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特表2023-547774高速データチャネルのための非線形ニューラルネットワーク等化器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】高速データチャネルのための非線形ニューラルネットワーク等化器
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/03 20060101AFI20231107BHJP
   H04B 3/06 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
H04L25/03 C
H04B3/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519485
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 US2021016141
(87)【国際公開番号】W WO2022103422
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/112,504
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520078248
【氏名又は名称】マーベル アジア ピーティーイー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナンガレ、ニティン
【テーマコード(参考)】
5K029
5K046
【Fターム(参考)】
5K029AA03
5K029CC01
5K029CC04
5K029FF02
5K029HH08
5K029KK24
5K046AA01
5K046BB05
5K046EE10
5K046EE14
5K046EE47
(57)【要約】
集積回路デバイス上のデータチャネルにおける使用のためのレシーバは、前記データチャネル上の信号のデジタル化されたサンプルを入力として有する非線形等化器、前記非線形等化器の出力から、前記信号の各々のそれぞれの値を判断するよう構成された決定回路、及び前記値のそれぞれに基づいて、前記非線形等化器のパラメータを適応させるよう構成された適応回路を含む。前記非線形等化器は、多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器又は低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器などのニューラルネットワーク等化器であり得る。集積回路デバイス上のデータチャネル上でデータを検出するための方法は、前記データチャネル上の入力信号のデジタル化されたサンプルの非線形等化を実行する段階、前記非線形等化の出力信号から、前記出力信号の各々のそれぞれの値を判断する段階、及び前記値のそれぞれに基づいて、前記非線形等化のパラメータを適応させる段階を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路デバイス上のデータチャネルにおける使用のためのレシーバ、ここで前記レシーバが:
前記データチャネル上の信号のデジタル化されたサンプルを入力として有する非線形等化器;
前記非線形等化器の出力から、前記信号の各々のそれぞれの値を判断するよう構成された決定回路;及び
前記値のそれぞれに基づいて、前記非線形等化器のパラメータを適応させるよう構成された適応回路
を備える、レシーバ。
【請求項2】
前記非線形等化器の入力に対して、前記決定回路により出力された値をフィードバックして符号間干渉を軽減するよう構成されたフィードバック回路をさらに備える、請求項1に記載のレシーバ。
【請求項3】
前記フィードバック回路が決定フィードバック等化器を有する、請求項2に記載のレシーバ。
【請求項4】
前記非線形等化器がニューラルネットワーク等化器である、請求項1から3のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項5】
前記ニューラルネットワーク等化器が多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器である、請求項4に記載のレシーバ。
【請求項6】
前記多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器が低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器である、請求項5に記載のレシーバ。
【請求項7】
前記決定回路が閾値回路を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項8】
前記決定回路が符号に対して動作し、
前記閾値回路が複数の閾値を有し、前記複数の閾値に対する前記非線形等化器の出力の値に基づいて、複数の符号から符号を選択する
請求項7に記載のレシーバ。
【請求項9】
前記決定回路がビットに対して動作し、
前記非線形等化器が各ビットについての確立予測を出力し、
前記閾値回路が、前記確立予測の0.5に対する比較に基づいて、各ビットに値を割り当てる、
請求項7に記載のレシーバ。
【請求項10】
前記適応回路が、平均二乗誤差に基づいて前記非線形等化器のパラメータを適応させる、請求項1から9のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項11】
前記適応回路が、交差エントロピーに基づいて前記非線形等化器のパラメータを適応させる、請求項1から9のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項12】
前記非線形等化器が線形フィルタ及び非線形活性化関数を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項13】
前記非線形活性化関数が双曲線正接関数である、請求項12に記載のレシーバ。
【請求項14】
前記非線形活性化関数がシグモイド関数である、請求項12に記載のレシーバ。
【請求項15】
集積回路デバイス上のデータチャネル上でデータを検出するための方法であって、前記方法が:
前記データチャネル上の入力信号のデジタル化されたサンプルの非線形等化を実行する段階;
前記非線形等化の出力信号から、前記出力信号の各々のそれぞれの値を判断する段階;及び
前記値のそれぞれに基づいて、前記非線形等化のパラメータを適応させる段階
を備える、方法。
【請求項16】
前記判断する段階によって出力された前記それぞれの値のうちの1つを前記非線形等化の入力にフィードバックして、符号間干渉を軽減する段階をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記非線形等化を実行する段階が:
線形等化を実行する段階;及び
