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特表2023-547746電池の筐体、電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】電池の筐体、電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20231107BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20231107BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231107BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20231107BHJP
   H01M 50/204 20210101ALN20231107BHJP
【FI】
H01M50/342 201
H01M50/289
H01M10/613
H01M10/6556
H01M50/204 401H
H01M50/204 401F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542014
(86)(22)【出願日】2021-09-22
(85)【翻訳文提出日】2022-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2021119698
(87)【国際公開番号】W WO2023044619
(87)【国際公開日】2023-03-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲飄▼▲飄▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小波
(72)【発明者】
【氏名】李 耀
(72)【発明者】
【氏名】金 秋
(72)【発明者】
【氏名】▲銭▼ 欧
【テーマコード(参考)】
5H012
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H012BB01
5H012EE01
5H012FF01
5H012JJ00
5H031KK08
5H040AA37
5H040NN00
(57)【要約】
本願の実施例は電池の筐体、電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器を提供する。電池の筐体は、複数の電池セルを収容することに用いられ、電池セルの第1壁に圧力放出機構が設けられる電気室と、圧力放出機構の作動時に電池セルからの排出物を収集することに用いられる収集室と、電気室と収集室を隔離し、圧力放出機構に対応する圧力放出領域が設けられ、圧力放出領域は圧力放出機構の作動時に排出物を電気室から排出することに用いられることに用いられる隔離部材と、圧力放出領域を密封して圧力放出機構と収集室を隔離することに用いられ、圧力放出機構の作動時に破壊されて排出物を圧力放出領域を経由して電気室から排出することに用いられる第1絶縁層と、を備える。本願の実施例における電池の筐体、電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器は、電池の安全性を高めることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の筐体であって、
複数の電池セル(20)を収容することに用いられ、前記電池セル(20)の第1壁(21a)に圧力放出機構(213)が設けられ、前記圧力放出機構(213)は前記電池セル(20)の内部圧力又は温度が閾値に達すると、前記内部圧力を放出するように作動することに用いられる電気室(11a)と、
前記圧力放出機構(213)の作動時に前記電池セル(20)からの排出物を収集することに用いられる収集室(11b)と、
前記電気室(11a)と前記収集室(11b)を隔離することに用いられ、前記圧力放出機構(213)に対応する圧力放出領域(131)が設けられ、前記圧力放出領域(131)は前記圧力放出機構(213)の作動時に前記排出物を前記電気室(11a)から排出することに用いられる隔離部材(13)と、
前記圧力放出領域(131)を密封して前記圧力放出機構(213)と前記収集室(11b)を隔離することに用いられ、前記圧力放出機構(213)の作動時に破壊されて前記排出物を前記圧力放出領域(131)を経由して前記電気室(11a)から排出することに用いられる第1絶縁層(14)と、を備える、ことを特徴とする電池の筐体。
【請求項2】
前記圧力放出領域(131)は前記隔離部材(13)を貫通する第1貫通孔である、ことを特徴とする請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記第1絶縁層(14)は前記隔離部材(13)の前記第1壁(21a)に近接する表面に設けられ、及び/又は、
前記第1絶縁層(14)は前記隔離部材(13)の前記第1壁(21a)から離れる表面に設けられる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の筐体。
【請求項4】
前記第1絶縁層(14)は、前記圧力放出機構(213)の作動時に溶融して前記排出物を前記圧力放出領域(131)を経由して前記電気室(11a)から排出することに用いられる、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項5】
前記第1絶縁層(14)の面積は前記圧力放出機構(213)の面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項6】
前記隔離部材(13)に流路(132)が設けられ、前記流路(132)は流体を収容して前記電池セル(20)の温度を調整することに用いられる、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項7】
前記流路(132)は前記圧力放出機構(213)の作動時に破壊されて前記流体を前記流路(132)の内部から排出することに用いられる、ことを特徴とする請求項6に記載の筐体。
【請求項8】
前記流路(132)の第2壁に第2貫通孔(1321)が設けられ、前記第2壁は前記第1壁(21a)にアタッチされ、前記筐体は、
前記第2貫通孔(1321)を密封することに用いられ、前記圧力放出機構(213)の作動時に溶融して前記流体を前記第2貫通孔(1321)から前記電池セル(20)へ流出することに用いられる第2絶縁層(1322)をさらに備える、ことを特徴とする請求項7に記載の筐体。
【請求項9】
前記流路(132)に複数の前記第2貫通孔(1321)が設けられ、複数の前記第2貫通孔(1321)は複数の前記電池セル(20)に1対1で対応する、ことを特徴とする請求項8に記載の筐体。
【請求項10】
前記第2壁に凹溝(1331)が設けられ、前記凹溝(1331)の底壁に前記第2貫通孔(1321)が設けられ、前記凹溝(1331)の開口は前記第1壁(21a)を向いており、前記第2絶縁層(1322)は前記凹溝(1331)内に充填される、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の筐体。
【請求項11】
前記第2絶縁層(1322)は前記凹溝(1331)の底壁の前記第1壁(21a)から離れる表面で前記第2貫通孔(1321)を被覆する、ことを特徴とする請求項10に記載の筐体。
【請求項12】
前記第2絶縁層(1322)の前記第1壁(21a)に近接する表面と前記第2壁の前記第1壁(21a)に近接する表面は面一である、ことを特徴とする請求項8~11のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項13】
前記第2絶縁層(1322)の前記第1壁(21a)に近接する表面は前記第2壁の前記第1壁(21a)に近接する表面よりも突出している、ことを特徴とする請求項8~11のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項14】
前記第2貫通孔(1321)の面積は200mm2以下である、ことを特徴とする請求項8~13のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項15】
電池であって、
請求項1~14のいずれか一項に記載の筐体と、
前記筐体内に収容される複数の電池セル(20)と、を備え、前記電池セル(20)の第1壁(21a)に圧力放出機構(213)が設けられ、前記圧力放出機構(213)は前記電池セル(20)の内部圧力又は温度が閾値に達すると、前記内部圧力を放出するように作動することに用いられる、ことを特徴とする電池。
【請求項16】
電力消費機器であって、前記電力消費機器に電力を供給することに用いられる請求項15に記載の電池を備える、ことを特徴とする電力消費機器。
【請求項17】
電池の製造方法であって、
複数の電池セル(20)を提供するステップと、
筐体を提供するステップと、を含み、
筐体を提供する前記ステップは、
複数の前記電池セル(20)を収容することに用いられ、前記電池セル(20)の第1壁(21a)に圧力放出機構(213)が設けられ、前記圧力放出機構(213)は前記電池セル(20)の内部圧力又は温度が閾値に達すると、前記内部圧力を放出するように作動することに用いられる電気室(11a)を提供するステップと、
前記圧力放出機構(213)の作動時に前記電池セル(20)からの排出物を収集することに用いられる収集室(11b)を提供するステップと、
前記電気室(11a)と前記収集室(11b)を隔離することに用いられ、前記圧力放出機構(213)に対応する圧力放出領域(131)が設けられ、前記圧力放出領域(131)は前記圧力放出機構(213)の作動時に前記排出物を前記電気室(11a)から排出することに用いられる隔離部材(13)を提供するステップと、
前記圧力放出領域(131)を密封して前記圧力放出機構(213)と前記収集室(11b)を隔離することに用いられ、前記圧力放出機構(213)の作動時に破壊されて前記排出物を前記圧力放出領域(131)を経由して前記電気室(11a)から排出することに用いられる第1絶縁層(14)を提供するステップと、を含む、ことを特徴とする電池の製造方法。
【請求項18】
電池の製造機器であって、提供モジュールを備え、前記提供モジュールは、
複数の電池セル(20)を提供すること、及び
筐体を提供することに用いられ、
前記提供モジュールはさらに、
複数の前記電池セル(20)を収容することに用いられ、前記電池セル(20)の第1壁(21a)に圧力放出機構(213)が設けられ、前記圧力放出機構(213)は前記電池セル(20)の内部圧力又は温度が閾値に達すると、前記内部圧力を放出するように作動することに用いられる電気室(11a)を提供すること、
前記圧力放出機構(213)の作動時に前記電池セル(20)からの排出物を収集することに用いられる収集室(11b)を提供すること、
前記電気室(11a)と前記収集室(11b)を隔離することに用いられ、前記圧力放出機構(213)に対応する圧力放出領域(131)が設けられ、前記圧力放出領域(131)は前記圧力放出機構(213)の作動時に前記排出物を前記電気室(11a)から排出することに用いられる隔離部材(13)を提供すること、及び
