(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-13
(54)【発明の名称】FXRアゴニストの多形
(51)【国際特許分類】
C07D 413/14 20060101AFI20231106BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20231106BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
C07D413/14 CSP
A61P1/16
A61K31/454
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523117
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021071862
(87)【国際公開番号】W WO2022082197
(87)【国際公開日】2022-04-21
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】スウィータナ,ステファニー アン
(72)【発明者】
【氏名】スプロール,スティーブン ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】オーウェンズ,ポール ケイ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB08
4C063CC51
4C063DD10
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC67
4C086GA07
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA75
(57)【要約】
本明細書では、6-(4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)ピペリジン-1-イル)-1-メチル-1H-インドール-3-カルボン酸の多形、その組成物、その調製方法、およびその使用方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式での化合物の多形。
【化1】
【請求項2】
14.40±0.20度、20.48±0.20度、および24.74±0.20度の角度2シータにおけるピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の多形。
【請求項3】
14.40±0.20度、15.51±0.20度、19.20±0.20度、20.48±0.20度、および24.74±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の多形。
【請求項4】
図1Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の多形。
【請求項5】
約215.5℃での吸熱開始を含む示差走査熱量測定(DSC)グラフを有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の前記多形。
【請求項6】
図1Bに実質的に示されるDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の多形。
【請求項7】
20.00±0.20度、21.09±0.20度、および23.04±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の多形。
【請求項8】
14.50±0.20度、15.56±0.20度、20.00±0.20度、21.09±0.20度、および23.04±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1または7に記載の多形。
【請求項9】
図2Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1、7、または8のいずれか一項に記載の多形。
【請求項10】
約206.7℃での吸熱開始を含むDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1および7~9のいずれか一項に記載の多形。
【請求項11】
図2Bに実質的に示されるものであるDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1および7~10のいずれか一項に記載の多形。
【請求項12】
7.40±0.20度、14.27±0.20度、および23.04±0.20度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の多形。
【請求項13】
7.40±0.20度、12.16±0.20度、14.27±0.20度、23.04±0.20度、および25.69±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1または12に記載の多形。
【請求項14】
図3Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1、12、および13のいずれか一項に記載の多形。
【請求項15】
約215.0℃での吸熱開始を含むDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1および12~14のいずれか一項に記載の多形。
【請求項16】
図3Bに実質的に示されるDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1および12~15のいずれか一項に記載の多形。
【請求項17】
14.93±0.20度、18.97±0.20度、および24.43±0.20度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の多形。
【請求項18】
14.93±0.20度、18.97±0.20度、19.86±0.20度、24.43±0.20度、および24.58±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1または17に記載の多形。
【請求項19】
図4Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1、17、または18のいずれか一項に記載の多形。
【請求項20】
約216.3℃での吸熱開始を含むDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1および請求項1および17~19のいずれか一項に記載の多形。
【請求項21】
図4Bに実質的に示されるDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1および17~20のいずれか一項に記載の多形。
【請求項22】
6.49±0.20度、22.36±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の多形。
【請求項23】
6.49±0.20度、10.44±0.20度、16.04±0.20度、22.36±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1または22に記載の多形。
【請求項24】
図5Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1、22および23のいずれか一項に記載の多形。
【請求項25】
約180.3℃での吸熱開始、約182.6℃での発熱開始、および/または約213.6℃での吸熱開始を含むDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1および22~24のいずれか一項に記載の多形。
【請求項26】
図5Bに実質的に示されるDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1および22~25のいずれか一項に記載の多形。
【請求項27】
6.20±0.20度、15.12±0.20度、および24.25±0.20度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の多形。
【請求項28】
6.20±0.20度、6.51±0.20度、15.12±0.20度、21.89±0.20度、および24.25±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1または27に記載の多形。
【請求項29】
図6Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1、27または28のいずれか一項に記載の多形。
【請求項30】
約177.3℃での吸熱開始、約180.1℃での発熱開始、および/または約208.9℃での吸熱開始を含むDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1および27~29のいずれか一項に記載の多形。
【請求項31】
図6Bに実質的に示されるものであるDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1および27~30のいずれか一項に記載の多形。
【請求項32】
11.74±0.20度、19.88±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1に記載の多形。
【請求項33】
11.74±0.20度、13.94±0.20度、19.88±0.20度、22.67±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1または32に記載の多形。
【請求項34】
図7Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1、32または33のいずれか一項に記載の多形。
【請求項35】
約180.2℃での吸熱開始、約182.4℃での発熱開始、約205.5℃での吸熱開始、および/または約211.7℃での吸熱開始を含むDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1および32~34のいずれか一項に記載の多形。
【請求項36】
図7Bに実質的に示されるDSCグラフを有することを特徴とする、請求項1および32~35のいずれか一項に記載の多形。
【請求項37】
前記化合物および溶媒を含む溶液をスラリー化することを含み、前記溶媒がメタノール、酢酸エチル、またはイソプロパノールと水の混合物を含む、請求項2~6のいずれか一項に記載の前記多形を調製する方法。
【請求項38】
前記化合物および溶媒を含む溶液を低速冷却することを含み、前記溶媒がアセトニトリルを含む、請求項2~6のいずれか一項に記載の前記多形を調製する方法。
【請求項39】
前記化合物および溶媒を含む溶液をスラリー化することを含み、前記溶媒がアセトンまたはアセトニトリルを含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の前記多形を調製する方法。
【請求項40】
前記化合物またはその多形および溶媒を含む溶液をスラリー化することを含み、前記溶媒がニトロメタン、アセトニトリル、またはテトラヒドロフラン(THF)およびヘプタンの混合物を含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の前記多形を調製する方法。
【請求項41】
前記化合物および溶媒を含む溶液を蒸気拡散することを含み、前記溶媒がテトラヒドロフラン(THF)およびジエチルエーテルの混合物を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の前記多形を調製する方法。
