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特表2023-547861反応炉アセンブリ、硫黄含有廃棄物処理システム、硫黄含有廃棄物の燃焼方法、及び硫黄含有廃棄物再生による硫酸製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】反応炉アセンブリ、硫黄含有廃棄物処理システム、硫黄含有廃棄物の燃焼方法、及び硫黄含有廃棄物再生による硫酸製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 17/50 20060101AFI20231107BHJP
   F23G 5/00 20060101ALI20231107BHJP
   F23G 5/44 20060101ALI20231107BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20231107BHJP
   F23G 7/00 20060101ALI20231107BHJP
   F23G 7/04 20060101ALI20231107BHJP
   C01B 17/74 20060101ALI20231107BHJP
   F27D 7/02 20060101ALI20231107BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
C01B17/50 A
F23G5/00 D
F23G5/44 Z
F23G5/50 H
F23G7/00 E
F23G7/04 601H
C01B17/74 G
F27D7/02 A
F27D17/00 104D
F27D17/00 104G
F27D17/00 104K
F27D17/00 105A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524681
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 CN2021125714
(87)【国際公開番号】W WO2022083737
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】202011148953.4
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011150297.1
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110736751.X
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110736752.4
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202121481507.5
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110736743.5
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110739636.8
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110736744.X
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】521165264
【氏名又は名称】中石化南京化工研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】徐曉燕
(72)【発明者】
【氏名】魏蘭
(72)【発明者】
【氏名】陳英斌
(72)【発明者】
【氏名】王雪▲ウェン▼
(72)【発明者】
【氏名】江碧清
【テーマコード(参考)】
3K062
3K065
3K161
4K056
4K063
【Fターム(参考)】
3K062AA23
3K062AB01
3K062AC05
3K062BA02
3K062BB02
3K062BB05
3K062CA01
3K062CB03
3K062DA01
3K062DA22
3K062DA25
3K062DB06
3K062DB08
3K065AA23
3K065AB01
3K065AC05
3K065BA06
3K161AA14
3K161DB32
3K161EA33
3K161FA32
3K161FA38
3K161FA41
3K161FA42
3K161GA14
4K056AA19
4K056BB01
4K056CA20
4K056DA02
4K056DA13
4K056DB05
4K056DB07
4K056DB13
4K063AA13
4K063BA13
4K063CA01
4K063DA08
4K063DA13
4K063DA34
(57)【要約】
本発明は、反応炉アセンブリ及び硫黄含有廃棄物処理システムを開示する。前記反応炉アセンブリは、硫黄含有廃棄物混合液の燃焼反応のための円筒状構造の火炉を含み、前記火炉に連通している燃料ガス入口及びプロセスガス出口が設けられ、前記燃料ガス入口及び前記プロセスガス出口は前記火炉の軸方向に沿って前記火炉の両端にスペースを開けて設けられ、前記燃料ガス入口は前記火炉の軸方向に沿って流れる燃料ガスを前記火炉に供給できるように構成され、前記反応炉アセンブリは、前記火炉の内側壁の周方向に沿って流れる助燃空気を前記火炉に供給できるように構成される助燃空気供給機構を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応炉アセンブリであって、
硫黄含有廃棄物が供給されて燃焼反応を行うための円筒状構造の火炉(111)と、該火炉(111)にそれぞれ連通している燃料ガス入口(112)及びプロセスガス出口(113)と、を含み、前記燃料ガス入口(112)及び前記プロセスガス出口(113)は前記火炉(111)の軸方向に沿って前記火炉(111)の両端にスペースを空けて設けられ、前記燃料ガス入口(112)は、前記火炉(111)の軸方向に沿って流れる燃料を前記火炉(111)に供給できるように構成される、反応炉体(110)と、
前記火炉(111)の内側壁の周方向に沿って流れる助燃空気を前記火炉(111)に供給できるように構成される助燃空気供給機構と、を含む、ことを特徴とする反応炉アセンブリ。
【請求項2】
前記助燃空気供給機構は、前記反応炉体(110)に開けられ、それぞれ前記火炉(111)に連通している第1助燃空気入口(141)及び第2助燃空気入口(142)を含み、前記第1助燃空気入口(114)及び前記第2助燃空気入口(115)は、それぞれ前記火炉(111)の周方向における様々な位置で前記火炉(111)の接線方向に沿って前記火炉(111)に助燃空気を供給できるように構成され、前記第1助燃空気入口(114)が供給する助燃空気の流れ方向と前記第2助燃空気入口(115)が供給する助燃空気の流れ方向とが同じである、ことを特徴とする請求項1に記載の反応炉アセンブリ。
【請求項3】
前記助燃空気供給機構は前記火炉(111)の軸方向に沿ってスペースを空けて分布している複数の助燃空気供給口群を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の反応炉アセンブリ。
【請求項4】
複数の前記助燃空気供給口群には第1空気供給口群(114a、115a)と第2空気供給口群(114b、115b)が含まれ、前記第1空気供給口群(114a、115a)は前記燃料ガス入口(112)に接近して設けられ、前記第2空気供給口群(114b、115b)は前記プロセスガス出口(113)に接近して設けられ、
前記反応炉アセンブリは、空気が前記第1空気供給口群(114a、115a)から入り、前記第1空気供給口群(114a、115a)の位置での酸素量が第1酸素量となるように制御するとともに、前記空気が前記第2空気供給口群(114b、115b)から入り、前記第2空気供給口群(114b、115b)の位置での酸素量が硫黄含有廃棄物の正常な燃焼による理論酸素量であって前記第1酸素量よりも大きい第2酸素量となるように制御し、さらに、燃料と燃焼対象の硫黄含有廃棄物が前記第1酸素量に対応する1回目の燃焼と前記第2酸素量に対応する2回目の燃焼を含む少なくとも2回の燃焼を行うように制御するように構成された、前記助燃空気供給機構を制御するための制御装置を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の反応炉アセンブリ。
