IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バーケン,イズラエルの特許一覧

特表2023-547550高温冷凍手術システムおよびそれを使用する方法
<>
  • 特表-高温冷凍手術システムおよびそれを使用する方法 図1
  • 特表-高温冷凍手術システムおよびそれを使用する方法 図2
  • 特表-高温冷凍手術システムおよびそれを使用する方法 図3
  • 特表-高温冷凍手術システムおよびそれを使用する方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】高温冷凍手術システムおよびそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/02 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
A61B18/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530666
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 US2021052258
(87)【国際公開番号】W WO2022067213
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】17/033,269
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523185866
【氏名又は名称】バーケン,イズラエル
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーケン,イズラエル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ03
4C160MM33
4C160MM43
4C160MM53
(57)【要約】
冷凍アセンブリ、クリオプローブ、および冷媒を含む高温冷凍外科システムおよび高温冷凍外科手術の方法であって、ここでクリオプローブおよび冷凍アセンブリは、冷凍アセンブリからクリオプローブまで流体状態にある冷媒を循環させるように構成され、且つクリオプローブから冷凍アセンブリまで蒸気状態にある冷媒を循環させるようにさらに構成された閉ループで流体結合される、高温冷凍外科システムおよび高温冷凍外科手術の方法。免疫修飾および/または薬理学的適用との組み合わせで、1つまたは複数のサイクルで、アブレーションのエネルギーを連続または同時に投与することによって、腫瘍を破壊することによる、癌腫および転移癌細胞を処置する方法であって、ここで物理的な破壊はアブスコバル効果を生じるのに十分なレベルに適用される、方法。上記効果は微小環境において免疫細胞を刺激することにより生じる。腫瘍は、腫瘍微小環境における残りの細胞または要素が正味の免疫刺激を働かせること、ならびに長期記憶細胞がその後の将来に現われる腫瘍と戦うことを可能にするように、処置される。もとの場所(in situ)で全身的に注入されるか又は徐放手段において埋め込まれる免疫変調成分を加えることで、局所的または全身的に、癌に対する免疫応答を高めることになる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.冷凍機アセンブリ、
b.ハウジングと、流体室と、該流体室と連通する流体入口と、蒸気室と、該蒸気室と連通する流体出口と、該流体入口と連通する流体導管と、該蒸気出口と連通する蒸気導管とを有するオペレータプローブ、
c.前記操作部プローブのハウジングに動作可能に結合され、前記操作部プローブの流体入口および前記蒸気室に連通するクライオニードル、
d.流体室、蒸気室、流体管路、蒸気管路に含まれる冷媒とを備え、
ここで、オペレータプローブと冷凍アセンブリは、冷凍アセンブリからオペレータプローブへ流体状態の冷媒を循環させるように構成された閉ループで流体的に結合され、オペレータプローブから冷凍アセンブリへ蒸気状態の冷媒を循環させるようにさらに構成される冷凍手術システム
【請求項2】
前記冷凍アセンブリがさらに備える、請求項1に記載の凍結手術システムであって、
a.前記操作部プローブに流体的に結合された蒸気吸入導管、
b.コンプレッサー、および
c.前記蒸気状態の冷媒を前記流体状態の冷媒に凝縮させるように構成された凝縮器と
【請求項3】
前記冷凍アセンブリが、前記蒸気吸入導管および前記凝縮器に結合された副冷却装置と、前記冷媒の温度および圧力を下げるように構成された前記凝縮器に結合された絞り弁とをさらに備える、請求項2に記載の低温手術装置。
【請求項4】
前記クライオプローブがさらに備える、請求項1に記載の冷凍手術システムであって、
a.前記冷凍機アセンブリに流体的に結合された流体冷媒吸入口と
b.前記流体冷媒吸入口に流体連通する流体冷媒室と
c.前記流体冷媒室に結合された蒸気流体分離部材と
d.前記蒸気流体分離部材に結合された蒸気混合室と、を備え
e.前記蒸気混合室および前記冷凍アセンブリに流体的に結合された蒸気排気管路、および
クライオプローブ本体と、クライオプローブ本体の遠位端にあるクライオプローブチップとを備え、クライオプローブ本体は、一部が流体冷媒室内に配置され、一部が蒸気混合室内に配置され、一部がクライオプローブ本体の外に延在している。
【請求項5】
前記流体冷媒室は、前記クライオプローブ本体を収容するように構成された主冷媒液室と、余剰冷媒を貯蔵するように構成された余剰液室とをさらに備える、請求項4に記載のクライオサージャリーシステム。
【請求項6】
前記クライオプローブ本体が中空である、請求項5に記載の冷凍手術システム。
【請求項7】
前記クライオプローブが、前記クライオプローブの位置を拘束するように構成された取り付けファスナを受け入れるように構成された取り付けポイントをさらに備える、請求項6に記載の冷凍手術システム。
【請求項8】
前記クライオプローブが、前記クライオプローブ本体の内部または外部に配置された少なくとも1つの熱電対をさらに備え、前記少なくとも1つの熱電対が、前記少なくとも1つの熱電対における温度を読み取り、表示するように構成された外部ディスプレイまたは計算装置にさらに結合されている請求項4に記載の冷凍手術装置。
【請求項9】
前記演算装置が、予め特定された手術のために予めプログラムされた針温度を含むデータベースと通信可能に結合される、請求項8に記載の冷凍手術システム。
【請求項10】
前記演算装置は、前記クライオプローブの温度が、予め特定された手術のために予めプログラムされた針温度から逸脱した場合に、警告を提供するように構成されている、請求項9に記載の冷凍手術システム。
【請求項11】
前記演算装置は、前記冷凍アセンブリに通信可能に結合され、前記冷媒の温度を、予め特定された手術のために予めプログラムされた針温度に一致するように調整するように構成され、または前記演算装置は、前記クライオプローブに通信可能に結合され、前記オペレーター冷却プローブ内のクライオプローブの位置を調整するように構成される請求項9記載の冷凍手術装置。
【請求項12】
a.前記熱プローブの先端に隣接する組織に冷却エネルギーを供給するように構成された熱プローブ、
