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特表2023-547591永久磁性体モータ用低渦電流損失永久磁性体及び永久磁性体モータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-13
(54)【発明の名称】永久磁性体モータ用低渦電流損失永久磁性体及び永久磁性体モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20231106BHJP
   H02K 1/278 20220101ALI20231106BHJP
   H01F 7/02 20060101ALI20231106BHJP
   H01F 7/20 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
H02K1/276
H02K1/278
H01F7/02 Z
H01F7/20 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518181
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 CN2022092066
(87)【国際公開番号】W WO2022237809
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/186,880
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310005618
【氏名又は名称】煙台東星磁性材料株式有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100139033
【弁理士】
【氏名又は名称】日高 賢治
(72)【発明者】
【氏名】彭衆傑
(72)【発明者】
【氏名】李暁群
(72)【発明者】
【氏名】梁峰
(72)【発明者】
【氏名】丁開鴻
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA03
5H622CA02
5H622CB03
5H622CB04
5H622CB05
5H622PP03
5H622QA02
5H622QA06
(57)【要約】
本発明は、永久磁性体モータ分野に属し、永久磁性体モータ用の低渦電流損失永久磁性体及び当該永久磁性体を備える永久磁性体モータに関する。永久磁性体は、第1磁極面、第2磁極面、四つの側面及び複数の嵌入式電気絶縁層を含み、第1磁極面と永久磁性体の磁化方向は直交し、第2磁極面は第1磁極面に平行であり、複数の嵌入式電気絶縁層は永久磁性体の磁化方向に対して平行であり且つ各嵌入式電気絶縁層の少なくとも一つの外縁一辺は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも垂直でもない。永久磁性体中の電気絶縁層は永久磁性体の渦電流損失の高い領域に位置し、嵌入式電気絶縁層の導入による磁束の損失を低減することでコストの増加を一定レベルで回避するだけでなく、渦電流損失を低減する作用も奏する。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの渦電流損失を低減する永久磁性体であって、
第1磁極面、第2磁極面、四つの側面及び複数の嵌入式電気絶縁層を含み、
第1磁極面は、前記永久磁性体の磁化方向に対して基本的に直交し、
第2磁極面は、第1磁極面に平行であり、
複数の嵌入式電気絶縁層は、前記永久磁性体の前記磁化方向に対して平行であり且つ全ての電気絶縁層の少なくとも外縁一辺は前記永久磁性体の磁化方向に対して平行でも垂直でもない、
ことを特徴とする永久磁性体。
【請求項2】
各電気絶縁層は、前記永久磁性体の長さ又は幅方向に沿う一本のエッジと所定角度で交差し、当該角度は0°から180°の間であり、電気絶縁層と前記永久磁性体が交差するエッジを、交差永久磁性体エッジと定義する、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項3】
電気絶縁層は、前記永久磁性体の長さ又は幅方向に沿う前記第1磁極面の同一エッジと交差する、
ことを特徴とする請求項2に記載の永久磁性体。
【請求項4】
前記交差永久磁性体エッジは、前記第1磁極面及び第2磁極面の前記永久磁性体の長さ及び/又は幅方向に沿う平行な二本のエッジである、
ことを特徴とする請求項2に記載の永久磁性体。
【請求項5】
電気絶縁層と前記交差永久磁性体エッジとの間の角度は、90°である、
ことを特徴とする請求項2に記載の永久磁性体。
【請求項6】
各電気絶縁層は、前記永久磁性体の長さ又は幅方向に沿う二本のエッジと所定角度で交差し、当該角度は0°から180°の間であり、電気絶縁層と前記永久磁性体とが交差するエッジを、交差永久磁性体エッジと定義する、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項7】
前記交差永久磁性体エッジは、第1磁極面の前記永久磁性体の長さ及び/又は幅方向に沿う平行な二本のエッジ及び第2磁極面の永久磁性体の長さ又は及び/又は幅方向に沿う平行な二本のエッジである、
ことを特徴とする請求項6に記載の永久磁性体。
【請求項8】
前記交差永久磁性体エッジは、第1磁極面及び/又は第2磁極面の垂直に交差する二本のエッジである、
ことを特徴とする請求項6に記載の永久磁性体。
【請求項9】
各電気絶縁層は、永久磁性体の対角面方向に沿う前記第1磁極面及び/又は第2磁極面の一つの角で交差する、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項10】
各電気絶縁層は、永久磁性体の対角面方向に沿う前記第1磁極面及び/又は前記第2磁極面の二つの対角で交差する、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項11】
前記電気絶縁層において、少なくとも一つの気絶縁層は、前記第1磁極面及び/又は第2磁極面のエッジと交差し、且つ少なくとも一つの気絶縁層は、前記第1磁極面及び/又は第2磁極面の一つの角と交差する、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項12】
各前記電気絶縁層は、前記永久磁性体の長さ又は幅方向に沿う三本のエッジと所定の角度で交差し、当該角度は0°から180°の間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項13】
各前記電気絶縁層は、前記永久磁性体の長さ又は幅方向に沿う四本のエッジと所定の角度で交差し、当該角度は0°から180°の間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項14】
永久磁性体に溝が形成され、溝に絶縁材又は空気が充填され、又は溝の内壁に電気絶縁表層を設けることにより、電気絶縁層を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項15】
前記永久磁性体の断面形状は矩形又はC形である、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項16】
永久磁性体モータであって、ステータ、テータに対して回転支持されるロータ及びロータに装着される複数の永久磁性体を含み、
永久磁性体は、請求項1~15のいずれか1項に記載の前記永久磁性体であり、
第1磁極面は、ロータの半径方向において前記ロータの中心に対して背を向け、
第2磁極面は、前記ロータの半径方向に沿って前記ロータの中心を向く、
ことを特徴とする永久磁性体モータ。
【請求項17】
前記永久磁性体は、ロータに形成されたロータ孔に装着され、又は前記ロータの外径面上に装着される、
ことを特徴とする請求項16に記載の永久磁性体モータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁性体モータ用低渦電流損失永久磁性体及び当該永久磁性体を備えた永久磁性体モータに関し、永久磁性体モータ分野に属する。
【背景技術】
【0002】
永久磁性体モータは、ステータ(図示せず)及びロータを備える。図1に示すように、ロータ100は積層電磁鋼からなる一つのロータコア102及びロータ孔104内に装着した多数の永久磁性体110で構成される。モータのステータのコイルは通電によって回転磁場を生成し、当該回転磁場とロータの永久磁性体が生成する磁場との相互作用によってトルクが発生し、ロータを回転させる。永久磁性体が外部磁場(ステータのコイルによって生成される磁場を含む)の作用を受けると、永久磁性体に渦電流が誘導され、これによって永久磁性体の温度が上昇する。永久磁性体は温度が上昇することで磁束が失われ、これによって永久磁性体モータの出力トルク及び効率が低下する。
【0003】
