(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-13
(54)【発明の名称】脂質膜封入複合集合体の精製
(51)【国際特許分類】
C12N 7/02 20060101AFI20231106BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20231106BHJP
B01D 15/38 20060101ALI20231106BHJP
B01J 20/281 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
C12N7/02
C12N5/071
B01D15/38
B01J20/22 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527650
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2021080501
(87)【国際公開番号】W WO2022096499
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521262714
【氏名又は名称】ザルトリウス ビーアイエー セパレーションズ ディー.オー.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギャニオン、ピーター スタンリー
【テーマコード(参考)】
4B065
4D017
4G066
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA95X
4B065AA97X
4B065AC20
4B065BA30
4B065BD14
4B065BD18
4B065CA60
4D017AA09
4D017BA07
4D017CA14
4D017CA17
4D017DA03
4D017EA05
4G066AB13B
4G066CA20
4G066DA07
4G066EA01
(57)【要約】
サンプル中の脂質膜封入化合物集合体(LMCA)由来の分解された残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体からLMCAを分離するためのクロマトグラフィーの方法であって、
- 前記サンプルを、カチオン性金属親和性リガンドを有する表面を有するクロマトグラフィー材料と接触させること、ここで、前記クロマトグラフィー材料は第二鉄イオン、マンガンイオン、カルシウムイオン、又はマグネシウムイオンを保持し(charged with)、かつ平衡緩衝液で平衡化されている、
- 非金属キレート塩を含む第1の溶出緩衝液の勾配を適用すること、
- それによってLMCAを溶出すること、
を含むクロマトグラフィーの方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の脂質膜封入化合物集合体(LMCA)由来の分解された残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体からLMCAを分離するためのクロマトグラフィーの方法であって、
- 前記サンプルを、カチオン性金属親和性リガンドを有する表面を有するクロマトグラフィー材料と接触させること、ここで、前記クロマトグラフィー材料は第二鉄イオン、マンガンイオン、カルシウムイオン、又はマグネシウムイオンを保持し(charged with)、かつ平衡緩衝液で平衡化されている、
- 非金属キレート塩を含む第1の溶出緩衝液の勾配を適用すること、
- それによってLMCAを溶出すること、
クロマトグラフィーの方法。
【請求項2】
前記LMCAが、細胞小胞、細胞外小胞、非細胞小胞、細胞オルガネラ、エキソソーム、小さな(small)細胞外小胞、マイクロベシクル、中程度(medium)の細胞外小胞、リボソーム、ミトコンドリア、脂質エンベロープウイルス又は脂質エンベロープウイルス様粒子、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、レンチウイルス、サイトメガロウイルス、リポソーム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非金属キレート塩が一価ハロゲン化物塩、特に塩化ナトリウムである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記サンプルが、細胞培養採取物、濾過された細胞培養採取物、濃縮濾過された細胞培養採取物、LMCAを含む部分的に精製された調製物、及びLMCA残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
LMCA由来の分解された残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体が、キレート塩を含む第2の溶出緩衝液の勾配で溶出される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の溶出緩衝液のキレート塩が、金属リン酸塩、若しくは金属クエン酸塩、又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の金属塩、又はエグタジン酸(EGTA)としても知られるエチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N',N'-四酢酸の金属塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