前記圧力放出領域(131)を密封して前記圧力放出機構(213)と前記収集室(11b)を隔離することに用いられ、前記圧力放出機構(213)の作動時に破壊されて前記排出物を前記圧力放出領域(131)を経由して前記電気室(11a)から排出することに用いられる第1絶縁層(14)を提供することに用いられる、ことを特徴とする電池の製造機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池の技術分野に関し、特に電池の筐体、電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネ排出削減は自動車産業の持続可能な発展の鍵である。この場合、電動車両は、省エネで環境にやさしい利点を持つため、自動車産業の持続可能な発展の重要な部分になっている。電動車両の場合、電池技術はその発展を左右する重要な要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池技術の発展では、電池の性能を向上させることに加えて、安全性の問題も無視できない問題である。電池の安全性を確保できないと、該電池は使用不能になってしまう。従って、電池の安全性をどのように高めるかは、電池技術において解決を急ぐべき技術的問題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願は、電池の安全性を高めることができる電池の筐体、電池、電力消費機器、電池の製造方法及び機器を提供する。
【0005】
第1態様によれば、複数の電池セルを収容することに用いられ、前記電池セルの第1壁に圧力放出機構が設けられ、前記圧力放出機構は前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達すると、前記内部圧力を放出するように作動することに用いられる電気室と、前記圧力放出機構の作動時に前記電池セルからの排出物を収集することに用いられる収集室と、前記電気室と前記収集室を隔離することに用いられ、前記圧力放出機構に対応する圧力放出領域が設けられ、前記圧力放出領域は前記圧力放出機構の作動時に前記排出物を前記電気室から排出することに用いられる隔離部材と、前記圧力放出領域を密封して前記圧力放出機構と前記収集室を隔離することに用いられ、前記圧力放出機構の作動時に破壊されて前記排出物を前記圧力放出領域を経由して前記電気室から排出することに用いられる第1絶縁層と、を備える、電池の筐体を提供する。
【0006】
従って、本願の実施例における電池は、隔離部材に第1絶縁層が設けられることで、圧力放出領域を密封して電気室と収集室を隔離することができ、下方の収集室に密封失敗が発生するとしても、該第1絶縁層によって上方の電気室を密封することを確保でき、それによって圧力放出機構を保護し、圧力放出機構の安全性を向上させ、例えば、収集室内の物質や粒子が圧力放出機構を破壊したり影響したりしないことを確保でき、それによって電池セルの熱暴走が発生していないとき、圧力放出機構は簡単に破壊されることがなく、また、電池セルの熱暴走が発生するとき、圧力放出機構が作動し、排出される高温排出物は該第1絶縁層を破壊させることができ、それによって該第1絶縁層は熱暴走が発生している電池セルが排出物を排出することに影響することがなく、排気及び放熱をタイムリーに行うことができ、さらに電池の安全性を向上させる。
【0007】
いくつかの実施例では、前記圧力放出領域は前記隔離部材を貫通する第1貫通孔である。
【0008】
隔離部材に第1貫通孔が圧力放出領域として設けられるとき、圧力放出機構が作動した後、排出される排出物は該貫通孔をより迅速かつスムーズに通過して電気室から排出することができる。該第1貫通孔が第1絶縁層で密封されるとしても、該第1絶縁層は圧力放出機構の作動後に迅速に破壊でき、該第1貫通孔から排出物を排出することに影響することがない。
【0009】
いくつかの実施例では、前記第1絶縁層は前記隔離部材の前記第1壁に近接する表面に設けられる。
【0010】
第1壁と隔離部材との間は、圧力放出機構及び圧力放出領域が位置する領域を除き、接着剤によって接続することができ、接着剤は一定の厚さを有し、すなわち、第1壁と隔離部材との間に一定の距離があり、この場合、第1絶縁層が隔離部材の第1壁に近接する表面に設けられることで、空間を別途追加する必要がなく、電池セルと隔離部材との間の取り付けに影響することがない。
【0011】
いくつかの実施例では、前記第1絶縁層は前記隔離部材の前記第1壁から離れる表面に設けられる。
【0012】
圧力放出機構の作動時に圧力放出機構は十分な変形空間を有する必要があることを考慮に入れ、従って、第1絶縁層は隔離部材の第1壁から離れる表面に設けられることで、該圧力放出機構から該第1絶縁層までの空間を増加させ、圧力放出機構に十分な変形空間を提供し、該圧力放出機構の変形への影響を防止することができる。
【0013】
いくつかの実施例では、前記第1絶縁層は、前記圧力放出機構の作動時に溶融して前記排出物を前記圧力放出領域を経由して前記電気室から排出することに用いられる。
【0014】
電池セルの熱暴走が発生するときに温度が高いことを考慮に入れ、従って、第1絶縁層は感温材料で設けられることで、圧力放出機構の作動時、第1絶縁層は迅速に溶融でき、排出物を圧力放出領域を経由して電気室からタイムリーに排出する。
【0015】
いくつかの実施例では、前記第1絶縁層の面積は前記圧力放出機構の面積よりも大きい。
【0016】
第1絶縁層の面積が圧力放出機構の面積に等しく、第1絶縁層と圧力放出機構が互いに対応して設けられることで、該圧力放出機構を完全に保護することができ、一方、第1絶縁層の面積が圧力放出機構の面積よりも大きいことで、該第1絶縁層の信頼性を確保するとともに、第1絶縁層に存在する可能性がある寸法公差などの問題を解決することができる。
【0017】
いくつかの実施例では、前記隔離部材に流路が設けられ、前記流路は流体を収容して前記電池セルの温度を調整することに用いられる。
【0018】
いくつかの実施例では、前記流路は前記圧力放出機構の作動時に破壊されて前記流体を前記流路の内部から排出することに用いられる。
【0019】
いくつかの実施例では、前記流路の第2壁に第2貫通孔が設けられ、前記第2壁は前記第1壁にアタッチされ、前記筐体は、前記第2貫通孔を密封することに用いられ、前記圧力放出機構の作動時に溶融して前記流体を前記第2貫通孔から前記電池セルへ流出することに用いられる第2絶縁層をさらに備える。
【0020】
本願の実施例における流路に第2貫通孔が設けられ、第2絶縁層によって該第2貫通孔を密封することで、該流路は密閉であり、流体を収容することができ、電池セルの熱暴走が発生するとき、電池セルの温度が高くなり、該第2絶縁層を溶融させることができ、流路内の流体を第2貫通孔から流出することができ、すなわち、流路が破壊可能であることを確保し、さらに流出した流体は直接電池セルを降温させることができ、また、該流体が圧力放出領域まで流れるとき、電池セルの排出物を降温させて熱拡散阻止の目的を達成することもできる。
【0021】
いくつかの実施例では、前記流路に複数の前記第2貫通孔が設けられ、複数の前記第2貫通孔は複数の前記電池セルに1対1で対応する。このように、いずれか1つの電池セルに熱暴走が発生するとき、対応する第2貫通孔内から流体を排出して降温を行う。
【0022】
いくつかの実施例では、前記第2壁に凹溝が設けられ、前記凹溝の底壁に前記第2貫通孔が設けられ、前記凹溝の開口は前記第1壁を向いており、前記第2絶縁層は前記凹溝内に充填される。
【0023】
第2絶縁層が凹溝内に充填されることで、該第2絶縁層と第2壁との接触面積を増加させ、該第2絶縁層の安定性及び信頼性を向上させることができる。
【0024】
いくつかの実施例では、前記第2絶縁層は前記凹溝の底壁の前記第1壁から離れる表面で前記第2貫通孔を被覆する。
【0025】
このように、第2絶縁層と第2貫通孔とはリベット締めによって固定され、該第2絶縁層の安定性を向上させることができる。
【0026】
いくつかの実施例では、前記第2絶縁層の前記第1壁に近接する表面と前記第2壁の前記第1壁に近接する表面は面一である。
【0027】
このように、該隔離部材の第1壁に近接する表面は相対的に平坦であり、該隔離部材の上方に設けられるほかの部材の取り付けに影響することがなく、例えば、電池セルの取り付けに影響することがない。
【0028】
いくつかの実施例では、前記第2絶縁層の前記第1壁に近接する表面は前記第2壁の前記第1壁に近接する表面よりも突出している。
【0029】
このように該第2絶縁層と第2壁との接触面積を増加させることができ、流路内の流体が流出し難いことを確保し、該第2絶縁層の密封性及び信頼性を向上させることができる。
【0030】
いくつかの実施例では、前記第2貫通孔の面積は200mm2以下である。
【0031】
第2貫通孔の面積が大きすぎるように設定されると、流体の流出が速すぎ、流路内の流体の総量が限られるため、降温効果を損なってしまう。
【0032】
第2態様によれば、第1態様における筐体と、前記筐体内に収容される複数の電池セルとを備え、前記電池セルの第1壁に圧力放出機構が設けられ、前記圧力放出機構は前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達すると、前記内部圧力を放出するように作動することに用いられる、電池を提供する。
【0033】
第3態様によれば、電力消費機器に電力を供給することに用いられる第2態様における電池を備える、電力消費機器を提供する。
【0034】
いくつかの実施例では、前記電力消費機器は車両、船舶又は宇宙機である。
【0035】
第4態様によれば、複数の電池セルを提供するステップと、筐体を提供するステップと、を含み、筐体を提供する前記ステップは、複数の前記電池セルを収容することに用いられ、前記電池セルの第1壁に圧力放出機構が設けられ、前記圧力放出機構は前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達すると、前記内部圧力を放出するように作動することに用いられる電気室を提供するステップと、前記圧力放出機構の作動時に前記電池セルからの排出物を収集することに用いられる収集室を提供するステップと、前記電気室と前記収集室を隔離することに用いられ、前記圧力放出機構に対応する圧力放出領域が設けられ、前記圧力放出領域は前記圧力放出機構の作動時に前記排出物を前記電気室から排出することに用いられる隔離部材を提供するステップと、前記圧力放出領域を密封して前記圧力放出機構と前記収集室を隔離することに用いられ、前記圧力放出機構の作動時に破壊されて前記排出物を前記圧力放出領域を経由して前記電気室から排出することに用いられる第1絶縁層を提供するステップと、を含む電池の製造方法を提供する。
【0036】
第5態様によれば、前記第4態様における方法を実行するモジュールを備える、電池の製造機器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本願の一実施例に開示されている車両の構造模式図である。
図2】本願の一実施例に開示されている電池の構造模式図である。
図3】本願の一実施例に開示されている電池モジュールの構造模式図である。
図4】本願の一実施例に開示されている電池セルの分解図である。
図5】本願の一実施例に開示されている別の電池の分解構造模式図である。
図6】本願の一実施例に開示されている電池の筐体の模式図である。
図7】本願の一実施例に開示されている収集室の分解模式図である。
図8】本願の一実施例に開示されている別の収集室の分解模式図である。
図9】本願の一実施例に開示されている別の電池の筐体の模式図である。
