することができる。
【0012】
いくつかの実施例において、第3のサブセクションの垂直高を、第3のサブセクションの横幅よりも少なくとも20%大きくすることができる。このようにすることで、手術用顕微鏡システムのアームへの光学キャリアの取り付けの安定性を向上させることができる。
【0013】
一般に、例えば手術用顕微鏡システムのベースユニットに取り付けられるディスプレイ、または手術室の壁に取り付けられるディスプレイなど、さまざまなタイプのディスプレイを使用することができる。双方の事例において、例えば偏光眼鏡を使用することによって、3次元ビュー体験を達成することができる。したがってディスプレイデバイスを、3次元イメージデータを表示するためのディスプレイデバイスとすることができる。
【0014】
いくつかの実施例において、光学系キャリアは光学接眼レンズのない光学系キャリアである。このようにすることで、外科医の視界の大部分を遮られないまま維持することができる視界を作り出すことができる。択一的に光学系キャリアは、主外科医用の光学接眼レンズまたはハイブリッド接眼レンズを含むことができ、さらに任意選択的に助手用のデジタル接眼レンズを含むことができる。
【0015】
さまざまな実施例において、第2のセクションの形状は、光学系キャリアに取り付けられた第2のセクションのサブセクションとディスプレイデバイスとの間の第1の横方向距離が、第1のセクションに取り付けられた第2のセクションのサブセクションとディスプレイデバイスとの間の横方向距離よりも短くなるような形状である。換言すれば、第2のセクションの底部を、ディスプレイデバイスに向かって傾斜させることができ、これによって助手用のデジタル接眼レンズのためにいくらかのスペースが残される。したがって光学系キャリアは、第2のセクションが取り付けられている光学系キャリアの側に、(例えば助手用の)デジタル接眼レンズを含むことができる。
【0016】
一般に光学系キャリアは、ディスプレイデバイスに表示すべきイメージデータを生成するための光学イメージングデバイスおよびさまざまな他の部品を含むことができる。これらの部品は、手術用顕微鏡システムのベースユニットへの電気接続および/またはデータ接続を必要とする場合がある。電気接続および/またはデータ接続のために使用されるケーブルを、アームの第1および第2のセクションを通して延ばすことができる。例えば第2のセクションは、ケーブルダクトと、例えばベースユニットと光学系キャリアとの間に延ばされているケーブルへの迅速なアクセスのために、ケーブルダクト内のケーブルにアクセスするための取り外し可能なカバーと、を含むことができる。
【0017】
いくつかの実施形態において、第2のセクションは懸架ポイントを中心に回転するように適合されている。例えば、外科医の視点から見て、光軸の左側または右側に第2のセクションの主要なサブセクション(例えば以下に示す第2のサブセクション)をポジショニングできるよう、懸架ポイントを中心に回転するように、第2のセクションを適合させることができる。このようにすることで、側方に座っている助手の外科医は、自身のビューが遮られることなく3Dモニタを快適に見ることができる。
【0018】
本開示のさまざまな実施形態によって、手術用顕微鏡システムのための方法が提供される。この方法は、手術用顕微鏡システムの光学系キャリアを準備するステップを含み、この光学系キャリアは手術用顕微鏡システムの顕微鏡の光学部品を含む。この方法は、手術用顕微鏡システムのディスプレイデバイスを準備するステップを含み、このディスプレイデバイスは、手術用顕微鏡システムの光学イメージングセンサによって記録されたイメージデータを表示するために適している。この方法は、手術用顕微鏡システムのアームを準備するステップを含む。アームは、第1のセクションおよび第2のセクションを含む。第1のセクションは、光学系キャリアのポジションの垂直方向および/または横方向の調節を行うことができるように構成されている。第2のセクションは、第1のセクションの懸架ポイントと光学系キャリアとに取り付けられている。アームには第2のセクションが設けられており、この第2のセクションは、ディスプレイデバイスの中央領域と光学系キャリアの反対側にいる外科医との間の光路が、第2のセクションによって遮られないまま維持されるように、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線の周囲に自由空間を作り出す形状を有し、この光路は懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線と交差する。ディスプレイデバイスは、外科医の望ましいポジションの反対側である光学系キャリアの一方の側に設けられている。
【0019】
装置および/または方法のいくつかの実施例について、単なる例示として添付の図面を参照しながら以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1a】手術用顕微鏡システムの1つの実施例を示す概略図である。
図1b】外科医システムの視界が示されている顕微鏡システムの実施例を示す概略図である。
図1c】外科医システムの視界が示されている顕微鏡システムの実施例を示す概略図である。
図1d】外科医システムの視界が示されている顕微鏡システムの実施例を示す概略図である。
図1e】外科医システムの視界が示されている顕微鏡システムの実施例を示す概略図である。
図1f】第1のセクションと第2のセクションとを含むアームを備えており、第2のセクションは第1のセクションの一部である懸架ポイントを中心に回転可能である、手術用顕微鏡システムの1つの実施例を示す概略図である。
図2a】それぞれ異なる視点から見た2つの接眼レンズを備えた手術用顕微鏡システムの1つの実施例を示す概略図である。
図2b】それぞれ異なる視点から見た2つの接眼レンズを備えた手術用顕微鏡システムの1つの実施例を示す概略図である。
図2c】それぞれ異なる視点から見た2つの接眼レンズを備えた手術用顕微鏡システムの1つの実施例を示す概略図である。
図3a】手術用顕微鏡システムのアームの第2のセクションの部分のそれぞれ異なる形状を示す図である。
