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特表2023-547853アルカリ性すすぎによる自動食器洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】アルカリ性すすぎによる自動食器洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/386 20060101AFI20231107BHJP
   C11D 7/06 20060101ALI20231107BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20231107BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20231107BHJP
   C11D 3/33 20060101ALI20231107BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20231107BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20231107BHJP
   C12N 9/50 20060101ALI20231107BHJP
   C12N 9/26 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
C11D3/386 ZNA
C11D7/06
C11D7/32
C11D1/66
C11D3/33
C11D17/04
A47L15/42 Z
C12N9/50
C12N9/26 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524550
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 US2020070796
(87)【国際公開番号】W WO2022108611
(87)【国際公開日】2022-05-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】デルプランケ、パトリック・フィルミン・アウグスト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・エルセン、カトリーン・アンドレア・リーヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ビウィック、リンジー・スザンヌ
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AC08
4H003BA18
4H003DA05
4H003DA12
4H003DA19
4H003DB02
4H003EA16
4H003EA21
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB24
4H003EB28
4H003EC01
4H003EC02
4H003EE01
4H003FA07
4H003FA21
4H003FA28
(57)【要約】
洗浄サイクル及びすすぎサイクルを含むプログラムを使用して、家庭用食器洗浄機内で食器を洗浄する方法であって、a)食器洗浄機に食器に入れる工程と、b)酵素を含む洗浄組成物を洗浄サイクルに供給して、洗浄液を形成し、食器を洗浄液に供する工程と、c)酵素を含まず、好ましくは漂白剤を含まないすすぎ組成物をすすぎサイクルに供給して、9を超えるpHを有するすすぎ液を形成し、食器をすすぎ液に供する工程と、を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄サイクル及びすすぎサイクルを含むプログラムを使用して、家庭用食器洗浄機内で食器を洗浄する方法であって、
a)前記食器洗浄機に前記食器を入れる工程と、
b)酵素を含む洗浄組成物を前記洗浄サイクルに供給して、洗浄液を形成し、前記食器を前記洗浄液に供する工程と、
c)酵素を含まず、好ましくは漂白剤を含まないすすぎ組成物を前記すすぎサイクルに供給して、9を超えるpHを有するすすぎ液を形成し、前記食器を前記すすぎ液に供する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記洗浄組成物が、プロテアーゼ及びアミラーゼを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記洗浄液が、9を超えるpHを有する、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記すすぎ組成物が、アルカリ金属水酸化物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記すすぎ組成物が、錯化剤、好ましくはメチルグリシン二酢酸の塩を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記すすぎ組成物が、非イオン性界面活性剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記すすぎ組成物が、メチルグリシン二酢酸の塩及び非イオン性界面活性剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記すすぎ液の最高温度が、50℃未満である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、工程b)とc)との間に中間すすぎ工程を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、工程c)の後に更なるすすぎ工程を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、複数回投与システムから供給される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法において使用するためのアルカリ性すすぎ組成物であって、前記組成物が、25℃の蒸留水中1重量%溶液において測定した場合に9を超えるpHを有し、メチルグリシン二酢酸及び/又はその塩と、非イオン性界面活性剤とを含み、漂白剤、酵素、及び10個を超える炭素原子のアルキル鎖長を有するアニオン性洗浄界面活性剤を含まない、組成物。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法における使用に好適な自動食器洗浄パックであって、前記パックが、前記洗浄組成物を含む第1の区画と前記すすぎ組成物を含む第2の区画との少なくとも2つの異なる区画を備える、自動食器洗浄パック。
【請求項14】
自動食器洗浄機のすすぎサイクル中にタンパク質性汚れ除去を提供する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項15】
自動食器洗浄機のすすぎサイクルにおける請求項12に記載の組成物の使用であって、前記食器にグリット(grit)の防止及び光沢を提供するために、前記すすぎ液の温度が、50℃以下である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動食器洗浄の分野に属する。具体的には、本発明は、改善された洗浄、より具体的には、酵素洗浄を提供し、同時にグリット(grit)の防止を提供し、光沢を提供する方法に関する。本方法はまた、食器洗浄プロセスのエネルギー効率の改善を可能にする。
【背景技術】
【0002】
自動食器洗浄洗剤の配合者は、洗浄及び仕上がりの点で自動食器洗浄の性能を改善する方法を継続的に模索している。
【0003】
自動食器洗浄において頻繁に見られる問題は、洗浄された物品上のグリットの存在である。グリットは、物品が食器洗浄機に入る前にそれがない場合であっても、自動食器洗浄プロセス後に食器/食卓用食器上に見られることがある。グリットは、食器洗浄プロセス中に形成されるようである。グリット形成のメカニズムはよくわかっていない。これは、食器洗浄プロセス中の高温、及び汚れた物品から持ち上げられた油性汚れを含む異なる汚れの組み合わせに起因し得る。どういうわけか、異なる汚れが再結合して、洗浄された物品の表面上に堆積する小さな粒子であるグリットを生じるようである。一旦グリットが形成され堆積されると、それを除去することは非常に困難である。
【0004】
自動食器洗浄プロセスによって必要とされる水、時間、及び/又はエネルギーの量を低減することによって、自動食器洗浄をより環境に優しいものにしようとする動きが一定して存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、改善された洗浄、具体的には肉、卵、及び乳製品などのタンパク質性汚れの改善された除去を提供し、同時に良好な光沢及びグリットの防止を提供する食器洗浄の方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、よりエネルギー効率の良い自動食器洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、家庭用食器洗浄機内で食器を洗浄する方法が提供される。本方法は、洗浄サイクルとすすぎサイクルとを含む食器洗浄プログラムを使用する。本方法は、以下の工程、すなわち、
a)食器洗浄機に食器を入れる工程と、
b)酵素を含む洗浄組成物を洗浄サイクルに供給して、洗浄液を形成し、食器を洗浄液に供する工程と、
