(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-13
(54)【発明の名称】土壌補強ストリップ及びグリッド
(51)【国際特許分類】
E02D 17/18 20060101AFI20231106BHJP
【FI】
E02D17/18 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526606
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2021080566
(87)【国際公開番号】W WO2022096538
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502385850
【氏名又は名称】エンベー ベカルト ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】NV Bekaert SA
(71)【出願人】
【識別番号】522026359
【氏名又は名称】ソールタンシェ フレシネー
【氏名又は名称原語表記】SOLETANCHE FREYSSINET
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】ジェルマン オーレー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ランズ
(72)【発明者】
【氏名】ガウ カトゥーア
(72)【発明者】
【氏名】バート アラート
(72)【発明者】
【氏名】マテュー アルシー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ フレタッグ
(72)【発明者】
【氏名】ヤシン ベナニ ブラオウリ
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044CA01
(57)【要約】
本発明は、土構造を機械的に安定化させるための土壌補強ストリップ(10、30)に関する。ストリップ(10、30)はポリママトリクス(12、32)を含み、これはマトリクス(12、32)を補強するための長尺状の鋼製要素(14、34)を包囲する。鋼製要素(14、34)は、複数のスチール素線(20、22、40、42)を含むスチールコードであり得る。本発明はまた、土壌及び地盤のための補強グリッド(60)にも関する。さらに、本発明はまた、この補強ストリップ(10、30)とグリッド(60)の応用、すなわち補強土壌層(80)及び機械的に安定化された土構造及び擁壁(82)にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌補強ストリップであって、
前記ストリップはポリママトリクスを有し、
前記ストリップは、前記ポリママトリクスの内部に補強要素として長尺状の鋼製要素をさらに含み、
前記長尺状の鋼製要素の各々の弾性及び塑性合計破断伸びは4%を超える、
土壌補強ストリップ。
【請求項2】
前記長尺状の鋼製要素はスチールワイヤである、
請求項1に記載のストリップ。
【請求項3】
前記長尺状の鋼製要素はスチールコードであるか、又はスチール素線を有する少なくとも1本のスチールコードを含み、及び/又は
前記長尺状の鋼製要素の少なくとも1つ又は各長尺状の鋼製要素は複数のスチール素線を含み、前記スチール素線は撚線構成を有し、それによって前記長尺状の鋼製要素の前記少なくとも1つの周辺の前記スチール素線の少なくとも幾つかの間に螺旋間隙が形成され、前記マトリクスのポリマ材料は前記螺旋間隙の中に浸透する、
請求項1に記載のストリップ。
【請求項4】
前記長尺状の鋼製要素の前記少なくとも1つ又は各長尺状の鋼製要素は、中央スチール素線と、前記中央スチール素線の周囲に撚り合わせられた周辺スチール素線を含む、
請求項3に記載のストリップ。
【請求項5】
前記長尺状の鋼製要素の前記少なくとも1つ又は各長尺状の鋼製要素の前記周辺の前記螺旋間隙は前記中央スチール素線に到達する、
請求項4に記載のストリップ。
【請求項6】
前記周辺スチール素線は3~9本、好ましくは3~6本の周辺スチール素線である、
請求項4又は5に記載のストリップ。
【請求項7】
前記中央スチール素線の直径は前記周辺スチール素線の少なくとも幾つかより大きい、
請求項4~6の何れか1項に記載のストリップ。
【請求項8】
前記長尺状の鋼製要素の前記少なくとも1つ又は各長尺状の鋼製要素は、集合として一体に撚り合わせられた少なくとも2本のスチール素線の集合で製作される、
請求項3に記載のストリップ。
【請求項9】
前記集合は最大で5本のスチール素線を有する、
請求項8に記載のストリップ。
【請求項10】
前記コードは、
-n×1のコード、ただし、nはスチール素線の数で、2~5、好ましくは3~5の範囲
