(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】電池セル及びその製造方法と製造システム、電池及び電力使用装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/152 20210101AFI20231107BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/169 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/559 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/159 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/545 20210101ALI20231107BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20231107BHJP
H01M 50/562 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20231107BHJP
H01M 50/179 20210101ALI20231107BHJP
【FI】
H01M50/152
H01M50/531
H01M50/107
H01M50/169
H01M50/536
H01M50/559
H01M50/533
H01M50/342 101
H01M50/119
H01M50/159
H01M50/545
H01M10/04 W
H01M50/562
H01M50/548 201
H01M50/179
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509522
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 CN2021122115
(87)【国際公開番号】W WO2023050289
(87)【国際公開日】2023-04-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】方 ▲クン▼
(72)【発明者】
【氏名】郭 志君
(72)【発明者】
【氏名】金 海族
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H028
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011CC06
5H011DD13
5H012DD05
5H028CC12
5H043AA04
5H043CA03
5H043CA12
5H043HA17D
5H043JA01D
5H043LA21E
(57)【要約】
本出願の実施例は、電池セル及びその製造方法と製造システム、電池及び電力使用装置を提供する。電池セルは、開口を有するケースと、ケース内に収容される電極アセンブリと、カバー本体と凸部とを含むエンドカバーであって、エンドカバーを開口に冠着させるように、カバー本体は凸部の外側に少なくとも部分的に周回され且つケースとレーザ溶接するために用いられるエンドカバーとを含む。エンドカバーの厚さ方向において、凸部はカバー本体の内面から電極アセンブリに向かう方向に沿って突出し、カバー本体とケースを溶接する時にレーザを遮断するために用いられる。エンドカバーの凸部に対応する位置には、カバー本体の外面から電極アセンブリに向かう方向に沿って凹む第1の凹部が形成され、第1の凹部は、カバー本体とケースを溶接する時に応力を逃すために用いられる。本出願は、ケースとエンドカバーを溶接する時に、ケースの内部の部件が焼損されるリスクを低減させるとともに、電池セルのシール性能と安全性能を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルであって、
開口を有するケースと、
前記ケース内に収容される電極アセンブリと、
カバー本体と凸部とを含むエンドカバーであって、前記エンドカバーを前記開口に冠着させるように、前記カバー本体は前記凸部の外側に少なくとも部分的に周回され且つ前記ケースとレーザ溶接するために用いられるエンドカバーとを含み、
前記エンドカバーの厚さ方向において、前記凸部は、前記カバー本体の内面から前記電極アセンブリに向かう方向に沿って突出し、前記カバー本体と前記ケースを溶接する時にレーザを遮断するために用いられ、
前記エンドカバーの前記凸部に対応する位置には、前記カバー本体の外面から前記電極アセンブリに向かう方向に沿って凹む第1の凹部が形成され、前記第1の凹部は、前記カバー本体と前記ケースを溶接する時に応力を逃すために用いられる、電池セル。
【請求項2】
前記ケースは前記開口を周回する外端面を有し、前記ケースの外端面は前記カバー本体の内面に溶接されることにより、前記ケースと前記カバー本体を一体に接続する、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記厚さ方向において、前記第1の凹部の底面は全体的に、前記カバー本体の内面よりも前記電極アセンブリに近い、請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記ケースは側壁を含み、前記側壁は前記厚さ方向に沿って延び且つ前記電極アセンブリの外周を周回して設置され、
前記凸部は前記側壁に向かう遮断面を含み、前記遮断面は、前記厚さ方向に平行し、且つ前記カバー本体の内面から前記電極アセンブリに向かう方向に沿って延びる、請求項1~3のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項5】
前記凸部は前記側壁に向かうガイド面をさらに含み、前記ガイド面は前記遮断面の前記カバー本体の内面から離れる端部に接続され、前記ガイド面は前記遮断面よりも前記側壁と反対する方向に傾斜し、それによって、前記凸部を前記ケース内に挿入するようにガイドする、請求項4に記載の電池セル。
【請求項6】
前記凸部の頂端面と前記第1の凹部の底面との間に接続部が形成され、前記接続部は前記電極アセンブリの第1のタブと溶接するために用いられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記カバー本体は第1の板体と第2の板体とを含み、前記第1の板体は、前記凸部の外側に周回され、且つ前記ケースにレーザ溶接するために用いられ、前記凸部は前記第2の板体の外側に周回される、請求項1~5のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項8】
集電部件をさらに含み、前記集電部件は、前記電極アセンブリの第1のタブと前記エンドカバーを電気的に接続するために用いられる、請求項7に記載の電池セル。
【請求項9】
前記集電部件は第1の集電部と前記第1の集電部に接続される第2の集電部とを含み、前記第1の集電部は、前記第1のタブを接続することにより前記集電部件と前記第1のタブを電気的に接続するために用いられ、前記第2の集電部は前記第1の集電部の外側に周回され、前記第2の集電部は、前記凸部と前記第2の板体のうちの少なくとも1つを接続することにより前記集電部件と前記エンドカバーを電気的に接続するために用いられる、請求項8に記載の電池セル。
【請求項10】
前記第1の集電部は、前記第2の板体と前記第1のタブとの間に位置し且つ前記第1のタブに溶接され、前記第2の集電部は、前記第1のタブと前記凸部との間に位置し且つ前記凸部に溶接される、請求項9に記載の電池セル。
【請求項11】
前記集電部件は平板状である、請求項10に記載の電池セル。
【請求項12】
前記凸部は、前記集電部件によって前記電極アセンブリに支持される、請求項10又は11に記載の電池セル。
【請求項13】
前記集電部件は前記第2の板体と前記第1のタブとの間に位置し、且つ前記凸部は前記集電部件の外側に周回される、請求項9に記載の電池セル。
【請求項14】
前記第2の集電部は前記第2の板体に溶接され、前記第1の集電部は前記第1のタブに溶接される、請求項13に記載の電池セル。
【請求項15】
前記第1の集電部は前記第2の集電部の前記電極アセンブリに向かう表面に凸設され、且つ前記集電部件の前記第1の集電部に対応する位置には、前記第2の集電部の前記電極アセンブリと反対する表面から前記電極アセンブリに向かう方向に沿って凹む第2の凹部が形成される、請求項13又は14に記載の電池セル。
【請求項16】
前記凸部と前記第1の集電部はいずれも前記電極アセンブリに支持される、請求項15に記載の電池セル。
【請求項17】
前記エンドカバーには前記第2の板体に接続される圧力逃し機構が設置され、前記圧力逃し機構は、前記電池セルの内部の圧力が閾値に達する場合に動作することにより、前記内部の圧力を逃すように構成され、
前記厚さ方向において、前記第1の集電部と前記圧力逃し機構は対向して設置され、且つ前記第1の集電部と前記圧力逃し機構との間は逃げ隙間を有する、請求項9~16のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項18】
前記電極アセンブリは捲回式構造であり、前記電極アセンブリは捲回の中心箇所に第1の貫通穴を有し、
前記第1の集電部に第2の貫通穴が設置され、前記第2の貫通穴と前記第1の貫通穴は対向して設置され、それによって、前記第1の貫通穴と前記逃げ隙間を連通する、請求項17に記載の電池セル。
【請求項19】
前記電極アセンブリの第1のタブは前記エンドカバーを介して前記ケースに電気的に接続される、請求項1~18のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項20】
前記ケースは、側壁と前記側壁に接続される底壁とを含み、前記側壁は前記厚さ方向に沿って延び且つ前記電極アセンブリの外周を周回して設置され、前記底壁に電極引き出し穴が設置され、
前記電池セルは、前記電極引き出し穴に取り付けられる電極端子をさらに含み、前記電極端子は前記電極アセンブリの第2のタブに電気的に接続され、前記第1のタブと前記第2のタブは極性が反対であり、且つそれぞれ前記電極アセンブリの両端に位置する、請求項19に記載の電池セル。
【請求項21】
前記底壁と前記側壁は一体に形成された構造である、請求項20に記載の電池セル。
【請求項22】
前記第1のタブは負極タブであり、前記ケースの基体材質は鋼である、請求項19~21のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項23】
前記ケースの基体材質と前記エンドカバーの基体材質は同じである、請求項1~22のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項24】