b.冷却流体の供給源に結合された熱交換器であって、冷却流体をサーマルプローブに伝達するためにサーマルプローブに動作可能に結合された熱交換器、
c.サーマルプローブに動作可能に結合され、サーマルプローブの先端の温度を測定することができる温度センサ、および
d.前記サーマルプローブの先端部の温度を制御するコントローラと
を備える、冷凍手術装置
【請求項13】
前記コントローラは、前記サーマルプローブの先端部の温度を約0℃~-80℃に制御する温度調節器をさらに備える、請求項12に記載の凍結外科手術装置。
【請求項14】
前記コントローラが、前記熱プローブに冷却エネルギーを印加して前記先端部の温度を約0℃~約-80℃に維持する時間を約1分~約10分の間で制限するクロックをさらに備える、請求項13に記載の低温外科装置。
【請求項15】
冷凍アセンブリ、クライオプローブ、および冷媒を有する冷凍手術システムを使用する方法であって、クライオプローブおよび冷凍アセンブリは、冷凍アセンブリからクライオプローブへ流体状態の冷媒を循環させるように構成され、クライオプローブから冷凍アセンブリへ蒸気状態の冷媒を循環させるようにさらに構成された閉ループで流体結合され、この方法は、次のステップを含む:
a.冷媒を流体状態で冷却すること、
b.冷凍アセンブリから、クライオプローブの流体冷媒取入口と流体結合した流体導管を通り、流体冷媒取入口から流体冷媒チャンバーに流体状態の冷媒を循環させ、流体冷媒チャンバーは、遠位端にクライオプローブ本体とクライオプローブチップとを有するクライオプローブを備え、クライオプローブ本体は流体冷媒チャンバーの内部に一部配置される、
c.クライオプローブを冷却する、
d.クライオプローブの先端から冷媒に熱を伝える、
e.冷媒をクライオプローブのベーパーミックスチャンバーに気化させること、および
f.気化した冷媒を、ベーパーミックスチャンバーの蒸気排気を通して、蒸気排気と流体的に結合した冷凍アセンブリに循環させる。
【請求項16】
a.気化した冷媒を、冷凍アセンブリのサブクーリングデバイスを介して循環させる、
b.気化した冷媒をコンプレッサーで循環させる、
c.気化した冷媒を圧縮して、凝縮に必要な圧力および温度に到達させること、および
d.気化した冷媒を冷凍アセンブリの凝縮器を通して流体冷媒に凝縮させる
ステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
流体冷媒を絞り弁を通して循環させて流体冷媒の温度と圧力を下げ、流体冷媒をクライオプローブを通して循環させて戻すステップをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
のステップをさらに含む、請求項15に記載の方法:
a. クライオプローブに結合された少なくとも1つの熱電対を通して、クライオプローブの温度を記録すること、および
b. 記録された温度を、少なくとも1つの熱電対に通信可能に結合された外部のディスプレイまたはコンピューティングデバイスに中継すること。
【請求項19】
前記クライオプローブの温度を、予め特定された手術のための予めプログラムされた針温度を含む電子データベースと比較するステップと、前記冷凍アセンブリに通信可能に結合されたコンピューティング装置が、前記冷凍アセンブリの圧縮機を調節することを通じて冷媒の温度を調節して、予め特定された手術のための予めプログラムされた針温度と一致させる、又は前記クライオプローブに通信可能に結合されたコンピューティング装置が前記オペレーター冷却プローブ内のクライオプローブの位置を調節する、ことをさらに有する請求項18の方法。
【請求項20】
約0~約-80℃の間の温度に冷却されたクライオプローブを、腫瘍を不完全に破壊するのに十分な時間、腫瘍に適用することによって腫瘍を治療するステップと、クライオプローブを適用するステップの前、同時、または後に免疫調節剤腫瘍治療を投与するステップとをさらに含む、請求項14の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、冷凍手術に関する。より詳細には、本発明は、冷却または冷凍アセンブリ、オペレータ冷却プローブ、冷媒およびその操作からなる閉ループ冷凍手術システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍手術とは、異常組織や病変組織を切除・破壊するために外科手術で極寒を利用することであり、したがってクライオアブレーションの外科的応用と言える。冷凍手術は、典型的には、流体窒素、二酸化炭素、アルゴン、またはジメチルエーテルとプロパンの混合物を組織に直接噴霧すること、綿棒につけて効果のある組織領域を綿棒で拭くこと、または冷却した後に効果のある組織に直接適用するプローブまたは針を使用することを含む。このようなプローブまたは針は、本明細書ではそれぞれ「クライオプローブ」または「クライオニードル」と呼ばれ、文脈がそうでないことを示す場合を除いて、用語は互換的に使用される。
【0003】
場合によっては、骨の中の腫瘍だけでなく、内外の腫瘍の治療にも冷凍手術が使用されます。内部腫瘍の治療には、クライオプローブと呼ばれる中空の器具を使用し、これを腫瘍に接触させます。クライオプローブには、窒素やアルゴンの液体を通します。超音波やMRIは、クライオプローブを誘導し、細胞が凍結する様子をモニターするために使用されます。これにより、隣接する健康な組織へのダメージを最小限に抑えることができます。プローブの周囲に氷の結晶の球が形成され、その結果、近くの細胞が凍結されます。凍結手術後、凍結した組織は、内部腫瘍の場合は自然に体内に吸収され、外部腫瘍の場合は溶けてかさぶたになる。
【0004】
従来の冷凍手術システムは、治療中、クライオニードルの先端で約-185℃の温度で動作するのが一般的である。これらの温度は、典型的には、治療された組織、例えば、腫瘍、および周囲の微小環境の両方の完全な切除をもたらす。対照的に、本発明は、そのような従来の冷凍手術システムよりも高い温度、例えば、約0℃~約-80℃の間で、処置された組織を不完全に切除するように構成された、高温クライオアブレーションシステムを提供する。本発明によるそのような高温のクライオアブレーションは、腫瘍微小環境への付随的な損傷なしに、処置された組織、例えば、腫瘍細胞の部分的なアブレーションを可能にする。これにより、腫瘍微小環境は、身体の本来の免疫系を結集して、残存する局所的または全身的な癌細胞を攻撃して破壊することができる。
【0005】
本発明の冷凍手術システムは、癌腫瘍の治療のための外科的方法に使用することができ、特に、識別された腫瘍の一部のみを最初に意図的に除去または切除し、その後、溶解した腫瘍細胞の内容物で身体の固有免疫応答を刺激することによって腫瘍をより攻撃する、および/または身体の固有免疫応答を引き出す追加の治療様式を追加して癌を除去する外科的方法へ。数十年にわたる医学研究戦争にもかかわらず、がんは今日も主要な殺人者となっています。4大がん(大腸がん、肺がん、気管支がん、乳がん、前立腺がん)については、男女ともに毎年160万人以上が新たに発症し、これらのがんによる死亡者は毎年50万人以上と推定されています。また、膵臓がんは、毎年がん全体の3%を占め、がんによる死亡原因の第4位となっています。同様に、脳腫瘍は5年生存率が約35%と低い。固形がんの場合、化学的、放射線的に腫瘍を縮小させる方法と、可能な限り手術で腫瘍を取り除く方法が一般的である。
