(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】多峰性細孔分布を有するマグネシウム系固体および触媒成分、ならびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 4/654 20060101AFI20231107BHJP
C01F 5/30 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
C08F4/654
C01F5/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523092
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 CN2021124050
(87)【国際公開番号】W WO2022078492
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】202011104541.0
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011105648.7
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011105894.2
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】510016575
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岑為
(72)【発明者】
【氏名】周俊領
(72)【発明者】
【氏名】付梅艶
(72)【発明者】
【氏名】巌立安
(72)【発明者】
【氏名】施展
(72)【発明者】
【氏名】張暁帆
(72)【発明者】
【氏名】夏先知
(72)【発明者】
【氏名】郭正陽
(72)【発明者】
【氏名】張紀貴
(72)【発明者】
【氏名】林潔
(72)【発明者】
【氏名】斉琳
(72)【発明者】
【氏名】張天一
(72)【発明者】
【氏名】張軍輝
(72)【発明者】
【氏名】趙恵
(72)【発明者】
【氏名】王宇
(72)【発明者】
【氏名】王迎
【テーマコード(参考)】
4G076
4J128
【Fターム(参考)】
4G076AA06
4G076AA18
4G076AB04
4G076BA13
4G076BA23
4G076BA43
4G076BB03
4G076BB08
4G076CA02
4G076CA26
4G076CA28
4G076DA01
4J128AC04
4J128AC05
4J128AC06
4J128AC07
4J128BC14B
4J128BC15B
4J128BC16B
4J128BC17B
4J128BC19B
4J128BC27B
4J128BC32B
4J128BC34B
4J128BC35B
4J128BC36B
4J128BC42B
4J128CA15A
4J128CA16A
4J128CB27A
4J128CB30A
4J128CB42A
4J128CB43A
4J128CB44A
4J128CB45A
4J128CB48A
4J128CB59A
4J128CB89A
4J128EB02
4J128EB03
4J128EB04
4J128EB05
4J128EB07
4J128EB08
4J128EB09
4J128EB10
4J128EC01
4J128EC02
4J128FA01
4J128FA02
4J128GA05
4J128GA06
4J128GA09
4J128GA14
4J128GB01
(57)【要約】
本発明は、マグネシウム系固体およびオレフィン重合用固体触媒成分を提供する。窒素吸着法に基づく測定手段によると、当該固体は、多峰性細孔分布、および50m2/g以上の比表面積を有し、当該固体の細孔径分布は1nm~300nmの範囲である。10nm未満の細孔径範囲内に少なくとも1つのピークが存在し、10nm以上の細孔径範囲内に少なくとももう1つのピークが存在する。固体触媒成分を用いて形成された触媒をプロピレン重合に使用する場合、当該触媒は、より高い重合活性およびより高い定位配向能を有し、製造されたポリマーは、比較的広い分子量分布を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多峰性細孔分布を有するマグネシウム系固体であって、
担体としてのマグネシウムハロゲン化物、およびチタン元素を含み、
窒素吸着法により測定した場合、前記マグネシウム系固体は、50m
2/g以上の比表面積、および1nm~300nmの細孔径分布を有し、10nm未満の細孔径範囲内に少なくとも1つのピークが存在し、10nm以上の細孔径範囲内に少なくとも1つのピークが存在し;好ましくは、10nm未満の細孔径範囲内の前記ピークは、2nm~8nm、好ましくは2nm~6nmの最確細孔径を有し、10nm以上の細孔径範囲内の前記ピークは、15nm~200nm、好ましくは20nm~100nm、より好ましくは30nm~90nmの最確細孔径を有する、
マグネシウム系固体。
【請求項2】
前記マグネシウム系固体において、10nm未満の細孔径を有する細孔の細孔容積と、10nm以上の細孔径を有する細孔の細孔容積との比率は、(0.1~20):1であり、好ましくは(0.25~15):1であることを特徴とする、
請求項1に記載のマグネシウム系固体。
【請求項3】
5nm未満の細孔径を有する細孔の細孔容積は、全細孔容積の10%~90%を占め、好ましくは15%~70%を占め;30nm以上の細孔径を有する細孔の細孔容積は、全細孔容積の5%~70%を占め、好ましくは10%~60%を占めることを特徴とする、
請求項1または2に記載のマグネシウム系固体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のマグネシウム系固体の製造方法であって:
S1.マグネシウム含有溶液を形成するために、有機溶媒中でマグネシウムハロゲン化物をルイス塩基と接触させる工程;
S2.混合物を形成するために、前記マグネシウム含有溶液を不活性分散媒およびルイス酸と接触させる工程;
S3.補助沈殿剤および界面活性剤の存在下で、前記混合物から前記マグネシウム系固体を沈殿させる工程、
を含み、
工程S1において、前記ルイス塩基は、有機リン化合物を含み、前記マグネシウムハロゲン化物1モル当たり1.5~10モル、好ましくは2~5モルの量で使用され;より好ましくは、前記ルイス塩基は、有機エポキシ化合物をさらに含み;工程S2において、前記ルイス酸は、チタン化合物を含む、
方法。
【請求項5】
工程S1において、前記マグネシウムハロゲン化物は、一般式(1)で表され:
MgX
1
2 (1)
式中、X
1は、ハロゲンであり、好ましくは塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくは、前記マグネシウムハロゲン化物は二塩化マグネシウムであり;および/または、
前記有機リン化合物は、式(2)または式(3)で表される化合物のうちの1つ以上であり:
【化1】
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は、それぞれ独立して、1~20個の炭素原子を有し、直鎖または分枝アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、および置換基を有する芳香族炭化水素基からなる群から選択され、好ましくは、前記有機リン化合物は、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイトおよびトリベンジルホスファイトのうちの1つ以上であり;および/または、
前記有機溶媒は、芳香族炭化水素化合物およびハロゲン化炭化水素化合物からなる群から選択される1つ以上であり、好ましくは、前記有機溶媒は、トルエン、エチルベンゼン、ベンゼン、キシレンおよびクロロベンゼンのうちの1つ以上であり、より好ましくは、前記有機溶媒は、前記マグネシウムハロゲン化物1モルに対して、1~40モル、好ましくは2~30モルの量で使用されることを特徴とする、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程S2において、前記不活性分散媒は、ケロシン、パラフィン油、ホワイト油、ワセリン油、メチルシリコーン油、脂肪族炭化水素および脂環式炭化水素からなる群から選択される1つ以上であり、好ましくは、前記不活性分散媒は、ホワイト油、ヘキサンおよびデカンのうちの1つ以上であり、より好ましくは、前記不活性分散媒は、前記マグネシウムハロゲン化物1グラムに対して、0.1g~300g、好ましくは1g~150gの量で使用され;および/または、
前記ルイス酸は、一般式(4)で表されるチタン含有化合物を含み:
TiX
2
m(OR
1)
4-m (4)
式中、X
2は、ハロゲンであり、好ましくは塩素、臭素またはヨウ素であり、R
1は、1~20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、mは1~4の整数であり、好ましくは、前記チタン含有化合物は、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、チタンテトラブトキシド、チタンテトラエトキシド、トリエトキシチタンクロリド、ジエトキシチタンジクロリドおよびエトキシチタントリクロリドのうちの1つ以上であり、より好ましくは、前記チタン含有化合物は、前記マグネシウムハロゲン化物1モルに対して、0.5~25モル、好ましくは1~20モルの量で使用されることを特徴とする、
請求項4~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程S3において、前記補助沈殿剤は、有機酸、有機酸無水物、有機エーテルおよび有機ケトンからなる群から選択される1つ以上であり、好ましくは、前記補助沈殿剤は、無水酢酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、ピロメリット酸二無水物、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アクリル酸、メタクリル酸、アセトン、メチルエチルケトン、ベンゾフェノン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルおよびジペンチルエーテルからなる群から選択される1つ以上であり、より好ましくは、前記補助沈殿剤は、前記マグネシウムハロゲン化物1モルに対して、0.01~1モル、好ましくは0.04~0.4モルの量で使用され;および/または、
前記界面活性剤は、ポリマー界面活性剤であり、好ましくは、前記界面活性剤は、アルキル(メタ)アクリレートポリマー、アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、無水マレイン酸ポリマーのアルコール分解物、および無水マレイン酸コポリマーのアルコール分解物からなる群から選択される1つ以上であり、より好ましくは、前記界面活性剤は、前記マグネシウムハロゲン化物1グラムに対して、0.01g~5g、好ましくは0.05g~1gの量で使用されることを特徴とする、
請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
多峰性細孔分布を有するオレフィン重合用固体触媒成分であって、
請求項1~7に記載のマグネシウム系固体、および少なくとも1つの内部電子供与体を含む、
固体触媒成分。
【請求項9】
窒素吸着法により測定した場合、前記固体触媒成分は、複数ピークを示す細孔径分布、および50m
2/g以上の比表面積を有し;前記固体の複数ピークを示す前記細孔径分布は、1nm~10nmの細孔径範囲に少なくとも第1のピークが存在し、10nm~200nmの細孔径範囲に少なくとも第2のピークが存在するものであることを特徴とする、
請求項8に記載の固体触媒成分。
【請求項10】
前記固体の複数ピークを示す前記細孔径分布は、1nm~10nmの細孔径範囲の前記ピークが、2nm~8nm、さらに好ましくは2nm~6nmの最確細孔径を有し;10nm~200nmの細孔径範囲の前記ピークが、15nm~200nm、好ましくは20nm~100nm、より好ましくは30nm~90nmの最確細孔径を有するものであることを特徴とする、
請求項8または9に記載の固体触媒成分。
【請求項11】
5nm未満の細孔径を有する細孔の細孔容積は、全細孔容積の10%~90%を占め、好ましくは15%~70%を占め;30nm以上の細孔径を有する細孔の細孔容積は、全細孔容積の5%~70%を占め、好ましくは10%~60%を占めることを特徴とする、
請求項8~10に記載の固体触媒成分。
【請求項12】
前記内部電子供与体は、エステル、エーテル、ケトン、アミンおよびシランからなる群から選択される1つ以上であり、好ましくは、脂肪族モノまたはポリカルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、ジオールエステル化合物およびジエーテル化合物のうちの少なくとも1つであり、好ましくは、二塩基性脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、ジオールエステルおよびジエーテル化合物のうちの少なくとも1つを含み、より好ましくは、フタレート、マロネート、スクシネート、グルタレート、ジオールエステル、ジエーテル、ネオバレレートおよびカーボネートのうちの少なくとも1つを含む、
