IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ショット アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧 ▶ スコット プリモセラー オサケユイチアの特許一覧

特表2023-547667気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法
<>
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図1
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図2
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図3
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図4
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図4a
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図5
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図6
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図7
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図8
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図9
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図10
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図11
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図12
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図13
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図14
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図15
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図16
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図17
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図18
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図19
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図20
  • 特表-気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-13
(54)【発明の名称】気密結合された構造体、ハウジング、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/32 20140101AFI20231106BHJP
   C04B 37/02 20060101ALI20231106BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20231106BHJP
【FI】
B23K26/32
C04B37/02 C
B23K26/21 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526983
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021080975
(87)【国際公開番号】W WO2022096724
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】102020129380.1
(32)【優先日】2020-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020129382.8
(32)【優先日】2020-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】519408803
【氏名又は名称】ショット プリモセラー オサケユイチア
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT PRIMOCELER OY
【住所又は居所原語表記】Vesiroineenkatu 3, 33720 Tampere, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ウルリヒ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アンティ マーテネン
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス クーニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン コアファース
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ホッペ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ヘルマン
【テーマコード(参考)】
4E168
4G026
【Fターム(参考)】
4E168BA02
4E168BA87
4E168BA90
4E168DA02
4E168DA37
4E168DA46
4G026BA02
4G026BA03
4G026BB21
4G026BF57
4G026BG13
(57)【要約】
気密結合された構造体であって、第1の金属基材、少なくとも領域的および/または少なくとも部分的に少なくとも1つの波長範囲に対して透明に形成されている第2の基材を含み、ここで、前記第1の基材は、接触面で、前記第2の基材の接触面に隣接して配置されており、およびさらに前記第1の金属基材を前記第2の基材と、前記接触面上または接触面内で直接的且つ無媒介で接合するための少なくとも1つのレーザー接合線または複数の連結点を有し、ここで、前記レーザー接合線もしくは前記複数の連結点は、一方では前記第1の基材内に及び、且つ他方では前記第2の基材内に及び、且つ少なくとも2つの基材を直接的に溶融により互いに接合する、前記気密結合された構造体が示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密結合された構造体(1)であって、
・ 第1の金属基材(3)、
・ 少なくとも領域的および/または少なくとも部分的に少なくとも1つの波長範囲に対して透明に形成されている第2の基材(4)、
ここで、前記第1の基材は、接触面(11)で、前記第2の基材の接触面(12)に隣接して配置されている、
・ 前記第1の金属基材を前記第2の基材と、接触面(11、12、15)上または接触面(11、12、15)内で直接的且つ無媒介で接合するための少なくとも1つのレーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)または複数の連結点、
ここで、前記レーザー接合線もしくは前記複数の連結点は、一方では前記第1の基材内に及び、且つ他方では前記第2の基材内に及び、少なくとも2つの基材を直接的に溶融により互いに接合する、
を含む、前記気密結合された構造体(1)。
【請求項2】
前記レーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)もしくは前記複数の連結点において混合区域(62)が存在し、そこで前記第2の基材(4)の材料と前記第1の基材(3)の材料とが混合されている、請求項1に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項3】
前記混合区域(62)において、前記第1の金属基材(3)の金属材料が前記第2の基材(4)内に入っており、且つ/または
前記混合区域(62)において、前記第2の基材(4)の材料が前記第1の基材(3)内に入っている、
請求項2に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項4】
前記混合区域(62)が前記接触面(11、12、15)に垂直な方向で測定される厚さを有し、且つ
前記混合区域が好ましくは少なくとも1μm、好ましくは2μm以上、さらに好ましくは5μm以上の厚さを有し、且つ/または
前記混合区域(62)が1μm以上、前記第2の基材内に及んでいる、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項5】
前記混合区域(62)が幅を有し、且つ
前記混合区域の幅は、第2の基材(4)における前記混合区域の厚さよりも大きく、且つ/または
前記混合区域(62)の幅は、前記混合区域の厚さよりも50%以上大きく、さらに好ましくは前記混合区域の厚さよりも100%以上大きく、
前記混合区域(62)の幅は、殊に前記第1の基材および第2の基材(3、4)間の接触面(15)上で、且つ前記接触面に対して平行であり且つレーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)に対して垂直な方向に測定される、
請求項3または4に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのレーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)もしくは複数の連結点がさらに再凝固区域(64、69)を有し、前記再凝固区域は前記接触面(11、12、15)に垂直な方向で測定される厚さを有し、且つ
前記再凝固区域の厚さは、好ましくは20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下であり、且つ/または
前記再凝固区域(64、69)は、前記第2の基材の深さ20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下へと延在する、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項7】
前記再凝固区域(64、69)が、前記レーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)に沿って延在しており、且つ/または
前記再凝固区域(64、69)が、前記第1の基材および第2の基材(3、4)間の接触面(11、12、15)上で、且つ前記接触面に対して平行な方向で10μm±5μm、好ましくは20μm±10μm、さらに好ましくは30μm±10μmの幅を有し、且つ/または
前記再凝固区域(64、69)が、前記第1の基材および第2の基材(3、4)間の接触面(11、12、15)上で、且つ前記接触面に対して平行であり且つレーザー接合線に対して垂直な方向で、前記再凝固区域の厚さよりも大きい幅を有する、
請求項6に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項8】
前記混合区域(62)において、前記第1の基材(3)の材料および前記第2の基材(4)の材料が、前記第1の基材の材料と前記第2の基材の材料との間で形状結合のかみ合わせが引き起こされるように配置されており、且つ/または
前記第1の金属基材(3)と前記第2の基材(4)との間で互いに融合するかみ合わせ構造(37)を有する、
請求項1から7までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項9】
前記混合区域(62)および/または前記再凝固区域(64、69)において、前記金属基材(3)の金属材料がドロップレット(3a)および/またはデンドライトの形態で存在し、且つ/または前記第2の基材(4)の材料がアブレーション(4a)および/またはデンドライト(4b)の形態で存在し、ドロップレットおよび/またはデンドライトとしての配置が第1の基材と第2の基材との間の結合の強化をもたらす、
請求項1から8までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項10】
前記再凝固区域(64、69)の少なくとも1つに、前記金属基材(3)の金属材料および/または前記第2の基材(4)の材料が、殊にドロップレット(3a)、アブレーション(4a)および/またはデンドライト(4b)の形態で侵入しており、且つ第1の基材と第2の基材との間の結合の強化をもたらす、請求項1から9までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項11】
前記第1の基材(3)の接触面(11)が少なくとも1つの相接接触領域を有し、そこで前記第1の基材は前記第2の基材(4)と面状に相接接触しており、
前記相接接触面は殊に、第1の基材と第2の基材との間の平均間隔1μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.2μm以下を有し、且つ/または
前記相接接触面は殊に接触面(15)に相応する、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項12】
前記レーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)が、前記第1の基材(3)を前記第2の基材(4)と、保持力を加えることでのみ、または前記保持力が前記第2の基材を破壊するために必要な力よりも大きい場合は前記第2の基材が破壊されることでのみ、両方の基材が互いから分離され得るように互いに結合し、且つ/または
前記第2の基材の第1の基材上での保持力は10N/mm2を上回り、好ましくは25N/mm2を上回り、さらに好ましくは50N/mm2を上回り、なおもさらに好ましくは75N/mm2を上回り、およびなおもさらに好ましくは100N/mm2を上回る、
