(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】回転要素のエネルギー供給を備える機械
(51)【国際特許分類】
B23B 47/00 20060101AFI20231107BHJP
B23Q 17/09 20060101ALI20231107BHJP
B23Q 17/10 20060101ALI20231107BHJP
B23Q 17/12 20060101ALI20231107BHJP
B23B 51/12 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
B23B47/00 Z
B23Q17/09 A
B23Q17/10
B23Q17/12
B23B51/12
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023519751
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2021076521
(87)【国際公開番号】W WO2022069413
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】102020212399.3
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500242786
【氏名又は名称】フラウンホファー ゲセルシャフト ツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・スパイス
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ドレーガー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・ウィーツォレク
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリク・ゼッシン
(72)【発明者】
【氏名】サンドロ・タールマン
(72)【発明者】
【氏名】オリバー・ハーラ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリク・レンシュ
【テーマコード(参考)】
3C029
3C036
3C037
【Fターム(参考)】
3C029CC00
3C036LL08
3C037FF00
(57)【要約】
要素、具体的には回転要素であって、運動の際、磁場において電気エネルギーを提供するように構成された、回転要素と一緒に運動または回転するインダクタンスと、提供される電気エネルギーによって動作可能である、回転要素と一緒に運動または回転する消費器と、を含む、要素。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転出力要素(12、12’)および要素(10、10’)、具体的には回転要素(10、10’)を含む機械、具体的にはボール盤であって、前記要素(10、10’)は前記回転出力要素(12、12’)に結合され、前記要素(10、10’)は、
磁場(M)内での運動(R)の際、電気エネルギー(E)を提供するように構成された、前記要素(10、10’)と一緒に運動または回転するインダクタンス(14、14a、14b)と、
前記提供される電気エネルギー(E)によって動作可能である、前記要素(10、10’)と一緒に運動または回転する消費器(16)と、
を含み、
前記要素(10、10’)の回転軸(10R)の周りに複数の磁石(18)が円セグメント形状で配置されている、
機械。
【請求項2】
前記消費器(16)は電子システムを含む、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記インダクタンス(14、14a、14b)はエネルギー供給回路に結合され、前記エネルギー供給回路を通して前記電気エネルギー(E)が提供され、または
前記インダクタンス(14、14a、14b)はエネルギー供給回路に結合され、前記エネルギー供給回路を通して前記電気エネルギーが提供され、前記エネルギー供給回路は、整流器、および/またはバッファ、および/またはコンデンサ、および/またはアキュムレータを含む、請求項1または2に記載の機械。
【請求項4】
前記消費器(16)は、アクチュエータ技術、超音波アクチュエータ、および/または制御要素を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の機械。
【請求項5】
前記電気消費器(16)は、情報を出力するように構成されたセンサ技術を含み、または
前記電気消費器(16)は、情報を出力するように構成されたセンサ技術(16s’)を含み、前記センサ技術(16s’)は、力、振動、音響、機械的張力、温度、トルク、回転速度、および/または加速度を検出するように構成され、かつ/または
前記インダクタンス(14、14a、14b)は、センサ技術(16s’)として機能し、かつ/または前記インダクタンス(14、14a、14b)における誘導信号に基づいて機能して、測定信号インダクタンス(14、14a、14b)を提供し、物理量、具体的には回転速度または振動を推定することが可能になるように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の機械。
