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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】折りたたみ可能クレート
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/12 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B65D19/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526928
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 IB2021000764
(87)【国際公開番号】W WO2022096928
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/109,098
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521395780
【氏名又は名称】グッドパック アイビーシー (シンガポール) ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】スリチャイ ウタイ
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA07
3E063BA01
3E063BB01
3E063CA05
3E063CB04
3E063CD04
3E063CD11
3E063CD13
3E063DA01
3E063EE03
(57)【要約】
ベースと複数の壁とを有する折りたたみ可能なクレートが開示される。ベースは上面を含み、上面の下方においてキャビティを画定する。複数の壁は互いに取り外し可能に取り付け可能であり、かつ、複数の壁がベースの上面の上方に実質的に垂直に延在する第1の配置と、複数の壁がベースのキャビティ内にある第2の配置と、の間で移動可能である。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を含むとともに、前記上面の下方においてキャビティを画定するベースと、
互いに取り外し可能に取り付け可能な複数の壁と、を備え、
前記複数の壁は、前記ベースの前記上面の上方に実質的に垂直に延在する第1の配置と、前記複数の壁が前記ベースの前記キャビティ内にある第2の配置と、の間で移動可能である、折りたたみ可能なクレート。
【請求項2】
前記ベースは、前記キャビティ内に複数のトラックを含み、
前記複数のトラックの各トラックは、前記複数の壁のうちの壁を受け入れ、当該壁が前記キャビティの中又は外にスライドする際に当該壁を案内するように構成されている、請求項1に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項3】
前記複数のトラックの各トラックは、前記ベースの前記上面と実質的に平行であり、前記複数のトラックの他のトラックに対して異なる垂直位置にある、請求項2に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項4】
前記複数のトラックの各トラックが、前記複数の壁のうちの壁の第1の側部を受け入れるための第1の部分と、当該壁の第2の側部を受け入れるための第2の部分とからなる、請求項2又は3に記載の折りたたみ可能なトラック。
【請求項5】
前記複数の壁の各壁は前記ベースと係合する取付アームを含み、前記壁が、前記複数の壁の他の壁から外されるときに前記取付アームの周りで回転可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項6】
前記取付アームは前記ベースのトラックと係合する丸みのある端部を含み、前記壁が前記丸みのある端部の周りで回転する、請求項5に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項7】
前記複数の壁の第1の壁が、前記第1の壁を前記複数の壁の第2の壁にロックさせるためのロック機構を含み、
前記ロック機構には、前記第2の壁の相補的孔の中に延在して前記第1の壁を前記第2の壁に取り付けるピンが設けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項8】
前記複数の壁の第1の壁が、前記ベースの前記上面に実質的に垂直な位置に前記第1の壁をロックするためのロック機構を含み、
前記ロック機構には、前記第1の壁が前記ベースに対して実質的に回転しないよう前記ベースの相補的孔の中に延在するように構成されたピンが設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項9】
前記ベースの前記上面は、前記折りたたみ可能なクレートが前記第1の配置及び前記第2の配置にあるときに前記上面の上にある物品を支持するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項10】
前記ベースが、前記キャビティの下方に下側フレームを含み、
前記下側フレームは、前記ベースが載置される面から離隔して配置され、これにより、前記折りたたみ可能なクレートを輸送するために移動装置のフォークが前記下側フレームの下に延びることを可能にする、請求項1~9のいずれか一項に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項11】
折りたたみ可能なクレートであって、
上面を含むとともに前記上面より下方にキャビティを画定するベースであって、第1の壁を受け入れるための第1のトラックを前記キャビティ内に含むベースと、
組み立て配置において前記ベースの前記上面から延在する上側部分を備える前記第1の壁と、を備え、
前記第1の壁には、前記組み立て配置において前記ベースの前記第1のトラックに係合するために前記上側部分から延在する取付アームが設けられており、
前記第1の壁は、前記第1の壁を前記第1のトラックと整列させるために前記取付アームの周りで前記ベースに対して回転可能であり、これにより、前記第1の壁を前記第1のトラックに沿って前記ベースの前記キャビティ内にスライド挿入して、前記第1の壁を折りたたみ配置に移動させるように構成されている、折りたたみ可能なクレート。
【請求項12】
前記ベースに取り付けられた保持機構であって、前記第1の壁が前記折りたたみ配置にあるときに前記第1の壁を前記ベース内に保持するように構成された保持機構をさらに備える、請求項11に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項13】
前記保持機構は保持バーを含み、
