(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】円形脱毛症治療用の複方外用製剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20231102BHJP
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A61K 9/08 20060101ALI20231102BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20231102BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20231102BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20231102BHJP
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A61K 47/12 20060101ALI20231102BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20231102BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20231102BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20231102BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231102BHJP
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A61K 47/32 20060101ALI20231102BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20231102BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20231102BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20231102BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20231102BHJP
A61K 47/08 20060101ALI20231102BHJP
A61K 9/113 20060101ALI20231102BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K45/00
A61P17/14
A61K9/06
A61K9/107
A61K9/08
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A61K47/14
A61K47/20
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A61K47/38
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A61K47/18
A61K47/06
A61K47/08
A61K9/113
A61K47/24
A61P43/00 111
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527242
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 CN2021129965
(87)【国際公開番号】W WO2022100642
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】202011256258.X
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523159982
【氏名又は名称】長沙晶易医藥科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHANGSHA JINGYI PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】8/F801 Building A-3, Jinruilugu Science Park, 28 Lutian Road,Changsha High Tech Development Zone, Changsha,Hunan 410000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】張 海龍
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
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(57)【要約】
本発明は、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤又はその薬学的に許容される塩のうちの1種又は複数種である活性成分Aと、ミノキシジル又はその薬学的に許容される塩である活性成分Bとを含む、円形脱毛症治療用の複方外用製剤及びその製造方法を開示している。上記複方外用製剤は、薬効が良好であり、溶解性が高く、放置安定性に優れている。上記製造方法は、操作が簡単であり、活性成分の溶解度及び溶解速度、並びに放置安定性を向上させるのに有利である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
JAK阻害剤又はその薬学的に許容される塩のうちの1種又は複数種である活性成分Aと、ミノキシジル又はその薬学的に許容される塩である活性成分Bとを含み、
軟膏、クリーム、チンキ剤、貼付剤、ゲル剤、リニメント剤及び発泡剤からなる群より選ばれ、好ましくはリニメント剤、ゲル剤、又は発泡剤であることを、
特徴とする円形脱毛症治療用の複方外用製剤。
【請求項2】
前記複方外用製剤における前記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~10wt%又は0.1%(w/v)~10%(w/v)であり、及び/又は、
前記複方外用製剤における前記活性成分Bの百分率は、ミノキシジルに基づき、0.1wt%~10wt%又は0.1%(w/v)~10%(w/v)であり、及び/又は、
前記複方外用製剤における前記活性成分Aと前記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、1:20~10:1又は1:10~10:1であることを、
特徴とする請求項1に記載の複方外用製剤。
【請求項3】
前記JAK阻害剤は、トファシチニブ、ルキソリチニブ、オクラシチニブ、又はバリシチニブから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはトファシチニブであり、及び/又は、
前記薬学的に許容される塩は、クエン酸塩、塩酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、硝酸塩又はマレイン酸塩から選ばれることを、
特徴とする請求項1~2のいずれか一項に記載の複方外用製剤。
【請求項4】
前記複方外用製剤は、溶媒及び任意に薬学的に許容される賦形剤を更に含み得ることを、
特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の複方外用製剤。
【請求項5】
前記溶媒は水とアルコールの混合物であり、及び/又は、
前記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール又はプロピレングリコールであり、及び/又は、
前記アルコールと水との重量比は、9:1~1:9であり、及び/又は、
前記溶媒の含有量は、前記複方外用製剤の5wt%~99.8wt%又は5wt%~80wt%であることを、
特徴とする請求項4に記載の複方外用製剤。
【請求項6】
前記薬学的に許容される賦形剤は、浸透促進剤、界面活性剤、結晶化抑制剤、発泡助剤、増粘剤、ゲルマトリックス、酸化防止剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記リニメント剤における薬学的に許容される賦形剤は、浸透促進剤、界面活性剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記ゲル剤における薬学的に許容される賦形剤は、浸透促進剤、界面活性剤、結晶化抑制剤、ゲルマトリックス、酸化防止剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記発泡剤における薬学的に許容される賦形剤は、増粘剤、浸透促進剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、発泡助剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記浸透促進剤は、メントール、シネオール、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、プロピレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ジエチレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記複方外用製剤における前記浸透促進剤の含有量は、1wt%~30wt%又は1%(w/v)~30%(w/v)、或いは1wt%~10wt%又は1%(w/v)~10%(w/v)であり、及び/又は、
前記界面活性剤は、ツイーン80、ポロキサマー、スパン、ブリッジ(Brij)、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヒマシ油、脂肪族アルコールポリオキシエチレンエーテル硫酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記複方外用製剤における前記界面活性剤の含有量は、0.5wt%~10wt%であり、及び/又は、
前記結晶化抑制剤は、ポビドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビトール、ヒプロメロース、レブリン酸から選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記複方外用製剤における前記結晶化抑制剤の含有量は、0.1wt%~10wt%又は0.1%(w/v)~10%(w/v)であり、及び/又は、
前記増粘剤又はゲルマトリックスは、グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒプロメロース、メチルセルロース、及びカルボマーから選ばれる少なくとも1つを含み、
前記複方外用製剤における前記増粘剤又はゲルマトリックスの含有量は、0.5wt%~10wt%であり、及び/又は、
前記発泡助剤は、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ステアリン酸、アラキジン酸、又はオイルアルコールから選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記複方外用製剤における前記発泡助剤の含有量は、0.5wt%~10wt%であり、及び/又は、
前記酸化防止剤は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピル、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸二ナトリウムから選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記複方外用製剤における前記酸化防止剤の含有量は、0.005wt%~2wt%又は0.005%(w/v)~2wt%(w/v)であり、及び/又は、
前記静菌剤は、安息香酸及びそのナトリウム塩、プロピオン酸、乳酸ナトリウム、ソルビン酸及びそのカリウム塩、パラベン、フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記複方外用製剤における前記静菌剤の含有量は、0.01wt%~5wt%又は0.01%(w/v)~5%(w/v)であり、及び/又は、
前記発泡剤は、噴射剤を更に含み、及び/又は、
前記噴射剤は、常圧下で室温よりも沸点が低い炭化水素系やハイドロフルオロアルカン系の液化ガスであり、及び/又は、
前記炭化水素系のガスは、プロパン、ブタン、イソブタン、又はそれらの混合物から選ばれるものを含み、及び/又は、
前記ハイドロフルオロアルカン系の液化ガスは、テトラフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパン、ジメチルエーテル、又はそれらの混合物から選ばれるものを含み、及び/又は、
前記複方外用製剤における前記噴射剤の含有量は、2wt%~25wt%であることを、
特徴とする請求項4~5のいずれか一項に記載の複方外用製剤。
【請求項7】
前記発泡剤は、活性成分A、活性成分B、水性媒体、油性媒体及び薬学的に許容される賦形剤からなる水中油型、油中水型又はダブルエマルジョン型のエマルジョンを含み、好ましくは水中油型エマルションであり、及び/又は、
前記水性媒体は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記複方外用製剤における前記水性媒体の総含有量は、5wt%~80wt%であり、及び/又は、
前記油性媒体は、シリコーン油、鉱油、植物油、多価不飽和脂肪酸から選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記複方外用製剤における前記油性媒体の総含有量は5wt%~80wt%であり、及び/又は、
前記シリコーン油は、ジメチコン、シクロメチコンから選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記鉱油は、流動パラフィン、ワセリンから選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記植物油は、ヤシ油、大豆油、ミリスチン酸イソプロピルから選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は、