クロマチンヘテロ凝集体含有量を低減させるための少なくとも1つの追加の方法と組み合わされる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの追加の方法が、ヌクレアーゼ酵素による処理及び/又は陰イオンクロマトグラフィーリガンドを担持する固相による処理である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記陰イオンクロマトグラフィーリガンドを担持する固相が、鉄又はマンガンイオンを保持している(charged with)、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプルをクロマトグラフィー材料と接触させ、インキュベーション時間の後、クロマトグラフィー材料から分離する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記サンプル、特にエキソソームを含む細胞培養採取物が、タンジェンシャルフロー濾過によって透析濾過される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記カチオン性金属親和性リガンドが、トリス(2-アミノエチル)アミン(TREN)からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記平衡緩衝液が、pH5からpH9、又はpH6からpH8、又は好ましくはpH6.5からpH7.5の範囲のpH値を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記平衡緩衝液が、1mS/cmから250mS/cm、又は2mS/cmから100mS/cm、又は3mS/cmから50mS/cm、又は4mS/cmから20mS/cm、又は好ましくは5mS/cmから10mS/cmの導電率値を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル中に脂質膜封入化合物集合体(LMCA)由来の分解残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体から、LMCAを分離するためのクロマトグラフィー法に関する。
【背景技術】
【0002】
「複合集合体」という用語は、生物学の分野で、複数の種の生体分子を含み、通常、タンパク質、炭水化物、核酸などの複数のクラスの生体分子を含む、構造的に組織化された実体を指すために使用される。いくつかの複合集合体は、細胞小胞、細胞外小胞、脂質エンベロープウイルスなどの脂質膜に囲まれている。その大部分は、約30nmから約300nmの範囲のサイズで存在し、最大で10倍以上に大きいものも存在する。
【0003】
最近の実験では、脂質膜封入化合物集合体 (LMCA) の未精製調製物には、分解された残渣を含む特定のクラスの汚染物質が付随していることが示されている[1、2]。それらは、特定のLMCAに特異的なタンパク質マーカーの免疫学的染色によって検出される。サイズ排除クロマトグラフィーは、そのような残渣の大部分のサイズが約2nmから約50nmまでの範囲であることを示唆している。
【0004】
クロマチンは、細胞培養の採取物に含まれる既知のクラスの汚染物質である。これは、宿主細胞のDNAとヒストンタンパク質を含む劣化したヌクレオソームアレイで構成されている[3]。多くの場合、二次的にRNAや他のタンパク質に結合し、ヘテロ凝集体を作成するが、ここで、ヘテロ凝集体という用語は、複数のクラスの生化学種の組織化されていない複合体を指すと理解される。細胞培養採取物に残っているクロマチンヘテロ凝集体は、2nmから5ミクロン以上の範囲で存在することが知られている。0.45ミクロンの膜でろ過すると、範囲の上限は約400nmに減少する。
【0005】
最近の実験データは、クロマチンヘテロ凝集体の特定のサブセットが、LMCAの分解された残渣を含むことを示している[4]。クロマチンヘテロ凝集体のこの拡張されたクラスは、クロマチン成分からの表面アクセスが可能な過剰な核酸と組み合わされた、化合物集合体の特定の種に特徴的なLMCA膜タンパク質マーカーの包含によって定義される。過剰な核酸の表面アクセス性は、これらのヘテロ凝集体の特徴を定義する重要な要素である。多くの種類のLMCAには核酸が含まれているが、LMCAが無傷のままである限り、核酸は脂質膜内に閉じ込められている。LMCA残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体は、100nm未満から1000nmより大きい範囲のサイズで存在する[4]。
【0006】