前記保持バーは、前記折りたたみ配置において前記第1の壁を前記ベース内に固定するために、前記第1の壁が前記キャビティ内に挿入されたときに前記第1の壁の一部と係合するように構成されている、請求項12に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項14】
前記保持バーは、前記第1の壁のクロスバーに接触するように構成されている、請求項13に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項15】
前記保持バーはねじりばねを介して前記ベースに固定され、前記第1の壁が前記ベースの前記キャビティ内にあるときに前記第1の壁の前記一部と係合する位置に向かって付勢される、請求項13又は14に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項16】
前記保持バーは、前記第1のトラックに対して角度を付けて延在し、これにより、前記第1の壁が前記ベース内に挿入されるにつれて前記保持バーが前記第1の壁によって曲げられ、前記第1の壁が前記ベースの前記キャビティ内に完全に挿入されたときに跳ね戻って前記第1の壁の前記一部に係合するように構成されている、請求項13~15のいずれか一項に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項17】
第2の壁をさらに備え、
前記ベースは、前記第2の壁を受け入れるための第2のトラックを前記キャビティ内に含み、
前記保持機構は回転可能ラッチを含み、
前記回転可能ラッチは、前記第2の壁が前記ベースの前記第2のトラックに沿って前記ベース内に挿入されると保持位置に回転して、前記第1の壁を前記ベース内に固定するように構成されている、請求項12~16のいずれか一項に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項18】
前記第2の壁の一部は、前記第2の壁が前記第2のトラックに沿って前記ベース内に挿入されるにつれて前記回転可能ラッチと係合して、前記回転可能ラッチを保持位置に回転させ、
前記保持位置では、前記回転可能ラッチの一部が前記第1のトラックに沿った前記第1の壁の経路内に延在することで前記第1の壁が前記ベース内に固定される、請求項17に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項19】
前記第2の壁が前記第2のトラックに沿って前記ベース内に挿入されたときに前記第2の壁を前記ベース内に保持するように構成された第2の保持機構をさらに備える、請求項17又は18に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項20】
前記第1の壁の前記上側部分は、前記ベースの前記キャビティ内へ挿入されると前記第1のトラックに係合するよう構成された第1及び第2の側部を含む、請求項11~19のいずれか一項に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項21】
前記第1のトラックが、前記ベースの第1の側部に沿って取り付けられる第1の平板と、前記ベースの第2の側部に沿って取り付けられる第2の平板とを含み、
前記第1の平板は、前記第1の壁の前記第1の側部が前記ベース内に挿入されたときに前記第1の壁の前記第1の側部と係合するよう構成されており、
前記第2の平板は、前記第1の壁の前記第2の側部が前記ベース内に挿入されたときに前記第1の壁の前記第2の側部と係合するよう構成されている、請求項11~20のいずれか一項に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項22】
前記取付アームは、前記第1の平板にスライド可能に係合する、請求項21に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項23】
前記第1のトラックには、前記第1の壁が前記ベースの前記キャビティ内に挿入されたときに前記第1の壁の前記取付アームが当接する第1の止め具と、前記第1の壁が前記ベースの前記キャビティから取り出されるときに前記第1の壁の前記取付アームが当接する第2の止め具と、が設けられている、請求項11~22のいずれか一項に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項24】
前記第1の壁は、ピンを含むロック機構を備え、
前記ピンは、前記第1の壁が前記ベースから上向きに延在するよう前記第1の壁を前記ベースにロックするために、前記ベースの相補的孔の中に延びるように構成され、
前記ロック機構は、前記組み立て配置における前記第1の壁の前記ベースに対する実質的な回転を阻止する、請求項11~23のいずれか一項に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項25】
前記第1の壁は、前記組み立て配置において前記第1の壁を第2の壁にロックするために前記第2の壁の相補的孔の中に延びるよう構成されたピンを含むロック機構を備える、請求項11~24のいずれか一項に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項26】
前記第1の壁には、前記組み立て配置において前記第1の壁を第2の壁にロックするために、前記第2の壁のロック機構のピンを受け入れるための孔が設けられている、請求項11に記載の折りたたみ可能なクレート。
【請求項27】
クレートを折りたたむ方法であって、
上面を含むベースであって前記上面の下方にキャビティを画定するベースを備えるクレートの第1の壁を、前記クレートの隣接する壁から取り外す工程と、
前記第1の壁の上端を、前記ベースの前記上面と実質的に平行な位置まで、前記クレートから外向きに回転させる工程と、
前記第1の壁を内向きに前記ベースの前記キャビティ内にスライドさせる工程と、
第2の壁の上端を、前記ベースの前記上面と実質的に平行な位置まで、前記クレートから外向きに回転させる工程と、
前記クレートの前記第1の壁を内向きに前記ベースの前記キャビティ内にスライドさせる工程と、を含む、方法。
【請求項28】
折りたたみ可能なクレートを組み立てる方法であって、
上面を含むベースであって前記上面の下方にキャビティを画定するベースを備えるクレートの第1の壁をキャビティから取り出す工程と、
前記第1の壁の上端を上向きに直立位置まで回転させる工程と、
前記第1の壁を前記直立位置にロックする工程と、
前記クレートの第2の壁を前記キャビティから取り出す工程と、
前記第2の壁の上端を直立位置まで回転させる工程と、
前記第1の壁を前記直立位置にロックする工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2020年11月3日に出願された米国仮特許出願第63/109,098号の利益を主張するものであり、当該仮出願は引用によりその全体が本明細書に盛り込まれる。
【0002】
