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特表2023-547753風特性を考慮したゴルフ用距離推薦装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】風特性を考慮したゴルフ用距離推薦装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 57/00 20150101AFI20231107BHJP
【FI】
A63B57/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574131
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 KR2021003475
(87)【国際公開番号】W WO2022085876
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0136639
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522466120
【氏名又は名称】アールエンドス シーオー.,エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン,キュ シック
(57)【要約】
本発明の実施形態によれば、ゴルフ用距離推薦装置が、風特性を考慮して推薦距離を提供するための方法であって、現在位置からターゲットまでの直線距離、ターゲットまでの傾斜度を含む測定情報に基づいて、風の影響を考慮していないターゲットまでの水平距離、垂直距離、及びショットの推薦距離を計算するステップと、風向及び風速情報に基づいて前記水平距離に対する水平距離補正値を計算するステップと、風向及び風速情報に基づいて、予め設定された着地角度に対する調整着地角度を計算するステップと、前記調整着地角度及び前記垂直距離に基づいて追加距離補正値を算出し、算出された追加距離補正値と前記水平距離補正値とを合算して、最終推薦距離を算出するステップと、を含む、推薦距離提供方法が提供される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ用距離推薦装置が、風特性を考慮して推薦距離を提供するための方法であって、
現在位置からターゲットまでの直線距離、ターゲットまでの傾斜度を含む測定情報に基づいて、風の影響を考慮していないターゲットまでの水平距離、垂直距離、及びショットの推薦距離を計算するステップと、
風向及び風速情報に基づいて前記水平距離に対する水平距離補正値を計算するステップと、
風向及び風速情報に基づいて、予め設定された着地角度に対する調整着地角度を計算するステップと、
前記調整着地角度及び前記垂直距離に基づいて追加距離補正値を算出し、算出された追加距離補正値と前記水平距離補正値とを合算して、最終推薦距離を算出するステップと、を含む、推薦距離提供方法。
【請求項2】
前記水平距離補正値を計算するステップは、
ターゲット方向を基準とする風向に応じて異なって適用される第1料率を算出するステップと、
風速に比例し、水平距離に反比例し、前記第1料率に比例する第2料率を算出するステップと、
前記水平距離と前記第2料率との積を前記水平距離に加算又は減算して前記水平距離補正値を取得するステップと、を含む、請求項1に記載の推薦距離提供方法。
【請求項3】
前記第2料率は、後ろ風の場合よりも前風の場合にさらに高く算出されるように係数が適用された値である、請求項2に記載の推薦距離提供方法。
【請求項4】
前記調整着地角度を計算するステップは、
風速に比例し、前記予め設定された着地角度に反比例し、前記第1料率に比例する着地角度補正値を算出するステップと、
前記予め設定された着地角度に前記着地角度補正値を加算又は減算して前記調整着地角度を取得するステップと、を含む、請求項2に記載の推薦距離提供方法。
【請求項5】
前記着地角度補正値は、後ろ風の場合よりも前風の場合にさらに高く算出されるように係数が適用された値である、請求項4に記載の推薦距離提供方法。
【請求項6】
風向及び風速を測定する風特性測定部と;
現在位置からターゲットまでの直線距離、ターゲットまでの傾斜度を含む測定情報に基づいて、風の影響を考慮していないターゲットまでの水平距離、垂直距離、及びショットの推薦距離を計算する距離測定部と;
風向及び風速情報に基づいて前記水平距離に対する水平距離補正値を計算し、風向及び風速情報に基づいて、予め設定された着地角度に対する調整着地角度を計算した後、前記調整着地角度及び前記垂直距離に基づいて追加距離補正値を算出し、算出された追加距離補正値と前記水平距離補正値とを合算して、最終推薦距離を算出する風影響反映部と;を含む、ゴルフ用距離推薦装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風特性を考慮したゴルフ用距離推薦装置に係り、装置自体で測定した風特性を考慮して、ターゲットまでの推薦距離情報を生成するゴルフ用距離推薦装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、スクリーンゴルフ場や室内ゴルフ練習場などのゴルフ施設が増加するにつれて、韓国でもゴルフが大衆的なスポーツの一つとして次第に発展している。特に、ゴルフ人口が増加しつつ、フィールドでラウンドするゴルファー達も多く増えている。