LMCA残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体は、治療用途のLMCAの生産に特有の問題を引き起こす。このようなヘテロ凝集体によって、免疫学的アッセイにおいて、無傷のLMCAの見かけの含有量が増大する。これらのタンパク質を含むクロマチンヘテロ凝集体も捕捉されるため、このことは、膜タンパク質によってLMCAを認識するアフィニティクロマトグラフィー法にとっても問題である。 LMCAとLMCA残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体のサイズのオーバーラップのため、サイズベースの精製方法ではそれらを分離できない。
【0007】
陰イオン交換クロマトグラフィーはLMCA残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体からLMCAを分離する可能性があるが、その有用性は、核酸残基が非常に優勢な外部構造を有するヘテロ凝集体に限定される[1-3]。このようなヘテロ凝集体は通常、塩化ナトリウムでは溶出しないが、無傷のLMCAは溶出する。表面上の核酸の量が少ないLMCA残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体は、無傷のLMCAと共溶出する[4](
図1)。世界中の規制当局は、DNAの混入を極めて低いレベルに抑えることを一貫して要求しているため、このことは、LCMAの治療への応用にとって重要な問題である。
【0008】
LMCAには、外膜リーフレットにホスファチジルセリンが過剰に含まれるLMCAから、外膜リーフレットのホスファチジルセリンが不足しているLMCAを分離するという、さらなる精製の課題が示されることがある。外膜リーフレットの過剰なホスファチジルセリンは、特定のLMCAのソース細胞が炎症である、感染している、病気である、死にかけている、又は死んでいることを示す指標である[5]。外膜表面にホスファチジルセリンを欠くLCMAから、外膜表面にホスファチジルセリンを有するLCMAを分画できるクロマトグラフィー法は現在知られていない。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、サンプル中の脂質膜封入化合物集合体(LMCA)由来の分解された残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体から、LMCAを分離するためのクロマトグラフィー法に関するものであり、以下の工程を含む。
【0010】
- サンプルを、カチオン性金属親和性リガンドを有する表面を有するクロマトグラフィー材料と接触させること、ここで、前記クロマトグラフィー材料が第二鉄イオン、マンガンイオン、カルシウムイオン、又はマグネシウムイオンを保持し(charged with)、かつ平衡緩衝液で平衡化されている、
- 非金属キレート塩を含む第1の溶出緩衝液の勾配を適用すること、
- それによってLMCAを溶出すること。
【0011】
本発明の方法の一実施形態では、LMCAは、細胞小胞、細胞外小胞、非細胞小胞、細胞オルガネラ、エキソソーム、小さな(small)細胞外小胞、マイクロベシクル、中程度の(medium)細胞外小胞、リボソーム、ミトコンドリア、脂質エンベロープウイルス又は脂質エンベロープウイルス様粒子、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、レンチウイルス、サイトメガロウイルス、リポソーム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0012】
本発明の方法の別の実施形態では、非金属キレート塩は、一価ハロゲン化物塩であり、特に塩化ナトリウムである。
【0013】
本発明の方法のさらに別の実施形態では、サンプルは、細胞培養採取物、濾過細胞培養採取物、濃縮濾過細胞培養採取物、LMCAを含む部分的に精製された調製物及びLMCA残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体であり得る。
【0014】
本発明の方法のさらに別の実施形態では、LMCA由来の分解された残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体は、キレート塩を含む第2の溶出緩衝液の勾配で溶出することができる。
【0015】
本発明の方法のさらなる実施形態において、前記第2の溶出緩衝液のキレート塩は、金属リン酸塩、若しくは金属クエン酸塩、又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の金属塩、又はエグタジン酸(EGTA)としても知られるエチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N',N'-四酢酸の金属塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0016】
本発明の方法のまたさらなる実施形態において、その方法は、クロマチンヘテロ凝集体含有量を減少させるための少なくとも1つの追加の方法と組み合わせることができる。
【0017】
本発明の方法のさらなる実施形態において、前記少なくとも1つの追加の方法は、ヌクレアーゼ酵素による処理及び/又は陰イオンクロマトグラフィーリガンドを担持する固相による処理であり得る。
【0018】
本発明の方法の別の実施形態において、陰イオンクロマトグラフィーリガンドを担持する固相は、鉄イオン又はマンガンイオンを保持する(charged with)ことができる。
