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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(54)【発明の名称】方法および組立キット
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/36 20060101AFI20231102BHJP
   F16F 1/368 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
F16F1/36 B
F16F1/368 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549009
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021079418
(87)【国際公開番号】W WO2022084542
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】102020127870.5
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523152374
【氏名又は名称】ラインメタル インヴェント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】ゴーティエ インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイサート マルティン
(72)【発明者】
【氏名】フェルスター ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ブランク デニス
【テーマコード(参考)】
3J059
【Fターム(参考)】
3J059AD05
3J059BA11
3J059BC04
3J059BC13
3J059BD01
3J059BD02
3J059DA12
3J059GA01
(57)【要約】
繊維複合プラスチックからなる板バネ装置(1)を製造するための方法であって、a)繊維複合プラスチックからなる板バネユニット(2)と、板バネユニット(2)を局所的に剛化するための複数の補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)とを備える組立キット(11)を準備する工程(S1)と、b)所望の用途に応じて板バネ装置(1)を設計する工程(S2)と、c)板バネ装置(1)の設計に応じて、組立キット(11)から補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)を選択する工程(S3)と、d)バネ装置(1)を形成するために、選択された補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)と板バネユニット(2)とを組み合わせる工程(S4)とを含む方法。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維複合プラスチックからなる板バネ装置(1)を製造するための方法であって、
a)前記繊維複合プラスチックからなる板バネユニット(2)と、前記板バネユニット(2)を局所的に剛化するための複数の補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)とを備える組立キット(11)を準備する工程(S1)と、
b)所望の用途に応じて前記板バネ装置(1)を設計する工程(S2)と、
c)前記板バネ装置(1)の設計に応じて、前記組立キット(11)から補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)を選択する工程(S3)と、
d)前記板バネ装置(1)を形成するために、前記選択された補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)と前記板バネユニット(2)とを組み合わせる工程(S4)と
を含む方法。
【請求項2】
工程d)において、前記選択された補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)は、前記板バネユニット(2)の撓み部(4)に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程d)において、前記選択された補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)は、前記撓み部(4)のそれぞれの内径部(5)に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程d)において、前記選択された補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)は、前記撓み部(4)に形状嵌合的におよび/または材料嵌合的に接続されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程a)は、前記板バネユニット(2)を断面が一定の連続ストランドとして形成する工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程a)は、その特性において互いに異なるタイプの補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程c)において、前記補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)は、前記選択された補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)の全てが同じタイプの補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)に属するように選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程a)において、前記補剛要素(8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