前記多価不飽和脂肪酸は、リノール酸、リノレン酸から選ばれる少なくとも1つを含むことを、
特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の複方外用製剤。
【請求項8】
前記リニメント剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、及び任意に薬学的に許容される賦形剤を含み、
前記複方外用製剤における前記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~10wt%であり、前記複方外用製剤の体積に対する前記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、0.1%(w/v)~10%(w/v)であり、
前記溶媒は水とアルコールの混合物であり、前記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、前記溶媒の含有量は前記リニメント剤の50wt%~99.8wt%であり、前記薬学的に許容される賦形剤の含有量は、前記リニメント剤の0~20wt%であり、及び/又は、
前記リニメント剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、及び任意に薬学的に許容される賦形剤を含み、前記複方外用製剤における前記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~5.0wt%であり、前記複方外用製剤の体積に対する前記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、1.0%(w/v)~5.0%(w/v)であり、前記溶媒は水とアルコールの混合物であり、前記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、前記溶媒の含有量は前記リニメント剤の50wt%~98.9wt%であり、前記薬学的に許容される賦形剤の含有量は、前記リニメント剤の0~20wt%である、及び/又は、
前記リニメント剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、及び任意に薬学的に許容される賦形剤を含み、前記複方外用製剤における前記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~2.0wt%であり、前記複方外用製剤の体積に対する前記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、2.0%(w/v)~5.0%(w/v)であり、前記溶媒は水とアルコールの混合物であり、前記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、前記溶媒の含有量は前記リニメント剤の50wt%~97.9wt%であり、前記薬学的に許容される賦形剤の含有量は、前記リニメント剤の0~20wt%であり、及び/又は、
前記ゲル剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、及び薬学的に許容される賦形剤を含み、前記薬学的に許容される賦形剤は、ゲルマトリックス及び任意に他の賦形剤を含み、前記他の賦形剤は、浸透促進剤、界面活性剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、前記複方外用製剤における前記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~10wt%であり、前記複方外用製剤の体積に対する前記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、0.1%(w/v)~10%(w/v)であり、前記溶媒は水とアルコールの混合物であり、前記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、前記溶媒の含有量は前記複方外用製剤の50wt%~99.7wt%であり、前記ゲルマトリックスの含有量は前記複方外用製剤の0.1wt%~30wt%であり、前記他の賦形剤の含有量は前記複方外用製剤の0~20wt%であり、及び/又は、
前記ゲル剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、及び薬学的に許容される賦形剤を含み、前記薬学的に許容される賦形剤は、ゲルマトリックス及び任意に他の賦形剤を含み、前記他の賦形剤は、浸透促進剤、界面活性剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、前記複方外用製剤における前記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~5wt%であり、前記複方外用製剤の体積に対する前記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、1%(w/v)~5%(w/v)であり、前記溶媒は水とアルコールの混合物であり、前記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、前記溶媒の含有量は前記複方外用製剤の50wt%~98.8wt%であり、前記ゲルマトリックスの含有量は前記複方外用製剤の0.1wt%~30wt%であり、前記他の賦形剤の含有量は前記複方外用製剤の0~20wt%であり、及び/又は、
前記ゲル剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、及び薬学的に許容される賦形剤を含み、前記薬学的に許容される賦形剤は、ゲルマトリックス及び任意に他の賦形剤を含み、前記他の賦形剤は、浸透促進剤、界面活性剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、前記複方外用製剤における前記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~2wt%であり、前記複方外用製剤の体積に対する前記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、2%(w/v)~5%(w/v)であり、前記溶媒は水とアルコールの混合物であり、前記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、前記溶媒の含有量は前記複方外用製剤の50wt%~97.8wt%であり、前記ゲルマトリックスの含有量は前記複方外用製剤の0.1wt%~30wt%であり、前記他の賦形剤の含有量は前記複方外用製剤の0~20wt%であり、及び/又は、
前記発泡剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、噴射剤及び薬学的に許容される賦形剤を含み、前記薬学的に許容される賦形剤は、増粘剤、界面活性剤及び任意に他の賦形剤を含み、前記他の賦形剤は、浸透促進剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、発泡助剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、前記複方外用製剤における前記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~10wt%であり、前記複方外用製剤の体積に対する前記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、0.1%(w/v)~10%(w/v)であり、前記溶媒は水とアルコールの混合物であり、前記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、前記溶媒の含有量は前記複方外用製剤の50wt%~96.8wt%であり、前記界面活性剤の含有量は前記複方外用製剤の0.5wt%~15wt%であり、前記噴射剤の含有量は前記複方外用製剤の2wt%~10wt%であり、前記増粘剤の含有量は前記複方外用製剤の0.5wt%~10wt%であり、前記他の賦形剤の含有量は前記複方外用製剤の0~20wt%であり、及び/又は、
前記発泡剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、噴射剤及び薬学的に許容される賦形剤を含み、前記薬学的に許容される賦形剤は、増粘剤、界面活性剤及び任意に他の賦形剤を含み、前記他の賦形剤は、浸透促進剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、発泡助剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、前記複方外用製剤における前記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~5wt%であり、前記複方外用製剤の体積に対する前記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、1%(w/v)~5%(w/v)であり、前記溶媒は水とアルコールの混合物であり、前記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、前記溶媒の含有量は前記複方外用製剤の50wt%~95.9wt%であり、前記界面活性剤の含有量は前記複方外用製剤の0.5wt%~15wt%であり、前記噴射剤の含有量は前記複方外用製剤の2wt%~10wt%であり、前記増粘剤の含有量は前記複方外用製剤の0.5wt%~10wt%であり、前記他の賦形剤の含有量は前記複方外用製剤の0~20wt%であり、及び/又は、
前記発泡剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、噴射剤及び薬学的に許容される賦形剤を含み、前記薬学的に許容される賦形剤は、増粘剤、界面活性剤及び任意に他の賦形剤を含み、前記他の賦形剤は、浸透促進剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、発泡助剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、前記複方外用製剤における前記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~2wt%であり、前記複方外用製剤の体積に対する前記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、2%(w/v)~5%(w/v)であり、前記溶媒は水とアルコールの混合物であり、前記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、前記溶媒の含有量は前記複方外用製剤の50wt%~94.9wt%であり、前記界面活性剤の含有量は前記複方外用製剤の0.5wt%~15wt%であり、前記噴射剤の含有量は前記複方外用製剤の2wt%~10wt%であり、前記増粘剤の含有量は前記複方外用製剤の0.5wt%~10wt%であり、前記他の賦形剤の含有量は前記複方外用製剤の0~20wt%であることを、
特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の複方外用製剤。
【請求項9】
前記リニメント剤の総質量又は総体積に基づいて、前記リニメント剤は、トファシチニブに基づき、クエン酸トファシチニブ:1.5wt%、ミノキシジル:5.0%(w/v)、ジブチルヒドロキシトルエン:0.1%、プロピレングリコール:50.0wt%、エタノール:30.0%を含み、残部は水であり、及び/又は、
前記リニメント剤の総質量又は総体積に基づいて、前記リニメント剤は、トファシチニブに基づき、クエン酸トファシチニブ:0.5wt%、ミノキシジル:2.0%(w/v)、ブチルヒドロキシアニソール:0.1wt%,プロピレングリコール:20.0wt%、エタノール:30.0wt%を含み、残部は水であり、及び/又は、
前記ゲル剤の総質量又は総体積に基づいて、前記ゲル剤は、トファシチニブに基づき、クエン酸トファシチニブ:1.5wt%、ミノキシジル:5.0%(w/v)、L-メントール:2.0wt%、カルボキシメチルセルロースナトリウム:2.0wt%、プロピレングリコール:65.0wt%を含み、残部は水であり、及び/又は、
前記ゲル剤の総質量又は総体積に基づいて、前記ゲル剤は、トファシチニブに基づき、クエン酸トファシチニブ:1.5wt%、ミノキシジル:2.0%(w/v)、カルボキシメチルセルロースナトリウム:2.0wt%、プロピレングリコール:50.0wt%、エタノール:15.0wt%を含み、残部は水であり、及び/又は、
前記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、前記発泡剤は、トファシチニブに基づき、クエン酸トファシチニブ:1.5wt%、ミノキシジル:2.0%(w/v)、ツイーン80:4.0wt%、キサンタンガム:3.0wt%、セチルアルコール:3.0wt%、プロピレングリコール:20.0wt%、エタノール:30.0wt%、ハイドロフルオロアルカン系化合物又は混合物:5.0wt%を含み、残部は水であり、及び/又は、
前記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、前記発泡剤は、トファシチニブに基づき、クエン酸トファシチニブ:1.5wt%、ミノキシジル:5.0%(w/v)、ラウリル硫酸ナトリウム:2.0wt%、ポリビニルアルコール:4.0wt%、セチルアルコール:3.0wt%、プロピレングリコール:50.0wt%、エタノール:10.0wt%、ハイドロフルオロアルカン系化合物又は混合物:5.0wt%を含み、残部は水であり、及び/又は、
前記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、前記発泡剤は、活性成分A:0.1wt%~10wt%、活性成分B:0.1%(w/v)~10%(w/v)、水:5wt%~80wt%、ポリエチレングリコール400:5wt%~80wt%、ハイドロフルオロアルカン系化合物又は混合物:5wt%~25wt%、ツイーン80:0.5wt%~10wt%、キサンタンガム:0.5wt%~10wt%、グリセリン:0.5wt%~10wt%、及びセチルアルコール:0.5wt%~10wt%を含み、及び/又は、