-2×1のコード、
-1+nのコード、ただし、nは3~9、好ましくは3~6の範囲、
の群から選択され、
又は、
前記長尺状の鋼製要素は、
-n×1のコード、ただし、nはスチール素線の数で、2~5の範囲
-1+nのコード、ただし、nは、中央のスチール素線の周囲に配置されたスチール素線の数で、3~9、好ましくは3~6の範囲
の群から選択される少なくとも1本のコードを含む、
請求項3~9の何れか1項に記載のストリップ。
【請求項11】
前記長尺状の鋼製要素は陰極防食を提供する材料で被覆され、及び/又は前記ストリップは少なくとも2本、好ましくは少なくとも3本のスチールコード又はスチールワイヤ、さらに好ましくは少なくとも5本のスチールコード又はスチールワイヤ、好ましくは5~50本のスチールコード又はスチールワイヤ、さらに好ましくは10~45本のスチールコード又はスチールワイヤ、さらに好ましくは15~40本のスチールコード又はスチールワイヤ、さらに好ましくは>15~<30本のスチールコード又はスチールワイヤを含み、及び/又は前記スチールコード又はスチールワイヤは前記ポリママトリクスの内部で相互に平行に、好ましくはこれらが相互に接触しないような方法で配置され、及び/又は前記スチールコード又はスチールワイヤは、前記ポリママトリクスの内部で1つの平面内又は複数の平面、特に2、3、又は4つの平面内に配置され得、及び/又は前記ストリップ外部の何れかの点と前記ストリップ内部の何れかのスチールコード又はスチールワイヤとの間の前記ポリママトリクスの厚さは、少なくとも100μm、好ましくは>100μm~<500μm、さらに好ましくは150μm~400μm、さらに好ましくは160μm~350μm、さらに好ましくは175μm~300μmであり、及び/又は一方向への前記マトリクスの断面の外形の寸法は、他の垂直方向への前記マトリクスの断面の寸法より大きく、好ましくは前記マトリクスの前記断面の外形は楕円、長方形であるか、又は角の丸い長方形に対応し、及び/又は前記ポリママトリクスの厚さは、及び/又は前記ストリップは、少なくとも1つの止水壁要素に接続されるように配置されるか、又はそこに接続され、好ましくは土を安定化させ、及び/又は堤防、さらに好ましくはコンクリートブロック又はガビオンの一部となるように配置され、及び/又は前記長尺状の鋼製要素の弾性及び塑性合計破断伸びは4.5%より大きく、好ましくは5%より大きく、さらに好ましくは6%より大きく、及び/又はさらに好ましくは15%未満、さらに好ましくは12%未満、さらに好ましくは10%未満であり、及び/又は前記ストリップの幅は5mm又は10mm~80mm、好ましくは20mm~70mmである、
請求項1~10の何れか1項に記載のストリップ。
【請求項12】
前記長尺状の鋼製要素は陰極防食を提供する材料と接触する、
請求項1~11の何れか1項に記載のストリップ。
【請求項13】
前記長尺状の鋼製要素はステンレス鋼である、
請求項1~3の何れか1項に記載のストリップ。
【請求項14】
前記長尺状の鋼製要素又は前記長尺状の鋼製要素の少なくとも1つは応力緩和状態にある、
請求項1又は請求項1~13の何れか1項に記載のストリップ。
【請求項15】
前記スチール素線の全部が前記ポリママトリクスのポリマと接触する、
請求項3~10の何れか1項に記載のストリップ。
【請求項16】
前記長尺状の鋼製要素のコード引張強さ又は引張強さは少なくとも1800MPa、好ましくは少なくとも2000MPa、最も好ましくは少なくとも2200MPa、さらに好ましくは少なくとも2500MPa超、且つ/又はさらに好ましくは4500MPa未満である、
請求項1~15の何れか1項に記載のストリップ。
【請求項17】
前記ポリマ材料は、好ましくは、グラフト化及び/又は混合HDPE(高密度ポリエチレン)、改質ポリプロピレン及び低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)から選択される官能性ポリオレフィン、及び/又は、特に例えば改質、グラフト化、又はアクリル酸若しくは酢酸官能基等の何れかの極性を有する官能基を含む、例えばエチレン-プロピレンコポリマ、エチレン-酢酸ビニルコポリマ(EVA)、又はアクリル酸コポリマ等のエチレン系ポリマ若しくはコポリマを含む、
請求項1~16の何れか1項に記載のストリップ。
【請求項18】
前記鋼製要素には接着促進剤が提供され、及び/又は前記鋼製要素は、個別に又は一体で、官能化ポリオレフィンであるポリマの薄層で事前に被覆され得るか、又は個別に又は一体で、全ての前記スチールワイヤ又は前記スチールコードが共通の非官能化ポリマと共に押し出される前に、プライマ又は接着促進剤が提供され得る、
請求項1~17の何れか1項に記載のストリップ。
【請求項19】
