(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】交通弱者のためのジオロケーションベースのブロードキャストメッセージのための通信装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 4/40 20180101AFI20231107BHJP
H04W 4/021 20180101ALI20231107BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20231107BHJP
【FI】
H04W4/40
H04W4/021
H04W64/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523310
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 SG2021050416
(87)【国際公開番号】W WO2022086436
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】10202010503R
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】シム ホン チェン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】トラン スアン ツオン
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA35
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
5K067JJ51
(57)【要約】
本開示は、交通弱者のためのジオロケーションベースのブロードキャストメッセージのための通信装置および通信方法を提供する。本通信装置は、動作時に、通信装置の位置に基づいて地理的ゾーンを識別する回路と、動作時に、地理的ゾーンに基づいて信号を送信する送信機と、を備える通信装置、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
動作時に、前記通信装置の位置に基づいて地理的ゾーンを識別する回路と、
動作時に、前記地理的ゾーンに基づいて信号を送信する送信機と、
を備えている、
通信装置。
【請求項2】
前記回路が、前記通信装置の全地球航法衛星システム(GNSS)位置および予めロードされた地図データに基づいて前記地理的ゾーンを識別するように、さらに構成されている、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記地理的ゾーンが、危険ゾーンまたは安全ゾーンのいずれかに関連付けられており、前記送信機が、前記地理的ゾーンが危険ゾーンに関連付けられているときに前記信号を送信するように、さらに構成されている、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記地理的ゾーンが、複数の危険レベルのうちの1つに関連付けられており、前記送信機が、前記関連付けられている危険レベルに基づいて前記信号を送信するように、さらに構成されている、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記複数の危険レベルの各危険レベルが、省電力モードに関連付けられており、前記回路が、前記関連付けられている危険レベルに関連付けられている省電力モードと同じ、前記通信装置の省電力モード、を起動するように、さらに構成されている、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記複数の危険レベルの各危険レベルが、乗数パラメータまたは事前に設定された周期的タイミングに関連付けられており、前記送信機が、前記乗数パラメータまたは前記事前に設定された周期的タイミングに基づく周期で前記信号を送信するように、さらに構成されている、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
前記回路が、前記通信装置に関連付けられている不連続受信(DRX)サイクルに乗算パラメータを乗算するように、さらに構成されており、前記送信機が、前記乗算されたDRXサイクルに基づいて前記信号を送信するように、さらに構成されている、
請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記関連付けられた危険レベルが、前記地理的ゾーンがどの程度危険であるかを示し、前記送信機が、前記関連付けられた危険レベルが前記地理的ゾーンをより危険性が高いものとして、またはより危険性が低いものとして示す場合、前記信号をより高い頻度で、またはより低い頻度で送信するように、さらに構成されている、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項9】
前記地理的ゾーンが、格子状である、フレキシブルな形状である、および/または、前記通信装置の高度を含む、
請求項1または請求項4に記載の通信装置。
【請求項10】
前記通信装置が2つの地理的ゾーン間で頻繁にゾーン切り替えを行うときに、前記信号が低い頻度で送信されるように、前記2つの地理的ゾーンの境界にヒステリシス領域が指定されている、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項11】
動作時に、前記信号の前記送信に先立つ事前定義された期間において別の通信装置から別の信号を受信する受信機、
をさらに備えており、
前記回路が、前記信号を送信するかどうかに関する上位層による決定のために前記別の信号を復号するように、さらに構成されており、
前記送信機が、前記決定に基づいて前記信号を送信するように、さらに構成されている、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
動作時に、前記信号の送信に先立つ事前定義された期間において、別の通信装置から別の信号を受信する受信機であって、前記別の信号が別の地理的ゾーンを示している、前記受信機、
をさらに備えており、
前記送信機が、前記別の地理的ゾーンが前記地理的ゾーンと同じである場合に前記信号を送信しないように、さらに構成されている、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項13】
各地理的ゾーンにゾーン固有リソースが割り当てられており、したがって、前記通信装置が、前記地理的ゾーンに割り当てられているゾーン固有リソースを使用して前記信号を送信する、および/または、別の通信装置が、前記地理的ゾーンに割り当てられている前記ゾーン固有リソースを使用して別の信号を送信し、別の地理的ゾーンが前記地理的ゾーンと同じである場合に、前記別の信号が前記別の地理的ゾーンを示している、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項14】
動作時に、前記信号の送信に先立つ事前定義された期間において、前記別の通信装置から前記別の信号を受信する受信機、
をさらに備えており、
前記送信機が、前記別の信号が前記地理的ゾーンに割り当てられている前記ゾーン固有リソースを使用して送信されていると判定される場合に、前記信号を送信しないように、さらに構成されている、
請求項13に記載の通信装置。
【請求項15】
前記信号が、前記地理的ゾーンを示すブロードキャストである、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項16】
前記通信装置が、交通弱者のユーザ機器(VRU-UE)である、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項17】
通信方法であって、
通信装置の位置に基づいて地理的ゾーンを識別するステップと、
前記地理的ゾーンに基づいて信号を送信するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、ジオロケーションベースのブロードキャストメッセージのための通信装置および通信方法に関し、より詳細には、交通弱者のためのジオロケーションベースのブロードキャストメッセージのための通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サイドリンク(SL)通信は、V2X(ビークルトゥエブリシング:vehicle-to-everything)アプリケーションを通じて、車両が公道および他の道路利用者と対話することを可能にし、したがって自律走行車を実現するうえで不可欠な要素であると考えられる。SLの他の用途としては、P2P通信またはI2P(インフラストラクチャ-歩行者、またはR2P(路側機-歩行者))通信が挙げられる。
【0003】
さらに、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)は、車両(すなわち同義語として、V2Xアプリケーションをサポートする通信装置またはユーザ機器(UE)とも呼ばれる)がSLを通じて他の近くの車両、インフラストラクチャノード、および/または歩行者と自身のステータス情報を交換できる高度V2Xサービスのための技術的ソリューションを明らかにする目的で、5G NRベースのSL通信(同義語としてNR SL通信とも呼ばれる)について検討している。ステータス情報には、位置、速度、方位などに関する情報が含まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS 38.300 v16.3.0
【非特許文献2】3GPP TS 38.211 v16.3.0