前記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、前記発泡剤は、活性成分A:2wt%、活性成分B:2%(w/v)、水:54wt%、ポリエチレングリコール400:25wt%、テトラフルオロエタン:10wt%、ツイーン80:1wt%、キサンタンガム:1wt%、グリセリン:4wt%、及びセチルアルコール:1wt%を含み、及び/又は、
前記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、前記発泡剤は、活性成分A:0.1wt%~10wt%、活性成分B:0.1%(w/v)~10%(w/v)、ハイドロフルオロアルカン系化合物又は混合物:5wt%~25wt%、水:5wt%~80wt%、ポリエチレングリコール400:5wt%~80wt%、植物油:5wt%~80wt%、ツイーン80:0.5wt%~10wt%、キサンタンガム:0.5wt%~10wt%、グリセリン:0.5wt%~10wt%、及びセチルアルコール:0.5wt%~10wt%を含み、及び/又は、
前記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、前記発泡剤は、活性成分A:2wt%、活性成分B:2%(w/v)、水:38wt%、ポリエチレングリコール400:30wt%、テトラフルオロエタン:10wt%、大豆油:4wt%、ヤシ油:3wt%、ミリスチン酸イソプロピル:3wt%、ツイーン80:2wt%、キサンタンガム:1wt%、グリセリン:4wt%、及びセチルアルコール:1wt%を含み、及び/又は、
前記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、前記発泡剤は、活性成分A:1.5wt%、活性成分B:2%(w/v)、水:41.5wt%、ポリエチレングリコール400:30wt%、テトラフルオロエタン-ヘプタフルオロプロパン混合物:10wt%、大豆油:4wt%、ミリスチン酸イソプロピル:3wt%、ツイーン80:2wt%、キサンタンガム:1wt%、グリセリン:4wt%、及びセチルアルコール:1wt%を含むことを、
特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の複方外用製剤。
【請求項10】
前記複方外用製剤は発泡剤であり、前記発泡剤の製造方法は、活性成分A、活性成分B、及び薬学的に許容される賦形剤を溶媒に直接に溶解して前記発泡剤を得ることを含み、
或いは、前記発泡剤の製造方法は、活性成分A及び活性成分Bを乳剤として製造することを含み、
任意に、前記活性成分A及び活性成分Bを溶媒に溶解する場合、まず活性成分Bを添加して混合し、次に活性成分Aを添加して溶解して前記発泡剤を得、及び/又は、
前記複方外用製剤は発泡剤であり、前記発泡剤の製造方法は、活性成分A、活性成分B、及び薬学的に許容される賦形剤を溶媒に直接に溶解して前記発泡剤を得ることを含み、
手押しメッシュ型の泡状エマルション生成装置に直接に入れて押圧することにより発泡剤を形成し、又は加圧容器タンクに詰めて噴射剤を充填した後、バルブを押圧することにより発泡剤を形成し、
任意に、前記活性成分A及び活性成分Bを溶媒に溶解する場合、まず活性成分Bを添加して混合し、次に活性成分Aを添加して溶解して前記発泡剤を得、及び/又は、
前記複方外用製剤は発泡剤であり、前記発泡剤の製造方法は、活性成分A及び活性成分Bを乳剤として製造した後、手押しメッシュ型の泡状エマルション生成装置に直接に入れて押圧することにより発泡剤を形成し、又は加圧容器タンクに詰めて噴射剤を充填した後、バルブを押圧することにより発泡剤を形成し、及び/又は、
前記複方外用製剤は発泡剤であり、前記発泡剤は水-アルコール型発泡剤であり、前記水-アルコール型発泡剤の製造方法は、活性成分A、活性成分B、界面活性剤、増粘剤、発泡助剤及び溶媒を混合し、ホモゲナイザーで均質化するか、又は超音波で溶解し、手押しメッシュ型の泡状エマルションポンプボトルに充填するか、又は加圧容器タンクに詰めて噴射剤を充填し、前記発泡剤を得ることを含み、任意に、前記活性成分A及び活性成分Bを溶媒に溶解する場合、まず活性成分Bを添加して混合し、次に活性成分Aを添加して溶解して前記発泡剤を得、及び/又は、
前記複方外用製剤は発泡剤であり、前記発泡剤は、乳剤型発泡剤であり、前記乳剤型発泡剤の製造方法は、以下を含む:
(1)水相混合物の製造:界面活性剤、増粘剤及び水性媒体を混合し、50℃~70℃に加熱して溶解させ、
(2)油相混合物の製造:油性媒体及び発泡助剤、活性成分A及び活性成分Bを50℃~70℃で溶解し、
(3)混合:撹拌しながら油相を水相に注入し、ホモジナイザーで乳化し、室温まで冷却し、予備発泡混合物を得、
(4)充填:得られた予備発泡混合物を手押しメッシュ型の泡状エマルションポンプボトルに入れるか、又は加圧容器タンクに詰めてテトラフルオロエタンを充填し、前記発泡剤を得、及び/又は、
前記複方外用製剤はリニメント剤であり、前記リニメント剤の製造方法は、活性成分A、活性成分B及び任意に薬学的に許容される賦形剤を溶媒に溶解して前記リニメント剤を得ることを含み、
任意に、前記活性成分A及び活性成分Bを溶媒に溶解する場合、まず活性成分Bを添加して混合し、前記リニメント剤を得、及び/又は、
前記複方外用製剤はリニメント剤であり、前記リニメント剤の製造方法は、活性成分Bを水とアルコールの混合物に溶解して、エタノールと活性成分Aを添加し、更に任意に他の薬学的に許容される賦形剤を添加して溶解させ、前記リニメント剤を得、及び/又は、
前記複方外用製剤はゲル剤であり、前記ゲル剤の製造方法は、活性成分Bを水とアルコールの混合物に溶解して薬物溶液が得られ、ゲルマトリックスを含む懸濁液を薬物溶液と混合し、更に任意に他の薬学的に許容される賦形剤を添加して混合し、前記複方外用製剤を得、及び/又は、
前記複方外用製剤はゲル剤であり、前記ゲル剤の製造方法は、以下を含む:
水とアルコールの混合溶媒を70℃で加熱し、ミノキシジルを添加して溶解させ、更にクエン酸トファシチニブを添加して溶解させて薬物溶液が得られ、温度を50~60℃に調整し、ゲルマトリックスを薬物溶液にゆっくりと添加し、均一に撹拌し、室温まで冷却し、浸透促進剤を添加して撹拌し、前記ゲル剤を得ることを、
特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の複方外用製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2020年11月11日の中国特許出願CN202011256258.Xの優先権を主張する。本明細書は、上記中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明は、医薬製剤の技術分野に属し、具体的には、円形脱毛症治療用の複方外用製剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
円形脱毛症は、毛包の炎症によって引き起こされる一般的な非瘢痕性脱毛症であり、病理学的特徴と重症度に応じて、限局性斑状脱毛症、完全脱毛症、及び汎発性脱毛症に分類することができる。世界的な発生率は約1%~2%であり、患者の多くは子供及び青壮年である。円形脱毛症は、患者の容態と精神的健康に影響を与え、従来の治療薬(グルココルチコイド、複方グリチルリチン、接触感作物質、発毛促進剤等を含む)は、副作用、治療の不完全、及び軽度の円形脱毛症にのみ有効なこと等の理由によって制限されるため、新しい治療法の開発が必要とされている。
【0004】
円形脱毛症は、炎症性自己免疫疾患であり、炎症性サイトカインシグナル伝達経路であるJAK(ヤヌスキナーゼ)-STAT経路が重要な役割を果たす毛包の免疫特権メカニズムが破壊されることに関連している。近年、JAK阻害剤は円形脱毛症の新たな治療戦略となっている。サイトカインはその受容体に結合し、JAK経路を活性化してSTATをリン酸化し、STAT二量体が細胞核に移行して遺伝子の転写を活性化し、サイトカインと自己抗原を更に生成させ、炎症及び免疫応答を活性化し、JAK/STATシグナル伝達経路は、発毛の生長周期に関与し、退行期及び休止期にはアップレギュレートされ、成長期には抑制され、関連するJAK-STAT経路を遮断し、自己抗原及び炎症性メディエーターの産生を減少させ、毛包免疫応答を防止することができる。
【0005】
以上から分るように、JAK阻害剤は、円形脱毛症の発症メカニズムにおいて重要な役割を果たすサイトカインシグナル伝達を遮断することができるため、他の薬剤と比べ、理論的には治療効果の利点を有する。現在、一般的に使用されているJAK阻害剤には、主にトファシチニブ、ルキソリチニブ、オクラシチニブ、バリシチニブがある。そのうち、トファシチニブは、最も広く研究されている非特異的JAK阻害剤であり、それぞれ2012年及び2017年に米国及び中国で発売が承認されており、主に関節リウマチ及び乾癬の治療に使用され、FDAは、それが円形脱毛症の治療に用いられることをまだ承認していないが、近年、それが円形脱毛症(完全脱毛症及び汎発性脱毛症が主である)に有効であることを数多くの臨床試験によって証明している。トファシチニブは、JAK-STAT経路を阻害することによって毛包の炎症及び免疫応答を阻止し、原因療法に属し、他の薬剤と比べ、理論的には中等度や重度の円形脱毛症患者に対する治療効果が高い。しかしながら、円形脱毛症は、再発しやすいため、長期の投与制御が必要とされており、トファシチニブは、免疫阻害剤であり、長期にわたって使用して患者の免疫力を低下させ、重篤な感染症を引き起こし、腫瘍のリスクを増加させる可能性があり、また、トファシチニブは主に上流の標的に作用して炎症を遮断し、損傷した毛髪や退行期及び休止期にある毛包に対する修復効果が十分に顕著ではなく、毛髪の再生時間が長くなるおそれがある。
【0006】
中国で円形脱毛症の治療薬として承認されている薬物の中で、ミノキシジルは発毛促進に良好な効果がある。ミノキシジルの作用経路は、以下のことがある。1)毛包上皮系細胞の増殖を刺激し、毛髪成長期を延長する。2)血管新生を促進して局所の血液供給を増加させ、発毛の成長に栄養を提供する。3)カリウムイオンチャネルを開いて細胞内へのカルシウムイオンの流入を阻止し、細胞DNAの合成及び毛包細胞の増殖を増加させる。現在、ミノキシジルについては、中国内外で多くの外用製剤が市販されており、安全性が比較的高い。しかしながら、ミノキシジルの主な作用は、微小循環障害の改善や発毛の成長速度の促進であり、対症療法に属するため、軽度の円形脱毛症にのみ有効であり、より危害の大きい完全脱毛症及び汎発性脱毛症には効果が非常に少ない。
【0007】
なお、本発明者らは、トファシチニブ又はその薬学的に許容される塩とミノキシジル又はその薬学的に許容される塩が多種の溶媒において溶解しにくく、或いは溶解したとしても放置中に容易に晶析し、溶解性、放置安定性が高い外用複方製剤に製剤化されにくいことが研究において発見した。
【0008】
以上により、原因療法用のトファシチニブであっても、対症療法用のミノキシジルであっても、どちらも円形脱毛症の治療に単独で使用するには一定の限界があり、現在、持続的に有効であるか、又は永久に円形脱毛症を回復させる治療法が乏しく、効果が良好で、製造が簡単で、溶解性が高く、放置安定性が高い外用複方製剤が強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、円形脱毛症治療用の複方外用製剤及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様では、本発明は、円形脱毛症治療用の複方外用製剤を提供する。
【0011】
JAK阻害剤又はその薬学的に許容される塩のうちの1種又は複数種である活性成分Aと、ミノキシジル又はその薬学的に許容される塩である活性成分Bとを含むことを特徴とする、円形脱毛症治療用の複方外用製剤。
【0012】
トファシチニブ又はその薬学的に許容される塩及びミノキシジル又はその薬学的に許容される塩は、どちらも円形脱毛症の治療に単独で使用するには限界があるが、両者は、円形脱毛症の発症メカニズムにおける異なる標的にそれぞれ作用するため、複方製剤に製剤化されることを考慮することができる。トファシチニブによって円形脱毛症の発症メカニズムにおける重要なシグナル伝達経路を阻害し、病因から中等度、重度の患者に対するミノキシジルの治療効果が不十分であるという欠陥を補い、同時に、ミノキシジルの良好な発毛促進作用により、症状からトファシチニブの毛髪修復効果が不良であるという不足を改善する。両者は薬効が相補的であり、症状と根本原因の両方を治療し、相乗効果により、トファシチニブの用量を適切に低減させ、副作用のリスクを低減させることができる。実際的には、トファシチニブに限らず、ルキソリチニブ、オクラシチニブ、バリシチニブ等の他の一般的なJAK阻害剤類薬物とミノキシジルとの併用には何れもこのような作用を有するが、ここではトファシチニブが好ましい。
【0013】
トファシチニブは現在、経口製剤のみで市販されており、長期投与による全身性免疫抑制性副作用のリスクが高く、経口製剤と比較して、局所外用製剤は肝臓への初回通過効果を回避し、全身性副作用のリスクを低減させ、薬効の持続時間を延長することができる。物理化学的性質の分析によれば、トファシチニブは、外用製剤を製造する可能性を有し、且つ現在、脱毛症及び円形脱毛症の治療に用いられる市販されているミノキシジルの剤形は、全て外用製剤である。従って、両者を複方外用製剤とすることにより、薬物の特異性及び安全性を向上させることができる。
【0014】
前記外用製剤は、軟膏、クリーム、チンキ剤、貼付剤、ゲル剤、リニメント剤及び発泡剤からなる群より選ばれるものを含んでもよく、好ましくはリニメント剤、ゲル剤、又は発泡剤である。
【0015】
経口製剤と比較して、外用製剤は局所特異性が更に高く、全身性副作用のリスクを顕著に低減させることができ、免疫抑制作用を有するトファシチニブにとって重要な意味があり、また、外用製剤は薬物の定常濃度の持続時間を延長し、更には薬効を延長することができる。異なる標的に作用する2つの薬剤を複方外用製剤として製造することは、中等度、重度の円形脱毛症の患者に持続的且つ効果的で、脱毛を永久に逆転させる治療法を提供することが期待される。
【0016】