【0003】
フィールドでラウンドするゴルファーが良いショットを打つためには、様々な要素を考慮しなければならないが、その中で最も重要な要素は、ゴルフボールの位置からピンまでの距離を含む距離情報、及び現在フィールドに吹いている風の強さと方向を含む気象情報である。つまり、それぞれのコースに配置されたバンカー、ウォーターハザード又はグリーンに至る距離を正確に知れば、それに合ったクラブを選択することができ、現在フィールドに吹いている風の風向及び風速を知れば、それを考慮して強弱及び方向を調節して精巧なショットを打つことができる。
【0004】
従来技術によるゴルフ距離測定方法は、2つに大別されるが、一つはレーザーを用いた距離測定方法であり、もう一つはGPSを用いた距離測定方法である。レーザーを用いた距離測定方法は、目標物に向けてレーザーを発信し、発信されたレーザーの一部が目標物に反射されて戻ってくる時間を測定することにより、測定された時間にレーザーの速度を乗じて目標物までの距離を測定する方式である。このようなレーザー距離測定方法は、レーザーが反射されて戻ってくる時間を正確に感知することにより、目標物までの距離を非常に正確に測定することができるという利点があるのに対し、200yard以上の遠距離で使用する場合、レーザー装備を把持した手の微細な振れにより、レーザーを正確に目標物に照準することが難しいため、ティーグラウンドでは使用し難いという問題がある。
【0005】
一方、GPS(Global Positioning System)を用いた距離測定方法は、航海データ及びPRNコード(Pseudo-Random-Noise code、擬似雑音符号)をGPS受信機によって受信し、GPS受信機からそれぞれの衛星までの距離を算出する方法で行われる。このとき、GPS受信機を通じて算出された距離情報を用いて三角測量すれば、3次元上の座標を決定することができるが、そこからGPS受信機の緯度、経度及び高度を得ることができる。このようなGPSを用いた距離測定方法は、地球上のどの位置でも該当座標を知ることができるという利点があるが、GPSで測定された座標の誤差範囲が、広くは数メートルに達することができるため、グリーン周辺でのピッチショットやチップショットなどの精巧なアプローチショットが求められる状況ではその活用度が少ないという問題がある。
【0006】
一方、フィールドでは、気象特性、特に風に関連する特性(風速及び風向)がショットに多くの影響を及ぼす。
【0007】
現在では、上述したゴルフ用距離測定器自体で測定した風特性、又は外部サーバーから受信される風特性をユーザーが確認することができる形で知らせる技術が全てである。
【0008】
ゴルファーは、レーザー又はGPSを介してターゲットまでの距離を確認することはできるが、風の影響を自ら考慮しなければならないため、高度な熟練者でなければ正確なショットの強度を決定することが非常に困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述した従来技術の問題点を解決するためのものである。
本発明の目的は、風の特性を反映してゴルフ用推薦距離を提供することにより、ゴルファーの立場で容易なショット距離設定が可能となるようにすることにある。
本発明の目的は、上述した目的に限定されず、上述していない別の目的は、以降の記載から明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の一実施形態によれば、ゴルフ用距離推薦装置が、風特性を考慮して推薦距離を提供するための方法であって、現在位置からターゲットまでの直線距離、ターゲットまでの傾斜度を含む測定情報に基づいて、風の影響を考慮していないターゲットまでの水平距離、垂直距離、及びショットの推薦距離を計算するステップと、風向及び風速情報に基づいて前記水平距離に対する水平距離補正値を計算するステップと、風向及び風速情報に基づいて、予め設定された着地角度(landing angle)に対する調整着地角度を計算するステップと、前記調整着地角度及び前記垂直距離に基づいて追加距離補正値を算出し、算出された追加距離補正値と前記水平距離補正値とを合算して、最終推薦距離を算出するステップと、を含む、推薦距離提供方法が提供される。
【0011】
前記水平距離補正値を計算するステップは、ターゲット方向を基準とする風向に応じて異なって適用される第1料率を算出するステップと、風速に比例し、水平距離に反比例し、前記第1料率に比例する第2料率を算出するステップと、前記水平距離と前記第2料率との積を前記水平距離に加算又は減算して前記水平距離補正値を取得するステップと、を含むことができる。