図3b】手術用顕微鏡システムのアームの第2のセクションの部分のそれぞれ異なる形状を示す図である。
図3c】手術用顕微鏡システムのアームの第2のセクションの部分のそれぞれ異なる形状を示す図である。
図3d】手術用顕微鏡システムのアームの第2のセクションの部分のそれぞれ異なる形状を示す図である。
図3e】手術用顕微鏡システムのアームの第2のセクションの部分のそれぞれ異なる形状を示す図である。
図3f】手術用顕微鏡システムのアームの第2のセクションの部分のそれぞれ異なる形状を示す図である。
図3g】手術用顕微鏡システムのアームの第2のセクションの部分のそれぞれ異なる形状を示す図である。
図3h】手術用顕微鏡システムのアームの第2のセクションの部分のそれぞれ異なる形状を示す図である。
図4】1つの実施例による外科医の視界を示す図である。
図5a】それぞれ異なる視点から見た手術用顕微鏡システムのアームの第2のセクションを示す概略図である。
図5b】それぞれ異なる視点から見た手術用顕微鏡システムのアームの第2のセクションを示す概略図である。
図5c】それぞれ異なる視点から見た手術用顕微鏡システムのアームの第2のセクションを示す概略図である。
図6】手術用顕微鏡のアームの第2のセクションを取り外し可能なカバーと共に示す概略図である。
図7】手術用顕微鏡システムのための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付の図面を参照しながら、いくつかの実施例についていっそう詳しく説明する。ただし、その他の考えられる実施例は、詳細に説明するこれらの実施形態の特徴に限定されるものではない。その他の実施例は、それらの特徴の変形ならびにそれらの特徴の等価物および代替物を含むことができる。さらに、特定の実施例を説明するために本明細書で用いられる用語は、さらに別の考えられる実施例を限定しようというものではない。
【0022】
図面の説明を通して、同じまたは類似の参照符号は、同じまたは類似の要素および/または特徴を指しており、これらの要素および/または特徴を、同一のものとすることができ、あるいは同じまたは類似の機能を提供しながら変形された形態で実装することができる。見やすくするために、図中の線、層および/または領域の厚みが強調されている場合もある。
【0023】
2つの要素AおよびBが「または」を用いて結合されている場合、このことは、個々の事例において明示的に他の趣旨で定義されていない限り、全ての可能な組み合わせ、すなわちAのみ、Bのみ、ならびにAおよびB、を開示していると解されたい。同じ組み合わせに対する択一的な言い回しとして、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」あるいは「Aおよび/またはB」を使用することができる。このことは、2つよりも多くの要素の組み合わせに同等に適用される。
【0024】
定冠詞、不定冠詞など単数形が用いられ、単一の要素のみを用いることが、明示的にも暗黙的にも必須のこととして定義されていないならば、同じ機能を実装するためにさらに別の実施例が複数の要素を用いることもできる。1つの機能が複数の要素を用いて具現化されるものとして以下で説明されるならば、さらに別の実施例が単一の要素または単一の処理エンティティを使用して、同じ機能を実装することができる。さらに自明のとおり、「含む」、「含んでいる」、「有する」および/または「有している」という用語は、これらが用いられたときに、指定された特徴、完全体、ステップ、オペレーション、プロセス、要素、部品および/またはそれらのグループの存在を記述するけれども、1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、オペレーション、プロセス、要素、部品および/またはそれらのグループの存在または追加を除外するものではない。
【0025】
図1aには、手術用顕微鏡システム100の1つの実施例の概略図が示されている。手術用顕微鏡システムは、この手術用顕微鏡システムの顕微鏡の光学部品を含む光学系キャリア110を含む。手術用顕微鏡システムは、この手術用顕微鏡システムの光学イメージングセンサによって記録されたイメージデータを表示するためのディスプレイデバイス120を含む(図1b~図1eに示す)。手術用顕微鏡システムはアームを含む。アームは、第1のセクション130および第2のセクション140を含む。第1のセクションは、光学系キャリアのポジションの垂直方向および/または横方向の調節を行うことができるように構成されている。第2のセクションは、第1のセクションの懸架ポイントと光学系キャリアとに取り付けられている。第2のセクションは、ディスプレイデバイスの中央領域125と光学系キャリアの反対側にいる外科医との間の光路が、第2のセクションによって遮られないまま維持されるように、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線150の周囲に自由空間を作り出す形状を有する。この光路は、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線と交差する。図1aには、手術用顕微鏡システムのベースユニットは示されていない。一般に、第1のセクションを手術用顕微鏡システムのベースユニットに取り付けることができる。かかる取り付けについては、例えば図1b~図1eに示されている。
【0026】
図1aには、アーム130;140および手術用顕微鏡システムの光学系キャリアが示されているにすぎない。手術用顕微鏡システムのディスプレイデバイスおよびベースユニットは、この後に続く図面例えば図1b~図1eに示されている。
【0027】
本開示の実施形態は手術用顕微鏡システムに関し、つまり外科処置中に使用される顕微鏡システムに関する。一般に、実際の顕微鏡と手術用顕微鏡システム全体との間で区別がなされ、この場合、手術用顕微鏡システムは、顕微鏡、および光学系キャリアと共に使用されるさまざまな部品、例えば照明システム、アーム130;140またはディスプレイデバイス120を含む。かかる手術用顕微鏡システムにおいては、実際の顕微鏡は、これが顕微鏡システムの光学部品を含むことから、「光学系キャリア」110と呼ばれる。一般に顕微鏡とは、人間の目(だけ)で検査するには小さすぎる物体を検査するのに適した光学機器である。例えば顕微鏡は、物体の光学的拡大を提供することができる。最新の顕微鏡の場合には、カメラまたはイメージングセンサのために、光学的拡大がしばしば提供される。光学系キャリア110はさらに、試料上のビューを拡大するために使用される1つまたは複数の光学拡大部品を含むことができる。