【非特許文献3】TS 23.502
【非特許文献4】3GPP TS 23.122: "Non-Access-Stratum (NAS) functions related to Mobile Station in idle mode"
【非特許文献5】ITU-R M.2083
【非特許文献6】TR 38.913
【非特許文献7】TS 23.287 v16.4.0
【非特許文献8】RP-201385
【非特許文献9】ETSI TR 103 300-1
【非特許文献10】ETSI TS103 300-2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、交通弱者のためのジオロケーションベースのブロードキャストメッセージのための通信装置および通信方法については、これまで議論されてこなかった。
【0006】
したがって、交通弱者のためのジオロケーションベースのブロードキャストメッセージのための実現可能な技術的ソリューションを提供する通信装置および通信方法が必要とされている。さらに、他の望ましい特徴および特性は、添付の図面および本開示のこの背景技術のセクションと合わせて考慮される、以下の詳細な説明および添付の請求項から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
非限定的かつ例示的な実施形態は、交通弱者のためのジオロケーションベースのブロードキャストメッセージのための通信装置および通信方法を提供することを容易にする。
【0008】
本開示の第1の実施形態によれば、通信装置であって、動作時に、通信装置の位置に基づいて地理的ゾーンを識別する回路と、動作時に、地理的ゾーンに基づいて信号を送信する送信機と、を備えている、通信装置、が提供される。
【0009】
本開示の第2の実施形態によれば、通信方法であって、通信装置の位置に基づいて地理的ゾーンを識別するステップと、地理的ゾーンに基づいて信号を送信するステップと、を含む、通信方法、が提供される。
【0010】
なお、一般的または特定の実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組合せとして実施できることに留意されたい。
【0011】
開示されている実施形態のさらなる恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面の様々な実施形態および特徴によって個別に得ることができ、このような恩恵および/または利点の1つまたは複数を得るために、これらの特徴すべてを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
この技術分野における通常の技術を有する者には、一例にすぎない以下の説明を図面を参照しながら読み進めることによって、本開示の実施形態が深く理解され容易に明らかになるであろう。
【
図1】例示的な3GPP NR-RANアーキテクチャを示している。
【
図2】NG-RANと5GCとの間の機能の分離を示した概略図を描いている。
【
図3】RRC接続確立/再設定手順のシーケンス図を示している。
【
図4】拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)、および超高信頼・低遅延通信(URLLC)の使用シナリオを示した概略図を描いている。
【
図5】非ローミングシナリオにおけるV2X通信のための例示的な5Gシステムアーキテクチャを示したブロック図を示している。
【
図6】様々な実施形態に従って、ジオロケーションベースのメッセージまたは信号がどのようにブロードキャストされ得るかを示したフローチャート600を示している。
【
図7】様々な実施形態に従って道路ジャンクション(road junction)がどのように地理的ゾーンに分割され得るかの説明
図700を示している。
【
図8】様々な実施形態に従って道路ジャンクションがどのように地理的ゾーンに分割され得るかの別の説明
図800を示している。
【
図9】様々な実施形態によるヒステリシスゾーンの説明
図900を示している。
【
図10】様々な実施形態に従ってゾーン固有リソースがどのように分割され得るかを図解した
図1000を示している。
【
図11】様々な実施形態に従ってゾーン固有リソースがどのように利用され得るかの説明
図1100を示している。
【
図12】様々な実施形態に従ってゾーン固有リソースがどのように利用され得るかの別の説明
図1200を示している。
【
図13】様々な実施形態に係る通信方法を示したフローチャート1300を示している。
【
図14】様々な実施形態に係る通信装置1400の概略例を示している。
【0013】
図中の要素は簡潔かつ明確であるように図解されており、必ずしも正しい縮尺では描かれていないことが、当業者には理解されるであろう。本発明の実施形態を深く理解できるように、例えば、図解、ブロック図、またはフローチャートの中のいくつかの要素の寸法が、他の要素に比べて誇張して描かれていることがある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示のいくつかの実施形態について、図面を参照しながら、一例としてのみ説明する。図面内の類似する参照数字および参照文字は、類似する要素または等価の要素を指している。
【0015】
3GPPは、最大100GHzの周波数で動作する新しい無線アクセス技術(NR)の開発を含む第5世代セルラー技術(単に5Gと呼ばれる)の次のリリースに取り組んでいる。5G標準の最初のバージョンは、2017年の終わりに完了し、これにより、5G NR標準に準拠したスマートフォンの試験および商用展開に進むことができる。2020年6月に最新バージョン(リリース16)がリリースされ、これによりIMT-2020に準拠する最初の完全な3GPP 5Gシステムとなり、サイドリンク通信のためのより高度な機能が可能になっている。
【0016】
特に、全体的なシステムアーキテクチャは、gNBを備えるNG-RAN(次世代-無線アクセスネットワーク:Next Generation - Radio Access Network)を想定しており、gNBは、UEに向かうNG無線アクセスユーザプレーン(SDAP/PDCP/RLC/MAC/PHY)プロトコルおよび制御プレーン(RRC)プロトコルを終端させる。gNBは、Xnインタフェースによって互いに相互接続されている。さらにgNBは、次世代(NG)インタフェースによってNGC(次世代コア:Next Generation Core)に接続され、より具体的には、NG-CインタフェースによってAMF(アクセスおよびモビリティ管理機能:Access and Mobility Management Function)(例:AMFを実行する特定のコアエンティティ)に接続され、NG-UインタフェースによってUPF(ユーザプレーン機能:User Plane Function)(例:UPFを実行する特定のコアエンティティ)に接続される。
図1は、NR-RANのアーキテクチャを示している(非特許文献1の4節を参照)。
【0017】
NRにおけるユーザプレーンプロトコルスタック(例えば非特許文献1の4.4.1節を参照)は、PDCP(パケットデータコンバージェンスプロトコル:Packet Data Convergence Protocol、非特許文献1の6.4節を参照)サブレイヤ、RLC(無線リンク制御:Radio Link Control、非特許文献1の6.3節を参照)サブレイヤ、およびMAC(媒体アクセス制御:Medium Access Control、非特許文献1の6.2節を参照)サブレイヤを含み、これらのサブレイヤは、ネットワーク側ではgNBにおいて終端する。これに加えて、PDCPの上に、アクセス層(AS)の新しいサブレイヤ(SDAP:サービスデータアダプテーションプロトコル:Service Data Adaptation Protocol)が導入される(例えば非特許文献1の6.5節を参照)。NRにおいても制御プレーンプロトコルスタックが定義されている(例えば非特許文献1の4.4.2節を参照)。レイヤ2の機能の概要は、非特許文献1の6節に記載されている。PDCPサブレイヤ、RLCサブレイヤ、およびMACサブレイヤの機能は、それぞれ非特許文献1の6.4節、6.3節、および6.2節に記載されている。RRCレイヤの機能は、非特許文献1の7節に記載されている。さらに、非特許文献1では、サイドリンク通信が導入されている。サイドリンクは、サイドリンクリソース割当てモード、物理層信号/チャネル、および物理層手順を使用してUE間の直接通信をサポートする(例えば非特許文献1の5.7節を参照)。
【0018】
媒体アクセス制御(MAC)層は、例えば、論理チャネルの多重化と、スケジューリングおよびスケジューリング関連機能(様々なヌメロロジーの処理を含む)を扱う。
【0019】