従来、永久磁性体に誘導される渦電流に起因する永久磁性体の昇温による磁束の損失を低減するため、主に以下の方法が用いられてきた。1.永久磁性体の耐熱特性の向上(特に高温下での磁気特性):この方法は永久磁性体のコストに影響を及ぼしていた。2.分割接着法による永久磁性体の渦電流損失の低減(特許番号CN104454852B、US7973442B2):図2に示すように、この方法によれば永久磁性体の材料利用率が低下し、永久磁性体のコストが高騰する。3.永久磁性体の材料の一部を除去した電気絶縁層を用いる方法(特許番号CN108631455A):例えば図3A図3Bに示す。このような電気絶縁層スリット法の特徴は、スリットの電気絶縁層が磁化方向に対して平行且つ電気絶縁層の各辺が磁化方向に対して平行又は垂直としている。図3C、3D及び図3E、3Fは、磁性体にスリットを設けるその他の方法である(特許番号US10666099B1、US6359359B1)。上記三つの磁性体の渦電流損失の低減方法は、いずれも磁性体の温度上昇による永久磁性体モータも出力トルク及び効率の低下を一定程度減少させることができるものの、永久磁性体のコスト又は磁束に対してマイナスの影響が大きい。
【0004】
図4Aは典型的な矩形永久磁性体の構造を示し、当該永久磁性体は、磁化方向、第1磁極面418及び第2磁極面420、更に側面410、412、414及び416を有する。例えば永久磁性体の渦電流経路は430のように示めされ、磁性体における渦電流損失は主に永久磁性体のエッジ領域に集中する。図3A、3C及び3Eに示すように、永久磁性体に電気絶縁層を具備させる方法は、永久磁性体にスリットを設けて電気絶縁層を形成するという方法であった。これらのスリットは磁性体の長さ方向又は幅方向に沿って永久磁性体内に分布しており、永久磁性体材料の一部を切除することでスリットを形成するため、永久磁性体の体積が減少し、更には磁束が大きく失われる。図4A、4B、4Cに示すように、磁性体の中心は渦電流損失が少なく、これらの領域では永久磁性体除去による渦電流損失を減少させる効果は殆どない。上記磁性体へのスリット加工法は渦電流の少ない領域(磁性体中心領域)の永久磁性体材料の一部を除去していることで、電気絶縁層が永久磁性体の厚さを超えてしまい、不必要な磁束損失が発生する。上記構造の欠陥は非矩形の多面体を備えた永久磁性体(例えば、C字形の断面形状を備える永久磁性体)にも当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した幾つかの方法に存在する課題に鑑み、永久磁性体モータ用低渦電流損失永久磁性体及び当該構造を備える永久磁性体モータを提供し、永久磁性体内の渦電流による損耗及び磁性体の磁束損失を低減すると同時に永久磁性体の大幅なコスト増加を抑制する永久磁性体モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
永久磁性体の渦電流損失と不必要な磁束損失の損失を低減するため、本願発明は、特殊構造の永久磁性体を提供する。本発明が提供する永久磁性体は、第1磁極面、第2磁極面、四つの側面及び複数の嵌入式電気絶縁層を含み、第1磁極面は、永久磁性体の磁化方向に対して基本的に直交し(矩形の永久磁性体は、その断面形状が矩形であり、第1磁極面は永久磁性体の磁化方向と直交するが、C形永久磁性体は、その断面形状がC形であることから、第1磁極面は永久磁性体の磁化方向と完全には直交せず、一定の夾角が存在する)、第2磁極面は、第1磁極面に平行であり、複数の嵌入式電気絶縁層は、永久磁性体の磁化方向に対して平行であり且つ各電気絶縁層の少なくとも外縁一辺は永久磁性体の磁化方向に対して平行ではなく、かつ垂直でもない。本発明が提供する永久磁性体の電気絶縁層は永久磁性体の渦電流損失の高い領域に位置する。永久磁性体の渦電流損失の低い領域における電気絶縁層の設置を回避することで、本発明が提供する永久磁性体は、当該永久磁性体領域の材料を最大限に残留させることができ、嵌入式電気絶縁層の導入による磁束の損失を低減することで、コストの増加を一定レベルで回避するだけでなく、渦電流損失を低減する作用も奏する。
【0007】
以上の分析に基づき、電気絶縁層の類型及び分布について調整を行い、渦電流損失に起因する磁性体の温度上昇を低減する目的を実現し、主たる構造は以下の通りである。
【0008】
図5A、5C、5E、5H、5J、5Mに示すように、各電気絶縁層は、永久磁性体の第1磁極面又は第2磁極面の一本のエッジと交差し、且つ交差する磁性体のエッジと所定の角度を形成する。
【0009】
図6A、6Cに示すように、各電気絶縁層は、永久磁性体の長さ又は幅方向に沿う平行な二本のエッジと交差する。
【0010】
図7Aに示すように、各電気絶縁層は、第1磁極面又は第2磁極面の交差する二本のエッジと交差する。
【0011】
図8A、8Dに示すように、電気絶縁層は、第1磁極面又は第2磁極面の角で交差し、且つ永久磁性体の対角面方向に沿う。
【0012】
図9A、9E、9Iに示すものは、上記した幾つか方式の任意の組み合わせで形成された電気絶縁層の形状及びその永久磁性体内での分布であり、電気絶縁層は、第1磁極面又は第2磁極面と交差する。
【0013】
図10Aに示すように、各電気絶縁層は、永久磁性体の長さ又は幅方向に沿う三本のエッジと交差する。
【0014】
図11Aに示すように、各電気絶縁層は、永久磁性体の長さ又は幅方向に沿う四本のエッジと交差する。
【0015】
図12Aに示すように、各電気絶縁層は、永久磁性体の長さ又は幅方向に沿うエッジと交差する。
【0016】
上記電気絶縁層の材料は、セラミック、エポキシ樹脂、空気又は幾つかの絶縁材料の混合体であってもよい。例えば、焼結後の永久磁性体にスリットを設けると、永久磁性体に空気を絶縁材とする電気絶縁層を具備させることができる(空気自体が絶縁材であり、スリットに自然に充填され電気絶縁層を形成する)。永久磁性体にスリットを設けた後、設けられたスリットにエポキシ樹脂又はその他絶縁材を充填することで、永久磁性体内に異なる絶縁材による電気絶縁層が得られる。永久磁性体の製造過程において、永久磁性体の鋳型における電気絶縁層の位置に、一層のセラミック粉体を配置し、その後、プレス成型及び焼結を行い、これによって永久磁性体にセラミックを絶縁材とする電気絶縁層を具備させることも可能である。
【0017】
上記電気絶縁層のもう一つの特徴は、電気絶縁層が永久磁性体の磁化方向に対して平行であり、且つ全ての電気絶縁層の少なくとも外縁一辺は永久磁性体の磁化方向に対して平行かつ垂直でもなく、且つ当該外縁一辺が磁化方向と所定の角度αをなし、角度αが0°から180°の範囲であり、且つ90°でないことである。その他、永久磁性体上の全ての電気絶縁層の面積が電気絶縁層の総面積を構成することから、電気絶縁層の総面積は永久磁性体の渦電流損失の低減に係る要求に応じて決定することができる。
【0018】
永久磁性体の断面形状は、矩形又はC形である。
【0019】
本発明において、永久磁性体の形状は、矩形、リング形、瓦形(即ちC形)、円弧形等であってよい。
【0020】
本発明に係る永久磁性体モータは、ステータ、ステータに対して回転するよう支持されるロータ及びロータに装着される複数の永久磁性体を含み、永久磁性体は本発明の永久磁性体を用い、第1磁極面はロータの半径方向においてロータの中心に背を向け、第2磁極面は前記ロータの半径方向に沿ってロータの中心を向く。
【0021】
好ましくは、永久磁性体はロータのロータ孔内に装着され、又は前記ロータの外径面上に装着される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来技術による永久磁性体モータのIPM構造のロータを示す図。
図2】従来技術による代表的な分割式永久磁性体を示す図。
図3A】従来技術による代表的な絶縁層を有する永久磁性体の正面図。
図3B図3Aの平面図。
図3C】従来技術によるもう一つの代表的な絶縁層を有する永久磁性体を示す図。
図3D図3Cの断面Aを示す図。
図3E】従来技術による更なる代表的な絶縁層を有する永久磁性体を示す図。
図3F図3Eの断面Aを示す図。
図4A】永久磁性体中に生じる渦電流の分布を示す図。
図4B図4Aの永久磁性体の断面Aに生じる渦電流の分布を示す図。
図4C図4Aの永久磁性体の断面Bに生じる渦電流の分布を示す図。
図5A】本発明の第1実施例の構造の斜視図。
図5B図5Aの断面Aを示す図。
図5C】本発明の第1実施例の他の構造の斜視図。
図5D図5Cの断面Aを示す図。
図5E】本発明の第1実施例の他の構造の斜視図。
図5F図5Eの断面Aを示す図。
図5G図5Eの断面Bを示す図。
図5H】本発明の第1実施例の他の構造の斜視図。
図5I図5Hの断面Aを示す図。
図5J】本発明の第1実施例の他の構造の斜視図。
図5K図5Jの断面Aを示す図。
図5L図5Jの断面Bを示す図。
図5M】本発明の第1実施例の他の構造の斜視図。
図5N図5Mの断面Aを示す図。
図5O図5Mの断面Bを示す図。
図6A】本発明の第2実施例の構造の斜視図。
図6B図6Aの断面Aを示す図。
図6C】本発明の第2実施例の他の構造の斜視図。
図6D図6Cの断面Aを示す図。
図7A】本発明の第3実施例の構造の斜視図。
図7B図7Aの断面Aを示す図。
図8A】本発明の第4実施例の構造の斜視図。
図8B図8Aの断面Aを示す図。
図8C図8Aの断面Bを示す図。
図8D】本発明の第4実施例の他の構造の斜視図。
図8E図8Dの断面Aを示す図。
図9A】本発明の第5実施例の構造の斜視図。
図9B図9Aの断面Aを示す図。
図9C図9Aの断面Bを示す図。
図9D図9Aの断面Cを示す図。
図9E】本発明の第5実施例の他の構造の斜視図。