【0028】
一般に、手術用顕微鏡システムのためにさまざまなタイプの光学系キャリアが存在している。本開示において取り上げるのは、手術用コックピットにおいて使用するための光学系キャリアであり、この場合には、外科医が手術部位を見るための主要な手段として、外部ディスプレイが使用されている。したがって光学系キャリアは、光学部品および光学イメージングセンサだけを含んでいればよく、この場合、光学イメージングセンサのイメージデータはディスプレイデバイスに表示される。この事例では光学系キャリアを、光学(またはデジタル)接眼レンズのない光学系キャリアとすることができる。
【0029】
択一的に光学系キャリアは、1つまたは複数の接眼レンズを含むことができ、例えば、主外科医が使用するための光学接眼レンズまたはハイブリッド接眼レンズ(カメライメージによる任意選択的なデジタルオーバレイまたは置換を伴う光学接眼レンズ)、および助手用の(デジタル)接眼レンズを含むことができる。かかる実施例は、図2a~図2cに示されている。
【0030】
先に述べたように、この手術用顕微鏡システムにおいて、外科医が手術部位を見るための主要な手段として、外部ディスプレイが使用されている。これは、光学系キャリア内に含めることができる手術用顕微鏡システムの光学イメージングセンサを使用して手術部位を記録することによって達成される。換言すれば、光学系キャリアは光学イメージングセンサを含むことができる。例えば顕微鏡の光学イメージングセンサは、APS(Active Pixel Sensor)方式またはCCD(Charge-Coupled-Device)方式のイメージングセンサを含むことができ、または顕微鏡の光学イメージングセンサをそのようなものとすることができる。例えば、APS方式のイメージングセンサの場合、光検出器とピクセルのアクティブアンプとを使用して、各ピクセルのところで光が記録される。APS方式のイメージングセンサは、多くの場合、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)技術またはS-CMOS(Scientific CMOS)技術に基づいている。CCD方式のイメージングセンサの場合、到来した光子は半導体-酸化物界面で電子電荷に変換され、次いでこれらの電子電荷が、イメージングを実行するために光学イメージングセンサの制御回路によって、イメージングセンサモジュール内の容量性ビン間で動かされる。
【0031】
その後、イメージデータがディスプレイデバイスによって表示される。例えば、手術用顕微鏡システムのベースユニットは、1つまたは複数のプロセッサを含むことができ、このプロセッサは、イメージデータを処理し、処理されたイメージデータを含むディスプレイ信号をディスプレイデバイス120に供給するように構成されている。ディスプレイデバイス120は、手術用顕微鏡システムの光学イメージングセンサによって記録された(処理された)イメージデータを表示するように構成されている。
【0032】
図1b~図1eには、顕微鏡システムの実施例の概略図が示されており、この場合、ディスプレイデバイス120に向かって見た外科医システムの視界が示されている。図1b~図1eには、手術用顕微鏡システム100の実施例が、100b(図1b),100c(図1c)および100d(図1dおよび図1e)で表されている。図1b~図1eには、(中央部分125が破線の枠で強調表示されて)ディスプレイデバイス120が示されている。一般にディスプレイデバイスを、複数のロケーションに配置することができる(または複数のロケーションに取り付けることができる)。ただし、外科医が人間工学的に見ることができるように、ディスプレイデバイスは、主外科医にとっては光学系キャリアの反対側に配置されている。換言すれば、光学系キャリアを、ディスプレイデバイスと、主外科医用に指定されたロケーションすなわち光学系キャリアに取り付けられたハンドルを使用できるようにするロケーションと、の間に、横方向に配置する(すなわち配列させる)ことができる。図1bおよび図1cに示されているように、患者を、したがって手術部位を、光学系キャリアの下方に配置することができる。
【0033】
一般に、手術用顕微鏡システムに含めることができるさまざまな種類のディスプレイが存在している。特に、この文脈で引き合いに出されるディスプレイデバイスは、外部ディスプレイすなわち手術用顕微鏡システムの光学系キャリア内またはアーム内に含まれていないディスプレイである。しかもディスプレイデバイスを、手術用顕微鏡システムのアームから独立して、例えば手術用顕微鏡システムのさらに別のアームに、または手術室の壁に、配置することができる。換言すれば、ディスプレイデバイスを、(例えばディスプレイデバイス120aについて図1eに示されているように)手術用顕微鏡システムの別のアームに取り付けられた、または(例えばディスプレイデバイス120bについて図1d/図1eに示されているように)手術室の別個のスタンドまたは壁に取り付けられたディスプレイとすることができる。したがって手術用顕微鏡システムは、複数のディスプレイデバイスを含むことができ、これらのディスプレイデバイスを、先に言及した幾何学的軸線を通る光路の視界内において、外科医にとって望ましいポジションに関連して配置することができる。
【0034】
