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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-13
(54)【発明の名称】切断組織切片の予備診断
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20231106BHJP
   G01N 1/06 20060101ALI20231106BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
G01N35/04 E
G01N1/06 A
G01N21/27 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524622
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 US2021056291
(87)【国際公開番号】W WO2022087443
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/104,907
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/451,987
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522331563
【氏名又は名称】クララパス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ミトラ, パーサ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】カントー, チャールズ アール.
(72)【発明者】
【氏名】ヤグシ, バリス
(72)【発明者】
【氏名】スミス, スティーブン
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
2G059
【Fターム(参考)】
2G052AA33
2G052AD32
2G052AD52
2G052EC03
2G052GA32
2G052JA07
2G058AA09
2G058CC09
2G058GA04
2G059AA05
2G059BB10
2G059BB12
2G059DD01
2G059EE01
2G059EE03
2G059EE12
2G059FF01
2G059FF03
2G059GG01
2G059GG02
2G059HH02
2G059HH03
2G059JJ01
2G059KK04
(57)【要約】
組織サンプルの光学反応測定のためのシステムであって、本システムは、組織ブロックから1つまたはそれを上回る組織切片を切片化するように構成される、ミクロトームであって、1つまたはそれを上回る組織切片は、1つまたはそれを上回る組織サンプルを含む、ミクロトームと、1つまたはそれを上回る組織切片を収集し、1つまたはそれを上回る組織切片を1つまたはそれを上回るスライドに移送するように構成される、移送媒体と、1つまたはそれを上回る組織切片を照明するように構成される、照明システムと、照明システムを用いて照明された1つまたはそれを上回る組織切片に対して撮像分析を実施するように構成される、撮像システムとを含む、光学反応測定システムとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織サンプルの光学反応測定のためのシステムであって、前記システムは、
組織ブロックから1つまたはそれを上回る組織切片を切片化するように構成されるミクロトームであって、前記1つまたはそれを上回る組織切片は、1つまたはそれを上回る組織サンプルを備える、ミクロトームと、
前記1つまたはそれを上回る組織切片を収集し、前記1つまたはそれを上回る組織切片を1つまたはそれを上回るスライドに移送するように構成される移送媒体と、
光学反応測定システムであって、前記光学反応測定システムは、前記1つまたはそれを上回る組織切片を照明するように構成される照明システムと、前記照明システムを用いて照明された前記1つまたはそれを上回る組織切片に対して撮像分析を実施するように構成される撮像システムとを備える、光学反応測定システムと
を備える、システム。
【請求項2】
前記照明システムは、構造化光を用いて前記1つまたはそれを上回る組織切片を照明するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記撮像システムは、光学顕微鏡的分解能を用いて前記撮像分析を実施するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記撮像システムは、顕微鏡走査装置を備える、請求項1-3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記光学反応測定システムは、前記1つまたはそれを上回る組織切片の撮像分析が、前記ミクロトームにおいて、前記移送媒体上で、または前記1つまたはそれを上回るスライド上で実施されるように、移動可能ステージ上に搭載される、請求項1-3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
組織サンプルの光学反応測定のためのシステムであって、前記システムは、
組織ブロックから1つまたはそれを上回る組織切片を切片化するように構成されるミクロトームであって、前記1つまたはそれを上回る組織切片は、1つまたはそれを上回る組織サンプルを備える、ミクロトームと、
光学反応測定システムであって、前記光学反応測定システムは、前記1つまたはそれを上回る組織切片を照明するように構成される照明システムと、前記照明システムを用いて照明された前記1つまたはそれを上回る組織切片の撮像分析を実施するように構成される撮像システムとを備える、光学反応測定システムと、
前記光学反応測定システムと通信するプロセッサであって、前記プロセッサは、前記光学反応測定システムから前記撮像分析を示す撮像データを受信し、前記1つまたはそれを上回る組織切片の分析のために前記撮像データを提示し、1つまたはそれを上回る異常の存在または不在を決定するようにプログラムされる、プロセッサと
を備える、システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記撮像データの分析を実施し、前記1つまたはそれを上回る組織切片の1つまたはそれを上回る組織サンプルにおける1つまたはそれを上回る異常の存在または不在を決定するようにプログラムされる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つまたはそれを上回る組織切片を収集し、前記1つまたはそれを上回る組織切片を1つまたはそれを上回るスライドに移送するように構成される移送媒体をさらに備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
1つまたはそれを上回る異常は、疾患、品質制御問題、またはそれらの組み合わせを示す1つまたはそれを上回るバイオマーカを備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、診断アルゴリズムを実施し、前記1つまたはそれを上回る組織サンプルに関する診断値を発生させるようにプログラムされる、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記診断値は、疾患の存在または不在を示す、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサはさらに、前記診断値が、前記疾患の存在を示す場合、付加的な1つまたはそれを上回る組織切片を取得するようにプログラムされる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記撮像データから、前記1つまたはそれを上回る組織サンプルにおける疾患を示す1つまたはそれを上回るバイオマーカを識別し、前記1つまたはそれを上回るバイオマーカに基づいて、前記1つまたはそれを上回る組織サンプルに関する診断値を割り当てるように構成される、請求項6-12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、品質制御アルゴリズムを実施し、1つまたはそれを上回る品質制御問題を識別するようにプログラムされる、請求項6-12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記照明システムは、構造化光を用いて前記1つまたはそれを上回る組織切片を照明するように構成される、請求項6-12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記撮像システムは、光学顕微鏡的分解能を用いて前記撮像分析を実施するように構成される、請求項6-12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記撮像データは、前記1つまたはそれを上回る組織切片の1つまたはそれを上回る画像を備える、請求項6-12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、人間ユーザに、前記撮像データを前記1つまたはそれを上回る組織切片の1つまたはそれを上回る画像として提示するように構成される、請求項6-12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
組織サンプルの光学反応測定のためのシステムであって、前記システムは、
組織ブロックから1つまたはそれを上回る組織切片を切片化するように構成されるミクロトームであって、前記1つまたはそれを上回る組織切片は、1つまたはそれを上回る組織サンプルを備える、ミクロトームと、
前記1つまたはそれを上回る組織切片を収集し、前記1つまたはそれを上回る組織切片を1つまたはそれを上回るスライドに移送するように構成される移送媒体と、
光学反応測定システムであって、前記光学反応測定システムは、前記1つまたはそれを上回る組織切片を照明するように構成される照明システムと、前記照明システムを用いて照明された前記1つまたはそれを上回る組織切片に対して撮像分析を実施するように構成される撮像システムとを備える、光学反応測定システムと、
プロセッサであって、前記プロセッサは、前記光学反応測定システムから前記撮像分析を示す撮像データを受信し、疾患を示す1つまたはそれを上回るバイオマーカに関する前記1つまたはそれを上回る組織サンプルの分析を実施し、前記1つまたはそれを上回るバイオマーカが、検出される場合、前記ミクロトームに、付加的な1つまたはそれを上回る組織切片を切片化させるようにプログラムされる、プロセッサと
を備える、システム。
【請求項20】
前記プロセッサは、前記撮像データの分析を実施し、前記1つまたはそれを上回る組織切片の1つまたはそれを上回る組織サンプルにおける1つまたはそれを上回る異常の存在または不在を決定するようにプログラムされる、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
1つまたはそれを上回る異常は、疾患、品質制御問題、またはそれらの組み合わせを示す1つまたはそれを上回るバイオマーカを備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記プロセッサは、診断アルゴリズムを実施し、前記1つまたはそれを上回る組織サンプルに関する診断値を発生させるようにプログラムされる、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