前記電池セルは円柱電池セルである、請求項1~23のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項25】
複数の、請求項1~24のいずれか1項に記載の電池セルを含む、電池。
【請求項26】
請求項25に記載の電池を含み、前記電池は電力を供給するために用いられる、電力使用装置。
【請求項27】
電池セルの製造方法であって、
開口を有するケースを提供することと、
電極アセンブリを提供し、且つ前記電極アセンブリを前記ケース内に取り付けることと、
エンドカバーを提供することであって、前記エンドカバーはカバー本体と凸部とを含み、前記カバー本体は前記凸部の外側に少なくとも部分的に周回され、前記凸部は前記エンドカバーの厚さ方向に前記カバー本体の内面から突出し、前記エンドカバーの前記凸部に対応する位置には前記カバー本体の外面に対して凹む第1の凹部が形成されることと、
前記カバー本体を前記ケースに当接し、そして、前記カバー本体と前記ケースの当接箇所にレーザを照射し、それによって、前記カバー本体を前記ケースに溶接し、前記エンドカバーを前記開口に冠着させることとを含み、
そのうち、前記凸部は前記カバー本体の内面から前記電極アセンブリに向かう方向に沿って突出し、且つ前記カバー本体と前記ケースを溶接する時にレーザを遮断するために用いられ、前記第1の凹部は前記カバー本体の外面から前記電極アセンブリに向かう方向に沿って凹み、且つ前記カバー本体と前記ケースを溶接する時に応力を逃すために用いられる、電池セルの製造方法。
【請求項28】
電池セルの製造システムであって、
開口を有するケースを提供するための第1の提供装置と、
電極アセンブリを提供し、且つ前記電極アセンブリを前記ケース内に取り付けるための第2の提供装置と、
エンドカバーを提供するための第3の提供装置であって、前記エンドカバーはカバー本体と凸部とを含み、前記カバー本体は前記凸部の外側に少なくとも部分的に周回され、前記凸部は前記エンドカバーの厚さ方向に前記カバー本体の内面から突出し、前記エンドカバーの前記凸部に対応する位置には前記カバー本体の外面に対して凹む第1の凹部が形成される第3の提供装置と、
前記カバー本体を前記ケースに当接し、そして、前記カバー本体と前記ケースの当接箇所にレーザを照射し、それによって、前記カバー本体を前記ケースに溶接し、前記エンドカバーを前記開口に冠着させるための組立装置とを含み、
そのうち、前記凸部は前記カバー本体の内面から前記電極アセンブリに向かう方向に沿って突出し、且つ前記カバー本体と前記ケースを溶接する時にレーザを遮断するために用いられ、前記第1の凹部は前記カバー本体の外面から前記電極アセンブリに向かう方向に沿って凹み、前記カバー本体と前記ケースを溶接する時に応力を逃すために用いられる、電池セルの製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池の技術分野に関し、より具体的には、電池セル及びその製造方法と製造システム、電池及び電力使用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池セルは、電子機器、例えば携帯電話、ノートパソコン、電気自転車、電気自動車、電動飛行機、電動船舶、電動玩具自動車、電動玩具船舶、電動玩具飛行機及び電動工具などに広く用いられている。電池セルは、ニッケルカドミウム電池セル、水素ニッケル電池セル、リチウムイオン電池セル及び二次アルカリ亜鉛マンガン電池セルなどを含んでもよい。
【0003】
電池技術の発展において、電池セルの性能を向上させることに加え、安全性も無視できない課題である。電池セルの安全性が確保できない場合、該電池セルは使用できない。従って、電池セルの安全性を如何に高めるかは、電池技術において早急に解決すべき技術的課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、電池セル及びその製造方法と製造システム、電池及び電力使用装置を提供し、電池セルの安全性を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の形態によれば、本出願の実施例は電池セルを提供する。この電池セルは、
【0006】
開口を有するケースと、
【0007】
ケース内に収容される電極アセンブリと、
【0008】
カバー本体と凸部とを含むエンドカバーであって、エンドカバーを開口に冠着させるように、カバー本体は凸部の外側に少なくとも部分的に周回され且つケースとレーザ溶接するために用いられるエンドカバーとを含み、
【0009】
エンドカバーの厚さ方向において、凸部は、カバー本体の内面から電極アセンブリに向かう方向に沿って突出し、カバー本体とケースを溶接する時にレーザを遮断するために用いられ、
【0010】
エンドカバーの凸部に対応する位置には、カバー本体の外面から電極アセンブリに向かう方向に沿って凹む第1の凹部が形成され、第1の凹部はカバー本体とケースを溶接する時に応力を逃すために用いられる。
【0011】
上述した技術案において、レーザはケースとカバー本体の当接箇所に作用することにより、ケースとカバー本体を溶接する。凸部はカバー本体の内面から突出するため、レーザが当接箇所の隙間に沿ってケースに入射すると、凸部はレーザを遮断し、レーザによって他の部件が焼損されるリスクを低減させることができる。本実施例は、さらに、凸部の前記電極アセンブリと反対する一方側に第1の凹部を設置することにより、凸部の強度を低減させ、溶接する過程において、凸部は変形によって溶接応力を逃すことができ、それによって、溶接領域の変形、開裂のリスクを低減させ、シール性能を改善する。
【0012】
幾つかの実施例において、ケースは開口を周回する外端面を有し、ケースの外端面はカバー本体の内面に溶接されることにより、ケースとカバー本体を一体に接続する。
【0013】
上述した技術案において、カバー本体の内面を外端面に当接し、このように、カバー本体によって占められるケースの内部のスペースを小さくすることができる。エンドカバーとケースを装着する時に、外端面はエンドカバーの厚さ方向において位置を規制する役割を果たすことができる。
【0014】
幾つかの実施例において、厚さ方向において、第1の凹部の底面は全体的に、カバー本体の内面よりも電極アセンブリに近い。
【0015】
上述した技術案は、凸部のカバー本体の内面からの突出程度を確保することができ、レーザをより効果的に遮断し、レーザによって電極アセンブリが焼損されるリスクを低減させる。同時に、本技術案は、凸部の突出程度を確保する前提で、第1の凹部の凹み程度を更に確保することにより、凸部は変形によって溶接応力を逃すことができる。
【0016】
幾つかの実施例において、ケースは側壁を含み、側壁は厚さ方向に沿って延び且つ電極アセンブリの外周を周回して設置される。凸部は側壁に向かう遮断面を含み、遮断面は、厚さ方向に平行し、且つカバー本体の内面から電極アセンブリに向かう方向に沿って延びる。
【0017】
上述した技術案において、側壁とカバー本体を溶接する時に、レーザは、外端面とカバー本体の内面との間の隙間から遮断面に照射し、遮断面と側壁は平行に設置され、両者はレーザの反射方向を規制することができ、レーザが反射された後にケース内の他の部件を焼損するリスクをある程度で低減させる。
【0018】
幾つかの実施例において、凸部は側壁に向かうガイド面をさらに含み、ガイド面は遮断面のカバー本体の内面から離れる端部に接続され、ガイド面は遮断面よりも側壁と反対する方向に傾斜し、それによって、凸部がケース内に挿入するようにガイドする。
【0019】
上述した技術案において、凸部には傾斜するガイド面を設置することにより、エンドカバーとケースを装着する時に、凸部をケースに挿入するようにガイドすることができ、それによって、装着プロセスを簡略化し、装着効率を向上させる。
【0020】
幾つかの実施例において、凸部の頂端面と第1の凹部の底面との間に接続部が形成され、接続部は電極アセンブリの第1のタブと溶接するために用いられる。
【0021】
上述した技術案において、凸部の接続部を第1のタブに直接溶接することができ、他の中継部件が不要であり、それによって、電池セルの構造を簡略化する。
【0022】
幾つかの実施例において、カバー本体は第1の板体と第2の板体とを含み、第1の板体は、凸部の外側を周回し、且つケースとレーザ溶接するために用いられ、凸部は第2の板体の外側に周回される。
【0023】
上述した技術案において、凸部の内側に第2の板体を設置することにより、カバー本体の面積を増やすことができ、それによって、外部の支持構造はカバー本体を介して電池セルを効果的に支持することができ、電池セルの構造の安定性を向上させる。
【0024】
幾つかの実施例において、電池セルは集電部件をさらに含み、集電部件は、電極アセンブリの第1のタブとエンドカバーを電気的に接続するために用いられる。
【0025】
凸部はカバー本体から突出するため、凸部は厚さ方向にカバー本体と第1のタブを仕切ることができ、エンドカバーと第1のタブを直接接続すると、第1のタブはエンドカバーの凸部しか接続できず、このようにすると、第1のタブの電流を直接伝送することができる領域が凸部に制限されてしまう。一方、上述した技術案において、集電部件を設置することにより第1のタブとエンドカバーを接続することで、第1のタブの電流を直接伝送することができる領域が凸部に制限されなくなり、第1のタブの電流は集電部件を介してエンドカバーに流入することができ、このように、集電部件は、第1のタブの異なる領域とエンドカバーとの間の導電経路の差異を小さくし、第1の極シートの電流密度の均一性を向上させ、内部抵抗を小さくし、電池セルの過電流能力と充電効率を向上させることができる。
【0026】
幾つかの実施例において、集電部件は第1の集電部と第1の集電部に接続される第2の集電部とを含み、第1の集電部は、第1のタブを接続することにより集電部件と第1のタブを電気的に接続するために用いられ、第2の集電部は第1の集電部の外側に周回され、第2の集電部は、凸部と第2の板体のうちの少なくとも1つを接続することにより集電部件とエンドカバーを電気的に接続するために用いられる。
【0027】
幾つかの実施例において、第1の集電部は、第2の板体と第1のタブとの間に位置し且つ第1のタブに溶接され、第2の集電部は、第1のタブと凸部との間に位置し且つ凸部に溶接される。
【0028】
上述した技術案において、エンドカバーと集電部件を装着する時に、レーザを凸部の第2の集電部と反対する表面に作用することにより、外側から凸部と第2の集電部を溶接することができる。
【0029】
幾つかの実施例において、集電部件は平板状である。
【0030】
上述した技術案において、平板状の集電部件は成型されやすい。平板状の集電部件は全体として第1のタブに接触することができ、それによって、過電流面積を増やし、集電部件によって第1のタブをより均一に支持し、厚さ方向における電極アセンブリの極シートのオフセット、位置ずれのリスクを低減させる。
【0031】
