(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-13
(54)【発明の名称】電池セル、電池、装置及び電池セルの製造方法並びに製造機器
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20231106BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527776
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 CN2021109919
(87)【国際公開番号】W WO2023004832
(87)【国際公開日】2023-02-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】卜 祥▲艷▼
(72)【発明者】
【氏名】周 文林
(72)【発明者】
【氏名】李 星
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 新祥
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲海▼族
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA27
5H040AS07
(57)【要約】
本出願の実施例は、電池セルを提供し、該電池セルは、収容空間を有するハウジングと、前記収容空間に収容され、極板を含む電極アセンブリと、前記極板と前記ハウジングとを直接接続して、前記電極アセンブリの熱を前記ハウジングに伝導するように構成される熱伝導部材とを含む。本出願の実施例によれば、電池セルの放熱効率を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルであって、
収容空間を有するハウジングと、
前記収容空間に収容され、極板を含む電極アセンブリと、
前記極板と前記ハウジングとを直接接続して、前記電極アセンブリの熱を前記ハウジングに伝導するように構成される熱伝導部材とを含む、電池セル。
【請求項2】
前記熱伝導部材は、前記極板の前記電極アセンブリを露出している端面に接続されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記ハウジングには第1の収容部が設置されており、前記熱伝導部材は、前記第1の収容部内まで延びるように構成される、請求項1又は2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記熱伝導部材は、互いに接続された第1の部分と第2の部分とを含み、前記第1の部分は、前記第1の収容部内に位置し、前記第2の部分は、前記第1の部分と前記電極アセンブリとの間に位置し、前記第2の部分の面積は、前記第1の部分の面積よりも大きい、請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1の収容部は、第1の貫通孔であり、前記電池セルは、前記第1の貫通孔をシールする蓋をさらに含む、請求項3又は4に記載の電池セル。
【請求項6】
前記電池セルは、前記ハウジングと前記電極アセンブリとの間に設置されて前記電極アセンブリと前記ハウジングとを隔離する絶縁部材をさらに含み、
前記絶縁部材には、第2の貫通孔が設置されており、前記熱伝導部材は、一端が前記極板に接続されるように構成され、他端が前記第2の貫通孔を通過して前記ハウジングに接続されるように構成され、又は、前記絶縁部材のエッジには、第1の溝が設置されており、前記熱伝導部材は、一端が前記極板に接続されるように構成され、他端が前記第1の溝を通過して前記ハウジングに接続されるように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記絶縁部材の前記電極アセンブリに近い表面には、前記第2の貫通孔と連通する第2の溝が設けられており、前記熱伝導部材は、前記第2の溝内まで延びている、請求項6に記載の電池セル。
【請求項8】
前記絶縁部材の端部にはボスが設けられており、前記ボスは、前記電極アセンブリに当接しており、前記第2の貫通孔と前記溝とが前記ボスに設置されており、
前記絶縁部材の中部には、前記電極アセンブリから離れる方向に凸となる凸部が設けられており、前記凸部内にはバリアが設けられており、前記バリアは、前記電極アセンブリの前記凸部と対向する端面まで延びて、前記熱伝導部材と前記電極アセンブリのタブとの接触を阻止する、請求項6又は7に記載の電池セル。
【請求項9】
前記熱伝導部材の熱伝導係数は、前記絶縁部材の熱伝導係数よりも大きい、請求項6~8のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項10】
前記電池セルは、複数の前記電極アセンブリを含み、前記熱伝導部材は、複数の前記電極アセンブリの極板に接続されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項11】
前記ハウジングには放圧機構が設けられ、前記熱伝導部材は前記放圧機構と間隔を置いて設置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の電池セルを含む、電池。
【請求項13】
前記電池は、前記ハウジングに付着された熱管理部品をさらに含む、請求項12に記載の電池。
【請求項14】
前記熱管理部品は、前記熱伝導部材に対応して設置される、請求項13に記載の電池。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の電池セルを含み、前記電池セルは、電気エネルギーを供給するためのものであり、又はエネルギー蓄積手段としてのものである、装置。
【請求項16】
電池セルの製造方法であって、
収容空間を有するハウジングを提供することと、
極板を含む電極アセンブリを提供することと、
熱伝導部材を提供することと、
前記電極アセンブリと前記熱伝導部材とを前記収容空間に収容し、前記熱伝導部材が前記極板と前記ハウジングとを直接接続するようにして、前記電極アセンブリの熱を前記ハウジングに伝導することとを含む、電池セルの製造方法。
【請求項17】
電池セルの製造機器であって、
収容空間を有するハウジングと、極板を含む電極アセンブリと、熱伝導部材とを提供するように構成される提供装置と、