請求項8に記載の固体触媒成分。
【請求項13】
請求項8~12のいずれか1項に記載のオレフィン重合用固体触媒成分の製造方法であって、
前記オレフィン重合用固体触媒成分を得るために、前記マグネシウム系固体の製造中に少なくとも1つの内部電子供与体を添加する工程;または/および、少なくとも1つの内部電子供与体を前記マグネシウム系固体と接触させる工程を含む、
方法。
【請求項14】
オレフィン重合用触媒系であって、
(1)請求項8~12のいずれか1項に記載の固体触媒成分;
(2)アルキルアルミニウム化合物;および、
(3)任意に、外部電子供与体、
を含む、触媒系。
【請求項15】
オレフィン重合、特にプロピレン重合における、請求項8~12のいずれか1項に記載の固体触媒成分もしくは請求項14に記載の触媒系の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2020年10月15日に出願されたCN202011104541.0、CN202011105894.2およびCN202011105648.7の優先権および利益を主張するものであり、これらは、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、オレフィン重合の技術分野に関し、特に、マグネシウム系固体物質およびオレフィン重合用触媒成分、ならびにその製造方法および用途に関する。
【0003】
〔背景技術〕
塩化マグネシウム担持チーグラー・ナッタ触媒は、現在市販されている主要なオレフィン重合触媒である。このような触媒の製造では、マグネシウム化合物またはマグネシウム錯体含有固体を、まず担体として製造することがある。例えば、周知の高速撹拌技術、高圧押出技術、スプレー技術、超重力技術などはすべて、塩化マグネシウム-アルコール付加物担体などのこのような担体を製造するために使用される。次いで、担体をチタン含有化合物と接触させて、塩化マグネシウム担持チタン系触媒固体を形成し、その上に内部電子供与体化合物を担持させて、触媒成分を形成する。このような触媒成分の窒素吸着に基づく試験は一般に、10nm以下の最確細孔径を有する単峰性細孔分布を示す。
【0004】
さらに、マグネシウム化合物またはマグネシウム錯体の溶液をまず得て、次いで、溶液をチタン含有化合物と接触させて、塩化マグネシウム担持チタン系触媒固体を沈殿させることも可能であり、これをさらに内部電子供与体化合物と接触させて、触媒成分を形成する。触媒成分がCN85100997AおよびCN1097597Cなどの早い時期の公開特許によって製造されたか、または、触媒成分が、結晶化プロセスを制御するためにエマルジョン技術を採用したCN103619475BおよびCN107207657Aなどの近年の公開特許によって製造されたかに依らず、多峰性細孔分布を有する塩化マグネシウム担持触媒成分についての報告はない。
【0005】
現在、多峰性細孔分布を有するポリオレフィン触媒は一般に、多峰性細孔分布を有するモレキュラーシーブまたはシリカゲルを担体として使用することによって製造される。例えば、特許CN104650267A、CN105175586A、CN105330769AおよびUS5231066は、チタンまたは1つの活性部位金属をそのような担体上に担持させてポリエチレン触媒を製造することにより、二峰性または広い分子量分布を有するポリエチレンが得られることを報告している。しかしながら、塩化マグネシウム担持触媒と比較して、モレキュラーシーブ型またはシリカゲル型の担体を用いて製造されたオレフィン重合触媒は、比較的低い活性を有することが周知である。
【0006】
さらに、触媒成分が大気曝露状態にある場合、触媒の構造にクラックが生じ、内部のミクロ細孔構造が破壊されてメソ細孔およびマクロ細孔に変質すると、塩化マグネシウム担持触媒成分も多峰性細孔分布を有することがある。しかしながら、そのような場合、触媒成分の比表面積は急激に減少するか、または消失することさえあり、その結果、多峰性細孔分布を有するそのような触媒成分は非常に小さい比表面積を有し、触媒は基本的に機能することができない。
【0007】
所望の特性を示すマグネシウム系触媒担体、それから製造されるポリオレフィン触媒成分、および、対応する触媒系が依然として必要とされている。
【0008】
〔発明の概要〕
本発明の第1の目的は、担体としてのマグネシウムハロゲン化物を含み、チタン元素を含み、高い比表面積と組み合わされた多峰性細孔径分布を特徴とする、多峰性細孔分布を有するマグネシウム系固体を提供することである。
【0009】
本発明の第2の目的は、第1の目的に関連するマグネシウム系固体の製造方法を提供することである。
【0010】
本発明の第3の目的は、前記マグネシウム系固体から製造されたオレフィン重合用固体触媒成分を提供することである。
【0011】
本発明の第4の目的は、第3の目的に関連するオレフィン重合用固体触媒成分の製造方法を提供することである。
【0012】
本発明の第5の目的は、触媒成分を含むオレフィン重合触媒を提供することである。
【0013】
本発明の第6の目的は、オレフィン重合における前記触媒の使用を提供することである。
【0014】
本発明の第7の目的は、上記目的に関連するオレフィン重合方法を提供することである。
【0015】
本発明者らは、多峰性細孔分布を有するマグネシウム系固体を用いて製造されたオレフィン重合触媒をプロピレン重合に用いると、当該触媒は、より高い重合活性、およびより高い立体配向能を有しており、プロピレン重合において本発明の触媒を用いて製造されたポリマーは、同一の内部電子供与体を用いた公知の技術によって達成された分子量分布よりも広い分子量分布を有することを見出した。
【0016】
〔好ましい実施形態の詳細な説明〕
第1の態様において、本発明は、多峰性細孔分布を有するマグネシウム系固体であって、担体としてのマグネシウムハロゲン化物、およびチタン元素を含み、窒素吸着法により測定した場合、前記マグネシウム系固体は、50m2/g以上の比表面積、および1nm~300nmの細孔径分布を有し、10nm未満の細孔径範囲内に少なくとも1つのピークが存在し、10nm以上の細孔径範囲内に少なくとも1つのピークが存在する、マグネシウム系固体を提供する。
【0017】
本発明によれば、前記マグネシウム系固体の細孔径分布は、窒素吸着法を用いた測定、およびNLDFTアルゴリズムを用いた計算によって求められる。
【0018】
本発明によれば、前記マグネシウム系固体の比表面積は、窒素吸着法を用いた測定によって求められる。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記マグネシウム系固体は、球状構造または球状様構造を有する。
【0020】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、10nm未満の細孔径範囲内のピークに対応する最確細孔径は、2nm~8nm、好ましくは2nm~6nmの範囲内であり;同時に、10nm以上の細孔径範囲内のピークに対応する最確細孔径は、15nm~200nm、好ましくは20nm~100nm、より好ましくは30nm~90nmの範囲内である。
【0021】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記マグネシウム系固体において、10nm未満の細孔径を有する細孔の細孔容積と、10nm以上の細孔径を有する細孔の細孔容積との比率は、(0.1~20):1であり、好ましくは(0.25~15):1である。
【0022】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、5nm未満の細孔径を有する細孔の細孔容積は、全細孔容積の10%~90%を占め、好ましくは15%~70%を占め;30nm以上の細孔径を有する細孔の細孔容積は、全細孔容積の5%~70%を占め、好ましくは10%~60%を占める。
【0023】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記マグネシウム系固体は、100m2/g~500m2/gの比表面積を有する。
【0024】
第2の態様において、本発明は、上述のマグネシウム系固体の製造方法を提供することである。当該方法は:
S1.マグネシウム含有溶液を形成するために、有機溶媒中でマグネシウムハロゲン化物をルイス塩基と接触させる工程;
S2.混合物を形成するために、前記マグネシウム含有溶液を不活性分散媒およびルイス酸と接触させる工程;
S3.補助沈殿剤および界面活性剤の存在下で、前記混合物からマグネシウム系固体を沈殿させる工程、
を含み、
工程S1において、前記ルイス塩基は、有機リン化合物を含み、前記マグネシウムハロゲン化物1モル当たり1.5~10モルの量で使用され;工程S2において、前記ルイス酸は、チタン化合物を含む。
【0025】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S1において、前記ルイス塩基は、有機リン化合物を含み、前記マグネシウムハロゲン化物1モル当たり2~5モルの量で使用される。
【0026】
本発明によれば、工程S2において、前記混合物は、コロイド、二相溶液、エマルジョンなどの形態である。好ましくは、前記混合物は、少なくとも2つの液相を含む混合物に形成される。したがって、界面活性剤の存在下で前記混合物からの均一なエマルジョンの形成を促進するために、振動、撹拌、噴霧、剪断などの1つ以上の処理を使用することができ、その結果、球状固体を固化および沈殿させることができる。
【0027】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S3において、前記混合物からのマグネシウム系固体の沈殿を引き起こすために、前記混合物を目標温度まで加熱し、ここで、当該目標温度は50~110℃である。
【0028】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S3において、加熱処理が完了した後、撹拌しながら目標温度を0.1~24h維持する。
【0029】
本発明によれば、前記混合物からの固体の沈殿後、沈殿物の形態をより安定なものにし、粒子強度を改善するために、懸濁液を特定の温度で特定の時間、例えば10分~24時間、撹拌してもよい。
【0030】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S3において、加熱処理は、0.01時間~36時間、好ましくは0.1時間~24時間かかる。
【0031】
本発明によれば、前記混合物を加熱する処理は特に限定されず、加熱のための任意の公知の処理、例えば、緩慢加熱、段階的加熱、急速加熱、またはプログラム化加熱を使用することができる。具体的な加熱様式は、具体的な構築、接触温度などに応じて調整することができる。本発明者らは、検討の結果、本明細書に記載の製造方法において、他の条件が同一である場合、種々の加熱処理が最終触媒の粒子形態および粒径分布に影響を及ぼすことを、見出した。具体的には、緩慢加熱処理が使用される場合、より良好な粒子形態を得ることができる一方、加熱速度が速すぎると不十分な粒子形態がもたらされる。したがって、前記混合物を加熱する処理は、1分~36時間、好ましくは3分~24時間継続させてもよい。
【0032】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S1で使用される前記マグネシウムハロゲン化物は、一般式(1)で表され:
MgX1
2 (1)
式中、X1は、ハロゲンであり、好ましくは塩素、臭素またはヨウ素である。
【0033】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記マグネシウムハロゲン化物は、二塩化マグネシウム、二臭化マグネシウムおよび二ヨウ化マグネシウムのうちの1つ以上である。
【0034】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記マグネシウムハロゲン化物は、二塩化マグネシウムである。
【0035】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記有機リン化合物は、式(2)または式(3)で表される化合物から選択される1つ以上である。
【0036】
【0037】
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれ独立して、1~20個の炭素原子を有し、直鎖または分枝アルキル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、およびアルキル基などの置換基を有する芳香族炭化水素基から選択される。
【0038】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記有機リン化合物は、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(o-、m-またはp-トリル)ホスフェート、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイトおよびトリベンジルホスファイトのうちの1つ以上である。
【0039】
本発明によれば、前記有機リン化合物は、トリブチルホスフェートである。