図10】本願の一実施例に開示されているさらに別の電池の筐体の模式図である。
図11】本願の一実施例に開示されている第1絶縁層及び隔離部材の分解模式図である。
図12】本願の一実施例に開示されている電池セルが筐体内の第2部分に収容されている時の模式的平面図である。
図13図12に示すA-A’方向に沿う断面模式図である。
図14図13に示す領域Bの可能な拡大図である。
図15】本願の一実施例に開示されている第1絶縁層が設けられる隔離部材の平面図である。
図16図13に示す領域Bの別の可能な拡大図である。
図17】本願の一実施例に開示されている第1絶縁層が設けられる別の隔離部材の平面図である。
図18】本願の一実施例に開示されている別の隔離部材の分解模式図である。
図19】本願の一実施例に開示されている隔離部材の平面図である。
図20図19に示すC-C’方向に沿う可能な断面模式図である。
図21図20に示す領域Dの部分拡大図である。
図22図19に示すC-C’方向に沿う別の可能な断面模式図である。
図23図22に示す領域Eの部分拡大図である。
図24図21又は図23において第2絶縁層が設けられていない時の隔離部材の模式図である。
図25図19に示すC-C’方向に沿うさらに別の可能な断面模式図である。
図26図25に示す領域Fの部分拡大図である。
図27図26において第2絶縁層が設けられていない時の隔離部材の模式図である。
図28】本願の一実施例に開示されている電池の製造方法の模式的フローチャートである。
図29】本願の一実施例に開示されている電池の製造機器の模式的ブロック図である。
【0038】
図面では、図面は実際の縮尺で描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例についての詳細説明及び図面は本願の原理を例示的に説明することに用いられるが、本願の範囲を限定するものではなく、すなわち、本願は説明される実施例に限定されない。
【0040】
本願の説明では、説明する必要がある点として、特に断らない限り、「複数」の意味は2つ以上(2つを含む)であり、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語で指示される方位又は位置関係は本願を説明しやすくし説明を簡素化するためのものに過ぎず、係る装置又は素子が必ずしも特定の方位を有したり、特定の方位で構成及び操作されたりすることを指示又は暗示するものではなく、従って、本願を制限しないと理解すべきである。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、相対的な重要性を指示又は暗示するものではなく、説明するためのものに過ぎない。「垂直」は厳密には垂直ではなく、誤差許容範囲内のものである。「平行」は厳密には平行ではなく、誤差許容範囲内のものである。
【0041】
以下の説明に出現する方位語はいずれも図示されている方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、さらに説明する必要がある点として、特に明確な規定及び限定がない限り、「取り付け」、「連結」、及び「接続」のような用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続されるか、又は一体的に接続されてもよく、直接連結されてもよく、中間媒体を介して間接的に連結されてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0042】
本願では、電池セルは一次電池、二次電池を含んでもよく、例えば、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などであってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。電池セルは円筒状、扁平状、直方体又はほかの形状などであってもよく、同様に、本願の実施例はこれを限定しない。電池セルは一般的に、パッケージ方式に従って、円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、同様に、本願の実施例はこれを限定しない。
【0043】
本願の実施例で言及される電池とは、より高い電圧及び容量を提供するように1つ又は複数の電池セルを備える単一の物理モジュールである。例えば、本願で言及される電池は電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。電池パックは、一般的に、1つ又は複数の電池セルをパッケージするための筐体を備える。筐体は、液体や他の異物が電池セルの充電又は放電に影響することを回避することができる。
【0044】
電池セルは電極組立体と電解液を備え、電極組立体は正極板、負極板及び隔膜を備える。電池セルは主に正極板と負極板との間での金属イオンの移動に依存して動作する。正極板は正極集電体及び正極活物質層を備え、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布されている集電体よりも突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極タブとして使用される。リチウムイオン電池を例として、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極板は負極集電体及び負極活物質層を備え、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布されている集電体よりも突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極タブとして使用される。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質はカーボン又はシリコンなどであってもよい。溶断が発生せずに高電流が流れることを確保するために、正極タブは、複数であり、一体に積層され、負極タブは、複数であり、一体に積層される。隔膜の材質はPP又はPEなどであってもよい。また、電極組立体は、巻回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本願の実施例はこれらに限定されない。電池技術の発展は、例えば、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レートなどの性能パラメータのような様々な設計要素を同時に考慮する必要があり、また、さらに電池の安全性を考慮する必要がある。
【0045】
電池の場合、主な安全上の危険は充電及び放電過程由来であり、電池の安全性を向上させるために、電池セルは一般的に圧力放出機構が設けられる。圧力放出機構とは、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達すると、内部圧力又は温度を放出するように作動する素子又は部材である。該所定の閾値は様々な設計需要に応じて調整することができる。前記所定の閾値は、電池セルの正極極板、負極極板、電解液及び隔膜のうちの1つ又は複数の材料に依存し得る。圧力放出機構は、例えば、感圧又は感温素子又は部材を使用してもよく、すなわち、電池セルの内部圧力又は温度が所定の閾値に達すると、圧力放出機構が作動し、それによって内部圧力又は温度を放出できる通路を形成する。
【0046】
本願で言及される「作動」とは、圧力放出機構が動作を発生させて電池セルの内部圧力及び温度を放出することである。圧力放出機構で発生する動作は、圧力放出機構の少なくとも一部の破裂、引き裂き又は溶融などを含んでもよいが、これらに限定されない。圧力放出機構が作動すると、電池セル内部の高温高圧物質は排出物として圧力放出機構から外へ排出される。このようにして、圧力又は温度が制御可能な場合に電池セルに対して圧力放出を行い、それにより潜在的かつより深刻な事故を回避する。
【0047】
本願で言及される電池セル由来の排出物は、電解液、溶解した又は割れた正負極極板、隔膜の破片、反応で生じた高温高圧ガス、炎などを含むが、これらに限定されない。
【0048】
電池セルの圧力放出機構は電池の安全性に重要な影響を与える。例えば、電池セルに短絡、過充電などの現象が発生するとき、電池セルの内部に熱暴走が発生して圧力又は温度が急激に上昇する可能性がある。この場合、圧力放出機構が作動することによって内部圧力及び温度向を外へ放出して電池セルの爆発、発火を防止することができる。
【0049】
従来の圧力放出機構の設計手段では、主に電池セル内部の高圧及び高温を放出すること、すなわち、前記排出物を電池セルの外部に排出することに注目している。しかしながら、電池の出力電圧又は電流を確保するために、通常、互いにバスバー部材を介して電気的に接続される複数の電池セルが必要である。電池セルの内部から排出される排出物は残りの電池セルの短絡現象を引き起こす可能性があり、例えば、排出される金属スクラップが2つのバスバー部材に電気的に接続されると、電池の短絡を引き起こし、従って、安全上のリスクが存在する。また、高温高圧の排出物は電池セルに圧力放出機構を設ける方向へ排出され、より具体的には圧力放出機構が作動する領域を向く方向に沿って排出されてもよく、このような排出物の威力や破壊力は非常に大きい可能性があり、さらに該方向で1つ又は複数の構造を壊し、さらなる安全上の問題を招いてしまう可能性がある。
【0050】
従って、本願の実施例における電池は隔離部材をさらに備えてもよく、該隔離部材を利用して電池セルを収容する電気室と排出物を収集する収集室とを分離し、圧力放出機構の作動時、電池セルの排出物は収集室に入り、電気室に入らないかわずかに入り、それによって電気室内の電気接続部材を導通して短絡が発生することはなく、従って電池の安全性を高めることができる。
【0051】
具体的には、隔離部材は電気室と収集室を隔離して電気室と収集室を隔離部材の両側に設けることに用いられる。選択可能に、本願の実施例における隔離部材は熱管理部材としても機能でき、すなわち、該隔離部材は流体を収容して複数の電池セルの温度を調整することができる。ここでの流体は液体又は気体であってもよく、温度調整とは、複数の電池セルを加熱又は冷却することである。電池セルを冷却又は降温させる場合、該隔離部材は冷却流体を収容して複数の電池セルの温度を低下させることに用いられ、また、隔離部材は加熱して複数の電池セルを昇温させることに用いられてもよく、本願の実施例はこれを限定しない。選択可能に、前記流体は、よりよい温度調整の効果を達成するように循環的に流れてもよい。選択可能に、流体は水、水とエチレングリコールとの混合液又は空気などであり得る。
【0052】
本願で言及される電気室は複数の電池セル及びバスバー部材を収容することに用いられる。電気室は電池セル及びバスバー部材の取り付け空間を提供する。いくつかの実施例では、電気室内には電池セルを固定するための構造がさらに設けられてもよい。電気室の形状は収容される電池セル及びバスバー部材の数及び形状に応じて決められてもよい。いくつかの実施例では、電気室は角形であってもよく、6つの壁を有する。本願で言及されるバスバー部材は複数の電池セル間の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。バスバー部材は電池セルの電極端子に接続されることによって電池セル間の電気的接続を実現してもよい。いくつかの実施例では、バスバー部材は溶接によって電池セルの電極端子に固定されてもよい。
【0053】