前記線形等化によって出力された信号に非線形活性化関数を適用する段階
を有する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記判断する段階によって出力された各それぞれの値がそれぞれの候補符号を表し、
前記適応させる段階が、前記それぞれの候補符号及び目標符号の間の平均二乗誤差を最小化する段階を有する
請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記判断する段階によって出力された各それぞれの値がそれぞれの候補符号を表し、
前記適応させる段階が:
前記それぞれの候補符号から、出力符号及び前記出力符号の対数尤度比を判断する段階;及び
前記出力符号及び前記出力符号の前記対数尤度比の間の交差エントロピーを最小化する段階
を有する、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記判断する段階によって出力された各それぞれの値が出力符号のそれぞれの候補ビットを表し、
前記適応させる段階が:
各それぞれの候補ビットから、それぞれの出力ビット及び前記それぞれの出力ビットの対数尤度比を判断する段階;及び
各それぞれの候補ビット及び前記それぞれの出力ビットの前記対数尤度比の間の交差エントロピーを最小化する段階
を有する、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
集積回路デバイス上のデータチャネル上でデータを検出するための装置であって、前記装置が:
前記データチャネル上の入力信号のデジタル化されたサンプルの非線形等化を実行するための手段;
前記非線形等化を実行するための手段の出力信号から、前記出力信号の各々のそれぞれの値を判断するための手段;及び
前記値のそれぞれに基づいて、前記非線形等化のパラメータを適応させるための手段
を備える、装置。
【請求項22】
前記判断するための手段によって出力された前記それぞれの値のうちの1つを、前記非線形等化を実行するための手段の入力にフィードバックして、符号間干渉を軽減するための手段をさらに備える、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記非線形等化を実行するための手段が:
線形等化を実行するための手段;及び
前記線形等化を実行するための手段によって出力された信号に非線形活性化関数を適用するための手段
を有する、請求項21又は22に記載の装置。
【請求項24】
前記判断するための手段によって出力された各それぞれの値がそれぞれの候補符号を表し、
前記適応させるための手段が、前記それぞれの候補符号及び目標符号の間の平均二乗誤差を最小化するための手段を有する
請求項21から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記判断するための手段によって出力された各それぞれの値がそれぞれの候補符号を表し、
前記適応させるための手段が:
前記それぞれの候補符号から、出力符号及び前記出力符号の対数尤度比を判断するための手段;及び
前記出力符号及び前記出力符号の前記対数尤度比の間の交差エントロピーを最小化するための手段
を有する、請求項21から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記判断するための手段によって出力された各それぞれの値が出力符号のそれぞれの候補ビットを表し、
前記適応させるための手段が:
各それぞれの候補ビットから、それぞれの出力ビット及び前記それぞれの出力ビットの対数尤度比を判断するための手段;及び
各それぞれの候補ビット及び前記それぞれの出力ビットの前記対数尤度比の間の交差エントロピーを最小化するための手段
を有する、請求項21から23のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本開示は、本発明の譲受人に譲渡された同時係属中の、2020年11月11日に出願された米国仮特許出願第63/112,504号の利益を主張し、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、高速データチャネルのレシーバ側における非線形等化器の使用に関する。より具体的には、本開示は、集積回路デバイス上の高速SERDES(シリアアライザ・デシリアライザ)チャネルのレシーバ側における非線形ニューラルネットワーク等化器の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書において提供される背景説明は、本開示の文脈を全般的に提供することを目的とする。本明細書の考案者の研究は、その研究がこの背景セクションに記載されている限り、出願時に先行技術として認められ得ない説明の態様と同様に、本開示の主題に対する先行技術であると明示的にも黙示的にも認められない。
【0004】
多くの集積回路デバイス、特に「システムオンチップ」(SoC)は、様々なデバイスコンポーネント(例えば、SoCにおける個々のシリコンダイス)間に高速シリアルリンクを含む。「SERDES」(シリアライザ/デシリアライザ)として一般的に知られているそのタイプの典型的な高速シリアルリンクは、例えば挿入損失、符号間干渉(ISI)などの結果として、信号経路における著しい非直線性又はチャネル障害、及び、光学系における散乱損失などの非直線性、又は銅(すなわち、配線)システムにおけるクロストーク、ジッタを被り得る。そのようなチャネル障害の軽減を試みるために、そのようなリンクのレシーバ端において様々な形態の線形等化が典型的に使用されている。しかしながら、特に、区別すべきデータレベルが互いに近い場合に、線形等化はそのような非直線性を補償するのに十分でない場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の主題のいくつかの実装形態によれば、集積回路デバイス上のデータチャネルにおける使用のためのレシーバは、前記データチャネル上の信号のデジタル化されたサンプルを入力として有する非線形等化器、前記非線形等化器の出力から、前記信号の各々のそれぞれの値を判断するよう構成された決定回路、及び前記値のそれぞれに基づいて、前記非線形等化器のパラメータを適応させるよう構成された適応回路を含む。
【0006】
そのようなレシーバの第1の実装形態は、前記非線形等化器の入力に対して、前記決定回路により出力された値をフィードバックして符号間干渉を軽減するよう構成されたフィードバック回路をさらに含み得る。
【0007】
その第1の実装形態の第1の例において、前記フィードバック回路は決定フィードバック等化器を含み得る。
【0008】