【請求項42】
前記化合物および溶媒を含む溶液を低速冷却することを含み、前記溶媒がメタノールおよび水の混合物を含む、請求項17~21のいずれか一項に記載の前記多形を調製する方法。
【請求項43】
前記化合物および溶媒を含む溶液を蒸気拡散することを含み、前記溶媒がTHFおよびヘキサンの混合物を含む、請求項22~26のいずれか一項に記載の前記多形を調製する方法。
【請求項44】
前記化合物および溶媒を含む溶液を低速蒸発させることを含み、前記溶媒がアセトンおよびアセトニトリルの混合物を含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の前記多形を調製する方法。
【請求項45】
前記化合物および溶媒を含む溶液を結晶化することを含み、前記溶媒がクロロホルムを含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の前記多形を調製する方法。
【請求項46】
請求項1~36のいずれか一項に記載の多形と、薬学的に許容可能な担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項47】
肝障害を治療することを、それを必要とする対象において行う方法であって、請求項1~36のいずれか一項に記載の前記多形の治療有効量を投与することを含む、方法。
【請求項48】
前記肝障害が、肝臓炎、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
肝障害を治療するための薬剤の前記製造における、請求項1~36のいずれか一項に記載の前記多形の使用。
【請求項50】
前記肝障害が、肝臓炎、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、請求項49に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年10月15日に出願された米国仮特許出願第63/092,423号の優先権および利益を主張するものであり、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書では、6-(4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)ピペリジン-1-イル)-1-メチル-1H-インドール-3-カルボン酸の多形、その組成物、その調製方法、およびその使用方法が提供される。
【背景技術】
【0003】
ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストとして機能する治療薬は、肝臓炎、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの、肝障害の治療を必要とする患者の生活を救済または改善する可能性がある。米国特許第8,153,624号は、その内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれ、6-(4-((5-シクロプロピル-3-(2,6-ジクロロフェニル)イソオキサゾール-4-イル)メトキシ)ピペリジン-1-イル)-1-メチル-1H-インドール-3-カルボン酸(本明細書では化合物Iとして指定される)を開示しており、これは下記の構造を有する。
【化1】
【0004】
化合物Iは、肝障害に対する治療として開発された強力なFXRアゴニストである。化合物Iなどの薬剤候補を実用的な医薬品へと移行するためには、薬剤候補が多形形態を有するかどうか、さらには大規模生産、輸送、貯蔵および使用前調製の際に遭遇する可能性が高い条件下でのこれらの形態の相対的な安定性および相互転換を理解することが重要であり得る。堅牢な製造過程により安定した多形を管理および生産する能力が、規制当局による承認および市販における鍵となり得る。高純度の化合物Iの大規模生産過程は、特定の多形形態を使用することによって改善され得る。したがって、異なる化学的安定性や物理的安定性を有する化合物Iの様々な新しい多形形態、ならびに同左の組成物および使用に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、化合物Iの多形が本明細書において提供される。
【0006】
別の態様では、化合物Iの多形を調製する方法が本明細書において提供される。
【0007】
別の態様では、化合物Iの多形を含む組成物が本明細書において提供される。
【0008】
別の態様では、化合物Iの多形を使用して、肝障害の治療を必要とする対象を治療する方法も本明細書において提供される。また、肝障害を治療するための医薬品の製造における化合物Iの多形の使用も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、化合物Iの多形形態IのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【
図1B】
図1Bは、化合物Iの多形形態Iの示差走査熱量測定(DSC)グラフを示す。
【
図1C】
図1Cは、化合物Iの多形形態Iの熱重量分析(TGA)グラフを示す。
【
図1D】
図1Dは、化合物Iの多形形態Iの水分吸着分析(MSA)グラフを示す。
【
図2A】
図2Aは、化合物Iの多形形態IIのXRPDパターンを示す。
【
図2B】
図2Bは、化合物Iの多形形態IIのDSCグラフを示す。
【
図2C】
図2Cは、化合物Iの多形形態IIのTGAグラフを示す。
【
図2D】
図2Dは、化合物Iの多形形態IIのMSAグラフを示す。
【
図3A】
図3Aは、化合物Iの多形形態IIIのXRPDパターンを示す。
【
図3B】
図3Bは、化合物Iの多形形態IIIのDSCグラフを示す。
【
図4A】
図4Aは、化合物Iの多形形態IVのXRPDパターンを示す。
【
図4B】
図4Bは、化合物Iの多形形態IVのDSCグラフを示す。
【
図5A】
図5Aは、化合物Iの多形形態VのXRPDパターンを示す。
【
図5B】
図5Bは、化合物Iの多形形態VのDSCグラフを示す。
【
図6A】
図6Aは、化合物Iの多形形態VIのXRPDパターンを示す。
【
図6B】
図6Bは、化合物Iの多形形態VIのDSCグラフを示す。
【
図7A】
図7Aは、化合物Iの多形形態VIIのXRPDパターンを示す。
【
図7B】
図7Bは、化合物Iの多形形態VIIのDSCグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈により別途明確に指示されない限り、複数形を含む。
【0011】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、組成物または剤形の成分の用量、量、または重量パーセントに関連して使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、指定された用量、量、または重量パーセントから得られるものと同等の薬理効果を提供すると当業者によって認識される用量、量、または重量パーセントを意味する。具体的には、値に関連して使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、指定された値の±15%以内、±10%以内、±5%以内、±4%以内、±3%以内、±2%以内、±1%以内、または±0.5%以内のばらつきを企図する。「約」値またはパラメータへの言及は、本明細書では、その値またはパラメータ自体に向けられた実施形態を含む(および記述する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、「多形」または「多形形態」という用語は、化合物の結晶性形態を指す。異なる多形は、結晶格子の分子またはイオンの配置または配座の結果として、例えば、融解温度、融解熱、溶解性、溶解速度、および/または振動スペクトルなどの、異なる物理的特性を有し得る。多形によって示される物理的特性の差異は、貯蔵安定性、圧縮性、密度(調合および製品製造における重要)、および溶解速度(生物学的利用能における重要な要素)などの、薬学的パラメータに影響を及ぼし得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な担体」という用語およびその同種のものは、個体(例えば、哺乳動物または非哺乳動物)への投与に好適な、当業者に既知の補助剤、結合剤、希釈剤などを指す。二つ以上の担体の組み合わせも企図される。本明細書に記載の、薬学的に許容可能な担体およびあらゆる追加の構成要素は、当業者によって認識されるであろう特定の剤形について意図された投与経路(例えば、経口、非経口)での使用に適合すべきである。
【0014】
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療する」とは、臨床結果を含む有益または望ましい結果を得るためのアプローチである。本開示の目的上、有益または望ましい結果には、疾患または障害から生じる一つ以上の症状を減少させること、疾患または障害の程度を減少させること、疾患または障害を安定させること(例えば、疾患または障害の悪化を防止するかまたは遅延させること)、疾患または障害の発生または再発を遅延させること、疾患または障害の進行を遅延させまたは遅くすること、疾患または障害状態を改善すること、疾患または障害の(部分的または完全いずれにしても)寛解を提供すること、疾患または障害を治療するために必要な一つ以上の他の薬剤の用量を減量すること、疾患または障害を治療するために使用される別の薬剤の効果を強化すること、疾患または障害の進行を遅延させること、生活の質を向上させること、および/または患者の生存を延長させることのうちの一つ以上を含むが、これらに限定されない。また、疾患または障害の病理的帰結の減少も「治療」に包含される。本開示の方法は、治療のこれらの態様のうちのいずれの一つ以上も企図する。
【0015】
「対象」という用語は、霊長類(例えば、ヒト)、サル、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、またはマウスを含むがこれらに限定されない、動物を指す。「対象」および「患者」という用語は、本明細書で例えばヒトなどの哺乳動物の対象に関して互換可能に使用される。
【0016】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、指定された障害、状態、または疾患を治療するため、例えばその症状の一つ以上を改善し、和らげ、減少させ、および/または遅延させるために十分な化合物または組成物の量を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「に実質的に示されるような」という用語は、例えばXRPDパターン、DSCグラフ、TGAグラフまたはMSAグラフを指す場合、本明細書に描写したものと必ずしも同一ではないが、当業者によって考慮される時に実験誤差または偏差の限界内にあるパターンまたはグラフを含む。
【0018】
本明細書で使用される場合、「を実質的に含まない」という用語は、約25重量%未満、約20重量%未満、約15重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満の量で示される物質を組成物が含有することを意味する。
【0019】
多形
一態様では、以下に示す構造を有する、化合物Iの多形が本明細書において提供される。一部の実施形態では、多形は溶媒和される。一部の実施形態では、多形は溶媒和されない。
【化2】
【0020】
多形は、医療または医薬用途に適した特定の条件下で、生物学的利用能および安定性などの特性を有し得る。
【0021】