前記電極アセンブリと前記熱伝導部材とを前記収容空間に収容し、前記熱伝導部材が前記極板と前記ハウジングとを直接接続するようにして、前記電極アセンブリの熱を前記ハウジングに伝導するように構成される組み立て装置とを含む、電池セルの製造機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、特に電池セル、電池、装置及び電池セルの製造方法並びに製造機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化石エネルギーの枯渇や環境汚染の圧力が高まるにつれて、二次電池はこれまでにない重視と発展を得ている。二次電池の応用範囲はますます広くなっており、例えば、水力、火力、風力、太陽光発電所などのエネルギー蓄積電源システムや、電動工具、電気自転車、電気バイク、電気自動車、軍事用機器、航空宇宙などの分野で応用されている。
【0003】
二次電池は、使用中に熱を発生する。従来技術では、電極アセンブリの極板の熱は、タブを介してハウジングに付着された電極端子に伝導され、電極端子を介して外部に排出される。しかしながら、極板の熱をハウジングを介して速やかに取り出すことは難しい。
【発明の概要】
【0004】
上記問題点に鑑みて、本発明は、電池セルの内部の熱の放熱効率を向上させる電池セル、電池、装置及び電池セルの製造方法並びに製造機器を提供する。
【0005】
第1の態様によれば、本出願の実施例は、電池セルを提供し、該電池セルは、収容空間を有するハウジングと、前記収容空間に収容され、極板を含む電極アセンブリと、前記極板と前記ハウジングとを直接接続して、前記電極アセンブリの熱を前記ハウジングに伝導するように構成される熱伝導部材とを含む。
【0006】
本出願の実施例の技術案によれば、電極アセンブリの極板の熱を面積の大きいハウジングに伝導することができ、それによって電池セルの放熱効率を向上させた。
【0007】
いくつかの実施例では、前記熱伝導部材は、前記極板の前記電極アセンブリを露出している端面に接続されている。これにより、熱伝導部材が電極アセンブリを露出している端面の極板に同時に接触することができるので、極板上の熱をより速やかにハウジングに取り出すことができる。
【0008】
いくつかの実施例では、前記ハウジングには第1の収容部が設置されており、前記熱伝導部材は、前記第1の収容部内まで延びるように構成される。該構造は、熱伝導部材とハウジングとの接触面積を増加させて、電池セルの放熱効率をさらに向上させることができる。
【0009】
いくつかの実施例では、前記熱伝導部材は、互いに接続された第1の部分と第2の部分とを含む。前記第1の部分は、前記第1の収容部内に位置し、前記第2の部分は、前記第1の部分と前記電極アセンブリとの間に位置し、前記第2の部分の面積は、前記第1の部分の面積よりも大きい。これにより、第2の部分の面積を増大させることにより、熱伝導部材の熱伝導面積を増大させ、電極アセンブリの熱をより効果的にハウジングに伝導することができる。
【0010】
いくつかの実施例では、前記第1の収容部は、第1の貫通孔であり、前記電池セルは、前記第1の貫通孔をシールする蓋をさらに含む。一方では、該構造は、熱伝導部材とハウジングとの接触面積を増大させて、放熱効率を向上させることができる。他方では、蓋が第1の貫通孔をシールすることで、より強度の高いシール面を形成することができ、ハウジングと熱伝導部材との間のシール不良による電池セルのシール効果の喪失を防止することができる。
【0011】
いくつかの実施例では、前記電池セルは、前記ハウジングと前記電極アセンブリとの間に設置されて前記電極アセンブリと前記ハウジングとを隔離する絶縁部材をさらに含む。前記絶縁部材には、第2の貫通孔が設置されており、前記熱伝導部材は、一端が前記極板に接続されるように構成され、他端が前記第2の貫通孔を通過して前記ハウジングに接続されるように構成される。それにより、第2の貫通孔は、熱伝導部材が極板とハウジングとを直接接続することを確保することができ、それによって極板の熱を速やかにハウジングに伝導する。
【0012】
いくつかの実施例では、前記電池セルは、前記ハウジングと前記電極アセンブリとの間に設置されて前記電極アセンブリと前記ハウジングとを隔離する絶縁部材をさらに含む。前記絶縁部材のエッジには、第1の溝が設置されており、前記熱伝導部材は、一端が前記極板に接続されるように構成され、他端が前記第1の溝を通過して前記ハウジングに接続されるように構成される。それにより、該構造は、ハウジングの内面を第1の溝内の熱伝導部材に接触させることができるので、熱伝導部材とハウジングとの接触面積を増大させて、電池セルの放熱効率をさらに向上させることができる。
【0013】
いくつかの実施例では、前記絶縁部材の前記電極アセンブリに近い表面には、前記第2の貫通孔と連通する第2の溝が設けられており、前記熱伝導部材は、前記第2の溝内まで延びている。それにより、一方では、第2の溝は、熱伝導部材とハウジングとの接触面積を増大させて、電池セルの放熱効率をさらに向上させることができる。他方では、第2の溝は、熱伝導部材が占める空間を低減して、電池セルのエネルギー密度を向上させることができる。
【0014】
いくつかの実施例では、前記絶縁部材の端部にはボスが設けられており、前記ボスは、前記電極アセンブリに当接しており、前記第2の貫通孔と前記第1の溝又は前記第2の溝とが前記ボスに設置されている。前記絶縁部材の中部には、前記電極アセンブリから離れる方向に凸となる凸部が設けられており、前記凸部内にはバリアが設けられており、前記バリアは、前記電極アセンブリの前記凸部と対向する端面まで延びて、前記熱伝導部材と前記電極アセンブリのタブとの接触を阻止する。これにより、バリアは、熱伝導部材がタブに直接接触することを回避し、タブが裂けることを防止し、電池セル内部の安全性を向上させることができる。
【0015】
いくつかの実施例では、前記熱伝導部材の熱伝導係数は、前記絶縁部材の熱伝導係数よりも大きい。それにより、電池セルの放熱効率をさらに向上させることができる。
【0016】
いくつかの実施例では、前記電池セルは、複数の前記電極アセンブリを含み、前記熱伝導部材は、複数の前記電極アセンブリの極板に接続されている。それにより、複数の電極アセンブリが熱伝導部材を共用することで、電池セルの構造の簡素化を実現することができる。
【0017】
いくつかの実施例では、前記ハウジングには放圧機構が設けられ、前記熱伝導部材は前記放圧機構と間隔を置いて設置される。それにより、熱伝導部材が放圧通路を塞ぐことを防止し、放圧機構の効果の喪失を回避することができる。
【0018】
第2の態様によれば、本出願の実施例は、第1の態様における電池セルを含む電池をさらに提供する。
【0019】
