(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-13
(54)【発明の名称】超音波走査を実施するためのロボットシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20231106BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527986
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021080273
(87)【国際公開番号】W WO2022096418
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523165721
【氏名又は名称】ロプカ、アンパルトゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】ROPCA APS
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス、ケムニツ、アルビヌス、ヨーアンセン
(72)【発明者】
【氏名】ティウシウス、ラジース、サバリムース
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB09
4C601EE13
4C601GA18
4C601GA22
4C601GA24
4C601KK31
4C601KK32
4C601KK38
4C601KK45
(57)【要約】
患者の身体部分に対して自動超音波走査を実施するためのロボットシステム。システムは、身体部分を支持するための支持面と、ディスプレイと、ロボットアームとを備える。ロボットアームは、超音波プローブを保持し、超音波プローブを移動させて、支持面によって支持された身体部分の自動超音波走査を取得するように構成される。ディスプレイは、支持面に一体化され、走査される身体部分の少なくとも一部を支持するように適合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体部分に対して超音波走査を実施するためのロボットシステムであって、
前記身体部分を支持する支持面と、
ディスプレイと、
前記支持面によって支持された前記身体部分の前記超音波走査を取得するために、超音波プローブを保持し、前記超音波プローブを移動させるように構成された位置決め装置と
を備え、前記ディスプレイは前記支持面に一体化され、走査される前記身体部分の少なくとも一部を支持するように適合される、ロボットシステム。
【請求項2】
前記ディスプレイは、命令パターン(intstruction pattern)を表示するように構成される、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記ディスプレイは、接触感知ディスプレイ(a touch sensitive display)である、請求項1又は2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記位置決め装置の移動を制御するためのコントローラをさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記ディスプレイを介して、前記ディスプレイによって支持された前記身体部分の前記少なくとも一部の輪郭を検出する
ように構成される、請求項1から4のいずれかに記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記ディスプレイを介して、前記ディスプレイによって支持された前記身体部分の前記少なくとも一部の動作及び/又は存在を検出する
ように構成される、請求項1から5のいずれかに記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記支持面によって支持された前記患者の前記身体部分に関するデータ及び/又は前記超音波プローブを有する前記ロボットアームに関するデータを取得するように構成された2Dセンサ及び/又は3Dセンサをさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載のロボットシステム。
【請求項8】
較正プロセスで前記ディスプレイを利用するように構成される、請求項1から7のいずれかに記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記ディスプレイの表示面は、前記身体部分の少なくとも一部を支持するように構成され、前記表示面は、0~75度、好ましくは0~60度、さらにより好ましくは0~45度の水平面に対する角度で表示面内に延在する、請求項1から8のいずれかに記載のロボットシステム。
【請求項10】
可動ユニットである、請求項1から9のいずれかに記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の身体部分に対して超音波走査を実施するためのロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波走査は、例えば、胎児を走査するとき、手若しくは足のけが、又は関節リウマチ若しくは痛風などの疾患を診断するときの診断ツールとして、医療界で広く用いられている。
【0003】
ほとんどの超音波走査は、訓練された医療専門家によって行われる。しかしながら、最も訓練された超音波技術者であっても、一貫した効率的な態様で超音波走査を実施することは困難である。さらに、訓練された医療専門家は限られた数しかいないので、訓練された医療専門家に検査してもらうための待ち時間は非常に長い場合がある。長い待ち時間は、検査される前に疾患又はけがが悪化することにつながる可能性がある。
【0004】
上記の問題のいくつかを克服するために、ロボット超音波システムが開発されている。ロボット超音波システムは、患者の待機時間を短縮し、超音波走査を改善することができる、効率的で一貫した様式で超音波走査を取得することができる。
【0005】
米国特許出願公開第2017/0181725号明細書は、走査アセンブリ(a scanning assembly)と、三次元(3D)画像獲得装置と、コントローラとを含む超音波撮像システムを開示している。走査アセンブリは、手又は足を受ける(recieve)ように構成され、トランスデューサアレイ(a transducer array)及び音響結合流体(an acoustic coupling fluid)を含む。3D画像獲得装置は、手又は足の3D画像を取得するように構成される。コントローラは、手又は足の3D画像に基づいて、手又は足に対するトランスデューサアレイの方向又は配向を自動的に調整するように構成される。
【0006】
欧州特許出願公開第2514366号明細書は、例示的な自動超音波走査システム及び走査方法を開示している。自動超音波走査システムは、多軸ロボットアームと、多軸ロボットアームに配設された超音波走査ヘッドと、多軸ロボットアームを制御する制御回路と、三次元画像撮影機器と、コンピュータとを備える。コンピュータは、三次元画像撮影機器を介して検査対象物を感知し、検査対象物の三次元形状を作成し、三次元形状に従って三次元走査経路を計画する。三次元走査経路に従って、コンピュータは、多軸ロボットアームをさらに制御して、制御回路を介して多軸運動を実施させ、それにより、超音波走査ヘッドを介して検査対象物に対して三次元走査を実施し、その結果、超音波走査ヘッドが受信した反射超音波信号に従って超音波画像を構築する。