前記診断値は、疾患の存在または不在を示す、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記プロセッサはさらに、前記診断値が、前記疾患の存在を示す場合、付加的な1つまたはそれを上回る組織切片を取得するようにプログラムされる、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記プロセッサは、前記撮像データから、前記1つまたはそれを上回る組織サンプルにおける疾患を示す1つまたはそれを上回るバイオマーカを識別し、前記1つまたはそれを上回るバイオマーカに基づいて、前記1つまたはそれを上回る組織サンプルに関する診断値を割り当てるように構成される、請求項19-24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記プロセッサは、品質制御アルゴリズムを実施し、1つまたはそれを上回る品質制御問題を識別するようにプログラムされる、請求項19-24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記照明システムは、構造化光を用いて前記1つまたはそれを上回る組織切片を照明するように構成される、請求項19-24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記撮像システムは、光学顕微鏡的分解能を用いて前記撮像分析を実施するように構成される、請求項19-24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記撮像データは、前記1つまたはそれを上回る組織切片の1つまたはそれを上回る画像を備える、請求項19-24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記プロセッサは、人間ユーザに、前記撮像データを前記1つまたはそれを上回る組織切片の1つまたはそれを上回る画像として提示するように構成される、請求項19-24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
組織サンプルの光学反応測定のための方法であって、前記方法は、
ミクロトームを使用して、組織ブロックから1つまたはそれを上回る組織切片を切片化することであって、1つまたはそれを上回る組織切片は、1つまたはそれを上回る組織サンプルを備える、ことと、
自動化移送媒体を使用して、前記1つまたはそれを上回る組織切片を前記ミクロトームから1つまたはそれを上回るスライドに移送することと、
照明システムによって、前記1つまたはそれを上回る組織切片を照明することと、
撮像システムによって、撮像分析を実施し、前記照明システムによって照明された前記1つまたはそれを上回る組織切片に対する撮像データを収集することと
を含む、方法。
【請求項32】
前記撮像データを、1人またはそれを上回るユーザに、前記1つまたはそれを上回る組織切片の1つまたはそれを上回る画像として提示することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記組織サンプルが染色された後、人間ユーザに、前記1つまたはそれを上回る組織サンプルの1つまたはそれを上回る画像を提示することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
プロセッサによって、前記撮像分析を示す撮像データを受信し、前記プロセッサによって、前記組織サンプルを分析し、前記1つまたはそれを上回る組織サンプルにおける1つまたはそれを上回る異常の存在または不在を決定することをさらに含む、請求項31-33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記プロセッサによって、診断アルゴリズムを実施し、前記1つまたはそれを上回る組織サンプルにおける疾患の存在または不在を示す前記1つまたはそれを上回る組織サンプルに関する診断値を発生させ、前記診断値を前記1つまたはそれを上回る組織切片の1つまたはそれを上回る画像とともに人間ユーザに提示することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記プロセッサによって、診断アルゴリズムを実施し、疾患の存在または不在を示す前記1つまたはそれを上回る組織サンプルに関する診断値を発生させることをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、両方の出願の内容が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2020年10月23日に出願された米国仮特許出願第63/104,907号および2021年10月22日に出願された米国出願第17/451,987号の利益および優先権を主張する。
【0002】
本開示は、固有の組織性質の光学反応測定に基づく、組織のサンプルブロックからの組織サンプルにおける異常の予備診断のためのシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、そのようなシステムおよび方法は、自動化組織学装置において使用されることができる。
【背景技術】
【0003】
従来的なミクロトーム法である、顕微鏡視認のための郵便切手サイズのミクロン単位の薄い組織切片の生成は、繊細で時間のかかる手動タスクである。プロセスにおいて、ミクロトームが、パラフィンワックス等の埋設材料の支持ブロック内に封入される、組織サンプルから成る組織ブロックを切断する。ミクロトームは、組織ブロックの一方の面、すなわち、ブロック切断面からスライスを切断するために整合されるブレードを保持する。一般的なタイプの回転ミクロトームは、ブレード切断平面に切断面を伴ってブロックを保持するチャックを線形に揺動させる。ブロック切断面の切断平面への増分的な前進と組み合わせて、ミクロトームは、ブロック切断面から薄い組織切片を連続的に削り取る。パラフィンワックス埋設媒体を伴う切片に関して、オペレータは、これらの組織切片を慎重に拾い上げ、温水上にそれらを浮かべる。水は、優しくしわを取り、切断からの変形を低減させる。最後に、オペレータは、さらなる処理のために切片を水から顕微鏡スライド上に移動させる。
【0004】
通常の病理学ワークフローでは、診断は、サンプルブロックから切断された組織サンプルが、スライド上に設置され、染色され、続けて、異常、例えば、癌細胞を検出するために撮像された後に実施される。したがって、現在のプロセスでは、切断組織切片は、スライドに移送された後、H&E(ヘマトキシリンおよびエオシン)を用いて染色され、病理学研究室において評価される。組織に関する問題が、検出され、例えば、癌細胞が、検出される場合、新しい試験が、発注される。多くの場合、染色された組織の研究室における初期査定と、後続切片化において付加的スライドを取得することとの間で、1~2日が、かかる。本プロセスを高速化し、本システムまたはユーザが、プロセスにおいてより早期に組織における何らかの異常を識別することを可能にすることが、有利であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、従来技術の問題および欠陥を克服する。
【0006】
いくつかの側面では、本開示は、組織サンプルの光学反応測定のためのシステムを提供し、本システムは、組織ブロックから1つまたはそれを上回る組織切片を切片化するように構成される、ミクロトームであって、1つまたはそれを上回る組織切片は、1つまたはそれを上回る組織サンプルを含む、ミクロトームと、1つまたはそれを上回る組織切片を収集し、1つまたはそれを上回る組織切片を1つまたはそれを上回るスライドに移送するように構成される、移送媒体と、1つまたはそれを上回る組織切片を照明するように構成される、照明システムと、照明システムを用いて照明された1つまたはそれを上回る組織切片に対して撮像分析を実施するように構成される、撮像システムとを含む、光学反応測定システムとを含む。
【0007】
いくつかの側面では、本開示は、照明システムが、構造化光を用いて1つまたはそれを上回る組織切片を照明するように構成される、システムを提供する。いくつかの側面では、本開示は、撮像システムが、光学顕微鏡的分解能を用いて撮像分析を実施するように構成される、システムを提供する。いくつかの側面では、本開示は、撮像システムが、顕微鏡走査装置を含む、システムを提供する。いくつかの側面では、本開示は、光学反応測定システムが、1つまたはそれを上回る組織切片の撮像分析が、ミクロトームにおいて、移送媒体上で、または1つまたはそれを上回るスライド上で実施されるように、移動可能ステージ上に搭載される、システムを提供する。
【0008】
いくつかの側面では、本開示は、組織サンプルの光学反応測定のためのシステムを提供し、本システムは、組織ブロックから1つまたはそれを上回る組織切片を切片化するように構成される、ミクロトームであって、1つまたはそれを上回る組織切片は、1つまたはそれを上回る組織サンプルを含む、ミクロトームと、1つまたはそれを上回る組織切片を照明するように構成される、照明システムと、照明システムを用いて照明された1つまたはそれを上回る組織切片の撮像分析を実施するように構成される、撮像システムとを含む、光学反応測定システムと、光学反応測定システムと通信する、プロセッサであって、プロセッサは、光学反応測定システムから撮像分析を示す撮像データを受信し、1つまたはそれを上回る組織切片の分析のために撮像データを提示し、1つまたはそれを上回る異常の存在または不在を決定するようにプログラムされる、プロセッサとを含む。
【0009】
いくつかの側面では、本開示は、プロセッサが、撮像データの分析を実施し、1つまたはそれを上回る組織切片の1つまたはそれを上回る組織サンプルにおける1つまたはそれを上回る異常の存在または不在を決定するようにプログラムされる、システムを提供する。いくつかの側面では、本開示は、1つまたはそれを上回る組織切片を収集し、1つまたはそれを上回る組織切片を1つまたはそれを上回るスライドに移送するように構成される、移送媒体をさらに含む、システムを提供する。いくつかの側面では、本開示は、1つまたはそれを上回る異常が、疾患、品質制御問題、またはそれらの組み合わせを示す1つまたはそれを上回るバイオマーカを含む、システムを提供する。いくつかの側面では、本開示は、プロセッサが、診断アルゴリズムを実施し、1つまたはそれを上回る組織サンプルに関する診断値を発生させるようにプログラムされる、システムを提供する。いくつかの側面では、本開示は、診断値が、疾患の存在または不在を示す、システムを提供する。
【0010】
いくつかの側面では、本開示は、プロセッサがさらに、診断値が、疾患の存在を示す場合、付加的な1つまたはそれを上回る組織切片を取得するようにプログラムされる、システムを提供する。いくつかの側面では、本開示は、プロセッサが、撮像データから、1つまたはそれを上回る組織サンプルにおける疾患を示す1つまたはそれを上回るバイオマーカを識別し、1つまたはそれを上回るバイオマーカに基づいて、1つまたはそれを上回る組織サンプルに関する診断値を割り当てるように構成される、システムを提供する。いくつかの側面では、本開示は、プロセッサが、品質制御アルゴリズムを実施し、1つまたはそれを上回る品質制御問題を識別するようにプログラムされる、システムを提供する。いくつかの側面では、本開示は、照明システムが、構造化光を用いて1つまたはそれを上回る組織切片を照明するように構成される、システムを提供する。いくつかの側面では、本開示は、撮像システムが、光学顕微鏡的分解能を用いて撮像分析を実施するように構成される、システムを提供する。いくつかの側面では、本開示は、撮像データが、1つまたはそれを上回る組織切片の1つまたはそれを上回る画像を含む、システムを提供する。いくつかの側面では、本開示は、プロセッサが、人間ユーザに、撮像データを1つまたはそれを上回る組織切片の1つまたはそれを上回る画像として提示するように構成される、システムを提供する。
【0011】