一般的な外用製剤の剤形は、乳剤、リニメント剤、チンキ剤、軟膏、クリーム、貼付剤、ゲル剤及び発泡剤等を含み得るが、これらに限定されず、軟膏、クリーム及び貼付剤は、他の剤形と比較して毛髪部位への適用性が低く、これに対して、発泡剤は、質感が軽くて柔らかく、頭皮に容易に分布し、拡散性が良く、大面積の患部に適用され、余分な拭き取りが不要であり、且つ滞留力が良好であるため、患者のコンプライアンスを大幅に向上させることができる。
【0017】
トファシチニブ及びミノキシジルによって製造される複方外用発泡剤は、活性成分であるトファシチニブ及びミノキシジル並びに薬学的に許容される賦形剤を、水とアルコールの混合物である溶媒に直接に溶解したものであり、又は活性成分であるトファシチニブ及びミノキシジルを含む乳剤からなる。
【0018】
上記複方外用製剤における上記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~10wt%又は0.1%(w/v)~10%(w/v)であってもよい。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~5wt%又は0.1%(w/v)~5%(w/v)である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~2wt%又は0.1%(w/v)~2%(w/v)である。
【0019】
上記複方外用製剤における上記活性成分Bの体積分率は、ミノキシジルに基づき、0.1wt%~10wt%又は0.1%(w/v)~10%(w/v)であってもよい。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤の体積に対する上記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、0.1wt%~5wt%又は1%(w/v)~5%(w/v)である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤の体積に対する上記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、2wt%~5wt%又は2%(w/v)~5%(w/v)である。
【0020】
上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、1:20~10:1であってもよい。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、≦3:4であり、放置中の上記複方外用製剤の晶析の回避に有利である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、1:10~10:1である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、1:5~5:1である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、1:3~3:1である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、1:10~3:4である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、1:5~3:4である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、1:3~3:4である。
【0021】
上記JAK阻害剤は、トファシチニブ、ルキソリチニブ、オクラシチニブ、又はバリシチニブから選ばれる少なくとも1つを含み得るが、好ましくはトファシチニブである。
【0022】
上記薬学的に許容される塩は、クエン酸塩、塩酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、硝酸塩又はマレイン酸塩から選ばれるものを含み得る。
【0023】
上記複方外用製剤は、溶媒及び任意に薬学的に許容される賦形剤を更に含み得る。
【0024】
上記溶媒は、水とアルコールの混合物である。トファシチニブ又はその薬学的に許容される塩、及びミノキシジル又はその薬学的に許容される塩が何れも難溶性薬物に属するため、本発明者らは、水又は他の単一溶媒のみにおいて同時に完全に溶解することが困難であり、頭皮への吸収性に影響を与えることを発見し、本発明者らは、研究により、水とアルコールの混合物がトファシチニブとミノキシジルの溶解度を向上させることができ、水とアルコールが相乗効果を有することを予想外に発見した。
【0025】
上記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み得る。幾つかの実施例において、上記アルコールはエタノール又はプロピレングリコールである。幾つかの実施例において、上記アルコールはプロピレングリコールであり、上記プロピレングリコールは、活性成分Aの溶解度を向上させるのに有利である。幾つかの実施例において、上記アルコールはエタノール及びプロピレングリコールであり、上記プロピレングリコールは、活性成分Aの溶解度を向上させるのに有利であり、上記エタノールは、活性成分Aの溶解速度を向上させるのに有利である。
【0026】
幾つかの実施例において、上記溶媒は、水とアルコールの混合物であり、上記アルコールはプロピレングリコールであり、上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、1:20~10:1である。幾つかの実施例において、上記溶媒は、水とアルコールの混合物であり、上記アルコールはプロピレングリコールであり、上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、1:3~3:1である。
【0027】
幾つかの実施例において、上記溶媒は、水とアルコールの混合物であり、上記アルコールはプロピレングリコールとエタノールであり、上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、1:10~3:4である。幾つかの実施例において、上記溶媒は、水とアルコールの混合物であり、上記アルコールはプロピレングリコールとエタノールであり、上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、1:5~3:4である。幾つかの実施例において、上記溶媒は、水とアルコールの混合物であり、上記アルコールはプロピレングリコールとエタノールであり、上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、1:3~3:4である。
【0028】
上記アルコールと水との重量比は、9:1~1:9であってもよい。幾つかの実施例において、上記アルコールと水との重量比は、9:1~1:9である。幾つかの実施例において、上記アルコールと水との重量比は、7:3~3:7である。幾つかの実施例において、上記アルコールと水との重量比は、5:5である。幾つかの実施例において、上記アルコールと水との重量比は、8:2である。
【0029】
上記溶媒の含有量は、上記複方外用製剤の5wt%~99.8wt%又は5wt%~80wt%であってもよい。幾つかの実施例において、上記溶媒の含有量は、上記複方外用製剤の50wt%~99.8wt%である。幾つかの実施例において、上記溶媒の含有量は、上記複方外用製剤の60wt%~99.8wt%である。幾つかの実施例において、上記溶媒の含有量は、上記複方外用製剤の70wt%~99.8wt%である。幾つかの実施例において、上記溶媒の含有量は、上記複方外用製剤の80wt%~99.8wt%である。幾つかの実施例において、上記溶媒の含有量は、上記複方外用製剤の50wt%、55wt%、60wt%、65wt%、70wt%、75wt%、80wt%、85wt%、90wt%、91wt%、92wt%、93wt%、94wt%、95wt%、96wt%、97wt%、98wt%、99wt%、99.7wt%又は99.8wt%である。
【0030】
上記薬学的に許容される賦形剤は、浸透促進剤、界面活性剤、結晶化抑制剤、発泡助剤、増粘剤、ゲルマトリックス、酸化防止剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み得る。
【0031】
上記リニメント剤における薬学的に許容される賦形剤は、浸透促進剤、界面活性剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み得る。
【0032】
上記ゲル剤における薬学的に許容される賦形剤は、浸透促進剤、界面活性剤、結晶化抑制剤、ゲルマトリックス、酸化防止剤、又は静菌剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを含み得る。
【0033】
上記発泡剤における薬学的に許容される賦形剤は、増粘剤、浸透促進剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、発泡助剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み得る。界面活性剤は、泡の生成及び安定性に密接に関係しており、また、界面活性剤は乳化剤として機能し、水中油型エマルションでは、乳化剤系のHLBが9~14であることが必要であり、増粘剤は、泡の持続時間を延長することができ、泡の滞留力を向上させ、なお、発泡助剤は、エマルジョンに対する界面活性剤の安定能力を向上させ、泡の安定性を向上させることができる。
【0034】
上記浸透促進剤は、メントール、シネオール、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、プロピレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ジエチレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる少なくとも1つを含み得る。
【0035】
上記メントールは、L-メントールであってもよい。
【0036】
上記複方外用製剤における上記浸透促進剤の含有量は、1wt%~30wt%又は1%(w/v)~30%(w/v)、或いは1wt%~10wt%又は1%(w/v)~10%(w/v)であってもよい。
【0037】
上記界面活性剤は、ツイーン80、ポロキサマー、スパン、ブリッジ(Brij)、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヒマシ油、脂肪族アルコールポリオキシエチレンエーテル硫酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1つを含み得る。幾つかの実施例において、上記界面活性剤は、ツイーン80、ポロキサマー、ラウリル硫酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1つを含む。
【0038】
上記複方外用製剤における上記界面活性剤の含有量は、0.5wt%~10wt%であってもよい。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記界面活性剤の含有量は、1.0wt%~8wt%である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記界面活性剤の含有量は、1wt%~5wt%である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記界面活性剤の含有量は、2wt%~5wt%である。
【0039】
上記結晶化抑制剤は、ポビドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビトール、ヒプロメロース、レブリン酸から選ばれる少なくとも1つを含み得る。
【0040】
上記複方外用製剤における上記結晶化抑制剤の含有量は、0.1wt%~10wt%又は0.1%(w/v)~10%(w/v)であってもよい。
【0041】
上記増粘剤又はゲルマトリックスは、グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒプロメロース、メチルセルロース、及びカルボマーから選ばれる少なくとも1つを含み得る。幾つかの実施例において、上記増粘剤又はゲルマトリックスは、グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウムから選ばれる少なくとも1つを含む。
【0042】
上記複方外用製剤における上記増粘剤又はゲルマトリックスの含有量は、0.5wt%~10wt%であってもよい。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記増粘剤又はゲルマトリックスの含有量は、1.0wt%~8wt%である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記増粘剤又はゲルマトリックスの含有量は、1wt%~5wt%である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記増粘剤又はゲルマトリックスの含有量は、2wt%~5wt%である。
【0043】
上記発泡助剤は、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ステアリン酸、アラキジン酸、又はオイルアルコールから選ばれる少なくとも1つを含み得る。幾つかの実施例において、上記発泡助剤は、セチルアルコール又はステアリルアルコールである。
【0044】
上記複方外用製剤における上記発泡助剤の含有量は、0.5wt%~10wt%であってもよい。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記発泡助剤の含有量は、1.0wt%~8wt%である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記発泡助剤の含有量は、1wt%~5wt%である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記発泡助剤の含有量は、2wt%~5wt%である。
【0045】
上記酸化防止剤は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピル、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸二ナトリウムから選ばれる少なくとも1つを含み得る。
【0046】