請求項1から11までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項13】
前記第1の基材(3)が、
前記接触面(11)が平坦に、殊に面状に構成されており、且つ/または
前記第1の基材(3)の前記接触面(11)が研磨されており、且つ/または
前記第1の基材(3)の前記接触面(11)が0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下、なおもさらに好ましくは50nm以下、および最後に好ましくは20nm以下の平均粗さ値Raを有することを特徴とし、且つ/または
前記第2の基材(4)が、
前記接触面(12)上で平坦に、殊に面状に形成されており、さらに殊に0.5μm以下の平均粗さ値Raを有することを特徴とする、
請求項1から12までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項14】
接合レーザーがビーム焦点を有し、且つ前記レーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)を導入するための焦点面は遠位にシフトされており、殊に第1の基材(3)内にあり、且つ、
前記焦点面は、前記第1の基材(3)内に遠位に、好ましくは10μm±10μm、さらに好ましくは20μm±10μmシフトされている、
請求項13に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項15】
前記接触面(11、12、15)上でのビーム幅(2Wレーザー)が、4μm±1μm、好ましくは4μm±2μm、さらに好ましくは4μm±3μmである、請求項1から14までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項16】
前記第1の基材(3)が金属材料からなり、且つ/または
前記第1の基材(3)が周期律表の定義の意味における金属を含む、
請求項1から15までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項17】
前記第1の基材(3)が、モリブデン、タングステン、ケイ素、白金、銀または金からの少なくとも1つを含むか、またはそれらからなり、且つ/または
前記第1の基材(3)が、合金を含み、殊に炭素、銅、マンガン、クロム、マグネシウム、コバルト、ニッケル、スズ、亜鉛、ニオブ、パラジウム、レニウム、インジウム、タンタル、チタン、またはイリジウムからの少なくとも1つを含むか、またはそれらからなる、
請求項1から16までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項18】
前記第2の基材(4)が透明基材であり、且つ/または
前記第2の基材(4)がガラス、ガラスセラミック、ケイ素、サファイアまたは上記の材料の組み合わせを含むか、またはそれらからなり、且つ/または
前記第2の基材(4)がセラミック材料、殊に酸化物セラミック材料を含むか、またはそれらからなる、
請求項1から17までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項19】
前記第2の基材(4)が、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、ガラスセラミック、例えばZerodur、CeranまたはRobax、オプトセラミック、例えば酸化アルミニウム、スピネル、パイロクロアまたはアルミニウムオキシ亜硝酸塩、フッ化カルシウム結晶またはカルコゲナイドガラスからの少なくとも1つを含むか、またはそれらからなる、請求項18に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項20】
気密結合された構造体(1)、殊に請求項1から19までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)であって、
・ 第1の金属基材(3)、
・ 少なくとも領域的および/または少なくとも部分的に少なくとも1つの波長範囲に対して透明に形成されている第2の基材(4)、
ここで、前記第1の基材は、接触面(11)で、前記第2の基材の接触面(12)に隣接して配置されている、
・ 前記第1の基材と前記第2の基材との間の間隔を確保するための少なくとも1つのスペーサー(35)
を含む、前記気密結合された構造体(1)。
【請求項21】
前記第1の金属基材(3)を前記第2の基材(4)と、直接的且つ無媒介で接合するための少なくとも1つのレーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)、または複数の連結点をさらに含み、
前記レーザー接合線もしくは複数の連結点は、一方では前記第1の基材内に及び、且つ他方では前記第2の基材内に及び、且つ少なくとも2つの基材を直接的に溶融により互いに接合する、
請求項20に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項22】
前記第1の基材(3)が前記スペーサー(35)を介して前記第2の基材(4)と接触しており、且つ/または
前記スペーサー(35)が前記第1の基材(3)と前記第2の基材(4)との間に配置されている、
請求項20または21に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項23】
前記スペーサー(35)が少なくとも前記レーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)に沿って、または連結点の領域内に延在するか、または
前記スペーサー(35)が前記レーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)の外側、もしくは前記連結点の領域の外側に延在するか、または
前記スペーサー(35)が全面的に形成されており、且つ/または
前記スペーサー(35)が少なくとも5μmの厚さ、さらに好ましくは少なくとも10μmの厚さ、さらに好ましくは少なくとも20μmの厚さを有する、
請求項20から22までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項24】
前記スペーサー(35)が金属材料からなり、且つ/または
前記スペーサー(35)がコーティングとして前記第1の基材(3)または前記第2の基材(4)上に形成されており、且つ/または
前記スペーサー(35)が前記第1の基材(3)および/または前記第2の基材(4)と一体化して形成されている、
請求項21から23までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項25】
気密結合された構造体(1)、殊に請求項1から24までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)であって、
・ 第1の金属基材(3)、
・ 少なくとも領域的および/または少なくとも部分的に少なくとも1つの波長範囲に対して透明に形成されている第2の基材(4)、
ここで、前記第1の基材は、接触面(11)で、前記第2の基材の接触面(12)に隣接して配置されている、
並びに
・ レーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)または連結点からの溶融材料を受け容れるための少なくとも1つの回避区域(40)、
ここで、前記レーザー接合線または複数の連結点は、前記第1の金属基材を前記第2の基材と直接的且つ無媒介で溶融接合するために用いられる、
を含む、前記気密結合された構造体(1)。
【請求項26】
前記少なくとも1つの回避区域(40)が、前記レーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)または前記複数の連結点に隣接して配置されており、且つ/または
前記少なくとも1つの回避区域(40)が、前記第1の基材(3)と前記第2の基材(4)との間に配置されており、且つ/または
前記少なくとも1つの回避区域(40)が、前記第2の基材(4)を前記第1の基材(3)上に配置する際に前記接触面(11、12、15)上で形成される、
請求項25に記載の気密結合された構造体(1)。
【請求項27】
気密結合された構造体(1)、殊に請求項1から26までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)であって、
・ 第1の金属基材(3)、
・ 少なくとも領域的および/または少なくとも部分的に少なくとも1つの波長範囲に対して透明に形成されている第2の基材(4)、
ここで、前記第1の基材は、接触面(11)で、前記第2の基材の接触面(12)に隣接して配置されている、
・ 前記第1の金属基材を前記第2の基材と前記接触面(11、12、15)上または前記接触面(11、12、15)内で直接的且つ無媒介で接合するための第1のレーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)または第1の連結点の集合、
ここで、前記第1のレーザー接合線もしくは前記第1の連結点の集合は一方では前記第1の基材内に及び、且つ他方では前記第2の基材内に及び、且つ少なくとも2つの基材を直接的に溶融により互いに接合する、
・ 前記第1の金属基材を前記第2の基材と前記接触面上または前記接触面内で直接的且つ無媒介で接合するための第2のレーザー接合線(6a、6b、6c、6d)または第2の連結点の集合、
ここで、前記第2のレーザー接合線もしくは前記第2の連結点の集合は、前記第1のレーザー接合線もしくは前記第1の連結点の集合内に及び、且つ前記第1のレーザー接合線もしくは前記第1の連結点の集合によって達成される材料の混合が変えられるか、もしくは改善される、
を含む、前記気密結合された構造体(1)。
【請求項28】
気密封止されたハウジング(9)、殊に請求項1から27までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)を有する気密封止されたハウジング(9)であって、
・ 第1の金属基材(3)、
・ 少なくとも領域的および/または少なくとも部分的に少なくとも1つの波長範囲に対して透明に形成されている第2の基材(4)、
ここで、前記第1の基材は、接触面(11)で、前記第2の基材の接触面(12)に隣接して配置されている、
・ 前記第1の基材と前記第2の基材との間に配置される少なくとも1つの機能領域(2)、殊に中空部、
・ 前記第1の金属基材を前記第2の基材と、前記接触面上または前記接触面内で直接的且つ無媒介で接合するための、殊に機能領域の周りで前記機能領域を気密性に密閉するための、少なくとも1つのレーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)または複数の連結点、
ここで、前記レーザー接合線もしくは前記複数の連結点は、一方では前記第1の基材内に及び、且つ他方では前記第2の基材内に及び、且つ少なくとも2つの基材を直接的に溶融により互いに接合する、
を含む、前記気密封止されたハウジング(9)。
【請求項29】
前記ハウジングの前記レーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)は、前記機能領域(2)の周りで完全に閉じて構成されており、且つ/または
前記レーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)における、前記第1の基材(3)の前記第2の基材(4)からの間隔は、一貫して0.75μm未満であり、好ましくは0.5μm未満であり、さらに好ましくは0.2μm未満である、
請求項28に記載の気密封止されたハウジング(9)。
【請求項30】
前記機能領域(2)が、収納物体(5)、例えば電子回路、センサまたはMEMSを受け容れるための気密封止された収納中空部を含む、請求項28または29に記載の気密封止されたハウジング(9)。
【請求項31】
気密結合された構造体(1)または気密封止されたハウジング(9)、殊に請求項1から30までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)または気密封止されたハウジング(9)であって、殊に、少なくとも2つの基材を直接的に接合することによって少なくとも2つの基材を互いに気密性に結合する前に、第1の被覆またはコーティングが、前記第1の金属基材(3)上で、少なくとも、前記第2の基材に向く側の上で、殊に前記第1の金属基材を前記第2の基材と直接的且つ無媒介で接合するためのレーザー接合線(6、6a、6b、6c、6d)または複数の連結点の領域に配置される、前記気密結合された構造体(1)または気密封止されたハウジング(9)。
【請求項32】
少なくとも2つの部材からの気密封止された結合体(1)の製造方法であって、以下の段階:
少なくとも1つの第1の金属基材(3)を第2の基材(4)上に面状に配置する段階であって、その少なくとも2つの基材は互いに接してまたは重なり合って配置され、前記少なくとも2つの基材の間に接触面(11、12、15)が形成されており、前記接触面で前記第1の基材が前記第2の基材と接触しており、且つ前記第2の基材が透明な材料を含む、前記段階、
少なくとも1つの接触面の領域において前記少なくとも2つの基材を互いに直接的に接合することによって前記少なくとも2つの基材を互いに気密性に結合して、混合区域(62)を形成する段階であって、前記混合区域(62)は一方では前記第1の基材内に及び且つ他方では前記第2の基材内に及び、且つ前記少なくとも2つの基材が直接的に溶融により互いに接合する、前記段階
を有する、前記方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの第1の金属基材(3)を前記第2の基材(4)上に面状に配置する前に、第1の被覆またはコーティングを前記第1の基材上に配置することを行う、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも2つの基材(3、4)の気密結合体を、前記少なくとも2つの基材の間の間隔のプロファイルを特定することによって検査する段階、および/または
前記結合体(1)の機械的強度および/または気密性を検査するために、第1の結合品質指数Q1を特定する段階
をさらに有する、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の結合品質指数Q1は、Q1=1-(A-G)/Aで特定され、ここで、Aは接触面(11、12、15)の面積を表し、且つGは良好面を表し、