【請求項5】
複数の前記空気供給口群には、前記第1空気供給口群(114a、115a)と第2空気供給口群(114b、115b)との間に設けられた少なくとも1つの第3空気供給口群が設けられ、
前記制御装置はさらに、前記空気が前記第3空気供給口群から入り、該第3空気供給口群の位置での酸素量が前記第2酸素量未満となるように制御するように構成される、ことを特徴とする請求項4に記載の反応炉アセンブリ。
【請求項6】
1回目の燃焼において、酸素係数はX1であり、温度は1100~1250℃であり、最後の燃焼において、酸素係数はX3であり、温度は1000~1100℃であり、任意に存在する余剰燃焼において、酸素係数はそれぞれ独立してX2であり、温度はそれぞれ独立して1100~1200℃であり、かつ、0.5≦X1≦0.85、0.7≦X1+X2≦1、1≦X1+X2+X3≦1.15であり、
前記酸素係数とは、酸素モル含有量に換算される前記酸素含有助燃ガスと前記燃料の完全燃焼に必要な酸素モル含有量との比である、ことを特徴とする請求項4に記載の反応炉アセンブリ。
【請求項7】
前記第1酸素量は前記第2酸素量の60%である、ことを特徴とする請求項4に記載の反応炉アセンブリ。
【請求項8】
前記助燃空気供給機構は、加熱ハウジング(121)と電熱機構(122)を含む加熱装置(120)を含み、
前記加熱ハウジング(121)の内部に加熱チャンバ(123)を有し、前記加熱ハウジング(121)には、前記加熱チャンバ(123)に連通している加熱ガス入口(124)及び加熱ガス排出口(125)がそれぞれ開けられ、前記加熱ガス入口(124)は外部のガス源に連通しており、前記加熱ガス排出口(125)は前記火炉(111)に連通して、該火炉(111)に前記助燃空気を供給し、
前記電熱機構(122)は、前記加熱チャンバ(123)の内部の温度を上昇できるように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の反応炉アセンブリ。
【請求項9】
硫黄含有廃棄物処理システムであって、
硫黄含有廃棄物を燃焼反応させて、二酸化硫黄を含む第1ガスを得る請求項1~8のいずれか1項に記載の反応炉アセンブリ(100)と、
前記第1ガスから熱エネルギーを回収して、第2ガスを得る熱エネルギー回収ユニット(300)と、
前記第2ガスを浄化して冷却し、第3ガスを得る浄化冷却ユニットと、
前記第3ガスを乾燥して、第4ガスを得る乾燥ユニット(700)と、
前記第4ガスを酸化して吸収し、硫酸及び排出ガスを得る酸化吸収ユニット(800)と、を含む、ことを特徴とする硫黄含有廃棄物処理システム。
【請求項10】
前記反応炉アセンブリ(100)と前記熱エネルギー回収ユニット(300)との間に設けられる集塵ユニット(200)を含み、前記反応炉アセンブリ(100)により得られた前記第1ガスは、まず、前記集塵ユニット(200)に入って集塵処理を行い、次に、前記熱エネルギー回収ユニット(300)に入って前記熱エネルギーを回収され、前記第2ガスを得る、ことを特徴とする請求項9に記載の硫黄含有廃棄物処理システム。
【請求項11】
前記集塵ユニット(200)は、並列に配置された少なくとも2つのフィルタ群を含み、かつ、フィルタ群ごとに少なくとも1つのフィルタが含まれている、ことを特徴とする請求項10に記載の硫黄含有廃棄物処理システム。
【請求項12】
前記熱エネルギー回収ユニット(300)は、廃熱ボイラー(310)と蒸気過熱器(320)と、を含み、前記廃熱ボイラー(310)及び前記蒸気過熱器(320)は、いずれも、前記集塵ユニット(200)により得られたプロセスガスが前記廃熱ボイラー(310)及び前記蒸気過熱器(320)にそれぞれ入られるように、前記集塵ユニット(200)に連通しており、かつ、前記廃熱ボイラー(310)及び前記蒸気過熱器(320)は、前記廃熱ボイラー(310)により得られた飽和蒸気が前記蒸気過熱器(320)に入られるように、互いに連通している、ことを特徴とする請求項10に記載の硫黄含有廃棄物処理システム。
【請求項13】
前記浄化冷却ユニットは、順次連通している急冷加湿塔(400)、多段冷却吸収塔(500)及び電気デミスター(600)を含み、前記急冷加湿塔(400)と前記熱エネルギー回収ユニット(300)は連通している、ことを特徴とする請求項9に記載の硫黄含有廃棄物処理システム。
【請求項14】
前記急冷加湿塔(400)は、第1塔体(410)とスプレーアセンブリ(420)と、を含み、
前記第1塔体(410)は、冷却チャンバ(411)、チャンバ入口(412)及びチャンバ出口(413)を含み、前記チャンバ入口(412)及び前記チャンバ出口(413)は、それぞれ前記第1塔体(410)の外壁に開けられ、前記冷却チャンバ(411)に連通し、前記チャンバ入口(412)は前記第1塔体(410)の下部に位置し、前記反応炉アセンブリ(100)のプロセスガス出口(113)からのプロセスガスを受け、前記チャンバ出口(413)は前記第1塔体(410)の上部に位置し、
前記スプレーアセンブリ(420)は前記冷却チャンバ(411)内に設けられ、前記スプレーアセンブリ(420)は、第1スプレー口(421)と第2スプレー口(422)を含み、前記第1スプレー口(421)は冷却液体を下方にスプレー可能に構成され、前記第2スプレー口(422)は冷却液体を上方にスプレー可能に構成され、前記第1スプレー口(421)と前記第2スプレー口(422)は互いに反対して設けられる、ことを特徴とする請求項13に記載の硫黄含有廃棄物処理システム。
【請求項15】
前記冷却吸収塔(500)は、第2塔体(510)と、第1吸収層と、第2吸収層と、を含み、
前記第2塔体(510)は、垂直方向に沿って設けられ、垂直方向に沿って延びている冷却吸収チャンバを有し、前記第2塔体(510)は、それぞれ前記冷却吸収チャンバに連通しているガス供給口及びガス排出口を含み、前記ガス供給口は前記第2塔体の下部に設けられ、前記反応炉アセンブリ(100)のプロセスガス出口(113)からのプロセスガスを受け、前記ガス排出口は前記第2塔体(510)の上部に設けられ、
前記第1吸収層及び前記第2吸収層は垂直方向に沿って前記冷却吸収チャンバ内にスペースを空けて設けられ、前記第1吸収層は、前記冷却吸収チャンバ内に吸収液をスプレー可能な第1スプレー機構(520)を含み、前記第2吸収層は、前記冷却吸収チャンバ内に吸収液をスプレー可能な第2スプレー機構(530)を含む、ことを特徴とする請求項13に記載の硫黄含有廃棄物処理システム。
【請求項16】
前記酸化吸収ユニット(800)は、転化装置と、吸収装置と、を含み、
前記転化装置は前記乾燥ユニット(700)に連通しており、前記乾燥ユニット(700)により得ら得た前記第4ガスを酸化して、三酸化硫黄含有ガスを得ることに用いられ、
前記吸収装置は、前記転化装置に連通しており、前記三酸化硫黄含有ガスを吸収処理して、前記硫酸及び前記排出ガスを得ることに用いられる、ことを特徴とする請求項9に記載の硫黄含有廃棄物処理システム。
【請求項17】
前記転化装置は転化器(840)を含み、前記転化器は、転化器ハウジング(841)と、触媒層アセンブリと、熱交換管路(845a、845b)と、を含み、
前記転化器ハウジング(841)の内部に転化チャンバを有し、前記転化器ハウジング(841)には、それぞれ前記転化チャンバに連通している転化ガス入口(842a、842b)及び転化ガス出口(843a、843b)が開けられ、前記転化ガス入口(842a、842b)は前記反応炉アセンブリ(100)のプロセスガス出口(113)からのプロセスガスを受けることに用いられ、
前記触媒層アセンブリは、少なくとも2つの触媒層(844a、844b、844c、844d)を含み、複数の前記触媒層(844a、844b、844c、844d)は前記転化チャンバ内に設けられ、プロセスガスの流れ方向に沿ってスペースを空けて配置され、
