(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-13
(54)【発明の名称】棚レールに固定するための電子式の表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 3/20 20060101AFI20231106BHJP
【FI】
G09F3/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526515
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2020081212
(87)【国際公開番号】W WO2022096117
(87)【国際公開日】2022-05-12
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516239921
【氏名又は名称】エスエーエス-イマーゴタグ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】レースル・アンドレアス
(57)【要約】
-ディスプレイと、
-前記ディスプレイが収容されているハウジング又はハウジングシェルと、
-外力の作用に対して表示装置を補強するように構成されている表示装置補強構造体と、
を有する電子式の前記表示装置、特に製品情報表示装置及び/又は価格情報表示装置(
図2)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-ディスプレイ(2)と、
-前記ディスプレイが収容されているハウジング又はハウジングシェル(6)と、
-外力の作用に対して表示装置を補強するように構成されている表示装置補強構造体と、
を有する電子式の前記表示装置(2)、特に製品情報表示装置及び/又は価格情報表示装置。
【請求項2】
前記表示装置補強構造体は、少なくとも所定の領域内で前記ディスプレイ(3)の意図した表示面から前記ディスプレイ(2)を把持する前面補強要素(10A,10B,10)を有する請求項1に記載の表示装置(2)。
【請求項3】
前記前面補強要素(10A,10B,10C)は、フレームとして形成されていて、前記ディスプレイ(3)を前記フレーム状に把持する請求項2に記載の表示装置(2)。
【請求項4】
前記フレームは、透視窓(13;14)を有する請求項3に記載の表示装置(2)。
【請求項5】
前記表示装置補強構造体は、前記意図した表示面から反れた前記ディスプレイ(3)の後面でこのディスプレイ(3)を直接に把持する後面補強要素(3)を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の表示装置(2)。
【請求項6】
前記後面補強要素は、プレート(11)として形成されていて、前記ディスプレイ(3)の後面に一体的に接合されていて、特にこの後面に積層されている請求項5に記載の表示装置(2)。
【請求項7】
前記プレート(11)は、多層構造体として、好ましくはサンドウィッチ構造体として構成されている請求項6に記載の表示装置(2)。
【請求項8】
前記表示装置補強構造体は、特に前記ディスプレイ(3)の後方に存在する前記ハウジング又はハウジングシェル(6)の内部空間の少なくとも所定の領域を補強充填している空間充填補強要素を有する請求項1~7のいずれか1項に記載の表示装置(2)。
【請求項9】
前記空間充填補強要素(12)は、以下に示されたグループ、すなわち、
-ハチの巣状の空間構造体、特にハニカム状の空間構造体、
-リブ状の空間構造体、
-波状の空間構造体、
-柱状の空間構造体、
-螺旋状の空間構造体、
の少なくとも1つの空間構造体によって構成されている請求項8に記載の表示装置(2)。
【請求項10】
前記空間充填補強要素(12)は、前記ディスプレイ(3)の後方の少なくとも所定の領域内に、特に前記ディスプレイ(3)の後方に設けられている電子装置(5)に隣接して配置されていて、前記ハウジング又はハウジングシェル(6)に面するこのディスプレイ(3)の後面でこのディスプレイ(3)を支持する請求項8~9のいずれか1項に記載の表示装置(2)。