前記良好面Gは殊に相接接触面に相応し、且つ/または
前記良好面Gは、基材(3、4)間の間隔が5μm未満、好ましくは1μm未満、さらに好ましくは0.5μm未満、さらに好ましくは0.2μm未満である、接触面(11、12、15)の部分を記述し、且つ/または
前記結合品質指数Q1は、0.8以上、好ましくは0.9以上、さらに好ましくは0.95以上である、
請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記接触面(11、12、15)は有用領域Nを有し、且つ前記第1の結合品質指数Q1を計算するために前記有用領域Nが考慮され、且つ/または
1はQ1=1-(N-G)/Nで特定される、
請求項32から35までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の結合品質指数Q1は前記第1の基材(3)と前記第2の基材(4)との互いの接合前に特定され、且つ/または
気密性に接合された結合体(1)の接触面(11、12、15)の第2の結合品質指数Q2を特定する段階を有し、ここで殊にQ2はQ1よりも大きく、さらに殊にQ2/Q1>1.001が該当する、
請求項36に記載の方法。
【請求項38】
レーザー接合プロセスの準備のために、レーザーを用いて前記混合区域(62)においてプラズマ放電を点火する段階を有する、請求項32から37までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
請求項32から38までのいずれか1項に記載の方法によって製造されたハウジング(9)もしくは気密結合された構造体(1)。
【請求項40】
人間、動物または植物の細胞と接触する、殊に医療用埋込物として、殊に医療用体内センサとして、またはウェアラブル機器としての、請求項1から27までのいずれか1項に記載の気密結合された構造体(1)または請求項28から31までのいずれか1項に記載の気密封止されたハウジング(9)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気密結合された構造体、ハウジング、気密封止された結合体の製造方法、並びに前記方法で製造された気密結合された構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景および一般的な説明
原則的に、種々のレーザー法を用いて複数の部材を共に接合することは公知である。例えば、気密結合されたガラス・ガラスの移行部は、出願人の欧州特許第3012059号明細書(EP3012059 B1)から公知である。そこでは、光学構造部材を保護するための透明な部材の製造方法が示されている。ここでは新たなレーザー法が紹介されている。
【0003】
異なる材料を互いに結合する結合が注目を集めてきている。この中で、特に金属とガラスとの移行部は興味が持たれ、なぜなら、金属とガラスとの組み合わせはまさに、多数の用途の可能性を有するからである。例えば、殊にバイオプロセッサに関する、生物物理学もしくは技術医学の分野における改善および新たな用途、また宇宙航空における用途が実現可能である。
【0004】
気密封止されたハウジングが構成される場合、そこで、そのハウジング内部の単数または複数の構造部材を不利な環境条件から保護することができる。従って、例えば心臓の領域における、網膜における、または一般にバイオプロセッサのための、例えば医療用埋込物を構築および使用するために、気密封止されたハウジング内で敏感な電子部品、スイッチング回路または例えばセンサが配置され得る。用途分野は、MEMS(微小電子機械システム)についても、センサ技術において、例えば気圧計、血液ガスセンサまたはグルコースセンサなどのために、また電子機器用途のためにも、例えば殊に時計の製造の分野において、または一般に例えば水の保護または圧力の保護が構築されるべきウェアラブル機器および装置の分野において見出され得る。航空において、高温用途において、エレクトロモビリティの範囲において例えばフロー電池を製造するためにも、微小光学機器の分野においても、多様な使用領域が見出されている。
【0005】
互いに同種の構成要素の結合とは異なり、異なる材料を用いる場合、両方の接合相手の合着が乏しい、もしくは一般に1つの結合体にもたらされなければならないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第3012059号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、殊に今までは金属ではうまく実現され得なかった、異なる材料からの2つの構成要素の間で気密結合された構造体を提供するという課題を有する。さらに、異なる材料の2つの部材が互いに結合されるハウジングも提供するという課題を有する。殊に、本願の課題の一部の態様は、特に両方の部材が互いに剥がれないか、もしくは小さな力の作用下で既に互いに剥がれないために、気密結合された構造体またはハウジングが充分な耐性で製造され得ることをもたらす。本発明のさらなる一部の態様は、接合方法を使用することによって、生じ得る材料の損傷を調べることができ、且つ検査を利用可能にすることができ、また、生じ得るそのような損傷の回避もしくは低減が達成されるべきことにある。従って、本発明の可能性のある目的は、より信頼性があり且つ長寿命の気密結合された構造体もしくはハウジングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による気密結合された構造体は、第1の金属基材と、少なくとも領域的および/または少なくとも部分的に少なくとも1つの波長範囲に対して透明に形成されている第2の基材とを含む。第1の基材は接触面で、第2の基材の接触面に隣接して配置されている。
【0009】
この出願の意味における接触面とは、表面の領域または一部、またはそれぞれの基材の面全体でもあり、そこでそれぞれの基材はそれぞれの他の基材と隣接して横たわっているかもしくは配置されている。典型的には、それらの基材は並び合ってまたは重なり合って配置されている。両方の基材が直接的且つ無媒介で相接する場合、相接接触面が形成される。従って、前記相接接触面は例えば接触面の部分面であり、そこでは両方の基材の相互の間隔が光学的にもはや測定可能ではないほど小さい。
【0010】
少なくとも2つの基材は典型的にはまずそれらの結合のために互いに接して配置され、つまり、例えば重なり合って積層される。次いで重力が、上にある典型的には第2の基材を、下にある典型的には第1の金属基材に押し付けることができる。その際、上方もしくは下方の方向は単なる説明的なものであり、なぜなら、基材の配置は当然、空間内であらゆる方向を取ることができ、且つ並び合う配置も保護の範囲を離れないからである。両方の基材は典型的にはその広がりのより大きな側で互いに接して隣接して配置される。
【0011】
例えば、両方の基材はディスク形状もしくは平坦に構成されており、従ってそれぞれ少なくも1つのより大きな平坦面を有し、それは好ましくはそれぞれ他の基材の方向に揃えられている。
【0012】
前記気密結合された構造体はさらに、第1の金属基材を第2の基材と、接触面上で、または接触面内で直接的且つ無媒介で接合するための少なくとも1つのレーザー接合線または複数の連結点を含む。レーザー接合線もしくは複数の連結点は、一方では第1の基材内に及び、且つ他方では第2の基材内に及び、且つ少なくとも2つの基材を直接的に溶融により互いに接合する。換言すれば、両方の基材はレーザー接合線において互いに接合される。
【0013】
接触面上で、それぞれの基材は平坦に構成されている。その際、絶対的に平坦な表面は理論上でのみ達成可能であり、なぜなら、観察のスケールによって、研磨された表面の場合でも凹み、高まり、または曲がり、または全てが一緒に見つけられ得るからである。従って、全面的な相接接触を実現することは困難である。むしろ基材は、非常に小さな程度でも、反り、傾き、曲がっている場合、凹みまたは高まりを備える。
【0014】
例えば、相接接触面は、第1の基材が第2の基材に対して1μm以下、好ましくは0.5μm以下、およびさらに好ましくは0.2μm以下の平均間隔を有する場合に定義され得る。
【0015】
その際、本発明の範囲において、第1の基材と第2の基材との間の間隔がより小さい場合に有利であることが判明した。従って、第1の基材の接触面上の表面、および/または第2の基材の接触面上の表面を、基材を互いに接して配置する前に研磨し、基材の平均間隔を相互にさらに減少させる場合が有利である。第1の金属基材の場合、金属基材の平均表面上での絶対的な隆起が0.5μmを上回らない場合が有利であることができる。
【0016】
これは意外であり、なぜなら金属基材の研磨された表面は基本的にレーザー接合法のためには不利であり、なぜなら研磨された表面では反射量の増加が生じ、従って接合プロセスのための正確な位置決めおよび出力堆積が困難になるか、もしくは接合プロセスが実施され得ないことがあるからである。それにもかかわらず、特に第1の金属基材の研磨された接触面で、互いに強く付着した良好な結合構造体を実現できた。
【0017】
レーザー接合線もしくは複数の連結点において、第2の基材の材料と第1の基材の材料とが混ざり合う混合区域がある。
【0018】
混合区域において、第1の基材の金属材料が第2の基材中に入ることができる。混合区域において、第2の基材の材料も第1の金属基材中に入ることもできる。特に好ましくは、混合区域において、第1の基材の金属材料が第2の基材に入り且つ第2の基材の材料も前記金属基材に入る。
【0019】
混合区域は、接触面に垂直な方向で測定した厚さを有することができ、前記混合区域の厚さは好ましくは少なくとも1μm、さらに好ましくは2μm以上、さらに好ましくは5μm以上の厚さを有し得る。
【0020】
混合区域は好ましくは1μm以上第2の基材内に及んでいる。好ましくは混合区域は5μm、第2の基材内に及んでいる。さらに好ましくは、混合区域は第2の基材内に、再凝固区域と同じ程度に及び、混合区域が再凝固区域と重なっている。例えば、混合区域は第1の基材とほぼ同様の広がりで第2の基材中に及ぶ。これは一見意外であり、なぜなら、例えば金属とガラスとの結合体の場合、第1の基材のCTEはガラスのCTEよりも3~10倍高いからである。金属の熱容量および熱伝導率も、典型的には第2の基材の熱容量および熱伝導率よりも著しく高い。しかし、混合区域が第2の基材中とほぼ同様の広がりで第1の基材中に及び、ひいては接合された結合を改善するように、混合区域をレーザー接合線もしくは連結点に有利に設定することが可能であることが示された。
【0021】
混合区域は幅を有し、混合区域の幅は好ましくは第2の基材の混合区域の厚さよりも大きい。混合区域の幅は混合区域の厚さよりも50%以上大きく、さらに好ましくは混合区域の厚さよりも100%以上大きくてもよい。
【0022】
その際、その幅は例えば第1の基材と第2の基材との間の接触面で、且つ前記接触面に対して平行且つレーザー接合線に対して垂直な方向に測定され得る。
【0023】
少なくとも1つのレーザー接合線もしくは複数の連結点はさらに、再凝固区域を含むことができ、前記再凝固区域は接触面に垂直な方向で測定される厚さを有する。再凝固区域の厚さは、好ましくは20μm以下、好ましくは10μm以下、およびさらに好ましくは5μm以下であることができる。
【0024】
再凝固区域は、第2の基材の深さ20μm以下、好ましくは10μm以下、なおもさらに好ましくは5μm以下に及ぶこともできる。
【0025】
少なくとも1つのレーザー接合線もしくは複数の連結点の再凝固区域は、レーザー接合線に沿って延在するか、もしくはそれぞれの連結点に配置され得る。再凝固区域は、第1の基材と第2の基材との間の接触面で、且つ前記接触面に対して平行な方向に幅10μm、例えば±5μmを有し得る。好ましくはこれは幅20μm±10μm、さらに好ましくは30μm±10μmであることができる。
【0026】
再凝固区域は接触面に対して平行且つレーザー接合線に対して垂直な方向に、再凝固区域の厚さよりも大きい幅も有し得る。
【0027】
再凝固区域は特に有利にはできるだけ小さく、つまり、接合レーザーでの照射パラメータは再凝固区域ができるだけ小さくなるように選び出され得る。再凝固区域は接合プロセスについては有用性がなく、なぜならそこでは、第1の基材と第2の基材との間のかみ合わせまたは付着が生じるように材料が混合されていないからである。従って、再凝固区域は付着の目的を改善することなくレーザーのエネルギーを吸収する。同時に、再凝固区域においては、その冷却の際にクラックおよび/または孔もしくは空洞が発生し、それは場合により、それぞれの基材の材料が加熱に際して膨張し、それによって張力が生じ、冷却の際に再度収縮することによって説明され得る。
【0028】
従って、混合区域はできるだけ大きく設定されるのに対し、再凝固区域はできるだけ小さく設定される。好ましくは、混合区域は再凝固された高さの少なくとも1/5の高さ、さらに好ましくは再凝固区域の1/2の高さを有し、さらに好ましくは、混合区域は再凝固区域と同じだけ高い。その際、例えば、混合区域の高さ5μmで、混合区域の高さが再凝固区域の高さの1/5である場合、混合区域上の再凝固区域の高さは25μmである。混合区域の高さが10μmであり、且つその上で第2の基材の再凝固区域の高さも10μmである場合、再凝固区域の高さは混合区域の高さに相応する。混合区域は再凝固区域よりも大きな厚さ、例えば再凝固区域よりも1.5倍以上厚く、例えば5倍厚い厚さを有することもできる。
【0029】
また、第1の金属基材は、混合区域の下側に典型的には再凝固区域を有する。第2の基材の場合のように、第1の基材の再凝固区域の大きさが接合プロセスにとって不利になることは今までのところ確認できていない。反対に、第2の基材の材料が第1の基材の再凝固区域中まで侵入でき、そこでデンドライト形成が引き起こされ得ることが示されることができ、つまり、第2の基材の第1の基材上でのアンカーのような結合が1つ以上のデンドライトを介してもたらされることができ、前記デンドライトは第1の基材の再凝固区域まで達し得る。
【0030】