前記ストリップのストリップ破断荷重は1kN~200kNの範囲、好ましくは例えば10kN~150kN、さらに好ましくは20kN~125kN、さらに好ましくは30kN~110kN、さらに好ましくは50kN~105kNの範囲である、
請求項1~18の何れか1項に記載のストリップ。
【請求項20】
土壌補強用グリッドであって、
前記グリッドは第一の方向の第一のストリップの集合と第二の方向への第二のストリップの集合を含み、前記第一のストリップの集合と前記第二のストリップの集合は相互に交差して、相互に結合され、
前記第一のストリップの集合又は前記第二のストリップの集合又は前記第一のストリップの集合と前記第二のストリップの集合の両方が、請求項1~19の何れか1項に記載のストリップを有するグリッド。
【請求項21】
土壌補強層であって、
前記層は請求項1~19の何れか1項に記載の1本若しくは複数のストリップ又は請求項20に記載の1つ若しくは複数のグリッドを含む土壌補強層。
【請求項22】
機械的に安定化された土構造であって、
請求項1~19の何れか1項に記載の1本若しくは複数のストリップ又は請求項20に記載の1つ若しくは複数のグリッドを含む土構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土構造を機械的に安定化するための土壌補強ストリップに関する。本発明はまた、土壌及び土地のための補強グリッドにも関する。さらに、本発明はまた、この補強ストリップ及びグリッドの応用、すなわち補強土壌層及び機械的に安定化された土構造又は擁壁にも関する。
【背景技術】
【0002】
機械的に安定化される改良型の土構造及び補強土壌層の発案は、Henri Vidalの仏国特許第1 393 988号明細書にさかのぼり、その中で土壌安定性及び補強の基本原理が開示され、説明されている。盛土材と補強要素は、盛土材と補強要素との、又は補強要素と接触する盛土材内部の摩擦に基づく安定な均衡状態を形成する。
【0003】
例えば、機械的に安定化された土構造は、既製コンクリートブロック、金属溶接格子パネル、又は金属ワイヤの織物状若しくは溶接ガビオンの形態の止水壁を含む。止水壁は、土壌補強ストリップを止水壁に接続するためのコネクタを有する。これらの土壌補強ストリップは、止水壁の片側に延び、止水壁の同じ側に提供された盛土材に安定性を与える。
【0004】
これらの擁壁の耐用期間は75年~120年であることが期待される。したがって、土壌補強ストリップには様々な要求事項がある。第一に、ストリップは盛土材に安定性を与えるのに必要な摩擦を提供しなければならない。第二に、ストリップは壁の安定性のために必要な引張強さと伸び率を提供しなければならない。第三に、土壌補強ストリップは、長い耐用期間を持たなければならず、すなわち、これらは、盛土材が侵襲的であり得るため、高い耐食性を有していなければならない。第四に、土壌補強ストリップは、裏込め材内部のレイアウトや締固めにより生じ得る損傷に耐えられなければならない。
【0005】
Terre Armee Internationaleの欧州特許第3 099 860B1号明細書では、ポリママトリクスと補強繊維を内部に有する土壌補強ストリップが開示されている。補強繊維とポリママトリクスとの間の接着を強化するために、ポリマは少なくとも部分的に官能化され、より具体的には、ポリマは官能性ポリオレフィンを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一般的目的は、先行技術の欠点を回避又は少なくとも緩和することである。
【0007】
本発明の具体的な目的は、土壌補強ストリップをさらに改良することである。
【0008】
本発明のより具体的な目的は、補強ストリップのための改良型の補強要素を提供することである。
【0009】
本発明のまた別の目的は、例えば補強ストリップの剛性、耐久性、及び/又は耐用期間を増大させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様によれば、機械的に安定化される土構造のための、例えば土壌補強ストリップが提供される。このストリップは、ポリママトリクスを含み、ポリママトリクスの内部に補強要素として長尺状の鋼製要素をさらに含む。長尺状の鋼製要素の弾性及び塑性合計破断伸びは4%を超え、例えば4.5%、5%、さらには6%、且つ/又はさらに好ましくは15%未満、さらに好ましくは12%未満、さらに好ましくは10%未満である。これは、例えば土の効率的な機械的安定化に寄与し得るほか、構造を少なくともある程度定着させ、及び/又は使用中に何れかの止水壁又は止水壁要素を幾分変位させて、問題がないか視覚的に診断し、それに対応して保守計画を立てるのに役立てながら、それと同時に、特に止水壁要素のトップリング若しくは転倒及び/又は特に堤防崩壊による完全破壊の回避に役立て得る。
【0011】
ある実施形態において、本発明は特に、例えば土壌補強ストリップであって、
前記ストリップはポリママトリクスを有し、
