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特表2023-547822温度制御された療法のためのウェアラブル四肢ラップ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】温度制御された療法のためのウェアラブル四肢ラップ
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/10 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
A61F7/10 300H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523564
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 SG2021050677
(87)【国際公開番号】W WO2022098309
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10202011037W
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511002216
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティー ホスピタル (シンガポール) ピーティーイー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】507335687
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール
(71)【出願人】
【識別番号】513025163
【氏名又は名称】パックスマン クーラーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PAXMAN COOLERS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】サンダー ラグハヴ
(72)【発明者】
【氏名】バンドラ アイシュワルヤ
(72)【発明者】
【氏名】ビンダー ジョナサン レックス
(72)【発明者】
【氏名】バーケ パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ウンヴァー エルトゥ
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA02
4C099CA07
4C099EA03
4C099EA05
4C099GA02
4C099HA01
4C099HA03
4C099JA03
4C099LA01
4C099LA07
4C099LA08
4C099LA13
4C099LA15
4C099LA21
4C099NA02
4C099PA02
(57)【要約】
本発明は、被験者の腕に圧力を温度制御して加えるための圧縮ラップ及び方法に関し、前記圧縮ラップは、流体ブラダを備え、前記流体ブラダは、2つ以上の第一のフラップを備える第一の要素と、1つ以上のデジタルフラップを備える第二の要素と、2つ以上の第二のフラップを備える第三の要素であって、前記第一の要素及び前記第三の要素は第一のエッジに沿って接続され、前記第二の要素は第二のエッジに沿って前記第一の要素及び前記第三の要素に接続される、第三の要素と、を備える。特定の一実施形態では、前記流体ブラダは、空気キャビティ及び液体キャビティを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の腕に圧力を温度制御して加えるための圧縮ラップであって、前記圧縮ラップは、
流体ブラダ
を備え、前記流体ブラダは、
2つ以上の第一のフラップを備える第一の要素と、
1つ以上のデジタルフラップを備える第二の要素と、
2つ以上の第二のフラップを備える第三の要素であって、前記第一の要素及び前記第三の要素は第一のエッジに沿って接続され、前記第二の要素は第二のエッジに沿って前記第一の要素及び前記第三の要素に接続される、第三の要素と、
を備える、圧縮ラップ。
【請求項2】
前記流体ブラダの前記第一の要素は、被験者の前記腕の周囲の少なくとも前半を覆うように構成され、前記流体ブラダの前記第三の要素は、被験者の前記腕の前記周囲の少なくとも後半を覆うように構成される、請求項1に記載の圧縮ラップ。
【請求項3】
前記2つ以上の第二のフラップのそれぞれは、前記2つ以上の第一のフラップのうちの1つに対応する、請求項1に記載の圧縮ラップ。
【請求項4】
前記2つ以上の第二のフラップのそれぞれは、対応する第一のフラップに取り外し可能に取り付けられる、請求項1に記載の圧縮ラップ。
【請求項5】
前記2つ以上の第一のフラップ及び前記2つ以上の第二のフラップは、前記第一のエッジから垂直に延びる、請求項1に記載の圧縮ラップ。
【請求項6】
前記2つ以上の第一のフラップは、前記第一の要素内で終端するスリットで互いに分離される、請求項1に記載の圧縮ラップ。
【請求項7】
前記2つ以上の第二のフラップは、前記第三の要素内で終端するスリットで互いに分離される、請求項1に記載の圧縮ラップ。
【請求項8】
前記流体ブラダが、空気キャビティ及び液体キャビティを備える、請求項1に記載の圧縮ラップ。
【請求項9】
前記空気キャビティが、1平方インチ当たり0.25~2個の間の取付点を備える、請求項8に記載の圧縮ラップ。
【請求項10】
前記空気キャビティが、15~50mmの間のピッチ比高さと20~100mmの間のピッチ比幅を有する取付点を備える、請求項8に記載の圧縮ラップ。
【請求項11】
前記液体キャビティが、液体入口及び液体出口を備え、前記液体キャビティが、前記液体入口から前記液体出口まで前記液体キャビティを貫通する通路を備える、請求項8に記載の圧縮ラップ。
【請求項12】
前記通路は、前記2つ以上の第一のフラップ、前記1つ以上のデジタルフラップ、及び前記2つ以上の第二のフラップのそれぞれの外周に沿って延びる、請求項11に記載の圧縮ラップ。
【請求項13】
前記液体入口は、前記第二の要素から遠位の第一のフラップ又は第二のフラップ上に配置される、請求項11に記載の圧縮ラップ。
【請求項14】
前記液体キャビティが、1平方インチ当たり3~8個の間の取付点を備える、請求項8に記載の圧縮ラップ。
【請求項15】
前記液体キャビティが、5~40mmの間のピッチ比高さと5~40mmの間のピッチ比幅を有する取付点を備える、請求項8に記載の圧縮ラップ。
【請求項16】
前記液体キャビティが、3つ以上の液体ポケットを備える、請求項8に記載の圧縮ラップ。
【請求項17】
前記液体キャビティに対して位置決めされた布層と、空気キャビティに対して位置決めされた絶縁層とをさらに備える、請求項8に記載の圧縮ラップ。