本開示は、概して、保管及び輸送用クレートに関し、特に折りたたみ可能なクレートに関する。
【背景技術】
【0003】
クレートは物品や商品を輸送及び保管するために使用される。クレートが使用されていないとき、クレートは通常、中が満たされている時と同じ大きさの空間を占める。したがって、空のクレートを輸送又は保管する際にクレートは輸送車両又は倉庫内で多くの空間を占める。一部のクレートにはベースから取り外し可能な壁を有するものがある。壁は取り外されて、クレートのベースの上又は輸送若しくは保管のための他の場所に置くことができる。別のアプローチではクレートの壁は内向きに折りたたまれてクレートのベースの上部に配置され得る。
【0004】
しかしながら、従来技術のアプローチでは、壁は衝撃や損傷に対して脆弱なままである。さらに、壁は依然としてベースの通常の寸法を超える追加の空間を占有する場合がある。さらに、多くのクレートはフォークリフト及び同様のツールを使用して輸送される。このようなツールに適応するために、クレートは持ち上げ及び輸送構造を受け入れるベースを有して構成されなければならない。ベースがこのように構成される場合、1つ以上の壁がベース上に折りたたまれるようなクレートを構成することは特に困難な場合がある。
【発明の概要】
【0005】
壁が曲がったり、へこんだり、あるいはクレートの残りの部分から外れたりするのを防ぎつつ、折りたたんでサイズを小さくすることができるクレートが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】組み立て配置にある折りたたみ可能なクレートの上面斜視図である。
図1B図1Aの折りたたみ可能なクレートの前方立面図である。
図1C図1Aの折りたたみ可能なクレートの後方立面図である。
図1D図1Aの折りたたみ可能なクレートの左側立面図である。
図1E図1Aの折りたたみ可能なクレートの右側立面図である。
図1F図1Aの折りたたみ可能なクレートの上面図である。
図1G図1Aの折りたたみ可能なクレートの底面図である。
図2】折りたたみ配置にある図1Aの折りたたみ可能なクレートの上面斜視図である。
図3A図1Aの折りたたみ可能なクレートの下側部分の正面斜視図である。
図3B図1Aの折りたたみ可能なクレートの下側部分の正面断面図である。
図3C図1Aの折りたたみ可能なクレートの下側部分の右側断面斜視図である。
図4A図1Aの折りたたみ可能なクレートの壁位置ロック機構の上面斜視図である。
図4B図1Aの折りたたみ可能なクレートの壁接続機構の左側斜視図である。
図4C図4Bの壁接続機構の右側斜視図である。
図5A図1Aの折りたたみ可能なクレートの角部の正面斜視図である。
図5B図1Aの折りたたみ可能なクレートの角部の右側斜視図である。
図5C】部分的折りたたみ配置にある図1Aの折りたたみ可能なクレートの下側部分の斜視図である。
図5D】部分的折りたたみ配置にある図1Aの折りたたみ可能なクレートの下側部分の斜視図である。
図6A図1Aの折りたたみ可能なクレートを組み立てるプロセスの図を示す。
図6B図1Aの折りたたみ可能なクレートを組み立てるプロセスの図を示す。
図6C図1Aの折りたたみ可能なクレートを組み立てるプロセスの図を示す。
図6D図1Aの折りたたみ可能なクレートを組み立てるプロセスの図を示す。
図6E図1Aの折りたたみ可能なクレートを組み立てるプロセスの図を示す。
図6F図1Aの折りたたみ可能なクレートを組み立てるプロセスの図を示す。
図6G図1Aの折りたたみ可能なクレートを組み立てるプロセスの図を示す。
図7A図1Aの折りたたみ可能なクレートの上面斜視図であり、折りたたみ可能なクレートのベース内に部分的に挿入された壁が示されている。
図7B図7Aに示すような図1Aの折りたたみ可能なクレートの右側断面図である。
図7C図1Aの折りたたみ可能なクレートの右側断面図であり、折りたたみ可能なクレートのベース内に第1の壁が完全に挿入された様子を示す。
図7D図1Aの折りたたみ可能なクレートの右側断面図であり、折りたたみ可能なクレートのベース内に2つの壁が完全に挿入された様子を示す。
図8A図1Aの折りたたみ可能なクレートの角部の上面斜視図であり、折りたたみ可能なクレートのベース内に2つの壁が挿入された様子を示す。
図8B図1Aの折りたたみ可能なクレートの角部の上面斜視図であり、折りたたみ可能なクレートのベース内に2つの壁が挿入された様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
クレートの壁が互いに切り離され、クレートのベースのキャビティ内に保管され得るように構成されたクレートが提供される。クレートを組み立て配置から折りたたむ際に、壁を隣接する壁から切り離すことができる。壁の上側部分を、ベースに取り付けられベースのトラックと係合する壁の下端の周りに外向きに回転させることができる。壁が地面に実質的に平行になると、壁を受け入れるベース内のトラックを介して、壁をベースの下方のキャビティ内にスライドさせることができる。ベースは、壁が意図せずにベースのキャビティから滑り出るのを防止するための保持機構を含むことができる。各壁を同様にして隣接する壁から切り離してベース内に保管することができる。
【0008】
図1Aから図1Gを参照すると、クレート100は、組み立て配置で示されており、ベース102と、ベース102から上向きに延在する4つの壁150A,Bとを含む。図2に示されるように、クレートは、4つの壁150A,Bがすべてベース102内にある状態で折りたたみ配置にある。図3Aから図3Cも参照すると、一形態において、ベース102は、上側プラットフォーム105Aと、下側プラットフォーム105Bと、上側プラットフォーム105Aと下側プラットフォーム105Bとの間に延在する4つの垂直ポスト110とを含む。したがって、ベース102は上側プラットフォーム105Aと下側プラットフォーム105Bとの間の空間を画定し、この空間はベース102のキャビティ112である。上側プラットフォーム105A及び下側プラットフォーム105Bは、ベース102の上下に広がる支持バーの格子から形成されてもよい。他の形態では、上側プラットフォーム105A及び下側プラットフォーム105Bはシートメタルのような固くて平らなシートから形成されてもよい。
【0009】
