(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-13
(54)【発明の名称】(ポリ)オールブロックコポリマー
(51)【国際特許分類】
C08G 64/18 20060101AFI20231106BHJP
C08G 64/32 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
C08G64/18
C08G64/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527063
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 GB2021052865
(87)【国際公開番号】W WO2022096889
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517022142
【氏名又は名称】エコニック テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ECONIC TECHNOLOGIES LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ケンバー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リーランド、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ライリー、ケリー
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA08
4J029AA09
4J029AB01
4J029AC03
4J029AD01
4J029AE17
4J029BA01
4J029BA02
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
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4J029BB04A
4J029BB09A
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4J029CA01
4J029CA02
4J029CA03
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4J029CA05
4J029CA06
4J029EA02
4J029EA03
4J029FC02
4J029FC03
4J029FC32
4J029HB06
4J029HC06
4J029HC07
4J029JB242
4J029JB252
4J029JB262
4J029JB272
4J029JB282
4J029JB302
4J029JC281
4J029JC291
4J029JC301
4J029JF181
4J029JF561
4J029JF571
4J029KD06
(57)【要約】
本発明は、構造C-B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B-C)
nの、ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネート、ポリエステル、及びポリエーテル又はエーテルカーボネートブロックを有する、(ポリ)オールブロックコポリマーに関する。式中、n=t-1であり、且つt=ブロックA上の末端OH基残基の数であり;各A’は、独立に、少なくとも70%のカーボネート結合を有するポリカーボネート鎖、又は少なくとも30%のエーテル結合を有するポリエーテルカーボネート鎖であり、各Bは、エポキシドと環状無水物の反応/共重合及び/又は環状エステル開環反応/重合によって形成される(ポリ)エステルブロックであり、各Cは、独立に、50~100%のエーテル結合を有する(ポリ)エーテルカーボネート又は(ポリ)エーテルブロックであり;Z’-Z-(Z’)
nは、開始剤残基である。ブロックBは、次の構造
(式中、n
2は、1又は複数であり、n
3/n
4は、1又は複数である)
のうちの一つを有することができる。本発明はコポリマーから製造されたポリウレタン等のより高分子のポリマー、組成物、並びにこうしたポリオールの製造のプロセスに拡大される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネートブロックA(-A’-Z’-Z-(Z’-A’)
n-)、(ポリ)エステルブロックB、及び(ポリ)エーテルカーボネート又は(ポリ)エーテルブロックCを含む(ポリ)オールブロックコポリマー(ここで、前記(ポリ)オールブロックコポリマーは、ポリブロック構造:
C-B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B-C)
n
を有し、
式中、n=t-1であり、且つt=前記ブロックA上の末端OH基残基の数であり;
各A’は、独立に、少なくとも70%のカーボネート結合を有するポリカーボネート鎖、又は少なくとも30%のエーテル結合を有するポリエーテルカーボネート鎖であり、各Bは、エポキシドと環状無水物の反応/共重合及び/又は環状エステル開環反応/重合によって形成される(ポリ)エステルブロックであり、各Cは、独立に、50~100%のエーテル結合を有する(ポリ)エーテルカーボネート又は(ポリ)エーテルブロックであり;
Z’-Z-(Z’)
nは、開始剤残基である)。
【請求項2】
-A’-が、次の構造:
【化1】
(式中、前記ポリカーボネート鎖の場合には、qが0でないならば、p:qの比は、少なくとも7:3であり、
前記ポリエーテルカーボネート鎖の場合には、p:qの比は、少なくとも3:7であり;
ブロックBが、次の構造
【化2】
(式中、n
2は、1又は複数であり、n
3/n
4は、1又は複数である)
のうちの一つを有し、
ブロックCは、次の構造:
【化3】
(式中、wは1又は複数であり、vは0以上であり、vが0でないならば、w:vの比は、少なくとも1:1であり;ただし、n
2とn
3/n
4の合計が1であるならば、wは、少なくとも2であり、且つwが1であるならば、n
2とn
3/n
4の合計が少なくとも2であるという条件であり;
R
e1、R
e2、R
e3、及びR
e4は独立に、それぞれのブロック内のエポキシド残基に依存し;
R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4、又はR
L1/L3、R
L2/L4、m、m’、及びm’’は、ブロックB内の環状無水物又はエステル残基に依存する)を有する)
を有する、請求項1に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項3】
v=0であり且つブロックCが(ポリ)エーテルである、請求項1又は2に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項4】
vが1又は複数であり、且つブロックCが(ポリ)エーテルカーボネートである、請求項1~3のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項5】
各R
e1、R
e2、R
e3、又はR
e4が、独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシル、又は任意選択的に置換されたアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル、-CH
2Cl、-CH
2-OR
20、-CH
2-OC(O)R
12、又は-CH
2-OC(O)OR
18等)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、若しくはヘテロアルケニルから選択される、好ましくはH又は任意選択的に置換されたアルキルから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項6】
R
e1又はR
e3及びR
e2又はR
e4が、合体して、飽和、部分的不飽和又は不飽和の、炭素及び水素原子、並びに任意選択的に1個又は複数のヘテロ原子を含む環を形成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項7】
前記開始剤の残基は、開始剤化合物の性質に依存し、前記開始剤化合物は、式(V):
Z-(R
Z)
a (V)
(式中、Zは、自身に結合している1個又は複数個の、通常は2個以上の-R
Z基を有することができる任意の基とすることができ、任意選択的に置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレンから選択してもよく、又はZは、これらの基の任意の組合せであってもよく、例えば、Zは、アルキルアリーレン基、ヘテロアルキルアリーレン基、ヘテロアルキルヘテロアリーレン基、又はアルキルヘテロアリーレン基であってもよく;
aは、少なくとも1、典型的には少なくとも2である整数であり、任意選択的に、aは、1又は2~8の範囲にあり、任意選択的に、aは、2~6の範囲にあり;
R
Zは、それぞれ、-OH、-NHR’、-SH、-C(O)OH、-P(O)(OR’)(OH)、-PR’(O)(OH)
2、又は-PR’(O)OHであってもよく、任意選択的に、R
Zは、-OH、-NHR’、又は-C(O)OHから選択され、任意選択的に、R
zは、それぞれ、-OH、-C(O)OH、又はこれらの組合せであり(例えば、R
zはそれぞれ-OHである);
R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、若しくはヘテロシクロアルキルであってもよく、任意選択的に、R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキルであり;
Z’は、反応活性度の高い水素原子を結合に置き換えたことを除いてR
zに相当する)を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項8】
aが、少なくとも2の整数である、請求項7に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項9】
前記開始剤化合物は、アルコール類、フェノール類、アミン類、チオール類、及びカルボン酸等の単官能性開始剤、例えば、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、1-及び2-プロパノール、1-及び2-ブタノール、直鎖若しくは分岐C
3~C
20モノアルコール、例えば、tert-ブタノール、3-ブテン-1-オール、3-ブチン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、2-メチル-2-プロパノール、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、フェノール、2-ヒドロキシビフェニル、3-ヒドロキシビフェニル、4-ヒドロキシビフェニル、2-ヒドロキシピリジン、3-ヒドロキシピリジン、及び4-ヒドロキシピリジン、エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレングリコールのモノエーテル若しくはエステル、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル、フェノール類、例えば、直鎖若しくは分岐C
3~C
20アルキル置換フェノール、例えば、ノニルフェノール若しくはオクチルフェノール、単官能性カルボン酸類、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸、脂肪酸類、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、及びアクリル酸、並びに単官能性チオール類、例えば、エタンチオール、プロパン-1-チオール、プロパン-2-チオール、ブタン-1-チオール、3-メチルブタン-1-チオール、2-ブテン-1-チオール、及びチオフェノール、若しくはアミン類、例えば、ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、アニリン、アジリジン、ピロリジン、ピペリジン、及びモルホリンから選択され;並びに/又はジオール類、例えば、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1-2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、1-3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ジフェノール、1,3-ジフェノール、1,4-ジフェノール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキセンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、Mnが約1500g/mol以下のポリプロピレングリコール(PPG)若しくはポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PPG425、PPG725、PPG1000等、トリオール類、例えば、グリセロール、ベンゼントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリス(メチルアルコール)プロパン、トリス(メチルアルコール)エタン、トリス(メチルアルコール)ニトロプロパン、トリメチロールプロパン、ポリエチレンオキシドトリオール、ポリプロピレンオキシドトリオール、及びポリエステルトリオール、テトラオール類、例えば、カリックス[4]アレーン、2,2-ビス(メチルアルコール)-1,3-プロパンジオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、若しくは4個の-OH基を有するポリアルキレングリコール(PEG又はPPG)、ポリオール類、例えば、ソルビトール若しくは5個以上の-OH基を有するポリアルキレングリコール(PEG又はPPG)、若しくはエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、及びフェニルジエタノールアミン等の混合官能基を有する化合物から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項10】
前記(ポリ)オール分子量(Mn)が、300~20,000Daの範囲内であり、前記ブロックAの分子量(Mn)が、200~4000Daの範囲内であり、前記ブロックBの分子量(Mn)が、50~5000Daの範囲内であり、前記ブロックCの分子量(Mn)が、100~20,000Daの範囲内であり、より典型的には、前記ブロックAの分子量(Mn)が、200~2000Da、より典型的には200~1000Da、最も典型的には400~800Daであり、前記ブロックBの分子量(Mn)が、50~1000Da、より典型的には50~500、最も典型的には50~400であり、及び/又は前記ブロックCの分子量(Mn)が、典型的には200~10,000Da、より典型的には200~5000Daである、請求項1~9のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項11】
前記分子量(Mn)が、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される、請求項10に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項12】
ブロックAが、ポリカーボネートであり、且つ、典型的には、少なくとも76%、より典型的には少なくとも80%、又は最も典型的には少なくとも85%のカーボネート結合を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項13】
ブロックAが、98%未満のカーボネート結合、より典型的には、97%未満のカーボネート結合、又は最も典型的には95%未満のカーボネート結合を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項14】
ブロックAが、ポリカーボネートであり、且つ、典型的には、75%~99%のカーボネート結合、より典型的には77%~95%のカーボネート結合、最も典型的には80~90%のカーボネート結合を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項15】
ブロックCが、40%未満のカーボネート結合、より典型的には、30%未満のカーボネート結合、最も典型的には、20%未満のカーボネート結合を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項16】
ブロックCが、少なくとも5%のカーボネート結合、より典型的には少なくとも10%のカーボネート結合、最も典型的には少なくとも15%のカーボネート結合を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項17】
ブロックCが、0%~50%のカーボネート結合、より典型的には0%~35%のカーボネート結合、最も典型的には0%~20%のカーボネート結合を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項18】
ブロックCが、少なくとも60%のエーテル結合、より典型的には、少なくとも70%のエーテル結合、最も典型的には少なくとも80%のエーテル結合を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項19】
ブロックCが、95%未満のエーテル結合、より典型的には90%未満のエーテル結合、最も典型的には85%未満のエーテル結合を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項20】
ブロックCが、50%~100%のエーテル結合、より典型的には65%~100%のエーテル結合、最も典型的には80%~100%のエーテル結合を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項21】
ブロックAが、エーテル結合をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項22】
ブロックAが、24%未満のエーテル結合、より典型的には20%未満のエーテル結合、最も典型的には15%未満のエーテル結合を有する、請求項21に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項23】
ブロックAが、少なくとも1%のエーテル結合、より典型的には少なくとも3%のエーテル結合、最も典型的には少なくとも5%のエーテル結合を有する、請求項21又は22に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項24】
ブロックAが、1%~25%のエーテル結合、典型的には5%~20%のエーテル結合、より典型的には10%~15%のエーテル結合を有する、請求項21~23のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項25】
前記エポキシドが、非対称であり、且つ前記ポリカーボネートが、40~100%の頭-尾結合、好ましくは50%を超える頭-尾結合を有する、請求項21~24のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項26】
ブロックA中の全エポキシドの0.1~20%が、2つ以上のエポキシド部分を含有するエポキシド基質、好ましくはビス-エポキシドである、請求項21~25のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項27】
ブロックAが、概して、交互ポリカーボネート(ポリ)オール残基である、請求項1~26のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項28】
ブロックA中のエポキシド残基と、組み合わせられるブロックB及びC中のエポキシド及び任意選択的に環状エステル残基とのmol/mol比が、25:1~1:250の範囲内である、請求項1~27のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項29】
tが、2以上、より典型的には2~6、特に3~6、最も典型的には2又は3である、請求項1~28のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項30】
ブロックCが、ポリオキシメチレン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリプロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)、ポリ(グリシジルエーテルオキシド)、ポリ(クロロメチルエチレンオキシド)、ポリ(シクロペンテンオキシド)、ポリ(シクロヘキセンオキシド)、及びポリ(3-ビニルシクロヘキセンオキシド)からなる群から選択されるポリエーテル鎖である、請求項1~29のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項31】
ブロックAの前記エポキシド残基の少なくとも30%が、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、典型的には、ブロックAの前記エポキシド残基の少なくとも50%が、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、より典型的には、ブロックAの前記エポキシド残基の少なくとも75%が、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、最も典型的には、ブロックAの前記エポキシド残基の少なくとも90%が、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基である、請求項1~30のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項32】
ブロックC及びその中に存在するならばブロックBの前記エポキシド残基の少なくとも30%が、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、典型的には、ブロックCの前記エポキシド残基の少なくとも50%が、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、より典型的には、ブロックCの前記エポキシド残基の少なくとも75%が、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、最も典型的には、前記エポキシド残基の少なくとも90%が、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基である、請求項1~31のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項33】
ブロックA及びブロックC及びその中に存在するならばブロックB中の前記エポキシドが、両方のブロック中の全エポキシド残基の少なくとも95%のレベルでエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドである、請求項1~32のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項34】
t=1であり且つ前記ポリブロック構造がC-B-A’-Z’-Zである、請求項1~6、8~28、又は30~33のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマー。
【請求項35】
請求項1~34のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマーと、触媒、発泡剤、安定剤、可塑剤、充填剤、難燃剤、及び抗酸化剤から選択される1種以上の添加剤とを含む組成物。
【請求項36】
(ポリ)イソシアネートをさらに含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
(ポリ)イソシアネートとポリオールブロックコポリマー反応のための前記触媒が、第三級アミン化合物及び/又は有機金属化合物等の好適なウレタン触媒を含む、請求項35又は36に記載の組成物。
【請求項38】
三量体化触媒が存在する、請求項35又は36に記載の組成物。
【請求項39】
三量体化触媒の存在下でポリイソシアヌレート環形成が可能であるように、過剰の(ポリ)イソシアネート、より典型的には、ポリオールに対して過剰のイソシアネート重合体が存在する、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
請求項1~34のいずれか一項に記載のポリオールブロックコポリマー又は請求項35に記載の組成物と、(ポリ)イソシアネートとの反応から製造されるポリウレタン。
【請求項41】
ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネートブロックA(-A’-Z’-Z-(Z’-A’)
n-)、(ポリ)エステルブロックB、及び(ポリ)エーテルカーボネート又は(ポリ)エーテルブロックCを有するブロックコポリマー残基を含むポリウレタン(ここで、前記残基は、ポリブロック構造:
C-B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B-C)
n
を有し、
式中、n=t-1であり、且つt=ブロックA上の末端OH基残基の数であり;
各A’は、独立に、少なくとも70%のカーボネート結合を有するポリカーボネート鎖、又は少なくとも30%のエーテル結合を有するポリエーテルカーボネート鎖であり、各Bは、エポキシドと環状無水物の反応/共重合及び/又は環状エステル開環反応/重合によって形成される(ポリ)エステルブロックであり、各Cは、独立に、50~100%のエーテル結合を有する(ポリ)エーテルカーボネート又は(ポリ)エーテルブロックであり;
Z’-Z-(Z’)
nは、開始剤残基である)。
【請求項42】
前記残基が、請求項2~34のいずれか一項で定義された特徴のいずれか1つ以上を含む、請求項41に記載のポリウレタン。
【請求項43】