’)は、前記補剛要素(8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’)が前記板バネユニット(2)よりも大きい剛性を有するように形成されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程a)において、前記補剛要素(8B、8B’、8B’’)は、前記板バネ装置(1)に荷重がかかると前記補剛要素(8B、8B’、8B’’)が弾性変形するように形成されることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程a)において、前記補剛要素(8B、8B’、8B’’)はエラストマーから形成されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程a)において、前記補剛要素(8C、8C’)は、前記補剛要素(8C、8C’)が、前記板バネユニット(2)よりも高い剛性を有するコア(12)と、少なくとも部分において前記コア(12)を囲み、かつ前記コア(12)よりも低い剛性を有するシェル(13)とを備えるように形成されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項12】
繊維複合プラスチックからなる板バネ装置(1)を製造するための組立キット(11)であって、
前記繊維複合プラスチックからなる板バネユニット(2)と、
前記板バネユニット(2)を局所的に剛化するための複数の補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)とを備え、
前記板バネユニット(2)と選択された補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)とは、前記板バネ装置(1)を形成するために組み合わせることが可能である
組立キット(11)。
【請求項13】
その特性において互いに異なるタイプの補剛要素(8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’)を特徴とする請求項12に記載の組立キット。
【請求項14】
前記補剛要素(8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’)は前記板バネユニット(2)よりも大きい剛性を有することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の組立キット。
【請求項15】
前記補剛要素(8C、8C’)は、前記板バネユニット(2)よりも高い剛性を有するコア(12)と、少なくとも部分において前記コア(12)を囲み、かつ前記コア(12)よりも低い剛性を有するシェル(13)とを備えることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の組立キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維複合プラスチックからなる板バネ装置を製造するための方法、および係る板バネ装置を製造するための組立キットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両において、バネは、自動車両のバネ取付のためのシャーシ内に設けられている場合がある。このようなバネは、通常、金属材料からなり、したがって、重量があり、腐食しやすい。繊維複合プラスチックからなるバネは、より軽量であり、腐食しにくいが、その設計および製造がより複雑である。特に、複合板バネは、その設計が鋼製コイルバネに比べて容易であるため、自動車分野において鋼製板バネに次第に取って代わるようになってきており、習得された製造プロセスを用いて急速に構築することが可能な、鋼製板バネよりも革新的な技術である。鋼製コイルバネに代わる1つの魅力的な概念は、繊維複合プラスチックからなる曲げバネである。このような曲げバネのための製造概念は既に存在している。しかしながら、これらは非常に高価であるため、経済的には魅力的ではない。
【0003】
具体的には、車両のシャーシの分野において、特に、例えば、およそ数百万台の自動車両といった大量の車両プラットフォームの場合、多種多様のバネの変形物が必要とされる。なぜなら、車両プラットフォームは、異なる車両モデルおよび構成に供されることが意図されているからである。すなわち、サスペンションは、例えば、動力化、ボディの高さ、スポーツタイプであるかコンフォートタイプであるかといった利用目的等が異なるために、重量クラスごとに異なる。したがって、様々なバネ変形物が必要とされる。鋼製バネの場合、これらの変形物は、大きな追加コストを必要とすることなく生産することが可能である。なぜなら、これらの成形は、フリーハンド法で行われるため、すなわち、これらは工具に束縛されないためである。
【0004】
繊維複合プラスチックからなるコイルバネは、軽量効果があまりにも低く、製造プロセスがあまりにも複雑である繊維複合プラスチックの異方性材料特性によって、性能が低すぎる。一方、繊維複合プラスチックからなる曲げバネは、特に、ジグザグ形状の曲げバネの撓み部の内径部において、応力荷重が高すぎる。これにより、性能が限定されるか、または破損が生じる場合がある。本出願人は、これら上述の撓み部が安定化される社内の先行技術について認識している。そこでは、バネ作用は、撓み部において互いに強固に接続された板バネ部によってのみ行われる。
【0005】
しかしながら、上記概念は、大量生産品として経済的に魅力的なものとなるには製造プロセスが複雑すぎる。変形物の生産に関し、鋼製バネは、工具を必要としないため有利であり、製造プロセスが習得されていることにより、容易に設計可能であり、少量であっても経済的に生産することが可能である。一方、繊維複合体からなるバネは、工具の束縛を受ける。これは、当該バネの生産を可能にするためには、バネサイズごとに、あるいは荷重容量ごとに別個の工具を作製しなければならないということを意味する。車両プラットフォーム1つ当たりの生産量が高いので、バネ1つ当たりの工具据付コストは、ユニットの総数が多いにもかかわらず高くなる。それに加えて、バッチサイズが減少し、構成の複雑性および数が増加する。経済効率は、変形物の数と共に大きく減少する。