図9F図9Eの断面Aを示す図。
図9G図9Eの断面Bを示す図。
図9H図9Eの断面Cを示す図。
図9I】本発明の第5実施例の他の構造の斜視図。
図9J図9Iの断面Aを示す図。
図9K図9Iの断面Bを示す図。
図9L図9Iの断面Cを示す図。
図10A】本発明の第6実施例の構造の斜視図。
図10B図10Aの断面Aを示す図。
図11A】本発明の第7実施例の構造の斜視図。
図11B図11Aの断面Aを示す図。
図12A】本発明の第8実施例の構造の斜視図。
図12B図12Aの断面Aを示す図。
図12C図12Aの断面Bを示す図。
図13A】本発明の第9実施例の構造の斜視図及び断面Aを示す図。
図13B図13Aの断面Aを示す図。
図14A】本発明の第10実施例の構造の斜視図。
図14B図14Aの断面Aを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を参照しながら本願発明の実施例について詳細に説明する。
従来の渦電流を低減させる技術に基づき、本発明はその他の角度から渦電流を低減させる技術案について研究したものである。図3A、3B、3C、3D、3E、3Fに示す従来技術は、永久磁性体上の電気絶縁層によって電気絶縁層を形成するものであり、永久磁性体内の長さ方向又は幅方向に沿ってスリットが分布し、スリット内の永久磁性体材料の一部が切除されることで、永久磁性体の体積が減少し、更には磁束が比較的大きく失われる。図4A、4B、4Cに示す従来技術は、磁性体の中心は渦電流損失が少なく、これらの領域では、永久磁性体の除去が渦電流損失の減少に与える影響は殆どない。
【0024】
従って、本発明の目的は永久磁性体への電気絶縁層の導入による磁束の損失を最大限低減することにあり、電気絶縁層の形状及びその位置分布を調整することで、永久磁性体の中心位置における永久磁性体の切除を可能な限り回避し、且つ電気絶縁層の厚さを比較的薄く(≦0.3mm)し、当該方法によって永久磁性体の磁束を最大限に残留させることができる。
【0025】
以下、図に基づいて本発明の電気絶縁層を備える永久磁性体に係る幾つかの実施例について説明する。
図5A図5Bは、第1実施例の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層500と交差し、全ての電気絶縁層500は永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ404と交差し(永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ402と交差してもよい。図示せず)、且つ全ての電気絶縁層500の外縁一辺510は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0026】
図5C、5Dは第1実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層500と交差し、全ての電気絶縁層500は永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ404とのみ交差し(永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ402とのみ交差してもよい。図示せず)、且つ全ての電気絶縁層500の外縁一辺510は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。この種の電気絶縁層方式は、渦電流が永久磁性体の一方側のみに集中する状況において、永久磁性体への電気絶縁層導入による磁束の損失を最大限低減させることができる。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0027】
図5E、5F、5Gは第1実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層500と交差し、一部の電気絶縁層500は、永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ404と所定の角度で交差し、他の電気絶縁層は、永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面のもう一本のエッジ404と所定の角度で交差し(一部の電気絶縁層500は、永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ402と所定の角度で交差し、他の電気絶縁層500は、永久磁性体の幅方向に沿う第2磁極面420の一本のエッジ402と所定の角度で交差してもよい。図示せず)、電気絶縁層は永久磁性体の磁化方向に対して平行であり、全ての電気絶縁層500の外縁一辺510は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層及びこれと交差する永久磁性体のエッジ404の夾角は90°ではない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0028】
図5H、5Iは第1実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418及び第2磁極面420は、少なくとも一つの電気絶縁層500と交差し、その内一組の電気絶縁層500は、永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ404と交差し、他の組の電気絶縁層500は、永久磁性体の長さ方向に沿って第2磁極面420のもう一本のエッジ404に交差し(一組の電気絶縁層500は、永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ402に交差し、他の組の電気絶縁層500は、永久磁性体の幅方向に沿う第2磁極面420のもう一本のエッジ402に交差してもよい。図示せず)、且つ全ての電気絶縁層500の外縁一辺510は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0029】
図5J、5K、5Lは第1実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層500と交差し、その内一組の電気絶縁層は、永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の平行な二本のエッジ404と交差し、他の組の電気絶縁層500は、永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の平行な二本のエッジ402と交差し、全ての電気絶縁層500は永久磁性体の一本のエッジと交差し、かつ全ての電気絶縁層500の外縁一辺510は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0030】
図5M、5N、5Oは第1実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418及び第2磁極面420は、少なくとも一つの電気絶縁層500と交差し、一部の電気絶縁層500は、長さ方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ404と交差し、他の電気絶縁層は、長さ方向に沿う第2磁極面420の一本のエッジ404と交差する。全ての電気絶縁層は、永久磁性体のエッジ404とのみ交差し、且つ電気絶縁層の深さはいずれも永久磁性体の厚さを超えず、電気絶縁層は磁性体の磁化方向に対して平行である(一部の電気絶縁層500は、幅方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ402に交差し、他の電気絶縁層は、幅方向に沿う第2磁極面420の一本のエッジ402と交差し、全ての電気絶縁層は磁性体の一本のエッジ402とのみ交差してもよい。図示せず)。全ての電気絶縁層の外縁一辺510は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0031】
図6A、6Bは第2実施例の構造の示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層600と交差し、全ての電気絶縁層600は永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の平行な二本のエッジ404と交差し(永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の二本のエッジ402と交差してもよい)、電気絶縁層は永久磁性体の磁化方向に対して平行であり、全ての電気絶縁層600の二つの外縁一辺610及び620は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0032】