混合区域において、第1の基材の材料および第2の基材の材料は、第1の基材の材料と第2の基材の材料との間で形状結合のかみ合わせが引き起こされるように配置され得る。気密結合された構造体は、第1の金属基材と第2の基材との間で互いに融合するかみ合わせ構造を含み得る。互いに融合するかみ合わせ構造において、それぞれ他の基材の材料の被さり、陥入、または後方の把持が存在でき、そのことによって、気密結合された構造体の付着が著しく強化される。そのような互いに融合するかみ合わせ構造は、両方の基材間で形状結合をもたらし、そのことは、場合により異なる材料間の材料結合が小さな付着力または小さな材料結合性しか提供できない場合に殊に有利である。第1の基材と第2の基材との間のかみ合わせ構造は、微視的なジッパーのように機能する。
【0031】
混合区域において、金属基材の金属材料はドロップレットおよび/またはデンドライトの形態で存在することができ、ドロップレットおよび/またはデンドライトとしての配置は、第1の基材と第2の基材との間の結合の強化をもたらす。
【0032】
再凝固区域の少なくとも1つに、金属基材の金属材料および/または第2の基材の材料が、殊にドロップレット、アブレーション(Abschmelzung)および/またはデンドライトの形態で侵入でき、且つ第1の基材と第2の基材との間の結合の強化をもたらすことにも注目すべきである。換言すれば、金属基材の金属材料および/または第2の基材の材料がそれぞれ他の基材に所属する再凝固区域に侵入するように接合プロセスが調節されるように、接合相手、つまり第1の基材の材料および/または第2の基材の材料が選択され、且つ/またはビーム生成器が調節され且つ/または準備される。
【0033】
例えば、第1の基材および/または第2の基材の材料は、レーザー接合線の導入を通じて、または導入後にアモルファスの領域または区域を有し得る。そのようなアモルファス領域、つまり例えばアモルファスの金属材料は、かみ合わせをさらに改善できる。
【0034】
第1の基材の接触面は、少なくとも1つの相接接触領域を有することができ、そこで第1の基材は第2の基材と面状に相接接触している。相接接触面は殊に、第1の基材と第2の基材との間の平均間隔1μm以下、好ましくは0.5μm以下、およびさらに好ましくは0.2μm以下を有し得る。その際、技術的な理由または他の理由から、例えば、わずかなガス包含物または不純物、例えば基材層の間のダスト粒子または研磨プロセスからの起伏が避けられないことがある。これは、基材層の間または基材層の表面での微小領域においても生じ得る起伏からももたらされ得る。相接接触面は、両方の基材の間で全面的な接触が作られ得る場合には、接触面に相応し得る。
【0035】
レーザー接合線は、第1の基材を第2の基材と、保持力を加えることでのみ両方の基材が互いから分離され得るように互いに結合することができる。保持力が第2の基材を破壊するために必要な力よりも大きい場合、両方の基材の間の接合は、両方の基材の互いからの分離が第2の基材が破壊されることでのみ達成され得るような強さで達成されることもできる。第2の基材の第1の基材に対する付着力は例えば10N/mm2を上回り、好ましくは25N/mm2を上回り、さらに好ましくは50N/mm2を上回り、なおもさらに好ましくは75N/mm2を上回り、且つ最終的に最も好ましくは100N/mm2を上回ることができる。
【0036】
第1の基材は、接触側が平坦に形成されている、つまり殊に面状であることを特徴とすることができる。第1の基材の接触側は研磨されていることができる。
【0037】
その際、第1の基材の接触側は0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下、なおもさらに好ましくは50nm以下、および最終的に好ましくは20nm以下の平均粗さ値Raを有し得る。
【0038】
第2の基材は、接触側で平坦に、殊に面状に構成され、さらに殊に平均粗さ値Ra0.5μm以下を有することを特徴とすることができる。
【0039】
レーザー接合線は接合レーザーを用いて導入される。例えば、接合レーザーは、それが赤外線レーザーである場合、好ましくは波長1030nmを有する。例えば、50ps以下、好ましくは20ps以下、さらに好ましくは10ps以下、またはさらに好ましくは1ps以下の範囲のパルス長を有する超短パルスレーザーを用いることができる。
【0040】
接合レーザーはビームの焦点を有する。ビームの焦点はビームウェスト幅2w0を有し得る。さらに、接合レーザーは接合プロセスのためにビーム幅2Wレーザーを有し、それはビームウェスト幅2w0以上であることができる。レーザー接合線を入れるための焦点面は、接合面に対して遠位にシフトされ得る。レーザー接合線を入れるための焦点面が遠位にシフトされる場合、ビーム幅2Wレーザーは殊に、ビームウェスト幅2w0よりも大きい。殊に、レーザー接合線を導入する際、焦点面は第1の基材内に存在する。焦点面は第1の基材中に遠位に、好ましくは10μm±10μm、さらに好ましくは20μm±10μmシフトされている。
【0041】
ビーム幅2Wレーザーは、接合面上で好ましくは4μm±1μm、さらに好ましくは4μm±2μm、さらに好ましくは4μm±3μmである。これは例えば、レーザー接合線導入の際に焦点面が第1の基材に存在する場合、つまり例えば10μm±10μmまたは20μm±10μm遠位に第1の基材中にシフトしされている場合に達成され得る。代替的または重畳的に、書き込み対物レンズの前で例えば絞りまたはテレスコープを通じてレーザービームを広げるかまたは狭めて、ビーム幅2Wレーザーを所望の幅に調節することができる。
【0042】
第1の基材は好ましくは完全に金属材料からなる。その際、第1の基材は周期律表の定義の意味における金属を含む。
【0043】
第1の基材はモリブデン、タングステン、ケイ素、白金、銀または金からの少なくとも1つを含むか、またはそれらからなることができる。第1の基材は合金も含み得る。
【0044】
殊に、第1の基材は炭素、銅、マンガン、クロム、マグネシウム、コバルト、ニッケル、スズ、亜鉛、ニオブ、パラジウム、レニウム、インジウム、タンタル、チタン、またはイリジウムからの少なくとも1つを含むか、またはそれらからなることができる。
【0045】
第2の基材は好ましくは透明基材である。第2の基材はガラス、ガラスセラミック、ケイ素、サファイアまたは上記の材料の組み合わせを含むか、またはそれらからなることができる。第2の基材はセラミック材料、殊に酸化物セラミック材料を含むか、またはそれらからなることもできる。
【0046】
第2の基材は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、ガラスセラミック、例えばZerodur、CeranまたはRobax、オプトセラミック、例えば酸化アルミニウム、スピネル、パイロクロアまたはアルミニウムオキシ亜硝酸塩、フッ化カルシウム結晶またはカルコゲナイドガラスからの少なくとも1つを含むか、またはそれらからなることができる。
【0047】
さらなる構成または代替的な態様において、気密結合された構造体は、第1の金属基材と、少なくとも領域的および/または少なくとも部分的に少なくとも1つの波長範囲に対して透明に形成されている第2の基材とを含み得る。その際、第1の基材は接触面で、第2の基材の接触面に隣接して配置されている。気密結合された構造体はさらに、第1の基材と第2の基材との間の間隔を確保するための少なくとも1つのスペーサーを含む。
【0048】
前記スペーサーは、第1の金属基材と第2の基材との間に入れられまたは含まれ得る。例えば、第1の基材はその際、前記スペーサーを介して第2の基材と接触できる。換言すれば、前記スペーサーは例えば領域的に接触面の1つの上に配置されて、それぞれの他の基材はスペーサーと接触もしくは相接接触できるが、スペーサーの外側での第1の基材の接触面と第2の基材の接触面との間には、例えばスペーサーの厚さのサイズの間隔が残る。
【0049】
従って、第1の基材はスペーサーを介して第2の基材と接触または相接接触できる。従って、前記スペーサーは、第1の金属基材と第2の基材との間に配置され得る。
【0050】
前記スペーサーは金属材料からなることができる。例えば、前記スペーサーはコーティングとして、第1の基材または第2の基材上に形成され得る。前記スペーサーは第1の基材と一体化して形成されることもできる。
【0051】
前記スペーサーは第1の基材および/または第2の基材の表面と一体化して形成されることができ、つまり、そこで例えば凹部または高まりが形成され得る。例えば、前記スペーサーは、第1の基材もしくは第2の基材の接触面の領域が研磨されず、従ってそこに高まりが残っている場合、研磨の際に作られることができる。特に、第2の基材として、例えば殊に時計ガラスとしての、典型的にはサファイアガラスの煩雑な研磨が既に行われているサファイアの場合、研磨段階においてサファイアガラスの追加的もしくは改めての研磨が行われ得るので、その製造の際に追加的な作業段階は必要とされない。
【0052】
前記スペーサーは、例えばアルミニウム製の薄い箔として製造されることができ、それが第1の基材または第2の基材に付着され得る。前記スペーサーはスパッタされ得る。前記スペーサーは直接的に堆積されたリソガラス層を含み得る。前記スペーサーは例えばインクジェット印刷法において第1の基材または第2の基材上に印刷されることもできる。前記スペーサーは3D印刷を用いてもたらされることもできる。
【0053】
前記スペーサーは少なくともレーザー接合線に沿って、または連結点の領域に延在し得る。前記スペーサーはレーザー接合線外、もしくは連結点の領域外に延在し得る。前記スペーサーを全面的に形成することもできる。
【0054】
1つの例において、前記スペーサーは、第1の金属基材がその接触面で研磨されているが、全面的に平坦に研磨されているのではなく、例えばウェブ状のスペーサーが第1の基材の接触面に残ることによって形成される。従って、このスペーサーは第1の基材の接触面からの隆起として、第1の基材と一体化して形成される。前記スペーサーは好ましくは、(単数または複数の)レーザー接合線が導入されるところで配置され得る。これは、(単数または複数の)レーザー接合線の領域で基材間に残る間隔をさらに低減し、且つ/または両方の基材の互いの接合結果もしくは付着を改善できる。
【0055】
前記スペーサーは少なくとも5μmの厚さ、さらに好ましくは少なくとも10μmの厚さ、およびなおもさらに好ましくは少なくとも20μmの厚さを有し得る。これは、前記スペーサーがレーザー接合線の領域で用いられる場合に特に興味深い。
【0056】
前記スペーサーが、設置されるべきレーザー接合線の領域内で用いられるのではなく、例えばそれに隣接して用いられる場合、前記スペーサーが5μmの厚さを上回らない場合が有利である。例えば、前記スペーサーは好ましくは1μmを上回る、好ましくは2~3μm以上の厚さを有し得る。
【0057】
本発明の範囲において、第1の金属基材、少なくとも領域的および/または少なくとも部分的に少なくとも1つの波長範囲に対して透明に形成されている第2の基材、ここで、前記第1の基材は接触面で、前記第2の基材の接触面に隣接して配置されている、並びにレーザー接合線または連結点からの溶融材料を受け容れるための少なくとも1つの回避区域を含み、前記レーザー接合線または複数の連結点は、前記第1の金属基材を前記第2の基材と直接的且つ無媒介で溶融接合するために用いられる、気密結合された構造体も示される。
【0058】
その際、前記少なくとも1つの回避区域は、好ましくはレーザー接合線または複数の連結点に隣接して配置される。換言すれば、前記回避区域は、殊にレーザー接合線生成の瞬間に、溶融材料が前記回避区域中に逃れられるように配置される。例えば、前記回避区域は、レーザー接合線の周りに、且つレーザー接合線と連通して配置されて、レーザー接合線において溶融加熱される材料がわずかに前記回避区域中に逃れることができる。その際、溶融材料は、回避プロセスに際して圧力勾配に従うことができる。
【0059】
例えば、第1の基材および/または第2の基材のレーザー接合線を導入する際、膨張、例えば熱膨張を示すことがある。レーザーは材料を局所的に加熱するだけ、つまり、レーザー接合線の周りの材料は固体状態のままで残るので、場合により巨大な応力がレーザー接合線の材料とレーザー接合線を取り囲む材料との間に発生することがあり、それが場合によりクラック、例えば応力クラックまたは空洞を発生させる。回避区域が利用可能であると、溶融材料を前記回避区域中に逃して、クラックまたは空洞の発生を回避できる。
【0060】
前記少なくとも1つの回避区域または緩衝区域または緩和区域は、さらに好ましくは第1の基材と第2の基材との間、例えばそこで接触面上に配置される。
【0061】
例えば、前記少なくとも1つの回避区域は、例えば両方の基材の1つまたは両方の基材が接触面の範囲で、もしくはそれぞれ他の基材に向いた側で平坦な表面を有さない場合、第2の基材を第1の基材上に接触面で配置する際に形成されることができる。
【0062】
特に好ましくは、前記回避区域は、第2の基材が第1の基材上に配置される場合、両方の接触面が互いに対して定義された間隔で互いに存在するようにするスペーサーが含まれていることによって形成される。その際、スペーサーの存在しない領域で第1の基材と第2の基材との間に形成される空洞は、これが回避領域として、レーザー接合の際に回避される材料のために利用され得るように予め作り上げられるかまたは配置され得る。これによって、生じるレーザー接合線は応力が少なく、且つそのことによって場合により、より強いもしくはより高い付着力が提供され、同時にそこから第2の基材に応力がかからないようにすることができ、従って第2の基材における応力クラックもしくは空洞の形成が少なくなる。
【0063】
両方の基材の溶融材料が互いに混合する領域を混合区域と称し、且つそこに隣接するレーザー接合線の領域を再凝固区域と称する場合、特に再凝固区域は、レーザー接合線を入れることによってそこでクラックもしくは空洞が発生し得る点で問題である。これは、第2の基材が例えば単結晶、例えばサファイアであり、そこでレーザー接合線の導入による損傷が、カバーして移動される後続のレーザー接合線を後に導入することによって修復され得ない場合、特に不利である。従って、本願のアイデア、殊に回避区域および/またはスペーサーによって、再凝固区域をできるだけ小さく保つと共に、混合区域ができるだけ大きく、もしくはできるだけ遠く両方の基材内に突出させることが可能である。理想的な場合、混合区域は再凝固区域と同様の大きさであり、従って混合区域は再凝固区域と完全に重なっており、再凝固区域はそれ自体として認識され得ない。その際、両方の基材の互いの付着は特に良好であると共に、クラックもしくは空洞の発生は最小化される。
【0064】
気密結合された構造体は、
・ 第1の金属基材、
・ 少なくとも領域的および/または少なくとも部分的に少なくとも1つの波長範囲に対して透明に形成されている第2の基材、