【請求項6】
前記要素(10、10’)において取得された情報を外部に送信するように構成された無線モジュール(16s’)をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の機械。
【請求項7】
前記インダクタンス(14、14a、14b)は1つまたは複数のコイルによって形成され、または前記インダクタンス(14、14a、14b)はフェライトコアを備えた1つまたは複数のコイルによって形成され、または
前記インダクタンス(14、14a、14b)は、前記要素(10、10’)の回転軸(10R)の周りに並進的に分配または均等に分配された複数のコイルによって形成され、かつ/または
前記提供される電気エネルギー(E)は、インダクタンス(14、14a、14b)の数に、および/または前記インダクタンス(14、14a、14b)の寸法および存在する前記磁場(M)に依存する、請求項1から6のいずれか一項に記載の機械。
【請求項8】
前記インダクタンス(14、14a、14b)は長手軸に沿った第1の半分に配置され、かつ/または
前記消費器(16)は長手軸に沿った第2の半分に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の機械。
【請求項9】
前記要素(10、10’)は、長手軸に沿った第2の半分において工具(11)および/またはドリル用の工具ホルダを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の機械。
【請求項10】
前記要素(10、10’)は、長手軸に沿った第1の半分において機械への機械的接続のためのカップリングを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の機械。
【請求項11】
前記要素(10、10’)は、ステータス情報または色分けされたステータス情報を出力するように構成されたディスプレイ、具体的にはカラーディスプレイまたはLEDを含み、または前記要素(10、10’)は、ステータス情報または音響ステータス情報を出力するように構成されたディスプレイ、具体的には音響表示を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の機械。
【請求項12】
前記要素(10、10’)を含むドリルチャックまたはドリルホルダを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の機械。
【請求項13】
前記要素(10、10’)と前記回転出力要素(12、12’)との間の前記カップリングはクイックコネクタによって実装されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の機械。
【請求項14】
前記回転出力要素(12、12’)の領域に、および/または前記機械上の前記要素(10、10’)の前記インダクタンス(14、14a、14b)の領域に、1つまたは複数の磁石(18)が配置され、前記要素(10、10’)の回転の際、前記磁石(18)が静止状態に保たれるようになっている、請求項1から13のいずれか一項に記載の機械。
【請求項15】
前記要素(10、10’)の前記回転軸(10r)の周りに半円の形状で複数の磁石(18)が配置されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の機械。
【請求項16】
複数の磁石(18)が交互の極性で、および/またはハルバッハ配列の形態で配置されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、回転要素のような要素、具体的には所定のタイプのエネルギー供給手段を備えた(回転する)要素に言及する。さらなる実施形態はドリルチャックまたはドリルホルダに言及する。さらなる実施形態は、機械、具体的には回転要素を備えたボールまたはフライス盤に言及する。
【背景技術】
【0002】
ドリルチャックは、古典的な回転要素であり、主に機械的機能のみを有する。ドリルのような工具を保持し、ボール盤の回転エネルギーで工具を駆動することが典型的な機能である。先行技術において、3つの異なるタイプのドリルチャックまたはドリル接続が使用されている。一変形例によれば、ドリルチャックは、回転する駆動側および回転する被駆動または出力側の両方で係合するための手段を有することができる。駆動側で、ドリルチャックはこのときボール盤の回転軸に結合される一方、たとえば、クイックリリース接続を使用して被駆動側でドリルをチャックすることができる。あるいは、工具またはドリルをドリルチャックに固定して接続し、ドリルチャック全体を工具とともに常に交換することも可能である。第3の変形例によれば、ドリルチャックをボール盤に固定して接続し、たとえば、クイックリリースドリルチャックとして実装されているドリルチャックがこのとき異なる工具を保持することも可能である。すべての変形例において、ドリルチャックは、回転シャフトと回転工具との間の所定のタイプのカップリングとして提供されている。自動化および監視に関して、センサ技術が提供されており、センサはいくつかの場合において回転部材にも装着されている。この電子システムは、たとえば、バッテリを使用して供給することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の目的は、電子システムを備えたドリルチャックのような回転要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は独立請求項の主題によって達成される。