【請求項11】
前記空間充填補強要素(12)は、ハウジング又はハウジングシェル(6)の構成要素として形成されている請求項8~10のいずれか1項に記載の表示装置(2)。
【請求項12】
前記ハウジング又はハウジングシェル(6)は、前記ディスプレイ(3)の後面を包囲するこのハウジング又はハウジングシェル(6)のハウジング後面に固定構造体(7)を有し、前記表示装置(2)が、棚レール(1)に固定可能であるように、この固定構造体(7)は形成されている請求項1~11のいずれか1項に記載の表示装置(2)。
【請求項13】
前記固定構造体(7)の少なくとも一部が、電池収容部蓋(9)として形成されている請求項12に記載の表示装置(2)。
【請求項14】
少なくとも1つの電子式の表示装置(2)、特に製品情報表示装置及び/又は価格情報表示装置を収容するための棚レール(1)であって、
前記表示装置(2)は、ディスプレイ(3)と、前記ディスプレイ(3)が収容されているハウジング又はハウジングシェル(6)とを有し、このハウジング又はハウジングシェル(6)は、前記ディスプレイ(3)の後面を包囲するこのハウジング又はハウジングシェル(6)のハウジング後面に固定構造体(7)を有し、前記表示装置(2)が、前記棚レール(1)に固定可能であるように、この固定構造体(7)は形成されていて、
前記棚レール(1)は、この棚レール(1)に沿って延在する第1挟持要素(15)と、この第1挟持要素(15)に対してほぼ平行に延在する第2挟持要素(16)とを有し、当該両挟持要素(15,16)は、前記表示装置(2)の固定構造体(7)と挟持結合するように構成されていて、
当該両挟持要素(15,16)のうちの1つの挟持要素が、棚レール補強構造体を形成するように、当該両挟持要素(15,16)のうちの1つの挟持要素は形成されていて、前記棚レール補強構造体は、前記棚レール(1)内に意図したとおりに嵌め込まれた表示装置(2)の前記ハウジング又はハウジングシェル(6)を、前記固定構造体(7)に隣接したこの表示装置(2)のハウジング後面で、特にこのハウジング後面の縁部までにほぼわたって補強する当該棚レール(1)。
【請求項15】
前記両挟持要素(15,16)のうちの少なくとも1つの挟持要素が、操作延長部(19)を有し、この操作延長部(19)が、前記棚レール(1)内に意図したとおりに嵌め込まれた表示装置(2)の前記ハウジング又はハウジングシェル(6)のハウジング縁部から突出しているように、この操作延長部(19)は寸法決めされていて、
力が、前記操作延長部(19)に作用したときに、前記表示装置(2)の記固定構造体(7)との挟持結合が解除可能であるように、この操作延長部(19)を有する前記挟持要素(16)が形成されている請求項14に記載の棚レール(1)。
【請求項16】
前記両挟持要素(15,16)のうちの少なくとも1つの挟持要素は、前記表示装置(2)の位置を固定するための前記表示装置(2)の固定構造体(7)と協働させる、好ましくは合成樹脂要素として形成された、特に好ましくは前記挟持要素(15)上に押し出し成型された合成樹脂レーンとして構成された固定要素(17)を有する請求項14~15のいずれか1項に記載の棚レール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子式の表示装置と、当該電子式の表示装置が固定可能である棚レールとに関する。
【背景技術】
【0002】
このような(以下で、ESLと呼ばれる)電子式の表示装置及びこのような棚レールは、例えばPCT/EP2014/053376から公知である。
【0003】