一形態では、上側プラットフォーム105Aは、支持部材の格子から形成されたフレーム114と、フレーム114の上側に取り付けられた底壁116とを含む。底壁116は、クレート100内の内容物が載置される表面を提供する。壁150A,Bはクレート100を折りたたむためにベース102内に移動される(そして底壁116上に載置されない)ので、クレート100は、底壁116上に配置された内容物を取り出す必要なしに、組み立て配置と折りたたみ配置との間で動かすことができる。これにより、1つ又は複数の壁150A,Bを折りたたんで、例えばクレートから物品を取り出す際などに、クレート100の内容物にアクセスすることが可能になる。クレート100は、表面116上の内容物を支持するために、折りたたみ配置になっているときにパレットと似たように使用することもできる。クレート100は空間を節約するために折りたたみ配置で互いに積み重ねられてもよい。ベース102内の壁が折りたたみ配置になっている状態では、壁105A,Bはクレート100が積み重ねられて輸送される際に損傷から守られる。底壁116は、丈夫で耐久性のある平らな表面を提供するためにシートメタルで形成することができる。他の実施形態では、底壁116は、中実表面でないように、メッシュ又は格子である。他の形態では、底壁116は、木材、ポリマーなどの他の材料、及びそれらの組み合わせで形成されてもよい。上側プラットフォーム105A及び底壁116のうちの少なくとも1つには、ロック壁150Aに面する側に、以下にさらに詳細に説明するように、壁150Aを直立位置にロックするためにロック壁150Aの壁位置ロック機構(wall orientation locking mechanism)106のロックピン164を受け入れるための孔118が設けられている。
【0010】
下側プラットフォーム105Bは、支持部材の格子で形成されたフレーム120を含む。下側プラットフォーム105Bは、下側プラットフォーム105Bの各角部から下向きに延在する支持ブロック122を備える。支持ブロック122は地上に当接して、下側プラットフォーム105Bを地上から離隔させることにより、クレート100を、フォークリフト、パレットジャッキ又は同様のツールのような移動装置によってピックアップ又は移動させることができる。下側プラットフォーム105Bは、壁150A,Bが折りたたみ配置で中に移動されるキャビティ112の下方にあり、これにより、クレート100が組み立て配置と折りたたみ配置のどちらの場合であっても移動装置のフォークを下側プラットフォーム105Bの下方に配置することができる。
【0011】
図3Aから図3Cを参照すると、ベース102は、上側プラットフォーム105Aと下側プラットフォーム105Bとの間の垂直ポスト110間に延在する側壁124A,Bをさらに含む。このように、側壁124A,Bはベース102のキャビティ112に沿って延在する。側壁124A,Bは、壁150A,Bをベース102内に収容するためのトラックを形成する支持構造を含む。一形態では、クレート100の左側及び右側の側壁124Aは同じ高さである。一形態では、クレート100の前側と後側の側壁124Bは互いに同じ高さであるが、側壁124Aとは異なる高さである。図示されているように、側壁124Aは、側壁124Bよりも低いか又は下側プラットフォーム105Bに近い。側壁124A,Bのそれぞれには、側壁124A,Bから水平方向内向きに延在する、側壁124A,Bの長さに沿って延在する上側及び下側レッジ126が設けられている。壁150A,Bを案内及び/又は保管するためのベース102内の他の形態の支持構造も使用され得ることは認識されるべきである。例えば、ベース102は、ベース102のキャビティ112に広がる4つの中実のシートであって、壁120A,Bを受けるための4つのレベルを形成する4つの中実のシートを含むことができる。別の実施形態では、側壁124A,Bは、壁150A,Bの側部を受け入れるために、レッジ126ではなく、U字形の部材を含むことができる。
【0012】
図示の実施形態では、側壁124A,Bの各レッジ126は、ベース102における反対側にある側壁124A,Bのレッジ126と対応し、クレート100の壁150A,Bを受けるためのトラックを形成する。例えば、ベース102の左側の側壁124Aの下側レッジ126は、ベース102の右側の側壁124Aの下側レッジ126と同じ高さにある。ベース102の左側の側壁124Aの上側レッジ126は、ベース102の右側の側壁124Aの上側レッジ126と同じ高さにある。側壁124Bのレッジ126は同様に互いに対応している。これによって、クレート100の4つの壁150A,Bを収容するために、ベース102のキャビティ112内に4つのレベル(高さ)のレッジ126又はトラックが作られる。例えば、クレート100が図2に示すような折りたたみ配置にある場合、クレート100の壁150Aはベース102のキャビティ112内にある。壁150A,Bの第1の側部はレッジ126に当接し、一方、壁150A,Bの第2の側部は、ベース102における反対側の対応するレッジ126に当接する。このようにして、レッジ126は、それぞれ、壁150を受け入れるトラックの一部を形成する。
【0013】
レッジ126はその端に止め具128を含み、壁150A,Bがベース102のキャビティ112に挿入されたときにこの止め具128に当接する。止め具128は壁150A,Bがキャビティ112内に挿入され過ぎるのを防ぐとともに、壁150A,Bがクレート100における挿入された側と反対の側でベース102から外に出るのを防ぐ。また、ベース102には、クレート100が折りたたみ配置にあるときにベース102内の壁150A,Bを保持するために使用される保持部材130及びラッチ140が設けられている。以下にさらに詳細に説明するように、保持部材130及びラッチ140は壁150A,Bの一部と係合して、壁150A,Bがベース102のキャビティ112から意図せず滑り出るのを防ぐ。
【0014】
図1Aから図1Gを再び参照すると、壁150A,Bは、各々、左側部材152、右側部材154、上部部材156及び底部材158を有するフレームから形成されてもよい。壁150A,Bは、上部部材156と底部材158との間に間隔を空けて延在する複数の垂直バーを含む。他の形態では、壁150A,Bは、追加で又は代替的に、水平方向に延在するバーを含むことができる。さらに他の形態では、壁150A,Bは中実であって、これを貫通する開口を含まないものとすることができる。図示の実施形態では2つのタイプの壁150がある。第1のタイプはロック壁150Aであり、第2のタイプは接続壁150Bである。組み立て配置では、ロック壁150Aはクレート100における対向する側にあり、接続壁150Bはクレート100における残りの2つの側に沿ってロック壁150Aの間に延在する。図示されるように、ロック壁150Aは、壁位置ロック機構106と、2つの壁ロック機構108とを含む。ロック壁150Aの底部材158は、ロック壁150Aを直立位置にロックするために使用される孔158Aを含む。左側部材152及び右側部材154は、各々、ロック壁150Aを隣接する接続壁150Bにロックするために使用されるスロット159Aを含む。接続壁150Bは、各々、左側部材152及び右側部材154においてスロット159Bを有し、スロット159Bはロック壁150Aのスロット159Aと整列して、ロック壁150Aを接続壁150Bにロックするために使用される。ロック壁150Aは壁位置ロック機構106及び2つの壁ロック機構108の両方を含むように示されているが、他の形態では、クレート100の各壁は隣接する壁にロックされるための壁ロック機構108を含んでもよいことは理解されるべきである。ある形態では、クレート100の各壁は壁位置ロック機構106を含む。ある形態では、各ロック壁150Aは2つの壁位置ロック機構106を含む。他の形成ではどの壁も壁位置ロック機構106を含まない。