本願で言及される収集室は排出物を収集することに用いられる。いくつかの実施例では、前記収集室内には空気、又はほかのガスが含まれてもよい。選択可能に、前記収集室内には、例えば冷却媒体のような液体が含まれるか、又は、収集室に入る排出物をさらに降温させるように該液体を収容する部材が設けられてもよい。さらに選択可能に、収集室内の気体又は液体は循環的に流れている。
【0054】
理解できるように、本願の実施例における隔離部材には圧力放出機構に対応する圧力放出領域が設けられ、例えば、該圧力放出領域は圧力放出孔であってもよく、それによって圧力放出機構が遮蔽されることを回避し、圧力放出機構がスムーズに破壊できることを確保するとともに、電池セル内から排出される排出物を該圧力放出孔によって排出することができ、また、該隔離部材はさらに電池セルを降温させて電池セルの爆発を回避することができる。
【0055】
理解できるように、電池セルは圧力放出機構の壁と隔離部材との間に設けられ、圧力放出領域を除き、通常、接着剤によって電池セルと隔離部材との接続を実現する。例えば、該接着剤は熱伝導接着剤であってもよく、一定の厚さを有し、電池セルの壁を保護することもできる。しかし、電池セルの圧力放出機構領域において対応する隔離部材に圧力放出領域が設けられ、該圧力放出領域は接着剤が設けられず、且つ相対的に脆弱であるか、又は、該圧力放出領域は圧力放出孔であってもよく、この場合、該圧力放出機構は収集室に連通し、電池の長時間使用過程では、深刻な安全上のリスクがある。例えば、電池の使用過程では、電池の振動によって収集室内の物体や粒子は圧力放出孔によって圧力放出機構に影響し、圧力放出機構の故障を引き起こす可能性があり、例えば、圧力放出機構は電池セルの熱暴走が発生していないときに破壊され、電池の寿命に影響する可能性がある。
【0056】
従って、本願の実施例における電池の隔離部材に第1絶縁層が設けられ、該第1絶縁層は圧力放出領域を密封して電気室と収集室を隔離することができ、このように、下方の収集室に密封失敗が発生するとしても、上方の電気室を密封することを確保でき、それによって圧力放出機構を保護し、圧力放出機構の安全性を向上させ、また、電池セルの熱暴走が発生すると圧力放出機構が作動し、排出される高温排出物は該第1絶縁層を破壊でき、それによって該第1絶縁層は熱暴走が発生している電池セルの排気に影響しない。
【0057】
本願の実施例で説明される技術的解決手段はいずれも電池を使用する様々な機器に適用でき、例えば、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、電動自転車、電動玩具、電動工具、電動車両、船舶及び宇宙機などに適用でき、例えば、宇宙機は飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含む。
【0058】
理解できるように、本願の実施例で説明される技術的解決手段は上記説明された機器に適用できるだけでなく、電池を使用するすべての機器にも適用できるが、説明を簡潔にするために、以下の実施例はいずれも電動車両を例として説明される。
【0059】
例えば、図1に示すように、本願の一実施例における車両1の構造模式図であり、車両1は燃料自動車、燃料ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純電気自動車、ハイブリッド自動車又はエクステンデッド・レンジ電気自動車などであってもよい。車両1の内部にモータ40、コントローラ30及び電池10が設けられてもよく、コントローラ30はモータ40に給電するように電池10を制御することに用いられる。例えば、車両1の底部又は前部又は尾部に電池10が設けられてもよい。電池10は車両1の給電に用いられてもよく、例えば、電池10は車両1の操作電源として使用されてもよく、車両1の回路システムに用いられ、例えば、車両1の始動、ナビゲーション及び運転時の動作電力需要に用いられる。本願の別の実施例では、電池10は車両1の操作電源として使用できるだけでなく、車両1の駆動電源として使用でき、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供する。
【0060】
様々な電力使用需要を満たすために、電池は複数の電池セルを備えてもよく、複数の電池セル同士は直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続とは、直列接続と並列接続との組合せである。電池は電池パックとも呼ばれ得る。選択可能に、まず、複数の電池セルを直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを構成し、次に複数の電池モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池を構成するようにしてもよい。つまり、複数の電池セルは直接電池を構成してもよく、まず、電池モジュールを構成し、次に、電池モジュールから電池を構成するようにしてもよい。
【0061】
例えば、図2は本願の一実施例における電池10の構造模式図を示す、電池10は少なくとも1つの電池モジュール200を備えてもよい。電池モジュール200は複数の電池セル20を備える。電池10は筐体11をさらに備えてもよく、筐体11の内部は中空構造であり、複数の電池セル20は筐体11内に収容される。図2は本願の実施例における筐体11の可能な実現形態を示し、図2に示すように、筐体11は2つの部分を備えてもよく、ここでは、それぞれ第1部分111及び第2部分112と呼ばれ、第1部分111と第2部分112は一体に係合される。第1部分111及び第2部分112の形状は電池モジュール200を組み合わせた後の形状に応じて決められてもよく、第1部分111及び第2部分112のうちの少なくとも一方は1つの開口を有する。例えば、図2に示すように、該第1部分111及び第2部分112はいずれも中空の直方体であり、且つそれぞれ1つのみの面が開口面であり、第1部分111の開口と第2部分112の開口は対向して設けられ、第1部分111と第2部分112は相互に係合して密閉チャンバーを有する筐体11を形成するようにしてもよい。
【0062】
さらに例えば、図2に示すものと異なるように、第1部分111及び第2部分112のうちの一方のみは開口を有する中空の直方体であり、他方は開口を覆うように板状である。例えば、ここでは、第2部分112は中空の直方体で且つ1つのみの面が開口面であり、第1部分111は板状であることを例とすると、第1部分111は第2部分112の開口を覆って閉鎖チャンバーを有する筐体11を形成し、該チャンバーは複数の電池セル20を収容することに用いられ得る。複数の電池セル20は相互に並列接続又は直列接続又は直並列接続して組み合わせられた後、第1部分111と第2部分112を係合することで形成された筐体11内に収容される。
【0063】
選択可能に、電池10はほかの構造をさらに備えてもよく、ここでは詳細説明を省略する。例えば、該電池10はバスバー部材をさらに備えてもよく、バスバー部材は複数の電池セル20間の電気的接続、例えば並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現することに用いられる。具体的には、バスバー部材は電池セル20の電極端子に接続されることによって電池セル20間の電気的接続を実現してもよい。さらに、バスバー部材は溶接によって電池セル20の電極端子に固定されてもよい。複数の電池セル20の電力はさらに導電機構によって筐体11を通過して導出されてもよい。
【0064】
様々な電力需要に応じて、電池モジュール200の電池セル20の数は任意の数値に設定されてもよい。複数の電池セル20は直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続されて大きな容量又は電力を実現することができる。各電池10に備えられる電池セル20の数が多い可能性があるため、取り付けを容易にするために、電池セル20をグループ分けして設置し、各グループの電池セル20は電池モジュール200を構成する。電池モジュール200に備えられる電池セル20の数について限定せず、需要に応じて設定することができる。例えば、図3は電池モジュール200の一例である。電池10は複数の電池モジュール200を備えてもよく、これらの電池モジュール200は直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続されてもよい。
【0065】
図4は本願の一実施例における電池セル20の構造模式図であり、電池セル20は、1つ又は複数の電極組立体22、ハウジング211及びカバープレート212を備える。ハウジング211とカバープレート212はケーシング21を形成する。ハウジング211の壁及びカバープレート212はいずれも電池セル20の壁と呼ばれる。ハウジング211は1つ又は複数の電極組立体22を組み合わせた後の形状に応じて決められ、例えば、ハウジング211は中空の直方体又は立方体又は円筒状であってもよく、且つハウジング211の1つの面は1つ又は複数の電極組立体22をハウジング211内に簡単に収容できるように開口を有する。例えば、ハウジング211が中空の直方体又は立方体である場合、ハウジング211の1つの平面は開口面であり、すなわち、該平面は壁がないことでハウジング211の内外部を連通させる。ハウジング211が中空の円筒状であり得る場合、ハウジング211の端面は開口面であり、すなわち、該端面は壁体がないことでハウジング211の内外部を連通させる。カバープレート212は開口をカバーし且つハウジング211に接続されることで、電極組立体22を収容する密閉チャンバーを形成する。ハウジング211内に、例えば電解液のような電解質が充填されている。
【0066】
該電池セル20は2つの電極端子214をさらに備えてもよく、2つの電極端子214はカバープレート212に設けられてもよい。カバープレート212は通常、平板形状であり、2つの電極端子214はカバープレート212の平板面に固定され、2つの電極端子214はそれぞれ第1電極端子214aと第2電極端子214bである。2つの電極端子214の極性は反対である。例えば、第1電極端子214aは正電極端子である場合、第2電極端子214bは負電極端子である。各電極端子214にそれぞれ1つの接続部材23が対応して設けられ、接続部材23はカバープレート212と電極組立体22との間に位置し、電極組立体22と電極端子214との電気的接続を実現することに用いられる。
【0067】
図4に示すように、各電極組立体22は第1タブ221aと第2タブ222aとを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は反対である。例えば、第1タブ221aは正極タブである場合、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極組立体22の第1タブ221aは1つの接続部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極組立体22の第2タブ222aはもう1つの接続部材23を介してもう1つの電極端子に接続される。例えば、正電極端子214aは1つの接続部材23を介して正極タブに接続され、負電極端子214bはもう1つの接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0068】