かかるディスプレイに使用することができるさまざまなディスプレイ技術が存在している。例えばディスプレイデバイスは、液晶ディスプレイ(LCD)または有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイのうちの1つを含むことができる。いくつかの実施例において、3次元ビュー体験を生成することができる。したがってディスプレイデバイスを、3次元イメージデータを表示するためのディスプレイデバイスとすることができる。例えばディスプレイデバイスを、光学系キャリアの光学イメージングセンサ(またはもっと正確には立体センサ)によって供給された立体イメージデータに基づき、3次元ビューを提供するように構成することができる。例えばディスプレイデバイスを、例えば偏光フィルタを使用してイメージデータの3次元表現を出力するように構成することができる。外科医は、対応する偏光フィルタを含む眼鏡を着用することができる。
【0035】
手術用顕微鏡システムはさらに、第1のセクション130と第2のセクションとを備えたアームを含む。特に第2のセクションは、幾何学的軸線を中心として自由空間を作り出すように適合されているので、重要である。
【0036】
アームは、光学系キャリアのポジションの垂直方向および/または横方向の調節を行うことができるように構成された第1のセクションを含む。例えば図1b~図1eに示されているように、手術用顕微鏡システムのベースユニット(1つまたは複数のプロセッサを含むベースユニット)およびアームの第2のセクションに、第1のセクションを取り付けることができる。換言すれば、第1のセクションをベースユニットと第2のセクションとの間に配置することができ、第2のセクションをベースユニットに取り付けることができる。例えば第1のセクションを、液圧またはサーボモータの補助の支援を得て移動させることができる。一般に第1のセクションを、手術用顕微鏡システムのアームの平行四辺形セクションと称することができる。対照的に第2のセクションを、光学系キャリアアームまたは光学系キャリアセクションと称することができる。
【0037】
第2のセクションは、第1のセクションすなわち第1のセクションの懸架ポイントと光学系キャリアとに取り付けられている。第1のセクションの懸架ポイントを、光学キャリアの上方(真上)に位置する第1のセクションの部分とすることができる。換言すれば、光学系キャリアの少なくとも1つの部分と懸架ポイントとを、重力に対し平行に延在しているさらなる幾何学的軸線と交差させることができる。いくつかの実施形態において、第2のセクションは懸架ポイントを中心に回転するように適合されている。例えば、外科医の視点から見て、光軸の左側または右側に第2のセクションの主要なサブセクション(例えば以下に示す第2のサブセクション)をポジショニングできるよう、懸架ポイントを中心に回転するように、第2のセクションを適合させることができる。このことは例えば図1fに示されている。図1fには、第1および第2のセクションを含むアームを備えた手術用顕微鏡システムの1つの実施例の概略図が示されており、この場合、第2のセクションは、第1のセクションの一部である懸架ポイントを中心に、第2のセクションを回転(すなわち旋回)させることができる。換言すれば、光学キャリア(または光学系キャリア)を左(側)または右(側)のいずれかにポジショニングさせることができるように、C字型アーム(すなわち第2のセクション)をくるりと旋回させることができる。
【0038】
先に言及したように、第2のセクションは、ディスプレイデバイスの中央領域125と光学系キャリアの反対側にいる外科医との間の光路が、第2のセクションによって遮られないまま維持されるように、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線150の周囲に自由空間を作り出す形状を有する。この文脈において、「光路」という用語は、外科医とディスプレイデバイスとの間の単一のビームを指すのではなく、むしろ図1dに示されているように、遮られることなく外科医が見ることのできる領域を指すものとすることができる。図1dには、外科医とディスプレイデバイス120aとディスプレイデバイス120bとの間の光路を描いた三角形155が示されており、この三角形の外科医と向き合った角に鋭角が存在している。この図から見て取れるように最適には、遮られることなく光路を介してディスプレイデバイスの全高を見ることができる。ただしこのことは、最も重要な情報がたいていはディスプレイデバイスの中央領域内に表示されることから、前提条件ではなくてもよい。明確にするために、中央領域はディスプレイデバイスの中心点を中心にセンタリングされている。中央領域は、ディスプレイデバイスの全領域の少なくとも20%(または少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%)を占めることができる。例えば中央領域は、ディスプレイデバイスの画面の全横幅の少なくとも40%(または少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%)を占めることができ、かつ/またはディスプレイデバイスの画面の全垂直高の少なくとも40%(または少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%)を占めることができる。
【0039】
この光路は、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線と交差する。換言すれば、光路の少なくとも1つの部分は、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線と交差する。しかも幾何学的軸線を光路の中心とすることができ、つまり外科医は、第2のセクション越しに幾何学的軸線を通して中央領域の方を見ることができる。外科医が、第2のセクションの形状によって作り出された自由空間越しにディスプレイデバイスの方を見るように、ディスプレイデバイスを配置することができる。換言すれば、(外科医とディスプレイデバイスとの間の)光路の中心ビームを、幾何学的軸線と交差させることができる。
【0040】
このことを例えば、さまざまな形状および形態で達成することができる。例えば第2のセクションを、横倒しの「O」のような形状にすることができ、この場合、横倒しの「O」の凹部が自由空間を作り出している。ただし好ましくは第2のセクションを、「C」または横倒しの「V」のような形状にすることができる。換言すれば、第2のセクションは実質的に、文字「C」または横向きにした文字「V」のような形状にされている。いくつかの事例ではこの形状を、正方形ブラケットまたは円形ブラケットの形状と形容することもできる。