前記ストリップは、前記ポリママトリクスの内部に補強要素として長尺状の鋼製要素をさらに含み、
前記長尺状の鋼製要素の各々の弾性及び塑性合計破断伸びは4%を超え、前記長尺状の鋼製要素はスチールコードであるか、スチール素線を有する少なくとも1本のスチールコードを含み、さらに、少なくとも1本の長尺状の鋼製要素又は各長尺状の鋼製要素は複数のスチール素線を含み、スチール素線は撚線構成を有して、少なくとも1本のスチールコードの周辺におけるスチール素線のうちの少なくとも幾つか間に螺旋間隙が形成され、マトリクスのポリマ材料は螺旋間隙内に浸透する土壌補強ストリップに関する。これは、ポリママトリクスと長尺状の鋼製要素との間の結合及び/又は荷重伝達を改善することによって効率的な安定化にさらに寄与し得る。
【0012】
ある実施形態において、本発明は特に、例えば土壌補強ストリップであって、
前記ストリップはポリママトリクスを有し、
前記ストリップは、前記ポリママトリクスの内部に補強要素として長尺状の鋼製要素をさらに含み、
前記長尺状の鋼製要素の各々の弾性及び塑性合計破断伸びは4%を超え、前記長尺状の鋼製要素のコード引張強さ又は引張強さは少なくとも1800MPa、好ましくは少なくとも2000MPa、最も好ましくは少なくとも2200MPa、さらに好ましくは少なくとも2500MPa超、且つ/又はさらに好ましくは4500MPa未満であり、及び/又は、さらに、前記長尺状の鋼製要素又は前記長尺状の鋼製要素の少なくとも1つは応力緩和状態にあり得る土壌補強ストリップにも関する。これは、必要に応じて土壌又は堤防構造を少なくともある程度定着させることができ、及び/又は使用中に何れかの止水壁又は止水壁要素を幾分変位させて、問題がないか視覚的に診断し、それに対応して保守計画を立てるのに役立てながら、それと同時に、特に止水壁要素のトップリング若しくは転倒及び/又は堤防崩壊による完全破壊の回避に役立て得る高い伸び率(elegation)と組み合わせて、鋼材の高弾性率及び/又は高引張強さに鑑み、効率的な機械的安定化にさらに寄与し得る。
【0013】
ある実施形態において、本発明は特に、例えば土壌補強ストリップであって、
前記ストリップはポリママトリクスを有し、
前記ストリップは、前記ポリママトリクスの内部に補強要素として長尺状の鋼製要素をさらに含み、
前記長尺状の鋼製要素の各々の弾性及び塑性合計破断伸びは4%を超え、さらに少なくとも1本の長尺状の鋼製要素又は各長尺状の鋼製要素は複数のスチール素線を含み、スチール素線は撚線構成を有して、少なくとも1本のスチールコードの周辺におけるスチール素線のうちの少なくとも幾つか間に螺旋間隙が形成され、マトリクスのポリマ材料は螺旋間隙内に浸透し、前記長尺状の鋼製要素のコード引張強さ又は引張強さは少なくとも1800MPa、好ましくは少なくとも2000MPa、最も好ましくは少なくとも2200MPa、さらに好ましくは少なくとも2500MPa超、且つ/又はさらに好ましくは4500MPa未満であり、及び/又は前記長尺状の鋼製要素又は前記長尺状の鋼製要素の少なくとも1つは応力緩和状態にあり得る土壌補強ストリップにも関する。これは、ポリママトリクスとスチールコードとの間の結合及び/又は荷重伝達を改善して、効率的な安定化のための鋼材の特性、特に例えば弾性率及び/又は引張強さにできるだけ有利となるようにするのにもさらに寄与し得る。
【0014】
長尺状の鋼製要素は、ステンレス鋼要素又は炭素鋼要素であり得る。炭素鋼要素は、陰極防食を提供する材料で被覆され得て、例えばこれらは亜鉛又は亜鉛合金で被覆され得て、腐食に対する耐性が増強される。代替的に、又は追加的に、長尺状の鋼製要素は陰極防食を提供する材料と接触し得る。
【0015】
これらの長尺状の鋼製要素の使用には多くの利点がある。まず、低い伸び率での鋼材の高い引張剛性に有利となることである。その結果、構造の建設及び通常の寿命中に低い伸び率を保持できる。第二に、構造に、より大きい移動や破壊に近付くような予期せぬ出来事が生じた場合に、十分な破断しづらさが保持され、特に突然の破壊が回避されることである。本発明の意味における鋼材はそれゆえ、好ましくはニッケル含有量が<17wt%、好ましくは15wt%未満、さらに10wt%未満、さらにより好ましくは5wt%未満であり、及び/又はマンガン含有量が<9wt%、好ましくは7wt%未満、さらに好ましくは5wt%未満である。それによって、鋼材は特に、例えばヤング係数が180~200GPaであり得る。鋼材の使用はそれによって、特にマトリクスに物理的及び/又は化学的に結合される際のクリープの問題を軽減させるのにさらに寄与し得る。
【0016】
後述するように、構造的伸びは弾性及び塑性合計破断伸びに含まれない。
【0017】
長尺状の鋼製要素はスチールワイヤであり得る。
【0018】