【0007】
しかしながら、これらのシステムは依然として欠点を抱えている。ロボットシステムは、場合によっては大きくて扱いにくく、場所を取りすぎることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0181725号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2514366号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の問題を克服する、又は少なくとも緩和する改善されたロボットシステムを提供することである。
【0010】
本発明の第1の態様では、この目的及びさらなる目的は、患者の身体部分に対して超音波走査を実施するためのロボットシステムによって達成され、システムは、
身体部分を支持する支持面と、
ディスプレイと、
支持面によって支持された身体部分の超音波走査を取得するために、超音波プローブを保持し、超音波プローブを移動させるように構成された位置決め装置と
を備え、ディスプレイは支持面の少なくとも一部を構成し、走査される身体部分の少なくとも一部を支持するように適合される。
【0011】
その結果、ディスプレイを受け入れるための追加の空間を必要としない、空間効率の良いロボットシステムが達成される。ディスプレイが支持面の少なくとも一部を構成することにより、ディスプレイが追加の空間を占めることなく、いくつがが本出願に記載されている、ディスプレイを有することに関連するすべての可能性及び利点が得られる。
【0012】
さらに、ディスプレイが支持面の少なくとも一部を構成することにより、医療従事者及び患者の両方はスクリーンと対話する可能性がさらに与えられ、従来技術のシステムでは、スクリーンが医療従事者のみと対話される。
【0013】
スクリーンが身体部分の少なくとも一部を支持することにより、走査される身体部分の少なくとも一部が、ロボットアームによって、かつロボットアームが走査を実施し得る走査ボリューム内で確実に到達可能になる。
【0014】
超音波走査は、オペレータからの支援を必要とせずに行われる完全自律型超音波走査であってもよい。自動超音波走査は、オペレータと連携して位置決め装置によって行われる半自律型超音波走査であってもよい。オペレータは、例えば、いつ走査を開始するか、いつ走査及び/又は移動調整を停止するかなど、位置決め装置の移動に関する入力をロボットシステムに提供することができる。
【0015】
患者の身体は、患者の身体の任意の部分、例えば、足、手、脚、腕、胴体、頭などであってもよい。ロボットシステムは、患者の全身走査を実施することができるか、又は患者の複数の身体部分を走査する走査を少なくとも実施することができる。
【0016】
支持面は、患者の身体部分を支持することができる任意の面であってもよい。いくつかの実施形態では、支持面は実質的に水平な面である。いくつかの実施形態では、支持面は、水平面に対してある角度を有する平面内に延在する。支持面は、机又はテーブルとして形成することができる。支持面は、平面であってもよい。
【0017】
一実施形態では、ロボットシステムは、二次支持手段をさらに備える。二次支持手段は、腕又は脚などの身体部分を支持するように構成された1つ以上の支持突起であってもよい。1つ以上の支持突起は、1つ以上のブレース(braces)として形成されてもよい。二次支持手段は、追加の支持面であってもよい。追加の支持面は、腕又は脚などの身体部分を少なくとも部分的に受け入れるように形成された窪みに形成されてもよい。追加の支持面は、支持面に当接して配置されてもよい。
【0018】
ディスプレイは、1つ以上の色及びパターンを表示することができる任意の装置であってもよい。ディスプレイには、有線又は無線接続のいずれかを介して信号を受信及び送信するための受信機、送信機及び/又はトランシーバを設けることができる。ディスプレイは、表示処理装置をさらに備えることができる。表示処理装置は、本明細書に記載の機能を実施するように適切に適合された任意の回路及び/又は装置を備える装置である。ディスプレイ処理装置は、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用電子回路など、又はそれらの組み合わせなどの汎用又は専用のプログラマブルマイクロプロセッサを備えることができる。
【0019】
位置決め装置は、ロボットアームであってもよい。位置決め装置は、超音波プローブを保持し、超音波プローブを移動させるように構成された任意の多関節アームであってもよい。ロボットアームは、互いに連結された複数のジョイントを備えることができる。ロボットアームは、三次元での移動が可能であってもよい。多関節アームは、超音波プローブを保持するためのホルダを備えることができる。ホルダは、ロボットアームのエンドピース(end piece)に一体化することができる。エンドピースは、ロボットアームの最後のジョイントであってもよい。代替的に、ホルダは、ロボットアームのエンドピースに接続可能であってもよい。ロボットアームには、有線又は無線接続のいずれかを介して信号を受信及び送信するための受信機、送信機及び/又はトランシーバが設けられてもよい。ロボットアームは、ロボットアーム処理装置をさらに備えることができる。ロボットアーム処理装置は、本明細書に記載の機能を実施するように適切に適合された任意の回路及び/又は装置を備える装置である。ロボットアーム処理装置は、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用電子回路など、又はそれらの組み合わせなどの汎用又は専用のプログラマブルマイクロプロセッサを備えることができる。ロボットアームには、センサが設けられてもよい。センサは、ロボットアームの移動に関するデータを収集するためのものであってもよく、そのようなセンサは、ジャイロスコープ又は加速度計であってもよい。センサは、自動走査を受ける患者にロボットアームが加える力を検出するように構成された力センサであってもよい。センサは、走査中に、ロボットアームに患者が加える力を検出するように構成された力センサであってもよい。ロボットアーム処理装置は、センサからデータを受信し、受信したデータに基づいてロボットアームの移動を調整することができる。例えば、ロボットアームが加える力に対して力閾値を設定することができ、ロボットアームが力閾値を超える場合、ロボットアーム処理装置は、ロボットアームの移動を停止するか、又はロボットアームが加える力を低減するために、ロボットアームを移動させて、走査されている身体部分から離すことができる。ロボットアームが設けられたセンサによって収集されたデータは、ロボットアームの移動を制御するように構成されたコントローラに送信されてもよく、コントローラは、ロボットアームの移動を制御する際に受信したセンサデータを使用することができる。
【0020】