いくつかの側面では、本開示は、組織サンプルの光学反応測定のためのシステムを提供し、本システムは、組織ブロックから1つまたはそれを上回る組織切片を切片化するように構成される、ミクロトームであって、1つまたはそれを上回る組織切片は、1つまたはそれを上回る組織サンプルを含む、ミクロトームと、1つまたはそれを上回る組織切片を収集し、1つまたはそれを上回る組織切片を1つまたはそれを上回るスライドに移送するように構成される、移送媒体と、1つまたはそれを上回る組織切片を照明するように構成される、照明システムと、照明システムを用いて照明された1つまたはそれを上回る組織切片に対して撮像分析を実施するように構成される、撮像システムとを含む、光学反応測定システムと、光学反応測定システムから撮像分析を示す撮像データを受信し、疾患を示す1つまたはそれを上回るバイオマーカに関する1つまたはそれを上回る組織サンプルの分析を実施し、1つまたはそれを上回るバイオマーカが、検出される場合、ミクロトームに、付加的な1つまたはそれを上回る組織切片を切片化させるようにプログラムされる、プロセッサとを含む。
【0012】
いくつかの側面では、本開示は、組織サンプルの光学反応測定のための方法を提供し、本方法は、ミクロトームを使用して、組織ブロックから1つまたはそれを上回る組織切片を切片化するステップであって、1つまたはそれを上回る組織切片は、1つまたはそれを上回る組織サンプルを含む、ステップと、自動化移送媒体を使用して、1つまたはそれを上回る組織切片をミクロトームから1つまたはそれを上回るスライドに移送するステップと、照明システムによって、1つまたはそれを上回る組織切片を照明するステップと、撮像システムによって、撮像分析を実施し、照明システムによって照明された1つまたはそれを上回る組織切片に対する撮像データを収集するステップとを含む。
【0013】
いくつかの側面では、本開示は、撮像データを、1人またはそれを上回るユーザに、1つまたはそれを上回る組織切片の1つまたはそれを上回る画像として提示するステップをさらに含む、方法を提供する。いくつかの側面では、本開示は、組織サンプルが染色された後、人間ユーザに、1つまたはそれを上回る組織サンプルの1つまたはそれを上回る画像を提示するステップをさらに含む、方法を提供する。いくつかの側面では、本開示は、プロセッサによって、撮像分析を示す撮像データを受信し、プロセッサによって、組織サンプルを分析し、1つまたはそれを上回る組織サンプルにおける1つまたはそれを上回る異常の存在または不在を決定するステップをさらに含む、方法を提供する。いくつかの側面では、本開示は、プロセッサによって、診断アルゴリズムを実施し、1つまたはそれを上回る組織サンプルにおける疾患の存在または不在を示す1つまたはそれを上回る組織サンプルに関する診断値を発生させ、診断値を1つまたはそれを上回る組織切片の1つまたはそれを上回る画像とともに人間ユーザに提示するステップをさらに含む、方法を提供する。いくつかの側面では、本開示は、プロセッサによって、診断アルゴリズムを実施し、疾患の存在または不在を示す1つまたはそれを上回る組織サンプルに関する診断値を発生させるステップをさらに含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示はさらに、同様の参照番号が図面のいくつかの図全体を通して類似する部分を表す、例示的実施形態の非限定的実施例として記述される複数の図面を参照して、続く詳細な説明に説明される。
【0015】
図1図1、2、および3は、本開示の照明および撮像システムの実施形態を図示する。
図2図1、2、および3は、本開示の照明および撮像システムの実施形態を図示する。
図3図1、2、および3は、本開示の照明および撮像システムの実施形態を図示する。
【0016】
図4図4-6は、本開示による、方法の種々の非限定的実施例を図示する、フローチャートを提供する。
図5図4-6は、本開示による、方法の種々の非限定的実施例を図示する、フローチャートを提供する。
図6図4-6は、本開示による、方法の種々の非限定的実施例を図示する、フローチャートを提供する。
【0017】
図7A図7Aは、本開示による、例示的自動化ミクロトームを図示する。
【0018】
図7B図7Bは、本開示の自動化テープ移送装置の一実施形態の概略図である。
【0019】
図8図8は、サンプルブロックの面に適用されることに先立つテープを示す、概略図である。
【0020】
図9図9は、図6の自動化装置のスライドステーションおよび光学反応測定システムの斜視図である。
【0021】
図10図10-12は、本開示による、自動化方法の種々の非限定的実施例を図示する、フローチャートを提供する。
図11図10-12は、本開示による、自動化方法の種々の非限定的実施例を図示する、フローチャートを提供する。
図12図10-12は、本開示による、自動化方法の種々の非限定的実施例を図示する、フローチャートを提供する。
【0022】
図13図13は、本開示の側面による、プロセスを実装するための高レベルアーキテクチャの図式的図示である。
【0023】
図14図14は、本開示の例示的方法のフローチャートである。
【0024】
図15図15は、本開示の側面による、照明された組織切片の画像を図示する。
【0025】
上記に識別される図面は、本開示される実施形態を記載するが、他の実施形態もまた、議論に記述されるように、想定される。本開示は、限定ではなく、表現として、例証的実施形態を提示する。本開示される実施形態の原理の範囲および精神内に該当する、多数の他の修正および実施形態が、当業者によって考案されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
本開示は、組織学プロセスにおける組織サンプルの調製の間に組織の化学染色または標識化を伴わない、組織サンプルの光学反応測定のためのシステムおよび方法を提供する。本開示される方法およびシステムは、非染色組織サンプルの撮像分析を実施するために、手動の半自動化方式または完全自動化組織学プロセスのいずれかで使用されることができる。撮像分析は、例えば、撮像システムを使用して、照明された組織切片の1つまたはそれを上回る画像を示す撮像データを取得するために実施される。撮像データは、組織サンプルの実際の画像または画像を示すデータ、例えば、組織サンプルの画像を再現するために使用され得るデータであってもよく、用語は、同義的に使用されることができる。撮像データに基づいて、組織サンプルのさらなる進行についての決定が、人間ユーザによって、またはコンピュータシステムによってのいずれかで、行われることができる。そのような決定は、撮像データのみに基づいて、または組織サンプルについての他の情報と組み合わせて行われることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、疾患または条件を診断するために使用され得る、組織サンプルの1つまたはそれを上回る画像を提供してもよい。本明細書に使用されるような用語「診断(diagnosis)」が、単数、例えば、単一の疾患を表すが、また、用語「診断(diagnoses)」におけるように、1つを上回る、例えば、複数の疾患も包含することに留意されたい。いくつかの実施形態では、本開示の反応測定システムおよび方法は、診断に関連する情報、例えば、腫瘍の存在が、スライド調製プロセス、例えば、組織切片化の間に組織から抽出されることを可能にする。いくつかの実施形態では、本開示されるシステムは、組織切片が、1つまたはそれを上回る品質問題(十分な組織サンプルではない、無傷の組織サンプルではない等)に悩まされるかどうかを決定するために使用されることができる。本システムおよび方法は、蛍光信号を用いて組織を標識化する等、いかなる染色または特殊処理も伴わずに、固有の組織性質を使用し、予備診断を下す。これは、組織サンプルの調製の間に予備的な迅速な情報のセットを提供し、これは、処理に関して組織サンプルに優先順位を付けることに役立ち、それによって、異常が非染色画像においてすでに可視である症例に関して診断時間を高速化することができる。非染色/未処理組織画像からの情報は、下流の染色された切片からの情報と統合されることができ、これは、コンピュータ支援診断を高速化することができる。したがって、コンピュータ支援診断のための光学撮像方法は、自動化装置に統合されることができる。いくつかの実施形態におけるプロセスにおける異なる段階、例えば、ブロックから新しいスライス、輸送上のスライス、スライド上のスライスでの組織の分析に起因して、複数の内部レベルの組織反応測定が、提供されることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、診断は、人間ユーザによって実施されることができる。本開示の方法およびシステムは、組織切片化、染色、および分析の複数の工程を伴う、組織サンプル調製のプロセスを高速化することができる。本方法およびシステムは、切片が依然として処理される早期段階にある間に、画像を人間ユーザ(例えば、病理学者)に提供することができるため、人間ユーザは、例えば、付加的試験(染色または分子試験)を求めることができる。これは、診断プロセスを高速化することができ、これは、患者に関する健康な転帰を改善する。
【0029】
本開示は、組織の化学的染色または別様の標識化を伴わずに、組織サンプルブロックからのコンピュータシステム、人間ユーザ、または両方による組織切片の予備診断のためのシステムおよびプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、本開示の方法およびシステムは、組織学スライドの調製の間、例えば、ブロック面において、テープ移送の間、またはスライド上で光学的方法を利用し、非染色組織の撮像データを取得および解釈し、診断を支援する。これは、光学染色と称され得、スライド調製プロセスのより早期の段階において、例えば、サンプル切片化またはスライド調製の間に診断情報を抽出するために使用されることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、本方法およびシステムは、いかなる染色または特殊処理も伴わずに、固有の組織性質(例えば、組織において存在する内在性蛍光体)に依拠する。固有の組織性質は、いかなる染色または特殊処理も伴わずに使用され、したがって、プロセスを高速化する。言い換えると、天然の非染色組織の切片が、種々の光学反応測定技法を使用して分析されることができる。このように、自動化デバイスからの予備的な迅速な情報のセットが、切片化プロセスの間に提供され、これは、処理に関してサンプルに優先順位を付けることに役立ち、したがって、異常が非染色画像においてすでに可視である症例に関して診断時間を高速化する。加えて、非染色切片情報を下流の染色された切片の情報と統合することは、最終的なコンピュータ支援診断(CAD)を高速化し得る。いくつかの実施形態では、予備診断システム/プロセスは、組織サンプルブロックからミクロトームによって切断された組織切片を顕微鏡スライドに輸送するためにテープ(または他の移送媒体)を利用する、自動化組織移送システムに統合される。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示は、照明システムと、撮像システムとを備える、光学反応測定システムを提供する。照明システムは、種々の波長において組織を照明することができる。撮像システムは、限定ではないが、選択吸収、組織における異なる内在性蛍光体の蛍光、ラマン効果、および類似する現象を含む、広い範囲の光学現象を活用して、様々な波長において照明された組織を撮像することができる。撮像システムはまた、組織切片の面積を横断して組織切片を撮像する、例えば、組織切片全体の走査を提供することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、癌細胞または他の異常の存在または不在、例えば、疾患バイオマーカの存在または不在または品質問題の存在または不在の査定が、行われ得るように、組織切片の画像を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、そのような査定後、フィードバックが、病理学研究室に提供されることができ、他の実施形態では、そのような査定後、さらなる切片が、さらなる分析のために(例えば、癌細胞が検出される場合)採取されることができる、またはいかなるさらなる切片も、(例えば、いかなる異常も検出されない場合)採取されない。