ここで、前記第1の基材は接触面で、前記第2の基材の接触面に隣接して配置されている、
・ 前記第1の金属基材を前記第2の基材と、前記接触面上または前記接触面内で直接的且つ無媒介で接合するための第1のレーザー接合線または第1の連結点の集合、
ここで、前記第1のレーザー接合線もしくは第1の連結点の集合は一方では前記第1の基材内に及び、且つ他方では前記第2の基材内に及び、且つ少なくとも2つの基材を直接的に溶融により互いに接合する、および
・ 前記第1の金属基材を前記第2の基材と、前記接触面上または前記接触面内で直接的且つ無媒介で接合するための第2のレーザー接合線または第2の連結点の集合、
ここで、前記第2のレーザー接合線もしくは第2の連結点の集合は、前記第1のレーザー接合線もしくは前記第1の連結点の集合内に及んでおり且つ前記第1のレーザー接合線もしくは前記第1の連結点の集合によって達成される材料の混合が変えられるか、もしくは改善される、
を含む。
【0065】
そのような第2のレーザー接合線は、同じレーザーを再度、以前の、またはそれに類似する接合位置上に設定し、つまり新たなレーザー焦点が、既に設定されたかもしくは既に当てられた焦点と重なることによって達成され得る。第2のレーザー接合線を、殊にまだ暖かいかもしくは熱い第1のレーザー接合線に導入することは、レーザー発生器で二重焦点を用いることによって行うこともできる。例えば、このためにビームスプリッタまたは回折格子を用いてもよいし、2つのレーザー発生器を用いてもよい。その際、第2のレーザー接合線は、第1の基材および第2の基材の、まだ暖かい、殊にまだ溶融している材料に導入される。
【0066】
そのような効果、つまり、まだ暖かいか、もしくはまだ溶融すらしている材料へのレーザーエネルギーの導入は、例えばレーザー発生器がバースト機能を備え、且つそのようにして多数のレーザー点を重複して且つ短い時系列で前記構造体に導入され得る場合に達成されることもできる。換言すれば、第1のレーザー接合線の1つの焦点で、定義された時間間隔および/または定義された空間的間隔で、さらなる焦点が当てられるか、もしくはもしくは第2のレーザー接合線が導入される。
【0067】
本発明の範囲において、既に上記で詳述したとおり、殊に気密結合された構造体を有する、気密封止されたハウジングも示される。前記気密封止されたハウジングは、第1の金属基材、少なくとも領域的および/または少なくとも部分的に少なくとも1つの波長範囲に対して透明に形成されている第2の基材を含み、前記第1の基材は接触面で、前記第2の基材の接触面に隣接して配置されている。
【0068】
さらに、前記ハウジングは、前記第1の基材と第2の基材との間に配置された少なくとも1つの機能領域、殊に中空部を含む。前記ハウジングはさらに、前記第1の基材を前記第2の基材と、前記接触面上または前記接触面内で直接的且つ無媒介で接合するための少なくとも1つのレーザー接合線または複数の連結点を、殊に前記機能領域の周りに含んで、前記機能領域を気密性に密閉する。その際、レーザー接合線もしくは複数の連結点は、一方では第1の基材内に及び、且つ他方では第2の基材内に及び、且つ少なくとも2つの基材は、前記レーザー接合線もしくは前記複数の連結点によって直接的に溶融により互いに接合される。
【0069】
気密封止されたハウジングにおいて、ハウジングのレーザー接合線は前記機能領域の周りで完全に閉じて構成され得る。さらに、または代替的に、レーザー接合線における第1の基材の第2の基材からの間隔は、一貫して0.75μm未満、好ましくは0.5μm未満、およびさらに好ましくは0.2μm未満であることができる。
【0070】
ハウジングの機能領域は、収納物体、例えば電子回路、センサまたはMEMSを受け容れるための気密封止された収納中空部を有し得る。
【0071】
前記気密結合された構造体または気密封止されたハウジングはさらに、第1の金属基材上で、少なくとも、第2の基材に向く側の上でレーザー接合線または複数の連結点の領域において、第1の被覆またはコーティングを有し得る。レーザー接合線または複数の連結点は殊に、第1の金属基材を第2の基材と直接的且つ無媒介で接合するために備えられる。その際、第1の金属基材上の第1の被覆またはコーティングは好ましくは、少なくとも2つの基材を直接的に接合することによって少なくとも2つの基材を互いに気密性に結合する前に施与され得る。
【0072】
気密結合された構造体もしくは気密封止されたハウジングの場合、さらに、混合区域において、および/または第1の基材の少なくとも表面近傍領域において、第1の基材の材料と第1の被覆またはコーティングの材料とが混合され得る。
【0073】
気密結合された構造体もしくは気密封止されたハウジングの場合、さらに、殊に混合区域における組織のモフォロジーが第1の被覆またはコーティングの材料によって変えられ得る。混合区域においては、少なくとも領域的に、少なくとも、第1の金属基材および第1の被覆またはコーティングの材料を含む合金が形成され得る。
【0074】
上記で説明した合金は好ましくは共晶を形成し得る。
【0075】
気密結合された構造体もしくは気密封止されたハウジングの第1の金属基材はさらに、鉄、鋼、または鉄含有合金を含むか、またはこれからなることができる。前記第1の被覆またはコーティングはさらに、炭素を含むか、または炭素からなることができる。
【0076】
気密結合された構造体または気密封止されたハウジングの場合、さらに、第1の被覆またはコーティングの混合材料によって、第1の基材と第2の基材との間の結合の強化をもたらすことができる。
【0077】
気密結合された構造体もしくは気密封止されたハウジングの場合、殊に少なくとも2つの基材を直接的に接合することによって少なくとも2つの基材を互いに気密性に結合する前に、第2の被覆またはコーティングが第2の基材上で、少なくとも、第1の基材に向く側の上で殊に第1の金属基材を第2の基材と直接的且つ無媒介で接合するためのレーザー接合線または複数の連結点の領域に配置され得る。
【0078】
上述のような第1の被覆またはコーティング、または第2の基材上の第2の被覆またはコーティングは、第2の基材の表面近傍領域において、第2の基材の表面に対して垂直に少なくとも深さDoLまで延在する、第2の基材内部の圧縮応力が形成され得る組成物を含むか、またはこれからなることができる。
【0079】
前記混合区域および/または少なくとも第2の基材の表面近傍領域において、第2の基材の材料と、第2の被覆またはコーティングの材料が混合されるか、または導入され得る。
【0080】
気密結合された構造体または気密封止されたハウジングの第2の基材は、さらに、圧縮応力領域Dsにおいて少なくとも表面近傍の圧縮応力が導入可能である材料を含むか、またはこれからなることができ、且つ第1の被覆またはコーティングは、殊にイオン交換によって圧縮応力を第2の基材の材料に導入可能である材料を含むか、またはこれからなることができる。
【0081】
その際、第2の基材はガラス、殊にソーダライムガラスまたはホウケイ酸ガラスを含むか、またはこれからなることができる。さらに、第2の被覆またはコーティングの材料は、交換可能なイオンを放出するために適した化合物、殊にカリウムおよび/またはリチウムの化合物、殊に硝酸カリウムおよび/または硝酸リチウムを含み得る。
【0082】
第2の被覆またはコーティングの混合または導入された材料によって、第1の基材と第2の基材との間の結合の強化をもたらすことができる。
【0083】
本発明の範囲には、少なくとも2つの部材からの気密封止された結合体の製造方法であって、少なくとも1つの第1の金属基材を第2の基材上に面状に配置する段階を有し、その少なくとも2つの基材は互いに接してまたは重なり合って配置され、その少なくとも2つの基材の間に接触面が形成されて、その接触面で前記第1の基材が前記第2の基材と接触しており、前記第2の基材が透明な材料を含む、前記方法もある。前記方法は、少なくとも1つの接触面の領域において少なくとも2つの基材を互いに直接的に接合することによって前記少なくとも2つの基材を互いに気密性に結合して混合区域を形成することをさらに含み、前記混合区域は一方では第1の基材内に及び且つ他方では第2の基材内に及び、且つ前記少なくとも2つの基材が直接的に溶融により互いに接合する。
【0084】
この方法の場合、第1の被覆またはコーティングを第1の基材上に配置することは、少なくとも1つの第1の金属基材を第2の基材上に面状に配置する前に行われることができ、
第2の被覆またはコーティングを第2の基材上に配置することも、有利には、少なくとも1つの第1の金属基材を第2の基材上に面状に配置する前に可能であり、
これに際し、第1の被覆またはコーティング並びに第2の被覆またはコーティングの名称は、2つの被覆またはコーティングに限定して制限されない。本開示の範囲において、それぞれの実施態様は第1の被覆またはコーティングまたは第2の被覆またはコーティングのいずかのみを含むこともできる。
【0085】
接触面は、接触されるべき両方の基材の近付けられた平面からの面として理解され得る。相接接触面は接触面の部分面を意味し、そこでは両方の基材の相互の間隔が光学的にもはや測定可能ではないほど小さい。最後に、本発明の意味において、以下で詳述されるとおり良好面が定義され、そこでは基材の相互の間隔が充分に小さいかまたは両方の基材の間の実際の接触が起きる。その際、一般に接触面は前記良好面以上に大きく、且つ前記良好面は相接接触面以上に大きい。第1の基材も第2の基材もそれぞれ少なくとも1つの接触面を有し得る。前記接触面は、第1の基材と第2の基材との間の接触が起きる面としても理解することができる。
【0086】
換言すれば、少なくとも2つの基材が互いに接して配置されており、つまり例えば重なり合って積層されており、ここで、重力が、上にある典型的には第1の基材を第2の基材に押し付ける。その際、上方もしくは下方の方向は単なる説明的な意味であり、なぜなら、基材は当然、空間内であらゆる方向を取ることができ、且つ並び合う配置も保護の範囲を離れるべきではないからである。両方の基材は典型的にはその広がりのより大きな側で互いに隣接して配置される。
【0087】
両方の基材が絶対的に平坦に形成されており、つまり、一般に凹み、高まり、または曲がりを有さない場合、これはこの絶対性において理論的にのみ達成可能であり、第1の基材および第2の基材は相互に全面的に相接接触する。従って、両方の基材は相互に合わせられた表面の全ての点で相接する。これは一般に且つ構造的な現実性において達成可能ではない。むしろ基材は、非常に小さな程度であるが、やはり反り、傾き、曲がっている場合、凹みまたは高まりを備えるので、完全な相接接触は絶対的な例外の場合においてのみ一般に達成される。その際、基材が相接するかもしくは基材間の間隔が所定の程度よりも小さいところ(例えば以下で説明されるとおり「良好面」として定義される)で相接接触面が構成される。
【0088】
基材が直接的に互いに接して、または重なり合って配置される場合、それは、少なくとも2つの基材が、面状に互いに接するように、殊に少なくとも2つの基材間に他の材料または層が存在または挿入されずに互いに接して配置されるか、もしくは取り付けられることを意味する。技術的な理由から、わずかなガス包含物または不純物、例えば基材層の間のダスト粒子が避けられないことがある。これは、基材層の間または基材層の表面での微小領域において生じ得る起伏からももたらされ得る。レーザーで生成される接合領域もしくはレーザー接合線が好ましく例えば4~25μmの高さを備える場合、レーザー結合線によって気密性のシールを確実にすることができ、なぜなら、両方の基材間に生じる可能性のある間隔が橋渡しされ得るからである。
【0089】
単数または複数のレーザー接合線の1つは、機能領域を間隔DFで周回して取り囲むことができる。機能領域の周りを周回する間隔DFは一定であることができるので、レーザー結合線は全ての側でほぼ同じ間隔で機能領域の周りに配置される。間隔DFは用途に応じて変化することもあり、そのことは、例えば複数のハウジングが共通の作業段階で接合される場合、または機能領域が円形または任意の形状を有し且つレーザー結合線が直線で引かれる場合、場合によっては製造技術的に有利であることができる。中空部が光学特性を有する、例えばレンズ、例えば集束レンズの形態に成形される場合も、レーザー結合線はその中空部の周りに形成され、且つ場合により中空部に対して異なる間隔を有し得る。ハウジングは複数の中空部を含むこともできる。
【0090】
前記方法はさらに、少なくとも2つの基材の気密結合体を、その少なくとも2つの基材の間の間隔のプロファイルを特定することによって検査する段階を含み得る。それは、結合体の機械的強度もしくは気密性を検査するために、第1の結合品質指数Q1を特定する段階も含み得る。
【0091】
第1の結合品質指数Q1は、Q1=1-(A-G)/Aで特定され得る。ここで、Aは接触面の面積を表し、並びにGは良好面を表す。前記良好面Gは殊に相接接触面に相応し、前記良好面Gは、基材間の間隔が5μm未満、好ましくは1μm未満、およびさらに好ましくは0.5μm未満、最も好ましくは最終的に0.2μm未満である、接触面の部分を記述し得る。結合品質指数Q1は、0.8以上、好ましくは0.9以上、およびさらに好ましくは0.95以上であることができる。
【0092】
接触面は有用領域Nを有することができ、且つ第1の結合品質指数Q1を計算するために前記有用領域が用いられ得る。その際、Q1はQ1=1-(N-G)/Nで特定される。
【0093】
このために、前記方法の範囲では、基材積層体の少なくとも1つの接触面で入射ビームで基材積層体を照射することによる反射ビームを検出することができる。換言すれば、基材積層体が照射もしくは照らされて、基材表面上で入射ビームからの反射が生じる。これに際し、反射ビームは反射された入射ビームであることができ、それは特定の割合で表面で反射され得る。第1の基材が金属である2つの基材の場合、このために、そのような反射が既に生じ得る3つの表面を考慮できる。これらは、第1の金属基材の上側、第2の、殊に透明基材の内側、並びに第2の基材の外側である。
【0094】
換言すれば、第1の基材は、周囲のほうに向いており且つ本質的に面状もしくは平坦に構成されている外側または外平面を有する。外平面で隣接し且つ典型的には前記外平面に対して直角に向いて、例えば外平面の縁部を囲んで、周囲の狭い側が作り上げられている。1つの例において、第1の基材はプレートまたは長方体として記述されることができ、2つの大面積の側(つまり、外側および内側)、並びにその大面積の側の間に配置され、殊に両方の大面積の側に垂直であり且つ大面積の側に隣接する4つのより小さい側を有する。その際、前記4つのより小さい側は一緒になって周囲の狭い側を形成し、且つ上側が第1の基材の外平面を形成する。その際、上側は、典型的には周囲の狭い側を合わせたより小さい側よりも大きな表面を有する。大きさおよび大きさの比についてのこの態様は、第2の基材にも類似して該当し得る。