幾つかの実施例において、凸部は、集電部件によって電極アセンブリに支持される。
【0032】
上述した技術案において、凸部は、第1の集電部と第2の集電部によって電極アセンブリを支持することができ、それによって、厚さ方向における電極アセンブリの極シートのオフセット、位置ずれのリスクを低減させる。
【0033】
幾つかの実施例において、集電部件は第2の板体と第1のタブとの間に位置し、且つ凸部は集電部件の外側に周回される。
【0034】
上述した技術案において、凸部は厚さ方向に集電部件に重ならず、このように、エンドカバーと集電部件が厚さ方向に占めるスペースを小さくし、エネルギー密度を向上させることができる。
【0035】
幾つかの実施例において、第2の集電部は第2の板体に溶接され、第1の集電部は第1のタブに溶接される。溶接によって第2の集電部と第2の板体との間の接触抵抗、及び第1の集電部と第1のタブとの間の接触抵抗を小さくし、過電流能力を向上させることができる。
【0036】
幾つかの実施例において、第1の集電部は第2の集電部の電極アセンブリに向かう表面に凸設され、且つ集電部件の第1の集電部に対応する位置には、第2の集電部の電極アセンブリと反対する表面から電極アセンブリに向かう方向に沿って凹む第2の凹部が形成される。
【0037】
上述した技術案において、第1の集電部は第2の集電部に凸設され且つ第1のタブに当接し、それによって、第1のタブと第2の集電部を仕切り、このように、第2の板体と第2の集電部を溶接する時に、電極アセンブリに伝達される熱を減少し、電極アセンブリのセパレータが焼損されるリスクを低減させることができる。本技術案は、第2の凹部を設置することにより第1の集電部の厚さを小さくし、このように、第1の集電部と第1のタブを溶接するために必要な溶接パワーを小さくし、発生する熱を減少し、他の部件が焼損されるリスクを低減させることができる。
【0038】
幾つかの実施例において、凸部と第1の集電部はいずれも電極アセンブリに支持される。
【0039】
上述した技術案において、第1の集電部は第1のタブの中部領域を支持し、凸部は第1のタブのエッジ領域を支持し、このように、第1のタブにかかる力の均一性を向上させ、厚さ方向における電極アセンブリの極シートのオフセット、位置ずれのリスクを低減させることができる。
【0040】
幾つかの実施例において、エンドカバーには第2の板体に接続される圧力逃し機構が設置され、圧力逃し機構は、電池セルの内部の圧力が閾値に達する場合に動作することにより、内部の圧力を逃すように構成される。厚さ方向において、第1の集電部と圧力逃し機構は対向して設置され、且つ第1の集電部と圧力逃し機構との間は逃げ隙間を有する。
【0041】
上述した技術案において、第1の集電部と圧力逃し機構との間に逃げ隙間が設置され、それによって、第1の集電部が圧力逃し機構を押し潰すリスクを低減させ、且つ圧力逃し機構が動作する時にスムーズに排気することを確保し、安全リスクを低減させる。
【0042】
幾つかの実施例において、電極アセンブリは捲回式構造であり、電極アセンブリは捲回の中心箇所に第1の貫通穴を有する。第1の集電部に第2の貫通穴が設置され、第2の貫通穴と第1の貫通穴は対向して設置され、それによって、第1の貫通穴と逃げ隙間を連通する。
【0043】
上述した技術案において、電極アセンブリが熱暴走するとき、高温高圧物質は第1の貫通穴と第2の貫通穴を介して逃げ隙間に速やかに進入し且つ圧力逃し機構に作用することができ、それによって、圧力逃し機構は速やかに動作し、安全リスクを低減させる。
【0044】
幾つかの実施例において、電極アセンブリの第1のタブはエンドカバーを介してケースに電気的に接続される。
【0045】
上述した技術案において、エンドカバーを介してケースを電極アセンブリの第1のタブに接続することにより、ケースの電位と第1のタブの電位をほぼ同じにし、このように、ケース自体を電池セルの出力極として使用することができ、それによって、1つの従来の電極端子を省き、電池セルの構造を簡略化することができる。
【0046】
幾つかの実施例において、ケースは側壁と側壁に接続される底壁とをさらに含み、側壁は厚さ方向に沿って延び且つ電極アセンブリの外周を周回して設置され、底壁に電極引き出し穴が設置される。電池セルは、電極引き出し穴に取り付けられる電極端子をさらに含み、電極端子は電極アセンブリの第2のタブに電気的に接続され、第1のタブと第2のタブは極性が反対であり、且つそれぞれ電極アセンブリの両端に位置する。
【0047】
上述した技術案において、底壁と電極端子を電池セルの2つの出力極として使用することができ、このように、電池セルの構造を簡略化し、且つ電池セルの過電流能力を確保することができる。底壁と電極端子は電池セルの同一端に位置し、このように、バスバー部材を電池セルの同一側に装着することができ、このように、装着プロセスを簡略化し、複数の電池セルを装着しグループ化する効率を向上させることができる。
【0048】
幾つかの実施例において、底壁と側壁は一体に形成された構造である。本実施例では、底壁と側壁の接続工程を省き、且つ底壁と側壁との間の抵抗を小さくすることができる。
【0049】
幾つかの実施例において、第1のタブは負極タブであり、ケースの基体材質は鋼である。
【0050】
上述した技術案において、ケースは負極タブに電気的に接続され、即ち、ケースは低電位状態にある。鋼製のケースは低電位状態において電解液に腐食されにくく、それによって、安全リスクを低減させる。
【0051】
幾つかの実施例において、ケースの基体材質とエンドカバーの基体材質は同じである。
【0052】
上述した技術案において、ケースの基体材質とエンドカバーの基体材質は同じであり、このように、ケースとエンドカバーを容易に溶接することができ、両者の接続強度を向上させ、電池セルのシール性を確保する。
【0053】
幾つかの実施例において、電池セルは円柱電池セルである。
【0054】
第2の形態によれば、本出願の実施例は電池を提供する。この電池は、複数の、第1の形態のいずれか1つの実施例の電池セルを含む。
【0055】
第3の形態によれば、本出願の実施例は電力使用装置を提供する。この電力使用装置は第2の形態の電池を含み、電池は電力を供給するために用いられる。
【0056】
第4の形態によれば、本出願の実施例は電池セルの製造方法を提供する。この方法は、
【0057】
開口を有するケースを提供することと、
【0058】
電極アセンブリを提供し、且つ電極アセンブリをケース内に取り付けることと、
【0059】
エンドカバーを提供することであって、エンドカバーはカバー本体と凸部とを含み、カバー本体は凸部の外側に少なくとも部分的に周回され、凸部はエンドカバーの厚さ方向にカバー本体の内面から突出し、エンドカバーの凸部に対応する位置にはカバー本体の外面に対して凹む第1の凹部が形成されることと、
【0060】
カバー本体をケースに当接し、そして、カバー本体とケースの当接箇所にレーザを照射し、それによって、カバー本体をケースに溶接し、エンドカバーを開口に冠着させることとを含み、
【0061】
そのうち、凸部はカバー本体の内面から電極アセンブリに向かう方向に沿って突出し、且つカバー本体とケースを溶接する時にレーザを遮断するために用いられ、第1の凹部はカバー本体の外面から電極アセンブリに向かう方向に沿って凹み、且つカバー本体とケースを溶接する時に応力を逃すために用いられる。
【0062】
第5の形態によれば、本出願の実施例は電池セルの製造システムを提供する。この製造システムは、
【0063】
開口を有するケースを提供するための第1の提供装置と、
【0064】
電極アセンブリを提供し、且つ電極アセンブリをケース内に取り付けるための第2の提供装置と、
【0065】
エンドカバーを提供するための第3の提供装置であって、エンドカバーはカバー本体と凸部とを含み、カバー本体は凸部の外側に少なくとも部分的に周回され、凸部はエンドカバーの厚さ方向にカバー本体の内面から突出し、エンドカバーの凸部に対応する位置にはカバー本体の外面に対して凹む第1の凹部が形成される第3の提供装置と、
【0066】
カバー本体をケースに当接し、そして、カバー本体とケースの当接箇所にレーザを照射し、それによって、カバー本体をケースに溶接し、エンドカバーを開口に冠着させるための組立装置とを含み、
【0067】
そのうち、凸部はカバー本体の内面から電極アセンブリに向かう方向に沿って突出し、且つカバー本体とケースを溶接する時にレーザを遮断するために用いられ、第1の凹部はカバー本体の外面から電極アセンブリに向かう方向に沿って凹み、且つカバー本体とケースを溶接する時に応力を逃すために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
本出願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、本出願の実施例において使用する必要のある図面を簡単に紹介するが、明らかに、以下に記載する図面は単に本出願の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【0069】
図面において、図面は実際の比例に基づいて描かれたものではない。
【0070】
【
図1】本出願の幾つかの実施例による車両の構造概略図である。
【
図2】本出願の幾つかの実施例による電池の分解概略図である。
【
図3】
図2に示す電池モジュールの分解概略図である。
【
図4】本出願の幾つかの実施例による電池セルの断面概略図である。
【
図5】
図4に示す電池セルの丸枠A箇所における拡大概略図である。
【
図6】
図5に示す電池セルの矩形枠B箇所における拡大概略図である。
【
図7】本出願の別の幾つかの実施例による電池セルの断面概略図である。
【
図8】
図7に示す電池セルの矩形枠C箇所における拡大概略図である。
【
図9】本出願の幾つかの実施例による電池セルの製造方法のプロー概略図である。
【
図10】本出願の幾つかの実施例による電池セルの製造システムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本出願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本出願の実施例における図面を結び付けて、本出願の実施例における技術案を明確に記載し、明らかに、記載される実施例は本出願の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本出願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を払わない前提で得たその他のすべての実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0072】