【0006】
従来の冷凍手術は、腫瘍細胞を死滅させるのに十分な温度と時間で腫瘍組織を凍結させ、腫瘍組織を切除するものである。凍結手術は、網膜芽細胞腫、早期皮膚がん、骨がん、前立腺がん、肺がん、腎がん、乳がん、膵臓がん、肝臓がん、脳腫瘍など、さまざまな固形がんに対する治療法として認められている。
【0007】
従来の冷凍手術の目的は、周囲の正常組織、すなわち腫瘍組織を取り巻く微小環境にほとんどダメージを与えることなく、可能な限り多くの腫瘍組織を破壊することである。しかしながら、患者の大部分が5年以上の生存率を有するような、より容易に治療される癌であっても、患者の生存率および生活の質をさらに高めるために、より優れた方法が必要である。本発明はその目標に向けられたものであり、特に固形腫瘍の癌や、転移性疾患を有する癌に焦点を当てたものである。凍結手術の様式を完全な腫瘍破壊から、溶解した腫瘍細胞から細胞内容物を放出する不完全な腫瘍破壊または亜全体腫瘍破壊の様式に変えることにより、アブソーパール効果は、放出された腫瘍細胞内容物によって活性化し、局所および全身の両方で残りの生存腫瘍細胞を排除するためにネイティブ免疫系を活性化する。
【0008】
不完全または亜全部の腫瘍破壊は、腫瘍に対する比較的高い温度の凍結、例えば、約0~約-80℃の間の凍結によって達成され得る。破壊されない冷凍手術を可能にする腫瘍微小環境活動と組み合わせた腫瘍に対する結果として生じる効果は、Ngwa, W., et al, Nature Reviews Cancer 18: 313-322 (2018) によって記載されているようにアブスコパール効果を活性化する。不完全または小全体的な腫瘍の破壊はまた、腫瘍細胞に関する細胞情報を運ぶ免疫細胞のクラスを活性化し、その後、治療後の未来に再浮上する腫瘍細胞と戦うために装備されることになる。
【0009】
理論に縛られるつもりはないが、腫瘍を完全に凍らせて破壊しないことで、身体の免疫系が動員されて腫瘍情報に接近し、局所的、組織的、将来浮上する転移性疾患に対して攻撃を仕掛けると考えられている。この目標を達成するためには、高温の冷凍アブレーションや、腫瘍を破壊して腫瘍細胞を不完全に破壊するための他の減衰した方法論など、対象となる腫瘍に破壊力の弱い力を加えることによって、地理的にすべての腫瘍細胞を破壊しないようにします。歴史的に、冷凍アブレーションでは温度が-185℃まで下げられ、通常、腫瘍と腫瘍微小環境、すなわち腫瘍周辺の健康な細胞の両方が破壊される。0~80℃の高温冷凍アブレーションでは、腫瘍微小環境にダメージを与えることなく腫瘍細胞を部分的に破壊することができ、腫瘍微小環境は、身体に備わっている免疫系を動員して、残存する局所または全身性のがん細胞を攻撃し破壊することができる。
【発明の概要】
【0010】
本明細書に開示されるのは、クライオアブレーションシステム、方法および装置である。システムの第1の実施形態は、冷凍アセンブリと、オペレータプローブと、冷凍アセンブリを循環する流体冷媒と、閉ループ内のクライオプローブの冷却とからなる。操作者プローブは、概して、流体相冷媒および蒸気相冷媒のための内部流体室を規定するハウジングと、ハウジングから突出し、ハウジングの内部流体室と熱連通しているクライオニードルと、内部流体室と流体連通している流体導管からなる。クライオニードルは、熱電対を収容するために少なくとも部分的に中空であってもよく、ハウジング内の液相及び気相冷媒の両方と熱的に連通している。このようにして、冷凍アセンブリと操作プローブとの間に流体ループが形成され、冷媒液が流体導管を通じて冷凍アセンブリと操作プローブとの間でリサイクルされる。クライオプローブが治療すべき組織に接触または近接すると、流体冷媒は、入口流体導管を通じてクライオプローブチャンバーに入り、クライオニードルを冷却し、次に、クライオニードルが標的組織、臓器または骨から熱を伝導する際に蒸気への相変化を起こす。蒸気は、プローブハウジング内の内部流体室から出て、出口流体導管を通じて冷凍アセンブリに戻され、流体ループ内でリサイクルするために流体に戻されます。
【0011】
クライオプローブの温度は、冷媒自体に追加の冷却を提供するために圧縮機を調整することによって調整することができる。いくつかの実施形態では、クライオプローブの位置を調整することで、最大10℃の小さな温度変化を説明することができる。
【0012】
冷凍アセンブリは、クライオプローブチャンバからの冷媒蒸気を、副冷却装置を通り、圧縮機を通り、冷媒蒸気を流体に凝縮するように構成された凝縮器を通り、流体導管を通り、副冷却装置を通り、クライオプローブチャンバに出るように中継するように構成された蒸気吸入導管を含む。
【0013】
クライオプローブ室は、冷凍アセンブリに結合された流体冷媒吸入口を有する流体冷媒室と、蒸気流体分離部材と、冷凍アセンブリに結合された蒸気排出口を有する蒸気混合室と、一部が流体冷媒室に配置され一部が蒸気混合室に配置されたボディと、蒸気混合室の外に突出するように構成されたクリオネードルチップとから構成されています。
【0014】
本発明の別の態様では、流体室は、クライオプローブを収容するように構成された主冷媒流体室と、余剰冷媒を貯蔵するように構成された余剰流体室とをさらに含む。
【0015】
本発明の別の態様では、クライオプローブは、オペレータ冷却プローブに結合されたファスナーを収容するように構成されたクライオプローブの本体に沿って配置された固定調整点を含んでいる。この実施形態では、クライオプローブ先端部は、オペレータ冷却プローブの本体から離れるように延びるか、またはその中に引っ込むことができ、ファスナーおよび固定調整点を通して所定の位置に固定される。いくつかの実施形態では、固定調整点は穴であってもよく、ファスナーは格納式固定ピンであってもよい。
【0016】
本発明のさらに別の態様では、クライオプローブは、針の温度を測定するように構成されたクライオプローブ本体に結合された熱電対をさらに含んでいる。いくつかの実施形態では、クライオプローブは、クライオプローブ本体の様々な部分の温度を読み取るために複数の熱電対をさらに備えることができる。他の実施形態では、クライオプローブは、内部に配置され、クライオプローブ先端から所定の距離に配置された熱電対を有する中空体から構成されてもよい。熱電対は、熱データを読み取ってエンドユーザーに報告するように構成されたデジタルディスプレイまたはコンピューティングデバイスに結合される場合がある。別の配置では、クライオプローブプローブは、腫瘍に物質を注入するための管腔を有することができる。
【0017】
本発明のさらに別の態様では、熱電対に結合されたコンピューティングデバイスは、選択された手術に必要な温度構成で予め設定された、またはカスタマイズ可能なオペレーティングシステムおよびグラフィカルユーザインタフェースをさらに備える。この実施形態では、システムは、特定の手術に対して温度が高すぎるか低すぎる場合にユーザに警告し、コンプレッサまたは針の位置を自動的に調整するか、適切な温度を達成するためにコンプレッサを調整するようにユーザに促すことができる。
【0018】