実際には、ディスプレイが、不適切な使用時に破損しやすいか又はひび割れしやすいことが分かっている。特に、ESLのディスプレイの寸法がハウジング後面の(棚レールに固定するために設けられている)固定構造体の寸法から突出している当該ESLの場合は、破損が発生する。多くの場合、当該ディスプレイのこのような破損は、店内で客のショッピングカートが棚レールに固定されたESLに偶然に衝突するか、又は製品の取り出し時に当該製品がESLにぶつかる当該客の不注意によって引き起こされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】PCT/EP2014/053376(国際公開第2015124197号明細書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故に、本発明の課題は、上記の問題が回避されるように、改良された電子式の表示装置及び改良された棚レールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の電子式の表示装置によって解決される。それ故に、本発明の対象は、ディスプレイと、当該ディスプレイが収容されているハウジング又はハウジングシェルと、外力の作用に対して表示装置を補強するように構成されている表示装置補強構造体とを有する電子式の当該表示装置、特に製品情報表示装置及び/又は価格情報表示装置である。
【0007】
さらに、この課題は、請求項14に記載の棚レールによって解決される。それ故に、本発明の対象は、少なくとも1つの電子式の表示装置、特に製品情報表示装置及び/又は価格情報表示装置を収容するための棚レールである。この場合、当該表示装置は、ディスプレイと、当該ディスプレイが収容されているハウジング又はハウジングシェルとを有し、このハウジング又はハウジングシェルは、当該ディスプレイの後面を包囲するこのハウジング又はハウジングシェルのハウジング後面に固定構造体を有し、当該表示装置が、当該棚レールに固定可能であるように、この固定構造体は形成されている。この場合、当該棚レールは、この棚レールに沿って延在する第1挟持要素と、この第1挟持要素に対してほぼ平行に延在する第2挟持要素とを有し、当該両挟持要素は、当該表示装置の固定構造体と挟持結合するように構成されている。この場合、当該両挟持要素のうちの1つの挟持要素が、棚レール補強構造体を形成するように、当該両挟持要素のうちの1つの挟持要素は形成されている。この場合、当該棚レール補強構造体は、当該棚レール内に意図的に嵌め込まれた表示装置の当該ハウジング又はハウジングシェルを、当該固定構造体に隣接したこの表示装置のハウジング後面で、特にこのハウジング後面の縁部までにほぼわたって補強する。
【0008】
このような電子式の表示装置は、一般に、「電子ペーパーディスプレイ」の用語でも公知の省エネルギータイプの電気泳動型外部ディスプレイ(略してEPD)として構成されているディスプレイを有する。当該ディスプレイは、当該ディスプレイを当該表示装置のハウジング内の当該ディスプレイの目標位置に位置決めする固定要素によって当該ハウジング内に保持される。さらに、一般に、無線通信中に外部制御装置、例えばアクセスポイントから当該電子装置に送信される製品に関する製品情報又は価格情報が、当該ディスプレイ上に表示されるように、当該ディスプレイを制御する電子装置が、当該ハウジング内に収容されている。一般に、当該アクセスポイントは、デジタル・エンタープライズ・リソース・プランニングシステム又はこのデジタル・エンタープライズ・リソース・プランニングシステムのサーバに接続していて、ここから上記の情報を受け取る。
【0009】
本発明の構成には、ハウジング又はハウジングシェル及び固定構造体に加えて、外力の作用に対して補強する表示装置補強構造体が設けられている結果として、ディスプレイがほとんど変形せず、したがって外力の作用によるディスプレイの破損をほぼ完全に阻止することができるという利点がある。棚レールも同様に機能する。当該棚レールは、当該棚レールに固定された表示装置に向かう視線方向に延在し、ほぼ前面からの力作用に対するいわば外部の補強構造体として当該表示装置の後面でこの表示装置を補強する。複数の挟持要素が、(当該表示装置の固定構造体に対して)両側に形成されているので、当該外部の補強構造体も、当該固定構造体の両側に存在する。多くの場合、確かに、複数の表示装置が、棚とほぼ同じ高さで上向きに延在するように、又は棚又は棚レールの前方に突き出ている縁部に上向きに配置されているように、当該複数の表示装置は、当該棚レールに固定されている。これは、主に美観の理由からである。しかしながら、当該表示装置にとって、これは、多くの場合に、当該表示装置の当該固定構造体に対する下方が上方よりも長く延在することを意味する。すなわち、当該棚レールによって提供された外部の補強構造体も、当該固定構造体の両側に対する当該表示装置の後面のほぼ全面を支援又は補強するように、この状況に適応でき、当該固定構造体の一方の側に対してより長く、当該固定構造体の他方の側に対してより短く構成され得る。これにより、当該固定構造体に対して偏心的に発生する、当該表示装置の構造と当該ディスプレイとに曲げモーメントをもたらす力の作用が遮られる。