【0019】
本発明の方法のさらに別の実施形態では、サンプルをクロマトグラフィー材料と接触させ、インキュベーション時間の後、クロマトグラフィー材料から分離する。
【0020】
本発明の方法のさらに別の実施形態では、サンプル、特にエキソソームを含む細胞培養採取物は、タンジェンシャルフロー濾過によって透析濾過することができる。
【0021】
本発明の方法の別の実施形態では、カチオン性金属親和性リガンドは、トリス(2-アミノエチル)アミン(TREN)であってもよい。
【0022】
本発明の方法のさらなる実施形態において、平衡緩衝液は、pH5からpH9、又はpH6からpH8、又は好ましくはpH6.5からpH7.5の範囲のpH値、及び1mS/cmから250mS/cm、又は2mS/cmから100mS/cm、又は3mS/cmから50mS/cm、又は4mS/cmから20mS/cm、又は好ましくは5mS/cmから10mS/cmの導電率値を含み得る。
【0023】
本発明は、脂質膜封入化合物集合体(LMCA)由来の分解された残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体から無傷の脂質膜封入化合物集合体(LMCA)を分離するためのクロマトグラフィー法である。驚くべきことに、好ましくは第二鉄イオン又はマンガンイオンを担持するカチオン性金属親和性リガンドが、塩化ナトリウムなどの非金属キレート塩を用いた勾配で無傷のLMCAを溶出することが発見された。LMCA由来の分解された残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体は、より強く保持される。その一部は、リン酸ナトリウムなどのキレート塩を使用した勾配で溶出できる。残りは水酸化ナトリウムで溶出できる。本発明の拡張された変形においては、基本的な発明内容を、ヌクレアーゼ酵素による処理及び/又は好ましくは鉄又はマンガンイオンで荷電された陰イオンクロマトグラフィーリガンドを担持する固相による処理など、クロマチンヘテロ凝集体含有量を減少させるための1つ又は複数の付加的な方法と組み合わせる。
【0024】
本発明の要素は、以下の実施形態で例示されるが、これに限定されるものではない。
【0025】
主要な方法を説明する一例では、カチオン性金属アフィニティクロマトグラフィーカラムに第二鉄を保持し(charged with)、次いでほぼ生理学的条件に平衡化する。エキソソーム(LMCA)を含むろ過された細胞培養採取物は、平衡化されたカチオン性金属アフィニティカラムに注入され、そのカラムは平衡化緩衝液で洗浄される。無傷のエキソソームは、塩化ナトリウム勾配で溶出される。この方法の任意の拡張形においては、LMCA残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体をリン酸ナトリウム勾配で溶出する。カラムはNaOHで洗浄される。
【0026】
本方法のさらに拡張された変形を示す一例では、アニオン性金属親和性固相に第二鉄を保持(charged with)し、次いでほぼ生理学的条件に平衡化する。エキソソームを含む細胞培養採取物を固相と接触させ、1時間インキュベートした後、固相から分離する。分解されたLMCAの残渣に関連するクロマチンヘテロ凝集体を含む主要なクロマチンのサブセットは、第二鉄を保持した(charged with )アニオン性金属親和性固相に結合したままであるため、除去される。次に、処理後の採取物は、前記の主要な方法によって処理される。
【0027】
本方法の拡張された変形を示す別の例では、エキソソームを含む細胞培養採取物は、タンジェンシャルフロー濾過によって、ヌクレアーゼ酵素に最適な条件に透析濾過される。膜の孔のサイズは、目的のLMCAを保持できる最大のサイズであるため、小さな汚染物質が孔を通して除去される可能性がある。次に、透析濾過された採取物をヌクレアーゼ酵素で処理する。タンジェンシャルフロー濾過を再開して、ヌクレアーゼ処理の作用によって解放されたヌクレオチドを、DNAの溶解によって解放されたヒストンとともに除去する。エキソソーム含有残余物は、必要に応じて濃縮してもよい。次に、処理後の採取物は、前記の主要な方法によって処理される。
【0028】
本方法の化合物拡張変形を示す例では、アニオン性金属親和性固相に第二鉄を保持(charged with)し、次いでほぼ生理学的条件に平衡化する。エキソソームを含む細胞培養採取物を固相と接触させ、1時間インキュベートした後、固相から分離する。分解されたLMCAの残渣に関連するクロマチンヘテロ凝集体を含む主要なクロマチンのサブセットは、第二鉄を保持した(charged with)アニオン性金属親和性固相に結合したままであるため、除去される。この除去により、処理された採取物の濾過性が向上する。処理された採取物は、タンジェンシャルフロー濾過によってヌクレアーゼ酵素に最適な条件に濃縮及び透析濾過される。膜の孔のサイズは、目的のLMCAを保持できる最大のサイズであるため、小さな汚染物質が孔を通して除去される可能性がある。次に、透析濾過された採取物をヌクレアーゼ酵素で処理する。タンジェンシャルフロー濾過を再開して、ヌクレアーゼ処理の作用によって解放されたヌクレオチドを、DNAの溶解によって解放されたヒストンとともに除去する。エキソソーム含有保持物は、必要に応じて濃縮してもよい。次に、処理後の採取物は、前記の主要な方法によって処理される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】陰イオン交換クロマトグラフィーカラムからのエキソソーム及びエキソソームフラグメント-クロマチンハイブリッドの溶出を示す図である。