c)酵素を含まず、好ましくは漂白剤を含まないアルカリ性すすぎ組成物をすすぎサイクルに供給して、9を超えるpHを有するすすぎ液を形成し、食器をすすぎ液に供する工程と、を含む。
【0008】
本発明の方法は、改善された酵素洗浄、具体的にはタンパク質性汚れ除去を提供し、同時に改善された光沢を提供し、グリット形成を防止する。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、本発明の方法で使用するのに好適なすすぎ組成物が提供される。本発明の第3の態様によれば、本発明の方法で使用するのに好適な自動食器洗浄パックが提供される。本発明の更なる態様によれば、タンパク質性汚れ除去を提供するための本発明の方法の使用が提供され、また、低温すすぎプログラムにおける光沢及びグリットの防止を提供するための本発明のすすぎ組成物の使用も提供される。
【0010】
本発明の第1の態様の要素は、本発明の後続の態様に準用される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、食器洗浄機で食器を洗浄する方法、本発明の方法で使用するのに好適な組成物、本発明の方法で使用するための洗浄及びすすぎ組成物を収容するパック、タンパク質性汚れ除去を改善するための組成物の使用、並びにグリットの防止及び光沢を提供するための低温すすぎプログラムにおける本組成物の使用を包含する。本発明の方法は、家庭用食器洗浄機内で行われる。
【0012】
自動食器洗浄機は、家庭用又は商業用/施設用の機械タイプであってもよい。概して、違いは、サイズ、処理量、及び食器洗浄プロセスの期間の点である。これは、機械が全く異なる方法で設計されていることを意味し得る。産業用/施設用機械は、家庭用機械と比較してはるかに短いがよりエネルギー集約的な(例えば、より高い温度の)サイクルを有することが多く、かつ/又ははるかに激しい化学的性質を使用する。典型的には、これらは酵素を使用せず、その理由は、酵素が、効果的に機能するために、処理された汚れとの一定の接触時間を必要とするが、商業的サイクル時間が短すぎるためである。市販の食器洗浄機の場合、機械は、食器が食器洗浄機の単一又は複数のタンクを通って移動するコンベヤシステムに基づくことができるが、家庭用機械では、食器は、概して、食器洗浄機の内側の1つのタンク内で常に静止したままであり、全ての洗浄工程がその単一のタンク内で行われる。家庭用食器洗浄では、漂白剤及び酵素を洗剤に含めることが従来から行われている。
【0013】
本明細書における「食器」とは、調理器具、食器類及び食卓用食器類、すなわち、食器洗浄機内で通常洗浄される食品及び飲料の調理及び提供に関連する全ての物品を意味する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「a」及び「an」を含む冠詞は、特許請求又は記載されるもののうちの1つ以上を意味すると理解される。別途注記がない限り、全ての構成成分又は組成物のレベルは、その構成成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような構成成分又は組成物の市販の供給源に存在する場合のある不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。具体的に述べられていない限り、又は文脈により別途要求されない限り、本明細書に記載の実施形態は、本発明の全ての態様に等しく適用される。記載されているパーセンテージは、具体的に述べられていない限り、又は文脈により別途要求されない限り、重量による。
【0015】
別途明記されない限り、全ての測定は、25℃で実施される。
【0016】
発明の方法
本発明の方法は、家庭用食器洗浄機内で実行される以下の工程、すなわち、
a)食器洗浄機に食器を入れる工程と、
b)洗浄組成物を洗浄サイクルに供給して、洗浄液を形成し、食器を得られた洗浄液に供する工程と、
c)アルカリ性すすぎ組成物をすすぎサイクルに供給して、すすぎ液を形成し、食器を得られたアルカリ性すすぎ液に供する工程と、を含む。
【0017】
洗浄サイクルは、すすぎサイクルの前に行われる。洗浄液は、淡水を導入して、すすぎ液を形成する前に排出され得る。代替的に、すすぎ液は、洗浄液にすすぎ組成物を添加することによって形成され得る。
【0018】
本発明の方法は、任意選択で、工程b)と工程c)との間の中間すすぎ、及び/又は工程c)の後の最終すすぎを有し得る。中間すすぎの液は、排出され得るか、又は後続のすすぎのために残され得る。
【0019】
洗浄組成物は、酵素を含み、好ましくはアルカリ性である。理論に束縛されること望まないが、洗浄組成物からの酵素は、洗浄サイクルからすすぎサイクルに持ち越され、たとえ洗浄サイクルの終わりに水が排出されても、洗浄液の成分の一部は、食器上に留まると考えられる。アルカリ性すすぎ液は、洗浄サイクルから持ち越された酵素とともにすすぎにおける酵素洗浄を促進する。洗浄組成物は、好ましくは、ビルダー、錯化剤、非イオン性界面活性剤、分散ポリマー、及び任意選択で漂白剤を含む。
【0020】
通常、自動食器洗浄におけるすすぎ助剤は、食器の洗浄のためではなく、仕上げのために使用される。通常、すすぎ助剤は、すすぎ液のシート化を促進して、洗浄された食器に膜形成及び斑点形成を生じさせないようにし、光沢のために使用される。本出願において、驚くべきことに、主洗浄において酵素洗浄組成物で食器を処理し、続いてアルカリすすぎを行う工程を含む方法が、アルカリすすぎの工程を含まない方法に対して、改善された洗浄を提供することが見出された。本発明の方法は、改善された酵素洗浄、より具体的には、タンパク質性汚れの改善された除去を提供し、同時に良好な光沢及びグリットの防止を提供する。光沢は、すすぎ組成物が錯化剤を含む場合、より具体的には、錯化剤がメチルグリシン二酢酸の塩を含む場合、更に改善される。すすぎ組成物は、好ましくはクエン酸を含まない。
【0021】
驚くべきことに、すすぎ液の最高温度が50℃未満、好ましくは約45℃である場合、ガラス及びプラスチック上の膜形成及び斑点形成が、酸を含有する従来のすすぎ助剤組成物を使用する方法と比較して低減されることが見出された。また、驚くべきことに、すすぎ液の最高温度が50℃未満、好ましくは約45℃である場合、ガラス及びプラスチック上のグリットの防止が、酸を含有する従来のすすぎ助剤組成物を使用する場合よりも高まることも見出された。
【0022】
本出願の文脈では、「食器洗浄プログラム」は、洗浄サイクル及びすすぎサイクル、並びに任意選択で予備洗浄、予備すすぎ、及び/又はすすぎ後サイクルを含み、食器洗浄機のプログラムスイッチによって選択及び作動され得る完全な洗浄プロセスである。これらの別々の食器洗浄プログラムの持続時間は、有利には少なくとも15分、有利には20~360分、好ましくは20~90分である。本出願の意味の範囲内で、「ショート洗浄プログラム」は、60分未満継続し、「ロング洗浄プログラム」は、60分以上継続する。
【0023】
家庭用食器洗浄機は、通常、ある程度まで乾燥した汚れた食器を通常洗浄するための、基本的な洗浄プログラム、非常に汚れた食器を洗浄するための集中洗浄プログラム、又は食品がこびりついて、除去することが特に困難である(非常に乾燥した又は焦げた斑点)の場合、経済的洗浄プログラムなどの、複数のプログラムを提供することができる。各プログラムは、複数の連続する工程を含む。通常、1回又は2回の低温予洗サイクル、洗浄サイクル(主洗浄としても知られている)、低温すすぎサイクル、高温すすぎサイクル、及び任意選択で乾燥サイクルである。プログラムの異なるサイクルの間、異なる組成物が食器洗浄機の水に添加されて、洗浄を助けることができる。
【0024】
選択された食器洗浄プログラムの過程で、家庭用食器洗浄機は、一般に、予備洗浄、洗浄サイクル、中間すすぎサイクル、すすぎサイクル、次いで乾燥サイクルなどの2つ以上のサイクルを実行して、プログラムを終了する。それぞれのサイクル中、洗浄液は、回転スプレーアーム、固定スプレーノズル、例えば、トップスプレーヘッド、可動スプレーノズル、例えば、トップスピンユニット、及び/又はいくつかの他の液体分配装置によって、食器洗浄機キャビティの処理チャンバ内に分配され、具体的には噴霧され、処理チャンバ内で、洗浄液は、好ましくは取り外し又は引き出すことができる少なくとも1つのローディングユニット、例えば、プルアウトラック又はカトラリドロワ内及び/又はそれらの上に支持された食器及び/又はカトラリなどの洗浄される物品に適用される。この目的のために、食器洗浄機には、好ましくは、動作する循環ポンプによって少なくとも1つの補給ラインを介して洗浄液が補給され、当該洗浄液は、食器洗浄機キャビティの底部、好ましくは凹部、具体的にはサンプに集まる。洗浄及び/又はすすぎ液がそれぞれのサイクル中に加熱されなければならない場合、洗浄及び/又はすすぎ液は、加熱設備によって加熱される。これは循環ポンプの一部であり得る。それぞれのサイクルの終わりに、各インスタンスの食器洗浄機キャビティの処理チャンバ内に存在する液の一部又は全部が、排水ポンプによって汲み出される。
【0025】
洗浄組成物
洗浄組成物は、洗浄サイクルの洗浄水に供給されて、洗浄液を形成する。洗浄組成物は、酵素、好ましくはプロテアーゼ及びアミラーゼを含む。洗浄液は好ましくは、アルカリ性であり、より好ましくは、洗浄液は9を超える、好ましくは10を超えるpHを有する。好ましくは、洗浄組成物は、ホスフェートを含まない。「ホスフェートを含まない」とは、本明細書において、本組成物が本組成物の0.1重量%未満のホスフェートを含むことを意味する。