【0041】
拡げられた「C字型またはV字型」構造となるよう光学系キャリアのアームの再設計を実施することによって、顕微鏡スタック越しにいっそう大きく開けた視界を実現することできる。このようにすることで、遮られずに手術用モニタを真正面から見ることができ、その結果、頭を中心から外に傾ける必要なく、いっそう良好な手と目の協調およびいっそう自然な作業ポジションが得られるようになる。これに加えてこのようにすることで外科医は、自身の前で臨床上の設定およびワークフローをいっそう良好に観察することができる。これによって、必要とされるツールの遮られない可視化と、クリティカルな手術器具からのデータ読み出しの容易な識別と、に基づき、外科医のワークフロー効率を改善することができる。図1bおよび図1cには、上部手術ポジションと側頭手術ポジションの双方について、遮られずに手術用モニタを真正面から見た様子が示されている。図1dおよび図1eには、スタンドモニタ120aと、さらに離れてポジショニングされたもっと大画面のモニタ120bと、の双方を、遮られずに正面から見た様子が示されている。
【0042】
もっと具体的な言い方をすれば、第2のセクションの形状は、懸架ポイントから外側に向かって横方向に延在している第1のサブセクション142と、この第1のサブセクションから下方に向かって延びている第2のサブセクション144と、次いでこの第2のサブセクションから光学系キャリアへと内側に向かって戻る第3のサブセクション146と、を含むことができる。
【0043】
第1のサブセクション142を、懸架ポイントから外側に向かって横方向に延在させることができる。ただし、第1のサブセクションが懸架ポイントに直接取り付けられていなくてもよい。その代わりに第2のセクションは、第1のサブセクションと懸架ポイントとの間に配置されたさらに別のサブセクションを含むことができる。図1aには、このさらに別のサブセクションが幅の広い矩形として示されている。第1のサブセクション142はこの矩形に取り付けられていて、懸架ポイントから外側に向かって横方向に延在している。この文脈において、「外側に向かって横方向に延在している」という用語は、第1のサブセクションの2つの特性すなわち、第1のサブセクションが懸架ポイントの横方向ポジションから離れるように(すなわち外側に向かって)延びていること、および第1のサブセクションが実質的な横方向の広がりを含むこと(例えば第1のサブセクションは少なくとも15cmにわたり外側に向かって延在している)、つまり第1のサブセクションと第2のサブセクションとの間の移行部が、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線の外側になるようにする横方向の広がりを含むこと、を表している。換言すれば、第1のサブセクションは、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線から離れるように、第2のセクションを導くことができる。
【0044】
第2のサブセクション144を、第1のサブセクションから下方に向かって延在させることができる。換言すれば、第1のサブセクションに取り付けられている第2のサブセクション144の第1の端部を、第3のサブセクションに取り付けられている第2のサブセクション144の第2の端部よりも上方に配置することができる。しかも第2のサブセクションを、(例えば移行セクションを介して)第1のサブセクションと第3のサブセクションの双方に取り付けることができ、第1のサブセクションと第3のサブセクションとの間に配置することができる。例えば第2のサブセクションを、少なくとも20cm(または少なくとも25cm、少なくとも30cm、少なくとも40cm)にわたり下方に向かって延ばすことができる。換言すれば、第1のサブセクションに取り付けられている第2のサブセクション144の第1の端部を、第3のサブセクションに取り付けられている第2のサブセクション144の第2の端部よりも、少なくとも20cm(または少なくとも25cm、少なくとも30cm、少なくとも40cm)上方に配置することができる。例えば第2のサブセクションは、真下に向かって(すなわち(実質的に)重力に平行に)延びている部分を含むことができる。この部分は、第2のサブセクションの垂直高の少なくとも40%(または少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%)を占めることができる。換言すればこの部分は、少なくとも10cm(または少なくとも12cm、少なくとも15cm、少なくとも20cm、少なくとも25cm、少なくとも30cm、少なくとも35cm)の垂直高を有することができる。
【0045】
次いで第3のサブセクション146を、第2のサブセクションから光学系キャリアへと内側に向かって戻るようにすることができる。この文脈において「内側に向かって」という用語は、第3のサブセクションが第2のサブセクションから懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線に向かって延びている、ということを表す。一般に第3のサブセクションを、光学系キャリアと同じ垂直方向レベルにあるものとすることができる。したがって第3のサブセクションを、光学系キャリアと同じレベルにおいて光学系キャリアに向かって横方向に延ばすことができる。例えば光学系キャリアを、例えば付加的なサブセクションを介して、またはインターポーザを介して、第3のサブセクションに取り付けることができる。
【0046】