前記熱交換管路(845a、845b)の数と前記触媒層(844a、844b、844c、844d)の数が一致し、前記熱交換管路(845a、845b)は前記転化チャンバ内に少なくとも部分的に位置し、隣接する2つの前記触媒層(844a、844b、844c、844d)の間に設けられる、ことを特徴とする請求項16に記載の硫黄含有廃棄物処理システム。
【請求項18】
請求項1~8のいずれか1項に記載の反応炉アセンブリを用いた硫黄含有廃棄物の燃焼方法。
【請求項19】
硫黄含有廃棄物の再生による硫酸製造方法であって、
請求項18に記載の方法によって、酸素含有助燃ガスの存在下で、燃料と前記硫黄含有廃棄物を前記反応炉アセンブリに導入して、少なくとも2回の燃焼を行い、二酸化硫黄を含む第1ガスを得るステップ(1)と、
前記第1ガスを熱エネルギー回収ユニットに導入して熱エネルギーを回収し、過熱蒸気及び第2ガスを得るステップ(2)と、
前記第2ガスを浄化冷却ユニットに導入して浄化冷却を行い、第3ガスを得るステップ(3)と、
前記第3ガスを乾燥ユニットに導入して乾燥し、第4ガスを得るステップ(4)と、
前記第4ガスを酸化吸収ユニットに導入して酸化吸収を行い、硫酸及び排出ガスを得るステップ(5)と、を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記硫黄含有廃棄物は廃硫酸、硫黄含有廃液及び硫黄含有廃ガスから選択される少なくとも1種であり、
前記燃料は天然ガス、硫黄、液化炭化水素、硫化水素及び重油有機物から選択される少なくとも1種であり、
前記第1ガス中、二酸化硫黄の含有量は3~12mol%、NOの含有量は100mg/Nm以下、酸素の含有量は0.5~5mol%である、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2020年10月23日に提出された中国特許出願202011148953.4、202011150297.1、及び2021年06月30日に提出された中国特許出願202110739636.8、202110736744.X、202110736751.X、202110736752.4、202121481507.5、202110736743.5の利益を主張しており、この8つの出願の内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、硫黄含有廃棄物の処理に関し、具体的には、反応炉アセンブリ、硫黄含有廃棄物処理システム、硫黄含有廃棄物の燃焼方法、及び硫黄含有廃棄物再生による硫酸製造方法に関する。
【0003】
〔背景技術〕
石油化学工業と有機合成工業は濃硫酸を触媒として広く使用しており、この過程で大量の廃硫酸が発生する。メタクリル酸メチル(MMA)やアクリロニトリル(AN)の合成のようないくつかの有機合成プロセスは、廃硫酸に加えて約30~45wt%の廃硫酸アンモニウムを生成する。これらの硫黄含有廃棄物は環境汚染が深刻であるため、産業廃酸や硫黄含有廃液を浄化処理して最大限にリサイクルする必要がある。
【0004】
硫黄含有廃棄物の処理方法は主に高温濃縮、溶媒抽出、アルカリ中和及び化学酸化、高温燃焼分解などがある。現在、高温燃焼方法は、徹底的かつ環境に優しいが、燃焼効率が低く、運用コストが高く、操作が複雑であるという問題がある。
【0005】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、従来技術に存在する問題を解決して、硫黄含有廃棄物を燃焼処理して、窒素酸化物の発生を抑えることができる反応炉アセンブリ及び硫黄含有廃棄物処理システムを提供する。
【0006】
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成させるために、本発明は、反応炉アセンブリを提供し、前記反応炉アセンブリは、硫黄含有廃棄物が供給されて燃焼反応を行うための火炉と、該火炉にそれぞれ連通している燃料ガス入口及びプロセスガス出口と、を含み、前記燃料ガス入口及び前記プロセスガス出口は前記火炉の軸方向に沿って前記火炉の両端にスペースを空けて設けられ、前記燃料ガス入口は、前記火炉の軸方向に沿って流れる燃料を前記火炉に供給できるように構成される円筒状構造の反応炉体と、前記火炉の内側壁の周方向に沿って流れる助燃空気を前記火炉に供給できるように構成される助燃空気供給機構と、を含む。
【0007】
好ましくは、前記助燃空気供給機構は、前記火炉の軸方向に沿ってスペースを空けて分布している複数の助燃空気供給口群を含む。
【0008】
好ましくは、複数の前記助燃空気供給口群には第1空気供給口群と第2空気供給口群が含まれ、前記第1空気供給口群は前記燃料ガス入口に接近して設けられ、前記第2空気供給口群は前記プロセスガス出口に接近して設けられ、
前記反応炉アセンブリは、空気が前記第1空気供給口群から入り、前記第1空気供給口群の位置での酸素量が第1酸素量となるように制御するとともに、前記空気が前記第2空気供給口群から入り、前記第2空気供給口群の位置での酸素量が硫黄含有廃棄物の正常な燃焼による理論酸素量であって前記第1酸素量よりも大きい第2酸素量となるように制御し、さらに、燃料と燃焼対象の硫黄含有廃棄物が前記第1酸素量に対応する1回目の燃焼と前記第2酸素量に対応する2回目の燃焼を含む少なくとも2回の燃焼を行い、最終的に二酸化硫黄含有ガスを得るように制御するように構成された、前記助燃空気供給機構を制御するための制御装置を含む。
【0009】
好ましくは、1回目の前記燃焼において、酸素係数はX1であり、温度は1100~1250℃であり、最後の燃焼において、酸素係数はX3であり、温度は1000~1100℃であり、任意に存在する余剰燃焼において、酸素係数はそれぞれ独立してX2であり、温度はそれぞれ独立して1100~1200℃であり、かつ、0.5≦X1≦0.85、0.7≦X1+X2≦1、1≦X1+X2+X3≦1.15であり、前記酸素係数とは、酸素モル含有量に換算される前記酸素含有助燃ガスと前記燃料の完全燃焼に必要な酸素モル含有量との比である。
【0010】
上記の技術案によれば、燃料ガスが前記燃料ガス入口から前記火炉に入って前記火炉の軸方向に沿って流れ、また、前記助燃空気供給機構が前記火炉に供給した助燃空気が前記火炉の内側壁の周方向に沿って流れることができ、これによって、燃料ガスと助燃空気との混合ガスは前記プロセスガス出口に螺旋状に流れ、このため、螺旋状に流れる過程において、混合ガスは前記火炉における滞在時間がより十分になり、硫黄含有廃棄物混合液と十分に燃焼反応することができ、これによって、反応炉アセンブリの燃焼効率が高まり、また、混合ガスが前記火炉により長く滞在できるため、前記燃料ガス入口と前記プロセスガス出口との間の距離が短く、本発明の反応炉アセンブリの小型化が図られる。
【0011】
本発明は、また、
硫黄含有廃棄物を燃焼反応させて、二酸化硫黄を含む第1ガスを得る上記の反応炉アセンブリと、前記第1ガスから熱エネルギーを回収して、第2ガスを得る熱エネルギー回収ユニットと、前記第2ガスを浄化して冷却し、第3ガスを得る浄化冷却ユニットと、前記第3ガスを乾燥して、第4ガスを得る乾燥ユニットと、前記第4ガスを酸化して吸収し、硫酸及び排出ガスを得る酸化吸収ユニットと、を含む硫黄含有廃棄物処理システムを提供する。
【0012】
上記の技術案によれば、本発明による硫黄含有廃棄物処理システム及び反応炉アセンブリを採用することによって、反応炉において、まず、酸素欠乏燃焼が起こり、窒素酸化物の発生が減少し、次に、末端で酸素富化燃焼が起こり、所望の燃焼が行われるが、末端での温度が低いため、窒素酸化物の発生も減少する。窒素酸化物の減少により、プロセスガス中の二酸化硫黄の含有量が向上し、また、所望の燃焼が行われるので、正常なプロセスに影響を与えることはない。
【0013】
本発明は、上記の反応炉アセンブリに基づく硫黄含有廃棄物の燃焼方法、及び上記の硫黄含有廃棄物処理システムに基づく硫黄含有廃棄物再生による硫酸製造方法を提供する。
【0014】
〔発明の効果〕