化合物Iの多形は、生物学的利用能および安定性の利点を提供してもよく、医薬組成物中の活性剤としての使用に適し得る。調合薬物質の結晶構造のバリエーションは、医薬製剤の溶解速度(生物学的利用能などに影響を及ぼし得る)、製造可能性(例えば、取り扱いの容易さ、精製の容易さ、既知の強度の用量をむらなく調製できることなど)、および安定性(例えば、熱安定性、貯蔵寿命(分解に対する耐性を含む)など)に影響を及ぼし得る。こうしたバリエーションは、錠剤およびカプセルを含む固形経口剤形などの異なる剤形または送達形態における、医薬組成物の調製または調合の方法に影響を及ぼし得る。非結晶性形態またはアモルファス形態などの他の形態と比較して、多形は、望ましいかまたは適切な吸湿性、粒子サイズ制御、溶解速度、溶解性、純度、物理的および化学的安定性、製造可能性、収量、再現性、および/またはプロセス制御を提供し得る。したがって、化合物Iの多形は、活性剤の製造過程、もしくは活性剤の製剤形態の安定性もしくは貯蔵可能性を改善する利点、または活性剤としての適切な生物学的利用能および/または安定性を有する利点を提供し得る。
【0022】
異なる溶媒および/または温度の使用などの特定の条件の使用は、本明細書に記載される多形形態I~VIIを含む、化合物Iの異なる多形を生成することが見出されており、これは、本明細書に記載される一つ以上の好ましい特徴を示し得る。本明細書に記載される多形の調製およびこれらの多形の特徴評価のための過程が、以下でより詳細に記述される。
【0023】
形態I
一部の実施形態では、化合物Iの多形形態Iが本明細書において提供される。
【0024】
一部の実施形態では、形態Iは、
図1Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有する。XRPDを使用して形態Iについて観察され得る、角度2シータおよび相対的なピーク強度を表1に示す。
【表1】
【0025】
一部の実施形態では、多形形態Iは、
図1Aに示すように、または表1に提供するように、XRPDパターンにおける最大強度を有する角度2シータにおけるピークの少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個を表示する、XRPDパターンを有する。相対強度は、試料調製、取り付け、ならびにスペクトルを得るために使用される器械ならびに分析手順およびセッティングを含む、いくつかの要素に応じて変化し得ることが理解されるべきである。相対的なピーク強度およびピーク配置は、実験誤差内で変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態Iのピーク配置を含めて、±0.6度、±0.4度、±0.2度、または±0.1度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態Iのピーク配置を含めて、±0.6度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態Iのピーク配置を含めて、±0.4度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態Iのピーク配置を含めて、±0.2度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態Iのピーク配置を含めて、±0.1度2シータだけ変化し得る。
【0026】
一部の実施形態では、多形形態Iは、14.40±0.20度、20.48±0.20度、および24.74±0.20度の角度2シータにおけるピークを含む、XRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態Iは、14.40±0.20度、15.51±0.20度、19.20±0.20度、20.48±0.20度、および24.74±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態Iは、9.48±0.20度、11.81±0.20度、13.92±0.20度、14.40±0.20度、14.92±0.20度、15.51±0.20度、18.77±0.20度、19.20±0.20度、20.48±0.20度、および24.74±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有する。
【0027】
一部の実施形態では、形態Iは、
図1Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有する。一部の実施形態では、形態Iは、DSCによって決定されるように約215.5℃での吸熱開始を有することを特徴とする。一部の実施形態では、形態Iは、DSCによって決定されるように215.5±2℃(例えば、215.5±1.9℃、215.5±1.8℃、215.5±1.7℃、215.5±1.6℃、215.5±1.5℃、215.5±1.4℃、215.5±1.3℃、215.5±1.2℃、215.5±1℃、215.5℃±0.9℃、215.5±0.8℃、215.5±0.7℃、215.5±0.6℃、215.5±0.5℃、215.5±0.4℃、215.5±0.3℃、215.5±0.2℃、または215.5±0.1℃)で吸熱開始を有することを特徴とする。
【0028】
一部の実施形態では、形態Iは、
図1Cに実質的に示されるようなTGAグラフを有する。一部の実施形態では、形態Iは、TGAによって決定されるように約213.0℃未満の重量減少を示さない。
【0029】
一部の実施形態では、形態Iは、
図1Dに実質的に示されるようなMSAグラフを有する。
【0030】
形態Iの一部の実施形態では、以下の(a)~(g)のうちの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、またはすべてが適用される。
(a)形態Iは、14.40±0.20度、20.48±0.20度、および24.74±0.20度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターンを有し、14.40±0.20度、15.51±0.20度、19.20±0.20度、20.48±0.20度、および24.74±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンと、9.48±0.20度、11.81±0.20度、13.92±0.20度、14.40±0.20度、14.92±0.20度、15.51±0.20度、18.77±0.20度、19.20±0.20度、20.48±0.20度、および24.74±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有し、
(b)形態Iは、
図1Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有し、
(c)形態Iは、DSCによって決定されるように約215.5℃での吸熱開始を有することを特徴とし、
(d)形態Iは、
図1Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有し、
(e)形態Iは、TGAによって決定されるように約213.0℃未満の重量減少を示さず、
(f)形態Iは、
図1Cに実質的に示されるようなTGAグラフを有し、ならびに、
(g)形態Iは、
図1Dに実質的に示されるようなMSAグラフを有する。
【0031】
形態II
一部の実施形態では、化合物Iの多形形態IIが本明細書において提供される。
【0032】
一部の実施形態では、形態IIは、
図2Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有する。XRPDを使用して形態IIについて観察され得る、角度2シータおよび相対的なピーク強度を表2に示す。
【表2】
【0033】
一部の実施形態では、多形形態IIは、
図2Aに実質的に示すように、または表2Aに提供するように、XRPDパターンにおける最大強度を有する角度2シータにおけるピークの少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個を表示する、XRPDパターンを有する。相対強度は、試料調製、取り付け、ならびにスペクトルを得るために使用される器械ならびに分析手順およびセッティングを含む、いくつかの要素に応じて変化し得ることが理解されるべきである。相対的なピーク強度およびピーク配置は、実験誤差内で変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IIのピーク配置を含めて、±0.6度、±0.4度、±0.2度、または±0.1度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IIのピーク配置を含めて、±0.6度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IIのピーク配置を含めて、±0.4度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IIのピーク配置を含めて、±0.2度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IIのピーク配置を含めて、±0.1度2シータだけ変化し得る。
【0034】
一部の実施形態では、多形形態IIは、20.00±0.20度、21.09±0.20度、および23.04±0.20度の角度2シータにおけるピークを含む、XRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態IIは、14.50±0.20度、15.56±0.20度、20.00±0.20度、21.09±0.20度、および23.04±0.20度の角度2シータにおけるピークを含む、XRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態IIは、14.50±0.20度、15.56±0.20度、17.01±0.20度、20.00±0.20度、21.09±0.20度、23.04±0.20度、23.24±0.20度、23.58±0.20度、25.69±0.20度、および27.13±0.20度の角度2シータにおけるピークを含む、XRPDパターンを有する。
【0035】
一部の実施形態では、形態IIは、
図2Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有する。一部の実施形態では、形態IIは、DSCによって決定されるように約206.7℃での吸熱開始を有することを特徴とする。一部の実施形態では、形態IIは、DSCによって決定されるように約206.7±2℃(例えば、206.7±1.9℃、206.7±1.8℃、206.7±1.7℃、206.7±1.6℃、206.7±1.5℃、206.7±1.4℃、206.7±1.3℃、206.7±1.2℃、206.7±1.1℃、206.7±1℃、206.7±0.9℃、206.7±0.8℃、206.7±0.7℃、206.7±0.6℃、206.7±0.5℃、206.7±0.4℃、206.7±0.3℃、206.7±0.2℃、または206.7±0.1℃)での吸熱開始を有することを特徴とする。
【0036】
一部の実施形態では、形態IIは、
図2Cに実質的に示されるようなTGAグラフを有する。一部の実施形態では、形態IIは、TGAによって決定されるような約202.3℃未満の重量減少を示さない。
【0037】
一部の実施形態では、形態IIは、
図2Dに実質的に示されるようなMSAグラフを有する。
【0038】
形態IIの一部の実施形態では、以下の(a)~(g)のうちの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、またはすべてが適用される。