【0026】
洗浄組成物は、酵素、及び任意選択ではあるが、好ましくは錯化剤、ポリマー、無機ビルダー(好ましくは、炭酸塩及びケイ酸塩)非イオン性界面活性剤などを含む。本組成物は、漂白剤、漂白触媒、及び/又は漂白活性化剤を含み得る。いくつかの実施形態では、洗浄組成物は、漂白剤、漂白触媒、及び漂白活性化剤を含まなくてもよく、好ましくはアニオン性界面活性剤を含まなくてもよい。
【0027】
酵素
洗浄組成物は、酵素、好ましくはアミラーゼ及びプロテアーゼを含む。
【0028】
本明細書の酵素バリアントを説明する際、参照しやすいように以下の命名法が用いられる:元のアミノ酸:位置:置換アミノ酸。標準的な酵素IUPACのアミノ酸の1文字コードを使用する。
【0029】
プロテアーゼ
洗浄組成物は好ましくは、プロテアーゼを含む。2種以上のプロテアーゼの混合物はまた、特に再付着防止剤及び/又はスルホン化ポリマーとともに使用されるとき、より広い温度、サイクル持続時間、及び/又は基質範囲にわたって洗浄の増強に貢献することができ、優れた光沢効果を提供することができる。
【0030】
好適なプロテアーゼとしては、メタロプロテアーゼ及びセリンプロテアーゼが挙げられ、例えば、サブチリシン(EC3.4.21.62)などの中性又はアルカリ性微生物セリンプロテアーゼを含む。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物起源のものが挙げられる。一態様では、このような好適なプロテアーゼは、微生物起源のものであってもよい。好適なプロテアーゼとしては、前述の好適なプロテアーゼの化学的又は遺伝的に修飾された変異体が挙げられる。一態様では、好適なプロテアーゼは、アルカリ性微生物プロテアーゼ又は/及びトリプシン型プロテアーゼなどのセリンプロテアーゼであってよい。好適な中性又はアルカリ性プロテアーゼの例としては、以下のものが挙げられる。(a)サブチリシン(EC3.4.21.62)、特にW02004/067737号、国際公開第2015/091989号、W02015/091990号、同第2015/024739号、同第2015/143360号、米国特許第6,312,936号、同第5,679,630号、同第4,760,025号、独国特許公開第10/2006022216(A1)号、同第10/2006022224(A1)号、国際公開第2015/089447号、同第2015/089441号、同第2016/066756号、同第2016/066757号、同第2016/069557号、同第2016/069563号、同第2016/069569号に記載されている、バチルス種(Bacillus sp.)、B.レンタス(B.lentus)、B.アルカロフィラス(B.alkalophilus)、B.ズブチリス(B.subtilis)、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.プミルス(B.pumilus)、B.ギブソニイ(B.gibsonii)及びB.アキバイ(B.akibaii)などのバチルス由来のもの。
(b)国際公開第89/06270号に記載されているフサリウム属プロテアーゼ、並びに国際公開第05/052161号及び国際公開第05/052146号に記載されているセルロモナス属に由来するキモトリプシンプロテアーゼを含むトリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源)などのトリプシン型又はキモトリプシン型プロテアーゼ。
(c)メタロプロテアーゼ、特に国際公開第07/044993(A2)号に記載されているバチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来のもの。国際公開第2014/194032号、同第2014/194054号及び同第2014/194117号に記載されるバチルス(Bacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、サーモアクチノミセス(Thermoactinomyces)、ゲオバチルス(Geobacillus)、パエニバチルス(Paenibacillus)、リシニバシラス(Lysinibacillus)又はスプレプトミセスspp(Streptomyces spp.)、国際公開第2015/193488号に記載されているクリベラ・アルミノサ(Kribella alluminosa)由来のもの、並びにW02016075078号に記載されているストレプトミセス(Streptomyces)及びリソバクター(Lysobacter)由来のもの。
(d)W092/17577号(Novozymes A/S)に記載されているバチルス種TY145、NCIMB40339由来のサブチラーゼに対して少なくとも90%の同一性を有するプロテアーゼ、例えば、国際公開第2015/024739号及び同第2016/066757号に記載されているこのバチルス種TY145サブチラーゼのバリアントを含むプロテアーゼなど。
(e)国際公開第2016/205755号及び同第2018/118950号に見られるバリアントを含み、1、4、9、21、24、27、36、37、39、42、43、44、47、54、55、56、74、80、85、87、99、102、114、117、119、121、126、127、128、131、143、144、158、159、160、169、182、188、190、197、198、212、224、231、232、237、242、245、246、254、255、256、及び257からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換(配列番号85の番号付けを使用)を含み、国際公開第2016/205755号からの配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%の同一性を有するプロテアーゼ。
(f)米国特許第10,655,090(B2)号からの配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%、好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも98%の同一性を有するプロテアーゼ。好ましいプロテアーゼは、米国特許第10,655,090(B2)号からの配列番号1と100%の同一性を有する。別の好ましいプロテアーゼは、米国特許第10,655,090(B2)号からの配列番号1に関して1~4個の修飾を有する。
【0031】
本発明の洗剤に特に好ましいプロテアーゼは以下のものである。
(a)バチルス・レンタス(Bacillus lentus)由来の野生型酵素と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%、とりわけ100%の同一性を示すポリペプチドであり、これは、本明細書に参照により組み込まれる国際公開第00/37627号に示されるようなBPN’番号付与システム及びアミノ酸略号を用いた場合に、以下に示す位置の1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上に変異を含む:V68A、N76D、N87S、S99D、S99AD、S99A、S101G、S101M、S103A、V104N/I、G118V、G118R、S128L、P129Q、S130A、Y167A、R170S、A194P、V205I、Q206L/D/E、Y209W及び/又はM222S。並びに/又は、
(b)国際公開第2016/205755号からの配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を有するプロテアーゼであり、以下を含む群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換(配列番号85の番号付けを用いて)を含む:
P54E/G/I/L/Q/S/T/V;S99A/E/H/I/K/M/N/Q/R/T/V;S126A/D/E/F/G/H/I/L/M/N/Q/R/T/V/Y;D127A/E/F/G/H/I/L/M/N/P/Q/S/T/V/W/Y;F128A/C/D/E/G/H/I/K/L/M/N/P/Q/R/S/T/W、A37T、S39E、A47V、T56Y、I80V、N85S、E87D、T114Q、N242D;
最も好ましくは、追加のプロテアーゼは、PB92野生型(国際公開第08/010925号の配列番号2)又はサブチリシン309野生型(N87Sの自然変異を含む以外はPB92主鎖による配列)のいずれかに対して以下の変異(BPN番号方式)を含むプロテアーゼの群から選択される。
(i)G118V+S128L+P129Q+S130A
(ii)S101M+G118V+S128L+P129Q+S130A
(iii)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+N248R
(iv)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A+S188D+V244R
(v)N76D+N87R+G118R+S128L+P129Q+S130A
(vi)V68A+N87S+S101G+V104N
(vii)S99AD
又は国際公開第2018/118950号の配列番号1に対して、1つ以上、好ましくは2つ以上、好ましくは3つ以上、好ましくは4つ以上の、以下の変異を含むプロテアーゼの群から選択される:
P54T、S99M、S126A/G、D127E、F128C/D/E/G、A37T、S39E、A47V、T56Y、I80V、N85S、E87D、T114Q、及びN242D。
【0032】
本明細書での使用に最も好ましいのはプロテアーゼであって、プロテアーゼが、国際公開第2019/125894(A1)号の配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を有し、(配列番号1の番号を使用して)X54T;X126A、D、G、V、E、K、I;X127E、S、T、A、P、G、C;及びX128E、C、T、D、P、G、L、Y、N及びX211Lからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含むバリアントである、プロテアーゼ。好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するバリアントであって、当該バリアントは、(配列番号1の番号を使用して)P54T、S126A、D127E、F128G、及びM211Lからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、バリアント。
【0033】
本明細書における使用のための他の好ましいプロテアーゼは、プロテアーゼであって、プロテアーゼが国際公開第2019/245839(A1)号の配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するバリアントであり、バリアントが、
1C/D/E/M/N、21L、37A、54A、73V、76D/H/N/T、83G、84D/E/F、85I/M、86I/S/T/V、87T、88M/V、89F/W、91I、95A/N/S、96M/Q、97E、98M、99A/F/H/I/K/L/Q/T/W/Y、102L、104E、105L、106I/V、108A、109I、112C、114M/N、115A/E/H/Q、116A/E/G/H/Q、118A/D/N、122C、124E/Q、126I/Q/V、128H/I/L/M/N/Q/S/T/V/Y、129D/H、130N、131D/E/N/P/Q、135A/D/H/K/L/M/N/Q/T/V/W/Y、138D/E、139E/L、141A/E/F/H/Y、142A/D/E、143E/H/K/M/S/V、156E、及び157C/D/Eから選択される配列番号1の位置に対応する1つ以上の位置において1つ以上のアミノ酸置換を含む、プロテアーゼを含む。
バリアントのアミノ酸位置が、配列番号1のアミノ酸配列に対応して番号付けされる、自動食器洗浄組成物。
【0034】
好適な市販の追加のプロテアーゼ酵素としては、商品名Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Liquanase Ultra(登録商標)、Savinase Ultra(登録商標)、Savinase Evity(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Coronase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Blaze Ultra(登録商標)、Blaze Evity(登録商標)及びEsperase(登録商標)としてNovozymes A/S(Denmark)によって販売されているもの;商品名Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)、Ultimase(登録商標)、Extremase(登録商標)及びPurafect OXP(登録商標)としてDupontによって販売されているもの;商品名Opticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)としてSolvay Enzymesによって販売されているもの;並びにHenkel/Kemiraから入手可能なもの、すなわち、BLAP(配列は米国特許第5,352,604号の図29に示され、S99D+S101R+S103A+V104I+G159Sの変異を有する、本明細書において以降BLAPと称する)、BLAP R(S3T+V4I+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)、BLAP X(S3T+V4I+V205Iを有するBLAP)及びBLAP F49(S3T+V4I+A194P+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP);並びにKao製のKAP(変異A230V+S256G+S259Nを有するバチルス・アルカロフィラスのサブチリシン)が挙げられる。
【0035】
本明細書で使用するのに特に好ましいのは、Properase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Blaze Evity(登録商標)、Savinase Evity(登録商標)、Extremase(登録商標)、Ultimase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Excellase(登録商標)、Blaze Ultra(登録商標)、BLAP及びBLAPバリアントからなる群から選択される市販のプロテアーゼである。
【0036】
本発明の組成物中のプロテアーゼの好ましいレベルとしては、組成物の約0.05~約20、より好ましくは約0.5~約15、特に約2~約12mgの活性プロテアーゼ/gが挙げられる。
【0037】
アミラーゼ
好ましくは、洗浄組成物は、アミラーゼを含む。好適なα-アミラーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。化学的又は遺伝的に修飾された変異体(バリアント)が含まれる。好ましいアルカリ性α-アミラーゼは、Bacillus株、例えば、バチルス-リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス-ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、又は他のバチルス種、例えば、バチルス種NCBI12289、NCBI12512、NCBI12513、DSM9375(米国特許第7,153,818号)、DSM12368、DSMZ no.12649、KSM AP1378(国際公開第97/00324号)、KSM K36又はKSM K38(欧州特許第1,022,334号)に由来する。好ましいアミラーゼとしては、以下が挙げられる。
(a)国際公開第96/23873号、同第00/60060号、W006/002643号及び同第2017/192657号に記載されているバリアント、特に、国際公開第06/002643号の配列番号12に対して以下の位置に1つ以上の置換を有するバリアント:
26、30、33、82、37、106、118、128、133、149、150、160、178、182、186、193、202、214、231、246、256、257、258、269、270、272、283、295、296、298、299、303、304、305、311、314、315、318、319、339、345、361、378、383、419、421、437、441、444、445、446、447、450、461、471、482、484、好ましくは、D183及びG184の欠失も含む変異体。
(b)W006/002643号の配列番号4、バチルス種722由来の野生型酵素と少なくとも90%の同一性を示すバリアント、特に183及び184位に欠失を有するバリアント、並びに参照により本明細書に組み込まれる国際公開第00/60060号、同第2011/100410号、及びW02013/003659号に記載されているバリアント。
(c)バチルス種707(米国特許第6,093,562号の配列番号7)由来の野生型酵素と少なくとも95%の同一性を示すバリアント、特に以下の位置に1つ以上の変異を含むもの:M202、M208、S255、R172及び/又はM261。好ましくは、当該アミラーゼは、M202L、M202V、M202S、M202T、M202I、M202Q、M202W、S255N及び/又はR172Qのうちの1つ以上を含む。M202L又はM202T変異を含むものが、特に好ましい。
(d)国際公開第09/149130号に記載されているバリアント、好ましくは同第09/149130号の配列番号1又は配列番号2、ゲオバチルス・ステロファーモフィラス(Geobacillus Stearophermophilus)由来の野生型酵素又はその切断版と少なくとも90%の同一性を示すもの。
(e)国際公開第2016/091688号の配列番号1と少なくとも89%の同一性を示すバリアント、特にH183+G184位での欠失並びに405、421、422及び/又は428位に1つ以上の変異を含むもの。
(f)パエニバチルス・カードラノリティカス(Paenibacillus curdlanolyticus)YK9由来の「PcuAmyl α-アミラーゼ」(国際公開第2014/099523号の配列番号3)と少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を示すバリアント。