【0015】
ロック壁150Aの壁位置ロック機構106は、ロック壁150Aを直立位置にロックするための構造を含む。図4Aに示す実施形態において、壁位置ロック機構106は、ロック壁150Aの垂直部材160に取り付けられたブラケット162と、ハンドル部164A及びシャフト部164Bを有するロックピン164とを備える。ブラケット162は上側切欠部166Aと下側切欠部166Bとを含み、これらはそれぞれ、ロックピン164がロック解除位置及びロック位置にあるときにロックピン164のハンドル部164Aを受け入れる。図示の実施形態では、ブラケット162は実質的にU字形である。他の形態では、ロックピン164をロック位置及びロック解除位置に保持するブラケットは別の形状を有するが、但し、ロックピン164を保持するために、ロック位置及びロック解除位置にあるときにロックピン164のハンドル部164Aが係合する構造を含むことは理解されるべきである。
【0016】
動作時において、ロック壁150Aを直立位置にロックするために、ロックピン164のシャフト部164Bがロック壁150Aの底部材158の孔158Aを貫通してベース102の底壁116の孔118の中に延在する。ロックピン164のハンドル部164Aは回転してU字形ブラケット162の下側切欠部166Bに入ることができ、これにより、ロックピン164がベース102の孔118に挿入された状態が維持される。壁位置ロック機構106は、ロックピン164をロック壁150Aの底部材158から上向きに付勢するばね168を含んでもよい。ばね168は、U字形ブラケット162の下側切欠部166B内に受け入れられた際のハンドル部164Aを付勢して下側切欠部166Bの上側部分に係合させ、それによりハンドル部164Aと下側切欠部166Bとの間の摩擦係合を増大させることで、ロックピン164のハンドル部164Aが切欠部166Bから外向きに回転するのを防ぐことを助ける。
【0017】
ロック壁150Aをロック解除してロック壁150Aが直立位置から回転できるようにするために、ロックピン164のハンドル部164Aが回転されてU字形ブラケット162の下側切欠部166Bから外される。ロックピン164は、ロックピン164を底壁116の孔118から引き抜くように上向きに移動させることができる。ハンドル部164Aは上側切欠部166Aの中へと回転されて、ロックピン164をロック解除位置に維持することができる。ばね168はロックピン164をロック解除位置に付勢することができ、そして、ハンドル部164Aが上側切欠部166A内にあるとき、ばね168はハンドル部164Aを上側切欠部166Aの上側部分に押し付けて、それによりハンドル部164Aとの間の摩擦係合を増大させることで、ハンドル部164Aが切欠部166Aから外向きに回転するのを防ぐことができる。
【0018】
壁ロック機構108は2つの壁を互いに取り外し可能に接続する構造を備える。壁ロック機構108についての特定の構造が示されている一方で、他の形態では壁ロック機構108は2つの隣接する壁を互いに可逆的に固定する任意の構造であってもよいことは認識されるべきである。図5Bから図5Cを参照すると、図示の壁ロック機構108は、支持ブラケット170と、ハンドル部172A、シャフト部172B及びフック部172Cを有するロックピン172とを含む。支持ブラケット170は、ロックピン172のシャフト部172Bを通すための孔を含む。支持ブラケット170は、ロックピン172が接続配置と切り離し配置との間で移動する際にロックピン172のシャフト部172Bを案内する。接続配置では、ロックピン172が壁150Aの縁に向かって移動され、切り離し配置では、ロックピン172が壁150Aの中央に向かって移動される。ロックピン172のハンドル部172Aは、ロックピン172のシャフト部172Bに取り付けられて、ロックピン172を接続配置と切り離し配置との間で移動させ、そして、ロックピン172をシャフト部172Bの周りでロック位置とロック解除位置との間で回転させる。フック部172Cは、切り離し配置から接続配置に移動するときにロック壁150Aにあるスロット159Aと隣接する接続壁150Bにある対応するスロット159Bとに通されるシャフト部172Bの端部に取り付けられている。フック部172Cの形状は、フック部172Cがロック壁150A及び接続壁150Bのスロット159A,159Bと整列したときに、フック部172Cがロック解除位置となってフック部172Cがスロット159A,159Bを通過できるような形状である。フック部172Cがスロット159A,Bと整列していないとき、フック部172Cはロック位置にありスロット159A,Bを通過することができない。このように、フック部172Cがスロット159A,Bを通っておりスロット159A,Bと整列していない状態でロックピン172が接続配置にあるとき(すなわち、ロック位置にあるとき)、ロックピン172は、まずフック部172Cをスロット159A,Bと整列させる(すなわち、ロックピン172をロック解除位置に移動させる)ことなくしてスロット159A,Bから抜くことはできない。
【0019】
動作時には、ロック壁150Aを隣接する接続壁150Bにロックするために、例えばハンドル部172Aを用いてロックピン172がロック解除位置まで回転されて、フック部172Cをロック壁150A及び接続壁150Bのスロット159A,159Bに整列させる。次に、ロックピン172をシャフト部172Bの軸に沿って移動させて、フック部172Cをロック壁150A及び接続壁150Bのスロット159A,159Bに通すことによって、ロックピン172を切り離し配置から接続配置に移動させる。次に、ロックピン172はフック部172Cを回転させることによってロック位置に移動され、その結果、フック部172Cはもはやスロット159A,159Bと整列しておらず、したがって、スロット159A,159Bを通して抜くことができない。
【0020】
ロック壁150Aを接続壁150Bから外すために、例えば、ハンドル部172Aをシャフト部172Aの周りに回転させてフック部172Cをロック壁150A及び接続壁150Bのスロット159A,159Bと整列させることによって、ロックピン172がロック解除位置に移動される。次に、ロックピン172をロックピン172のシャフト部172Aの軸に沿って移動させることによりフック部172Cをスロット159A,159Bから引き抜くことによって、ロックピン172が切り離し配置に移動される。ロックピン172のフック部172Cがもはや接続壁150Bのスロット159B内に延びていない状態になると、接続壁150Bはロック壁150Aから切り離される。その後、保管のためにロックピン172をロック位置まで回転させことができる。