【請求項18】
被験者の腕に温度制御された圧力を加える方法であって、
圧縮ラップを提供するステップであって、前記圧縮ラップが、
流体ブラダ
を備え、前記流体ブラダが、
2つ以上の第一のフラップを備える第一の要素と、
1つ以上のデジタルフラップを備える第二の要素と、
2つ以上の第二のフラップを備える第三の要素であって、前記第一の要素及び前記第三の要素は第一のエッジに沿って接続され、前記第二の要素は第二のエッジに沿って前記第一の要素及び前記第三の要素に接続される、第三の要素と、
を備える、ステップと、
前記2つ以上の第二のフラップのそれぞれを対応する第一のフラップに取り付けることによって、前記圧縮ラップを前記腕に固定するステップと、
空気及び冷却剤を前記流体ブラダに注入するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
冷却剤が前記流体ブラダの液体キャビティに注入され、前記液体キャビティは、前記被験者に対して配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
空気が前記流体ブラダの空気キャビティに注入され、前記空気キャビティは、前記液体キャビティの上方に配置される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
空気が、前記空気キャビティに注入され、前記空気キャビティから断続的に放出され、前記被験者に周期的な圧力を提供する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記被験者をモニタリングするために、前記2つ以上の第二のフラップのうちの1つを前記対応する第一のフラップから切り離し、再び取り付けるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
被験者の腕に圧力を温度制御で加えるための極低温圧縮ラップであって、前記圧縮ラップが、
空気キャビティ及び液体キャビティを備える多層流体ブラダと、
前記液体キャビティに対して配置された布層と、
前記空気キャビティに対して配置された絶縁層と、
を備える、極低温圧縮ラップ。
【請求項24】
前記多層流体ブラダが、
2つ以上の第一のフラップを備える第一の要素と、
1つ以上のデジタルフラップを備える第二の要素と、
2つ以上の第二のフラップを備える第三の要素であって、前記第一の要素及び前記第三の要素は第一のエッジに沿って接続され、前記第二の要素は第二のエッジに沿って前記第一の要素及び前記第三の要素に接続される、第三の要素と、
を備える、請求項23に記載の極低温圧縮ラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、支持療法の分野に関する。特に、本開示は、四肢に加熱又は冷却を提供するための圧縮ラップに関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮は、身体部分に圧力を加えるために、デバイス、ラップ又はスリーブで身体部分を圧迫することである。加熱又は冷却は、デバイス、ラップ又はスリーブ内に含まれるブラダ内の温度制御された流体を循環させることによって、ときどき同時に実施されることがある。例えば、冷却は、身体部分の温度を低下させながら同時に身体部分に圧力を加える極低温圧縮を達成するために、同時に実行されてもよい。極低温圧縮は、化粧品や医療分野を含む様々な分野で使用されている。例えば、極低温圧縮は、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を予防及び/又は治療するために使用してもよい。CIPNは、癌治療のための化学療法で使用されるいくつかの一般的に使用される化学療法剤の重篤な用量制限性副作用である。CIPNは、手足に進行性でしばしば不可逆的な痛みや知覚過敏を引き起こし、化学療法の遅延や中止の原因となるため、癌の生存率に影響する。全体として、CIPNは、世界中で毎年相当数の癌患者に影響を与え、癌患者の長期罹患に寄与している。また、CIPNは経済的負担も著しく大きく、CIPNを有する癌患者では、CIPNを有しない患者に比べて、医療費が17,000米ドル多くかかると推定されている。また、CIPNは、患者の労働損失を引き起こし、通常の治療では約50日の生産性損失を引き起こしている。
【0003】
化学療法を受けている癌患者において、CIPNを予防/治療するシステム、デバイス、及び方法に対する臨床ニーズは、満たされておらず、増大している。CIPNに対する利用可能な治療方法は、感覚異常、知覚異常、及び痛みなどの症状を緩和することに限られている。ビタミンEやオメガ3の補給などの薬剤を使用する方法がいくつか開発されているが、大規模な臨床試験で有効性が証明されたものはない。
【0004】
化学療法中の四肢冷却は、CIPNの重症度を予防/軽減することで神経保護効果を発揮することが実証されている。神経保護の程度は、四肢低体温法の効率、すなわち、達成された冷却の程度に依存することが研究により分かってきた。
【0005】
図1A及び図1Bを参照すると、これらの図は、それぞれ四肢低体温法を伴う及び伴わない化学療法治療を受ける被験者を示す。被験者は、パクリタキセルのような神経毒性の化学療法剤104を腕に導入することによって化学療法を受けてもよい。神経毒性の化学治療薬を用いた体系的な癌治療は、例えば、尺骨神経108に炎症及び神経損傷を引き起こすことが示されている。この神経損傷は、手112などの四肢のしびれやしびれ感として現れ、CIPNとして知られている。四肢低体温法116は、尺骨静脈120のような冷却された領域の血管収縮を引き起こすことによって、CIPNを予防し、その領域への血流を減少させることによって、その領域の化学療法剤への露出を減らす。また、四肢低体温法は、被験者の炎症を軽減する。
【0006】
利用可能な様々な凍結療法様式のうち、氷嚢及び市販のゲルパックが最も頻繁に使用される様式である。凍傷のリスクや被験者が温度に耐えられないため、研究では、30分の冷却と30分の再加温を組み合わせた断続的な冷却スケジュールが推奨されている。しかしながら、このような断続的なルーチンは、血流のリバウンドにより、効果がなく、あるいはさらに悪いことに、逆効果になる可能性がある。さらに、氷嚢は、溶融時の相変化により、温度の広範囲な変動を引き起こす可能性がある。
【0007】
手袋は、以前、癌患者に四肢の凍結療法を施すために凍結使用されていた。しかしながら、これらの手袋は、オペレータが扱いにくく、不安定な冷却を行い、被験者に不快感を与え、凍結療法の適用期間を制限していた。これらの手袋は、凍傷の発生により、最終的に市場から撤去された。
【0008】