しかしながら、最も好ましくは、長尺状の鋼製要素はスチールコードであるか、少なくとも1本のスチールコードを含み、これは好ましくは例えばスチール素線を含み、これらは亜鉛又は亜鉛合金で個別に被覆され、撚り合わせられてスチールコードを形成する。スチールコードはスチールワイヤと同じ補強効果を有するが、はるかにより柔軟である。スチールコードはそれによって、延伸素線から組み立てられていてよく、それによって特に例えば延伸による熱が鋼材の結晶構造及び特性に影響を与え得る。
【0019】
長尺状の鋼製要素は好ましくは、最小弾性及び塑性伸びに到達するために、応力緩和状態されている。長尺状の鋼製要素の応力緩和は、スチールコードを400℃より高い温度まで加熱することによって行われる。そのようにする中で、鋼材の結晶構造は影響を受け得て、長尺状の鋼製要素の引張強さは例えば10%より幾分大きく低下し得るが、それと同時に、塑性伸びは大幅に増大して、弾性伸びと塑性伸びの合計は、特に引張強さが依然として高い数値でありながら、4%を超え得る。例えば3000MPaと高い引張強さ又は高いコード引張強さを有するが、破断伸びが非常に低いスチールコードはそれによって、延伸スチール素線から組み立てられ得る。応力緩和により、引張強さ又はコード引張強さは例えば、約2600MPaまで低下し得て、他方で塑性伸びは大幅に、特に例えば約2600MPaの引張強さ又はコード引張強さの同等のコードの数値を超えるまで増大し、それによって弾性伸びと塑性伸びの合計は4%を超え得る。これは特に、例えば高い破断伸び及び高いコード引張強さ又は引張強さを実現するのに寄与し得る。
【0020】
スチールコードの場合、好ましいスチールコードは単線コードであり、これは1回の撚り工程で、限定的な本数の、例えば2~7本のスチール素線で製作できる。より好ましくは、スチールコードは開放構成を有し、すなわちポリママトリクスのポリマは全てのスチール素線と接触し、理想的には、全てのスチール素線を個別に取り囲む。スチールコード内部へのポリマの完全浸透及びポリマのスチールコードへの良好な接着が優れた耐食性のために保証され、水や湿気がスチールコードの長さに沿って移動するのを防止する。ポリママトリクスとスチールコードとの間の接着はそれによって、例えば表面の物理的又は化学的表面処理及び/又はグルー、プライマ、若しくは接着促進剤等の化学薬剤を用いた物理的若しくは化学的結合によって改善され得る。これは、ポリママトリクスとスチールコードとの間の結合及び/又は荷重伝達をさらに改善し、機械的安定化を助ける。ある実施形態において、長尺状の鋼製要素の少なくとも1つ又は各長尺状の鋼製要素はそれによって、例えば複数のスチール素線を含み得て、スチール素線は撚り構成を有し、それによって長尺状の鋼製要素の少なくとも1つの周辺におけるスチール素線の少なくとも幾つか間に螺旋間隙が形成され、マトリクスのポリマ材が螺旋間隙の中へと浸透する。ある実施形態において、長尺状の鋼製要素の少なくとも1つ又は各長尺状の鋼製要素は例えば、中央スチール素線と、中心スチール素線の周囲に撚り合わせられた周辺スチール素線を含み得る。ある実施形態において、長尺状の鋼製要素の少なくとも1つ又は各長尺状の鋼製要素の周辺の螺旋間隙は、中央スチール素線に到達し得る。ある実施形態において、周辺スチール素線は3~9本、好ましくは3~6本の周辺スチール素線であり得る。ある実施形態において、中央スチール素線の直径は、周辺スチール素線の少なくとも幾つか又は全部より大きい直径を有し得る。1つの実施形態において、長尺状の鋼製要素の少なくとも1つ又は各長尺状の鋼製要素は、一体として撚り合わせられる少なくとも2本のスチール素線の集合で製作される。1つの実施形態において、その/前記集合は最大5本のスチール素線を有し得る。特に、ポリマがスチールコードの内部に浸透できるような複数のストランド又は素線を有するスチールコードの使用はそれによって、ポリママトリクスとスチールコードとの間の結合及び/又は荷重伝達が、特にポリマがそれによってスチールコードに非常に耐久性の高い方法で物理的に結合できるようにすることで、特に何年にも及ぶきわめて長い期間の使用時に、機械的安定化に役立つように改善するのにさらに寄与し得る。
【0021】
良好なポリマ浸透を提供する単線コードの例は以下であり得る:
-n×1のコードであり、nはスチール素線の数で、2~5、好ましくは3~5の範囲であり、スチール視線は塑性変形されているため、これらは常に相互に接触していてポリマの浸透を可能にするわけではない。
-2×1のコードであり、コードは2本のスチール素線からなる。
-1+nのコード、すなわちコアとしての1本のスチール素線と、1本のコアスチール素線の周囲の層状のn本のスチール素線を有するコードであり、nは3~9の範囲であり得るが、通常は3~6に限定され、不飽和層によってポリマの浸透が促進される。ある実施形態において、コードは、
-n×1のコード、ただし、nはスチール素線の数で、2~5、好ましくは3~5の範囲