本発明のさらに別の態様では、冷凍手術システムを使用する方法は、流体冷媒を冷凍アセンブリを通してクライオプローブ流体チャンバに循環させ、クライオプローブを-5℃~-40℃の間の温度に冷却し、標的組織、器官または骨に接触し、熱を標的組織、器官または骨から離れるようにクライオプローブの基部に伝導させるステップと、冷媒を伝導熱を通してベーパーミックスチャンバに気化させるステップと、冷媒蒸気をベーパーミックス排気を通して冷凍アセンブリに排出するステップとを含んでいる、クライオプローブを通してクライオプローブの底部に熱を伝導し、伝導した熱を通して冷媒を蒸気混合室に気化させ、蒸気混合排気を通して冷媒蒸気を冷凍機アセンブリに排気し、冷媒蒸気を圧縮して凝縮に必要な圧力および温度に達し、冷媒蒸気を凝縮して流動冷媒にし、流動冷媒を流体導管を通してクライオプローブ室に循環する。
【0019】
いくつかの実施形態において、この方法は、凝縮プロセスに続いて、絞り弁を通して流体冷媒の圧力及び温度を下げることをさらに含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、組織、器官または骨から熱を遠ざけるステップの間、クライオプローブ熱電対は、クライオプローブの温度を記録し、温度を外部のディスプレイまたはコンピューティングデバイスに報告する。さらに別の実施形態では、温度を記録するステップの間、外部ディスプレイまたはコンピューティングデバイスは、記録された温度を電子データベースから予め設定された適切な手術温度と比較し、追加の冷却のために圧縮機の回転を上げる、または冷却を減らすために回転を下げるというコマンドを送信する。
【0021】
本発明に従って、不完全な腫瘍切除または破壊を、切除または破壊された腫瘍細胞に対する応答を引き出すために身体のネイティブな免疫系を刺激する他の治療様式と組み合わせて、局所腫瘍が治療される態様に注意が払われる。本発明はまた、局所腫瘍を治療する方法によって、転移性疾患を回避し根絶することを助ける。
【0022】
一実施形態は、最大約10分間、前記腫瘍の一部の温度を約0℃~約-80℃の間に下げるステップを含む、腫瘍の外科的破壊方法を提供する。
【0023】
別の実施形態は、細胞および他の細胞内容物を放出するために腫瘍の一部を破壊するステップは、限定されないが、冷凍アブレーション、超音波、放射線、レーザー、機械的研磨、または腫瘍細胞を破壊する他の同様の様式を含む、多数の様式によって達成され得ることを構成する。
【0024】
本発明のさらに別の実施形態は、標準使用の約50%までの標準より低い放射線レベルを使用して、炎症反応を誘発する点まで腫瘍を照射するステップを含んでいる。この照射プロトコルは、冷凍手術と組み合わせることができる。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態は、凍結手術に関連して、免疫学的、生物学的及び/又は化学的薬剤を順次又は同時に投与するステップを含んでいる。
【0026】
方法、システム、および装置は、その一部が以下の説明に記載されており、その一部は説明から明らかであるか、または方法、装置、およびシステムの実践によって学ぶことができるであろう。方法、装置、およびシステムの利点は、添付の特許請求の範囲に特に指摘されている要素および組み合わせによって実現および達成されるであろう。前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものに過ぎず、請求項に記載の方法、装置、およびシステムを制限するものではないことが理解される。
【0027】
<参照による組込み>
本明細書で言及されるすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
添付の図において、本発明のいくつかの好ましい実施形態のうち、同様の要素は同様の参照数字で識別されている。
図1】本発明の冷凍手術システムの一実施形態の模式図である。
図2】クライオプローブの例示的な模式図である。
図3図2の導管A-Aに沿って撮影した断面図である。
図4図3の円4に沿って撮影したクライオプローブの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の前記および他の特徴および利点は、添付の図面と共に読まれる例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかである。詳細な説明および図面は、限定的なものではなく、単に本発明を例示するものであり、本発明の範囲は、添付の請求項およびその均等物によって定義される。
【0030】
本明細書で使用される用語は、例示的な実施形態を説明する目的のみのものであり、限定することを意図するものではない。明確にするために、本特許出願で使用される以下の用語は、以下の意味を有する:
【0031】
用語「約」は、±10%で存在する量、特性、または値を意味することが意図される。本開示全体を通して、数値は、与えられた値からの軽微な逸脱、および言及された値について有する実施形態だけでなく、言及された値を正確に有するものを包含するために、近似的な尺度または範囲への限界を表す。詳細な説明の最後に提供される実施例以外では、添付の請求項を含む本明細書におけるパラメータ(例えば、量または条件)のすべての数値は、数値の前に実際に「約」が現れるかどうかにかかわらず、「約」という用語によってすべての事例で修正されていると理解される。“about”は、記載された数値が若干の不正確さを許容することを示す(数値の正確さにいくらか近づく、およそまたは適度に数値に近い、ほぼ)。“約”によって提供される不正確さが、当技術分野においてこの通常の意味で他に理解されない場合、本明細書で使用される“約”は、そのようなパラメータを測定し使用する通常の方法から生じ得る変動を少なくとも示す。さらに、範囲の開示は、すべての値の開示を含み、さらに範囲について与えられた終点を含む全範囲内の分割範囲は、参照される値、形状または状態の近似値を意味することが意図される。例えば、値と共に使用される場合、用語「約」は、述べられた値から±10%の分散を含むことを意図しており、例えば、述べられた値1には、0.9と1.1との間の値の範囲も含まれることになる。
【0032】
用語「実質的」は、大きなまたは重要な程度に存在し、完全に以下、以上または等しい量、特性、または価値を意味することを意図している。例えば、「実質的に垂直」は、「完全に垂直」よりも小さい、大きい、又は等しいとすることができる。
【0033】
本発明を説明する文脈における用語「a」及び「an」並びに「the」及び同様の参照語の使用は、本明細書において特に示されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方をカバーするように解釈されるものとする。用語「comprises」、「comprising」、「includes」、および「including」は、本明細書で使用する場合、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/またはコンポーネントの存在を規定するが、1または複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、コンポーネント、および/またはその群の存在または付加を排除しないことがさらに理解されるであろう。