その第1の実装形態の第2の例において、前記非線形等化器はニューラルネットワーク等化器であり得る。その第1の例の第1の変形例において、前記ニューラルネットワーク等化器は多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器であり得る。そのような変形例において、前記多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器は低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器であり得る。
【0009】
そのようなレシーバの第2の実装形態において、前記決定回路は閾値回路を含み得る。
【0010】
その第2の実装形態の第1の例において、前記決定回路が符号に対して動作し得、前記閾値回路が複数の閾値を有し得、前記複数の閾値に対する前記非線形等化器の出力の値に基づいて、複数の符号から符号を選択し得る。
【0011】
その第2の実装形態の第2の例において、前記決定回路がビットに対して動作し得、前記非線形等化器が各ビットについての確立予測を出力し得、前記閾値回路が、前記確立予測の0.5に対する比較に基づいて、各ビットに値を割り当て得る。
【0012】
そのようなレシーバの第3の実装形態において、前記適応回路は、平均二乗誤差に基づいて前記非線形等化器のパラメータを適応させ得る。
【0013】
そのようなレシーバの第4の実装形態において、前記適応回路は、交差エントロピーに基づいて前記非線形等化器のパラメータを適応させる。
【0014】
そのようなレシーバの第5の実装形態において、前記非線形等化器は、線形フィルタ及び非線形活性化関数を含み得る。
【0015】
その第5の実装形態の第1の例において、前記非線形活性化関数は双曲線正接関数であり得る。その第5の実装形態の第2の例において、前記非線形活性化関数はシグモイド関数であり得る。
【0016】
本開示の主題の他の実装形態によれば、集積回路デバイス上のデータチャネル上でデータを検出するための方法は、前記データチャネル上の入力信号のデジタル化されたサンプルの非線形等化を実行する段階、前記非線形等化の出力信号から、前記出力信号の各々のそれぞれの値を判断する段階、及び前記値のそれぞれに基づいて、前記非線形等化のパラメータを適応させる段階を含む。
【0017】
そのような方法の第1の実装形態は、前記判断する段階によって出力された前記それぞれの値のうちの1つを前記非線形等化の入力にフィードバックして、符号間干渉を軽減する段階をさらに含み得る。
【0018】
そのような方法の第2の実装形態において、前記非線形等化を実行する段階は、線形等化を実行する段階、及び前記線形等化によって出力された信号に非線形活性化関数を適用する段階を含み得る。
【0019】
そのような方法の第3の実装形態において、前記判断する段階によって出力された各それぞれの値がそれぞれの候補符号を表し、前記適応させる段階が、前記それぞれの候補符号及び目標符号の間の平均二乗誤差を最小化する段階を含み得る。
【0020】
そのような方法の第4の実装形態において、前記判断する段階によって出力された各それぞれの値がそれぞれの候補符号を表し、前記適応させる段階が、前記それぞれの候補符号から、出力符号及び前記出力符号の対数尤度比を判断する段階、及び前記出力符号及び前記出力符号の前記対数尤度比の間の交差エントロピーを最小化する段階を含み得る。
【0021】
そのような方法の第5の実装形態において、前記判断する段階によって出力された各それぞれの値が出力符号のそれぞれの候補ビットを表し、前記適応させる段階が、各それぞれの候補ビットから、それぞれの出力ビット及び前記それぞれの出力ビットの対数尤度比を判断する段階、及び各それぞれの候補ビット及び前記それぞれの出力ビットの前記対数尤度比の間の交差エントロピーを最小化する段階を含み得る。
【0022】
本開示の主題のなお他の実装形態によれば、集積回路デバイス上のデータチャネル上でデータを検出するための装置は、前記データチャネル上の入力信号のデジタル化されたサンプルの非線形等化を実行するための手段、前記非線形等化を実行するための手段の出力信号から、前記出力信号の各々のそれぞれの値を判断するための手段、及び前記値のそれぞれに基づいて、前記非線形等化のパラメータを適応させるための手段を含み得る。
【0023】
そのような装置の第1の実装形態は、前記判断するための手段によって出力された前記それぞれの値のうちの1つを、前記非線形等化を実行するための手段の入力にフィードバックして、符号間干渉を軽減するための手段をさらに含み得る。
【0024】
そのような装置の第2の実装形態において、前記非線形等化を実行するための手段が、線形等化を実行するための手段、及び前記線形等化を実行するための手段によって出力された信号に非線形活性化関数を適用するための手段を含み得る。
【0025】
そのような装置の第3の実装形態において、前記判断するための手段によって出力された各それぞれの値がそれぞれの候補符号を表し、前記適応させるための手段が、前記それぞれの候補符号及び目標符号の間の平均二乗誤差を最小化するための手段を含み得る。
【0026】
そのような装置の第4の実装形態において、前記判断するための手段によって出力された各それぞれの値がそれぞれの候補符号を表し、前記適応させるための手段が、前記それぞれの候補符号から、出力符号及び前記出力符号の対数尤度比を判断するための手段、及び前記出力符号及び前記出力符号の前記対数尤度比の間の交差エントロピーを最小化するための手段を含み得る。
【0027】
そのような装置の第5の実装形態において、前記判断するための手段によって出力された各それぞれの値が出力符号のそれぞれの候補ビットを表し、前記適応させるための手段が、各それぞれの候補ビットから、それぞれの出力ビット及び前記それぞれの出力ビットの対数尤度比を判断するための手段、及び各それぞれの候補ビット及び前記それぞれの出力ビットの前記対数尤度比の間の交差エントロピーを最小化するための手段を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示のさらなる特徴、その性質、及び様々な利点は、同様の参照符号が全体を通して同様の部分を指す、添付の図面と併せて解釈される以下の詳細な説明を考慮すると明らかになるであろう。
【0029】
図1】本開示の主題の実装形態に従って処理され得る例示的な信号の2つの異なるグラフ表現を示す。
【0030】
図2】本開示の主題の実装形態が共に使用され得るSERDESチャネルの概略的表現である。
【0031】
図3】本開示の主題の実装形態によって解決される問題を示す、デカルト座標空間における排他的OR関数のプロットである。
【0032】
図4】本開示の主題の実装形態に基づく解決策を示す、図3の排他的OR関数の異なる座標空間への変換のプロットである。
【0033】
図5】本開示の主題を組み込んだレシーバの第1の実装形態の図である。
【0034】
図6】本開示の主題を組み込んだレシーバの第2の実装形態の図である。
【0035】
図7】本開示の主題を組み込んだレシーバの第3の実装形態の図である。
【0036】
図8】本開示の主題を組み込んだレシーバの第4の実装形態の図である。
【0037】