物理層(PHY)は、例えば、符号化、PHY HARQ処理、変調、マルチアンテナ処理、適切な物理的時間-周波数リソースへの信号のマッピングの責務を担う。さらに物理層(PHY)は、物理チャネルへのトランスポートチャネルのマッピングを処理する。物理層(PHY)は、トランスポートチャネルの形でMAC層にサービスを提供する。物理チャネルは、特定のトランスポートチャネルの送信に使用される時間周波数リソースのセットに対応し、各トランスポートチャネルが、対応する物理チャネルにマッピングされる。例えば、物理チャネルは、アップリンク用として、PRACH(物理ランダムアクセスチャネル:Physical Random Access Channel)、PUSCH(物理アップリンク共有チャネル:Physical Uplink Shared Channel)、およびPUCCH(物理アップリンク制御チャネル:Physical Uplink Control Channel)があり、ダウンリンク用として、PDSCH(物理ダウンリンク共有チャネル:Physical Downlink Shared Channel)、PDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル:Physical Downlink Control Channel)、およびPBCH(物理ブロードキャストチャネル:Physical Broadcast Channel)がある。さらに、物理サイドリンクチャネルには、物理サイドリンク制御チャネル(PSCCH:Physical Sidelink Control Channel)、物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH:Physical Sidelink Shared Channel)、物理サイドリンクフィードバックチャネル(PSFCH:Physical Sidelink Feedback Channel)、物理サイドリンクブロードキャストチャネル(PSBCH:Physical Sidelink Broadcast Channel)が含まれる。
【0020】
NRのユースケース/配置シナリオには、拡張モバイルブロードバンド(eMBB)、超高信頼・低遅延通信(URLLC)、大規模マシンタイプ通信(mMTC)が含まれ、これらのサービスは、データレート、レイテンシ、およびカバレッジに関して多様な要件を有する。例えばeMBBは、IMT-Advancedによって提供される3倍のオーダーのピークデータレート(ダウンリンクが20Gbps、アップリンクが10Gbps)およびユーザ体感データレートをサポートすることが期待される。これに対してURLLCの場合、より厳しい要件として、極めて低いレイテンシ(ユーザプレーンのレイテンシはアップリンクおよびダウンリンクそれぞれで0.5ms)および高い信頼性(1ms内で1~10-5)が課せられる。さらにmMTCでは、高い接続密度(都市環境では1km2あたり1,000,000個のデバイス)、過酷な環境における広いカバレッジ、デバイスコストを下げるための極めて長寿命のバッテリ(15年)が好ましくは要求されうる。
【0021】
したがって、あるユースケースに適したOFDMヌメロロジー(例:サブキャリア間隔、OFDMシンボル持続時間、サイクリックプレフィックス(CP)持続時間、スケジューリング間隔あたりのシンボル数)が、別のユースケースではうまく機能しないことがある。例えば、低レイテンシのサービスでは、mMTCサービスよりも短いシンボル持続時間(したがってより大きいサブキャリア間隔)、および/または、スケジューリング間隔(TTIとも称される)あたりの少ないシンボル、が好ましくは要求されうる。さらには、チャネルの遅延スプレッドが大きい配置シナリオでは、遅延スプレッドが短いシナリオよりも長いサイクリックプレフィックス(CP)持続時間が好ましくは要求されうる。同程度のサイクリックプレフィックス(CP)オーバーヘッドを維持するため、遅延スプレッドに応じてサブキャリア間隔を最適化するべきである。NRでは、サブキャリア間隔の2つ以上の値がサポートされうる。したがって現在のところ、15kHz、30kHz、60kHz、...のサブキャリア間隔が検討されている。シンボル持続時間Tuとサブキャリア間隔Δfは、式Δf=1/Tuにより、直接関係している。LTEシステムの場合と同様に、1個のOFDM/SC-FDMAシンボルの長さに対する1つのサブキャリアから構成される最小リソース単位を表すのに、用語「リソースエレメント」を使用することができる。
【0022】
新しい無線システム5G NRでは、各ヌメロロジーおよびキャリアごとに、アップリンクおよびダウンリンクそれぞれにおいて、サブキャリアとOFDMシンボルのリソースグリッドが定義される。リソースグリッド内の各要素は、リソースエレメントと呼ばれ、周波数領域における周波数インデックスと時間領域におけるシンボル位置とに基づいて識別される(非特許文献2を参照)。
【0023】
図2は、NG-RANと5GCとの間での機能の分割を示している。NG-RANの論理ノードは、gNBまたはng-eNBである。5GCの論理ノードは、AMF、UPF、およびSMFである。
【0024】
gNBおよびng-eNBは、特に次の主要機能を処理する。
- 無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、無線アドミッション制御(Radio Admission Control)、接続モビリティ制御(Connection Mobility Control)、アップリンクおよびダウンリンクの両方向におけるUEへの動的なリソース割当て(スケジューリング)など、無線リソース管理(Radio Resource Management)の機能
- IPヘッダ圧縮、暗号化、およびデータの整合性保護
- UEによって提供される情報からAMFへのルーティングを決定できないときのUEのアタッチ時のAMFの選択
- UPFへのユーザプレーンデータのルーティング
- AMFへの制御プレーン情報のルーティング
- 接続の確立および解放
- ページングメッセージのスケジューリングおよび送信
- (AMFまたはOAMから送られる)システムブロードキャスト情報のスケジューリングおよび送信
- モビリティおよびスケジューリングのための測定および測定報告の設定
- アップリンクにおけるトランスポートレベルのパケットマーキング
- セッション管理
- ネットワークスライシングのサポート
- QoSフロー管理およびデータ無線ベアラへのマッピング
- RRC_INACTIVE状態にあるUEのサポート
- NASメッセージの配信機能
- 無線アクセスネットワークシェアリング
- 二重接続
- NRとE-UTRA間の緊密なインターワーキング
【0025】
アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)は、次の主要機能を処理する。
- 非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングの終端
- NASシグナリングのセキュリティ
- アクセス層(AS:Access Stratum)のセキュリティ制御
- 3GPPアクセスネットワーク間のモビリティのためのコアネットワーク(CN:Core Network)ノード間シグナリング
- アイドルモードUEの到達可能性(ページング再送の制御および実行を含む)
- レジストレーションエリア(Registration Area)管理
- システム内モビリティおよびシステム間モビリティのサポート
- アクセス認証
- ローミング権のチェックを含むアクセス認証
- モビリティ管理制御(サブスクリプションおよびポリシー)
- ネットワークスライシングのサポート
- セッション管理機能(SMF:Session Management Function)の選択
【0026】
さらに、ユーザプレーン機能(UPF:User Plane Function)は、次の主要機能を処理する。
- RAT内/RAT間モビリティのためのアンカーポイント(適用可能時)
- データネットワークとの相互接続の外部PDUセッションポイント
- パケットのルーティングおよび転送
- パケット検査およびポリシールール施行のユーザプレーン部分
- トラフィック使用報告
- データネットワークへのトラフィックフローのルーティングをサポートするためのアップリンク分類器
- マルチホームPDUセッションをサポートするためのブランチングポイント
- ユーザプレーンのQoS処理(例:パケットフィルタリング、ゲーティング、UL/DLレート強制)
- アップリンクトラフィックの検証(SDFからQoSフローへのマッピング)
- ダウンリンクパケットのバッファリングおよびダウンリンクデータ通知のトリガーリング
【0027】
最後に、セッション管理機能(SMF)は、次の主要機能を処理する。
- セッション管理
- UE IPアドレスの割当ておよび管理
- UP機能の選択および制御
- トラフィックを正しい宛先にルーティングするためのユーザプレーン機能(UPF)におけるトラフィックステアリングの設定
- ポリシー施行およびQoSの制御部分
- ダウンリンクデータ通知
【0028】
図3は、UEがRRC_IDLEからRRC_CONNECTEDに遷移するときの、NAS部分における、UE、gNB、AMF(5GCエンティティ)の間のインタラクションを示している(非特許文献1を参照)。遷移ステップは以下のとおりである。
1. UEが、RRC_IDLEから新しい接続の確立を要求する。
2/2a. gNBが、RRC確立手順を完了する。
注: gNBが要求を拒否するシナリオは、後から説明する。
3. RRCSetupCompleteでピギーバックされたUEからの最初のNASメッセージがAMFに送信される。
4/4a/5/5a. UEとAMFの間で追加のNASメッセージを交換することができる。非特許文献3の参考文献[22](非特許文献4)を参照。
6. AMFがUEのコンテキストデータ(PDUセッションコンテキスト、セキュリティキー、UE無線能力、UEセキュリティ能力を含む)を作成し、gNBに送信する。
7/7a. gNBが、UEとのASセキュリティをアクティブにする。
8/8a. gNBが、SRB2およびDRBを確立するための再設定を実行する。
9. gNBが、確立手順が完了したことをAMFに通知する。
【0029】