【
図2】第二鉄を保持した(charged with)カチオン性金属アフィニティクロマトグラフィーカラムからのエキソソーム及びフラグメント-クロマチン混入物の溶出を示す図である。ここで、エキソソームは塩化ナトリウム勾配で溶出し、エキソソームフラグメント-クロマチン混入物はリン酸勾配で、又は後に水酸化ナトリウムで溶出する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
一実施形態では、本発明の方法によって処理されるLMCA種には、細胞小胞、又は細胞外小胞、又は非細胞小胞又は細胞小器官が含まれる。そのような実施形態では、本発明の方法によって処理されるLMCA種には、エキソソーム、又は小さな(small)細胞外小胞、又はマイクロベシクル、又は中程度の(medium)細胞外小胞、又はリボソーム、又はミトコンドリアが含まれる。別の実施形態では、本発明の方法によって処理されるLMCA種には、脂質エンベロープウイルス又は脂質エンベロープウイルス様粒子が含まれる。そのような実施形態では、本発明の方法によって処理されるLMCA種には、インフルエンザウイルス、又はコロナウイルス、又はレンチウイルス、又はサイトメガロウイルス、若しくは別の脂質エンベロープウイルスが含まれる。
【0031】
一実施形態では、本発明の方法によって処理されるLMCA種を含むサンプルは、濾過された細胞培養採取物、又は濃縮濾過された細胞培養採取物、又は所望のLMCA種を含む部分的に精製された調製物及びLMCA残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体である。一実施形態では、サンプルは、核酸の含有量を減少させるように処理された細胞培養採取物である。核酸含有量が減少するようにサンプルが処理される実施形態では、核酸含有量を減少させるために使用される方法は、ヌクレアーゼ酵素による処理であってもよい。核酸含有量が減少するようにサンプルが処理される実施形態では、核酸含有量を減少させるために使用される方法は、金属イオンを保持した(charged with)アニオン性金属親和性固相での処理であってもよい。そのような実施形態の一つにおいては、アニオン性金属親和性リガンドはイミノ二酢酸(IDA)である。また別のそのような実施形態においては、アニオン性金属親和性リガンドはニトリロ三酢酸(NTA)である。そのような実施形態の一つにおいては、アニオン性金属親和性リガンドに保持させる(charge)ために使用される金属イオンは、好ましくは第二鉄又はマンガンである。そのような実施形態の一つにおいては、アニオン性金属親和性リガンドが共有結合される固相は、粒子、又は繊維、又は膜、又はモノリス(一枚岩)、若しくは別の構成、又はこれらを混合した構成であり、それらのいずれかがクロマトグラフィーカラムを含むクロマトグラフィー装置に充填されていてもよい。
【0032】
一実施形態では、固相、カラム、又はカラム充填物に共有結合したカチオン性金属親和性リガンドは、トリス(2-アミノエチル)アミン(TREN)である。
【0033】
一実施形態では、カチオン性金属親和性リガンドは、カルシウム、マグネシウム、マンガン、又は好ましくは第二鉄などの二価又は三価の金属イオンを保持する(charged with)。
【0034】
一実施形態では、金属イオン保持(metal-ion-charged)カチオン性金属親和性固相は、pH5からpH9、又はpH6からpH8、又は好ましくはpH6.5からpH7.5の範囲のpH値、及び1mS/cmから250mS/cm、又は2mS/cmから100mS/cm、又は3mS/cmから50mS/cm、又は4mS/cmから20mS/cm、又は好ましくは5mS/cmから10mS/cmの範囲の導電率値に平衡化される。生理学的条件に近い状態を好ましいとすることが、ある意味で、所望のLMCAの安定性を維持することを意図していることは、当業者には明らかであろう。本発明の方法の化学的選択性は、LMCAの安定性の問題とは無関係に、より広い範囲のpH及び導電率にわたって維持される。
【0035】
一実施形態では、非金属キレート塩を含む溶離緩衝液をカラム上に流すことによって、LMCAの種がカラムから溶離されるが、ここで、塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、又は別の一価金属ハロゲン化物などの一価金属ハロゲン化物、あるいは、酢酸ナトリウム又は別の一価金属酢酸塩、もしくは別の非キレート塩であり、好ましくは塩化ナトリウムである。そのような実施形態の一つにおいては、塩化ナトリウムの濃度は、0.5Mから2.0M、又は0.75Mから1.5M、又は1.0Mから1.25M、又は0.8Mから1.2M、又は0.9Mから1.1Mの範囲の濃度である。また別のそのような実施形態においては、塩化ナトリウムの濃度は、0.5Mから2.0M、又は0.75Mから1.5M、又は1.0Mから1.25M、又は0.8Mから1.2M、又は0.9Mから1.1Mの範囲の最終濃度まで連続的に又は段階的に増加される。これらの実施形態のいずれにおいても、操作pHは平衡緩衝液と同じであってもよく、好ましくは6.5から7.5の範囲であってもよい。