【0010】
本発明の他の非常に好適な構成及び別の構成は、従属請求項及び以下に説明されている。
【0011】
本発明の観点によれば、当該表示装置補強構造体は、少なくとも所定の領域内で当該ディスプレイの意図した表示面から当該ディスプレイを把持する前面補強要素を有し得る。この前面補強要素は、例えばフレームとして形成され得て、当該ディスプレイを当該フレーム状に把持し得る。当該フレームは、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂(略してABS)のような変形しない合成樹脂から製造され得る。また、当該フレームは、例えば炭素繊維補強合成樹脂のような複合材料から生成され得る。
【0012】
ディスプレイの表示を最良に見えることを保証するため、当該フレームは、透視窓等なしに設けられ得る。しかしながら、補強を向上させるため、当該フレームが透視窓を有すると有益であり得る。
【0013】
これに関しては、当該透視窓は、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)のような透明な合成樹脂から生成され得る。その結果、当該透視窓は、最高の衝撃抵抗及び耐引っかき性を有する。また、当該透視窓は、ポリカーボネートから生成され得る。
【0014】
当該フレーム及び当該透視窓は、異なる材料から又は同じ材料から製造されてもよく、1つの部材として又は別々の部材として設けられてもよい。
【0015】
本発明の別の観点によれば、当該表示装置補強構造体は、当該意図した表示面から反れた当該ディスプレイの後面でこのディスプレイを直接に把持する後面補強要素を有し得る。
【0016】
この後面補強要素は、例えばリブ状に形成され得る。好ましくは、当該後面補強要素は、プレートとして形成されていて、当該ディスプレイの後面に一体的に接合されていて、特にこの後面に接着又は積層されている。これにより、当該ディスプレイの横断面が実質的に「増大」する。すなわち、当該横断面は、より厚くなり、抵抗モーメントが増大する。これにより、当該ディスプレイ自体が補強される。
【0017】
当該プレートは、多層構造体として、好ましくはサンドウィッチ構造体として構成され得る。当該プレートは、様々な合成樹脂であり得る。当該合成樹脂の層が、二次元構造で及び/又は三次元構造で互いに接合されている。
【0018】
本発明の別の観点によれば、当該表示装置補強構造体は、特に当該ディスプレイの後方に存在する当該ハウジング又はハウジングシェルの内部空間の少なくとも所定の領域を補強充填している空間充填補強要素を有し得る。公知の表示装置では材料の節約の理由から一般に空洞であり、本発明に関しては補強の目的のために利用される当該ハウジングの内部空間領域が有益に確保され得る。それ故に、この構造は、特に有益であることが実証されている。何故なら、最近の電子式の表示装置では、ディスプレイがより大きくなっている傾向があるからである。しかしながら、必要に応じて設けなければならないバッテリ及び上記の電子装置のための必要空間が、当該ディスプレイの寸法と合致しないので、当該ディスプレイの後方に存在する当該ハウジングの内部空間が増大する。当該ディスプレイの破損が確実に回避され得るような当該空間充填補強要素が無いと、従来の表示装置のハウジングは、外力の作用に耐えられない。当該ディスプレイの破損の確実な回避は、空間充填補強要素を当該空間で使用することによって達成され得る。
【0019】
空間を充填する範囲に起因して、ここでも、可能な限り材料を節約するバリエーションが有益であり得る。したがって、当該空間充填補強要素は、以下に示されたグループ、すなわち、
-ハチの巣状の空間構造体、特にハニカム状の空間構造体、
-リブ状の空間構造体、