図9】本開示の主題を組み込んだレシーバの第5の実装形態の図である。
【0038】
図10】本開示の主題を組み込んだレシーバの第6の実装形態の図である。
【0039】
図11】本開示の主題の実装形態による方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
上記のように、集積回路デバイスは、様々なデバイスコンポーネント間に高速SERDESリンクを含み得る。典型的なSERDESリンクは、例えば挿入損失、符号間干渉(ISI)などの結果として、信号経路における著しい非直線性又はチャネル障害、及び、光学系における散乱損失などの非直線性、又は銅(すなわち、配線)システムにおけるクロストーク、ジッタを被り得る。そのようなチャネル障害への対処を試みるために、そのようなリンクのレシーバ端において様々な形態の線形等化が典型的に使用されている。
【0041】
しかしながら、特に、区別すべきデータレベルが互いに近い場合に、線形等化はそのような非直線性を補償するのに十分でない場合がある。例えば、2レベルを使用して「0」及び「1」を表す典型的な非ゼロ復帰(NRZ)シグナリングとは対照的に、SoCデバイスにおけるSERDESは、4つの電圧レベルを有するが最大電圧振幅がNRZシグナリングと同じである4レベルパルス振幅変調(PAM4)シグナリングを使用して4つの可能な2ビット符号(「00」、「01」、「10」、「11」)を表し得る。そのため、その電圧範囲内の1つの閾値が2つの信号レベル間を分割するのではなく、4つの信号レベル間を分割する3つの閾値が電圧範囲内にある。いくつかの場合では、信号レベルが互いにさらにより近い、8レベルパルス振幅変調(PAM8)又は16レベルパルス振幅変調(PAM16)などのより高次のシグナリングが使用される。閾値が互いに近い場合、線形等化は、レベル間の閾値に近いサンプルを閾値の正しい側に正確に割り当てるのに十分でない場合がある。
【0042】
本開示の主題の実装形態によれば、非線形等化は、SERDESチャネルにおける非直線性を補償し、それにより、ビット誤り率(BER)を低減するために使用される。異なる実装形態では、異なるタイプの非線形等化器が使用され得る。
【0043】
概念的に、線形等化器は、二次元(例えば、(x,y))空間にプロットされたサンプルのグループ間に実質的に直線を描くことによって、1つレベル又は別のレベルへの割り当てのためのサンプルの分離を実行する。直線性が不十分なチャネルにおいて、又はレベルが互いに近すぎる場合には、そのようなプロット上で異なるレベルからのサンプル間に描かれ得る直線がない場合がある。非線形等化器は、サンプルを、異なるレベルからのサンプルが直線又は他の滑らかな曲線によって分離され得る異なる空間に実質的に再マッピングする。
【0044】
本開示の主題の実装形態による非線形等化器は、多少複雑であり得る。例えば、非線形等化器は、より多い又はより少ない変数又はタップを有し得、複雑性は変数の数に比例する。加えて、ビットレベルで動作する、すなわち、符号全体に対してではなく各符号のビット(例えば、PAM4シグナリングでは2ビット/符号)に対して別個に動作する非線形等化器は、符号レベルで動作する非線形等化器よりも複雑性がより小さい場合がある。いずれにせよ、他の全ての検討事項が同等である場合、より大きい複雑性はより良い性能をもたらす。しかしながら、より大きい複雑性はまた、より大きいデバイス面積及び/又は電力消費を必要とし得る。
【0045】
本開示の主題に従って使用され得る非線形等化器のタイプは、多層パーセプトロンニューラルネットワーク(MLPNN)等化器及び低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク(RC-MLPNN)等化器を含み得る。非線形等化器は、以前の結果の寄与をフィルタリングにより除外して符号間干渉を軽減するために決定フィードバック等化器を組み込み得る、又はそれにより補完され得る。
【0046】
非線形等化器の性能は、等化器の適応のために使用されるコスト関数によって影響を受け得る。例えば、本開示の主題の実装形態によれば、非線形等化器は、最小平均二乗誤差(MMSE又はMSE)コスト関数又は交差エントロピー(CE)ベースのコスト関数のいずれかを含む、適応のための様々な異なるコスト関数のうちの1つを使用し得る。CEベースのコスト関数はMMSEコスト関数よりも良好な結果をもたらし得るが、CEベースのコスト関数はMMSEコスト関数よりも複雑である。
【0047】
したがって、本開示の主題の実装形態によれば、どの形態の非線形等化器を使用するか及びどのコスト関数を使用するかの選択は、コスト対性能のトレードオフであり得る。
【0048】
本開示の主題は、図1から図11を参照することによってよりよく理解され得る。
【0049】
図1及び図2は、本開示の主題の実装形態が共に使用され得るSERDESチャネル200上で生じ得る、PAM4信号の送受信/検出を示す。6個の2ビット符号111のセット101(「00」)、121(「10」)、131(「01」)、141(「10」、151(「11」)、161(「10」)が、物理的トポロジーの特定の実装形態ではコネクタ203によってチャネル媒体204に結合された送信器プリント回路板(PCB)202上に搭載され得るチャネル200の送信端201に送信される。チャネル媒体204は、光学(例えば、ファイバ)チャネルであり得るか、又は有線チャネル(例えば、銅ワイヤ又はPCBトレース)であり得る。チャネル200の受信端では、PAM4レシーバ211は、コネクタ213によってチャネル媒体204に結合されたレシーバPCB212上に搭載され得る。
【0050】
アイダイアグラム102は、理想化された受信信号111~116を、はっきりと定義されたデータアイ112、122、132と共に表す。はっきりとした点線142、152、162、172はそれぞれ、4つのデータ符号値「00」、「01」、「10」、及び「11」に対する実際の電圧レベルを表す。細かい点線110、120、130は、4つのデータ符号値「00」、「01」、「10」、及び「11」を分ける閾値の検出を表す。いくつかの実装形態では、符号値は、閾値110未満の任意の信号を「00」として、閾値110以上かつ閾値120未満の任意の信号を「01」として、閾値120以上かつ閾値130未満の任意の信号を「10」として、及び閾値130以上の任意の信号を「11」として指定するスライサ(すなわち、マルチレベルコンパレータ;図1又は図2では図示せず)によって判断される。
【0051】
しかしながら、現実世界の理想化されていない状況では、チャネルには非直線性があり、特定の符号値を表すサンプルは、理想化されたチャネルにおいて予期され得るように閾値間にうまく含まれない場合がある。「00」及び「01」符号のみを例示として用い、非線形チャネルにおいて、ほとんどの「00」サンプルが閾値110未満となり、ほとんどの「01」サンプルが閾値110以上(かつ閾値120未満)となる一方、閾値110以上となる「00」サンプル及び閾値110未満(かつ閾値120以上)となる「01」サンプルがあり得る。