いくつかの実施例では、前記電池は、前記ハウジングに付着された熱管理部品をさらに含む。それにより、極板から熱伝導部材を介してハウジングに伝導された熱を熱管理部品を介して速やかに取り出すことができ、電池の放熱効率をさらに向上させる。
【0020】
いくつかの実施例では、前記熱管理部品は、前記熱伝導部材に対応して設置される。それにより、極板から熱伝導部材を介してハウジングに伝導された熱を熱管理部品を介してより速やかに取り出すことができ、電池の放熱効率をより一層向上させる。
【0021】
第3の態様によれば、本出願の実施例は、装置をさらに提供し、該装置は、電気エネルギーを供給するためのものであり、又はエネルギー蓄積手段としてのものである。
【0022】
第4の態様によれば、本出願の実施例は、電池セルを製造する方法をさらに提供し、該方法は、収容空間を有するハウジングを提供することと、極板を含む電極アセンブリを提供することと、熱伝導部材を提供することと、前記電極アセンブリと前記熱伝導部材とを前記収容空間に収容し、前記熱伝導部材が前記極板と前記ハウジングとを直接接続するようにして、前記電極アセンブリの熱を前記ハウジングに伝導することとを含む。
【0023】
第5の態様によれば、電池セルの製造機器を提供し、該製造機器は、収容空間を有するハウジングと、極板を含む電極アセンブリと、熱伝導部材とを提供するように構成される提供装置と、前記電極アセンブリと前記熱伝導部材とを前記収容空間に収容し、前記熱伝導部材が前記極板と前記ハウジングとを直接接続するようにして、前記電極アセンブリの熱を前記ハウジングに伝導するように構成される組み立て装置とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
ここで説明された図面は、本出願のさらなる理解を提供するためのものであり、本出願の一部を構成し、本出願の例示的な実施例及びその説明は、本出願を解釈するためのものであり、本出願の不適切な限定を構成しない。図面において、
【0025】
【
図1】本出願の一実施例による車両の概略図である。
【
図2】本出願の一実施例による電池の構造概略図である。
【
図3】本出願の一実施例による電池モジュールの構造概略図である。
【
図4】本出願の一実施例による電池セルの斜視分解図である。
【
図5A】本出願の一実施例による電池セルの電極アセンブリの構造を示す断面図である。
【
図5B】
図5Aに示す電池セルの電極アセンブリの外形輪郭を示す概略図である。
【
図6】本出願の別の実施例による電池セルの電極アセンブリの構造を示す断面図である。
【
図7】本出願の一実施例によるエンドキャップと絶縁部材の組み立て後の斜視図である。
【
図8】本出願の一実施例による電池セルの熱伝導部材の断面図である。
【
図9】本出願の別の実施例による電池セルの熱伝導部材の断面図である。
【
図10】本出願の別の実施例による電池セルの斜視分解図である。
【
図11】本出願の別の実施例による電池セルの熱伝導部材の断面図である。
【
図12】本出願の別の実施例による電池セルの斜視分解図である。
【
図13】本出願の一実施例による電池セルの製造方法の概略図である。
【
図14】本出願の一実施例による電池セルの製造機器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本出願の実施例の目的、技術案、及び利点をより明確にするために、以下、本出願の実施例の図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明確に説明する。説明される実施例は、本出願の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0027】
特に定義されない限り、本出願で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本出願において、出願の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためにのみ用いられ、本出願を制限することを意図するものではない。本出願の明細書と請求の範囲及び上記の図面の説明における用語である「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。本出願の明細書と請求の範囲又は上記の図面における用語である「第1の」、「第2の」などは、異なる対象を区別するためのものであり、特定の順序又は主副関係を説明するためのものではない。
【0028】
本出願において「実施例」と言及する場合、実施例で説明された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各箇所に記載されたこの語句は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本出願に説明された実施例が他の実施例と組み合わされてもよいことを明示的かつ暗示的に理解できる。
【0029】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に明記し、限定する場合を除き、「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「付着」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接に接続してもよく、中間媒体を介して間接に接続してもよく、2つの素子の内部を連通させてもよい。当業者は、具体的な状況に応じて、上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0030】
本出願における「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、3つの関係が存在してもよいことを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの三つのケースを表してもよい。また、本出願における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
本出願における「複数」とは、二つ以上(二つを含む)のことを言う。
【0031】
本出願の実施例で言及した電池は、より高い電圧と容量を提供するために1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、電池には、電池モジュール又は電池パックなどが含まれてもよい。電池は、一般的には、1つ又は複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体又はその他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