【0036】
一実施形態では、LMCAの残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体は、LMCAの溶出後に別の工程で溶出される。 そのような実施形態の一つにおいては、LMCAの残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体は、金属をキレートする能力を有する塩で溶出される。 そのような実施形態の一つにおいては、LMCAの残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体は、500mMのリン酸ナトリウム、又は1Mのリン酸カリウム、又は別の一価金属リン酸塩、あるいは一価金属クエン酸塩、もしくはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の一価金属塩、又はエグタジン酸(EGTA)としても知られるエチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N',N'-四酢酸の一価金属塩、もしくはそれらの組み合わせへの勾配で溶出される。いくつかのそのような実施形態においては、キレート塩は、一価金属ハロゲン化物塩又は金属酢酸塩などの非キレート塩と混合されてもよい。
【0037】
一実施形態では、一価金属のハロゲン化物、又は一価金属酢酸塩、又は他の非キレート塩による先行の溶出工程なしで、本発明の金属保持(metal-charged)カチオン性金属アフィニティカラムは、リン酸、クエン酸、EDTA、EGTA、又はそれらの組み合わせを用いて、連続的に又は段階的な単一の操作で溶出されてもよい。
【0038】
一実施形態では、LMCAの種の溶出は、無傷のLCMAの大部分を溶出し、それらを単一の小部分(fraction)に濃縮するのに十分な高濃度の非キレート塩への工程で実施することができる。別の実施形態では、LMCA種の溶出は一連の工程で行うことができ、最終工程は無傷のLMCAの大部分を溶出するのに十分な高濃度の非キレート塩を含み、中間工程は目的の無傷のLMCA種を汚染物質から分離する目的のため一連の漸増する濃度の非キレート塩を含む。別の実施形態では、LMCA種の溶出は、無傷のLMCAの大部分を溶出するのに十分な終点濃度まで非キレート塩の濃度を連続的に増加させる、いわゆる線形勾配で行うことができる。
【0039】
一実施形態では、クロマチンヘテロ凝集体の溶出は、単一の工程、一連の工程、又は線形勾配で、目的の種を溶出するのに十分な塩濃度の終点までキレート塩の濃度を増加させることによって実行され得る。
【0040】
一実施形態において、本発明の方法は、細胞外小胞を分画するために使用される。そのような一実施形態において、本発明の方法は、エキソソームを精製するために使用される。そのような実施形態の一つにおいては、無傷のエキソソームは、塩化物イオンの存在下で、TRENカラムなどの第二鉄担持(loaded)カチオン性金属アフィニティカラムから溶出する。そのような実施形態の一つにおいては、エキソソームの残渣及び/又は細胞外小胞の他の種を含むクロマチンヘテロ凝集体は、リン酸イオンの存在下で溶出する。細胞外小胞の分画を含む別の実施形態では、本発明の方法は、外膜リーフレットに過剰なホスファチジルセリンを含むエキソソームを含む細胞外小胞から、外膜リーフレットにホスファチジルセリンが不足しているエキソソームを含む細胞外小胞を分画するために使用される。そのような実施形態の一つにおいては、それらの外膜リーフレットにおいてホスファチジルセリンが不足している細胞外小胞は塩化ナトリウムで溶出し、外膜リーフレットに過剰なホスファチジルセリンを含む細胞外小胞は、リン酸ナトリウムで出口に溶出される。そのような実施形態の一つにおいては、本発明の方法は、ホスファチジルセリン陽性エキソソームの存在に関する診断試験の感度及び精度を高める目的で、ホスファチジルセリン陽性エキソソームを選択的に濃縮することに使用される。
【0041】
一実施形態では、本発明の方法は、脂質エンベロープウイルスの分解残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体から、及び細胞外小胞の分解残渣から、所望の脂質エンベロープウイルスを分画することに使用される。
【0042】
一実施形態では、本発明の方法によって処理されたLMCAをさらに処理して、残留する汚染物質クラスのレベルを下げることができる。この目的のための後続の方法には、濾過法、沈殿法、及びクロマトグラフィー法が含まれ得る。一実施形態において、その後の精製法がクロマトグラフィー法である場合、クロマトグラフィー法は、サイズ排除クロマトグラフィー、又は陰イオン交換クロマトグラフィー、又は別のクロマトグラフィー法であり得る。
【0043】