位置決め装置は、超音波プローブを保持し、超音波走査を取得するために超音波プローブを移動させるように構成されたレールシステムであってもよい。レールシステムは、レールシステムのレールに接続された超音波プローブホルダを備えることができる。レールシステムは、それぞれに対して傾斜した2つのレールを備えることができ、したがって、2つのレールによって定義された平面内での移動が可能になる。2つのレールは、互いに垂直であってもよい。レールシステムは、それぞれに対して傾斜した3つのレールを備えることができ、したがって、3つのレールによって定義された3D空間内での移動が可能になる。3つのレールは、互いに垂直であってもよい。
【0021】
ディスプレイは、ディスプレイを受けることができる切り欠き又は窪みを支持面に設けることによって、支持面に一体化されてもよい。ディスプレイは、ディスプレイを支持面に固定して接続することによって支持面に一体化されてもよい。ディスプレイは、表示面、すなわち、パターン及び/又は色を表示するディスプレイの表面が支持面と実質的に同一平面になるように、支持面に一体化されてもよい。表示面は、支持面に組み込まれたときに水平面に対して傾斜がつけられていてもよい。表示面は、支持面に一体化されたときに水平面内に延在するように配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイは実質的に支持面を構成する。
【0022】
ディスプレイは、走査される身体部分の少なくとも一部が載置され得る平面を提供することによって、走査される身体部分の少なくとも一部を支持するように適合されてもよい。ディスプレイは、走査される身体部分を支持するように適合されてもよく、例えば、手が走査される場合、走査中に手全体がディスプレイによって支持されてもよい。ディスプレイは、走査される身体部分の少なくとも一部を支持するように適合されてもよく、例えば、手が走査される場合、走査中に手の指又は手のひらがディスプレイによって支持されてもよい。ディスプレイは、平面ディスプレイであってもよい。ディスプレイは、曲面ディスプレイであってもよい。ディスプレイは、身体部分を支持するように形成されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、ディスプレイは、命令パターン(instruction pattern)を表示するように構成される。
【0024】
命令パターンを表示させることにより、ロボットアームに明確な基準が与えられ、ロボットアームを移動させる際にその基準を使用することができる。さらに、命令パターンは、支持面によって支持された身体部分がロボットアームの到達範囲内にあることを保証することができる。輪郭命令(instruction outline)は、明示的で明確な信号を与えるので、患者の緊張及びストレスを緩和することができる。
【0025】
命令パターンは、走査される身体部分の輪郭命令であってもよく、例えば、輪郭命令は、手、腕、脚、又は足のものであってもよい。輪郭命令を走査される身体部分として形成することにより、患者は、走査される自身の身体部分をどこに置くべきかが明確になる。さらに、輪郭命令が身体部分の輪郭命令であることにより、患者は、ロボットアームに対して正しい配向で自身の身体部分を確実に置くことができ、身体部分の走査を容易にすることができる。さらに、ロボットが命令パターンに基づいて身体部分の配向及び置き方を認識することができるため、ロボットアームが現在走査されているもの、例えば走査されている身体部分が小指であるか、又は親指であるかを識別するのに役立つことができる。命令パターンは、十字形、円形、三角形、正方形、点、又は任意の他の幾何学的形状であってもよい。命令パターンは、患者が走査される自身の身体部分をどこに置くべきかを指示することができる。したがって、命令パターンは、走査される身体部分の中心の所望の置き方を指示することができる。ロボットシステムは、複数の身体輪郭(body outline)及び/又は命令パターンを記憶するデータストレージを備えることができる。ディスプレイは、データストレージに通信可能に接続され、データストレージから複数の身体輪郭の1つ及び/又は命令パターンを受信し、受信した身体輪郭又は命令パターンを表示するように構成されてもよい。ディスプレイは、それ自体で身体輪郭又は命令パターンを検索することができる。代替的に、身体輪郭又は命令パターンは、ディスプレイ及びデータストレージの両方に通信可能に接続されたコントローラを介して検索される。
【0026】
一実施形態では、命令パターンが走査される身体部分の輪郭である場合、表示される身体部分の輪郭は、患者に対応して表示されてもよい。例えば、患者が子供若しくは成人である場合、又は患者が男性若しくは女性である場合である。
【0027】
命令パターンが患者に応じて選択されることにより、表示された輪郭と患者の身体部分との間のより良好な一致を保証することができ、その結果、走査される身体部分の初期の置き方が改善されてもよい。ディスプレイは、患者に関する入力を受信し、入力に応答して、複数の身体輪郭又は命令パターンを記憶するデータストレージから、受信した入力に対応する輪郭を検索するよう構成されてもよい。代替的に、入力は、ディスプレイ及びデータストレージに通信可能に接続可能なコントローラに与えられてもよく、コントローラは、次いで、受信した入力に応じてデータストレージから輪郭を検索し、検索された輪郭をディスプレイに送信してもよく、ディスプレイが、受信した輪郭を表示してもよい。例えば、受信した患者に関する入力が、走査される身体部分が成人男性の手であるという入力である場合、一般的な成人男性の手の輪郭がデータストレージから検索され、ディスプレイに表示されてもよく、一方、受信した患者に関する入力が、走査される身体部分が女児の手であるという入力である場合、一般的な女児の手の輪郭がデータストレージから検索され、ディスプレイに表示されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、ディスプレイは、自動超音波走査が実施される患者に対するメッセージを表示するように構成される。
【0029】
メッセージは、手の置き方に関する患者への命令であってもよい。メッセージは、自動走査の進行に関するもの、例えば、何が走査されているか、走査の残り時間、又はロボットシステムによって実施されている動作に関するものであってもよい。メッセージは、ディスプレイによって支持された身体部分の少なくとも一部を移動させて、ディスプレイによって支持された身体部分の少なくとも一部の置き方を修正するための、患者に対する1つ以上の命令であってもよい。例えば、ディスプレイは、手の輪郭を表示することができ、次いで、患者がディスプレイに自身の手を置いた後、手が正しく置かれているかどうか、又は手が動かされるべきかどうかを指示するメッセージがディスプレイに表示されてもよい。身体部分の動作に関するメッセージは、患者に自身の身体部分を上、下、左又は右に動かすように伝えるメッセージであってもよい。代替的に、メッセージは、身体部分の正しい置き方を達成するために身体部分を移動させるべき方向を指示する矢印であってもよい。
【0030】
一実施形態では、ディスプレイは接触感知ディスプレイ(a touch sensitive display)である。
【0031】