【0005】
本発明の実施形態は、要素、具体的には回転要素または回転可能要素を提供し、この要素は、(回転)要素と一緒に運動/回転するインダクタンスと、(回転)要素と一緒に運動/回転する消費器と、を有する。磁場内での回転運動のような運動の際、インダクタンスは、電気エネルギーを提供するように構成されている。消費器は、提供される電気エネルギーによって動作する。
【0006】
実施形態によれば、消費器は電子システムを含むことができる。次に、実施形態によれば、電子システムは、(センサ)情報を出力するように構成されたアクチュエータ(超音波アクチュエータまたは制御要素のような)および/またはセンサ技術を含むことができる。たとえば、センサ情報は、力、振動、音響、機械的張力、温度、トルク、回転速度および/または加速度に関する情報とすることができる。
【0007】
実施形態によれば、運動は、回転要素の回転によって引き起こされる回転運動に関するものである一方、回転可能要素の回転から切り離された周期的運動または(また)衝撃運動のような他の形態の運動も採用されることが留意されるべきである。
【0008】
本発明の実施形態は、要素、具体的には要素内の消費器に電気を供給するための回転または回転可能要素において、(回転または回転可能)要素が磁場内で運動しているとき、一般にコイルまたはインダクタンスを使用して電気エネルギーを得ることができるという発見に基づいている。たとえば、ここで磁場が外部から印加され、すなわち磁場が回転要素の周囲に生成または提供され、磁場内での回転のような回転要素の運動の結果として電気が誘導されるようにすることが可能である。実施形態によれば、磁場を提供するための磁石をドリルチャックの領域でボール盤のケーシングに配置することが考えられる。実施形態において、回転要素と一緒に回転する消費器に回転インダクタンスを通して直接電気を供給することができるということが有利である。結果として、電気エネルギーを供給する、または非回転要素から回転要素に電気信号を送信するワイパによる配線作業がない。加えて、回転要素を交換する場合におけるインターフェースの問題が回避される。
【0009】
実施形態によれば、回転要素は、インダクタンスに結合されてこれによって電気エネルギーを提供するエネルギー供給回路を有する。ここで、エネルギー供給回路は、整流器、および/またはバッファ、および/またはコンデンサ、および/またはアキュムレータを有することができる。エネルギー供給回路により有利には、運動速度(回転数)から比較的独立して消費器または電子システムに連続エネルギー信号を提供することが可能になる。加えて、停止の場合、バッファを有するエネルギー供給回路によって消費器の連続エネルギー供給を保証することができる。
【0010】
上述のように、実施形態によれば消費器は所定のタイプのセンサ技術またはアクチュエータ技術として構成することができる。ここで、回転計、加速度計、動力計、または振動計を統合することが可能である。実施形態によれば、インダクタンスはセンサ技術として機能する。誘導電気のような誘導信号は、回転速度または振動のような物理量を推定することが可能になるため、測定信号として使用される。加えて、穿孔作業中の切りくず形成を改善するために、超音波アクチュエータのようなアクチュエータを設けることができる。
【0011】
さらなる実施形態によれば、センサ技術は、取得した情報を外部に無線を介して送信することができる。同様に、アクチュエータも無線モデルによって制御することができる。外部情報通信に対する代替として、たとえば、回転要素に統合されたディスプレイを使用して情報を直接表示することも可能であろう。後者は、たとえば、色分けされたLED(色分けされたステータス情報)を通して構成することができる。たとえば、過負荷の場合における音声警告による所定のタイプの音響表示が可能であり得る。
【0012】
消費器の機能を詳細に説明したので、エネルギーを得る機能、すなわちインダクタンスの実装を以降で取り扱う。
【0013】