【0052】
チャネルに対して等化を実装する目的は、上で言及した様々な干渉源に対して修正を行い、それにより、閾値の誤った側にあるサンプルを閾値の正しい側に実質的に移動させることである。線形等化は、実質的に、二次元(x,y)空間におけるサンプルのプロットを取り、サンプルを通じて閾値が存在すべきところに直線を描く。しかしながら、非直線性を有するチャネルにおいて、その二次元プロット上に描くことができる、サンプルを正確に分ける直線が存在しない場合がある。そのような場合、非線形等化が使用され得る。非線形等化は、実質的に、サンプリングを、サンプリングを正確に分ける直線が実際に存在する異なる空間に再マッピングし得る。
【0053】
代替的に、非線形等化関数は、サンプルを、サンプルを正確に分ける直線以外の何らかの滑らかな曲線が存在する空間に再マッピングし得る。例えば、非線形等化関数は、サンプルを、円又は楕円によって分けられ得る円状又は環状バンドにサンプルがグループ化されている極座標又は放射状空間に再マッピングし得る。
【0054】
非線形チャネルにおける、線形等化に対する非線形等化の利点は、図3及び図4に示されるような簡略化された例示において見ることができ、ここで、等化されるべき信号は、排他的OR(XOR又は
【数1】
)関数により特徴づけられている。図3は、(x,x)空間における
【数2】
のプロットであり、ここで、開いたドット301、302はy=0を表し、斜線のドット303、304はy=1を表している。開いたドットを斜線のドットから分けるために描かれ得る直線がないことは明らかである。
【0055】
しかしながら、放射基底関数
【数3】
を使用して、以下のように、線形デカルト(x,x)空間から非線形放射状
【数4】
空間へとXOR関数を変換することができる。
【表1】
これは図4に図式化されている。ここで見ることができるように、非線形放射状
【数5】
空間にマッピングされると、XOR関数400の値401、402、403(ここで見ることができるように、(x,x)空間における2つのy=1の点301、302はいずれも、
【数6】
空間において同じ点401にマッピングされる)は直線404によって分けられ得る。
【0056】
以下で論じられるように、様々なタイプの非線形等化器が利用可能である。どのタイプの非線形等化器が使用されるかは、チャネル状態の変化に対応するために適応可能であり得る。様々な形態の適応が使用され得る。
【0057】
使用され得る1つのタイプの適応関数は、最小平均二乗誤差(MMSE)であり、ここで、平均二乗誤差(MSE)は、等化された信号(Y)及び理想的な信号
【数7】
の間の差の標準の二乗として定義される。等化器は、最初に、理想的な信号の値が利用可能となるトレーニングモードにおいて適応され得る。後で、ランタイム動作中に、等化されたチャネルの検出された出力値は、適応のために使用されるために理想的な値に十分に近いべきである。
【0058】
使用され得る別のタイプの適応関数は、トレーニングビット及びその対数尤度比(LLR)の間の交差エントロピー(CE)である。特に、コスト関数回路は、LLR信号の確率分布及びトレーニングビット値の確率分布の間の差を示す交差エントロピー値を計算するよう構成され得る。その後、コスト関数回路は、チャネルのビット誤り率を低下させるために、等化器のパラメータ(例えば、等化器のフィルタタップの1又は複数の係数)を、計算された交差エントロピー値及び1又は複数の以前に計算された交差エントロピー値からの、最小交差エントロピー値に対応する値に設定することによって、等化器を適応させる。MSE等化の場合と同様に、等化器は、最初に、理想的な信号の値が利用可能となるトレーニングモードにおいて適応され得る。後で、ランタイム動作中に、等化されたチャネルの検出された出力値は、適応のために使用されるために理想的な値に十分に近いべきである。具体的には、等化器の後に任意の前方誤り訂正コード(FEC)デコーダ(例えば、リードソロモン(RS)デコーダ又は低密度パリティ検査(LDPC)デコーダ)が利用可能である場合、FECデコーダの出力からの首尾良くデコードされたフレームが適応のために使用され得る。
【0059】
LLRは、ビットが「0」である確率(P)及びビットが「1」である確率(P)の間の関係として定義され得る。
【数8】
トレーニングビット及びそのLLRの間の交差エントロピーは以下のように計算され得る。
【0060】
【数9】
真のビットが論理「0」であるが、LLRによって表される検出されたビットの確率がP=0を示す場合、又は真のビットが論理「1」であるが、LLRによって表される検出されたビットの確率がP=0を示す場合、真の値は、予期された値の正反対であり、これは、コスト(クロスエントロピー)が無限に近づくことを意味する。他方で、LLRによって示される検出されたビット値の確率が真のビット値と一致する場合、交差エントロピーはゼロに等しい。ほとんどの場合において両方の確率P及びPが0より高くかつ1より低い限り、交差エントロピーは有限の非ゼロ値となる。そうして、このコスト関数は適応のために使用されることができ、交差エントロピーを最小化する目的で、検出されるビットの品質を反映する。
【0061】
LLRに関する交差エントロピーの勾配は、交差エントロピーの等式においてP及びPについて代入することによって計算され得る。
【数10】
【0062】
LLRは、交差エントロピー(すなわち、
【数11】
)を以下のように最小化するように適応され得る。
【数12】
【0063】
負のLLRは、ビット=0がビット=1より高い確率を有することを意味し、一方で、正のLLRは、ビット=1がビット=0より高い確率を有することを意味する。これらの等式において、P及びPは確率であり、したがって、正の値であり、αは適応帯域幅であり、これも正である。したがって、真のビット=0である場合、交差エントロピーを使用する適応は負のLLRをより負にさせることになり、真のビット=1である場合、交差エントロピーを使用する適応は正のLLRをより正にさせることになる。したがって、交差エントロピーベースの適応は、LLRの規模を最大化し、そのため最大尤度適応であり、これはBERを低減させる。そうして、交差エントロピーを最小化するための等化器の適応はまた、BERを最小化させる。
【0064】
パラメータXが出力Yの値に影響を及ぼし、これがLLRに影響を及ぼし、そこから交差エントロピーが計算され得るように、パラメータX→Y→LLR→CEからの一般的な計算グラフがあると想定した場合、交差エントロピーの勾配は、他のパラメータに関して表され得る:
【数13】
したがって、交差エントロピーを最小化するために任意のパラメータが適応され得る。
【0065】