その結果、マウス又はキーボードのための追加のスペースが必要とされないため、より一層スペース効率の良い解決策が達成される。そして、ディスプレイは、入力装置及び出力装置の両方として機能することができる。例えば、走査される患者に関する情報は、接触感知ディスプレイに直接与えられてもよい。例えば、患者は、自身の性別及び年齢を接触感知ディスプレイに入力することができ、次いで、自身の性別及び年齢はコントローラに送信されてもよい。コントローラは、受信した入力を使用して、ロボットアームの移動命令を生成する際に、並びに/又はディスプレイによって表示されるパターン及び/若しくは輪郭を検索することができる。一実施形態では、ディスプレイには、指紋油の可視効果を低減する疎油性コーティング又は他の光学コーティングが設けられる。患者は、接触感知ディスプレイと対話して、いつ走査を開始するかを選択するか、又は走査の準備完了、すなわち、手が置かれ、患者は走査の準備ができていると感じていること、を指示することができる。オペレータは、接触感知ディスプレイと対話して、取得された超音波画像を表示及び/又は操作することができる。ロボットシステムによって実施される走査又は他の手順は、接触感知ディスプレイに入力を与えることによって開始及び/又は停止することができ、例えば、ディスプレイの一部は開始及び/又は停止ボタンとして機能することができる。
【0032】
一実施形態では、システムは、ロボットアームの移動を制御するためのコントローラをさらに備える。
【0033】
コントローラは、本明細書に記載の機能を実施するように適切に適合された任意の回路及び/又は装置を備える。コントローラは、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用電子回路など、又はそれらの組み合わせなどの汎用又は専用のプログラマブルマイクロプロセッサを備えることができる。コントローラには、有線又は無線接続のいずれかを介して信号を受信及び送信するための受信機、送信機及び/又はトランシーバが設けられてもよい。
【0034】
コントローラは、ディスプレイに信号を送り、及び/又はディスプレイから信号を受信するために、画面に通信可能に接続可能であってもよい。コントローラは、1つ以上のセンサに信号を送り、及び/又はディスプレイから信号をするために、ロボットシステムの1つ以上のセンサに通信可能に接続可能であってもよい。コントローラは、走査を開始するため、ロボットアームによって実施される走査を停止するため、又はそうでなければロボットアームによって実施される走査を修正するための入力をオペレータから受信することができる。コントローラには、オペレータがコントローラに入力を与えることを可能にする入力手段が設けられてもよい。入力手段は、タッチスクリーン、キーボード、及び/又はマウスであってもよい。入力手段は、音声又は動作、例えば音声制御、眼球運動又はジェスチャを介して入力を受信するように構成されてもよい。コントローラは、データストレージを備えることができる。データストレージは、1つ以上の異なる身体部分に対応するロボットアームの1つ以上の移動命令を記憶することができる。データストレージは、身体部分の輪郭を記憶することができる。データストレージは、較正プロセスのための命令を記憶することができる。データストレージは、患者プロファイルを記憶することができる。コントローラは、センサ及び/又はディスプレイから受信したデータに基づいて、ロボットアームを移動させるための移動命令を生成するように構成されてもよい。
【0035】
一実施形態では、ロボットシステムは、
ディスプレイを介して、ディスプレイによって支持された身体部分の少なくとも一部の輪郭を検出するように構成される。
【0036】
その結果、ロボットシステムは、ロボットを移動させる際に、又は身体部分を識別及び/若しくは分類するために使用され得る、身体部分に関する情報を取得する。
【0037】
身体部分の少なくとも一部の輪郭は、ディスプレイに接触する物体の輪郭を検出することができる接触感知ディスプレイであるディスプレイによって検出されてもよい。身体部分の少なくとも一部の輪郭は、センサと連携してディスプレイによって検出されてもよい。センサは、支持面の画像データを取得するように構成されたカメラであってもよい。ディスプレイは、パターン(a pattern)及び/又は色シーケンス(colour sequence)を走らせるように構成されてもよい。コントローラは、取得された画像データを受信し、画像データを処理して、どの画素がディスプレイによって表示されるパターン及び/又は色シーケンスから逸脱しているかを確認するように構成されてもよい。逸脱した画素に基づいて、コントローラは、ディスプレイによって支持された身体部分の少なくとも一部の輪郭を決定することができる。
【0038】
検出された身体部分の少なくとも一部の輪郭は、ロボットアームの移動を制御するために、コントローラによって送信又は計算されてもよい。検出された輪郭は、ロボットアームを制御するために使用されてもよく、例えば、コントローラは、身体部分の検出された輪郭に基づいて、移動命令を生成又は適合させることができる。
【0039】
身体部分の少なくとも一部の輪郭は、患者に関連する患者プロファイルに保存されてもよい。
【0040】
一実施形態では、ロボットシステムは、
ディスプレイを介して、ディスプレイによって支持された身体部分の少なくとも一部の動作及び/又は存在を検出するように構成される。
【0041】
その結果、ロボットシステムは、身体部分の位置の変化に適合することができる。さらに、身体部分の存在は、走査を開始する準備ができているかどうかの明確な指示を与え、自律型ロボットシステムをさらに容易にする。
【0042】
身体部分の存在は、その身体部分の少なくとも一部がディスプレイによって支持されているかどうかとして理解されるべきである。
【0043】
ディスプレイによって支持された身体部分の少なくとも一部の動作及び/又は存在は、ディスプレイに接触する物体の動作及び/又は存在を検出することができる接触感知ディスプレイであることによって検出されてもよい。身体部分の少なくとも一部の動作及び/又は存在は、センサと連携してディスプレイによって検出されてもよい。センサは、支持面の画像データを取得するように構成されたカメラであってもよく、ディスプレイは、パターン及び/又は色シーケンスを走らせるように構成することができる。コントローラは、取得された画像データを受信し、連続的に又は時間間隔をおいて画像データを処理して、どの画素がパターン及び/又は色シーケンスから逸脱しているかを確認するように構成されてもよい。経時的に逸脱した画素に基づいて、コントローラは、ディスプレイによって支持された身体部分の少なくとも一部の動作を決定することができる。代替的に、ディスプレイによって支持された身体部分の少なくとも一部の動作は、センサの使用のみによって検出されてもよい。次いで、センサは、支持面及びディスプレイによって支持された身体部分の少なくとも一部の画像データを取得するように構成されたカメラであってもよく、取得された画像データは、分析のためにコントローラに送信されてもよく、コントローラは、受信した画像データの分析に基づいて、ディスプレイによって支持された身体部分の少なくとも一部が移動したかどうかを決定することができる。
【0044】