【0040】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記有機溶媒は、芳香族炭化水素化合物およびハロゲン化炭化水素化合物から選択される1つ以上である。
【0041】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記有機溶媒は、トルエン、エチルベンゼン、ベンゼン、キシレンおよびクロロベンゼンのうちの1つ以上である。
【0042】
本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、前記有機溶媒はトルエンである。
【0043】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記有機溶媒は、マグネシウムハロゲン化物1モルに対して、1~40モル、好ましくは2~30モルの量で使用される。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ルイス塩基は、有機エポキシ化合物および/または水酸基含有化合物をさらに含む。
【0045】
本発明によれば、前記有機エポキシ化合物は、2~8個の炭素原子を有する脂肪族オレフィンおよびハロゲン化脂肪族オレフィンの酸化生成物のうちの1つ以上であり、特には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エポキシクロロエタン、エピクロロヒドリン、ブチレンオキシド、ブタジエンオキシド、ブタジエンジオキシド、メチルグリシジルエーテルおよびジグリシジルエーテルのうちの1つ以上であり得、好ましくはエピクロロヒドリンであり得る。
【0046】
本発明によれば、前記水酸基含有化合物は一般式HORを有し、式中、Rは2~20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、飽和または不飽和の、直鎖もしくは分枝アルキル基、シクロアルキル基または芳香族炭化水素基であり得る。水酸基含有化合物は、好ましくはアルコール化合物であり、より好ましくはエタノール、プロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、ベンジルアルコールおよびフェネチルアルコールのうちの1つ以上である。
【0047】
本発明によれば、前記有機エポキシ化合物は、マグネシウムハロゲン化物1モルに対して、0.1~10モル、好ましくは0.4~4モルの量で使用される。
【0048】
本発明によれば、前記水酸基含有化合物は、マグネシウムハロゲン化物1モルに対して、0.1~10モル、好ましくは0.1~5モルの量で使用される。
【0049】
本発明によれば、前記マグネシウム含有溶液は、前記有機溶媒中で前記マグネシウムハロゲン化物と前記有機リン化合物とを接触させることによって形成することができ;前記マグネシウム含有溶液は、前記有機溶媒中で前記マグネシウムハロゲン化物と前記有機エポキシ化合物と前記有機リン化合物とを接触させることによって形成することもでき;または、前記マグネシウム含有溶液は、前記有機溶媒中で前記マグネシウムハロゲン化物と前記有機エポキシ化合物と前記有機リン化合物と前記水酸基含有化合物とを接触させることによって形成することもできる。
【0050】
本発明に記載される前記マグネシウム含有溶液を形成するための接触処理は、特に限定されない。接触の目的は、マグネシウム含有均一溶液を形成することである。接触の条件は:接触温度10~150℃、好ましくは30~130℃、接触時間0.05~10時間、好ましくは0.1~6時間を含む。
【0051】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S2において、前記不活性分散媒は、ケロシン、パラフィン油、ホワイト油、ワセリン油、メチルシリコーン油、脂肪族炭化水素および脂環式炭化水素から選択される1つ以上である。
【0052】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S2において、前記不活性分散媒は、ホワイト油、ヘキサンおよびデカンから選択される1つ以上である。
【0053】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S2において、使用される前記不活性分散媒の量は、マグネシウムハロゲン化物1グラムに対して、0.1g~300g、好ましくは1g~150gである。
【0054】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記ルイス酸は、チタン含有化合物、および任意にケイ素含有化合物を含む。前記チタン含有化合物は、一般式(4)で表され:
TiX2
m(OR1)4-m (4)
式中、X2は、ハロゲンであり、好ましくは塩素、臭素またはヨウ素であり、R1は、1~20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、mは1~4の整数である。
【0055】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記チタン含有化合物は、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、チタンテトラブトキシド、チタンテトラエトキシド、トリエトキシチタンクロリド、ジエトキシチタンジクロリドおよびエトキシチタントリクロリドから選択される1つ以上である。
【0056】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記チタン含有化合物は、前記マグネシウムハロゲン化物1モルに対して、0.5~25モル、好ましくは1~20モルの量で使用される。
【0057】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記ケイ素含有化合物は、一般式(5)で表され:
SiX3
nR2
4-n (5)
式中、X3は、ハロゲンであり、好ましくは塩素、臭素またはヨウ素であり、R2は、1~20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、nは1~4の整数である。
【0058】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記ケイ素含有化合物は四塩化ケイ素である。
【0059】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記ケイ素含有化合物は、前記マグネシウムハロゲン化物1モルに対して、0.1~40モル、好ましくは0.1~20モルの量で使用される。
【0060】
本発明によれば、工程S2において、前記混合物を形成するための前記マグネシウム含有溶液と、前記不活性分散媒と前記ルイス酸との接触は、任意の様式によって実施することができる。例えば、まず前記マグネシウム含有溶液を前記不活性分散媒と接触させ、次いでそこに前記ルイス酸を滴下することが可能であり;まず前記マグネシウム含有溶液を前記ルイス酸と接触させ、次いでそこに前記不活性分散媒を添加することも可能であり;または、前記不活性分散媒を前記ルイス酸と接触させ、次いでマグネシウム含有溶液と接触させることも可能である。
【0061】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S3において、補助沈殿剤は、有機酸、有機酸無水物、有機エーテルおよび有機ケトンから選択される1つ以上である。
【0062】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S3において、前記補助沈殿剤は、無水酢酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、ピロメリット酸二無水物、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アクリル酸、メタクリル酸、アセトン、メチルエチルケトン、ベンゾフェノン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルおよびジペンチルエーテルから選択される1つ以上である。
【0063】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S3において、使用される前記補助沈殿剤の量は、マグネシウムハロゲン化物1モルに対して、0.01~1モル、好ましくは0.04~0.4モルである。
【0064】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S3において、前記界面活性剤は、ポリマー界面活性剤である。
【0065】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S3において、前記界面活性剤は、アルキル(メタ)アクリレートポリマー、アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、無水マレイン酸ポリマーのアルコール分解物、および無水マレイン酸コポリマーのアルコール分解物からなる群から選択される1つ以上である。
【0066】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S3において、前記界面活性剤は、特に、無水マレイン酸ポリマーのアルコール分解物、無水マレイン酸-スチレンコポリマーのアルコール分解物、無水マレイン酸-スチレン-アルキル(メタ)アクリレートターポリマーのアルコール分解物、無水マレイン酸-アルキル(メタ)アクリレートコポリマーのアルコール分解物のうちの少なくとも1つを含み、アルキル(メタ)アクリレート中のアルキル鎖は、1~30個の炭素原子、好ましくは1~20個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝アルカン、シクロアルカンまたは芳香族炭化水素の鎖であり;無水マレイン酸コポリマーとは、少なくとも1つの無水マレイン酸モノマーを含むコポリマーを指し;アルコール分解物とは、該当のポリマーを、例えばROHの構造式を有するアルコール化合物と反応させることによって得られるポリマー生成物を指す。式中、Rは、2~20個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝アルキル、シクロアルキル、または芳香族ヒドロカルビルである。
【0067】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、本発明で使用される前記界面活性剤は、アルキル(メタ)アクリレートポリマーおよびアルキル(メタ)アクリレートコポリマーのうちの少なくとも1つ(例えばポリ(アルキル(メタ)アクリレート)、アルキル(メタ)アクリレート-無水マレイン酸コポリマー、およびアルキル(メタ)アクリレート-無水マレイン酸-スチレンコポリマーのうちの少なくとも1つ)を含み;ここで、エステル側鎖は、1~30個の炭素原子、好ましくは1~20個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝アルカン、シクロアルカンまたは芳香族炭化水素の鎖である。
【0068】
本発明において有用な様々な界面活性剤が市販されている。例えば、ポリ(メタ)アクリレートポリマー界面活性剤は、T602、T632などの商品名で流動点降下剤製品としてGuangzhou Ruishengyan Chemical Technology社から購入することができる。
【0069】
本発明に係る製造方法において、前記界面活性剤の添加位置は、製造方法における任意の位置であってよく、前記界面活性剤は1回またはそれ以上の回数で添加されてもよい。本発明によれば、前記界面活性剤は、前記マグネシウム含有溶液の形成中または形成後に、1回またはそれ以上の回数で添加されてもよく;1回で前記不活性分散媒に添加されてもよく;1回は前記不活性分散媒に、もう1回は前記マグネシウム含有溶液に添加されてもよく;または、前記マグネシウム含有溶液の後に、前記不活性分散媒と前記ルイス酸とが接触する。
【0070】
工程S3において、前記界面活性剤、特に上述の界面活性剤を使用しない場合、得られるマグネシウム系固体は粉末状であり、球状構造または球状様構造を有するマグネシウム系固体が得られないことがある。
【0071】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、工程S3において、使用される界面活性剤の量は、マグネシウムハロゲン化物1グラムに対して、0.01g~5g、好ましくは0.05g~1gである。
【0072】
第3の態様において、本発明は、オレフィン重合用の、多峰性細孔分布を有する固体触媒成分を提供し、当該固体触媒成分は、上述のマグネシウム系固体、および少なくとも1つの内部電子供与体を含む。
【0073】
本発明によれば、窒素吸着法により測定した場合、前記固体触媒成分は、複数ピークを示す細孔径分布、および50m2/g以上の比表面積を有し;固体の複数ピークを示す細孔径分布は、1nm~100nmの細孔径範囲に少なくとも1つのピークが存在し、5nm~200nmの細孔径範囲に少なくとももう1つのピークが存在するものである。
【0074】