(g)サイトファーガ種(Cytophaga sp)由来の「CspAmy2アミラーゼ」(国際公開第2014/164777号の配列番号1)と少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を示すバリアント。
(h)バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)由来のAmyE(国際公開第2009/149271号の配列番号1)と少なくとも85%の同一性を示すバリアント。
(i)受託番号AB051102を有するバチルス種KSM-K38由来の野生型アミラーゼと少なくとも90%の同一性を示すバリアント。
(j)バチルス種由来のAAI10の成熟アミノ酸配列(国際公開第2016/180748号の配列番号7)と少なくとも80%の同一性を示すバリアント、好ましくは、以下の1つ以上の位置修飾に1つ以上の変異を含むもの:1、54、56、72、109、113、116、134、140、159、167、169、172、173、174、181、182、183、184、189、194、195、206、255、260、262、265、284、289、304、305、347、391、395、439、469、444、473、476、又は477。
(k)融合ペプチドの成熟アミノ酸配列(米国特許出願公開第2019/0169546号の配列番号14)と少なくとも80%の同一性を示すバリアントであり、好ましくは、変異H1、N54S+V56T、A60V、G109A、R116Q/H+W167F、L173V、A174S、Q172N、G182、D183、N195F、V206L/Y、V208L、K391A、K393A、I405L、A421H、A422P、A428T、G476K及び/又はG478Kのうちの1つ以上を含むもの。好ましいアミラーゼは、欠失G182及びG183の両方と、任意に以下の一連の変異のうちの1つ以上とを含む:
1.Hl+G109A+N195F+V206Y+K391A;
2.H1+N54S+V56T+G109A+A1745+N195F+V206L+K391A+G476K)
3.H1+N54S+V56T+A60V+G109A+R116Q+W167F+Q172N+L173V+A1745+N195F+V206L+I405L+A421H+A422P+A428T
4.H1+N545+V56T+G109A+R116Q+A1745+N195F+V206L+I405L+A421H+A422P+A428T;
5.H1+N545+V56T+G109A+R116H+A1745+N195F+V208L+K393A+G478K;
(l)アリシクロバチルス属アミラーゼ(国際公開第2016/180748号の配列番号8)の成熟アミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を示すバリアント。
【0038】
アミラーゼは、遺伝子操作を受けた酵素であり得、漂白酸化を起こしやすいアミノ酸のうちの1つ以上が、酸化を起こしにくいアミノ酸で置換されている。具体的には、メチオニン残基は、任意の他のアミノ酸で置換されることが好ましい。具体的には、最も酸化しやすいメチオニンが置換されることが好ましい。好ましくは、配列番号2における202に相当する位置のメチオニンが置換される。好ましくは、この位置のメチオニンは、スレオニン又はロイシン、好ましくはロイシンで置換される。
【0039】
好適な市販のα-アミラーゼとしては、DURAMYL(登録商標)、LIQUEZYME(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、NATALASE(登録商標)、SUPRAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、ATLANTIC(登録商標)、INTENSA(登録商標)及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))、KEMZYM(登録商標)AT9000(Biozym Biotech Trading GmbH(Wehlistrasse27b A-1200 Wien Austria))、RAPIDASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、ENZYSIZE(登録商標)、OPTISIZE HT PLUS(登録商標)、POWERASE(登録商標)、PREFERENZ S(登録商標)シリーズ(PREFERENZ S1000(登録商標)及びPREFERENZ S2000(登録商標)を含む、並びにPURASTAR OXAM(登録商標)(DuPont.(Palo Alto,California))並びにKAM(登録商標)(花王(14-10 Nihonbashi Kayabacho,1-chome,Chuo-ku Tokyo 103-8210,Japan))が挙げられる。一態様では、好適なアミラーゼとしては、ATLANTIC(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、POWERASE(登録商標)、INTENSA(登録商標)及びSTAINZYME PLUS(登録商標)、ACHIEVE ALPHA(登録商標)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物の少なくとも0.01mg、好ましくは約0.05~約10、より好ましくは約0.1~約6、特に約0.2~約5mgの活性アミラーゼ/gを含む。
【0041】
好ましくは、本発明の組成物のプロテアーゼ及び/又はアミラーゼは、粒状体の形態であり、この粒状体は、粒状体の29重量%超の硫酸ナトリウムを含み、並びに/又は硫酸ナトリウム及び活性酵素(プロテアーゼ及び/ア又はミラーゼ)は、3:1~100:1、又は好ましくは4:1~30:1、又はより好ましくは5:1~20:1の重量比である。
【0042】
錯化剤
錯化剤は、硬質イオン、特にカルシウム及び/又はマグネシウムを隔離することができる物質である。洗浄組成物は、高レベルの錯化剤を含むことができるが、レベルは高すぎるべきではなく、さもないと酵素が悪影響を受けるおそれがある。錯化剤の濃度が高すぎると、ガラスケアにも悪影響を及ぼすおそれがある。錯化剤は、改善された光沢を提供する。好ましくは、洗浄組成物及びすすぎ組成物の両方は、錯化剤、特にメチルグリシン二酢酸の塩を含む。
【0043】
洗浄組成物は、組成物の15重量%~50重量%、好ましくは20重量%~40重量%、より好ましくは20重量%~35重量%の、メチルグリシン-N,N-二酢酸(methylglycine-N,N-diacetic acid、MGDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(glutamic acid-N,N-diacetic acid、GLDA)、イミノジコハク酸(iminodisuccinic acid、IDS)、クエン酸、アスパラギン酸-N,N-二酢酸(aspartic acid-N,N-diacetic acid、ASDA)、その塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される錯化剤を含み得る。本明細書での使用にとりわけ好ましい錯化剤は、MGDAの塩、具体的にはMGDAの三ナトリウム塩である。クエン酸塩とMGDAの三ナトリウム塩との混合物も、本明細書での使用に好ましい。好ましくは、本発明の洗浄組成物は、組成物の15重量%~40重量%のMGDAの三ナトリウム塩を含む。
【0044】
無機ビルダー
洗浄組成物は好ましくは、無機ビルダーを含む。好適な無機ビルダーは、炭酸塩、ケイ酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される。炭酸ナトリウム及びケイ酸ナトリウムが本明細書での使用に特に好ましい。好ましくは、洗浄組成物は、本組成物の5~50重量%、より好ましくは10~40重量%、特に15~30重量%の炭酸ナトリウムを含む。
【0045】
ポリマー
ポリマーは、存在する場合、本組成物の約0.1重量%~約30重量%、好ましくは0.5重量%~約15重量%、より好ましくは1重量%~10重量%の任意の好適な量で使用される。スルホン化/カルボキシル化ポリマーは、本組成物に特に好適である。
【0046】
本明細書に記載される好適なスルホン化/カルボキシル化ポリマーは、約100,000Da以下、又は約75,000Da以下、又は約50,000Da以下、又は約3,000Da~約50,000、好ましくは約5,000Da~約45,000Daの重量平均分子量を有し得る。
【0047】
好ましいスルホン化モノマーは、1-アクリルアミド-1-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-メタクリルアミド-2-ヒドロキシ-プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3-スルホプロピル、3-スルホ-プロピルメタクリレート、スルホメタクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド、及び上述の酸又はこれらの水溶性塩の混合物のうちの1つ以上を含む。
【0048】
好ましくは、ポリマーは、以下の濃度のモノマー、すなわち、ポリマーの約40~約90重量%、好ましくは約60~約90重量%の1種以上のカルボン酸モノマー、ポリマーの約5~約50重量%、好ましくは約10~約40重量%の1種以上のスルホン酸モノマー、及び任意にポリマーの約1重量%~約30重量%、好ましくは約2~約20重量%の1種以上の非イオン性モノマーを含む。とりわけ好ましいポリマーは、ポリマーの約70重量%~約80重量%の少なくとも1種のカルボン酸モノマー及びポリマーの約20重量%~約30重量%の少なくとも1種のスルホン酸モノマーを含む。