当業者は、本発明の第二鉄を担持したカチオン性金属親和性カラムが、カラム上の正電荷及びリン酸残基に対する第二鉄の高い親和性のために、エンドトキシンに対して高い親和性を有することを理解するであろう。したがって、非キレート塩で溶出されたLMCAは、元のサンプルのエンドトキシンレベルと比較してエンドトキシンが非常に少ない状態であることが期待される。
【0044】
[実施例]
<実施例1>
本発明の方法による細胞外小胞の分画
【0045】
カチオン性金属親和性モノリス(TREN)に第二鉄を担持し(loaded)、15カラム容量(CV)の50mM Hepes、20mM NaCl、pH 7.0で平衡化した。エキソソーム(小さな(small)細胞外小胞(LMCA))、クロマチン、及びクロマチンと分解された小胞要素を含むヘテロ凝集体の混合物を含む、濾過された哺乳類細胞培養採取物をカラムに注入した(loaded)。未結合のサンプル成分を平衡緩衝液でカラムから洗い流し、カラムを1.0M塩化ナトリウム(50mM Hepes、pH 7.0)までの工程で、5CVにわたって継続して溶出した。カラムを元の平衡緩衝液で再平衡化し、その後、500mMリン酸ナトリウム、pH 7.0で終了し、500mMリン酸で5CVにわたって継続する第2の溶出工程を適用した。カラムを元の平衡条件に戻した後、30CVの1M NaOHに2M NaClを加えたもので洗浄した。そのクロマトグラムを
図2に示す。細胞外小胞の 1 つの集団がNaClで溶出した。リン酸溶出は塩化物溶出よりも導電率が低いが、それにもかかわらず、第2のピークはリン酸で溶出した。このことは、リン酸溶出が、塩化ナトリウムでは除去できなかった細胞外小胞の異なる集団を選択することを強調するものである。溶出パターンは、陰イオン交換クロマトグラフィーとは異なるものである (第4級アミンの陰イオン交換クロマトグラフィーを
図1に示す)。
【0046】
<実施例2>
LMCA由来の分解された残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体からの所望のエキソソーム集団(LCMA)の分画
【0047】
カチオン性金属親和性モノリス(TREN)に第二鉄を担持し(loaded)、15CVの50mM Tris、20mM NaCl、pH 7.5で平衡化する。エキソソーム、クロマチン、及びクロマチンと分解された小胞要素を含むヘテロ凝集体の混合物を含む、濾過された哺乳類細胞培養採取物がカラムに注入される(loaded)。未結合のサンプル成分をカラムから平衡緩衝液で洗い流し、カラムを50mM Tris、1.0M塩化ナトリウム、pH 7.0までの20CVの線形勾配で溶出し、その後、これらの条件下で5CV継続する。次いでカラムを、1M NaOHに2M NaClを加えたもので洗浄する。
【0048】
<実施例3>
ホスファチジルセリン陰性エキソソームからのホスファチジルセリン陽性エキソソーム集団(LCMA)の分画
【0049】
カチオン性金属親和性モノリス(TREN)に第二鉄を担持し(loaded)、15CVの50mM Tris、20mM NaCl、pH 7.5で平衡化する。ホスファチジルセリン陽性エキソソームとホスファチジルセリン陰性エキソソームの混合物を含む、濾過された哺乳類細胞培養採取物がカラムに注入される(loaded)。未結合のサンプル成分はカラムから洗い流される。ホスファチジルセリン陽性エキソソームは、50mM Tris、1.0M塩化ナトリウム、pH 7.0での洗浄工程によって除去され、その後、これらの条件下で5CV継続する。必要に応じて、カラムを元の平衡条件に再平衡化する。ホスファチジルセリン陽性エキソソームは、1Mリン酸カリウムでカラムを溶出することによって回収される。次いでカラムを、1M NaOHに2M NaClを加えたもので洗浄する。
【0050】
<実施例4>
LMCA由来の分解された残渣を含むクロマチンヘテロ凝集体からの所望の脂質エンベロープウイルス(LCMA)の分画
【0051】
カチオン性金属親和性モノリス(TREN)に第二鉄を担持し(loaded)、15CVの50mM Tris、20mM NaCl、pH 7.5で平衡化する。コロナウイルス、クロマチン、及びクロマチンと分解されたLMCA残渣を含むヘテロ凝集体の混合物を含む、濾過された哺乳類細胞培養採取物がカラムに注入される(loaded)。未結合のサンプル成分をカラムから平衡緩衝液で洗い流し、カラムを 50mM Tris、1.0M塩化ナトリウム、pH 7.0までの20CVの線形勾配で溶出し、その後、これらの条件下で5CV継続する。次いでカラムを、1M NaOHに2M NaClを加えたもので洗浄する。
【0052】
<実施例5>
エキソソームの精製のための本発明の方法の実施に先立つクロマチンの還元
【0053】
第二鉄を保持した(charged with)粒子含有イミノ二酢酸を、20mM Tris、50mM NaCl、pH 7.5に平衡化する。それを、エキソソーム及び汚染物を5%の粒子の割合で含む濾過された細胞培養採取物と混合し、2時間混合することによってインキュベートする。粒子を沈降させ、上澄みを0.45μmメンブレンフィルターで濾過する。固形物を除去することで、300kDa~750kDaのサイズ範囲の孔を特徴とする膜を使用したタンジェンシャルフロー濾過(TFF)により、20~100倍の濃縮が可能な程度まで上澄みの濾過ができるようになる。TFFの間は、緩衝液組成を20mM Tris、20mM NaCl、pH 7.5に変更し、その後、実施例2に記載の本発明の方法によってサンプルを処理する。