好ましくは、窒素吸着法により測定した場合、前記固体触媒成分は、複数ピークを示す細孔径分布、および50m2/g以上の比表面積を有し;固体触媒成分の複数ピークを示す細孔径分布は、1nm~10nmの細孔径範囲に少なくとも第1のピークが存在し、10nm~200nmの細孔径範囲に少なくとも第2のピークが存在するものである。
【0075】
本発明によれば、細孔径分布は、窒素吸着法で測定したデータについてNLDFTアルゴリズムを用いて計算する。
【0076】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記固体触媒成分の複数ピークを示す細孔径分布は、1nm~100nmの細孔径範囲の少なくとも1つのピークが、1nm~50nm、好ましくは1nm~10nm、より好ましくは2nm~8nm、さらに好ましくは3nm~6nmの最確細孔径を有し;5nm~200nmの細孔径範囲の少なくとももう1つのピークが、10nm~200nm、好ましくは20nm~100nm、より好ましくは30nm~90nmの最確細孔径を有するものである。
【0077】
好ましくは、前記固体触媒成分の複数ピークを示す細孔径分布は、1nm~10nmの細孔径範囲のピークが、2nm~8nm、さらに好ましくは2nm~6nmの最確細孔径を有し;10nm~200nmの細孔径範囲のピークが、15nm~200nm、好ましくは20nm~100nm、より好ましくは30nm~90nmの最確細孔径を有するものである。
【0078】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、5nm未満の細孔径を有する細孔の細孔容積は、全細孔容積の10%~90%を占め、好ましくは15%~70%を占め;30nm以上の細孔径を有する細孔の細孔容積は、全細孔容積の5%~70%を占め、好ましくは10%~60%を占める。
【0079】
いくつかの好ましい実施形態において、前記固体は、100m2/g以上、好ましくは150m2/g以上の比表面積を有する。
【0080】
本発明によれば、前記内部電子供与体は、当技術分野で一般的に使用される種々の内部電子供与体であり得、好ましくはエステル、エーテル、ケトン、アミンおよびシランから選択される1つ以上であり得、好ましくは、脂肪族モノまたはポリカルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、ジオールエステル化合物およびジエーテル化合物のうちの少なくとも1つであり得、好ましくは、二塩基性脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、ジオールエステルおよびジエーテル化合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0081】
本発明における使用に好適な内部電子供与体化合物の具体例は、以下を含むが、これらに限定されない:ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジ-n-ブチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジエチルマロネート、ジブチルマロネート、ジエチルアジペート、ジブチルアジペート、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、ジエチルマレエート、ジ-n-ブチルマレエート、ジエチルナフタレンジカルボキシレート、ジブチルナフタレンジカルボキシレート、トリエチルトリメリテート、トリブチルトリメリテート、トリエチル1,2,3-ベンゼントリカルボキシレート、トリブチル1,2,3-ベンゼントリカルボキシレート、テトラエチルピロメリテート、テトラブチルピロメリテート、1,3-プロパンジオールジベンゾエート、2-メチル-1,3-プロパンジオールジベンゾエート、2-エチル-1,3-プロパンジオールジベンゾエート、2-プロピル-1,3-プロパンジオールジベンゾエート、2-ブチル-1,3-プロパンジオールジベンゾエート、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールジベンゾエート、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオールジベンゾエート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオールジベンゾエート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジベンゾエート、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-プロパンジオールジベンゾエート、2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、3-メチル-2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、3-エチル-2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、3-プロピル-2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、3-ブチル-2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、3,3-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、2-メチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2,2-ジメチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2-エチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2-ブチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2-メチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2-エチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2-プロピル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2-ブチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2,2-ジメチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2-メチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2,2-ジメチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2-エチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2-ブチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジベンゾエート、3-メチル-3-ブチル-2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、2,2-ジメチル-1,5-ペンタンジオールジベンゾエート、1,6-ヘキサンジオールジベンゾエート、6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、2-メチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、3-メチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、4-メチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、5-メチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、6-メチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、3-エチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、4-エチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、5-エチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、6-エチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、3-プロピル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、4-プロピル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、5-プロピル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、6-プロピル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、3-ブチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、4-ブチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、5-ブチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、6-ブチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、3,5-ジメチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、3,5-ジエチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、3,5-ジプロピル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、3,5-ジブチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、3,3-ジメチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、3,3-ジエチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、3,3-ジプロピル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、3,3-ジブチル-6-ヘプテン-2,4-ジオールジベンゾエート、3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、2-メチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3-メチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、4-メチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、5-メチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、6-メチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3-エチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、4-エチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、5-エチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3-プロピル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、4-プロピル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3-ブチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、2,3-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、2,4-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、2,5-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3,3-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、4,4-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、6,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3,4-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3,5-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、4,5-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、4,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、4,4-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、6,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、2-メチル-3-エチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、2-メチル-4-エチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、2-メチル-5-エチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3-メチル-3-エチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3-メチル-4-エチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3-メチル-5-エチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、4-メチル-3-エチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、4-メチル-4-エチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、4-メチル-5-エチル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、2-メチル-3-プロピル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、