別段の定義がない限り、本出願で使用されるすべての技術用語と科学用語は、当業者に一般的に理解される意味と同じである。本出願の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を記載する目的のみに使用され、本出願を限定することを意図しない。本出願の明細書、特許請求の範囲及び上述した図面の簡単な説明における「含む」と「有する」という用語及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。本出願の明細書、特許請求の範囲又は上述した図面における「第1の」、「第2の」などの用語は異なるオブジェクトを区別するために用いられ、特定の順番又は主従の関係を記載するためのものではない。
【0073】
本出願において、「実施例」が言及される場合は、実施例を結び付けて記載される特定の特徴、構造又は特性は、本出願の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書の様々な位置での当該フレームの出現は、必ずしもすべてが同じ実施例を指すとは限らず、他の実施例と相互に排除する独立又は代替の実施例でもない。
【0074】
本出願の記載において、説明すべきものとして、別段の明確な規定及び限定がない限り、「取り付ける」、「繋げる」、「接続する」、「付設する」という用語は、広い意味で理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体化の接続であってもよく、直接的に繋げてもよく、介在物によって間接に繋げてもよく、2つのデバイスの内部の連通であってもよい。当業者にとっては、具体的な状況に応じて、上述した用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0075】
本出願において、「及び/又は」という用語は、関連するオブジェクトを記載する関連関係に過ぎず、3種類の関係が存在できることを表す。例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在する、AとBが同時に存在する、Bが単独で存在するという3つのケースを表すことができる。また、本出願における文字「/」は一般的に、前後に関連するオブジェクトが「又は」の関係であることを表す。
【0076】
本出願の実施例において、同じ符号で同じ部材を表し、簡略化のため、異なる実施例において、同じ部材の詳細な説明を省略する。理解すべきものとして、図面に示した本出願の実施例における各種の部材の厚さ、長さ、幅などの寸法、及び集積装置の全体的な厚さ、長さ、幅などの寸法は、例示的な説明に過ぎず、本出願に対するいかなる限定を構成するものではない。
【0077】
本出願に現れる「複数」とは、2つ以上(2つを含む)を指す。
【0078】
本出願において、電池セルは、リチウムイオン二次電池セル、リチウムイオン一次電池セル、リチウム硫黄電池セル、ナトリウムリチウムイオン電池セル、ナトリウムイオン電池セル又はマグネシウムイオン電池セルなどを含んでもよく、本出願の実施例はこれについて限定しない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状などであってもよく、本出願の実施例はこれについても限定しない。
【0079】
本出願の実施例で言及される電池とは、1つ又は複数の電池セルを含むことにより、より高い電圧と容量を提供する単一の物理モジュールを指す。例えば、本出願で言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。電池は、一般的に、1つ又は複数の電池セルをパッケージするための筐体を含む。筐体は、液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を及ぼすことを回避することができる。
【0080】
電池セルは電極アセンブリと電解液とを含み、電極アセンブリは正極シート、負極シート及びセパレータを含む。電池セルは主に、金属イオンが正極シートと負極シートとの間で移動することにより動作する。正極シートは正極集電体と正極活物質層とを含み、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極集電体は、正極集電部と正極集電部に接続される正極タブとを含み、正極集電部に正極活物質層が塗布され、正極タブには正極活物質層が塗布されていない。リチウムイオン電池を例として、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質層は正極活物質を含み、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極シートは負極集電体と負極活物質層とを含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極集電体は、負極集電部と負極集電部に接続される負極タブとを含み、負極集電部に負極活物質層が塗布され、負極タブには負極活物質層が塗布されていない。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質層は負極活物質を含み、負極活物質はカーボン又はケイ素などであってもよい。セパレータの材質はPP(polypropylene、ポリプロピレン)又はPE(polyethylene、ポリエチレン)などであってもよい。
【0081】
電池セルはケースとエンドカバーとをさらに含み、ケースは開口を有し且つ電極アセンブリを収容するために用いられ、電極アセンブリはケースの開口を介してケース内に装着することができる。エンドカバーは、ケースの開口に冠着することにより密封を実現するために用いられる。
【0082】
発明者らは、レーザ溶接の方法を利用してエンドカバーとケースを接続した。具体的には、発明者らは、エンドカバーとケースを当接し、そして、エンドカバーとケースの当接箇所にレーザを照射し、レーザの作用によって、エンドカバーとケースの当接箇所を溶融させ且つ接続することを試みた。しかし、発明者らは、エンドカバーとケースの当接箇所に隙間が存在する可能性があり、レーザは隙間を通ってケース内の他の部件に作用し、安全リスクを引き起こす恐れがあり、そして、溶接する時に溶接応力が発生し、溶接応力が効果的に逃されない場合、溶接した後に形成された溶接領域が変形、開裂しやすく、シール性能に影響を及ぼすことを見出した。
【0083】
これに鑑み、本出願の実施例は技術案を提供する。エンドカバーに凸部を設置することにより、エンドカバーとケースを溶接する時にレーザを遮断し、レーザによって他の部件が焼損されるリスクを低減させる。本出願の実施例は、さらに、凸部の前記電極アセンブリと反対する一方側に第1の凹部を設置することにより、凸部の強度を低減させ、溶接する過程において、凸部は変形によって溶接応力を逃すことができ、それによって、溶接領域が変形、開裂するリスクを低減させ、シール性能を改善する。
【0084】
本出願の実施例に記載される技術案は、電池及び電池を使用する電力使用装置に適用される。
【0085】
電力使用装置は、車両、携帯電話、携帯機器、ノートパソコン、船舶、航空機、電動玩具及び電動工具などであってもよい。車両は、ガソリン自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純粋な電気自動車、ハイブリット自動車又はレンジエクステンダー型自動車などであってもよく、航空機は、飛行機、ロケット、航空飛行機及び宇宙船などを含み、電動玩具は、固定式又は移動式の電動玩具、例えば、遊技機、電気自動車玩具、電動船舶玩具及び電動飛行機玩具などを含み、電動工具は、金属切削電動工具、研磨電動工具、組み立て電動工具及び鉄道用電力使用工具、例えば、電気ドリル、電動グラインダ、電動レンチ、電動ドライバ、電動ハンマ、インパクト電気ドリル、コンクリートバイプレーター及び電動カンナなどを含む。本出願の実施例は、特に上述した電力使用装置を限定しない。
【0086】
以下の実施例は、説明の便宜上、電力使用装置が車両であることを例として説明する。
【0087】
図1は、本出願の幾つかの実施例による車両の構造概略図である。
【0088】
図1に示すように、車両1の内部に電池2が設置され、電池2は車両1の底部又は頭部や尾部に設置されてもよい。電池2は車両1に給電するために用いることができ、例えば、電池2は車両1の操作電源とすることができる。
【0089】
車両1は、コントローラ3とモータ4をさらに含んでもよく、コントローラ3は、電池2がモータ4に給電するように制御するために用いられ、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の動作用電力に用いられる。
【0090】
本出願の幾つかの実施例において、電池2は、車両1の操作電源とすることができるだけではなく、車両1の駆動電源とすることもでき、燃料又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を供給する。
【0091】
図2は、本出願の幾つかの実施例による電池の分解概略図である。
図2に示すように、電池2は筐体5と電池セル(
図2に示せず)とを含み、電池セルは筐体5内に収容される。
【0092】
筐体5は電池セルを収容するために用いられ、筐体5は様々な構造であってもよい。幾つかの実施例において、筐体5は第1の筐体部5aと第2の筐体部5bとを含むことができ、第1の筐体部5aと第2の筐体部5bは相互に冠着され、第1の筐体部5aと第2の筐体部5bは共同で電池セルを収容するための収容スペース5cを画定する。第2の筐体部5bは一端が開口する中空構造であってもよく、第1の筐体部5aは板状構造であり、第1の筐体部5aが第2の筐体部5bの開口側に冠着されることにより、収容スペース5cを有する筐体5が形成される。第1の筐体部5aと第2の筐体部5bはいずれも一方側が開口する中空構造であってもよく、第1の筐体部5aの開口側は第2の筐体部5bの開口側に冠着されることにより、収容スペース5cを有する筐体5が形成される。もちろん、第1の筐体部5aと第2の筐体部5bは、様々な形状、例えば、円柱体、直方体などであってもよい。
【0093】
第1の筐体部5aと第2の筐体部5bが接続された後の密封性を向上させるために、第1の筐体部5aと第2の筐体部5bとの間に密封部材、例えば、シーラント、シールリングなどを設置してもよい。
【0094】
第1の筐体部5aが第2の筐体部5bの頂部に冠着されるとすると、第1の筐体部5aは上筐体カバーと呼ぶこともでき、第2の筐体部5bは下筐体と呼ぶこともできる。
【0095】
電池2において、電池セルは1つであってもよく、複数であってもよい。電池セルが複数である場合、複数の電池セルの間は直列又は並列又は直並列に接続されてもよく、直並列とは、複数の電池セルのうち直列に接続されるものがあるとともに、並列に接続されるものもあることを指す。複数の電池セルの間は直列又は並列又は直並列に直接接続し、そして、複数の電池セルによって構成された全体を筐体5内に収容してもよく、もちろん、複数の電池セルは直列又は並列又は直並列に接続されて電池モジュール6を構成してから、複数の電池モジュール6が直列又は並列又は直並列に接続されて一体になり、筐体5内に収容されてもよい。