連続制御冷却剤流を利用する既存の装置は、時代遅れの蒸気圧縮技術を使用しており、重くて面倒であるため、被験者の移動と使用環境が制限され、その結果、その応用範囲が制限されている。他にも冷却方法はあるが、問題や関連する制約がある。例えば、ペルチェ効果を利用した冷却は、携帯性を確保しながら必要な冷却速度を得ることができない。一方、磁気熱量効果を利用した冷却は、まだ研究段階であり、市場にはまだ出回っていない。
【0009】
他の既存の冷却の解決策は、かさばり、人手がかかり、エネルギー効率が悪く、癌患者のCIPNを予防するために使用することには適さない。特に、これらの冷却技術には、被験者の四肢にカニューレ挿入してモニタリングする必要がある化学療法投与中の使用に対応した冷却アクセサリがない。
【0010】
したがって、化学療法を受けている癌患者のために特別に設計され、凍結療法の同時投与を実行可能で最適で効果的なものにするためのアクセサリが必要である。
【発明の概要】
【0011】
一般的な一態様は、被験者の腕に圧力を温度制御して加えるための圧縮ラップを含む。圧縮ラップは、流体ブラダも含み、流体ブラダは、2つ以上の第一のフラップを含み得る第一の要素と、1つ以上のデジタルフラップを含み得る第二の要素と、2つ以上の第二のフラップを含み得る第三の要素と、を含んでもよく、第一の要素及び第三の要素は、第一のエッジに沿って接続され、第二の要素は、第二のエッジに沿って第一の要素及び第三の要素に接続される。
【0012】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。圧縮ラップにおいて、流体ブラダの第一の要素は、被験者の腕の周囲の少なくとも前半を覆うように構成され、流体ブラダの第三の要素は、被験者の腕の周囲の少なくとも後半を覆うように構成される。2つ以上の第二のフラップのそれぞれは、2つ以上の第一のフラップのうちの1つに対応する。2つ以上の第二のフラップのそれぞれは、対応する第一のフラップに取り外し可能に取り付けられる。2つ以上の第一のフラップ及び2つ以上の第二のフラップは、第一のエッジから垂直に延びる。2つ以上の第一のフラップは、第一の要素内で終端するスリットで互いに分離される。2つ以上の第二のフラップは、第三の要素内で終端するスリットで互いに分離される。流体ブラダは、空気キャビティ及び液体キャビティを含んでもよい。空気キャビティは、1平方インチ当たり0.25~2個の間の取付点を含んでもよい。空気キャビティは、15~50mmの間のピッチ比高さと20~100mmの間のピッチ比幅を有する取付点を含んでもよい。液体キャビティは、液体入口及び液体出口を含んでもよく、液体キャビティは、液体入口から液体出口まで液体キャビティを貫通する通路を含んでもよい。通路は、2つ以上の第一フラップ、1つ以上のデジタルフラップ、及び2つ以上の第二フラップのそれぞれの外周に沿って延びる。液体入口は、第二の要素から遠位の第一のフラップ又は第二のフラップ上に配置される。液体キャビティは、1平方インチ当たり3~8個の間の取付点を含んでもよい。液体キャビティは、5~40mmの間のピッチ比高さと5~40mmの間のピッチ比幅を有する取付点を含んでもよい。液体キャビティは、3つ以上の液体ポケットを含んでもよい。圧縮ラップは、液体キャビティに対して配置された布層と、空気キャビティに対して配置された絶縁層とを含んでもよい。
【0013】
一般的な一態様は、被験者の腕に温度制御された圧力を加える方法を含む。温度制御された圧力を加える方法は、また圧縮ラップを提供するステップを含み、圧縮ラップは、流体ブラダも含み、流体ブラダは、2つ以上の第一のフラップを含み得る第一の要素と、1つ以上のデジタルフラップを含み得る第二の要素と、2つ以上の第二のフラップを含み得る第三の要素と、を含んでもよく、第一の要素及び第三の要素は、第一のエッジに沿って接続され、第二の要素は、第二のエッジに沿って第一の要素及び第三の要素に接続される。加圧は、2つ以上の第二のフラップのそれぞれを対応する第一のフラップに取り付けることによって、圧縮ラップを腕に固定することも含む。加圧は、空気及び冷却剤を流体ブラダに注入することを含む。
【0014】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。方法において、冷却剤は、流体ブラダの液体キャビティに注入され、液体キャビティは、被験者に対して位置決めされる。空気は、流体ブラダの空気キャビティに注入され、空気キャビティは、液体キャビティの上に配置される。空気は、空気キャビティに注入され、そこから断続的に放出され、被験者に周期的な圧力を提供する。本方法は、被験者をモニタリングするために、2つ以上の第二のフラップのうちの1つを対応する第一のフラップから切り離し、再び取り付けることを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示の特徴、側面、及び利点は、以下の説明及び添付の図面を参照して、より良く理解されるであろう。
【0016】
図1A】四肢低体温法を伴わない化学療法治療を受ける被験者を示す。
図1B】四肢低体温法を伴う化学療法治療を受ける被験者を示す。
図2】本開示の実施形態に従う流体ブラダの概略図である。
図3】本開示の実施形態に従う流体ブラダのスリットの端部の概略図である。
図4】本開示の実施形態に従う、布層と絶縁層との間の流体ブラダの断面の概略図である。
図5A】本開示の実施形態に従う流体ブラダの液体キャビティの概略図である。
図5B】本開示の実施形態に従う流体ブラダの液体キャビティの通路壁及び液体キャビティ内の液体流れの方向の概略図である。
図6A】本開示の実施形態に従う流体ブラダの空気キャビティの概略図である。
図6B】本開示の実施形態に従う流体ブラダの空気キャビティのキャビティ壁の概略図である。
図7A】本開示の実施形態に従う液体キャビティ上の取付点の密度の概略図である。
図7B】本開示の実施形態に従う空気キャビティ上の取付点の密度の概略図である。
図8】本開示の実施形態に従って、被験者の前腕の周りに巻き付けられた流体ブラダ200の第一のフラップ及び第二のフラップの概略図である。
図9A】本開示の実施形態に従う流体ブラダの挿入のためのスリーブの概略図である。
図9B】本開示の実施形態に従って、被験者の腕の周りに固定された後のスリーブの概略図である。
図10A】本開示の実施形態に従って、両腕の周りに固定された圧縮ラップを有する被験者の概略図である。
図10B】本開示の実施形態に従って、両腕の周りに固定された圧縮ラップを有する被験者の概略図である。
図11A】本開示の実施形態に従う第一の代替圧縮ラップの概略図である。
図11B】本開示の実施形態に従う第一の代替圧縮ラップの概略図である。
図12】本開示の実施形態に従う第二の代替圧縮ラップの概略図である。
【0017】