図6C、6Dは第2実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層600と交差し、全ての電気絶縁層は永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の平行な二本のエッジ404と交差し、電気絶縁層はエッジ404と角度βをなして交差する(全ての電気絶縁層は永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の平行な二本のエッジ402と交差し、電気絶縁層はエッジ402と角度βをなして交差してもよい。図示せず)。更に、全ての電気絶縁層600の二つの外縁一辺610及び620は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもなく、角度βは90°ではない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0033】
図7A、7Bは第3実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層700と交差し、全ての電気絶縁層は第1磁極面418の二本のエッジ(エッジ404及びエッジ402)とのみ交差し、且つ全ての電気絶縁層700の二つの外縁一辺710及び720は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0034】
図8A、8Bは第4実施例の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は二つの電気絶縁層800及び802と交差し、その内の一つである電気絶縁層800は、永久磁性体の対角面方向に沿う第1磁極面418の一つの角と交差し、他方の電気絶縁層802は、永久磁性体の対角面方向に沿う第1磁極面418の二つの角と交差する。全ての電気絶縁層800の外縁一辺810と電気絶縁層802の二つの外縁一辺822及び832は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0035】
図8C、8Dは第4実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層800と交差し、全ての電気絶縁層800は、永久磁性体の対角面方向に沿う第1磁極面418の一つの角と交差する。全ての電気絶縁層800の外縁一辺810は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0036】
図9A、9B、9C、9Dは第5実施例の構造を示しており、図9E、9F、9G、9Hは第5実施例の他の構造を、図9I、9J、9K、9Lは第5実施例の更に別の構造を示している。本発明の第1実施例から第4実施例の上記全ての電気絶縁層の永久磁性体内における結合構造を任意に組み合わせることで、新たな電気絶縁層(900、901、902)を形成でき、電気絶縁層(900、901、902)は磁性体の磁化方向に対して平行であり、全ての電気絶縁層の少なくとも外縁一辺(910、911、912)は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0037】
図10A、10Bは第6実施例の構造を示しており、少なくとも一つの電気絶縁層1000は、永久磁性体110と交差し、全ての電気絶縁層1000は永久磁性体の長さ方向に沿う三つの平行なエッジ404と交差し(永久磁性体の幅方向に沿う三つの平行なエッジ402と交差してもよい)、電気絶縁層は永久磁性体の磁化方向に対して平行であり、且つ全ての電気絶縁層1000の外縁一辺1010は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0038】
図11A、11Bは第7実施例の構造を示しており、少なくとも一つの電気絶縁層1100は、永久磁性体110と交差し、全ての電気絶縁層1100は永久磁性体の長さ方向に沿う四つの平行なエッジ404と交差し(永久磁性体の幅方向に沿う四つの平行なエッジ402と交差してもよい)、電気絶縁層は永久磁性体の磁化方向に対して平行であり、全ての電気絶縁層の四つの外縁一辺1010、1112、1114及び1116は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズH、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0039】
図12A、12B、12Cは第8実施例の構造を示しており、電気絶縁層1200は、C形永久磁性体120の外磁極面1218の接線方向に沿う永久磁性体120の一本のエッジ1204と交差し、電気絶縁層1200は永久磁性体の磁化方向に対して平行であり、全ての電気絶縁層の外縁一辺1210は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0040】
図13A、13Bは第9実施例の構造を示している。永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つのスリット1300と交差し、全てのスリット1300は、永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ404に交差し(永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ402に交差してもよい)、且つ全てのスリット1300の外縁一辺1310は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。当該永久磁性体内の電気絶縁層の絶縁材はスリット内の空気である。
【0041】
図14A、14Bは第10実施例の構造を示している。一層の永久磁性体材料粉末1410Aの上面に一層の絶縁材粉末1420Aを配置し、絶縁材粉末層1420Aは永久磁性体材料粉末層1410Aを完全には覆わず、一つの二層永久磁性体粉末ブロックを形成し、幾つかの二層永久磁性体粉末ブロックを重ねて一つの多層永久磁性体粉末ブロック1400を形成し、多層永久磁性体粉末ブロック1400に配向及びプレス成型を行い、成型後の多層永久磁性体粉末ブロック1400を焼結処理し、焼結後の多層永久磁性体粉末ブロックを時効処理した。
【0042】
以上の各実施例に共通する特徴は、渦電流密度が最高となる領域に電気絶縁層が分布することであり(図4B及び図4Cにおいて黒色で示す領域)、渦電流の低い領域、即ち磁性体中心領域の永久磁性体材料の除去を回避することで、永久磁性体内への電気絶縁層の導入による永久磁性体の磁束の損失を低減し、かつ渦電流損失の低減効果が変わることはない。
【0043】
以上の構造は、本発明が開示する永久磁性体の主たる電気絶縁層の構成であり、その主たる構造による特徴は、永久磁性体が少なくとも一つの電気絶縁層を含むこと、電気絶縁層の少なくとも外縁一辺が永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもないことである。当然ながら、本発明に係る電気絶縁層の構造は、上記構造に限定されるものではなく、複数の組み合わせ及び電気絶縁層の方向を変更することで実現できるが、その特徴は上記構造の範囲内である。
【0044】
本発明の永久磁性体モータは、ステータ、ステータに対して回転するよう支持されるロータ及びロータに装着される複数の本願発明に記載の永久磁性体を含み、第1磁極面は、半径方向においてロータの中心に背を向け、第2磁極面は、ロータの半径方向に沿ってロータの中心を向き、永久磁性体は、ロータのロータ孔内に装着され、又はロータの外径面上に装着される。

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図5L
図5M
図5N
図5O
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図9J
図9K
図9L
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
【手続補正書】
【提出日】2023-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの渦電流損失を低減する永久磁性体であって、
第1磁極面、第2磁極面、四つの側面及び複数の嵌入式電気絶縁層を含み、
前記第1磁極面は、前記永久磁性体の磁化方向と基本的に直交し、
前記第2磁極面は、第1磁極面に平行であり、かつ前記磁化方向において前記第1磁極面より後方側の面であり、
複数の前記嵌入式電気絶縁層は、前記永久磁性体の前記磁化方向に平行であり且ついずれの前記嵌入式電気絶縁層の少なくとも2つの頂点を結ぶ外縁一辺の傾斜方向は前記永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない、
ことを特徴とする永久磁性体。
【請求項2】
前記嵌入式電気絶縁層は、前記永久磁性体の長さ方向又は幅方向に沿う一本のエッジと所定角度で交差し、当該角度は0°から180°の間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項3】
前記嵌入式電気絶縁層は、前記永久磁性体の長さ方向又は幅方向に沿う前記第1磁極面の同一エッジと交差する、
ことを特徴とする請求項2に記載の永久磁性体。
【請求項4】
前記嵌入式電気絶縁層と前記永久磁性体が交差するエッジを、交差永久磁性体エッジと定義する場合、前記交差永久磁性体エッジは、前記第1磁極面及び前記第2磁極面の前記永久磁性体の長さ方向及び/又は幅方向に沿う平行な二本のエッジである、