検出された身体部分の少なくとも一部の存在及び/又は動作は、ロボットアームの移動を制御するために、コントローラによって送信又は計算されてもよい。検出された存在及び/又は動作は、ロボットアームを制御する際に使用されてもよく、例えば、コントローラは、検出された存在及び/又は動作に従ってリアルタイムでロボットアームの移動命令を適合させることができる。
【0045】
身体部分の少なくとも一部の存在及び/又は動作は、走査の緊急停止として使用することができる。一実施形態では、ロボットシステムは、身体部分の少なくとも一部の存在が検出されない場合、又は身体部分の少なくとも一部の過剰な動作が検出された場合、自動走査を停止するように構成される。過剰な動作は、身体部分の少なくとも一部が1cm、2cm、3cm、4cm又は5cmを超えて動くこととして定義されてもよい。
【0046】
一実施形態では、システムは、支持面によって支持された患者の身体部分に関するデータ及び/又は超音波プローブを有するロボットアームに関するデータを取得するように構成された2Dセンサ及び/又は3Dセンサをさらに備える。
【0047】
その結果、ロボットアームの制御及び/又は身体部分の分類を支援することができる追加のデータが収集される。
【0048】
2Dセンサ及び/又は3Dセンサは、カメラ及び/又はLIDARセンサであってもよい。いくつかの実施形態では、ロボットシステムは、複数の2Dセンサ及び/又は複数の3Dセンサを備えるセンサアセンブリを備える。いくつかの実施形態では、3Dセンサは、少なくとも2つの2Dセンサから構成される。例えば、3Dセンサは、支持面及び支持面によって支持された身体部分の画像データを、異なる角度で取得するように構成された2つの2Dカメラからなることができる。2つのカメラによって取得された画像データをコントローラによって送信及び処理して、支持面によって支持された身体部分に関する3Dデータを取得することができる。
【0049】
2Dセンサ及び/又は3Dセンサは、支持面によって支持された身体部分の深度データを取得するように構成されてもよく、深度データは、支持面によって支持された身体部分の深度マップを作成するためにロボットシステムによって使用されてもよい。深度マップは、ロボットアームの移動を制御するように構成されたコントローラに計算又は送信されてもよい。コントローラは、ロボットアームの移動を制御する際に、受信又は計算された深度マップを使用することができる。
【0050】
2Dセンサ及び/又は3Dセンサは、超音波プローブの位置及び/又は配向に関するデータを取得するように構成されてもよい。2Dセンサ及び/又は3Dセンサは、支持面によって支持された身体部分に対する超音波プローブの位置及び/又は配向に関するデータを取得するように構成されてもよい。超音波プローブの位置及び/又は配向は、ロボットアームの移動を制御するように構成されたコントローラに送信されてもよい。コントローラは、ロボットアームの移動を制御する際に受信した超音波プローブの位置及び/又は配向を使用することができる。
【0051】
2Dセンサ及び/又は3Dセンサによって取得されたデータは、コントローラによって処理されて、走査される身体部分を分類することができ、例えば、左手又は右手が走査されている、又は走査されることになるかを分類することができる。
【0052】
2Dセンサ及び/又は3Dは、信号を送り、受信するための受信機、送信機、又はトランシーバを備えることができる。2Dセンサ及び/又は3Dセンサは、ロボットシステムのコントローラに通信可能に接続可能であってもよい。コントローラは、2Dセンサ及び/又は3Dセンサから受信した信号に基づいて、ロボットアームの移動を制御するための1つまたは複数の制御信号を生成するように構成されてもよい。例えば、2Dセンサ及び/又は3Dセンサは、走査される身体部分の深度マップを作成するために、走査される身体部分の深度データを取得することができる。深度データは、走査が開始される前又は走査中に取得されてもよい。深度マップを作成するための深度データはコントローラに送信されてもよく、コントローラは、データの受信に応答して、走査される身体部分の深度マップを作成する。次いで、コントローラは、深度マップに従って身体部分を走査するための移動命令を生成又は調整することができる。代替的に、又は組み合わせて、コントローラは、身体部分の走査中又は走査前に、2Dセンサ及び/又は3Dセンサから1つ以上の信号を受信することができる。信号は、身体に対する超音波プローブの位置及び/又は配向を指示することができる。次いで、コントローラは、走査されている又は走査される身体部分に対する超音波プローブの位置及び/又は配向を指示する信号に応じて、実行されている移動命令を調整することができる。
【0053】
一実施形態では、ロボットシステムは、較正プロセスにおいてディスプレイを利用するように構成される。
【0054】
その結果、ロボットシステムの制御された較正は達成されてもよく、これにより、ロボットシステムが高精度で動作することが可能になる。
【0055】
一実施形態では、ロボットシステムは、較正プロセスにおいてディスプレイによって表示される較正パターン及び/又は較正色を利用するように構成される。
【0056】
較正パターン及び/又は較正色は、ディスプレイによって表示される静止画像であってもよい。較正パターン及び/又は較正色は、ディスプレイによって表示される一連の画像及び/又はパターンであってもよい。較正パターン及び/又は較正色は使用され、ロボットシステムの較正に使用するための1つの較正点を表示することができる。較正パターン及び/又は較正色は使用され、ロボットシステムの較正に使用するための複数の較正点を表示することができる。
【0057】
較正プロセスは、オペレータがコントローラに開始入力を与えることによって開始されてもよい。開始入力に続く較正プロセスは、コントローラによって、又はオペレータと連携するコントローラによって制御されてもよい。
【0058】
一実施形態では、ロボットシステムは、較正プロセスにおいてディスプレイによって表示される較正パターン及び/又は較正色に接触するようにロボットアームを移動させるように構成される。
【0059】
ロボットアームの較正は、オペレータがロボットアームを移動させて、較正パターン及び/又は較正色によって定義された1つ以上の較正点に接触させることによって実施されてもよい。オペレータは、ロボットアームのエンドピースによって保持された超音波プローブを具体的に移動させて、較正パターン及び/又は較正色によって定義された1つ以上の較正点に接触させることができる。ロボットアームが1つ以上の較正点に接触すると、オペレータは、1つ以上の較正点に到達したことをロボットシステムに入力することができる。
【0060】
ロボットアームの較正は、支持面によって支持された患者の身体部分に関するデータ及び/又は超音波プローブを有するロボットアームに関するデータを取得するように構成された2D及び/又は3Dセンサと連携して、ロボットアームの移動を制御するためのコントローラによって実施されてもよい。2Dセンサ及び/又は3Dセンサは、ロボットアームが較正パターン及び/又は較正色によって定義される1つ以上の較正点に対してどこにあるのか、例えば、ロボットアームのエンドピースによって保持される超音波プローブが較正パターン及び/又は較正色によって定義される1つ以上の較正点に対してどこにあるのかの情報を、コントローラに送信することができる。コントローラは、2Dセンサ及び/又は3Dから受信した情報に応じて、較正パターン及び/又は較正色によって定義された1つ以上の較正点に向かうようなロボットアームの移動命令を生成することができる。2D及び/又は3Dセンサは、ロボットアームが較正パターン及び/又は較正色によって定義される1つ以上の較正点に到達したとき、例えばロボットアームのエンドピースによって保持された超音波プローブが較正パターン及び/又は較正色によって定義される1つ以上の較正点に到達したかどうかなどの情報をコントローラに送信することができる。