【0021】
図1Aから図1Gに示す実施形態では、ハンドル部172Bがロック壁150Aから実質的に垂直に延在するようにハンドル部172Bを回転させたときに、ロックピン172のフック部172Cはロック解除位置になる又はロック壁150A及び接続壁150Bのスロット159A,159Bと整列する。ハンドル部172Bがロック壁150Aと平行なときには、フック部172Cはロック位置になる又はもはやスロット159A,159Bと整列しない。重力により、ロック壁150Aが直立位置にあるときにはハンドル部172Bは通常はロック壁150Aと平行なので、フック部172Cは通常はスロット159A,159Bと整列せず、したがって通常はロックピン172をロック位置にする。
【0022】
支持ブラケット170はハンドル保持ブラケット171をさらに含み、ハンドル保持ブラケット171は、ロックピン172がロック位置にあり、かつ、接続配置と切り離し配置のうちの一方にあるときに、ロックピン172のハンドル部172Bを受け入れる。図4Bから図4Cを参照すると、ハンドル保持ブラケット171は支持ブラケット170から延在するアーム171Aを含む。各アーム171Aは、アーム171Aの一部から支持ブラケット170に向かって内向きに延在する突起部171Bを含む。ロックピン172のハンドル部172Bは、アーム171Aの突起部171Bと支持ブラケット170との間に収容されるサイズにされた部分を含む。突起部171Bはアーム171Aと支持ブラケット170との間の空間を制限し、それにより、ハンドル部172Bをハンドル保持ブラケット171に強制的に挿入するか又はそこから強制的に外さなければならないように構成されている。ハンドル部172Bは、切り離し配置と接続配置の両方においてハンドル保持ブラケット171によって保持されてもよい。したがって、ハンドル保持ブラケット171は、ハンドル部172Bがシャフト部172Aの周りに回転されるのを防ぎ、これによってロックピン172がロック位置に固定されて、例えばロック壁150A及び接続壁150Bが接続配置にあるときに互いに意図せずに切り離されることが防止される。
【0023】
図1B及び図1Dに示すように、1つのロック壁150A及び1つの接続壁150Bはラッチ係合部材190を含む。ラッチ係合部材190は、壁150A,Bの底部材158の下方に延在するプレートであってもよい。以下にさらに詳細に説明するように、ロック壁150A又は接続壁150Bがベース102内のそれぞれのトラックに沿ってキャビティ112内にスライドされると、ラッチ係合部材190がベース102のラッチ140と係合し、これによってラッチ140を回転させて壁150A,Bの直ぐ上の壁のトラックの経路内に延在させることで、壁150A,Bをベース102内で上方に保持する。
【0024】
壁150A,Bは、各々、クロスバー174を含む。クロスバー174は、クレート100が図2に示されるような折りたたみ配置にあるときにベース102の対応する保持部材130又はラッチ140と係合し、壁150A,Bがベース102のキャビティ112から滑り出るのを防止する。図示の実施例では、クレート100は、1つのロック壁150A及び1つの接続壁150Bのための保持部材130と、1つのロック壁150A及び1つの接続壁150Bのためのラッチ140とを含む。別の実施形態では、クレート100はすべての壁150のための保持部材130を含むことができる。また、図示の実施形態では、壁150A,Bをベース102内に収容するためのトラックの左側部分において、1つの保持部材130又はラッチ140が各壁150A,Bについて使用される。他の実施形態では、クレート100は、各壁140の各側について保持部材130又はラッチ140を含むことができる。一例として、各壁150A,Bは、壁150A,Bをベース102内に収容するトラックの左側にて保持部材130又はラッチ140を、トラックの右側にて保持部材130又はラッチ140を含むことができる。
【0025】
図5A及び図8Aを参照すると、側壁124Aから延びた保持部材130が示されている。保持部材130はシャフト134の周りを回転するバー132を含む。保持部材130は、シャフト134とバー132に結合されたねじりばねを含み、このねじりばねは、バー132の端部132Aを下向きに、かつ、2つの対応するレッジ126によって形成されるトラックの経路内に向かって付勢する。壁150A,Bがベース102のキャビティ112内に収容されると、バー132の端部132Aが下向きに延在し、壁150のクロスバー174の上面174Aと係合する(図8A参照)。このようにして、保持部材130のバー132は壁150A,Bがキャビティ112から出ることを阻止する。壁150A,Bをキャビティから取り外すために、バー132の端部132Aがシャフト132の周りで上向きに回転される。これは、端部132Aの反対側の端部132Bを押し下げて、ねじりばねの付勢力に打ち勝つことによって行うことができる。バー132がもはやトラック内になく、及び/又は壁150A,Bのクロスバー174と係合していなければ、壁150A,Bをキャビティ112から取り出すことができる。
【0026】
図5B及び図8Bを参照すると、レッジ126から延びたラッチ140が示されている。ラッチ140は、側壁124Bから延びる支持体140Aと、支持体140Aの軸の周りを回転するように構成されたブラケット140Bとを含む。図5B及び図8Bに示されるように、ラッチ140は、ベース120の関連するトラックに沿って壁150A,Bに係合する及び/又はこれを保持する保持位置(retaining orientation)にある。ブラケット140Bは、2つの対応するレッジ126によって形成されるトラックの経路内に延在するように回転できる垂直延在部材140Cを含む。クレート100が折りたたみ配置にあるときに2つの対向壁150A,Bがキャビティ112内にあるとき、ラッチ140は保持位置にある。保持位置にあるとき、ラッチ140の垂直延在部材140Cは、壁150A,Bのクロスバー174の上面174Aと係合して、壁150A,Bがトラックを形成するレッジ126に沿ってスライドするときにキャビティ112から出ることを防止する(図7D及び図8B参照)。したがって、垂直延在部材140Cは、壁150A,Bが意図せずにキャビティ112から出ることを阻止する止め具として機能する。図7Aから図7Cに示すように、回転可能フック140は支持体140Aの周りで回転するか又は非保持位置でぶら下がり、これにより、垂直延在部材140Cが壁150A,Bの経路内にないようにし、それによって、ラッチ140が保持する壁150A,Bがベース102のキャビティ112内にスライドすることが可能となる。対向壁150A,Bをトラックに沿ってベース102のキャビティ112に挿入すると、ラッチ係合部材190はブラケット140Bに係合し、ブラケット140Bを支持体140Aの軸の周りに回転させて、垂直延在部材140Cをラッチ係合部材190と共に壁150A,Bの上方で壁150A,Bのトラック内に入れる(すなわち、保持位置)。図示の実施例では、ラッチ係合部材190はラッチ140のブラケット140Bの底側に沿ってスライドし、これにより、ブラケット140Bの底側がラッチ係合部材190と整列し、それによって、ラッチ140が回転されて保持位置となる(図7D及び図8B参照)。壁150A,Bの経路内に垂直延在部材140Cがある状態では、壁150A,Bはそのトラックに沿ってベース102から滑り出ることができない。壁150A,Bが不注意によりベース102から出ることを阻止するために、垂直延在部材140Cが壁150A,Bのクロスバー174に係合することができる。対向壁150A,Bがベース102から取り出されると、ラッチ係合部材190はもはやラッチ140を保持位置に押し込みはせず、ラッチは非保持位置に戻り、壁150A,Bがベース102から取り出されることを可能にする。