本発明の積極的な進歩効果は以下のとおりである。本発明は、プロセスの流れをできるだけ短くし、設備をより少なくし、操作をより簡単にし、熱エネルギーの利用率をより高める、廃硫酸と硫黄含有固体廃棄物、硫黄含有廃液、硫黄含有廃ガスの最適化・改良混合処理プロセス、及び装置を提供する。原料中の硫黄元素を再生して93~100%の硫酸及び発煙硫酸にする。
【0015】
〔図面の簡単な説明〕
図1〕本発明の一実施形態における反応炉アセンブリの概略図である。
【0016】
図2〕本発明の反応炉アセンブリの火炉の側面図である。
【0017】
図3〕本発明の反応炉アセンブリの火炉の正面図である。
【0018】
図4〕本発明の反応炉アセンブリの加熱装置の概略図である。
【0019】
図5〕本発明の一実施例による硫黄含有廃棄物処理システムの反応炉燃焼制御方法のフローチャートである。
【0020】
図6〕本発明の一実施例による硫黄含有廃棄物処理システムの反応炉燃焼制御方法のフローチャートである。
【0021】
図7〕本発明の実施例による硫黄含有廃棄物処理システムのプロセス流れの概略図である。
【0022】
図8〕本発明の硫黄含有廃棄物再生による硫酸製造方法のフローチャートである。
【0023】
図9〕集塵ユニット及び熱エネルギー回収ユニットの概略図である。
【0024】
図10〕急冷加湿塔の概略図である。
【0025】
図11〕冷却吸収塔の概略図である。
【0026】
図12〕酸化吸収ユニットの概略図である。
【0027】
図13〕転化器の概略図である。
【0028】
〔発明を実施するための形態〕
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、ここで説明する具体的な実施形態は本発明を説明して解釈するために過ぎず、本発明を限制するものではない。
【0029】
図1~3に示すように、本発明の反応炉アセンブリは、硫黄含有廃棄物の燃焼反応のための、円筒状構造の火炉111を有する反応炉体100を含む。該反応炉体100には、火炉111に連通している燃料ガス入口112及びプロセスガス出口113がさらに設けられ、燃料ガス入口112及びプロセスガス出口113は、火炉111の軸方向に沿って火炉111の両端にスペースを空けて設けられ、燃料ガス入口112は、火炉111の軸方向に沿って流れる燃料ガスを火炉111に供給可能に構成される。反応炉アセンブリ100はまた、火炉111の内側壁の周方向に沿って流れる助燃空気を供給可能に構成される助燃空気供給機構をさらに含む。
【0030】
本発明では、燃料ガスが燃料ガス入口112から火炉111に入って、火炉111の軸方向に沿って流れ、また、助燃空気供給機構が火炉111に供給した助燃空気が火炉111の内側壁の周方向に沿って流れることができ、これによって、燃料ガスと助燃空気との混合ガスはプロセスガス出口113に螺旋状(図2を参照)に流れ、これによって、螺旋状に流れる過程において、混合ガスは火炉111における滞在時間がより十分になり、硫黄含有廃棄物混合液と十分に燃焼反応することができ、これによって、反応炉アセンブリの燃焼効率が高まり、また、混合ガスが火炉111により長く滞在できるため、燃料ガス入口112とプロセスガス出口113との間の距離が短く、本発明の反応炉アセンブリの小型化が図られる。
【0031】
なお、助燃空気供給機構は、助燃空気を駆動して火炉111において火炉111の内側壁の周方向に沿って流動させるために様々な形態に設計されてもよく、例えば、助燃空気供給機構は、助燃空気ノズルとガイドファンを含んでもよく、助燃空気ノズルは火炉111に燃空気を供給することに用いられ、ガイドファンは火炉111内に設けられて助燃空気の流れ方向を変えて、助燃空気が助燃空気ノズルから出てからガイドファンの案内の下で火炉111の内側壁の周方向に沿って流れることを可能にする。コストをさらに削減させ、反応炉アセンブリの構造を簡素化するために、本発明の一実施形態では、助燃空気供給機構は助燃空気入口群を含み、助燃空気入口群は、それぞれ火炉111に連通している第1助燃空気入口114及び第2助燃空気入口115を含み、第1助燃空気入口114及び第2助燃空気入口115は、それぞれ火炉111の接線方向に沿って助燃空気を火炉111に供給可能に設けられ、第1助燃空気入口114が供給する助燃空気の流れ方向と第2助燃空気入口115が供給する助燃空気の流れ方向とが同じである。第1助燃空気入口114と第2助燃空気入口115のいずれも火炉111の内側壁の接線方向に沿って開けられるので、第1助燃空気入口114及び第2助燃空気入口115から噴出された助燃空気はすべて火炉111の内側壁の周方向に流れることができ、これにより、他の部材を省略し、構造を簡素化させるとともに、メンテナンスを容易にする。
【0032】
もちろん、助燃空気入口群は第1助燃空気入口114及び第2助燃空気入口115に加えて、第3助燃空気入口、第4助燃空気入口などを含んでもよく、これらの助燃空気入口はすべて火炉111の同一の径方向平面に位置し、また、同一方向(すなわち、共に時計回り又は反時計回り)に開口して設けられ、このようにして、混合ガスが火炉111内で螺旋状に流れることを実現できる。
【0033】
注意すべきものとして、本発明の一実施形態では、図2及び図3に示すように、第1助燃空気入口114の開口方向と第2助燃空気入口115の開口方向の両方が火炉111の軸線方向に垂直であり、つまり、燃料ガスの流れ方向が助燃空気の流れ方向による平面に垂直である。本発明の他の一実施形態では、第1助燃空気入口114の開口方向と第2助燃空気入口115の開口方向の両方が燃料ガス入口112に向かって傾斜し、このような構成によれば、助燃空気が火炉111に入って流れる方向が燃料ガスの流れ方向とは逆であるので、助燃空気と燃料ガスがより十分に混合され、混合ガスの流動速度が低下し、火炉111における混合ガスの流動時間が増加し、反応炉アセンブリがより小型化するという利点がある。もちろん、例えば燃料ガス入口112に向かって20~40°傾斜するなど、第1助燃空気入口114の開口方向と第2助燃空気入口115の開口方向が燃料ガス入口112に向かって僅かに傾斜すればよい。
【0034】
助燃空気をより十分に供給するために、本発明の一実施形態では、図2に示すように、助燃空気供給機構は複数の助燃空気供給口群を含み、複数の助燃空気供給口群は火炉111の軸方向に沿ってスペースを空けて分布している。図示した好適な実施形態では、反応炉体100には、2つの前述第1助燃空気入口114及び第2助燃空気入口115がそれぞれ設けられ、ここで、燃料ガス入口112に近い助燃空気入口114a及び115aは第1空気供給口群を構成し、プロセスガス出口113に近い助燃空気入口114b及び115bは第2空気供給口群を構成する。よって、硫黄含有廃棄物の燃焼は第1空気供給口群及び第2空気供給口群から火炉111内に導入される助燃空気の量により制御することができる。
【0035】
具体的には、図5に示す硫黄含有廃棄物処理システムの反応炉燃焼制御方法のフローチャートは、ステップS11~13を含む。
【0036】
ステップS11:前記第1空気供給口群及び前記第2空気供給口群の位置での酸素量を検出する。
【0037】
例えば、第1空気供給口群及び第2空気供給口群に、酸素量を検出するための酸素センサが設けられてもよい。
【0038】
ステップS12:空気が前記第1空気供給口群から入り、前記第1空気供給口群の位置での酸素量が第1酸素量となるように制御する。
【0039】
例えば、第1空気供給口群の位置での酸素量を参照して、第1空気供給口群に空気を補充/減少し、第1空気供給口群の位置での酸素量を第1酸素量にしてもよく、第1酸素量は、例えば硫黄含有廃棄物の正常な燃焼による理論酸素量の60%であり、これによって、硫黄含有廃棄物は酸素欠乏燃焼を行い、これに含まれる窒素元素を含有する物質、例えば(NHSO及び/又はNHHSOの反応時に窒素酸化物の発生が減少する。
【0040】
ステップS13:前記空気が前記第2空気供給口群から入り、前記第2空気供給口群の位置での酸素量が硫黄含有廃棄物の正常な燃焼による理論酸素量であって前記第1酸素量よりも大きい第2酸素量となるように制御する。
【0041】