-2×1のコード、
-1+nのコード、ただし、nは3~9、好ましくは3~6の範囲、
の群から選択され、
又は、
長尺状の鋼製要素は、
-n×1のコード、ただし、nはスチール素線の数で、2~5の範囲
-1+nのコード、ただし、nは、中央のスチール素線の周囲に配置されたスチール素線の数で、3~9、好ましくは3~6の範囲
の群から選択される少なくとも1本のコードを含む。
【0022】
好ましくは、長尺状の鋼製要素のコア引張強さ又は引張強さは1800を超え、例えば2000MPa超、最も好ましくは2200MPa超、例えば2500MPa超且つ/又は4500MPa未満である。このような高い数値はそれによって、特に4%を超える高い破断伸びと組み合わせて、鋼材にとって特別であり得、これは、破断伸びは通常、コード引張強さ又は引張強さの増大と共に非常に低いレベルまで大幅に低下するからである。これは例えば、特に鋼材の高い弾性率及び/又は高い引張強さにより、土の効率的な機械的安定化に寄与し得る。
【0023】
土壌補強ストリップは、5~50本のスチールコード又はスチールワイヤ、例えば10~45本のスチールコード又はスチールワイヤ、例えば15~40本のスチールコード又はスチールワイヤ、さらに好ましくは>15~<30本のスチールコード又はスチールワイヤを含み得る。ある実施形態において、スチールコード又はスチールワイヤは、ポリママトリクスの内部で相互に平行に、好ましくはこれらが相互に接触しないように配置される。これは、スチールコード又はスチールワイヤの腐食及び/又は破壊の伝播を防止するのを助けるのに寄与し得る。ある実施形態において、スチールコード又はスチールワイヤは、ポリママトリクスの内部で1つの平面内又は複数の平面内、特に例えば2、3、又は4つの平面内に配置され得る。ある実施形態において、ストリップ外部の何れかの点とストリップ内部の何れかのスチールコード又はスチールワイヤとの間のポリママトリクスの厚さは少なくとも100μm、好ましくは>100μm~<500μm、さらに好ましくは150μm~400μm、さらに好ましくは160μm~350μm、さらに好ましくは175μm~300μmである。これは、スチールコード又はスチールワイヤの腐食及び/又は破壊を防止するのを助けるのに寄与する。ある実施形態において、一方向へのマトリクスの断面の外形の寸法は、他の垂直方向へのマトリクスの断面寸法より大きく、好ましくはマトリクスの断面の外形はそれゆえ、例えば楕円、長方形であり得るか、又は角の丸い長方形に対応する。これは、ストリップ上の抗力をさらに増大させるのに役立ち得て、それゆえ、例えば土の機械的安定化にさらに寄与し得る。
【0024】
ポリマと長尺状の鋼製要素との間の接着を増強させるために、ポリママトリクスは少なくとも部分的に、特に例えばHDPE(high density polyethylene:高密度ポリエチレン)、改質ポリプロピレン及び低密度ポリエチレン(LDPE:low-density polyethylene)、直鎖状低密度ポリエチレン(LDPE:linear low density polyethylene)、超低密度ポリエチレン(VLDPE:very low density polyethelen)、超低密度ポリエチレン(ULDPE:ultra low density polyethylene)等の官能性ポリオレフィン、及び/又は、特に例えば改質、グラフト化、又はアクリル酸若しくは酢酸等の何れかの極性を有する官能基を含む、例えばエチレン-プロピレンコポリマ、エチレン-酢酸ビニルコポリマ(EVA:ethylene-vinyl acetate)、又はアクリル酸コポリマ等のエチレン系コポリマを含み得る。部分的官能化、及び/又は他の材料を部分的に含むマトリクスの場合、官能性ポリオレフィンはスチールコードと接触する。これは、それによってポリママトリクスと長尺状の鋼製要素との間の結合及び/又は荷重伝達を増強させて、機械的安定化を助けるのにさらに寄与し得る。
【0025】
官能性ポリオレフィンに加えて、又は代替案として、長尺状の鋼製要素にはプライマ又は接着促進剤が提供され得る。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、鋼製要素、例えばスチールワイヤ又はスチールコードは、個別に又は一体で、官能性ポリオレフィンで事前に被覆され得るか、スチールワイヤ又はスチールコードの全部が共通の非官能性ポリマと共に一緒に押し出される前に、個別に又は一体で、プライマ若しくは接着促進剤が提供され得る。
【0027】
長尺状の鋼製要素を外的損傷から保護し、耐久性を最大にするためには良好な接着が必要である。
【0028】
土壌補強ストリップのストリップ破断荷重は1kN~200kNの範囲、例えば2kN~100kNの範囲、好ましくは例えば10kN~150kN、さらに好ましくは20kN~125kN、さらにより好ましくは30kN~110kN、さらにより好ましくは50kN~105kNの範囲であり得る。