【0006】
このような背景に鑑み、本発明の1つの目的は、繊維複合プラスチックからなる板バネを製造するための改良された方法を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
したがって、繊維複合プラスチックからなる板バネ装置を製造するための方法が提案される。当該方法は、a)繊維複合プラスチックからなる板バネユニットと、板バネユニットを局所的に剛化するための複数の補剛要素とを備える組立キットを準備する工程と、b)所望の用途に応じて板バネ装置を設計する工程と、c)板バネ装置の設計に応じて、組立キットから補剛要素を選択する工程と、d)板バネ装置を形成するために、選択された補剛要素と板バネユニットとを組み合わせる工程とを含む。
【0008】
板バネ装置は、限られた数の異なる補剛要素しか必要としない組立キットに基づいて製造することができるため、多数の異なる板バネ装置を低いコストおよび少ない労力で生産することが可能である。少量生産品であっても低コストで生産することができる。
【0009】
繊維強化プラスチック(FRP)は、繊維強化プラスチック材料とも称される場合がある。繊維強化プラスチックは、プラスチック材料、具体的には、例えば天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの繊維が埋め込まれたプラスチック母材を含む。プラスチック材料は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂であってもよい。繊維は、連続繊維であってもよい。しかしながら、繊維は、数ミリメートルから数センチメートルの繊維長を有する、長さの短い繊維または中程度の長さの繊維であってもよい。繊維は、プラスチック材料において、方向性を有するように配置されてもよく、方向性を有しないように配置されていてもよい。板バネユニットは、層状構造または積層構造を有していてもよい。この目的で、例えば、プラスチック材料を繊維布帛または繊維スクリムの層に含侵させる。しかしながら、あるいは、いわゆるプリプレグ、すなわち、予備含浸繊維、繊維布帛または繊維スクリムを用いて板バネユニットを製造することができる。
【0010】
本文脈において、「板バネユニット」は、互いに接続され、それにより好ましくはジグザグまたは曲折状の幾何学形状を形成する複数の板バネ要素または板バネ部から構成されたバネまたはバネ要素であると理解される。個々の板バネ部は、リーフ状または板状の幾何学形状を有していてもよい。しかしながら、「リーフ状」または「板状」は、板バネ部が曲がっていること、あるいは任意の三次元形状を排除するものではない。板バネユニットとは異なり、円筒バネまたはコイルバネは、コイルバネが円筒状の幾何学形状を有するように螺旋状に形成された連続ワイヤを有する。好ましくは、板バネ装置は圧縮バネである。しかしながら、板バネ装置は、引張バネであってもよい。
【0011】
板バネユニットは、好ましくは、曲げバネまたは曲げバネユニットであるか、あるいはそのように設計されていてもよい。本文脈における「曲げバネ」または「曲げバネユニット」とは、部品を意味し、最も単純なケースでは、荷重下で弾性的に、したがって可逆的に変形する棒状の曲げ梁を意味する。使用される材料の材料特性および板バネユニットの幾何学形状は、板バネユニットの変形挙動に影響を及ぼす。
【0012】
板バネ装置は、板バネ装置が板バネユニットおよび補剛要素の両方を備える点で板バネユニットとは異なる。すなわち、板バネユニットおよび補剛要素は、板バネ装置の一部である。一方、補剛要素は、板バネユニットの一部ではない。しかしながら、このことは、補剛要素が板バネユニットに取り付けられていたり固定されていたりすることを排除するものではない。板バネ装置は、複数の板バネユニットを備えていてもよい。
【0013】
本例において、板バネ装置が繊維複合プラスチックからなるということは、板バネ装置が他の材料も含むことを排除するものではない。本文脈において、「剛性」とは、弾性変形に対する板バネユニットの耐性であると理解されるべきである。すなわち、補剛要素は、弾性変形に対する板バネユニットの耐性が変化する、具体的には、増加するように板バネユニットに影響を及ぼすよう構成されている。本文脈において「局所的に」とは、板バネユニットが、特定の部分においてのみ、すなわち、補剛要素が設けられている部分においてのみ剛化されることを意味する。
【0014】
組立キットを準備する工程において、好ましくは、複数の板バネユニットが製造される。好ましくは、これらの板バネユニットは同一である。したがって、複数の補剛要素もまた製造される。組立キットは、多数の異なる補剛要素を備えていてもよい。板バネ装置の設計は、例えば、コンピュータプログラムを利用して行われてもよい。しかしながら、これは必ずしも必要ではない。所望の用途は、例えば、異なる構成で製造される特定のタイプの車両であってもよい。自動車両のこれらの構成のそれぞれについて、組立キットを用いて、別個の板バネ装置が製造されてもよい。
【0015】
補剛要素は、上記設計に基づいて選択される。すなわち、板バネ装置の設計の際、例えば、その幾何学形状、そのバネ撓みおよび/またはそのバネ定数が決定されるか計算される。このデータに基づき、組立キットから適した補剛要素が選択され、続いて、板バネ装置を形成するために、板バネユニットと組み合わされる。本文脈において、「組み合わせる」とは、補剛要素を板バネユニットの特定の領域に取り付けることであると理解されるべきである。この目的で、補剛要素は、例えば、板バネユニットに接着されてもよい。
【0016】
一実施形態によれば、工程d)において、選択された補剛要素は、板バネユニットの撓み部に取り付けられる。
【0017】
上述のように、板バネユニットは、好ましくは、複数の弾性変形可能な板バネ部を備える。板バネ部は、撓み部によって互いに接続されている。すなわち、板バネユニットは、撓み部において、具体的には、各場合において、180°撓む。これにより、板バネユニットの構造は、ジグザグ形状または曲折形状となる。具体的には、補剛要素は、撓み部を剛化する。これにより、撓み部は、板バネ部に比べて高い剛性を有し、それにより、板バネ装置に荷重がかかると、板バネ部のみが変形し、撓み部は変形しない。具体的には、これにより、撓み部、特に、撓み部の内径部において、板バネユニットに破損を生じさせ得る限界圧縮応力が発生することが回避される。