いくつかの実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、消化器病学、婦人科病理学、血液疾患、凝固障害、微生物学、肺癌および乳癌における異常または疾患状態の予備診断のために使用することができる。いくつかの実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、感染性疾患病理学の予備診断のために使用されることができる。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、組織サンプルが、サイズ、形状、組織サンプルが無傷であるかどうか等の品質制御パラメータに準拠するかどうかを決定するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、画像は、非臨床使用、例えば、前臨床毒物学研究または組織学が使用される動物または農業分析のために使用されることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、情報は、波長のセットを使用する撮像を介して取得(収集)され、結果のデジタル分析が、診断的判断を下すために行われる。組織切片は、「化学的に染色される」代わりに「光学的に染色」されることができ、すなわち、本方法およびシステムは、組織サンプルのいかなる染色または特殊処理も伴わずに、固有の組織性質(例えば、組織において存在する内在性蛍光体)を分析する、撮像技法を利用する。そのような未処理組織サンプルは、例えば、蛍光分光撮像、ラマンまたはIR分光撮像を含む、光学撮像技法を使用して、1つまたはそれを上回る照明波長において分析されることができる。
【0033】
分析のための組織サンプルの調製の例示的プロセスが、背景に関して説明される。組織サンプルが、組織がパラフィン等の保全材料内に埋設された状態で、組織ブロックまたはサンプルブロックとして提供される。新しいブロックは、最初に、比較的に厚い切片を伴う切片化を受け、組織サンプルの上のパラフィンワックスの0.1mm~1mm層を除去し、パラフィンワックスの下の組織を暴露する。本パラフィン層を除去し、組織の大きい断面を暴露するための本プロセスは、「ブロック断面化」と称される。組織ブロックは、次いで、水和され、ミクロトームに戻され、切片化されることができる。組織サンプルの切片は、分析のためのガラススライドに移送され、その上に搭載される。
【0034】
本開示のシステムおよび方法は、いかなる染色または他の特殊処理も伴わずに、組織サンプルの固有の性質に基づいて、スライド調製プロセスの間の組織サンプルの予備診断、撮像、または他の情報収集技法のために使用されることができる。典型的には、組織学的分析のために、スライド上の組織サンプルは、H&E染料(ヘマトキシリンおよびエオシン)または他の(特殊)染料を用いて等、染色され、病理学者に組織の詳細なビューを提供する。細胞構造を染色することによって、そうでなければ透明な組織切片は、着色され、細胞の編成および示される異常に基づく疾患診断を可能にする。本開示のシステムおよび方法は、1つまたはそれを上回る光学または撮像技法(光学染色)を利用し、未処理組織サンプルの予備診断を提供する。
【0035】
図1を参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、光学反応測定システム10は、照明システム1と、撮像システム2とを備えることができる。照明システム1は、撮像システム2を用いた組織の分析を支援するために、組織サンプル4(ミクロトームチャック3において示される)を照明する。照明システム1は、組織切片における組織サンプルを照明するために使用されてもよく、撮像システム2は、組織サンプルの撮像分析を実施するために使用される。本分析に基づいて、組織切片についての撮像データが、診断、品質制御、または他の意思決定目的のために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、光学反応測定システム10は、複数の連続する組織切片から撮像データを取得してもよく、そのような撮像データは、組織サンプルの3次元再構築のために、または比較のために使用されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、組織ブロックは、構造化光を用いて照明されてもよく、戻った光は、組織診断のために使用されることができる。いくつかの実施形態では、構造化光は、具体的パターンにおける組織ブロックの照明を指す。いくつかの実施形態では、構造化光は、空間的に構造化されてもよく、すなわち、組織は、グリッド、ストライプ、同心円等の幾何学的に構造化されたパターンにおいて照明される。いくつかの実施形態では、構造化光は、スペクトル的に構造化されてもよく、すなわち、組織は、異なる波長を有する光によって同時に照明される。いくつかの実施形態では、波長は、異なる強度、帯域、または色から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、スペクトル的に構造化された光は、同一または主として同一の強度範囲内(例えば、UV)であるが、その強度範囲内で異なる具体的波長を有することができる。いくつかの実施形態では、スペクトル的に構造化された光は、主として、1つまたはそれを上回る周波数帯域から光を構成し得、そのような帯域は、組織分子の光学性質に調整され、そのような光学性質は、例えば、蛍光吸収および発光スペクトルを含む。実施例として、主としてUV放射を伴う波長範囲は、ある組織コンパートメントから強い自己蛍光を生じさせ、後続診断ステップを促進し得る。いくつかの実施形態では、構造化光は、順次構造化されてもよく、例えば、組織サンプルは、照明の間に同一または異なる時間間隔を伴って、種々の時間に順次照明されてもよい。
【0037】
照明システム1は、ある範囲の波長にわたる1つまたはそれを上回る波長において組織サンプルを照明するように構成されることができる。異なる走査または診断用途は、異なる範囲を使用することができる。例えば、380nm~450nm範囲内の1つまたはそれを上回る波長は、組織中のあるタンパク質を蛍光発光させることができる。スペクトルの別の範囲は、620nm~4,000nm範囲内で、あるタンパク質によって吸収され得る。照明システム1は、組織サンプルを照明することができ、したがって、これは、異なるコントラスト条件において撮像されることができる。いくつかの実施形態では、あるタンパク質が、これらのタンパク質を蛍光発光させるように照明されてもよく、これは、例えば、組織サンプルと埋設材料との間に、または組織サンプルの部分の間にコントラストを作成することができる。いくつかの実施形態では、吸収スペクトルは、組織サンプルにおいてダークスポットを作成し、IR波長を使用して、コントラストを作成し、あるタンパク質を検出するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、異なるコントラストマップを作成する異なる照明条件で収集された画像は、より豊富な情報を診断アルゴリズムまたはユーザに提供するために組み合わせられることができる。例えば、参照番号6は、パラフィンと組織との間のコントラストが、本開示に従って顕著である、高コントラスト照明下のブロックを図示し、他方、参照番号5は、組織およびパラフィンを区別することがより困難である、低コントラスト照明下のサンプルブロックを図示する。
【0038】
照明システムは、紫外線範囲、可視範囲、中赤外範囲、または赤外範囲内の光を生成する、1つまたはそれを上回る光源を含んでもよい。例えば、UV光は、NADH(例えば、325nm~375nm)またはFAD(例えば、425nm~475nm)等の組織中の天然蛍光体を励起するために使用されることができる。好適な光源は、限定ではないが、LED、レーザ、スーパーコンティニウム光源、および類似物を含む。いくつかの実施形態では、光の波長は、所与の範囲の波長放射を伴うフィルタまたはLEDを用いて制御されることができる。いくつかの実施形態では、画像捕捉側上で、フィルタが、画像捕捉を強化するために提供され得る。
【0039】
撮像システム2は、光検出器を含むことができ、1つまたはそれを上回る撮像方法を使用して、評価のために組織サンプルを撮像するように構成されることができる。撮像システムは、蛍光分光法、ラマン分光法、IR分光法、またはそれらの組み合わせ等の種々の撮像技法との併用のために構成されてもよい。下記に説明されるような種々の画像処理技法が、評価のために利用されることができる。最近の人工知能ベースの画像処理技法もまた、利用されることができる。例えば、光学反応測定システム2は、可視光検出器、例えば、組織サンプルのデジタル画像を撮影し得るカメラを含んでもよい。いくつかの実施形態では、撮像システム2は、電荷結合検出器、熱検出器、光検出器、または分光計、例えば、スペクトル、マルチスペクトル、またはハイパースペクトルカメラのうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。撮像システム2は、限定ではないが、蛍光分光法、ラマン分光法、IR分光法、またはそれらの組み合わせを含む、分光分析のために照明された組織切片を撮像することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、撮像システムは、ミクロン分解能を用いて組織サンプルの全体の画像を捕捉するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、撮像システムは、光学顕微鏡を含んでもよい。いくつかの実施形態では、撮像システムは、光学顕微鏡を含んでもよい。いくつかの実施形態では、撮像システムは、組織切片の1つまたはそれを上回る顕微鏡画像を撮影するために、可動ステージ上に搭載され得る、ホールスライド撮像走査装置を備えてもよい。
【0041】
反射モードの透過が、利用されることができる。組織サンプルは、前面に垂直な角度、視射角における角度、側面に垂直な角度、または視射角における角度、またはこれらの任意の組み合わせ等の種々の角度から照明または検査されることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、撮像システム2は、ラマン分光法における検出器として使用され得る、シリコンベースのマルチチャネルアレイ検出器であるCCD(電荷結合デバイス)を備えることができる。動作時、レーザビームが、サンプルを照明する。照明されたスポットからの電磁放射が、レンズを用いて収集され、モノクロメータを通してフィルタリングされる。レーザ線に対応する波長における弾性散乱放射(レイリー散乱)が、ノッチフィルタ、エッジパルスフィルタ、またはバンドパスフィルタのいずれかによってフィルタリングされて除かれる一方、収集された光の残りの部分は、CCD検出器上に分散され、これは、サンプルから収集された電磁放射のスペクトル分布を提供する。本スペクトル分布は、サンプルの組成における物質のスペクトルシグネチャの組成に対応する。スペクトル分布の分析は、サンプル中のある物質の同定につながる。
【0043】
画像は、異常のバイナリ決定、例えば、癌細胞の存在または癌細胞の不在に関して処理および評価されることができる。上記に言及されるように、そのような分析は、いかなる付加的化学処理も伴わずに、組織の固有の性質に依拠する。例えば、癌診断に関して、照明システムは、UV光(例えば、275nm~285nmの範囲内の1つまたはそれを上回る波長)を用いて組織サンプルを照明するために使用され、戻る光は、撮像システム2(例えば、CCDカメラ)を用いて検出されることができる。健常組織と悪性組織との間のスペクトル分布は、異なり、例えば、空間的細胞分布パターン、あるタンパク質の濃度、および分子における差異が、存在する。収集されたデータは、診断に関して決定するためにアルゴリズムによって使用されるか、または決定を行うために人間の専門家に提供されるかのいずれかであり得る。
