(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】神経刺激衣類
(51)【国際特許分類】
A61N 1/04 20060101AFI20231107BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524177
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 US2021052751
(87)【国際公開番号】W WO2022103507
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523139397
【氏名又は名称】ジダ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】オッペンハイム アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】オーリン ジェローム
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB23
4C053JJ02
4C053JJ05
4C053JJ21
(57)【要約】
電気刺激のための装置(20)は、人間被験者の身体の一部にわたってピッタリと適合するように成形され、かつそのようなサイズを有する弾性ニット織物(24)を含む衣類(22)と、衣類が身体上に着用された時に人間被験者の皮膚面と電気接触するように予め定められた場所に弾性ニット織物で編み合わされた導電糸(56)を含む少なくとも1つの電極(26、28)とを含む。刺激回路(42)は、少なくとも1つの電極に交番電流を印加するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気刺激のための装置であって、
人間被験者の身体の一部にわたってピッタリと適合するように成形され、かつそのようなサイズを有する弾性ニット織物を備える衣類と、
前記衣類が前記身体上に着用された時に前記人間被験者の皮膚面と電気接触するように予め定められた場所に前記弾性ニット織物と編み合わされた導電糸を備える少なくとも1つの電極と、
前記少なくとも1つの電極に交流電流を印加するように構成された刺激回路と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記衣類は、前記人間被験者の足の上に適合するように成形され、かつそのようなサイズを有する靴下又はストッキングを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの電極は、前記衣類のかかと及びつま先の間に位置付けられた第1電極と該衣類の足首上に位置付けられた第2電極とを備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記刺激回路は、前記人間被験者の前記足の脛骨神経を刺激するように選択された周波数及び振幅で前記電流を印加するように構成されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記刺激回路は、前記電流を双極方形波として出力するように構成され、該方形波の前記振幅は、10と150mAの間であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記導電糸は、導電コーティングを有するエラストマーを備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記導電コーティングは、金属コーティング及びグラフェンコーティングで構成されるコーティングの群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記導電糸は、エラストマー単繊維と該エラストマー単繊維の周りにかぎ針編みされた導電スレッドとを備えることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記刺激回路を前記衣類に機械的に接続し、一方で該刺激回路を前記少なくとも1つの電極に電気的に接続するように構成されたコネクタを備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記コネクタから前記少なくとも1つの電極まで前記弾性ニット織物を通って延びるワイヤを備えることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コネクタは、1ペアの磁気スナップを備えることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記磁気スナップは、第1の磁極性を有して第1の場所で前記衣類に固定された磁気スタッドと、該第1の磁極性とは反対の第2の磁極性を有して該第1の位置に隣接する第2の場所で該衣類に固定された磁気ソケットとを備えることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記刺激回路は、前記コネクタによって前記衣類に機械的に接続されたハウジングと該ハウジングに閉じ込められた電源とを備えることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項14】