【0018】
さらなる実施形態によれば、工程d)において、選択された補剛要素は、撓み部のそれぞれの内径部に取り付けられる。
【0019】
具体的には、各撓み部は、外径部および内径部を有する。内径部のそれぞれに、補剛要素が設けられている。この点で、板バネユニットの撓み部に補剛要素が設けられていてもよい。あるいは、板バネユニットの選択された撓み部にのみ補剛要素が設けられていてもよい。
【0020】
さらなる実施形態によれば、工程d)において、選択された補剛要素は、撓み部に形状嵌合的におよび/または材料嵌合的に接続される。
【0021】
形状嵌合接続は、互いに前後にかみ合うか、あるいは係合する少なくとも2つの接続相手によって形成される。材料結合接続の場合、接続相手は、原子間力または分子間力によって結合される。材料結合接続は、接続手段および/または接続相手を破壊することによってしか分離することができない分離不能接続である。材料結合接続は、例えば、接着結合により接続することができる。すなわち、補剛要素は、撓み部内に接着されてもよい。あるいは、補剛要素は、撓み部内に挿入されるか、あるいは挟み込まれてもよい。補剛要素はまた、撓み部に完全に非確実動作的に接続されてもよい。摩擦接続は、互いに接続される表面の垂直力を必要とする。非確実動作接続は、摩擦接続によって実現することができる。
【0022】
さらなる実施形態によれば、工程a)は、板バネユニットを断面が一定の連続ストランドとして形成する工程を含む。
【0023】
これにより、板バネユニットを大量にコスト効率よく製造することができる。好ましくは、板バネユニットは、一体部品であり、具体的には、材料的に一体である。本例において「一体」または「1つ」とは、板バネユニットは連続した部品であって、異なる部品で構成されるものではないことを意味する。本例において「材料的に一体」とは、板バネユニット全体が同じ材料、すなわち、繊維複合プラスチックからなることを意味する。本文脈において、板バネユニットの断面が「一定」であるとは、当該断面がふくらみやくびれなどを有しないことを意味する。具体的には、撓み部分は、板バネ部分に対して補強されたり、厚みが大きくされたりしていない。
【0024】
さらなる実施形態によれば、工程a)は、その特性において互いに異なるタイプの補剛要素を形成する工程を含む。
【0025】
例えば、「特性」は、本文脈において、補剛要素の形状または幾何学形状、剛性、弾性係数、材料、バネ定数などであると理解され得る。具体的には、組立キットは、少なくとも2つの異なるタイプの補剛要素を備える。
【0026】
さらなる実施形態によれば、工程c)において、補剛要素は、選択された補剛要素の全てが同じタイプの補剛要素に属するように選択される。
【0027】
すなわち、同一の補剛要素が板バネユニットの撓み部分に取り付けられる。あるいは、補剛要素は、異なるタイプの補剛要素が板バネユニットに取り付けられるように選択されてもよい。これにより、板バネ装置の製造をさらに多様化することができる。
【0028】
さらなる実施形態によれば、工程a)において、補剛要素は、補剛要素が板バネユニットよりも大きい剛性を有するように形成される。
【0029】
上述のように、「剛性」とは、弾性変形に対する、具体的には、それぞれの撓み部の耐性であると理解されるべきである。具体的には、補剛要素に関し、その剛性は、それぞれの撓み部の剛性を基準とするものであると理解されるべきである。この剛性は、例えば、補剛要素の幾何学形状または対応する材料選択によって影響され得る。例えば、補剛要素は、いわゆるバルクモールディングコンパウンド(BMC)からなる。BMCは、繊維母材の半製品である。しかしながら、補剛要素は、例えば、金属材料またはセラミック材料からなるものであってもよい。補剛要素が板バネユニットよりも大きい剛性を有する場合、板バネ部は、板バネ装置に荷重がかかったときに補剛要素の周囲で屈曲する。好ましくは、撓み部は、このプロセスにおいて変形しない。
【0030】
さらなる実施形態によれば、工程a)において、補剛要素は、板バネ装置に荷重がかかると補剛要素が弾性変形するように形成される。
【0031】
例えば、補剛要素は、樹脂エラストマーまたはゴムからなるものであってもよい。この場合、板バネ装置に荷重がかかると、補剛要素は、弾性変形し、それぞれの撓み部から少なくとも部分において押し出される。この場合、補剛要素により、撓み部における均一な応力分布が保証されるので、撓み部の内径部において圧縮応力のピークが発生することはない。
【0032】
さらなる実施形態によれば、工程a)において、補剛要素はエラストマーから形成される。
【0033】
樹脂エラストマーまたはゴムは用途を有し得る。しかしながら、上述のように、補剛要素は、金属材料またはセラミック材料からなるものであってもよい。しかしながら、この場合、補剛要素は変形しない。
【0034】
さらなる実施形態によれば、工程a)において、補剛要素は、補剛要素が、板バネユニットよりも高い剛性を有するコアと、少なくとも部分においてコアを囲み、かつコアよりも低い剛性を有するシェルとを備えるように形成される。
【0035】
例えば、コアは、上述のようなBMCからなる。一方、シェルは、エラストマーからなるものであってもよい。コアは、シェル内に配置される。好ましくは、シェルは、コアを完全に包囲している。板バネ装置に小さい荷重がかかると、最初に、シェルのみが弾性変形し、それぞれの撓み部に等しい応力分布をもたらす。これに対し、板バネ装置に高い荷重がかかると、板バネ部は、変形不能なコアの周囲で屈曲する。
【0036】
さらに、繊維複合プラスチックからなる板バネ装置を製造するための組立キットが提案される。当該組立キットは、繊維複合プラスチックからなる板バネユニットと、板バネユニットを局所的に剛化するための複数の補剛要素とを備え、板バネユニットと選択された補剛要素とは、板バネ装置を形成するために組み合わせることが可能である。
【0037】