【0027】
図5Aから図5Dに関して、壁150A,Bの各々は、底部材158から延在する、ベース102のレッジ126と係合する脚部180をさらに含む。壁150A,Bの脚部180は、壁150A,Bが直立位置にあるとき(例えば、クレートが組み立て配置にあるとき)、脚部180が、ベース102のキャビティ112内の壁150A,Bを受け入れるトラックを形成するベース102の対応するレッジ126に延在するようなサイズにされる。各壁150A,Bについてのレッジ126はベース102の底壁116から異なる距離にあるため(例えば、トラックは異なるレベルにある)、各壁150A,Bについて脚部180は異なる長さである。例えば、最下層のトラック内にスライドする壁150A,Bは、脚部180が底部材158から最下層のトラックのレッジ126まで延びなければならないので、最も長い脚部180を有する。ベース102の最上層のトラック内にスライドする壁150A,Bは、脚部180が壁150A,Bの底部材158から最上層のトラックのレッジ126まで延びるだけなので、最も短い脚部180を有する。脚部180は各々、壁150の上部と反対の側の脚部180の端に配置されたピン182を含む。ピン182は丸みのある表面を含むことができ、これは、クレート100を組み立てるとき及び折りたたむときに、壁150A,Bが水平位置と直立位置との間で枢動又は回転するのを助ける。ピン182は脚部180から横方向に外向きに延在して、壁150A,Bがベース102のキャビティ112から取り出されるときに止め具184と係合する。止め具184は、クレート100を組み立てる際に壁150A,Bがベース102から取り出されるときに、壁150A,Bがベース102から外れる又は切り離されることを防止する。止め具184は、壁が取り出される際にピン182がトラックの端までスライドするときにピン182の上部の上に延在する上部を有し、これは、ピン182が、当該ピン182がスライドするレッジ126から実質的に上向きに離れるように移動することを防ぐことができる。壁150A,Bが取り出され、ピン182が止め具184と係合すると、次に、壁150A,Bをベース102の周りに直立位置まで回転させることができる。
【0028】
別の実施形態では、壁150A,Bは、各壁150A,Bに対応するトラックに延在する又は接触したままとなる脚部180を含まず、その代わりに、壁部150A,Bがトラックを形成するレッジ126に載置される脚部180の周りで枢動されるのではなく、壁部150A,Bはベース102のトラック内への挿入のために外されて手動で整列される。
【0029】
図1Aから図1Gに示すように、接続壁150Bは、上部部材156から延在する突起部186を含む。ベース102の支持ブロック122は、突起部186を受け入れるサイズにされた相補的凹部188を含む。これらの突起部186及び凹部188は、第1のクレート100の突起部186を第2のクレート100の凹部188内に位置決めすることによって、クレート100を別のクレート100の上に積み重ねることを可能にする。
【0030】
クレート100を図2に示す折りたたみ配置から組み立てるには、ロック壁150Aのクロスバー174に係合する保持部材130のバー132を回転させ、バー132の端部132Aを上向きに移動させて第1のロック壁150Aのトラックの経路から外す。図6Aに示されるように、これは端部132Bを下向きに押すことによってなされてもよい。ロック壁150Aは、ロック壁150Aの脚部180のピン182がベース102の止め具184と係合するまで、ロック壁150Aが載置されているトラックのレッジ126に沿ってスライドされる。図6Bを参照すると、次いで、底部材158がベース102の底壁116に載置されるまで、ロック壁150Aの上端がピン182の周りに直立位置に向かって回転される。次に、壁位置ロック機構106のロックピン164のハンドル部164Aが、U字形ブラケット162の上側切欠部166Aから外向きに回転される。次に、ロックピン164がベース102に向かって下向きに押され、ロックピン164のシャフト164Bが底部材158の孔158Aの中に延び、底壁116の孔118の中に延びる。再び図4Aを参照すると、ロックピン164のハンドル部164Aは、次いで、ロックピン164のハンドル部164AがU字形ブラケット162の下側切欠部166B内に入るまで、U字形ブラケット162に向かって回転され、これによりロック壁150Aを直立位置にロックする。
【0031】
次に、クレート100において第1のロック壁150Aの反対側にある第2のロック壁150Aが、図6Cに示されるようにベース102から取り出される。第1のロック壁150Aが取り出されると、ラッチ140は、第2のロック壁150Aのトラックの経路内に垂直延在部材140Cがない非保持位置に枢動される(図7Bから図7Cの接続壁150Bに関して示されるものと同様)。第2のロック壁150Aは、ロック壁150Aが載置されるトラックのレッジ126に沿ってベース102から外にスライドされる。ロック壁150Aは、ロック壁150Aの脚部180のピン182がベース102の止め具184と係合するまで、レッジ126に沿ってベース102から外にスライドされる。次いで、ロック壁150Aは直立位置に向かって枢動され、第1のロック壁150Aと同様の壁位置ロック機構106を用いてロックされる。
【0032】
図6Dに示すように、第1の接続壁150Bがベース102から取り出される。これを行うために、上述したように、保持部材130を接続壁150Bのクロスバー174から外すことができる。次に、第1の接続壁150Bの脚部180のピン182がベース102の止め具184と係合するまで、壁150Bをベース102から取り出すことができる。次に、第1の接続壁150Bが直立位置に枢動され、底部材158がベース102の底壁116に載置され、スロット159Bが隣接するロック壁150Aのスロット159Aと整列する。
【0033】