【0082】
2-メチル-4-プロピル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、2-メチル-5-プロピル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3-メチル-3-プロピル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3-メチル-4-プロピル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、3-メチル-5-プロピル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、4-メチル-3-プロピル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、4-メチル-4-プロピル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、4-メチル-5-プロピル-3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-secブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-フェニルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(p-クロロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-ジフェニルメチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-プロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-エチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル-2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソブチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-メチルブチル)-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ベンジル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-sec-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-シクロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパン、9,9-ジメトキシメチルフルオレン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ブチレングリコールジメチルエーテル、ブチレングリコールジエチルエーテル、ブチレングリコールジブチルエーテル、ヘキサンジオールジメチルエーテル、ヘキサンジオールジエチルエーテル、ヘキサンジオールジブチルエーテル、ジエチル2,2-ジメチルスクシネート、ジエチル2-エチル-2-メチルスクシネート、ジエチル2-ベンジル-2-イソプロピルスクシネート、ジエチル2-シクロヘキシルメチル-2-イソブチルスクシネート、ジエチル2-シクロペンチル-2-n-ブチルスクシネート、ジエチル2,2-ジイソブチルスクシネート、ジエチル2-シクロヘキシル-2-エチルスクシネート、ジエチル2-イソプロピル-2-メチルスクシネート、ジエチル2-テトラデシル-2-エチルスクシネート、ジエチル2-イソブチル-2-エチルスクシネート、ジエチル2-(1-トリフルオロメチル-エチル)-2-メチルスクシネート、ジエチル2-イソペンチル-2-イソブチルスクシネート、ジエチル2-フェニル-2-n-ブチルスクシネート、ジイソブチル2,2-ジメチルスクシネート、ジイソブチル2-エチル-2-メチルスクシネート、ジイソブチル2-ベンジル-2-イソプロピルスクシネート、ジイソブチル2-シクロヘキシルメチル-2-イソブチルスクシネート、ジイソブチル2-シクロペンチル-2-n-ブチルスクシネート、ジイソブチル2,2-ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル2-シクロヘキシル-2-エチルスクシネート、ジイソブチル2-イソプロピル-2-メチルスクシネート、ジイソブチル2-テトラデシル-2-エチルスクシネート、ジイソブチル2-イソブチル-2-エチルスクシネート、ジイソブチル2-(1-トリフルオロメチル-エチル)-2-メチルスクシネート、ジイソブチル2-イソペンチル-2-イソブチルスクシネート、ジイソブチル2-フェニル-2-n-ブチルスクシネート、ジネオペンチル2,2-ジメチルスクシネート、ジネオペンチル2-エチル-2-メチルスクシネート、ジネオペンチル2-ベンジル-2-イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2-シクロヘキシルメチル-2-イソブチルスクシネート、ジネオペンチル2-シクロペンチル-2-n-ブチルスクシネート、ジネオペンチル2,2-ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル2-シクロヘキシル-2-エチルスクシネート、ジネオペンチル2-イソプロピル-2-メチルスクシネート、ジネオペンチル2-テトラデシル-2-エチルスクシネート、ジネオペンチル2-イソブチル-2-エチルスクシネート、ジネオペンチル2-(1-トリフルオロメチル-エチル)-2-メチルスクシネート、ジネオペンチル2-イソペンチル-2-イソブチルスクシネート、ジネオペンチル2-フェニル-2-n-ブチルスクシネート、ジエチル2,3-ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル2,2-sec-ブチル-3-メチルスクシネート、ジエチル2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3-メチルスクシネート、ジエチル2,3-ビス(2-エチル-ブチル)スクシネート、ジエチル2,3-ジエチル-2-イソプロピルスクシネート、ジエチル2,3-ジイソプロピル-2-メチルスクシネート、ジエチル2,3-ジシクロヘキシル-2-メチルスクシネート、ジエチル2,3-ジベンジルスクシネート、ジエチル2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジエチル2,3-ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル2,3-ジ-tert-ブチルスクシネート、ジエチル2,3-ジイソブチルスクシネート、ジエチル2,3-ジネオペンチルスクシネート、ジエチル2,3-ジイソペンチルスクシネート、ジエチル2,3-(1-トリフルオロメチル-エチル)スクシネート、ジエチル2,3-テトラデシルスクシネート、ジエチル2,3-フルオレニルスクシネート、ジエチル2-イソプロピル-3-イソブチルスクシネート、ジエチル2-tert-ブチル-3-イソプロピルスクシネート、ジエチル2-イソプロピル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジエチル2-イソペンチル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジエチル2-テトラデシル-3-シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル2-シクロヘキシル-3-シクロペンチルスクシネート、ジイソブチル2,3-ジエチル-2-イソプロピルスクシネート、ジイソブチル2,3-ジイソプロピル-2-メチルスクシネート、ジイソブチル2,3-ジシクロヘキシル-2-メチルスクシネート、ジイソブチル2,3-ジベンジルスクシネート、ジイソブチル2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル2,3-ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル2,3-ジ-tert-ブチルスクシネート、ジイソブチル2,3-ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル2,3-ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル2,3-ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル2,3-(1-トリフルオロメチル-エチル)スクシネート、ジイソブチル2,3-テトラデシルスクシネート、ジイソブチル2,3-フルオレニルスクシネート、ジイソブチル2-イソプロピル-3-イソブチルスクシネート、ジイソブチル2-tert-ブチル-3-イソプロピルスクシネート、ジイソブチル2-イソプロピル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル2-イソペンチル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル2-テトラデシル-3-シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル2-シクロヘキシル-3-シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル2,3-ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル2,2-sec-ブチル-3-メチルスクシネート、ジネオペンチル2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3-メチルスクシネート、ジネオペンチル2,3-ビス(2-エチル-ブチル)スクシネート、ジネオペンチル2,3-ジエチル-2-イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3-ジイソプロピル-2-メチルスクシネート、ジネオペンチル2,3-ジシクロヘキシル-2-メチルスクシネート、ジネオペンチル2,3-ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2,3-ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル2,3-ジ-tert-ブチルスクシネート、ジネオペンチル2,3-ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル2,3-ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル2,3-ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル2,3-(1-トリフルオロメチル-エチル)スクシネート、ジネオペンチル2,3-テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル2,3-フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル2-イソプロピル-3-イソブチルスクシネート、ジネオペンチル2-tert-ブチル-3-イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル2-イソプロピル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル2-イソペンチル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル2-テトラデシル-3-シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル2-シクロヘキシル-3-シクロペンチルスクシネート。