【0032】
電池セルは、円柱体、扁平体、長方体、又はその他の形状などを有してもよい。電池セルは、パッケージングの形態によって、一般的には、柱形電池セル、直方体角型電池セル及びパウチ電池セルという3種類に分けられる。
【0033】
複数の電池セルは、電極端子を介して直列及び/又は並列に接続されて、多様な応用場面に応用され得る。いくつかの電気自動車などのハイパワー用途の場合、電池の応用は、電池セル、電池モジュール及び電池パックの3つの階層を含む。技術の発展に伴い、電池モジュールという階層を省略することができる。即ち、電池セルから直接電池パックを形成する。この改善は、電池システムの重量エネルギー密度、体積エネルギー密度を向上させると共に、部品点数を大幅に減少させる。
【0034】
発明者らは、電極アセンブリの熱が電極アセンブリ-タブ-電極端子という放熱経路を通じて外部に伝導されることを見出した。しかしながら、電極アセンブリの熱がハウジングに伝導されにくく、放熱効果が不十分であった。電極アセンブリの側面とハウジングとの間に熱伝導部材を設置することが提案されているが、熱伝導部材が電極アセンブリの極板と直接接触しないため、十分な放熱効果を期待することが困難である。
【0035】
これに鑑みて、本出願は、技術案を提供し、本出願の電池セルは、収容空間を有するハウジングと、前記収容空間に収容され、極板を含む電極アセンブリと、前記極板と前記ハウジングとを直接接続して、前記電極アセンブリの熱を前記ハウジングに伝導するように構成される熱伝導部材とを含む。該技術案によれば、電極アセンブリの極板の熱を速やかに面積の大きいハウジングに伝導することができ、それによって電池セルの放熱効率を向上させた。
【0036】
本出願のいくつかの実施例は、電池セルを含む電池を提供する。
【0037】
本出願のいくつかの実施例は、装置を提供し、該装置は、電気エネルギーを供給するためのものであり、又はエネルギー蓄積手段としてのものである。任意選択的に、装置は、車両、船舶又は宇宙航空機などであってもよい。
【0038】
本出願の実施例で説明された技術案はいずれも様々な装置、例えば、携帯電話、携帯型デバイス、ノートパソコン、電動スクーター、電動玩具、電動工具、電動車両、船舶及び宇宙航空機などに適用でき、例えば、宇宙航空機は飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含む。
【0039】
理解すべきこととして、本出願の実施例で説明された技術案は、上記で説明された機器のみに適用できるというわけではなく、電池を使用する全ての機器に適用できるが、説明を簡潔にするために、下記実施例では、電動車両を例にして説明する。
【0040】
例えば、
図1では、本出願の一実施例による車両400の構造概略図が示されている。車両400は、燃料油自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車やレンジエクステンダー自動車などであってもよい。例えば、車両400の底部又は先頭又は後尾に電池300を設置してもよい。電池300は、車両400への給電に用いられてもよい。例えば、電池300を車両400の操作電源とすることができ、車両400の電気回路システムに用いられ、例えば、車両400の始動、ナビゲーション及び走行時の動作電力需要に用いられる。本出願の別の実施例では、電池300は、車両400の操作電源として用いることができるだけでなく、車両400の駆動電源として、燃料油又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両400に駆動動力を提供することもできる。
【0041】
異なる電力消費需要を満たすために、電池は複数の電池セルを含んでもよく、ここで、複数の電池セルの間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続は、直列接続と並列接続との混合を指す。電池は、電池パックと呼ばれてもよい。任意選択的に、複数の電池セルをまず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池を構成してもよい。つまり、複数の電池セルは直接的に電池を構成してもよく、又は、まず電池モジュールを構成し、さらに電池モジュールで電池を構成してもよい。
【0042】
例えば、
図2は、本出願の一実施例による電池300の構造概略図である。電池300は、複数の電池セル100を含んでもよい。電池300は、筐体(又はカバーと呼ばれる)をさらに含んでもよく、筐体内部が中空構造であり、複数の電池セル100が筐体内に収容される。
図2に示すように、筐体は2つの部分を含んでもよく、ここではそれぞれ第1の部分301と第2の部分302と呼び、第1の部分301と第2の部分302は、互いに係合される。第1の部分301と第2の部分302の形状は、複数の電池セル100を組み合わせた形状に基づいて決定されてもよく、第1の部分301と第2の部分302はいずれも1つの開口を有してもよい。例えば、第1の部分301と第2の部分302は、いずれも中空長方体であり、それぞれ1つの面のみが開口面であり、第1の部分301の開口と第2の部分302の開口とが対向して設置され、且つ第1の部分301と第2の部分302とが互いに係合して、密閉されたチャンバを有する筐体を形成する。複数の電池セル100は、互いに並列又は直列又は直並列接続されて組み合わせた後、第1の部分301と第2の部分302とが互いに係合して形成した筐体内に置かれる。
【0043】
任意選択的に、電池300は他の構造をさらに含んでもよいが、ここでは説明を省略する。例えば、この電池300は、複数の電池セル100同士の電気的接続、例えば、並列又は直列又は直並列接続を実現するためのバスバー部材をさらに含んでもよい。具体的に、バスバー部材は、電池セル100の電極端子に接続されることで電池セル100同士の電気的接続を実現することができる。さらに、バスバー部材は、溶接によって電池セル100の電極端子に固定されることができる。複数の電池セル100の電気エネルギーは、さらに導電機構により筐体を通過して引き出されることができる。任意選択的に、導電機構は、バスバー部材に属するものであってもよい。
【0044】
様々な電力需要に応じて、電池セル100の数は、任意の数値に設定されてもよい。複数の電池セル100を直列、並列、又は直並列接続することにより、大きい容量又は電力を実現することができる。各電池300に含まれる電池セル100の数は多い場合があるため、取り付けを容易にするために、電池セル100をグループ化して設置し、各グループの電池セル100が電池モジュールを構成してもよい。電池モジュールに含まれる電池セル100の数は限定されず、需要に応じて設置すればよい。例えば、