いくつかの実施例において、第2のセクションはさらに、個々のサブセクション間に配置されかつ個々のセクション間を段階的に移行させるようにする移行サブセクションを含む。第1のサブセクションと第2のサブセクションとの間に移行部が設けられている事例では、この移行部を、手術用顕微鏡システムのアームの待機ポジションにおいて第2のセクションが第1のセクションと衝突しないように、傾斜させることができる。例えば第2のセクションは湾曲したエッジを含むことができ、これによって光学系キャリアを顕微鏡アームと衝突することなく待機ポジションに移動させることができる。換言すれば、第1のサブセクションと第2のサブセクションとの間の移行部143を以下のように傾斜させることができる。すなわち、手術用顕微鏡システムのアームの第1のセクションおよび第2のセクションの待機ポジションにおいて、第1のセクションと、第2のセクションの第1のサブセクションと第2のサブセクションとの間の傾斜した移行部と、の間に予め定義された距離143aが維持されるように、傾斜させることができる。この距離143aは図1aに示されている。例えば第1のサブセクションと第2のサブセクションとの間の移行部を、この移行部の傾斜が、手術用顕微鏡システムの待機ポジションにおける第1のセクションの傾斜と近似するように、傾斜させることができる。例えば予め定義された距離を、少なくとも2cm(または3cmまたは4cm)および/または最大12cm(または10cmまたは8cmまたは6cm)とすることができる。
【0047】
先に言及したように、光学系キャリアは、ディスプレイデバイスに表示すべきイメージデータを生成するための光学イメージングデバイスおよびさまざまな他の部品を含むことができる。これらの部品は、手術用顕微鏡システムのベースユニットへの電気接続および/またはデータ接続を必要とする場合がある。これに加えて光学系キャリアは、手術用顕微鏡システムの照明システムを含むことができ、または光学系キャリアを介して手術部位に供給すべき光を光学系キャリアに導くために、ファイバ導体を使用することができる。これらの特徴の全ては、手術用顕微鏡システムのベースユニットと光学キャリアとの間の接続を必要とする場合がある。したがって第2のセクションは(第1のセクションも同様に)、ケーブルダクトを含むことができる。これに加えて第2のセクションは、ケーブルダクト内のケーブルにアクセスするために、取り外し可能なカバー148を含むことができる。例えば取り外し可能なカバーを、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線から離れる方向に向いた第2のセクションの側に配置することができる。図6には、かかるケーブルダクトおよびカバーの詳細図が示されている。
【0048】
本開示の文脈において、「横方向」または「水平方向」という用語は、手術用顕微鏡システムが使用されている部屋の床レベルに対し平行に定義され、これを重力に対して垂直とすることができる。「垂直方向」という用語は、床レベルに対して垂直に、したがって重力に対して平行に定義される。相応に「上方」および「下方」という用語を、垂直方向に関して定義することができ、つまり第1の部品が第2の部品の上方に配置されているならば、このことは、第1の部品の少なくとも大部分(または全て)が、第2の部品の上方に垂直方向で(すなわち手術用顕微鏡システムが配置されている部屋の床レベルから垂直方向でさらに離れるように)配置されている、ということを意味し、第1の部品が第2の部品の下方に配置されているならば、このことは、第1の部品の少なくとも大部分(または全て)が、第2の部品の下方に垂直方向で(すなわち手術用顕微鏡システムが配置されている部屋の床レベルに垂直方向で近づくように)配置されている、ということを意味する。
【0049】
手術用顕微鏡システムのさらなる詳細および態様については、提案されたコンセプトあるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に関連して言及される(例えば図2a~図7)。この手術用顕微鏡システムは、提案されたコンセプトの1つまたは複数の態様、あるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に対応する、1つまたは複数の付加的な任意選択的特徴を含むことができる。
【0050】
図2a~図2cには、それぞれ異なる視点から見た2つの接眼レンズ115;160を備えた手術用顕微鏡システム200の1つの実施例の概略図が示されている。一般に、図2aおよび図2bの手術用顕微鏡システムを、図1a~図1eの手術用顕微鏡システム100(100;100b;100c;100d)と同様に実装することができる。ただし、図1a~図1eに関連して示した実施例とは異なり、図2a~図2cの手術用顕微鏡システム200は、第1の接眼レンズ115(主外科医用)および第2の接眼レンズ160(助手用)を含む。換言すれば、光学系キャリアは、第2のセクションが取り付けられている光学系キャリアの側に、デジタル接眼レンズ160を含むことができ、かつ/または外科医に面した光学系キャリアの側に、光学接眼レンズまたはハイブリッド接眼レンズ115を含むことができる。一般に任意の組み合わせが可能であり、例えば、第1の接眼レンズ115を備えているが第2の接眼レンズ160を備えていない手術用顕微鏡システム、第1の接眼レンズ115を備えていないが第2の接眼レンズ160を備えている手術用顕微鏡システム、いかなる接眼レンズも備えていない手術用顕微鏡システム、または双方の接眼レンズ115;160を備えている手術用顕微鏡システムといった組み合わせが可能である。例えば、第1の接眼レンズを光学接眼レンズまたは光学およびデジタルのハイブリッド接眼レンズとすることができ、第2の接眼レンズをデジタル接眼レンズとすることができる。この文脈において「デジタル接眼レンズ」という用語は、接眼レンズを通した試料上のビューが、接眼レンズ内部に組み込まれたまたは接眼レンズに接続されたディスプレイによってのみ生成される、ということを表す。「光学およびデジタルのハイブリッド接眼レンズ」という用語は、接眼レンズが、純粋に光学的なビューとディスプレイによって生成されるビューの双方を提供し、さらに任意選択的に光学ビューに重ねてデジタルでオーバーレイされたビューを提供する、ということを表す。一般に、接眼レンズを双眼鏡と称することもできる。
【0051】