前記ポリウレタンが、ソフトフォーム、軟質フォーム、インテグラルスキンフォーム、高レジリエンスフォーム、粘弾性若しくはメモリーフォーム、半硬質フォーム、硬質フォーム(例えば、ポリウレタン(PUR)フォーム、ポリイソシアヌレート(PIR)フォーム、及び/又はスプレーフォーム)、エラストマー(例えば、キャストエラストマー、熱可塑性エラストマー(TPU)、又はミクロセルラーエラストマー)、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤、感圧接着剤、又は反応性接着剤)、シーラント又はコーティング(例えば、水系又は溶媒分散体(PUD)、二成分コーティング、一成分コーティング、無溶媒コーティング)の形態である、請求項40~42のいずれか一項に記載のポリウレタン。
【請求項44】
押出成形法、金型成形法、射出成形法、スプレー法、発泡法、鋳造法、及び/又は加硫法を含むプロセスを介して形成される、請求項43に記載のポリウレタン。
【請求項45】
「ワンポット」又は「プレポリマー」プロセスを介して形成される、請求項43又は44に記載のポリウレタン。
【請求項46】
請求項1~34のいずれか一項に記載のブロックコポリマー又は請求項35に記載の組成物と、過剰の(ポリ)イソシアネートとの反応生成物を含む、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー。
【請求項47】
ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネートブロックA(-A’-Z’-Z-(Z’-A’)
n-)、(ポリ)エステルブロックB、及び(ポリ)エーテルカーボネート又は(ポリ)エーテルブロックCを有するブロックコポリマー残基を含むイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー(ここで、前記残基は、ポリブロック構造:
C-B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B-C)
n
を有し、
式中、n=t-1であり、且つt=前記ブロックA上の末端OH基残基の数であり;
各A’は、独立に、少なくとも70%のカーボネート結合を有するポリカーボネート鎖、又は少なくとも30%のエーテル結合を有するポリエーテルカーボネート鎖であり、各Bは、エポキシドと環状無水物の反応/共重合及び/又は環状エステル開環反応/重合によって形成される(ポリ)エステルブロックであり、各Cは、独立に、50~100%のエーテル結合を有する(ポリ)エーテルカーボネート又は(ポリ)エーテルブロックであり;Z’-Z-(Z’)
nは、開始剤残基である)。
【請求項48】
前記残基が、請求項2~34のいずれか一項で定義された特徴のいずれか1つ以上を含む、請求項47に記載のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー。
【請求項49】
請求項1~34のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマーを含む潤滑剤組成物。
【請求項50】
請求項1~34のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマーを含む界面活性剤組成物。
【請求項51】
請求項1~34のいずれか一項に記載の(ポリ)オールブロックコポリマーを製造するためのプロセスであって、ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネート(ポリ)オールコポリマーを製造するための、開始剤及び/又は溶媒の存在下での、好適な触媒と、CO
2及びエポキシドとの第1の重合反応、ポリカーボネート-エステル又はポリエーテルカーボネート-エステルブロックコポリマーを製造するための、好適なエステル触媒の存在下での、前記第1の反応のコポリマーと、反応/共重合のためのエポキシド及び環状無水物、及び/又は開環反応/重合のための環状エステルとの第2の反応、並びに、好適な第3の反応触媒の存在下での、前記第2の反応のブロックコポリマーと、エポキシド(及び任意選択的にCO
2)との第3の反応/重合反応を含むプロセス。
【請求項52】
分子量のより高いポリマーを製造するための、第3の反応触媒の非存在下での、前記第3の反応のポリブロックコポリマーと、モノマー又はさらなるポリマーとの反応を含む、第4の反応をさらに含む、請求項51に記載のプロセス。
【請求項53】
前記モノマー又はさらなるポリマーが、(ポリ)イソシアネートであり、前記第4の反応の生成物が、ポリウレタンである、請求項52に記載のプロセス。
【請求項54】
多段反応器システム中で(ポリ)オールブロックコポリマーを製造するためのプロセスであって;前記システムが、第1のおよび第2の反応器であって、第1の反応は、前記第1の反応器内で起こり、第2の反応は、前記第1の若しくは第2の反応器又はその両方内で起こり、第3の反応は、前記第2の反応器内で起こる、第1のおよび第2の反応器を含み;
前記第1の反応が、それぞれポリカーボネート又はポリエーテルカーボネート(ポリ)オールコポリマーを製造するための、開始剤及び/又は溶媒の存在下での、カーボネート又はエーテルカーボネート触媒と、CO
2及びエポキシドとの反応であり、前記第2の反応が、ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネートエステルブロックコポリマーを製造するための、ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネート(ポリ)オールコポリマー、エステル触媒、及び、エポキシド及び無水物、又は環状エステルの反応であり、前記第3の反応が、前記(ポリ)オールブロックコポリマーを製造するための、第3の反応触媒と、前記第2の反応のブロックコポリマー及びエポキシド及び任意選択的にCO
2との反応であるプロセス。
【請求項55】
前記第1の反応、前記第2の反応、又は前記第3の反応のエーテルカーボネートの製造に使用される触媒が、1種以上の同等の、有機触媒、アニオン触媒、カチオン触媒、金属アルコキシド触媒、及びルイス酸/塩基ペア触媒から選択される、請求項51~54のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項56】
使用される前記触媒が、1種以上のDMC触媒、金属水酸化物(KOH、NaOH、CsOH等)触媒、超酸(HSbF
6、HPF
6、CF
3SO
3H等)触媒、ルイス酸金属塩(Zn(OTf)
2、La(OTf)
3、Y(OTf)
3)、Cu(BF
4)
2等)触媒、グループ3化合物(ホウ素又はアルミニウム化合物、例えばBF
3、B(C
6F
5)
3、Al(CF
3SO
3)
3等)触媒、有機触媒(イミダゾール又はホスファゾニウム触媒等)、メタロサレネート及び金属アルコキシド(Ti(OiPr)
4等)触媒から選択される、請求項55に記載のプロセス。
【請求項57】
前記触媒が、DMC触媒である、請求項55又は56に記載のプロセス。
【請求項58】
前記第2の反応が、前記第1の反応器内で起こる、請求項54~57のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項59】
前記第1の反応における触媒が、前記第2の反応における触媒としても作用する、請求項51~58のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項60】
前記第2の反応が、前記第2の反応器内で起こる、請求項54~59のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項61】
前記第3の反応の触媒が、前記第2の反応のための触媒としても作用する、請求項51~60のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項62】
前記第2の反応及び/又は第3の反応が、前記第1の反応からの残留する未反応のエポキシドを使用する、請求項51~61のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項63】
前記触媒が、任意選択的に反応器内で又は別々に、事前活性化され、任意選択的に、前記触媒が、開始剤化合物で、又は前記第1の、第2の、又は第3の反応の反応生成物で事前活性化される、請求項51~62のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項64】
前記第3の反応触媒が、任意選択的に反応器内で又は別々に、任意選択的に請求項1~34のいずれか一項のブロックAによるポリカーボネート又はポリエーテルカーボネート(ポリ)オールコポリマー又はブロックBのコポリマー-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B)
nで、事前活性化される、又は請求項1~34のいずれか一項の(ポリ)オールブロックコポリマーで事前活性化される、請求項51~63のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項65】
前記第1の反応の生成物が、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される場合に200~4000ダルトンの範囲内の分子量(Mn)を有する、低分子量ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネート(ポリ)オール生成物である、請求項51~64のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項66】
前記第1の反応が、概して、交互ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネート(ポリ)オール生成物を生じる、請求項51~65のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項67】
前記エポキシドが、非対称であり、且つ前記反応が、40~100%の頭-尾結合、好ましくは70%を超える、80%を超える、又は90%を超える頭-尾結合を有するポリカーボネートを生じる、請求項51~66のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項68】
前記第1の又は第2の反応の生成物が、粗反応混合物として、前記第2の反応器に供給され、前記第2の反応器は、事前活性化された第3の反応触媒を含有する、請求項54~67のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項69】
請求項1~34のいずれかのブロックAによるポリカーボネート又はポリエーテルカーボネート(ポリ)オールコポリマー又はBのブロックコポリマー-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B)
nが、粗反応混合物として、前記第2の反応器に供給され、前記第2の反応器は、事前活性化された第3の反応触媒を含有する、請求項54~68のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項70】
前記第1の反応が、20バール未満、より好ましくは10バール未満のCO
2圧力、最も好ましくは8バール未満のCO
2圧力下で実施される、請求項51~69のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項71】
前記第3の反応が、60バール未満、好ましくは20バール未満、より好ましくは10バール未満、最も好ましくは5バール未満のCO
2圧力下で実施される、請求項51~70のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項72】
前記第2の及び/又は第3の反応が、実質的にCO
2の非存在下で実施される、請求項51~71のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項73】
前記CO
2が、前記第1の反応において、好ましくは開始剤の存在下で、連続的に添加される、請求項51~72のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項74】
前記第1の反応が、回分式、半回分式、又は連続式プロセスであり得る、請求項51~73のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項75】
前記第2の反応が、連続式プロセス又は半回分式プロセスであり得る、請求項51~74のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項76】
前記第3の反応が、回分式、半回分式、又は連続式プロセスであり得る、請求項51~75のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項77】
前記第2の反応器に供給される粗反応混合物が、ある量の未反応のエポキシド及び/又はCO
2及び/又は開始剤を含む、請求項68~76のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項78】
前記第1の及び/又は第2の反応の1種以上の触媒が、前記粗反応混合物中に存在する、請求項68~77のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項79】
前記第1の及び/又は第2の反応の1種以上の触媒が、前記第2の反応器への添加の前に、前記粗反応混合物から取り出されている、請求項68~79のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項80】
前記カーボネート触媒を使用する際、前記第1反応器内の反応温度は、約0℃~250℃の範囲、好ましくは約40℃~約160℃の範囲、より好ましくは約50℃~120℃の範囲にある、請求項54~79のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項81】
前記第2反応器内の反応温度は、約0~約160℃の範囲、好ましくは約50~約140℃の範囲、より好ましくは約70~約110℃の範囲にある、請求項54~80のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項82】
前記反応器は直列に配置されている、請求項54~81のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項83】
前記反応器は入れ子になっている、請求項54~82のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項84】
前記第1及び第2反応器は、温度及び/又は圧力等の異なる反応条件を互いに同時に提供するのに有効である、請求項83に記載のプロセス。
【請求項85】
前記プロセスが、全量のエポキシドを用い、且つエポキシドの全量の約1~100%が、前記第1の反応において混合され、いくらかの残部は、前記第2の及び/又は第3の反応において添加され;任意選択的に、約5~90%が、任意選択的に約10~90%が、任意選択的に約20~90%が、任意選択的に約40~90%が、任意選択的に約40~80%が、任意選択的に約5~50%が、前記第1の反応において混合される、請求項51~84のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項86】
前記エポキシドが、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、置換されたシクロヘキセンオキシド(リモネンオキシド、C
10H
16O又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、C
11H
22O等)、アルキレンオキシド(エチレンオキシド及び置換されたエチレンオキシド等)、置換されていない又は置換されたオキシラン(オキシラン、エピクロロヒドリン、2-(2-メトキシエトキシ)メチルオキシラン(MEMO)、2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME2MO)、2-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME3MO)等)、1,2-エポキシブタン、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルカーボネート、ビニル-シクロヘキセンオキシド、3-フェニル-1,2-エポキシプロパン、2,3-エポキシブタン、イソブチレンオキシド、シクロペンテンオキシド、2,3-エポキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、インデンオキシド、及び官能化された3,5-ジオキサエポキシドから選択される、請求項1~85のいずれか一項に記載の生成物又はプロセス。
【請求項87】
前記環状無水物又は環状エステルが、基:
【化4】
(式中:mは1~20であり、m’は1~10であり、m’’は1~6であり;R
L1及びR
L2は、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミン、ニトリル、アセチリド、カルボキシレート、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、又はアルキルヘテロアリールから選択され、ここで、R
L1及びR
L2の2つ以上は、任意選択的に、一緒になって、飽和、部分的に飽和、又は不飽和の、3~12員の、1個又は複数のヘテロ原子を任意選択的に含有する任意選択的に置換された環系を形成することができ;
R
L3及びR
L4は、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミン、ニトリル、アセチリド、カルボキシレート、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、又はアルキルヘテロアリールから選択され、ここで、R
L3及びR
L4の2つ以上は、任意選択的に、一緒になって、飽和、部分的に飽和、又は不飽和の、3~12員の、1個又は複数のヘテロ原子を任意選択的に含有する任意選択的に置換された環系を形成することができ;隣接する炭素原子上の1つ以上のR
L3及びR
L4が任意選択的に非存在であることによって二重又は三重結合が形成されていてもよく;
R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4は、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミン、ニトリル、アセチリド、カルボキシレート、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール又はアルキルヘテロアリール、又は高分子種(例えばポリビス(フェノール)A)から選択され;ここで、R
a1、R
a2、R
a3、及びR
a4のうちの2つ以上は、任意選択的に、一緒になって、飽和、部分的に飽和、又は不飽和の3~12員の、1個又は複数のヘテロ原子を任意選択的に含有する任意選択的に置換された環系を形成してもよいし、又は一緒になって、二重結合を形成してもよく;
各Qは、独立に、C、O、N、又はS、典型的にはCであり、ここで、R
a3及びR
a4は、存在又は非存在であり、且つ
【化5】
は、
Qの原子価に従って
【化6】
又は
【化7】
であり得る)
から選択される、請求項1~86のいずれか一項に記載の生成物又はプロセス。
【請求項88】
前記環状無水物が、
【化8】
からなる群から選択される、請求項1~87のいずれか一項に記載の生成物又はプロセス。
【請求項89】
前記環状エステルが、
【化9】
からなる群から選択される、請求項1~88のいずれか一項に記載の生成物又はプロセス。
【請求項90】
前記第1の反応における全エポキシドの0.1~20%が、2つ以上のエポキシド部分を含有するエポキシド基質、好ましくはビス-エポキシドである、請求項51~89のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項91】
前記カーボネート触媒が、76%を超えるカーボネート結合を有するポリカーボネート鎖を生成することが可能な触媒である、及び/又は前記エーテルカーボネート触媒が、30%を超えるエーテル結合を有するポリエーテルカーボネート鎖を生成することが可能である、請求項51~90のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項92】
前記カーボネート触媒は、フェノール又はフェノラート配位子を含む金属触媒である、請求項51~91のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項93】
前記カーボネート触媒は、フェノール又はフェノラート配位子を含む二核金属錯体である、請求項51~92のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項94】
前記カーボネート触媒は、式(VI):
【化10】
(式中、Mは、M-(L)
vで表される金属陽イオンであり;
xは、1~4の整数であり、
【化11】
は、1又は複数の多座配位子であり;
Lは、配位している配位子であり;
vは、Mの原子価及び/若しくはMの好ましい配位構造を満たす整数であるか、又は上式(VI)で表される錯体の全体の電荷が中性になる整数である)の触媒である、請求項51~93のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項95】
前記カーボネート触媒は、次に示す構造:
【化12】
(式中、M
1及びM
2は、Zn(II)、Cr(II)、Co(II)、Cu(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)、Ti(II)、V(II)、Cr(III)-X、Co(III)-X、Mn(III)-X、Ni(III)-X、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(III)-X、Ge(IV)-(X)
2、又はTi(IV)-(X)
2から独立に選択され;
R
1及びR
2は、水素、ハライド、ニトロ基、ニトリル基、イミン、アミン、エーテル基、シリル基、シリルエーテル基、スルホキシド基、スルホニル基、スルフィネート基、若しくはアセチリド基、又は任意選択的に置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、脂環式基、若しくはヘテロ脂環式基から独立に選択され;
R
3は、任意選択的に置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、又はシクロアルキレンから独立に選択され、ここで、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、及びヘテロアルキニレンには、アリール、ヘテロアリール、脂肪族環、又はヘテロ脂肪族環が任意選択的に介在していてもよく;
R
5は、H又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、若しくはアルキルアリールから独立に選択され;
E
1はCであり、且つE
2はO、S、若しくはNHであるか、又はE
1はNであり、且つE
2はOであり;
E
3、E
4、E
5、及びE
6は、N、NR
4、O、及びSから選択され、E
3、E
4、E
5、又はE
6がNである場合、
【化13】
は
【化14】
であり、E
3、E
4、E
5、又はE
6がNR
4、O、又はSである場合、
【化15】
は
【化16】
であり;
R
4は、H、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、-アルキルC(O)OR
19、若しくは-アルキルC≡N、若しくはアルキルアリールから独立に選択され;
Xは、OC(O)R
x、OSO
2R
x、OSOR
x、OSO(R
x)
2、S(O)R
x、OR
x、ホスフィネート、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、アミド、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、若しくはヘテロアリールから独立に選択され、Xは、それぞれ、同一であっても異なっていてもよく、Xは、M
1及びM
2の間に架橋を形成していてもよく;
R
xは、独立に、水素又は任意選択的に置換された脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、アルキルアリール、若しくはヘテロアリールであり;
Gは、存在しないか又はルイス塩基である中性若しくは陰イオン性供与性配位子から独立に選択される)を有する、請求項51~94のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項96】
前記カーボネート触媒は、本明細書において定義する式(VI)の触媒、金属サレン触媒、金属ポルフィリン触媒、金属テトラアザアヌレン触媒、及び金属β-ジイミナート触媒から選択される、請求項51~95のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項97】
前記第1の反応のためのエーテルカーボネート触媒、任意選択的に前記第2の反応のための触媒、及び/又は前記第3の反応のための触媒が、DMC触媒であり、且つ任意選択的に、前記DMC触媒が、任意選択的に非化学量論的な量で、少なくとも2個の金属中心及びシアニド配位子に加えて、1種若しくは複数の錯化剤、水、金属塩、及び/又は酸の少なくとも1種も含む、請求項51~96のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項98】
前記DMC触媒は、金属塩の溶液を、金属シアン化物塩の溶液で、錯化剤、水、及び/又は酸の少なくとも1種の存在下に処理することにより調製され、任意選択的に、前記金属塩は、式M’(X’)
p(式中、M’は、Zn(II)、Ru(II)、Ru(III)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(VI)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)、及びCr(III)から選択され、
X’は、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、及び硝酸イオンから選択される陰イオンであり、