1つ以上の図面に現れる同一又は重複又は同等又は類似の構造、要素、又は部品は、一般に、同じ参照数字でラベル付けされ、任意選択で、同様の実体又は実体の変形を区別するための追加の1つ又は複数の文字が添えられ、繰り返しのラベル付け及び/又は説明がなされないこともある。以前に提示された要素への参照は、それらが現れる図面又は説明を必ずしもさらに引用することなく、暗示される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明では、本発明の徹底的な理解を提供するために、多数の特定の詳細が提示されている。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細がなくても実施され得ることが、当業者には理解されよう。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニット及び/又は回路は、本発明を不明瞭にしないように、詳細に説明されていない。
【0019】
図に示された構成要素及び特徴の寸法は、表示の便宜又は明確化のために選択され、必ずしも縮尺通り又は真の透視図通りに示されていない。便宜又は明確化のために、いくつかの要素又は構造は、示されていないか、あるいは部分的にのみ、及び/又は異なる観点若しくは視点から示されている。
【0020】
本発明の実施形態はこの点で限定されないが、本明細書で使用される「複数(plurality)」及び「複数(a plurality)」という用語は、例えば、「複数(multiple)」又は「2つ以上」を含んでもよい。「複数(plurality)」又は「複数(a plurality)」という用語は、2つ以上の構成要素、デバイス、要素、ユニット、パラメータなどを説明するために本明細書全体で使用されることがある。明示的に記載されない限り、本明細書に記載される方法実施形態は、特定の順序又はシーケンスに拘束されない。さらに、記載された方法実施形態又はその要素のいくつかは、同時に、同じ時点に、又は同時進行で発生又は実行されてもよい。特に指示しない限り、本明細書で使用される接続詞「又は」の使用は、包括的(記載された選択肢のいずれか又は全て)であるものと理解される。
【0021】
ここで図面を詳細に具体的に参照すると、図示された特定事項は、例示のためであり、本開示の実施形態の例示的な議論の目的のためであることが強調される。この点で、図面を伴う説明によって、本開示の実施形態がどのように実施され得るかが当業者に明らかになる。
【0022】
図2は、本開示の実施形態に従う流体ブラダ200の概略図である。流体ブラダ200は、可撓性であってもよく、プラスチック又は任意の非多孔質材料で作られてもよい。いくつかの実施形態では、流体ブラダ200は、被験者202の腕の周りに固定されるように設計されてもよい。いくつかの実施形態では、流体ブラダ200は、前腕、掌、及び指を含む被験者202の下腕の周りに固定されるように設計されてもよい。いくつかの実施形態では、流体ブラダ200は、腕の周囲の少なくとも前半を覆うための第一の要素204と、指(digits)又は指(fingers)を覆うための第二の要素206と、腕の周囲の少なくとも後半を覆うための第三の要素208とを備えてもよく、要素204、206、208のそれぞれは、他の2つの要素に接合されていてもよい。いくつかの実施形態では、第一の要素204及び第二の要素206は、同じ長さを有してもよく、第一のエッジ207に沿った任意の距離にわたって長さ方向に互いに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第一のエッジ207は、第一の要素204及び第二の要素206の全長にわたって延びてもよい。いくつかの実施形態では、第一のエッジ207は、第一の要素204及び第二の要素206の長さの一部分にわたって延びてもよい。いくつかの実施形態では、第三の要素208は、第二のエッジ209に沿って第一の要素204及び第二の要素206の幅に長さ方向に接続されてもよい。第一の要素204、第二の要素206、及び第三の要素208は、機械的締結、接着剤、溶剤接合、及び溶接を含む任意の方法を使用して接合又は接続されてもよい。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第一の要素204は、第一のエッジ207に沿って平行に配置された2つ以上の第一のフラップ210を含み得、2つ以上の第一のフラップ210は第一のエッジ207から垂直に延在する。いくつかの実施形態では、第一のフラップ210は、各第一のフラップ210が他の第一のフラップ210から独立して操作され得るように、第一の要素204内で終端するスリット211で互いに分離されてもよい。いくつかの実施形態では、スリット211は、隣接する第一のフラップ210の間のギャップ又は距離を規定してもよい。
【0024】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第三の要素208は、第一のエッジ207に沿って平行に配置された2つ以上の第二のフラップ212を含んでもよく、この2つ以上の第二のフラップ212は第一のエッジ207から垂直に延在する。いくつかの実施形態では、第二のフラップ212は、各第二のフラップ212が他の第二のフラップ212から独立して操作され得るように、第三の要素208内で終端するスリット211で互いに分離されてもよい。いくつかの実施形態では、スリット211は、隣接する第二のフラップ212の間のギャップ又は距離を規定してもよい。
【0025】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第二のフラップ212の数及び位置は、第一のフラップ210の数及び位置に対応してもよい。いくつかの実施形態では、第一のフラップ210及び第二のフラップ212は、各第一のフラップ210が被験者202の腕の周囲の少なくとも前半を包み、対応する第二のフラップ212が被験者202の腕の周囲の少なくとも後半を包み、第一のフラップ210と重なって第一のフラップ210に取り外し可能に固定されるように、位置付け、配置及び寸法決めされてよい。いくつかの実施形態では、各第二のフラップ212は、ベルクロ(登録商標)としても知られる面ファスナー(hook and loop)材料を有するスリーブ406を使用することを含む任意の固定機構を介して対応する第一のフラップ210に取り外し可能に取り付け又は固定してもよい。第二のフラップ212及び第一のフラップ210は、平坦な端部又は傾斜した端部を有してもよい。当業者は、被験者202の腕の先細り形状に対応し、ぴったりとフィットするように、第二のフラップ212及び第一のフラップ210の端部が平坦であっても傾斜していてもよいことを理解する。好ましくは、5つ以上の第一のフラップ210及び5つ以上の第二のフラップ212が存在する。