実施形態によれば、インダクタンスは1つまたは複数のコイルによって形成することができる。ここで、各コイルは任意選択で、フェライトコアまたは別のコアを有して実装することができる。実施形態によれば、インダクタンスのために複数のコイルが存在し、回転要素の回転軸の周りに並進的に分配または均等に分配される。コイルはこのとき電気的に適切な方法で電気回路を介して互いに接続されて個々のエネルギー出力をまとめてこれら出力を消費器に集合的に利用可能にせねばならない。より高いエネルギー収量が達成されるため、複数のコイルの並進配置が有利である。実施形態によれば、提供される電気エネルギーはインダクタンスの数に依存する。さらなる一実施形態によれば、提供されるエネルギーは、インダクタンスの寸法に、そして磁場を生成する要素の寸法にも依存し得る。長手方向に見て、すなわち、長手軸に沿って、たとえば、インダクタンスは第1の半分に配置することができる一方、消費器は第2の半分に配置することができる。たとえば、第1の半分は、ボール盤のような出力を有する回転要素が接続される側とすることができる。この点において、実施形態によれば、第1の半分において回転要素は回転機械との機械的接続のための所定のタイプのカップリングを有する。実施形態によれば、第2の半分における回転要素は工具またはドリル用の工具ホルダを有することができる。
【0014】
好ましい一実施形態は、回転要素を備えたドリルチャックまたはドリルホルダに言及する。さらなる一実施形態は、回転要素および回転オフ駆動部を備えた回転機械、具体的にはボール盤に言及する。ここで、回転要素は回転オフ駆動部に結合されている。たとえば、実施形態によれば回転要素と回転オフ駆動部との間のカップリングは所定のタイプのクイックリリースによって構成することができる。これは、特に工具交換の際に回転要素を交換するときに有効である。このような装置は高度に自動化されたボールまたはフライス盤に頻繁に設けられ、リボルバヘッドを使用してさまざまなドリルヘッドを採用することができる。
【0015】
磁場を生成する要素に関して、実施形態によれば、回転機械の回転要素のオフ駆動部の領域に、および/またはインダクタンスの領域に、1つまたは複数の磁石が設けられていることが留意されるべきである。これにより有利には、回転要素の回転の際、磁石を静止状態に保つことが可能になる。この点において、電気エネルギーの誘導を引き起こす回転要素の運動はこの実施形態において回転運動であろう。実施形態によれば、回転要素は回転軸に沿って回転方向に配置される。三日月形の配置も可能である。有利には、このような配置により、この領域への良好なアクセスを依然として提供することが可能になる。ボール盤上のこの配置は、ここで、たとえば、ホルダを続いて配置することによって改造も可能であるため、全体として有利である。実施形態によれば、磁石は、たとえば、ハルバッハ配列の形態で交互の極性で配置される。この配置により磁場を大きく変化させることが可能になり、大量の電気エネルギーを得ることができるようになる。
【0016】
上の実施形態において、要素が回転要素または回転可能要素であると想定されてきたとしても、ここで任意の種類の他の要素を採用することができるということが留意されるべきである。したがって、さらなる一実施形態は、要素であって、磁場内での運動の際、電気エネルギーを提供するように構成された要素と一緒に運動可能または回転可能なインダクタンス、ならびに供給された電気エネルギーによって動作可能である、要素と一緒に運動または回転する消費器を備えた、要素を提供する。
【0017】
さらなる構成が下位請求項において定義されている。添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】基本的な一実施形態による回転要素の概略ブロック回路図である。
【
図2a】さらなる一実施形態による回転要素の概略図である。
【
図2b】さらなる一実施形態による回転要素の概略図である。
【
図3a】コイルおよび磁石の可能な配置ならびに結果として得られる電力を示す概略図である。
【
図3b】コイルおよび磁石の可能な配置ならびに結果として得られる電力を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以降で添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する前に、同じ効果を有する要素および構造には同じ参照番号が付けられ、これらの説明が互いに適用可能および/または交換可能であるようになっていることが留意されるべきである。
【0020】
図1は、回転要素10を示しており、回転要素10は、ここでは任意選択の出力要素、ここでは出力シャフト12によって駆動されるドリルチャックまたはドリルホルダの形態を有する。回転要素は、たとえば上半分に1つまたは複数のインダクタンス14aおよび/または14bを有する。インダクタンス14aおよび14bに加えて、回転要素は消費器16を有する。ここで回転要素は必ず回転しなければならないというわけではなく、通常は回転可能であるべきであることが留意されるべきである。
【0021】
実施形態によれば、回転要素は回転軸(参照番号10r参照)の周りで延在することができる。
【0022】
同様に、外部の、すなわち、回転要素に属さない磁石がここで回転軸の周りに配置され、磁場Mを提供する。ここで磁場Mが磁石18を通してどのように提供されるかは重要でないが、磁場Mは、好ましくはコイル14aおよび14bが運動することができる領域に存在することが留意されるべきである。
【0023】
完全を期すため、回転要素10は、たとえば、ドリル11によって示されるように、ドリルチャックとすることができるということが留意されるべきである。ドリル11は回転軸10r上で方向Rに回転する。方向Rにおける回転は運動を構成する一方、ここで運動は必ず回転でなければならないというわけではないことが留意されるべきである。回転軸10rの周りに並進的に配置することができるコイル14aおよび14bの運動Rにより、磁場M内でコイル14aおよび14bが運動するという結果になる。この結果、消費器16に誘導電気が提供される。この誘導電気は、得られるエネルギーEを構成する。