該電池セル20では、実際の使用需要に応じて、電極組立体22は1つ又は複数設けられてもよく、図4に示すように、電池セル20内には4つの独立した電極組立体22が設けられる。
【0069】
図4に示すように、電池セル20の1つの壁に圧力放出機構213がさらに設けられてもよく、例えば、電池セル20の第1壁21aに圧力放出機構213が設けられ、該第1壁21aはハウジング211のいずれか1つの壁であってもよい。具体的には、ここでは、第1壁21aがハウジング211の底壁であることを例として、該ハウジング211の底壁は開口と対向する壁(図4には図示せず)である。
【0070】
選択可能に、該第1壁21aはハウジング211と分離して設けられてもよく、すなわち、ハウジング211の底側に開口を有し、第1壁21aは底側の開口をカバーし且つハウジング211に接続され、接続方式は溶接又は接着などであり得る。代替可能に、第1壁21aとハウジング211は一体式構造であり得る。圧力放出機構213は電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達すると、内部圧力又は温度を放出するように作動することに用いられる。
【0071】
該圧力放出機構213は第1壁21aの一部であってもよく、第1壁21aとは別体の構造であってもよく、例えば、溶接によって第1壁21aに固定される。圧力放出機構213が第1壁21aの一部である場合、例えば、圧力放出機構213は第1壁21aに切り欠きを設けることによって形成されてもよく、第1壁21aの該切り欠きでの厚さは切り欠きを除くほかの領域の厚さ未満である。切り欠きは圧力放出機構213の最も脆弱な位置である。電池セル20に生じたガスが多すぎてハウジング211の内部圧力が上昇し且つ閾値に達するか、又は電池セル20の内部で反応して熱を発生させて電池セル20の内部温度が上昇し且つ閾値に達すると、圧力放出機構213は切り欠きで破裂してハウジング211の内外部を連通させ、ガス圧力及び温度が圧力放出機構213の破裂によって外部へ放出され、それにより電池セル20の爆発が回避される。
【0072】
選択可能に、本願の一実施例では、図4に示すように、圧力放出機構213が電池セル20の第1壁21aに設けられる場合、電池セル20の第2壁に電極端子214が設けられ、第2壁は、第1壁21aとは異なる。
【0073】
選択可能に、第2壁と第1壁21aは対向して設けられる。例えば、第1壁21aは電池セル20の底壁、第2壁は電池セル20のカバープレート212であり得る。
【0074】
圧力放出機構213と電極端子214が電池セル20の異なる壁に設けられることで、圧力放出機構213が作動するとき、電池セル20の排出物をさらに電極端子214から遠くすることができ、それによって電極端子214及びバスバー部材に対する排出物の影響を減少させ、従って電池10の安全性を高めることができる。
【0075】
さらに、電極端子214が電池セル20のカバープレート212に設けられる場合、圧力放出機構213が電池セル20の底壁に設けられることで、圧力放出機構213が作動するとき、電池セル20の排出物を電池10の底部に排出することができる。このように、一方では、電池10の底部の熱管理部材を使用して排出物の危険性を低減させることができ、他方では、電池10が車両内に設けられるとき、電池10の底部が通常乗員から遠いことで、乗員への害を低減させることができる。
【0076】
圧力放出機構213は様々な可能な圧力放出構造であってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。例えば、圧力放出機構213は感温圧力放出機構であってもよく、感温圧力放出機構は、圧力放出機構213を設けた電池セル20の内部温度が閾値に達すると溶融できるように構成され、及び/又は、圧力放出機構213は感圧圧力放出機構であってもよく、感圧圧力放出機構は、圧力放出機構213を設けた電池セル20の内部気圧が閾値に達すると破裂できるように構成される。
【0077】
電池セル20の温度を調整するために、電池セル20の下方に熱管理部材が設けられてもよい。具体的には、該熱管理部材は流体を収容して電池セル20の温度を調整することに用いられ得、圧力放出機構213が作動するとき、該熱管理部材は圧力放出機構213を設けた電池セル20からの排出物を降温させることができる。
【0078】
選択可能に、該熱管理部材に圧力放出領域がさらに設けられてもよく、例えば、該圧力放出領域は圧力放出孔であってもよく、このように、圧力放出機構213が作動するとき、圧力放出機構213は開放して電池セル20内の排出物を排出し、該排出物はさらに圧力放出孔によって熱管理部材を通過して排出されてもよい。
【0079】
理解できるように、電池セル20は圧力放出機構213の壁と熱管理部材との間に設けられ、圧力放出領域を除き、通常、接着剤によって電池セル20と熱管理部材との接続を実現する。例えば、該接着剤は熱伝導接着剤であってもよく、一定の厚さを有し、電池セル20の壁を保護することもできる。しかし、電池セル20の圧力放出機構213に対応する位置において、隔離部材に圧力放出領域が設けられ、該圧力放出領域は接着剤が設けられず、且つ相対的に脆弱であるか、又は、該圧力放出領域は圧力放出孔であってもよく、この場合、該圧力放出機構213は外部に連通し、電池10の長時間使用過程では、深刻な安全上のリスクがある。例えば、電池10の使用過程では、電池10の振動によって、元々熱管理部材の外部にある物体や粒子が圧力放出孔によって圧力放出機構213に影響し、圧力放出機構213の故障を引き起こす可能性があり、例えば、圧力放出機構213は電池セル20の熱暴走が発生していないときに破壊され、電池10の寿命に影響する可能性がある。
【0080】
従って、本願の実施例は電池10を提供し、上記問題を解決することができる。
【0081】
図5は本願の実施例における電池10の別の分解模式図を示す。図5に示すように、該電池10は、複数の電池セル20を収容することに用いられ、電池セル20の第1壁21aに圧力放出機構213が設けられ、圧力放出機構213は電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達すると、内部圧力を放出するように作動することに用いられる電気室11aと、圧力放出機構213の作動時に電池セル20からの排出物を収集することに用いられる収集室11bと、電気室11aと収集室11bを隔離することに用いられ、圧力放出機構213に対応する圧力放出領域131が設けられ、圧力放出領域131は圧力放出機構213の作動時に排出物を電気室11aから排出することに用いられる隔離部材13と、圧力放出領域131を密封して圧力放出機構213と収集室11bを隔離することに用いられ、圧力放出機構213の作動時に破壊されて排出物を圧力放出領域131を経由して電気室11aから排出することに用いられる第1絶縁層14と、を備える。
【0082】
従って、本願の実施例における電池10は、隔離部材13に第1絶縁層14が設けられることで、圧力放出領域131を密封して電気室11aと収集室11bを隔離することができ、下方の収集室11bに密封失敗が発生するとしても、該第1絶縁層14によって上方の電気室11aを密封することを確保でき、それによって圧力放出機構213を保護し、圧力放出機構213の安全性を向上させ、例えば、収集室11b内の物質や粒子が圧力放出機構213を破壊したり影響したりしないことを確保でき、それによって電池セル20の熱暴走が発生していないとき、圧力放出機構213は簡単に破壊されることがなく、また、電池セル20の熱暴走が発生するとき、圧力放出機構213が作動し、排出される高温排出物は該第1絶縁層14を破壊させることができ、それによって該第1絶縁層14は熱暴走が発生している電池セル20が排出物を排出することに影響することがなく、排気及び放熱をタイムリーに行うことができ、さらに電池10の安全性を向上させる。
【0083】
理解できるように、本願の実施例における電池10は電気室11a及び収集室11bを備えてもよい。以下、図面を参照しながら電気室11a、収集室11b及び隔離部材13を設けた電池10を詳細に説明する。
【0084】
図6は本願の一実施例における電池10の筐体11の模式図である。図6に示すように、本願の実施例における筐体11は電気室11a、収集室11b及び隔離部材13を備えてもよい。隔離部材13は電気室11aと収集室11bを隔離することに用いられる。ここでは、いわゆる「隔離」とは、分離であり、密閉又は非密閉であってもよい。
【0085】
電気室11aは複数の電池セル20を収容することに用いられ、選択可能に、電気室11aはさらに、複数の電池セル20間の電気的接続を実現するようにバスバー部材12を収容することに用いられてもよい。電気室11aは電池セル20及びバスバー部材12の収納空間を提供し、電気室11aの形状は複数の電池セル20及びバスバー部材12に応じて決められてもよい。
【0086】
バスバー部材12は複数の電池セル20の電気的接続を実現することに用いられる。バスバー部材12は電池セル20の電極端子214に接続されることで電池セル20間の電気的接続を実現してもよい。
【0087】
複数の電池セル20のうちの少なくとも1つの電池セル20は圧力放出機構213を備えてもよく、例えば、該圧力放出機構213は電池セル20の第1壁21aに設けられてもよく、図6において該第1壁21aが電池セル20の底壁であることを例として説明を行う。圧力放出機構213は圧力放出機構213を設けた電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達すると、内部圧力又は温度を放出するように作動することに用いられる。
【0088】
説明の便宜上、以下の圧力放出機構213についての関連説明に係る電池セル20は圧力放出機構213を設けた電池セル20である。例えば、電池セル20は図4における電池セル20であり得る。
【0089】
収集室11bは、圧力放出機構213の作動時に圧力放出機構213を設けた電池セル20からの排出物を収集することに用いられる。
【0090】
本願の実施例では、隔離部材13を使用して電気室11aと収集室11bを隔離する。つまり、複数の電池セル20及びバスバー部材12を収容する電気室11aと排出物を収集する収集室11bは分離して設けられる。このように、圧力放出機構213の作動時、電池セル20の排出物は収集室11bに入り、電気室11aに入らないかわずかに入り、それによって電気室11aにおける電気的接続に影響せず、従って、電池の安全性を高めることができる。
【0091】
選択可能に、本願の一実施例では、隔離部材13は電気室11aと収集室11bによって共有される壁を有する。図6に示すように、隔離部材13は同時に電気室11aの1つの壁及び収集室11bの1つの壁としてもよい。つまり、隔離部材13(又はその一部)は直接電気室11aと収集室11bによって共有される壁としてもよく、このように、電池セル20の排出物は隔離部材13を通過して収集室11bに入ることが可能であり、また、隔離部材13が存在することで、該排出物を電気室11aからできるだけ隔離することができ、それによって排出物の危険性を低減させ、電池の安全性を高める。
【0092】
理解できるように、本願の実施例における電池10の筐体11は様々な実現形態を有してもよく、対応して、筐体11に備えられる電気室11a及び収集室11bは様々な実現形態を有してもよい。選択可能に、本願の一実施例では、電気室11aは開口を有するカバー及び隔離部材13から形成されてもよい。例えば、図7は本願の実施例における電気室11aの分解模式図を示してもよく、図7に示すように、筐体11は開口を有するカバー110(例えば、図7におけるカバー110の下側は開口である)を備えてもよい。開口を有するカバー110は半密閉チャンバーであり、外部に連通する開口を有し、隔離部材13は該開口を覆って、チャンバー、すなわち電気室11aを形成する。