【0095】
両方の基材が相接接触する領域では、両方の基材の内側で反射は生じないか、または顕著な反射は生じないので、この割合は比較的小さい。しかしながら、両方の基材が離れて、つまり両方の基材間に間隔が存在し、つまり両方の基材がこの部分領域において相接接触していない場合、入射ビームは第2の基材の3つ全ての表面でそれぞれ特定の割合で反射される。より多くの基材、例えば3つの基材の場合、相応してより多くの表面を考慮すべきことがある。
【0096】
基材積層体から測定装置もしくは観察装置へと当たる反射ビームから、基材積層体の接触面の第1の結合品質指数Q1が算出される。
【0097】
例えば、第1の結合品質指数Q1は第1の基材と第2の基材との互いの接合前に特定される。
【0098】
さらに、前記方法において気密性に接合された結合体の接触面の第2の結合品質指数Q2を特定する段階が含まれることができ、ここで殊にQ2はQ1よりも大きい。さらに殊にQ2/Q1は1.001より大きい。
【0099】
反射ビームは好ましくはパターン、殊に干渉パターンを生成し、さらに殊に、このパターンは、入射ビームと、ハウジングの少なくとも1つの接触面での後方散乱との重ね合わせから生成される。その際、干渉パターンが識別または検出され、そこから両方の基材の間の間隔が計算または導出され得るように、測定装置もしくは観察装置を構成することが可能である。
【0100】
反射ビームからのパターンは、パターンが1つ以上の欠陥位置の周りに延在する配置を有し得る。換言すれば、前記パターンは特に、少なくとも2つの基材が相接接触していない位置の周りに配置され得る。その際、測定装置もしくは観察装置を用いて、少なくとも2つの基材が相接接触していない位置を突き止めることが特に容易である。その際、欠陥位置は、この欠陥位置での基材間の間隔が5μmを上回り、好ましくは2μmを上回り、且つさらに好ましくは1μmを上回り、0.5μmを上回り、またはなおも好ましくは0.2μmを上回ることを特徴とし得る。換言すれば、欠陥位置は特に好ましくは、特に良好面Gの基準が満たされないところに存在する。この場合、少なくとも2つの基材の間の接触面は、良好面Gと欠陥位置Fとに完全に区分され得る。
【0101】
相応の領域の割り当てを、例えばニュートンリングの形態の干渉パターンを用いて同定することができる。例えばλ=500nmを有する可視光の範囲の入射ビームが用いられる場合、それぞれのニュートンリングはλ/2=250nmの高低差を示す。例えば3つのニュートンリングの発生が、良好領域が存在するかどうかを確認するための境界基準として設定される場合、ハウジングからの反射ビームの光学画像分析において基材間の間隔が3×λ/2=750nm以下である領域を良好領域として定義できる。
【0102】
前記方法はさらに、レーザー接合プロセスの準備のために、レーザーを用いて混合区域においてプラズマ放電を起こす段階を含み得る。
【0103】
本発明の範囲には、先述の方法で製造されたハウジングも含まれる。
【0104】
本発明による結合された構造体、もしくは本発明による封止されたハウジングは、生体材料、殊に植物、人間または動物の細胞と接触もしくは相接接触して用いられるように用いられ得る。例えば、ハウジングは生体材料と合体し得る。気密結合された構造体は有利にも、毒性および/またはアレルギーを引き起こす物質を含まないように作り上げられ得るので、これらを放出することもない。従って、気密結合された構造体もしくはハウジングは好ましくは、これが生体材料に悪い影響を及ぼさないように準備され且つ作り上げられる。有利には、本発明による構造体は、人間または動物の身体もしくは植物材料と接触する場合、例えばこれらに導入および/またはこれらに施与される場合、低減されたアレルギーの可能性を有する。
【0105】
本発明による構造体は、医療用埋込物として、殊に医療用体内センサとして、および/または稼働状態で人間または動物の身体またはさらに植物材料の上もしくは中に施与もしくは配置されるウェアラブル機器として、例示的な用途が見出される。典型的なウェアラブル機器は、フィットネストラッカーおよびスマートウォッチ、また、殊に身体の状態もしくは生理学的な(身体の)パラメータを測定もしくは監視できる電子機器である。もちろん、さらなる用途、例えば生理学的な(身体の)パラメータに影響し得るようなウェアラブル機器、または他の用途が可能であり、且つ同様に本発明に含まれる。
【0106】
以下で実施例を用いて且つ図面を参照しながら本発明をより詳細に説明し、ここで、同じおよび類似の要素は一部では同じ記号で示され、且つ異なる実施例の特徴を互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
図1図1は、気密結合体の第1の実施態様を示す。
図2図2は、ここでは機能領域を有するハウジングとして構成される気密結合体の上面図を示す。
図3図3は、中空部としての機能領域を有する気密結合体の側面の断面図を示す。
図4図4は、1つの実施態様における接合領域の詳細の側面の断面図を示す。
図4a図4aは、さらなる実施態様における接合領域の詳細の側面の断面図を示す。
図5図5は、さらなる接合領域の詳細の側面の断面図を示す。
図6図6は、接合領域を有する気密結合体の側面の断面図を示す。
図7図7は、スペーサーを有する基材積層体の側面の断面図を示す。
図8図8は、スペーサーを有する気密結合体の側面の断面図を示す。
図9図9は、接合された気密結合体のデジタル写真を示す。
図10図10は、複数のレーザースポットを有する気密結合体の側面の断面図を示す。
図11図11は、複数のレーザースポットおよびスペーサーを有する気密結合体の側面の断面図を示す。
図12図12は、レーザー接合を生成するためのレーザー配置を示す。
図13図13は、接合された基材積層体の顕微鏡写真を示す。
図14図14は、接合された基材積層体の顕微鏡写真を示す。
図15図15は、接合された基材積層体の顕微鏡写真を示す。
図16図16は、接合された基材積層体の顕微鏡写真を示す。
図17図17は、接合された基材積層体の顕微鏡写真を示す。
図18図18は、達成可能な気密性を評価するための試料の写真図を示す。
図19図19は、良質性係数を測定する模式的な説明を示す。
図20図20は、良質性係数の測定についてのフローチャートを示す。
図21図21は、良質性係数を特定する際の個々の段階についてのフローチャートを示す。
【実施例
【0108】
発明の詳細な説明
図1を参照して、第1の金属基材3が誘電体4の下に配置されている、本発明による気密結合体1の第1の実施態様が示される。誘電体4もしくは第2の基材4は、その内側11が第1の基材3の内側12上にあるように金属基材3上に載置される。従って、両方の基材3、4は互いに接触している。具体的な表面状態に応じて(例えば図6参照)、接触面はそれぞれの内側11、12全体を構成でき、且つ/または基材3、4は互いに面状に相接接触することができる。基材3、4は、部分的もしくは領域的にのみ相接接触することもできる。基材3、4が重なり合って積層される場合、例えばスペーサー35を用いて間隔が保たれない限り、重力によって両方の基材3、4の間で最小限の程度の相接接触が既に生じる(例えば図7参照)。
【0109】
図1の例において、両方の基材3、4を互いに接合するために、3つのレーザー接合線6a、6b、6cもしくは連結点6a、6b、6cが導入されている。接合点/接合線6a、6b、6cは、基材3、4の側に沿って設定され、ここでレーザー(図12参照)を用いて、(図面に対して)上方から接合点が打ち込まれる。その際、焦点面は内部面11、12の領域に設定される。有利には、焦点面は、それが既に金属基材3内にあり、例えば金属基材3内に10~20μm、つまり金属基材3の内部面12の下方に10~20μmシフトされている。これは、レーザービーム6a、6b、6cが接触面15上で好ましくは4μm±1μm、さらに好ましくは4μm±2μm、さらに好ましくは4μm±3μmの所望の幅を達成することをもたらすことができる。この幅は、対物レンズ前での相応のビーム成形によっても達成され得る。
【0110】
図1の場合に示されるように、両方の基材3、4がその内側11、12で無媒介で隣接して互いに接している場合、つまり殊に面状に相接接触している場合、図1に示されるように接触面15も両方の内側11、12と同じである。
【0111】
図1において、3つのレーザー接合線6a、6b、6cが既に示されており、それらは互いに絡み合い、従ってレーザー接合線6a、6b、6cは上下にも相互作用する。これに際し、目標設定に応じて様々な効果が誘発もしくは達成され得る。例えば、先行するレーザー接合線6aが既に冷却されている場合、レーザー接合線の設定は、暖かい最中に(warm-in-warm)行われるのではなく、連続するレーザー接合線6bがまず打ち込まれることができる。その際、レーザー接合線の冷却プロセスは極めて急速に行われ、なぜなら、非常に少ない合計量の理論エネルギーが打ち込まれ且つ金属基材3の金属材料が大部分は抜群の熱伝導性を有するからである。第1のレーザー接合線6aで、両方の基材3、4の材料は既に互いに混合されており、且つ生じ得る起伏および間隔(空隙26)は溶融により橋渡しされる。表面の良質性次第で、例えば接合されるべき接触面15の領域において5μmまでの大きな空隙26の場合、接合は第1のレーザー接合線6aでは不充分にしか構成されないことがある。しかし、接合されるべき接触面15の領域は第1のレーザー接合線6aの導入によって閉じられており、空隙26は、予め存在する場合、閉じられており、且つ材料は既に少なくとも「混合し始まって」いるので、第2のレーザー接合線6b、および場合により第3のレーザー接合線6cの導入で、基材3、4の両方の材料の最適なさらなる混合が達成され得る。
【0112】
図2は気密結合体1の上面図を示し、ここでレーザー接合線6a、6b、6cは機能領域2の周りを周回している。図面においては、簡潔性のために典型的には3つのレーザー接合線6a、6b、6cが示されるが、より少ないかまたはより多くのレーザー接合線6、6a、6b、6cが用いられてもよい。レーザー接合線6a、6b、6cは、機能領域2の周りを完全に閉じて周回して、機能領域2を気密封止する。その際、レーザー接合線の周りの溶融領域は幅wを有する。機能領域2において、例えば収納物体5、例えば電子回路が配置され得る(図3参照)。
【0113】
図3は、気密結合体1を有する気密性ハウジング9を示し、ここで中空部2が気密封止されている。中空部2の周りを周回して、レーザー接合線6a、6b、6cが導入されており、第2の基材4を第1の基材3と完全に閉じて気密性に接合して、分離できない結合体が製造される。図1に比して同じ部分には同じ符号が付されている。
【0114】
図4は、レーザー接合線6もしくは連結点6のレーザー接合点の詳細図であり、本発明の様々なさらなる構成を説明できる有意義な詳細を有する。本発明は、公知且つ出願人の社内で既存の従来の接合方法のバックグラウンドに対して、基材3と4との間の種々の接合プロセスの一貫したさらなる開発および最適化に取り組む。その際、本発明の焦点は、2つの異なる基材3、4、殊にその際、金属基材3と、誘電体4、つまり殊にガラス、ガラスセラミック、サファイアなどとの連結もしくは接合にある。これに際し、異なる材料の非常に異なるCTE値も、とりわけ、異なる脆性も考慮すべきである。例えば、材料の接合に際し、誘電体4内で望ましくないクラックまたは孔もしくは細孔が発生する場合がある。これらは部分的には、レーザー接合線6における熱膨張に基づき、それはレーザーによって誘電体4に超高速で熱が導入されることによって発生する。これは、第2の基材4が第1の基材3から容易に外れ壊され、つまり、第2の基材4の材料が「接合線近傍」で壊れるように顕著に害を及ぼしかねない。機械的特性以外に、そのようなクラックはさらに光学特性にも害を及ぼし、製造される気密性も疑われかねない。従って、これらのクラック67および細孔68は、特に有利には回避される。
【0115】
図4において側面の断面図で示されるレーザー接合点6は、混合区域62を有し、それは金属基材3内および誘電体4内に延在し、且つその際、概略を描かれた空隙26も橋渡しされる。例えば、レーザー接合点6の充分な生成を確実にするために、レーザー接合点6の領域における空隙26は5μm以下の大きさであるべきである。このために例えば、まずレーザーの打ち込みによって、レーザー接合点6においてプラズマが点火されることが重要であり、それは場合によってはより大きな空間距離を橋渡しすることができない。プラズマ点火はさらに、レーザーを用いて著しい点状の熱量がレーザー接合点6に適用され得ることが前提条件である。図4の例において、誘電体4(第2の基材)内の再凝固区域64が示され、それは第2の基材4内に遠く及んでいる。従って、これは多数のクラック67および細孔68が引き起こされた不利な場合を示す。その際、再凝固区域の縁部66は、最終製品においても、第2の基材4内の材料変化部の縁として、例えば顕微鏡で確認される。
【0116】
図4の例においては、混合区域62の下方、つまり第1の基材3内には再凝固区域は示されておらず、なぜなら、まず誘電体4における影響が説明されるべきであるからである(しかし、これについては図5参照)。混合区域62において、第1の基材3の材料は第2の基材4の材料と、両方が同時に溶融状態に移行する場合に混合される。単純な場合では、基材3、4の両方の材料は相互に充分に親和性であるので、混合区域64における混合によって既に、第1の基材3上での第2の基材4(およびその逆)の充分な付着、ひいては充分な保持力が作り出される。
【0117】
第1の基材3は、包括的でないリストとして、例えば銅、銀、金、鉄、アルミニウム、チタンまたはさらには合金、例えば鋼を含み得る。
【0118】
存在し得る空隙26は、(後の)レーザー接合領域6の領域内で0.5μm未満である。接触面15における間隔が0.5μm以下である場合、例えば接触面15は良好面Gとして記録される。
【0119】