【0012】
前記第2料率は、後ろ風の場合よりも前風の場合にさらに高く算出されるように係数が適用された値であり得る。
【0013】
前記調整着地角度を計算するステップは、風速に比例し、前記予め設定された着地角度に反比例し、前記第1料率に比例する着地角度補正値を算出するステップと、前記予め設定された着地角度に前記着地角度補正値を加算又は減算して前記調整着地角度を取得するステップと、を含むことができる。
【0014】
前記着地角度補正値は、後ろ風の場合よりも前風の場合にさらに高く算出されるように係数が適用された値であり得る。
【0015】
本発明の他の実施形態によれば、風向及び風速を測定する風特性測定部と;現在位置からターゲットまでの直線距離、ターゲットまでの傾斜度を含む測定情報に基づいて、風の影響を考慮していないターゲットまでの水平距離、垂直距離、及びショットの推薦距離を計算する距離測定部と;風向及び風速情報に基づいて前記水平距離に対する水平距離補正値を計算し、風向及び風速情報に基づいて、予め設定された着地角度に対する調整着地角度を計算した後、前記調整着地角度及び前記垂直距離に基づいて追加距離補正値を算出し、算出された追加距離補正値と前記水平距離補正値とを合算して、最終推薦距離を算出する風影響反映部と;を含む、ゴルフ用距離推薦装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態によれば、風の特性を反映してゴルフ用推薦距離を提供するので、ゴルファーの立場では容易なショット距離設定が可能になることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態によるゴルフ用距離推薦装置の構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による風特性測定部の動作を説明するための構成図である。
図3】本発明の一実施形態による距離推薦装置の内部構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態による風の特性を考慮していない状態で推薦距離を算出する方法を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態による風速を説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態によって提供される情報を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
後述する本発明についての詳細な説明は、本発明が実施できる特定の実施形態を例示として図示する添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施し得るのに十分であるように詳細に説明される。本発明の様々な実施形態は、互いに異なるが、相互に排他的である必要はないことが理解されるべきである。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造及び特性は、一実施形態に関連して本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の実施形態で実現できる。また、それぞれの開示された実施形態内の個別構成要素の位置又は配置は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変更できることが理解されるべきである。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味で取ろうとするものではなく、本発明の範囲は、適切に説明されれば、それらの請求項が主張するのと均等な全ての範囲と共に添付の請求の範囲によってのみ限定される。図中の同様の参照符号は、様々な側面にわたって同一又は類似の機能を指す。
【0019】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施し得るようにするために、本発明の好適な実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるゴルフ用距離推薦装置の構成を示す図である。
図1を参照すると、距離推薦装置100の少なくとも一部に風特性測定部110が装着されていることができる。
【0021】
図1には、距離推薦装置100の一例として、外部又は被写体からの光を受光する第1対物レンズL1と、距離推薦装置100から発光したレーザーがターゲットに反射されると、反射されたレーザーを受光する第2対物レンズL2と、ゴルファーが肉眼で被写体を確認し得るようにする接眼レンズL3と、を含むレーザー距離測定器が示されているが、本発明の実施形態によれば、GPS方式の距離測定器又はその他の装置に置き換えられてもよい。