ことを特徴とする請求項2に記載の永久磁性体。
【請求項5】
前記嵌入式電気絶縁層と前記永久磁性体が交差するエッジを、交差永久磁性体エッジと定義する場合、前記嵌入式電気絶縁層と前記交差永久磁性体エッジとの間の角度は、90°である、
ことを特徴とする請求項2に記載の永久磁性体。
【請求項6】
前記嵌入式電気絶縁層は、前記永久磁性体の長さ方向又は幅方向に沿う二本のエッジと所定角度で交差し、当該角度は0°から180°の間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項7】
前記嵌入式電気絶縁層と前記永久磁性体が交差するエッジを、交差永久磁性体エッジと定義する場合、前記交差永久磁性体エッジは、前記第1磁極面の前記永久磁性体の長さ方向及び/又は幅方向に沿う平行な二本のエッジ及び前記第2磁極面の前記永久磁性体の長さ方向及び/又は幅方向に沿う平行な二本のエッジである、
ことを特徴とする請求項6に記載の永久磁性体。
【請求項8】
前記嵌入式電気絶縁層と前記永久磁性体が交差するエッジを、交差永久磁性体エッジと定義する場合、前記交差永久磁性体エッジは、前記第1磁極面及び/又は前記第2磁極面の直角に交差する二本のエッジである、
ことを特徴とする請求項6に記載の永久磁性体。
【請求項9】
前記嵌入式電気絶縁層は、前記永久磁性体の対角面方向に沿う前記第1磁極面及び/又は前記第2磁極面の一つの角で交差する、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項10】
前記嵌入式電気絶縁層は、前記永久磁性体の対角面方向に沿う前記第1磁極面及び/又は前記第2磁極面の二つの対角で交差する、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項11】
前記嵌入式電気絶縁層において、少なくとも一つの前記嵌入式電気絶縁層は、前記第1磁極面及び/又は前記第2磁極面のエッジと交差し、且つ少なくとも一つの前記嵌入式電気絶縁層は、前記第1磁極面及び/又は前記第2磁極面の一つの角と交差する、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項12】
各前記嵌入式電気絶縁層は、前記永久磁性体の長さ方向又は幅方向に沿う三本のエッジと所定の角度で交差し、当該角度は0°から180°の間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項13】
各前記嵌入式電気絶縁層は、前記永久磁性体の長さ方向又は幅方向に沿う四本のエッジと所定の角度で交差し、当該角度は0°から180°の間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項14】
前記永久磁性体に溝が形成され、前記溝に絶縁材又は空気が充填され、又は前記溝の内壁に電気絶縁表層を設けることにより、前記嵌入式電気絶縁層を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項15】
前記永久磁性体は、幅方向断面が矩形の直方体型磁性体、又は幅方向断面がC形の瓦型磁性体である、
ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁性体。
【請求項16】
永久磁性体モータであって、ステータ、前記ステータに対して回転支持されるロータ及び前記ロータに装着される複数の永久磁性体を含み、
前記永久磁性体は、請求項1~15のいずれか1項に記載の前記永久磁性体であり、
前記第1磁極面は、前記ロータの半径方向において前記ロータの中心に対して背を向け、
前記第2磁極面は、前記ロータの半径方向に沿って前記ロータの中心を向く、
ことを特徴とする永久磁性体モータ。
【請求項17】
前記永久磁性体は、前記ロータに形成されたロータ孔に装着され、又は、前記ロータの外径面上に装着される、
ことを特徴とする請求項16に記載の永久磁性体モータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁性体モータ用低渦電流損失永久磁性体及び当該永久磁性体を備えた永久磁性体モータに関し、永久磁性体モータ分野に属する。
【背景技術】
【0002】
永久磁性体モータは、ステータ(図示せず)及びロータを備える。図1に示すように、ロータ100は積層電磁鋼からなる一つのロータコア102及びロータ孔104内に装着した多数の永久磁性体110で構成される。モータのステータのコイルは通電によって回転磁場を生成し、当該回転磁場とロータの永久磁性体が生成する磁場との相互作用によってトルクが発生し、ロータを回転させる。永久磁性体が外部磁場(ステータのコイルによって生成される磁場を含む)の作用を受けると、永久磁性体に渦電流が誘導され、これによって永久磁性体の温度が上昇する。永久磁性体は温度が上昇することで磁束が失われ、これによって永久磁性体モータの出力トルク及び効率が低下する。
【0003】
従来、永久磁性体に誘導される渦電流に起因する永久磁性体の昇温による磁束の損失を低減するため、主に以下の方法が用いられてきた。1.永久磁性体の耐熱特性の向上(特に高温下での磁気特性):この方法は永久磁性体のコストに影響を及ぼしていた。2.分割接着法による永久磁性体の渦電流損失の低減(特許番号CN104454852B、US7973442B2):図2に示すように、この方法によれば永久磁性体の材料利用率が低下し、永久磁性体のコストが高騰する。3.永久磁性体の材料の一部を除去した電気絶縁層を用いる方法(特許番号CN108631455A):例えば図3A図3Bに示す。このような電気絶縁層スリット法の特徴は、スリットの電気絶縁層が磁化方向に対して平行且つ電気絶縁層の各辺が磁化方向に対して平行又は直交している。図3C、3D及び図3E、3Fは、磁性体にスリットを設けるその他の方法である(特許番号US10666099B1、US6359359B1)。上記三つの磁性体の渦電流損失の低減方法は、いずれも磁性体の温度上昇による永久磁性体モータも出力トルク及び効率の低下を一定程度減少させることができるものの、永久磁性体のコスト又は磁束に対してマイナスの影響が大きい。
【0004】
図4Aは典型的な矩形永久磁性体の構造を示し、当該永久磁性体は、磁化方向、第1磁極面418及び第2磁極面420、更に側面410、412、414及び416を有する。例えば永久磁性体の渦電流経路は430のように示めされ、磁性体における渦電流損失は主に永久磁性体のエッジ領域に集中する。図3A、3C及び3Eに示すように、永久磁性体に電気絶縁層を具備させる方法は、永久磁性体にスリットを設けて電気絶縁層を形成するという方法であった。これらのスリットは磁性体の長さ方向又は幅方向に沿って永久磁性体内に分布しており、永久磁性体材料の一部を切除することでスリットを形成するため、永久磁性体の体積が減少し、更には磁束が大きく失われる。図4A、4B、4Cに示すように、磁性体の中心は渦電流損失が少なく、これらの領域では永久磁性体除去による渦電流損失を減少させる効果は殆どない。上記磁性体へのスリット加工法は渦電流の少ない領域(磁性体中心領域)の永久磁性体材料の一部を除去していることで、電気絶縁層が永久磁性体の厚さを超えてしまい、不必要な磁束損失が発生する。上記構造の欠陥は非矩形の多面体を備えた永久磁性体(例えば、C字形の断面形状を備える永久磁性体)にも当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した幾つかの方法に存在する課題に鑑み、永久磁性体モータ用低渦電流損失永久磁性体及び当該構造を備える永久磁性体モータを提供し、永久磁性体内の渦電流による損耗及び磁性体の磁束損失を低減すると同時に永久磁性体の大幅なコスト増加を抑制する永久磁性体モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
永久磁性体の渦電流損失と不必要な磁束損失の損失を低減するため、本願発明は、特殊構造の永久磁性体を提供する。本発明が提供する永久磁性体は、第1磁極面、第2磁極面、四つの側面及び複数の嵌入式電気絶縁層を含み、第1磁極面は、永久磁性体の磁化方向に対して基本的に直交し(矩形の永久磁性体は、その断面形状が矩形であり、第1磁極面は永久磁性体の磁化方向と直交するが、C形永久磁性体は、その断面形状がC形であることから、第1磁極面は永久磁性体の磁化方向と完全には直交せず、一定の夾角が存在する)、第2磁極面は、第1磁極面に平行であり、複数の嵌入式電気絶縁層は、永久磁性体の磁化方向に対して平行であり且つ各嵌入式電気絶縁層の少なくとも2つの頂点を結ぶ外縁一辺の傾斜方向は永久磁性体の磁化方向に対して平行ではなく、かつ直交でもない。本発明が提供する永久磁性体の嵌入式電気絶縁層は永久磁性体の渦電流損失の高い領域に位置する。永久磁性体の渦電流損失の低い領域における電気絶縁層の設置を回避することで、本発明が提供する永久磁性体は、当該永久磁性体領域の材料を最大限に残留させることができ、嵌入式電気絶縁層の導入による磁束の損失を低減することで、コストの増加を一定レベルで回避するだけでなく、渦電流損失を低減する作用も奏する。
【0007】