【0096】
図3は、
図2に示した電池モジュールの分解概略図である。
【0097】
幾つかの実施例において、
図3に示すように、電池セル7は複数であり、複数の電池セル7は、先ず直列又は並列又は直並列に接続されて電池モジュール6を構成する。複数の電池モジュール6が直列又は並列又は直並列に接続されて一体になり、筐体内に収容する。
【0098】
電池モジュール6における複数の電池セル7の間はバスバー部材を介して電気的接続を実現することにより、電池モジュール6における複数の電池セル7の並列又は直列又は直並列接続を実現することができる。
【0099】
図4は、本出願の幾つかの実施例による電池セルの断面概略図である。
図5は、
図4に示した電池セルの丸枠A箇所の拡大概略図である。
図6は、
図5に示した的電池セルの矩形枠B箇所の拡大概略図である。
【0100】
図4~
図6に示すように、本出願の実施例の電池セル7は、開口21を有するケース20と、ケース20内に収容される電極アセンブリ10と、カバー本体31と凸部32とを含むエンドカバー30であって、エンドカバー30を開口21に冠着させるように、カバー本体31は凸部32の外側に少なくとも部分的に周回され且つケース20とレーザ溶接するために用いられるエンドカバー30とを含む。エンドカバー30の厚さ方向Zにおいて、凸部32はカバー本体の内面31aから電極アセンブリ10に向かう方向に沿って突出し、カバー本体31とケース20を溶接する時にレーザを遮断するために用いられる。エンドカバー30の凸部32に対応する位置には、カバー本体の外面31bから電極アセンブリ10に向かう方向に沿って凹む第1の凹部33が形成され、第1の凹部33は、カバー本体31とケース20を溶接する時に応力を逃すために用いられる。
【0101】
電極アセンブリ10は、第1の極シートと、第2の極シートと、セパレータとを含み、セパレータは第1の極シートと第2の極シートを仕切るために用いられる。第1の極シートと第2の極シートの極性は反対であり、換言すれば、第1の極シートと第2の極シートのうちの一方は正極シートであり、第1の極シートと第2の極シートのうちの他方は負極シートである。
【0102】
選択可能に、第1の極シート、第2の極シート及びセパレータはいずれも帯状構造であり、第1の極シート、第2の極シート及びセパレータは一体に捲回されて捲回構造が形成される。捲回構造は円柱状構造、扁平状構造又は他の形状の構造であってもよい。
【0103】
電極アセンブリ10の外形から見ると、電極アセンブリ10は、本体部11と、第1のタブ12と、第2のタブ13とを含み、第1のタブ12と第2のタブ13は本体部11から突出する。第1のタブ12は、第1の極シートにおける活物質層が塗布されていない部分であり、第2のタブ13は、第2の極シートにおける活物質層が塗布されていない部分である。対応的に、第1のタブ12と第2のタブ13のうちの一方は正極性のタブであり、他方は負極性のタブである。
【0104】
第1のタブ12と第2のタブ13は、本体部11の同一側から延び出してもよく、それぞれ反対する両側から延び出してもよい。
【0105】
例示的に、第1のタブ12と第2のタブ13は、それぞれ本体部11の両側に設置され、換言すれば、第1のタブ12と第2のタブ13はそれぞれ電極アセンブリ10の両端に設置される。選択可能に、第1のタブ12は、電極アセンブリ10のエンドカバー30に向かう一端に位置し、第2のタブ13は、電極アセンブリ10のエンドカバー30と反対する一端に位置する。
【0106】
選択可能に、第1のタブ12は電極アセンブリ10の中心軸線回りに複数周捲回され、換言すると、第1のタブ12は複数周のタブ層を含む。捲回された後に、第1のタブ12は略柱体状になり、隣接する2周のタブ層の間に隙間が取られている。本出願の実施例は第1のタブ12を処理することができ、それによって、タブ層の間の隙間を小さくし、第1のタブ12は他の導電構造に容易に接続される。例えば、本出願の実施例は、第1のタブ12に対して平坦化揉み処理を行うことができ、それによって、第1のタブ12の本体部11から離れる端部領域を絞って、集合する。平坦化揉み処理によって、第1のタブ12の本体部11から離れる一端に緻密な端面が形成され、タブ層の間の隙間を小さくし、第1のタブ12は他の導電構造に容易に接続される。代わりに、本出願の実施例は、隣接する2周のタブ層の間に導電材料を充填することにより、タブ層の間の隙間を小さくしてもよい。
【0107】
選択可能に、第2のタブ13は電極アセンブリ10の中心軸線回りに複数周捲回され、第2のタブ13は複数周のタブ層を含む。例示的に、第2のタブ13も平坦化揉み処理され、それによって、第2のタブ13のタブ層の間の隙間を小さくする。
【0108】
ケース20は一方側が開口する中空構造であり、エンドカバー30はケース20の開口箇所に冠着し且つ密封接続が形成され、それによって、電極アセンブリ10と電解液を収容するための収容室が形成される。
【0109】
ケース20は中空構造であり、その内部に電極アセンブリ10を収容するためのスペースが形成される。ケース20は様々な形状、例えば、円柱体、直方体などであってもよい。ケース20の形状は、電極アセンブリ10の具体的な形状に応じて決定することができる。例えば、電極アセンブリ10が円柱体構造である場合、円柱体ケースを選択することができ、電極アセンブリ10が直方体構造である場合、直方体ケースを選択することができる。
【0110】
ケース20は正に帯電してもよく、負に帯電してもよく、帯電しなくてもよい。ケース20が帯電する必要がある場合、ケース20は電極アセンブリ10のタブに直接接続してもよく、他の導電部件を介してタブに電気的に接続してもよい。
【0111】
エンドカバー30とケース20は溶接の方法によって繋げられ、エンドカバー30とケース20は同じ極性を有することができる。例示的に、ケース20が正に帯電する必要がある場合、エンドカバー30を利用してケース20を正極性のタブに電気的に接続することができ、ケース20が負に帯電する必要がある場合、エンドカバー30を利用してケース20を負極性のタブに電気的に接続することができる。もちろん、ケース20は他の導電構造を介してタブに接続されてもよく、本実施例はこれについて限定しない。
【0112】
ケース20とエンドカバー30は、同じ材料で製造されてもよく、異なる材料で製造されてもよく、両者をレーザ溶接によって繋げることができればよい。
【0113】
エンドカバー30は電極アセンブリ10に電気的に接続されてもよく、電極アセンブリ10と絶縁的に設置されてもよい。選択可能に、エンドカバー30は第1のタブ12に電気的に接続される。もちろん。エンドカバー30は、第1のタブ12に直接電気的に接続されてもよく、他の部件を介して第1のタブ12に電気的に接続されてもよい。
【0114】
カバー本体31は板状構造であり、その自体の厚さ方向に沿って対向して設置される内面と外面を有し、カバー本体の内面31aは電極アセンブリ10に向かう。選択可能に、カバー本体の内面31aとカバー本体の外面31bは、いずれも平面であり、且つ平行に設置される。
【0115】
凸部32は、カバー本体の内面31aに対して電極アセンブリ10に向かう方向に沿って突出することにより、凸部32の少なくとも一部がカバー本体の内面31aから突出する。本実施例は、凸部32のカバー本体の内面31aからの突出の程度を限定しない。
【0116】
第1の凹部33の位置は凸部32の位置に対応しており、第1の凹部33は、カバー本体の外面31bに対して電極アセンブリ10に向かう方向に沿って凹む。第1の凹部33は凸部32の強度を低減させることができ、それによって、エンドカバー30の凸部32に対応する領域がより良い弾性力を有する。
【0117】
カバー本体31は全体的に凸部32の外側に周回されてもよく、一部のみが凸部32の外側に周回されてもよい。例えば、凸部32は環形構造であってもよく、カバー本体31は、凸部32に周回される部分をさらに含む。
【0118】
レーザ溶接時に、レーザはケース20とカバー本体31の当接箇所に作用することにより、ケース20とカバー本体31を溶接する。嵌合誤差によって、ケース20とカバー本体31の当接箇所に微小な隙間が存在する可能性があり、レーザはこれらの隙間を通ってケース20の内部に照射しやすく、それによって、ケース20内の他の部件(例えば電極アセンブリ10)が焼損されるリスクが生じる。凸部32はカバー本体の内面31aから突出するため、レーザが当接箇所の隙間に沿ってケース20に入射する時に、凸部32はレーザを遮断し、レーザによって他の部件が焼損されるリスクを低減させることができる。
【0119】
カバー本体31とケース20を溶接する時に、カバー本体31に溶接応力が発生し、溶接応力は凸部32に伝達される。本出願の実施例は、凸部32の前記電極アセンブリ10と反対する一方側に第1の凹部33をさらに設置することにより、凸部32の強度を低減させ、溶接する過程において、凸部32は変形によって溶接応力を逃すことができ、それによって、溶接領域が変形、開裂するリスクを低減させ、シール性能を改善する。
【0120】
幾つかの実施例において、電極アセンブリ10の第1のタブ12はエンドカバー30を介してケース20に電気的接続される。
【0121】
エンドカバー30は、第1のタブ12に直接的に繋げられてもよく、例えば、エンドカバー30は第1のタブ12に直接溶接されてもよく、それによって、エンドカバー30と第1のタブ12の電気的接続を実現する。代わりに、エンドカバー30は、他の導電構造(例えば、後述する集電部件)を介して第1のタブ12に間接的に繋げられてもよい。理解できるように、本実施例において、凸部32を導電構造に接続してもよく、カバー本体31を導電構造に接続してもよい。
【0122】
本実施例は、エンドカバー30を介してケース20を電極アセンブリ10の第1のタブ12に接続することにより、ケース20の電位と第1のタブ12の電位をほぼ同じにし、このように、ケース20自体を電池セル7の出力極として使用することができ、それによって、1つの従来の電極端子を省き、電池セル7の構造を簡略化することができる。
【0123】
複数の電池セル7を装着してグループ化する時に、ケース20をバスバー部材に電気的に接続することができ、このように、過電流面積を増やすことができるとともに、バスバー部材の構造設計をより柔軟化させることができる。
【0124】
幾つかの実施例において、ケース20は、側壁22と側壁22に接続される底壁23とをさらに含み、側壁22は厚さ方向Zに沿って延び且つ電極アセンブリ10の外周を周回して設置され、底壁23に電極引き出し穴231が設置される。電池セル7は、電極引き出し穴231に取り付けられる電極端子40をさらに含み、電極端子40は電極アセンブリ10の第2のタブ13に電気的に接続され、第1のタブ12と第2のタブ13は極性が反対であり、且つそれぞれ電極アセンブリ10の両端に位置する。