上記複方外用製剤における上記酸化防止剤の含有量は、0.005wt%~2wt%又は0.005%(w/v)~2wt%(w/v)であってもよい。
【0047】
上記静菌剤は、安息香酸及びそのナトリウム塩、プロピオン酸、乳酸ナトリウム、ソルビン酸及びそのカリウム塩、パラベン、フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1つを含み得る。
【0048】
上記複方外用製剤における上記静菌剤の含有量は、0.01wt%~5wt%又は0.01%(w/v)~5%(w/v)であってもよい。
【0049】
上記発泡剤は、噴射剤を更に含み得る。
【0050】
上記噴射剤は、常圧下で室温よりも沸点が低い炭化水素系やハイドロフルオロアルカン系の液化ガスであり得る。
【0051】
上記炭化水素系のガスは、プロパン、ブタン、イソブタン、又はそれらの混合物から選ばれるものを含み得る。
【0052】
上記ハイドロフルオロアルカン系の液化ガスは、テトラフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパン、ジメチルエーテル、又はそれらの混合物から選ばれるものを含み得る。幾つかの実施例において、上記ハイドロフルオロアルカン系の液化ガスは、テトラフルオロエタンである。
【0053】
上記複方外用製剤における上記噴射剤の含有量は、2wt%~25wt%であってもよい。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記噴射剤の含有量は、2wt%~10wt%である。幾つかの実施例において、上記複方外用製剤における上記噴射剤の含有量は、2wt%~5wt%である。
【0054】
上記発泡剤は、活性成分A、活性成分B、水性媒体、油性媒体及び薬学的に許容される賦形剤からなる水中油型、油中水型又はダブルエマルジョン型のエマルジョンを含んでもよく、好ましくは水中油型エマルションである。それをエマルジョンにして、液滴の分散度が大きいため薬物の迅速な吸収と薬効の発揮に寄与すると同時に、アルコールによる皮膚への刺激を減少させ、溶媒の揮発による薬物の析出のリスクを低下させることができ、水中油型エマルションは、水難溶性の薬物を油相に封入して、水相に分散させることにより、薬物分布の均一性を高め、また、水相によって保湿性を向上させるだけでなく、油相によって湿潤性を向上させることもできる。
【0055】
上記水性媒体は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み得る。幾つかの実施例において、上記水性媒体は、水又はポリエチレングリコールのうちの少なくとも1つである。
【0056】
上記複方外用製剤における上記水性媒体の総含有量は、5wt%~80wt%であってもよく、及び/又は上記油性媒体は、シリコーン油、鉱油、植物油、多価不飽和脂肪酸から選ばれる少なくとも1つを含み、及び/又は上記複方外用製剤における上記油性媒体の総含有量は5wt%~80wt%であり、及び/又は
上記シリコーン油は、ジメチコン、シクロメチコンから選ばれる少なくとも1つを含み得る。
【0057】
上記鉱油は、流動パラフィン、ワセリンから選ばれる少なくとも1つを含み得る。
【0058】
上記植物油は、ヤシ油、大豆油、ミリスチン酸イソプロピルから選ばれる少なくとも1つを含み得る。
【0059】
上記多価不飽和脂肪酸は、リノール酸、リノレン酸から選ばれる少なくとも1つを含み得る。
【0060】
幾つかの実施例において、上記リニメント剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、及び任意に薬学的に許容される賦形剤を含み、上記複方外用製剤における上記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~10wt%であり、上記複方外用製剤の体積に対する上記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、0.1%(w/v)~10%(w/v)であり、上記溶媒は水とアルコールの混合物であり、上記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、上記溶媒の含有量は上記リニメント剤の50wt%~99.8wt%であり、上記薬学的に許容される賦形剤の含有量は、上記リニメント剤の0~20wt%である。
【0061】
幾つかの実施例において、上記リニメント剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、及び任意に薬学的に許容される賦形剤を含み、上記複方外用製剤における上記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~5.0wt%であり、上記複方外用製剤の体積に対する上記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、1.0%(w/v)~5.0%(w/v)であり、上記溶媒は水とアルコールの混合物であり、上記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、上記溶媒の含有量は上記リニメント剤の50wt%~98.9wt%であり、上記薬学的に許容される賦形剤の含有量は、上記リニメント剤の0~20wt%である。
【0062】
幾つかの実施例において、上記リニメント剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、及び任意に薬学的に許容される賦形剤を含み、上記複方外用製剤における上記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~2.0wt%であり、上記複方外用製剤の体積に対する上記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、2.0%(w/v)~5.0%(w/v)であり、上記溶媒は水とアルコールの混合物であり、上記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、上記溶媒の含有量は上記リニメント剤の50wt%~97.9wt%であり、上記薬学的に許容される賦形剤の含有量は、上記リニメント剤の0~20wt%である。
【0063】
幾つかの実施例において、上記ゲル剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、及び薬学的に許容される賦形剤を含み、上記薬学的に許容される賦形剤は、ゲルマトリックス及び任意に他の賦形剤を含み、上記他の賦形剤は、浸透促進剤、界面活性剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、上記複方外用製剤における上記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~10wt%であり、上記複方外用製剤の体積に対する上記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、0.1%(w/v)~10%(w/v)であり、上記溶媒は水とアルコールの混合物であり、上記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、上記溶媒の含有量は上記複方外用製剤の50wt%~99.7wt%であり、上記ゲルマトリックスの含有量は上記複方外用製剤の0.1wt%~30wt%であり、上記他の賦形剤の含有量は上記複方外用製剤の0~20wt%である。
【0064】
幾つかの実施例において、上記ゲル剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、及び薬学的に許容される賦形剤を含み、上記薬学的に許容される賦形剤は、ゲルマトリックス及び任意に他の賦形剤を含み、上記他の賦形剤は、浸透促進剤、界面活性剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、上記複方外用製剤における上記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~5wt%であり、上記複方外用製剤の体積に対する上記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、1%(w/v)~5%(w/v)であり、上記溶媒は水とアルコールの混合物であり、上記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、上記溶媒の含有量は上記複方外用製剤の50wt%~98.8wt%であり、上記ゲルマトリックスの含有量は上記複方外用製剤の0.1wt%~30wt%であり、上記他の賦形剤の含有量は上記複方外用製剤の0~20wt%である。
【0065】
幾つかの実施例において、上記ゲル剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、及び薬学的に許容される賦形剤を含み、上記薬学的に許容される賦形剤は、ゲルマトリックス及び任意に他の賦形剤を含み、上記他の賦形剤は、浸透促進剤、界面活性剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、上記複方外用製剤における上記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~2wt%であり、上記複方外用製剤の体積に対する上記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、2%(w/v)~5%(w/v)であり、上記溶媒は水とアルコールの混合物であり、上記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、上記溶媒の含有量は上記複方外用製剤の50wt%~97.8wt%であり、上記ゲルマトリックスの含有量は上記複方外用製剤の0.1wt%~30wt%であり、上記他の賦形剤の含有量は上記複方外用製剤の0~20wt%である。
【0066】
幾つかの実施例において、上記発泡剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、噴射剤及び薬学的に許容される賦形剤を含み、上記薬学的に許容される賦形剤は、増粘剤、界面活性剤及び任意に他の賦形剤を含み、上記他の賦形剤は、浸透促進剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、発泡助剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、上記複方外用製剤における上記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~10wt%であり、上記複方外用製剤の体積に対する上記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、0.1%(w/v)~10%(w/v)であり、上記溶媒は水とアルコールの混合物であり、上記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、上記溶媒の含有量は上記複方外用製剤の50wt%~96.8wt%であり、上記界面活性剤の含有量は上記複方外用製剤の0.5wt%~15wt%であり、上記噴射剤の含有量は上記複方外用製剤の2wt%~10wt%であり、上記増粘剤の含有量は上記複方外用製剤の0.5wt%~10wt%であり、上記他の賦形剤の含有量は上記複方外用製剤の0~20wt%である。
【0067】
幾つかの実施例において、前記発泡剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、噴射剤及び薬学的に許容される賦形剤を含み、上記薬学的に許容される賦形剤は、増粘剤、界面活性剤及び任意に他の賦形剤を含み、上記他の賦形剤は、浸透促進剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、発泡助剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、上記複方外用製剤における上記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~5wt%であり、上記複方外用製剤の体積に対する上記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、1%(w/v)~5%(w/v)であり、上記溶媒は水とアルコールの混合物であり、上記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、上記溶媒の含有量は上記複方外用製剤の50wt%~95.9wt%であり、上記界面活性剤の含有量は上記複方外用製剤の0.5wt%~15wt%であり、上記噴射剤の含有量は上記複方外用製剤の2wt%~10wt%であり、上記増粘剤の含有量は上記複方外用製剤の0.5wt%~10wt%であり、上記他の賦形剤の含有量は上記複方外用製剤の0~20wt%である。
【0068】
幾つかの実施例において、上記発泡剤は、活性成分A、活性成分B、溶媒、噴射剤及び薬学的に許容される賦形剤を含み、上記薬学的に許容される賦形剤は、増粘剤、界面活性剤及び任意に他の賦形剤を含み、上記他の賦形剤は、浸透促進剤、結晶化抑制剤、酸化防止剤、発泡助剤、又は静菌剤から選ばれる少なくとも1つを含み、上記複方外用製剤における上記活性成分Aの百分率は、JAK阻害剤に基づき、0.1wt%~2wt%であり、上記複方外用製剤の体積に対する上記活性成Bの質量の百分率は、ミノキシジルに基づき、2%(w/v)~5%(w/v)であり、上記溶媒は水とアルコールの混合物であり、上記アルコールは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはエタノール及び/又はプロピレングリコールであり、上記溶媒の含有量は上記複方外用製剤の50wt%~94.9wt%であり、上記界面活性剤の含有量は上記複方外用製剤の0.5wt%~15wt%であり、上記噴射剤の含有量は上記複方外用製剤の2wt%~10wt%であり、上記増粘剤の含有量は上記複方外用製剤の0.5wt%~10wt%であり、上記他の賦形剤の含有量は上記複方外用製剤の0~20wt%である。
【0069】