【0044】
他の照明システムが、組織およびパラフィン(または他の埋設材料)の区別を強化するために利用され得、他の撮像システムが、利用され、他の算出システムが、組織を染色または標識化することなく(またはそれに先立って)、予備診断のために利用され得るため、本明細書に説明されるこれらの種々の照明および撮像サブシステム、および種々の関連付けられる方法論が、実施例として提供されることを理解されたい。また、照明システムの任意の組み合わせおよび/または撮像システムの任意の組み合わせが、利用されることができる。
【0045】
光(コヒーレントまたは非コヒーレント)は、吸収、屈折、散乱、ラマン散乱、蛍光、燐光、干渉を介して使用されることができ、波長は、X線から電波までのスペクトル内の任意の場所の連続的または不連続的分布、またはこれらのモダリティの任意の組み合わせであり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、本開示される方法およびシステムは、組織調製のための手動プロセスに関連して使用されることができる。いくつかの実施形態では、本開示されるシステムおよび方法は、組織サンプルを調製するための自動化システムの一部として、自動化組織学装置に組み込まれることができる。本明細書に開示される自動化方法(プロセス)およびシステムは、完全自動化切片化デバイスを介して組織ブロックを自動的に断面化することができ、いったん断面化されると、組織は、ブロック面から自動的に切断され、テープに自動的に移送され、テープは、ローラを介して自動的に移動され、切断組織を前進させ、テープへの切断組織切片の後続移送のためにブロック面にわたってテープの後続部分を位置付ける。いくつかの実施形態では、自動化組織切片化装置はまた、スライドステーションを含み、テープ上に保持された組織切片は、自動化装置内で分析のためにガラススライドに自動的に輸送および移送される。いくつかの実施形態では、テープ移送等の移送機構が、組織切片をミクロトームからガラススライドに移送するために使用されることができる。テープ以外の移送媒体(輸送媒体とも称される)も、利用され得ることに留意されたい。したがって、本明細書に開示されるシステムおよび方法が、テープだけではなく、他の移送媒体にも完全に適用可能であるため、本明細書におけるテープの言及は、便宜上のために使用される。
【0047】
光学反応測定システム10は、サンプル調製プロセスにおける異なるステップにおいて組織サンプルを可視化するために位置付けられることができる。いくつかの実施形態では、図1に示されるように、光学反応測定システムは、サンプルブロックが、サンプル支持チャック3上に支持されるとき、サンプルブロック4を照明および可視化するために位置付けられてもよい。図2を参照すると、いくつかの実施形態では、光学反応測定システムは、これが電動給送機構13によって駆動される、移送媒体12によって移送されている際、切断組織サンプルを診断するために位置付けられる。図3を参照すると、代替として、または加えて、光学反応測定システム10は、スライドステーション7におけるスライド上の組織切片を診断するために位置付けられることができる。これがブロックから切断され、テープに接着された後、テープ(または他の移送媒体)上の切断組織切片の画像が、撮影されることができる。加えて、または代替として、これがスライドに移送された後、切断組織切片の画像が、撮影されることができる。本開示の病理学システムは、種々の場所において複数の光学反応測定システムを含んでもよい、または異なる場所の間で移動可能であり得る、単一の光学反応測定システムを含んでもよい。
【0048】
図4を参照すると、切断組織サンプルの早期の診断のための例示的プロセスフローチャート400が、提供される。図4に示されるように、いくつかの実施形態では、ステップ401において、ミクロトームが、サンプルブロックから組織切片を切断する。ステップ402において、ミクロトームがサンプルブロックから組織切片を切断した後、組織切片は、照明され、切断切片は、撮像システムによって撮像される。いくつかの実施形態では、撮像データは、サンプルブロック上の組織サンプル上で撮影されることができる。ステップ404において、撮像データは、組織における異常を検出するために(コンピュータまたは人間ユーザによって)分析される。ステップ406において、いかなる異常も、検出されない場合、より多くの組織切片が、その時点で入手されない場合がある。ステップ408において、異常が、検出される場合、より多くの組織切片が、サンプルブロックから採取される。ステップ410において、ステップ406またはステップ408のいずれかからの切断組織切片は、染色および分析のためにスライドに移送される。ミクロトームは、異常に関して付加的切片を切断および分析し続けることができる。異常が、後続切片において検出される場合、付加的切片が、取得されるであろう。上記に記述されるように、いくつかの実施形態では、本装置は、予備診断/分析を実施し、より多くの切片を取得するためにミクロトームの人間によるアクティブ化に関するフィードバックを提供することができる。代替実施形態では、機械の代わりに、またはそれに加えて、病理学者が、切片化/撮像プロセスの間に予備診断/分析を行い、付加的切片に関するミクロトームのアクティブ化を制御する。
【0049】
図5のフローチャート500に描写されるプロセスでは、いくつかの実施形態では、ステップ501において、ミクロトームがサンプルブロックから組織切片を切断した後、ステップ502において、組織切片は、照明され、切断切片の撮像データが、移送の時点またはテープへの移送の直後のいずれかで、撮像システムによって取得される。ステップ504において、撮像データは、組織における異常を検出するために分析される。ステップ506において、いかなる異常も、検出されない場合、より多くの組織切片が、その時点で入手されない場合がある。ステップ508において、異常が、検出される場合、より多くの組織切片が、サンプルブロックから採取される。ステップ510において、ステップ506またはステップ508のいずれかからの切断組織切片は、染色および分析のためにスライドに移送される。したがって、異常の存在または不在および付加的切片の必要性のバイナリ決定のための予備診断は、機械および/または病理学者によってテープ上で行われる。
【0050】
図6のフローチャート600に描写されるシステム/方法では、本システム/方法は、テープ上での代わりにスライド上の切断切片の画像が撮影されることを除いて、図5と同一であり得る。ステップ601において、いくつかの実施形態では、ミクロトームが、サンプルブロックから組織切片を切断する。ステップ62において、組織切片は、照明され、切断切片の撮像データが、移送の時点またはテープへの移送の直後のいずれかで、撮像システムによって取得される。ステップ604において、撮像データは、組織における異常を検出するために分析される。ステップ606において、いかなる異常も、検出されない場合、より多くの組織切片が、その時点で入手されない場合がある。ステップ608において、異常が、検出される場合、より多くの組織切片が、サンプルブロックから採取される。ステップ610において、ステップ606またはステップ608のいずれかからの切断組織切片は、染色および分析のためにスライドに移送される。したがって、異常の存在または不在および付加的切片の必要性のバイナリ決定のための予備診断は、機械および/または病理学者によってスライド上で行われる。上記に言及されるように、組織サンプルの写真は、ブロック、テープ、およびスライドの1つまたはそれを上回る複数の場所、および1つまたはそれを上回る写真がブロック、テープ、またはスライドにおいて撮影されることに加えて、またはその代わりに、1つまたはそれを上回る他の場所(例えば、スライド上)において撮影されることができる。
【0051】
図7Aを参照すると、本開示の光学反応測定システムは、自動化ミクロトーム法デバイスの一部であり得る。いくつかの実施形態では、自動化ミクロトーム法デバイス100は、サンプルブロックを受け取り、サンプルブロックからサンプル/切片を切断し、ブロックから切断されたサンプルを分析のためにスライドに移送されるべきテープ上に移送するための機構の組み合わせを含むことができる。機構の組み合わせは、少なくとも1つのミクロトーム104と、移送媒体106と、スライド接着剤コータ112と、スライドプリンタ114と、スライド入力ラック116と、スライドのスタックからスライドを選ぶスライドシンギュレータ118と、スライド出力ラック120とを含むことができる。機構の本組み合わせは、スライド上のサンプルを調製し、スライド自体を調製するためにともに機能する。
【0052】
少なくとも1つのミクロトーム104は、パラフィンワックス等の保全材料の支持ブロック内に封入される、組織ブロックから組織サンプルまたは切片を切断するように構成される。切片化後、組織切片は、次いで、病理学または組織学のためのスライドステーションへの後続移送のために、テープ等の移送媒体106上に移送されることができる。
【0053】
上記に記述されるように、本開示の光学反応測定システムは、自動化ミクロトーム法デバイス100における1つまたはそれを上回る種々の場所に設置されることができる。図7Bは、照明および画像(ビジョン)システムおよび予備診断システムが使用され得る、装置を解説するための自動化テープ移送装置(システム)の一実施形態の概略図である。ブロックが完全に断面化された後に切断組織切片を輸送するための移送媒体12の経路が、図示される。図7Bは、サンプルブロックを保持し、切片を切断するために使用される、ミクロトーム14を示す。ミクロトーム14は、組織ブロックの面からスライス(または切片)を切断するために整合される、ブレード(図示せず)を含む。
【0054】
接着剤移送媒体12およびミクロトーム14に加えて、図7Bの自動化テープ移送装置は、電動給送機構13と、テープアプリケータ17と、スライドステーション15と、巻取機構16とを含む。移送媒体12(例えば、接着テープ)のための照明システム1および撮像システム2が、図面に(図式的に)示される。同一(1、2)または異なる照明および撮像システムが、サンプルブロックのために利用されることができる。スライドのための照明システム1aおよび撮像システム2aもまた、図面に(図式的に)示される。しかしながら、上記に記述されるように、代替として、または加えて、本開示のシステムは、異なる場所の間で移動され得る、1つのみの光学反応測定システムを含んでもよい。
【0055】
移送媒体12の経路は、給送機構13から始まり、ミクロトーム14およびテープアプリケータ17のアプリケータ端部に向かって進行する。移送媒体は、次いで、組織ブロックの面に適用され、これが組織ブロックから切片化された後、組織切片を拾う。移送媒体12は、次いで、ミクロトームから離れ、スライドステーション15に向かって進行し、最後に、巻取機構16上に保管される。コントローラ制御電動リールは、切断切片を含む接着テープの部分が、ミクロトームおよびサンプルブロックから離れるように移動し、接着テープの新しい部分が、ミクロトームによって切断され、接着テープに移送されるべき次の切片のために、切断面に位置付けられ、接着されるように、接着テープを前進させる。
【0056】
サイクルが開始される際、テープアプリケータ17は、組織のサンプルブロック24(図8)の切断面22に向かって移動する。これは、テープアプリケータ17のローラ部材25に、移送媒体12、例えば、接着テープが利用される場合、テープの接着側を切断面22上に押圧させ、移送媒体12を接着させ、切断面22全体を移送媒体12で被覆する。テープアプリケータ17は、次いで、反対方向に後退され、ローラ部材25を、ローラ部材25が切断面22から離れている元の位置に再設定させる。代替実施形態では、切断組織切片は、ミクロトームによる切片化後にテープと接触するように移動される。