【0125】
側壁22と底壁23は一体に形成された構造であってもよく、即ち、ケース20は一体に成型された部件である。もちろん、側壁22と底壁23は別々に提供された2つの部件であってもよく、その後、溶接、カシメ、接着などの方法によって一体に接続される。
【0126】
側壁22の一端にケース20の開口21が形成され、底壁23は側壁22の開口21と反対する他端に接続される。側壁22は筒状構造であり、例えば、側壁22は円筒又は角筒であってもよく、底壁23は板状構造であり、その形状は側壁22の形状に対応する。
【0127】
第2のタブ13は電極端子40に直接電気的に接続されてもよく、他の導電構造を介して電極端子40に間接電気的に接続されてもよい。
【0128】
電極端子40は底壁23に絶縁的に設置され、電極端子40と底壁23は異なる極性を有することができ、電極端子40と底壁23は、それぞれ電池セル7の2つの出力極として使用することができる。選択可能に、電池セルはインシュレーターをさらに含み、インシュレーターの少なくとも一部が底壁23と電極端子40との間に位置し、それによって、底壁23と電極端子40は絶縁して仕切られる。
【0129】
第1のタブ12が負極タブであり、第2のタブ13が正極タブである場合、底壁23は電池セル7の負出力極であり、電極端子40は電池セル7の正出力極である。第1のタブ12が正極タブであり、第2のタブ13が負極タブである場合、底壁23は電池セル7の正出力極であり、電極端子40は電池セル7の負出力極である。
【0130】
電極端子40は底壁23に固定される。電極端子40は全体的に底壁23の外側に固定されてもよく、電極引き出し穴231を通じてケース20の内部に挿入されてもよい。
【0131】
第1のタブ12は電極アセンブリ10のエンドカバー30に向かう一端に位置することにより、エンドカバー30は第1のタブ12に容易に電気的に接続され、対応的に、第2のタブ13は電極アセンブリ10の底壁23に向かう一端に位置することにより、電極端子40は第2のタブ13に容易に電気的に接続される。本出願の実施例は、第1のタブ12と第2のタブ13を電極アセンブリ10の両端に設置し、第1のタブ12と第2のタブ13が導通されるリスクを低減させ、第1のタブ12の過電流面積と第2のタブ13の過電流面積を増やすことができる。
【0132】
本実施例において、底壁23と電極端子40は、電池セル7の2つの出力極として使用することができ、このように、電池セル7の構造を簡略化し、電池セル7の過電流能力を確保することができる。底壁23と電極端子40は電池セル7の同一端に位置し、このように、バスバー部材を電池セル7の同一側に装着することができ、このように、装着プロセスを簡略化し、複数の電池セル7を装着しグループ化する効率を向上させることができる。
【0133】
幾つかの実施例において、底壁23と側壁22は一体に形成された構造である。本実施例は、底壁23と側壁22の接続工程を省略し、両者の間の抵抗を小さくすることができる。例えば、ケース20は延伸プロセスによって成型することができる。
【0134】
本出願の実施例の電極引き出し穴231は、ケース20が延伸成型された後に製造される。
【0135】
発明者らは、ケースの開口端をロールプレスすることにより、ケースの開口端を内向きに折り返しバーリング構造を形成し、バーリング構造がエンドカバーを押圧することによりエンドカバーの固定を実現することを試みた。発明者らは、電極端子をエンドカバーに取り付け、そして、バーリング構造と電極端子を電池セルの2つの出力極として使用した。しかし、バーリング構造の寸法が大きいほど、その成型後にカールやシワが生じるリスクが高くなる。バーリング構造にカールやシワが生じる場合、バーリング構造の表面に凹凸があり、バーリング構造をバスバー部材に溶接する時に、溶接不良の問題が発生する。従って、バーリング構造の寸法が制限され、電池セルの過電流能力が不足することが引き起こされる。
【0136】
本実施例は、穴開けのプロセスを利用して底壁23に電極端子40を取り付けるための電極引き出し穴231が形成され、それによって、正出力極と負出力極を電池セル7の開口21と反対する一端に設置し、底壁23はケース20の成型中に形成され、電極引き出し穴231を開設することも底壁23の平坦性を確保し、底壁23とバスバー部材の接続強度を確保することができる。同時に、底壁23の平坦性はその自体の寸法に限定されないため、底壁23は比較的に大きい寸法を有することができ、それによって、電池セル7の過電流能力を向上させる。
【0137】
幾つかの実施例において、第1のタブ12は負極タブであり、ケース20の基体材質は鋼である。
【0138】
ケース20は負極タブに電気的に接続され、即ち、ケース20は低電位状態にある。鋼製のケース20は低電位状態において電解液に腐食されにくく、それによって、安全リスクを低減させる。
【0139】
幾つかの実施例において、ケース20は、基体材質の表面に設置される保護層をさらに含む。選択可能に、保護層は、基体材質の表面にメッキされたニッケル層である。
【0140】
幾つかの実施例において、ケース20の基体材質とエンドカバー30の基体材質は同じである。選択可能に、ケース20の基体材質とエンドカバー30の基体材質はいずれも鋼である。
【0141】
本実施例において、ケース20の基体材質とエンドカバー30の基体材質は同じであり、このように、ケース20とエンドカバー30を容易に溶接することができ、両者の接続強度を向上させ、電池セル7の密封性を確保することができる。
【0142】
幾つかの実施例において、電池セル7は円柱電池セルである。対応的に、電極アセンブリ10は円柱構造であり、ケース20は円柱状の中空構造である。
【0143】
幾つかの実施例において、ケース20の側壁22とカバー本体31はエンドカバー30の厚さ方向Zに沿って配置される。側壁22とカバー本体31を溶接する時に、レーザは側壁22とカバー本体31の当接箇所に作用し、カバー本体31の少なくとも一部と側壁22の少なくとも一部は溶融し接続される。
【0144】
幾つかの実施例において、ケース20は開口端において外端面24を有し、外端面24はケース20の開口21を周回して設置される。外端面24は側壁22の底壁23から離れる一端の端面である。選択可能に、外端面24は平面である。
【0145】
ケース20の外端面24とエンドカバー30の厚さ方向Zは一定の角度を成し、選択可能に、ケース20の外端面24はエンドカバー30の厚さ方向Zに垂直である。
【0146】
ケース20の側壁22は対向して設置される内面と外面を有し、側壁の内面221は電極アセンブリ10に向かう。側壁の内面221と側壁の外面222はいずれ環形面である。外端面24は側壁の内面221と側壁の外面222を接続する。選択可能に、外端面24は前記側壁の内面221と側壁の外面222に垂直である。
【0147】
カバー本体の内面31aは外端面24に当接することができる。もちろん、代替の実施例において、カバー本体の内面31aはケース20の他の表面に当接してもよく、例えば、側壁22は、外端面24に対して内向きに凹んで側壁の内面221に接続される段差面(図示せず)をさらに有し、段差面はカバー本体の内面31aに当接して嵌合することができる。
【0148】
幾つかの実施例において、ケース20は開口21を周回する外端面24を有し、ケース20の外端面24がカバー本体の内面31aに溶接されることにより、ケース20とカバー本体31を一体に接続する。
【0149】
カバー本体の内面31aと外端面24は平行に設置される。カバー本体の内面31aと外端面24は厚さ方向Zにおいて貼り合わせており、溶接する時に、レーザは外端面24とカバー本体の内面31aの境界に照射する。
【0150】
溶接した後に、カバー本体の内面31aの少なくとも一部と外端面24の少なくとも一部は溶融し接続される。
【0151】
外端面24はケース20の最外端に位置し、本実施例は、カバー本体の内面31aを外端面24に当接し、このように、カバー本体31によって占められるケース20の内部スペースを小さくすることができる。エンドカバー30とケース20を装着する時に、外端面24はエンドカバー30の厚さ方向Zにおいて位置規制の役割を果たすことができる。
【0152】
幾つかの実施例において、厚さ方向Zにおいて、第1の凹部33の底面331は全体的に、カバー本体の内面31aよりも電極アセンブリ10に近い。
【0153】
第1の凹部33と凸部32は、エンドカバー30をプレスすることにより形成される。
【0154】
第1の凹部33の厚さ方向Zに沿う深さが大きいほど、凸部32のカバー本体の内面31aからの突出の程度は大きくなる。
【0155】
本出願の実施例は、凸部32のカバー本体の内面31aからの突出の程度を確保することができ、それによって、レーザをより効果的に遮断し、レーザによって電極アセンブリ10が焼損されるリスクを低減させる。同時に、本出願の実施例は、凸部32の突出の程度を確保する前提で、第1の凹部33の凹みの程度をさらに確保し、それによって、凸部32は変形によって溶接応力を逃すことができる。
【0156】
幾つかの実施例において、凸部32は頂端面321と側壁22に向かう外側面とを有し、外側面は頂端面321を周回して設置される環形面である。頂端面321は凸部32の電極アセンブリ10に向かう面であり、外側面は側壁22に向かって且つレーザを遮断するために用いられる。選択可能に、外側面と側壁の内面221との間に隙間を設置してもよく、該隙間によって、凸部32はケース20の開口21を介してケース20内に容易に挿入することができる。
【0157】
外側面は側壁の内面221に対して傾斜する部分をさらに有してもよく、傾斜する部分はガイドの役割を果たすことができ、それによって、凸部32をケース20内に挿入するようにガイドする。もちろん、その代わりに、外側面はガイドの役割を省略してもよく、例えば、外側面は側壁の内面221に平行してもよい。
【0158】
凸部32の頂端面321は平面又は曲面であってもよく、選択可能に、凸部32の頂端面321は平面である。
【0159】
幾つかの実施例において、ケース20は側壁22を含み、側壁22は厚さ方向Zに沿って延び且つ電極アセンブリ10の外周を周回して設置される。凸部32は側壁22に向かう遮断面323を含み、遮断面323は厚さ方向Zに平行し、且つカバー本体の内面31aから電極アセンブリ10に向かう方向に沿って延びる。
【0160】
遮断面323はカバー本体の内面31aに直接接続されてもよく、他の面を介してカバー本体の内面31aに間接接続されてもよい。
【0161】
凸部32の外側面は遮断面323を含み、遮断面323は凸部32の頂端面321に直接接続されてもよく、他の表面を介して頂端面321に間接接続されてもよい。
【0162】