RRCは、UEおよびgNBの設定に使用される上位層シグナリング(プロトコル)である。特に、この移行では、AMFがUEコンテキストデータ(例:PDUセッションコンテキスト、セキュリティキー、UE無線能力、UEセキュリティ能力などを含む)を作成し、それをINITIAL CONTEXT SETUP REQUESTによってgNBに送る。次にgNBが、UEとのASセキュリティをアクティブにし、これはgNBがSecurityModeCommandメッセージをUEに送信し、UEがSecurityModeCompleteメッセージでgNBに応答することによって実行される。その後gNBは、再設定を実行してシグナリング無線ベアラ2(SRB2)およびデータ無線ベアラ(DRB)を確立し、これは、gNBがRRCReconfigurationメッセージをUEに送信し、これに応答してUEからのRRCReconfigurationCompleteをgNBが受信することによる。シグナリングのみの接続の場合、SRB2およびDRBが確立されないため、RRCReconfigurationに関連するこれらのステップはスキップされる。最後にgNBは、確立手順が完了したことを、INITIAL CONTEXT SETUP RESPONSEによってAMFに通知する。
【0030】
図4は、5G NRのユースケースのいくつかを示している。3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)の新無線(3GPP NR)では、初期のIMT-2020による様々なサービスおよびアプリケーションをサポートするために想定される3つのユースケースが考慮されている。拡張モバイルブロードバンド(eMBB)のフェーズ1の仕様は決定された。現在および今後の作業としては、eMBBのサポートをさらに拡張することに加えて、超高信頼・低遅延通信(URLLC)および大規模マシンタイプ通信の標準化が含まれる。
図4は、IMT-2000およびそれ以降に想定される使用シナリオのいくつかの例を示している(例えば非特許文献5の
図2を参照)。
【0031】
URLLCのユースケースは、スループット、レイテンシ、可用性などの能力に関する厳しい要件を有し、産業製造や生産工程のワイヤレス制御、リモート医療手術、スマートグリッドにおける配電自動化、輸送の安全性など、将来の垂直アプリケーションを実現する手段の1つとして想定されている。URLLCの超高信頼性は、非特許文献6によって設定される要件を満たすための技術を特定することによってサポートされる。リリース15のNR URLLCでは、重要な要件として、UL(アップリンク)およびDL(ダウンリンク)それぞれで0.5msの目標ユーザープレーンレイテンシが含まれる。パケットの1回の送信における一般的なURLLCの要件は、1msのユーザープレーンレイテンシでパケットサイズ32バイトの場合にBLER(ブロック誤り率)1E-5である。
【0032】
物理層の観点から、信頼性を向上させる方法はいくつか考えられる。現在、信頼性を向上させるためには、URLLC用の個別のCQIテーブルの定義、よりコンパクトなDCIフォーマット、PDCCHの繰り返しなどがある。しかしながら、(NR URLLCの重要な要件について)NRがさらに安定し、開発が進むにつれて、超高信頼性を実現するための範囲が広がりうる。リリース15におけるNR URLLCの具体的なユースケースとしては、拡張現実/仮想現実(AR/VR)、e-ヘルス、e-セーフティ、ミッションクリティカルなアプリケーションが挙げられる。
【0033】
さらに、NR URLLCが対象とする技術強化は、レイテンシの改善および信頼性の向上を目標としている。レイテンシを改善するための技術強化としては、設定可能なヌメロロジー、柔軟なマッピングを使用する非スロットベースのスケジューリング、グラントフリー(設定済みグラント(configured grant))のアップリンク、データチャネルのスロットレベルの繰り返し、およびダウンリンクのプリエンプションが挙げられる。プリエンプションとは、リソースがすでに割り当てられている送信が中止され、すでに割り当てられているリソースが、後から要求された、より小さいレイテンシ/より高い優先度要件を有する別の送信に使用されることを意味する。したがって、すでに許可された送信が、より後の送信によってプリエンプトされる。プリエンプションは、サービスタイプに関係なく適用される。例えば、サービスタイプA(URLLC)の送信を、サービスタイプB(eMBBなど)の送信によってプリエンプトすることができる。信頼性の向上に関連する技術強化としては、1E-5の目標BLERのための専用CQI/MCSテーブルが挙げられる。
【0034】
mMTC(大規模マシンタイプ通信)のユースケースは、非常に多数の接続されたデバイスが、一般には遅延の影響が小さい比較的少量のデータを送信することを特徴とする。デバイスは、低コストでありかつ極めて長いバッテリ寿命を有することが要求される。NRの観点からは、非常に狭い帯域幅部分を利用することは、UEの観点からの省電力を達成して長いバッテリ寿命を可能にするための1つの可能な解決策である。
【0035】
上に述べたように、NRにおける信頼性の範囲が広がることが予測される。あらゆるケース、特にURLLCおよびmMTCの場合に必要な1つの重要な要件は、高信頼性または超高信頼性である。無線の観点およびネットワークの観点から、信頼性を向上させるためのいくつかのメカニズムを考えることができる。一般には、信頼性の向上に役立つ可能性のある重要なエリアがいくつか存在する。これらのエリアとしては、コンパクトな制御チャネル情報、データチャネル/制御チャネルの繰り返し、周波数エリア、時間エリア、および/または空間エリアに関連するダイバーシティが挙げられる。これらのエリアは、特定の通信シナリオには関係なく、一般的に信頼性に適用可能である。
【0036】
NR URLLCの場合、ファクトリーオートメーション、運輸業、配電など、より厳しい要件のさらなるユースケースが特定されている。より厳しい要件とは、ユースケースに応じて、より高い信頼性(最大10-6レベル)、より高い可用性、最大256バイトのパケットサイズ、数μsオーダーの時刻同期(周波数範囲に応じて1μsないし数μs)、0.5~1msオーダーの短いレイテンシ、特に0.5msの目標ユーザープレーンレイテンシである。
【0037】
さらに、NR URLLCの場合、物理層の観点からいくつかの技術的強化が確認されている。特に、PDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル)に関連する強化として、コンパクトなDCI、PDCCHの繰り返し、PDCCHモニタリングの増加などが挙げられる。また、UCI(アップリンク制御情報:Uplink Control Information)に関連する強化として、HARQ(ハイブリッド自動再送要求)の強化およびCSIフィードバックの強化が挙げられる。また、ミニスロットレベルのホッピングや再送/繰り返しの強化に関連するPUSCHの強化も認識されている。用語「ミニスロット」は、スロットよりも少ない数のシンボルを含むTTI(送信時間間隔:Transmission Time Interval)を意味する(スロットは14個のシンボルを含む)。
【0038】
5G QoS(サービス品質)モデルは、QoSフローに基づいており、保証フロービットレートを必要とするQoSフロー(GBR QoSフロー)と、保証フロービットレートを必要としないQoSフロー(非GBR QoSフロー)の両方をサポートする。したがってNASレベルでは、QoSフローはPDUセッションにおけるQoS差別化の最も細かい粒度である。QoSフローは、PDUセッション内では、NG-Uインタフェースを通じてカプセル化ヘッダ内で伝えられるQoSフローID(QFI)によって識別される。
【0039】
5GCは、各UEごとに1つまたは複数のPDUセッションを確立する。NG-RANは、各UEごとに、PDUセッションと一緒に少なくとも1つのデータ無線ベアラ(DRB)を確立し、次にそのPDUセッションのQoSフローのための追加のDRBを、例えば
図3を参照しながら上述したように設定することができる(いつ設定するかはNG-RANが決定する)。NG-RANは、異なるPDUセッションに属するパケットを異なるDRBにマッピングする。UEおよび5GCにおけるNASレベルのパケットフィルタによって、ULおよびDLのパケットがQoSフローに関連付けられ、UEおよびNG-RANにおけるASレベルのマッピング規則によって、ULおよびDLのQoSフローがDRBに関連付けられる。
【0040】
図5は、5G NRの非ローミング基準アーキテクチャ(非特許文献7の4.2.1.1節を参照)を示している。アプリケーション機能(AF:Application Function)(例えば
図4に例示的に記載されている5Gサービスを処理する外部アプリケーションサーバ)は、サービスを提供する目的で、3GPPコアネットワークと対話する。例えば、トラフィックのルーティングに対するアプリケーションの影響をサポートしたり、ネットワーク公開機能(NEF:Network Exposure Function)にアクセスしたり、ポリシー制御(例:QoS制御)のためのポリシーフレームワーク(ポリシー制御機能(PCF)を参照)と対話する。事業者の配備に基づいて、事業者によって信頼されるものとみなされるアプリケーション機能(AF)を、関連するネットワーク機能(Network Function)と直接対話できるようにすることができる。ネットワーク機能に直接アクセスすることが事業者によって許可されていないアプリケーション機能(AF)は、NEFを介して外部の公開フレームワークを使用して、関連するネットワーク機能と対話する。
【0041】
さらに