例えば、正常な燃焼を実現するために、反応炉の末端における第2空気供給口群に空気を補充し、第2空気供給口群の位置での酸素量を第2酸素量にし、第2酸素量は、例えば硫黄含有廃棄物の正常な燃焼による理論酸素量であって、硫黄含有廃棄物が正常な燃焼を行うようにする。窒素酸化物の発生量が温度に関連し、すなわち、温度が上昇するに伴い増大するため、反応炉の末端において炎心から離れた位置での温度が低い場合、酸素量が十分であるものの、窒素酸化物の発生量が低下する。
【0042】
上記の方法を採用すると、窒素酸化物が減少するため、反応炉内のプロセスガス中の二酸化硫黄の含有量が向上し、また、所望の燃焼が行われるため、正常なプロセスに影響を与えることはない。
【0043】
図6は本発明の別の一実施例による硫黄含有廃棄物処理システムの反応炉燃焼制御方法のフローチャートである。本実施例では、反応炉体は反応炉体の中央部に設けられる第3空気供給口をさらに含み、該方法は、ステップS21~24を含む。
【0044】
ステップS21:前記第1空気供給口群及び前記第2空気供給口群の位置での酸素量を検出する。
【0045】
ステップS22:空気が前記第1空気供給口群から入り、前記第1空気供給口群の位置での酸素量が第1酸素量となるように制御する。
【0046】
例えば、ステップS21~22の実施例は上記のステップS11~12の実施例と類似しており、ここでは詳しく説明しない。
【0047】
ステップS23:前記空気が前記第3空気供給口群から入り、前記第3空気供給口群の位置での酸素量が第3酸素量となるように制御する。該第3酸素量は、例えば第2酸素量の95%であってもよい。これによっても、硫黄含有廃棄物が酸素欠乏燃焼を行い、これに含まれる窒素元素を含む物質、例えば(NHSO及び/又はNHHSOの反応時に窒素酸化物の発生が減少する。
【0048】
ステップS24:前記空気が前記第2空気供給口群から入り、前記第2空気供給口群の位置での酸素量が硫黄含有廃棄物の正常な燃焼による理論酸素量であって前記第1酸素量よりも大きく、前記第3酸素量よりも大きい第2酸素量となるように制御する。
【0049】
例えば、同様に、正常な燃焼を行うために、反応炉の末端の第2空気供給口群に空気を補充し、第2空気供給口群の位置での酸素量を第2酸素量にし、硫黄含有廃棄物が正常な燃焼を行うようにする。
【0050】
なお、以上では、2つの空気供給口群と3つの空気供給口群を有する実施例だけが記載されているが、反応炉がより多くの空気供給口を有してもよく、例えば複数の第3空気供給口群を有し、これらの空気供給口は同時に空気を供給するようにしてもよく、末端の空気供給口の位置での酸素量が硫黄含有廃棄物の正常な燃焼による理論酸素量であって、残りの空気供給口の位置での酸素量がすべて硫黄含有廃棄物の正常な燃焼による理論酸素量よりも小さければよく、ここでは詳しく説明しない。
【0051】
上記の過程において、燃料と燃焼対象の硫黄含有廃棄物は、前記第1酸素量に対応する1回目の燃焼と前記第2酸素量に対応する2回目の燃焼を含む少なくとも2回の燃焼を行い、最終的に二酸化硫黄含有ガスを得るように制御されている。
【0052】
ここで、1回目の燃焼において、酸素係数はX1であり、温度は1100~1250℃であり、最後の燃焼において、酸素係数はX3であり、温度は1000~1100℃であり、任意に存在する余剰燃焼において、酸素係数はそれぞれ独立してX2であり、温度はそれぞれ独立して1100~1200℃であり、かつ、0.5≦X1≦0.85、0.7≦X1+X2≦1、1≦X1+X2+X3≦1.15であり、前記酸素係数とは、含有される酸素に換算される前記酸素含有助燃ガスのモル量と前記燃料の完全燃焼に必要な酸素のモル量との比である。
【0053】
本発明では、前記酸素係数とは、燃焼ごとに含有される酸素に換算される前記酸素含有助燃ガスのモル量と前記燃料の完全燃焼に必要な酸素のモル量との比であり、ここでは、前記燃料は、前回の燃焼後の剩余燃料ではなく、初期総燃料である。
【0054】
本発明によれば、本発明では、燃焼ごとに前記酸素含有助燃ガスの使用量を制御して、燃焼ごとの酸素係数を調整し、燃焼ごとの他のプロセス条件例えば温度と合わせて、前記硫黄含有廃棄物を十分に燃焼し、二酸化硫黄含有量の高いプロセスガスを得る。
【0055】
さらに、特に窒素元素を含有する反応材料の場合、本発明による方法を採用すると、追加の脱硝処理を必要とせずに、得られたプロセスガス中の窒素酸化物(NO)の含有量を顕著に低下させることができ、環境に優しく、経済的かつ効率的である。
【0056】
好ましくは、前記1回目の燃焼において、酸素係数はX1であり、温度は1150~1250℃であり、前記最後の燃焼において、酸素係数はX3であり、温度は1050~1100℃であり、前記任意に存在する余剰燃焼において、酸素係数はそれぞれ独立してX2であり、温度はそれぞれ独立して1100~1200℃であり、かつ、0.7≦X1≦0.85、0.8≦X1+X2≦1、1≦X1+X2+X3≦1.15である。よって、本発明の発明者は、特に燃焼ごとの反応における酸素係数と温度を前述好ましい範囲内に制御する場合、これらの両方を合わせることにより、前記硫黄含有廃棄物の燃焼がより十分になり、得られた二酸化硫黄を含むプロセスガス中の二酸化硫黄の含有量がより高く、特に窒素元素を含む反応材料の場合、得られたプロセスガス中のNOの含有量がより低いことを見出した。
【0057】
本発明によれば、前記少なくとも2回の燃焼とは、2回以上(例えば3回、4回、5回)などの複数回の燃焼であってもよい。すなわち、前記任意に存在するとは、前記余剰燃焼が存在してもよいし、存在しなくてもよい。
【0058】
好ましくは、前記燃焼の回数は2~3回である。
【0059】
本発明によれば、注意すべきものとして、前記燃焼が2回である場合、前記1回目の燃焼と前記最後の燃焼のみあり、前記余剰燃焼はない。
【0060】
本発明の1つの好適な特定実施形態によれば、前記燃焼の回数は2回であり、前記方法は、
酸素含有助燃ガスの存在下で、燃料と燃焼対象の硫黄含有廃棄物について1回目の燃焼と2回目の燃焼を順次行い、二酸化硫黄含有ガスを得るステップを含む。
【0061】
好ましくは、前記1回目の燃焼の条件は、酸素係数X1、温度1150~1250℃を含み、前記2回目の燃焼の条件は、酸素係数X3、温度1050~1100℃、かつ、0.7≦X1≦0.85、1≦X1+X3≦1.15を含む。
【0062】
本発明の別の好適な特定実施形態によれば、前記燃焼の回数は3回であり、前記方法は、
酸素含有助燃ガスの存在下で、燃料と燃焼対象の硫黄含有廃棄物について1回目の燃焼、2回目の燃焼及び3回目の燃焼を順次行い、二酸化硫黄含有ガスを得るステップを含む。
【0063】
好ましくは、前記1回目の燃焼の条件は、酸素係数X1、温度1150~1250℃を含み、前記2回目の燃焼の条件は、酸素係数X2、温度1100~1200℃を含み、前記3回目の燃焼の条件は、酸素係数X3、温度1050~1100℃、かつ、0.7≦X1≦0.85、0.8≦X1+X2≦1、1≦X1+X2+X3≦1.15を含む。
【0064】
好ましくは、前記酸素含有助燃ガスは、空気(酸素含有量21mol%)、酸素富化空気(酸素含有量21~40mol%)、純酸素、及び液体酸素から選択される少なくとも1種である。本発明の発明者は、酸素含有量の高い酸素富化空気又は純酸素を助燃ガスとすることで、燃料の使用量を大幅に減少させ、また、同じ規模の装置では、より大量の硫黄含有廃物を処理することができ、装置への投資を削減させ、エネルギー消費量や運用コストを下げることができることを見出した。
【0065】
好ましくは、前記硫黄含有廃棄物は、廃硫酸、硫黄含有廃液、及び硫黄含有廃ガスから選択される少なくとも1種である。
【0066】
本発明は、前記硫黄含有廃棄物の由来及び種類を特に制限するものではなく、前記硫黄含有廃液は、例えば液硫、硫酸アンモニウムを含有する硫黄含有廃液、重硫酸アンモニウムを含有する硫黄含有廃液、硫酸鉄を含有する硫黄含有廃液、硫酸メチルを含有する硫黄含有廃液、石膏を含有する硫黄含有廃液などであってもよく、前記硫黄含有廃ガスは、例えば硫化水素、二酸化硫黄及び硫黄成分を含有する他の廃ガスなどであってもよい。好ましくは、前記廃硫酸中の硫酸の質量濃度は50~99%である。好ましくは、前記硫黄含有廃棄物の含水量は15wt%未満である。