【0034】
本明細書における値の範囲の再記述は、本明細書で特に指示しない限り、再記述された範囲内に入る各別の値を個別に参照するための速記法として役立つことを単に意図しており、各別の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれます。
【0035】
一実施形態」、「一実施形態」、「例示的実施形態」、「様々な実施形態」等への言及は、そのように説明された本発明の実施形態(複数可)が特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを示す場合があるが、すべての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含むわけではない。さらに、「一実施形態において」、または「例示的な実施形態において」というフレーズの繰り返し使用は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らないが、その可能性はある。
【0036】
本明細書で使用する場合、「方法」という用語は、化学、薬学、生物学、生化学、生物医学および医学の専門家に知られているか、または知られている方法、手段、技術および手順から容易に開発される方法を含むが、これらに限定されない所定のタスクを達成するための方法、手段、技術および手順を指す。特に明示しない限り、本明細書に記載された方法または態様が、そのステップが特定の順序で実行されることを要求するものとして解釈されることは決して意図されない。したがって、方法の請求項が、特許請求の範囲又は説明において、ステップが特定の順序に限定されることを具体的に述べていない場合、いかなる点においても、順序が推論されることを意図するものではない。これは、ステップの配置や操作の流れに関する論理の問題、文法的な構成や句読点から導かれる平易な意味、明細書に記載された局面の数や種類など、解釈のためのあらゆる可能な非表現根拠についても同様である。
【0037】
本明細書で使用する場合、「治療上有効な量」という用語は、患者において所望の生物学的または薬学的応答を引き出すのに十分な、身体に投与される物質、エネルギー、力、または他のものの量をいう。したがって、「治療上有効な量」は、場合によっては、そのような生物学的要因に依存することがある。さらに、治療効果の達成は、医師または他の資格を有する医療関係者が当該技術分野で知られている評価を用いて測定することができるが、個人差および治療に対する反応により、治療効果の達成はやや主観的な決定となりうることが認識されている。有効量の決定は、薬学および医学の技術における通常の技能の範囲内である。
【0038】
本明細書で使用する場合、「任意に」という用語は、その後に説明する事象又は状況が発生してもしなくてもよく、説明には当該事象又は状況が発生する例と発生しない例とが含まれることを意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「切除」は、凍結手術、超音波、高周波(RF)、光力学的療法、レーザー、機械的研磨、生物学的、化学的、または薬学的様式を含むがこれらに限定されない腫瘍および腫瘍細胞を破壊する複数の様式を包含することを意図する。本明細書でなされる任意の特定のモダリティ、例えば、冷凍アブレーションへの言及は、文脈が特にそうでないことを表現しない限り、1つの可能なアブレーションモダリティを例示することを意図している。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「流体」は、文脈が特にそうでないことを明示しない限り、どんなに小さくても、せん断応力を受けたときに連続的に変形する任意の物質を意味することを意図し、限定されないが、液体、気体、懸濁液、スラリー、およびゲルを含む。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「高温」は、相対的により正の温度を意味することを意図しており、例えば、-80℃は、-150℃に対する高温である。
【0042】
本明細書で使用する場合、用語「低温」は、相対的により負の温度を意味することを意図しており、例えば、-150℃は、-80℃に対する低温である。
【0043】
図1を参照すると、システム10の第1の実施形態は、冷凍アセンブリ100と、クライオプローブ300を有するオペレーター冷却プローブ200と、生体内温度条件にさらされると気相冷媒12aに気化するように構成された流体冷媒12bとを備える。いくつかの実施形態では、システムは、クライオプローブ300に通信可能に結合され、クライオプローブ300における温度を監視し表示するように構成された表示装置またはコンピューティングデバイス400を、冷却または冷凍アセンブリ100と動作可能に通信してさらに含む。
【0044】
冷却または冷凍アセンブリ100は、オペレータ冷却プローブ200からの冷媒蒸気12Aを、副冷却装置102を通り、圧縮機104を通り、冷媒蒸気を流体に凝縮するように構成された凝縮器106を通り、流体12Bを流体導管108を通り、副冷却装置102を通り、オペレータ冷却プローブ取入口115まで循環させるように構成されている蒸気取入口導管114を具える。いくつかの実施形態では、冷凍アセンブリ100は、オペレータ冷却プローブ100へのサイクリングの前に流体冷媒12Bの圧力および温度を低下させるように構成された絞り弁110をさらに備えている。他の実施形態では、システム10は、凝縮器106に結合された、または凝縮器106の一部として結合されたファン(図示せず)をさらに備え得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、および例として、冷凍アセンブリおよびシステムの動作パラメータは以下の通りである:流体冷媒12BはR-134Aからなり、システム10が必要とする冷却電力Qは40Wであってもよく、蒸発温度(オペレータ冷却プローブ200冷凍先端303の最低温度)Toは-40℃、凝縮温度(圧縮後の蒸気が達する圧力での冷媒飽和温度)Tcは40℃、凝縮器の上の冷却空気Tcooling_airは温度30℃であってもよい。システム10を通る冷媒質量流量M0は0.027 xE-3 kg/sであってもよく、圧縮機Pの電力は0.7の効率を有する19.28Wであってもよく、凝縮電力Qcは59.3Wであってもよく、性能係数は2.07であってもよい。凝縮電力は約32Wであってもよく、圧縮機は20Wから100Wの範囲の冷凍電力を有してもよい。当業者であれば、これらの動作パラメータは、流体冷媒12B及び圧縮機/凝縮器ハードウェアの変動、並びに所望のクライオプローブ温度に基づいて変化し得ることを認識するであろう。
【0046】
図2にさらに詳細に示すように、本発明の一態様では、オペレータ冷却プローブ200は、ハウジング201を備え、ハウジング201内に、流体室216、過剰流体室218、蒸気室210、流体室216と連絡する流体入口223、蒸気室210と連絡する蒸気出口225、および、流体密閉式にハウジング201と係合するクライオニードル300を収容する密封開口227が規定されている。ハウジング201の冷媒流体部分は、過剰流体室218が中央に配置され、流体室216が過剰流体室218を中心として周方向に配置された、概ねトロイダル形状であってよい。ハウジング201は、流体室216の外径に対応する外径Deと、過剰流体室218の内径に対応する内径Diとを有し、過剰流体室218の内径と主冷媒流体室216の外径とである、室長Liと、オペレータ冷却プローブ長Leとを有する。