衣類であって、
人間被験者の足の上にピッタリと適合する靴下又はストッキングとして成形され、かつそのようなサイズを有する弾性ニット織物と、
衣類が前記足上に着用された時に前記人間被験者の皮膚面と電気接触するように予め定められた場所に前記弾性ニット織物で編み合わされた導電糸を備える少なくとも1つの電極と、
を備えることを特徴とする衣類。
【請求項15】
前記少なくとも1つの電極は、前記靴下又はストッキングのかかと及びつま先の間に位置付けられた第1電極と、該靴下又はストッキングの足首上に位置付けられた第2電極と、を備えることを特徴とする請求項14に記載の衣類。
【請求項16】
電子モジュールを衣類に機械的に接続し、一方で該電子モジュールを前記少なくとも1つの電極に電気的に接続するように構成されたコネクタを備えることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の衣類。
【請求項17】
前記コネクタは、1ペアの磁気スナップを備えることを特徴とする請求項16に記載の衣類。
【請求項18】
電気刺激の方法であって、
人間被験者の身体の一部にわたってピッタリと適合するように成形され、かつそのようなサイズを有する弾性ニット織物と、前記衣類が身体上に着用された時に前記人間被験者の皮膚面と電気接触するように予め定められた場所に弾性ニット織物と編み合わされた導電糸を備える少なくとも1つの電極と、を備える衣類を与える段階と、
前記身体内の神経を刺激するように前記少なくとも1つの電極に交流電流を印加する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項19】
前記衣類は、前記人間被験者の足の上に適合するように成形され、かつそのようなサイズを有する靴下又はストッキングを備えることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの電極は、前記衣類のかかと及びつま先の間に位置付けられた第1の電極と該衣類の足首上に位置付けられた第2の電極とを備え、
前記交流電流は、前記人間被験者の前記足内の脛骨神経を刺激するように選択された周波数及び振幅で印加される、
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
衣類を生成する方法であって、
人間被験者の足の上にピッタリと適合するように成形され、かつそのようなサイズを有する靴下又はストッキングを生成するために弾性織物を編む段階と、
前記靴下又はストッキングが前記足上に着用された時に前記人間被験者の皮膚面と電気接触するように構成された少なくとも1つの電極を生成するために、少なくとも1つの予め定められた場所で導電糸を前記弾性ニット織物に編み合わせる段階と、
前記ニット弾性織物内の前記少なくとも1つの電極への電気的接続を与える段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にウェアラブル電子デバイスに関連し、特に、経皮神経刺激のための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
過活動膀胱は、尿失禁を伴うことも多い頻繁に尿意を感じることで特徴付けられる一般的な病状である。病状の発症は、加齢と共に高くなる。エクササイズ及び行動療法から薬物及び侵襲的医療手順までの範囲の様々な治療が利用可能である。
【0003】
過活動膀胱を治療する一部の方法は、脛骨神経及び仙骨神経の電気刺激を使用する。例えば、経皮的脛骨神経刺激(PTNS)は、膀胱及び骨盤底機能を担う神経を間接的に刺激するタイプの電気鍼治療である。PTNS治療中に、脛骨神経付近の患者の足首の中に針電極が挿入され、電極に軽い電気パルスを印加するために電気刺激器が接続される。これらのパルスは、膀胱機能を制御して従って尿意を和らげる仙骨神経叢まで脛骨神経を上って進行する。
【0004】
脛骨神経の非侵襲的で経皮的な電気刺激のためのデバイスも当業技術で公知である。例えば、米国特許第9,254,382号明細書は、過活動膀胱を制御するための電気鍼治療デバイスを説明している。このデバイスは、ハウジングと、ハウジング内に配置された電気鍼治療刺激を発生させるための回路と、ハウジングを足首に固定するための少なくとも1つのストラップとを含む。デバイスはまた、ハウジングの底部外面内に1ペアのD字形電極を含む。ハウジングは、扁平性によって可撓性であり、かつそれが人の足首と共形であるように成形される。デバイスが患者の足首に縛られると、電極が足首に接触し、足首内の脛骨神経に電気刺激を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第9,254,382号明細書