図3は電池モジュールの一例である。電池は、複数の電池モジュールを含んでもよく、これらの電池モジュールは、直列、並列、又は直並列に接続することができる。
【0045】
図4には、角型構造を例にした電池セル100が示されている。本出願において、電池セルは、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、又はマグネシウムイオン電池などを含む。
【0046】
図4を参照して、本出願の一実施例による電池セル100は、収容空間13を有するハウジング1と、収容空間に収容され、極板を有する電極アセンブリ2と、極板とハウジング1とを直接接続して、電極アセンブリ2の熱をハウジング1に伝導するように構成される熱伝導部材3とを含む。
【0047】
いくつかの実施例では、電池セル100は、複数の電極アセンブリ2を含み、熱伝導部材3は、複数の電極アセンブリ2の極板に接続されている。複数の電極アセンブリ2が熱伝導部材3を共用することで、電池セル100の構造の簡素化を実現することができる。
【0048】
いくつかの実施例では、
図4に示すように、ケース11内には、第2の方向D2(電池セルの厚さ方向)に沿って積層された2つの電極アセンブリ2が設置されている。もちろん、他の実施例では、ケース11内に1つの電極アセンブリ2が設置され、又は、ケース内に三つ以上の電極アセンブリ2が設置されてもよい。複数の電極アセンブリ2は、第2の方向D2に沿って積層されている。
【0049】
極板の構造は、
図5A、
図5B及び
図6に示す通りで、電極アセンブリ2は、第1の極板111と、第2の極板112と、前記第1の極板111と前記第2の極板112との間に設置されたセパレータ113とを含む。ここで、第1の極板111は、正極板となり、第2の極板112は、負極板となるようにしてもよい。他の実施例では、第1の極板111は、負極板となり、第2の極板112は、正極板となるようにしてもよい。第1の極板111と第2の極板112を極板110と通称してもよい。ここで、セパレータ113は第1の極板111と第2の極板112との間に介在する絶縁体である。正極板の活物質は、正極板の塗布領域上に塗布されてもよく、負極板の活物質は、負極板の塗布領域上に塗布されてもよい。正極板111の塗布領域から延出された部分を正極タブ21とする。負極板112の塗布領域から延出された部分を負極タブ22とする。
【0050】
いくつかの実施例では、
図5Aに示すように、電極アセンブリ2は、捲回型構造である。ここで、第1の極板111、セパレータ113及び第2の極板112は、何れも帯状構造であり、第1の極板111、セパレータ113及び第2の極板112はこの順に積層して捲回して電極アセンブリ2を形成する。
図5Bは、電極アセンブリ2の外形輪郭概略図であり、電極アセンブリ2の表面は、第2の方向D2に沿って互いに対向する一対の第1の側面114を含む。ここで、電極アセンブリ2は、略六面体構造であり、第1の側面114は、捲回軸線に略平行であり、面積が最も大きい表面である。第1の側面114は、平面である必要がなく、相対的に平坦な表面であってもよい。電極アセンブリ2の表面は、第3の方向D3に沿って互いに対向する一対の第2の側面115をさらに含む。端面116は、一対の第1の側面114と一対の第2の側面115とを接続している。
【0051】
いくつかの実施例では、
図6に示すように、電極アセンブリ2は、積層型構造である。即ち、電極アセンブリ2は、複数の第1の極板111と、複数の第2の極板112とを含み、セパレータ113が第1の極板111と第2の極板112との間に設置されている。第1の極板111、セパレータ113、第2の極板112は、この順に積層されて設置されている。ここで、第1の極板111、セパレータ113及び第2の極板112は、第2の方向D2に沿って積層されている。
図4Bに示された電極アセンブリと似たように、電極アセンブリ2は、略六面体構造であり、電極アセンブリ2の表面は、一対の第1の側面114と一対の第2の側面115とを含み、第1の側面114は、積層方向、即ち第2の方向D2に略垂直である。一対の第1の側面114は、第3の方向D3に沿って互いに対向する。端面116は、一対の第1の側面114と一対の第2の側面115とを接続している。
【0052】
いくつかの実施例では、熱伝導部材3は、極板110(第1の極板111と第2の極板112とを含む)の電極アセンブリを露出している端面116に接続されている。これにより、熱伝導部材3が電極アセンブリ2に露出している端面116の極板に同時に接触することができるので、極板110(第1の極板111と第2の極板112とを含む)上の熱をより速やかにハウジング1に取り出すことができる。
【0053】
図4に戻り、ハウジング1は、ケース11とエンドキャップ12とから構成されており、ケース11は、アルミニウム、アルミニウム合金又はニッケルメッキ鋼などの金属材料から製造されてもよく、ケース11は、六面体形状又は他の形状を有し、且つ開口を有してもよい。本出願は、ケース11の形状に対して特に制限せず、それは円柱形、四角形又は他の任意の形状であってもよい。電極アセンブリ2はケース11内に収容されている。エンドキャップ12は、ケース11の開口を密閉して、ケース11内に収容された電極アセンブリ2と電解質とを密閉するためのものである。エンドキャップ12は、金属又は硬質プラスチックから製造されてもよい。エンドキャップ12の寸法は、ケース11の開口の寸法に適応する。エンドキャップ12には、2つの電極端子が付着されており、2つの電極端子はそれぞれ第1の電極端子121と第2の電極端子122である。エンドキャップ12には、放圧機構18又は注液孔などの多くの機能的アセンブリが付着されてもよい。また、ケース11の帯電を防止するために、電極アセンブリ2の周りは絶縁シート23で被覆されてもよい。
【0054】
第1の電極端子121は、正電極端子となり、第2の電極端子122は、負電極端子となるようにしてもよい。他の実施例では、第1の電極端子121は、負電極端子となり、第2の電極端子122は、正電極端子となるようにしてもよい。第1の電極端子121と第2の電極端子122は、溶接又はリベットなどの固定具によってエンドキャップ12に固定されてもよい。エンドキャップ12の帯電を防止するために、第1の電極端子121及び第2の電極端子122とエンドキャップ12との間には絶縁処理が施されてもよい。
【0055】