【0061】
一実施形態では、ロボットシステムは、ディスプレイによって表示される較正パターン及び/又は較正色を利用して、2Dセンサ及び/又は3Dセンサを較正するように構成される。2Dセンサ及び/又は3Dセンサを較正することにより、空間内の3D座標を2D画像座標にマッピングすることが可能になる。較正は、ディスプレイを介して、サイズ、形状、及び/又は位置の既知のパラメータを用いて較正パターンを表示することによって行われてもよい。次いで、2Dセンサ及び/又は3Dセンサは、表示された較正パターン及び/又は較正色の画像データを取得することができる。画像データは、較正パターン及び/又は色の既知のパラメータと相関があってもよい。これは、ディスプレイ並びに2D及び/又は3Dセンサに通信可能に接続されたコントローラが、較正パターン及び/又は色の既知のパラメータを含み、2D及び/又は3Dセンサから画像データを受信し、これらを相関させるように構成される、完全自動プロセスであってもよい。コントローラによる相関は、空間内の3D座標の2D画像座標へのマッピングを可能にする変換行列を取得することであってもよい。したがって、2D及び/又は3Dセンサによって取得された画像データは使用され、3D空間内の異なる幾何学的メトリック(geometric metrics)が正確に定量化されてもよい。
【0062】
一実施形態では、ディスプレイの表示面は、身体部分の少なくとも一部を支持するように構成され、表示面は、0~75度、好ましくは0~60度、さらにより好ましくは0~45度の水平面に対する角度で表示面内に延在する。
【0063】
垂直面に対して表示面を傾けることにより、身体部分の少なくとも一部を支持するディスプレイの能力が向上する。
【0064】
表示面は、パターン及び/又は色を表示することができるディスプレイの表面として理解されるべきである。
【0065】
一実施形態では、ロボットシステムは可動ユニットである。
【0066】
その結果、単一の場所に固定されず、移動することができるという便利な運搬上の解決策が提供される。
【0067】
ロボットシステムは、トロリー又は車輪付きテーブルとして提供されてもよい。
【0068】
本発明は、特許請求の範囲に記載された特徴のすべての可能な組み合わせに関することに留意されたい。本発明の概念の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な開示、添付の特許請求の範囲、及び図面から明らかになるであろう。態様の1つに関連して説明された特徴は、他の態様に組み込まれてもよく、特徴の利点は、それが組み込まれるすべての態様に適用可能である。
【0069】
以下の説明では、本発明の実施形態を概略図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】本発明の一実施形態によるロボットシステムのブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるロボットシステムの概略斜視図である。
【
図3】
図2のロボットシステムの概略側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるロボットシステムの較正プロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
次に、本発明の実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明を以下により完全に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性のために提供される。
【0072】
最初に
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるロボットシステム1のブロック図が描写されている。ロボットシステム1は、患者の身体部分に対して自動超音波走査を実施するように構成されている。ロボットシステム1は、走査される身体部分を支持するための支持面2を備える。支持面2は、身体部分を受け、ロボットシステム1によって実施される走査中に身体部分を支持するように適合されている。支持面2の少なくとも一部は、ディスプレイ3が構成している。ディスプレイ3は、走査される身体部分の少なくとも一部を支持するように適合されている。したがって、患者がロボットシステム1によって手の走査を実施する必要がある場合、支持面2は手全体を支持し、支持面2の少なくとも一部を構成するディスプレイ3は手の指又は手のひらを支持することができる。ディスプレイ3は、支持面2を完全に構成することができ、その場合、ディスプレイ3は、走査される身体部分全体を支持するように適合される。
【0073】
自動走査を行うために、ロボットシステム1にはロボットアーム4が設けられている。ロボットアーム4は、超音波プローブ8を保持し、超音波プローブ8を移動させて、支持面2によって支持された身体部分の自動超音波走査を取得するように構成される。
【0074】
図示の実施形態では、ディスプレイ6には表示処理装置6が設けられている。表示処理装置6は、コントローラ5と通信可能に接続されている。コントローラ5は、ロボットアーム4の移動を制御するためのものである。さらに、コントローラ5は、ロボットアーム4が設けられたロボットアーム処理装置7に通信可能に接続されている。さらに、コントローラ5は、3Dセンサ9に通信可能に接続されている。3Dセンサ9は、支持面2、支持面2によって支持された身体部分、及び/又はロボットアーム4に関するデータを取得するように構成される。コントローラ5は、表示処理装置6、ロボットアーム処理装置7、及び/又は3Dセンサ9から信号を受信することができる。コントローラ5は、表示処理装置6、ロボットアーム処理装置7、及び/又は3Dセンサ9に信号を送信することができる。好ましくは、コントローラ5は、3Dセンサ9及び/又は表示処理装置6からデータを受信し、ロボットアーム4の移動を制御するための移動命令を生成する。移動命令は、生成された後、ロボットアーム処理装置7に送信される。生成された移動命令をコントローラ5から受信した後、ロボットアーム処理装置7は、受信した移動命令に従ってロボットアーム4を移動させるために移動命令を実行することができる。
【0075】