【0057】
図9は、自動化テープ移送装置のスライドステーション15をより詳細に示す。スライドステーション15は、移送媒体12上にある組織切片を、UV硬化性接着剤を用いて事前コーティングされる顕微鏡スライド40に移送するためのUVステーションであり得る。ローラが、次いで、接着テープ上の切片をスライド上に押圧し得る。図6のシステムが、スライドへの移送のためのスライドステーションを含むが、いくつかの実施形態における本システムが、スライドステーションを含まず、テープへの切断切片の移送およびミクロトーム面積からのテープの移動後、切片が、他の方法、例えば、手動移送またはテープ上での保管に従って、テープからスライドに移送され得ることを理解されたい。
【0058】
スライドステーション7は、スライドスロットを作成するスペーサ32を伴う下側部分30と、支持区分34と、UV源36と、モータ38とを有する。スペーサ32によって作成されるスライドスロットおよび支持区分34は、スライド40を保持する。モータ38は、テープからのサンプル切片がスライド40上に堆積される厳密な場所が制御され得るように、スライド40上の切片場所を調節するためにスライドステーション15の下側部分30を平行移動または移動させるために使用される。照明および撮像システムは、スライド上の組織切片を照明し、その画像を撮影するためにスライドステーション内に、またはそれに隣接して提供されることができる。
【0059】
上記に記述されるように、本明細書に開示される照明および撮像システムは、他の自動化装置、接着テープ以外のテープ、および自動化スライドステーションを有していない装置とともに、および手動システムにおいて利用されることができる。
【0060】
自動化システムは、組織ブロック切断からのサンプルを支持するために、例えば、接着テープ等の移送媒体、または代替として、別の移送媒体の使用を提供する。自動化システムおよび方法はまた、接着テープからスライドへのサンプルの自動化後続移送を提供する。
【0061】
本システムは、接着テープの連続ストリップの使用とともに説明されるが、他の移送媒体も、利用され得ることを理解されたい。本明細書に開示されるような接着テープは、切片化に先立ってサンプルブロックの切断面に接着する。接着テープが切断面に接着することに続けて、ミクロトームは、切断アクションを開始する。切断面への接着テープの接着は、ミクロトームによって切断されている切片を支持する。いったんミクロトームが切断を完了すると、切断された切片は、接着テープに接着されたままである。代替実施形態では、切片は、最初に切断され、移送媒体への接着が続くことができる。
【0062】
本明細書に使用されるような用語「接着テープ」が、分子接合、機械的接合等を含む、任意のタイプの接合を指し、また、ファンデルワールス力(分子接合)を介する接合を提供し、そのテープ剥離力が剥離角度に応じて大幅に変動し、これが剥離の間に切片損傷を最小限にする、nanoGriptechによって生産されるSetex-dA等の乾燥接着テープを含み得ることを理解されたい。テープは、好ましくは、いかなる残留物も残さず、必要とされるときに粘着し、必要とされるときに組織を損傷させることなく剥離される。また、本明細書に使用されるような用語「接着テープの連続ストリップ」が、テープが単一の切片(組織ブロックから切断された組織の単一のサンプル)のために使用される接着テープの量よりも長いことを意味することに留意されたい。接着テープの接着領域は、好ましくは、サンプルブロックの切断面を完全に被覆するために、すなわち、これがサンプルブロックからスライスされるときに完全な切片を保持するために十分に大きい。
【0063】
テープが、組織のスライスのための輸送デバイス/システムの一実施例を提供することに留意されたい。ロボットアーム、それらの中に水を伴う一連のカップ等の他の輸送システムもまた、利用されることができる。本明細書に説明されるシステム、例えば、照明システム、撮像システム等は、種々の輸送システム上の切片(スライス)に完全に適用可能である。
【0064】
スライドステーションにおけるスライドは、本明細書に説明されるシステムのいくつかの実施形態に従って、安定して(堅く)保持されることができる。
【0065】
自動化テープ移送装置は、自動化テープ移送装置の運動を制御する、自動化テープ移送装置のユーザと通信する、および/または自動化テープ移送装置が接続されるミクロトームと通信するために使用される、プログラマブルデジタルコントローラ、プロセッサ、または他のタイプの特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。自動化テープ移送装置内で制御され得る多くの運動が、存在する。これらの運動の実施例は、給送機構および巻取機構の移動、スライドステーションの下側部分および平行移動部分の移動、線形アクチュエータ部材の移動等を含む。コントローラはまた、調製されたスライドの数、移送された切片の数、ロール上に残っているテープの量等の自動化テープ移送装置の機能または条件の情報をユーザに提供してもよい。コントローラは、その制御機能を実施するために、任意のタイプの入力(例えば、機械的、視覚的、電気的等)を受け取ることが可能である。
【0066】
いくつかの実施形態では、自動化テープ移送装置はさらに、サンプルブロックを検査するための光学デバイスを含む。例えば、ミクロトームは、切片化のための複数のサンプルブロックを保管してもよい。光学デバイスは、切断面の条件を査定するために、または埋設媒体内の組織の場所を決定するために使用されてもよい。一実施例では、切断面のマクロ画像が、切断面上での接着テープのより精密な設置を可能にし得る。切断面の分析は、切片化のための所望の組織を暴露するために、切断面の自動的トリミングを促進し得る。
【0067】
組織切片または切断切片という用語の本明細書における使用が、サンプルブロックから切断された初期切片が、それらが上にある材料、例えば、パラフィンまたは他の埋設媒体を含有し得るため、多くの組織を含有しない場合があることを想定することに留意されたい。しかしながら、病理組織学のために重要であるものは、組織の切片、すなわち、十分な組織切片を含有するテープ領域である。
【0068】
図10のフローチャートを参照すると、テープ、例えば、テープカートリッジが給送機構上に装填された後、いくつかの実施形態では、ステップ1001において、給送機構が、テープ、すなわち、連続長の接着テープを前進させるようにアクティブ化される。ステップ1002において、線形アクチュエータ部材が、サンプルブロックの切断面に向かって移動する。ステップ1004において、ローラ部材が、テープの接着側を切断面上に押圧する。ステップ1006において、ローラ部材は、切断面全体を被覆するように接着テープを接着させるように押下される。ステップ1008において、線形アクチュエータが、接着剤の後続適用のために、ローラ部材を再設定するために後退する。ステップ1010において、ミクロトームが、接着テープによって被覆される切片を切断する。ステップ1012において、切断切片は、スライドと整合するために、スライドステーションに前進する。ステップ1014において、スライドローラが、スライド上に被覆された切片を押圧する。ステップ1016において、組織切片は、スライド上に積層される。ステップ1018において、スライドローラは、その元の位置まで後退する。ステップ1020において、テープは、スライドから離れるように前進し、巻取機構上に保管される。
【0069】
単一の撮像システム、例えば、デジタルカメラが、テープの接着剤への切断切片の移送に隣接する撮像データを取得するために利用され得ることに留意されたい。同一のカメラは、スライドへの切片の移送後にスライドの写真を撮影するために、スライドステーションに隣接して自動化動作の間に再位置付けされることができる。代替として、異なる反応測定システムが、スライドへの切片の移送後に写真を撮影するために、スライドステーション内に、またはそれに隣接して提供されることができる。上記に記述されるように、撮像システムは、テープへの切断切片の移送後、およびテープからスライドへの切断切片の移送後に切断切片の撮像データを取得する、または代替として、テープへの移送後のみ、またはスライドへの移送後のみ、写真を撮影することができる。そのような撮像データは、移送の時点で、移送の直後に、または移送の下流で(テープがテープアプリケータを過ぎて前進した、またはスライドステーションに前進した後に)撮影されることができる。テープおよび/またはテープの切断切片の写真はまた、所望される場合、テープ給送サイクルの間の他の時点で撮影されることができる。
【0070】
図11を参照すると、切断組織サンプルにおける異常の検出のための例示的プロセスフローチャート1100が、図11のフローチャートを参照して提供され、テープ、例えば、テープカートリッジが給送機構上に装填された後、いくつかの実施形態では、ステップ1101において、給送機構13が、テープ、すなわち、連続長の接着テープを前進させるようにアクティブ化される。ステップ1102において、テープアプリケータ17が、サンプルブロックの切断面に向かって移動される。次に、ステップ1104において、ローラ部材が、テープの接着側を切断面上に押圧する。ステップ1106において、ローラ部材は、次いで、切断面全体を被覆するように接着テープを接着させるように押下される。ステップ1108において、テープアプリケータ17は、別のサンプルへの接着テープの後続適用のために、ローラを再設定するためにその元の位置まで後退される。ステップ1110において、ミクロトームが、次いで、(切断面に平行または略平行な平面に沿って)接着テープによって被覆される切片を切断する。ステップ1112において、切片は、それぞれ、照明システムおよび光学反応測定システムによって照明および撮像されることができる。ステップ1114において、撮像データは、組織における異常を検出するために分析される。ステップ1116において、いかなる異常も、検出されない場合、より多くの組織切片は、その時点で要求されない。ステップ1118において、異常が、検出される場合、より多くの組織切片が、サンプルブロックから採取され、ステップ1120において、切断組織切片は、染色および分析のためにスライドに移送される。本装置は、異常に関して付加的切片を切断および分析し続けるであろう。異常が、後続切片において検出される場合、付加的切片が、取得されるであろう。上記に記述されるように、いくつかの実施形態では、本装置は、予備診断/分析を実施し、スライドへの移送のために付加的切片を自動的に開始する、または代替として、より多くの切片を取得するために本装置の人間によるアクティブ化に関するフィードバックを提供することができる。代替実施形態では、機械の代わりに、またはそれに加えて、病理学者が、切片化/撮像プロセスの間に予備診断/分析を行い、付加的切片に関する本装置のアクティブ化を制御する。
【0071】
図12のフローチャート1200に描写されるシステム/方法では、本システム/方法は、切断切片の撮像データがテープ上での代わりにスライド上で取得されることを除いて、図11と同一である。いくつかの実施形態では、ステップ1201において、給送機構が、テープを前進させるようにアクティブ化される。ステップ1202において、線形アクチュエータ部材が、サンプルブロックの切断面に向かって移動される。次に、ステップ1204において、ローラ部材が、テープの接着側を切断面上に押圧する。ステップ1206において、ローラ部材は、次いで、切断面全体を被覆するように接着テープを接着させるように押下される。ステップ1208において、線形アクチュエータは、別のサンプルへの接着テープの後続適用のために、ローラを再設定するためにその元の位置まで後退される。ステップ1210において、ミクロトームが、次いで、(切断面に平行または略平行な平面に沿って)接着テープによって被覆される切片を切断する。ステップ1212において、切断切片は、スライドと整合するために、スライドステーションに前進する。ステップ1214において、切片は、それぞれ、照明システムおよび光学反応測定システムによって照明および撮像されることができる。ステップ1216において、撮像データは、組織における異常を検出するために分析される。ステップ1218において、いかなる異常も、検出されない場合、より多くの組織切片は、その時点で要求されない。ステップ1220において、異常が、検出される場合、より多くの組織切片が、サンプルブロックから採取され、ステップ1222において、切断組織切片は、染色および分析のためにスライドに移送される。したがって、異常の存在または不在および付加的切片の必要性のバイナリ決定のための予備診断は、図11のチャートと併せて説明されるように、機械および/または病理学者によってスライド上で行われる。