(a)形態IIは、20.00±0.20度、21.09±0.20度、および23.04±0.20度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターン、14.50±0.20度、15.56±0.20度、20.00±0.20度、21.09±0.20度、および23.04±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンと、14.50±0.20度、15.56±0.20度、17.01±0.20度、20.00±0.20度、21.09±0.20度、23.04±0.20度、23.24±0.20度、23.58±0.20度、25.69±0.20度、および27.13±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有し、
(b)形態IIは、
図2Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有し、
(c)形態IIは、DSCによって決定されるように約206.7℃での吸熱開始を有することを特徴とし、
(d)形態IIは、
図2Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有し、
(e)形態IIは、TGAによって決定されるように約202.3℃未満の重量減少を示さず、
(f)形態IIは、
図2Cに実質的に示されるようなTGAグラフを有し、ならびに、
(g)形態IIは、
図2Dに実質的に示されるようなMSAグラフを有する。
【0039】
形態III
一部の実施形態では、化合物Iの多形形態IIIが本明細書において提供される。
【0040】
一部の実施形態では、形態IIIは、
図3Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有する。XRPDを使用して形態IIIについて観察され得る、角度2シータおよび相対的なピーク強度を表3に示す。
【表3】
【0041】
一部の実施形態では、多形形態IIIは、
図3Aに実質的に示すように、または表3に提供するように、XRPDパターンにおける最大強度を有する角度2シータにおけるピークの少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個を表示する、XRPDパターンを有する。相対強度は、試料調製、取り付け、ならびにスペクトルを得るために使用される器械ならびに分析手順およびセッティングを含む、いくつかの要素に応じて変化し得ることが理解されるべきである。相対的なピーク強度およびピーク配置は、実験誤差内で変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IIIのピーク配置を含めて、±0.6度、±0.4度、±0.2度、または±0.1度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IIIのピーク配置を含めて、±0.6度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IIIのピーク配置を含めて、±0.4度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IIIのピーク配置を含めて、±0.2度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IIIのピーク配置を含めて、±0.1度2シータだけ変化し得る。
【0042】
一部の実施形態では、多形形態IIIは、7.40±0.20度、14.27±0.20度、および23.04±0.20度の角度2シータにおけるピークを含む、XRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態IIIは、7.40±0.20度、12.16±0.20度、14.27±0.20度、23.04±0.20度、および25.69±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態IIIは、7.40±0.20度、12.16±0.20度、12.43±0.20度、13.56±0.20度、14.27±0.20度、19.77±0.20度、21.03±0.20度、22.58±0.20度、23.04±0.20度、および25.69±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有する。
【0043】
一部の実施形態では、多形形態IIIは、
図3Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有する。一部の実施形態では、形態IIIは、DSCによって決定されるように約215.0℃での吸熱開始を有することを特徴とする。一部の実施形態では、形態IIIは、DSCによって決定されるように約215.0±2℃(例えば、215.0±1.9℃、215.0±1.8℃、215.0±1.7℃、215.0±1.6℃、215.0±1.5℃、215.0±1.4℃、215.0±1.3℃、215.0±1.2℃、215.0±1.1℃、215.0±1℃、215.0±0.9℃、215.0±0.8℃、215.0±0.7℃、215.0±0.6℃、215.0±0.5℃、215.0±0.4℃、215.0±0.3℃、215.0±0.2℃、または215.0±0.1℃)での吸熱開始を有することを特徴とする。
【0044】
形態IIIの一部の実施形態では、以下の(a)~(d)のうちの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、またはすべてが適用される。
(a)形態IIIは、7.40±0.20度、14.27±0.20度、および23.04±0.20度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターン、7.40±0.20度、12.16±0.20度、14.27±0.20度、23.04±0.20度、および25.69±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンと、7.40±0.20度、12.16±0.20度、12.43±0.20度、13.56±0.20度、14.27±0.20度、19.77±0.20度、21.03±0.20度、22.58±0.20度、23.04±0.20度、および25.69±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有し、
(b)形態IIIは、
図3Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有し、
(c)形態IIIは、DSCによって決定されるように約215.0℃での吸熱開始を有することを特徴とし、ならびに、
(d)形態IIIは、
図3Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有する。
【0045】
形態IV
一部の実施形態では、化合物Iの多形形態IVが本明細書において提供される。
【0046】
一部の実施形態では、形態IVは、
図4Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有する。XRPDを使用して形態IVについて観察され得る、角度2シータおよび相対的なピーク強度を表4に示す。
【表4】
【0047】
一部の実施形態では、多形形態IVは、
図4Aに実質的に示すように、または表4に提供するように、XRPDパターンにおける最大強度を有する角度2シータにおけるピークの少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個を表示する、XRPDパターンを有する。相対強度は、試料調製、取り付け、ならびにスペクトルを得るために使用される器械ならびに分析手順およびセッティングを含む、いくつかの要素に応じて変化し得ることが理解されるべきである。相対的なピーク強度およびピーク配置は、実験誤差内で変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IVのピーク配置を含めて、±0.6度、±0.4度、±0.2度、または±0.1度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IVのピーク配置を含めて、±0.6度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IVのピーク配置を含めて、±0.4度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IVのピーク配置を含めて、±0.2度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態IVのピーク配置を含めて、±0.1度2シータだけ変化し得る。
【0048】
一部の実施形態では、多形形態IVは、14.93±0.20度、18.97±0.20度、および24.43±0.20度の角度2シータにおけるピークを含む、XRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態IVは、14.93±0.20度、18.97±0.20度、19.86±0.20度、24.43±0.20度、および24.58±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態IVは、8.99±0.20度、13.20±0.20度、13.64±0.20度、14.83±0.20度、14.93±0.20度、18.97±0.20度、19.86±0.20度、24.43±0.20度、24.58±0.20度、および25.40±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有する。
【0049】
一部の実施形態では、形態IVは、
図4Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有する。一部の実施形態では、形態IVは、DSCによって決定されるように約216.3℃での吸熱開始を有することを特徴とする。一部の実施形態では、形態IVは、DSCによって決定されるように約216.3±2℃(例えば、216.3±1.9℃、216.3±1.8℃、216.3±1.7℃、216.3±1.6℃、216.3±1.5℃、216.3±1.4℃、216.3±1.3℃、216.3±1.2℃、216.3±1.1℃、216.3±1℃、216.3±0.9℃、216.3±0.8℃、216.3±0.7℃、216.3±0.6℃、216.3±0.5℃、216.3±0.4℃、216.3±0.3℃、216.3±0.2℃、または216.3±0.1℃)での吸熱開始を有することを特徴とする。
【0050】
形態IVの一部の実施形態では、以下の(a)~(d)のうちの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、またはすべてが適用される。
(a)形態IVは、14.93±0.20度、18.97±0.20度、および24.43±0.20度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターンと、14.93±0.20度、18.97±0.20度、19.86±0.20度、24.43±0.20度、および24.58±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンと、8.99±0.20度、13.20±0.20度、13.64±0.20度、14.83±0.20度、14.93±0.20度、18.97±0.20度、19.86±0.20度、24.43±0.20度、24.58±0.20度、および25.40±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有し、
(b)形態IVは、
図4Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有し、