【0022】
すなわち、どの種類の装置であるかに拘らず、以下で説明する風特性測定部110が装着されていれば、本発明の範囲に属すると理解されるべきである。
【0023】
図1に示されている距離推薦装置100においては、風特性測定部110が第1対物レンズL1と第2対物レンズL2との間に装着されることができる。
【0024】
一方、距離推薦装置100には、風特性測定部110を活性化させるボタン120が備えられることができる。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態による風特性測定部の動作を説明するための構成図である。
図2を参照すると、距離推薦装置100に装着される風特性測定部110は、複数の音声受信部M1、M2、M3、例えばマイクを含んで構成できる。
【0026】
図2には、3つの音声受信部M1、M2、M3が備えられることが示されているが、複数の音声受信部が含まれれば足りる。
【0027】
複数の音声受信部M1、M2、M3それぞれの中心と風特性測定部110の中心との距離は、全て同一に配置される。また、隣接する音声受信部M1、M2、M3の中心間距離も全て同一に配置されることが好ましい。
【0028】
それぞれの音声受信部M1、M2、M3は、空気の不連続面により発生する気流騒音を受信することができる。このために、それぞれの音声受信部M1、M2、M3は、空気の不連続面を形成する構成要素、例えば、吸引案内具をさらに含むことができる。風が吹くと、不連続面によって空気が散乱して部分的な気圧変化が生じ、この気圧変化は音圧を形成して気流騒音を発生するが、音声受信部M1、M2、M3の吸入案内具は、空気の散乱及び空気の流れを引き起こすための形で製作できる。音声受信部M1、M2、M3によって受信された騒音は、A/Dコンバータによってデジタル信号に変換され、風音に該当する周波数帯域のみを通過させるフィルターによってフィルタリングされることができる。
【0029】
風速は、ソフトウェア的な方法で算出されるが、前記複数の音声受信部M1、M2、M3によって受信され、変換及びフィルタリングされた信号のレベルに基づいて風速値を算出することができる。
【0030】
また、風向もソフトウェア的な方法で算出されることができるが、風特性測定部110の中心を基準に、各方位角に均一に配置された複数の音声受信部M1、M2、M3によって収集された騒音信号のレベル間の比率によって現在の風向を判断することができる。
例えば、図2に示されているような形態で各音声受信部M1、M2、M3で音声信号が受信された場合であれば、第2音声受信部M2で風切音が最も大きく形成され、第3音声受信部M3で風切音が最も小さく形成される方向に風が吹くことを確認することができる。
本発明の一実施形態によれば、上述したような方法で測定される風特性、すなわち、風向と風速データがゴルフ用距離推薦情報の生成に反映されることができる。
【0031】
以下、図3を参照して、一実施形態によるゴルフ用距離推薦情報提供方法について説明する。
図3は、本発明の一実施形態による距離推薦装置の内部構成を示すブロック図である。
【0032】
図3を参照すると、一実施形態による距離推薦装置100は、風特性測定部110、ボタン120、ユーザー入力情報受信部130、距離測定部140、風影響反映部150、及び表示部160を含んで構成できる。
【0033】
風特性測定部110の一部の動作モジュール、ユーザー入力情報受信部130、距離測定部140及び風影響反映部150は、外部装置と通信可能なプログラムモジュール又はハードウェアであり得る。このようなプログラムモジュール又はハードウェアは、オペレーティングシステム、アプリケーションモジュール、及びその他のプログラムモジュールの形で距離推薦装置100又はこれと通信可能な他の装置に含まれることができ、物理的には様々な公知の記憶装置上に保存されることができる。一方、このようなプログラムモジュール又はハードウェアは、本発明によって後述する特定の業務を行うか、或いは特定の抽象データ類型を実行するルーチン、サブルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを包括するが、これらに限定されない。
【0034】
風特性測定部110は、前記図2を参照して説明したような方式によって現在の風特性、すなわち、風向及び風速を測定する機能を行う。このために、風特性測定部110は、複数の音声受信部、A/Dコンバータ、フィルター部などを含んで構成できる。
【0035】
ボタン120は、図1を参照して説明したように、ゴルファーによって作動したときに風特性測定部110をオン/オフにする機能を行う。
【0036】
ユーザー入力情報受信部130は、距離推薦装置100又はこれと通信可能な別途の装置、例えば、別途スマート機器などから入力される基準情報を受信する機能を行う。ここで、基準情報は、ゴルファーがショットをした後、ゴルフボールが地面に落ちる方向と垂直線との角度、すなわち、着地角度(Landing Angle)を決定するための情報であって、着地角度はゴルフボールをターゲットまで送るためのショットの推薦距離を算出するのに活用される。