以上の分析に基づき、嵌入式電気絶縁層の類型及び分布について調整を行い、渦電流損失に起因する磁性体の温度上昇を低減する目的を実現し、主たる構造は以下の通りである。
【0008】
図5A、5C、5E、5H、5J、5Mに示すように、各嵌入式電気絶縁層は、長さ方向断面矩形からなる直方体型永久磁性体の磁化方向に対して直交する第1磁極面又は第2磁極面の一本のエッジと交差し、且つ交差する磁性体のエッジと所定の角度を形成する。
【0009】
図6A、6Cに示すように、各嵌入式電気絶縁層は、長さ方向断面矩形からなる直方体型永久磁性体の長さ方向又は幅方向に沿う平行な二本のエッジと交差する。
【0010】
図7Aに示すように、各嵌入式電気絶縁層は、磁化方向に対して直交する第1磁極面又は第2磁極面の交差する二本のエッジと交差する。
【0011】
図8A、8Dに示すように、嵌入式電気絶縁層は、磁化方向に対して直交する第1磁極面又は第2磁極面の角で交差し、且つ永久磁性体の対角面方向に沿う。
【0012】
図9A、9E、9Iに示すものは、上記した幾つか方式の任意の組み合わせで形成された嵌入式電気絶縁層の形状及びその永久磁性体内での分布であり、嵌入式電気絶縁層は、磁化方向に対して直交する第1磁極面又は第2磁極面と交差する。
【0013】
図10Aに示すように、各嵌入式電気絶縁層は、永久磁性体の長さ方向又は幅方向に沿う三本のエッジと交差する。
【0014】
図11Aに示すように、各嵌入式電気絶縁層は、永久磁性体の長さ方向又は幅方向に沿う四本のエッジと交差する。
【0015】
図12Aに示すように、各嵌入式電気絶縁層は、長さ方向断面C形からなる瓦型永久磁性体の長さ方向又は幅方向に沿うエッジと交差する。
【0016】
上記嵌入式電気絶縁層の材料は、セラミック、エポキシ樹脂、空気又は幾つかの絶縁材料の混合体であってもよい。例えば、焼結後の永久磁性体にスリットを設けると、永久磁性体に空気を絶縁材とする嵌入式電気絶縁層を具備させることができる(空気自体が絶縁材であり、スリットに自然に充填され嵌入式電気絶縁層を形成する)。永久磁性体にスリットを設けた後、設けられたスリットにエポキシ樹脂又はその他絶縁材を充填することで、永久磁性体内に異なる絶縁材による嵌入式電気絶縁層が得られる。永久磁性体の製造過程において、永久磁性体の鋳型における電気絶縁層の位置に、一層のセラミック粉体を配置し、その後、プレス成型及び焼結を行い、これによって永久磁性体にセラミックを絶縁材とする嵌入式電気絶縁層を具備させることも可能である。
【0017】
上記嵌入式電気絶縁層のもう一つの特徴は、嵌入式電気絶縁層が永久磁性体の磁化方向に対して平行であり、且つ全ての嵌入式電気絶縁層の少なくとも2つの頂点を結ぶ外縁一辺の傾斜方向は永久磁性体の磁化方向に対して平行かつ直交でもなく、且つ当該2つの頂点を結ぶ外縁一辺が磁化方向と所定の角度αをなして傾斜し、その角度αは0°から180°の範囲であり、且つ90°でないことである。その他、永久磁性体上の全ての嵌入式電気絶縁層の面積が電気絶縁層の総面積を構成することから、嵌入式電気絶縁層の総面積は永久磁性体の渦電流損失の低減に係る要求に応じて適宜に決定することができる。
【0018】
本発明における永久磁性体の断面形状は、矩形又はC形である。
【0019】
また本発明における永久磁性体の形状は、立方体、瓦形(断面C形)等であってよい。
【0020】
本発明に係る永久磁性体モータは、ステータ、ステータに対して回転するよう支持されるロータ及びロータに装着される複数の永久磁性体を含み、永久磁性体は本発明の永久磁性体を用い、第1磁極面はロータの半径方向においてロータの中心に背を向け、第2磁極面は前記ロータの半径方向に沿ってロータの中心を向く。
【0021】
好ましくは、永久磁性体はロータのロータ孔内に装着され、又は前記ロータの外径面上に装着される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来技術による永久磁性体モータのIPM構造のロータを示す図。
図2】従来技術による代表的な分割式永久磁性体を示す図。
図3A】従来技術による代表的な絶縁層を有する永久磁性体の正面図。
図3B図3Aの平面図。
図3C】従来技術によるもう一つの代表的な絶縁層を有する永久磁性体を示す図。
図3D図3Cの断面Aを示す図。
図3E】従来技術による更なる代表的な絶縁層を有する永久磁性体を示す図。
図3F図3Eの断面Aを示す図。
図4A】永久磁性体中に生じる渦電流の分布を示す図。
図4B図4Aの永久磁性体の断面Aに生じる渦電流の分布を示す図。
図4C図4Aの永久磁性体の断面Bに生じる渦電流の分布を示す図。
図5A】本発明の第1実施例の構造の斜視図。
図5B図5Aの断面Aを示す図。
図5C】本発明の第1実施例の他の構造の斜視図。
図5D図5Cの断面Aを示す図。
図5E】本発明の第1実施例の他の構造の斜視図。
図5F図5Eの断面Aを示す図。
図5G図5Eの断面Bを示す図。
図5H】本発明の第1実施例の他の構造の斜視図。
図5I図5Hの断面Aを示す図。
図5J】本発明の第1実施例の他の構造の斜視図。
図5K図5Jの断面Aを示す図。
図5L図5Jの断面Bを示す図。
図5M】本発明の第1実施例の他の構造の斜視図。
図5N図5Mの断面Aを示す図。
図5O図5Mの断面Bを示す図。
図6A】本発明の第2実施例の構造の斜視図。
図6B図6Aの断面Aを示す図。
図6C】本発明の第2実施例の他の構造の斜視図。
図6D図6Cの断面Aを示す図。
図7A】本発明の第3実施例の構造の斜視図。
図7B図7Aの断面Aを示す図。
図8A】本発明の第4実施例の構造の斜視図。
図8B図8Aの断面Aを示す図。
図8C図8Aの断面Bを示す図。
図8D】本発明の第4実施例の他の構造の斜視図。
図8E図8Dの断面Aを示す図。
図9A】本発明の第5実施例の構造の斜視図。
図9B図9Aの断面Aを示す図。
図9C図9Aの断面Bを示す図。
図9D図9Aの断面Cを示す図。
図9E】本発明の第5実施例の他の構造の斜視図。
図9F図9Eの断面Aを示す図。
図9G図9Eの断面Bを示す図。
図9H図9Eの断面Cを示す図。
図9I】本発明の第5実施例の他の構造の斜視図。
図9J図9Iの断面Aを示す図。
図9K図9Iの断面Bを示す図。
図9L図9Iの断面Cを示す図。
図10A】本発明の第6実施例の構造の斜視図。
図10B図10Aの断面Aを示す図。
図11A】本発明の第7実施例の構造の斜視図。
図11B図11Aの断面Aを示す図。
図12A】本発明の第8実施例の構造の斜視図。
図12B図12Aの断面Aを示す図。
図12C図12Aの断面Bを示す図。
図13A】本発明の第9実施例の構造の斜視図及び断面Aを示す図。
図13B図13Aの断面Aを示す図。
図14A】本発明の第10実施例の構造の斜視図。
図14B図14Aの断面Aを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
従来の渦電流を低減させる技術に基づき、本発明はその他の角度から渦電流を低減させる技術案について研究したものである。図3A、3B、3C、3D、3E、3Fに示す従来技術は、永久磁性体上の電気絶縁層によって電気絶縁層を形成するものであり、永久磁性体内の長さ方向又は幅方向に沿ってスリットが分布し、スリット内の永久磁性体材料の一部が切除されることで、永久磁性体の体積が減少し、更には磁束が比較的大きく失われる。図4A、4B、4Cに示す従来技術は、磁性体の中心は渦電流損失が少なく、これらの領域では、永久磁性体の除去が渦電流損失の減少に与える影響は殆どない。
【0024】
従って、本発明の目的は永久磁性体への電気絶縁層の導入による磁束の損失を最大限低減することにあり、電気絶縁層の形状及びその位置分布を調整することで、永久磁性体の中心位置における永久磁性体の切除を可能な限り回避し、且つ電気絶縁層の厚さを比較的薄く(≦0.3mm)し、当該方法によって永久磁性体の磁束を最大限に残留させることができる。
【0025】
以下、図に基づいて本発明の嵌入式電気絶縁層を備える永久磁性体に係る幾つかの実施例について説明する。各図に示すように、第1~第7実施例、第9、10実施例は幅方向の断面形状が矩形(長方形)の直方体型永久磁石、第8実施例は幅方向の断面形状がC形の瓦型永久磁石に適用した例である。なお、以下実施例において嵌入式電気絶縁層は、単に「電気絶縁層」と呼ぶ。また、嵌入式電気絶縁層と永久磁性体が交差するエッジを、交差永久磁性体エッジと定義する。
(第1実施例)
図5A図5Bは、第1実施例の構造を示しており、永久磁性体の磁化方向に対して直交する第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層500と交差し、全ての電気絶縁層500は永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)と交差し(永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ402と交差してもよい。図示せず)、且つ全ての電気絶縁層500の2つの頂点を結ぶ外縁一辺510の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
なお、以下説明する第8実施例を除く各実施例において、磁化方向と直交する第1磁極面418及び第2磁極面420の長手方向(長辺側)の4本のエッジを405、幅方向(短辺側)の4本のエッジを402とする。