組立キットは、上述の方法を行うのに特に適している。組立キットは、複数の板バネユニットを備えていてもよい。板バネユニットは、全て同一であってもよい。しかしながら、異なるタイプの板バネユニットが設けられてもよい。これにより、板バネ装置の製造において可能な変形物の数が増加する。具体的には、組立キットは、複数の異なるタイプの補剛要素を備える。組立キットに関する全ての実施形態は、上記方法にも適用可能であり、その逆も可能である。
【0038】
一実施形態によれば、組立キットは、その特性において互いに異なるタイプの補剛要素を備える。
【0039】
上述のように、補剛要素は、例えば、その幾何学形状または形状において互いに異なっていてもよい。しかしながら、補剛要素は、使用される材料、したがって、その材料特性において互いに異なっていてもよい。
【0040】
さらなる実施形態によれば、補剛要素は板バネユニットよりも大きい剛性を有する。
【0041】
補剛要素の剛性が板バネユニットの剛性よりも大きい場合、板バネ装置に荷重がかかると、板バネ部は、それぞれの補剛要素の周囲で屈曲する。しかしながら、補剛要素は、弾性変形可能であってもよい。この場合、補剛要素は、板バネ部が次いで補剛要素の周囲で屈曲するまで、初めは変形する。
【0042】
さらなる実施形態によれば、補剛要素は、板バネユニットよりも高い剛性を有するコアと、少なくとも部分においてコアを囲み、かつコアよりも低い剛性を有するシェルとを備える。
【0043】
上述のように、シェルは、コアを完全に包囲していてもよい。コアは、好ましくはBMCからなる。一方、シェルは、例えば、エラストマーからなるものであってもよい。具体的には、コアは変形不能であってもよい。一方、シェルは、弾性変形可能である。
【0044】
本明細書で用いられる「1つ」とは、必ずしも厳密に1つの要素に限定されるものではないと理解されるべきである。むしろ、2つ、3つ、またはそれ以上といった多数個の要素が設けられていてもよい。また、本明細書で用いられる他の計数語は、要素の数を厳密にその数に限定するものではないと理解されるべきである。むしろ、別段の表示がない限り、上方および下方への数値の変動が考えられる。
【0045】
上記方法および/または組立キットの考えられるさらなる実施例は、実施形態に関して前述した、あるいは後述する特徴または実施形態の、明示されていない組合せも含む。この点で、当業者であれば、上記方法および/または組立キットのそれぞれの基本形態に対する改良または追加として個々の態様も追加するであろう。
【0046】
上記方法および/または組立キットのさらなる有利な実施形態ならびに態様は、サブクレームの主題、ならびに後述の方法および/または組立キットの実施形態である。さらに、上記方法および/または組立キットについて、添付の図面を参照して好適な実施形態によってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】板バネ装置の実施形態の概略図を示す。
図2図1に係る板バネ装置の別の概略図を示す。
図3図1に係る板バネ装置を製造するための組立キットの一実施形態の概略図を示す。
図4図1に係る板バネ装置の概略部分図を示す。
図5図1に係る板バネ装置のさらなる概略部分図を示す。
図6図1に係る板バネ装置のさらなる概略部分図を示す。
図7図1に係る板バネ装置のさらなる概略部分図を示す。
図8図1に係る板バネ装置のさらなる概略部分図を示す。
図9図1に係る板バネ装置のさらなる概略部分図を示す。
図10図1に係る板バネ装置のさらなる概略部分図を示す。
図11図1に係る板バネ装置のさらなる概略部分図を示す。
図12図1に係る板バネ装置のさらなる概略部分図を示す。
図13図1に係る板バネ装置を製造するための方法の一実施形態の概略ブロック図を示す。
【0048】
図中、同一または機能的に同一の要素には、別段の表示がない限り、同じ参照符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、板バネ装置1の概略図を示す。板バネ装置1は、自動車両、具体的には車輪付き車両での使用に適している。板バネ装置1は、自動車両のホイールサスペンションの領域において使用され得る。
【0050】
板バネ装置1は、板バネユニット2を備える。板バネユニット2は、繊維強化プラスチック材料または繊維強化複合プラスチック(FRP)または繊維複合プラスチックからなる。繊維強化プラスチック材料は、プラスチック材料、具体的には、例えば天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの繊維が埋め込まれたプラスチック母材を含む。プラスチック材料は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂であってもよい。しかしながら、プラスチック材料は熱可塑性樹脂であってもよい。繊維は、連続繊維であってもよい。しかしながら、繊維は、数ミリメートルから数センチメートルの繊維長を有する、長さの短い繊維または中程度の長さの繊維であってもよい。板バネユニット2は、層状構造または積層構造を有していてもよい。この目的で、例えば、プラスチック母材を繊維布帛または繊維スクリムの層に含侵させる。しかしながら、あるいは、いわゆるプリプレグ、すなわち、予め含浸させた繊維、繊維布帛または繊維ウェブを用いて板バネユニット2を製造することもできる。
【0051】
板バネユニット2は、曲折した幾何学形状を有する。板バネユニット2は、撓み部4において互いに接続された複数の板バネ部3を有する。板バネ部3の数は任意である。図1では、各場合において、2つの板バネ部3および1つの撓み部4のみに参照符号が付されている。個々の板バネ部3は、それぞれ、S字状の幾何学形状を有するか、あるいは側面図においてS字状の経路を有し得る。各撓み部4は、内径部5および外径部6を有する。
【0052】
板バネ部3は、互いに一体に接続されてもよく、具体的には、撓み部4により、1つの材料で一体に形成されてもよい。本例において「一体に」あるいは「1つに」とは、板バネ部3と撓み部4とが共通の部品を形成しており、異なる部品から構成されるものではないということを意味する。本例において、「1つの材料で一体に形成される」とは、具体的には、板バネ部3および撓み部4の全体が同じ材料からなるということを意味する。板バネユニット2は、連続ストランドまたは連続ストリップである。
【0053】