いくつかの実施形態では、被験者202の前腕領域にまたがる3つの第一のフラップ210及び3つの第二のフラップ212が存在してもよい。いくつかの実施形態では、被験者202の掌及び指領域にまたがる2つの第一のフラップ210及び2つの第二のフラップ212が存在してもよい。いくつかの実施形態では、第一のフラップ210は、等しい長さであっても、異なる長さであってもよい。いくつかの実施形態では、第二のフラップ212は、等しい長さであっても、異なる長さであってもよい。好ましくは、第一のフラップ210及び第二のフラップ212の長さは、それらが包み込むように設計されている腕の領域に対応する。好ましくは、第一のフラップ210に対する第二のフラップ212の長さの比は、3:1と2:1との間であってもよい。好ましくは、被験者202の前腕領域を包むように設計された第一のフラップ210は、80~130mmの間、理想的には110~125mmの間の長さを有してもよく、前腕を包むように設計された第二のフラップ212は、200~330mmの間、理想的には235~260mmの間の長さを有してもよい。好ましくは、第一のフラップ210は、被験者202の掌及び指領域を包むように設計されてもよく、70~110mmの間、理想的には80~100mmの間の長さを有してもよく、第二のフラップ212は、被験者202の掌及び指領域を包むように設計されてもよく、150~280mmの間、理想的には170~220mmの間の長さを有してもよい。当業者は、第一のフラップ210及び第二のフラップ212が、互いに接続されたときに被験者202の腕の周囲を完全に包むことができる限り、第一のフラップ210及び第二のフラップ212が任意の長さであってよいことを理解する。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第二の要素206は、1つ以上のデジタルフラップ214を備えてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のデジタルフラップ214は、流体ブラダ200が使用されているときに、斜線領域203として図示されているように、被験者202の指(digits)又は指(fingers)を折り返して覆い、その後、第一の要素204及び第三の要素208によって覆われるように構成されてもよい。他の実施形態では、第一の要素204及び第三の要素208は、最初に患者の腕の周りに固定されてもよく、1つ以上のデジタルフラップ214は、その後、被験者202の指(digits)又は指(fingers)の上に折り返し、第一の要素204又は第三の要素208に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、デジタルフラップ214は、90~200mmの間、好ましくは110mmの間の長さと、60~120mmの間、好ましくは90mmの間の幅を有してもよい。いくつかの実施形態では、2つのデジタルフラップ214が存在してもよく、デジタルフラップ214のそれぞれは、第一の要素204又は第三の要素208のいずれかに接続される。いくつかの実施形態では、1つ以上のデジタルフラップ214は、皮膚温度センサ(図示せず)をさらに含んでいてもよく、皮膚温度センサは、使用時に被験者202と接触するように配置される。皮膚温度センサは、流体ブラダ200が使用されているときに、被験者202の皮膚と接触する限り、流体ブラダ200の任意の場所に配置してもよい。
【0027】
図3を参照すると、この図は、本開示の実施形態に従う流体ブラダ200のスリット211の端部の概略図である。いくつかの実施形態では、第一のフラップ210、デジタルフラップ214、及び第二のフラップ212を分離するスリット211の端部は、プレス圧着溶接部302を構成してもよい。いくつかの実施形態では、プレス圧着溶接部302は、円形であってもよい。スリット211の端部に位置するプレス圧着溶接部302によって、流体ブラダ200が被験者202の腕に巻き付けられるときに加えられるねじり力に対する拡張、平坦な流体ブラダ200が充填されて被験者202の腕に巻き付けられる3D物体に成形されるときに発生する特定の圧力を緩和するのに役立つ曲がり代、及びフラップの破れ等の損傷を防ぐためのスリット211の端部の強化などの利点が付与される。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態によれば、流体ブラダ200は、その表面に沿って多数の取付点304を含み得、取付点304は、流体ブラダ200を備える層又は壁を接合する。いくつかの実施形態では、取付点304は、溶接ドットであってもよく、溶接ドットは円形状であるが、他の形状が採用されてもよい。いくつかの実施形態では、取付点304は、流体ブラダ200を備える層又は壁のスポット溶接又は熱溶融によって形成してもよい。多数の取付点304があることは、加圧された液体及び/又は空気下での流体ブラダ200の膨張を防止するのに役立っており、そうでなければ、破裂につながる可能性がある。
【0029】
図4を参照すると、この図は、本開示の実施形態に従う、布層408と絶縁層410との間の流体ブラダ200の断面の概略図である。好ましくは、布層408及び絶縁層410は、流体ブラダ200と接触していてもよいが、任意選択で、布層408と流体ブラダ200との間、及び絶縁層410と流体ブラダ200との間に、ギャップ418があってもよい。いくつかの実施形態では、流体ブラダ200は、壁416bを共通壁として2つのキャビティを形成する3つの壁416a、416b、416cを備えてもよい。いくつかの実施形態では、壁416は、プラスチックのシート又は層であってもよい。いくつかの実施形態では、2つのキャビティは、壁416a及び416bによって形成される空気キャビティ402と、壁416b及び416cによって形成される液体キャビティ404と、であってもよく、こうして、空気キャビティ402及び液体キャビティ404は、壁416bを共通の壁として共有するようなる。いくつかの実施形態では、液体キャビティ404は冷却剤を受容してもよく、空気キャビティ402は空気を受容してもよい。いくつかの実施形態では、冷却剤は、pH緩衝剤を有する有機塩ベースの凍結抑制剤であってもよい。いくつかの実施形態では、冷却剤は、任意の所望の温度であってもよく、被験者の体温より高くても、低くてもよい。流体ブラダ200が被験者の四肢を冷却するために使用されるいくつかの実施形態では、冷却剤は、6~24℃の間の任意の温度であってもよい。好ましくは、冷却剤は、流体ブラダ200の適用中に液体キャビティ404へのスムーズな流入及び流出を可能にするために、20℃で1.0~1.5kg*mの密度を有する。