【0083】
さらに、好ましい内部電子供与体は、ジ-n-ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、3,5-ヘプタンジオールジベンゾエート、ジエチル2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジ-n-ブチル2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジメチル2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル2,2-ジメチルスクシネート、ジイソブチル2-エチル-2-メチルスクシネート、ジエチル2-エチル-2-メチルスクシネート、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、9,9-ジメトキシメチルフルオレン、エチレングリコールジブチルエーテルのうちの少なくとも1つである。
【0084】
本発明によれば、内部電子供与体の添加量は、特に限定されず、当技術分野で従来から用いられている添加量であってもよい。好ましくは、内部電子供与体とマグネシウムハロゲン化物とのモル比は、0.001~1:1である、好ましくは0.01~1:1である。
【0085】
第4の態様において、本発明は、オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法を提供する。当該方法は:
方法1、オレフィン重合用固体触媒成分を得るために、上述のマグネシウム系固体の製造中に少なくとも1つの内部電子供与体を添加する方法;または、
方法2、オレフィン重合用固体触媒成分を得るために、上述のマグネシウム系固体の製造中に少なくとも1つの内部電子供与体を添加し、沈殿した固体を少なくとも1つの内部電子供与体と引き続き接触させる方法;または、
方法3、オレフィン重合用固体触媒成分を得るために、少なくとも1つの内部電子供与体を上述のマグネシウム系固体と接触させる方法、
を含む。
【0086】
本発明によれば、方法1および方法2において、マグネシウム系固体の製造プロセスにおける任意のタイミングで、1回またはそれ以上の回数で内部電子供与体が添加されてもよい。
【0087】
本発明によれば、方法1および方法2において内部電子供与体が添加されるタイミングは、工程S1において内部電子供与体がマグネシウム含有均一溶液に1回またはそれ以上の回数で添加されるというタイミング、および、前記混合物が工程S2において形成された後、工程S3における加熱による沈殿処理において内部電子供与体が1回またはそれ以上の回数で添加されるというタイミングを含む。
【0088】
第5の態様において、本発明は、オレフィン重合用触媒系であって:
(1)上述の固体触媒成分;
(2)アルキルアルミニウム化合物;および、
(3)任意に、外部電子供与体、
を含む触媒系を提供する。
【0089】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記アルミニウムアルキル化合物中のアルミニウムと、前記固体触媒成分中のチタンとのモル比は、(5~5000):1であり、好ましくは(20~800):1である。
【0090】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、アルミニウム基準の前記アルキルアルミニウム化合物と、前記外部電子供与体化合物とのモル比は、(0.1~500):1であり、好ましくは(1~100):1であり、より好ましくは(3~100):1である。
【0091】
本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、前記アルキルアルミニウム化合物は、一般式AlRnX3-nで表される化合物であり、式中、Rは、水素、1~20個の炭素原子を有する炭化水素基、特にはアルキル、アラルキル、アリール基などであり;Xはハロゲンであり、nは1~3の整数である。特には、アルキルアルミニウム化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、セスキエチルアルミニウムクロリドおよびエチルアルミニウムジクロリドのうちの少なくとも1つであり、好ましくはトリエチルアルミニウムおよび/またはトリイソブチルアルミニウムである。
【0092】
本発明によれば、前記外部電子供与体化合物は、好ましくは有機ケイ素化合物である。いくつかの実施形態において、前記有機ケイ素化合物は、一般式RnSi(ORy)4-nで表され、式中、nは0~3の整数であり、Rは、アルキル、シクロアルキル、ハロゲン化アルキル、ハロゲンおよび水素のうちの1つ以上であり、Ryは、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびハロゲン化アルキルのうちの1つ以上であり;好ましくは、前記有機ケイ素化合物は、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルtert-ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、2-エチルピペリジニル-2-tert-ブチルジメトキシシラン、(1,1,1-トリフルオロ-2-プロピル)-2-エチルピペリジニルジメトキシシランおよび(1,1,1-トリフルオロ-2-プロピル)-メチルジメトキシシランのうちの少なくとも1つであり、好ましくはメチルシクロヘキシルジメトキシシランである。
【0093】
第6の態様において、本発明は、オレフィン重合反応における、上述の固体触媒成分または上述の触媒系の使用を提供する。
【0094】
本発明によれば、本発明のオレフィン重合触媒は、オレフィンの単独重合または複数のオレフィンの共重合のために使用することができる。前記オレフィンのうち少なくとも1つは、式CH2=CHRで表され、式中、Rは、水素またはC1~C6直鎖もしくは分枝アルキルである。式CH2=CHRで表されるオレフィンの具体例は、エチレン、プロピレン、1-n-ブテン、1-n-ペンテン、1-n-ヘキセン、1-n-オクテンおよび4-メチル-1-ペンテンを含み得る。好ましくは、式CH2=CHRで表されるオレフィンは、エチレン、プロピレン、1-n-ブテン、1-n-ヘキセンおよび4-メチル-1-ペンテンのうちの1つ以上である。より好ましくは、式CH2=CHRで表されるオレフィンは、プロピレン、またはプロピレンと他のオレフィンとの組合せである。
【0095】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、プロピレンの重合における、上述の固体触媒成分または上述の触媒系の使用を提供する。
【0096】
第7の態様において、本発明は、上述の固体触媒成分または上述の触媒系の存在下でオレフィンを重合することを含む、オレフィン重合のための方法を提供する。
【0097】
本発明によれば、前記オレフィン重合は、公知の処理に従って、不活性溶媒中の液相モノマーまたはモノマー溶液の液相中で、または気相中で、または気相および液相中での複合重合処理によって、実施される。
【0098】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、重合反応のための条件は、温度0~150℃、好ましくは60~100℃、および圧力0.1~10.0MPaを含む。
【0099】
本発明の有益な効果は、少なくとも以下を含む:固体触媒成分が独特の多峰性細孔分布特性を有し、プロピレン重合において本発明の触媒を使用することによって製造されるポリマーがより広い分子量分布を有する。
【0100】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した、実施例1で製造されたマグネシウム系固体の細孔径分布図を示す。
【0101】
図2は、窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した、実施例2で製造されたマグネシウム系固体の細孔径分布図を示す。
【0102】
図3は、窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した、実施例3で製造されたマグネシウム系固体の細孔径分布図を示す。
【0103】
図4は、窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した、比較例1で製造されたマグネシウム系固体の細孔径分布図を示す。
【0104】
図5は、窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した、実施例7で製造された触媒成分の細孔径分布図を示す。
【0105】
図6は、窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した、比較例5で製造された触媒成分の細孔径分布図を示す。
【0106】
図7は、実施例1で製造されたマグネシウム系固体の顕微鏡写真である。
【0107】
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の保護範囲は以下の説明に限定されるものではない。
【0108】
実施例において具体的な条件が示されていない場合、当該実施例は、従来の条件または製造業者によって推奨される条件に従って実施される。製造業者の示唆なしに使用される試薬または装置は、商用経路を通して入手可能な従来の製品である。
【0109】
以下の実施例において、関連する試験方法は以下の通りである:
1.触媒中のチタン含有量の測定:UV-Vis分光光度計モデル722を用いた比色法。
【0110】
2.触媒中のマグネシウム含有量の測定:マグネシウムイオンとEDTAとの間の錯体滴定により測定。
【0111】
3.マグネシウム含有担体または触媒の粒径分布:Malvern 2000粒径分析計および分散剤としてのn-ヘキサンを用いたレーザー回折法により測定。
【0112】
4.触媒中の内部電子供与体化合物の含有量の測定:触媒乾燥粉末を希酸(希硫酸等)で分解した後、内部電子供与体化合物を抽出剤(ヘキサン等)で抽出し、次いでクロマトグラフィーで定量する。エーテル型電子供与体についてはAgilent 6890Nガスクロマトグラフを用いて定量し、エステル型電子供与体についてはWaters 600E高速液体クロマトグラフィーを用いて定量する。
【0113】
5.マグネシウム含有担体または触媒の比表面積および細孔径分布:Micromeritics社(アメリカ)製のASAP 2460比表面積・空隙率分析器を用いた窒素吸着法により測定。
【0114】
6.ポリマーバルク密度(BD)の測定:ASTM D1895-96規格に従う。
【0115】
7.プロピレンポリマーのアイソタクチシティーインデックス(II):以下の通り実施したヘプタン抽出法により測定:乾燥ポリマー試料2グラムを、抽出器中で6時間、沸騰したヘプタンで抽出し、次いで残留物質を一定重量まで乾燥させ、2(g)に対する残留ポリマー(g)の重量の比率をアイソタクチシティーとした。
【0116】
8.ポリマーの分子量分布MWD(MWD=Mw/Mn):150℃で、溶媒としてトリクロロベンゼンを用いたPL-GPC220により測定(標準:ポリスチレン、流量:1.0ml/min、カラム:3xPlgel 10μm MlxED-B 300x7.5nm)。
【0117】
9.ポリマーのメルトフローインデックス(MI):GB/T 3682.1-2018規格に従って、GOTTFERT(ドイツ)社のMI-4メルトフローインデックス装置を用いて測定。
【0118】
以下に示す実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0119】
〔実施例1〕
実施例1は、マグネシウム系固体の製造を説明するために用いられる。
【0120】
空気を高純度窒素で繰り返し置換した反応器に、無水塩化マグネシウム10.86g、トルエン249mL、エピクロロヒドリン10.75g、およびトリブチルホスフェート70.7gを順次添加し、300rpmの撹拌下、60℃で2時間保持した。次いで、無水フタル酸2.56gを添加し、60℃でさらに1時間保持した。溶液を14℃に冷却した。あらかじめ、界面活性剤(商品名T632でGuangzhou Ruishengyan Chemical Technology社から市販されている無水マレイン酸-メタクリレートコポリマーのアルコール分解物)2.1gと、食品グレードNo.100ホワイト油(40℃での動粘性が100mm