1つだけのレーザー接合線6、6a、6b、6cもしくは連結点の場合、レーザー接合線の幅Wは、レーザー発生器(図12参照)によって生成される接触面(15)でのビーム幅2Wレーザーにほぼ相応する。N個の平行に配置されたレーザー接合線6、6a、6b、6cの場合、達成されるレーザー接合線の幅Wは通常、接触面(15)でのビーム幅2WレーザーのN倍以下であり、なぜなら、例えばレーザー作用領域の重複が求められるからである。Hmは混合区域62の高さ、Hrは再凝固区域64の高さを記述する。理想的にはHmはHr以上である。ただし、図4の例においては、関係を明確に示すためにこれは明らかに該当しない。
【0120】
図4aは、さらなる実施態様における接合領域の詳細の側面の断面図を示し、そこでは、殊に、少なくとも2つの基材3、4を直接的に接合することによって少なくとも2つの基材3、4を互いに気密性に結合する前に、第1の被覆またはコーティング70が、第1の金属基材3上に、第2の基材4に向く側の上で、少なくとも、殊に第1の金属基材を第2の基材と直接的且つ無媒介で接合するためのレーザー接合線6、6a、6b、6c、6dまたは複数の連結点の領域内で配置され得る。
【0121】
この被覆またはコーティング70は、例えば物理的および/または化学的堆積方法、例えば物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積法、またはさらにはALD法(原子層堆積)を含む様々な方法によって施与されることができ、且つ殊に代替的に印刷技術、例えばスクリーン印刷または3D印刷によって、有利には局所的に構造化されて施与されることができる。さらなる形態の施与は、基材を液体金属上に浮かべて行われ得る。
【0122】
本願に記載される接合方法によって、混合区域62において、および/または第1の基材3の少なくとも1つの表面近傍領域において、第1の基材3の材料と第1の被覆またはコーティングの材料とが混合され得る。
【0123】
これに際し、有利には、殊に混合区域における組織のモフォロジーが第1の被覆またはコーティングの材料によって変えられ得る。
【0124】
特定の実施態様の場合、混合区域においては、少なくとも領域的に、少なくとも第1の金属基材3および第1の被覆またはコーティングの材料を含む合金が形成され得る。
【0125】
特に有利にはこの合金は、コーティングまたは被覆が接合プロセスのために相応の量で提供される場合、共晶を形成し得る。この量は第1の被覆またはコーティングの厚さD1の選択によって生じ得る。この厚さD1は例えば0.1~5μmであることができる。
【0126】
好ましくは、第1の金属基材3は鉄、鋼または鉄含有合金を含むか、またはこれからなることができ、且つ第1の被覆またはコーティングは炭素を含むか、または炭素からなることができる。この材料を選択する場合、混合区域62の中または上で、局所的に高い炭素含有領域が提供され得る。
【0127】
一般性を限定することなく且つ上記で開示された例によって限定することなく、第1の被覆またはコーティングの混合された材料によって、第1の基材と第2の基材との間の結合の強化をもたらすことができる。
【0128】
これに際し、並びに本開示の範囲において、接合された基材3、4を、接合後に互いに分離するために必要とされる力の増加を強化と称する。これらの力は、基材3、4の、これらが相接するそれぞれの表面に対して垂直に導入されることができ、その際、これによって引き離し強度が特定され且つ記述されることができるか、またはこの表面に対して横方向に導入されることもでき、その際、前記強度はさらに、比例するせん断力に対して特定され且つ記述されることができる。
【0129】
本願に開示される第1および第2の被覆またはコーティングに関する強化とは、第1および/または第2の被覆またはコーティングが使用されない接合結合に対して、この第1および/または第2の被覆またはコーティングを使用することによる接合結合の場合に、この先述の力が増加することと理解される。
【0130】
代替的または追加的に、殊に少なくとも2つの基材3、4を直接的に接合することによって少なくとも2つの基材3、4を互いに気密性に結合する前に、第2の被覆またはコーティング71が、第2の基材4上で、少なくとも、第1の基材3に向く側の上で殊に第1の金属基材3を第2の基材4と直接的且つ無媒介で接合するためのレーザー接合線6、6a、6b、6c、6dまたは複数の連結点の領域に配置され得る。
【0131】
第2の基材4上の被覆またはコーティング71は、第2の基材4の表面近傍領域において、第2の基材の表面に対して垂直に少なくとも深さDoLまで延在する、第2の基材4内部の圧縮応力区域Dsにおける圧縮応力が形成可能である組成物を含むか、またはこれからなることができる。
【0132】
好ましい実施態様の場合、混合区域62において、および/または少なくとも第2の基材4の表面近傍領域において、第2の基材4の材料と、第2の被覆またはコーティング71の材料が混合されるか、または導入されることができ、それによって相応の局所的な圧縮応力区域が形成され得る。これに際し、第2の基材4は、少なくとも、圧縮応力区域Dsにおいて表面近傍の圧縮応力を導入できる材料を含むか、またはこれからなり、第1の被覆またはコーティングは、殊にイオン交換によって第2の基材4の材料に圧縮応力を導入できる材料を含むか、またはこれからなる。そのようなガラスおよび/またはガラス物品、並びに圧縮応力区域Ds内で圧縮応力を導入するための材料は、例えば米国特許出願公開第2018/0057401号明細書(US2018/0057401 A1)、米国特許出願公開第2018/0029932号明細書(US2018/0029932 A1)、米国特許出願公開第2017/0166478号明細書(US2017/0166478 A1)、米国特許第9908811号明細書(US9,908,811 B2)、米国特許出願公開第2016/0122240号明細書(US2016/0122240 A1)、米国特許出願公開第2016/0122239号明細書(US2016/0122239 A1)、米国特許出願公開第2017/0295657号明細書(US2017/0295657 A1)、米国特許第8312739号明細書(US8312739 B2)、米国特許第9359251号明細書(US9,359,251 B2)、米国特許第9718727号明細書(US9,718,727 B2)、米国特許出願公開第2012/0052271号明細書(US2012/0052271 A1)、米国特許出願公開第2015/0030840号明細書(US2015/0030840 A1)またはさらに独国特許第102010009584号明細書(DE10 2010 009 584 B4)号、および中国特許出願公開第102690059号明細書(CN102690059 A)内に記載されている。
【0133】
例えば、第2の基材の材料は一般にガラス、殊にソーダ石灰ガラスまたはホウケイ酸ガラスを含むか、またはこれからなることができ、且つ第2の被覆またはコーティング71の材料は、交換可能なイオンを放出するために適した化合物、殊にカリウムおよび/またはリチウムの化合物、殊に硝酸カリウムおよび/または硝酸リチウムを含み得る。
【0134】
これに際しても、第2の被覆またはコーティング71の厚さは有利には0.1~5μmであり、且つこれに際しても、第2の被覆またはコーティング71の混合または導入される材料によって、第1の基材と第2の基材との間の結合の強化をもたらすことができる。
【0135】
図5は、レーザー接合線6の詳細図のさらなる実施態様を示し、ここでも、他の図面において使用されている同じ符号は同じ属性に割り当てられる。この実施態様においてレーザー接合線6はさらに、第1の基材3における再凝固区域69も有し、それは混合区域62の下方に延在する。混合区域62は、それぞれ再凝固区域64、69へと直接的に移行すると考えられる。混合区域62は、ここに材料混合物が存在することを特徴とし、つまり混合区域62は第1の基材3の材料を含み且つ第2の基材4の材料を含む。ただし、基材3、4の材料がそれぞれ他の基材内に例えば破片4aまたはデンドライト4bの形態で導入され得ることもも可能であり、既に観察され且つ用いられることもできた。第1の基材3の金属材料も例えばドロップレット3aの形態で第2の基材4内に差し込まれることができる。そのようなドロップレット3aは、第2の基材4内に数マイクロメートル「投入」され得る。
【0136】
図5に示されるデンドライト4bは特に興味深いことがあり、なぜなら、そのような態様によって、重なり合う両方の基材3、4の著しく改善された付着が達成され得るからである。その際、デンドライト4bは、これが他の基材の材料とかみ合うか、または垂直に対してある角度で打ち込まれる場合、アンカーまたは釘として機能することがある。異なる種類の基材3、4の両方の材料はその際、例えば相互にほとんど親和性がなく、且つ溶融状態においても互いの接着作用が引き起こされない。その際、混合区域62内のそのようなデンドライト4bまたはかみ合わせは、両方の基材3、4の間の付着作用または保持力を調節するための最良の選択肢であることができる。
【0137】
図6を参照して、レーザー接合線6を片側に有する結合体1が示される。この例においては、空隙26は、レーザー接合線6の接触領域15においてはレーザー接合線6を導入するためにまさに充分に小さいが、内側11、12の他の領域では表面の起伏31、32に起因してより大きい。その際、凹み31も隆起32も、レーザー接合線6の導入のためには不利であることがある。原則的に、表面11、12が平坦に、例えば平均粗さ値0.1μmまたはより良い値で構成される場合が有利であることが判明した。まず、これは意外であり、なぜなら特に平坦な表面はよく反射し、従って、一般にレーザーを用いて結合体内でエネルギー堆積をもたらし得ることは困難であるからである。
【0138】
図7は、まだ結合されていない基材積層体1の実施態様を示し、ここで、基材3、4の間で定義された間隔を調節するために基材3、4の間にはスペーサー35が用いられる。本発明の範囲において、接合されるべき接触領域15の領域内で基材3、4の間の間隔が充分に小さく、例えば5μm未満、より良好には2μm未満、好ましくは0.5μm未満である限り、空隙26は許容され得ることが示された。図7の例においては、スペーサー35を用いることによって、基材3、4のより大きな起伏であっても容易に補償され得ることも示され、なぜなら、基材の間隔はもはや内側11、12の全面的な接触によって作られなければならないわけではないからである。さらに、空隙26は、そこに回避区域40が作り出されることによってさらなる役目を担うことができ、そこに基材3、4の材料(その際、基材4の材料が特に重要である)が、これが溶融する際に侵入できる。このようにして、第2の基材4におけるクラックおよび孔を、場合により減少するか、または完全に回避することすらできる。
【0139】
図8図7の実施例を示し、ここでレーザースポット6は、接触領域15の領域において左側に導入される。ここで、今、第2の基材4の材料は回避区域40に入っている。混合区域62において、第1の基材3の材料は、スペーサー35の材料と、および第2の基材4の材料と互いに混合される。混合区域62は第1の基材3内にも第2の基材4内にも及んでいる。これに際し、スペーサー35の材料を適切に選択する際、例えば第1の基材3の材料に対しても第2の基材4の材料に対してもある程度親和性である材料が選択される場合、付着特性をさらに高めることすらできる。
【0140】
回避区域40は基材3、4において凹部として備えられることもできる(図示せず)。回避区域40は有利には予定されるレーザー接合区域に沿って延在して、一定の材料が回避区域40へと逃れられることができ、圧力ピークが吸収されるか、もしくはそもそも発生させず、ひいてはクラックおよび孔67、68の発生を低減する。
【0141】
図9図6に相応する気密結合体1の写真図である。場合により結合体1の気密性を害を及ぼしかねない起伏、例えば傷31またはバリ32が解消されている。
【0142】
図10を参照して、本発明のさらなる態様がさらに詳細に説明される。レーザー接合線6を連続的に生成するための連続する複数のレーザースポットが示され、ここでスポット1、2、3、4、5は連続して打ち込まれる。その際、スポットは暖かい最中に打たれ、その際、部分的に重複し、なぜならビーム焦点の幅wは目標点もしくはレーザースポットの間の間隔dよりも大きいからである。これによって、混合区域62における混合のさらなる改善、ひいては付着の改善が達成され得る。
【0143】
類似の作用は、その他に、図10に示されるレーザースポットが1つの特定のレーザー接合線6に属することが想定されるのではなく、5つの異なるレーザー接合線6、6a、6b、6c、6dに属することが想定され、これらが並び合って材料に打ち込まれる場合、達成される。両方の場合において、基材3、4の互いの気密性および/または保持力が高められ得る。
【0144】
図11はさらなる態様を示し、ここでは同様に複数のレーザースポット6が接触面15に打ち込まれ、その際、両方の基材3、4はスペーサー35によって互いから間隔をあけて配置されている。単数または複数のスペーサー35が例えば充分に小さく構成される場合、つまり例えば5μm未満に薄く構成される場合(例えばフィルム、金属箔として、または蒸着された、スパッタされた、またはリソガラス層として)、残りの空隙26はレーザーで直接的に橋渡しされ得る。それぞれ先行するレーザースポットと部分的に重複する引き続くレーザースポットの場合、空隙はもはや障害ではなく、なぜなら、その空隙は部分的に既に橋渡しされているか、もしくは閉じられているからである。間隔がより大きく調節されるべき場合、スペーサー35はレーザー接合プロセスの「始点」として役立つことができ、且つこれは(図6に示すように)融合される。さらなるレーザースポットは第1の「始点」と部分的に重複し、従ってより大きな基材の間隔でも打つことができる。これによって、5μmの基材間隔よりも大きい、例えば10μmの基材間隔より大きい、または20μmまでの基材間隔以上ですらある間隔も橋渡しされ得る。その際、レーザースポットの高さは50μm付近、例えば100μmまでに調節され得る。例えば、1つのレーザースポットから隣のレーザースポットへの間隔dはd<10μm、好ましくはd<6μm、さらに好ましくはd<4μmに調節され得る。
【0145】
図11の例においては、相互作用区域62はスペーサー35のおかげで第2の基材4からさらに離れて保持され、従って混合区域62は第2の基材4内にわずかにのみ及んでいる。混合区域62の侵入は、例えばわずか1μm±0.8μmに調節され得る。その際、第2の基材4内の再凝固区域64は殊に完全に、または大部分が消失することができ、それにもかかわらず、混合区域62は、結合を確実にするために充分に深く第2の基材4内に及ぶ。