(c)形態IVは、DSCによって決定されるように約216.3℃での吸熱開始を有することを特徴とし、ならびに、
(d)形態IVは、
図4Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有する。
【0051】
形態V
一部の実施形態では、化合物Iの多形形態Vが本明細書において提供される。
【0052】
一部の実施形態では、形態Vは、
図5Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有する。XRPDを使用して形態Vについて観察され得る、角度2シータおよび相対的なピーク強度を表5に示す。
【表5】
【0053】
一部の実施形態では、多形形態Vは、
図5Aに実質的に示すように、または表5に提供するように、XRPDパターンにおける最大強度を有する角度2シータにおけるピークの少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個を表示する、XRPDパターンを有する。相対強度は、試料調製、取り付け、ならびにスペクトルを得るために使用される器械ならびに分析手順およびセッティングを含む、いくつかの要素に応じて変化し得ることが理解されるべきである。相対的なピーク強度およびピーク配置は、実験誤差内で変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態Vのピーク配置を含めて、±0.6度、±0.4度、±0.2度、または±0.1度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態Vのピーク配置を含めて、±0.6度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態Vのピーク配置を含めて、±0.4度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態Vのピーク配置を含めて、±0.2度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態Vのピーク配置を含めて、±0.1度2シータだけ変化し得る。
【0054】
一部の実施形態では、多形形態Vは、6.49±0.20度、22.36±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータにおけるピークを含む、XRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態Vは、6.49±0.20度、10.44±0.20度、16.04±0.20度、22.36±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態Vは、6.49±0.20度、10.44±0.20度、13.10±0.20度、14.06±0.20度、16.04±0.20度、18.31±0.20度、20.16±0.20度、22.36±0.20度、23.15±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有する。
【0055】
一部の実施形態では、形態Vは、
図5Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有する。一部の実施形態では、形態Vは、DSCによって決定されるように約180.3℃での吸熱開始、約182.6℃での発熱開始、および/または213.6℃での吸熱開始を有することを特徴とする。
【0056】
形態Vの一部の実施形態では、以下の(a)~(d)のうちの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、またはすべてが適用される。
(a)形態Vは、6.49±0.20度、22.36±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターンと、6.49±0.20度、10.44±0.20度、16.04±0.20度、22.36±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンと、6.49±0.20度、10.44±0.20度、13.10±0.20度、14.06±0.20度、16.04±0.20度、18.31±0.20度、20.16±0.20度、22.36±0.20度、23.15±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有し、
(b)形態Vは、
図5Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有し、
(c)形態Vは、DSCによって決定されるように約180.3℃での吸熱開始、約182.6℃での発熱開始、および/または約213.6℃での吸熱開始を有することを特徴とし、ならびに、
(d)形態Vは、
図5Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有する。
【0057】
形態VI
一部の実施形態では、化合物Iの多形形態VIが本明細書において提供される。
【0058】
一部の実施形態では、形態VIは、
図6Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有する。XRPDを使用して形態VIについて観察され得る、角度2シータおよび相対的なピーク強度を表6に示す。
【表6】
【0059】
一部の実施形態では、多形形態VIは、
図6Aに実質的に示すように、または表6に提供するように、XRPDパターンにおける最大強度を有する角度2シータにおけるピークの少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個を表示する、XRPDパターンを有する。相対強度は、試料調製、取り付け、ならびにスペクトルを得るために使用される器械ならびに分析手順およびセッティングを含む、いくつかの要素に応じて変化し得ることが理解されるべきである。相対的なピーク強度およびピーク配置は、実験誤差内で変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態VIのピーク配置を含めて、±0.6度、±0.4度、±0.2度、または±0.1度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態VIのピーク配置を含めて、±0.6度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態VIのピーク配置を含めて、±0.4度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態VIのピーク配置を含めて、±0.2度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態VIのピーク配置を含めて、±0.1度2シータだけ変化し得る。
【0060】
一部の実施形態では、多形形態VIは、6.20±0.20度、15.12±0.20度、および24.25±0.20度の角度2シータにおけるピークを含む、XRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態VIは、6.20±0.20度、6.51±0.20度、15.12±0.20度、21.89±0.20度、および24.25±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態VIは、6.20±0.20度、6.51±0.20度、12.24±0.20度、13.18±0.20度、13.55±0.20度、14.26±0.20度、15.12±0.20度、21.89±0.20度、22.55±0.20度、および24.25±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有する。
【0061】
一部の実施形態では、形態VIは、
図6Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有する。一部の実施形態では、形態VIは、DSCによって決定されるように約177.3℃での吸熱開始、約180.1℃での発熱開始、および/または約208.9℃での吸熱開始を有することを特徴とする。
【0062】
形態VIの一部の実施形態では、以下の(a)~(d)のうちの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、またはすべてが適用される。
(a)形態VIは、6.20±0.20度、15.12±0.20度、および24.25±0.20度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターンと、6.20±0.20度、6.51±0.20度、15.12±0.20度、21.89±0.20度、および24.25±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンと、6.20±0.20度、6.51±0.20度、12.24±0.20度、13.18±0.20度、13.55±0.20度、14.26±0.20度、15.12±0.20度、21.89±0.20度、22.55±0.20度、および24.25±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有し、
(b)形態VIは、
図6Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有し、
(c)形態VIは、DSCによって決定されるように約177.3℃での吸熱開始、約180.1℃での発熱開始、および/または約208.9℃での吸熱開始を有することを特徴とし、ならびに、
(d)形態VIは、
図6Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有する。
【0063】
形態VII
一部の実施形態では、化合物Iの多形形態VIIが本明細書において提供される。
【0064】
一部の実施形態では、形態VIIは、
図7Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有する。XRPDを使用して形態VIIについて観察され得る、角度2シータおよび相対的なピーク強度を表7に示す。
【表7】
【0065】
一部の実施形態では、多形形態VIIは、
図7Aに実質的に示すように、または表7に提供するように、XRPDパターンにおける最大強度を有する角度2シータにおけるピークの少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個を表示する、XRPDパターンを有する。相対強度は、試料調製、取り付け、ならびにスペクトルを得るために使用される器械ならびに分析手順およびセッティングを含む、いくつかの要素に応じて変化し得ることが理解されるべきである。相対的なピーク強度およびピーク配置は、実験誤差内で変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態VIIのピーク配置を含めて、±0.6度、±0.4度、±0.2度、または±0.1度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態VIIのピーク配置を含めて、±0.6度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態VIIのピーク配置を含めて、±0.4度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態VIIのピーク配置を含めて、±0.2度2シータだけ変化し得る。一部の実施形態では、本明細書に列記されたピーク配置は、多形形態VIIのピーク配置を含めて、±0.1度2シータだけ変化し得る。