図5は、本開示の主題によるレシーバ211の実装形態500を示す。レシーバ500は、531において遅延され、多層パーセプトロンニューラルネットワーク541において組み合わされる、入力されたデジタル化サンプル521から等化された信号(Y)511を提供する多層パーセプトロンニューラルネットワーク541の形態にある非線形等化器501を含む。スライサ502は、以前の符号からの符号間干渉を軽減するために多層パーセプトロンニューラルネットワーク541にフィードバックされる出力決定512を提供する。
【0066】
図5に見られるように、多層パーセプトロンニューラルネットワーク541は、隠れノード551の少なくとも1つの隠れ層550を含む。この図面では1つの隠れ層550のみが示されているが、本開示の主題の実装形態による多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器は複数の隠れ層(図示せず)を有し得る。同様に、図5は隠れ層550において4つの隠れノード551を示している一方、本開示の主題の実装形態による多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器における各隠れ層は、パラメータ(フィルタタップ係数)の数を反映して、より多い又はより少ない隠れノード551を有し得る。
【0067】
各隠れノード551は、遅延サンプル(図面における混雑を回避するために、1つの遅延531のみがノード551に結合されているものとして示されている;しかしながら、各遅延531がノード551に結合されている)を、パラメータ(フィルタタップ係数;図示せず)で乗算し、その後、フィルタタップを合計する(Σ)。各隠れノード551はその後、その計算された合計に対して非線形活性化関数(例えば、双曲線正接活性化関数
【数14】
であるが、他の非線形活性化関数が使用されてもよい)を適用して、ノード出力を生成し、これはその後、次の層などに渡される。最終層552は非線形活性化関数を有しないが、単にその入力を合計する。
【0068】
隠れノード551は、符号間干渉を軽減するために、フィードフォワード遅延531からのみではなく、フィードバックされた以前の符号決定560のサンプルを表すフィードバック遅延561からも入力を受け取る。
【0069】
非線形等化器501の前述のパラメータは、出力Yに基づいて適応される。非線形等化器501のパラメータを適応させる1つの手法は、572において、後に570においてそれぞれの理想的な電圧にマッピング(例えば、「00」に対して-1、「01」に対して-1/3、「10」に対して+1/3、及び「11」に対して+1)されるPAM4トレーニング符号569から導出された理想的なサンプル
【数15】
に関する誤差(e)を計算することである。573における平均二乗誤差の最小化は、その後、571に示されるようなノード551におけるフィルタタップ係数に適応されために、コスト関数として使用され得る。
【0070】
多層パーセプトロンニューラルネットワーク541の大体として、本開示の主題によるレシーバ211の実装形態600(図6)は、決定フィードバック等化器644と結合された低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク641を含み得る。レシーバ600は、入力されたデジタル化サンプリング621から等化された信号(Y)611を提供する。低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク641は、2つのフィードフォワードフィルタ642、643を含み、これらは例えば、有限インパルス応答(FIR)フィルタであり得る。スライサ602は、以前の符号からの符号間干渉を軽減するために、決定フィードバック等化器(DFE)644を通じてフィードバックされて第2のフィードフォワードフィルタ643の出力と組み合わされる出力決定612を提供する。レシーバ600は、非線形活性化関数645(例えば、双曲線正接活性化関数
【数16】
であるが、他の非線形活性化関数が使用されてもよい)が適用された追加のフィードフォワードフィルタ642の出力を入力として有する、線形等化されたレシーバ660(FIRフィルタ643、DFE644、及びスライサ602を含む)に似ている。
【0071】
レシーバ500における非線形等化器501の場合と同様に、非線形等化器601のパラメータは、出力Yに基づいて適応される。非線形等化器601のパラメータを適応させる1つの手法は、後に670においてそれぞれの理想的な電圧にマッピング(例えば、「00」に対して-1、「01」に対して-1/3、「10」に対して+1/3、及び「11」に対して+1)されるPAM4トレーニング符号669から導出された理想的なサンプル
【数17】
に関する誤差(e)を計算することである。673における平均二乗誤差の最小化は、その後、671に示されるようなFIRフィルタ642、643のフィルタタップ係数に適応されために、コスト関数として使用され得る。
【0072】
しかしながら、上記のように、交差エントロピーは、BERを最小化するために非線形等化器のパラメータを適応させるためのより効果的なコスト関数として機能し得る。
【0073】
図7は、本開示の主題によるレシーバ211の実装形態700を示す。レシーバ700は、731において遅延され、多層パーセプトロンニューラルネットワーク741において組み合わされる、入力されたデジタル化サンプル721から4つの別個の等化された信号(Yij;i=0,1;j=0,1)711を提供する多層パーセプトロンニューラルネットワーク741の形態にある非線形等化器701を含む。回路702に実装されるソフトマックス関数:
【数18】
は、以前の符号からの符号間干渉を軽減するために、(748における電圧、例えば、「00」に対して-1、「01」に対して-1/3、「10」に対して+1/3、及び「11」に対して+1への変換の後に)多層パーセプトロンニューラルネットワーク741にフィードバックされる出力決定(sym)712、及び出力対数尤度比(LLRsym)722を提供する。
【0074】
図5の場合のように、多層パーセプトロンニューラルネットワーク741は、隠れノード751の少なくとも1つの隠れ層750を含む。この図面では1つの隠れ層750のみが示されているが、本開示の主題の実装形態による多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器は複数の隠れ層(図示せず)を有し得る。同様に、図7は隠れ層750において4つの隠れノード751を示している一方、本開示の主題の実装形態による多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器における各隠れ層は、パラメータ(フィルタタップ係数)の数を反映して、より多い又はより少ない隠れノード751を有し得る。
【0075】
各隠れノード751は、遅延サンプル(図面における混雑を回避するために、1つの遅延731のみがノード751に結合されているものとして示されている;しかしながら、各遅延731がノード751に結合されている)を、パラメータ(フィルタタップ係数;図示せず)で乗算し、その後、フィルタタップを合計する(Σ)。各隠れノード751はその後、その計算された合計に対して非線形活性化関数(例えば、双曲線正接活性化関数