pは、1以上の整数であり、前記陰イオンの電荷にpを乗じるとM’の原子価を満たす)を有し;前記金属シアン化物塩は、式(Y)
qM’’(CN)
b(A)
c(式中、M’’はFe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)、及びV(V)から選択され、
Yは、プロトン又はアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオン(K
+等)であり、
Aは、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、及び硝酸イオンから選択される陰イオンであり;
q及びbは、1以上の整数であり;
cは、0又は1以上の整数であってもよく;
陰イオンY、CN、及びAの電荷にq、b、及びcをそれぞれ乗じたものの合計(例えば、Y×q+CN×b+A×c)は、M’’の原子価を満たす)を有し;
前記少なくとも1種の錯化剤は、(ポリ)エーテル、ポリエーテルカーボネート、ポリカーボネート、ポリ(テトラメチレンエーテルジオール)、ケトン、エステル、アミド、アルコール、尿素、又はこれらの組合せから選択され、
任意選択的に、前記少なくとも1種の錯化剤は、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(メ)エトキシエチレングリコール、ジメトキシエタン、tert-ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリム、トリグリム、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、及びsec-ブチルアルコール、3-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、又はこれらの組合せから選択され;
前記酸が存在する場合、式H
rX’’’(式中、X’’’は、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、ホウ酸イオン、塩素酸イオン、炭酸イオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、及び硝酸イオンから選択される陰イオンであり、rは、対イオンX’’’の電荷に対応する整数である)を有する、請求項57~97のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項99】
前記DMC触媒は、式:
M’
d[M’’
e(CN)
f]
g
(式中、M’及びM’’は、請求項98に定義した通りであり、d、e、f、及びgは、整数であり、前記DMC触媒が電気的中性を有するように選択され、
任意選択的に、dは3であり、eは1であり、fは6であり、gは2である)を含む、請求項57~98のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項100】
前記DMC触媒は、式:
M’
d[M’’
e(CN)
f]
g・hM’’’X’’
i・jR
c・kH
2O・lH
rX’’’
(式中、M’、M’’、d、e、f、及びgは、請求項98に定義した通りであり、M’’’は、M’及び/又はM’’であり、X’’は、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、及び硝酸イオンから選択される陰イオンであり、iは、1以上の整数であり、前記陰イオンX’’の電荷にiを乗じたものがM’’’の原子価を満たし、h、j、k、及びlは、それぞれ独立に、0又は正の数であり、rは、対イオンX’’’の電荷に対応する整数であり、R
cは、錯化剤又は1種若しくは複数種の錯化剤の組合せである)を含む、請求項57~99のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項101】
前記DMC触媒は、Zn
3[Co(CN)
6]
2(亜鉛ヘキサシアノコバルト酸塩)をベースとする、請求項57~100のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項102】
前記DMC触媒は、亜鉛ヘキサシアノコバルト酸塩であり、前記1種又は複数種の配位子は、アルコール及びポリオールから選択される、請求項57~101のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項103】
前記1種又は複数種の錯化剤は、ジメトキシエタン、tert-ブチルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエーテルカーボネート、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリカーボネートから選択される、請求項102に記載のプロセス。
【請求項104】
前記第1の及び/又は第2の反応の生成物が、単一部分で、又は連続的又は不連続的方式で、前記第2の反応器に供給され、任意選択的に、前記第1の及び/又は第2の反応の生成物が、未反応のエポキシド及び/又はカーボネート又はエーテルカーボネート触媒を含む、請求項54~103のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項105】
前記第1の及び/又は第2の反応の生成物が、エポキシド、及び任意選択的にCO
2及び/又は環状無水物及び/又は環状エステルの添加の前に、前記第2の又は第3の反応における前記触媒を事前活性化するために使用される、請求項51~104のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項106】
請求項1~34のいずれか一項のブロックAによるポリカーボネート(ポリ)オールコポリマー、前記第2の反応の生成物、又は請求項1~34のいずれか一項の(ポリ)オールブロックコポリマーが、エポキシド、及び任意選択的にCO
2及び/又は環状無水物及び/又は環状エステルの添加の前に、前記第2の又は第3の反応における前記触媒を事前活性化するために使用される、請求項51~105のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項107】
前記第1の及び/又は第2の及び/又は第3の反応において、同じ又は異なるエポキシドが使用される、請求項51~106のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項108】
前記第1の又は第2の又は第3の反応において使用されるエポキシドが、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、又はプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混合物を含む、請求項51~107のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(ポリ)オールブロックコポリマーに、より具体的には、ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネート、ポリエステル、及びポリエーテル又はエーテルカーボネートブロックを有する、(ポリ)オールブロックコポリマーに関する。本発明は、こうしたポリオールから製造されたポリウレタン等のより高分子のポリマー、ポリオール及び分子量のより高いポリマーを含有する生成物及び組成物、並びにこうしたポリオールの製造のプロセスに拡大される。
【背景技術】
【0002】
ポリエーテルカーボネートポリオールを製造するためのDMC触媒を使用する、ポリカーボネートポリオールへの二酸化炭素の組みこみは、数年にわたって知られてきた。環境的利益に起因して、より多くの二酸化炭素、すなわち温室効果ガスを、こうしたポリオールに組みこむことが望ましい。サレン及びポルフィリンベースのカーボネート触媒を使用する、高カーボネート含有量を有する二酸化炭素とエポキシド由来のポリカーボネートポリオールが、開発され、いくつかの特許出願、例えば、特許文献1に開示されている。しかし、サレン及びポルフィリン触媒は、高カーボネート含有量を与えることができるが、ポリマー鎖末端の「アンジッピング(unzipping)」に起因して、不十分な熱安定性及び塩基条件安定性を有する、高粘度を有するポリオールも生成する。
【0003】
特許文献2は、ポリエーテルカーボネート又はポリカーボネートブロックと、ポリエーテル等の親水性ブロックとを有する、界面活性剤としての使用のための様々なブロックコポリマーを開示している。サレン触媒及びDMC触媒及び低分子量連鎖移動剤を使用して製造されるトリブロックポリエーテル-ポリカーボネート-ポリエーテルトリブロックを含めた、様々な技術及び触媒が開示されている。製造されるポリマーは、粘性の油として記載されていた。
【0004】
高カーボネート含有量をもたらす改良されたカーボネート触媒も、特許文献3~5に例示されている通りに開発されており、これらは、高温(>50℃)でも高い選択性を有するポリオールを生じるが、ポリオールの高カーボネート含有量は、製造後の「アンジッピング」に対して脆弱なままである。
【0005】
特許文献6(特許文献7)は、カーボネートポリオールに無水物末端キャップを付加し、次いで単一のエポキシドを新しい鎖末端と反応させてポリマーにOH末端基を戻すことによって、ポリカーボネート鎖末端の分解又は「アンジッピング」によって引き起こされる不安定性を低下させる方法を開示している。特許文献8は、鎖末端でのエポキシド基の重合が、望ましくなく、ポリエーテル末端基によって導入される分子量又は望ましくない特性の増大をもたらすことを教示している。特許文献8によって製造されるポリマーは、やはり、高粘度という問題を有し、使用することが難しい。これらのポリオールを加工することは、溶媒及び複数の単離ステップを必要とする。
【0006】
特許文献2と同じプロセス及びトリブロックが、特許文献9に開示されている。より大きい安定性を提供するために、ポリエーテルブロックが提供される。しかし、特許文献9において末端キャップすることは、連鎖移動と重合速度との間の競合に起因して、完全ではない。第2の重合ステップにおけるポリカーボネートの熱分解を防止するために、全ての反応が、室温以下で及び/又は過剰なエポキシドと共に実施される必要がある。
【0007】
DMC触媒によって製造されるポリエーテルカーボネートは、特許文献10(特許文献11)から公知であり、ポリエーテル末端ブロックは、過剰なエポキシドを使用し、重合を継続することによって提供されている。ポリエーテル末端ブロックは、環状の副生成物を生じる望ましくない鎖アンジッピングを防止するために提供される。しかし、こうしたポリオールは、高い圧力を必要とし、低カーボネート含有量、高分子量を有し、依然としてポリマー鎖の末端に不安定なカーボネート単位を導入する可能性がある(ここではポリマー鎖を「アンジップ(unzip)」する可能性が存在する)。
【0008】
さらに、DMC触媒単独を使用する、二酸化炭素、アルキレンオキシド、及び環状無水物由来の、ポリエーテルエステルカーボネートポリオールのターポリマー(例えば、特許文献12(特許文献13)、特許文献14(特許文献15))が示されている。環状無水物の使用は、それを用いないよりも優れた選択性を与えることを助けるが、やはり比較的低いCO2含有量(<30% カーボネート結合、約<15重量% CO2)しか有しないポリマーを生じる。ブロックを含む様々な型のポリマーが言及されているが、特定のブロック構造は示されず、文献及び実施例は、概して、ランダム重合されたターポリマー構造に関する。
【0009】
特許文献16は、ポリカーボネートブロックとポリエステルブロックと任意選択的にさらなるブロックを含む、単一の触媒系を使用するブロックコポリマーを作製する方法を対象とする。しかし、ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネート-ポリエステル-ポリエーテル又はポリエーテルカーボネート末端ブロックを有する特定のトリブロックは言及されず、また、少なくとも50%のエーテル結合を有する末端ブロックは、単一の触媒系によって、想定されない又は入手可能ではない。
【0010】
本発明の一目的は、こうしたブロックコポリマー及びその製造のプロセスに伴う、これらの問題及び他の問題に対処することである。
本発明者らは、驚いたことに、ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネートコアと、コアの末端のエステル又はポリエステルブロックと、エーテル、ポリエーテル、又はポリエーテルカーボネート鎖末端とを有するトリブロック構造が、ポリオールの安定性向上をもたらすだけでなく、コアの末端のエステルの付加がまた、工業プロセスに適した高温であっても、(ポリ)エーテル/(ポリ)エーテルカーボネート形成反応におけるポリカーボネートの分解を防止することによって、製造中の選択性向上を提供することができることを発見した。さらに、こうしたポリオールはまた、加工の改善をもたらすことができる、より低い粘度を有することができる。さらに、こうしたトリブロックポリオールは、3つのブロックの存在のおかげで、最終用途のための特性の変動のより多くの可能性を有する。いっそうさらには、第2のブロックを、コアブロックにも使用される触媒及び/又は末端ブロックに使用される触媒によって導入することができるので、製造のプロセスが、製造のプロセスのより大きい柔軟性も提供することができる。したがって、(ポリ)エステルは、コアブロックを生成する第1の反応の最後に第1の反応器内に、又は末端ブロックを生成する第3の反応の前に第2の反応器内に添加することができる。
【0011】
本発明のコアブロックは、好都合なことに穏やかな圧力で導入される有意に増大されたCO2含有量(例えば>20重量%)を含有することができ、低分子量ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネートブロックポリエステルポリオール(例えば<1000Mn)は、分離されないままでいることができ、いずれの触媒、未反応のモノマー、又は溶媒も取り除かずに、ある反応器から第2の反応器に直接移すことができる。
【0012】
特許文献17は、ポリエーテルカーボネートポリオールを生成するために、カーボネート触媒とDMC触媒が、1つの反応器内で使用されるプロセスを記載している。この反応の条件は、2つの異なる触媒の必要性を満たすためにバランスを取らなければならない。好都合なことに、本発明は、システム全体に適合させることを損なうのではなくそれぞれ個々の触媒のための条件の最適化を可能にし、2つの異なる型の触媒、すなわちカーボネート触媒と、DMC触媒等の(ポリ)エーテル又は(ポリ)エーテルカーボネート末端ブロックのための触媒の使用のための条件の最適化を可能にすることができる。次いで、最も好都合な反応器内で、エステルブロック反応を実施することができる。ブロックポリオール中間体を、事前活性化(pre-activate)されたDMC触媒(これは、反応器内の未反応のモノマー含有量を制限することによって、サイクル時間を短縮し、プロセス安全性を増大させるので、より望ましい)に直接的に添加することもできる。
【0013】
さらに、本発明を使用して、製造中と製造後の両方の安定性増大を提供する、高エーテル含有量鎖の末端ブロック及び中間のエステル又はポリエステルブロックと共に高カーボネート含有量鎖のコアを含有することができる、独特のブロックコポリマーを生成することができる。上に言及した通り、トリブロックポリオールは、3つのブロックの存在のおかげで、最終用途のための特性の変動のより多くの可能性を有する。中間のブロックは、最終のポリオール又は分子量のより高いポリマー生成物の特性を改変することができる特異的な特性を有するエステルを導入する可能性を提供する。例えば、無水フタル酸を使用することにより、芳香族含有量増大のおかげで、燃焼性能を高めることができるか、又は無水マレイン酸を使用することにより、遊離の二重結合のおかげで、潜在的な架橋結合機能性が提供される。さらに、中央のブロック内のエステル結合は、他の特性を向上させる可能性がある。例えば、エステル単位は、PU強度、接着、耐油性における性能を向上させる可能性がある。こうしたポリオールから製造されたポリウレタンは、エステル/ポリエステルブロック及び高エーテル含有量末端ブロックが提供する、より高い熱安定性を引き続き保持しながら、高カーボネート結合の利点から恩恵を受けることができる(例えば、強度増大、耐薬品性増大、加水分解と油の両方に対する耐性等)。したがって、本発明は、以前はこうした安定な形態では可能ではなかった、ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネートの使用における高い度合いの柔軟性を有するポリオールを提供する。
【0014】
このポリオールは、好都合なことに、妥当な反応において、同じ又は類似のエポキシド反応物及びCO2を使用して製造することができる。
中間の(ポリ)エステルブロックの使用は、中間生成物の安定性向上を提供することができ、これは、より高い加工温度が可能であることを意味する。いくつかの実施形態では、その安定性のおかげで、中間生成物を保管することが可能である。中間生成物の粘度はまた、より少ない溶媒及びより容易な精製を可能にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2010028362号
【特許文献2】国際公開第2010062703号
【特許文献3】国際公開第2013/034750号
【特許文献4】国際公開第2016/012786号
【特許文献5】国際公開第2016/012785号
【特許文献6】米国特許第10308759号明細書
【特許文献7】国際公開第2015154001号
【特許文献8】米国特許第10308759号明細書
【特許文献9】国際公開第2020068796号
【特許文献10】米国特許出願公開第2009/0306239号明細書
【特許文献11】国際公開第2008058913号
【特許文献12】米国特許出願公開第2016/0362518号明細書
【特許文献13】国際公開第2015128277号
【特許文献14】米国特許出願公開第2014/0329987号明細書
【特許文献15】国際公開第2013087582号
【特許文献16】国際公開第2014/184578号
【特許文献17】国際公開第2017037441号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、特許請求の範囲によって定義された通りの(ポリ)オールブロックコポリマーが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
疑念を避けるために付言すれば、t=1である場合、n=0であり、且つポリブロック構造は:
C-B-A’-Z’-Z
である。
【0018】
そのポリカーボネート又はポリエーテルカーボネートブロックは、次の構造:
【0019】
【0020】
(式中、ポリカーボネート鎖の場合には、qが0でないならば、p:qの比は、少なくとも7:3であり、ポリエーテルカーボネート鎖の場合には、p:qの比は、少なくとも3:7であり;
Re1、Re2、Re3、及びRe4は、ブロックAを調製するために使用されるエポキシドの性質に依存する)
を有することができる-A’-を含む。
【0021】
ブロックBは、次の構造
【0022】
【0023】
(式中、n2は、1又は複数であり、n3/n4は、1又は複数である)
のうちの一つを有する。
ブロックCは、次の構造:
【0024】
【0025】
(式中、wは1又は複数であり、vは0以上であり、vが0でないならば、w:vの比は、少なくとも1:1であり;ただし、n2とn3/n4の合計が1であるならば、wは、少なくとも2であり、且つwが1であるならば、n2とn3/n4の合計が少なくとも2であるという条件であり;
Re1、Re2、Re3、及びRe4は独立に、それぞれのブロック内のエポキシド残基に依存し;
Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4、又はRL1/L3、RL2/L4、m、m’、及びm’’は、ブロックB内の環状無水物又はエステル残基に依存する)を有することができる。
【0026】
各Re1、Re2、Re3、又はRe4は、独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシル、又は任意選択的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、若しくはヘテロアルケニルから選択する、好ましくはH又は任意選択的に置換されたアルキルから選択することができる。
【0027】
Re1又はRe3とRe2又はRe4は、一緒になって、炭素及び水素原子、並びに任意選択的に1個又は複数のヘテロ原子を含有する、飽和、部分的不飽和、又は不飽和の環を形成することができる。
【0028】
上に記述した通り、Re1、Re2、Re3、及びRe4の性質は、反応に使用されるエポキシドに依存することとなる。例えば、エポキシドが、シクロヘキセンオキシド(CHO)であるならば、Re1又はRe3とRe2又はRe4は、一緒になって、6員のアルキル環(例えばシクロヘキシル環)を形成することとなる。エポキシドが、エチレンオキシドであるならば、Re1、Re2、Re3、及びRe4は、Hであることとなる。エポキシドが、プロピレンオキシドであるならば、エポキシドがポリマー骨格にどのように付加されるかということに応じて、Re1、Re2、Re3、及びRe4のうちの3個はHであることとなり、1個はメチルであることとなる。エポキシドが、ブチレンオキシドであるならば、Re1、Re2、Re3、及びRe4のうちの3個はHであることとなり、1個はエチルであることとなる。エポキシドが、スチレンオキシドであるならば、Re1、Re2、Re3、及びRe4のうちの3個はHであることとなり、1個はフェニルであることとなる。エポキシドが、グリシジルエーテルであるならば、Re1、Re2、Re3、及びRe4のうちの3個はHであることとなり、1個はエーテル基(-CH2-OR20)であることとなる。エポキシドが、グリシジルエステルであるならば、Re1、Re2、Re3、及びRe4のうちの3個はHであることとなり、1個はエステル基(-CH2-OC(O)R12)であることとなる。エポキシドが、グリシジルカーボネートであるならば、Re1、Re2、Re3、及びRe4のうちの3個はHであることとなり、1個はカーボネート基(CH2-OC(O)OR18)であることとなる。
【0029】
エポキシドの混合物が使用されるならば、Re1、Re2、Re3、及びRe4の各存在は、同じでなくても良い、例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物が使用されるならば、Re1、Re2、Re3、及びRe4は、独立に、水素又はメチルであり得ることも理解されるであろう。
【0030】
各ブロック内のRe1、Re2、Re3、及びRe4の各存在は、残りのブロック内の対応するRe1、Re2、Re3、及びRe4と同じでも異なっても良いことも理解されるであろう。
【0031】
したがって、Re1、Re2、Re3、及びRe4は、独立に、水素、アルキル、又はアリールから選択することができるか、又はRe1又はRe3とRe2又はRe4は、一緒になって、シクロヘキシル環を形成することができる、好ましくは、Re1、Re2、Re3、及びRe4は、独立に、水素、メチル、エチル、又はフェニルから選択することができるか、又はRe1又はRe3とRe2又はRe4は、一緒になって、シクロヘキシル環を形成することができる。
【0032】
Z及びZ’が何であるかは、開始剤化合物の性質に依存することとなる。
開始剤化合物は、式(V):
Z-(RZ)a (V)
のものであり得る。
【0033】
Zは、自身に付着された1個又は複数の-RZ基、好ましくは自身に付着された2個以上の-RZ基を有することができる、任意の基とすることができる。したがって、Zは、任意選択的に置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレンから選択することができるか、又はZは、これらの基のいずれかのものの組み合わせとすることができ、例えば、Zは、アルキルアリーレン、ヘテロアルキルアリーレン、ヘテロアルキルヘテロアリーレン、又はアルキルヘテロアリーレン基とすることができる。任意選択的に、Zは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はヘテロアリーレンである。
【0034】
aは、少なくとも1、好ましくは少なくとも2である整数であることが理解されるであろう。任意選択的に、aは、1~8の範囲内であり、任意選択的に、aは、2~6の範囲内である。
【0035】
RZは、それぞれ、-OH、-NHR’、-SH、-C(O)OH、-P(O)(OR’)(OH)、-PR’(O)(OH)2、又は-PR’(O)OHとすることができ、任意選択的に、RZは、-OH、-NHR’、又は-C(O)OHから選択され、任意選択的に、Rzは、それぞれ、-OH、-C(O)OH又はこれらの組合せである(例えば、Rzはそれぞれ-OHである)。
【0036】
R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、若しくはヘテロシクロアルキルとすることができ、任意選択的に、R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキルである。
【0037】
Z’は、反応活性度の高い水素原子を結合に置き換えたことを除いてRzに相当する。したがって、各Z’が何であるかは、開始剤化合物のRZの定義に応じて異なる。したがって、各Z’は、-O-、-NR’-、-S-、-C(O)O-、-P(O)(OR’)O-、-PR’(O)(O-)2、又は-PR’(O)O-(式中、R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、若しくはヘテロシクロアルキルとなり得、好ましくは、R’は、H又は任意選択的に置換されたアルキルである)となり得、好ましくはZ’は、-C(O)O-、-NR’-、又は-O-となり得、より好ましくは、各Z’は、-O-、-C(O)O-、又はこれらの組合せとなり得、より好ましくは、各Z’は、-O-となり得ることが理解されるであろう。好ましくは、(ポリ)オールブロックコポリマーの分子量(Mn)は、約300~20,000Daの範囲にあり、より好ましくは約400~8000Daの範囲にあり、最も好ましくは約500~6000Daの範囲にある。
【0038】
(ポリ)オールブロックコポリマーのポリカーボネート又はポリエーテルカーボネートブロック、すなわちAは、好ましくは、約200~4000Daの範囲内の、より好ましくは約200~2000Da、最も好ましくは約200~1000Da、特に約400~800Daの範囲内の分子量(Mn)を有する。