【0066】
一部の実施形態では、多形形態VIIは、11.74±0.20度、19.88±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータにおけるピークを含む、XRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態VIIは、11.74±0.20度、13.94±0.20度、19.88±0.20度、22.67±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有する。一部の実施形態では、多形形態VIIは、11.74±0.20度、11.85±0.20度、13.08±0.20度、13.36±0.20度、13.94±0.20度、17.44±0.20度、19.88±0.20度、22.67±0.20度、23.63±0.20度、および24.08±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有する。
【0067】
一部の実施形態では、形態VIIは、
図7Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有する。一部の実施形態では、形態VIIは、DSCによって決定されるように約180.2℃での吸熱開始、約182.4℃での発熱開始、約205.5℃での吸熱開始、および/または約211.7℃での吸熱開始を有することを特徴とする。
【0068】
形態VIIの一部の実施形態では、以下の(a)~(d)のうちの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、またはすべてが適用される。
(a)形態VIIは、11.74±0.20度、19.88±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータにおけるピークを含むXRPDパターンと、11.74±0.20度、13.94±0.20度、19.88±0.20度、22.67±0.20度、および23.63±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンと、11.74±0.20度、11.85±0.20度、13.08±0.20度、13.36±0.20度、13.94±0.20度、17.44±0.20度、19.88±0.20度、22.67±0.20度、23.63±0.20度、および24.08±0.20度の角度2シータでのピークを含むXRPDパターンを有し、
(b)形態VIIは、
図7Aに実質的に示されるようなXRPDパターンを有し、
(c)形態VIIは、DSCによって決定されるように約180.2℃での吸熱開始、約182.4℃での発熱開始、約205.5℃での吸熱開始、および/または約211.7 ℃での吸熱開始を有することを特徴とし、ならびに、
(d)形態VIIは、
図7Bに実質的に示されるようなDSCグラフを有する。
【0069】
組成物
別の態様では、本明細書に開示される多形形態(例えば、形態I、II、III、IV、V、VI、VII、またはそれらの混合物)を含む組成物が本明細書において提供される。一部の実施形態では、組成物は、形態Iを含む。一部の実施形態では、組成物は、形態IIを含む。一部の実施形態では、組成物は、形態IIIを含む。一部の実施形態では、組成物は、形態IVを含む。一部の実施形態では、組成物は、形態Vを含む。一部の実施形態では、組成物は、形態VIを含む。一部の実施形態では、組成物は、形態VIIを含む。一部の実施形態では、組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含む。
【0070】
一部の実施形態では、化合物Iの形態Iを含む組成物が提供されている。一部の実施形態では、化合物Iのその他の多形形態Iを実質的に含まない。一部の実施形態では、組成物は、化合物Iの非晶性形態または非結晶性形態を実質的に含まない。
【0071】
化合物Iの形態Iを含む組成物の一部の実施形態では、総組成物の少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態Iである。化合物Iの形態Iを含む組成物の一部の実施形態では、化合物Iの少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態Iに存在する。
【0072】
一部の実施形態では、化合物Iの形態IIを含む組成物が提供されている。一部の実施形態では、化合物Iのその他の多形形態Iを実質的に含まない。一部の実施形態では、組成物は、化合物Iの非晶性形態または非結晶性形態を実質的に含まない。
【0073】
化合物Iの形態IIを含む組成物の一部の実施形態では、総組成物の少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態IIである。化合物Iの形態IIを含む組成物の一部の実施形態では、化合物Iの少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態IIに存在する。
【0074】
一部の実施形態では、化合物Iの形態IIIを含む組成物が提供されている。一部の実施形態では、化合物Iのその他の多形形態Iを実質的に含まない。一部の実施形態では、組成物は、化合物Iの非晶性形態または非結晶性形態を実質的に含まない。
【0075】
化合物Iの形態IIIを含む組成物の一部の実施形態では、総組成物の少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態IIIである。化合物Iの形態IIIを含む組成物の一部の実施形態では、化合物Iの少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態IIIに存在する。
【0076】
一部の実施形態では、化合物Iの形態IVを含む組成物が提供されている。一部の実施形態では、化合物Iのその他の多形形態Iを実質的に含まない。一部の実施形態では、組成物は、化合物Iの非晶性形態または非結晶性形態を実質的に含まない。
【0077】
化合物Iの形態IVを含む組成物の一部の実施形態では、総組成物の少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態IVである。化合物Iの形態IVを含む組成物の一部の実施形態では、化合物Iの少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態IVに存在する。
【0078】
一部の実施形態では、化合物Iの形態Vを含む組成物が提供されている。一部の実施形態では、化合物Iのその他の多形形態Iを実質的に含まない。一部の実施形態では、組成物は、化合物Iの非晶性形態または非結晶性形態を実質的に含まない。
【0079】
化合物Iの形態Vを含む組成物の一部の実施形態では、総組成物の少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態Vである。化合物Iの形態Vを含む組成物の一部の実施形態では、化合物Iの少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態Vに存在する。
【0080】
一部の実施形態では、化合物Iの形態VIを含む組成物が提供されている。一部の実施形態では、化合物Iのその他の多形形態Iを実質的に含まない。一部の実施形態では、組成物は、化合物Iの非晶性形態または非結晶性形態を実質的に含まない。
【0081】
化合物Iの形態IVを含む組成物の一部の実施形態では、総組成物の少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態VIである。化合物Iの形態VIを含む組成物の一部の実施形態では、化合物Iの少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態VIに存在する。
【0082】
一部の実施形態では、化合物Iの形態VIIを含む組成物が提供されている。一部の実施形態では、化合物Iのその他の多形形態Iを実質的に含まない。一部の実施形態では、組成物は、化合物Iの非晶性形態または非結晶性形態を実質的に含まない。
【0083】
化合物Iの形態VIIを含む組成物の一部の実施形態では、総組成物の少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態VIIである。化合物Iの形態VIIを含む組成物の一部の実施形態では、化合物Iの少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約5.0重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約96重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、または少なくとも99.9重量%が、形態VIIに存在する。
【0084】
一部の実施形態では、本明細書に記載の多形形態(例えば、形態I、II、III、IV、V、VI、VII、またはそれらの混合物)のうちの一つ以上を含む錠剤またはカプセル、および一つ以上の薬学的に許容可能な担体が提供される。一部の実施形態では、化合物Iの実質的に純粋な多形形態Iを含む錠剤またはカプセル、および一つ以上の薬学的に許容可能な担体が提供される。一部の実施形態では、化合物Iの実質的に純粋な多形形態IIを含む錠剤またはカプセル、および一つ以上の薬学的に許容可能な担体が提供される。一部の実施形態では、化合物Iの実質的に純粋な多形形態IIIを含む錠剤またはカプセル、および一つ以上の薬学的に許容可能な担体が提供される。一部の実施形態では、化合物Iの実質的に純粋な多形形態IVを含む錠剤またはカプセル、および一つ以上の薬学的に許容可能な担体が提供される。一部の実施形態では、化合物Iの実質的に純粋な多形形態Vを含む錠剤またはカプセル、および一つ以上の薬学的に許容可能な担体が提供される。一部の実施形態では、化合物Iの実質的に純粋な多形形態VIを含む錠剤またはカプセル、および一つ以上の薬学的に許容可能な担体が提供される。一部の実施形態では、化合物Iの実質的に純粋な多形形態VIIを含む錠剤またはカプセル、および一つ以上の薬学的に許容可能な担体が提供される。
【0085】
調製方法
形態I
一部の実施形態では、化合物および溶媒を含む溶液をスラリー化することを含む、化合物Iの形態Iを調製する方法が提供されており、溶媒は、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、またはイソプロパノール)、酢酸塩(例えば、酢酸イソプロピルまたは酢酸エチル)、水、またはそれらの混合物を含む。一部の実施形態では、溶媒はアルコールを含む。一部の実施形態では、溶媒はメタノールを含む。一部の実施形態では、溶媒は酢酸塩を含む。一部の実施形態では、溶媒は酢酸エチルを含む。一部の実施形態では、溶媒はイソプロパノールおよび水の混合物を含む。一部の実施形態では、スラリー化は、約25℃の温度で実施される。
【0086】
形態II
一部の実施形態では、化合物および溶媒を含む溶液をスラリー化することを含む、化合物Iの形態IIを調製する方法が提供され、溶媒は化合物および溶媒を含み、溶媒はアセトンまたはアセトニトリルを含む。一部の実施形態では、溶媒はアセトンを含む。一部の実施形態では、溶媒はアセトニトリルを含む。一部の実施形態では、スラリー化は、高温で実施される。一部の実施形態では、高温とは、約80℃、約75℃、約70℃、約65℃、約60℃、約55℃、約50℃、約45℃、または約40℃である。
【0087】
形態III