2/s)220mlとを均一に混合し、混合物Aを形成した。四塩化チタン151mlおよび混合物Aを、40分間かけて同時に溶液に滴下した。滴下終了後、内容物を400rpmで1時間撹拌した。次いで、温度を3時間かけて80℃まで徐々に上昇させ、次いで母液を濾別した。残留固体を熱トルエンで2回洗浄し、次いでヘキサンで2回洗浄し、乾燥させて、チタン含有マグネシウム系固体を得た。得られた固体の平均粒径D50は34.2μmであり、SPAN値(すなわち、(D90-D10)/D50)は0.60であり、チタン含有量は2.0重量%であり、Mg含有量は20.3重量%であった。固体の顕微鏡写真を
図7に示す。
【0121】
窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した前記固体の細孔径分布図を
図1に示す。
図1からは、細孔径分布が、10nm未満の細孔径範囲に少なくとも1つのピークと、10nm以上の細孔径範囲に少なくとももう1つのピークとを含む、多峰性細孔径分布として示されていることがわかる。
【0122】
窒素吸着法により測定した前記固体の細孔径データを表1に示す。
【0123】
〔実施例2〕
実施例2は、マグネシウム系固体の製造を説明するために用いられる。
【0124】
空気を高純度窒素で繰り返し置換した反応器に、無水塩化マグネシウム10.86g、トルエン194mL、エピクロロヒドリン10.75g、およびトリブチルホスフェート75.12gを順次添加し、撹拌しながら60℃で2時間保持した。次いで、無水フタル酸3.2gを添加し、60℃でさらに1時間保持した。溶液を24℃に冷却し、トルエン40mlで希釈した界面活性剤(商品名T632でGuangzhou Ruishengyan Chemical Technology社から市販されている無水マレイン酸-メタクリレートコポリマーのアルコール分解物)2.5gを添加した。内容物を1時間撹拌し続け、次いで、四塩化チタン136mlと、食品グレードNo.100ホワイト油(40℃での動粘性が100mm2/s)240mlとを、40分間かけて同時に溶液に滴下した。滴下終了後、内容物を400rpmで1時間撹拌した。次いで、温度を80℃まで徐々に上昇させ、次いで母液を濾別した。残留固体を熱トルエンで2回洗浄し、次いでヘキサンで2回洗浄し、乾燥させて、チタン含有マグネシウム系固体を得た。得られた固体の平均粒径D50は62.1μmであり、SPAN値は0.63であり、チタン含有量は2.3重量%であり、Mg含有量は21.1重量%であった。
【0125】
窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した前記固体の細孔径分布図を
図2に示す。
図2からは、細孔径分布が、10nm未満の細孔径範囲に少なくとも1つのピークと、10nm以上の細孔径範囲に少なくとももう1つのピークとを含む、多峰性細孔径分布として示されていることがわかる。
【0126】
窒素吸着法により測定した固体の細孔径データを表1に示す。
【0127】
〔実施例3〕
エピクロロヒドリンの使用量を14.2gに変更し、トリブチルホスフェートの使用量を53.2gに変更し、トルエンの使用量を197mlに変更し、四塩化チタンの使用量を133mlに変更し、無水フタル酸を添加して60℃でさらに1時間保持した後、溶液を8℃に冷却したことを除いて、実施例1に記載の方法により、マグネシウム系固体を製造した。得られた固体のチタン含有量は2.1重量%であり、Mg含有量は21.2重量%であった。
【0128】
窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した前記固体の細孔径分布図を
図3に示す。
図3からは、細孔径分布が、10nm未満の細孔径範囲に少なくとも1つのピークと、10nm以上の細孔径範囲に少なくとももう1つのピークとを含む、多峰性細孔径分布として示されていることがわかる。
【0129】
窒素吸着法により測定した前記固体の細孔径データを表1に示す。
【0130】
〔実施例4〕
エピクロロヒドリンの使用量を7.2gに変更し、トリブチルホスフェートの使用量を65.1gに変更し、トリブチルホスフェートの添加後にエタノール2.2gを添加し、ホワイト油の使用量を184mlに変更し、四塩化チタンの使用量を203mlに変更し、無水フタル酸を添加して60℃でさらに1時間保持した後、溶液を0℃に冷却したことを除いて、実施例1に記載の方法により、マグネシウム系固体を製造した。得られた固体のチタン含有量は3.6重量%であり、Mg含有量は20.2重量%であった。
【0131】
窒素吸着法により測定した前記固体の細孔径データを表1に示す。細孔径分布は多峰性細孔径分布である。
【0132】
〔実施例5〕
エピクロロヒドリンの使用量が10.75gであり、トリブチルホスフェートの使用量を33.2gに変更し、トルエンの使用量を72mlに変更し、ホワイト油の使用量を120mlに変更し、四塩化チタンの使用量を112mlに変更し、無水フタル酸を添加して60℃でさらに1時間保持した後、溶液を0℃に冷却したことを除いて、実施例1に記載の方法により、チタン含有マグネシウム系固体を製造した。得られた固体のチタン含有量は2.6重量%であり、Mg含有量は21.4重量%であった。
【0133】
窒素吸着法により測定した前記固体の細孔径データを表1に示す。細孔径分布は単峰性細孔径分布である。
【0134】
〔比較例1〕
界面活性剤VISCOPLEXを本発明の実施例1で使用した界面活性剤に変更したことを除いて、特許CN107207657Aの実施例1に記載の製造方法により、固体を製造した。得られた固体の平均粒径D50は27.1μmであり、SPAN値は1.24であり、チタン含有量は2.1重量%であり、Mg含有量は20.2重量%であった。
【0135】
窒素吸着法で測定した前記固体の細孔径データを表1に示し、単峰性細孔径分布である細孔径分布図を
図4に示す。
図4は、NLDFTアルゴリズムを用いた細孔径分布図である。
【0136】
〔比較例2〕
電子供与体であるジイソブチルフタレートを添加せずに、続く工程を以下のように実施したことを除いて、特許CN1097597Cの実施例1に記載の製造方法により、固体を製造した:前記固体を沈殿させた後、母液を濾別し、前記固体を熱トルエンで2回洗浄し、次いでヘキサンで2回洗浄し、乾燥させて、チタン含有マグネシウム系固体を得た。得られた固体の平均粒径D50は24.1μmであり、SPAN値は1.14であり、チタン含有量は2.3重量%であり、Mg含有量は21.1重量%であった。
【0137】
窒素吸着法により測定した前記固体の細孔径データを表1に示す。細孔径分布は単峰性細孔径分布である。
【0138】
【0139】
〔実施例6〕
A.固体触媒成分の製造
空気を高純度窒素で繰り返し置換した反応器に、無水塩化マグネシウム10.86g、トルエン249mL、エピクロロヒドリン10.75g、およびトリブチルホスフェート70.7gを順次添加し、300rpmの撹拌下、60℃で2時間保持した。次いで、無水フタル酸2.5gを添加し、60℃でさらに1時間保持した。溶液を15℃に冷却した。あらかじめ、界面活性剤(商品名T632でGuangzhou Ruishengyan Chemical Technology社から市販されている無水マレイン酸-メタクリレートコポリマーのアルコール分解物)2.1gと、食品グレードNo.100ホワイト油(40℃での動粘性が100mm2/s)220mlとを均一に混合し、混合物1を形成した。四塩化チタン151mlおよび混合物1を、40分間かけて同時に溶液に滴下した。滴下終了後、内容物を400rpmで1時間撹拌した。次いで、温度を3時間かけて80℃まで徐々に上昇させ、電子供与体としてジ-n-ブチルフタレート3mLを添加し、85℃まで昇温させた後、1時間一定に保った。濾過後、残留固体を熱トルエンで2回洗浄した。次に、四塩化チタン80mLおよびトルエン120mLを添加し、110℃の一定温度で0.5時間保持した後、濾過し、当該操作を1回繰り返した。次いで、得られた固体をヘキサンで5回洗浄した後、真空乾燥して、オレフィン重合用固体触媒成分を得た。触媒成分のデータを表3に示す。
【0140】
窒素吸着法により測定した固体の細孔径データを表2に示す。触媒の細孔径分布は、多峰性細孔径分布である。
【0141】
B.プロピレン重合
室温で、雰囲気を窒素で完全に置換した5リットルのオートクレーブに、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(トリエチルアルミニウム濃度0.5mmol/mL)5mL、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)のヘキサン溶液(CHMMS濃度0.1mmol/mL)1mL、無水ヘキサン10mLおよび実施例6の触媒成分10mgを入れた。標準状態の水素1リットルおよび液体プロピレン1.15kgをオートクレーブに導入した。70℃に昇温し、70℃で1時間、重合を実施した。反応終了後、オートクレーブを冷却し、撹拌を停止した後、反応生成物を排出してオレフィンポリマーを得た。触媒の重合結果およびポリマーデータを表3に示す。
【0142】
〔実施例7〕
A.固体触媒成分の製造
空気を高純度窒素で繰り返し置換した反応器に、無水塩化マグネシウム10.86g、トルエン272mL、エピクロロヒドリン9.76g、およびトリブチルホスフェート78gを順次添加し、300rpmの撹拌下、60℃で2時間保持した。次いで、無水フタル酸3gを添加し、60℃でさらに1時間保持した。溶液を10℃に冷却した。あらかじめ、界面活性剤(商品名T632でGuangzhou Ruishengyan Chemical Technology社から市販されている無水マレイン酸-メタクリレートコポリマーのアルコール分解物)3.2gと、食品グレードNo.100ホワイト油(40℃での動粘性が100mm2/s)240mlとを均一に混合し、混合物1を形成した。四塩化チタン135mlおよび混合物1を、40分間かけて同時に溶液に滴下した。滴下終了後、内容物を400rpmで2時間撹拌した。次いで、温度を3時間かけて85℃まで徐々に上昇させながら、昇温中に電子供与体として2,4-ペンタンジオールジベンゾエート3mLを添加し、85℃で1時間一定に保った。濾過後、残留固体を熱トルエンで2回洗浄した。次に、四塩化チタン80mLおよびトルエン120mLを添加し、110℃の一定温度で0.5時間保持した後、濾過し、当該操作を1回繰り返した。次いで、得られた固体をヘキサンで5回洗浄した後、真空乾燥して、オレフィン重合用固体触媒成分を得た。触媒成分のデータを表3に示す。
【0143】
窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した固体の細孔径分布図を
図5に示す。
図5からは、細孔径分布が、10nm未満の細孔径範囲に少なくとも1つのピークと、10nm以上の細孔径範囲に少なくとももう1つのピークとを含む、多峰性細孔径分布として示されていることがわかる。窒素吸着法により測定した固体の細孔径データを表2に示す。
【0144】
B.プロピレン重合
プロピレン重合の方法は、実施例6について記載したものと同じであった。触媒の重合データおよびポリマーデータを表3に示す。
【0145】
〔実施例8〕
A.固体触媒成分の製造
空気を高純度窒素で繰り返し置換した反応器に、無水塩化マグネシウム10.86g、トルエン211mL、エピクロロヒドリン11.5g、およびトリブチルホスフェート68gを順次添加し、撹拌しながら60℃で2時間保持した。次いで、無水フタル酸2.5gを添加し、60℃でさらに1時間保持した。溶液を0℃に冷却し、9,9-ジメトキシメチルフルオレン3gを添加し、60分間撹拌し続けた。あらかじめ、界面活性剤(商品名T632でGuangzhou Ruishengyan Chemical Technology社から市販されている無水マレイン酸-メタクリレートコポリマーのアルコール分解物)2.5gと、食品グレードNo.100ホワイト油(40℃での動粘性が100mm2/s)260mlとを均一に混合し、混合物1を形成した。四塩化チタン165mlおよび混合物1を、40分間かけて同時に溶液に滴下した。滴下終了後、内容物を400rpmで1時間撹拌した。次いで、温度を4時間かけて85℃まで徐々に上昇させた後、1時間一定に保った。濾過後、残留固体を熱トルエンで2回洗浄した。次に、四塩化チタン80mLおよびトルエン120mLを添加し、110℃の一定温度で0.5時間保持した後、濾過し、当該操作を1回繰り返した。次いで、得られた固体をヘキサンで5回洗浄した後、真空乾燥して、オレフィン重合用固体触媒成分を得た。触媒成分のデータを表3に示す。
【0146】
窒素吸着法により測定した固体の細孔径データを表2に示す。触媒の細孔径分布は、多峰性細孔径分布である。
【0147】
B.プロピレン重合
プロピレン重合の方法は、実施例6について記載したものと同じであった。触媒の重合データおよびポリマーデータを表3に示す。
【0148】
〔実施例9〕
A.固体触媒成分の製造
エピクロロヒドリンの量を14.2gに変更し、トリブチルホスフェートの量を53.2gに変更し、トルエンの量を197mlに変更し、四塩化チタンの量を133mlに変更し、無水フタル酸を添加して60℃でさらに1時間保持した後、溶液を8℃に冷却したことを除いて、手順は実施例6と実質的に同じであった。触媒成分のデータを表3に示す。
【0149】
窒素吸着法により測定した触媒の細孔径データを表2に示す。触媒の細孔径分布は、多峰性細孔径分布である。
【0150】
B.プロピレン重合
プロピレン重合の方法は、実施例6について記載したものと同じであった。触媒の重合データおよびポリマーデータを表3に示す。
【0151】