【0072】
図11および12のフローチャートによる撮像データの分析は、本明細書に説明されるような照明および光学反応測定システムの使用によって強化されることができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、i)切片は、組織サンプルブロックから切断され、スライドへの後続移送のためにテープ等の移送媒体に移送され、ii)テープ上の切断切片は、撮像され、またはデータが、他の方法によって捕捉され、iii)データは、予備診断判断を提供するために分析される。
【0074】
いくつかの実施形態では、i)切片は、組織サンプルブロックから切断され、スライドに移送され、ii)スライド上の切断切片は、スライド上の組織の染色または標識化を伴わずに、撮像され、またはデータが、他の方法によって捕捉され、iii)データは、予備診断判断を提供するために分析される。
【0075】
いくつかの実施形態では、i)切片は、自動化装置における組織サンプルブロックから切断され、テープ等の移送媒体に移送され、ii)切断切片は、移送媒体からスライドに移送され、iii)切断組織切片は、スライド上の組織の染色または標識化を伴わずに、撮像され、またはデータが、他の方法によって捕捉され、iv)データは、予備診断判断を提供するために分析される。
【0076】
本開示の別の側面によると、i)自動化装置におけるサンプルブロックから切断されることに先立つ組織切片は、撮像され、またはデータが、他の方法によって捕捉され、ii)データは、予備診断判断を提供するために分析され、iii)切片は、次いで、サンプルブロックから切断され、スライドへの輸送のためにテープ等の移送媒体に移送される。
【0077】
本開示の別の側面によると、i)埋設材料内に埋設される組織を含有する、組織サンプルブロック、および/またはii)サンプルブロックから切断された後のテープ移送媒体(例えば、テープ)上の組織切片、および/またはiii)スライド上の組織切片の画像を撮影するように構成される、1つまたはそれを上回る撮像システムを含む、システムが、提供され、画像の全ては、組織切片の染色または他の標識化を伴わずに、予備診断を提供するために撮影される。
【0078】
本開示の自動化システムの別の側面によると、コントローラと、埋設媒体内に埋設される組織のサンプルブロックを保持するための支持体と、サンプルブロックから組織切片を切断するように構成される、切断デバイスと、サンプルブロックから切断組織切片を輸送するための移送媒体と、i)サンプルブロックのブロック面、またはii)ブロック面からの切断組織切片、またはiii)切断組織切片を搬送する、組織搬送媒体、またはiv)切断組織切片を含有する、スライドのうちの1つまたはそれを上回るものの少なくとも第1の画像であって、組織の染色または標識化を伴わずに、予備診断を実施するように処理される、画像を撮影するように構成される、1つまたはそれを上回る撮像システム(または他の情報収集デバイス/システム)を含む、予備診断システムとを含む、自動化テープ移送システムが、提供される。
【0079】
本開示の自動化システムの別の側面によると、組織サンプルブロックから切断組織切片を移送し、組織の染色または標識化を伴わずに、組織切片の予備診断を提供するための自動化方法が、提供される。自動化方法は、
【0080】
a)自動化システムにおける組織切片輸送媒体を前進させるステップと、
【0081】
b)i)サンプルブロックのブロック面、またはii)ブロック面からの切断組織切片、またはiii)切断組織切片を搬送する、移送媒体、またはiv)切断組織切片を含有する、スライドのうちの1つまたはそれを上回るものを照明し、コントラストを増加させ、埋設材料からの組織の区別を強化するステップと、
【0082】
c)組織の染色または標識化を伴わない組織切片の予備診断のために、i)サンプルブロックのブロック面、またはii)ブロック面からの切断組織切片、またはiii)切断組織切片を搬送する、移送媒体、またはiv)切断組織切片を含有する、スライドのうちの1つまたはそれを上回るものの画像を撮影するステップと、
を含む。
【0083】
診断判断は、人間および/または機械分析によって下されることができる。いくつかの実施形態では、予備診断は、病理学者がミクロトームによって切断された画像を分析することによって実施されることができ、病理学者は、付加的切片が採取される必要があるかどうかを決定する。いくつかの実施形態では、自動化システムにおいて、予備診断は、病理学者が自動化システムの自動化切片化/テープ移送プロセスの間に画像を分析することによって実施されることができ、病理学者は、付加的切片が採取される必要があるかどうかを決定する。他の実施形態では、予備診断は、自動化装置が自動化システムの自動化切片化/テープ移送プロセスの間に画像を分析し、情報を実験室に提供する、および/または予備診断において判別された情報に応答して、アクションを自動的に開始する、例えば、付加的切片を自動的に採取することによって実施されることができる。いくつかの実施形態では、予備診断は、病理学者および機械/装置の両方によって実施されることができる。
【0084】
自動化システムは、撮像システム2によって収集された撮像データを収集および分析するためのコンピュータシステムを含むことができる。撮像データは、所望される場合、後の分析または比較のために記憶されることができる。コンピュータシステムは、ブロック面、テープ、またはスライドからの画像が組織異常を示すかどうかを(バイナリ分析において)決定するための決定アルゴリズムを有することができる。
【0085】
図14は、組織切片が、1つまたはそれを上回る異常を備えるかどうかを決定するための例示的方法(疾患の存在または不在に関する診断アルゴリズムまたは欠陥または品質制御問題の存在または不在に関する品質制御アルゴリズムのいずれかによる)を提示する。ステップ1402において、本システムは、最初に、照明システムを使用して、組織切片を照明することができる。ステップ1404において、撮像分析が、例えば、撮像システムを使用して、照明された組織切片の1つまたはそれを上回る画像を示す撮像データを取得するために実施される。組織切片は、適切な1つまたはそれを上回る波長の光、例えば、可視、UV等を使用して照明されることができる。いくつかの実施形態では、撮像データは、マクロ画像から顕微鏡までの異なる倍率レベルにおいて撮影される1つまたはそれを上回る画像を示し、例えば、異なる物質の蛍光を検出するために、異なる波長において捕捉されることができる。例えば、図15に示されるように、組織切片1501における組織サンプル1502が、UV光によって照明されることができ、したがって、組織サンプルは、蛍光発光し、したがって、組織サンプルの画像が、撮影されることができる。上記に議論されるように、本プロセスは、組織切片が、組織ブロック、移送媒体、またはスライド1500、またはそれらの組み合わせの上にあるときに実施されることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、撮像データは、ステップ1406において、コンピュータシステム、またはネットワーク、および機械学習アルゴリズムにフィードされることができる。ステップ1406において、診断分析が、組織において検出された1つまたはそれを上回るバイオマーカに基づいて実施されることができる。限定ではないが、細胞、タンパク質、分子、元素、化合物、および疾患または条件の存在または不在を示し得る他の物質を含む、種々のバイオマーカが、診断分析のために使用されることができる。いくつかの実施形態では、疾患または条件の存在または不在はまた、組織サンプルの視覚的観察に基づいて決定されることができる。非限定的実施例として、受信された画像に基づいて、癌性組織が、乳癌を示すER、PR、HER(2)、肺癌を示すROS1、p40、皮膚癌を示すSOX 10および抗Mart-1等のバイオマーカに基づいて決定されることができる。いくつかの実施形態では、診断分析は、組織サンプルの毒物学的分析を含む。加えて、または代替として、ステップ1410において、撮像データは、品質制御目的のために検査されることができる。いくつかの実施形態では、品質制御ステップ1410は、組織切片における組織サンプルが、分析のために十分に大きい、無傷である、または別様に十分な品質であるかどうかを決定するために使用されることができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、コンピュータシステム等によって撮像データをデジタル的に分析する代わりに、またはそれに加えて、撮像データ(例えば、デジタル画像またはプリントアウトとして)はまた、病理学者等の人間ユーザに提供されることができる。いくつかの実施形態では、本開示の病理学システムにおいて発生される1つまたはそれを上回る画像は、それ自体で、または本病理学システム外で収集された組織学的画像データと併せて、分析されることができる。いくつかの実施形態では、本開示の光学反応測定システムからの画像は、診断プロセスを支援するために、病理学者によって(コンピュータ上で)直接閲覧されることができる。アルゴリズムコンピュータ分析もまた、病理学者に支援入力を提供するために、病理学者に供給されてもよい。
【0088】
ステップ1412において、捕捉された画像の分析に基づいて、コンピュータシステムまたは人間ユーザは、個々に、またはともに、組織処理プロトコルを更新するために、病理学システムにフィードバックを提供することができる。例えば、ミクロトームは、付加的組織切片を切断するように命令されてもよい。いくつかの実施形態では、組織切片の厚さは、調節されてもよい。いくつかの実施形態では、画像は、組織が十分に深く断面化されているかどうか、またはより深い切断が必要とされるかどうかを決定するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、画像は、組織の重要な部分が欠落しているかどうか、または組織切片が組織ブロックの異なる区分から採取される必要があるかどうかを決定するために使用されることができる。いくつかの実施形態では、画像は、1つまたはそれを上回る具体的染料を発注するために使用されてもよい。例えば、組織サンプルは、典型的には、病理学のためにH&Eを用いて染色されるが、あるバイオマーカが、検出される場合、他のより標準的ではない試験(IHCまたは特殊染料)が、要求されることができる。
【0089】
図14のフローチャート1400に描写される、いくつかの実施例では、決定アルゴリズムは、機械学習アルゴリズムを用いて実装されることができる。機械学習アルゴリズムは、サンプルの初期診断を支援するように訓練されることができる。いくつかの実施例では、機械学習アルゴリズムは、検証された訓練データ(例えば、癌性組織の画像または品質問題を伴う問題)を使用して訓練されることができる。検証された訓練データは、モデルが正確であることを確実にするために、人間が検証したデータによって取得されることができる。例えば、機械学習アルゴリズムは、乳癌、肺癌、または皮膚癌を示すバイオマーカを伴う組織の画像、または組織サンプルの画像を提供されてもよい。機械学習アルゴリズムは、入力された種々の画像におけるパターンを認識するように構成されてもよい。履歴画像に関連する十分な入力データを用いることで、機械学習アルゴリズムは、本病理学システムから画像を受信し、種々のバイオマーカまたは品質制御問題を識別することが可能である、訓練されたモデルをもたらし得る。例えば、受信された画像に基づいて、機械学習アルゴリズムは、例えば、組織サンプルにおいて識別されたバイオマーカに基づいて、処理されている組織を診断することができる。