幾つかの実施例において、上記リニメント剤の総質量又は総体積に基づいて、上記リニメント剤は、トファシチニブに基づき、クエン酸トファシチニブ:1.5wt%、ミノキシジル:5.0%(w/v)、ジブチルヒドロキシトルエン:0.1%、プロピレングリコール:50.0wt%、エタノール:30.0%を含み、残部は水である。
【0070】
幾つかの実施例において、上記リニメント剤の総質量又は総体積に基づいて、上記リニメント剤は、トファシチニブに基づき、クエン酸トファシチニブ:0.5wt%、ミノキシジル:2.0%(w/v)、ブチルヒドロキシアニソール:0.1wt%,プロピレングリコール:20.0wt%、エタノール:30.0wt%を含み、残部は水である。
【0071】
幾つかの実施例において、上記ゲル剤の総質量又は総体積に基づいて、上記ゲル剤は、トファシチニブに基づき、クエン酸トファシチニブ:1.5wt%、ミノキシジル:5.0%(w/v)、L-メントール:2.0wt%、カルボキシメチルセルロースナトリウム:2.0wt%、プロピレングリコール:65.0wt%を含み、残部は水である。
【0072】
幾つかの実施例において、上記ゲル剤の総質量又は総体積に基づいて、上記ゲル剤は、トファシチニブに基づき、クエン酸トファシチニブ:1.5wt%、ミノキシジル:2.0%(w/v)、カルボキシメチルセルロースナトリウム:2.0wt%、プロピレングリコール:50.0wt%、エタノール:15.0wt%を含み、残部は水である。
【0073】
幾つかの実施例において、上記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、上記発泡剤は、トファシチニブに基づき、クエン酸トファシチニブ:1.5wt%、ミノキシジル:2.0%(w/v)、ツイーン80:4.0wt%、キサンタンガム:3.0wt%、セチルアルコール:3.0wt%、プロピレングリコール:20.0wt%、エタノール:30.0wt%、ハイドロフルオロアルカン系化合物又は混合物:5.0wt%を含み、残部は水である。
【0074】
幾つかの実施例において、上記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、上記発泡剤は、トファシチニブに基づき、クエン酸トファシチニブ:1.5wt%、ミノキシジル:5.0%(w/v)、ラウリル硫酸ナトリウム:2.0wt%、ポリビニルアルコール:4.0wt%、セチルアルコール:3.0wt%、プロピレングリコール:50.0wt%、エタノール:10.0wt%、ハイドロフルオロアルカン系化合物又は混合物:5.0wt%を含み、残部は水である。
【0075】
幾つかの実施例において、前記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、前記発泡剤は、活性成分A:0.1wt%~10wt%、活性成分B:0.1%(w/v)~10%(w/v)、水:5wt%~80wt%、ポリエチレングリコール400:5wt%~80wt%、ハイドロフルオロアルカン系化合物又は混合物:5wt%~25wt%、ツイーン80:0.5wt%~10wt%、キサンタンガム:0.5wt%~10wt%、グリセリン:0.5wt%~10wt%、及びセチルアルコール:0.5wt%~10wt%を含む。
【0076】
幾つかの実施例において、前記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、前記発泡剤は、活性成分A:2wt%、活性成分B:2%(w/v)、水:54wt%、ポリエチレングリコール400:25wt%、テトラフルオロエタン:10wt%、ツイーン80:1wt%、キサンタンガム:1wt%、グリセリン:4wt%、及びセチルアルコール:1wt%を含む。
【0077】
幾つかの実施例において、上記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、上記発泡剤は、活性成分A:0.1wt%~10wt%、活性成分B:0.1%(w/v)~10%(w/v)、ハイドロフルオロアルカン系化合物又は混合物:5wt%~25wt%、水:5wt%~80wt%、ポリエチレングリコール400:5wt%~80wt%、植物油:5wt%~80wt%、ツイーン80:0.5wt%~10wt%、キサンタンガム:0.5wt%~10wt%、グリセリン:0.5wt%~10wt%、及びセチルアルコール:0.5wt%~10wt%を含む。
【0078】
幾つかの実施例において、上記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、上記発泡剤は、活性成分A:2wt%、活性成分B:2%(w/v)、水:38wt%、ポリエチレングリコール400:30wt%、テトラフルオロエタン:10wt%、大豆油:4wt%、ヤシ油:3wt%、ミリスチン酸イソプロピル:3wt%、ツイーン80:2wt%、キサンタンガム:1wt%、グリセリン:4wt%、及びセチルアルコール:1wt%を含む。
【0079】
幾つかの実施例において、上記発泡剤の総質量又は総体積に基づいて、上記発泡剤は、活性成分A:1.5wt%、活性成分B:2%(w/v)、水:41.5wt%、ポリエチレングリコール400:30wt%、テトラフルオロエタン-ヘプタフルオロプロパン混合物:10wt%、大豆油:4wt%、ミリスチン酸イソプロピル:3wt%、ツイーン80:2wt%、キサンタンガム:1wt%、グリセリン:4wt%、及びセチルアルコール:1wt%を含む。
【0080】
第2の態様では、本発明は、第1の態様に記載の複方外用製剤の製造方法を提供する。
【0081】
幾つかの実施例において、上記複方外用製剤は発泡剤であり、上記発泡剤の製造方法は、活性成分A、活性成分B、及び薬学的に許容される賦形剤を溶媒に直接に溶解して上記発泡剤を得ることを含む。
【0082】
幾つかの実施例において、上記複方外用製剤は発泡剤であり、上記発泡剤の製造方法は、活性成分A及び活性成分Bを乳剤として製造することを含む。
【0083】
幾つかの実施例において、上記複方外用製剤は発泡剤であり、上記発泡剤の製造方法は、活性成分A、活性成分B、及び薬学的に許容される賦形剤を溶媒に直接に溶解し、手押しメッシュ型の泡状エマルション生成装置に直接に入れて押圧することにより発泡剤を形成し、又は加圧容器タンクに詰めて噴射剤を充填した後、バルブを押圧することにより発泡剤を形成することを含む。
【0084】
幾つかの実施例において、上記複方外用製剤は発泡剤であり、上記発泡剤の製造方法は、活性成分A及び活性成分Bを乳剤として製造した後、手押しメッシュ型の泡状エマルション生成装置に直接に入れて押圧することにより発泡剤を形成し、又は加圧容器タンクに詰めて噴射剤を充填した後、バルブを押圧することにより発泡剤を形成することを含む。それを乳剤にして、液滴の分散度が大きいため薬物の迅速な吸収と薬効の発揮が可能になると同時に、アルコールによる皮膚への刺激を減少させ、溶媒の揮発による薬物の析出のリスクを低下させることができ、水中油型乳剤は、水難溶性の薬物を油相に封入して、水相に分散させることにより、薬物分布の均一性を高め、また、水相によって保湿性を向上させるだけでなく、油相によって湿潤性を向上させることもできる。
【0085】
幾つかの実施例において、上記複方外用製剤は発泡剤であり、上記発泡剤は水-アルコール型発泡剤であり、上記水-アルコール型発泡剤の製造方法は、活性成分A、活性成分B、界面活性剤、増粘剤、発泡助剤及び溶媒を混合し、ホモゲナイザーで均質化するか、又は超音波で溶解し、手押しメッシュ型の泡状エマルションポンプボトルに充填するか、又は加圧容器タンクに詰めて噴射剤を充填し、上記発泡剤を得ることを含む。
【0086】
幾つかの実施例において、上記複方外用製剤は発泡剤であり、上記発泡剤は水-アルコール型発泡剤であり、上記水-アルコール型発泡剤の方法は、水とポリエチレングリコール400、プロピレングリコールで形成された混合溶媒に、ツイーン80、ラウリル硫酸ナトリウム、トファシチニブ、ミノキシジル、グリセリン、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、セチルアルコールを撹拌しながら徐々に添加し、その後、均質化するか、又は超音波で溶解し、得られた予備発泡混合物を手押しメッシュ型の泡状エマルションポンプボトルに充填するか、又は加圧容器タンクに詰めてテトラフルオロエタンを充填し、上記製造発泡剤を得ることを含む。
【0087】
幾つかの実施例において、上記複方外用製剤は発泡剤であり、上記発泡剤は、乳剤型発泡剤であり、上記乳剤型発泡剤の製造方法は、以下を含む。
(1)水相混合物の製造:界面活性剤、増粘剤及び水性媒体を混合し、50℃~70℃に加熱して溶解させる。
(2)油相混合物の製造:油性媒体及び発泡助剤、活性成分A及び活性成分Bを50℃~70℃で溶解する。
(3)混合:撹拌しながら油相を水相に注入し、ホモジナイザーで乳化し、室温まで冷却し、予備発泡混合物を得る。
(4)充填:得られた予備発泡混合物を手押しメッシュ型の泡状エマルションポンプボトルに入れるか、又は加圧容器タンクに詰めてテトラフルオロエタンを充填し、上記発泡剤を得る。
【0088】
幾つかの実施例において、上記複方外用製剤は発泡剤であり、上記発泡剤は、乳剤型発泡剤であり、上記乳剤型発泡剤の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)水相混合物の製造:水とポリエチレングリコール400の混合溶媒に、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ツイーン80、グリセリン等を撹拌しながら添加し、50~70℃に加熱して溶解させる。
(2)油相混合物の製造:大豆油、ヤシ油、ミリスチン酸イソプロピルを50℃~70℃に加熱し、撹拌しながらセチルアルコール、ステアリルアルコール、トファシチニブ、ミノキシジルを添加して溶解させる。
(3)混合:撹拌しながら熱い油相を熱い水相にゆっくりと注入し、ホモジナイザーで乳化し、室温まで冷却し、予備発泡混合物を得る。
(4)充填:得られた予備発泡混合物を手押しメッシュ型の泡状エマルションポンプボトルに入れるか、又は加圧容器タンクに詰めてテトラフルオロエタンを充填し、上記発泡剤を得る。
【0089】
幾つかの実施例において、上記複方外用製剤はリニメント剤であり、上記リニメント剤の製造方法は、活性成分A、活性成分B及び任意に薬学的に許容される賦形剤を溶媒に溶解して上記リニメント剤を得ることを含む。
【0090】
幾つかの実施例において、上記複方外用製剤はリニメント剤であり、上記リニメント剤の製造方法は、活性成分Bを水とアルコールの混合物に溶解して、エタノールと活性成分Aを添加し、更に任意に他の薬学的に許容される賦形剤を添加して溶解させ、上記リニメント剤を得ることを含む。
【0091】
幾つかの実施例において、上記複方外用製剤はゲル剤であり、上記ゲル剤の製造方法は、活性成分Bを水とアルコールの混合物に溶解して薬物溶液が得られ、ゲルマトリックスを含む懸濁液を薬物溶液と混合し、更に他の薬学的に許容される賦形剤を添加して混合し、上記ゲル剤を得ることを含む。
【0092】
幾つかの実施例において、上記複方外用製剤はゲル剤であり、上記ゲル剤の製造方法は、以下を含む。
水とアルコールの混合溶媒を70℃で加熱し、ミノキシジルを添加して溶解させ、更にクエン酸トファシチニブを添加して溶解させて薬物溶液が得られ、温度を50~60℃に調整し、ゲルマトリックスを薬物溶液にゆっくりと添加し、均一に撹拌し、室温まで冷却し、浸透促進剤を添加して撹拌し、上記ゲル剤を得る。
【0093】
幾つかの実施例において、上記活性成分A及び活性成分Bを溶媒に溶解する場合、まず活性成分Bを添加して混合し、次に活性成分Aを添加して溶解する。幾つかの実施例において、上記活性成分A及び活性成分Bを溶媒に溶解する場合、まず活性成分Bを添加して溶媒と1分間~20分間混合し、次に活性成分Aを添加して溶解する。幾つかの実施例において、上記活性成分A及び活性成分Bを溶媒に溶解する場合、まず活性成分Bを添加して溶媒と2分間~10分間混合し、次に活性成分Aを添加して溶解する。まず活性成分Bを添加して混合し、次に活性成分Aを添加して溶解することは、活性成分Aの溶解速度を高めるのに有利である。
【0094】
幾つかの実施例において、活性成分A及び活性成分Bを溶媒に溶解する場合、まず活性成分Bをプロピレングリコールと水の混合溶媒に添加して溶解し、次にエタノール及び活性成分Aを添加することは、活性成分Aの溶解速度を高めるのに有利である。
【0095】
幾つかの実施例において、トファシチニブ又はその薬学的に許容される塩及びミノキシジルを溶媒に溶解する場合、まずミノキシジルをプロピレングリコールと水の混合溶媒に添加して溶解し、次にエタノール及びトファシチニブ又はその薬学的に許容される塩を添加することは、トファシチニブ又はその薬学的に許容される塩の溶解速度を高めるのに有利である。
【発明の効果】
【0096】
従来技術と比べて、本発明は、以下の有益な効果の少なくとも1つを含む。
【0097】
(1)本発明は、トファシチニブ及びミノキシジルが円形脱毛症の発症メカニズムの異なる標的に作用することにより、相乗効果を発揮し、円形脱毛症、特に中等度、重度の円形脱毛症に対する治療効果を高め、トファシチニブ及びミノキシジルの用量及び毒性・副作用を低減することができる円形脱毛症治療用の複方外用製剤を提供する。また、好ましくは、それを質感が軽くて柔らかい発泡剤に設計し、頭皮に均一に分布しやすく、毛髪部位への適用性及び患者のコンプライアンスを高めることができ、剤形を乳剤に改良することにより、活性成分の溶解性や経皮性能を改善し、薬効の持続時間を延長し、活性成分の毒性・副作用を低減することができる。
【0098】
(2)溶媒として水とアルコールの混合物を用いることにより、トファシチニブ又はその薬学的に許容される塩及びミノキシジル又はその薬学的に許容される塩の溶解度を高めることに有利であり、複方外用製剤の製造、及び放置プロセスにおける晶析の回避に有利である。
【0099】
(3)溶媒として水とアルコールの混合物を用い、水とアルコールの重量比を1:9~9:1、好ましくは3:7~7:3にすることにより、トファシチニブ又はその薬学的に許容される塩及びミノキシジル又はその薬学的に許容される塩の溶解度を高めるのに有利であり、複方外用製剤の製造、及び放置における晶析の回避に有利である。
【0100】
(4)溶媒として水とアルコールとの混合物を用い、アルコールとしてプロピレングリコールとエタノールを用いることにより、上記プロピレングリコールは、活性成分Aの溶解度を向上させるのに有利であり、上記エタノールは、活性成分Aの溶解速度を高めるのに有利である。