【数19】
であるが、他の非線形活性化関数が使用されてもよい)を適用して、ノード出力を生成し、これはその後、次の層などに渡される。最終層752は非線形活性化関数を有しないが、単に、4つの符号の各々に対して別個にその入力を合計する。
【0076】
隠れノード751は、符号間干渉を軽減するために、フィードフォワード遅延731からのみではなく、フィードバックされた以前の符号決定760のサンプルを表すフィードバック遅延761からも入力を受け取る。
【0077】
等化器701はLLRの形態のソフト出力を提供するため、出力は、低密度パリティ検査(LDPC)デコーダ又はリードソロモンデコーダなどの前方誤り訂正(FEC)デコーダであり得るさらなる外部デコーダ(図示せず)と共に使用され得る。
【0078】
非線形等化器701の前述のパラメータは、トレーニングビット771をグループ化することによって取得されるトレーニング符号(
【数20】
)、及び出力対数尤度比(LLRsym)722の間で、交差エントロピー適応回路770を使用して交差エントロピーを最小化するために適応され得る。交差エントロピー適応回路770は、780において非線形等化器701のパラメータを調整して、トレーニング符号(
【数21】
)、及び、LLRsym722により表される検出された符号の確率の間の交差エントロピーを最小化することができる。ランタイムの間、首尾良くデコードされたフレームのみからの、外部デコーダ(例えば、前方誤り訂正又はFECデコーダ;図示せず)の出力ビット790が、トレーニングビット771の代わりに使用され得る。
【0079】
図8は、決定フィードバック等化器842、及び対数尤度比回路843に結合された低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク841を含む、本開示の主題によるレシーバ211の実装形態800を示しており、対数尤度比回路843は、入力されたデジタル化サンプル821から導出された等化された信号(Y)811を入力し、目標符号値
【数22】
に基づいて、符号決定(sym)844及びその符号決定の対数尤度比(LLRsym)845を出力する。
【0080】
低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク841は、2つのフィードフォワードフィルタ846、847を含み、これらは例えば、有限インパルス応答(FIR)フィルタであり得る。非線形活性化関数848(例えば、双曲線正接活性化関数
【数23】
であるが、他の非線形活性化関数が使用されてもよい)は、フィードフォワードフィルタ846の出力に適用され、これはその後、フィードフォワードフィルタ847に入力される。符号決定844は849において、決定フィードバック等化器842への入力のために電圧に変換され、その出力は850において、以前の符号からの符号間干渉を軽減するためにフィードフォワードフィルタ847の出力と組み合わされて、等化された信号(Y)811が得られる。
【0081】
フィードフォワードフィルタ846、847のパラメータは、出力対数尤度比(LLRsym)845、及びトレーニングビットであり得る、又はランタイム中はさらなる外部デコーダ(図示せず)の出力であり得る真のビットから取得された「真の」符号の間の交差エントロピーを最小化するために適応され得る。交差エントロピー適応回路860は、入力として、出力対数尤度比(LLRsym)845を有する。トレーニングモードにおいて、交差エントロピー適応回路860はまた、入力として既知のトレーニングビット861をし、これは、その後、真の符号を取得するためにグループ化される「真の」ビットとして機能する。交差エントロピー適応回路860は870において、トレーニングビット(
【数24】
)をグループ化することによって取得されたトレーニング符号、及び、出力対数尤度比(LLRsym)845により表される検出された符号の確率の間の交差エントロピーを最小化することによって、フィードフォワードフィルタ846、847のパラメータを調整することができる。ランタイムにおいて、首尾良くデコードされたフレームのみからの、外部デコーダ(例えば、FECデコーダ;図示せず)の出力ビット890が、トレーニングビット861の代わりに使用され得る。
【0082】
ニューラルネットワーク等化器はPAM4符号における2つのビットの相関を失わせることができるため、本開示の主題の実装形態によるレシーバ211のさらなる実装形態900が提供され得る(図9)。レシーバ900は、931において遅延されたサンプル(図面における混雑を回避するために、1つの遅延931のみがノード951に結合されているものとして示されている;しかしながら、各遅延931がノード951に結合されている)がパラメータ(フィルタタップ係数;図示せず)で乗算され、その後、フィルタタップが合計される(Σ)、隠れノード951の少なくとも1つの隠れ層950を含むという点でMLPNN等化器541と類似しているMLPNN等化器941を含む。各隠れノード951はその後、その計算された合計に対して非線形活性化関数(例えば、双曲線正接活性化関数
【数25】
であるが、他の非線形活性化関数が使用されてもよい)を適用して、ノード出力を生成し、これはその後、次の層などに渡される。
【0083】
MLPNN941は、最終層952が2つのノード953、954を含むという点でMLPNN541とは異なり、入力は、MLPNN541の層552のように単に合計されるのではなく、合計した後にノード951の非線形活性化関数とは異なる、各符号の2つのビットの相関を失わせる非線形活性化関数も適用され、各ノード953、954が2つのビットのうちの1つを提供する。各ノード953、954の非線形活性化関数は、双曲線正接活性化関数の代わりに、
【数26】
と類似するプロファイルを有するが、-1~+1ではなく0~+1の範囲であるシグモイド関数であり得る。
【0084】
ノード953は、符号における2つのビットのうちの最上位ビットのための確立予測963(p(bitmsb))を提供し、ノード954は、符号の2つのビットのうちの最下位ビットのための確立予測964(p(bitlsb))を提供する。2つの確率予測963、964はその後、スライサ955において、符号における各ビットについて、ビット予測(例えば、p<0.5の場合はビット=0、及びp≧0.5の場合はビット=1)を取得するために閾値の0.5と比較される。
【0085】
956において、別個のビットがグループ化されて符号に戻され、その後、957においてフィードバックされ、958において、符号間干渉を軽減するために、フィードフォワード遅延931からの次の入力に対してフィードバックされた以前の符号決定のサンプルを表すフィードバック遅延961への入力のために対応する電圧(例えば、「00」に対して-1、「01」に対して-1/3、「10」に対して+1/3、及び「11」に対して+1)に変換される。