【0093】
選択可能に、カバー110は複数の部分からなってもよく、例えば、図8は本願の実施例における電気室11aの別の分解模式図を示し、カバー110は第1部分111及び第2部分112を備えてもよい。第2部分112の両側にそれぞれ開口を有し、すなわち第2部分112は周壁のみを有し、第1部分111は第2部分112の一方側の開口を覆い、隔離部材13は第2部分112の他方側の開口を覆い、それにより電気室11aが形成される。
【0094】
図8の実施例は図2をもとに改良することで得られるものである。具体的に言えば、図2における第2部分112の底壁を隔離部材13で置換し、隔離部材13を電気室11aの1つの壁とすることによって、図8における電気室11aを形成するようにしてもよい。換言すれば、図2における第2部分112の底壁を除去し、すなわち、両側が開口する環状壁を形成し、第1部分111と隔離部材13はそれぞれ第2部分112の両側の開口を覆って、チャンバー、すなわち電気室11aを形成するようにしてもよい。
【0095】
選択可能に、本願の一実施例では、収集室11bは隔離部材13及び保護部材113から形成されてもよい。例えば、図9は本願の実施例における筐体11の模式図を示し、図9における電気室11aは図7に示す電気室11aであり、図10は本願の実施例における筐体11の別の模式図を示し、図10における電気室11aは図8に示す電気室11aである。図9及び図10に示すように、筐体11は保護部材113をさらに備える。保護部材113は隔離部材13を保護することに用いられ、且つ、保護部材113と隔離部材13は収集室11bを形成する。
【0096】
保護部材113と隔離部材13によって形成される収集室11bは、電池セルを収容可能な空間を占有せず、従って、空間が大きい収集室11bを設けることができ、それによって排出物を効果的に収集及び緩衝し、その危険性を低減させることができる。
【0097】
選択可能に、本願の一実施例では、収集室11b内には、例えば冷却媒体のような流体がさらに設けられるか、又は、該流体を収容する部材がさらに設けられるようにしてもよく、それによって収集室11b内に入る排出物をさらに降温させる。
【0098】
選択可能に、本願の一実施例では、収集室11bは筐体11の外部に対して密閉チャンバーであってもよい。例えば、保護部材113と隔離部材13との接続部は密封部材によって密封されてもよい。
【0099】
選択可能に、本願の一実施例では、収集室11bは筐体11の外部に対して非密閉チャンバーであってもよい。例えば、収集室11bは外気に連通してもよく、このように、一部の排出物はさらに筐体11の外部に排出されてもよい。
【0100】
上記実施例では、隔離部材13はカバー110の開口を覆って電気室11aを形成し、隔離部材13と保護部材113は収集室11bを形成する。選択可能に、保護部材113を別途に設ける必要がなく、隔離部材13は直接密閉筐体11を仕切って電気室11aと収集室11bを形成するようにしてもよい。
【0101】
例えば、本願の一実施例では、図8を例として、カバー110は第1部分111及び第2部分112を備えてもよく、第1部分111及び第2部分112はいずれも一側に開口を有するキャビティ構造であり、それぞれ半密閉構造を形成することができる。隔離部材13は第2部分112の内部に設けられてもよく、第1部分111は第2部分112の開口を覆う。換言すれば、まず、隔離部材13を半密閉な第2部分112内に設けて収集室11bを形成し、次に、第1部分111で第2部分112の開口を覆って電気室11aを形成するようにしてもよく、このように、図10と比較してわかるように、保護部材113の代わりに第2部分112の底壁を使用して収集室11bを形成するようにしてもよい。
【0102】
以下、図面を参照しながら本願の実施例における隔離部材13及び第1絶縁層14を詳細に説明する。図11は本願の実施例における第1絶縁層14及び隔離部材13の分解模式図を示す。選択可能に、本願の実施例における隔離部材13はさらに熱管理部材として機能でき、すなわち、該隔離部材13は流体を収容して複数の電池セル20の温度を調整することができる。
【0103】
図11に示すように、本願の実施例における隔離部材13は第1熱伝導板133及び第2熱伝導板134を備えてもよく、該第1熱伝導板133は第2熱伝導板134と電池セル20の第1壁21aとの間に設けられ、且つ第1熱伝導板133は第1壁21aにアタッチされ、該第1熱伝導板133の上面は電池セル20の第1壁21aにアタッチされ、第1熱伝導板133と第2熱伝導板134は接続される。
【0104】
理解できるように、本願の実施例では、該第1熱伝導板133の上面が電池セル20の第1壁21aにアタッチされることは、該第1熱伝導板133の上面が接着剤によって第1壁21aに接触して該第1熱伝導板133の上面と電池セル20の第1壁21aとの接続及び熱交換を実現することを含んでもよく、該接着剤は熱伝導接着剤又はほかの物質であり得る。
【0105】
理解できるように、本願の実施例における隔離部材13に圧力放出領域131が設けられる。例えば、該圧力放出領域131は貫通孔又は凹溝であり得る。図11に示すように、該圧力放出領域131は隔離部材13を貫通する第1貫通孔131であることを例とする場合、それぞれ第1熱伝導板133及び第2熱伝導板134には位置が相互に対応する貫通孔が設けられ、それにより第1貫通孔131が形成され、すなわち、該第1貫通孔131はそれぞれ該第1熱伝導板133及び第2熱伝導板134を貫通する。隔離部材13に第1貫通孔131が設けられる場合、圧力放出機構213が作動すると、排出される排出物はより迅速かつスムーズに該貫通孔を通過して電気室11aから排出できる。
【0106】
又は、図11に示すものと異なるように、本願の実施例における圧力放出領域131は凹溝であってもよく、且つ様々な方式によって凹溝を設けて圧力放出領域131を形成してもよい。例えば、第1熱伝導板133及び第2熱伝導板134には開口方向が一致する凹溝を設けて圧力放出領域131を形成してもよく、該凹溝の開口は電池セル20の圧力放出機構213を向く。さらに例えば、第1熱伝導板133には貫通孔を設けるが、第2熱伝導板134の対応する位置には開口が第1熱伝導板133を向く凹溝を設けて圧力放出領域131を形成してもよく、本願の実施例はこれに限定されない。隔離部材13に凹溝が圧力放出領域131として設けられる場合、隔離部材13が破壊されていないとき、電気室11aと収集室11bは相対的に密閉であり、圧力放出機構213はより安定する。
【0107】
説明の便宜上、以下、圧力放出領域131が第1貫通孔131であることを例として説明を行う。例えば、本願の実施例における第1絶縁層14は隔離部材13の圧力放出領域131を密封することに用いられ、すなわち、第1絶縁層14は第1貫通孔131を密封することに用いられてもよい。
【0108】
選択可能に、本願の実施例における第1絶縁層14は、該第1貫通孔131を密封するように第1貫通孔131のいずれかの横断面に設けられてもよい。具体的には、図12は本願の実施例における電池セル20が筐体11内の第2部分112に収容されている時の模式的平面図であり、図13図12に示すA-A’方向の断面図であり、図13において圧力放出機構213及び第1貫通孔131を備える領域Bについて、図14は該領域Bの可能な部分拡大図を示し、図15図14に対応する第1絶縁層14が設けられる隔離部材13の平面図であり、図16は領域Bの別の可能な部分拡大図を示し、図17図16に対応する第1絶縁層14が設けられる隔離部材13の平面図である。
【0109】
図14及び図15に示すように、本願の実施例における第1絶縁層14は隔離部材13の第1壁21aに近接する表面に設けられてもよく、すなわち、該第1絶縁層14は第1貫通孔131の圧力放出機構213に近接する一端に設けられてもよい。図14に示すように、第1壁21aと第1熱伝導板133との間は、圧力放出機構213及び第1貫通孔131が位置する領域を除き、接着剤によって接続することができ、接着剤は一定の厚さを有し、すなわち、第1壁21aと第1熱伝導板133との間に一定の距離があり、この場合、第1絶縁層14が第1熱伝導板133の表面に設けられることで、空間を別途追加する必要がなく、電池セル20と隔離部材13との間の取り付けに影響することがない。
【0110】
図16及び図17に示すように、本願の実施例における第1絶縁層14はさらに隔離部材13の第1壁21aから離れる表面に設けられてもよく、すなわち、第1絶縁層14は第1貫通孔131の圧力放出機構213から離れる一端に設けられてもよい。図16に示すように、圧力放出機構213の作動時に圧力放出機構213は十分な変形空間を有する必要があることを考慮に入れ、従って、第1絶縁層14は第2熱伝導板134の表面に設けられることで、該圧力放出機構213から該第1絶縁層14までの空間を増加させ、圧力放出機構213に十分な変形空間を提供し、該圧力放出機構213の変形への影響を防止することができる。
【0111】
理解できるように、上記図面はそれぞれ第1絶縁層14が第1熱伝導板133及び第2熱伝導板133に設けられる場合を示し、又は、圧力放出機構213の安全性を向上させるようにようい、図14図16を組み合わせて同時に第1貫通孔131の両端にそれぞれ1つの第1絶縁層14を設けてもよい。また、圧力放出領域131が凹溝である場合、第1貫通孔131の場合とは異なり、第1絶縁層14は通常、該凹溝の開口に設けられ、例えば、該凹溝の開口は圧力放出機構213を向くか又は圧力放出機構213とは反対側を向くようにしてもよく、第1絶縁層14は凹溝の開口を被覆してもよく、それによって該凹溝をもとに密封効果を向上させ、さらに圧力放出機構213を保護する。
【0112】
理解できるように、本願の実施例における第1絶縁層14の寸法は実際の応用に応じて設定されてもよい。例えば、第1絶縁層14の面積を圧力放出機構213の面積に等しく設定し、且つ第1絶縁層14と圧力放出機構213は対向して設けられるようにしてもよく、それによって該第1絶縁層14は該圧力放出機構213を完全に保護することができ、しかし、該第1絶縁層14の信頼性及び寸法公差を考慮に入れる場合、通常、第1絶縁層14の面積を圧力放出機構213の面積よりも大きく設定し、例えば、圧力放出機構213の面積よりも50%大きく設定してもよく、それによって該第1絶縁層14の信頼性を確保する。
【0113】
理解できるように、熱暴走が発生している電池セル20の排気に影響しないため、圧力放出機構213の作動時、本願の実施例における第1絶縁層14は破壊でき、電池セル20の排出物を圧力放出領域131を経由して排出することができる。電池セル20の熱暴走が発生するときに温度が高いことを考慮に入れ、従って、第1絶縁層14は感温材料で設けられてもよく、すなわち、該第1絶縁層14は圧力放出機構213の作動時に迅速に溶融でき、排出物を圧力放出領域131を経由して電気室11aから排出する。
【0114】
理解できるように、電池セル20の熱暴走が発生するとき、排出される排出物の温度は通常500℃以上であることを考慮に入れ、従って、第1絶縁層14の融点は500℃以下である必要があり、例えば、該第1絶縁層14がスムーズかつ迅速に溶融できることを確保するために、融点が300℃以下の材料を第1絶縁層14として選択することができる。