【0049】
ポリマー中、カルボン酸基又はスルホン酸基の全て又はいくつかが中和形態で存在していてよく、すなわちいくつか又は全ての酸性基中のカルボン酸基及び/又はスルホン酸基の酸性水素原子が、金属イオン、好ましくはアルカリ金属イオン、具体的にはナトリウムイオンと置き換えられ得る。
【0050】
カルボン酸は、好ましくは(メタ)アクリル酸である。スルホン酸モノマーは、好ましくは2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0051】
好ましい市販のポリマーとしては、Nouryonによって支給されるAlcosperse240及びAquatreat AR540、Dowによって支給されるAcumer3100、Acumer2000、Acusol587G及びAcusol588Gが挙げられる。特に好ましいポリマーは、Dowによって支給されるAcusol587G及びAcusol588Gである。
【0052】
好適なポリマーには、低分子量のアニオン性カルボン酸ポリマーが含まれる。それらは、約200,000g/モル以下、又は約75,000g/モル以下、又は約50,000g/モル以下、又は約3,000~約50,000g/モル、好ましくは約5,000~約45,000g/モルの重量平均分子量を有するホモポリマー又はコポリマーであり得る。分散剤ポリマーは、1,000~20,000、特に2,000~10,000、及び特に好ましくは3,000~5,000の平均分子量を有するポリアクリレートの低分子量ホモポリマーであってもよい。
【0053】
ポリマーは、70,000未満の分子量を有する、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、アクリル酸及び/又はメタクリル酸とマレイン酸のコポリマー並びにアクリル酸及び/又はメタクリル酸とフマル酸のコポリマーであってもよい。それらの分子量は、2,000~80,000、より好ましくは20,000~50,000、具体的には30,000~40,000g/モルの範囲であり、(メタ)アクリレートとマレエート又はフマレートセグメントとの比は30:1~1:2である。
【0054】
ポリマーは、3,000~100,000、あるいは4,000~20,000の分子量を有するアクリルアミドとアクリレートとのコポリマーであってもよく、分散剤ポリマーの50重量%未満、あるいは20重量%未満のアクリルアミド含有量も使用され得る。代替的に、そのようなポリマーは、4,000~20,000の分子量、及びポリマーの0重量%~15%のアクリルアミド含有量を有してもよい。
【0055】
本明細書で好適なポリマーには、イタコン酸ホモポリマー及びコポリマーも含まれる。
【0056】
代替的に、ポリマーは、アルコキシル化ポリアルキレンイミン、アルコキシル化ポリカルボキシレート、ポリエチレングリコール、スチレンコポリマー、セルロースサルフェートエステル、カルボキシル化多糖、両親媒性グラフトコポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0057】
非イオン性界面活性剤
本明細書での使用に好適な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が挙げられ、好ましくは、本組成物は、他の界面活性剤を含まず、より好ましくは、本組成物は、アニオン性洗浄界面活性剤を含まない。アニオン性洗浄界面活性剤は、典型的には、10個を超える炭素原子の鎖長を有する洗浄グレードである。アニオン性洗浄界面活性剤としては、アルキルサルフェート、アルキル/アリールスルホネート、及びアルキルエトキシサルフェートが挙げられる。従来的には、非イオン性界面活性剤は、表面修飾目的、具体的には膜形成及び斑点形成を回避し、光沢を改善するためのシート化を目的として、自動食器洗浄において使用されてきた。非イオン性界面活性剤は、汚れの再堆積の防止にも寄与することができることが判明している。
【0058】
好ましくは、洗浄組成物は、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系を含み、より好ましくは、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系は、蒸留水中1%の濃度で測定した場合、20~70℃、好ましくは35~65℃の曇り点を有する。「非イオン性界面活性剤系」とは、本明細書において、2つ以上の非イオン性界面活性剤の混合物を意味する。非イオン性界面活性剤系が、本明細書での使用に好ましい。これらは、単一の非イオン性界面活性剤よりも、製品中で、改善された洗浄及び仕上がり特性並びに良好な安定性を有すると考えられる。
【0059】
曇り点は、非イオン性界面活性剤溶液相が水に富む相及び界面活性剤に富む相に分離して曇る温度である。曇り点温度は、曇りが生じる温度を識別することによって視覚的に決定され得る。
【0060】
非イオン性界面活性剤の曇り点温度は、以下のように決定され得る:蒸留水中、溶液の1重量%の対応する非イオン性界面活性剤を含有する溶液を調製する。溶液を軽く撹拌した後に分析して、プロセスが化学平衡で生じることを確実にする。曇り点温度は、75mm密封ガラス試験管中に界面活性剤溶液を浸漬することによって熱安定性の浴槽内で測定する。漏れがないことを確実にするために、曇り点温度の測定の前後に試験管を秤量する。温度が事前予測した曇り点より数度下に達するまで、温度を1℃/分未満の速度で徐々に増加させる。曇り点温度は、濁りの最初の兆候があった時点で視覚的に決定される。
【0061】
好適な非イオン性界面活性剤としては、i)6~20個の炭素原子を有するモノヒドロキシアルカノール又はアルキルフェノール(alkyphenol)と、アルコール又はアルキルフェノール1モル当たり、好ましくは少なくとも3モル、特に好ましくは少なくとも5モル、更により好ましくは少なくとも7モルのエチレンオキシドとの反応によって調製される、エトキシル化非イオン性界面活性剤、ii)6~20個の炭素原子及び少なくとも1つのエトキシ基及びプロポキシ基を有するアルコールアルコキシル化界面活性剤、が挙げられる。界面活性剤i)とii)との混合物が、本明細書での使用に好ましい。
【0062】
他の好適な非イオン性界面活性剤は、次式で表されるエポキシキャップ化ポリ(オキシアルキル化)アルコールであり、
R1O[CH2CH(CH3)O]x[CH2CH2O]y[CH2CH(OH)R2] (I)
式中、R1は、4~18個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基であり、R2は、2~26個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の脂肪族炭化水素基であり、xは、0.5~1.5、より好ましくは約1の平均値を有する整数であり、yは、少なくとも15、より好ましくは少なくとも20の値を有する整数である。
【0063】
好ましくは、式Iの界面活性剤は、末端エポキシド単位[CH2CH(OH)R2]中に少なくとも約10個の炭素原子を有する。本発明によれば、式Iの好適な界面活性剤は、例えば、Olin Corporationによる1994年10月13日に公開された国際公開第94/22800号に記載の、Olin CorporationのPOLY-TERGENT(登録商標)SLF-18B非イオン性界面活性剤である。
【0064】
アミンオキシド界面活性剤は、本発明の洗浄組成物における使用に有用である。C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド、及びC10~18アシルアミドアルキルジメチルアミンオキシドが好ましい。
【0065】
好ましくは、洗浄組成物は、本組成物の約0.1~約30重量%、より好ましくは本組成物の約0.5~約20重量%の非イオン性界面活性剤を含む。
【0066】
結晶成長阻害剤
結晶成長阻害剤は、炭酸カルシウム結晶に結合して、アラゴナイト及び方解石などの種の更なる成長を防止することができる材料である。
【0067】
本明細書における使用に特に好ましい結晶成長阻害剤は、HEDP(1-hydroxyethylidene1,1-diphosphonic acid)(1-ヒドロキシエチリデン1,1-ジホスホン酸)のナトリウム塩である。好ましくは、洗浄組成物は、本組成物の0.01~10重量%、より好ましくは0.1~8重量%、特に0.5~6重量%の結晶成長阻害剤、好ましくはHEDPのナトリウム塩を含む。
【0068】
金属ケア剤
金属ケア剤は、アルミニウム、ステンレス鋼、並びに銀及び銅などの非鉄金属を含む金属の曇り、腐食又は酸化を防止又は低減することができる。好ましくは、洗浄組成物は、本組成物の0.1~5重量%、より好ましくは0.2~4重量%、特に0.3~3重量%の金属ケア剤を含み、好ましくは、金属ケア剤は、ベンゾトリアゾール(benzo triazole、BTA)である。
【0069】
ガラスケア剤
ガラスケア剤は、食器洗浄プロセス中にガラス製品の外観を保護する。好ましくは、洗浄組成物は、本組成物の0.1~5重量%、より好ましくは0.2~4重量%、特に0.3~3重量%のガラスケア剤を含み、好ましくは、ガラスケア剤は、亜鉛塩である。
【0070】