図5は、V2X通信のための5Gアーキテクチャのさらなる機能ユニットとして、5GCにおける統一データ管理(UDM:Unified Data Management)、ポリシー制御機能(PCF:Policy Control Function)、ネットワーク公開機能(NEF:Network Exposure Function)、アプリケーション機能(AF)、統合データリポジトリ(UDR:Unified Data Repository)、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF:Access and Mobility Management Function)、セッション管理機能(SMF:Session Management Function)、ユーザプレーン機能(UPF:User Plane Function)に加えて、V2Xアプリケーションサーバ(V2AS:V2X Application Server)およびデータネットワーク(DN:Data Network)(例:事業者のサービス、インターネットアクセス、またはサードパーティのサービス)を示している。コアネットワーク機能およびアプリケーションサービスのすべてまたは一部を、クラウドコンピューティング環境に配置して実行してもよい。
【0042】
本開示では、非特許文献7の5.4節に定義されているように、V2X通信のQoS要件を処理するためのアプリケーションサーバ(例えば
図5のV2Xアプリケーションサーバ)が提供されてもよい。
【0043】
UEの省電力については、リリース17のV2X WID(非特許文献8)において検討されている。省電力により、バッテリに制約のあるUEは、電力効率の良い方法でサイドリンク動作を行うことができる。リリース16のNRサイドリンクは、UEがサイドリンクを動作させる際に「常時オン」を前提に設計されており、例えば、十分なバッテリ容量を有する車載UEのみに焦点が当てられている。リリース17では、V2Xユースケースにおける交通弱者(VRU:vulnerable road users)と、UEの消費電力を最小限に抑える必要がある公共安全および商用ユースケースにおけるUEを対象に、省電力のためのソリューションが求められている。
【0044】
非特許文献9によれば、以下のタイプの道路利用者が交通弱者とみなされる。
- 歩行者(子供、高齢者、ジョギングをする人を含む)
- 緊急対応者、安全作業者、道路作業者
- 馬、犬などの動物から、該当する野生動物(下記の注を参照)
- 車椅子、乳母車
- スケーター、スケートボード、セグウェイ、電動エンジンを搭載している可能性のあるもの
- 時速25kmに制限された自転車およびeバイク(eバイク、クラスL1e-A[i.8])
- 時速25km以上の高速eバイク、クラスL1e-B[i.8]
- 動力付き二輪車(PTW)、モペット(スクーター)、クラスL1e[i.8]
- PTW、オートバイ、クラスL3e[i.8]
- PTW、トライサイクル、時速45kmに制限されたクラスL2e、L4e、L5e[i.8]
- PTW、四輪車、時速45kmに制限されたクラスL5eおよびL6e[i.8]
- 注:該当する野生動物とは、他の道路利用者(VRU、車両)に安全上のリスクを与える動物のみである。規則(EU)168/2013[i.8]の付録1の分類も考慮することができる。
【0045】
上記リストに示したVRUの安全性を配慮するうえで、最も基本となるステップは、VRUの存在の検知である。非特許文献10では、VRUの存在の検知に関する様々なユースケースを以下のように提示している。
1) VRUの存在の検知:
- VRUの自己位置推定。VRUは、位置および速度を含む自身の特性を求めることを可能にするセンサーおよびその他の情報源を有する。
- 別の道路利用者(例:V-ITS-S)がVRUを検知および追跡する。
- R-ITS-Sまたは中央のITS-Sに接続された路側機がVRUを検知および追跡する。
2) VRUが他の道路利用者からの潜在的に危険な状態にあるかどうかを評価し、VRUの位置および動的状態を送信するべきである。いずれの当事者も、自身が認識しているVRUに関する情報を送信することができる。VRUに関する情報をフィルタリングし、メッセージトリガー条件に従ってのみ送信するべきである。他の道路利用者からの潜在的なリスクは、特に以下の条件によって決まる。
- 他の道路利用者の存在
- 道路のレイアウト
- VRUおよび他の道路利用者の動的な状態
- VRUおよび車両の両方の交通信号機の状況(該当する場合)、および交通信号灯の遵守状況
3) VRU自体のITS-Sが送信する必要があるかどうかを判断するための安全メッセージ環境の評価、特にVRUがクラスターの一部であるかどうかの評価
4) 危険な状態にあるVRUに関する情報の送信
- VRUが自己ステータス情報(ego-status information)を送信する。
- VRUのクラスターのリーダーがクラスター情報を送信する。
- V-ITS-S、R-ITS-S、C-ITS-S、または別の道路利用者が、潜在的に危険な状況にあるVRUに関する情報を送信する。
5)リスク評価。段階(受信機側):
- センサーデータと、他の道路利用者によって送信された観測情報を融合し、道路利用者の位置、速度、および場合によっては他のデータ(例えば意図)を含む局所的な動的マップを構築する。
- 様々な道路利用者の推定される軌跡および速度に基づいてリスクを評価する。
6) VRUを保護するための警告または動作:
- デバイスの保持者(VRUまたはその他の道路利用者)の警告
- 他の道路利用者への衝突警告の送信
- 自動運転車の場合の動作
【0046】
無線の観点からは、車両UE(V-UE)に注意を促すために、VRUの存在を示すブロードキャストが必要である。
【0047】
さらに、VRU-UEがどのようにSLブロードキャストをトリガーして自身の存在を示すべきであるかは明らかではない。例えば、LTE-V2Xでは、少なくとも10msの周期で車両UEによってBSM(基本安全メッセージ)がブロードキャストされる。しかしながら、消費電力を低減するため、より安全な場所(例えば自宅やオフィスなど)ではブロードキャストを送信する必要がないことがあるため、VRU-UEがブロードキャストを継続することは適切ではない。
【0048】
上記の課題に対処するため、VRU-UEが特定の地理的ゾーンに入る、またはその内側にいるときに、ブロードキャストをトリガーすることができる。地理的ゾーンは、危険レベルに関連付けられるパラメータによって分類することができる。VRU-UEは、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)のチェックを通じて、自身の地理的ゾーンを識別する。より危険とみなされる地理的ゾーン内ではブロードキャストを送信し、安全な地理的ゾーン内では送信しないように、VRU-UEを構成することができ、したがって、VRU-UEの電力を節約することができ、これは有利である。
【0049】
例えば以下のように、地理的ゾーンのパラメータ「DangerZoneIndicator」をVRU-UEに対して(事前に)設定することができる。
- DangerZoneIndicator=0は危険ゾーンを示す
- DangerZoneIndicator=1は安全ゾーンを示す
【0050】
VRU-UEは、自身のGNSS位置および予めロードされた地図データを使用することによって、関連する地理的ゾーンおよび/またはDangerZoneIndicatorを定期的にチェックするべきである。VRU-UEは、危険ゾーンの内側にいる(すなわちDangerZoneIndicator=0)場合、SLブロードキャストを行うべきである。なお、DangerZoneIndicatorの値は、他の方法で設定されてもよい。例えば、値0が安全ゾーンを示し、代わりに値1が危険ゾーンを示してもよい。さらに、パラメータ名はDangerZoneIndicatorに限定されず、別の名称であってもよい。パラメータは、RRC層、MAC層、あるいはPHY層のシグナリングによって示すことができる。
【0051】
図6は、様々な実施形態に従って、ジオロケーションベースのメッセージまたは信号がどのようにブロードキャストされ得るかを示したフローチャート600を示している。ステップ602においては、地理的ゾーンに関連付けられているDangerZoneIndicatorの値が0であるかどうかを判定する。値が0であると判定された場合、プロセスはステップ604に進み、対象の地理的ゾーン内にVRUが存在することを示すブロードキャストをトリガーする。そうでない場合、プロセスは602から606に進み、対象の地理的ゾーンにおけるVRUの存在を送信またはブロードキャストする動作を行わない。一例では、ステップ604において、対象の地理的ゾーンを示すメッセージまたは信号を送信することができる。
【0052】
DangerZoneIndicatorは、0または1のみではなく、複数の値のうちの1つを示すことができる。例えばDangerZoneIndicatorは、以下のように、関連する地理的ゾーンの危険度に基づく値を示すことができる。
DangerZoneIndicator=0: 最も危険、例えば道路ゾーンの内側
DangerZoneIndicator=1: 危険、例えば路側から1m以内
DangerZoneIndicator=2: 危険度が低い、例えば路側から1m以上離れている
DangerZoneIndicator=3: 安全、例えば建物内
【0053】
図7は、様々な実施形態に従って、道路ジャンクション710がどのように地理的ゾーンに分割され得るかの説明