-波状の空間構造体、
-柱状の空間構造体、
-螺旋状の空間構造体、
の少なくとも1つの空間構造体によって構成され得る。
【0020】
当該構造体は、特に長尺の基礎部材である。当該基礎部材の横断面は、当該構造体の高さと共に変化させてもよい。したがって、射出成形による製造がより容易に可能であるように、当該横断面は、一方向により狭くしてもよい。
【0021】
リブ状の空間構造体は、複数の材料ウェブ(Materialbahnen)が例えば直線状に又は湾曲状に延在する構造体である。これらの材料ウェブは、互いに平行に延在し得る。当該構造体は、全面又は一部の面に形成されている複数の材料ウェブから構成され得る。材料を有しないこれらの材料ウェブ間の空間が角柱を形成するように、これらの材料ウェブは、互いに交差していてもよい。しかしながら、これらの材料ウェブは、直線状に延在する必要はなく、むしろ別の延在形態も可能である。したがって、これらの材料ウェブは、柱状又は螺旋状でもよい。また、これらの材料ウェブは、互いに交差していてもよい。しかしながら、テープ状の空間構造体は不可能である。したがって、当該空間充填補強要素は、例えば複数の柱体によって構成されてもよい。これらの柱体は、曲線を描く横断面、好ましくは円形の横断面又は角形の横断面を有してもよい。これらの柱体は、接点なしに互いに存在してもよく、又は複数の交点を有してもよい。しかしながら、特に、当該構造体の中空空間が、ハウジング又はハウジングシェルの内側とディスプレイ又はディスプレイの(場合によっては後面補強要素によって覆われている)後面との間に延在する場合は、ハニカム構造体、特にハチの巣構造体が特に有益であることが知られている。複数の様々な空間構造体が組み合わされてもよい。
【0022】
空間充填補強要素の少なくとも特定の領域が、ディスプレイの後方に、特に当該ディスプレイの後方に設けられている電子装置又は電子装置モジュールに隣接して配置されていて、当該ディスプレイをその後面でハウジング方向に支持することが、特に有益であることが実証されている。当該空間充填補強要素は、当該ディスプレイの後方の中空空間である場所で当該ハウジングを補強する。したがって、当該ディスプレイの破損を引き起こす当該ディスプレイの反りが発生することなしに、外部から当該ディスプレイ又は当該ディスプレイを外部から保護する、例えば透視窓、傷防止フィルム等のような少なくとも1つの層に作用する力が吸収され得る。この場合、当該ディスプレイに対する法線力を遮るため、当該ディスプレイは、主にその後面で支持される。しかしながら、当該空間充填補強要素が、表示装置に対する作用時に、破損を引き起こす曲げ又はディスプレイの変形を引き起こす別の力に対抗して補強するように、当該空間充填補強要素は、ハウジング又はハウジングシェル内に設置されてもよく又は組み込まれてもよい。このため、当該空間充填補強要素が、さもなければ当該ハウジングに対する力の作用の下で予測される(最終的に当該ハウジングの危険な曲げを引き起こし、したがって当該ディスプレイを破損させる)当該ハウジングの危険な曲げを回避するように、当該空間充填補強要素は、当該ハウジング内に組み込まれなければならない。それ故に、上記の曲げが完全に発生し得ないか、又は許容できる程度に最小限にしか発生し得ないように、当該空間充填補強要素が、外部から当該表示装置に対する力の作用の下で当該表示装置の内部空間を補強するように、当該空間充填補強要素は、例えば当該ディスプレイの後方に配置された複数の壁、複数の側壁、及び当該表示装置のハウジングの後壁と協働しなければならない。
【0023】
このような背景から、当該空間充填補強要素は、ハウジング又はハウジングシェルの構成要素として形成されていることが、特に有益であることが実証されている。また、この構造は、作業中に当該空間充填補強要素を当該ハウジングの少なくとも一部と一緒に構成することを可能にする。これは、例えば後方のハウジング又はハウジングシェルの製造中に射出成形法で実行され得る。この場合、主に、後壁と側壁と電子装置用の内部固定要素とディスプレイとが、空間充填補強要素と一緒に1つの作業ステップで生成される。したがって、一体的な構造が、このハウジング部品によって得られる。その結果、外部から当該ハウジングに向かう力と、当該空間充填補強要素とに向かう力とが、最適に力伝達される。当該空間充填補強要素は、当該ハウジング又は当該ハウジングシェルを最適に、特に少ない材料コストで補強するように構成できる。