【特許文献2】米国特許出願第16/284,181号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下に説明する本発明の実施形態は、一体型織物ベースの電極を有する衣類、並びにそのような衣類を生成する及び使用する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明の実施形態により、人間被験者の身体の一部にわたってピッタリと適合するように成形され、かつそのようなサイズを有する弾性ニット織物を含む衣類を含む電気刺激のための装置を提供する。装置は、衣類が身体上に着用された時に人間被験者の皮膚面と電気接触するように予め定められた場所に弾性ニット織物で編み合わされた導電糸を含む少なくとも1つの電極を含む。刺激回路は、少なくとも1つの電極に交番電流を印加するように構成される。
【0008】
一部の実施形態では、衣類は、人間被験者の足の上に適合するように成形され、かつそのようなサイズを有する靴下又はストッキングを含む。典型的に、少なくとも1つの電極は、衣類のかかと及びつま先の間に位置付けられた第1の電極と、衣類の足首上に位置付けられた第2の電極とを含む。開示する実施形態では、刺激回路は、人間被験者の足の脛骨神経を刺激するように選択された周波数及び振幅で電流を印加するように構成される。一実施形態では、刺激回路は、電流を双極方形波として出力するように構成され、方形波の振幅は、10と150mAの間である。
【0009】
一部の実施形態では、導電糸は、導電コーティングを有するエラストマーを含む。一実施形態では、導電コーティングは、金属コーティング及びグラフェンコーティングから構成されるコーティングの群から選択される。これに代えて又はこれに加えて、導電糸は、エラストマー単繊維とエラストマー単繊維の周りにかぎ針編みされた導電スレッドとを含む。
【0010】
これに加えて又はこれに代えて、装置は、刺激回路を少なくとも1つの電極に電気的に接続しながら刺激回路を衣類に機械的に接続するように構成されたコネクタを含む。開示する実施形態では、装置は、コネクタから少なくとも1つの電極まで弾性ニット織物を通って延びるワイヤを含む。
【0011】
これに加えて又はこれに代えて、コネクタは、1ペアの磁気スナップを含む。一実施形態では、磁気スナップは、第1の磁極性を有して第1の場所で衣類に固定された磁気スタッドと、第1の磁極性とは反対の第2の磁極性を有して第1の場所に隣接する第2の場所で衣類に固定された磁気ソケットとを含む。
【0012】
更にこれに加えて又はこれに代えて、刺激回路は、コネクタによって衣類に機械的に接続されたハウジングとハウジングに閉じ込められた電源とを含む。
【0013】
本発明の実施形態により、人間被験者の足の上にピッタリと適合する靴下又はストッキングとして成形され、かつそのようなサイズを有する弾性ニット織物を備える衣類を同じく提供する。少なくとも1つの電極は、衣類が足上に着用された時に人間被験者の皮膚面と電気接触するように予め定められた場所に弾性ニット織物で編み合わされた導電糸を含む。
【0014】
これに加えて、本発明の実施形態により、衣類が身体上に着用された時に人間被験者の皮膚面と電気接触するように予め定められた場所に弾性ニット織物で編み合わされた導電糸を含み、少なくとも1つの電極を有し、人間被験者の身体の一部にわたってピッタリと適合するように成形され、かつそのようなサイズを有する弾性ニット織物を備える衣類を与える段階を含む電気刺激の方法を提供する。身体内の神経を刺激するように少なくとも1つの電極に交流電流が印加される。
【0015】
更に、本発明の実施形態により、衣類を生成する方法を提供する。本方法は、人間被験者の足の上にピッタリと適合するように成形され、かつそのようなサイズを有する靴下又はストッキングを生成するように弾性織物を編む段階を含む。導電糸は、靴下又はストッキングが足上に着用された時に人間被験者の皮膚面と電気接触するように構成された少なくとも1つの電極を生成するために少なくとも1つの予め定められた場所に弾性ニット織物で編み合わされる。電気接続は、ニット弾性織物内の少なくとも1つの電極に提供される。
【0016】
本発明は、図面と合わせてその実施形態の以下の詳細説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による電気刺激靴下の概略図解を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態による