【0101】
(5)上記複方外用製剤における上記活性成分Aと上記活性成分Bの重量比は、JAK阻害剤とミノキシジルに基づき、≦3:4であることは、放置プロセスにおける上記複方外用製剤の晶析の回避に有利である。
【0102】
(6)上記複方外用製剤の製造プロセスにおいて、上記活性成分A及び活性成分Bを溶媒に溶解する場合、まず活性成分Bを添加して混合し、次に活性成分Aを添加して溶解することは、活性成分Aの溶解速度を高めるのに有利である。
【0103】
(7)活性成分A及び活性成分Bを溶媒に溶解する場合、まず活性成分Bをプロピレングリコールと水の混合溶媒に添加して溶解し、次にエタノール及び活性成分Aを添加することは、活性成分Aの溶解速度を高めるのに有利である。
【0104】
(8)トファシチニブ又はその薬学的に許容される塩及びミノキシジルを溶媒に溶解する場合、まずミノキシジルをプロピレングリコールと水の混合溶媒に添加して溶解し、次にエタノール及びトファシチニブ又はその薬学的に許容される塩を添加することは、トファシチニブ又はその薬学的に許容される塩の溶解速度を高めるのに有利である。
【0105】
[用語の説明]
「薬学的に許容される」という用語は、合理的な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応、又は合理的な利益/リスク比に見合った他の問題及び合併症を伴わずに患者の組織と接触して使用するのに適しており、且つ意図された用途に有効な化合物、原料、組成物、及び/又は剤形を指す。
【0106】
「任意」、「任意の」又は「任意に」という用語は、後に説明される事象又は状況が発生する可能性はあるが必ずしも発生せず、且つその説明には、上記事象又は状況が発生する場合と発生しない場合を含むことを指す。例えば、「任意に薬学的に許容される賦形剤」は、薬学的に許容される賦形剤が存在してもよいし、存在しなくてもよいことを示す。
【0107】
「室温」という用語は、室内の環境温度を指し、20℃~30℃であり得る。
【0108】
「重量百分率」又は「重量に基づく百分率」又は「wt%」という用語は、組成物中の個々の成分の重量を、組成物の全成分の総重量で割った後に100%を乗じたものとして定義される。
【0109】
「%(w/v)」という用語は、組成物中の個々の成分の重量を組成物の総体積で割った後に100%を乗じたものとして定義される。
【0110】
「及び/又は」という用語は、オプションのうちの何れか1項又はオプションのうちの何れか2項若しくは複数項の組み合わせを指すと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【
図1】実施例51の各試験群のマウスモデル化部位の皮膚組織病理図(HE染色)であり、そのうち、A図はブランク対照群、B図はブランクゲル群、C図はミノキシジル1群、D図はミノキシジル2群、E図はトファシチニブ群、F図は複方低用量群、G図は複方中用量群、H図は複方高用量群である。
【発明を実施するための形態】
【0112】
以下の説明において、本発明の十分な理解を容易にするために、多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本発明は、ここで説明したものとは異なる他の多くの形態で実施することができ、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく同様の改良を行うことができ、そのため、本発明は、以下に開示される具体的な実施に限定されるない。
【0113】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明の技術分野に属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の明細書において、本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明する目的のためにのみ使用されるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0114】
【0115】
(2)製造方法
製造容器において、処方量の精製水、PEG400及びプロピレングリコールを添加し、均一に撹拌して混合溶媒を形成する。撹拌しながら処方量のツイーン80、ラウリル硫酸ナトリウム、トファシチニブ、ミノキシジル、グリセリン、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、セチルアルコールを徐々に添加し、その後、均質化するか、又は超音波で溶解し、予備発泡混合物を得る。得られた予備発泡混合物を加圧容器タンクに詰めてテトラフルオロエタンを充填して製品を得る。
【0116】
【0117】
(2)製造方法
製造容器において、処方量の精製水、PEG400及びエタノールを添加し、均一に撹拌して混合溶媒を形成する。撹拌しながら処方量のツイーン80、脂肪族アルコールポリオキシエチレンエーテル硫酸ナトリウム、トファシチニブ、ミノキシジル、グリセリン、ヒプロメロース、カルボマー、ステアリルアルコールを徐々に添加し、その後、均質化するか、又は超音波で溶解し、予備発泡混合物を得る。得られた予備発泡混合物を手押しメッシュ型の泡状エマルションポンプボトルに入れて製品を得る。
【0118】
【0119】
(2)製造方法
水相混合物の製造:水とポリエチレングリコール400の混合溶媒において、処方量のキサンタンガム、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ツイーン80、グリセリン等を撹拌しながら添加し、50℃に加熱して溶解させる。
【0120】
油相混合物の製造:大豆油、ヤシ油、ミリスチン酸イソプロピルを50℃に加熱し、撹拌しながら処方量のセチルアルコール、ステアリルアルコール、トファシチニブ、ミノキシジルを添加して溶解させる。
【0121】
混合:撹拌しながら熱い油相を熱い水相にゆっくりと注入し、ホモジナイザーで乳化し、室温まで冷却して、予備発泡混合物を得る。
【0122】
充填:得られた予備発泡混合物を加圧容器タンクに詰めてテトラフルオロエタン-ヘプタフルオロプロパンを充填して製品を得る。
【0123】
【0124】
(2)製造方法
水相混合物の製造:水とポリエチレングリコール400の混合溶媒において、処方量のアルギン酸ナトリウム、カルボマー、脂肪族アルコールポリオキシエチレンエーテル硫酸ナトリウム、ツイーン80、グリセリン等を撹拌しながら添加し、50℃に加熱して溶解させる。
【0125】
油相混合物の製造:大豆油、鉱油、ミリスチン酸イソプロピルを50℃に加熱し、撹拌しながら処方量のオイルアルコール、アラキジン酸、トファシチニブ、ミノキシジルを添加して溶解させる。
【0126】
混合:撹拌しながら熱い油相を熱い水相にゆっくりと注入し、ホモジナイザーで乳化し、室温まで冷却して、予備発泡混合物を得る。
【0127】
充填:得られた予備発泡混合物を手押しメッシュ型の泡状エマルションポンプボトルに入れて製品を得る。
【0128】
比較例1:トファシチニブ-アルコール型発泡剤
(1)処方
【0129】
(2)製造方法
製造容器において、処方量の精製水、PEG400及びプロピレングリコールを添加し、均一に撹拌して混合溶媒を形成する。撹拌しながら処方量のツイーン80、ラウリル硫酸ナトリウム、トファシチニブ、グリセリン、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、セチルアルコールを徐々に添加し、その後、均質化するか、又は超音波で溶解し、予備発泡混合物を得る。得られた予備発泡混合物を加圧容器タンクに詰めてテトラフルオロエタンを充填して製品を得る。
【0130】
比較例2:ミノキシジル水-アルコール型発泡剤
(1)処方
【0131】
(2)製造方法
製造容器において、処方量の精製水、PEG400及びプロピレングリコールを添加し、均一に撹拌して混合溶媒を形成する。撹拌しながら処方量のツイーン80、ラウリル硫酸ナトリウム、ミノキシジル、グリセリン、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、セチルアルコールを徐々に添加し、その後、均質化するか、又は超音波で溶解し、予備発泡混合物を得る。得られた予備発泡混合物を加圧容器タンクに詰めてテトラフルオロエタンを充填して製品を得る。
【0132】
比較例3:トファシチニブ-乳剤型発泡剤
(1)処方
【0133】
(2)製造方法
水相混合物の製造:水とポリエチレングリコール400の混合溶媒において、処方量のキサンタンガム、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ツイーン80、グリセリン等を撹拌しながら添加し、50~70℃に加熱して溶解させる。
【0134】
油相混合物の製造:大豆油、ヤシ油、ミリスチン酸イソプロピルを水相と同じ温度に加熱し、撹拌しながら処方量のセチルアルコール、ステアリルアルコール、トファシチニブを添加して溶解させる。
【0135】
混合:撹拌しながら熱い油相を熱い水相にゆっくりと注入し、ホモジナイザーで乳化し、室温まで冷却して、予備発泡混合物を得る。
【0136】
充填:得られた予備発泡混合物を加圧容器タンクに詰めてテトラフルオロエタン-ヘプタフルオロプロパンを充填して製品を得る。
【0137】
【0138】
(2)製造方法
水相混合物の製造:水とポリエチレングリコール400の混合溶媒において、処方量のキサンタンガム、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ツイーン80、グリセリン等を撹拌しながら添加し、50~70℃に加熱して溶解させる。
【0139】
油相混合物の製造:大豆油、ヤシ油、ミリスチン酸イソプロピルを水相と同じ温度に加熱し、撹拌しながら処方量のセチルアルコール、ステアリルアルコール、ミノキシジルを添加して溶解させる。
【0140】
混合:撹拌しながら熱い油相を熱い水相にゆっくりと注入し、ホモジナイザーで乳化し、室温まで冷却して、予備発泡混合物を得る。
【0141】
充填:得られた予備発泡混合物を加圧容器タンクに詰めてテトラフルオロエタン-ヘプタフルオロプロパンを充填して製品を得る。
実施例5
【0142】
以下の実験は、本発明の有益な効果を実証する。
1.経皮効果評価
実施形態1~4の処方及び製造プロセスに従って、4つの実施例における充填前の予備発泡液体と充填押圧後の発泡剤をそれぞれ製造し、市販されているミノキシジルリニメント剤(達霏欣、山西振東安特生物製薬有限公司)及びミノキシジル発泡剤(ロゲイン、ジョンソンエンドジョンソン)と経皮吸収の比較実験を行う。ミニブタの摘出皮膚を用いて各製剤の滞留性、定常状態の経皮速度、24時間の累積浸透量、及び皮膚中の薬物残留量を評価し、具体的なデータは次の通りである。
【0143】
備考:
1)定常状態の経皮速度、24時間の累積浸透量、及び皮膚中の薬物残留量は、すべてミノキシジルで計算される。
2)滞留性の評価値指標:滞留性が小さいものから大きいもの(流動性が大きいものから小さいもの)まで1、2、3段階に分けられる。
結論:予備発泡液体に対して、発泡剤に製造した後、製剤の滞留性が著しく増加し、定常状態の経皮速度、24時間の累積浸透量及び皮膚中の薬物残留量はすべて著しく増加する。活性成分を乳剤にした後、滞留性は明らかに変化せず、定常状態の経皮速度は低下するが、24時間の累積浸透量及び皮膚中の薬物残留量は著しく増加する。経皮吸収効果は、乳剤型発泡剤>水-アルコール型発泡剤>リニメント剤であることが示される。
【0144】
2.円形脱毛症の治療効果の評価
実施例1及び3に従って活性成分がトファシチニブとミノキシジルの複方外用水-アルコール型及び乳剤型発泡剤をそれぞれ製造し、動物実験によりその治療効果を評価する。
【0145】
(1)動物
円形脱毛症のマウスモデル:6~8週齢のC57BL/6マウスを雌雄各半で採取し、エーテルで軽く麻酔した後、ロジンとパラフィン(1:1)を加熱溶解して背部に塗布し、凝固して硬くなった後に剥がし、8日~9日後に、マウスの背部皮膚に成長期毛包の生成を誘導し、シクロホスファミドを150mg/kgの単回用量で腹腔内注射し、4日~5日後にマウス背部の毛髪が脱落し始め、円形脱毛症モデルを作成する。
【0146】
(2)被験動物は、投与された薬剤の種類によって群分けされる。
1)正常群(投与なし)
2)円形脱毛症モデル群(投与なし)
3)ブランク水-アルコール型発泡剤群(トファシチニブ及びミノキシジルを含まず、残りの成分及び製造方法は実施例1と同じ)
4)ブランク乳剤型発泡剤群(トファシチニブ及びミノキシジルを含まず、残りの成分及び製造方法は実施例3と同じ)
5)トファシチニブ水-アルコール型発泡剤群(比較例1)
6)ミノキシジル水-アルコール型発泡剤群(比較例2)
7)トファシチニブ乳剤型発泡剤群(比較例3)
8)ミノキシジル乳剤型発泡剤群(比較例4)
9)トファシチニブ+ミノキシジル複方水-アルコール型発泡剤群(実施例1)
10)トファシチニブ+ミノキシジル複方乳剤型発泡剤群(実施例3)
備考:正常マウスは、投与前に脱毛を行い、毛髪を成長期にあるように誘導し、正常群及び円形脱毛症モデル群のマウスに投与しない以外、残りの群はすべて円形脱毛症マウスを採用して投与する。
【0147】
(3)投与レジメン
投与量:1ml/回、2回/日、20日間連続投与。
投与方法:マウス背部の毛髪の円形脱毛症部位に塗布する。
【0148】
(4)各群のマウス円形脱毛症の治療状況を以下の基準に従って評価する。
投与前に、各マウスの背部に面積が約6cm2の円形脱毛症の皮膚を実験領域として選択し、投与後にマウスの発毛状況を毎日観察し、各マウスからランダムに5本の毛髪を抜き取り、ノギスで長さを測定し、その平均値を求める。20日後、この6cm2の実験領域を皮膚と共に取り剥がし、皮膚上の毛髪をピンセットで丁寧にきれいに抜き取り、重量を測定する。次に、この実験領域の皮膚組織を10%ホルムアルデヒドで固定し、毛包の縦方向切断面に沿って4枚の組織を連続して採取し、各枚の長さは1.5cmであり、通常の組織脱水、パラフィン包埋し、HE染色を行い、光学顕微鏡で顕微鏡検査し、マウス皮膚組織の発毛に関する指標を観察し、具体的には、以下を含む。
1)真皮浅層血管の管径(μm):ランダムに5本の横断毛細血管の管径を測定し、平均数を計算する。
2)真皮浅層血管の数(個):視野の200倍の大きさで計数し、5つの視野を数え、平均数を計算する。
3)真皮浅層の新生毛包数(個):視野の100倍の大きさで計数し、5つの視野を数え、平均数を計算する。