一部の実施形態では、化合物と溶媒とを含む溶液を蒸気拡散させることを含む、化合物Iの形態IIIを調製する方法が提供されており、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)とジエチルエーテルとの混合物を含む。
【0088】
形態IV
一部の実施形態では、化合物および溶媒を含む溶液を低速冷却することを含む、化合物Iの形態IVを調製する方法が提供されており、溶媒はメタノールおよび水の混合物を含む。
【0089】
形態V
一部の実施形態では、化合物および溶媒を含む溶液を蒸気拡散させることを含む、化合物Iの形態Vを調製する方法が提供されており、溶媒はTHFおよびヘキサンの混合物を含む。
【0090】
形態VI
一部の実施形態では、化合物および溶媒を含む溶液の低速蒸発することを含む、化合物Iの形態VIを調製する方法が提供されており、溶媒はアセトンおよびアセトニトリルの混合物を含む。
【0091】
形態VII
一部の実施形態では、化合物および溶媒を含む溶液を結晶化することを含む、化合物Iの形態VIIを調製する方法が提供されており、溶媒はクロロホルムを含む。
【0092】
使用方法
別の態様では、治療有効量の本明細書に開示されている多形形態(例えば、形態I、II、III、IV、V、VI、VII、またはその混合物)を投与することを含む、肝障害を治療することを、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)において行う方法が本明細書において提供される。一部の実施形態では、肝障害は、肝臓炎、肝線維症、アルコール誘発性線維症、脂肪症、アルコール性脂肪症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される。一部の実施形態では、肝障害はNAFLDまたはNASHである。一部の実施形態では、肝障害はNAFLDである。一部の実施形態では、肝障害はNASHである。一部の実施形態では、患者は肝生検を受けたことがある。一部の実施形態では、方法は、肝生検の結果を得ることをさらに含む。
【0093】
一部の実施形態では、治療有効量の本明細書に開示されている多形形態(例えば、形態I、II、III、IV、V、VI、VII、またはその混合物)を投与することを含む、NAFLDのNASHへの進行を妨げるかまたは遅らせることを、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)において行う方法が提供される。
【0094】
化合物Iは、肝臓に優先的に分配され、理論に拘束されることなく、それにより、化合物は、より少ないオフターゲットの有害作用で肝臓におけるそのFXR標的に到達することができる。例えば、化合物Iは、血漿、腎臓、肺、心臓、および皮膚よりも、肝臓においておよそ20倍高い濃度を有する。この特性は、小児、高齢者、および併存症を有する人などの脆弱な集団に特に有益である可能性が高い。
【0095】
さらに、そう痒症は、いくつかのFXRアゴニストの十分裏付けられた有害作用であり、患者の不快感、患者の生活の質の低下、および治療を中止する可能性の増加をもたらすことがある。そう痒症は、慢性的薬剤投与の可能性が高い、NASHを含む本明細書に記述したものなどの適応症に対して特に負担となる。化合物Iの組織特異性、特に皮膚組織よりも肝臓が優先されることは、その化合物が皮膚でのそう痒症を引き起こさない可能性を高める、顕著でありかつ予測されなかった観察であり、これまでヒトでの臨床試験によって実証された理論である。
【0096】
一部の実施形態では、腎臓、肺、心臓、および皮膚組織のうちの一つ以上よりも肝臓組織に優先的に分配されるFXRアゴニストを用いて、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)において肝障害を治療する方法が提供され、方法は、治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストは、本明細書に開示されている多形形態(例えば、形態I、II、III、IV、V、VI、VII、またはその混合物)として配合される。
【0097】
一部の実施形態では、本明細書に開示される多形形態(例えば、形態I、II、III、IV、V、VI、VII、またはそれらの混合物)などのFXRアゴニストを用いて、それを必要とする患者において肝障害を治療する方法が本明細書において提供されており、FXRアゴニストはTGR5シグナル伝達を活性化しない。一部の実施形態では、FXR調節遺伝子のレベルは上昇する。一部の実施形態では、低分子ヘテロ二量体パートナー(SHP)、胆汁酸塩排出ポンプ(BSEP)、および線維芽細胞成長因子19(FGF-19)のレベルが上昇する。一部の実施形態では、肝障害はNASHである。
【0098】
一部の実施形態では、本明細書に開示される多形形態(例えば、形態I、II、III、IV、V、VI、VII、またはそれらの混合物)などのFXRアゴニストを、それを必要とする個体に投与することを含む、肝損傷を低減する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、線維症が低減される。一部の実施形態では、線維症に対する一つ以上のマーカーの発現レベルが低下する。一部の実施形態では、Ccr2、Col1a1、Col1a2、Col1a3、Cxcr3、Dcn、Hgf、Il1a、Inhbe、Lox、Loxl1、Loxl2、Loxl3、Mmp2、pdgfb、Plau、Serpine1、Perpinh1、Snai、Tgfb1、Tgfb3、Thbs1、Thbs2、Timp2、および/またはTimp3の発現レベルが低下する。一部の実施形態では、コラーゲンのレベルが低下する。一部の実施形態では、コラーゲン断片のレベルが低下する。一部の実施形態では、線維症マーカーの発現レベルが、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍低下する。一部の実施形態では、線維症マーカーの発現レベルが、約2倍、約3倍、約4倍、または約5倍低下する。
【0099】
一部の実施形態では、本明細書に開示される多形形態(例えば、形態I、II、III、IV、V、VI、VII、またはそれらの混合物)などのFXRアゴニストを、それを必要とする個体に投与することを含む、肝損傷を低減する方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、炎症が低減される。一部の実施形態では、炎症の一つ以上のマーカーが低減される。一部の実施形態では、Adgre1、Ccr2、Ccr5、Il1A、および/またはTlr4の発現レベルが低下する。一部の実施形態では、炎症マーカーの発現レベルは、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍低下する。一部の実施形態では、線維症マーカーの発現レベルが、約2倍、約3倍、約4倍、または約5倍低下する。
【0100】
一部の実施形態では、投与は、重症度がグレード2より大きい、患者におけるそう痒症を生じさせない。一部の実施形態では、投与は、重症度がグレード1より大きい、患者におけるそう痒症を生じさせない。一部の実施形態では、投与は、患者におけるそう痒症を生じさせない。有害作用の格付けが知られている。有害事象共通用語規準第5版(2017年11月27日公開)によれば、グレード1のそう痒症は、「軽度または限局性;局所的治療を要する」と特徴付けられている。グレード2のそう痒症は、「広範囲かつ間欠性;掻破による皮膚の変化(例えば、浮腫、丘疹形成、擦過、苔蘚化、滲出/痂皮);内服治療を要する;身の回り以外のADLの制限」と特徴付けられている。グレード3のそう痒症は、「広範囲かつ常時;身の回りのADLまたは睡眠の制限;副腎皮質ステロイドの全身投与または免疫抑制療法を要する」と特徴付けられている。日常生活動作(ADL)は、「身の回り以外の日常生活動作(Instrumental ADL)とは食事の準備、日用品または衣服の買い物、電話の使用、金銭の管理などを指す」と「身の回りの日常生活動作(Self care ADL)とは入浴、着衣および脱衣、食事の摂取、トイレの使用、薬の内服を指し、寝たきりではない」の二つのカテゴリーに分けられる。
【0101】
したがって、一部の実施形態では、患者における検出可能なそう痒症をもたらさないFXRアゴニストを用いて、それを必要とする患者(例えば、ヒト患者)の肝障害を治療する方法が本明細書に提供されており、方法は、それを必要とする患者に、治療有効量のFXRアゴニストを投与することを含み、FXRアゴニストは、本明細書に開示される多形形態(例えば、形態I、II、II、IV、またはVの混合物)である。
【0102】
一部の実施形態では、患者はヒトである。肥満は、NAFLDおよびNASHと高度に相関するが、痩せた人も、NAFLDおよびNASHに冒される可能性がある。したがって、一部の実施形態では、患者は肥満体である。一部の実施形態では、患者は肥満体でない。肥満はまた、糖尿病または心血管障害などの、他の疾患と相関するかまたはそれらを引き起こすことがある。したがって、一部の実施形態では、患者は、糖尿病および/または心血管障害も有する。理論に拘束されるものではないが、肥満、糖尿病、および心血管障害などの併存症は、NAFLDおよびNASHの治療をより困難にする場合があると考えられる。反対に、NAFLDおよびNASHに対処するための現在認識されている唯一の方法は減量であり、これは痩せた患者にほとんどまたは全く効果がない可能性が高い。
【0103】
NAFLDおよびNASHのリスクは年齢と共に増加するが、2歳の若さの子供に関する文献報告もあって、子供もNAFLDおよびNASHを患う可能性がある(Schwimmer,et al.,Pediatrics,2006,118:1388-1393)。一部の実施形態では、患者は2~17歳であり、例えば2~10歳、2~6歳、2~4歳、4~15歳、4~8歳、6~15歳、6~10歳、8~17歳、8~15歳、8~12歳、10~17歳、または13~17歳である。一部の実施形態では、患者は18~64歳であり、例えば18~55歳、18~40歳、18~30歳、18~26歳、18~21歳、21~64歳、21~55歳、21~40歳、21~30歳、21~26歳、26~64歳、26~55歳、26~40歳、26~30歳、30~64歳、30歳~55歳、30歳~40歳、40歳~64歳、40歳~55歳、または55~64歳である。一部の実施形態では、患者は65歳以上であり、例えば70歳以上、80歳以上、または90歳以上である。
【0104】
NAFLDおよびNASHは、肝臓移植の一般的な原因であるが、すでに1回の肝臓移植を受けた患者は、NAFLDおよび/またはNASHを再び発症することがよくある。したがって、一部の実施形態では、患者は肝臓移植を受けたことがある。
【0105】
一部の実施形態では、患者のアルカリホスファターゼ、γグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、および/またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)のレベルは上昇している。一部の実施形態では、GGT、ALT、および/またはASTレベルは、本明細書に開示される多形形態(例えば、形態I、II、III、IV、V、VI、VII、またはそれらの混合物)を用いた治療の前に上昇する。一部の実施形態では、患者のALTレベルは、正常レベルの上限よりも約2~4倍高い。一部の実施形態では、患者のASTレベルは、正常レベルの上限よりも約2~4倍高い。一部の実施形態では、患者のGGTレベルは、正常レベルの上限よりも約1.5~3倍高い。一部の実施形態では、患者のアルカリホスファターゼレベルは、正常レベルの上限よりも約1.5~3倍高い。これらの分子のレベルを決定する方法は周知である。血液中のALTの正常レベルは、約7~56単位/リットルの範囲である。血液中のASTの正常レベルは、約10~40単位/リットルの範囲である。血液中のGGTの正常レベルは、約9~48単位/リットルの範囲である。血液中のアルカリホスファターゼの正常レベルは、20~50歳の男性では約53~128単位/リットル、20~50歳の女性では約42~98単位/リットルの範囲である。