【0146】
図12は、気密結合体1においてレーザースポット6を生成するためのレーザー発生器80の概略を左側に描いている。この態様のオプションにおいて、処理ヘッド801は45°傾いたミラー802および書き込み対物レンズ803を含む。ここで、前記処理ヘッドはレーザー源806のレーザービームに対して平行に、x方向804で動かされる。これに対して相対的に、構造体1もしくは基材積層体は別の処理台において、これに対して垂直にy方向805で動かされる。加えて、図12の右側には、3つのレーザー接合線6a、6b、6cが暖かい中で気密結合体1に導入される場合についての熱出力の強度プロファイル82の概略が描かれている。従って、側方にあるレーザー接合線6a、6cは、中間の接合線6bにおいてさらに強化した混合をもたらすことができる。
【0147】
図13は製造された気密結合体1の顕微鏡写真を示し、ここで第1の基材3としてアルミニウムが用いられ、且つ第2の基材4としてサファイアが用いられている。第2の基材4内で実際に混合区域62のみが生じ、第2の基材4におけるクラックもしくは孔が大幅に阻止され得ることが、既に実現に成功した。デンドライト4bが明確に見られ、ここで、サファイア4が第1の基材3の金属中に、およびそこで再凝固区域69中に侵入するか、もしくは混合されている。これは、サファイア4のアルミニウム3上での保持力を著しく高めることができる。サファイアの粒子4aも、第1の基材3の再凝固区域69において同定されることができた。
【0148】
図14はさらなる顕微鏡写真を示し、ここで図13に示された結合体がより大きく拡大され、且つ改めて擬似カラーの図で示されている。デンドライト4bの発生は完全に意外であり、且つ画期的なこととして記述され得るかもしれない。この理由から既に、出願人の社内でのこの喜ばしい新たな開発はできるだけ完全に、且つ様々な表現で呈示されるべきである。しかし、総じて、製造された結合体の良質性および第2の基材4における再凝固区域64の顕著な低減は、本発明が広範な製品への道を切り開き得ることの強い指標でもある。
【0149】
図15はさらなる顕微鏡写真を示し、ここで第1の基材3として鋼が選択されており、且つ第2の基材としてサファイアが選択されている。この例においては、明確な再凝固区域64がサファイア4における混合区域62の上方に見られ、明確なクラック67も有する。この例においては、鋼内でサファイアは侵入していない。これについて、ビームを調節して、第1の基材3上でレーザースポット6を用いて、かみ合わせ構造37を作り出し、それが気密性の結合体1の付着も高めるような粗い歯状の表面を生成することができた。
【0150】
図16はさらなる顕微鏡写真を示し、ここで第1の基材3としてチタンが選択されており、且つ第2の基材4としてサファイアが選択されている。この例においても、第2の基材4において顕著な再凝固区域64が見出されず、従って応力もしくはクラック67が第2の基材4内に導入されないことが既に達成できた。第1の基材3の材料は、混合区域62において著しく遠く第2の基材内へと投入されており、そこで櫛状の構造を形成し、それは気密結合体1の並外れたかみ合わせももたらす。
【0151】
図17は最後に、なおもさらなる顕微鏡写真を示し、ここで第1の基材3として銅が選択されており、且つ第2の基材としてサファイアが選択されている。この例においても、第2の基材4における再凝固区域64を実際になくすことができた。この例においては、第2の基材4内に数マイクロメートル侵入しているドロップレット3aが識別されるが、第1の基材内に侵入しているデンドライト4bおよび第2の基材4のアブレーション4aも識別される。従って、この例においても、付着は既に明らかに改善されることができた。
【0152】
本発明の範囲において、気密性を特定するための一連の測定も実施した。これに際し、61の試料1aでリーク速度(mbar×リットル/秒)を、それぞれの試料1aについて特定した。図18は、リーク速度を特定するための銅の試料1aを例示的に示し、ここでサファイアディスク4が金属構造部材3とレーザー接合されている。
【0153】
リーク速度は噴霧技術を用いて特定された。例えば、標準圧または低圧環境(真空)下で、ヘリウムガスは、そのガスで試料を噴霧して、試料1の内部への生じ得る拡散を測定するために適している。試料1aの外側と内側との間の圧力差1Barが有利であることが判明した。様々な金属試料1aが測定され、ここで殊に気密結合体1は、金属構造部材3の上にサファイアディスク4が配置され、レーザー接合されることによって実現された。金属構造部材3としてアルミニウム試料、チタン試料、鋼試料および銅試料が測定され、それらはそれぞれサファイア基材4にレーザー接合された。気密性を調査するために用いられた装置の測定の下限はリーク速度1×10-9mbar×l/秒であった。噴霧試験を使用する場合、完全な気密性が達成され、且つリーク速度1×10-7mbar×l/秒以下、好ましくは1×10-8mbar×l/秒以下、さらに好ましくは1×10-9×l/秒以下が達成されると考えられる。以下の表において例示的に12の試料1aが示され、ここで、気密結合体1を製造するために使用された金属構造部材3は、3つの「Al」で示された試料の場合(本質的に)アルミニウムからなり、「Ti」で示された試料の場合(本質的に)チタンからなり、「St」で示された試料の場合(本質的に)鉄からなり、且つ「Cu」で示された試料の場合(本質的に)銅からなる。
【0154】
【表1】
【0155】
従って、ここで再現された全ての試料1aは、前述の定義の意味において気密性に密閉されているとして特徴付けられる。この際、特に、アルミニウムおよび鋼を用いた試料は、使用された装置では、測定範囲の下限である1×10-9×l/秒ではもはや解析され得ないほどわずかなリーク速度を有したことが際立っていた。従って、実際に達成される気密性は、測定範囲の下限よりも良好であり、従って1×10-9×l/秒未満である。
【0156】
場合により、製造された気密結合体1の良質性を検査可能にすべきである。このために、それぞれレーザー接合結合の領域において、その導入前に間隔のプロファイルを作成することが提案され得る。図19はここで、理解のために基材積層体9の詳細図を示し、ここで欠陥領域17、相接接触領域18、および良好領域19が見られる。両矢印21は、欠陥位置17の最大高さの位置を記述する。
【0157】
入射ビーム22は基材積層体9に向けられ、ここで欠陥位置17の領域において、入射ビームは第1の基材3の内側11でも、第2の基材4の内側12でも反射される。反射ビーム24、24aは検出器30で検出できる。その際、反射ビーム24と反射ビーム24aとの間の経路の違いは、この場合、両方の反射ビームで互いに生成される干渉パターンをみちびく。その際、透明基材(4)の場合はフレネル効果、つまり例えば反射が重要である。反射防止コーティングのないガラスの場合、この反射は例えば界面あたりそれぞれ約4%であることがある。金属基材(3)の場合、反射は研磨表面によって生じる。この場合、入射ビーム22は単色光を含む。従って、干渉パターン、殊にニュートンリングを読み取ることができ、そこから基材間の間隔についての尺度を得ることができる。
【0158】
図20は基材積層体の気密結合体を製造または検査するための方法の段階を示す。第1の段階100において、第1の基材を第2の基材上に面状に配置する。第2の段階110において、基材積層体を基材積層体9の少なくとも1つの接触面で入射ビーム22で照射することによって生じる反射ビームを検出して、基材積層体9内部での間隙の高さプロファイルを特定する。段階120において、前記高さプロファイルから結合品質指数Q1を特定する。決定段階130において、段階120において特定された結合品質指数Q1が所定の許容閾値Q1閾値よりも大きければ、基材積層体は次にさらなる処理に、つまり殊にレーザー接合線6によるレーザー接合に放出してよいことが決定される。しかしながら、Q1が目標もしくは所望のQ1閾値よりも小さければ段階135において基材積層体9は例えば新たに再処理され、つまり互いから離され、場合により改めて洗浄または他の方法でのリサイクルに供される。
【0159】
さらに、段階140において、基材積層体1のレーザー接合を実施して単数または複数のハウジングにする。引き続き段階150において、接合された基材積層体1の基材積層体内部の間隙の第2の高さプロファイルを特定し、そこから段階160においてQ2を計算する。段階170において、Q2が、Q2について所定の閾値Q2閾値よりも大きいかどうかを特定する。例えば、Q2閾値はQ1閾値以下である。有利には、段階170において、Q2がいずれにせよQ1以上であるかどうかも特定または調査する。両方の条件が満たされる場合、段階180において、接合された単数または複数のハウジング1のさらなる処理、例えば複数のハウジング1を分離線8でウェハ積層体9から分離することを行うことができる。これに対し、段階170において所定の両方の条件の1つまたは両方の条件が満たされない場合、段階175において基材積層体9の選択的なさらなる処理が導入されることがあり、これに際し、例えば欠陥領域F、17の記録が行われ得るか、またはウェハ積層体9をリサイクルに供することができる。
【0160】
図21は、結合品質指数Q1および/またはQ2を計算するために実施され得るいくつかの段階を説明する。段階121において、まず検出器30の画像データを、例えばこのために準備されたワークステーションを用いて取得する。段階121において取得された画像データを、段階122においてグレースケールのパターンに変換するか、または赤チャンネルを画像から抽出する。これは例えば、段階121で画像データが取得される同じコンピュータ上で実行される画像処理機能を用いて処理できる。段階123では、検出器30の記録された画像において基材積層体3、4、9の物理的な縁部が、例えばエッジ検出の形態で特定される。段階124において、必要である場合、パースペクティブの補正もしくはデスキューを行うことができる。段階125において、コントラストの改善を、例えば基材積層体の領域で実施できる。これに際し、例えば最も暗いグレーの背景値を単に差し引き、白黒画像からグレースケールの画像を生成できる。最後に段階126において、検出器30で取得された画像データからの高さプロファイルの計算を、例えば確認されたニュートンリングを用いて行う。それに続いて段階127において、臨界高さまたはプロファイルが確認された領域の記録および積算を行うことができる。これは殊に、欠陥領域F、17として確認された領域に関係する。最後に段階128において、先述のように改善されたかもしくは補正された画像データから、それぞれのQ係数Q1もしくはQ2の計算を行う。
【0161】
従って、本願の説明によって、完全且つ理解できるように、レーザー接合法を用いて2つの異なる基材、殊に金属基材を誘電体、例えばガラス基材または結晶と、互いに接して接合できるような方法が示されることができた。相応の気密接合された結合体も詳細に示され且つ理解できるように説明されることができた。本願の説明においては、場合により「従来の」知見とは矛盾するか、または意外に判明し得た多数の説明が含まれる。この理由からも、結果は顕微鏡写真を用いてさらに裏付けられ、紹介された発明が既に実際の結果に移行できていることを示した。
【0162】
上記の実施態様が例示的なものとして理解され、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の保護範囲を逸脱することなく多様に変更され得ることは、当業者には明らかである。さらに、前記の特徴は、明細書、特許請求の範囲、図面または他に開示されているかどうかには関わらず、それらが他の特徴と一緒に記載されている場合であっても、本発明の本質的な要素を個別に定義していることも明らかである。全ての図面において同じ符号は同じ特徴を示しているので、場合により1つの図面のみ、またはいずれにせよ全ての図面に関しては言及されていない特徴の記載を、明細書において記載されていない特徴に関して、これらの図にも転用できる。
【符号の説明】
【0163】
1 結合体もしくは基材積層体
1a 試料
2 機能領域もしくは中空部
2a、2b 欠陥位置17の領域における中空部
3 第1の基材(金属含有)
3a ドロップレット
4 第2の基材(誘電体、例えばガラス)
4a 第2の基材のアブレーションもしくはドロップレット
4b 第2の基材のデンドライト
5 収納物体
6、6a、6b、6c 接合区域もしくはレーザー結合線
8 分離線
9 ハウジング
11 第1の基材の接触面または内側
12 第2の基材の接触面または内側
15 接触面
17 欠陥領域または欠陥位置F
18 相接接触面B
19 良好面G
20 ビーム源
21 2つの基材間の最大間隔
22 入射ビーム
24、24a 反射ビーム
26 生じ得る空隙
30 検出器
31 凹み
32 隆起
35 スペーサー
37 かみ合わせ構造
40 回避区域
62 溶融区域もしくは混合区域
64 再凝固区域
66 再凝固区域の縁部
67 クラック
68 細孔
69 再凝固区域
70 第1の被覆またはコーティング
71 第2の被覆またはコーティング
80 レーザー発生器
82 強度プロファイル
100 配置段階
110 高さプロファイルの特定段階
120 第1の結合品質指数Q1の計算段階
121 データの準備
122 変換段階
123 識別段階
124 補正段階
125 コントラスト改善
126 高さプロファイルについての計算段階
127 記録段階
128 Q係数Q1もしくはQ2についての計算段階
130 Q1についての評価段階
135 返送段階
140 さらなる処理段階、殊にレーザー接合
150 第2の高さのプロファイルの特定
160 Q2についての計算段階
170 Q2についての評価段階
175 欠陥の場合における記録段階
180 最終処理、殊に構造体1もしくはハウジング9の個別化
801 レーザー生成器の処理ヘッド
802 偏向ミラー
803 レーザー対物レンズ
804 処理ヘッドの移動方向
805 基材の移動方向
806 レーザービーム源のレーザービーム
d 2つのレーザー接合線もしくは2つの連結点の間の距離
N 保護領域
W レーザー接合線6の幅
1 第1の被覆またはコーティング70の厚さ
2 第2の被覆またはコーティング71の厚さ
Ds 圧縮応力領域
DoL 圧縮応力領域の深さ
図1
図2
図3
図4
図4a
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】