エンドキャップ12と電極アセンブリ2との間には、アダプタ部材14が設置されてもよい。本実施例では、2つのアダプタ部材がある。電極アセンブリ2の第1のタブ21は、1つのアダプタ部材14を介してエンドキャップ12上の第1の電極端子121に電気的に接続されている。電極アセンブリ2の第2のタブ22は、もう一つのアダプタ部材14を介してエンドキャップ12上の第2の電極端子122に電気的に接続されている。
【0056】
図7、
図8に示すように、いくつかの実施例では、熱伝導部材3は、電極アセンブリ2とハウジング1との間に設置されている。より具体的には、熱伝導部材3は、エンドキャップ12の第3の方向D3(電池セルの幅方向であり、第2の方向D2に垂直である)の両端に設置されている。熱伝導部材3の第1の方向D1(電池セルの高さ方向であり、第2の方向D2及び第3の方向D3に垂直である)の一端は電極アセンブリ2の端面116に接触し、熱伝導部材3の第1の方向D1の他端はエンドキャップ12に接触している。これにより、熱伝導部材3は、タブから離れた位置(即ち、極板の熱が溜まりやすい位置)で極板の熱をハウジングに伝導して、電池セルの放熱効率を向上させた。
【0057】
図7、
図8に示すように、いくつかの実施例では、ハウジング1には第1の収容部15が設置されており、熱伝導部材3は、第1の収容部15内まで延びるように構成される。この構造は、第1の収容部15に延びる熱伝導部材3とハウジング1との接触面積を増やすことができ、より高い熱伝導効果を得ることができる。
【0058】
いくつかの実施例では、第1の収容部15は、円柱状、角柱状、円錐状、角錐状などの形状であってもよい。
【0059】
図8に示すように、いくつかの実施例では、熱伝導部材3は、互いに接続された第1の部分31と第2の部分32とを含む。第1の部分31は、第1の収容部15内に位置し、第2の部分32は、第1の部分31と電極アセンブリ2との間に位置し、第2の部分32の面積は、第1の部分31の面積よりも大きい。例えば、第1の方向D1において、第2の部分32の投影面積は、第1の部分31の投影面積よりも大きく、且つ第1の部分31の投影は、第2の部分32の投影に含まれる。これにより、第2の部分32の面積を増大させることにより、熱伝導部材の熱伝導面積を増大させて、電極アセンブリ2の熱をより効果的にハウジング1に伝導することができる。
【0060】
いくつかの実施例では、第1の収容部15は、第1の貫通孔17であり、電池セルは、第1の貫通孔17をシールする蓋16をさらに含む。一方では、該構造は、熱伝導部材3とハウジング1との接触面積を増大させて、放熱効率を向上させることができる。他方では、蓋16が第1の貫通孔17をシールすることで、より強度の高いシール面を形成することができ、ハウジングと熱伝導部材との間のシール不良による電池セルのシール効果の喪失を防止することができる。
【0061】
いくつかの実施例では、蓋16は、レーザ溶接、ろう付けなどの方式によってハウジング1の第1の貫通孔17に固定されてもよい。
【0062】
いくつかの実施例では、
図7、
図8に示すように、電池セル100は、ハウジング1と電極アセンブリ2との間に設置されて電極アセンブリ2とハウジング1とを隔離する絶縁部材4をさらに含む。絶縁部材4には第1の溝41が設置されており、熱伝導部材3は、第1の溝41を通過して極板110とハウジング1とを接続する。それにより、該構造は、ハウジング1の内面を第1の溝内の熱伝導部材3に接触させることができるので、熱伝導部材3とハウジング1との接触面積を増大させて、電池セルの放熱効率をさらに向上させることができる。
【0063】
いくつかの実施例では、絶縁部材4は、PP、PET材料で製造されてもよい。熱伝導部材3は、例えば、注入によって第1の溝41を埋めてもよい。第1の溝41は、例えば、第1の方向D1に垂直な断面形状が変化しない柱状に形成されてもよい。このとき、第1の方向D1において、第1の溝41の投影面積は、第1の貫通孔17の投影面積よりも大きく、且つ第1の貫通孔17の投影は、第1の溝41の投影に含まれる。それにより、熱伝導部材3は、第1の貫通孔17の側面でエンドキャップ12と接触できるだけでなく、エンドキャップ12の内面においてもエンドキャップ12と接触できるので、熱伝導部材3とハウジング1との接触面積を増大させて、電池セルの放熱効率をさらに向上させることができる。
【0064】
いくつかの実施例では、
図9に示すように、絶縁部材4には第2の貫通孔42が設置され、熱伝導部材3の一端は電極アセンブリ2の極板110に接続されるように構成され、他端は第2の貫通孔42を通過してハウジング1に接続されるように構成される。それにより、第2の貫通孔42は、熱伝導部材が極板とハウジング1とを直接接続することを確保することができ、それによって極板の熱を速やかにハウジング1に伝導する。
【0065】
いくつかの実施例では、第2の貫通孔42の大きさ、位置、形状は、例えば、第1の貫通孔17とマッチングする。熱伝導部材は、例えば、第1の貫通孔17及び第2の貫通孔42に延設してもよい。また、第2の貫通孔42の大きさを第1の貫通孔17よりも若干大きく設置してもよい。
【0066】
いくつかの実施例では、
図9に示すように、絶縁部材4の電極アセンブリ2に近い表面には、第2の貫通孔42に連通する第2の溝43が設けられており、熱伝導部材3は、第2の溝43内に延びている。それにより、一方では、第2の溝43は、熱伝導部材3とハウジング1との接触面積を増大させて、電池セルの放熱効率をさらに向上させることができる。他方では、熱伝導部材3が占める空間を低減して、電池セルのエネルギー密度を向上させることができる。
【0067】
いくつかの実施例では、第2の溝43は、第2の貫通孔42よりも大きな断面積(第1の方向D1に垂直な断面)を有してもよい。溝43は、例えば、円形、長方形、レーストラック形であってもよい。溝43は、例えば、第3の方向D3に沿って中心に向かって延びている。溝43が中心に向かって延びることにより、溝43に位置する熱伝導部材3は、第1のタブ21、第2のタブ22及びアダプタ部材14により近く設置される。第1のタブ21、第2のタブ22及びアダプタ部材14の発熱量が大きいため、熱伝導部材3が該部分の熱を速やかにハウジング1に導くことに有利である。また、第2の溝43の断面積が大きいので、熱伝導部材3の電極アセンブリ2に近い部分の面積を増大させることができ、電池セル100の放熱効率を向上させることができる。
【0068】
いくつかの実施例では、
図10、