【0039】
(ポリ)オールブロックコポリマーの(ポリ)エステルブロック、すなわちBは、好ましくは、約50~5,000Da、より好ましくは約50~1,000Da、最も好ましくは約50~500、例えば50~400Daの範囲内の分子量(Mn)を有する。
【0040】
(ポリ)オールブロックコポリマーの(ポリ)エーテル又は(ポリ)エーテルカーボネートブロック、すなわちCは、好ましくは、約100~20,000Da、より好ましくは約200~10,000Da、最も好ましくは約200~5000Daの範囲内の分子量(Mn)を有する。
【0041】
或いは、(ポリ)エーテル又は(ポリ)エーテルカーボネートブロックC、したがって(ポリ)オールブロックコポリマーも、高分子量を有することができる。(ポリ)エーテル又は(ポリ)エーテルカーボネートブロックCは、少なくとも約25,000ダルトン、例えば少なくとも約40,000ダルトン、例えば少なくとも約50,000ダルトン、又は少なくとも約100,000ダルトンの分子量を有することができる。本発明の方法によって形成される高分子量(ポリ)オールブロックコポリマーは、約100,000ダルトンを超える分子量を有することができる。
【0042】
本明細書で定義される及び/又は本発明のプロセスによって生成されるポリマーのMn、したがってPDIは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定することができる。例えば、GPCは、直列の2本のAgilent PLgel μ-m mixed-Dカラムを備えたAgilent 1260 Infinity GPC装置を使用して測定することができる。試料は、分子量分布の狭いポリスチレン標準(例えば、Agilent Technologiesにより提供される、405~49,450g/molの範囲のMnを有するポリスチレン低分子量EasiVials)を基準として、1mL/分の流速を用いて、THF中で、室温(293K)で測定することができる。任意選択的に、試料を、Agilent Technologiesより提供されるポリエチレングリコールeasivials等のポリ(エチレングリコール)標準を基準として測定することができる。
【0043】
ポリオールブロックコポリマーのポリカーボネートブロック、すなわちAは、少なくとも76%のカーボネート結合、好ましくは少なくとも80%のカーボネート結合、より好ましくは少なくとも85%のカーボネート結合を有することができる。ブロックAは、98%未満のカーボネート結合、好ましくは97%未満のカーボネート結合、より好ましくは95%未満のカーボネート結合を有することができる。任意選択的に、こうしたブロックAは、75%~99%の間のカーボネート結合、好ましくは77%~95%の間のカーボネート結合、より好ましくは80%~90%の間のカーボネート結合を有する。
【0044】
(ポリ)オールブロックコポリマーのポリエーテルカーボネートブロック、すなわちAは、少なくとも32%のエーテル結合、好ましくは少なくとも35%のエーテル結合、より好ましくは少なくとも40%のエーテル結合を有することができる。ブロックAは、70%未満のエーテル結合、好ましくは65%未満のエーテル結合、より好ましくは60%未満のエーテル結合を有することができる。任意選択的に、こうしたブロックAは、30%~90%の間のエーテル結合、好ましくは30%~70%の間のエーテル結合、より好ましくは30%~50%の間のエーテル結合を有する。
【0045】
(ポリ)オールブロックコポリマーの(ポリ)エーテル又は(ポリ)エーテルカーボネートブロック、すなわちCは、40%未満のカーボネート結合、好ましくは30%未満のカーボネート結合、より好ましくは20%未満のカーボネート結合を有することができる。ブロックCは、0%又は最高5%のカーボネート結合、典型的には、最高10%のカーボネート結合、より典型的には、最高15%又は20%のカーボネート結合を有することができる。任意選択的に、ブロックCは、0%~50%の間のカーボネート結合、典型的には0%~35%の間のカーボネート結合、より典型的には0%~20%の間のカーボネート結合を有することができる。
【0046】
(ポリ)オールブロックコポリマーの(ポリ)エーテル又は(ポリ)エーテルカーボネートブロック、すなわちCは、少なくとも60%のエーテル結合、好ましくは少なくとも70%のエーテル結合、より好ましくは少なくとも80%のエーテル結合を有することができる。(ポリ)オールブロックコポリマーの(ポリ)エーテルカーボネートブロック、すなわちCは、95%未満のエーテル結合、好ましくは90%未満のエーテル結合、より好ましくは85%未満のエーテル結合を有することができる。任意選択的に、ブロックCは、50%~100%の間のエーテル結合、好ましくは65%~100%の間のエーテル結合、より好ましくは80%~100%の間のエーテル結合を有することができる。
【0047】
(ポリ)オールブロックコポリマーのポリカーボネートブロック、すなわちAはまた、エーテル結合を含むことができる。ブロックAは、24%未満のエーテル結合、好ましくは20%未満のエーテル結合、より好ましくは15%未満のエーテル結合を有することができる。ブロックAは、少なくとも1%のエーテル結合、好ましくは少なくとも3%のエーテル結合、より好ましくは少なくとも5%のエーテル結合を有することができる。任意選択的に、ブロックAは、1%~25%の間のエーテル結合、好ましくは5%~20%の間のエーテル結合、より好ましくは10%~15%の間のエーテル結合を有することができる。
【0048】
任意選択的に、ブロックAは、概して、交互ポリカーボネートポリオール残基であり得る。
エポキシドが非対称であるならば、ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネートは、0~100%の間の頭-尾結合、好ましくは40~100%の間の頭-尾結合、より好ましくは50~100%の間の頭-尾結合を有することができる。ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネートは、エポキシドの非立体選択的開環を示唆する1:2:1の度合いの頭-頭結合、尾-尾結合、及び頭-尾結合の統計的分布を有することもできるし、50%超、任意選択的に60%超、70%超、80%超、又は90%超の度合いの頭-尾結合を優先的に作ることもできる。
【0049】
典型的には、ブロックA中のエポキシド残基と、組み合わせられるブロックB及びC中のエポキシド及び任意選択的に環状エステル残基とのmol/mol比は、25:1~1:250の範囲内である。典型的には、ブロックAと、組み合わせられるブロックB及びCとの重量比は、50:1~1:100の範囲内である。
【0050】
典型的には、ブロックA、すなわちポリカーボネート又はポリエーテルカーボネートブロックは、エポキシド及びCO2に由来し、より典型的には、エポキシド及びCO2は、ブロック中の残基の少なくとも90%を提供し、特に、ブロック中の残基の少なくとも95%、より特別には、ブロック中の残基の少なくとも99%、最も特別にはブロック中の残基の約100%が、エポキシド及びCO2の残基である。最も典型的には、ブロックAは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド残基、及び任意選択的に他のエポキシド残基、例えばシクロヘキシレンオキシド、ブチレンオキシド、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、及びグリシジルカーボネートを含む。ブロックAのエポキシド残基の少なくとも30%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり得、典型的には、ブロックAのエポキシド残基の少なくとも50%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、より典型的には、ブロックAのエポキシド残基の少なくとも75%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、最も典型的には、ブロックAのエポキシド残基の少なくとも90%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基である。
【0051】
典型的には、ブロックAのカーボネートは、CO2に由来する、すなわち、カーボネートは、CO2残基を組みこむ。典型的には、ブロックAが、ポリカーボネートであるならば、ブロックAは、70~100%の間のカーボネート結合、より典型的には、80~100%、最も典型的には、90~100%を有する。ブロックAが、ポリエーテルカーボネートであるならば、ブロックAは、10~15%の間のカーボネート結合、より典型的には、30及び70%のカーボネート結合、最も典型的には、50~70%のカーボネート結合を有する。
【0052】
典型的には、ブロックC、すなわち(ポリ)エーテル又は(ポリ)エーテルカーボネートブロックは、エポキシド及び任意選択的にCO2に由来し、典型的には、エポキシド及びCO2は、ブロック中の残基の少なくとも90%を提供し、特に、ブロック中の残基の少なくとも95%、より特別には、ブロック中の残基の少なくとも99%、最も特別にはブロック中の残基の約100%が、エポキシド及び任意選択的にCO2の残基である。最も典型的には、ブロックCは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド残基、及び任意選択的に他のエポキシド残基、例えばシクロヘキシレンオキシド、ブチレンオキシド、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、及びグリシジルカーボネートを含む。ブロックCのエポキシド残基の少なくとも30%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり得、典型的には、ブロックCのエポキシド残基の少なくとも50%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、より典型的には、ブロックCのエポキシド残基の少なくとも75%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基であり、最も典型的には、ブロックCのエポキシド残基の少なくとも90%は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド残基である。
【0053】
任意選択的に、ブロックCは、カーボネート基に、CO2残基を組み入れる。或いは、ブロックCは、0%のカーボネート基を有する(ポリ)エーテルである。
任意選択的に、ブロックCは、ポリオキシメチレン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)、ポリ(グリシジルエーテルオキシド)、ポリ(クロロメチルエチレンオキシド)、ポリ(シクロペンテンオキシド)、ポリ(シクロヘキセンオキシド)、及びポリ(3-ビニルシクロヘキセンオキシド)からなる群から選択される、ポリエーテル鎖である。
【0054】
典型的には、ブロックBは、エポキシドと環状無水物の反応/共重合及び/又は環状エステル開環反応/重合によって形成される(ポリ)エステル鎖である。
本明細書で定義された通りの触媒の存在下での、エポキシドと環状無水物との間の反応によって生成された(ポリ)エステルは、次の通りに示すことができる:
【0055】
【0056】
(式中、n2は、1又は複数、例えば2以上であり、1~10,000、例えば1~1000、例えば1~100、例えば2、3、4、又は5~10若しくは100若しくは1000若しくは10,000の範囲内であり得る)。
【0057】
本明細書で定義された通りの触媒系の存在下での、ラクトン又は環状ジエステル等の環状エステルの開環は、次の通りにスキーム1及び2によって示すことができる:
【0058】
【0059】
スキーム1:ラクトンの開環
【0060】
【0061】
スキーム2:環状ジエステルの開環
上述のスキームでは、n3及びn4は、独立に、1又は複数、例えば2以上から選択され、1~10,000、例えば1~1000、例えば1~100、例えば2、3、4、又は5~10若しくは100若しくは1000若しくは10,000の範囲内であり得る。したがって、二量体、三量体、四量体、五量体(すなわちn3又はn4=2、3、4、5の場合)又はポリマー(すなわちn3又はn4=1~10,000の場合)等の(ポリ)エステルブロックを作製するために、本明細書に記載された本発明の方法を使用して、ラクチド及び/又はラクトンを開環することができる。
【0062】
本発明の特定の実施形態では、本発明のプロセスは、ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネート-(ポリ)エステルブロックコポリマーを最初に製造し、この方法は、最初に、触媒系の存在下で、二酸化炭素とエポキシドを、重合させて、式(VII)のもの等のカーボネート触媒でポリカーボネート、又はDMC触媒等のエーテルカーボネート触媒でポリエーテルカーボネートブロックを形成することと、この反応混合物に、無水物(及び任意選択的に、第1のブロックを製造するために使用されるエポキシドと同じでも異なっても良いさらなるエポキシド)を添加することとを含む。この反応は、次の通りに、出発物質を示さずに、簡易化された形式で示すことができる:
【0063】
【0064】
上述の反応では、エポキシドの全てが、第1のブロックの製造において消費されるならば、第2のブロックを製造するために、反応混合物に、さらなるエポキシドが添加される必要があることとなることが理解されるであろう。
【0065】
第2のブロックを製造するために使用されるエポキシドモノマーは、無水物/二酸化炭素と同時に触媒系に添加することもできるし、第1のブロックの製造の前に触媒系に存在することもできることが可能である。
【0066】
第2の反応が、環状エステルの開環反応である場合、この反応は、次の通りに、出発物質を示さずに、簡易化された形式で示すことができる:
【0067】
【0068】
本発明の第2の態様によれば、特許請求の範囲によって定義された通りの(ポリ)オールブロックコポリマーを含む組成物が提供される。
この組成物は、当該技術分野において知られている1種又は複数種の添加剤も含むことができる。添加剤としては、これらに限定されるものではないが、触媒、発泡剤、安定剤、可塑剤、充填剤、難燃剤、消泡剤、及び酸化防止剤を挙げることができる。
【0069】
充填剤は、無機充填剤又は高分子充填剤、例えば、スチレン-アクリロニトリル(SAN)分散充填剤(dispersion filler)から選択することができる。
発泡剤は、化学的発泡剤又は物理的発泡剤から選択することができる。化学的発泡剤は、典型的には、(ポリ)イソシアネートと反応し、CO2等の揮発性化合物を遊離させる。物理的発泡剤は、典型的には、その沸点が低いことに起因して、発泡体を形成する最中に気化する。好適な発泡剤は当業者に知られており、発泡剤の添加量は、定型的な実験を行う事項となり得る。1種若しくは複数種の物理的発泡剤を使用することもできるし、又は1種若しくは複数種の化学的発泡剤を使用することもできるし、更に、1種又は複数種の物理的発泡剤を1種又は複数種の化学的発泡剤と併せて使用することもできる。
【0070】
化学的発泡剤としては、水及びギ酸が挙げられる。どちらも(ポリ)イソシアネートの一部と反応して、発泡剤として機能することができる二酸化炭素を生成する。或いは、二酸化炭素を直接発泡剤として使用することもでき、こうすることにより、副反応が回避されると共に、尿素架橋の形成が低減されるという利点があり、所望により、水を他の発泡剤と併せて使用することも、単独で使用することもできる。
【0071】
通常、本発明に使用するための物理的発泡剤は、アセトン、二酸化炭素、任意選択的に置換された炭化水素、及びクロロ/フルオロカーボンから選択することができる。クロロ/フルオロカーボンとしては、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、及びクロロカーボンが挙げられる。フルオロカーボン発泡剤は、典型的には:ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、フルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1-トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ジフルオロクロロエタン、ジクロロモノフルオロメタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、1,1-ジフルオロ-1,2,2-トリクロロエタン、クロロペンタフルオロエタン、テトラフルオロプロパン、ペンタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、ペンタフルオロブタンからなる群から選択される。
【0072】
オレフィン発泡剤、即ち、トランス-1-クロロ-3.3.3-トリフルオロプロペン(LBA)、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-プロプ-1-エン(HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロ-プロペン(HFO-1234yf)、シス-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz)を含有させることもできる。
【0073】
典型的には、物理的発泡剤として使用するための非ハロゲン化炭化水素は、ブタン、イソブタン、2,3-ジメチルブタン、n-及びi-ペンタン異性体、ヘキサン異性体、ヘプタン異性体、並びにシクロペンタン、シクロヘキサン、及びシクロヘプタン等のシクロアルカンから選択することができる。より典型的には、物理的発泡剤として使用するための非ハロゲン化炭化水素は、シクロペンタン、イソペンタン、及びn-ペンタンから選択することができる。
【0074】
典型的には、1種又は複数種の発泡剤が存在する場合、これらは、配合物全体の約0~約10部、より典型的には2~6部の量で使用される。水が他の発泡剤と併用される場合、2種の発泡剤の比は幅広く変化させることができ、例えば、発泡剤全体において、水は、1~99重量部、好ましくは、水を25重量部~99重量部を超える。
【0075】
好ましくは、発泡剤は、シクロペンタン、イソペンタン、n-ペンタンから選択される。より好ましくは、発泡剤は、n-ペンタンである。
典型的な可塑剤は、コハク酸エステル、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、フタル酸ジイソオクチル(DIOP)、安息香酸エステル、及びN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)から選択することができる。
【0076】
典型的な難燃剤は当業者に知られており、ホスホンアミダート(phosphonamidate)、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-ホスファフェナントレン-10-オキシド(DOPO)、塩素化リン酸エステル、トリス(2-クロロイソプロピル)ホスフェート(TCPP)、リン酸トリエチル(TEP)、リン酸トリス(クロロエチル)、リン酸トリス(2,3-ジブロモプロピル)、2,2-ビス(クロロメチル)-1,3-プロピレンビス(ジ(2-クロロエチル)ホスフェート)、リン酸トリス(1,3-ジクロロプロピル)、テトラキス(2-クロロエチル)エチレンジホスフェート、リン酸トリクレジル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸ジアンモニウム、メラミン、ピロリン酸メラミン、尿素リン酸塩、アルミナ、ホウ酸、各種ハロゲン化化合物、酸化アンチモン、クロレンド酸誘導体、リン含有ポリオール、臭素含有ポリオール、窒素含有ポリオール、及び塩素化パラフィンから選択することができる。難燃剤は、混合物全体の0~60部の量で存在することができる。
【0077】
本発明の組成物は、(ポリ)イソシアネートを更に含むことができる。
典型的には、(ポリ)イソシアネートは、1分子当たり2個以上のイソシアネート基を含む。好ましくは、(ポリ)イソシアネートは、ジイソシアネートである。しかしながら、(ポリ)イソシアネートは、トリイソシアネート、テトライソシアネート、イソシアネートポリマー又はオリゴマー等の、より官能基数の高い(higher)(ポリ)イソシアネートとすることもできる。(ポリ)イソシアネートは、脂肪族(ポリ)イソシアネート若しくは脂肪族(ポリ)イソシアネートの誘導体若しくはオリゴマーとすることができ、又は芳香族(ポリ)イソシアネート若しくは芳香族(ポリ)イソシアネートの誘導体若しくはオリゴマーとすることができる。典型的には、(ポリ)イソシアネート成分の官能基数は2以上である。幾つかの実施形態において、(ポリ)イソシアネート成分は、所与の用途のための特定の官能基数を達成するために配合されたジイソシアネート及びより官能基数の高いイソシアネートの混合物を含む。
【0078】
幾つかの実施形態において、使用される(ポリ)イソシアネートの官能基数は2を超える。幾つかの実施形態において、この種の(ポリ)イソシアネートの官能基数は2~5の間にあり、より典型的には、2~4、最も典型的には、2~3の間にある。
【0079】
使用可能な好適な(ポリ)イソシアネートとしては、芳香族、脂肪族、及び脂環式ポリイソシアネート並びにこれらの組合せが挙げられる。この種のポリイソシアネートは:1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6-XDI)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート、1,2-シクロヘキシルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチルアミンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、トリフェニルメタン-4,4’,4”トリイソシアネート、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(TIN)、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、p-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリス(p-イソシアナトメチル)チオサルフェート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート(XDI)、p-キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,3,5-ヘキサメチルメシチレントリイソシアネート、1-メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,4,6-トリイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルジイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネート、及びこれらの任意の2種以上の組合せからなる群から選択することができる。更に、(ポリ)イソシアネートは、これらのイソシアネートのいずれかのポリメリック形態(polymeric version)から選択することができ、これらは官能基数が高くても又は低くてもよい。好ましいポリメリックイソシアネートは、MDI、TDI、及びポリメリックMDIから選択することができる。
【0080】
本発明のいっそうさらなる態様によれば、特許請求の範囲によって定義された通りのポリウレタンが提供される。
すなわち、本発明の第1の態様のポリオールブロックコポリマーと(ポリ)イソシアネートの反応から製造されるポリウレタン。ポリウレタンはまた、本発明の第2の態様による組成物及び(ポリ)イソシアネートを反応させることにより生成することもできる。ポリウレタンは、ソフトフォーム(soft foam)、軟質フォーム、インテグラルスキンフォーム、高弾性フォーム、粘弾性又はメモリーフォーム、半硬質フォーム、硬質フォーム(ポリウレタン(PUR)フォーム、ポリイソシアヌレート(PIR)フォーム、及び/又はスプレーフォーム等)、エラストマー(注型エラストマー、熱可塑性エラストマー(TPU)、又はマイクロセルラーエラストマー等)、接着剤(ホットメルト接着剤、感圧接着剤、反応型接着剤等)、シーラント又はコーティング(水系又は溶剤系分散液(PUD)、二液型コーティング、一液型コーティング、無溶剤コーティング等)の形態とすることができる。ポリウレタンは、押出、金型成形(moulding)、射出成形、吹付け(spraying)、発泡、注型、及び/又は硬化を含むプロセスを介して形成することができる。ポリウレタンは、「ワンポット」又は「プレポリマー」法を介して形成することができる。
【0081】
ポリウレタンのブロックコポリマー残基は、本発明の第1の態様に関して定義した通りのいずれかの1つ以上の特徴を含むことができる。
ポリウレタンは、典型的には低分子のポリオール、ポリアミン、又は当技術分野で公知のアミンとヒドロキシルの機能性の両方を有する化合物である、1種以上の鎖延長剤も含むことができる。こうした鎖延長剤には、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメトキシプロパン(TMP)、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジアミン、例えばエチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、N-メチルプロピレン-1,3-ジアミン、2,4-トリレンジアミン、2,6 トリレンジアミン、及びジエタノールアミンが含まれる。
【0082】
本発明のいっそうさらなる態様によれば、特許請求の範囲によって定義された通りのイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーが提供される。
すなわち、本発明の第1の態様によるコポリマー又は本発明の第2の態様の組成物と、過剰の(ポリ)イソシアネート、例えばOH基1モル当たり少なくとも>1モルのイソシアネート基との反応生成物を含む、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー。イソシアネート末端プレポリマーを、1種又は複数の鎖延長剤(ジオール、トリオール、ジアミン等)及び/又はさらなるポリイソシアネート及び/又は他の添加剤と反応させることにより、ポリウレタンを形成することができる。