【0149】
各群のデータの平均値をt検定により統計学的処理し、*P<0.05、**P<0.01、vs円形脱毛症モデル群マウスである。結果は以下の通りである。
【表1】
【表2】
【0150】
結果分析:表1及び表2の結果から分るように、トファシチニブとミノキシジルの併用群は、何れの成分を単独で投与する群よりも発毛速度が更に速く、毛包、毛細血管の数及び毛細血管の管径を顕著に増加させることができ、トファシチニブとミノキシジルは、相乗効果を発揮することができることが示され、トファシチニブとミノキシジルの複方発泡剤は、マウスの円形脱毛症の治療に対して顕著に有効であり、意外なことに、複方乳剤型発泡剤の治療効果は、水-アルコール型発泡剤群よりも優れている。
【0151】
本発明では、異なる標的に作用するトファシチニブ及びミノキシジルを複方製剤にすることで相乗効果を発揮し、それを外用製剤にすることにより、定常状態の薬物濃度作用時間を延長することができ、本発明は、この複方外用製剤を、質感が軽くて柔らかく、頭皮に均一に分布することが容易な発泡剤に製造することにより、毛髪部位への適用性及び患者コンプライアンスを向上させることができ、更に乳剤型発泡剤に改良することにより、薬物の溶解性と浸透性を増加させ、トファシチニブ及びミノキシジルの毒性・副作用を低減させ、薬効の持続時間を延長し、円形脱毛症の患者のために重要な治療の新規選択肢を提供することができる。
実施例6~17 複方製剤溶媒スクリーニング
【0152】
スクリーニング溶媒とミノキシジル、トファシチニブの重量部比率をそれぞれ100:1に設定し、室温(25℃)及び加熱(60℃)の2つの条件で30分間撹拌し、加熱条件でのサンプルを室温まで冷却した後、活性成分の溶解状況をそれぞれ検出し、結果を表3に示す。定量溶媒中の定量APIに必要な溶解条件及び溶解度を事前判定指標とし、2つの活性成分を同時に溶解できる溶媒が好ましい。
【0153】
アイコンの意味:×:不溶解(反応系は白色不透明な懸濁液を呈し、白色固体粒子が見える);〇 :不完全溶解(反応系は部分的に透明で、まだ白色の塊状固体又は懸濁物が見える);√:完全溶解(反応系は完全に透明な溶液を呈し、懸濁物及び固体不溶物が見られない);/:未考察
【表3】
結果分析:表3の結果から分るように、考察された単一溶媒に対して、ミノキシジルは水、大豆油、中鎖トリグリセリド、ヘキサデカノール又はポリエチレングリコール400での溶解度が何れも非常に低く、クエン酸トファシチニブはプロピレングリコールでも他の単一溶媒でも溶解性が低く、発明者らは予想外にも、水とアルコール系溶媒(例えばプロピレングリコール又はエタノール)を組み合わせ、且つ水とアルコールの重量比を1:9~9:1、更に好ましくは3:7~7:3にする場合、クエン酸トファシチニブの溶解度を顕著に向上させるとともに、ミノキシジルの良好な溶解性を確保することができ、室温まで冷却しても薬物の析出がないことを発見した(実施例16-b~実施例16-g及び実施例17)。
実施例18~38 トファシチニブに対するミノキシジルの可溶化及び安定化効果の考察
【0154】
(1)異なる割合のトファシチニブを設定し、水と有機溶媒の混合物を混合溶媒として、単方ゲル剤と複方ゲル剤及び単方リニメント剤と複方リニメント剤をそれぞれ製造し、ミノキシジルを添加した場合とミノキシジルを添加しない場合の製剤中のトファシチニブの溶解状態を比較して考察し、サンプル製造完了後に室温で1ケ月放置し、放置中における晶析の有無によってトファシチニブの安定性を評価し、具体的な実施処方を表4、表5に示す。
【0155】
(2)放置中にトファシチニブの結晶が析出しやすい不安定な製剤に対して、有機溶媒成分、界面活性剤、結晶化抑制剤、増粘剤の添加、ミノキシジルの使用量の増加等の方法により調整し、上記方法による製剤中のトファシチニブの安定性の改善状況を比較して考察し、具体的な実施処方を表6に示す。
【0156】
アイコンの意味:
溶解性:(〇:不完全溶解;√:完全溶解);安定性:(×:晶析沈殿;√:未晶析)
(1)ゲル剤
【表4】
【0157】
製造方法:
単方:水とプロピレングリコールの混合溶媒を70℃で加熱し、クエン酸トファシチニブを添加して溶解させ、薬物溶液が得られ、温度を55℃に調整し、カルボキシメチルセルロースナトリウムを薬物溶液にゆっくりと添加し、均一に撹拌し、室温まで冷却し、前記ゲル剤を得る。
【0158】
複方:水とプロピレングリコールの混合溶媒を70℃で加熱し、ミノキシジルを添加して溶解し、更にクエン酸トファシチニブを添加して溶解させ、薬物溶液が得られ、温度を55℃に調整し、カルボキシメチルセルロースナトリウムを薬物溶液にゆっくりと添加し、均一に撹拌し、室温まで冷却し、前記ゲル剤を得る。
【0159】
結果分析:
(a)表4の実施例18、19から分かるように、単方トファシチニブは水とプロピレングリコールの混合溶媒での溶解量が限られており、実施例19と22~24を比較して分かるように、一定量のミノキシジルを添加した後、完全には溶解できなかったトファシチニブは溶解し続けることができ、ミノキシジルは、トファシチニブの溶解度を高めることが示される。上記実施例から分かるように、ミノキシジルは、少なくともそれ自体の用量の約0.05倍~1.0倍に相当するトファシチニブ(プロトタイプで)を水と有機溶媒に溶解させてゲル剤の安定を維持することができる。
【0160】
(b)表4から分かるように、水とアルコールの重量比が1:9~9:1の場合、ミノキシジルは、トファシチニブの溶解度を向上させることができるが、水とアルコールの重量比がこの範囲外である場合、トファシチニブに対するミノキシジルの溶解度の向上は、顕著ではない。
【0161】
【0162】
製造方法:
単方:水、プロピレングリコール、エタノールの混合溶媒を55~60℃で加熱し、クエン酸トファシチニブを添加して溶解させ、薬物溶液が得えられ、室温まで冷却し、上記リニメント剤を得る。
【0163】
複方:水とプロピレングリコールの混合溶媒を70℃で加熱し、ミノキシジルを添加して溶させ、温度を55℃に調整し、エタノールを添加し、クエン酸トファシチニブを添加して溶解させ、薬物溶液が得られ、室温まで冷却し、上記リニメント剤を得る。
【0164】
結果の分析:実施例27~29から分かるように、溶媒として水、エタノールとプロピレングリコールを選択した場合、単方クエン酸トファシチニブは製剤中での安定性が限られており、実施例28と30及び実施例29と31~33を比較して分かるように、一定量のミノキシジルは、クエン酸トファシチニブのリニメント剤での安定性を向上させることができる。
【0165】
【0166】
製造方法:水とプロピレングリコールの混合溶媒を70℃で加熱し、ミノキシジルを添加して溶解し、温度を55℃に調整し、エタノールを添加し、クエン酸トファシチニブを添加して溶解させて薬物溶液が得られ、室温まで冷却し、他の賦形剤を添加して溶解し、均一に撹拌して上記リニメント剤を得る。
【0167】
結果の分析:実施例33において、溶媒として水、エタノール及びプロピレングリコールを選択する場合、クエン酸トファシチニブは、製剤での安定性が比較的低く、晶析しやすく、これに基づいて、実施例34~40に示すような調整方法を行ったところ、比較して分かるように、有機溶媒成分、界面活性剤、増粘剤、結晶化抑制剤等の添加は、クエン酸トファシチニブの晶析現象を改善する効果がなく、これに対して、クエン酸トファシチニブ(トファシチニブに基づき)とミノキシジルの重量比が≦3:4である場合、クエン酸トファシチニブの晶析を効果的に改善することができ、一定量のミノキシジルは、製剤におけるクエン酸トファシチニブの溶解安定性を向上させることが示される。
実施例41~50 複方製剤の製造方法の考察
【0168】
(1)プロセス順
同じ加熱温度で、混合溶媒にミノキシジルを先に添加した場合、又はクエン酸トファシチニブを先に添加した場合、薬物の溶解状態及び溶解時間の違いをそれぞれ考察する。
【0169】
【表7】
その結果から分かるように、ミノキシジルは、クエン酸トファシチニブの完全な溶解をある程度促進することができ、ミノキシジルを早めに添加することでクエン酸トファシチニブの溶解速度を加速し、プロセス時間を短縮することができる。
【0170】
(2)加熱温度
1)実施例45~47:エタノールを含まない
【表8】
その結果から分かるように、50~70℃の加熱温度は製剤の関連物質に対して明らかな影響がなく、温度が高いほど薬物の溶解が速くなり、好ましくは70℃であることが判明した。
【0171】
2)実施例48~50:エタノールを含む(加熱温度が高すぎるべきでない)
a 処方:実施例24と同じ処方
b 溶解方法及びプロセス:
実施例48:70℃の条件下で、ミノキシジルをプロピレングリコールと水の混合溶媒に添加すると、比較的速く溶解することができ、更にクエン酸トファシチニブを添加して完全に溶解できず、エタノールを添加し、55℃で加熱し、クエン酸トファシチニブが溶解する。
【0172】
実施例49:70℃の条件下で、ミノキシジルをプロピレングリコールと水の混合溶媒に添加して溶解すると、比較的速く溶解することができ、温度を55℃に調整し、エタノールを添加し、更にクエン酸トファシチニブを添加すると、比較的速く溶解することができる。
【0173】
実施例50:55~60℃の条件下で、ミノキシジルをプロピレングリコールとエタノールと水の混合溶媒に添加すると、溶解がやや遅く、更にクエン酸トファシチニブを添加すると、比較的速く溶解することができる。
【0174】
【0175】
結果分析:表9の結果から分かるように、55~70℃の加熱温度は製剤の関連物質に対して明らかな影響がなく、エタノールを含むため、加熱温度は高すぎるべきでなく、まずエタノールを含まない溶媒においてミノキシジルを溶解した後、温度を下げてエタノールを添加し、更にクエン酸トファシチニブを溶解することにより、サンプルの製造時間を短縮することができる。
実施例51:薬効評価
【0176】
動物の薬効評価は以下の方法に従って行われる。
(1)試験動物
円形脱毛症マウスモデル:SPF級の雄C3H/HeNマウスを選択し、外観の毛髪は無傷で、イミキモドクリームをマウスの背部に週3回、4週間連続で塗布し、投与部位にサイズが>1cm×1cmの面積の円形脱毛症を形成し、即ちモデルの構築に成功する。
【0177】
(2)試験群分けとサンプル
マウス体重でブランク対照群(10匹)とモデル群(70匹)にランダムに分け、ブランク対照群はモデル化を行わず、モデル群はすべてモデル化を行い、更に投与方法の違いによりブランクゲル群、ミノキシジル1群、ミノキシジル2群、トファシチニブ群、複方低、中、高用量群等の7群にランダムに分け、具体的には以下の通りである。
【表10】
【0178】
(3)投与レジメン
投与量:ゲル群0.05g/cm2、リニメント剤群0.05mL/cm2、2回/日、2週間(14日)連続投与。
投与方法:マウス背部の毛髪の円形脱毛症部位に塗布する。
【0179】
(4)各群のマウス円形脱毛症の治療状況を以下の基準に従って評価する
投与前及び投与後の第1、2週目に円形脱毛症部位の毛髪の片状脱落状況を観察し、測定し、記録して統計し、円形脱毛症の実験領域において毛髪がある領域の面積の割合に応じて、それぞれ以下の方法で採点する:0点:毛髪がある領域≧75%、1点:50%≦毛髪がある領域<75%、2点:25%≦毛髪がある領域<50%、3点:毛髪がある領域<25%であり、投与前の円形脱毛症マウスはすべて完全脱毛(実験領域に毛髪がない)で群に入り、即ち3点として採点し、14日後に動物を安楽死させ、一部の動物の実験領域を皮膚と共に取り剥がし、皮膚上の毛髪をピンセットで丁寧にきれいに抜き取り、更に該実験領域の皮膚組織を10%ホルムアルデヒドで固定し、毛包の縦方向切断面に沿って4枚の組織を連続して採取し、各枚の長さは1.5cmであり、通常の組織脱水、パラフィン包埋、HE染色を行い、光学顕微鏡で顕微鏡検査し、真皮浅層の新生毛包数、成熟毛包数及び割合を観察し、記録する。
【0180】
各群のデータの平均値をソフトウェアSPSSによって統計学的処理し、結果は以下の通りである。
【表11】
注:モデル対照群とブランク対照群を比較し、
**P<0.01であり、モデル投与群とモデル対照群を比較し、
+P<0.05、
++P<0.01であり、同群と同時投与前を比較し、
#P≦0.05、
##P≦0.01であり、2%ミノキシジル群を比較し、
&P<0.05である
【0181】
その結果から分かるように、モデル対照群と比較して、複方群は発毛速度が最も速く、投与1週目に点数の統計学的差異を示すが、ミノキシジル1群(ミノキシジル仕様が同じ)は、投与2週目にも統計学的差異を示さず、他の群は、投与2週目に統計学的差異を示し、複方群は、全体として単方群よりも早く効果が現れる。
【0182】
【表12】
注:モデル対照群とブランク対照群を比較し、
*P<0.05であり、モデル投与群とモデル対照群を比較し、
+P<0.05、
++P<0.01であり、2%ミノキシジル群を比較し、
&P<0.05、
&&P<0.01である。
【0183】
その結果から分かるように、モデル対照群及びミノキシジル1群(ミノキシジル仕様が同じ)と比較して、複方群マウスのモデル化部位の皮膚新生毛包数が顕著に増加し、新生毛包/成熟毛包比率がある程度高くなり、複方群は、毛包の成長を更に促進することができることが示される。
【0184】
以上により、その結果から分かるように、クエン酸トファシチニブ及びミノキシジルは、本特許により提供される技術案に従って複方外用製剤を構成することにより相乗効果を発揮し、毛包の成長を促進し、毛髪の再生速度を速めることができる。
【0185】
上記実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明の簡潔化のため、上記実施例の各技術的特徴のすべての可能な組み合わせについては記載していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書の記載範囲とみなされるべきである。
【0186】
上記実施例は、本発明の幾つかの実施形態を示したに過ぎず、その説明は、比較的具体的且つ詳細になされたものであるが、本発明の特許範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。なお、当業者にとっては、本発明の思想から逸脱することなく幾つかの変形や改良が可能であり、これらはすべて本発明の請求範囲に含まれるものとする。従って、本発明の請求範囲は、添付される特許請求の範囲を基準するものとする。
【国際調査報告】