図2を参照すると、本発明の一実施形態によるロボットシステム10の概略斜視図が描写されている。図示の実施形態では、ロボットアーム14は多関節アーム14として提供される。多関節アームは、複数のジョイント141、142、143、144、145、146からなる。多関節アーム14は、ロボットアームのベース148に接続されたエンドジョイント141を介してシステムハウジング101に接続されている。多関節アーム14の他方のエンドジョイント146には、ホルダ147が設けられている。ホルダ147は、超音波プローブを保持するためのものである。走査中、多関節アーム14はホルダ147を移動させて身体部分の走査を取得する。多関節アーム14のジョイント141、142、143、144、145、146は、互いに独立して回転可能であってもよく、したがって、多関節アーム14が多種多様な移動を実施することを可能にする。
【0076】
図示の実施形態では、身体部分は走査中で、ディスプレイ13によって支持されている。ディスプレイ13は、図示の実施形態では支持面を構成する。ディスプレイ13は、ディスプレイハウジング131及び表示面132からなる。表示面132は、パターン及び/又は色を表示するためのものである。ディスプレイハウジング131は、表示面132を収容する。表示面132は、略平面として設けられている。ディスプレイハウジング131は、一方では、システムハウジング101に接続されている。ディスプレイハウジング132は、表示処理装置6及び/又は他の電子機器を収容することができる。ディスプレイ13は、接触感知ディスプレイ13であり、すなわち、オペレータ又は患者は、表示面132を介してロボットシステム10に直接入力を与えることができる。表示面132に与えられた入力は、ロボットシステム10のコントローラ5に送信されてもよい。コントローラ5は、多関節アーム14の移動を制御するためのものである。図示の実施形態におけるディスプレイ13は、命令パターン133を表示するように構成される。命令パターン133は、図示の実施形態では、ディスプレイ13によって支持されることになる身体部分133の輪郭である。身体部分133の輪郭は、ディスプレイ13上のどこに身体部分を置くべきかを患者に指示する。表示される身体部分133の輪郭は、患者に応じて表示され、すなわち、患者が成人女性で、右手が走査される場合、患者又はロボットシステム10のオペレータは、患者が成人女性で、右手が走査されるという入力をディスプレイ13又はコントローラ5に与えることができ、次いで、ディスプレイ13は、身体部分133の対応する輪郭を表示することができる。
【0077】
ディスプレイハウジング131には、3Dセンサ19が接続されている。3Dセンサ19は、センサスタンド192及び3Dセンサユニット191からなる。センサスタンド192は、ディスプレイハウジング131に接続され、ディスプレイハウジング131から鉛直上方に延在する。センサスタンド192には、3Dセンサユニット191が配置されている。3Dセンサユニット191は、センサスタンド192内のディスプレイ13の鉛直上方に位置している。3Dセンサユニット191は、ディスプレイ13、ディスプレイ13によって支持された身体部分、及び/又は多関節アーム14に関するデータを取得するように構成される。3Dセンサユニット191によって取得されたデータは、多関節アーム14又はディスプレイ13によって支持された身体部分の位置及び/又は配向のデータであってもよい。3Dセンサユニット191によって取得されたデータは、ディスプレイ13によって支持された身体部分の3Dデータ、及び/又は多関節アーム14の3Dデータであってもよい。3Dセンサユニットは、取得したデータをロボットシステム10のコントローラ5に送信することができる。コントローラ5は、多関節アーム14の移動を制御するために受信したデータを使用することができる。
【0078】
図示の実施形態におけるロボットシステム10は、可動ユニット10である。可動ユニット10は、ロボットアーム14及びディスプレイ13がシステムハウジング101に接続されることによって達成される。システムハウジング101は、コントローラ5及び/又はロボットシステム10によって使用可能な他の電子機器を収容することができる。システムハウジング101は、複数の車輪102の上に取り付けられている。複数の車輪102は、ロボットシステム10を移動させることを可能にする。
【0079】
ロボットシステム10は、多関節アーム14の移動を制御するためのコントローラ5を備えることができる。コントローラ10は、システムハウジング101内に収容されてもよく、又はロボットシステム10の残りの部分から遠隔に配置されてもよい。コントローラ5は、多関節アーム14、ディスプレイ13、及び/又は3Dセンサ19から入力を受信することができる。コントローラは、多関節アーム14、ディスプレイ13、及び/又は3Dセンサ19に命令を送信することができる。
【0080】
ロボットシステム10は、ディスプレイ13を介して、ディスプレイ13によって支持された身体部分の輪郭を検出するように構成される。身体部分の輪郭は、ディスプレイ13に接触する物体の輪郭を検出することができる接触感知ディスプレイ13であるディスプレイ13によって検出されてもよい。身体部分の輪郭は、3Dセンサ19と連携してディスプレイ13によって検出されてもよい。3Dセンサ19は、ディスプレイ13の画像データを取得することができ、ディスプレイ13は、特定のパターン及び/又は色シーケンスを走らせるように構成することができる。次いで、取得された画像データはコントローラ5に送信されてもよく、コントローラ5が、画像データを処理して、どの画素が特定のパターン及び/又は色シーケンスから逸脱しているかを確認し、ディスプレイ13によって支持される身体部分の輪郭を決定するように構成される。検出された身体部分の輪郭は、多関節アーム14の移動を制御するためにコントローラ5によって使用されてもよい。
【0081】
ロボットシステム10は、ディスプレイ13を介して、ディスプレイ13によって支持された身体部分の動作及び/又は存在を検出するように構成される。ディスプレイ13によって支持された身体部分の動作及び/又は存在は、ディスプレイに接触する物体の動作及び/又は存在を検出することができる接触感知ディスプレイであるディスプレイ13によって検出されてもよい。身体部分の動作及び/又は存在は、3Dセンサ19と連携してディスプレイ13によって検出することができる。3Dセンサ19は、ディスプレイ13及びディスプレイ13によって支持される身体部分の画像データを取得するように構成されてもよい。ディスプレイ13は、パターン及び/又は色シーケンスを走らせるように構成されてもよい。ディスプレイ13の3Dセンサ及びディスプレイ13に支持された身体部分によって取得された画像データは、コントローラ5に送信されてもよい。コントローラ5は、画像データを処理して、どの画素がパターン及び/又は色シーケンスから逸脱するかを経時的に確認するように構成されてもよい。経時的に逸脱する画素に基づいて、ディスプレイによって支持された身体部分の動作を、コントローラ5によって決定されてもよい。
【0082】
検出された身体部分の存在及び/又は動作は、ロボットアームを制御する際に使用されてもよく、例えば、コントローラ5は、検出された存在及び/又は動作に従ってリアルタイムで多関節アーム14の移動を適合させることができる。さらに、身体部分の存在及び/又は動作は、緊急停止としてコントローラ5によって使用されてもよい。ロボットシステムは、身体部分の過剰な動作が検出された場合に走査を停止するように構成されてもよい。過剰な動作は、身体部分が1cm、2cm、3cm、4cm又は5cmを超えて動くこととして定義されてもよい。
【0083】