【0106】
したがって、一部の実施形態では、本明細書に開示される多形形態(例えば、形態I、II、III、IV、V、VI、VII、またはそれらの混合物)は、AST、ALT、および/またはGGTレベルが上昇した個体におけるAST、ALT、および/またはGGTレベルを減少させる。一部の実施形態では、ALTのレベルは、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍低下する。一部の実施形態では、ALTのレベルは、約2倍~約5倍低下する。一部の実施形態では、ASTのレベルは、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍低下する。一部の実施形態では、ASTのレベルは約1.5~約3倍低下する。一部の実施形態では、GGTのレベルは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5倍低下する。一部の実施形態では、GGTのレベルは約1.5~約3倍低下する。
【0107】
一部の実施形態では、本明細書に開示される多形形態(例えば、形態I、II、III、IV、V、VI、VII、またはそれらの混合物)の対象への投与は、NAFLD活性スコア(NAS)の減少をもたらす。例えば、一部の実施形態では、脂肪症、炎症、および/または風船様腫大が治療時に低減される。一部の実施形態では、本明細書に開示されている化合物は、肝線維症を減少させる。一部の実施形態では、化合物は、血清トリグリセリドを減少させる。一部の実施形態では、化合物は、肝臓トリグリセリドを減少させる。
【0108】
一部の実施形態では、患者には、本明細書に開示される多形形態(例えば、形態I、II、III、IV、V、VI、VII、またはそれらの混合物)を投与する前に、有害作用が発生するリスクがある。一部の実施形態では、有害作用は、腎臓、肺、心臓、および/または皮膚に影響を及ぼす有害作用である。一部の実施形態では、有害作用はそう痒症である。
【0109】
一部の実施形態では、患者は一つ以上の先行する治療を受けたことがある。一部の実施形態では、肝障害が治療中に進行した。一部の実施形態では、患者は、化合物I以外の別のFXRアゴニストを用いた一つ以上の前治療を受けている。一部の実施形態では、患者は、一つ以上の前治療のうちの少なくとも一つの間にそう痒症に罹った。
【0110】
一部の実施形態では、治療有効量は、患者に有害作用を誘発するレベルを下回り、例えばグレード2またはグレード3のそう痒症などのそう痒症を誘発するレベルを下回る。
【0111】
薬剤の製造方法
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法における使用のための医薬品の製造における、本明細書に記載の多形形態(例えば、形態I、II、III、IV、V、VI、VII、またはそれらの混合物)の使用が提供される。
【0112】
キット
本明細書において提供される多形形態または組成物のいずれかを含む、製造物品およびキットも提供される。製造物品は、ラベルを有する容器を含んでもよい。適切な容器は、ボトル、バイアル、および試験管を含むが、これらに限定されない。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されてもよい。容器は、本明細書において提供される医薬組成物を保持してもよい。容器上のラベルは、医薬組成物が本明細書に記載される状態を治療するために使用されることを示してもよく、インビボまたはインビトロ使用のいずれかのための指示も示してもよい。
【0113】
一態様では、本明細書に記載される多形形態または組成物を含むキット、および使用のための指図が本明細書において提供される。キットには、バイアル、シリンジ、またはIVバッグなどの、多形形態または組成物の投与において使用され得る任意の材料または機器を追加的に含んでもよい。キットはまた、滅菌包装を含んでもよい。
【0114】
実施例
以下の実施例は、本出願に開示された実施形態の理解をさらに助けるために提供され、実施例が属する分野の当業者に周知の従来の方法の理解を前提とする。下記に記載される特定の材料および条件は、本明細書に開示される実施形態の特定の態様を例示することを意図するものであり、その合理的な範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0115】
本明細書では、以下の略語が使用され得る。
【表8】
【0116】
化合物Iの多形形態は、以下に記載される手順を使用して、XRPD、DSC、およびTGAを含む様々な分析技術によって特徴付けられた。
【0117】
XRPD
X線粉末回折(XRPD)分析は、120度の2シータの範囲のCPS(曲線位置感応型)検出器を備えたInel XRG-3000回折計を使用して実施された。リアルタイムデータを、0.03度の2シータの分解能で、Cu-Kα放射線を使用して収集した。管電圧および管電流はそれぞれ40kVおよび30mAに設定した。モノクロメーターのスリットを5mm×160μmに設定した。パターンは、2.5~40度の2シータから表示されている。試料を、薄壁ガラス毛細管に充填することによって分析のために調製した。毛細管を、データ収集中に毛細管の回転を可能にするように電動化されたゴニオメーターのヘッド上に取り付けた。試料を5分間分析した。機器の較正は、シリコン参照標準を使用して行った。
【0118】
DSC
DSC分析は、TA Instrumentsの示差走査熱量計2920またはQ2000を使用して実施された。各試料をアルミニウムDSCパンに入れ、その重量を正確に記録した。パンを蓋で覆い、圧着した。試料セルを25℃で平衡化し、10℃/分の速度で、250℃の最終温度まで窒素パージ下で加熱した。インジウム金属を較正標準として使用した。報告された温度は、遷移最大値でのものである。
【0119】
TGA
TG分析は、TA Instruments 2950熱重量分析計を使用して実施された。各試料をアルミニウム試料パンに入れ、TG炉に挿入し、正確に計量した。炉を25℃でまず平衡化し、次に10℃/分の速度で、350℃の最終温度まで窒素下で加熱した。ニッケルとAlumelTMを較正標準として使用した。
【0120】
MSA
VTI SGA-100蒸気吸着アナライザーを使用して、MSA分析を実施した。窒素パージ下で、10%RH間隔で、5%~95%の相対湿度(RH)の範囲にわたり、吸着および脱着のデータを収集した。分析前に試料は乾燥しなかった。分析に使用された平衡基準は、5分間で0.0100%未満の重量変化であり、重量基準を満たさない場合、最大平衡時間は3時間であった。試料の初期水分含量に関するデータは補正されなかった。NaClおよびPVPを較正標準として使用した。
【実施例1】
【0121】
形態Iの調製
化合物Iの多形形態Iは、室温での酢酸エチルまたはメタノール中、または約58℃でのIPA:水が1:1の混合物中で、スラリー化することによって得られた。さらに、形態Iは、アセトニトリル中で化合物Iの溶液を低速冷却することによって得られた。形態Iは、約94%RHで10日間ストレスをかけたとき、固体形態として安定していた。
【0122】
形態Iを、XRPD、DSC、TGA、およびMSAによって分析した。
図1Aは、形態IのXRPDパターンを示す。
図1Bは、形態IのDSCグラフを示す。DSCグラフに示すように、約215.5℃での吸熱開始が観察された。
図1Cは、形態IのTGAグラフを示す。TGAグラフに示されるように、約213.0℃以下での重量損失は観察されなかった。
図1Dは、形態IのMSAグラフを示す。水分吸着データは、約5%RHでの平衡時の約0.1重量%の損失、および約5%~約95%RHの間の約0.4重量%の増加を示す。約0.4重量%の損失が約95%RH~約5%RHの間で発生し、吸着ステップと脱着ステップの間に小さなヒステリシスがあった。全体として、データは形態Iの吸湿性が低いことを示す。
【実施例2】
【0123】
形態IIの調製
多形形態IIは、室温でのアセトンまたはアセトニトリル中、および高温での酢酸エチルまたはアセトニトリル中で、化合物Iをスラリー化することによって得られた。さらに、形態IIは、様々な溶媒または溶媒混合物中で溶液を低速冷却または低速蒸発することによって得られた。
【0124】
形態IIを、XRPD、DSC、TGA、およびMSAによって分析した。
図2Aは、形態IIのXRPDパターンを示す。
図2Bは、形態IIのDSCグラフを示す。DSCグラフに示すように、約206.7℃(最大ピーク)で吸熱開始が観察された。
図2Cは、形態IIのTGAグラフも示す。TGAグラフに示されるように、約202.3℃以下での重量損失は観察されなかった。
図1Dは、形態IのMSAグラフを示す。水分吸着データは、約5%RHでの平衡時の約0.6重量%の損失、約5%~約95%RHの間でのごくわずかな重量変化、約95%RHおよび約5%RHの間でのごくわずかな重量変化を示す。全体として、データは形態IIの吸湿性が低いことを示す。
【実施例3】
【0125】
形態IIIの調製
多形形態IIIは、THF/ジエチルエーテル溶媒系中の化合物Iの溶液を蒸気拡散することによって得られた。形態IIIを、XRPDおよびDSCによって分析した。
図3Aは、形態IIIのXRPDパターンを示す。
図3Bは、形態IIIのDSCグラフを示す。
【実施例4】
【0126】
形態IVの調製
多形形態IVは、メタノールと水の混合物中で化合物Iの溶液を低速冷却することによって得られた。形態IVを、XRPDおよびDSCによって分析した。
図4Aは、形態IVのXRPDパターンを示す。
図4Bは、形態IVのDSCグラフを示す。
【実施例5】
【0127】
形態Vの調製
多形形態Vは、THF/ヘキサン溶媒系中で化合物Iの溶液を蒸気拡散することによって得られた。形態Vを、XRPDおよびDSCによって分析した。
図5Aは、形態VのXRPDパターンを示す。
図5Bは、形態VのDSCグラフを示す。
【実施例6】
【0128】
形態VIの調製
多形形態VIは、アセトン/アセトニトリル溶媒系中で化合物Iの溶液を低速蒸発させることによって得られた。形態VIを、XRPDおよびDSCによって分析した。
図6Aは、形態VIのXRPDパターンを示す。
図6Bは、形態VIのDSCグラフを示す。
【実施例7】
【0129】
形態VIIの調製
多形形態VIIは、クロロホルム中での化合物Iの溶液から結晶の自己集合によって得られた。形態VIIを、XRPDおよびDSCによって分析した。
図7Aは、形態VIIのXRPDパターンを示す。
図7Bは、形態VIIのDSCグラフを示す。
【実施例8】
【0130】
スラリー相互転換
スラリー相互転換実験を、室温~約81℃の範囲の温度で実施した。試験に使用された溶媒系は、ニトロメタン、アセトニトリル、およびTHF/ヘプタン1:2(v/v)混合物であった。すべての実験で形態IIが生じ、この形態が、周囲温度および最高81℃までの高温で最も安定した形態であることが示唆される。結果を表8に要約する。
【表9】
【0131】
本明細書において引用される特許、特許出願および刊行物を含む、すべての文書は、その中において引用されるすべての文書、表、および図面を含め、本明細書により、すべての目的に対してその全体が参照により明示的に組み込まれる。
【0132】
本明細書に記載された多形形態、使用、および方法の、前述の記載された説明は、本明細書に記載された多形形態、使用、および方法を当業者が作製および使用することを可能にするが、当業者は、本明細書の特定の実施形態、方法、および実施例の、変形、組み合わせ、および同等なものの存在を理解および認識するであろう。
【国際調査報告】