図11に示すように、絶縁部材4の端部にはボス44が設けられており、ボス44は、電極アセンブリ2に当接し、第1の溝41は、ボス44に設置されている。第2の貫通孔42と第1の溝41又は第2の溝43は、ボス44に設置されている。絶縁部材4の中部には、電極アセンブリ2から離れる方向に凸となる凸部45が設けられており、凸部45内にはバリア46が設けられており、バリア46は、電極アセンブリ2の凸部45と対向する端面まで延びて、熱伝導部材3と電極アセンブリ2のタブ(第1のタブ21又は第2のタブ22)との接触を阻止する。これにより、バリア46は、熱伝導部材3がタブ(第1のタブ21又は第2のタブ22)に直接接触することを回避し、タブが裂けることを防止し、電池セル内部の安全性を向上させることができる。
【0069】
いくつかの実施例では、ボス44は、絶縁部材4の第3の方向D3の端部に設置され、ボス44は、エンドキャップ12から電極アセンブリ2に向かって突出している。ボス44は、例えば、三面から第1の溝41又は第2の溝43を囲み、電極アセンブリ2の端面116に当接するように構成されてもよい。これにより、ボス44は、電極アセンブリ2を固定する役割を果たす一方、ボス44は、その内部に形成された熱伝導部材3を電極アセンブリ2の端面116に密着させることにより、電池セル100の放熱効率をさらに向上させた。
【0070】
いくつかの実施例では、
図10、
図11に示すように、熱伝導部材3は、凸部45内まで延びて、熱伝導面積をさらに増大させることができる。また、凸部45の内部には、電極アセンブリ2の第1のタブ21と第2のタブ22は、それぞれアダプタ部材14を介してエンドキャップ12上の第1の電極端子121と第2の電極端子122に電気的に接続されている。凸部45の第1の電極端子121と第2の電極端子122に対応する位置に貫通孔が設置されている。また、凸部45には放圧機構が設置されている。つまり、第1の方向D1において、凸部45内にタブ21、22が収容され得る。バリア46は、例えば、第2の方向D2に延びる延出部461と、この延出部461と絶縁部材の第2の方向D2の両端とを接続する傾斜部462とを有する。延出部461、傾斜部462は、アダプタ部材14の輪郭に沿って形成されてもよい。バリア46を設置することにより、熱伝導部材3を、第1のタブ21、第2のタブ22、アダプタ部材14などの電流流通部材から確実に離間させることができる。これにより、熱伝導部材3と極板(第1の極板111と第2の極板112とを含む)との接触面積を増大させることができる一方で、熱伝導部材3が直接アダプタ部材14などの電流流通部材に接触することを回避でき、電池セル100の内部の安全性を確保することができる。
【0071】
いくつかの実施例では、熱伝導部材3は放圧機構18と間隔を置いて設置される。該構造は、熱伝導部材3が放圧通路を塞ぐことを防止し、放圧機構18の効果の喪失を回避することができる。
【0072】
いくつかの実施例では、バリア46は、熱伝導部材3を放圧機構18と間隔を置いて設置する。注入によって熱伝導部材を形成する場合、バリア46は、注入された熱伝導部材3が絶縁部材4上の放圧機構18に対応する放圧孔に流入することを阻止し、熱伝導部材3が放圧通路を塞ぐことを防止し、放圧機構18の効果の喪失を回避することができる。また、熱伝導部材3と放圧機構18は、タブ21、22、アダプタ部材14などを介して間隔を置いて設置されてもよく、同様に放圧機構18の効果の喪失を回避することができる。
【0073】
いくつかの実施例では、熱伝導部材3の熱伝導係数は、絶縁部材4の熱伝導係数よりも大きい。それにより、電池セルの放熱効率をさらに向上させることができる。
【0074】
いくつかの実施例では、熱伝導部材3の熱伝導係数は、例えば、空気の熱伝導係数よりも大きく、例えば、≧0.8w/kg.℃である。熱伝導部材3は、例えば、熱伝導グリース、熱伝導シリカゲル、熱伝導ポッティング接着剤などの材料を用いてもよい。
【0075】
また、本出願の技術案に対して種々の変形を行ってもよい。例えば、
図12に示すように、第1のタブ21と第2のタブ22は、電極アセンブリ2の第1の方向D1に沿う両端にそれぞれ設置されてもよい。これに対応して、熱伝導部材3も電極アセンブリ2の第1の方向D1に沿う両端にそれぞれ設置される。これにより、熱伝導部材3は、電極アセンブリ2の2つの端面において熱をハウジング1に取り出すことができ、電池セルの放熱効率をより一層向上させることができる。
【0076】
また、本出願は、電池をさらに提供し、電池は、本出願の電池セルを含む。
【0077】
いくつかの実施例では、電池は、複数の電池セル100同士の電気的接続、例えば、並列又は直列又は直並列接続を実現するためのバスバー部材を含んでもよい。
【0078】
いくつかの実施例では、
図11に示すように、電池は、ハウジング1に付着された熱管理部品19をさらに含む。それにより、極板111、112から熱伝導部材3を介してハウジング1に伝導された熱を熱管理部品19を介して速やかに取り出すことができ、電池の放熱効率をさらに向上させる。
【0079】
いくつかの実施例では、熱管理部品19は、複数の電池セル100の温度を調節するように流体を収容するためのものである。ここで、流体は、液体又は気体であってもよく、温度を調節することは、複数の電池セル100を加熱又は冷却することを指す。電池セル100を冷却又は降温する場合、該熱管理部品19は、複数の電池セル100の温度を低下させるように冷却流体を収容するために用いられ、このとき、熱管理部品19は、冷却部品、冷却システム又は冷却板などと呼ばれてもよく、収容される流体は、冷却媒体又は冷却流体と呼ばれてもよく、より具体的には、冷却液又は冷却気体と呼ばれてもよい。また、熱管理部品19は、複数の電池セル100を昇温するように加熱するためにも用いられてもよく、本出願の実施例は、これを限定しない。任意選択的に、前記流体は、より高い温度調節効果を達成することができるように、循環して流れるものであってもよい。任意選択的に、流体は、水、水とエチレングリコールの混合液、又は空気などであってもよい。
【0080】
いくつかの実施例では、
図11に示すように、熱管理部品19は、熱伝導部材3に対応して設置される。それにより、極板111、112から熱伝導部材3を介してハウジング1に伝導された熱を熱管理部品を介してより速やかに取り出すことができ、電池の放熱効率をより一層向上させる。
【0081】
また、本出願の一実施例は、装置400をさらに提供し、該装置400は、前記の各実施例における電池セル100を含んでもよい。任意選択的に、該装置は、車両、船舶又は宇宙航空機などであってもよい。
【0082】
以下は、
図13と
図14を結び付けながら本出願の実施例による電池セルの製造方法と製造機器について説明する。詳細に説明していない部分は、前記各実施例を参照されたい。