図1の靴下でのニット織物の概略詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以上のように、脛骨神経の電気刺激は、過活動膀胱及び切迫性尿失禁の多くの症例で安全で有効な治療方法である。しかし、この治療方法は、家庭環境での投与が困難であるために広く採用されていない。経皮投与は、医療従事者が皮膚から針電極を挿入することを必要とし、一方で経皮投与は、一般的に医療従事者がパッチ電極を皮膚の適切な場所に接着させることを必要とする。いずれも治療中の患者の移動が制限される。電極の適切な配置は、特に高齢患者に対して困難である。
【0019】
本明細書に説明する本発明の実施形態は、1又は2以上の一体型織物電極を備えた靴下又はストッキングのような衣類を提供することにより、これらの問題に対処するものである。電極の場所は、患者が衣類を着用している時に電極が刺激すべき神経に近い正確な位置で皮膚に接触するように選択される。患者は、すなわち、衣類を着るだけで電極を適切に配置することができる。衣類に内蔵されるか又は衣類に容易に取り付けられる刺激回路は、神経を刺激するように選択された周波数及び振幅で電極に交番電流を印加する。
【0020】
開示する実施形態では、衣類は、弾性ニット織物を備え、ニット織物は、人間被験者の身体の適切な部分(例えば、脛骨神経刺激の目的のために足の上)にわたってピッタリと適合するように成形され、かつそのようなサイズを有する。1又は複数の電極は、衣類が身体上に着用された時に電極が被験者の皮膚面に接触する場所に弾性ニット織物で編み合わされた導電糸を備える。本明細書及び特許請求の範囲の関連では、用語「編み合わされる」は、編まれた導電糸のループの少なくとも一部が衣類のニット織物内の糸のループで編み合わされることを意味する。(導電糸のループの全てが必ずしもニット織物の糸と編み合わされるわけではなく、むしろ電極内で導電糸のループが互いに編み合わされる場合がある。)開示する実施形態では、導電糸は、導電コーティングを有するエラストマーを備える。この種の導電糸は、衣類に装飾的なパターンを生成するために異なる色の糸を用いてジャカード織りパターンを生成する時に用いられるものと類似の従来の編み機及び工程を用いて衣類の糸と共に編むことができる。
【0021】
図に示して以下で詳細に説明する例示的実施形態は、特に過活動膀胱症候群の治療に使用するための脛骨神経刺激のための2つの電極を有する靴下に関する。これに代えて、本発明の原理は、靴下又はストッキングだけでなく、手、腕、頭、首、胴体のような身体の他の部分にわたって適合する衣類も含む1、2、3、又はそれよりも多い編み合わされた電極を有する衣類の製造に適用することができる。このような代替用途及び実施は、全て、本発明の範囲内であると見なされる。
【0022】
ここで本発明の実施形態による電気刺激のための装置20を概略的に示す
図1及び
図2を参照する。
図1に示すように、装置20は、電気刺激靴下22を備え、
図2は、靴下22内のニット織物24を編み合わせ電極26及び28と共に示している。図では、靴下22が人間被験者の足の上に適合された様子を示している。(ストッキングも類似の方法で生成して適合させることができると考えられる。)
【0023】
図解した実施形態では、電極26は、靴下22のかかと及びつま先の間に位置付けられ、電極28は、靴下の足首に位置付けられる。脛骨神経を実質的に刺激するために、電極26は、典型的には、かかとから前方に5と10cmの間にあり、一方で電極28は、足のサイズと靴下の対応するサイズに応じてかかとの上方に7と12.5cmの間にある。これに代えて、他の電極配置を使用することができる。
【0024】
刺激回路42を備える電子モジュール30は、脛骨神経を刺激するように選択された周波数及び振幅で電極26及び28の間に電流を印加する。この目的のために、電流は、典型的には、10-120Hzの範囲の周波数と、1と150mAの間で調節可能な電流振幅を有する双極波の形態を有する(しかし、電流は、一般的に10-150mAの範囲にある)。より具体的には、周波数が約20Hz及び振幅が50-60mAの範囲にある方形波が治療上有効であると考えられる。これに代えて、周波数及び振幅特性が異なる他の波形を印加することができる。刺激回路42は、この目的又は電気波形発生に対して当業技術で公知の構成要素を備える。
【0025】
刺激回路42は、1又は2以上のバッテリ44のような電源と共にハウジング46に閉じ込められる。ハウジング46は、典型的には、バッテリ44の交換を可能にするための取り外し可能なカバー48を備えた適切なプラスチックエンクロージャを備える。これに代えて又はこれに加えて、バッテリ44は、充電可能であり、かつハウジング46に恒久的に設置することができる。この後者の場合に、ハウジング46は、当業技術で公知のように適切な充電プラグ及び/又はバッテリの誘導充電のためのコイル(図示せず)を含有する。
【0026】