側壁22とカバー本体31を溶接する時に、レーザは外端面24とカバー本体の内面31aとの間の隙間から遮断面323に照射し、遮断面323と側壁22は平行に設置され、両者はレーザの反射方向を制限することができ、レーザが反射された後にケース20内の他の部件を焼損するリスクをある程度で低減させることができる。
【0163】
幾つかの実施例において、遮断面323はカバー本体の内面31aに垂直であることにより、遮断面323はレーザの照射方向に垂直である。
【0164】
側壁22とカバー本体31を溶接する時に、レーザは外端面24とカバー本体の内面31aの境界に作用し、レーザの照射方向はカバー本体の内面31aに平行する。レーザが外端面24とカバー本体の内面31aとの間の隙間から遮断面323に照射する時に、レーザの入射角は0°であり、このように、レーザを外端面24とカバー本体の内面31aの境界に反射することができ、それによって、レーザがケース20内に反射されて他の部件を焼損するリスクを低減させる。
【0165】
幾つかの実施例において、凸部32は、側壁22に向かうガイド面322をさらに含み、ガイド面322は遮断面323のカバー本体の内面31aから離れる端部に接続され、ガイド面322は遮断面323よりも側壁22と反対する方向に傾斜することにより、凸部32をケース20内に挿入するようにガイドする。
【0166】
凸部32の側壁22に向かう外側面はガイド面322と遮断面323とを含む。ガイド面322は頂端面321に直接接続されてもよく、他の表面を介して頂端面321に間接接続されてもよい。ガイド面322は全周に亘って形成される。
【0167】
ガイド面322と側壁の内面221は間隔をおいて設置される。エンドカバー30が電極アセンブリ10を指す方向において、ガイド面322と側壁の内面221との間のピッチは徐々に大きくなる。そのうち、エンドカバー30が電極アセンブリ10を指す方向は厚さ方向Zに平行し、ガイド面322と側壁の内面221との間のピッチとは、ガイド面322と側壁の内面221との間の隙間の側壁の内面221の法線方向における寸法を指す。
【0168】
本出願は、凸部32には傾斜するガイド面322を設置することにより、エンドカバー30とケース20を装着する時に、凸部32をケース20に挿入するようにガイドすることができ、それによって、装着プロセスを簡略化し、装着効率を向上させる。
【0169】
幾つかの実施例において、ガイド面322の少なくとも一部は、凸部32にアール加工を施すことにより形成されてもよい。
【0170】
幾つかの実施例において、凸部32の頂端面321と第1の凹部33の底面331との間に接続部324が形成され、接続部324は電極アセンブリ10の第1のタブ12と溶接するために用いられる。
【0171】
装着する時に、凸部32の頂端面321と第1のタブ12を当接してから、第1の凹部33の底面331にレーザを照射し、レーザによって接続部324の一部と第1のタブ12の一部を溶融し接続することにより、接続部324と第1のタブ12の溶接を実現することができる。
【0172】
本実施例は、凸部32の接続部324を第1のタブ12に直接溶接することができ、他の中継部件が不要であり、それによって、電池セル7の構造を簡略化する。本実施例は、第1の凹部33を設置することにより接続部324の厚さを小さくし、このように、接続部324と第1のタブ12を溶接するために必要な溶接パワーを小さくし、発生する熱を減少し、他の部件が焼損されるリスクを低減させることができる。
【0173】
幾つかの例において、カバー本体31は第1の板体311と第2の板体312とを含み、第1の板体311は凸部32の外側に周回され、且つケース20とレーザ溶接するために用いられ、凸部32は第2の板体312の外側に周回される。
【0174】
第1の板体311と第2の板体312はいずれも略平板構造である。第1の板体311と凸部32はいずれも環状である。
【0175】
凸部32はレーザを遮断するために用いられるため、凸部32と側壁22のピッチは比較的に小さく、これは、第1の板体311の全体的な面積は比較的に小さいことを招く。電池セルが電力使用装置に取り付けられた後、凸部32の電極アセンブリ10と反対する一方側に第1の凹部33が形成されるため、電力使用装置の支持構造は一般的に凸部32によって電池セル7を支持することができない。カバー本体31が第1の板体311のみを含む場合、電池セルが電力使用装置に取り付けられると、電力使用装置の支持構造は、第1の板体311によって電池セル7全体を支持することしかできず、これは、第1の板体311にかかる力が比較的に大きく、変形しやすく、電池セル7の安定性が不足することを招く。本出願の実施例は、凸部32の内側に第2の板体312を設置することにより、カバー本体31の面積を増やし、それによって、外部の支持構造はカバー本体31によって電池セル7を効果的に支持することができ、電池セル7の構造の安定性を向上させる。
【0176】
幾つかの実施例において、電池セル7は集電部件50をさらに含み、集電部件50は、電極アセンブリ10の第1のタブ12とエンドカバー30を電気的に接続するために用いられる。
【0177】
集電部件50はエンドカバー30と第1のタブ12を導通することができ、それによって、ケース20と第1のタブ12を同じ極性にする。
【0178】
集電部件50は、溶接、接着又は他の方法によって第1のタブ12に接続されることにより、第1のタブ12との電気的接続を実現することができる。集電部件50は、溶接、接着又は他の方法によってエンドカバー30に接続されることにより、エンドカバー30との電気的接続を実現することができる。
【0179】
集電部件50は、凸部32に接続されてもよく、第2の板体312に接続されてもよい。
【0180】
凸部32の内、外両側には第2の板体312と第1の板体311がそれぞれ設置され、第1の板体311はケース20と溶接するために用いられ、外部の支持構造は第1の板体311と第2の板体312によって電池セル7を支持することができ、それによって、電池セル7の構造の安定性を向上させる。
【0181】
凸部32はカバー本体31から突出するため、凸部32はカバー本体31と第1のタブ12を厚さ方向Zにおいて仕切ることができ、エンドカバー30と第1のタブ12を直接接続する場合、第1のタブ12はエンドカバー30の凸部32しか接続できない。凸部32と第1のタブ12を直接接続する場合、第1のタブ12の凸部32に対向する部分のみは凸部32に直接接続することができ、第1のタブ12の電流を直接伝送することができる領域が凸部32に制限されてしまい、凸部32と第1のタブ12との間の過電流面積の不足を招き、第1のタブ12の第2の板体312に厚さ方向Zにおいて対向する部分における電流は、先ず、第1のタブ12の凸部32に溶接される部分に流れ、次に凸部32に流れる必要があり、これは、第1のタブ12の異なる領域とエンドカバー30との間の導電経路の差異が大きいことを引き起こし、電池セル7の過電流能力と充電効率に影響を及ぼす。
【0182】
本出願の実施例は、集電部件50を設置することにより第1のタブ12とエンドカバー30を接続し、第1のタブ12の電流を直接伝送することができる領域は凸部32に制限されなくなり、第1のタブ12の電流は集電部件50を介してエンドカバー30に合流することができ、このように、集電部件50は、第1のタブ12の異なる領域とエンドカバー30との間の導電経路の差異を小さくし、第1の極シートの電流密度の均一性を向上させ、内部抵抗を小さくし、電池セル7の過電流能力と充電効率を向上させることができる。
【0183】
幾つかの実施例において、集電部件50は第1の集電部51と第1の集電部51に接続される第2の集電部52とを含み、第1の集電部51は第1のタブ12を接続することにより集電部件50と第1のタブ12を電気的に接続するために用いられ、第2の集電部52は第1の集電部51の外側に周回され、第2の集電部52は凸部32と第2の板体312のうちの少なくとも1つを接続することにより集電部件50とエンドカバー30を電気的に接続するために用いられる。
【0184】
第1の集電部51は、溶接、接着又は他の方法によって第1のタブ12に接続することができ、第2の集電部52は、溶接、接着又は他の方法によってエンドカバー30に接続することができる。
【0185】
幾つかの実施例において、第1の集電部51は、第2の板体312と第1のタブ12との間に位置し且つ第1のタブ12に溶接され、第2の集電部52は、第1のタブ12と凸部32との間に位置し且つ凸部32に溶接される。
【0186】
エンドカバー30と集電部件50を装着する時に、レーザを凸部32の第2の集電部52と反対する表面に作用することができ、それによって、外側から凸部32と第2の集電部52を溶接する。本実施例は、第1の凹部33を設置することにより、凸部32の接続部324の厚さを小さくし、このように、凸部32と第2の集電部52を溶接するために必要な溶接パワーを小さくし、発生する熱を減少し、他の部件(例えばセパレータ)が焼損されるリスクを低減させることができる。
【0187】
選択可能に、第2の集電部52の凸部32と反対する表面は第1のタブ12に当接し、このように、凸部32は第2の集電部52によって第1のタブ12を支持する。第1の集電部51の第1のタブ12に向かう表面は第1のタブ12に当接し且つ溶接される。
【0188】
幾つかの実施例において、集電部件50は平板状である。
【0189】
平板状の集電部件50はより成型されやすい。平板状の集電部件50は全体として第1のタブ12に接触することができ、それによって、過電流面積を増やし、集電部件50によって第1のタブ12をより均一に支持し、厚さ方向Zにおける電極アセンブリ10の極シートのオフセット、位置ずれのリスクを低減させる。
【0190】
平板状の集電部件50において、集電部件50の凸部32に当接される部分は第2の集電部52であり、集電部件50の第2の集電部52に周回される部分は第1の集電部51である。
【0191】
幾つかの実施例において、凸部32は集電部件50によって電極アセンブリ10に支持される。
【0192】
本実施例の凸部32は、第1の集電部51と第2の集電部52によって電極アセンブリ10を支持することができ、それによって、厚さ方向Zにおける電極アセンブリ10の極シートのオフセット、位置ずれのリスクを低減させる。
【0193】
図7は、本出願の別の幾つかの実施例による電池セルの断面概略図である。
図8は、
図7に示した電池セルの矩形枠C箇所の拡大概略図である。
【0194】
図7と
図8に示すように、幾つかの実施例において、集電部件50は第2の板体312と第1のタブ12との間に位置し、且つ凸部32は集電部件50の外側に周回される。
【0195】
本実施例において、凸部32は厚さ方向Zに集電部件50に重ならず、このように、エンドカバー30と集電部件50が厚さ方向Zにおいて占めるスペースを小さくし、エネルギー密度を向上させることができる。
【0196】
幾つかの実施例において、第2の集電部52は第2の板体312に溶接され、第1の集電部51は第1のタブ12に溶接される。