【0024】
したがって、回転要素10に埋め込まれた電子システムがエネルギー自給自足の方法で動作することができるように、回転運動に基づいて有利な方法でエネルギーが生成される。たとえば、電子システムは、続いてエネルギーが供給される、センサ技術、および/またはアクチュエータ技術、および/または無線通信手段のような通信デバイスとすることができる。したがって、消費器16に無線でエネルギーを供給することができ、電圧供給のためのワイパ接点を省くことができるようになる。
【0025】
回転要素10が上の実施形態においてボールまたはフライス工具の一種として説明されてきたとしても、タービンまたは風車の形のような他の用途が考えられることが留意されるべきである。たとえば、回転要素10がタービンまたは風車のハブを構成すると想定すると、回転速度センサ技術またはアクチュエータ技術のような電子システムを、タービンホイールを調整するために設けることができる。同様に、ローラコンベヤのようなコンベヤベルトでの採用も可能である。ここで、回転要素はローラコンベヤの支持要素に埋め込まれ、コンベヤベルトを監視することまたはコンベヤベルトを駆動することがここで可能になっている。さらなる用途は、ベアリング、駆動ホイール、またはホイール全般における統合を含む。この実施形態において、外部磁場を設けることができるということが必須である。これは、たとえば、対応するベアリングブロックに磁石を取り付けることができるため、上記のタービン、風車、コンベヤ、またはベアリングにおいて可能である。同様に、駆動部またはホイールの場合、たとえば、ブレーキ装置またはサスペンションの可能性がある領域に磁石を設けることが考えられる。
【0026】
さらなる一実施形態は、内部で感知または制御されるべきスリップクラッチなどのようなカップリングに言及する。カップリングは、2つの回転要素を互いに接続する、または一般的な回転エネルギーを伝達する機能を有し、これはここで
図1の実施形態における場合でもある。ここで、回転要素が出力要素12からドリル11に伝達され、回転要素10はカップリングを構成する。
【0027】
以降、
図2aおよび
図2bを参照してドリルチャックのさらなる一実施形態を説明する。
【0028】
図2aは、非ラッチ状態の回転要素10’を示す一方、回転要素10’は
図2bにおいて対応してラッチされている。ラッチングとは、参照番号12’、12g’、および18が付けられた被駆動側を指す。
【0029】
基本的に、出力要素は、2つの要素、具体的にはスピンドルに関連する静止部分12g’、および工具機械の回転部分を構成するスピンドル12’で構成されている。出力要素または出力シャフト12’は、所定のタイプのベアリング/ベアリングブロック/ハウジング12g’において、または、一般に、静止部分12g’において支持されている。磁石は静止部分12g’に接続されている。たとえば、これら磁石は回転軸10rの周りに回転対称または単に半円状に配置される。
【0030】
回転要素10’は円筒形状を有し、回転要素10’は、円筒の第1の半分に実現された所定のタイプの係合部分10k1’を備え、係合部分10k1’によって回転要素10’が工作機械の回転スピンドル12’に接続されている(
図2b参照)。工具11を結合するために第2の半分にさらなる係合部分10k2’があり得る。この実施形態において、第2の係合部分10k2’は、ドリルチャック10’に挿入された工具11上へ回転軸10r’に対して垂直に力を加えるねじまたはグラブねじを通して実現され、これによって工具11を固定している。
【0031】
電子的に言えば、回転要素10’は、エネルギーを得るための少なくとも1つまたは複数のインダクタンス14を含む。これらインダクタンス14は、回転要素10’がスピンドル12’に結合されているとき、軸に関して、同じ高さに、または磁石18(
図2b参照)の領域に配置されるように、第1の半分(カップリング10k1’参照)に配置される。加えて、回転要素10’はエネルギー消費器も有する。ここで、エネルギー消費器は3つの要素を含む一方、さらなる実施形態による他の構成も採用することができる。3つの要素は、アンテナおよび無線モジュール16f’、制御電子機器およびデータレンダリング16p’(一般的にプロセッサ)、ならびにセンサ技術16s’である。この実施形態において、センサ技術は、カップリング10k2’の領域に配置され、工具11を監視するように機能する。たとえば、伝達トルク、振動、温度などを監視することができる。センサ16s’を通して取得されたデータは続いてプロセッサ16p’によってレンダリングされ、統合アンテナも有する無線モジュール16’を通して無線を介して外部に送信される。すべての3つの要素16f’、16p’、および16s’の電力供給はインダクタンス14によって実行される。ここで、インダクタンス14は、たとえば、整流、中間貯蔵、またはバッファリングを通して、電気エネルギーの処理を提供してインダクタンスの個々の収量の加算を実行する電気供給要素(電子システムの一部)に接続することもできるということが留意されるべきである。磁石18を通して提供される磁場M内でインダクタンス14の運動rがない場合、バッファリングは重要な役割を果たす。したがって、構成要素16t’、16p’、および16s’に、エネルギーを得た直後であってもエネルギーを供給することができる。