板バネ装置1は、板バネ装置1に荷重がかかると、撓み部4に変形が全く生じないか、あるいは、少なくとも、目に見えるほどの変形が生じないように設計されている。一方、板バネ部3は、それぞれ、中央領域7において変形し、外側から作用する荷重に対抗するバネ力を発生させる。
【0054】
図1は、非載荷状態あるいは撓んだ状態にある板バネ装置1を示す。これに対し、図2は、載荷状態あるいは圧縮状態にある板バネ装置1を示す。圧縮状態において、非載荷状態ではS字状である板バネ部3は平面形状を有している。
【0055】
撓み部4が変形し、板バネ部3が実質的に領域7においてのみ変形するように、板バネ装置1は、補剛要素8を有し、そのうち1つのみが図1において参照符号が付されている。補剛要素8は、インサート要素またはインサートとも称される場合がある。補剛要素8は、板バネユニット2を撓み部4において局所的に剛化し、それにより、板バネユニット2は、実質的に領域7においてのみ弾性的に変形する。
【0056】
補剛要素8は、撓み部4のうち選択されたもの、またはその全てに挿入され、具体的には、撓み部4のそれぞれの内径部5に挿入される。この点で、補剛要素8は、板バネユニット2に、例えば、物質係止的に、力係止的に、および/または形状係止的に接続されてもよい。物質係止接続の場合、接続相手は、原子間力または分子間力によって結合される。物質係止接続は、接続手段および/または接続相手を破壊することによってしか分離することができない分離不能接続である。材料結合接続は、例えば、接着結合または加硫によって形成することができる。
【0057】
摩擦接続は、接続される表面の垂直力を必要とする。非確実動作接続は、摩擦係止によって実現することができる。表面の互いに対する位置ずれは、静止摩擦によって生じる反力を超えない限り防止される。形状嵌合接続は、互いに係合するかあるいは前後に係合する少なくとも2つの接続相手によって形成される。換言すれば、補剛要素8は、解除可能にまたは解除不能に板バネユニット2に接続される。
【0058】
補剛要素8を用いることにより、板バネユニット2の応力耐性(stressability)は、圧縮応力の最適化された分布を実現することにより高めることができる。形状に関連する板バネ概念の欠点、すなわち、具体的には、撓み部4の内径部5(当該欠点は、内径部5において材料限界圧縮応力をもたらし得る)が補われる。このように、応力に対する重要性が低い板バネ部3において変形エネルギーを支えるという点で、材料によってもたらされる繊維複合プラスチックの潜在力を十分に活用することもできる。
【0059】
この目的で、いくつかの作用が利用される。一方では、板バネ部3は、それぞれの補剛要素8上で転動し、それによって、撓み部4の制御された相対変形および撓み部4における圧縮応力の制御された蓄積が行われる。この転動は、図2において矢印9を用いて示されている。これにより、補剛要素8の動作モードを撓みプーリの動作モードと比較することができる。
【0060】
これに加えてまたはその代わりに、1つまたは複数のそれぞれの補剛要素8の圧縮が行われる。この圧縮あるいは変形は、図2において、矢印10によって示されている。この場合、補剛要素8は、例えば、エラストマーからなる。この圧縮により、撓み部4における板バネユニット2の変形を減少させる応力が発生し、それにより、圧縮応力のより均一な分布ももたらされる。具体的には、補剛要素8は、応力ピークが防止されるか、あるいは少なくとも低減されるように、応力を均一に分布させる。よって、撓み部4のそれぞれの内径部5における限界圧縮応力ピークは、補剛要素8を用いて防止される。
【0061】
異方性繊維複合プラスチックの材料特有の利点は、板バネユニット2を補剛要素8と組み合わせるという概念によって、十分に活用することできる。なぜなら、板バネ装置1の可能な総荷重は、板バネ部3、具体的には、設計による領域7内へのエネルギー変位によって増加させることができるからである。
【0062】
さらに、予め作製された板バネユニット2内に、またはその上に補剛要素8を実装することにより、経済的な製造プロセスを行うことができる。積層コアを有するバネとは異なり、板バネユニット2の製造の際に、連続的なドレーピングプロセスが行われてもよい。補剛要素8の内部積層(laminating-in)を省略することができる。プロセスの中断を回避し、かつ、オーバードレーピングの際に空気溜りを生じさせ得る導入多孔度を積層コア自体または不連続領域によって低減することにより、品質改善を実現することができる。
【0063】
さらに、補剛要素8の形態のコアを省略することにより、より規則的な繊維プロファイルを実現することができる。なぜなら、繊維プロファイルにおけるずれ、具体的には、撓み部4の外径部6における樹脂の蓄積の増加につながり得る、コアの加圧および硬化が加圧プロセスにおいて行われないからである。これにより、品質および再現性が改善される。
【0064】
さらに、板バネユニット2を補剛要素8と組み合わせるという概念は、板バネ装置1のバネ特性を適合させる可能性をも開くものである。これは、補剛要素8の挿入を用いて撓み部4を容易に適合可能に剛化することにより、板バネユニット2の製造の処理工程の下流で行うことができる。
【0065】
例えば、同じ工具を用いて必ず製造可能である、常に同一の硬化済みストランド状・一方向板バネユニット2とは独立に、例えば、その形状、大きさ、材料等において互いに異なる最も多様な補剛要素8を挿入することにより、ほぼ同じ断面を有する板バネ装置を、ここでは最も多様な特性で容易に製造することが可能である。1つの補剛要素8または複数の補剛要素8は、板バネユニット2の製造プロセスとは独立して、後に外部から挿入することが可能であるため、ドレーピング・硬化処理は、設定すべき板バネ装置1の特性と切り離される。これにより、板バネ装置1の製造の自由度が高くなる。
【0066】
予め作製された板バネユニット2を後に挿入される補剛要素8と組み合わせることにより、繊維複合プラスチックの材料特有の性能を最大限利用することが可能となり、これは上記概念によるものである。これは、板バネ装置1、具体的には補剛要素8の特別な構造および設計、ならびにその物理的な動作原理が、撓み部4における材料特有の弱点を補い、したがって、板バネ装置1のエネルギー吸収が大きく最適化されることによるものである。