いくつかの実施形態では、冷却剤は、ギ酸カリウム(CAS番号:590-29-4)(20~40%)、リン酸二カリウム(CAS番号:7758-11-4)(0.5~5%)及び脱イオン水(CAS番号:7732-18-5)(50~70%)からなってもよい。いくつかの実施形態では、流体ブラダ200が被験者202の腕の周りに固定されるとき、液体キャビティ404は、被験者202の皮膚に近接して配置されてもよく、空気キャビティ402は、液体キャビティ404よりも上に配置されてもよく、こうして、空気が空気キャビティ402に送り込まれると、空気キャビティ402が膨張して液体キャビティ404を被験者202の皮膚の内側に押し付けるようになる。これにより、被験者202の腕に圧力が生じ、被験者の低温に対する耐性が高まり、冷却と同時に圧縮又は圧力が加えられると、被験者が低温に耐えることができるようなることが示されている。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態によれば、流体ブラダ200は、2つの層(布層408及び絶縁層410)を備えるスリーブ406に挿入されてもよい。他の実施形態では、流体ブラダ200は、布層408及び絶縁層410に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、布地層408は、液体キャビティ404に近接して配置されてもよく、被験者202の皮膚と接触するように生体適合性を有する任意の布で作られてもよい。いくつかの実施形態では、絶縁層410は、空気キャビティ402に近接して配置されてもよく、任意の絶縁材料からなってもよい。好ましくは、絶縁層410は、2層のライニング412の間に挟まれたネオプレン(登録商標)414からなる。
【0031】
図5Aを参照すると、この図は、本開示の実施形態に従う流体ブラダ200の液体キャビティ404の概略図であり、図5Bを参照すると、この図は、流体ブラダ200の液体キャビティ404の通路壁502及び液体キャビティ404内の液体流れ508の方向の概略図であるされる。いくつかの実施形態によれば、流体ブラダ200の液体キャビティ404は、液体キャビティ404を貫通する単一の通路502を備えてもよい(図5B参照)。通路502によって、動作中に冷却剤の一定の流れが確保され、一定の熱交換が維持される。
【0032】
本開示のいくつかの実施形態によれば、流体ブラダ200の液体キャビティ404は、冷却剤を受容する液体入口504と、冷却剤を出力する液体出口506とを備えてもよい。液体入口504は、通路502の始まりを規定し、液体出口506は、通路502の終わりを規定し、こうして、液体入口504で受容した冷却剤が流体ブラダ200の液体キャビティ404内の通路502を通って流れ、液体出口506で液体キャビティ404から出るようになる。好ましくは、冷却剤は、25~45mL/秒の間、理想的には35~40mL/秒の間の流速で液体入口504に導入される。いくつかの実施形態では、第一の要素204、第二の要素206及び第三の要素208は、互いに流体的に接続されてもよく、それぞれが通路502のセクションを規定してもよい。液体入口504及び液体出口506は、液体キャビティ404に沿った任意の場所に位置してもよい。いくつかの実施形態では、液体入口504及び液体出口506は、被験者202の肘に近接する前腕の領域に巻き付けられるように、第二の要素206から遠位の第一のフラップ210又は第二のフラップ212に位置してもよい。いくつかの実施形態では、液体入口504は、被験者202の肘に近接する前腕の領域の周りに巻き付けられるように第一のフラップ210又は第二のフラップ212に位置してもよく、液体出口212は、任意の第一のフラップ210又は第二のフラップ212上に位置してもよい。好ましくは、液体入口504及び液体出口506は、被験者202の肘に近接する前腕の領域の周りに巻き付けられるように第一のフラップ210aに位置する。いくつかの実施形態では、通路502は、第一の要素204の第一のフラップ210a上の液体入口504から延び、第三の要素208の第二のフラップ212、第二の要素206のデジタルフラップ214及び第一の要素204の第一のフラップ210のそれぞれを介して、第一の要素204の第一のフラップ210a上の液体出口506を通って出てもよい。好ましくは、通路502の壁は、単一の通路502が先行するフラップから後続のフラップへ通過するプレス圧着溶接部302を含む。好ましくは、液体キャビティ404のバルーンを防止し、液体の流量を改善することが証明されている乱流を発生させるために、単一通路502のキャビティ壁全体に存在する取付点304がある。通路502を通る冷却剤の流れの方向の一例は、図5Bの矢印508によって示されるが、他の流れの方向も可能である。好ましくは、流体ブラダ200が被験者202の腕に巻き付けられると、通路502内の冷却剤の流れ508は、肘に最も近い前腕の領域から、被験者の腕を指先まで下り、次に被験者202の前腕に戻るように動く。この設計により、表面積が大きく、熱を奪う機会が多い腕の最高点から冷却が段階的に行われることが保証される。冷却剤は、被験者の手に向かって移動する間に熱を奪うので、被験者の掌と指先に到達したときには、多くの熱が取り除かれ、冷却剤はわずかに温かくなっている。被験者は最初に指の寒冷不耐症に直面し得るので、流体ブラダ200は、四肢を最低温度にさらさないことで、被験者の耐性を高め、その結果、四肢冷却の持続時間を長くしてもよい。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態によれば、液体キャビティ404内の通路502は、コーナーで冷却剤がボトルネックになったり切断されたりすることなく、液体キャビティ404内の冷却剤の最適流量を確保するために、一定のパラメトリックな幅と丸められたコーナーとを有してもよい。いくつかの実施形態では、通路502は、第一のフラップ210、デジタルフラップ214及び第二のフラップ212のそれぞれの外周に沿って延びてもよい。好ましくは、通路502の幅を最大化するために、各第一のフラップ210、デジタルフラップ214及び第二のフラップ212内に仕切り壁510がある(図5A参照)。
【0034】