【0032】
運動Rに関して、この実施形態においてインダクタンス14は磁石18の磁場M内で回転運動することも想定されていることが留意されるべきである。このような運動およびエネルギーを得ることは発電機では一般的であるが、ここで、発電機とは対照的に、エネルギーはコイル14によって外部に伝達されず、回転要素10’において内部で消費される。実施形態によれば、回転運動10rが起こることは必須ではない。たとえば、ハンマドリルを想定すると、回転運動は回転軸10rに沿ったリフト部分も有することができる。したがって、周期的運動が一般的に想定される。極端な場合において、ノミまたはリベット打ち機の場合のように、回転部分が完全に省略されることもある。回転運動10r、リフト部分を伴う回転運動、またはリフト部分のすべての変形例は、磁石18を通して提供される磁場M内でインダクタンス14が運動するということのみを共通で有する。実施形態によれば、周期的運動を想定することができる一方、この運動が規則的であることは必須ではない。ここで、エネルギーを得ることは
図2bにおいて矢印によって示されている。
【0033】
図2aおよび
図2bによって示されるように、要素14および18を組み合わせることによって、回転運動の電気エネルギーへのエネルギー変換がこのように促進される。ここで、要素14および18は共に電気力学的発電機を形成する。これにより、たとえば、チャックのような回転要素において自給自足および無線で無線センサ技術を採用することができるように、無線センサ技術にエネルギーを供給することが可能になる。回転金属システムからの無線伝送には、さまざまな無線規格(たとえば、UWIN、Bluetooth(登録商標)、BLE、アナログ無線、または他の変形)が採用される。
【0034】
上の実施形態において要素16s’がセンサ技術として機能すると想定されてきたとしても、ここでピエゾアクチュエータ技術のようなアクチュエータ技術も採用することができるということが留意されるべきである。アクチュエータ技術ではエネルギー需要が高くなる一方、要素14および18を組み合わせることによって、より高いエネルギー需要をどのように満たすことができるかを以降で説明する。他方、より高いエネルギー需要は他の用途にだけでなく、他方で回転要素10’のさまざまなサイズにも依存する。
【0035】
図1に関連してすでに説明したように、好ましい一変形例によればインダクタンス14、またはより具体的には、14aおよび14bの配置は、これらインダクタンスが回転軸の周りを並進的に延在するように設計されている。たとえば、2つまたは3つのコイル14を想定すると、一実施形態によればそれぞれのコイルコアは回転軸10rに対して垂直に延在する。2つのコイルの場合、コイルの軸は好ましくは180°の角度で配置される一方、3つのコイルの場合、120°の配置が可能である。変化するエネルギー需要はコイルの数によって調整することができる。したがって、同じ磁石18を使用しても、複数の統合されたコイルを有する大きな回転要素でよりも、小さな回転要素10’でより低いエネルギーを得ることができる。代わりに、または加えて、コイルの寸法をさらなる実施形態にしたがって変更することもできる。磁石18の配置および寸法によって、有効電力を変化させるさらなる一変形例の可能性が提供される。
図3bにおいて、コイル内の有効電力が、異なる磁石の高さにおける異なる回転速度について示され、合計6図によって示されている。さらなる変動要因(X軸参照)は、採用される湾曲角度数である。ここで、異なる湾曲角度を使用して磁石が取り付けられていると想定する。図からわかるように、追加の湾曲角度を採用すると、発生電力が増加する。同様に、回転速度が高くなると、電力が増加する。同様に、電力は磁石の高さとともに増加する。たとえば、18ワット(毎分9000回転で16mmの磁石で240°の湾曲角度を採用)がコイルごとに生成されると想定すると、たとえば、18のコイルを採用すると、最大200ワットの電力を得ることができる。
【0036】
ここで、利用する空間角度だけでなく、磁石の数も重要であることが留意されるべきである。ここで、240°の空間角度で12の磁石が採用されていると想定している。言うまでもなく、異なる数も可能である。さらに、空間角度>240°、たとえば360°が考えられる。すべてのこれら要因が、電気的に伝送される電力を適切にスケーリングすることができることに貢献する。
【0037】
ここで、
図3aに関して明らかになるように、磁石は恣意的に互いに接近して配置され得ないことが留意されるべきである。
【0038】
図3aは、コイル14と相互作用する、軸方向における磁石18a、18b、および18cの図を示す。磁石18a、18b、および18cはそれぞれ、ここで領域によって適宜示される磁力線Mを形成する。鉄製の工具ホルダに接線方向に配置されたコイルは、磁場M内で運動する。コイルは、たとえば、フェライトコアを含むことができる。磁束密度はグレースケールによって示され、白線はZ方向における磁気ベクトルポテンシャル(Wb/m)を示す。