【0024】
当該一体的な構造の場合、補強作用を高めるため、残りの空間又は当該空間充填補強要素によって構成された空間が、例えばエポキシ樹脂のような合成樹脂で充填されるときに有益であり得る。
【0025】
また、ハウジング又はハウジングシェルと一緒に非一体的に構成された空間充填補強要素が、当該ハウジング又は当該ハウジングシェルの充填すべき空間内に浸入される、例えばエポキシ樹脂等のような硬化可能な合成樹脂中に浸漬され、当該合成樹脂の硬化後に、補強を改善する当該空間充填補強要素と当該ハウジング又は当該ハウジングシェルとの結合が形成されていることが提唱され得る。同様に、当該空間充填補強要素の浸漬後に、残りの空間又は当該空間充填補強要素によって形成された空間が、上記の合成樹脂で成形又は充填され得る。
【0026】
また、最大に補強するため、必要な補強作用が得られるように、又は必要に応じて提供される空間を可能な限り完全に充填するように、当該空間充填補強要素の全体が、上記の当該提供される空間を少なくとも充填する合成樹脂自体によって形成され得る。
【0027】
また、当該ハウジングは、当該ディスプレイの後面を包囲するこのハウジング又はハウジングシェルのハウジング後面に固定構造体を有し、当該表示装置が、棚レールに固定可能であるように、この固定構造体は形成されている。この固定構造体は、例えば、当該ハウジング後面に扁平状に形成され得る。しかしながら、例えば、レール式に及び/又は挟持式にこの棚レールと協働するように、好ましくは、当該固定構造体は、当該棚レールから突出している。その結果、当該固定構造体自体が補強作用を有する。これにより、実質的に、当該空間充填補強要素が、この固定構造体に隣接して位置決めされていて、したがってこの固定構造体によって補強されていないハウジングの領域を補強することで十分であり得る。
【0028】
しかしながら、本質的に、当該固定構造体は、密閉されないで又は被包性に構成されなければならない。したがって、当該固定構造体の少なくとも一部が、電池収容部蓋として形成され得る。この場合、電子装置又は電子装置モジュール及びディスプレイに給電するために使用される複数のバッテリが、当該固定構造体内に収容され得る。したがって、当該固定構造体は、3倍に使用され得て、すなわち第一に表示装置を棚レールに固定するために使用され、第二にハウジングをこの固定構造体の領域内で補強するために使用され、第三にこれらのバッテリを収容するために使用され得る。
【0029】
当該棚レールに関連して、本発明の別の観点によれば、当該棚レールの両挟持要素のうちの少なくとも1つの挟持要素が、操作延長部を有し、この操作延長部が、当該棚レール内に意図的に嵌め込まれた表示装置の当該ハウジング又はハウジングシェルのハウジング縁部から突出しているように、この操作延長部は寸法決めされている。この場合、力が、当該操作延長部に作用したときに、当該表示装置の記固定構造体との挟持結合が解除可能であるように、この操作延長部を有する当該挟持要素が形成されている。好ましくは、この操作延長部は、当該棚レールの全体に沿って形成されている。この操作延長部は、両挟持要素に形成されてもよい。特に好ましくは、当該操作延長部は、より長い外部の補強構造体を形成する挟持要素に形成されている。該当する挟持要素が、棚レールに適切に結合されている場合、挟持作用を容易に解除可能にする操作用の長いレバーアームが形成されているという利点が得られる。
【0030】
別の観点によれば、当該両挟持要素のうちの少なくとも1つの挟持要素は、当該表示装置の位置を固定するために、当該表示装置の固定構造体と協働させる、好ましくは合成樹脂要素として形成された、特に好ましくは当該挟持要素上に押し出し成型された合成樹脂レーンとして構成された固定要素を有する。固定構造体を挟持したときに、表示装置が(人による力の作用中又は表示装置と例えばショッピングカート若しくは製品との故意でない衝突時に)横滑りしないことを、この固定要素は保証する。すなわち、棚レール沿いの表示装置の位置が、摩擦によって固定される。この場合、挟持作用が解除されたとき(すなわち、操作延長部が操作されているとき)は、当然に、棚レール沿いの表示装置の任意の位置決めは確保されたままである。