【0029】
本発明の第二の態様によれば、本発明は土壌補強用グリッドに関する。このグリッドは、第一の方向への第一のストリップの集合と第二の方向への第二のストリップの集合を含む。第一のストリップの集合と第二のストリップの集合は相互に交差し、相互に、例えばストリップを若干加熱してポリママトリクスを相互に接着させることによって、又はグルー若しくはホットメルトによって、又はステッチによって相互に結合又は固定される。第一のストリップの集合、又は第二のストリップの集合、又は第一のストリップの集合と第二のストリップの集合の両方は、本発明の第一の態様による補強ストリップであり得る。
【0030】
本発明のストリップ及び本発明のグリッドは、補強土壌層のための補強として使用できる。
【0031】
本発明のストリップと本発明のグリッドは、機械的に安定化された土構造における補強として使用できる。
【0032】
ある実施形態において、1つ又は複数のストリップは例えば、少なくとも1つの止水壁要素に接続されるように配置され得るか、又はそこに接続され得て、好ましくは土を安定化させ、及び/又は堤防、さらに好ましくはコンクリートブロック若しくはガビオンの一部となるように配置され得て、特に例えばそれによって止水壁及び/又は堤防にかかる力に、少なくとも部分的に、ストリップ上の抗力により対抗できる。これによって、ストリップは土及び/又は止水壁及び/又は堤防を機械的に安定化させるのに寄与することができ得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明による第一の土壌補強ストリップ10を図解する。ストリップ10は、ポリママトリクス12と10~15本のスチールコード14を有する。
【0035】
ポリママトリクス12に適した好ましいポリマ又は官能性ポリマは例えば、グラフト化及び/又は混合HDPE(高密度ポリエチレン)、改質ポリプロピレン、及び低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)等のポリオレフィン、及び/又エチレン系ポリマ若しくは、特に例えば改質、グラフト化、又はアクリル酸若しくは酢酸官能基等の何れかの極性を有する官能基を含む、例えばエチレン-プロピレンコポリマ、エチレン酢酸ビニルコポリマ(EVA)、又はアクリル酸コポリマ等のコポリマであり得る。
【0036】
ストリップ10の幅は5mm又は10mm~80mm、好ましくは20mm~70mmの範囲であり得る。特にグリッドの場合、ストリップの幅は例えば20mm未満であり得る。ストリップ10の厚さは2mm~4mmの範囲であり得る。
【0037】
図2を参照すると、スチールコード14は(1+5)×0.37のスチールコードであり、直径0.37mmのコア素線20と、コア素線20の周囲に撚り合わせられてコア素線20の周囲に不飽和層を形成する直径0.37mmの5本の層素線22を有する。不飽和層とは、層が閉じていないこと、すなわち層素線22がそれぞれの隣と接触せず、ポリマが浸透してコア素線20に付着できることを意味する。不飽和層により、ポリマをスチールコード14に機械的に固定できるだけでなく、化学的接着も増強でき、それは、鋼材とポリマとの間の接触表面が実質的に大きくなるからである。
【0038】
1本又は複数のコア素線及び1つの不飽和層の構成を有する代替的なスチールコードも提供され得る。一例は、1×d1+6×d2の構成であり、層素線の直径d2はコア素線の直径d1より小さい。他の例は1×d1+4×d2構成であり、コア素線の直径d1は層素線の直径d2と等しいか、それより幾分太い。
【0039】
スチールコードのスチール素線は好ましくは、亜鉛又は亜鉛合金のコーティングを有する。最も好ましくは、亜鉛又は亜鉛合金のコーティングはスチール素線に溶融メッキ工程によって堆積される。亜鉛コーティングの厚さは4マイクロメートル未満、例えば3マイクロメートル未満であり得る。好ましくは合金層亜鉛鋼材が鋼製コアと亜鉛又は亜鉛合金コーティングとの間にある。この亜鉛又は亜鉛合金コーティングは、スチールコードのスチールワイヤ又はスチール素線に、ポリマとの押出の前又はプライマ若しくは接着促進剤による処理の前に追加される。
【0040】
亜鉛合金コーティングは、アルミニウム含有量が2重量パーセント~12重量パーセントの範囲、例えば3%~11%の範囲の亜鉛アルミニウムコーティングであり得る。好ましい組成は共析位置付近にあり、すなわちAl約5パーセントである。亜鉛合金コーティングは、ランタン又はセリウム等の湿潤剤を亜鉛合金の0.1パーセント未満の量でさらに有し得る。コーティングの残りは亜鉛及び不可避的不純物である。他の好ましい組成物は約10%のアルミニウムを含む。このようにアルミニウムの量を増やすことにより、アルミニウム約5%の共析組成物より高い耐食性が提供される。ケイ素(Si)及びマグネシウム(Mg)等の他の元素が亜鉛アルミニウムコーティングに添加され得る。耐食性を最適化することを考慮して、特定の好適な合金は2%~10%のアルミニウム及び0.2%~3.0%のマグネシウムを含み、残りは亜鉛である。一例は5%がAl、0.5%がMg、残りがZnである。