図700を示している。参照数字702によって示されたエリアは、道路ジャンクション710の道路ゾーンの内側であり、DangerZoneIndicatorの値0(すなわち最も危険)を有し得る。参照数字704によって示されたエリアは、道路ジャンクション710の路側から1メートル以内であり、DangerZoneIndicatorの値1(すなわち危険)を有し得る。参照数字706によって示されたエリアは、道路ジャンクション710の路側から1メートル以上離れており、DangerZoneIndicatorの値2(すなわち危険度が低い)を有し得る。参照数字708によって示されたエリアは、建物の内側であり、DangerZoneIndicatorの値3(すなわち安全)を有し得る。
【0054】
図8は、様々な実施形態に従って、道路ジャンクション810がどのように地理的ゾーンに分割されるかの別の説明
図800を示している。例えば、道路ジャンクション810は、ゾーン1 802、ゾーン2 804、ゾーン3 806、ゾーン4 808、ゾーン5 812、およびゾーン6 814に分割することができ、各ゾーンに、DangerZoneIndicatorパラメータなどの危険レベルインジケータを関連付けることができる。
【0055】
図7の説明
図700および
図8の説明
図800において理解できるように、地理的ゾーンは、エリアをどのように地理的ゾーンに分割するのが望ましいかに応じて、格子状またはフレキシブルな形状とすることができる。分割が3次元ベースで行われるように、地理的ゾーンは高度をさらに含んでもよい。例えば、建物の各階が、異なる地理的ゾーンに分割されてもよい。さらに各地理的ゾーンに危険レベルを関連付けることができ、異なる危険レベルには、ディープスリープ、ライトスリープ、マイクロスリープ、または他の同様のモードなどの異なる省電力モードをさらに関連付けることができる。例えば、ディープスリープ省電力モードに対応する地理的ゾーンに位置するVRU-UEは、ディープスリープ省電力モードを採用するように構成することができる。VRU-UEが、ライトスリープ省電力モードに対応する別の地理的ゾーンに入ると、VRU-UEは、それに応じてライトスリープ省電力モードを採用する。有利なことに、これによりVRU-UEは、指定された地理的ゾーンに位置するときに電力を節約することが可能となり、例えば、より安全な地理的ゾーンに位置するときに、より多くの電力を節約することができる。
【0056】
一例において、2つの地理的ゾーンの間の境界に、ヒステリシス領域またはヒステリシスゾーン(例:1m)を設定することもできる。状況によっては、VRU-UEは、例えば
図9の説明
図900のジグザグパターンに示したように、2つのゾーン間で頻繁にゾーン切り替えを行うことがある。VRU-UEは、ゾーン1 902に入るときにゾーン1を示すメッセージまたは信号を送信し、ゾーン1 902を出てゾーン2 904に入るときにゾーン2を示す別のメッセージまたは信号を送信し、ゾーン2 904を出てゾーン1 902に再び入るときにゾーン1を示すさらなるメッセージを送信することができる。VRU-UEの移動速度に応じてメッセージが短時間に連続して送信される場合、このような指示情報は混乱を招く可能性がある。したがって、ゾーン1 902とゾーン2 904との間のこのような頻繁なゾーン切り替えの指示情報を避けるために、2つのゾーンの間にヒステリシス領域を設定することができる。例えば、最初にゾーン1 902にいたVRU-UEは、ゾーン2 904の側でヒステリシス領域を横切った後にのみ、ゾーン2 904を示すメッセージまたは信号を送信するように構成することができる。同様に、最初にゾーン2 904にいたVRU-UEは、ゾーン1 902の側でヒステリシス領域を横切った後にのみ、ゾーン1 902を示すメッセージまたは信号を送信するように構成することができる。VRU-UEがヒステリシス領域の内側にいるとき、またはヒステリシス領域を横切ったときに、より低い頻度でメッセージまたは信号を送信するようにVRU-UEをさらに構成することができる、または、ヒステリシス領域を横切った後にのみ、および/または事前に設定された期間にわたりゾーンの内側にいた後にのみ、メッセージまたは信号を送信するように構成することができる。有利なことに、ヒステリシス領域によって、VRU-UEによる頻繁なゾーン切り替えの指示情報が混乱することが回避されるとともに、VRU-UEによる送信の回数が減少し、したがって電力が節約される。
【0057】
VRU-UEによる、地理的ゾーンを示すメッセージまたは信号の送信は、VRU-UEがより危険なゾーンにいるときに、より頻繁になるように構成することができる。詳細には、これを達成するための動作として、乗数パラメータまたは(事前に)設定された周期的タイミングを使用する。例えば、パラメータ「drxCycleMultiplier」を使用することができる。パラメータ「drxCycleMultiplier」は、パラメータリストとすることができ、例えば以下のように、既存の不連続受信(DRX)サイクルと乗算するように異なる危険レベルとリンクさせることができる。
DangerZoneIndicator=0(最も危険)の場合、drxCycleMultiplier=1
DangerZoneIndicator=1(危険)の場合、drxCycleMultiplier=2
DangerZoneIndicator=2(危険度低)の場合、drxCycleMultiplier=5
DangerZoneIndicator=3(安全)の場合、drxCycleMultiplier=10
【0058】
なお、パラメータ名はdrxCycleMultiplierに限定されず、別の名称であってもよい。
【0059】
都市部では通常、人口が密集しており、ビジネス街や商業地区には多くのVRU(すなわち歩行者)が集まりうる。このため、すべてのVRU-UEが自身の存在をブロードキャストしようとすると、トラフィックの衝突と、リソースの大量浪費の可能性が高くなる。したがって、省電力および/またはリソース効率を目的として、VRU-UEに対してリッスンビフォアトーク(LBT:Listen-Before-Talk)期間を設計することができる。VRU-UEは、LBT期間内に、近くの他のVRU-UEからのブロードキャストが検出された場合、安全メッセージまたは信号を送信したり、自身の存在を示したりしない。この方策は、上位層(すなわち動作A)または物理層(すなわち動作B)によって実現することができる。
【0060】
動作Aでは、VRU-UEの送信機会に先立つ、すなわち関連する地理的ゾーンを示すメッセージまたは信号の送信に先立つLBT期間を示すパラメータ「SL-LBTperiod」を、VRU UEに対して(事前に)設定または事前に定義することができる。VRU-UEは、そのLBT期間中は、他のUEのSL送信を受信する。復号の結果が上位層(MACまたはRRC)に報告され、それぞれの上位層は、結果としてSLブロードキャストを実行するかどうか、すなわち関連する地理的ゾーンを示すメッセージまたは信号を送信するかどうかを決定する。なお、パラメータ名はSL-LBTperiodに限定されず、別の名称であってもよい。
【0061】
動作Bでは、異なる地理的ゾーンごとにジオロケーション/ゾーン固有のリソースを(事前に)設定することができる。同じゾーン内のすべてのVRU-UEは、同じ固有リソースを使用して自身の存在を示す、すなわち同じ固有リソースを使用して、関連する地理的ゾーンを示すメッセージまたは信号を送信する。
図10は、様々な実施形態に従って、ゾーン固有リソースがどのように分割され得るかを示した
図1000を示している。例えば、ゾーン固有リソース1002はゾーン1内のVRU-UEに対してのみ使用され、ゾーン固有リソース1004はゾーン2内のVRU-UEに対してのみ使用され、ゾーン固有リソース1006はゾーン3内のVRU-UEに対してのみ使用され、ゾーン固有リソース1008はゾーン4内のVRU-UEに対してのみ使用され、ゾーン固有リソース1010はゾーン5内のVRU-UEに対してのみ使用され、ゾーン固有リソース1012はゾーン6内のVRU-UEに対してのみ使用される。ゾーン固有リソースにおいて1ビットのみがシーケンスで伝えられ、したがってV-UEの受信のために複数のUEの送信を重ねる(overlapped)ことができる(PSFCHを再利用することができる)。
【0062】
さらに、動作Bでは、VRU-UEに対してLBT期間を(事前に)設定または事前定義することができる。LBT期間は、VRU-UEの最後の送信機会を含むことができる。VRU-UEは、(GNSS位置によって決定される)同じゾーン内で他のUEの指示情報を受信した場合、後続の送信機会において自身の存在をブロードキャストしない。
【0063】
図11は、様々な実施形態に従ってゾーン固有リソースがどのように利用され得るかの説明
図1100を示している。例えば、ゾーン1内のVRU-UEは、別のUEのメッセージまたは信号を受信することがあり、この場合、メッセージまたは信号は、ゾーン1のリソース1102に割り当てられているゾーン固有リソースを使用して送信されている。したがって、VRU-UEは、後続の送信機会において、ゾーン1に自身が存在することをブロードキャストしない。
【0064】
図12は、様々な実施形態に従って、ゾーン固有リソースがどのように利用され得るかの別の説明
図1200を示している。例えば、ゾーン1内のVRU-UEは、別のUEのメッセージまたは信号を受信することがあり、この場合、メッセージまたは信号は、別のゾーンに割り当てられているゾーン固有リソース、すなわちゾーン2のリソース1204を使用して送信されている。しかしながら、VRU-UEは、他のUEからゾーン1のリソース1202を使用して送信されたメッセージ、信号、または指示情報を受信しない。したがって、VRU-UEは、後続の送信機会において、ゾーン1のリソース1202を使用して、ゾーン1に自身が存在することをブロードキャストする。
【0065】
図13は、様々な実施形態に係る通信方法を示したフローチャート1300を示している。ステップ1302においては、通信装置の位置に基づいて地理的ゾーンを識別する。ステップ1304においては、地理的ゾーンに基づいて信号を送信する。