【0039】
図3bは磁束密度の値を示す。
図3bからの実施形態において、磁石は交互に配向され、これにより磁束変化を最大化していると想定される。たとえば、インダクタンスの領域内で磁束を最大化するであろうハルバッハ配列、または均等に配向された配列の形態で、さらなる配置/調整も考えられる。
【0040】
上の実施形態において、回転運動があることが具体的に想定されてきた。すでに述べたように、周期的運動または無相関運動のような他の運動も考えられる。さらなる一実施形態によれば、回転要素は、回転要素である必要さえなく、たとえば、
図1からの軸10rに沿ってリフト運動を実行するのみの単純な要素であってもよい。周期的なリフト運動などの際、コイル14aおよび14bも、磁石18によって提供される磁場内で運動し、その結果、運動要素に電気が誘導される。
【0041】
ここで、磁石を採用することは必須ではないことが留意されるべきである。しかしながら、電磁石のような他の磁場生成要素を採用することもでき、これにより有利には磁場強度を制御することが容易になる。
【0042】
実施形態によれば、磁石は、半円セグメントのような円セグメント、またはより小さな円セグメント、またはより大きな円セグメントに配置することができる。たとえば、20度または30度から330度または340度の範囲、または好ましくは、60度と270度との間の範囲だけでなく、90度と180度との間の範囲の配置も考えられる。所与の範囲内の任意の値が可能であろう。円弧セグメントによる配置は、これによって達成可能なエネルギー収量が増加する可能性がある一方、同時に円セグメントが開いたままであり、アクセス可能性が維持されるため有利である。
【0043】
ここで、磁石は、要素の周りでの径方向および軸方向の両方で配置することができるということが留意されるべきである。たとえば、径方向配置の場合、これは、たとえば、回転軸に対して平行または垂直に配置された半径に沿った円弧セグメントに沿って走行する。軸方向配置の場合、回転要素は突出することができ、ここで磁石はこのときハウジング側から突出縁まで突出する。
【0044】
上の実施形態において、たとえば、コンデンサまたはアキュムレータを有するエネルギー供給回路を提供することができるということを説明してきた。アキュムレータは、短期間の運動から再充電が生じ、消費の可能性に対してアキュムレータの電力次元が高くなるように、比較的大きな寸法にすることもできる。これは、センサ技術のような低電力消費の消費器に特に考えられる。
【0045】
好ましい一実施形態は、固定子なしの回転を通した電気エネルギーの生成、具体的には、無線センサに供給するための回転物体での電気エネルギーの生成を説明する。この目的のため、固定磁石に対して運動するインダクタンスが採用される。インダクタンスは1つまたは複数の巻線で構成され、整流器およびエネルギー供給ユニットに接続される。磁石は回転物体上に配置される。しかしながら、磁石は、インダクタンスに対して相対運動が生じ得るように配置される。エネルギー供給ユニットは、センサ、アクチュエータ、または無線モジュールに供給することができる。センサは回転物体に関する情報を検知し、この情報を無線で送信する。無線モジュールは、アクチュエータを制御するデータを受信することもできる。たとえば、このシステムは、ドリルチャック、カップリング、または軸に適用することができる。
【0046】
ここで、上述の実施形態は単なる例示であり、保護の範囲は次の請求項によって定義されるものとすることが留意されるべきである。
【符号の説明】
【0047】
12、12’ 出力要素
10、10’ 回転要素
18 磁石
14、14a、14b インダクタンス
11 工具
10k1’ 第1の半分
10k2’ 第2の半分
R 運動
10r 回転軸
16 消費器
M 磁場
E エネルギー
16f’ 無線モジュール
16s’ センサ
【手続補正書】
【提出日】2022-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転出力要素(12、12’)および要素(10、10’)、具体的には回転要素(10、10’)を含む機械、具体的にはボール盤であって、前記要素(10、10’)は前記回転出力要素(12、12’)に結合され、前記要素(10、10’)は、
磁場(M)内での運動(R)の際、電気エネルギー(E)を提供するように構成された、前記要素(10、10’)と一緒に運動または回転するインダクタンス(14、14a、14b)と、
前記提供される電気エネルギー(E)によって動作可能である、前記要素(10、10’)と一緒に運動または回転する消費器(16)と、
を含み、
前記要素(10、10’)の回転軸(10R)の周りに複数の磁石(18)が円セグメント形状で配置されている、
機械。
【請求項2】
前記消費器(16)は電子システムを含む、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記インダクタンス(14、14a、14b)はエネルギー供給回路に結合され、前記エネルギー供給回路を通して前記電気エネルギー(E)が提供され、または