【0067】
本発明の1つの好適な特定実施形態によれば、前記反応炉アセンブリは、前記硫黄含有廃棄物(例えば硫黄含有廃液)を十分に霧化可能に構成される液体スプレーガン116をさらに含む。前記硫黄含有廃棄物が前記液体スプレーガン内の高圧霧化風で霧化されてから前記火炉内に噴射され、前記酸素含有助燃ガス及び前記燃料とともに燃焼し、これによって、前記硫黄含有廃棄物の燃焼がより十分になり、プロセスガス中の二酸化硫黄の含有量が向上する。好ましくは、前記液体スプレーガンの圧力は0.4~0.8MPa、より好ましくは0.5~0.7MPaである。
【0068】
本発明の1つの好適な特定実施形態によれば、前記硫黄含有廃棄物には硫黄含有固体廃棄物(例えば硫黄含有鉱砂)が含有されており、本発明の方法は、前記硫黄含有固体廃棄物について1回の燃焼を行い(燃焼条件:温度800~1050℃)、二酸化硫黄含有ガスIIを得るステップと、硫黄含有廃液及び/又は硫黄含有廃ガスについて少なくとも2回の燃焼を行い、二酸化硫黄含有ガスIを得るステップと、前記二酸化硫黄含有ガスIIと前記二酸化硫黄含有ガスIを併せて本発明の前記二酸化硫黄含有ガスを得るステップと、を含む。
【0069】
本発明によれば、前記燃料は、酸素含有助燃ガスの存在下で、前記硫黄含有廃棄物の燃焼のために熱を供給する高発熱量の可燃材料を燃焼することができる。好ましくは、前記燃料の発熱量は500kcal/Nm以上、例えば天然ガスの発熱量は9700kcal/Nmである。
【0070】
好ましくは、前記燃料は、天然ガス、硫黄、液化炭化水素、硫化水素酸性ガス、及び重油有機物から選択される少なくとも1種である。
【0071】
好ましくは、前記液化炭化水素は、液化エチレン、液化エタン、液化プロピレン、液化プロパン、液化ブテン、及び液化ブタンから選択される少なくとも1種である。
【0072】
好ましくは、前記重油有機物は、ガソリン、灯油、軽油から選択される少なくとも1種である。
【0073】
本発明によれば、前記燃料の使用量は、前記硫黄含有廃棄物の使用量に応じて合理的に選択、調整されてもよい。
【0074】
なお、本発明によれば、特に注意すべきものとして、前記硫黄含有廃棄物と前記燃料は同一物質(例えば硫化水素)であってもよく、当業者が理解できるように、前記硫黄含有廃棄物が硫化水素酸性ガスである場合、前記硫化水素酸性ガス自体は燃料として機能することができ、追加の他の燃料を提供する必要はなく、この場合も本発明の発明構想であり、当業者は、これが発明を制限するものであると理解すべきではない。
【0075】
好ましくは、本発明の前記硫黄含有廃棄物の燃焼方法によれば、得られた前記二酸化硫黄含有ガス中、二酸化硫黄の含有量は3~12mol%、NOの含有量は100mg/m以下、酸素の含有量は0.5~5mol%である。
【0076】
本発明では、燃焼ごとの反応の条件、特に温度及び酸素係数を制御することにより、燃料及び燃焼対象の硫黄含有廃棄物の1回目の燃焼反応は高温と酸素欠乏の条件で行われ、硫黄含有廃棄物が燃焼して二酸化硫黄を生成するとともに、窒素含有材料が酸素欠乏の条件下で窒素ガスを生成する。後続の燃焼は低温及び酸素富化の条件で行われ、これにより、燃料及び硫黄含有廃棄物の十分な燃焼が確保され、しかも、前回の燃焼により生成された窒素ガスが低温のため、さらに反応して窒素酸化物を生成することができない。よって、複数の燃焼反応を合わせることによって、二酸化硫黄の含有量が高く、NO含有量が低いプロセスガスが得られ、得られた前記二酸化硫黄含有ガスには可燃性成分が含有されていない。
【0077】
本発明によれば、好ましくは、前記酸素含有助燃ガス、前記燃料及び前記硫黄含有廃棄物のうちの少なくとも1種は窒素元素を含有する。前記硫黄含有廃棄物は、例えば、重硫酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなどの窒素硫黄含有物質であり、前記燃料は、例えば窒素ガスを含有する可燃性材料であり、前記酸素含有助燃ガスは例えば空気である。
【0078】
本発明の1つの好適な特定実施形態によれば、本発明の前記方法は、まず、前記硫黄含有廃棄物を除水処理し、次に、酸素含有助燃ガスの存在下で、燃料とともに少なくとも2回の燃焼を行い、二酸化硫黄含有ガスを得るステップをさらに含む。
【0079】
本発明では、前記除水処理の具体的な操作について特に限定はなく、前記硫黄含有廃棄物のうちの少なくとも水分の一部を除去できればよく、例えば蒸発濃縮により行うことができる。
【0080】
本発明による方法では、特に硫黄含有廃棄物の燃焼条件を制御し、複数回の燃焼反応を互いに合わせることによって、硫黄含有廃棄物の燃焼をより十分にし、二酸化硫黄含有量の高いプロセスガスが得られ、得られた前記二酸化硫黄含有ガスには可燃性成分が含有されない。
【0081】
特に、窒素含有反応材料の場合、本発明による方法を採用すると、特に燃焼ごとの条件を制御することによって、硫黄含有廃棄物の燃焼がより十分になり、二酸化硫黄含有量が高くかつNO含有量が低いプロセスガスが得られ、前記窒素含有反応材料中の窒素元素は極めて微量なNOに加えて、窒素ガスの形態として排出される。本発明による方法を採用することによって、追加の脱硝処理を必要とせずに、得られたプロセスガス中の窒素酸化物(NO)の含有量を顕著に低下させることができる。
【0082】
以上に基づいて、本発明はまた、
硫黄含有廃棄物を燃焼して、二酸化硫黄含有ガスを得るステップ(1)と、
前記二酸化硫黄含有ガスを酸化して、三酸化硫黄含有ガスを得るステップ(2)と、
前記三酸化硫黄含有ガスを吸収して、硫酸を得るステップ(3)と、を含む、硫黄含有廃棄物を用いた硫酸製造方法を提供する。
【0083】
以下、例をもって本発明について詳細に説明する。
【0084】
特に断らない限り、以下の例に使用される原料はすべて市販品である。
【0085】
特に断らない限り、以下の例はすべて前述反応炉アセンブリにて行われる。2組の助燃ガス入口は前記反応炉の軸方向に沿って分布している(前記反応炉の軸方向において、火炉の直筒段は軸方向の長さがL、アスペクト比が4~10(例えばアスペクト比5)であり、それぞれ火炉の燃料入口側から0.25L離れた部位及び火炉のガス排出口側から0.5L離れた部位に2つの助燃ガス入口が設けられる)。燃焼ごとに必要な酸素含有助燃ガスを提供するために、前記酸素含有助燃ガス入口は、前記火炉の内側壁の接線方向に沿って流れる酸素含有助燃ガスを供給可能に構成される。
【0086】
実施例1A
該実施例に使用される燃料及び化学繊維産業由来の硫黄含有廃棄物の具体的な組成は表1に示され、酸素含有助燃ガスは酸素含有量が21mol%の空気である。
【0087】
【表1】
【0088】
反応炉を1200℃に加熱し、常温空気を空気送風機で加圧して、電気加熱炉にて630℃に加熱し、助燃ガス入口から反応炉に入れた。液体スプレーガンによって、前記硫黄含有廃棄物を0.6MPaの高圧霧化風で硫黄含有廃棄物入口から反応炉の火炉に噴射した。燃料を燃料入口から反応炉の火炉に導入した。
【0089】
具体的なプロセスは以下のとおりである。
【0090】
硫黄含有廃棄物(68.22wt%廃硫酸+31.78%wt%硫黄含有廃液)38.11t、燃料3990kgを、それぞれ硫黄含有廃棄物入口及び燃料入口から反応炉に導入し、火炉の軸方向において、まず、第1酸素含有助燃ガス入口から導入された酸素含有助燃ガスと1回目の燃焼を行い、次に、第2酸素含有助燃ガス入口から導入された酸素含有助燃ガスと2回目の燃焼を行った。ここで、1回目の燃焼の条件は、酸素係数X1 0.7、温度1200℃を含み、2回目の燃焼の条件は、酸素係数X3、X1+X3=1.05、温度1100℃を含む。二酸化硫黄含有ガスを得た。
【0091】
炉からの二酸化硫黄含有ガス中、二酸化硫黄の含有量は3.8mol%、酸素の含有量は2mol%、NOの含有量は100mg/Nm以下、二酸化硫黄の転化率は99mol%であった。
【0092】
実施例1B