【0066】
図14は、
図1~
図13に示した様々な実施形態および例に係る、交通弱者のためのジオロケーションベースのブロードキャストメッセージのために実施することのできる通信装置1400の、部分的に枠で囲んだ概略図を示している。通信装置1400は、様々な実施形態に従って、UE、V-UE、またはVRU-UEとして実施することができる。
【0067】
通信装置1400の様々な機能および動作は、階層モデルに従って各層に配置されている。このモデルでは、3GPP仕様に従って下位の層が上位の層に報告し、上位の層から指示を受け取る。説明を簡潔にする目的で、本開示では階層モデルの詳細については説明しない。
【0068】
図14に示したように、通信装置1400は、回路1414と、少なくとも1つの無線送信機1402と、少なくとも1つの無線受信機1404と、少なくとも1つのアンテナ1412(簡潔さのため
図14には図解を目的として1つのみのアンテナを示してある)を含むことができる。回路1414は、少なくとも1つのコントローラ1406を含むことができ、コントローラ1406は、無線ネットワーク内の1基または複数の別の通信装置との通信の制御を含む、実行するように設計されているタスクをソフトウェアおよびハードウェアの支援下で実行するために使用される。回路1414は、さらに、少なくとも1つの送信信号生成器1408および少なくとも1つの受信信号処理器1410を含むことができる。少なくとも1つのコントローラ1406は、少なくとも1つの無線送信機1402を通じて1つ以上の他の通信装置に送信される信号(例えば地理的ゾーンを示す信号)を生成するように、少なくとも1つの送信信号生成器1408を制御することができ、さらに、少なくとも1つのコントローラ1406の制御下で1つ以上の他の通信装置から少なくとも1つの無線受信機1404を通じて受信された信号(例えば地理的ゾーンを示す信号)を処理するように、少なくとも1つの受信信号処理器1410を制御することができる。少なくとも1つの送信信号生成器1408および少なくとも1つの受信信号処理器1410は、
図14に示したように、上述した機能のために少なくとも1つのコントローラ1406と通信する、通信装置1400の独立したモジュールとすることができる。あるいは、少なくとも1つの送信信号生成器1408および少なくとも1つの受信信号処理器1410を、少なくとも1つのコントローラ1406に含めることができる。これらの機能モジュールの配置は柔軟であり、実際のニーズおよび/または要件に応じて変化してもよいことが当業者には理解されるであろう。データ処理装置、記憶装置、および他の関連する制御装置を、適切な回路基板および/またはチップセットに設けることができる。様々な実施形態において、動作時、少なくとも1つの無線送信機1402、少なくとも1つの無線受信機1404、および少なくとも1つのアンテナ1412を、少なくとも1つのコントローラ1406によって制御することができる。
【0069】
通信装置1400は、動作時に、交通弱者のためのジオロケーションベースのブロードキャストメッセージに必要な機能を提供する。例えば、通信装置1400は、UE、V-UE、またはVRU-UEとすることができ、回路1414は、動作時に、通信装置1400の位置に基づいて地理的ゾーンを識別することができる。送信機1402は、動作時に、地理的ゾーンに基づいて信号を送信することができる。
【0070】
回路1414は、通信装置1400のGNSS(全地球航法衛星システム)位置および予めロードされた地図データに基づいて地理的ゾーンを識別するように、さらに構成することができる。地理的ゾーンは、危険ゾーンまたは安全ゾーンのいずれかに関連付けることができ、送信機1402は、地理的ゾーンが危険ゾーンに関連付けられているときに信号を送信するように、さらに構成することができる。
【0071】
地理的ゾーンは、複数の危険レベルのうちの1つに関連付けられてもよく、送信機1402は、関連付けられている危険レベルに基づいて信号を送信するように、さらに構成することができる。複数の危険レベルの各危険レベルは、省電力モードに関連付けることができ、回路1414は、関連付けられた危険レベルに関連付けられた省電力モードと同じである通信装置1400の省電力モードを起動するように、さらに構成することができる。複数の危険レベルの各危険レベルは、乗数パラメータまたは事前に設定された周期的タイミングに関連付けることができ、送信機1402は、乗数パラメータまたは事前に設定された周期的タイミングに基づく周期で信号を送信するように、さらに構成することができる。回路1414は、通信装置1400に関連付けられた不連続受信(DRX)周期に乗数パラメータを乗算するように、さらに構成することができ、送信機1402は、乗算されたDRXサイクルに基づいて信号を送信するように、さらに構成することができる。関連付けられた危険レベルは、その地理的ゾーンがどの程度危険であるかを示すことができ、送信機は、関連付けられた危険レベルが、地理的ゾーンをより危険性が高いものとして、またはより危険性が低いものとして示す場合、信号をより高い頻度で、またはより低い頻度で送信するように、さらに構成することができる。地理的ゾーンは、格子状またはフレキシブルな形状とすることができる、および/または、通信装置1400の高度を含む。
【0072】
通信装置が2つの地理的ゾーン間で頻繁にゾーン切り替えを行うときに、より低い頻度で信号を送信することができるように、2つの地理的ゾーンの間の境界にヒステリシス領域を指定することができる。
【0073】
受信機1404は、動作時に、信号の送信に先立つ事前定義された期間に、別の通信装置から別の信号を受信することがあり、回路1414は、信号を送信するかどうかに関する上位層による決定のためにその別の信号を復号するように、さらに構成することができ、送信機1402は、決定に基づいて信号を送信するように、さらに構成することができる。
【0074】
受信機1404は、動作時に、信号の送信に先立つ事前定義された期間に、別の通信装置から別の信号を受信することがあり、別の信号は別の地理的ゾーンを示し、送信機1402は、その別の地理的ゾーンが現在の地理的ゾーンと同じである場合に信号を送信しないようにさらに構成することができる。
【0075】
各地理的ゾーンには、ゾーン固有リソースを割り当ることができ、したがって通信装置1400は、地理的ゾーンに割り当てられているゾーン固有リソースを使用して信号を送信することができる、および/または、別の通信装置が、地理的ゾーンに割り当てられているゾーン固有リソースを使用して別の信号を送信することができ、別の地理的ゾーンが現在の地理的ゾーンと同じである場合に、その別の信号はその別の地理的ゾーンを示す。受信機1404は、動作時に、信号の送信に先立つ事前定義された期間において、別の通信装置からその別の信号を受信することがあり、送信機1402は、その別の信号が、地理的ゾーンに割り当てられているゾーン固有リソースを使用して送信されたと判定される場合、信号を送信しないように、さらに構成することができる。
【0076】
信号は、地理的ゾーンを示すブロードキャストとすることができる。通信装置1400は、VRU-UE(交通弱者のユーザ機器)とすることができる。
【0077】
(制御信号)
本開示では、本開示に関連するダウンリンク制御信号(情報)は、物理層のPDCCHを介して送信される信号(情報)とすることができる、または、上位層のMAC制御要素(CE)またはRRCを介して送信される信号(情報)とすることができる。ダウンリンク制御信号は、事前定義される信号(情報)とすることができる。
【0078】
本開示に関連するアップリンク制御信号(情報)は、物理層のPUCCHを介して送信される信号(情報)とすることができる、または、上位層のMAC CEもしくはRRCを介して送信される信号(情報)とすることができる。さらに、アップリンク制御信号は、事前定義される信号(情報)とすることができる。アップリンク制御信号は、アップリンク制御情報(UCI)、第1段サイドリンク制御情報(SCI)(1st stage sildelink control information (SCI))、または第2段SCI(2nd stage SCI)に置き換えることができる。
【0079】
(基地局)
本開示において、基地局は、例えば、送信受信ポイント(TRP:Transmission Reception Point)、クラスタヘッド、アクセスポイント、遠隔無線ヘッド(RRH:Remote Radio Head)、eNodeB(eNB)、gNodeB(gNB)、基地局(BS)、ベーストランシーバステーション(BTS:Base Transceiver Station)、ベースユニット、またはゲートウェイとすることができる。さらに、サイドリンク通信では、基地局に代えて端末を採用してもよい。基地局は、上位ノードと端末との間の通信を中継する中継装置であってもよい。基地局は、ロードサイドユニット(roadside unit)であってもよい。
【0080】
(アップリンク/ダウンリンク/サイドリンク)
本開示は、アップリンク、ダウンリンク、およびサイドリンクのいずれにも適用することができる。
【0081】
本開示は、例えば、PUSCH、PUCCH、およびPRACHなどのアップリンクチャネル、PDSCH、PDCCH、およびPBCHなどのダウンリンクチャネル、ならびに物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH)、物理サイドリンク制御チャネル(PSCCH)、および物理サイドリンクブロードキャストチャネル(PSBCH)などのサイドリンクチャネルに適用することができる。