前記インダクタンス(14、14a、14b)はエネルギー供給回路に結合され、前記エネルギー供給回路を通して前記電気エネルギーが提供され、前記エネルギー供給回路は、整流器、および/またはバッファ、および/またはコンデンサ、および/またはアキュムレータを含む、請求項1または2に記載の機械。
【請求項4】
前記消費器(16)は、アクチュエータ技術、超音波アクチュエータ、および/または制御要素を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の機械。
【請求項5】
前記電気消費器(16)は、情報を出力するように構成されたセンサ技術を含み、または
前記電気消費器(16)は、情報を出力するように構成されたセンサ技術(16s’)を含み、前記センサ技術(16s’)は、力、振動、音響、機械的張力、温度、トルク、回転速度、およ
び加速度
を含む群から少なくとも1つを検出するように構成され
、または
前記インダクタンス(14、14a、14b)は、センサ技術(16s’)として機能し
、または前記インダクタンス(14、14a、14b)における誘導信号に基づいて機能して、測定信号インダクタンス(14、14a、14b)を提供し、物理量、具体的には回転速度または振動を推定することが可能になるように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の機械。
【請求項6】
前記要素(10、10’)において取得された情報を外部に送信するように構成された無線モジュール(16s’)をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の機械。
【請求項7】
前記インダクタンス(14、14a、14b)は1つまたは複数のコイルによって形成され、または前記インダクタンス(14、14a、14b)はフェライトコアを備えた1つまたは複数のコイルによって形成され、または
前記インダクタンス(14、14a、14b)は、前記要素(10、10’)の回転軸(10R)の周りに並進的に分配または均等に分配された複数のコイルによって形成され
、または
前記提供される電気エネルギー(E)は、インダクタンス(14、14a、14b)の数
にまたは前記インダクタンス(14、14a、14b)の寸法および存在する前記磁場(M)に依存する、請求項1から6のいずれか一項に記載の機械。
【請求項8】
前記インダクタンス(14、14a、14b)は長手軸に沿った第1の半分に配置され、かつ/または
前記消費器(16)は長手軸に沿った第2の半分に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の機械。
【請求項9】
前記要素(10、10’)は、長手軸に沿った第2の半分において工具(11)および/またはドリル用の工具ホルダを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の機械。
【請求項10】
前記要素(10、10’)は、長手軸に沿った第1の半分において機械への機械的接続のためのカップリングを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の機械。
【請求項11】
前記要素(10、10’)は、ステータス情報または色分けされたステータス情報を出力するように構成されたディスプレイ、具体的にはカラーディスプレイまたはLEDを含み、または前記要素(10、10’)は、ステータス情報または音響ステータス情報を出力するように構成されたディスプレイ、具体的には音響表示を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の機械。
【請求項12】
前記要素(10、10’)を含むドリルチャックまたはドリルホルダを有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の機械。
【請求項13】
前記要素(10、10’)と前記回転出力要素(12、12’)との間の前記カップリングはクイックコネクタによって実装されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の機械。
【請求項14】
前記回転出力要素(12、12’)の領域に、および/または前記機械上の前記要素(10、10’)の前記インダクタンス(14、14a、14b)の領域に、1つまたは複数の磁石(18)が配置され、前記要素(10、10’)の回転の際、前記磁石(18)が静止状態に保たれるようになっている、請求項1から13のいずれか一項に記載の機械。
【請求項15】
前記要素(10、10’)の前記回転軸(10r)の周りに半円の形状で複数の磁石(18)が配置されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の機械。
【請求項16】
複数の磁石(18)が交互の極性で、および/またはハルバッハ配列の形態で配置されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の機械。
【国際調査報告】