【0090】
本方法およびシステムは、機械学習を利用し、染色ステップに先立って、組織が疾患または条件を示す、または品質問題を有するかどうかを検出することができる。例えば、品質制御のために使用される本アルゴリズムは、全ての組織部分がブロックにおいて存在するか、または生検において存在しないかどうかを決定し、したがって、実験室が全ての時間がかかる試験を実施する前に、新しいサンプルを要求することができる。いくつかの実施形態では、診断アルゴリズムは、光学反応測定システムから受信された画像を精査し、組織サンプルにおける1つまたはそれを上回るバイオマーカを識別し、付加的組織切片が組織ブロックから取得されるように要求することができる。
【0091】
機械学習アルゴリズムは、1つまたはそれを上回るニューラルネットワークを用いて実装されることができる。機械学習アルゴリズムは、ロジスティック回帰、変分オートエンコーディング、畳み込みニューラルネットワーク、またはAD関連病変を識別および判別するために使用される他の統計的技法を含むことができる。機械学習アルゴリズムはまた、先験的に検証されるラマン散乱モデル、他の散乱モデル、または光学物理学モデルを使用することができる。ニューラルネットワークは、複数の層を備えてもよく、そのうちのいくつかは、定義され、そのうちのいくつかは、未定義である(または隠される)。ニューラルネットワークは、教師あり学習ニューラルネットワークである。
【0092】
いくつかの実施例では、ニューラルネットワークは、ニューラルネットワーク入力層と、1つまたはそれを上回るニューラルネットワーク中間隠れ層と、ニューラルネットワーク出力層とを含んでもよい。ニューラルネットワーク層はそれぞれ、複数のノード(またはニューロン)を含む。ニューラルネットワーク層のノードは、典型的には、直列に接続される。所与のニューラルネットワーク層における各ノードの出力は、後続ニューラルネットワーク層における1つまたはそれを上回るノードの入力に接続される。各ノードは、その入力、加重(該当する場合)、およびバイアス因子(該当する場合)に基づいてデータを変換または操作するための活性化関数(伝達関数としても公知である)を実施し、出力を発生させる、論理プログラミングユニットである。各ノードの活性化関数は、特定の入力、加重、およびバイアス因子に応答して、特定の出力をもたらす。各ノードの入力は、スカラー、ベクトル、行列、オブジェクト、データ構造、および/または他のアイテムまたはそれに対する参照であってもよい。各ノードは、他のノードから独立して、その個別の活性化関数、加重(該当する場合)、およびバイアス因子(該当する場合)を記憶してもよい。いくつかの例示的実施形態では、ニューラルネットワーク出力層の1つまたはそれを上回る出力ノードの決定は、当技術分野で理解されるように、以前に決定された加重およびバイアス因子を使用して、スコアリング関数および/または決定木関数を使用して計算または決定されることができる。
【0093】
いくつかの実施例では、機械学習アルゴリズムから導出されるそのような画像およびデータのエンドユーザは、組織技師、実験室監督者、病理学者、または他の専門家のうちのいずれかであり得る。組織技師は、迅速なターンアラウンドタイムの意思決定および迅速な二重品質制御のために本方法に依拠することができ、組織技師に自動化切片化プロセスへの手段を与える。実験室監督者は、アルゴリズムを使用し、実験室プロセスが計画通りに正しく機能していることを確実にすることができる。病理学者は、スライドが染色され、次いで、病理学者に提示されることを待機する必要がないであろうため、病理学者は、アルゴリズムを使用し、決定(必要とされる切片の数、染料のタイプ等)をはるかに迅速に行うことができる。したがって、アルゴリズムは、現在の実験室ワークフローにおける近道を作成し、デジタル病理学の道を開くことができる。
【0094】
任意の好適なコンピューティングシステムが、本明細書に説明されるコンピューティングデバイスおよび方法/機能性を実装するために使用され、当業者によって理解されるであろうように、汎用コンピューティングデバイス上での単なるソフトウェアの実行を有意に上回る様式で、ハードウェア、ソフトウェア、およびハードウェアの修正を通して、本明細書に説明される動作および特徴を実施するための具体的システムに変換されることができる。そのようなコンピューティングデバイス800の一例証的実施例が、図13に描写される。コンピューティングデバイス800は、単に、好適なコンピューティング環境の例証的実施例であり、いかようにも本開示の範囲を限定しない。図13によって表されるような「コンピューティングデバイス」は、当業者によって理解されるであろうように、「ワークステーション」、「サーバ」、「ラップトップ」、「デスクトップ」、「ハンドヘルドデバイス」、「モバイルデバイス」、「タブレットコンピュータ」、または他のコンピューティングデバイスを含むことができる。コンピューティングデバイス800が、例証目的のために描写されることを前提として、本開示の実施形態は、本開示の単一の実施形態を実装するために、任意の数の異なる方法で、任意の数のコンピューティングデバイス800を利用してもよい。故に、本開示の実施形態は、当業者によって理解されるであろうように、単一のコンピューティングデバイス800に限定されない、またはそれらは、例示的コンピューティングデバイス800の単一のタイプの実装または構成に限定されない。
【0095】
コンピューティングデバイス800は、直接または間接的に、以下の例証的コンポーネント、すなわち、メモリ812、1つまたはそれを上回るプロセッサ814、1つまたはそれを上回る提示コンポーネント816、入力/出力ポート818、入力/出力コンポーネント820、および電力供給源824のうちの1つまたはそれを上回るものに結合され得る、バス810を含むことができる。当業者は、バス810が、アドレスバス、データバス、またはそれらの任意の組み合わせ等の1つまたはそれを上回るバスを含み得ることを理解するであろう。当業者は、加えて、特定の実施形態の意図される用途および使用に応じて、複数のこれらのコンポーネントが、単一のデバイスによって実装され得ることを理解するであろう。同様に、いくつかの事例では、単一のコンポーネントが、複数のデバイスによって実装されることができる。したがって、図8は、単に、本開示の1つまたはそれを上回る実施形態を実装するために使用され得る例示的コンピューティングデバイスの例証であり、いかようにも本開示を限定しない。
【0096】
コンピューティングデバイス800は、様々なコンピュータ可読媒体を含む、またはそれと相互作用することができる。例えば、コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、電子的消去可能プログラマブル読取専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CDROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、または他の光学またはホログラフィック媒体、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、または情報をエンコードするために使用され得、コンピューティングデバイス800によってアクセスされ得る他の磁気記憶デバイスを含むことができる。
【0097】
メモリ812は、揮発性および/または不揮発性メモリの形態におけるコンピュータ記憶媒体を含むことができる。メモリ812は、リムーバブル、非リムーバブル、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。例示的ハードウェアデバイスは、ハードドライブ、ソリッドステートメモリ、光学ディスクドライブ、および同等物等のデバイスである。コンピューティングデバイス800は、メモリ812、種々のI/Oコンポーネント816等のコンポーネントからデータを読み取る、1つまたはそれを上回るプロセッサを含むことができる。提示コンポーネント816は、データインジケーションをユーザまたは他のデバイスに提示する。例示的提示コンポーネントは、ディスプレイデバイス、スピーカ、印刷コンポーネント、振動コンポーネント等を含む。
【0098】
I/Oポート818は、コンピューティングデバイス800が、I/Oコンポーネント820等の他のデバイスに論理的に結合されることを可能にすることができる。I/Oコンポーネント820のうちのいくつかは、コンピューティングデバイス800に内蔵されることができる。そのようなI/Oコンポーネント820の実施例は、マイクロホン、ジョイスティック、記録デバイス、ゲームパッド、衛星テレビ受信用アンテナ、走査装置、プリンタ、無線デバイス、ネットワーキングデバイス、および同等物を含む。
【0099】
本明細書に利用されるように、用語「~を備える(comprises)」および「~を備える(comprising)」は、排他的ではなく、包括的であるとして解釈されることを意図している。本明細書に利用されるように、用語「例示的」、「実施例」、および「例証的」は、「実施例、事例、または例証としての役割を果たす」を意味することを意図しており、他の構成に対して好ましい、または有利な構成を示すものとして、または示さないものとして解釈されるべきではない。本明細書に利用されるように、用語「約」、「概して」、および「おおよそ」は、性質、パラメータ、サイズ、および寸法における変動等、主観的または客観的な値の範囲の上限および下限に存在し得る、変動を網羅することを意図している。一非限定的実施例では、用語「約」、「概して」、および「おおよそ」は、その値にあること、または+10パーセントまたはそれを下回るもの、または-10パーセントまたはそれを下回るものを意味する。一非限定的実施例では、用語「約」、「概して」、および「おおよそ」は、関連分野における当業者によって含まれると見なされるほど十分に近いことを意味する。本明細書に利用されるように、用語「実質的に」は、当業者によって理解されるであろうように、アクション、特性、性質、状態、構造、アイテム、または結果の完全またはほぼ完全な範囲または程度を指す。例えば、「実質的に」円形である物体は、物体が、数学的に決定可能な限界まで完全に円、または当業者によって認識または理解されるであろうようなほぼ円のいずれかであることを意味するであろう。絶対的な完全性からの厳密な許容可能な逸脱の程度は、いくつかの事例では、具体的文脈に依存し得る。しかしながら、一般に、完全に近いことは、絶対的かつ全体的な完全が達成または取得された場合と同一の全体的結果を有するようなものであろう。「実質的に」の使用は、当業者によって理解されるであろうように、アクション、特性、性質、状態、構造、アイテム、または結果の完全またはほぼ完全な欠如を指すように否定的な意味合いで使用されるときに等しく適用可能である。
【0100】
上記の説明は、多くの詳細を含有するが、それらの詳細は、本開示の範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、単に、その好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲および精神内である多くの他の可能性として考えられる変形例を想定するであろう。また、以下の請求項が、本明細書に説明される本開示の全ての一般的および具体的特徴、および言語の問題として、その間に該当すると考えられ得る本開示の範囲の全ての文言を網羅するものであることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】