【0037】
基準情報は、例えば、ゴルファーごとに7番アイアン7iを用いてショットをしたときにゴルフボールを送ることができる距離であり得る。このような基準情報は、ユーザーによって入力されてもよいが、予め設定されていてもよい(例えば、140m又は150m)。
【0038】
距離測定部140は、ターゲットまでの直線距離、傾斜角度、前記基準情報などを参照して、風の特性を考慮していない状態でゴルフボールをターゲットまで送るためにショットをすべき推薦距離を算出する機能を行う。
【0039】
以下、図4を参照して、距離測定部140が風の特性を考慮していない推薦距離を算出する方法について説明する。
図4を参照すると、まず、距離測定部140は、現在の距離推薦装置100の位置、すなわち、ゴルファーの位置からターゲットTまでの直線距離Aを測定する。例えば、レーザーをターゲットに向けて発信した後、発信されたレーザーの一部がターゲットに反射されて戻ってくる時間を測定して、測定された時間にレーザーの速度を乗じることにより、ターゲットまでの距離を測定することができる。
【0040】
ここでは、このような方式で測定された直線距離Aが170mであると仮定する。
一方、距離測定部140は、現在位置とターゲットの位置との傾斜角度Bを測定することができる。傾斜角度Bの測定のためにジャイロセンサーを含むことができる。測定された傾斜角度Bは、-7°、すなわち距離推薦装置100の位置を基準にターゲットTが下り坂の傾斜で7°の位置に存在すると仮定する。
【0041】
距離測定部140は、前記直線距離Aと傾斜角度Bを参照して、現在位置からターゲットTまでの水平距離X、垂直距離Yを下記数式1及び数式2のように算出することができる。
[式1]

[式2]

垂直距離Yがマイナス(-)であることは、ゴルファーの現在位置からターゲットTが下方向にあることを意味する。
【0042】
一方、距離測定部140は、ゴルフボールをターゲットTまで送るための追加距離Zを下記数式3のように計算する。
[式3]

数式3において、Cは、上述した着地角度であって、ユーザーによって入力又は予め設定された基準情報、すなわち、7番アイアンのショット距離に応じて変わり得る。これは、テーブル形式で保存される情報を用いて抽出できる。例えば、下記表1のように7番アイアンの基準距離別着地角度が予め保存されていてもよい。
【表1】
【0043】
ユーザーが基準情報として150mを入力したと仮定すると、着地角度、すなわち、前記数式3におけるC値は44°となる。したがって、前記追加距離Zは、-20m(=(-20m)・tan(44°))となる。風を考慮していないとき、現在状態で、ユーザーに推薦される距離は、ターゲットTまでの水平距離Xと追加距離Zとの和として算出され、上記の例において、148.7m(=168.7m-20m)が算出できる。
【0044】
再び図3を参照すると、一実施形態による風影響反映部150は、距離測定部140によって算出された推薦距離に風の影響を反映して、最終推薦距離を算出する機能を行う。
まず、風影響反映部150は、現在位置とターゲットTとを結ぶ直線を基準とする風向を計算する。風の絶対的方向は、風特性測定部110によって測定されるので、風影響反映部150は、これにより、前記直線を基準とする風向WDを計算することができる。現在位置からのターゲットTの方向は、距離測定の際に設定されたターゲットTの方向から確認することができる。
【0045】
例えば、図5に示すように、ターゲット方向TDに対して風向WDが0~90°又は271~359°であれば、後ろ風、すなわち、後方から前方に吹く風であり、風向WDが91~270゜であれば、前風、すなわち、前から後ろに吹く風であろう。ここでは、前記風向WDが270°であると仮定する。
【0046】
また、風影響反映部150は、風向に応じて適用される第1料率WERを計算する。ターゲットTの方向を基準とする風向WDが180°以下である場合には、下記数式4に従って前記第1料率WERが算出される。
[式4]

また、前記風向WDが180°超過、359°以下である場合には、下記数式5に従って第1料率WERを算出する。
[式5]
【0047】
前記第1料率WERは、風向WDに応じて風速がゴルフボールに加えられる影響の程度を反映するための変数であって、0以上1以下の値を有し、風向WDが0゜又は180゜である場合には、前記数式4に従って第1料率WERが1となる。すなわち、風向WDがターゲットTの方向と一致するか、或いは完全に逆方向である場合には、風速がそのまま最終推薦距離の算出に反映されるのである。
【0048】
上記の仮定では、風向WDが270°であるため、前記数式5によって、料率WERは0となる。