【0082】
PDCCH、PDSCH、PUSCH、PUCCHは、それぞれ、ダウンリンク制御チャネル、ダウンリンクデータチャネル、アップリンクデータチャネル、アップリンク制御チャネルの一例である。PSCCHおよびPSSCHは、それぞれ、サイドリンク制御チャネルおよびサイドリンクデータチャネルの一例である。PBCHおよびPSBCHは、それぞれブロードキャストチャネルの一例であり、PRACHは、ランダムアクセスチャネルの一例である。
【0083】
(データチャネル/制御チャネル)
本開示は、データチャネルおよび制御チャネルのいずれにも適用することができる。本開示におけるチャネルは、PDSCH、PUSCH、およびPSSCHを含むデータチャネル、および/または、PDCCH、PUCCH、PBCH、PSCCH、およびPSBCHを含む制御チャネルに置き換えることができる。
【0084】
(参考信号)
本開示において、参照信号は、基地局および移動局の両方に既知である信号であり、各参照信号は、基準信号(RS)または場合によりパイロット信号と呼ばれることがある。参照信号は、DMRS、チャネル状態情報-参照信号(CSI-RS:Channel State Information - Reference Signal)、追跡参照信号(TRS:Tracking Reference Signal)、位相追跡参照信号(PTRS:Phase Tracking Reference Signal)、セル固有参照信号(CRS:Cell-specific Reference Signal)、およびサウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)のいずれであってもよい。
【0085】
(時間間隔)
本開示において、時間リソース単位は、スロットおよびシンボルの一方または組合せに限定されず、フレーム、スーパーフレーム、サブフレーム、スロット、時間スロットサブスロット、ミニスロットなどの時間リソース単位、または、シンボル、直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル、シングルキャリア-周波数分割多重アクセス(SC-FDMA:Single Carrier-Frequency Division Multiplexing Access)シンボルなどの時間リソース単位、または他の時間リソース単位であってもよい。1スロットに含まれるシンボルの数は、上述した実施形態において例示した数に限定されず、別のシンボル数であってもよい。
【0086】
(周波数帯域)
本開示は、ライセンスバンドおよびアンライセンスバンドのいずれにも適用することができる。
【0087】
(通信)
本開示は、基地局と端末との間の通信(Uuリンク通信)、端末と端末の間の通信(サイドリンク通信)、および、車両と何らかのエンティティとの通信(V2X:Vehicle to Everything)のいずれにも適用することができる。本開示におけるチャネルは、PSCCH、PSSCH、物理サイドリンクフィードバックチャネル(PSFCH:Physical Sidelink Feedback Channel)、PSBCH、PDCCH、PUCCH、PDSCH、PUSCH、およびPBCHに置き換えることができる。
【0088】
さらに、本開示は、地上ネットワーク、または、衛星もしくは高高度疑似衛星(HAPS:High Altitude Pseudo Satellite)を使用する地上ネットワーク以外のネットワーク(NTN:非地上系ネットワーク:Non-Terrestrial Network)のいずれにも適用することができる。さらに、本開示は、セルサイズが大きいネットワークや、超広帯域伝送ネットワークのようにシンボル長やスロット長に比べて遅延が大きい地上ネットワークに適用してもよい。
【0089】
(アンテナポート)
アンテナポートとは、1つまたは複数の物理アンテナで形成される論理アンテナ(アンテナ群)のことを指す。すなわち、アンテナポートは、必ずしも1つの物理アンテナを指すものではなく、複数のアンテナで形成されるアレイアンテナ等を指す場合もある。例えば、アンテナポートを形成する物理アンテナの数は定義されておらず、代わりに、端末が基準信号を送信することのできる最小単位をアンテナポートと定義する。また、アンテナポートは、プリコーディングベクトル重み付けの乗算のための最小単位として定義されることもある。
【0090】
上述したように、本開示の実施形態は、VRU-UEにおける省電力を有利に可能にする、交通弱者のためのジオロケーションベースのブロードキャストメッセージのための高度な通信システム、通信方法、および通信装置を提供する。
【0091】
本開示は、ソフトウェアによって、ハードウェアによって、またはハードウェアと協働するソフトウェアによって、実施することができる。上述した各実施形態の説明において使用される各機能ブロックは、その一部または全体を、集積回路などのLSIによって実施することができ、各実施形態において説明した各プロセスは、その一部または全体を、同じLSIまたはLSIの組合せによって制御することができる。LSIは、チップとして個別に形成する、または、機能ブロックの一部またはすべてが含まれるように1個のチップを形成することができる。LSIは、自身に結合されたデータ入出力部を含むことができる。LSIは、集積度の違いに応じて、IC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIとも称される。しかしながら、集積回路を実施する技術は、LSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ、または専用プロセッサを使用することによって実施することができる。さらには、LSIの製造後にプログラムすることのできるFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)や、LSI内部に配置されている回路セルの接続および設定を再設定できるリコンフィギャラブル・プロセッサを使用することもできる。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実施することができる。半導体技術または別の派生技術が進歩する結果として、LSIが将来の集積回路技術に置き換わる場合、その将来の集積回路技術を使用して機能ブロックを集積化することができる。バイオテクノロジを適用することもできる。
【0092】
本開示は、通信の機能を有する任意の種類の装置、デバイス、またはシステム(通信装置と呼ばれる)によって実施することができる。
【0093】
通信装置は、送受信機および処理/制御回路を備えていることができる。送受信機は、受信機および送信機を備えている、および/または、受信機および送信機として機能することができる。送信機および受信機としての送受信機は、増幅器、RF変調器/復調器などを含むRF(無線周波数)モジュールと、1つまたは複数のアンテナを含むことができる。
【0094】
このような通信装置の非限定的ないくつかの例としては、電話(例:携帯電話、スマートフォン)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)(例:ラップトップ、デスクトップ、ノートブック)、カメラ(例:デジタルスチル/ビデオカメラ)、デジタルプレイヤー(デジタルオーディオ/ビデオプレイヤー)、ウェアラブルデバイス(例:ウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、トラッキングデバイス)、ゲームコンソール、電子書籍リーダー、遠隔医療/テレメディシン(リモート医療・医薬)装置、通信機能を提供する車両(例:自動車、飛行機、船舶)、およびこれらのさまざまな組合せ、が挙げられる。
【0095】
通信装置は、携帯型または可搬型に限定されず、非携帯型または据付け型である任意の種類の装置、デバイス、またはシステム、例えば、スマートホームデバイス(例:電化製品、照明、スマートメーター、制御盤)、自動販売機、および「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」のネットワーク内の任意の他の「モノ」なども含むことができる。
【0096】
通信は、例えばセルラーシステム、無線LANシステム、衛星システム、その他、およびこれらのさまざまな組合せを通じてデータを交換するステップ、を含むことができる。
【0097】
通信装置は、本開示の中で説明した通信の機能を実行する通信デバイスに結合されたコントローラやセンサーなどのデバイスを備えることができる。例えば、通信装置は、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスによって使用される制御信号またはデータ信号を生成するコントローラまたはセンサー、を備えていることができる。
【0098】
通信装置は、インフラストラクチャ設備、例えば、上の非限定的な例における装置等の装置と通信する、またはそのような装置を制御する基地局、アクセスポイント、および任意の他の装置、デバイス、またはシステムなどを、さらに含むことができる。
【0099】
様々な実施形態のいくかの特性はデバイスを参照しながら説明されているが、対応する特性は様々な実施形態の方法にもあてはまり、逆も同様である。
【0100】
特定の実施形態に示した本開示には、広範に説明した本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、多数の変更および/または修正を行い得ることが、当業者には理解されるであろう。したがって本明細書における実施形態は、あらゆる点において説明を目的としており、本発明を制限するものではないとみなされたい。
【国際調査報告】