【0115】
具体的には、該第1絶縁層14は相変化材料で設けられてもよく、低融点金属又は低融点合金などであってもよいが、本願の実施例はこれに限定されない。例えば、該第1絶縁層14の材料は、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl chloride、PVC)、ポリエチレン(polyethene、PE)、ゴム、絶縁処理済みの錫及びガリウムアルミニウム合金のうちの少なくとも1種であってもよい。
【0116】
理解できるように、本願の実施例における第1絶縁層14は様々な方式によって該第1貫通孔131を密封することができる。例えば、該第1絶縁層14は接着剤によって該隔離部材13に貼り付けられるか、又は、該第1絶縁層14は熱成形の方式によって該隔離部材13に設けられるようにしてもよく、本願の実施例はこれを限定しない。
【0117】
選択可能に、本願の実施例における隔離部材13は熱管理部材13としても機能でき、すなわち、該隔離部材13は流体を収容して複数の電池セル20の温度を調整することができる。具体的には、図11図17に示すように、本願の実施例における隔離部材13に流路132がさらに設けられてもよく、該流路132は流体を収容して複数の電池セル20の温度を調整することに用いられ、また、圧力放出機構213の作動時、電池セル20は圧力放出機構213によって排出される排出物で流路132を破壊でき、流路134内の流体を排出し、それによって排出物を降温させる。
【0118】
理解できるように、本願の実施例における流路132は第1熱伝導板133及び/又は第2熱伝導板134に凹溝が設けられることで形成されてもよい。具体的には、第2熱伝導板134に凹溝が設けられることを例として、図11図17に示すように、該第2熱伝導板134には開口が第1熱伝導板133を向く凹溝が設けられ、第1熱伝導板133と第2熱伝導板134が密着して設けられる場合、該第1熱伝導板133は該凹溝の開口を覆い、それによって中空構造を形成し、該中空構造は流路132である。
【0119】
選択可能に、本願の実施例における流路132の形状、寸法及び位置はいずれも実際の応用に応じて柔軟に設定されてもよい。例えば、図11及び図17における流路132はいずれも長尺状に設けられ、且つ隔離部材13の異なる位置に設けられる複数の流路132の形状及び寸法は同じであってもよいが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0120】
圧力放出機構213を通過する排出物が該隔離部材13の第1貫通孔131によって排出されることを考慮に入れ、隔離部材13内の流体が排出物をよりよく降温させるために、又は、さらに、隔離部材13を排出物で破壊しやすくして内部の流体をスムーズに排出するために、隔離部材13の流路132は通常、第1貫通孔131の周囲に設けられ、該第1貫通孔131を通過するより多くの排出物を直接流路132に接触させて流路132内の流体で降温させ、さらに、排出物が流路132に接触するときに流路132を大面積で破壊し、流路132内のより多くの流体をスムーズに排出することができる。
【0121】
さらに、流路132内の流体は熱暴走が発生している電池セル20をよりよく降温させることができるために、流路132に貫通孔が設けられ、さらに絶縁材料で該貫通孔を密封するようにしてもよく、それによって電池セル20の熱暴走が発生するとき、該絶縁材料は流路132のほかの領域よりも破壊され易く、流路132内の流体をタイムリーに排出でき、電池セル20を降温させる。具体的には、図18は本願の実施例における隔離部材13のさらに別の分解模式図を示し、図19は隔離部材13の平面図である。図18に示すように、流路132の第2壁に第2貫通孔1321がさらに設けられてもよく、第2壁は第1壁21aにアタッチされ、例えば、該第2壁は第1熱伝導板133であってもよく、すなわち、第1熱伝導板133の流路132に対応する位置に第2貫通孔1321が設けられ、図19に示すように、該電池10は、第2貫通孔1321を密封することに用いられる第2絶縁層1322を備えてもよく、第2絶縁層1322は圧力放出機構213の作動時に溶融して流体を第2貫通孔1321から電池セル20へ流出することに用いられる。
【0122】
従って、本願の実施例における流路132に第2貫通孔1321が設けられ、第2絶縁層1322によって該第2貫通孔1321を密封することで、該流路132は密閉であり、流体を収容することができ、電池セル20の熱暴走が発生するとき、電池セル20の温度が高くなり、該第2絶縁層1322を溶融させることができ、流路132内の流体を第2貫通孔1321から流出することができ、すなわち、流路132が破壊可能であることを確保し、さらに流出した流体は直接電池セル20を降温させることができ、また、該流体が圧力放出領域131まで流れるとき、電池セル20の排出物を降温させて熱拡散阻止の目的を達成することもできる。
【0123】
理解できるように、本願の実施例における第2貫通孔1321の位置、寸法、形状及び数は実際の応用に応じて設定されてもよい。例えば、電池セル20の位置に応じて第2貫通孔1321の位置を合理的に設定してもよく、それによって流体は第2貫通孔1321から流出した後、電池セル20を効果的に降温させることができる。例えば、各流路132に複数の第2貫通孔1321が設けられてもよく、複数の第2貫通孔1321は複数の電池セル20に1対1で対応し、同様に、各電池セル20に第2絶縁層1322が対応して設けられることで、いずれか1つの電池セル20に熱暴走が発生するとき、対応する第2貫通孔1321内から流体を排出して降温を行うことができる。さらに例えば、各電池セル20に複数の第2貫通孔1321及び第2絶縁層1322が設けられてもよく、図18及び図19を例として、各電池セル20に2つの第2貫通孔1321及び対応する第2絶縁層1322が設けられてもよく、且つこれら2つの第2貫通孔1321は圧力放出領域131に対して対称的であり、このように、2つの第2貫通孔1321は電池セル20の圧力放出機構213を設けた第1壁21aに位置合わせして、熱暴走が発生している電池セル20をタイムリーかつ効果的に降温させることができる。さらに例えば、第2貫通孔1321の面積も合理的に設定する必要があり、大きすぎるように設定されると、流体の流出は速すぎ、流路132内の流体の総量が限られるため、降温効果を損なってしまい、従って、該第2貫通孔1321の面積は通常、200mm2以下に設定される。
【0124】
選択可能に、本願の実施例における第2絶縁層1322は様々な方式によって該第2貫通孔1321を密封することができ、例えば、該第2絶縁層1322は接着剤によって該隔離部材13に貼り付けられるか、又は、該第2絶縁層1322は熱成形の方式によって該隔離部材13に設けられるようにしてもよく、本願の実施例はこれを限定しない。
【0125】
以下、熱成形の方式を例として、本願の実施例において該第2絶縁層1322を隔離部材13に設けるいくつかの方式を説明する。
【0126】
図20図19における方向C-C’に沿う可能な断面模式図であり、図21図20における領域Dの部分拡大図であり、図22図19における方向C-C’に沿う別の可能な断面模式図であり、図23図22における領域Eの部分拡大図であり、図24図21及び図23において第2絶縁層1322が設けられていない隔離部材13の模式図である。
【0127】
図20図24に示すように、流路132の第2壁に凹溝1331が設けられてもよく、すなわち、第1熱伝導板133の流路132の位置に凹溝1331が設けられ、該凹溝1331の底壁に第2貫通孔1321が設けられ、凹溝1331の開口は第1壁21aを向いており、第2絶縁層1322は凹溝1331内に充填されることで、該第2絶縁層1322と第1熱伝導板133との接触面積を増加させ、該第2絶縁層1322の安定性及び信頼性を向上させる。
【0128】
選択可能に、図21における方式によって該第2絶縁層1322が設けられてもよく、すなわち、該第2絶縁層1322の第2熱伝導板132を向く表面は凹溝1331の底壁の第2熱伝導板132を向く表面と面一であってもよく、又は、図23に示す方式によって該第2絶縁層1322が設けられてもよく、すなわち、第2絶縁層1322は凹溝1331の底壁の第1壁21aから離れる表面で第2貫通孔1321を被覆することで、第2絶縁層1322と凹溝1331をリベット締めの方式によって固定し、該第2絶縁層1322の安定性及び信頼性を向上させることができる。
【0129】
図25図19における方向C-C’に沿うさらに別の可能な断面模式図であり、図26図25における領域Fの部分拡大図であり、図27図26において第2絶縁層1322が設けられていない隔離部材13の模式図である。図25図27に示すように、凹溝1331を設けず、該第2絶縁層1322は直接第2貫通孔1321内に設けられてもよい。
【0130】
選択可能に、第2絶縁層1322の第1壁21aに近接する表面について、上記いずれの設置方式を使用しても第2絶縁層1322の第1壁21aに近接する表面を第2壁の第1壁21aに近接する表面と面一にすることができ、例えば、図21及び図23に示すように、このように、該隔離部材13の第1壁21aに近接する表面は相対的に平坦であり、該隔離部材13の上方に設けられるほかの部材の取り付けに影響せず、例えば、電池セル20の取り付けに影響することがない。
【0131】
又は、さらに第2絶縁層1322の第1壁21aに近接する表面は第2壁の第1壁21aに近接する表面よりも突出するように設けられてもよく、例えば、図26に示すように、このように、該第2絶縁層1322と第1熱伝導板133との接触面積を増加させ、流路132内の流体が流出し難いことを確保し、該第2絶縁層1322の密封性及び信頼性を向上させることができる。
【0132】
第1絶縁層14と類似し、電池セル20の熱暴走が発生するとき、排出される排出物の温度は通常500℃以上であることを考慮に入れ、従って、第2絶縁層1322の融点は500℃以下である必要があり、例えば、該第2絶縁層1322がスムーズかつ迅速に溶融できることを確保するために、融点が300℃以下の材料を第2絶縁層1322として選択することができる。具体的には、第2絶縁層1322は相変化材料で設けられてもよいか、又は低融点金属又は低融点合金などであってもよく、簡潔にするために、ここでは詳細説明を省略する。
【0133】
従って、本願の実施例における電池10は、隔離部材13に第1絶縁層14が設けられることで、圧力放出領域131を密封して電気室11aと収集室11bを隔離することができ、下方の収集室11bに密封失敗が発生するとしても、該第1絶縁層14によって上方の電気室11aを密封することを確保でき、それによって圧力放出機構213を保護し、圧力放出機構213の安全性を向上させ、例えば、収集室11b内の物質や粒子が圧力放出機構213を破壊したり影響したりしないことを確保でき、それによって電池セル20の熱暴走が発生していないとき、圧力放出機構213は簡単に破壊されることがなく、また、電池セル20の熱暴走が発生するとき、圧力放出機構213が作動し、排出される高温排出物は該第1絶縁層14を破壊させることができ、それによって該第1絶縁層14は熱暴走が発生している電池セル20が排出物を排出することに影響することがなく、排気及び放熱をタイムリーに行うことができ、さらに電池10の安全性を向上させる。
【0134】