【0041】
図3は、本発明による第二の土壌補強ストリップ30を図解する。この土壌補強ストリップは、ポリママトリクス32を有し、各種のスチールコード34により強化されている。
【0042】
図4は、スチールコード34の断面を示す。スチールコード34は2×1の構成を有し、すなわちスチールコード34は相互に撚り合わせられた2本のスチール素線40、42からなる。一例は2×0.54(素線径0.54mm)である。
【0043】
他のn×1スチールコード構成も提供され得て、nはスチール素線の数であり、3~9の範囲である。スチール素線の1つ又は複数は、n本のスチール素線の全てが相互に接触し、ポリマが浸透できない中央キャビティを形成し、取り囲むのを回避するために、塑性変形、例えば起伏を有する。
【0044】
図5は、本発明に関して使用されるスチールコードの荷重-伸び曲線50を示す。横軸はパーセントで表される伸びAである。縦軸はMPaで表される荷重Rである。
【0045】
小さい初期荷重で、スチールコード構成はあるケースにおいて比較的大きい伸びAsを示し得て、これは構造的伸びと呼ばれる。これは第一のフェーズである。スチールコードの構造的伸びのうち、コードの撚り合わせの性質によるか、又は個々のスチールワイヤの塑性性能による部分である。コードは幾分引き伸ばされ、素線が相互に近付き、撚りピッチは幾分増大する。個々のスチールワイヤの場合、スチールワイヤは引き伸ばされて、まっすぐになる。この構造的伸びが回避される必要はない。幾つかのケースでは、これはスチールコード内部にポリマが完全に浸透するのに有益であり得る。
【0046】
第二のフェーズで、スチールコードのスチール素線は弾性伸びAeを示す。この部分は、フックの法則による線形部分である。
【0047】
第三のフェーズで、スチール素線は伸びApにわたって塑性変形し、最終的にスチールコードは伸びAtで破断する。
【0048】
本発明によれば、弾性伸びAeと塑性伸びApの合計は4%を超えなければならず、例えば4.5%超、例えば5%超である。構造的伸びAsは、それがある場合、この構造的伸びはポリママトリクスの中にスチールコードが埋め込まれることによって失われるため、加算してはならない。
【0049】
図6は、本発明による第一の例の、ジオグリッドとも呼ばれることのある土壌補強グリッド60を示す。グリッド60は一方向への複数のストリップ62と、好ましくはストリップ62の方向に垂直であるが、他の実施形態では90°以外の角度とすることもできる他の方向への複数のストリップ64を含む。ストリップ62は縦糸を、ストリップ64は横糸を形成し得る。ストリップ62、又はストリップ64、又はストリップ62とストリップ64の両方が本発明による補強ストリップであり得る。ストリップ62は、ストリップ64の上に重ねられる。ストリップ62はストリップ64に熱溶接等の加熱加工によって固定され得て、それによってポリマは部分的に溶けて相互に接着される。ストリップ62をストリップ64に固定するためのその他の方法は、接着剤結合によるか、又はステッチを形成する織編用糸を用いた機械的固定による。
【0050】
図7は、一方向へのストリップ72と他の方向へのストリップ74を有する第二の例のグリッド70を示す。
図6の実施形態との違いは、ストリップ72がストリップ74と織り交ぜられていることである。
【0051】
図8は、ストリップ10が土構造80の機械的安定化にどのように使用されるかを図解している。堤防構造80は、積み重ねて配置されるプレハブコンクリートブロック82、82’で構成され得る止水壁を有する。代替的な止水壁は、溶接された、又は織物状のスチールワイヤガビオンで構成され得る。ストリップ10は止水壁82、82’に一番下からひとつひとつ接続される。盛土材84は徐々に追加、充填される。盛土材84は、砂、バラス、土、砕石、建物や土木工事の構造物の解体による再生材料、石灰、セメントを含み得る。
【符号の説明】
【0052】
10 ストリップ
12 ポリママトリクス
14 スチールコード
20 コアスチール素線
22 層スチール素線
30 ストリップ
32 ポリママトリクス
34 スチールコード
40 スチール素線
42 スチール素線
50 荷重-伸び曲線
60 グリッド
62 ストリップ
64 ストリップ
70 グリッド
72 ストリップ
74 ストリップ
80 機械的に安定化された土構造
82、82’ 止水壁の建築ブロック
84 盛土材
86 原地盤
【国際調査報告】