また、風影響反映部150は、風特性測定部110によって測定される風速WPに応じてターゲットTまでの水平距離Xに及ぼす影響、すなわち、ゴルフボールが空中に留まる間に受ける影響による第2料率WDRを算出する。
【0049】
まず、風向WDが0~90°又は271~359°である場合(後ろ風の場合)、前記第2料率WDRは、下記数式6によって算出されることができる。
[式6]

前記数式6において、k1は、後ろ風係数であり、例えば1.2に設定されることができる。
【0050】
また、風向WDが90~270°である場合(前風の場合)、前記第2料率WDRは、下記数式7によって算出されることができる。
[式7]

前記数式7において、k2は、前風係数であって、例えば2.5に設定されることができる。
【0051】
数式6及び数式7から分かるように、前記第2料率WDRは、風速WPに比例し、水平距離Xに反比例し、後風の場合よりも前風の場合にさらに高く算出されるように設定される。
上述したように風向WDが270°であれば、第1料率WERは0であるので、第2料率WDRも0となる。
【0052】
一方、風影響反映部150は、風の影響による着地角度補正値WAAを算出する。
まず、風向WDが0~90°又は271~359°である場合(後ろ風の場合)、前記着地角度補正値WAAは、下記数式8によって算出されることができる。
[式8]

前記数式6において、k3は、後ろ風係数であって、例えば62に設定されることができる。
【0053】
また、風向WDが90~270°である場合(前風の場合)、前記着地角度補正値WAAは、下記数式9によって算出されることができる。
[式9]

前記数式9において、k4は、前風係数であって、例えば100に設定されることができる。
【0054】
数式6及び数式7から分かるように、前記着地角度補正値WAAは、風速WPに比例し、元の着地角度Cに反比例し、後ろ風の場合より前風の場合にさらに高く算出されるように設定される。
【0055】
前述したように風向WDが270°であれば、第1料率WERは0であるので、着地角度補正値WAAも0となる。
風影響反映部150は、前記着地角度補正値WAAに基づいて、調整着地角度WLAを算出する。
【0056】
風向WDが0~90°又は271~359°である場合(後ろ風の場合)には、着地角度Cに前記着地角度補正値WAAを合算して調整着地角度WLAを算出し、風向WDが90~270°である場合(前風の場合)には、着地角度Cに前記着地角度補正値WAAを減算して調整着地角度WLAを算出する。
【0057】
上記の例において、風向WDが270°であれば、着地角度補正値WAAが0であるので、調整着地角度WLAは依然として44°となる。
風影響反映部150は、前記数式6及び数式7を参照して説明した第2料率WDRに基づいて水平距離Xの補正値Wxを算出する。
【0058】
まず、風向WDが0~90°又は271~359°である場合(後ろ風の場合)、前記水平距離補正値Wxは、下記数式10によって算出される。
[式10]

また、風向WDが90~270゜である場合(前風の場合)、前記水平距離補正値Wxは、下記数式11によって算出されることができる。
[式11]
【0059】
一方、前記調整着地角度WLAに基づいてゴルフボールをターゲットTまで送るための追加距離補正値WADを、下記数式12のように計算する。
[式12]

上記の例において風向が270°である場合、調整着地角度WLAは44°であるので、前記追加距離補正値WADは-20mとなる。
【0060】
風影響反映部150は、最終的に、水平距離補正値Wxと追加距離補正値WADとを合算して、風の影響が反映された最終推薦距離を算出する。上記の例において、水平距離補正値Wxと追加距離補正値WADはそれぞれ168.7m、-20mであるので、最終的な推薦距離は148.7mとなる。
【0061】
測定及び算出された値は、図6に示すように、距離推薦装置100の表示部160、例えばビューファインダを介してユーザーが確認できる形態で表示されることができる。
図6を参照すると、風速、風向、ターゲットまでの直線距離、及び風特性を考慮した最終推薦距離が一緒に表示されることができる。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、風の特性を反映してゴルフ用推薦距離を提供するので、ゴルファーの立場では容易なショット距離設定が可能になることができる。
【0063】
上述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で容易に変形可能であることが理解できるであろう。したがって、上述した実施形態は、あらゆる面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は、分散して実施されてもよく、同様に分散したと説明されている構成要素も組み合わせ形態で実施されてもよい。
【0064】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】