【0026】
図5C、5Dは第1実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層500と交差し、全ての電気絶縁層500は永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)とのみ交差し(永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ402とのみ交差してもよい。図示せず)、且つ全ての電気絶縁層500の2つの頂点を結ぶ外縁一辺510の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。この種の電気絶縁層方式は、渦電流が永久磁性体の一方側のみに集中する状況において、永久磁性体への電気絶縁層導入による磁束の損失を最大限低減させることができる。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0027】
図5E、5F、5Gは第1実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層500と交差し、一部の電気絶縁層500は、永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)と所定の角度で交差し、他の電気絶縁層は、永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面のもう一本のエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)と所定の角度で交差し(一部の電気絶縁層500は、永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ402と所定の角度で交差し、他の電気絶縁層500は、永久磁性体の幅方向に沿う第2磁極面420の一本のエッジ402と所定の角度で交差してもよい。図示せず)、電気絶縁層は永久磁性体の磁化方向に対して平行であり、全ての電気絶縁層500の2つの頂点を結ぶ外縁一辺510の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層及びこれと交差する永久磁性体のエッジ404の夾角は90°ではない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0028】
図5H、5Iは第1実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418及び磁化方向において第1磁極面418の後方側にある第2磁極面420は、少なくとも一つの電気絶縁層500と交差し、その内一組の電気絶縁層500は、永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)と交差し、他の組の電気絶縁層500は、永久磁性体の長さ方向に沿って第2磁極面420のもう一本のエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)と交差し(一組の電気絶縁層500は、永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ402と交差し、他の組の電気絶縁層500は、永久磁性体の幅方向に沿う第2磁極面420のもう一本のエッジ402交差してもよい。図示せず)、且つ全ての電気絶縁層500の2つの頂点を結ぶ外縁一辺510の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0029】
図5J、5K、5Lは第1実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層500と交差し、その内一組の電気絶縁層は、永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の平行な二本のエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)と交差し、他の組の電気絶縁層500は、永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の平行な二本のエッジ402(交差永久磁性体エッジ402)と交差し、全ての電気絶縁層500は永久磁性体の一本のエッジと交差し、かつ全ての電気絶縁層500の2つの頂点を結ぶ外縁一辺510の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0030】
図5M、5N、5Oは第1実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418及び第1磁極面418と平行な第2磁極面420は、少なくとも一つの電気絶縁層500と交差し、一部の電気絶縁層500は、長さ方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)と交差し、他の電気絶縁層は、長さ方向に沿う第2磁極面420の一本のエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)と交差する。全ての電気絶縁層は、永久磁性体のエッジ404とのみ交差し、且つ電気絶縁層の深さはいずれも永久磁性体の厚さを超えず、電気絶縁層は磁性体の磁化方向に対して平行である(一部の電気絶縁層500は、幅方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ402に交差し、他の電気絶縁層は、幅方向に沿う第2磁極面420の一本のエッジ402と交差し、全ての電気絶縁層は磁性体の一本のエッジ402とのみ交差してもよい。図示せず)。全ての電気絶縁層の2つの頂点を結ぶ外縁一辺510の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0031】
(第2実施例)
図6A、6Bは第2実施例の構造の示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層600と交差し、全ての電気絶縁層600は永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の平行な二本のエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)と交差し(永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の二本のエッジ402と交差してもよい)、電気絶縁層は永久磁性体の磁化方向に対して平行であり、全ての電気絶縁層600の二つの2つの頂点を結ぶ外縁一辺610及び620の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0032】
図6C、6Dは第2実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層600と交差し、全ての電気絶縁層は永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の平行な二本のエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)と交差し、電気絶縁層はエッジ404と角度βをなして交差する(全ての電気絶縁層は永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の平行な二本のエッジ402と交差し、電気絶縁層はエッジ402と角度βをなして交差してもよい。図示せず)。更に、全ての電気絶縁層600の2つの頂点を結ぶ二つの外縁一辺610及び620の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもなく、角度βは90°ではない。電気絶縁層のサイズL、H、角度β及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0033】
(第3実施例)
図7A、7Bは第3実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層700と交差し、全ての電気絶縁層は第1磁極面418の二本のエッジ(エッジ404及びエッジ402、交差永久磁性体エッジ404、402)とのみ交差し、且つ全ての電気絶縁層700の2つの頂点を結ぶ二つの外縁一辺710及び720の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0034】
(第4実施例)
図8A、8B、8Cは第4実施例の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は二つの電気絶縁層800及び802と交差し、その内の一つである電気絶縁層800は、永久磁性体の対角面方向に沿う第1磁極面418の一つの角と交差し、他方の電気絶縁層802は、永久磁性体の対角面方向に沿う第1磁極面418の二つの角と交差する。全ての電気絶縁層800の2つの頂点を結ぶ外縁一辺810と電気絶縁層802の2つの頂点を結ぶ二つの外縁一辺822及び832の各傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0035】