【0047】
それぞれの直径DeおよびDiは、冷媒の質量流量M0に対して最適化されてもよい。流体の質量流量は、以下のように計算されてもよい M0=π(ρi)((Di)2 /4))。ここで、Viは、流体冷媒吸入口204における冷媒の速度であり、ρiは、冷媒の流体密度である。このように、Diは、以下のように計算することができる:Di = sqrt((4M0)/(πρiVi ))。冷媒にR-134を用いた上記の例では、Di = sqrt ((1.08E-03)/889.876)) = 0.0011 m = 1.1 mmとなる。設計上の余裕を考慮し、Diはさらに5mmとすることができる。蒸気の質量流量は、以下のように計算することができる:M0 = π (ρv) ((D )e2 /4))Vv 、ここで、Vv は、蒸気排気口212における冷媒蒸気速度であり、ρv は、蒸気密度である。このように、Deは、以下のように計算することができる。De = sqrt((4M0)/(πρiVv )). 冷媒にR-134を用いた上記の例では、De=sqrt((4×0.27E-3 kg/s)/(3.14×2.7777 kg/m3×3 m/s))=sqrt((1.08E-03)/26.16))=0.0064 m=6.4 mm。設計上の余裕を考慮し、Deはさらに5mmとすることができる。この例では、Liは約14cmであってもよく、Leは約18cmであってもよい。さらに、この例では、クライオプローブ300は、25cmの長さを有してもよく、長さの最大15cmがオペレータ冷却プローブ200の外側に延びることができ、またはいくつかの実施形態では、長さの最大9cmがオペレータ冷却プローブ200の外に延びることができる。クライオプローブ300はまた、Di内に収まるように3mmの直径を有していてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、図1図2、および図4に示すように、クライオプローブ300は、熱伝導性であり、組織に係合するように構成された少なくとも端部先端303を有する細長い部材301として構成される。クライオニードル300は、熱電対308が係合することができる内部ボア305をさらに含むことができる。熱電対308は、クライオプローブ300の温度を監視し、温度データをコンピュータ400に出力し、オペレータがクライオニードル300の温度を所望に応じて監視および調整することを可能にする。
【0049】
固定調整点302は、クライオプローブ300の細長い部材301の長さに沿って配置され、オペレータ冷却プローブ200に結合された締結具220と係合して、ハウジング201に対するクライオニードル300の位置を調整するように構成され得る。この実施形態では、クライオプローブ先端部303は、オペレータ冷却プローブ200の本体から離れるように延びるか、またはその中に引っ込むことができ、ファスナー220および固定調整点306を介して所定の位置に固定される。いくつかの実施形態では、固定調整点は針穴306であってもよく、締結具は格納式固定ピン220であってもよいが、いくつかの実施形態では、締結具は、針本体302および所定の部分を保持するように構成されたクランプ(不図示)であってもよい。
【0050】
追加の実施形態では、光学センサまたは撮像装置が、オペレータ冷却プローブ200またはクライオプローブ300に動作可能に結合されてもよく、例えば、標的器官または組織の拡大視覚データを中継し、その画像/映像をディスプレイまたはコンピューティングデバイス400に中継するように構成されたディスプレイまたはコンピューティングデバイス400に通信可能に結合された光ファイバカメラ(図示せず)等である。
【0051】
本発明のさらに別の態様では、熱電対308及び/又は画像処理装置に通信可能に結合されたコンピューティング装置400は、選択された手術に必要な温度構成で予め構成された又はカスタマイズ可能なオペレーティングシステム及びグラフィカルユーザインタフェースからさらに構成される。この実施形態では、システム10は、温度が特定の手術に対して高すぎるか低すぎる場合にユーザに警告し、コンプレッサまたは針の位置を自動的に調整するか、または適切な温度を達成するためにオペレータ冷却プローブ200内のコンプレッサを調整するか針の位置を調整するようにユーザに促すことができる。
【0052】
システムのいくつかの実施形態において、冷媒12A、12Bは、R-134aを含んでいる。R-134a、または1,1,1,2-テトラフルオロエタン(ノルフルラン(INN)、フレオン134a、フォラン134a、ジェネトロン134a、フローラソル134a、スバ134aとしても知られる、HFC-134a)は、ハイドロフルオロカーボン(HFC)およびハロアルカン冷媒で、熱力学的特性はR-12(ジクロロジフルオロメタン)に似ているが、オゾン破壊の可能性は僅少で、地球温暖化係数もやや低い(R-12のGWP 10,900 に対して 1,430 )。CH2 FCF3 の式で表されます。当業者であれば、代替冷媒を使用することができ、R-12、R-22、R-152、HFO-1234YF、R-1143A、HFO-1234ze、HC-290、HC-600a、R-513A、およびR-450Aが含まれるが、それだけに限らないことを認識する。
【0053】
冷凍アセンブリ100は、蒸気圧縮冷凍サイクルによって動作してもよく、スターリングサイクル冷却器、流体圧縮/膨張冷凍システム、熱電または冷凍および熱交換の技術分野で知られている他の冷却または冷凍システムを使用して動作してもよい。
【0054】
動作において、冷凍手術システム10を使用する方法は、流体冷媒12Bを冷凍アセンブリ100を通してオペレータ冷却プローブ200流体チャンバ202に循環させるステップと、クライオプローブ300を標的組織タイプに応じて-5℃~-80℃の間の温度まで冷却し、標的器官、組織、または骨に接触し、器官、組織から熱を伝導する、または骨をクライオプローブ300を通してクライオプローブ300の基部に伝え、伝導された熱を通して冷媒12を蒸気混合チャンバ210に気化させ、冷媒蒸気12を蒸気混合排気212を通して冷凍アセンブリ100に排気し、冷媒蒸気12Aを圧縮して凝縮に必要な圧力および温度に達し、冷媒蒸気12Aを凝縮して流動冷媒12Bにし、流動冷媒を流動導管108を通してオペレータ冷却プローブ200流動室202へ循環する。閉ループシステムは、冷媒12の効率的な使用および再利用をもたらす。
【0055】
いくつかの実施形態では、凝縮工程に続いて、方法は、絞り弁110を介して流体冷媒の圧力および温度を低下させる工程をさらに含むことができる。
【0056】
この方法の他の態様では、器官、組織、または骨から熱を遠ざけるステップの間、クライオプローブ300の熱電対308はクライオプローブ300の温度を記録し、温度を外部のディスプレイまたはコンピューティングデバイス400に報告する。さらに、温度を記録するステップの間、外部ディスプレイまたはコンピューティングデバイス400は、記録された温度を予め設定された適切な手術温度と比較し、追加の冷却のために圧縮機の回転を増加させる、または冷却を減少させるために回転を減少させるコマンドを送信する。