【0083】
さらなる態様によれば、ブロックコポリマー残基(これは、本発明の第1の態様において定義した通りのいずれかの1つ以上の特徴を含むことができる)を含む、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーが提供される。
【0084】
本発明の第1の態様の(ポリ)オールブロックコポリマー及び/又は本発明の第2の態様の組成物に添加することができる触媒は、(ポリ)イソシアネート及びポリオールを反応させるための触媒とすることができる。このような触媒としては、3級アミン化合物及び/又は有機金属化合物等の好適なウレタン触媒が挙げられる。
【0085】
任意選択的に、三量化触媒を使用することができる。三量化触媒の存在下においてポリイソシアヌレート環の形成が可能になるように、ポリオールに対し過剰の(ポリ)イソシアネート、又はより好ましくは過剰のポリメリックイソシアネートを存在させることができる。これらの触媒のいずれかを、1種又は複数種の他の三量化触媒と併用することができる。
【0086】
本発明のいっそうさらなる態様においては、本発明の第一の態様に従う(ポリ)オールブロックコポリマーを含む潤滑剤組成物が提供される。
本発明のいっそうさらなる態様においては、本発明の第一の態様に従う(ポリ)オールブロックコポリマーを含む界面活性剤組成物が提供される。
【0087】
本発明のいっそうさらなる態様によれば、特許請求の範囲によって定義された通りの(ポリ)オールブロックコポリマーを製造するためのプロセスが提供される。
このプロセスは、分子量のより高いポリマーを製造するための、第3の反応触媒の非存在下での、第3の反応の(ポリ)オールブロックコポリマーと、モノマー又はさらなるポリマーとの反応を含む、第4の反応をさらに含むことができる。
【0088】
これらのモノマー又はさらなるポリマーは、(ポリ)イソシアネートであり得、第4の反応の生成物は、ポリウレタンであり得る。
本発明のいっそうさらなる態様によれば、特許請求の範囲によって定義された通りの多段反応器システム中で(ポリ)オールブロックコポリマーを製造するためのプロセスが提供される。
【0089】
触媒の活性を増大させるために、個別の反応及び反応器において成分を添加することが有用であり得、ある反応の開始時に材料の全てが提供されるプロセスと比較して、より効率の高いプロセスをもたらすことができる。反応全体を通して存在する大量のいくつかの成分が、触媒の効率を低下させる可能性がある。この材料を別の反応器中で反応させることによって、触媒のこの効率低下を防止する、及び/又は触媒活性を最適化させることができる。各反応器の反応条件を個別に設定して、各触媒での反応を最適化させることができる。
【0090】
さらに、反応の開始時に各成分の全量を添加せずに、第1の及び任意選択的に第2の反応のための触媒を、第3の及び任意選択的に第2の反応のための触媒とは別の反応器に加えることによって、一様な触媒作用及びより均質なポリマー生成物をもたらすことができる。これは、ひいては、より狭い分子量分布、エーテルとカーボネート結合の所望される比率及び鎖に沿う分布、及び/又は改良されたポリオール安定性を有するポリマーをもたらすことができる。
【0091】
2つの異なる触媒を別々に用いる反応を起こすこと、及び第1の及び任意選択的に第2の反応においてある一定の成分のみを混合し、第3の及び任意選択的に第2の反応において残部を添加することも、第3の反応触媒を事前活性化させることができるので、有用であり得る。こうした事前活性化は、一方又は両方の触媒をエポキシド(及び任意選択的に他の成分)と混合することによって達成することができる。第3の反応触媒の事前活性化は、反応の安全な制御(未反応モノマー含有量の制御されていない増大を防止すること)を可能にし、予測不能な活性化時間を排除するので、有用である。
【0092】
本発明が、成長中のポリマー鎖に、カーボネート、エステル、及びエーテル結合を付加する反応に関するということが理解されるであろう。別々の反応を起こすことによって、第1の及び任意選択的に第2の反応を進行させた後に、その反応における第3の及び任意選択的に第2のステージを実施することが可能となり、エポキシド、カーボネート触媒、開始剤化合物、及び二酸化炭素を混合して、制御されたブロックコポリマーを製造することにより、多数のカーボネート結合を有するポリマーの成長を可能にすることができる。その後、エステルブロックの付加の前又は後に、この生成物を第3の反応触媒に添加することにより、成長中のポリマー鎖に、より高い頻度のエーテル結合を付加することによって、反応を進行させることが可能となる。エーテル及びエステル結合は、カーボネート結合よりも熱的に安定であり、且つPU形成において使用されるアミン触媒等の塩基による分解も起こりにくい。したがって、適用により、ポリマー鎖の末端のCブロックからの中間のエステル結合及び圧倒的多数のエーテル結合によるポリオールの安定性を保持しながら、Aブロックから導入される高カーボネート結合の利益(例えば、強度増大、耐薬品性、油と加水分解の両方に対する抵抗性等)が得られる。中間のエステル結合は、最終のポリオールの安定性を増大させ、特に、最終の(ポリ)エーテル又は(ポリ)エーテルカーボネート反応中の中間のポリカーボネートポリオールの安定性を増大させる。これにより、環状カーボネート副生成物の生成が低下し、ポリオール収率及び二酸化炭素組みこみの向上が与えられるだけでなく、反応3における工業的に妥当な反応/重合条件、例えば室温超の使用が可能になる。
【0093】
一般的観点では、本発明の一目的は、低い圧力で(ポリ)オールブロックコポリマーのCO2含有量を増大させるために、2反応器システムを介して重合反応を制御すること(より費用対効果の高いプロセス及びプラント設計を可能にすること)、並びに高CO2含有量だけでなく優れた安定性及び実用性能を有する製品を製造することである。本明細書のプロセスにより、こうしたプロセスによって調製される製品が、必要要件に合わせて作られることを可能にすることができる。
【0094】
本発明の(ポリ)オールブロックコポリマーは、第1の反応のための開始剤化合物及びカーボネート又はエーテルカーボネート触媒の存在下で、好適なエポキシド及び二酸化炭素から調製することができ;次いで、エステル触媒による第1の又は第2の反応器内での1つ以上のエステル結合の付加が行われ、それに続いて、第3の反応における複合金属シアン化物(double metal cyanide)(DMC)触媒等のエーテル触媒の存在下での好適なエポキシド及び任意選択的にさらなる二酸化炭素の付加が行われる。
【0095】
ポリカーボネートの製造のための触媒は、カーボネート触媒と呼ばれる。第1の反応におけるポリエーテルカーボネートの製造のための触媒は、エーテルカーボネート触媒である。(ポリ)エステルブロックの製造のための触媒は、エステル触媒である。(ポリ)エーテル又は(ポリ)エーテルカーボネート末端ブロックの製造のための触媒は、エーテル触媒と呼ばれる。第1の反応におけるポリエーテルカーボネートの製造に適した触媒と、第2の反応における(ポリ)エステルブロックの製造に適した触媒と、第3の反応における(ポリ)エーテル又は(ポリ)エーテルカーボネート末端ブロックの製造に適した触媒は、同じであり得、そうではないと示されない限り、第3の反応触媒への言及は、第2の反応触媒又はエーテルカーボネート第1の反応触媒に等しく適用できると解釈することができる。
【0096】
カーボネート触媒は、76%を超えるカーボネート結合、好ましくは80%を超えるカーボネート結合、より好ましくは85%を超えるカーボネート結合、最も好ましくは90%を超えるカーボネート結合を有するポリカーボネートポリオールを生成する触媒であり得、したがって、こうした結合範囲は、ブロックAにおいて存在し得る。
【0097】
使用されるエポキシドが非対称(例えばプロピレンオキシド)であるならば、触媒は、高い割合の頭-尾結合、例えば70%を超える、80%を超える、又は90%を超える頭-尾結合を有するポリカーボネートポリオールを生成することができる。或いは、触媒は、およそ50%の頭-尾結合を有するポリオールを生成し、立体選択性を有しないポリカーボネートポリオールを生成することができる。
【0098】
好ましい実施形態では、ポリカーボネートブロックA(-A’-Z’-Z-(Z’-A’)n-)、(ポリ)エステルブロックB、及び(ポリ)エーテルブロックCを含む(ポリ)オールブロックコポリマーが提供され、ここで、(ポリ)オールブロックコポリマーは、ポリブロック構造:
C-B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B-C)n
を有し、
式中、n=t-1であり、且つt=ブロックA上の末端OH基残基の数であり;
各A’は、独立に、少なくとも70%のカーボネート結合を有するポリカーボネート鎖であり、各Bは、エポキシドと環状無水物の反応/共重合及び/又は環状エステル開環反応/重合によって形成される(ポリ)エステル鎖であり、各Cは、50~100%、典型的には、60、70、80、90、又は95~100%のエーテル結合を有する(ポリ)エーテル鎖であり;
Z’-Z-(Z’)nは、開始剤残基である。
【0099】
この好ましい実施形態を、(ポリ)オールブロックコポリマーに関する特許請求の範囲の特徴のいずれかと、こうしたものが相互に排他的でない限り、組み合わせることができる。
【0100】
カーボネート触媒と、環状無水物/エポキシド反応/共重合又は環状エステル開環反応/重合のための触媒は、同じであり得、カーボネート触媒と呼ばれても、それをエステル触媒として等しく利用することができる。
【0101】
カーボネート触媒は、不均一であっても又は均一であってもよい。
カーボネート触媒は、単核金属(mono-metallic)、二核金属(bimetallic)、又は多核金属(multi-metallic)均一錯体とすることができる。
【0102】
カーボネート触媒は、フェノール又はフェノラート配位子を有することができる。
典型的には、カーボネート触媒は、フェノール又はフェノラート配位子を含む二核金属錯体とすることができる。2種の金属は同一であっても又は異なっていてもよい。
【0103】
カーボネート触媒は、式(VI):
【0104】
【0105】
(式中:
Mは、M-(L)vで表される金属陽イオンであり;
xは、1~4の整数であり、好ましくは、xは1又は2であり;
【0106】
【0107】
は、1個又は複数個の多座配位子であり;
Lは、配位している配位子であり、例えば、Lは、中性配位子であっても又は陰イオン性配位子であってもよく、好ましくは、エポキシドの開環を可能にするものであり;
vは、各Mの原子価及び/若しくは各Mの好ましい配位構造を独立に満たす整数であるか、又は上の式(VI)で表される錯体の全体の電荷が中性になる整数である)の触媒とすることができる。例えば、各vは、独立に、0、1、2又は3であってもよく、例えば、vは、1又は2であってもよい。v>1の場合、Lはそれぞれ異なっていてもよい。
【0108】
多座配位子という語は、二座、三座、四座、及びより多座の配位子を含む。各多座配位子は、大環状配位子又は鎖状(open)配位子であってもよい。
この種の触媒としては、国際公開第2010022388号パンフレット(金属サレン及び誘導体、金属ポルフィリン、コロール及び誘導体、金属テトラアザアヌレン及び誘導体)、国際公開第2010028362号パンフレット(金属サレン及び誘導体、金属ポルフィリン、コロール及び誘導体、金属テトラアザアヌレン及び誘導体)、国際公開第2008136591号パンフレット(金属サレン)、国際公開第2011105846号パンフレット(金属サレン)、国際公開第2014148825号パンフレット(金属サレン)、国際公開第2013012895号パンフレット(金属サレン)、欧州特許出願公開第2258745(A1)号明細書(金属ポルフィリン及び誘導体)、特開2008-081518(A)号公報(金属ポルフィリン及び誘導体)、中国特許第101412809号明細書(金属サレン及び誘導体)、国際公開第2019126221号パンフレット(金属アミノトリフェノール錯体)、米国特許第9018318号明細書(金属β-ジイミナート錯体)、米国特許第6133402(A)号明細書(金属β-ジイミナート錯体)、及び米国特許第8278239号明細書(金属サレン及び誘導体)に記載されているものが挙げられ、その内容全体、特に、開始剤及び任意選択的な溶媒の存在下に、CO2及びアルキレンオキシドを反応させて、ブロックAに従うポリカーボネートポリオールコポリマーを生成させるのに適したカーボネート触媒に関する限り、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0109】
この種の触媒としては、国際公開第2009/130470号パンフレット、国際公開第2013/034750号パンフレット、国際公開第2016/012786号パンフレット、国際公開第2016/012785号パンフレット、国際公開第2012037282号パンフレット、及び国際公開第2019048878(A1)号パンフレット(全ての二核金属フェノラート錯体)に記載されているものも挙げられ、その内容全体、特に、開始剤及び任意選択的な溶媒の存在下に、CO2及びエポキシドを反応させて、ブロックAに従うポリカーボネートポリオールコポリマーを生成させるのに適したカーボネート触媒に関する限り、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0110】
カーボネート触媒は、次に示す構造:
【0111】
【0112】
(式中:
M1及びM2は、Zn(II)、Cr(II)、Co(II)、Cu(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)、Ti(II)、V(II)、Cr(III)-X、Co(III)-X、Mn(III)-X、Ni(III)-X、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(III)-X、Ge(IV)-(X)2、Y(III)-X、Sc(III)-X、又はTi(IV)-(X)2から独立に選択され;
R1及びR2は、水素、ハライド、ニトロ基、ニトリル基、イミン、アミン、エーテル、シリル基、シリルエーテル基、スルホキシド基、スルホニル基、スルフィネート基、若しくはアセチリド基、又は任意選択的に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、脂環式、若しくはヘテロ脂環式基から独立に選択され;
R3は、任意選択的に置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、又はシクロアルキレンから独立に選択され、ここで、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、及びヘテロアルキニレンには、任意選択的に、アリール、ヘテロアリール、脂肪族環、又はヘテロ脂肪族環が介在していてもよく;
R5は、H、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、若しくはアルキルアリールから独立に選択され;
E1は、Cであり、且つE2は、O、S、若しくはNHであるか、又はE1は、Nであり、且つE2は、Oであり;
E3、E4、E5、及びE6は、N、NR4、O、及びSから選択され、ここでE3、E4、E5、又はE6がNである場合、
【0113】
【0114】
は
【0115】
【0116】
であり
E3、E4、E5、又はE6がNR4、O、又はSである場合、
【0117】
【0118】
は
【0119】
【0120】
であり
R4は、H、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、-アルキルC(O)OR19、若しくは-アルキルC≡N、若しくはアルキルアリールから独立に選択され;
Xは、OC(O)Rx、OSO2Rx、OSORx、OSO(Rx)2、S(O)Rx、ORx、ホスフィネート、ホスホネート、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、ニトロ、アミド、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、若しくはヘテロアリールから独立に選択され、ここでXは、それぞれ、同一であっても又は異なっていてもよく、Xは、M1及びM2の間に架橋を形成していてもよく;
Rxは、独立に、水素、又は任意選択的に置換された脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、アルキルアリール若しくはヘテロアリールであり;
Gは、存在しないか、又はルイス塩基である中性若しくは陰イオン性供与性配位子から独立に選択される)を有することができる。
【0121】
R1基及びR2基はそれぞれ、出現ごとに同一であっても又は異なっていてもよく、R1及びR2は、同一であっても又は異なっていてもよい。
上に言及した通り、第1の反応のためのエーテルカーボネート触媒、及び/又は第2の反応のための環状無水物/エポキシド反応/共重合又は環状エステル開環反応/重合のためのエステル触媒、及び/又は第3の反応のためのエーテル触媒は、同じであり得、第3の反応触媒と呼ぶことができる。
【0122】
第3の反応触媒は、1種以上の同等の、有機触媒、アニオン触媒、カチオン触媒、金属アルコキシド触媒、及びルイス酸/塩基ペア触媒から選択することができる。
第3の反応触媒は、より具体的には、1種以上のDMC触媒、金属水酸化物(KOH、NaOH、CsOH等)触媒、超酸(HSbF6、HPF6、CF3SO3H等)触媒、ルイス酸金属塩(Zn(OTf)2、La(OTf)3、Y(OTf)3)、Cu(BF4)2等)触媒、グループ3化合物(ホウ素又はアルミニウム化合物、例えばBF3、B(C6F5)3、Al(CF3SO3)3等)触媒、有機触媒(イミダゾール又はホスファゾニウム(phosphazonium)触媒等)、メタロサレネート(metallosalenate)及び金属アルコキシド(Ti(OiPr)4等)触媒から選択することができる。
【0123】
好適な第3の反応触媒、すなわち、第1の反応におけるエーテルカーボネートのいずれか1つ以上に、及び/又は第2の反応に、及び/又は第3の反応に適した第3の反応触媒は、DMC触媒である。第2の反応に適した触媒はまた、本明細書で定義された通りのカーボネート触媒である。第2の反応は、第1の反応又は第3の反応の触媒を使用することもできるし、環状エステルの開環反応又はエポキシド/無水物の反応/共重合のための公知のもの等の別個の触媒を使用することもできる。好ましくは、第2の反応は、第1の反応又は第3の反応の触媒、より好ましくは、カーボネート触媒又はDMC触媒を使用する。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態では、特許請求の範囲による(ポリ)オールブロックコポリマーを製造するためのプロセスは、ポリカーボネートポリオールコポリマーを製造するための、開始剤及び/又は溶媒の存在下での、本明細書で定義された通りのカーボネート触媒と、CO2及びエポキシドとの第1の重合反応、ポリカーボネート-エステルブロックコポリマーを製造するための、前記カーボネート触媒の存在下での、第1の反応のコポリマーと、反応/共重合のためのエポキシド及び環状無水物との第2の反応、並びに、(ポリ)オールブロックコポリマーを製造するための、DMC触媒の存在下での、第2の反応のブロックコポリマーと、エポキシド(及び任意選択的にCO2)との第3の反応/重合反応を含む。
【0125】
第3の反応触媒に好ましい触媒は、DMC触媒である。
DMC触媒は、少なくとも2個の金属中心及びシアニド配位子を含む複雑な化合物である。DMC触媒は:1種又は複数種の錯化剤、水、金属塩、及び/又は酸(例えば、非化学量論的な量で)の少なくとも1種を更に含むことができる。
【0126】
この少なくとも2個の金属中心のうち、最初の2個をM’及びM’’で表すことができる。
M’は、Zn(II)、Ru(II)、Ru(III)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(VI)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)、及びCr(III)から選択することができ、M’は、任意選択的に、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’はZn(II)である。
【0127】
M’’は、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)、及びV(V)から選択され、任意選択的に、M’’はCo(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’’はCo(II)及びCo(III)から選択される。
【0128】
上述の任意選択的なM’及びM’’の定義は組み合わせることができることが理解されるであろう。例えば、任意選択的に、M’は、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、及びNi(II)から選択することができ、M’’は、任意選択的に、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)及びNi(II)から選択することができる。例えば、M’は、任意選択的にZn(II)とすることができ、M’’は、任意選択的にCo(II)及びCo(III)から選択することができる。
【0129】
更なる金属中心が存在する場合、この更なる金属中心は、更にM’又はM’’の定義から選択することができる。
本発明のプロセスに使用することができるDMC触媒の例としては、米国特許第3,427,256号明細書、米国特許第5,536,883号明細書、米国特許第6,291,388号明細書、米国特許第6,486,361号明細書、米国特許第6,608,231号明細書、米国特許第7,008,900号明細書、米国特許第5,482,908号明細書、米国特許第5,780,584号明細書、米国特許第5,783,513号明細書、米国特許第5,158,922号明細書、米国特許第5,693,584号明細書、米国特許第7,811,958号明細書、米国特許第6,835,687号明細書、米国特許第6,699,961号明細書、米国特許第6,716,788号明細書、米国特許第6,977,236号明細書、米国特許第7,968,754号明細書、米国特許第7,034,103号明細書、米国特許第4,826,953号明細書、米国特許第4,500704号明細書、米国特許第7,977,501号明細書、米国特許第9,315,622号明細書、欧州特許出願公開第1568414(A)号明細書、欧州特許出願公開第1529566(A)号明細書、及び国際公開第2015/022290号パンフレットに記載されているものが挙げられ、その内容全体を、特に、本明細書に定義した第1の態様のブロックコポリマーの製造又は本明細書の製造プロセス用のDMC触媒に関連する限り、本明細書の一部としてここに援用する。
【0130】
DMC触媒は:
M’d[M’’e(CN)f]g
(式中、M’及びM’’は、上に定義した通りであり、d、e、f、及びgは、整数であり、DMC触媒が電気中性を有するように選択される)を含むことが理解されるであろう。任意選択的に、dは3である。任意選択的に、eは1である。任意選択的に、fは6である。任意選択的に、gは2である。任意選択的に、M’は、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’は、Zn(II)である。任意選択的に、M’’は、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)、及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’’は、Co(II)又はCo(III)である。
【0131】
これらの任意選択的な特徴のいずれかを組み合わせることもでき、例えば、dは3となり、eは1となり、fは6となり、gは2となり、M’はZn(II)となり、M’’はCo(III)となることが理解されるであろう。
【0132】
上述の式を有する好適なDMC触媒としては、ヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛、ヘキサシアノ鉄(III)酸亜鉛、ヘキサシアノ鉄(II)酸ニッケル、及びヘキサシアノコバルト(III)酸コバルトを挙げることができる。
【0133】
DMC触媒の分野においては多くの発展があり、当業者は、DMC触媒が、上述の式に加えて、触媒の活性を高めるための添加剤を更に含むことができることを理解するであろう。したがって、上述の式はDMC触媒の「中核(core)」を成すが、DMC触媒は、1種又は複数種の更なる成分、例えば、少なくとも1種の錯化剤、酸、金属塩、及び/又は水を化学量論的な量又は非化学量論的な量で更に含むことができる。
【0134】
例えば、DMC触媒は、次式:
M’d[M’’e(CN)f]g・hM’’’X’’i・jRc・kH2O・lHrX’’’
(式中、M’、M’’、X’’’、d、e、f、及びgは、上に定義した通りである)を有することができる。M’’’は、M’及び/又はM’’であってもよい。X’’は、ハロゲン化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、カルボン酸イオン、及び硝酸イオンから選択される陰イオンであり、任意選択的に、X’’は、ハロゲン化物イオンである。iは、1以上の整数であり、陰イオンX’’の電荷にiを乗じた数が、M’’’の原子価を満たす。rは、対イオンX’’’の電荷に相当する整数である。例えば、X’’’がCl-である場合、rは1となる。lは0であるか、又は0.1~5の間の数である。任意選択的に、lは0.15~1.5の間の数である。
【0135】
Rcは、錯化剤又は1種若しくは複数種の錯化剤の組合せである。例えば、Rcは、(ポリ)エーテル、ポリエーテルカーボネート、ポリカーボネート、ポリ(テトラメチレンエーテルジオール)、ケトン、エステル、アミド、アルコール(例えば、C1-8アルコール)、尿素等、例えば、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(メ)エトキシエチレングリコール、ジメトキシエタン、tert-ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリム、トリグリム、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、3-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、又はこれらの組合せとすることができ、例えば、Rcは、tert-ブチルアルコール、ジメトキシエタン、又はポリプロピレングリコールとすることができる。