図2a~図2cには、主双眼鏡(接眼レンズ)および側方の補助双眼鏡(接眼レンズ)のために配慮された湾曲した光学系支持アーム140が示されている。したがって第2の接眼レンズ160を配置することができるように、第2のセクションをディスプレイデバイスに向かって部分的に傾斜させることができる。換言すれば、第2のセクションの形状を、光学系キャリアに取り付けられた第2のセクションのサブセクションとディスプレイデバイスとの間の第1の横方向距離が、第1のセクションに取り付けられた第2のセクションのサブセクションとディスプレイデバイスとの間の横方向距離よりも短くなるような形状とすることができる。換言すれば、第2のセクションの比較的下の部分を、ディスプレイデバイスに向かって傾斜させることができる。かかる配置が図2a~図2cに示されており、この場合、第2のセクションの第2のサブセクション全体が傾けられている。図5cには別の実装形態が示されており、この場合、第2のサブセクションの一部分のみが傾けられており、第2のサブセクションの主要部分は真下に向かって延びている。
【0052】
手術用顕微鏡システムのさらなる詳細および態様については、提案されたコンセプトあるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に関連して言及される(例えば図1a~図1e、図3a~図7)。この手術用顕微鏡システムは、提案されたコンセプトの1つまたは複数の態様、あるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に対応する、1つまたは複数の付加的な任意選択的特徴を含むことができる。
【0053】
図3a~図3hには、手術用顕微鏡システム300a~300hのアームの第2のセクション140の部分の種々の異なる形状が示されている。例えば、図1a~図2c、図4図6に示されている手術用顕微鏡システムのアームの第2のセクションを実装するために、これらの種々の形状を使用することができる。図3a~図3hによれば、顕微鏡スタック越しにいっそう大きく開けた視界を実現する「C字型またはV字型」の光学系キャリアアームを示すことができる。
【0054】
図3aには、第1、第2および第3のサブセクションを備えた「C字型」の第2のセクション140が示されており、これらのサブセクションは、各サブセクション間にごくわずかな移行部を有しながら、実質的に横方向(第1および第3のサブセクション)または垂直方向(第2のサブセクション)に延在している。図3bには、浅い「V字型」の第2のセクションが示されており、この場合、第1および第3のサブセクションは実質的に横方向に延在しており、第2のサブセクションは横倒しの浅い「V字型」の形状を有する。図3cには、筆記体のCに似ている「C字型」の第2のセクションが示されており、この場合、第1および第3のサブセクションは実質的に横方向に延びており、第2のサブセクションは下方に向かって延びていると同時に外側に向かっても延びている。図3dの第2のセクションは図3bの第2のセクションと類似しており、この場合、第2のサブセクションはいっそうはっきりした「V字型」を有する。図3eおよび図3fの場合、第1のサブセクションは実質的に横方向で外側に向かって延在しており、第2のサブセクションは真下に向かって延びており、第3のサブセクションは下方に向かって延びていると同時に内側に向かっても延びている。図3gの第2のセクションは図3aの第2のセクションと類似しており、この場合、第2のサブセクションは丸みを帯びた形状を有し、これは横方向で外側に向かって延びてから、第2のサブセクションが第3のサブセクションと交わると、横方向で内側に向かって戻る。図3hの第2のセクションも図3aの第2のセクションに類似しており、第2のセクションは第4のサブセクションを含み、この第4のサブセクションは、第3のサブセクションと光学系キャリアとの間に配置されており、地上での光学系キャリア110の横方向ポジションを低くする目的で、下方と内側の双方に向かって延びている。
【0055】
手術用顕微鏡システムのさらなる詳細および態様については、提案されたコンセプトあるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に関連して言及される(例えば図1a~図2c、図4図7)。この手術用顕微鏡システムは、提案されたコンセプトの1つまたは複数の態様、あるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に対応する、1つまたは複数の付加的な任意選択的特徴を含むことができる。
【0056】
図4には、1つの実施例に従い手術用顕微鏡システムの第2のセクション140を通して見た外科医の視界が示されている。このビューは、外科医による大きく開けた、遮られていない前方の視界を示す機能的モデルに従って示されている。
【0057】
手術用顕微鏡システムのさらなる詳細および態様については、提案されたコンセプトあるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に関連して言及される(例えば図1a~図3h、図5a~図7)。この手術用顕微鏡システムは、提案されたコンセプトの1つまたは複数の態様、あるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に対応する、1つまたは複数の付加的な任意選択的特徴を含むことができる。
【0058】
図5a~図5cには、それぞれ異なる視点から見た手術用顕微鏡システム500のアームの第2のセクション140の概略図が示されている。例えば図5a~図5cの手術用顕微鏡システム500を、図1a~図3hの手術用顕微鏡システム100~300hと同様に実装することができる。図5a~図5cには、新規の光学系キャリアアームの正面概念図および側面概念図が示されている。例えば図5a~図5cによれば、図1a~図2cにおいて使用される第2のセクションの詳細図を示すことができる。図5cから明らかなように、第3のサブセクションの垂直高を、第3のサブセクションの横幅よりも少なくとも20%大きくすることができる。このようにすることで、第2のセクションにおける光学系キャリア110の取り付けの安定性を改善することができる。
【0059】