【0057】
本発明システムの特に優れた点は、クライオアブレーションで一般的に採用されている温度よりも比較的高い温度を発生させ、従来のクライオアブレーション処置で一般的に採用されている低い温度、例えば約-185℃までの温度を発生させることも可能な構成になっていることである。
【0058】
ここに開示する固形腫瘍の外科的介入方法は、腫瘍に対する患者自身の免疫学的攻撃を増強することが前提となっている。特に、本発明は、身体への外部刺激によって生じる介入的な免疫学的プライミングを含む。本明細書に開示された冷凍手術法、機械的手術法、放射線法、電気法、生物学的材料、化学剤、免疫学的薬剤、または感染剤、弱毒ウイルスまたは感染性生物細胞成分などの感染性生物成分によるワクチン接種、または養子細胞療法の使用により、標的腫瘍は患者自身の免疫学的防御および/または薬学的プロトコルに基づくその後の攻撃のためにプライミングされることになる。実際、前述の物理的アプローチを含む最初の外部介入は、腫瘍に対する患者自身の免疫学的攻撃が強化されるような追加の免疫学的および薬理学的組み合わせで、好ましくは介入の直後または先行)および時間の経過とともに続く。
【0059】
治療される腫瘍の位置に相対する周囲の健康な組織、すなわち、微小環境への損傷の可能性は、腫瘍の破壊または破壊を達成するために適用されるエネルギーの量に比例して増加する。本発明は、腫瘍が不完全に又は完全に破壊されないように、腫瘍に相対する周辺組織への外傷又は損傷を低減するために、印加エネルギーの量及び時間持続の両方を低減する。順次または同時投与、すなわち、冷凍アブレーションの前、後、または同時に免疫学的介入、免疫調節、および/または薬学的介入と組み合わせて採用すると、標的腫瘍ならびに既知または未知の衛星転移組織の完全破壊を達成できる。さらに、より少ないエネルギー利用の方法を採用することはまた、治療を効果的に行うためのそのようなツールが、従来のツールよりもコンパクトで、侵襲性が低く、典型的には、より安価であり得ることを意味する。
【0060】
今日の凍結外科処置は、一般に、約5分~約20分の期間、組織から約-180℃のレベルまで熱を除去する凍結源を適用する。本発明の冷凍手術方法は、微小環境に実質的に関与することなく、最大約45分の期間、約-80℃と約0℃の間のレベルまで治療中の組織から熱を除去する凍結ソースを適用するものである。
【0061】
本発明の方法を採用するための有用なアプローチでは、前述の範囲より低いレベル、例えば-80℃未満を読み取ることができるデジタル温度計に結合した温度プローブを挿入して、腫瘍を治療することができる。温度プローブを挿入した状態で、温度プローブによって測定される腫瘍組織内の温度が所望の温度に達するまで、凍結媒体を適用することができる。温度を測定する独立したプローブは、異なる戦略的位置に挿入することができる。組織の可視化、超音波、または他の適切な画像モダリティなど、対象となる組織の変化を監視することによって、温度プローブによって検出可能な最低温度よりも高い温度が使用される。
【0062】
本発明の場合、標的腫瘍組織の温度は、約1分~約10分の期間、約-20℃~約-45℃の間まで低下される。別の実施形態では、標的組織の温度は、約1分~約10分の期間、約-25℃~約-45℃の間のレベルまで、繰り返し周期で低下される。
【0063】
別の実施形態では、人は、約30秒、または約45秒、または約1分、または約1分半、または約2分、または約2分半、または約3分の期間、標的組織の温度を約-25℃と約-45℃との間のレベルまで下げる、または約3分半、または約4分、または約4分半、または約5分、または約5分半、または約6分、または約6分半、または約7分、または約7分半、または約8分、または約8分半、または約9分、または約9分半、または約10分である。別の実施形態では、人は、約30秒、または約45秒、または約1分、または約1分半、または約2分、または約2分半、または約3分の期間、標的組織の温度を約-30℃と約-40℃との間のレベルまで低下させる、または約3分半、または約4分、または約4分半、または約5分、または約5分半、または約6分、または約6分半、または約7分、または約7分半、または約8分、または約8分半、または約9分、または約9分半、または約10分である。別の実施形態では、人は、約30秒、または約45秒、または約1分、または約1分半、または約2分、または約2分半、または約3分の期間、標的組織の温度を約-35℃と約-40℃との間のレベルまで低下させる、または約3分半、または約4分、または約4分半、または約5分、または約5分半、または約6分、または約6分半、または約7分、または約7分半、または約8分、または約8分半、または約9分、または約9分半、または約10分。
【0064】
別の実施形態では、人は、当該技術分野で知られているような凍結外科プローブを使用して、標的組織を、約-70℃~約-80℃の間、または約-60℃~約-70℃の間、または約-50℃~約-60℃の間に凍らせる、または約-40℃と約-50℃の間、または約-30℃と約-40℃の間、または約-20℃と約-30℃の間、または約-10℃と約-20℃の間、または約0℃と約-10℃の間、または1つは、標的組織を約0℃から約-80の範囲内の温度に凍結させる、例えばg.,から約75℃、またはr約-65℃、または約-60℃、または約-55℃、または 約50℃、または約-45℃、または約-40℃、または 約35℃、または約-30℃、または約-25℃、または約-20℃、または約-15℃、または約-10℃、または約-5℃、または約0℃の間の温度に、標的組織を凍らせる。
【0065】
この実施形態では、組織の凍結は、約1分と約5分との間、または約5分と約15分との間、または約15分と約25分との間、または約25分と約35分との間、または約35分と約45分との間の期間にわたって達成される、または組織の凍結は、約1分の期間、または約5分の期間、または約10分の期間、または約15分の期間、または約20分の期間、または約25分の期間、または約30分の期間、または約35分の期間、または約40分の期間、または約45分の期間、または約50分の期間で達成する。
【0066】
本発明の別の実施形態では、標準的な現在の放射線療法で採用されているレベル以下の放射線を照射することによって、標的とする腫瘍の細胞を破壊することができるが、炎症反応をもたらすことができる。
【0067】
エネルギーの上述の適用のそれぞれは、細胞の破壊、すなわち細胞溶解をもたらすが、それ自体は、腫瘍組織全体を破壊しない。実際、治療のこの初期部分において、腫瘍の完全な破壊を回避することは、本発明の要素である。腫瘍を部分的に破壊することにより、破壊された細胞からの細胞内容物流出生成物は、腫瘍細胞が溶解される際に腫瘍細胞から放出される。この細胞内容物は生化学的シグナルを刺激し、宿主に備わっている免疫系を刺激して腫瘍の残骸を探し出し破壊させる。攻撃性の低い治療を行うには、それ自体が複雑でなく、コストが低いだけでなく、微小環境の近隣の健康な組織に対して意図しない害を与える可能性が低い送達方法が必要である。