実施例1Aと類似の方式を採用し、使用される酸素含有助燃ガスが酸素含有量40mol%の酸素富化空気である以外、残りは実施例1と同様であった。
【0093】
炉からの二酸化硫黄含有ガス中、酸素の含有量は2mol%、二酸化硫黄の含有量は6mol%、NOの含有量は80mg/Nm以下、二酸化硫黄の転化率は99mol%であった。
【0094】
実施例2
本実施例で使用される塩素含有廃硫酸及び硫化水素酸性ガスと燃料の具体的な組成は表2に示され、酸素含有助燃ガスは酸素含有量21mol%の空気であった。
【0095】
【表2】
【0096】
反応炉を1100℃に加熱して、常温空気を空気送風機で助燃ガス入口から反応炉に入れた。液体スプレーガンによって前記硫黄含有廃棄物を0.7MPaの高圧霧化風で硫黄含有廃棄物入口から反応炉の火炉に噴射し、燃料を燃料入口から反応炉の火炉に導入した。
【0097】
本実施例では、硫黄含有廃棄物は7t(71.43wt%塩素含有廃硫酸+28.57wt%硫化水素酸性ガス)であり、ここで、ポリテトラヒドロフラン生産装置による塩素含有廃硫酸は水分含有量が48wt%であって、不純物含有量が少なく、85wt%に蒸発濃縮してから反応炉9に入る。硫化水素酸性ガスは硫黄含有廃ガスであるが、反応炉システムの70mol%の熱だけを供給し、残りの30mol%の熱は、補助燃料である天然ガスによって補充された。
【0098】
具体的な反応プロセスは以下のとおりである。
【0099】
廃硫酸を硫黄含有廃棄物入口から反応炉の火炉に導入し、硫化水素酸性ガス及び天然ガスを燃料入口から反応炉の火炉に導入し、火炉の軸方向において、まず、第1酸素含有助燃ガス入口から導入された酸素含有助燃ガスと1回目の燃焼を行い、次に、第2酸素含有助燃ガス入口から導入された酸素含有助燃ガスと2回目の燃焼を行った。ここで、1回目の燃焼の条件は、酸素係数X1 0.75、温度1150℃を含み、2回目の燃焼の条件は、酸素係数X3、X1+X3=1.05、温度1050℃を含む。二酸化硫黄含有ガスを得た。
【0100】
炉からの二酸化硫黄含有ガス中、酸素の含有量は3mol%であり、二酸化硫黄の含有量は8.5mol%であり、NOの含有量は100mg/Nm以下であり、二酸化硫黄の転化率は99mol%であった。
【0101】
実施例3
本実施例で使用される硫黄含有廃棄物及び燃料の具体的な組成は表3に示され、酸素含有助燃ガスは酸素含有量21mol%の空気である。
【0102】
【表3】
【0103】
反応炉を1250℃に加熱して、常温空気を空気送風機で加圧して、電気加熱炉にて450℃に加熱して反応炉に入れた。液体スプレーガンによって、前記硫黄含有廃棄物を0.5MPaの高圧霧化風で硫黄含有廃棄物入口から反応炉の火炉に噴射した。燃料を燃料入口から反応炉の火炉に導入した。
【0104】
具体的な反応プロセスは以下のとおりである。
【0105】
硫黄含有廃棄物7.5t(80wt%廃硫酸+20wt%硫黄含有鉱砂)中の廃硫酸、燃料120kgを、それぞれ、硫黄含有廃棄物入口及び燃料入口から反応炉の火炉に導入し、火炉の軸方向において、まず、第1酸素含有助燃ガス入口から導入された酸素含有助燃ガスと1回目の燃焼を行い、次に、第2酸素含有助燃ガス入口から導入された酸素含有助燃ガスと2回目の燃焼を行った。ここで、1回目の燃焼の条件は、酸素係数X1 0.85、温度1200℃を含み、2回目の燃焼の条件は、酸素係数X3、X1+X3=1.05、温度1050℃を含む。二酸化硫黄含有ガスIを得た。別の反応炉内に硫黄含有鉱砂を燃焼させ(温度800℃)、二酸化硫黄含有プロセスガスIIを生成した。
【0106】
2つの反応炉からの二酸化硫黄含有混合ガス中、酸素の含有量は5mol%であり、二酸化硫黄の含有量は6mol%であり、NOの含有量は100mg/Nm以下であり、二酸化硫黄の転化率は99mol%であった。
【0107】
比較例1
実施例1と類似の方法を採用したが、前記燃焼回数を1回としたことが異なった。
【0108】
具体的には、硫黄含有廃棄物(68.22wt%廃硫酸+31.78%wt%硫黄含有廃液)38.11t、燃料4588kgを材料入口から反応炉の火炉に導入し、火炉の軸方向において、第1酸素含有助燃ガス入口から導入された酸素含有助燃ガスと燃焼させた。ここで、燃焼の条件は、酸素係数1.04、温度1150℃を含む。二酸化硫黄含有ガスを得た。
【0109】
炉からの二酸化硫黄含有ガス温度は950~1000℃であり、酸素の含有量は1.8mol%であり、二酸化硫黄の含有量は3.2mol%であり、NOの含有量は約500mg/Nmであり、二酸化硫黄の転化率は98.8mol%であった。比較例においては、燃料は実施例1よりも15wt%多く消費された。
【0110】
比較例2
実施例1と類似の方法を採用したが、2回の燃焼分解において酸素係数が実施例1と異なり、前記1回目の燃焼の酸素係数X1は0.9であり、前記2回目の燃焼の酸素係数はX3であり、X1+X3=1.05である以外、残りを実施例1と同様にして、二酸化硫黄含有ガスを得た。炉からの二酸化硫黄含有ガス中、酸素の含有量は2mol%であり、NOの含有量は約200mg/Nmであった。
【0111】
さらに、図1及び図4に示すように、助燃空気供給機構は加熱装置120と送風機130をさらに含んでもよい。加熱装置は、加熱チャンバ123と該加熱チャンバ123内に設けられた電熱機構122とを内部に備える加熱ハウジング121を有する。加熱ハウジング121には、それぞれ加熱チャンバ123に連通している加熱ガス入口124及び加熱ガス排出口125が開けられ、加熱ガス入口124は送風機130に連通しており、加熱ガス排出口125は反応炉アセンブリの火炉111に連通している。電熱機構122は、チャンバ123の内部が加熱される温度を上昇可能に構成される。加熱ガス入口124が送風機130に連通しており、加熱ガス排出口125が反応炉アセンブリの火炉111に連通しているため、電熱機構122は加熱チャンバ123の内部温度を向上させることができ、よって、送風機130からの助燃空気は該加熱装置120を経るときに温度が上昇し、火炉111に入った助燃空気の温度が600~650℃に達し、反応炉アセンブリの混合ガスの燃焼効率が高まる。
【0112】
図7及び図8に示すように、本発明はまた、
硫黄含有廃棄物を燃焼反応させて、二酸化硫黄を含む第1ガスを得る前述反応炉アセンブリ100と、
前記第1ガスから熱エネルギーを回収して、第2ガスを得る熱エネルギー回収ユニット300と、
前記第2ガスを浄化して冷却し、第3ガスを得る浄化冷却ユニットと、
前記第3ガスを乾燥して、第4ガスを得る乾燥ユニット700と、
前記第4ガスを酸化して吸収し、硫酸及び排出ガスを得る酸化吸収ユニット800と、を含む、硫黄含有廃棄物処理システムを提供する。
【0113】
以下、実施例によって該処理システムの具体的な操作プロセスについて例示的に説明する。
【0114】
廃硫酸及び硫黄廃液を含む硫黄含有廃棄物(68.22wt%廃硫酸+31.78wt%硫黄含有廃液)の水分含有量が36wt%であるものの、化学繊維産業由来の廃硫酸及び硫黄含有廃液には粒子や不純物が大量含有されているので、濃縮脱水が困難であるため、これらを脱水せずに反応炉体110に入れた。
【0115】
(1)硫黄含有廃棄物を液体スプレーガンにて0.6MPaの高圧霧化風で霧化して、反応炉体110に噴射し、火炉内の反応温度を1200℃にし、燃料(天然ガス)によって熱を供給した。酸素含有量21mol%の空気を用いて助燃を行い、常温助燃空気を送風機130で加圧してから、加熱装置120にて630℃に加熱し、高温助燃空気を、異なる助燃ガス入口114、115から火炉に導入した。まず、硫黄含有廃棄物を、第1空気供給口群114a、115aから導入された助燃ガスと1回目の燃焼を行い、次に、第2空気供給口群114b、115bから導入された助燃ガスと2回目の燃焼を行った。ここで、1回目の燃焼の条件は、酸素係数X1 0.7、温度1200℃を含み、2回目の燃焼の条件は、酸素係数X3、X1+X3=1.05、温度1100℃を含み、炉からの第1ガス中に残った酸素の含有量は2mol%であり、プロセスガスの炉内での滞在時間は5s以上である。
【0116】