【0197】
第2の集電部52は第2の板体312に直接当接され、且つレーザ溶接によって第2の板体312に繋げられる。例示的に、レーザは第2の板体312に作用することができ、それによって、外側から第2の板体312と第2の集電部52を溶接する。
【0198】
溶接によって第2の集電部52と第2の板体312との間の接触抵抗、及び第1の集電部51と第1のタブ12との間の接触抵抗を小さくし、過電流能力を向上させることができる。
【0199】
幾つかの実施例において、第1の集電部51は、第2の集電部52の電極アセンブリ10に向かう表面に凸設され、且つ集電部件50の第1の集電部51に対応する位置には、第2の集電部52の電極アセンブリ10と反対する表面から電極アセンブリ10に向かう方向に沿って凹む第2の凹部53が形成される。
【0200】
第1の集電部51は第2の集電部52に凸設され且つ第1のタブ12に当接し、それによって、第1のタブ12と第2の集電部52を仕切り、このように、第2の板体312と第2の集電部52を溶接する時に、電極アセンブリ10に伝達される熱を減少し、電極アセンブリ10のセパレータが焼損されるリスクを低減させることができる。
【0201】
本実施例は、第2の凹部53を設置することにより第1の集電部51の厚さを小さくし、このように、第1の集電部51と第1のタブ12を溶接するために必要な溶接パワーを小さくし、発生する熱を減少し、他の部件(例えばセパレータ)が焼損されるリスクを低減させることができる。
【0202】
幾つかの実施例において、凸部32と第1の集電部51は電極アセンブリ10に支持される。
【0203】
第1の集電部51は第1のタブ12の中部領域を支持し、凸部32は第1のタブ12のエッジ領域を支持し、このように、第1のタブ12にかかる力の均一性を向上させ、厚さ方向Zにおける電極アセンブリ10の極シートのオフセット、位置ずれのリスクを低減させることができる。
【0204】
幾つかの実施例において、エンドカバー30には第2の板体312に接続される圧力逃し機構34が設置され、圧力逃し機構34は、電池セル7の内部の圧力が閾値に達する場合に動作することにより、内部の圧力を逃すように構成される。厚さ方向Zにおいて、第1の集電部51と圧力逃し機構34は対向して設置され、且つ第1の集電部51と圧力逃し機構34との間に逃げ隙間Gを有する。
【0205】
圧力逃し機構34とは、電池セル7の内部の圧力が予め設定した閾値に達する場合に動作することにより内部の圧力を逃す素子又は部材を指す。該閾値設計は設計需要によって異なる。前記閾値は、電池セル7における正極シート、負極シート、電解液及びセパレータのうちの1種又は複数種の材料によって決められる可能性がある。圧力逃し機構34は、例えば防爆弁、空気弁、圧力逃し弁又は安全弁などの形式を採用することができ、そして、具体的に、感圧素子又は構造を採用することができ、即ち、電池セル7の内部の圧力が予め設定した閾値に達する場合に、圧力逃し機構34は動作を実行し、或いは圧力逃し機構34に設置される薄い構造は破裂し、それによって、内部の圧力又は温度を逃すことができる開口又は通路が形成される。
【0206】
本出願において言及される「動作する」とは、圧力逃し機構34が動作し又は一定の状態にアクティブ化され、それによって、電池セル7の内部の圧力を逃すことを指す。圧力逃し機構34によって発生される動作は、圧力逃し機構34の少なくとも一部が破裂する、破砕する、引裂される或いは開かれるなどを含むが、これらに限らない。圧力逃し機構34が動作する時に、電池セル7の内部の高温高圧物質は排出物として動作する箇所から外部に排出される。この方法によれば、圧力を制御することができる状況において、電池セル7の圧力を逃すことができ、それによって、潜在的なより深刻な事故の発生を回避する。
【0207】
本出願において言及される電池セル7からの排出物は、電解液、溶解又は分裂された正負極シート、セパレータの破片、反応によって発生した高温高圧気体、火炎などを含むが、これらに限らない。
【0208】
圧力逃し機構34はエンドカバー30の一部であり、それは第2の板体312と一体に形成されてもよい。その代わりに、圧力逃し機構34と第2の板体312は、別々に提供される2つの部件であってもよく、両者は、溶接、カシメ、接着又は他の方法によって接続される。
【0209】
第1の集電部51と圧力逃し機構34は厚さ方向Zにおいて少なくとも部分的に重ねており、従って、第1の集電部51が圧力逃し機構34に接触する場合、圧力逃し機構34が動作する時に、第1の集電部51は高温高圧物質の排出を遮断し、安全リスクを引き起こす可能性がある。また、第1の集電部51が圧力逃し機構34に接触する場合、電池セル7が振動する時に、第1の集電部51は圧力逃し機構34を押し潰し、圧力逃し機構34の無効を招く可能性がある。
【0210】
本実施例は、第1の集電部51と圧力逃し機構34との間に逃げ隙間Gが設置されることにより、第1の集電部51が圧力逃し機構34を押し潰すリスクを低減させ、且つ圧力逃し機構34が動作する時にスムーズに排気することを確保し、安全リスクを低減させる。
【0211】
幾つかの実施例において、本出願は、第1の集電部51のエンドカバー30に向かう一方側に第2の凹部53が設置され、それによって、第1の集電部51と圧力逃し機構34を仕切って逃げ隙間Gを形成する。別の幾つかの実施例において、平板状の集電部件50に対して、凸部32は第2の集電部52によって第1の集電部51を支持することにより、第1の集電部51と圧力逃し機構34を仕切って逃げ隙間Gを形成する。
【0212】
幾つかの実施例において、エンドカバー30の圧力逃し機構34に対応する位置には、第2の板体312の外面から電極アセンブリ10に向かう方向に沿って凹む第3の凹部341が形成され、第3の凹部341の底部に凹溝が設置される。電池セル7の内部の圧力が閾値に達する場合に、圧力逃し機構34は凹溝に沿って破裂することにより、内部の圧力を逃す。
【0213】
幾つかの実施例において、第2の板体312は圧力逃し機構34の外側に周回される環形平板である。
【0214】
幾つかの実施例において、電極アセンブリ10は捲回式構造であり、電極アセンブリ10は捲回の中心箇所において第1の貫通穴14を有する。第1の集電部51に第2の貫通穴511が設置され、第2の貫通穴511と第1の貫通穴14は対向して設置されることにより、第1の貫通穴14と逃げ隙間Gを連通する。
【0215】
厚さ方向Zにおいて、第1の貫通穴14と第2の貫通穴511は少なくとも部分的に重ねる。
【0216】
電極アセンブリ10が熱暴走するとき、高温高圧物質は第1の貫通穴14と第2の貫通穴511を介して逃げ隙間Gに速やかに進入し且つ圧力逃し機構34に作用することができ、それによって、圧力逃し機構34は速やかに動作し、安全リスクを低減させる。
【0217】
図9は、本出願の幾つかの実施例による電池セルの製造方法のプロー概略図である。
【0218】
図9に示すように、本出願の実施例の電池セルの製造方法は、ステップS100~ステップS400を含む。
【0219】
S100:開口を有するケースを提供する。
【0220】
S200:電極アセンブリを提供し、且つ電極アセンブリをケース内に取り付ける。
【0221】
S300:エンドカバーを提供し、エンドカバーはカバー本体と凸部とを含み、カバー本体は凸部の外側に少なくとも部分的に周回され、凸部はエンドカバーの厚さ方向にカバー本体の内面から突出し、エンドカバーの凸部に対応する位置にはカバー本体の外面に対して凹む第1の凹部が形成される。
【0222】
S400:カバー本体をケースに当接し、そして、カバー本体とケースの当接箇所にレーザを照射し、それによって、カバー本体をケースに溶接し、エンドカバーを開口に冠着させる。
【0223】
そのうち、凸部はカバー本体の内面から電極アセンブリに向かう方向に沿って突出し、且つカバー本体とケースを溶接する時にレーザを遮断するため用いられ、第1の凹部はカバー本体の外面から電極アセンブリに向かう方向に沿って凹み、且つカバー本体とケースを溶接する時に応力を逃すために用いられる。
【0224】
説明すべきものとして、上述した電池セルの製造方法によって製造される電池セルの関連構造は、上述した各実施例による電池セルを参照することができる。
【0225】
上述した電池セルの製造方法に基づいて電池セルを組み立てる時に、上述したステップに従って順次に行う必要が無く、つまり、実施例において言及される順序に従ってステップを実行してもよく、実施例において言及される順序と異なる順序に従ってステップを実行してもよく、或いはいくつかのステップを同時に実行してもよい。例えば、ステップS100、S300の実行は前後の順序によらず、同時に行ってもよい。
【0226】
図10は、本出願の幾つかの実施例による電池セルの製造システムの概略ブロック図である。
【0227】
図11に示すように、本出願の実施例は電池セルの製造システム90をさらに提供する。この製造システムは、
【0228】
開口を有するケースを提供するための第1の提供装置91と、
【0229】
電極アセンブリを提供し、且つ電極アセンブリをケース内に取り付けるための第2の提供装置92と、
【0230】
エンドカバーを提供するための第3の提供装置93であって、エンドカバーはカバー本体と凸部とを含み、カバー本体は凸部の外側に少なくとも部分的に周回され、凸部はエンドカバーの厚さ方向にカバー本体の内面から突出し、エンドカバーの凸部に対応する位置にはカバー本体の外面に対して凹む第1の凹部が形成される第3の提供装置93と、
【0231】
カバー本体をケースに当接し、そして、カバー本体とケースの当接箇所にレーザを照射し、それによって、カバー本体をケースに溶接し、エンドカバーを開口に冠着させるための組立装置94とを含み、
【0232】
そのうち、凸部はカバー本体の内面から電極アセンブリに向かう方向に沿って突出し、且つカバー本体とケースを溶接する時にレーザを遮断するために用いられ、第1の凹部はカバー本体の外面から電極アセンブリに向かう方向に沿って凹み、且つカバー本体とケースを溶接する時に応力を逃すために用いられる。
【0233】
上述した製造システムによって製造される電池セルの関連構造は、上述した各実施例による電池セルを参照することができる。
【0234】
説明すべきことは、矛盾しない限り、本出願における実施例及び実施例における特徴は相互に組み合わせることができる。
【0235】
最後に説明すべきものとして、以上の実施例は、本出願の技術案を説明するためのものに過ぎず、制限するためのものではない。上述した実施例を参照して本出願を詳しく説明したが、当業者が理解できるように、依然として、上述した実施例に記載される技術案を修正したり、或いは、そのうちの一部の技術的特徴を等価置換したりすることができ、これらの修正或いは置換によって、対応する技術案の本質が本出願の各実施例の技術案の要旨及び範囲から逸脱することはない。
【国際調査報告】