【0068】
腫瘍は、切除された腫瘍細胞から細胞内容物を放出する方法で切除される。細胞内容には抗原やその他の物質が含まれ、リンパ系を通ってリンパ節に運ばれた微小環境において、患者さんの生来の免疫系に提示され、免疫系による認識と細胞応答を行うことで、免疫系を訓練してがん細胞を攻撃・排除します。腫瘍細胞を破壊することで、体は腫瘍のある部位に免疫細胞を集めるよう警告を発します。免疫療法と併用したこの特異的な腫瘍切除は、局所および全身の腫瘍細胞にアブスコパル効果をもたらし、免疫系に「記憶」を与えて、治療後に別の場所に出現するがん細胞を根絶することを可能にします。腫瘍を完全に破壊することは望ましくないが、腫瘍の微小環境または残存する原発腫瘍や他の転移細胞を根絶するのに必要な細胞物質を奪うことになる。アブスコパル効果は、免疫療法後に2回目の冷凍アブレーションを実施し、免疫療法と反応するために利用可能な腫瘍細胞内容を高めることによってさらに強化され得る。凍結切除および/または免疫療法および/または薬物療法の複数の連続したラウンドが本発明によって企図されることは、当業者によって理解されるであろう。
【0069】
冷凍手術の場合、一般的に採用されている窒素またはアルゴンベースの機械を、はるかに小型の、モーター駆動の冷凍手術機械、例えば、R. Radebaugh, J. Phys:コンデンス.Matter, Vol.21, 164219 (2009)、 A.T.A.M. de Waele, Basic operation of cryocoolers and related thermal machines, Review article, Journal of Low Temperature Physics, Vol.164、pp.179-236, (2011), DOI: 10.1007/s10909-011-0373-x、 T. Kuriyama, et al., Advances in Cryogenic Engineering 35B, 1261 (1990)、 and W.E. Gifford and R.C. Longsworth, Advances in Cryogenic Engineering 11, 171 (1966).それにもかかわらず、低圧の一般的な冷凍ガスを使用する任意の冷却/凍結機を使用することができます。腫瘍に冷却をもたらすために導電性金属を使用することもできる。腫瘍に冷却をもたらす溶液を注射針で注入したり、チューブを収容した拡張された管を通して注入することができる。本発明の方法を採用するために、上記の温度と時間のパラメータと組み合わせて、現在凍結手術に使用されている任意の凍結装置を使用することができます。液体窒素を用いない凍結手術装置は、面倒がなく、安全で安価である傾向があり、好まれる。
【実施例
【0070】
以下の実施例は、本発明をより深く理解することを容易にする。
実施例1:以下は、本発明の冷凍手術システムを採用する癌治療の例示的なプロトコルである。
【0071】
エネルギー照射の前に、エネルギー照射後の下流の免疫反応を促進するために、ホルモン遮断を行います。ホルモン遮断は、手術の1~3週間前にまず行われ、手術中も手術後も継続される。
【0072】
腫瘍は、超音波、CTスキャン、MRI、またはPETスキャンなどの画像モダリティによって可視化される。次に、腫瘍の少なくとも一部は、当該技術分野で知られているように、冷凍外科プローブを用いた低温適用によって処理される。画像診断法としてMRIが採用される場合、冷凍手術用プローブは、もちろんMRIと互換性がある。温度は測定され、腫瘍の変化が記録される。
【0073】
チェックポイント阻害剤は、腫瘍の近傍または腫瘍内、全身へのアプローチの場合は静脈から、腫瘍に効果を向ける場合は腫瘍を栄養する動脈から注入することができる。免疫調整剤、すなわち顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、2週間の期間は毎日、その後は週に2~3回投与される。米国食品医薬品局(「FDA」)により既に承認されているGM-CSFの定型用量を投与する。
【0074】
化学療法の軽い投与は、任意で 術後1~2週間に 、例えばシクロホスファミド25mgを1日1回経口投与する。
【0075】
1ヶ月後にフォローアップを行い、治療の効果を評価します。必要であれば、冷凍手術を繰り返し、GM-CSFを用いた免疫調節を継続する。
【0076】
また、エレクトロポレーションは、破壊されなかった腫瘍やその周辺組織で使用することもできる。エレクトロポレーションは、クライオアブレーションと同時、前または後に行うことができる。
【0077】
実施例2:別の例示的な治療プロトコルは、本発明の冷凍手術システム及び方法を採用する骨における転移性疾患に対するものである。
【0078】
骨に転移がある場合は、病変部の皮膚を切開した後、平たい頭や針を持つクライオプローブを当てます。現在の標準治療では、骨にクライオアブレーションを施すのは、痛みを和らげるための緩和処置に過ぎない。露出した腫瘍に穏やかにクライオアブレーションを施し、その後免疫調節を行うことで、最初に凍結した部分の、体の他の場所にある病気や骨に残存するがんに対する治癒的治療へと緩和を拡大することができる。つまり、緩和処置は、凍結された骨の腫瘍から離れた癌が存在する他の部位への治療的介入に変わるのである。骨癌の切除は、X線撮影や透視撮影などの放射線画像による画像診断下で行うことができる。
【0079】
実施例3:痛みの緩和を目的として、原発性骨腫瘍または骨転移組織にクライオアブレーションを適用する。癌細胞の増殖を抑制するために、切除と同時または切除後に、局所的または全身的な免疫調節剤を患者に投与することができる。例えば、ホスホジエステラーゼ-5阻害剤、例えばクエン酸シルデナフィル(VIAGRA Pfizer, New York, New York)の投与は、骨髄由来抑制細胞(MDSC)によるアルギナーゼおよび誘導性一酸化窒素シンターゼ発現をダウンレギュレートし、それにより成長する腫瘍の抑制機能を阻害することが知られている。例えば、Grabrilovich, D.I., et al, Nat Rev Immunol.2009 March、 9(3):162-174. doi: 10.1038/nri2506.また、免疫治療レジメンの一部として、インフルエンザワクチンを追加することもできる。
【0080】
本発明の好ましい実施形態が本明細書で説明されたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは、当業者には明らかであろう。治療プロトコルの例は、非限定的であることを意図しており、腫瘍タイプ、組織、治療プロトコルなどの例に過ぎない。本発明または発明者の着想およびその実施形態を明確に記録するために本明細書で提供される定義から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換が当業者には今、生じるであろう。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明を実施する際に採用され得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】