【0136】
上に示したように、本発明に使用されるDMC触媒中に1種を超える錯化剤を存在させることができる。任意選択的に、Rcの錯化剤のうちの1種は高分子錯化剤とすることができる。任意選択的に、Rcは、高分子錯化剤及び非高分子錯化剤の組合せとすることができる。任意選択的に、錯化剤であるtert-ブチルアルコール及びポリプロピレングリコールの組合せを存在させることができる。
【0137】
水、錯化剤、酸、及び/又は金属塩がDMC触媒中に存在しない場合、h、j、k、及び/又はlは、それぞれ0となることが理解されるであろう。水、錯化剤、酸、及び/又は金属塩が存在する場合、h、j、k、及び/又はlは、正の数であり、例えば、0~20の間とすることができる。例えば、hは、0.1~4の間とすることができる。jは、0.1~6の間とすることができる。kは、0~20の間とすることができ、例えば、0.1~10の間、例えば、0.1~5の間にある。lは、0.1~5の間、例えば、0.15~1.5の間にある。
【0138】
高分子錯化剤は、任意選択的に、ポリエーテル、ポリカーボネートエーテル、及びポリカーボネートから選択される。高分子錯化剤は、DMC触媒の約5%~約80重量%の量、任意選択的に、DMC触媒の約10%~約70重量%の量、任意選択的に、DMC触媒の約20%~約50重量%の量で存在することができる。
【0139】
DMC触媒は、少なくとも2個の金属中心及びシアニド配位子に加えて、1種又は複数種の錯化剤、水、金属塩、及び/又は酸の少なくとも1つも、任意選択的に非化学量論的な量で含むことができる。
【0140】
例示的なDMC触媒は、式Zn3[Co(CN)6]2・hZnCl2・kH2O・j[(CH3)3COH](式中、h、k、及びjは上に定義した通りである)を有するものである。例えば、hは、0~4(例えば、0.1~4)とすることができ、kは、0~20(例えば、0.1~10)とすることができ、jは、0~6(例えば、0.1~6)とすることができる。上に記載したように、DMC触媒は複雑な構造を有し、したがって、追加の成分を含む上式は、限定を意図していない。そうではなく、当業者は、この定義が、本発明に使用することができるDMC触媒を網羅するものではないことを理解するであろう。
【0141】
本発明のポリオールを形成するためのプロセスに使用することができる開始剤化合物は、ヒドロキシル基(-OH)、チオール(-SH)、少なくとも1個のN-H結合(-NHR’)を有するアミン、少なくとも1個のP-OH結合を有する基(例えば、-PR’(O)OH、PR’(O)(OH)2、又は-P(O)(OR’)(OH))、又はカルボン酸基(-C(O)OH)から選択される少なくとも2個の基を含む。
【0142】
したがって、ポリカーボネート又はポリエーテルカーボネートブロックを形成するためのプロセスに使用することができる開始剤化合物は、上に定義した式(IV):
Z-(RZ)a (IV)
を有することができる。
【0143】
各反応は、複数の開始剤化合物を含むことができる。各反応のための開始剤化合物は、同じでも異なってもよい。異なる開始剤化合物が存在する場合、後の反応において異なる開始剤化合物が存在し得る。例えば、ここでは、第1の反応における開始剤化合物は、第1の開始剤化合物であり、且つ第3の反応は、第1の粗反応混合物を、第2の開始剤化合物、及び複合金属シアン化物(DMC)触媒等の第3の反応触媒、及び任意選択的に溶媒及び/又はエポキシド及び/又は二酸化炭素を含む第2の反応器に添加することを含む。本発明の第3の反応は、第2の反応後に、少なくとも約1分、任意選択的に少なくとも約5分、任意選択的に少なくとも約15分、任意選択的に少なくとも約30分、任意選択的に少なくとも約1時間、任意選択的に少なくとも約2時間、任意選択的に少なくとも約5時間実施することができる。連続式反応では、これらの時間は、第1の反応器中のモノマーの添加から第2の反応器へのモノマー残基の移動までの平均時間であることが理解されるであろう。
【0144】
高分子ならば、開始剤化合物は、少なくとも約200Daの、最大で約1000Daの分子量を有することができる。
例えば、約200~1000Da、任意選択的に約300~700Da、任意選択的に約400Daの分子量を有する。
【0145】
この又は各開始剤化合物は、典型的には、1つ以上のRz基、任意選択的に2つ以上のRz基、任意選択的に3つ以上、任意選択的に4つ以上、任意選択的に5つ以上、任意選択的に6つ以上、任意選択的に7つ以上、任意選択的に8つ以上のRz基を有し、特に、ここで、Rzは、ヒドロキシルである。
【0146】
上の特徴のいずれかを組み合わせることができることが理解されるであろう。例えば、aは、1~8又は2~6であり得、各RZは、-OH、-C(O)OH、又はこれらの組み合わせであり得、Zは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はヘテロアリーレンから選択することができる。
【0147】
いずれかの反応のための例示的な開始剤化合物には、ジオール、例えば1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1-2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、1-3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ジフェノール、1,3-ジフェノール、1,4-ジフェノール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキセンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)又はポリエチレングリコール(PEG)(最高約1500g/molのMnを有するもの)、例えばPPG 425、PPG 725、PPG 1000等、トリオール、例えばグリセロール、ベンゼントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリス(メチルアルコール)プロパン、トリス(メチルアルコール)エタン、トリス(メチルアルコール)ニトロプロパン、トリメチロールプロパン、ポリエチレンオキシドトリオール、ポリプロピレンオキシドトリオール、及びポリエステルトリオール、テトラオール、例えばカリックス[4]アレーン、2,2-ビス(メチルアルコール)-1,3-プロパンジオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、又は4つの-OH基を有するポリアルキレングリコール(PEG又はPPG)、ポリオール、例えばソルビトール、又は5つ以上の-OH基を有するポリアルキレングリコール(PEG又はPPG)、又は混合官能基を有する化合物(エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、及びフェニルジエタノールアミンが含まれる)が含まれる。
【0148】
例えば、開始剤化合物は、ジオール、例えば1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1-2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、1-3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ジフェノール、1,3-ジフェノール、1,4-ジフェノール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキセンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリ(カプロラクトン)ジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)又はポリエチレングリコール(PEG)(最高約1500g/molのMnを有するもの)、例えばPPG 425、PPG 725、PPG 1000等であり得る。開始剤化合物は、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,12-ドデカンジオール、ポリ(カプロラクトン)ジオール、PPG 425、PPG 725、又はPPG 1000であり得ることが理解されるであろう。
【0149】
さらなる例示的な開始剤化合物には、二酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、又は混合官能基を有する他の化合物、例えば乳酸、グリコール酸、3-ヒドロキシプロパン酸、4-ヒドロキシブタン酸、5-ヒドロキシペンタン酸が含まれ得る。
【0150】
例示的な単官能開始剤化合物には、アルコール、フェノール、アミン、チオール、及びカルボン酸、例えばアルコール、例えばメタノール、エタノール、1-及び2-プロパノール、1-及び2-ブタノール、直鎖又は分枝のC3~C20-モノアルコール、例えばtert-ブタノール、3-ブテン-1-オール、3-ブチン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、2-メチル-2-プロパノール、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール;フェノール、2-ヒドロキシビフェニル、3-ヒドロキシビフェニル、4-ヒドロキシビフェニル、2-ヒドロキシピリジン、3-ヒドロキシピリジン、及び4-ヒドロキシピリジン、エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレングリコールのモノエーテル又はエステル、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル、フェノール、例えば直鎖又は分枝のC3~C20アルキル置換フェノール、例えばノニル-フェノール又はオクチルフェノール、単官能カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸、脂肪酸、例えばステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、及びアクリル酸、及び単官能チオール、例えばエタンチオール、プロパン-1-チオール、プロパン-2-チオール、ブタン-1-チオール、3-メチルブタン-1-チオール、2-ブテン-1-チオール、及びチオフェノール、又はアミン、例えばブチルアミン、tert-ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、アニリン、アジリジン、ピロリジン、ピペリジン、及びモルホリン等の物質が含まれ得る。
【0151】
例えば、開始剤化合物は、単官能アルコール、例えばエタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、1-ヘキサノール、1-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、フェノール、例えばノニル-フェノール若しくはオクチルフェノール、又は単官能カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、脂肪酸、例えばステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、アクリル酸であり得る。
【0152】
開始剤化合物が存在する場合、カーボネート触媒に対する比が、約1000:1~約1:1、例えば、約750:1~約5:1、例えば、約500:1~約10:1、例えば、約250:1~約20:1、又は約125:1~約30:1、又は約50:1~約20:1となる量であることができる。これらの比はモル比である。これらの比は、プロセスに使用されるカーボネート触媒の総量に対する開始剤の総量の比である。これらの比は、材料を添加する間維持することができる。反応1に使用されるカーボネート又はエーテルカーボネート触媒が、DMC触媒等の不均一系触媒であるならば、触媒と開始剤材料との比は、質量比となる。
【0153】
本明細書の態様に記載のブロックコポリマーの製造のための第3の反応触媒は、事前活性化させることができる。任意選択的に、第3の反応触媒は、反応器2内で又は別々に事前活性化させることができる。任意選択的に、第3の反応触媒は、開始剤化合物で、又は第1の態様のブロックAによるポリカーボネート又はエーテルカーボネートポリオールコポリマーで、又は第1の及び/又は第2の及び/又は第3の反応の反応生成物で事前活性化させることができる。第3の反応触媒が、第1の及び/又は第2の及び/又は第3の反応の反応生成物で事前活性化される場合、第1の、及び任意選択的に第2の及び/又は第3の反応の反応生成物のいくつか又は全てで事前活性化させることができる。第3の反応触媒は、第1の態様の(ポリ)オールブロックコポリマー、C-B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B-C)n(これは、反応器に添加することもできるし、前の反応の残留生成物、いわゆる「反応の残り」であってもよい)で事前活性化させることができる。
【0154】
この製造のプロセスによる(ポリ)オールブロックコポリマーは、本発明の第1の態様の1つ以上の特徴に従うものであり得る。
第1の反応の生成物は、低分子量ポリカーボネート又はエーテルカーボネートポリオールであり得る。ポリカーボネート又はエーテルカーボネートポリオールの好ましい分子量(Mn)は、(ポリ)オールブロックコポリマーの好ましい総分子量に依存する。ポリカーボネート又はエーテルカーボネートポリオールの分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される場合に、約200~約4000Da、約200~約2000Da、約200~約1000Da、又は約400~約800Daの範囲内であり得る。
【0155】
第1の反応は、概して、交互ポリカーボネート又はエーテルカーボネートポリオール生成物を生じることができる。
第1の態様のブロックAによるポリカーボネート又はエーテルカーボネート、又は第1の及び任意選択的に第2の反応の生成物は、事前活性化された第3の反応触媒を含有する別の反応器に供給することができる。第1の及び任意選択的に第2の生成物は、粗反応混合物として、別の反応器に供給することができる。
【0156】
本発明の第1の反応は、20バール未満、好ましくは10バール未満のCO2圧力、より好ましくは8バール未満のCO2圧力下で実施することができる。本発明の第2の反応は、20バール未満、好ましくは10バール未満のCO2圧力、より好ましくは8バール未満のCO2圧力下で実施することができる。本発明の第3の反応は、60バール未満、好ましくは20バール未満、より好ましくは10バール未満のCO2圧力、最も好ましくは5バール未満のCO2圧力下で実施することができる。
【0157】
CO2は、第1の反応において、好ましくは開始剤の存在下で、連続的に添加することができる。
これらの反応は、約1バール~約60バールの二酸化炭素、任意選択的に約1バール~約40バール、任意選択的に約1バール~約20バール、任意選択的に約1バール~約15バール、任意選択的に約1バール~約10バール、任意選択的に約1バール~約5バールの圧力で実施することができる。
【0158】
第2の及び/又は第3の反応は、CO2、CO2とN2若しくはAr等の不活性ガスとの混合物中で、又はCO2の非存在下でN2若しくはAr等の不活性ガス中で実施することができる。
【0159】
CO2は、標準の方法を介して、例えば、ヘッドスペースに直接的に、又は注入管、気体供給リング(gassing ring)、又は中空軸撹拌機等の標準の方法を介して反応液に直接的に、いずれかの反応器に導入することができる。混合は、単一のかき混ぜ機又は多段階に設定されるかき混ぜ機等の様々な構成の撹拌機を使用することによって最適化することができる。
【0160】
これらの比較的低いCO2圧力及び連続的に添加されるCO2下で実施される第1の反応プロセスは、低い圧力下で、高いCO2含有量を有するポリオールを生成することができる。
【0161】
第1の及び任意選択的に第2の反応は、回分式、半回分式、又は連続式プロセスで実施することができる。回分式プロセスでは、カーボネート又はエーテルカーボネート触媒、エポキシド、CO2、開始剤、及び任意選択的に溶媒は全て、反応の開始時に存在する。半回分式又は連続式反応では、カーボネート又はエーテルカーボネート触媒、エポキシド、CO2、開始剤、及び/又は溶媒の1種又は複数は、連続的、半連続的、又は不連続的方式で、反応器に添加される。
【0162】
第3の反応触媒を含む第3の反応は、連続式プロセス又は半回分式プロセスとして実施することができる。半回分式又は連続式プロセスでは、第3の反応触媒、エポキシド、CO2、開始剤、及び/又は溶媒の1種又は複数は、連続的、半連続的、又は不連続的方式で、反応に添加される。
【0163】
任意選択的に、第2の反応器に供給される粗反応混合物は、ある量の未反応のエポキシド及び/又はCO2及び/又は開始剤を含むことができる。
任意選択的に、粗反応混合物供給物は、ある量のカーボネート又はエーテルカーボネート触媒を含むことができる。任意選択的に、カーボネート又はエーテルカーボネート触媒は、第2の反応器への添加の前に取り出されていてもよい。
【0164】
第1の及び任意選択的に第2の反応の、ポリカーボネート又はエーテルカーボネート又はエステルで末端キャップされた生成物を、単一部分で、又は連続的、半連続的、又は不連続的方式で、未反応のエポキシド及び/又はカーボネート又はエーテルカーボネート触媒を任意選択的に含む第2の反応器に供給することができる。好ましくは、第1の及び任意選択的に第2の反応の生成物は、連続的方式で、第2の反応器に供給される。これは、第3の反応触媒に対する開始剤の比率が反応器中で常に低下することから、第3の反応触媒の開始剤としての反応1/2の生成物の連続的添加が、より制御された方式で反応器2中の第3の反応触媒が動作することを可能にするので、好都合である。これは、反応器2中の第3の反応触媒の失活を防止することができる。第1の態様のブロックAによるポリカーボネート又はエーテルカーボネートポリオールコポリマー、又は反応1のポリカーボネート又はエーテルカーボネート、又は任意選択的にブロックBのコポリマー-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B)nは、活性化の前に第2の反応器に供給することができ、活性化中に使用することができる。第3の反応触媒はまた、第1の態様の(ポリ)オールブロックコポリマー、C-B-A’-Z’-Z-(Z’-A’-B-C)n(これは、反応器に添加することもできるし、前の反応の残留生成物、いわゆる「反応の残り」であってもよい)で事前活性化させることができる。第1反応器の反応温度は、約0℃~250℃の範囲、好ましくは約40℃~約160℃の範囲、より好ましくは約50℃~120℃の範囲とすることができる。
【0165】
第2反応器の反応温度は、約50~約160℃の範囲、好ましくは約70~約140℃の範囲、より好ましくは約70~約110℃の範囲とすることができる。
2つの反応器は直列(series)に配置することもできるし、又は反応器を入れ子(nested)にすることもできる。各反応器は、個々に、撹拌槽型反応器、ループ反応器、管型反応器、又は他の標準的な反応器設計とすることができる。
【0166】
好ましくは、反応3は、連続様式で実行される。
第1の又は第2の反応の生成物は、第2の反応器内で、引き続く後の使用のために保管することができる。
【0167】
好都合なことに、3つの反応を、それぞれのための最適条件を得るために、独立に実行することができる。2つの反応器が入れ子にされるならば、これらは、互いに、異なる反応条件を同時に提供するのに有効であり得る。
【0168】
任意選択的に、ポリカーボネート又はエーテルカーボネートポリオールは、反応2及び3が、第2の反応器内で起こるならば、第2の反応器への添加の前に、酸によって部分的に安定化しておいてもよい。酸は、無機酸でも有機酸でもよい。こうした酸としては、限定はされないが、リン酸誘導体、スルホン酸誘導体(例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸)、カルボン酸(例えば、酢酸、ギ酸、シュウ酸、サリチル酸)、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸)、硝酸、又は炭酸が挙げられる。酸は、イオン交換樹脂等の酸性樹脂の一部であってもよい。酸性イオン交換樹脂は、強酸性部位(例えば、スルホン酸部位)又は弱酸部位(例えば、カルボン酸部位)等の酸性部位を特徴とする、高分子マトリックス(ポリスチレン又はポリメタクリル酸等)の形態であってもよい。イオン交換樹脂の例としては、Amberlyst 15,Dowex Marathon MSC及びAmberlite IRC 748が挙げられる。或いは、シリカ、アルミナ、ゼオライト、又は粘土等の酸性の固体を使用することができる。
【0169】
本発明の第1、第2、及び第3反応は、溶媒の存在下に実施することができるが、このプロセスを溶媒の非存在下に実施できることも理解されるであろう。溶媒が存在する場合、トルエン、ヘキサン、酢酸t-ブチル、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジオキサン、ジクロロベンゼン、塩化メチレン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、アセトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n-ブチル、テトラヒドロフラン(THF)等とすることができる。溶媒は、トルエン、ヘキサン、アセトン、酢酸エチル、及び酢酸n-ブチルとすることができる。
【0170】
溶媒は、材料の1種又は複数種を溶解するように作用することができる。一方、溶媒は担体としても作用することができ、材料の1種又は複数種を懸濁液中に懸濁させるために使用される。溶媒は、本発明のプロセスのステップを行う際に、材料の1種又は複数種を添加しやすくするために必要となる場合もある。
【0171】
このプロセスには、ある総量の溶媒を用いることができ、この溶媒総量の約1~100%を第1及び任意選択的に第2反応で混合し、残りを第3及び任意選択的に第2反応に加えることができ;任意選択的に、約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%を第1及び任意選択的に第2反応で混合する。
【0172】
カーボネート又はエーテルカーボネート触媒の総量は低量であってもよく、それにより、本発明の第1及び任意選択的に第2反応は、低触媒投入量で実施される。例えば、カーボネート触媒の触媒投入量は、[カーボネート触媒全体]:[エポキシド全体]が約1:500~100,000の範囲、例えば、約1:750~50,000[カーボネート触媒全体]:[エポキシド全体]、例えば、約1:1,000~20,000[カーボネート触媒全体]:[エポキシド全体]となる範囲、例えば、約1:10,000[カーボネート触媒全体]:[エポキシド全体]の範囲とすることができる。上述の比はモル比である。これらの比は、第1及び任意選択的に第2反応に使用されるエポキシドの総量に対するカーボネート触媒の総量の比である。
【0173】
第1の反応においてエーテルカーボネートを生成するためにDMC触媒が使用されるならば、DMC触媒は、典型的には、最終のポリオール生成物に対して5~1000ppmwの範囲内で使用されるであろう。
【0174】
このプロセスは、全量の二酸化炭素を用いることができ、組みこまれる二酸化炭素の全量の約1~100%が、ブロックA内に存在することができる。残りは、ブロックB内に存在することができ;任意選択的に約1~75%が、ブロックAに組みこまれ、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が、ブロックAに組みこまれる。
【0175】
このプロセスは、全量のエポキシドを用いることができ、エポキシドの全量の約1~100%が、ブロックAに組みこまれることができ、残りのエポキシドは、ブロックBに組みこまれることができ;任意選択的に約5~90%が、ブロックAに組みこまれ、任意選択的に約10~90%、任意選択的に約20~90%、任意選択的に約40~90%、任意選択的に約40~80%、任意選択的に約5~50%が、ブロックAに組みこまれる。
【0176】
この反応に使用される1種以上のエポキシドは、エポキシド部分を含有するあらゆる好適な化合物であり得る。例示的なエポキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及びシクロヘキセンオキシドが挙げられる。第2の反応器内で使用されるエポキシドは、第1の反応器内で使用されるエポキシドと同じでも異なってもよい。1種以上のエポキシドの混合物は、これらの反応器の片方又は両方に存在することができる。例えば、第1の及び任意選択的に第2の反応が、エチレンオキシドを使用することができ、且つ第3の及び任意選択的に第2の反応が、プロピレンオキシドを使用することができるか、又は両方の反応が、プロピレンオキシドを使用することができるか、又は片方又は両方反応が、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混合物等のエポキシドの混合物を使用することができる。好ましくは、プロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシドが、片方又は両方の反応器内で使用される。
【0177】
エポキシドは、二酸化炭素との反応の前に、(例えば、蒸留によって、例えば水素化カルシウムで)精製することができる。例えば、エポキシドは、添加される前に蒸留することができる。
【0178】