次に、ロック壁150Aの壁ロック機構108のロックピン172のハンドル部172Aが上向きに回転されて、ロックピン172のフック部172Cがスロット159A,Bと整列される。次に、ロックピン172は、ロックピン172のシャフトの軸に沿ってスライドされ、フック部172Cがスロット159A,Bに通される。次に、ハンドル部172Aが下向きに回転されて、フック部172Cとスロット159A,Bとが整列しないようにされる。ハンドル部172Aは、ハンドル保持ブラケット171の保持アーム171Aと支持ブラケット172との間に押し込まれて、ハンドル部172Aをロック位置にロックし、これによってロック壁150Aを接続壁150Bにロックする。他方のロック壁150Aも同様に壁ロック機構108を用いて第1の接続壁150Bに接続される。図6Eに示されるように、その後、クレート100の3つの壁が直立位置に組み立てられる。
【0034】
次に、第1の接続壁150Bとは反対の側にある第2の接続壁150Bがベース102から取り出される。図7Bから図7Cに示されるように、第1の接続壁150Bがベース102から取り出されるとき、ラッチ140は非保持位置にあり、第2の壁150Bがベース102から移動することを阻止しない。第2の接続壁150Bは、ベース102から外側に、第2の接続壁150Bが載置されるトラックのレッジ126に沿ってスライドする。第2の接続壁150Bはレッジ126に沿ってベース102から外側にスライドされ、図6Fに示されるように、第2の接続壁150Bの脚部180のピン182がベース102の止め具184に係合する。次いで、接続壁150Bは、第1の接続壁150Bと同様の直立位置に向かってピン182の周りに枢動される。壁ロック機構108は、接続壁150Bを隣接するロック壁150Aに固定するために、第1の接続壁150Bに関して説明したように同様に使用される。そして、図6Gに示すように、クレート100が組み立て配置になる。
【0035】
クレート100を折りたたむには、クレート100を組み立てるステップを逆の順序で実行する。第2の接続壁150Bを隣接するロック壁150Aから切り離すことは、壁ロック機構108をロック解除位置に移動させてロックピン172のフック部172Cをスロット159A,Bと整列させることによって行われる。次に、ロックピン172がシャフト部172Bの軸に沿って切り離し配置までスライドされて、ロックピン172がスロット159A,Bから引き抜かれる。次に、ロックピン172がロック配置まで回転され、ロックピン172がハンドル保持ブラケット171に取り付けられて、ハンドル部172Aが意図せずにロックピン172のシャフト部172Bの周りに回転するのを防止することができる。次に、第2の接続壁150Bを隣接するロック壁150Aから切り離し、第2の接続壁150Bが側壁124Bのレッジ126によって形成されたベース102のトラックと実質的に整列するまで、接続壁150Bの上側部分を脚部180のピン182の周りに回転させることができる。次に、接続壁150Bを、レッジ126に沿って、ベース102のキャビティ112内にスライドさせることができる。接続壁150Bは、レッジ126の止め具128に脚部180が当接するまで挿入することができる。
【0036】
第1の接続壁150Bは、上述の第2の接続壁150Bに関するステップと同様にして隣接するロック壁150Aから切り離すことができる。第1の接続壁150Bは、接続壁150Bが側壁124Bのレッジ126によって形成されたベース102のトラックと実質的に整列されるまで、脚部180のピン182の周りで回転させることができる。次いで、第1の接続壁150Bを、レッジ126に沿って、ベース102のキャビティ112内にスライドさせることができる。クロスバー174は、保持部材130と接触し、壁150Bがキャビティ112に入ることができるよう保持部材130の端部132Aを上向きに曲げることができる。クロスバー174が保持部材130の下を通過すると、保持部材130はトラックに沿って接続壁150Bの経路内にばね留めされ、壁150Bが意図せずにベース102のキャビティ112から外れるのを防止する。第1の接続壁150Bがトラックに沿って挿入されると、ラッチ係合部材190は第2の接続壁150Bのラッチ140に接触してラッチ140を保持位置に回転させる。次いで、(図7Dに示されるように)ラッチ140の垂直延在部材140Cが第2の接続壁150Bのトラックの経路内に延在し、第2の接続壁150Bのクロスバー174に接触して、第2の接続壁150Bがベース102から滑り出るのを阻止してもよい。接続壁150Bは、脚部180がレッジ126の止め具128に当接するまでレッジ126に沿ってスライドすることができる。
【0037】
次に、第2のロック壁150Aの壁位置ロック機構106のロックピン164を、底壁116の孔118から引き抜いて、ハンドル部164AがU字形ブラケット162の上側切欠部166A内にあるロック解除位置に移動させることができる。次に、第2のロック壁を脚部180の周りで回転させ、第2の接続壁150Bに関して上述したプロセスと同様にして側壁124Aに沿うレッジ126によって形成されるトラックに沿ってベース112のキャビティ112内に挿入させることができる。
【0038】
次に、第2のロック壁150Aに関して上述したプロセスと同様にして、第1のロック壁150Aをベース102から切り離すことができる。次に、第1の接続壁150Bに関して上述したプロセスと同様にして、第1のロック壁150Aを脚部180の周りで回転させて、側壁124Aに沿うレッジ126によって形成されるトラックに沿ってベース112のキャビティ112内に挿入することができる。4つのすべての壁150A,Bがベース102のキャビティ112内にある状態で、クレート100は図2に示すように折りたたみ配置にある。
【0039】
「a」、「an」などの単数形の用語の使用は、本明細書において特に示されていない限り又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の両方をカバーすることを意図している。「備える」、「有する」、「含む」及び「含有する」との用語はオープンエンド用語として解釈される。本明細書において使用される「少なくとも1つ」とのフレーズは、離接的な意味で解釈されることを意図している。例えば、「AとBの少なくとも1つ」とのフレーズは、Aのみ、Bのみ、又はAとBの両方を包含することを意図している。
【0040】
本発明の特定の実施形態を図示及び記載したが、当業者は、上記の実施形態に関して、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな修正、改変、及び組み合せを行うことができ、そのような修正、改変、及び組み合せは、本発明の概念の範囲内であると見なされるべきであることを認識するであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
【国際調査報告】