【0086】
実装形態900は符号レベルではなくビットレベルで動作するため、交差エントロピー適応回路970もビットレベルで動作し、別個のビットレベルの確率963、964及びトレーニングビット971、又はランタイムにおいては外部デコーダ(例えば、FECデコーダ;図示せず)の出力990になどに基づいて交差エントロピーを判断する。
【0087】
ビットレベルにおいて、交差エントロピーは、まず、上記のように確立予測から対数尤度比を判断することによって判断され得る。Pがp(bitmsb=0)であり、Pがp(bitmsb=1)である最上位ビットから開始し、LLR(bitmsb)を計算することができる。その後、LLR(bitmsb)及びトレーニングビット又は外部デコーダビットのうちの最上位ビットから、CE(bitmsb)を計算することができる。その後、p(bitlsb=0)をPとして、及びp(bitlsb=1)をPとして使用して、LLR(bitlsb)を計算することができる。その後、LLR(bitlsb)、及びトレーニングビット又は外部デコーダビットのうちの最下位ビットから、CE(bitlsb)を計算することができる。ビットレベルの交差エントロピーは、CE(bitmsb)+CE(bitlsb)の合計である。
【0088】
図10は、PAM4符号における2つのビットの相関を失わせる、各それぞれのビットについてそれぞれの決定フィードバック等化器1042、1052に結合された低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク1041を含む、本開示の主題によるレシーバ211の実装形態1000を示す。
【0089】
低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク1041は、第1のフィードフォワードフィルタ1046を含み、これらは例えば、有限インパルス応答(FIR)フィルタであり得る。非線形活性化関数1045(例えば、双曲線正接活性化関数
【数27】
であるが、他の非線形活性化関数が使用されてもよい)は、フィードフォワードフィルタ1046の出力に適用され、これはその後、第2のフィードフォワードフィルタ1047、及び並行して第3のフィードフォワードフィルタ1057に入力される。フィードフォワードフィルタ1047、1057の各々は、それぞれの等化されたビット出力Ymsb1044及びYlsb1054を生成する。
【0090】
非線形活性化関数1045とは異なるそれぞれの非線形活性化関数1061、1062は、各それぞれの等化されたビット出力Ymsb1044及びYlsb1054に適用される。非線形活性化関数1061、1062は、双曲線正接活性化関数の代わりに、
【数28】
と類似するプロファイルを有するが、-1~+1ではなく0~+1の範囲であるシグモイド関数であり得る。
【0091】
非線形活性化関数1061は、符号における2つのビットのうちの最上位ビットのための確立予測(p(bitmsb))を提供し、非線形活性化関数1062は、符号の2つのビットのうちの最下位ビットのための確立予測(p(bitlsb))を提供する。2つの確率予測の各々はその後、それぞれのスライサ1055、1056において、符号における各ビットについて、ビット予測(例えば、p<0.5の場合はビット=0、及びp≧0.5の場合はビット=1)を取得するために閾値の0.5と比較される。
【0092】
1070において、2つのビットは符号1071にグループ化され、その後、1072において、最上位ビット経路における決定フィードバック等化器1042への入力、及び最下位ビット経路における決定フィードバック等化器1052への入力のために対応する電圧(例えば、「00」に対して-1、「01」に対して-1/3、「10」に対して+1/3、及び「11」に対して+1)に変換される。以前の符号からの符号間干渉を軽減するために、各それぞれの決定フィードバック等化器1042、1052の出力はそれぞれ、1043、1053において、それぞれのフィードフォワードフィルタ1047、1057の出力と組み合わされて、それぞれの等化されたビット出力Ymsb1044及びYlsb1054、すなわち、上記のように、非線形活性化関数1061、1062への入力が得られる。
【0093】
交差エントロピーは、実装形態900の場合におけるように、まず、上記のように確立予測から対数尤度比を判断することによって、p(bitmsb)、p(bitmsb)、及び交差エントロピー適応回路1080におけるトレーニングビット1081又は外部デコーダ出力1090から判断され得る。Pがp(bitmsb=0)であり、Pがp(bitmsb=1)である最上位ビットから開始し、LLR(bitmsb)を計算することができる。その後、LLR(bitmsb)及びトレーニングビット又は外部デコーダビットのうちの最上位ビットから、CE(bitmsb)を計算することができる。その後、p(bitlsb=0)をPとして、及びp(bitlsb=1)をPとして使用して、LLR(bitlsb)を計算することができる。その後、LLR(bitlsb)、及びトレーニングビット又は外部デコーダビットのうちの最下位ビットから、CE(bitlsb)を計算することができる。ビットレベルの交差エントロピーは、CE(bitmsb)+CE(bitlsb)の合計である。
【0094】
本開示の主題の実装形態による方法1100が図11において図式化されている。
【0095】
方法1100は、1101で始まり、ここで、データチャネル上の入力信号のデジタル化されたサンプルに対して非線形等化が実行される。1102において、非線形等化の出力信号の各々のそれぞれの値が判断される。1103において、値のそれぞれに基づいて非線形等化のパラメータが適応される。上記のように、適応は、平均二乗誤差(例えば、出力値及び目標値の間の)の最小化、又は交差エントロピー(例えば、出力値及びその対数尤度比の間の)の最小化に基づき得る。適応の後、方法1100は、終了し得るか、又は任意に、1104において、次の符号の処理の間の符号間干渉を軽減するために、それぞれの値のうちの1つが非線形等化の入力にフィードバックされ得、その後、方法1100が終了する。
【0096】
このように、非線形等化器を使用する高速データチャネルが提供することが分かる。
【0097】
本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用される場合、「A及びBのうちの1つ」という解釈は、「A又はB」を意味するものとする。
【0098】
上記は本発明の原理の例示にすぎず、本発明は、限定ではなく説明の目的で提示された、説明される実施形態以外によっても実施でき、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】