【0083】
図13には、本出願の実施例による電池セルの製造方法500の例示的ブロック図が示されている。本出願の実施例による電池セルの製造方法500は、収容空間を有するハウジングを提供するステップ510と、極板を含む電極アセンブリを提供するステップ520と、熱伝導部材を提供するステップ530と、電極アセンブリと熱伝導部材とを収容空間に収容し、熱伝導部材が極板とハウジングとを直接接続するようにして、電極アセンブリの熱をハウジングに伝導する組立ステップ540とを含む。ここで、ステップ510~530の前後順序を限定せず、任意に入れ替えることができ、例えば、電極アセンブリを提供するステップ520を実行してから、ハウジングを提供するステップ510を実行してもよい。
【0084】
図14は、本出願の実施例による電池セルの製造機器600の例示的フローチャートである。本出願の実施例による電池セルの製造機器600は、収容空間を有するハウジングと、極板を含む電極アセンブリと、熱伝導部材とを提供するように構成される提供装置610と、前記電極アセンブリと前記熱伝導部材とを前記収容空間に収容し、前記熱伝導部材が前記極板と前記ハウジングとを直接接続するようにして、前記電極アセンブリの熱を前記ハウジングに伝導するように構成される組み立て装置620とを含む。
【0085】
最後に、説明すべきこととして、本出願は上記実施例に限定されない。上記実施例は例示に過ぎず、本出願の技術案の範囲内で、技術思想と実質的に同一の構成を有し、同様な作用と効果を奏する実施例は、いずれも本出願の技術範囲内に含まれるものとする。なお、本出願の主旨から逸脱しない範囲内で、実施例に対して当業者が想到し得る様々な変形を実施し、実施例における一部の構成要素を組み合わせて構築される他の形態も、本出願の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0086】
100 電池セル
300 電池
400 車両
1 ハウジング
11 ケース
12 エンドキャップ
13 収容空間
14 アダプタ部材
15 第1の収容部
16 蓋
17 第1の貫通孔
18 放圧機構
19 熱管理部品
110 極板
111 第1の極板
112 第2の極板
113 セパレータ
114 第1の側面
115 第2の側面
116 端面
121、122 電極端子
2 電極アセンブリ
21、22 タブ
3 熱伝導部材
31 第1の部分
32 第2の部分
4 絶縁部材
41 第1の溝
42 第2の貫通孔
43 第2の溝
44 ボス
45 凸部
【手続補正書】
【提出日】2023-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルであって、
収容空間を有するハウジングと、
前記収容空間に収容され、極板を含む電極アセンブリと、
前記極板と前記ハウジングとを直接接続して、前記電極アセンブリの熱を前記ハウジングに伝導するように構成される熱伝導部材とを含む、電池セル。
【請求項2】
前記熱伝導部材は、前記極板の前記電極アセンブリを露出している端面に接続されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記ハウジングには第1の収容部が設置されており、前記熱伝導部材は、前記第1の収容部内まで延びるように構成される、請求項1又は2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記熱伝導部材は、互いに接続された第1の部分と第2の部分とを含み、前記第1の部分は、前記第1の収容部内に位置し、前記第2の部分は、前記第1の部分と前記電極アセンブリとの間に位置し、前記第2の部分の面積は、前記第1の部分の面積よりも大きい、請求項3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1の収容部は、第1の貫通孔であり、前記電池セルは、前記第1の貫通孔をシールする蓋をさらに含む、請求項3又は4に記載の電池セル。
【請求項6】
前記電池セルは、前記ハウジングと前記電極アセンブリとの間に設置されて前記電極アセンブリと前記ハウジングとを隔離する絶縁部材をさらに含み、
前記絶縁部材には、第2の貫通孔が設置されており、前記熱伝導部材は、一端が前記極板に接続されるように構成され、他端が前記第2の貫通孔を通過して前記ハウジングに接続されるように構成され、又は、前記絶縁部材のエッジには、第1の溝が設置されており、前記熱伝導部材は、一端が前記極板に接続されるように構成され、他端が前記第1の溝を通過して前記ハウジングに接続されるように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記絶縁部材の前記電極アセンブリに近い表面には、前記第2の貫通孔と連通する第2の溝が設けられており、前記熱伝導部材は、前記第2の溝内まで延びている、請求項6に記載の電池セル。
【請求項8】
前記絶縁部材の端部にはボスが設けられており、前記ボスは、前記電極アセンブリに当接しており、前記第2の貫通孔と前記溝とが前記ボスに設置されており、
前記絶縁部材の中部には、前記電極アセンブリから離れる方向に凸となる凸部が設けられており、前記凸部内にはバリアが設けられており、前記バリアは、前記電極アセンブリの前記凸部と対向する端面まで延びて、前記熱伝導部材と前記電極アセンブリのタブとの接触を阻止する、請求項6又は7に記載の電池セル。
【請求項9】
前記熱伝導部材の熱伝導係数は、前記絶縁部材の熱伝導係数よりも大きい、請求項6~8のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項10】
前記電池セルは、複数の前記電極アセンブリを含み、前記熱伝導部材は、複数の前記電極アセンブリの極板に接続されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項11】
前記ハウジングには放圧機構が設けられ、前記熱伝導部材は前記放圧機構と間隔を置いて設置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の電池セルを含む、電池。
【請求項13】
前記電池は、前記ハウジングに付着された熱管理部品をさらに含む、請求項12に記載の電池。
【請求項14】
前記熱管理部品は、前記熱伝導部材に対応して設置される、請求項13に記載の電池。
【請求項15】
請求項1~
11のいずれか一項に記載の電池セルを含み、前記電池セルは、電気エネルギーを供給するためのものであり、又はエネルギー蓄積手段としてのものである、装置。
【国際調査報告】