【0054】
<実施例6>
エキソソームの精製のための本発明の方法の実施に先立つクロマチンの還元
【0055】
第二鉄を保持した(charged with)粒子含有イミノ二酢酸を、20mM Tris、50mM NaCl、pH 7.5に平衡化する。それを、エキソソーム及び汚染物を5%の粒子の割合で含む濾過された細胞培養採取物と混合し、2時間混合してインキュベートする。粒子を沈降させ、上澄みを0.45μmメンブレンフィルターで濾過する。固形物を除去することで、300kDa~750kDaのサイズ範囲の孔を特徴とする膜を使用したタンジェンシャルフロー濾過(TFF)により、20~100倍の濃縮が可能な程度まで上澄みの濾過ができるようになる。 TFFの間は、緩衝液組成は、20mM Tris、500mM塩化ナトリウム、5mM塩化マグネシウム、pH 7.5に変更する。サンプルを耐塩性ヌクレアーゼ酵素で処理し、TFFを再開して、遊離したヌクレオチド、ヒストン、及び過剰なマグネシウムイオンを除去するが、その間、緩衝液組成は50mM Tris、20mM塩化ナトリウム、pH 7.5に変更する。この工程の間に、サンプルはさらに濃縮されてもよい。サンプルは、実施例2に記載の本発明の方法によって処理する。
【0056】
<実施例7>
エキソソームの精製のための本発明の方法を実施した後のクロマチンの低減
【0057】
実施例5又は実施例6の方法を実施し、実施例2に記載の本発明の方法に従って処理した後、サンプルを希釈するか、又は50mM Tirs、20mM塩化ナトリウム、pH7.5に近い条件に緩衝液交換する。強陰イオン交換カラムをこれらの条件に平衡化し、サンプルを注入する(loaded)。エキソソームは、1M NaClまでの20CVの線形勾配でカラムから溶出される。次いで、カラムを1M NaOHで洗浄する。この追加の処理工程により、クロマチン及びその他の汚染物のレベルがさらに低減する。
【0058】
<参考文献>
本明細書で引用されるすべての参考文献は、その組み込みが本明細書の明示的な教示と矛盾しない限り、参照により完全に組み込まれる。
[1]K Vrabec, T Lojpur, P Gagnon, Emerging tools for exosome purification and in-process monitoring, Bioprocess International eBook, 22 March 2019, https://bioprocessintl.com/analytical/downstream-validation/emerging-tools-for-exosome-purification-and-in-process-monitoring
[2]P Gagnon, K Vrabec, T Lojpur, A Strancar, Setting a cornerstone for platform purification of exosomes, Bioprocess International 18 (2020) 28-51, https://bioprocessintl.com/downstream-processing/separation-purification/setting-a-cornerstone-for-exosome-purification-platform
[3]P Gagnon, R Nian, J Lee, L Tan, SM Abdul-Latiff, CL Lim, C CHuah, X Bi, YS Yan, W Zhang, HT Gan, Nonspecific interactions of chromatin with immunoglobulin G and protein A, and their impact on purification performance, J Chromatogr A 1340 (2014) 68-78.
[4]S Staubach, P Gagnon, K Vrabec, T Lojpur, S Peljhan, B Giebel, A Strancar, Challenges in industrial process development of exosome-based therapies: characterizing and managing diversity, BioProcess International, 2020, https://bioprocessintl.com/analytical/downstream-development/classification-of-extracellular-vesicles-using-chromatography-for-exosome-therapy-production
[5]R Sharma, X Huang, R Brekken, A Schoit, Detection of phosphatidylserine-positive exosomes for diagnosis of early-stage malignancies, Br J Cancer 117 (2017) 545-552.
【国際調査報告】