図8D、8Eは第4実施例の他の構造を示しており、永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つの電気絶縁層800と交差し、全ての電気絶縁層800は、永久磁性体の対角面方向に沿う第1磁極面418の一つの角と交差する。全ての電気絶縁層800の2つの頂点を結ぶ外縁一辺810の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0036】
(第5実施例)
図9A、9B、9C、9Dは第5実施例の構造を示しており、図9E、9F、9G、9Hは第5実施例の他の構造を、図9I、9J、9K、9Lは第5実施例の更に別の構造を示している。本発明の第1実施例から第4実施例の上記全ての電気絶縁層の永久磁性体内における結合構造を任意に組み合わせることで、新たな電気絶縁層(900、901、902)を形成でき、電気絶縁層(900、901、902)は磁性体の磁化方向に対して平行であり、全ての電気絶縁層の少なくとも2つの頂点を結ぶ外縁一辺(910、911、912)の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0037】
(第6実施例)
図10A、10Bは第6実施例の構造を示しており、少なくとも一つの電気絶縁層1000は、永久磁性体110と交差し、全ての電気絶縁層1000は永久磁性体の長さ方向に沿う三つの平行なエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)と交差し(永久磁性体の幅方向に沿う三つの平行なエッジ402と交差してもよい)、電気絶縁層は永久磁性体の磁化方向に対して平行であり、且つ全ての電気絶縁層1000の2つの頂点を結ぶ外縁一辺1010の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0038】
(第7実施例)
図11A、11Bは第7実施例の構造を示しており、少なくとも一つの電気絶縁層1100は、永久磁性体110と交差し、全ての電気絶縁層1100は永久磁性体の長さ方向に沿う四つの平行なエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)と交差し(永久磁性体の幅方向に沿う四つの平行なエッジ402と交差してもよい)、電気絶縁層は永久磁性体の磁化方向に対して平行であり、全ての電気絶縁層の2つの頂点を結ぶ四つの外縁一辺1010、1112、1114及び1116の各傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズH、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0039】
(第8実施例)
図12A、12B、12Cは第8実施例の構造を示しており、電気絶縁層1200は、C形永久磁性体120の第1磁極面1218の接線方向に沿う永久磁性体120の一本のエッジ1204(交差永久磁性体エッジ1204)と交差し、電気絶縁層1200は永久磁性体の磁化方向に対して平行であり、全ての電気絶縁層の2つの頂点を結ぶ外縁一辺1210の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。電気絶縁層のサイズL、H、角度α及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0040】
(第9実施例)
図13A、13Bは第9実施例の構造を示している。永久磁性体の第1磁極面418は少なくとも一つのスリット1300と交差し、全てのスリット1300は、永久磁性体の長さ方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ404(交差永久磁性体エッジ404)に交差し(永久磁性体の幅方向に沿う第1磁極面418の一本のエッジ402に交差してもよい)、且つ全てのスリット1300の2つの頂点を結ぶ外縁一辺1310の傾斜方向は、永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもない。当該永久磁性体内の電気絶縁層の絶縁材はスリット内の空気である。電気絶縁層となるスリットのサイズL、H、角度α(L、H、αは図5B図12Bに準ずる)及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0041】
(第10実施例)
図14A、14Bは第10実施例の構造を示している。一層の永久磁性体材料粉末1410Aの上面に電気絶縁層となる一層の絶縁材粉末1420Aを配置し、絶縁材粉末層1420Aは永久磁性体材料粉末層1410Aを完全には覆わず、一つの二層永久磁性体粉末ブロックを形成し、幾つかの二層永久磁性体粉末ブロックを重ねて一つの多層永久磁性体粉末ブロック1400を形成し、多層永久磁性体粉末ブロック1400に配向及びプレス成型を行い、成型後の多層永久磁性体粉末ブロック1400を焼結処理し、焼結後の多層永久磁性体粉末ブロックを時効処理した。電気絶縁層となる絶縁材粉末層のサイズ及び数量は、必要とする電気絶縁層の総面積によって確定する。
【0042】
以上の各実施例に共通する特徴は、渦電流密度が最高となる領域に嵌入式電気絶縁層が分布することであり(図4B及び図4Cにおいて黒色で示す領域)、渦電流の低い領域、即ち磁性体中心領域の永久磁性体材料の除去を回避することで、永久磁性体内への嵌入式電気絶縁層の導入による永久磁性体の磁束の損失を低減し、かつ渦電流損失の低減効果が変わることはない。
【0043】
以上の構造は、本発明が開示する永久磁性体の主たる嵌入式電気絶縁層の構成であり、その主たる構造による特徴は、永久磁性体が少なくとも一つの嵌入式電気絶縁層を含むこと、嵌入式電気絶縁層の少なくとも2つの頂点を結ぶ外縁一辺の傾斜方向が永久磁性体の磁化方向に対して平行でも直交でもないことである。当然ながら、本発明に係る嵌入式電気絶縁層の構造は、上記構造に限定されるものではなく、複数の組み合わせ及び嵌入式電気絶縁層の方向を変更することで実現できるが、その特徴は上記構造の範囲内である。
【0044】
本発明の永久磁性体モータは、ステータ、ステータに対して回転するよう支持されるロータ及びロータに装着される複数の本願発明に記載の永久磁性体を含み、第1磁極面は、半径方向においてロータの中心に背を向け、第2磁極面は、ロータの半径方向に沿ってロータの中心を向き、永久磁性体は、ロータのロータ孔内に装着され、又はロータの外径面上に装着される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5A
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5A
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5C
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5C
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5E
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5E
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5H
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5H
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5M
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5M
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6A
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6A
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6C
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6C
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8D
【補正方法】変更
【補正の内容】
図8D
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10A
【補正方法】変更
【補正の内容】
図10A
【手続補正12】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11A
【補正方法】変更
【補正の内容】
図11A
【手続補正13】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13A
【補正方法】変更
【補正の内容】
図13A
【国際調査報告】