図6Aを参照すると、この図は、本開示の実施形態に従う流体ブラダ200のキャビティ402の概略図であり、図6Bを参照すると、この図は、流体ブラダ200のキャビティ402のキャビティ壁602の概略図である。いくつかの実施形態では、空気キャビティ402は、空気の流入及び流出のための単一の空気入口604を備える、流体ブラダ200の外周に沿ったキャビティ壁602を有する、単一のキャビティであってよい。空気入口604は、空気キャビティ402内の空気圧を制御するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、空気キャビティ402は、被験者の腕の各領域に基づいて圧力を差動的に加えることができるように、それぞれが空気入口604を備える複数の別々のキャビティを備えてもよい。いくつかの実施形態では、空気キャビティ402を膨張させ、被験者202に圧力を加えるために、空気入口604を介して空気キャビティ402に空気が注入されてもよい。いくつかの実施形態では、空気は、空気キャビティ402を収縮させ、被験者202の圧力を解放するために、空気入口604を介して空気キャビティ402から放出されてもよい。いくつかの実施形態では、空気の注入及び放出は、被験者202に一定の圧力を加えるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、空気の注入及び放出は、被験者202に周期的な圧力を加えるために断続的に実施されてもよい。好ましくは、被験者202に加えられる圧力は、周期的なものであり、50秒の圧縮と10秒の減圧の間隔で実行される。
【0035】
ここで図7Aを参照すると、この図は、本開示の実施形態に従う、液体キャビティ404上の取付点304の密度の概略図であり、図7Bを参照すると、この図は、空気キャビティ402上の取付点304の密度の概略図である。液体キャビティ404上の取付点304は、液体キャビティ404の壁416bと416cの間に形成されてもよく、空気キャビティ402上の取付点304は、空気キャビティ402の壁416aと416の間に形成されてもよい。好ましくは、取付点304は、グリッドの一軸に対して千鳥格子状に配置される。好ましくは、取付点304は、3~10mmの間の直径を有し、理想的には5mmの直径を有する。いくつかの実施形態では、空気キャビティ402及び液体キャビティ404は、異なる密度の取付点304を有してもよい。好ましくは、液体キャビティ404は、液体の流量を向上させるであろう乱流を発生させるために、高密度の取付点304を有してもよい。好ましくは、空気キャビティ402は、乱流が必要とされず、空気キャビティ402上の取付点304が単に空気キャビティ402のバルーンを防止するという構造的目的を果たすので、低密度の取付点304を有してもよい。好ましくは、空気キャビティ402上の取付点304の密度は、1平方インチ当たり0.25~2個の間、好ましくは0.5個の取付点304あってもよい。好ましくは、空気キャビティ402上の取付点304は、15~50mmの間、理想的には34mmのピッチ比高さと、20~100mmの間、理想的には80mmのピッチ比幅を有してもよい。好ましくは、液体キャビティ404上の取付点304の密度は、1平方インチ当たり3~8個の間、好ましくは、5個の取付点304であってもよい。好ましくは、液体キャビティ404上の取付点304は、5~40mmの間、理想的には10mmのピッチ比高さと、5~40mmの間、理想的には20mmのピッチ比幅とを有してもよい。
【0036】
ここで、図8を参照すると、この図は、本開示の実施形態に従って、被験者202の前腕に巻き付けられた流体ブラダ200の第一のフラップ210及び第二のフラップ212の概略図である。流体ブラダ200に沿った複数のフラップ(第一のフラップ210及び第二のフラップ212)の組み込みにより、ワンサイズの流体ブラダ200が可能になる。さらに、カニューレ挿入が必要な場合、又は他のモニタリングデバイスが被験者202の皮膚と接触する必要がある場合、流体ブラダが被験者202の前腕に巻き付けられている間、オペレータは、圧縮プロセスを妨げることなく、カニューレ挿入を実行するために、又はモニタリングデバイスを取り付けるために、それらの所望のカニューレ挿入位置でフラップを元に戻してもよい。いくつかの実施形態では、静脈802のカニューレ挿入は、所望のカニューレ挿入位置の上に位置するフラップを元に戻して静脈802へのアクセスを得ることによって実施されてもよい。フラップ(第一のフラップ210及び第二のフラップ212)は、被験者を断続的にモニタリングするために四肢冷却中に元に戻してもよく、四肢冷却中の曝露及び熱の損失又は増加を最小にしてもよい。
【0037】
図9Aは、本開示の実施形態に従う、流体ブラダ200の挿入のためのスリーブ406の概略図であり、図9Bは、被験者202の腕の周りに固定された後のスリーブ406の上半分の概略図である。スリーブ406は、流体ブラダ200と同様の形状であってよく、第一のフラップ1010を有する第一の要素1004、デジタルフラップ1014を有する第二の要素1006、及び第二のフラップ1012を有する第三の要素1008を備える。流体ブラダ200は、スリーブ406に挿入されてもよく、流体ブラダ200の第二のフラップ212がスリーブ406の第二のフラップ1012に挿入され、流体ブラダ200の第一のフラップ210がスリーブ406の第一のフラップ1010に挿入され、流体ブラダ200のデジタルフラップ214がスリーブ406のデジタルフラップ1014に挿入される。いくつかの実施形態では、スリーブ406の各第二のフラップ1012は、被験者202の腕の周りに巻き付けられ、一般にベルクロ(登録商標)と呼ばれる面ファスナー材料1016を含む任意の可逆的固定機構によってスリーブ406のそれらの対応する第一のフラップ1010に固定されてよい。次に、スリーブ406のデジタルフラップ1014は、折り畳まれて、被験者202の指を覆う第二のフラップ1012又は第一のフラップ1010に固定されてもよい。他の実施形態では、デジタルフラップ1014は、第二のフラップ1012がデジタルフラップ1014の上に折り畳まれ、対応する第一のフラップ1010に固定される前に、被験者202の指の上に折り畳まれてもよい。
【0038】
図10A及び図10Bは、本開示の実施形態に従って、両腕の周りに固定された圧縮ラップ1110を有する被験者202の概略図である。極低温圧縮ラップ1110は、スリーブ406内に流体ブラダ200を備えてもよい。あるいは、極低温圧縮ラップ1110は、絶縁層410と布層408との間に固定された流体ブラダ200を備えてもよい。いくつかの実施形態では、極低温圧縮ラップ1110は、液体入口504、液体出口506及び空気入口604を介して極低温圧縮装置1112に接続されてもよい。極低温圧縮装置1112は、流体ブラダ200の液体キャビティ404に冷却剤を供給するとともに、流体ブラダ200の空気キャビティ402の空気圧を制御する。いくつかの実施形態では、1つ以上の極低温圧縮ラップ1110は、極低温圧縮装置1112に接続され、それによって制御されてもよい。好ましくは、2つの極低温圧縮ラップ1110が、極低温圧縮装置1112に接続され、それによって制御される。いくつかの実施形態では、背側静脈又は背側中手骨静脈の上に位置する第二のフラップ1012は、皮膚をあまり露出させることなく、かつ患者の四肢の他の領域での四肢の冷却を妨げることなく、カニューレ挿入及びモニタリングのために開いたままにしてもよい(図10B参照)。