図3を参照すると、
図2のロボットシステム10の概略側面図が描写されている。ディスプレイ13は、水平面Hに対して角度A1で延在する。好ましくは、角度A1は0~75度、好ましくは0~60度、さらにより好ましくは0~45度である。ディスプレイハウジング131の一端には、ディスプレイ13とシステムハウジング101との間の接続を容易にするディスプレイ接続構造132が設けられている。ディスプレイ接続構造132は、ディスプレイハウジング131内にL字形として設けられ、L字形は、システムハウジング101に接続されるように構成される。さらに、多関節アーム14は、ベース148を備える。ベース148は、システムハウジング101の接続面103に接続されている。接続面103は、水平面Hに対して下方に傾斜しており、接続角度A2は0~60度、好ましくは0~45度、さらにより好ましくは0~30度である。接続角度A2により、多関節アーム14が下げられ、したがってロボットシステムの有効高さが下がり、よりコンパクトなロボットシステム10が得られる。
【0084】
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるロボットシステム1、10の較正プロセス20のフロー図が描写されている。第1のステップ21は、較正プロセス20を開始することを含む。較正プロセス20の開始は、身体部分の走査が開始される前に、ロボットシステム10を較正するように構成されたコントローラ5によって行われてもよい。較正プロセス20の開始は、身体部分の走査が行われていないときにコントローラによって定期的に行われてもよい。較正プロセス20の開始は、較正プロセスが開始されるべきであるとオペレータがコントローラ5に入力したことに応答して行われてもよい。
【0085】
第2のステップ22は、ディスプレイ3、13によって較正パターン及び/又は較正色を表示することを含む。ディスプレイ3、13は、較正プロセス20が開始されたというコントローラ5からの信号の受信に応答して、較正パターン及び/又は較正色を表示するように構成されてもよい。較正パターン及び/又は較正色は、ディスプレイ3、13によって表示される静止画像であってもよい。較正パターン及び/又は較正色は、ディスプレイ3、13によって表示される一連の画像及び/又はパターンであってもよい。較正パターン及び/又は較正色は、ロボットシステムの較正に使用するための1つの較正点を表示するために使用されてもよい。較正パターン及び/又は較正色は、ロボットシステムの較正に使用するための複数の較正点を表示するために使用されてもよい。
【0086】
較正プロセス20は、ロボットシステム1、10の異なる構成要素を較正するために行われてもよい。ロボットシステム1、10のロボットアーム4、14が較正される場合、第3のステップ23及び第4のステップ24は行われてもよい。ロボットシステム1、10の3Dセンサ9、19が較正される場合、第3のステップ23及び第4のステップ24の代わりに、第5のステップ25及び第6のステップ26は行われてもよい。代替的に、ロボットアーム4、14及び3Dセンサ9、19の両方が並行して較正されてもよく、したがって、第3のステップ23及び第4のステップ24は、第5のステップ25及び第6のステップ26と並行して行われる。
【0087】
第3のステップ23は、ロボットアーム4、14を移動させて、ディスプレイ3、13によって表示される較正パターン及び/又は較正色に接触させることを含む。ロボットアーム4、14の較正は、オペレータがロボットアーム4、14を移動させて、較正パターン及び/又は較正色によって定義された1つ以上の較正点に接触させることによって実施されてもよい。オペレータは、ロボットアーム4、14のエンドピース146によって保持された超音波プローブ8を特に移動させて、較正パターン及び/又は較正色によって定義された1つ以上の較正点に接触させることができる。代替的に、較正パターン及び/又は較正色によって定義される1つ以上の較正点に接触するためのロボットアーム4、14の移動は、コントローラ5によって決定されてもよい。コントローラは、決定された移動を含む移動命令をロボットアーム4、14に送信して、決定された移動に従ってロボットアーム4、14を移動させることができる。コントローラ5は、超音波プローブ8を用いて支持面2の画像データ及びロボットアーム4、14上の画像データを取得するように構成された3Dセンサ9、19と連携して、移動を決定することができる。3Dセンサ9、19は、コントローラ5に画像データを送信することができる。コントローラ5は、3Dセンサ9、19から受信した画像データに基づいて、ロボットアーム4、14が較正パターン及び/又は較正色によって定義された1つ以上の較正点に対してどこにあるのかを決定するように構成される。次いで、コントローラは、較正パターン及び/又は較正色によって定義された1つ以上の較正点に対するロボットアーム4、14の位置に基づいて移動命令を生成することができる。移動命令は、ロボットアーム4、14が較正パターン及び/又は較正色によって定義された1つ以上の較正点に到達するために必要な移動を含む。移動命令はロボットアーム4、14に送信され、次いで、ロボットアーム4、14は移動を実行する。コントローラ5によって生成された移動命令は、ロボットアーム14のエンドピース146を1つ以上の較正点に向かって移動させるための移動命令であってもよい。コントローラ5によって生成された移動命令は、ロボットアーム14のホルダ147を1つ以上の較正点に向かって移動させるための移動命令であってもよい。コントローラ5によって生成された移動命令は、ロボットアーム14によって保持された超音波プローブ8を1つ以上の較正点に向かって移動させるための移動命令であってもよい。
【0088】
第4のステップ24は、ロボットアーム4、14が較正パターン及び/又は較正色によって定義された1つ以上の較正点に到達したことを検証することを含む。検証は、ロボットアーム4、14が1つ以上の較正点に到達したことをオペレータがロボットシステムに入力することによって行われてもよい。代替的に、コントローラ5は、3Dセンサ9、19が受信した画像データを分析することによって、ロボットアームが1つ以上の較正点に到達したかどうかを検証することができる。
【0089】
第5のステップ25は、3Dセンサ9、19によって画像データを取得することと、取得した画像データをコントローラ5に送信することとを含む。
【0090】
第6のステップ26は、コントローラによって、受信した画像データを、ディスプレイ3、13によって表示される較正パターン及び/又は色の1つ以上の既知のパラメータと相関させることを含む。1つまたは複数の既知のパラメータは、コントローラ5に通信可能に接続されたデータストレージに記憶されてもよい。コントローラ5による相関付けは、空間内の3D座標の2D画像座標へのマッピングを可能にする変換行列を取得することであってもよい。
【0091】
さらに、開示された実施形態に対する変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求される本発明を実施する際に当業者によって理解及び実現され得る。特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【国際調査報告】