【0067】
図3は、上述のような板バネ装置1を製造するために使用され得る組立キット11の概略図を示す。組立キット11は、少なくとも1つの上述のような板バネユニット2と、複数の補剛要素8とを備える。この点で、組立キット11は、任意の数の異なるタイプまたは種類の補剛要素8を備える。補剛要素8のタイプは、例えば、その剛性、形状、大きさ、材料等において異なっていてもよい。
【0068】
図4および図5は、補剛要素8Aのさらなる実施形態を備える板バネ装置1の概略部分図をそれぞれ示す。補剛要素8Aは、いわゆるバルクモールディングコンパウンド(BMC)などの非圧縮性材料からなる。BMCは、繊維母材の半製品である。BMCは、最も一般的には、ガラス短繊維およびポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂を含むが、他の強化用繊維または樹脂系も考えられる。しかしながら、補剛要素8Aは、金属材料またはセラミック材料からなるものであってもよい。
【0069】
図4は、高荷重下の板バネ装置1を示す。ここで、図4では、板バネ部3は、板バネ装置1の撓んだ状態あるいは非載荷状態において破線で示されている。圧縮状態あるいは載荷状態において、板バネ部3は、実線で示されている。板バネ装置1に荷重がかかると、板バネ部3は、補剛要素8Aの周囲で屈曲する。これに対し、図5は、低荷重状態にある板バネ装置1を示す。軽荷重状態において、板バネ部3は、わずかに変形し、補剛要素8Aの周囲でわずかに屈曲する。
【0070】
図6は、板バネ装置1の特性がどのように影響されるかを示す。この目的で、その形状および幾何学形状がそれぞれ互いに異なる、異なるタイプの補剛要素8A、8A’、8A’’が設けられている。例えば、補剛要素8A’’を用いて得られる撓み部4の剛化は、補剛要素8Aを用いて得られるものよりも大きい。
【0071】
図7から図9は、補剛要素8Bのさらなる実施形態を備える板バネ装置1の概略部分図をそれぞれ示す。補剛要素8Aとは異なり、補剛要素8Bは弾性変形可能である。例えば、補剛要素8Bは、エラストマー、具体的には、樹脂エラストマーからなるものであってもよい。例えば、補剛要素8Bは、ゴムからなるものであってもよい。
【0072】
図7は、高荷重下の板バネ装置1を示す。ここで、図7では、板バネ部3は、板バネ装置1の撓んだ状態あるいは非載荷状態において破線で示されている。圧縮状態あるいは載荷状態において、板バネ部3は、実線で示されている。板バネ装置1に荷重がかかると、板バネ部3は、弾性変形するが、変形可能な補剛要素8Bの周囲では屈曲しない。しかしながら、補剛要素8Bそれ自体が弾性変形する。
【0073】
変形した補剛要素8Bにより、それぞれの撓み部4において均一な応力分布がもたらされる。板バネ装置1の撓み状態において、補剛要素8Bの外側輪郭は、図7において破線で示されている。圧縮状態において、補剛要素8Bの外側輪郭は、実線で示されている。これに対し、図8は、低荷重状態にある板バネ装置1を示す。低荷重状態において、板バネ部3は、わずかに変形する。補剛要素8B自体が弾性変形する。
【0074】
図9は、板バネ装置1の特性がどのように影響されるかを示す。この目的で、その形状および幾何学形状がそれぞれ互いに異なる、異なるタイプの補剛要素8B、8B’、8B’’が設けられている。例えば、補剛要素8B’’を用いて得られる撓み部4の剛化は、補剛要素8Bを用いて得られるものよりも大きい。
【0075】
図10から図12は、補剛要素8Cのさらなる実施形態を備える板バネ装置1の概略部分図をそれぞれ示す。補剛要素8Cの特性は、上述の補剛要素8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’の組合せに由来する。補剛要素8Cは、複合体要素または複合材料要素である。補剛要素8Cは、例えば、BMCからなる非圧縮性コア12と、コア12を封入するシェル13とを備える。シェル13は、エラストマーからなるものであってもよい。
【0076】
図10は、高荷重下の板バネ装置1を示す。ここで、図10では、板バネ部3は、板バネ装置1の撓んだ状態あるいは非載荷状態において破線で示されている。圧縮状態あるいは載荷状態において、板バネ部3は、実線で示されている。板バネ装置1に荷重がかかると、板バネ部3は、補剛要素8Cの周囲、具体的には、コア12の周囲で屈曲する。同時に、シェル13は弾性変形する。
【0077】
板バネ装置1の撓み状態において、シェル13の外側輪郭は、図10において破線で示されている。圧縮状態において、シェル13の外側輪郭は、実線で示されている。これに対し、図11は、低荷重状態にある板バネ装置1を示す。軽荷重状態において、板バネ部3は、わずかに変形し、コア12の周囲でわずかに屈曲する。同時に、シェル13も弾性変形する。
【0078】
図12は、板バネ装置1の特性がどのように影響されるかを示す。この目的で、そのシェル13が異なる幾何学形状および/または材料特性を有するという点で互いに異なる、異なるタイプの補剛要素8C、8C’が設けられている。例えば、補剛要素8C’を用いて得られる撓み部4の剛化は、補剛要素8Cを用いて得られるものよりも大きい。
【0079】
図13は、板バネ装置1を製造するための方法の一実施形態の概略ブロック図を示す。この方法では、工程S1において、繊維複合プラスチックからなる板バネユニット2と、板バネユニット2を局所的に剛化するための複数の補剛要素8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’とを備える組立キット11が準備される。
【0080】
組立キット11を準備する工程は、板バネユニット2および補剛要素8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’を作製する工程を含んでいてもよい。この点で、異なるタイプもしくは種類の板バネユニット2および/または補剛要素8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’が製造されてもよい。
【0081】
工程S2において、板バネ装置1は、所望の使用事例に応じて設計される。使用事例は、例えば、車両プラットフォームの特定の構成であってもよい。設計は、コンピュータプログラムを用いて行われてもよい。設計の際、例えば、板バネ装置1のバネ定数および/または寸法が決定される。