【0039】
図11A及び図11Bは、本開示の実施形態に従う第一の代替圧縮ラップ1200の概略図である。流体ブラダ200及びスリーブ406と同様に、圧縮ラップ1200は、被験者202の腕の周囲の少なくとも前半を覆うための第一の要素1204と、指を覆うための第二の要素1206と、被験者202の腕の周囲の少なくとも後半を覆うための第三の要素1208を備え、要素1204、1206及び1208のそれぞれは、他の二つの要素に接合されている。いくつかの実施形態では、第一の要素1204は、被験者202の腕にまたがる3つの第一のフラップ1210(指先を覆うための第一のフラップ1210a、掌を覆うための第一のフラップ1210b、及び前腕を覆うための第一のフラップ1210c)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、第二の要素1206は、指を包むための単一のデジタルフラップ1214を備えてもよい。いくつかの実施形態では、第三の要素1208は、3つの第二のフラップ1212(指先を覆うための第二のフラップ1212a、掌を覆うための第二のフラップ1212b、及び前腕を覆うための第二のフラップ1212c)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、圧縮ラップ1200の液体キャビティ1404は、冷却剤を受容するための3つ以上の液体パケット1416を備えてもよい。いくつかの実施形態では、液体キャビティ1404は、前腕領域を覆うための第一の液体パケット1416a、掌領域を覆うための第二の液体パケット1416b、及び指領域を覆うための第三の液体パケット1416cを備えてもよい。いくつかの実施形態では、3つ以上の液体パケット1416は、互いに流体的に分離していてもよく、個々の冷却剤入口管及び出口管が各液体パケット1416に接続されている。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第一の代替圧縮ラップ1200は、四肢低体温法の間に被験者202の皮膚の温度をモニタリングするための1つ以上の温度センサ1218をさらに備えてもよい。第一のフラップ1210及び第二のフラップ1212は、一般にベルクロ(登録商標)と呼ばれる面ファスナー材料1220で一緒に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、第一のフラップ1210及び第二のフラップ1212は、図11Bに示すように、圧縮ラップ1200が被験者202の腕の周りに固定されたときに、観察及び/又はカニューレ挿入のための開口部1224を含んでもよい。
【0041】
図12は、本開示の実施形態に従う第二の代替圧縮ラップ1200’の概略図である。第二の代替圧縮ラップ1200’は、第一の代替圧縮ラップ1200と同様であるが、3つ以上の液体パケット1416’が流体接続されている点で異なる。いくつかの実施形態では、3つ以上の液体パケット1416’は、被験者202の腕の異なる領域を覆うように構成された異なるゾーンを通して、流れを減らし、温度を段階的に調整するために、ボトルネック設計を用いて互いに流体接続されてもよい。冷却剤は、まず、液体入口1504を介して、前腕領域を覆う第一の液体パケット1416a’に導入されてもよい。次いで、冷却剤は、2つの流れ(掌領域を覆う第二の液体パケット1416b’に流入する第一の流れ1510と、液体出口1506を介して出口管1222に流入し、圧縮ラップ1200’から出る第二の流れ1514)に分けられてもよい。いくつかの実施形態では、液体低体温法ラップ1200に導入される総冷却剤量の約75%が、第一の流れ1510を通って掌領域を覆う第二の液体パケット1416b’に流れ込み、残りの25%が液体出口1506を通って出口管1222に流れ込み、圧縮ラップ1200’から出てもよい。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態によれば、掌領域を覆う液体パケット1416b’に流入した冷却剤は、次いで、さらに2つの流れ(次に、指領域を覆う第三の液体パケット1416c’に流入する第三の流れ1518と、圧縮ラップ1200’の外側の出口管1222に液体出口1506を介して流入する第四の流れ1522)に分割されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、液体低体温法ラップ1200’に導入される総冷却剤量の約50%が、指領域を覆う第三の液体パケット1416c’に流れ込む。いくつかの実施形態では、指領域を覆う第三の液体パケット1416c’に入った全ての冷却剤は、その後、第五の流れ1526を通って、液体出口1506を通って圧縮ラップ1200’の外にある出口チューブ1222に流れてもよい。これにより、第一の代替圧縮ラップ1200と比較して、第二の代替圧縮ラップ1200’に接続された入口管及び出口管の数が大幅に減少する。いくつかの他の代替実施形態では、第二の液体パケット1416b及び第三の液体パケット1416cに導入される総冷却剤量を、それぞれ約40%及び約20%にさらに減らしてもよい。さらなる他の代替の実施形態では、第二の液体パケット1416b及び第三の液体パケット1416cに導入される総冷却剤量を、それぞれ約30%及び約10%にさらに低減してもよい。
【0043】
異なる実施形態が本明細書に開示されている。特定の実施形態の特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよく、したがって、特定の実施形態は、複数の実施形態の特徴の組み合わせであってもよい。本発明の実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものである。それは、網羅的であることも、あるいは開示された正確な形態に本発明を限定することも意図していない。当業者には、上記の教示に照らして、多くの修正、変形、置換、変更、及び等価物が可能であることが理解されるはずである。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲に入るような全てのそのような修正及び変更もカバーすることを意図していることを理解されたい。
【0044】
本発明の特定の特徴を本明細書で例示し、説明してきたが、多くの修正、置換、変更、及び等価物は、当業者であれば、想起するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲に入るような全てのそのような修正及び変更もカバーすることを意図していることを理解されたい。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
【国際調査報告】