〔実施例10〕
A.固体触媒成分の製造
エピクロロヒドリンの使用量を7.2gに変更し、トリブチルホスフェートの使用量を65.1gに変更し、トリブチルホスフェートの添加後にエタノール2.2gを添加し、ホワイト油の使用量を184mlに変更し、四塩化チタンの使用量を203mlに変更し、無水フタル酸を添加して60℃でさらに1時間保持した後、溶液を0℃に冷却したことを除いて、手順は実施例6と実質的に同じであった。触媒成分のデータを表3に示す。
【0152】
窒素吸着法により測定した固体の細孔径データを表2に示す。触媒の細孔径分布は、多峰性細孔径分布である。
【0153】
B.プロピレン重合
プロピレン重合の方法は、実施例6について記載したものと同じであった。触媒の重合データおよびポリマーデータを表3に示す。
【0154】
〔実施例11〕
A.固体触媒成分の製造
空気を高純度窒素で繰り返し置換した反応器に、無水塩化マグネシウム10.86g、トルエン104g、エピクロロヒドリン10.5g、トリブチルホスフェート70.0g、およびエチレングリコールジブチルエーテル1.5mLを順次仕込み、300rpmで撹拌しながら60℃で2時間保持した。次いで、無水フタル酸3.4gを添加し、60℃でさらに1時間撹拌し続けた。溶液を14℃に冷却し、撹拌速度を400rpmに上げた。あらかじめ、食品グレードNo.100ホワイト油(40℃での動粘性が100mm2/s)128.5gと、界面活性剤(T602、Guangzhou Ruishengyan Chemical Technology社から市販されている)5.7gとを混合し、混合物1を形成した。四塩化チタン181.7mlおよび混合物1を、60分間かけて同時に溶液に滴下した。滴下終了後、内容物を1時間保持して混合物2を得た。温度を80℃まで徐々に上昇させ、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン2.0mLを添加し、85℃まで昇温し、1時間保持した。上清を濾別した後、残留固体をトルエン200mLで3回洗浄した。次に、固体をトルエン120mLおよび四塩化チタン80mLで、90℃で1時間処理した後、液体を濾別した。次いで、固体をトルエン120mLおよび四塩化チタン80mLで、110℃で1時間処理した後、液体を濾別した。次に、固体をヘキサン200mLで4回洗浄して、オレフィン重合用固体触媒成分を得た。触媒の物性データを表3に示し、触媒の細孔径データを表2に示す。
【0155】
B.プロピレン重合
プロピレン重合の方法は、実施例6について記載したものと同じであった。触媒の重合データおよびポリマーデータを表3に示す。
【0156】
〔実施例12〕
A.固体触媒成分の製造
空気を高純度窒素で繰り返し置換した反応器に、無水塩化マグネシウム10.86g、トルエン104g、エピクロロヒドリン7.2g、トリブチルホスフェート75.2g、および2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン1.5mLを順次仕込み、300rpmで撹拌しながら60℃で2時間保持した。次いで、無水フタル酸4.59gを添加し、60℃でさらに1時間保持した。溶液を14℃に冷却し、撹拌速度を400rpmに上げた。あらかじめ、食品グレードNo.100ホワイト油(40℃での動粘性が100mm2/s)128.5gと、界面活性剤(T602、Guangzhou Ruishengyan Chemical Technology社から市販されている)5.7gとを混合し、混合物1を形成した。四塩化チタン81.7mlおよび混合物1を、60分間かけて同時に溶液に滴下した。滴下終了後、内容物を1時間保持した。温度を80℃まで徐々に上昇させ、1時間保持した。上清を濾別した後、残留固体をトルエン200mLで2回洗浄した。次に、トルエン160mL、四塩化チタン40mLおよび2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン2.6mLを添加し、85℃まで昇温し、2時間保持した。液体を濾別した後、固体をトルエン120mLおよび四塩化チタン80mLで、90℃で1時間処理した後、液体を濾別した。次いで、固体をトルエン120mLおよび四塩化チタン80mLで、110℃で1時間処理した後、液体を濾別した。次に、固体をヘキサン200mLで5回洗浄して、オレフィン重合用固体触媒成分を得た。触媒の物性データを表3に示し、触媒の細孔径データを表2に示す。
【0157】
B.プロピレン重合
プロピレン重合の方法は、実施例6について記載したものと同じであった。触媒の重合データおよびポリマーデータを表3に示す。
【0158】
〔実施例13〕
A.固体触媒成分の製造
空気を高純度窒素で繰り返し置換した反応器に、無水塩化マグネシウム10.86g、トルエン104g、エピクロロヒドリン12.43g、およびトリブチルホスフェート75.2gを順次仕込み、300rpmで撹拌しながら60℃で2時間保持した。次いで、無水フタル酸4.59gを添加し、60℃でさらに1時間保持した。溶液を14℃に冷却し、撹拌速度を400rpmに上げた。あらかじめ、食品グレードNo.100ホワイト油(40℃での動粘性が100mm2/s)128.5gと、界面活性剤(T602、Guangzhou Ruishengyan Chemical Technology社から市販されている)5.7gとを混合し、混合物1を形成した。四塩化チタン81.7mlおよび混合物1を、60分間かけて同時に溶液に滴下した。滴下終了後、内容物を1時間保持した。温度を80℃まで徐々に上昇させ、1時間保持した。上清を濾別した後、残留固体をトルエン200mLで2回洗浄した。次に、トルエン160mL、四塩化チタン40mLおよび2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン3.6mLを添加し、85℃まで昇温し、2時間保持した。液体を濾別した後、固体をトルエン120mLおよび四塩化チタン80mLで、90℃で1時間処理した後、液体を濾別した。次いで、固体をトルエン120mLおよび四塩化チタン80mLで、110℃で1時間処理した後、液体を濾別した。次に、固体をヘキサン200mLで5回洗浄して、オレフィン重合用固体触媒成分を得た。触媒の物性データを表3に示し、触媒の細孔径データを表2に示す。
【0159】
B.プロピレン重合
プロピレン重合の方法は、実施例6について記載したものと同じであった。触媒の重合データおよびポリマーデータを表3に示す。
【0160】
〔比較例3〕
A.固体触媒成分の製造
エピクロロヒドリンの使用量が10.75gであり、トリブチルホスフェートの使用量を33.2gに変更し、トルエンの使用量を72mlに変更し、ホワイト油の使用量を120mlに変更し、四塩化チタンの使用量を112mlに変更し、無水フタル酸を添加して60℃でさらに1時間保持した後、溶液を0℃に冷却したことを除いて、手順は実施例6と実質的に同じであった。触媒成分のデータを表3に示す。
【0161】
窒素吸着法により測定した触媒の細孔径データを表2に示す。触媒の細孔径分布は、単峰性細孔径分布である。
【0162】
B.プロピレン重合
プロピレン重合の方法は、実施例6について記載したものと同じであった。触媒の重合データおよびポリマーデータを表3に示す。
【0163】
〔比較例4〕
A.固体触媒成分の製造
トリブチルホスフェートの使用量を38.8gに変更したことを除いて、手順は実施例6と実質的に同じであった。触媒成分のデータを表3に示す。
【0164】
窒素吸着法により測定した触媒の細孔径データを表2に示す。触媒の細孔径分布は、単峰性細孔径分布である。
【0165】
B.プロピレン重合
プロピレン重合の方法は、実施例6について記載したものと同じであった。触媒の重合データおよびポリマーデータを表3に示す。
【0166】
〔比較例5〕
界面活性剤VISCOPLEXを実施例1で使用した界面活性剤に変更したことを除いて、特許CN107207657Aの実施例1に記載の製造方法により、固体を製造した。次いで、20%四塩化チタンのトルエン溶液260mlおよびジ-n-ブチルフタレート電子供与体3mlと共に、固体を85℃で1時間保持した。濾過後、固体をトルエンで2回洗浄した。次いで、四塩化チタン100mlおよびトルエン150mlを添加し、110℃で0.5時間、温度を一定に保った後、液体を濾別した。この操作を1回繰り返した。次いで、得られた固体をヘキサンで5回洗浄した後、真空乾燥して、オレフィン重合用固体触媒成分を得た。触媒成分のデータを表3に示す。
【0167】
窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した固体の細孔径分布図を
図6に示す。
【0168】
窒素吸着法により測定した触媒の細孔径データを表2に示す。触媒の細孔径分布は、単峰性細孔径分布である。
【0169】
プロピレン重合の方法は、実施例6について記載したものと同じであった。触媒の重合データおよびポリマーデータを表3に示す。
【0170】
〔比較例6〕
ジイソブチルフタレートを9,9-ジメトキシメチルフルオレン1.5gに変更したことを除いて、特許CN1097597Cの実施例1の製造方法により、固体を製造した。触媒成分のデータを表3に示す。
【0171】
窒素吸着法により測定した触媒の細孔径データを表2に示す。触媒の細孔径分布は、単峰性細孔径分布である。
【0172】
プロピレン重合の方法は、実施例6について記載したものと同じであった。触媒の重合データおよびポリマーデータを表3に示す。
【0173】
〔比較例7〕
ジイソブチルフタレートを2,4-ペンタンジオールジベンゾエート1.5mlに変更したことを除いて、特許CN1097597Cの実施例1の製造方法により、固体を製造した。触媒成分のデータを表3に示す。
【0174】
窒素吸着法により測定した触媒の細孔径データを表2に示す。触媒の細孔径分布は、単峰性細孔径分布である。
【0175】
プロピレン重合の方法は、実施例6について記載したものと同じであった。触媒の重合データおよびポリマーデータを表3に示す。
【0176】
〔比較例8〕
ジイソブチルフタレートを2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン1.5mlに変更したことを除いて、特許CN1097597Cの実施例1の製造方法により、固体を製造した。触媒成分のデータを表3に示す。
【0177】
窒素吸着法により測定した触媒の細孔径データを表2に示す。触媒の細孔径分布は、単峰性細孔径分布である。
【0178】
プロピレン重合の方法は、実施例6について記載したものと同じであった。触媒の重合データおよびポリマーデータを表3に示す。
【0179】
【0180】
【0181】
表1~3および
図1~6のデータからは、本発明により得られたチタン含有マグネシウム系固体および塩化マグネシウム担持オレフィン重合触媒成分は、多峰性細孔径分布特性、およびより高い比表面積を有するのに対し、比較例に示された塩化マグネシウム担持オレフィン重合触媒は、単峰性細孔径分布特性を有することが分かる。本発明の触媒をプロピレン重合に用いると、当該触媒は、より高い重合活性、およびより高い立体配向能を有しており、製造されたポリマーは、より広い分子量分布を有する。
【0182】
なお、上述した実施形態は、本発明を説明するために用いられたに過ぎず、本発明を限定するものでは全くない。本発明が典型的な実施形態を参照して説明されてきたが、本明細書で使用される用語は、限定的なものではなく、描写的および説明的なものであることを理解されたい。本発明は、本発明の特許請求の範囲に記載された範囲内で変更することができ、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することができる。本明細書に記載される本発明は、具体的な方法、材料および実施形態に言及するが、本明細書に開示される具体例に限定されることは意図されず、むしろ、本発明は同じ機能を有する他のすべての方法および用途まで拡張する。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【
図1】
図1は、窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した、実施例1で製造されたマグネシウム系固体の細孔径分布図を示す。
【
図2】
図2は、窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した、実施例2で製造されたマグネシウム系固体の細孔径分布図を示す。
【
図3】
図3は、窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した、実施例3で製造されたマグネシウム系固体の細孔径分布図を示す。
【
図4】
図4は、窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した、比較例1で製造されたマグネシウム系固体の細孔径分布図を示す。
【
図5】
図5は、窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した、実施例7で製造された触媒成分の細孔径分布図を示す。
【
図6】
図6は、窒素吸着法により測定し、NLDFTアルゴリズムにより計算した、比較例5で製造された触媒成分の細孔径分布図を示す。
【
図7】
図7は、実施例1で製造されたマグネシウム系固体の顕微鏡写真である。
【国際調査報告】