本発明で使用することができるエポキシドの例としては、限定はされないが、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、置換されたシクロヘキセンオキシド(リモネンオキシド、C10H16O又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、C11H22O等)、アルキレンオキシド(エチレンオキシド及び置換されたエチレンオキシド等)、置換されていない又は置換されたオキシラン(オキシラン、エピクロロヒドリン、2-(2-メトキシエトキシ)メチルオキシラン(MEMO)、2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME2MO)、2-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME3MO)等)、1,2-エポキシブタン、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルカーボネート、ビニル-シクロヘキセンオキシド、3-フェニル-1,2-エポキシプロパン、2,3-エポキシブタン、イソブチレンオキシド、シクロペンテンオキシド、2,3-エポキシ1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、インデンオキシド、及び官能化された3,5-ジオキサエポキシドが挙げられる。官能化された3,5-ジオキサエポキシドの例としては:
【0179】
【0180】
が挙げられる。
エポキシド部分は、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、又はグリシジルカーボネートであり得る。グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルカーボネートの例としては:
【0181】
【0182】
が挙げられる。
上に記述した通り、エポキシド基質は、2つ以上のエポキシド部分を含有することができる。すなわち、これは、ビス-エポキシド、トリス-エポキシド、又は複数-エポキシド含有部分であり得る。2つ以上のエポキシド部分を含む化合物の例としては、ビス-エポキシブタン、ビス-エポキシオクタン、ビス-エポキシデカン、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが挙げられる。2つ以上のエポキシド部分を有する1つ以上の化合物の存在下で実施される反応は、得られるポリマーにおける架橋結合をもたらすことができることが理解されよう。
【0183】
任意選択的に、第1の及び任意選択的に第2の反応における全エポキシドの0.1~20%を、2つ以上のエポキシド部分を含有するエポキシド基質とすることができる。好ましくは、複数-エポキシド基質は、ビス-エポキシドである。
【0184】
当業者は、エポキシドを「グリーンな(green)」又は再生可能資源から得ることが可能であることを理解するであろう。エポキシドは、標準的な酸化化学を用いて得られる脂肪酸及び/又はテルペンから誘導されたもの等の(多価)不飽和化合物から得ることができる。
【0185】
エポキシド部分は、-OH部分又は保護された-OH部分を含むことができる。-OH部分は任意の好適な保護基で保護することができる。好適な保護基としては、メチル基又は他のアルキル基、ベンジル、アリル、tert-ブチル、テトラヒドロピラニル(THP)、メトキシメチル(MOM)、アセチル(C(O)アルキル)、ベンゾリル(C(O)Ph)、ジメトキシトリチル(DMT)、メトキシエトキシメチル(MEM)、p-メトキシベンジル(PMB)、トリチル、シリル(トリメチルシリル(TMS)、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリイソプロピルシリルオキシメチル(TOM)、及びトリイソプロピルシリル(TIPS)等)、(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(MMT)、テトラヒドロフラニル(THF)、及びテトラヒドロピラニル(THP)が挙げられる。
【0186】
エポキシドの純度は、任意選択的に少なくとも98%、任意選択的に>99%である。
材料を添加する速度は、反応温度(発熱)が選択された温度を超えないように選択することができる(即ち、温度がほぼ一定のままとなるように、余分な熱を放散させるのに充分にゆっくりと材料を添加する)。材料が添加される速度は、エポキシド濃度が選択されたエポキシド濃度を超えないように選択することができる。
【0187】
このプロセスは、多分散度が1.0~2.0の間、好ましくは1.0~1.8の間、より好ましくは1.0~1.5の間、最も好ましくは1.0~1.3の間にあるポリオールを生成することができる。
【0188】
このプロセスは、第3の反応触媒、エポキシド、開始剤、並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は環状無水物及び/又は環状エステル及び/又は溶媒を混合して、事前活性化された混合物を形成することと、事前活性化された混合物を、第1の及び任意選択的に第2の反応の粗反応混合物の前又は後に、第2の反応器に添加して、第3の及び任意選択的に第2の反応混合物を形成することとを含むことができる。しかし、これは、連続的に行うことができ、その結果、事前活性化された混合物は、粗反応混合物と同時に添加される。事前活性化された混合物は、第3の反応触媒、エポキシド、開始剤、並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は環状無水物及び/又は環状エステル及び/又は溶媒を混合することによって、第2の反応器内で形成することもできる。事前活性化は、約50℃~160℃、好ましくは約70℃~140℃、より好ましくは約90℃~140℃の温度で行うことができる。事前活性化された混合物は、粗反応混合物との接触の前に、約50~160℃、任意選択的に約70~140℃の温度で混合することができる。
【0189】
反応プロセス全体において、前記カーボネート又はエーテルカーボネート触媒(及び第2の反応触媒)の量及び前記(第2の及び)第3の反応触媒の量は、互いに約300:1~約1:100、例えば約120:1~約1:75、例えば約40:1~約1:50、例えば約30:1~約1:30、例えば約20:1~約1:1、例えば約10:1~約2:1、例えば約5:1~約1:5という予め決定された重量比であり得る。本発明のプロセスは任意の規模で実施することができる。このプロセスは、工業規模で実施することができる。通常、触媒反応が発熱することは当業者に理解されるであろう。小規模な反応の最中に発生する熱は問題となりにくい。それは、温度上昇があったとしても比較的容易に、例えば、氷浴を使用することによって制御できるためである。より規模の大きい反応、特に工業規模の反応の場合、反応時の発熱は問題となる可能性があり、潜在的な危険性がある。そのため、材料を徐々に添加することによって、触媒反応の速度を制御し、過剰な熱の蓄積を最小限に抑えることができる。反応の速度は、例えば、材料を添加する際の流速を調整することにより制御することができる。したがって、本発明のプロセスは、工業規模の大規模な触媒反応に適用する場合に特に有利となる。
【0190】
本発明のプロセスの過程で温度は上昇することも又は下降することもある。
前記カーボネート又はエーテルカーボネート触媒、第2の反応触媒及び第3の反応触媒の量は、使用されるその触媒に応じて変わることとなる。
【0191】
方法
ゲル浸透クロマトグラフィー
GPC測定を、多分散度の狭いポリ(エチレングリコール)又はポリスチレン標準物質に対し、THF中で、Agilent PLgel Mixed-Dカラムを取り付けたAgilent 1260 Infinity装置を用いて実施した。
【0192】
定義
本発明の目的に関し、脂肪族基は、直鎖(即ち、非分岐)、分岐、又は環式であってもよく、完全に飽和しているか、又は1若しくは複数の不飽和単位を含んでいてもよいが芳香族ではない、炭化水素部分である。「不飽和」という語は、1又は複数の二重結合及び/又は三重結合を有する部分を意味する。したがって「脂肪族」という語は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、又はシクロアルケニル基、並びにこれらの組合せを包含することを意図している。
【0193】
脂肪族基は、任意選択的に、C1-30脂肪族基である、即ち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個の炭素原子を有する脂肪族基である。任意選択的に、脂肪族基は、C1-15脂肪族、任意選択的にC1-12脂肪族、任意選択的にC1-10脂肪族、任意選択的にC1-8脂肪族、例えば、C1-6脂肪族基である。好適な脂肪族基としては、直鎖又は分岐のアルキル、アルケニル、及びアルキニル基、並びにこれらを混合したもの、例えば、(シクロアルキル)アルキル基、(シクロアルケニル)アルキル基、及び(シクロアルキル)アルケニル基が挙げられる。
【0194】
本明細書において使用される「アルキル」という語は、脂肪族部分から1個の水素原子を取り去ることによって誘導された、飽和の直鎖又は分岐鎖炭化水素基を指す。アルキル基は、任意選択的に、「C1-20アルキル基」である、即ち、1~20個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖であるアルキル基である。したがって、アルキル基は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子を有する。任意選択的に、アルキル基は、C1-15アルキル、任意選択的にC1-12アルキル、任意選択的にC1-10アルキル、任意選択的にC1-8アルキル、任意選択的にC1-6アルキル基である。具体的には、「C1-20アルキル基」の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ペンチル、イソペンチル、n-ペンチル基、ネオペンチル、n-ヘキシル基、sec-ヘキシル、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1-エチルブチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基等が挙げられる。
【0195】
本明細書において使用される「アルケニル」という語は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖脂肪族部分から1個の水素原子を取り去ることによって誘導される基を指す。本明細書において使用される「アルキニル」という語は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分岐鎖脂肪族部分から水素原子を取り除くことによって誘導される基を指す。アルケニル基及びアルキニル基は、それぞれ、任意選択的に、「C2-20アルケニル」及び「C2-20アルキニル」、任意選択的に「C2-15アルケニル」及び「C2-15アルキニル」、任意選択的に「C2-12アルケニル」及び「C2-12アルキニル」、任意選択的に「C2-10アルケニル」及び「C2-10アルキニル」、任意選択的に「C2-8アルケニル」及び「C2-8アルキニル」、任意選択的に「C2-6アルケニル」及び「C2-6アルキニル」基である。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、アリル、1,3-ブタジエニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル、アリル、1,3-ブタジエニル、及びアレニルが挙げられる。アルキニル基の例としては、エチニル、2-プロピニル(プロパルギル)、及び1-プロピニルが挙げられる。
【0196】
本明細書において使用される「脂環式(cycloaliphatic)」、「炭素環」、又は「炭素環式(carbocyclic)」という語は、3~20個の炭素原子を有する飽和又は部分不飽和の環式脂肪族単環又は多環式(縮合、架橋、及びスピロ縮合を含む)環系、即ち、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子を有する脂環式(alicyclic)基を指す。任意選択的に、脂環式基は、3~15個、任意選択的に3~12個、任意選択的に3~10個、任意選択的に3~8個の炭素原子、任意選択的に3~6個の炭素原子を有する。「脂環式」、「炭素環」、又は「炭素環式」という語は、1又は複数の芳香族又は非芳香族環に縮合している脂肪族環、例えば、脂肪族環上に結合点が存在するテトラヒドロナフチル環も含む。炭素環式基は、多環、例えば、二環又は三環であってもよい。脂環式基は、結合点を有する(linking)又は結合点を有しない1個又は複数個のアルキル置換基を有する脂環式環、例えば、-CH2-シクロヘキシルを含むことができることが理解されるであろう。具体的には、炭素環の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、ノルボルネン、フェニル、シクロヘキセン、ナフタレン、スピロ[4.5]デカン、シクロヘプタン、アダマンタン、及びシクロオクタンが挙げられる。
【0197】
ヘテロ脂肪族基(ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、及びヘテロアルキニルを含む)は、1個又は複数個のヘテロ原子を更に含む、上に記載した脂肪族基である。したがって、ヘテロ脂肪族基は、任意選択的に2~21個の原子、任意選択的に2~16個の原子、任意選択的に2~13個の原子、任意選択的に2~11個の原子、任意選択的に2~9個の原子、任意選択的に2~7個の原子を含み、少なくとも1個の原子は炭素原子である。任意選択的なヘテロ原子は、O、S、N、P、及びSiから選択される。ヘテロ脂肪族基が2個以上のヘテロ原子を有する場合、ヘテロ原子は同一であっても又は異なっていてもよい。ヘテロ脂肪族基は、置換されていても又は無置換であっても、分岐又は非分岐であっても、環式又は非環式であってもよく、飽和、不飽和、又は部分不飽和基を含む。
【0198】
脂環式基は、3~20個の炭素原子を有する飽和又は部分不飽和の環式脂肪族単環又は多環(縮合、架橋、及びスピロ縮合を含む)系、即ち、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子を有する脂環式基である。任意選択的に、脂環式基は、3~15個、任意選択的に3~12個、任意選択的に3~10個、任意選択的に3~8個の炭素原子、任意選択的に3~6個の炭素原子を有する。「脂環式」という語は、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニル基を包含する。脂環式基は、結合点を有する又は結合点を有しない1個又は複数個のアルキル置換基を有する脂環式環、例えば、-CH2-シクロヘキシルを含むことができることが理解されるであろう。具体的には、C3-20シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、及びシクロオクチルが挙げられる。
【0199】
ヘテロ脂環式基は、炭素原子に加えて、任意選択的にO、S、N、P、及びSiから選択される1個又は複数個の環ヘテロ原子を有する、上に定義した脂環式基である。ヘテロ脂環式基は、任意選択的に、同一であっても又は異なっていてもよい1~4個のヘテロ原子を含む。ヘテロ脂環式基は、任意選択的に5~20個の原子、任意選択的に5~14個の原子、任意選択的に5~12個の原子を含む。
【0200】
アリール基又はアリール環は、5~20個の炭素原子を有し、系内の少なくとも1個の環が芳香族であり、系内の各環が3~12個の環員を含む、単環又は多環系である。「アリール」という語は、単独で又はより大きな部分の一部として、「アラルキル」、「アラルコキシ」、又は「アリールオキシアルキル」のように使用することができる。アリール基は、任意選択的に、「C6-12アリール基」であり、6、7、8、9、10、11、又は12個の炭素原子から構成されるアリール基であり、縮合環基を含む、単環式基又は二環式等である。具体的には、「C6-10アリール基」の例としては、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、アントラシル基、ナフチル基、又はアズレニル基等が挙げられる。インダン、ベンゾフラン、フタルイミド、フェナントリジン、テトラヒドロナフタレン等の縮合環もアリール基に含まれることに留意されたい。
【0201】
単独で又は他の語の一部として(「ヘテロアラルキル」又は「ヘテロアラルコキシ」等)使用される「ヘテロアリール」という語は、5~14個の環原子、任意選択的に5、6、又は9個の環原子を有し;環状配列内で共有されている6、10、又は14個のπ電子を有し;炭素原子に加えて、1~5個のヘテロ原子を有する基を指す。「ヘテロ原子」という語は、窒素、酸素、又は硫黄を指し、窒素又は硫黄の任意の酸化形態及び窒素の任意の4級化形態を含む。「ヘテロアリール」という語はまた、ヘテロアリール環が1個又は複数個のアリール環、脂環式環、又は複素環式環に縮合しており、ラジカル又は結合点が複素芳香族環上にある基も含む。その例として、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4Η)-オンが挙げられる。したがって、ヘテロアリール基は、単環又は多環である。
【0202】
「ヘテロアラルキル」という語は、ヘテロアリールで置換されたアルキル基を指し、アルキル部及びヘテロアリール部は、独立に、任意選択的に置換されている。
本明細書において使用される、「複素環」、「複素環式」、「複素環式基」、及び「複素環式環(heterocyclic ring)」という語は互換的に使用され、上に定義したように、炭素原子に加えて、1個又は複数個の、任意選択的に1~4個のヘテロ原子を有する、飽和、部分不飽和、又は芳香族である、安定な5~7員の単環式又は7~14員の二環式の複素環式部分を指す。複素環の環原子に関連して使用される「窒素」という語は、置換された窒素も含む。
【0203】
脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、及びヘテロアリール基の例としては、これらに限定されるものではないが、シクロヘキシル、フェニル、アクリジン、ベンズイミダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、シンノリン、ダイオキシン、ジオキサン、ジオキソラン、ジチアン、ジチアジン、ジチアゾール、ジチオラン、フラン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、インドール、インドリン、インドリジン、インダゾール、イソインドール、イソキノリン、イソオキサゾール、イソチアゾール、モルホリン、ナフチリジン、オキサゾール、オキサジアゾール、オキサチアゾール、オキサチアゾリジン、オキサジン、オキサジアジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フタラジン、ピペラジン、ピペリジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、ピロリン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、キノリジン、テトラヒドロフラン、テトラジン、テトラゾール、チオフェン、チアジアジン、チアジアゾール、チアトリアゾール、チアジン、チアゾール、チオモルホリン、チアナフタレン、チオピラン、トリアジン、トリアゾール、及びトリチアンが挙げられる。
【0204】
「ハライド」、「ハロ」、及び「ハロゲン」という語は、互換的に使用され、本明細書において使用される場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を意味し、任意選択的に、フッ素原子、臭素原子、又は塩素原子を意味し、任意選択的にフッ素原子を意味する。
【0205】
ハロアルキル基は、任意選択的に「C1-20ハロアルキル基」、任意選択的に「C1-15ハロアルキル基」、任意選択的に「C1-12ハロアルキル基」、任意選択的に「C1-10ハロアルキル基」、任意選択的に「C1-8ハロアルキル基」、任意選択的に「C1-6ハロアルキル基」であり、それぞれ、少なくとも1個のハロゲン原子、任意選択的に1、2、又は3個のハロゲン原子で置換された、上に記載したC1-20アルキル、C1-15アルキル、C1-12アルキル、C1-10アルキル、C1-8アルキル、又はC1-6アルキル基である。「ハロアルキル」という語は、過フッ素化化合物等の、フッ素化又は塩素化された基を包含する。具体的には、「C1-20ハロアルキル基」の例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基等が挙げられる。
【0206】
本明細書において使用される「アシル」という語は、式-C(O)R(式中、Rは、水素又は任意選択的に置換された脂肪族、アリール、若しくは複素環式基である)を有する基を指す。
【0207】
アルコキシ基は、任意選択的に「C1-20アルコキシ基」、任意選択的に「C1-15アルコキシ基」、任意選択的に「C1-12アルコキシ基」、任意選択的に「C1-10アルコキシ基」、任意選択的に「C1-8アルコキシ基」、任意選択的に「C1-6アルコキシ基」であり、それぞれ、先に定義したC1-20アルキル、C1-15アルキル、C1-12アルキル、C1-10アルキル、C1-8アルキル、又はC1-6アルキル基に結合しているオキシ基である。具体的には、「C1-20アルコキシ基」の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-トリデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基、n-ヘキサデシルオキシ基、n-ヘプタデシルオキシ基、n-オクタデシルオキシ基、n-ノナデシルオキシ基、n-エイコシルオキシ基、1,1-ジメチルプロポキシ基、1,2-ジメチルプロポキシ基、2,2-ジメチルプロポキシ基、2-メチルブトキシ基、1-エチル-2-メチルプロポキシ基、1,1,2-トリメチルプロポキシ基、1,1-ジメチルブトキシ基、1,2-ジメチルブトキシ基、2,2-ジメチルブトキシ基、2,3-ジメチルブトキシ基、1,3-ジメチルブトキシ基、2-エチルブトキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、3-メチルペンチルオキシ基等が挙げられる。
【0208】
アリールオキシ基は、任意選択的に「C5-20アリールオキシ基」、任意選択的に「C6-12アリールオキシ基」、任意選択的に「C6-10アリールオキシ基」であり、それぞれ、先に定義したC5-20アリール、C6-12アリール、又はC6-10アリール基に結合しているオキシ基である。
【0209】
アルキルチオ基は、任意選択的に「C1-20アルキルチオ基」、任意選択的に「C1-15アルキルチオ基」、任意選択的に「C1-12アルキルチオ基」、任意選択的に「C1-10アルキルチオ基」、任意選択的に「C1-8アルキルチオ基」、任意選択的に「C1-6アルキルチオ基」であり、それぞれ、先に定義したC1-20アルキル、C1-15アルキル、C1-12アルキル、C1-10アルキル、C1-8アルキル、又はC1-6アルキル基に結合しているチオ(-S-)基である。
【0210】
アリールチオ基は、任意選択的に「C5-20アリールチオ基」、任意選択的に「C6-12アリールチオ基」、任意選択的に「C6-10アリールチオ基」であり、それぞれ、先に定義したC5-20アリール、C6-12アリール、又はC6-10アリール基に結合しているチオ(-S-)基である。
【0211】
アルキルアリール基は、任意選択的に「C6-12アリールC1-20アルキル基」、任意選択的に「C6-12アリールC1-16アルキル基」、任意選択的に「C6-12アリールC1-6アルキル基」であり、これは、任意の位置で上に定義したアルキル基に結合している、上に定義したアリール基である。アルキルアリール基から分子への結合点は、アルキル部を介していてもよく、したがって、任意選択的に、アルキルアリール基は、-CH2-Ph又は-CH2CH2-Phである。アルキルアリール基は、「アラルキル」と称することもできる。
【0212】
シリル基は、任意選択的に、-Si(Rs)3であり、Rsは、独立に、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基である。任意選択的に、各Rsは、独立に、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールである。任意選択的に、各Rsは、メチル、エチル、又はプロピルから選択されるアルキル基である。
【0213】
シリルエーテル基は、任意選択的に、OSi(R6)3基であり、各R6は、独立に、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。各R6は、独立に、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、各R6は、任意選択的に置換されたフェニル又は任意選択的に置換されたメチル、エチル、プロピル、若しくはブチル(n-ブチル(nBu)又はtert-ブチル(tBu)等)から選択されるアルキル基である。例示的なシリルエーテル基としては、OSi(Me)3、OSi(Et)3、OSi(Ph)3、OSi(Me)2(tBu)、OSi(tBu)3、及びOSi(Ph)2(tBu)が挙げられる。
【0214】
ニトリル基(シアノ基とも称する)は、CN基である。
イミン基は、-CRNR基、任意選択的に-CHNR7であり、R7は、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基である。R7は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R7は、メチル、エチル、又はプロピルから選択されるアルキル基である。
【0215】
アセチリド基は、三重結合-C≡C-R9を有し、任意選択的に、R9は、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。本発明の目的に関し、R9がアルキルである場合、三重結合は、アルキル鎖の任意の位置に存在することができる。R9は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R9は、メチル、エチル、プロピル又はフェニルである。
【0216】
アミノ基は、任意選択的に、-NH2、-NHR10、又は-N(R10)2であり、R10は、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、シリル基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。アミノ基がN(R10)2である場合、各R10基は、同一であっても又は異なっていてもよいことが理解されるであろう。各R10は、独立に、無置換の脂肪族、脂環式、シリル、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R10は、メチル、エチル、プロピル、SiMe3、又はフェニルである。