漂白剤
いくつかの実施形態では、組成物は、好ましくは、組成物の約8~約30重量%、より好ましくは約9~約25重量%、更により好ましくは約9~約20重量%の漂白剤を含んでもよい。
【0071】
無機及び有機漂白剤が、本明細書での使用に好適である。無機漂白剤には、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩などの過水和塩が挙げられる。無機過水和塩は、通常、アルカリ金属塩である。無機過水和塩は、追加の保護なしの結晶性固体として含まれ得る。代替的に、塩はコーティングされていてもよい。好適なコーティングには、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム及びこれらの混合物が挙げられる。当該コーティングは、表面に塗布される混合物として塗布されるか、又は順次積層して塗布され得る。
【0072】
アルカリ金属過炭酸塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書における使用に好ましい漂白剤である。過炭酸塩は、最も好ましくは、製品内安定性を提供するコーティングされた形態で製品に組み込まれる。
【0073】
過酸化モノ過硫酸カリウムは、本明細書で有用な別の無機過水和塩である。
【0074】
典型的な有機漂白剤は、有機ペルオキシ酸、とりわけドデカンジペルオキシ酸、テトラデカンジペルオキシ酸、及びヘキサデカンジペルオキシ酸である。モノ及びジペルアゼライン酸、モノ及びジペルブラシル酸も、本明細書において好適である。ジアシル及びテトラアシル過酸化物、例えば過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジラウロイルは、本発明の関連において使用可能な他の有機過酸化物である。
【0075】
更なる典型的な有機漂白剤としては、ペルオキシ酸が挙げられ、具体例は、アルキルペルオキシ酸及びアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸及びその環置換の誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸の他、ペルオキシ-α-ナフトエ酸及びモノペルフタル酸マグネシウム、(b)脂肪族又は置換脂肪族ペルオキシ酸、例えばペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε-フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシヘキサン酸(PAP)]、o-カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N-ノネニルアミドペルアジピン酸及びN-ノネニルアミドペルスクシネート、並びに(c)脂肪族及び芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば1,12-ジペルオキシカルボン酸、1,9-ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2-デシルジペルオキシブタン-1,4-二酸、N,N-テレフタロイルジ(6-アミノペルカプロン酸)である。
【0076】
漂白活性化剤
漂白活性化剤は、典型的には、60℃以下の温度での洗浄の過程で漂白作用を強化する有機過酸前駆体である。いくつかの実施形態に好適な漂白活性化剤は、過加水分解条件下で、好ましくは1~12個の炭素原子、具体的には2~10個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキソカルボン酸(peroxoycarboxylic acid)、及び/又は任意に置換された過安息香酸を与える化合物を含む。好適な物質は、炭素原子の数が指定されているO-アシル基及び/若しくはN-アシル基並びに/又は任意に置換されたベンゾイル基を有する。ポリアシル化アルキレンジアミン、具体的にはテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、具体的には1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、具体的にはテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N-アシルイミド、具体的にはN-ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、具体的にはn-ノナノイル-又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-又はイソ-NOBS)、デカノイルオキシ安息香酸(DOBA)、無水カルボン酸、具体的には無水フタル酸、アシル化多価アルコール、具体的にはトリアセチン、二酢酸エチレングリコール及び2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフラン、並びにクエン酸トリエチルアセチル(TEAC)も好まれる。存在する場合、洗浄組成物は、本組成物の0.01~5、好ましくは0.2~2重量%の漂白活性化剤、好ましくはTAEDを含む。
【0077】
漂白触媒
洗浄組成物は、漂白触媒、好ましくは金属含有漂白触媒を含み得る。より好ましくは、金属含有漂白触媒は、遷移金属含有漂白触媒、とりわけマンガン又はコバルト含有漂白触媒である。
【0078】
本明細書での使用に好ましい漂白触媒としては、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体;Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン並びに関連する錯体;並びにペンタミン酢酸コバルト(III)及び関連する錯体が挙げられる。
【0079】
洗浄組成物は、本組成物の0.001~0.5、より好ましくは0.002~0.05重量%の漂白触媒を含み得る。好ましくは、漂白触媒は、マンガン漂白触媒である。
【0080】
好ましくは、本発明の洗浄組成物は、
i)本組成物の5~50重量%のビルダーと、
ii)組成物の0.5~20重量%の非イオン性界面活性剤と、
iii)組成物の5~50重量%の錯化剤、好ましくはMGDAの塩を含む錯化剤と、
iv)酵素、好ましくはアミラーゼ及びプロテアーゼと、
v)任意選択で、本組成物の0.5~10重量%の分散剤ポリマー、好ましくはカルボキシレート/スルホネートポリマーと、
vi)任意選択で、本組成物の5~20重量%の漂白剤、より好ましくは漂白触媒と、を含む。
【0081】
すすぎ組成物
すすぎ組成物は、すすぎサイクルの水に供給されて、すすぎ液を形成する。すすぎ液は、9を超える、好ましくは10を超える、より好ましくは約10.2を超えるpHを有する。すすぎ組成物は、酵素を含まない。本明細書において「を含まない」とは、本組成物が、本組成物の0.1重量%未満、好ましくは0.001重量%未満の酵素を含むことを意味する。
【0082】
すすぎ組成物は、別途明記されない限り、酵素を除いて、洗浄組成物の説明において列挙された成分のいずれかを同じレベルで含み得る。
【0083】
すすぎ組成物は好ましくは、アルカリ源を含む。アルカリ源としては、炭酸塩、ケイ酸塩、及びアルカリ金属水酸化物が挙げられる。好ましくは、アルカリ源は、アルカリ金属水酸化物、より好ましくは水酸化ナトリウムを含む。他のアルカリ源は、食器の光沢、特にガラスの光沢に悪影響を有し得る。
【0084】
すすぎ組成物はまた、錯化剤を含み得る。すすぎ組成物が錯化剤を含む場合、具体的にはすすぎ組成物がメチルグリシン二酢酸の塩を含む場合、改善された光沢及び漂白可能な染みの改善された除去が得られる。好ましくは、すすぎ組成物は、本組成物の5~50重量%、より好ましくは10~35重量%の錯化剤を含む。すすぎ組成物は好ましくは、クエン酸を含まない。
【0085】
すすぎ組成物は好ましくは、結晶成長阻害剤、特にHEDPのナトリウム塩を含む。好ましくは、すすぎ組成物は、本組成物の0.1~30重量%、より好ましくは0.5~25重量%、特に1~20重量%の結晶成長阻害剤、好ましくはHEDPのナトリウム塩を含む。
【0086】
すすぎ組成物は好ましくは、本組成物の5~50重量%、より好ましくは10~40重量%の非イオン性界面活性剤を含む。すすぎ組成物は好ましくは、アニオン性洗浄界面活性剤を含まない。本明細書において、「アニオン性洗浄界面活性剤」とは、10個を超える炭素原子の鎖長を有するアニオン性界面活性剤を意味する。アニオン性洗浄界面活性剤の例としては、長鎖長(すなわち、10個を超える炭素原子)アルキルサルフェート、アルキル/アリールスルホネート、及びアルキルエトキシサルフェートが挙げられる。
【0087】
ヒドロトロープ
本発明のすすぎ助剤組成物は、ヒドロトロープを含み得る。ヒドロトロープは、疎水性材料の水溶性を増加させ、本組成物の物理的安定性を確実にする。いくつかの実施形態では、ヒドロトロープは、クメンスルホネート、キシレンスルホネート、及びジアルキルジフェニルオキシドスルホネート材料などの低分子量芳香族スルホネート材料である。他の実施形態では、ヒドロトロープは、アルキル鎖中に10個未満の炭素原子を有する短鎖長アルキルサルフェートである。
【0088】
ヒドロトロープ又はヒドロトロープの組み合わせは、本組成物の約1重量%~約50重量%の量で本組成物中に存在し得る。他の実施形態では、ヒドロトロープ又はヒドロトロープの組み合わせは、本組成物の約10重量%~約30重量%で存在し得る。