【0031】
本発明のこれらの観点及び別の観点が、以下で説明されている図によって示されている。
【0032】
以下に、本発明を、添付図を示しつつ実施の形態に基づいて再度詳しく説明する。しかしながら、本発明は、当該実施の形態に限定されない。この場合、異なる図中では、同じ構成要素は、同じ符号によって付記されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図3】表示装置に隣接した棚レールの横分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1には、棚レール1に固定された(専門用語では、電子棚札(ESL)と呼ばれ、以下ではESL2と表記される)電子式の表示装置2が示されている。ESL2の詳細が、
図2に分解図として見て取れる。ESL2はディスプレイ3を有する。ディスプレイ3は、電子ペーパー表示装置(EPD)として構成されていて、それ故にこの電子ペーパー表示装置に固有の(図示されていない)EPDコントローラを有する。ディスプレイ3が、フラットケーブル4を介してESL2の電子装置5に接続されている。この電子装置5は、(図示されていない)アクセスポイントとの無線通信を実行する。ディスプレイ3による視覚化のため、製品情報及び/又は価格情報に関するデータが、当該アクセスポイントを経由してESL2に送信される。ここで使用される電子構成と、無線通信又は無線プロトコルと、システムの全体とに関する詳細が、例えばPCT/EP2014/053376に開示されている。
【0035】
さらに、ESL2は、ディスプレイ3をその後側から包囲している後方ハウジングシェル6を有する。この後方ハウジングシェル6は、射出成形法で合成樹脂から製造されている。最初に、電子装置5が、このハウジングシェル6内に設けられているこの電子装置5用の収容領域に填め込まれ、この電子装置5は、フラットケーブル4を介してディスプレイ3に接続され、このディスプレイ3は、電子装置5を介してハウジングシェル6内に装着される。
【0036】
ESL2を棚レール1に固定するため、固定構造体7が、ハウジングシェル6の後側に構成されている。3つの電池8を収容するため、固定構造体7の内側が、電池収容部として構成されている。電子装置5が、この遠近図で見て取れない複数の接触要素を介して嵌め込まれたこれらの電池8に接触している。その結果、これらの電池8は、電力をESL2の全ての電子構成要素に供給できる。固定構造体7によって構成された電池収容部は、電池収容蓋9によって閉鎖される。
【0037】
ESL2は、補強のために以下のように構成されている表示装置補強構造体を有する。
【0038】
まず、当該表示装置補強構造体は、分かり易くするために
図2では上下に重なり合って示されている3つの外形のうちの1つの外形によって構成され得る前面補強要素10を有する。すなわち、例えば、前面補強要素10は、透視窓を有しない一体フレーム10Aによって構成され得る。さらに、前面補強部材10は、透視窓13を有する(必要に応じて透明でもある)一体フレーム10Bによって構成され得る。さらに、前面補強要素10は、高剛性の一体フレーム10Cによって構成され得る。
【0039】
さらに、当該表示装置補強構造体は、サンドウィッチ構造で存在し、ディスプレイ3の後面の全面を覆うように且つこのディスプレイ3の後面上に直接に積層又は接着されているプレートを後面補強要素11として有する。
【0040】
さらに、当該表示装置補強構造体は、ハウジングシェル6と一体的に構成されている、すなわちESL2のハウジングの構成要素である空間充填補強要素12を有する。空間充填補強要素12は、ハニカム状に構成されていて、電子装置5又は固定構造体7に隣接してディスプレイ3の下に存在するハウジングシェル6の内部空間を充填している。当該ハニカム構造は、空間充填補強要素12の拡大部分において良好に見て取れる。