また、本願の実施例における隔離部材13には、流体を収容する流路132がさらに設けられてもよく、該流体は電池セル20の温度を調整することに用いられ得る。本願の実施例における流路132に第2貫通孔1321が設けられ、第2絶縁層1322によって該第2貫通孔1321を密封することで、該流路132は密閉であり、流体を収容することができ、電池セル20の熱暴走が発生するとき、電池セル20の温度が高くなり、該第2絶縁層1322を溶融させることができ、流路132内の流体を第2貫通孔1321から流出することができ、すなわち、流路132が破壊可能であることを確保し、さらに流出した流体は直接電池セル20を降温させることができ、また、該流体が圧力放出領域131まで流れるとき、電池セル20の排出物を降温させて熱拡散阻止の目的を達成することもできる。
【0135】
以上、本願の実施例における電池及び電力消費機器を説明したが、以下、本願の実施例における電池の製造方法及び機器を説明し、詳細に説明されていない部分について、上記各実施例を参照することができる。
【0136】
図28は本願の一実施例における電池の製造方法300の模式的フローチャートを示す。図28に示すように、該方法300は、S310、複数の電池セル20を提供するステップと、S320、筐体を提供するステップと、を含み、筐体を提供する前記ステップは、具体的には、複数の前記電池セル20を収容することに用いられ、前記電池セル20の第1壁21aに圧力放出機構213が設けられ、前記圧力放出機構213は前記電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達すると、前記内部圧力を放出するように作動することに用いられる電気室11aを提供するステップと、前記圧力放出機構213の作動時に前記電池セル20からの排出物を収集することに用いられる収集室11bを提供するステップと、前記電気室11aと前記収集室11bを隔離することに用いられ、前記圧力放出機構213に対応する圧力放出領域131が設けられ、前記圧力放出領域131は前記圧力放出機構213の作動時に前記排出物を前記電気室11aから排出することに用いられる隔離部材13を提供するステップと、前記圧力放出領域131を密封して前記圧力放出機構213と前記収集室11bを隔離することに用いられ、前記圧力放出機構213の作動時に破壊されて前記排出物を前記圧力放出領域131を経由して前記電気室11aから排出することに用いられる第1絶縁層14を提供するステップと、を含む。
【0137】
図29は本願の一実施例における電池の製造機器400の模式的ブロック図を示す。図29に示すように、該機器400は提供モジュール410を備えてもよい。該提供モジュール410は、複数の電池セル20を提供すること、及び筐体11を提供することに用いられ、前記提供モジュール410はさらに、複数の前記電池セル20を収容することに用いられ、前記電池セル20の第1壁21aに圧力放出機構213が設けられ、前記圧力放出機構213は前記電池セル20の内部圧力又は温度が閾値に達すると、前記内部圧力を放出するように作動することに用いられる電気室11aを提供すること、前記圧力放出機構213の作動時に前記電池セル20からの排出物を収集することに用いられる収集室11bを提供すること、前記電気室11aと前記収集室11bを隔離することに用いられ、前記圧力放出機構213に対応する圧力放出領域131が設けられ、前記圧力放出領域131は前記圧力放出機構213の作動時に前記排出物を前記電気室11aから排出することに用いられる隔離部材13を提供すること、及び、前記圧力放出領域131を密封して前記圧力放出機構213と前記収集室11bを隔離することに用いられ、前記圧力放出機構213の作動時に破壊されて前記排出物を前記圧力放出領域131を経由して前記電気室11aから排出することに用いられる第1絶縁層14を提供することに用いられる。
【0138】
好適実施例を参照しながら本願を説明したが、本願の範囲を逸脱せずに種々の改良を行ったりその部材を同等物で置換したりすることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及される各技術的特徴を任意に組み合わせることができる。本願は明細書に開示されている特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に属するすべての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0139】
1 車両
10 電池
11 筐体
12 バスバー部材
13 隔離部材
14 第1絶縁層
20 電池セル
21 ケーシング
22 電極組立体
23 接続部材
30 コントローラ
40 モータ
110 カバー
111 第1部分
112 第2部分
113 保護部材
131 圧力放出領域
132 流路
133 第1熱伝導板
134 第2熱伝導板
200 電池モジュール
211 ハウジング
212 カバープレート
213 圧力放出機構
214 電極端子
214a 正電極端子
214b 負電極端子
221 第1タブ
222 第2タブ
400 電池の製造機器
410 提供モジュール
1321 第2貫通孔
1322 第2絶縁層
1331 凹溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【手続補正書】
【提出日】2022-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の筐体であって、
複数の電池セを収容することに用いられ、前記電池セの第1に圧力放出機が設けられ、前記圧力放出機は前記電池セの内部圧力又は温度が閾値に達すると、前記内部圧力を放出するように作動することに用いられる電気と、
前記圧力放出機の作動時に前記電池セからの排出物を収集することに用いられる収集と、
前記電気と前記収集を隔離することに用いられ、前記圧力放出機に対応する圧力放出領が設けられ、前記圧力放出領は前記圧力放出機の作動時に前記排出物を前記電気から排出することに用いられる隔離部と、
前記圧力放出領を密封して前記圧力放出機と前記収集を隔離することに用いられ、前記圧力放出機の作動時に破壊されて前記排出物を前記圧力放出領を経由して前記電気から排出することに用いられる第1絶縁と、を備える電池の筐体。
【請求項2】
前記圧力放出領は前記隔離部を貫通する第1貫通孔である請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記第1絶縁は前記隔離部の前記第1に近接する表面に設けられ、及び/又は、
前記第1絶縁は前記隔離部の前記第1から離れる表面に設けられる請求項1又は2に記載の筐体。
【請求項4】
前記第1絶縁は、前記圧力放出機の作動時に溶融して前記排出物を前記圧力放出領を経由して前記電気から排出することに用いられる請求項1~3のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項5】
前記第1絶縁の面積は前記圧力放出機の面積よりも大きい請求項1~4のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項6】
前記隔離部に流が設けられ、前記流は流体を収容して前記電池セの温度を調整することに用いられる請求項1~5のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項7】
前記流は前記圧力放出機の作動時に破壊されて前記流体を前記流の内部から排出することに用いられる請求項6に記載の筐体。
【請求項8】
前記流の第2壁に第2貫通が設けられ、前記第2壁は前記第1にアタッチされ、前記筐体は、
前記第2貫通を密封することに用いられ、前記圧力放出機の作動時に溶融して前記流体を前記第2貫通から前記電池セへ流出することに用いられる第2絶縁をさらに備える請求項7に記載の筐体。
【請求項9】
前記流に複数の前記第2貫通が設けられ、複数の前記第2貫通は複数の前記電池セに1対1で対応する請求項8に記載の筐体。
【請求項10】
前記第2壁に凹が設けられ、前記凹の底壁に前記第2貫通が設けられ、前記凹の開口は前記第1を向いており、前記第2絶縁は前記凹内に充填される請求項8又は9に記載の筐体。
【請求項11】
前記第2絶縁は前記凹の底壁の前記第1から離れる表面で前記第2貫通を被覆する請求項10に記載の筐体。
【請求項12】
前記第2絶縁の前記第1に近接する表面と前記第2壁の前記第1に近接する表面は面一である請求項8~11のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項13】
前記第2絶縁の前記第1に近接する表面は前記第2壁の前記第1に近接する表面よりも突出している請求項8~11のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項14】
前記第2貫通の面積は200mm2以下である請求項8~13のいずれか一項に記載の筐体。
【請求項15】
電池であって、
請求項1~14のいずれか一項に記載の筐体と、
前記筐体内に収容される複数の電池セと、を備え、前記電池セの第1に圧力放出機が設けられ、前記圧力放出機は前記電池セの内部圧力又は温度が閾値に達すると、前記内部圧力を放出するように作動することに用いられる電池。
【請求項16】
電力消費機器であって、前記電力消費機器に電力を供給することに用いられる請求項15に記載の電池を備える電力消費機器。
【請求項17】
電池の製造方法であって、
複数の電池セを提供するステップと、
筐体を提供するステップと、を含み、
筐体を提供する前記ステップは、
複数の前記電池セを収容することに用いられ、前記電池セの第1に圧力放出機が設けられ、前記圧力放出機は前記電池セの内部圧力又は温度が閾値に達すると、前記内部圧力を放出するように作動することに用いられる電気を提供するステップと、
前記圧力放出機の作動時に前記電池セからの排出物を収集することに用いられる収集を提供するステップと、
前記電気と前記収集を隔離することに用いられ、前記圧力放出機に対応する圧力放出領が設けられ、前記圧力放出領は前記圧力放出機の作動時に前記排出物を前記電気から排出することに用いられる隔離部を提供するステップと、
前記圧力放出領を密封して前記圧力放出機と前記収集を隔離することに用いられ、前記圧力放出機の作動時に破壊されて前記排出物を前記圧力放出領を経由して前記電気から排出することに用いられる第1絶縁を提供するステップと、を含む、電池の製造方法。
【請求項18】
電池の製造機器であって、提供モジュールを備え、前記提供モジュールは、
複数の電池セを提供すること、及び
筐体を提供することに用いられ、
前記提供モジュールはさらに、
複数の前記電池セを収容することに用いられ、前記電池セの第1に圧力放出機が設けられ、前記圧力放出機は前記電池セの内部圧力又は温度が閾値に達すると、前記内部圧力を放出するように作動することに用いられる電気を提供すること、
前記圧力放出機の作動時に前記電池セからの排出物を収集することに用いられる収集を提供すること、
前記電気と前記収集を隔離することに用いられ、前記圧力放出機に対応する圧力放出領が設けられ、前記圧力放出領は前記圧力放出機の作動時に前記排出物を前記電気から排出することに用いられる隔離部を提供すること、及び
前記圧力放出領を密封して前記圧力放出機と前記収集を隔離することに用いられ、前記圧力放出機の作動時に破壊されて前記排出物を前記圧力放出領を経由して前記電気から排出することに用いられる第1絶縁を提供することに用いられる、電池の製造機器。
【国際調査報告】