【0089】
担体
本発明のすすぎ組成物は、液体組成物として配合され得る。担体は、そのような液体配合物に含められ得る。すすぎ助剤組成物での使用に好適な任意の担体が、本発明で使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、本組成物は、担体として水を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、本発明による液体すすぎ助剤組成物は、本組成物の約98重量%以下の水、典型的には本組成物の約90重量%以下の水を含有するであろう。他の実施形態では、液体すすぎ助剤組成物は、担体として、本組成物の少なくとも50重量%の水、又は本組成物の少なくとも60重量%の水を含有するであろう。
【0091】
すすぎ組成物は、ガラスケア剤及び/又は金属ケア剤を含み得る。
【0092】
好ましくは、本発明の方法のすすぎ組成物は、以下を含む:
i)本組成物の0~40重量%のアルカリ源と、
ii)本記組成物の10~40重量%の非イオン性界面活性剤と、
iii)本組成物の10~35重量%の錯化剤であって、好ましくは、錯化剤が、MGDAの塩を含む、錯化剤と、
iv)本組成物の0~20重量%のHEDPのナトリウム塩と、
v)任意選択で、ガラスケア剤及び/又は金属ケア剤と、
vi)水と、を含み、
洗浄及びすすぎ組成物を収容するためにパックする。
【0093】
洗浄及びすすぎ組成物は、少なくとも2つの別々の区画を備えるパックに収容され得る。パックは、3つ以上の区画を有し得る。パックは、そのまま食器洗浄機に挿入されることができ、又はその内容物が使用されて、食器洗浄機の既存の貯蔵リザーバを充填することができる。
【0094】
本発明の方法の組成物を含むパック又はリザーバは、食器洗浄機の内側又は外側に配置されることができる。食器洗浄機の内部に配置される場合、パック又は貯蔵リザーバは、自動食器洗浄機に一体化されることができ(すなわち、自動食器洗浄機に恒久的に固定された(内蔵された)貯蔵リザーバ)、自立型(すなわち、自動食器洗浄機の内部に挿入することができる独立した貯蔵リザーバ)とすることもできる。
【0095】
一体化された貯蔵リザーバの例は、自動食器洗浄機のドアに組み込まれ、補給ラインによって食器洗浄機の内部に接続された容器である。
【0096】
パックは、取り外し可能な投与装置として使用されることができる。投与装置は、例えば、パックと、制御された量の異なる組成物を異なる時間に、例えば、主洗浄及びすすぎに放出することができる分配ユニットとを備える自動化ユニットであり得る。異なるタイプのハードウェアが、洗浄及びすすぎ組成物の分配を制御するための、あるいはデータ処理ユニット、食器洗浄機、又はユーザが操作することができるモバイル装置若しくはサーバなどの外部装置と通信するための投与装置の一部であり得る。
【0097】
パックは、特にそれが食器洗浄機の内部に配置される場合、非常に良好な熱安定性を有する。
【0098】
好ましくは、1~25、より好ましくは2~20グラムの洗浄組成物が最初に供給され、続いて1~15、より好ましくは2~8グラムのすすぎ組成物がその後に供給される。
【0099】
本発明にかかる好ましい方法は、組成物が食器洗浄機の内部に計量供給される前に、少なくとも2回、好ましくは少なくとも4回、特に好ましくは少なくとも8回、具体的には少なくとも12回の別々の食器洗浄プログラムの間、食器洗浄機の外側(例えば、国際公開第2019/81910(A1)号パンフレット)又は内側に位置する貯蔵リザーバ内に留まるようなものである。
【0100】
投与システムは、センサの入力に基づいて、必要な組成物の量を決定することができるセンサにリンクされることができる。使用され得るセンサは、pH、濁度、温度、湿度、導電率などを含む。食器洗浄機は、これを達成するためにデータ処理能力を必要とする場合がある。食器洗浄は、他の装置との接続性を有することが好ましい。これは、wi-fi、モバイルデータ、Blue tooth(登録商標)などの形態をとることができる。これにより、食器洗浄機を遠隔で監視及び/又は制御することができる。好ましくは、これにより、機械がインターネットと接続することもできるようになる。
【0101】
1つ以上のチャンバを含む好ましい貯蔵リザーバの容積は、10~1000ml、好ましくは20~800ml、特に50~500mlである。
【実施例
【0102】
自動食器洗浄組成物を、本明細書において以下に詳述するように作製した。
【0103】
I.試験組成物の調製
洗浄組成物:MGDA、漂白剤、漂白触媒、炭酸塩、HEDP、スルホン化ポリマー、プロテアーゼ、アミラーゼ、及び非イオン性界面活性剤を含む13.34グラムの自動食器洗浄洗剤(活性成分に基づく)。
【0104】
4つのすすぎ組成物を以下に詳述するように調製した。
【0105】
【表1】
【0106】
II.試験物品
以下の物品を調達し、各自動食器洗浄機に添加した。
【0107】
【表2】
【0108】
食器洗浄機モニターは、Center for Testmaterials B.V.Netherlandsから購入した。以下の染みを使用した。
【0109】
【表3】
【0110】
III.追加のバラスト汚れI
試験に追加の汚れを加えるために、以下に記載する手順によって調製した、汚れのブレンドを食器洗浄機に加える。
【0111】
【表4】
【0112】
汚れの調製
1.植物油と全卵とを合わせ、完全に混合する(約30分)。
2.引き続き激しく撹拌しながらケチャップ及びマスタードを添加する。
3.脂肪を溶融し、約40℃に冷却し、次いで混合物に添加し、十分にブレンドする。
4.クリーム及び乳を加えて撹拌する。
5.粉末固体成分を添加し、全てを滑らかなペーストに混合する。
6.50gの汚れ混合物をプラスチックポットに入れ、凍結する。
【0113】
IV.追加のバラスト汚れII
試験に追加の汚れを加えるために、以下に記載する手順によって調製した、汚れのブレンドを食器洗浄機に加える。
【0114】
【表5】
【0115】
汚れの調製
1.Carrefour Matiere grass vegetale(Cuir et Rotir)及びCarrefour Graisse a frireを、Thermomixer中で速度2、55℃で30分間混合して、混合しながら脂を溶融する。
2.30分後、Solvent Red26染料を混合物に添加し、同じ設定で更に15分間混合を続ける。
3.10gの汚れ混合物をプラスチックポットに入れ、冷蔵する。
【0116】
V.試験洗浄手順
自動食器洗浄機:Miele、モデルGSL2
洗浄量:5000ml
主洗浄水温度:45℃
主洗浄の長さ22分(8分保持)
すすぎ水温度:45℃、55℃、又は70℃
水の硬度:21gpg
洗浄組成物の添加:主洗浄の開始時に洗剤ディスペンサが開いたときに自動食器洗浄機の底部に添加する。
すすぎ組成物の添加:第2の(加熱)すすぎの開始時に自動食器洗浄機の底部に添加する。
追加の汚れストレス:1×50gのポットの追加のバラスト汚れI及び1×10gのポットの追加のバラスト汚れIIを底部ラックに添加する。
【0117】
実施例1~3
13.34グラムの洗浄組成物を主洗浄に添加し、以下の表に詳述される量をすすぎに添加した。
【0118】
【表6】
【0119】
食器洗浄機に、方法1~4を使用して洗浄した上に詳述の食器洗浄機モニターを入れた。この方法を4回繰り返し、試験した染の各々について4つの複製物を得た。前及び洗浄しながらImage Analysis Systemを介して染みを分析して、除去された染み%を測定し、染み除去指数(stain removal index、SRI)を計算した。SRIは0~100の尺度であり、0=染み除去なし、100=汚れの完全な除去である。平均を計算し、本明細書に示す。有意性は、95%信頼度で統計パッケージを用いて計算する。
【0120】
【表7】
【0121】
【表8】
【0122】
【表9】
【0123】
実施例4
13.34グラムの洗浄組成物を主洗浄に添加し、以下の表に詳述される量をすすぎに添加した。
【0124】
【表10】
【0125】
食器洗浄機に、方法2及び方法3を使用してそれぞれ洗浄した上に詳述の物品を入れた。4サイクル連続して実行した後、プラスチックタンブラーを次いで黒の背景で撮影し、コンピュータ支援ソフトウェアを使用して画像を分析した。生成された画像をグレースケールに対して分析し、同じものを通る光の平均透過率を示す数値を割り当てる。画像が白くなるほど、試料を通過する光の透過率が低くなり、画像が黒くなるほど、試料を通過する光の透過率が高くなる。数値をパーセンテージスケールに変換し、これを透明度(%)と呼ぶ。2の透明度の差は有意である。
透明度(%)=100-((平均グレースケール値/255)100)
【0126】
斑点は、背景に対してより高いグレースケール(4単位)を有する4ピクセルより大きい円形クラスターとして定義し、グリットは、背景に対してより高いグレースケール(4単位)を有する4ピクセルより小さい円形クラスターとして定義する。
【0127】
【表11】
【0128】
本発明の方法は、ガラス及びプラスチックの両方における、改善された透明度、並びに低減された斑点及びグリットの計数を提供する。
【0129】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、別途指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【国際調査報告】