手術用顕微鏡システムのさらなる詳細および態様については、提案されたコンセプトあるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に関連して言及される(例えば図1a~図4図6図7)。この手術用顕微鏡システムは、提案されたコンセプトの1つまたは複数の態様、あるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に対応する、1つまたは複数の付加的な任意選択的特徴を含むことができる。
【0060】
図6には、第2のセクション内に組み込まれたケーブルダクトが示されている。図6には、手術用顕微鏡のアームの第2のセクションの概略図が、ケーブルダクトおよび取り外し可能なカバー148と共に示されている。図6によれば、内部配線へのケーブル接続のアクセスを示すことができる。
【0061】
手術用顕微鏡システムのさらなる詳細および態様については、提案されたコンセプトあるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に関連して言及される(例えば図1a~図5c、図7)。この手術用顕微鏡システムは、提案されたコンセプトの1つまたは複数の態様、あるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に対応する、1つまたは複数の付加的な任意選択的特徴を含むことができる。
【0062】
図7には、手術用顕微鏡システムのための方法のフローチャートが示されている。例えばこの方法を、図1a~図6に関連して紹介した手術用顕微鏡システムのうちの1つに適したものとすることができる。この方法は、手術用顕微鏡システムの光学系キャリアを準備するステップ710を含み、この光学系キャリアは手術用顕微鏡システムの顕微鏡の光学部品を含む。この方法は、手術用顕微鏡システムのディスプレイデバイスを準備するステップ720を含み、このディスプレイデバイスは、手術用顕微鏡システムの光学イメージングセンサによって記録されたイメージデータを表示するために適している。この方法は、手術用顕微鏡システムのアームを準備するステップ730を含み、このアームは第1のセクションと第2のセクションとを含む。第1のセクションは、光学系キャリアのポジションの垂直方向および/または横方向の調節を行うことができるように構成されている。第2のセクションは、第1のセクションの懸架ポイントと光学系キャリアとに取り付けられている。アームには第2のセクションが設けられており、この第2のセクションは、ディスプレイデバイスの中央領域と光学系キャリアの反対側にいる外科医との間の光路が、第2のセクションによって遮られないまま維持されるように、懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線の周囲に自由空間を作り出す形状を有し、この光路は懸架ポイントと光学系キャリアとの間の幾何学的軸線と交差する。ディスプレイデバイスは、外科医の望ましいポジションの反対側である光学系キャリアの一方の側に設けられている。
【0063】
手術用顕微鏡システムのための方法のさらなる詳細および態様については、提案されたコンセプトあるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に関連して言及される(例えば図1a~図6)。この方法は、提案されたコンセプトの1つまたは複数の態様、あるいは先に述べたまたは後で述べる1つまたは複数の実施例に対応する、1つまたは複数の付加的な任意選択的特徴を含むことができる。
【0064】
本明細書で使用されるように、用語「および/または(かつ/または)」は、関連する記載項目のうちの1つまたは複数の項目のあらゆる全ての組み合わせを含んでおり、「/」として略記されることがある。
【0065】
いくつかの態様を装置の文脈において説明してきたが、これらの態様が、対応する方法の説明も表していることが明らかであり、ここではブロックまたは装置がステップまたはステップの特徴に対応している。同様に、ステップの文脈において説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明も表している。
【0066】
先に挙げた実施例のうちの特定の1つに関連して説明した態様および特徴を、さらなる実施例のうちの1つまたは複数と組み合わせて、そのさらなる実施例の同一または類似の特徴を置き換えることもでき、またはそのさらなる実施例に特徴を付加的に導入することもできる。
【0067】
以下の請求項はこれによって詳細な説明に組み込まれ、ここで各請求項は1つの別個の実施例として自立し得るものである。また、特許請求の範囲において1つの従属請求項は、1つまたは複数の他の請求項との1つの特定の組み合わせに関わるものであるけれども、別の実施例が、この従属請求項と任意の別の従属請求項または独立請求項の保護範囲との組み合わせを含むこともできる、という点にも留意されたい。この場合にかかる組み合わせは、ある特定の組み合わせを意図しないことが個々の事例で明記されていない限り、明示的に提案されるものである。さらに、ある1つの請求項の特徴は、この請求項が他の独立請求項に従属するものとして直接的に定義されていなくても、その独立請求項についても含まれるものとする。
【符号の説明】
【0068】
100,100b~d 手術用顕微鏡システム
110 光学系キャリア
115 接眼レンズ
120,120a/b ディスプレイデバイス
125 中央領域
130 手術用顕微鏡システムのアームの第1のセクション
140 手術用顕微鏡システムのアームの第2のセクション
142 第1のサブセクション
143 第1のサブセクションと第2のサブセクションとの間の移行部
143a 移行部と第1のセクションとの間の距離
144 第2のサブセクション
146 第3のサブセクション
148 取り外し可能なカバー
150 幾何学的軸線
155 三角形
160 接眼レンズ
200 手術用顕微鏡システム
300a~300h 手術用顕微鏡システム
710 光学系キャリアを準備するステップ
720 ディスプレイデバイスを準備するステップ
730 アームを準備するステップ
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図3h
図4
図5a
図5b
図5c
図6
図7
【国際調査報告】