【0082】
工程S3において、補剛要素8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’は、板バネ装置1の設計に応じて組立キット11から選択される。続く工程S4において、板バネ装置1を形成するために、選択された補剛要素8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’および板バネユニット2が組み立てられるかあるいは組み合わせられる。この点で、補剛要素8、8A、8A’、8A’’、8B、8B’、8B’’、8C、8C’は、例えば、板バネユニット2に接合されてもよい。
【0083】
本発明について実施形態の例を参照して説明したが、本発明は様々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 板バネ装置
2 板バネユニット
3 板バネ部
4 撓み部
5 内径部
6 外径部
7 領域
8 補剛要素
8A 補剛要素
8A’ 補剛要素
8A’’ 補剛要素
8B 補剛要素
8B’ 補剛要素
8B’’ 補剛要素
8C 補剛要素
8C’ 補剛要素
9 矢印
10 矢印
11 組立キット
12 コア
13 シェル
S1 工程
S2 工程
S3 工程
S4 工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維複合プラスチックからなる板バネ装置を製造するための方法であって、
a)前記繊維複合プラスチックからなる板バネユニットと、前記板バネユニットを局所的に剛化するための複数の補剛要素とを備える組立キットを準備する工程と
b)所望の用途に応じて前記板バネ装置を設計する工程と
c)前記板バネ装置の設計に応じて、前記組立キットから補剛要素を選択する工程と
d)前記板バネ装置を形成するために、前記選択された補剛要素と前記板バネユニットとを組み合わせる工程と
を含む方法。
【請求項2】
工程d)において、前記選択された補剛要素は、前記板バネユニットの撓み部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程d)において、前記選択された補剛要素は、前記撓み部のそれぞれの内径部に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程d)において、前記選択された補剛要素は、前記撓み部に形状嵌合的におよび/または材料嵌合的に接続されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程a)は、前記板バネユニットを断面が一定の連続ストランドとして形成する工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程a)は、その特性において互いに異なるタイプの補剛要素を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程c)において、前記補剛要素は、前記選択された補剛要素の全てが同じタイプの補剛要素に属するように選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程a)において、前記補剛要素は、前記補剛要素が前記板バネユニットよりも大きい剛性を有するように形成されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程a)において、前記補剛要素は、前記板バネ装置に荷重がかかると前記補剛要素が弾性変形するように形成されることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程a)において、前記補剛要素はエラストマーから形成されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程a)において、前記補剛要素は、前記補剛要素が、前記板バネユニットよりも高い剛性を有するコアと、少なくとも部分において前記コアを囲み、かつ前記コアよりも低い剛性を有するシェルとを備えるように形成されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項12】
繊維複合プラスチックからなる板バネ装置を製造するための組立キットであって、
前記繊維複合プラスチックからなる板バネユニットと
前記板バネユニットを局所的に剛化するための複数の補剛要素とを備え、
前記板バネユニットと選択された補剛要素とは、前記板バネ装置を形成するために組み合わせることが可能である
組立キット。
【請求項13】
その特性において互いに異なるタイプの補剛要素を特徴とする請求項12に記載の組立キット。
【請求項14】
前記補剛要素は前記板バネユニットよりも大きい剛性を有することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の組立キット。
【請求項15】
前記補剛要素は、前記板バネユニットよりも高い剛性を有するコアと、少なくとも部分において前記コアを囲み、かつ前記コアよりも低い剛性を有するシェルとを備えることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の組立キット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
繊維複合プラスチックからなるコイルバネは、軽量効果があまりにも低く、製造プロセスがあまりにも複雑である繊維複合プラスチックの異方性材料特性によって、性能が低すぎる。一方、繊維複合プラスチックからなる曲げバネは、特に、ジグザグ形状の曲げバネの撓み部の内径部において、応力荷重が高すぎる。これにより、性能が限定されるか、または破損が生じる場合がある。本出願人は、これら上述の撓み部が安定化される社内の先行技術について認識している。そこでは、バネ作用は、撓み部において互いに強固に接続された板バネ部によってのみ行われる。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1)独国特許出願公開第102016215938号明細書
【国際調査報告】