図解実施形態では、電子モジュール30は、磁気スタッド32及び38、並びに磁気ソケット34及び36を含む2ペアの磁気スナップで構成されるコネクタによって靴下22に機械的及び電気的に接続される。刺激回路42は、導電性であるこれらのスナップを通じて電極26及び28に電気的に接続される。具体的には、本発明の例では、電極28は、ソケット36に直接に接続され、一方で織物24を通って延びるワイヤ40がスタッド32を電極26に接続する。(ワイヤ40は、弾性又は非弾性である場合がある。)典型的には、スタッド32及び38は、1つの磁極性を有し、一方でソケット34及び36は、スタッドと逆の極性を有し、すなわち、モジュール30を正しい向きでのみ靴下22に接続することができることを保証する。(逆向きの場合に、2つのスタッドと2つのソケットは、互いに反発し合うことになる。)このような接続により、患者が電子モジュール30を着脱することが容易かつ確実になり、同じ電子モジュールを複数の異なる靴下に使用することができ、同じく刺激回路を損なわずに靴下を洗濯することができる。
【0027】
これに代えて、電子モジュール30は、靴下が洗濯された時に刺激回路42を保護するために適切な機械的封入を用いて靴下22に恒久的に固定することができる。
【0028】
図2の挿入図に示すように、靴下22の織物24は、糸50の編まれたストランド、例えば、適切な綿、羊毛、又は合成糸を備える。図解例では、糸50の編まれたループの進行は、ナイロンスレッドのような合成スレッド54で覆われたLycra(登録商標)のようなエラストマー52で構成された弾性糸のストランドで挟まれる。織物24の弾性により、靴下22は、被験者の足の周りにピッタリと適合する。(この関連での「ぴったり」は、被験者が衣類を着用した時に織物が拡張して身体部分の形状に適合するように、衣類が被験者の身体の当該部分の周りに十分にきつく適合することを意味する。)
【0029】
電極26の区域内では、導電糸56は、糸50のループで編み合わされる。糸56は、典型的には、導電コーティングを有するナイロン又は別の適切なポリマーのようなエラストマーを備える。このコーティングは、例えば、銀又は金のような金属、又はグラフェンのような炭素ベースの導体を備える場合がある。この種の適切な糸は、例えば、Noble Biomaterials(ペンシルベニア州スクラントン)によって生成されるX-STATIC繊維糸、及びSwicofil AG(スイスのエメンブリュッケ)から入手可能な金属被覆糸を含む。糸56は、織物24を通って延びるワイヤ40によって電子モジュール30に電気的に接続される。
【0030】
これに加えて又はこれに代えて、糸56の編まれたループの進行は、単繊維の周りにかぎ針編みされた導電スレッド58を有するエラストマー単繊維60で作られた弾性導電糸のストランドで挟まれる。単繊維60は、例えばLycra(登録商標)のような弾性ポリウレタン繊維、又は別のポリマー又は天然ゴムスレッドを備える場合がある。導電スレッド58は、例えば、Statex(Bremen,Germany)から入手可能な銀スレッドのような銀被覆ナイロンスレッドを備える場合がある。これに代えて、スレッド58は、DexMat Inc.(テキサス州ヒューストン)によって生成されるスレッド及び糸のような金属単繊維又はナノカーボン含浸合成繊維を備える場合がある。糸56は、これらの種類の材料から同様に作ることができる。導電糸及びそのような糸を生成する方法の更に別の詳細は、本特許出願の出願人に譲渡され、その開示が引用によって本明細書に組み込まれている2019年2月25日出願の米国特許出願第16/284,181号明細書に説明されている。
【0031】
図2の下側挿入図は、具体的に電極26を参照しているが、電極28は、織物24で同様の様式で編み合わされる場合がある。電極26及び28は、本発明の図に示すように丸形又は矩形である場合があり、又はそれらは、編み合わせによって作ることができるあらゆる他の適切な形状を有することができる。上述のように、この種の編み合わせは、ニット織物に装飾パターンを生成する際に一般的に使用され、糸56のような導電糸は、すなわち、当業技術で公知である機械及び方法を使用して織物24で編み合わされて電極を定めることができる。磁気スタッド32及びソケット36、並びに他の適切な導電コネクタも、同じく衣類産業で広く利用可能である(しかし、それらは、従来的に本発明の実施形態のように電気的ではなく機械的コネクタとしてのみ使用されている)。
【0032】
上述の実施形態は、例として列挙したものであること及び本発明が以上に特に示して説明したものに限定されないことは認められるであろう。むしろ、本発明の範囲は、以上に説明した様々な特徴の組合せ及び部分組合せの両方、並びに以上の説明を読んで当業者に想起されると考えられ、かつ従来技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【国際調査報告】