【0217】
アミド基は、任意選択的に、-NR11C(O)-又は-C(O)-NR11-であり、R11は、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R11は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R11は、水素、メチル、エチル、プロピル、又はフェニルである。アミド基は、末端に水素、脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基を有してもよい。
【0218】
エステル基は、本明細書の他の箇所に定義されていない限り、任意選択的に、-OC(O)R12-又は-C(O)OR12-であり、R12は、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R12は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R12は、メチル、エチル、プロピル、又はフェニルである。エステル基は、末端に脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基を有することができる。R12が水素である場合、-OC(O)R12-又は-C(O)OR12-で定義される基はカルボン酸基となることが理解されるであろう。
【0219】
スルホキシドは、任意選択的に-S(O)R13であり、スルホニル基は、任意選択的に-S(O)2R13であり、R13は、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R13は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R13は、メチル、エチル、プロピル又はフェニルである。
【0220】
カルボキシレート基は、任意選択的に-OC(O)R14であり、R14は、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R14は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R14は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、又はtert-ブチル)、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、トリフルオロメチル、又はアダマンチルである。
【0221】
アセトアミドは、任意選択的に、MeC(O)N(R15)2であり、R15は、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R15は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R15は、水素、メチル、エチル、プロピル又はフェニルである。
【0222】
ホスフィネート基は、任意選択的に、-OP(O)(R16)2又は-P(O)(OR16)(R16)であり、各R16は、独立に、水素、又は上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、若しくはヘテロアリール基から選択される。R16は、脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができ、これは、脂肪族、脂環式、アリール、又はC1-6アルコキシで任意選択的に置換されている。任意選択的に、R16は、任意選択的に置換されたアリール又はC1-20アルキル、任意選択的に、C1-6アルコキシ(任意選択的にメトキシ)で任意選択的に置換されたフェニル、又は無置換のC1-20アルキル(ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、ステアリル等)である。ホスホネート基は、任意選択的に、-P(O)(OR16)2であり、R16は、上に定義した通りである。-P(O)(OR16)2基のR16の一方又は両方が水素である場合、-P(O)(OR16)2で定義される基は、ホスホン酸基となることが理解されるであろう。
【0223】
スルフィネート基は、任意選択的に、-S(O)OR17又は-OS(O)R17であり、R17は、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、ハロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R17は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R17は、水素、メチル、エチル、プロピル、又はフェニルである。R17が水素である場合、-S(O)OR17で定義される基は、スルホン酸基となることが理解されるであろう。
【0224】
カーボネート基は、任意選択的に-OC(O)OR18であり、R18は、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基とすることができる。R18は、任意選択的に置換された脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R18は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、又はtert-ブチル)、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、トリフルオロメチル、シクロヘキシル、ベンジル、又はアダマンチルである。R18が水素である場合、-OC(O)OR18で定義される基は、炭酸基となることが理解されるであろう。
【0225】
カーボネート官能基(carbonate functional group)は-OC(O)O-であり、好適な供給源から誘導することができる。一般に、これはCO2から誘導される。
【0226】
-アルキルC(O)OR19又は-アルキルC(O)R19基において、R19は、水素、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基である。R19は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R19は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、又はtert-ブチル)、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、トリフルオロメチル、又はアダマンチルである。
【0227】
エーテル基は、任意選択的に-OR20であり、R20は、上に定義した脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基であってもよい。R20は、無置換の脂肪族、脂環式、又はアリールとすることができる。任意選択的に、R20は、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、又はtert-ブチル)、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、トリフルオロメチル、又はアダマンチルである。
【0228】
上述の基のいずれかがルイス塩基G中に存在する場合、原子価を満たすために、必要に応じて、1又は複数の追加のR基が存在し得ることが理解されるであろう。例えば、アミノ基に関連する追加のR基は、RNHR10を与えるように存在することができ、Rは、水素、上に定義した任意選択的に置換された脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、又はヘテロアリール基である。任意選択的に、Rは、水素又は脂肪族、脂環式、若しくはアリールである。
【0229】
接尾辞「エン(ene)」が化学基と一緒に使用される場合、例えば、「アルキレン」は、本明細書に定義する基が、他の基との結合点を2個有することを意味することを意図している。本明細書において使用される、それ自体で又は他の置換基の一部としての「アルキレン」という語は、2価、即ち、他の2個の基と結合する点を有するアルキル基を指す。
【0230】
本明細書において使用される、「任意選択的に置換された」という語は、任意選択的に置換される部分の水素原子の1個又は複数個が適切な置換基に置き換えられていることを意味する。別段の指定がない限り、「任意選択的に置換された」基は、その基の置換可能な各位置に適切な置換基を有することができ、任意の所与の構造の1を超える位置を、特定の基から選択される1を超える置換基で置換することができる場合、その置換基は、どの位置においても、同一であっても又は異なっていてもよい。本発明により想定されている置換基の組合せは、任意選択的に、結果として安定な化合物を形成するものである。本明細書において使用される、「安定な」という語は、化学的に実現可能であり、室温、即ち(16~25℃)で、その検出、単離、及び/又は化学合成における使用が可能になるように、充分に長く存在することができる化合物を指す。
【0231】
本発明に使用するための任意選択的な置換基としては、これらに限定されるものではないが、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、カルボキシレート、カーボネート、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールオキシ、アルキルアリール、アミノ、アミド、イミン、ニトリル、シリル、シリルエーテル、エステル、スルホキシド、スルホニル、アセチリド、ホスフィネート、スルホネート、又は任意選択的に置換された脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、脂環式基、ヘテロ脂環式基、アリール基、若しくはヘテロアリール基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、カーボネート、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、イミン、ニトリル、シリル、スルホキシド、スルホニル、ホスフィネート、スルホネート、又はアセチリドで任意選択的に置換されているもの)が挙げられる。
【0232】
式(VII)において、X基及びG基が1個のM1又はM2金属中心に結合しているように例示されていたとしても、1又は複数のX基及びG基が、M1及びM2金属中心の間に架橋を形成する可能性があることが理解されるであろう。
【0233】
本発明の目的では、エポキシド基質は、限定されない。したがって、エポキシドという用語は、エポキシド部分を含むあらゆる化合物(すなわち、置換された又は置換されていないオキシラン化合物)に関する。置換されたオキシランには、一置換されたオキシラン、二置換されたオキシラン、三置換されたオキシラン、及び四置換されたオキシランが含まれる。エポキシドは、単一のオキシラン部分を含むことができる。エポキシドは、2つ以上のオキシラン部分を含むことができる。
【0234】
用語「エポキシド」は、1つ以上のエポキシドを包含するものとすることが理解されよう。言い換えれば、用語「エポキシド」は、単一のエポキシド、又は2つ以上の異なるエポキシドの混合物を指す。例えば、エポキシド基質は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物、シクロヘキセンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物、エチレンオキシドとシクロヘキセンオキシドとの混合物、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとシクロヘキセンオキシドとの混合物であり得る。
【0235】
環状無水物という用語は、環内に無水物部分を含むあらゆる化合物に関する。好ましい実施形態では、本発明において有用である無水物は、次の式:
【0236】
【0237】
を有する。式中、m’’は、1、2、3、4、5、又は6(好ましくは1又は2)であり、各Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4は、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミン、ニトリル、アセチリド、カルボキシレート、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール又はアルキルヘテロアリール、又は高分子種(例えばポリビス(フェノール)A)から選択され;Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4のうちの2つ以上は、一緒になって、飽和、部分的に飽和、又は不飽和の3~12員の、1個又は複数のヘテロ原子を任意選択的に含有する任意選択的に置換された環を形成してもよいし、一緒になって、二重結合を形成してもよい。各Qは、独立に、C、O、N、又はS、好ましくはCであり、式中、Ra3及びRa4は、存在又は非存在であり、且つQの原子価に従って
【0238】
【0239】
又は
【0240】
【0241】
であり得る。QがCであり、且つ、
【0242】
【0243】
が
【0244】
【0245】
である場合、Ra3とRa4(又は隣接する炭素原子上の2つのRa4)は、非存在であることが理解されるであろう。
好ましい無水物を、以下に記述する。
【0246】
【0247】
環状エステルという用語には、環内に-C(O)O-部分を含むあらゆる環状化合物と関連するラクトンが含まれる。好ましい実施形態では、本発明において有用である環状エステルは、次式:
【0248】
【0249】
を有し、式中、mは、1~20(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20)、好ましくは2、4、又は5であり;RL1及びRL2は、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミン、ニトリル、アセチリド、カルボキシレート、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、又はアルキルヘテロアリールから選択される。RL1及びRL2の2つ以上は、一緒になって、飽和、部分的に飽和、又は不飽和の、3~12員の、1個又は複数のヘテロ原子を任意選択的に含有する任意選択的に置換された環を形成することができる。mが、2以上である場合、各炭素原子上のRL1及びRL2は、同じでも異なってもよい。好ましくは、RL1及びRL2は、水素又はアルキルから選択される。好ましくは、ラクトンは、次の構造:
【0250】
【0251】
を有する。
環状エステルという用語には、2つのエステル基を含有する環状ジエステルも含まれる。好ましい実施形態では、本発明において有用である環状ジエステルは、次式:
【0252】
【0253】
を有する。式中、m’は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(好ましくは1又は2、より好ましくは1)であり、RL3及びRL4は、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミン、ニトリル、アセチリド、カルボキシレート、又は任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、又はアルキルヘテロアリールから選択される。RL3及びRL4の2つ以上は、一緒になって、飽和、部分的に飽和、又は不飽和の、3~12員の、1個又は複数のヘテロ原子を任意選択的に含有する任意選択的に置換された環を形成することができ、m’が、2以上である場合、各炭素原子上のRL3及びRL4は、同じでも異なってもよいし、隣接する炭素原子上の1つ以上のRL3及びRL4が非存在であることによって二重又は三重結合が形成されていてもよい。化合物が、(-CRL3RL4)m’によって表される2つの部分を有する限りは、どちらの部分も同一となることが理解されるであろう。特に好ましい実施形態では、m’は、1であり、RL4は、Hであり、RL3は、H、ヒドロキシル、又はC1~6アルキル、好ましくはメチルである。(-CRL3RL4)m’によって表される部分の立体化学は、同じでも(例えば、RR-ラクチド又はSS-ラクチド)異なっても(例えば、メソ-ラクチド)よい。環状ジエステルは、ラセミ混合物であってもよいし、光学的に純粋な異性体であってもよい。好ましくは、環状ジエステルは、次式:
【0254】
【0255】
を有する。
本明細書で使用される用語「環状エステル」は、ラクトン、環状ジエステル(ラクチド等)、及びこれらの組み合わせを包含する。好ましくは、用語「環状エステル」は、ラクトン又は環状ジエステルを意味する。
【0256】
基Re1、Re2、Re3、Re4、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、RL1、RL2、RL3、及びRL4の好ましい任意選択的な置換基には、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシル、置換されていない脂肪族、置換されていないヘテロ脂肪族の置換されていないアリール、置換されていないヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミン、ニトリル、アセチリド、及びカルボキシレートが含まれる。
【0257】
(ポリ)オールブロックコポリマーという用語は、一般に、ポリオールブロックコポリマー又はモノオールブロックコポリマーを指す。したがって、ブロックコポリマーは、-OH基を有する少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つ以上の末端を有する。
【0258】
一例として、ポリマーの少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%が各末端に-OH基を有することができる。当業者は、ポリマーが線状である場合、両末端が-OH基で末端封止されていてもよいことを理解するであろう。ポリマーが分岐状の場合、分岐鎖がそれぞれ-OH基で末端封止されていてもよい。この種のポリマーは、一般に、ポリウレタン等のより分子量の高い(higher)ポリマーの調製に有用である。鎖は官能基の混合物(例えば、-OH及び-SH基)を含むことができ、又は同じ官能基(例えば、全て-OH基)を含むこともできる。
【0259】
反応/共重合又は反応/重合という用語は、単一の繰り返し単位の場合には反応が示されるのに対して、複数の繰り返し単位の場合には共重合又は重合が示されることを意味する。
【0260】
(ポリ)エステル、(ポリ)エーテル、及び(ポリ)エーテルカーボネートという用語は、1つのみの反応残基が存在し、且つ繰り返し単位が存在しなくてもよいし-エステル、エーテル、エーテルカーボネート-、いくつかの繰り返し単位が存在していてもよい-ポリエステル、ポリエーテル、及びポリエーテルカーボネート-ことを意味する。したがって、疑念を避けるために付言すれば、「ブロック」は、繰り返し単位を有しない単一の反応残基であり得る。
【0261】
本明細書において使用する「連続的」という語は、材料を添加する方式として定義することができ、又は全体としての反応方法の性質を指すこともできる。
連続方式の添加という意味では、対応する材料は、反応を行う間中、継続して(continually)又は絶えず(constantly)添加される。これは、例えば、材料の流れを一定の流速で又は流速を変化させて添加することにより達成することができる。換言すれば、1種又は複数種の材料が、基本的に中断することなく添加される。但し、実用上の事情を考慮すると、材料を中断せずに添加する際も、例えば、材料を添加する元の容器に材料を補充したり容器を交換したりするために短時間中断することが必要となり得ることに留意されたい。
【0262】
反応全体が連続的であるという意味では、反応は、長時間、例えば、何日間、何週間、何か月間等に亘り実施することができる。このような連続的反応においては、反応材料を連続的に継ぎ足すことができ、及び/又は反応生成物を抜き出すこともできる。触媒は反応中に消費されない可能性もあるが、抜き出しを行う際に存在する触媒量が激減することもあるため、触媒を補充する場合もあることが理解されるであろう。
【0263】
連続的反応では、材料の連続的添加を行うことができる。
連続的反応では、材料の不連続な(即ち、回分式又は半回分式)添加を行うこともできる。
【0264】
本明細書において使用される直列という語は、粗反応混合物を第1反応器から第2反応器に流すことができるように、2以上の反応器が連結されている場合を指す。
本明細書において使用される入れ子という語は、2以上の反応器の一方が他方の内部(within)に位置するように構成されている場合を指す。例えば、本発明において、第2反応器が第1反応器の内側(inside)に位置する場合、両反応器の条件が他方の反応器に影響を与える。
【実施例】
【0265】
方法及び分析
ポリマー生成物を、以下の追加を伴って米国特許第9296859号明細書に教示されているのと同じ方法を使用する1H NMR分光法によって特性決定した:
I5:二重結合が、リンゴ酸無水物(CH2、6.22~6.29ppm)から組みこまれる代わりに、I5は、代わりに、以下のいずれかが組み込まれる:無水フタル酸(2xCH、7.5ppm)又は無水コハク酸(2xCH2、2.55ppm)。
【0266】
I6:未反応の無水物:7.9ppm(2*CH)の無水フタル酸;2.95ppm(2*CH2)の無水コハク酸。
各場合において、1H NMRを使用して、反応1-ポリカーボネート反応と反応3ポリエーテル反応(反応3においてDMCを活性化するために異なる開始剤が使用されるならば)の片方又は両方から、開始剤材料に対する環状カーボネートの量を算出することができる。これは、4.5ppmの環状カーボネート-CH積分値を、開始剤(1.75ppmのヘキサンジオールOCH2CH2、0.85ppmのTMPEO-CH3)の積分値と比較することによって行う。次いで、環状カーボネートの開始剤分子に対する割合の変化を使用して、反応1からのどの程度のカーボネートポリオールが反応3において環状カーボネートに分解しているかを算出することができる。
【0267】
触媒1:
【0268】
【0269】
以下は、本発明の典型的な例を記載する:
反応1:
100mLの反応器に、開始剤1(例えば、ヘキサンジオール、1.05g)を装入し、およそ100℃で真空中で乾燥させ、その後1バールのCO2圧力を加えた。触媒1を、PO(20mL)に溶解し、反応器に添加した。この混合物を撹拌し、70℃に加熱し、CO2をゲージ圧10バールで添加した。
【0270】
反応2:
混合物を数時間(例えば6時間)撹拌した後、反応物を、冷却及び排気した。この混合物に、固体の無水物(無水フタル酸、開始剤-OHあたり5.16g、2当量)を添加し、触媒1によって触媒される、反応1からの未反応のエポキシドとの優先的共重合を受けた。反応器を再密封し、CO2で再加圧し、およそ70℃/ゲージ圧10バールでさらに6時間撹拌し、その後、<15℃に冷却し、1H NMR及びGPCによる分析のために試料を採取した。実施例5及び7では、反応器を、反応2の間、0.5バールのCO2で再加圧しただけであった。実施例6では、無水物を、反応1の生成物に添加し、この混合物は再密封及び再加圧しなかった。代わりに、これを、さらなる撹拌時間無しで反応3に直接移動させた。実施例7では、触媒1の追加の50%を、無水物と共に添加した。未反応の無水物の%を算出した。
【0271】
次いで、B-A-Z-Z-Z-A-Bカーボネート/エステルポリオール生成物を、シュレンクに注ぎ、EtOAc(10mL)及びPO(3mL)と混合した。
反応3:
別の反応器中で、開始剤2(PPG400、0.2mL)及びDMC(9mg)を、120℃で/1時間、真空中で乾燥させた。冷却後、N2の雰囲気中でEtOAc(15mL)を添加し、この混合物を、およそ130℃に加熱した。DMCを、3分割のPO(0.3g)で活性化し、その後、加熱ジャケットの除去によって、標的温度(85℃)に冷却した。
【0272】
次いで、反応1及び2からのB-A-Z-Z-Z-A-Bカーボネート/エステルポリオール生成物混合物を、およそ1時間かけて、HPLCによって活性なDMC系に添加し、いったん添加が完了したら、さらに1時間「加熱し切った(cooked out)」。<15℃に冷却した後、反応を、1H NMR及びGPCによって分析した。
【0273】
実施例2~7は、表1に示された試薬及び条件を使用して、同じ実験を行う。
比較例:
比較例は、反応2が実施されないこと以外は、本発明の実施例のための同じプロトコルに従う。反応1の後、生成物カーボネートポリオールを、本発明の実施例について記載されている通りに、反応器から取り出し、EtOAc及びPOで希釈し、反応3に添加した。
【0274】
【0275】
これらの実施例は、無水物の明らかな非存在下で、反応1において生成されたポリカーボネートの著しい分解が、反応3への添加時に観察されることを実証する。これは、反応1開始剤分子に対する環状カーボネートの比率の増大、又は反応3中のポリカーボネート分解の算出された%によって測定される。比較例は、開始剤に対する環状カーボネートの著しく大きい比率を明確に示し、また、全て、本発明の実施例(ここでは、100℃ですら10%未満の分解が観察され、開始剤分子に対する環状カーボネートの比率のわずかな増大しか観察されない)と対照的に、反応3におけるポリカーボネートポリオールの20%よりも大きい分解を示す。実施例C4、C5、並びに4及び5は、それぞれ、本発明が、官能性>2(t>2)を有するポリオールに特に有効であることを実証し、ここでは、比較例C4及びC5は、ポリカーボネートポリオール分解が、反応3への添加時に、ほぼ完全であることを示すのに対して、実施例4においては、無水物の添加が、著しい分解を防止する。多官能ポリカーボネートポリオールのヒドロキシル末端基の数の増加は、鎖末端からのアンジッピングを受けやすくする。比較例C6は、ジオールを用いた場合でも、より高い反応3温度が、分解増大をもたらすことを示すのに対して、実施例6及び7は、高い反応3温度で実施し、実質的に、より少ない分解であった。実施例6は、反応1の最後に無水物を追加し、反応3にそのまま移動させることによっても、実質的な利益が見られることを実証する。実施例7は、追加の触媒を、反応2に使用することができることを示す。
【国際調査報告】