【0041】
以下で、
図3について説明する。ここでは、棚レール1内に嵌めこまれたESL2を有するこの棚レール1の横断面が見て取れる。棚レール1は、第1(上)挟持要素15と第2(下)挟持要素16とを有する。ESL2の固定構造体7が、これらの挟持要素の間に挟持されている。この場合、第1挟持要素15は、上溝24内に係合し、第2挟持要素16は、下溝25内に係合する(これに関しては、
図1参照)。これらの溝24及び25は、ハウジングシェル6の後壁の平面とこの後壁と繋がっている固定構造体7の別の領域との間に形成されている。当該固定構造体に対して押圧される合成樹脂レーン17(必要に応じて、ゴムカバー)が、第1挟持要素15の最も外側の端部に形成されていて、したがって当該棚レール内でのESL2の横ずれが回避されることが、ESL2の固定構造体7と第1挟持要素15とが、挟持式に協働する上領域の拡大部分において明らかに見て取れる。合成樹脂レーン17(必要に応じて、ゴムカバー)は、棚レール1の固定要素を形成する。
【0042】
第1(上)挟持要素15も第2(下)挟持要素16も、ハウジングシェル6の後面に対して平行に延在する複数の部分を有する。これらの部分は、(上方の又は下方の)棚レール補強構造体18を形成し、ハウジングシェル6に接触し得て、ESL2を補強することに寄与する。
【0043】
図1及び3で見て取れるように、棚レール1は、そのヘッド側に、紙製及び/又は合成樹脂製のラベル22を把持又は差し込むように形成されている溝21を有する。
【0044】
さらに、棚レール1は、手動で操作可能であり、その操作時に第2挟持要素16と固定構造体7との間の挟持作用を矢印20の方向に解除する操作延長部19を有する。目的通りに操作されるように、この操作延長部19は、ハウジングシェル6にほぼ密接している(下方の)棚レール補強構造体18から離間して位置決めされている。
【0045】
このため、第2挟持要素16の領域内の一部を示す
図4には、操作延長部19のさらにより簡単な操作を可能にする別の外形が視覚化されている。また、ここでは、矢印20方向に操作中の第2挟持要素16の操作が概略的に見て取れる。この場合、棚レール1の第2挟持要素16の突出部が弾性変形する。このため、(下方の)棚レール補強構造体18が、操作延長部19の操作時に一方では第2挟持要素16を第1挟持要素15から遠ざけるように移動させ、すなわち当該挟持を解除し、他方ではこの操作延長部19の旋回運動によってESL2を棚レール1から操作者の方向に容易に押し出すように、この(下方の)棚レール補強構造体18は構成又は形成されている。したがって、ESL2は、操作延長部19の操作時に解除(解放)され、(操作する手に向かって)前方に若干傾けられる。その結果、ESL2のより容易な取り外しが可能になる。
【0046】
最終的には、ESL2の組み立てによって、ハウジングシェル6が、その都度の前面補強要素10A,10B又は10Cと組み付けられる。当該組み付けは、簡単な一体的な接続によって、ねじ止めによって、接着によって又は溶接によって実行され得る。これにより、密閉されたハウジングが得られる。前面補強要素10A、すなわち透視窓なしのフレームが使用される場合、ディスプレイ3自体が、当該フレームによって形成された領域内に当該ハウジングの構成要素を形成する。
【0047】
最後に、上記の図は、本発明の範囲から外れることなしに当業者によって多様に変更され得る例示にすぎない点をもう一度指摘する。念のため、不可算名詞「1つ」の使用は、該当する特徴が複数存在し得ることを排除しない点も指摘する。
【符号の説明】
【0048】
1 棚レール
2 電子式の表示装置
3 ディスプレイ
4 フラットケーブル
5 電子装置
6 ハウジングシェル
7 固定構造体
8 電池
9 電池収容蓋
10 前面補強要素
10A 一体フレーム
10B 一体フレーム
10C 一体フレーム
11 後面補強要素
12 空間充填補強要素
13 透視窓
14 透視窓
15 第1(上)挟持要素
16 第2(下)挟持要素
17 合成樹脂レーン、固定要素
18 棚レール補強構造体
19 操作延長部
20 矢印
21 溝
22 ラベル
24 上溝
25 下溝
【国際調査報告】