(2)炉からの高温プロセスガスについて集塵ユニット200によって金属ダストを除去し、集塵高温プロセスガスを得た(サイクロン集塵器210の操作条件は、供給口温度1100℃、供給口圧力-1kPa、サイクロン集塵器の供給口の吸気速度30m/sを含み、セラミックメンブランフィルタ220の集塵操作条件は、供給口温度1050℃、供給口圧力-1kPa、セラミックメンブランフィルタ供給口の吸気速度15m/sを含む)。次に、集塵高温プロセスガスが廃熱ボイラー310に入って熱が回収され(第1熱交換であって、第1熱交換の条件は、チューブサイドの煙道ガス側の圧力-1.5kPa、ボイラーの煙道ガス入口温度1000℃、ボイラーの煙道ガス出口温度380℃、シェルサイドの蒸気側の圧力3.8MPa、温度249℃を含む)、1時間あたり31tの3.8MPa飽和蒸気が生成された。飽和蒸気が蒸気過熱器320において固体のない少量の高温プロセスガスと熱交換し(第2熱交換であって、第2熱交換の条件は、煙道ガス側の圧力-1.5kPa、加熱器の煙道ガス入口温度1000℃、加熱器の煙道ガス出口温度450℃、蒸気側圧力3.8MPa、温度350℃を含む)、熱蒸気16が得られ、過熱蒸気は蒸気タービンに入って、装置の電気エネルギーが低下する。
【0117】
(3)熱エネルギーを利用済みのプロセスガスは急冷加湿塔400に入って、断熱加湿により急速冷却を行い、ガス温度が400℃から77℃に急冷した。次に、多段パッキンを備えた冷却吸収塔500に入り、次に、第1吸収層に入って循環水冷却器で洗浄され、35℃に降温し、次に、第2吸収層に入って洗浄され、冷凍水冷却器で洗浄されて29℃に降温し、2回の冷却を行ったプロセスガスは電気デミスター600に入って、三酸化硫黄酸ミストを除去された。
【0118】
(4)三酸化硫黄酸ミストを除去したプロセスガスは乾燥ユニット700に入って、93wt%の濃硫酸で乾燥された。
【0119】
(5)乾燥されたプロセスガスは、二酸化硫黄の含有量が5mol%になり、主送風機810によって20kPaに昇圧してから、第1外部熱交換器830、第2熱交換管路845b(図13を参照)に順次入って、熱交換された後、第1転化チャンバに入り、転化器840内で第1触媒層844aの反応プロセスガス37の温度が415±5℃に達すると、酸化反応を行った。反応を完了したプロセスガスは、温度が555±5℃に達すると、転化器840の第1熱交換管路845aのチューブサイドのガスと熱交換を行い、第2触媒層844bでのプロセスガスの温度が455±5℃に達すると、酸化反応を行い、このように、第1転化チャンバにて第1酸化反応が行われ、第1酸化反応の転化率は96mol%である。第1酸化反応プロセスガス38は、第1外部熱交換器830のチューブサイドを経て熱交換を行った後、温度が150℃以上に制御され、多段吸収塔880の第1段吸収層に入って第1吸収を100wt%硫酸で行い、吸収率は99.99wt%であった。
【0120】
第1吸収を完了したプロセスガスは第2外部熱交換器870及び第1熱交換管路845aに順次入って熱交換を行ってから、第2転化チャンバに入った。第3触媒層844cでの反応プロセスガスの温度が415±5℃に達すると、酸化反応を開始させ、反応を完了した三酸化硫黄含有プロセスガスは、第2熱交換管路845bを経て熱交換を行った後、第4触媒層844dの温度が415±5℃に達すると、酸化反応を開始させ、第2転化チャンバにおいて第2酸化反応を完了し、反応後の4つの触媒層の総転化率は99.92mol%であった。次に、転化器840の第2転化ガス出口からの第2酸化反応プロセスのガス温度を130℃以上に制御して、多段吸収塔880の第2段吸収層に入れて第2吸収を98wt%硫酸で行い、吸収率は99.99wt%であった。
【0121】
第2吸収を完了したプロセスガスを外部に排出し、該排出ガス中、SO濃度は50mg/Nm以下、NO濃度は50mg/Nm以下、酸ミストの濃度は5mg/Nm以下、粒子の濃度は30mg/Nm以下である。
【0122】
図9は、上記の硫黄含有廃棄物処理システムの集塵ユニット200と熱エネルギー回収ユニット300との接続構造を示し、ここで、熱エネルギー回収ユニット300は集塵ユニット200の下流に接続される。前記集塵ユニット200は、並列に配置された少なくとも2つのフィルタ群を含み、前記フィルタ群ごとに2つのフィルタが含まれており、2つのフィルタは、それぞれサイクロン集塵器210及びセラミックメンブランフィルタ220であり、前記セラミックメンブランフィルタ220は前記サイクロン集塵器210の下流に直列接続される。前記サイクロン集塵器210のシェルの材質は高合金鋼である。前記サイクロン集塵器210の内側壁には断熱層及び耐火層が順次設けられ、前記断熱層の材質は軽量キャスタブル及び/又は軽量耐火煉瓦である。前記耐火層の材質は、コランダム煉瓦、コランダムムライト煉瓦、クロムコランダム煉瓦、及び炭化ケイ素から選択される少なくとも1種である。前記サイクロン集塵器の吸気口は螺旋面の吸気構造である。前記サイクロン集塵器の灰排出口は星型アッシュバルブ構造又はオーバーフロースパイラル構造を採用する。前記熱エネルギー回収ユニット300は廃熱ボイラー310と蒸気過熱器320を含み、前記廃熱ボイラー310及び前記蒸気過熱器320はすべて前記集塵ユニット200に連通しており、かつ、前記廃熱ボイラー310と前記蒸気過熱器320は連通しており、これによって、前記廃熱ボイラー310で得られた飽和蒸気は前記蒸気過熱器320に入ることができる。
【0123】
特定の集塵ユニットと熱エネルギー回収ユニットが組み合わされ、サイクロン集塵器の内側壁に特定の断熱層及び耐火層が順次設けられ、また、特定の装置構造及び組み合わせの形態も採用されることによって、温度の高い粉塵含有煙道ガス(例えば硫黄含有廃棄物の高温燃焼分解プロセスにおいて高温分解炉から排出された、温度が900~1200℃と高い二酸化硫黄含有煙道ガス)の設備に対する要件が満たされ、集塵効率が高く、また、粉塵含有高温煙道ガスの集塵装置での熱損失が顕著に低下する。
【0124】
上記の硫黄含有廃棄物処理システムの浄化冷却ユニットは、順次連通している急冷加湿塔400、多段冷却吸収塔500、及び電気デミスター600を含み、前記急冷加湿塔400と前記熱エネルギー回収ユニット300は連通している。
【0125】
図10は急冷加湿塔400の概略図を示す。該急冷加湿塔400は第1塔体410とスプレーアセンブリ420を含み、第1塔体410は、冷却チャンバ411、チャンバ入口412及びチャンバ出口413を含み、チャンバ入口412及びチャンバ出口413は、それぞれ第1塔体410の外壁に設けられ、冷却チャンバ411に連通しており、チャンバ入口412は塔体410の下部に位置し、チャンバ出口413は塔体410の上部に位置する。スプレーアセンブリ420は冷却チャンバ411内に設けられ、スプレーアセンブリ420は第1スプレー口421と第2スプレー口422を含み、第1スプレー口421は、冷却液体を下方にスプレー可能に構成され、第2スプレー口422は、冷却液体を上方にスプレー可能に構成され、第1スプレー口421と第2スプレー口422は互いに反対して設けられる。
【0126】
スプレーアセンブリ420の第1スプレー口421は、冷却液体を下方にスプレー可能に構成され、第2スプレー口422は、冷却液体を上方にスプレー可能に構成され、また、第1スプレー口421と第2スプレー口422は互いに反対して設けられるため、高温プロセスガスがチャンバ入口412から冷却チャンバ411に入ってチャンバ出口130へ流れるときに、第1スプレー口421及び第2スプレー口422によってスプレーされた冷却液体は、それぞれ上方と下方の2つの方向において高温プロセスガスを完全に冷却して降温することができ、また、高温プロセスガスの湿度を向上させ、高温プロセスガスを320~350℃の高温から75~80℃に急冷することができ、これによって、プロセスガスを効率的かつ有効に降温することを実現し、システムに発生した抵抗力は小さく、通常1Kpaであり、これにより、硫黄含有廃棄物の処理周期が短縮される。
【0127】
さらに、急冷加湿塔400は単方向スプレー430をさらに含んでもよく、単方向スプレー430はスプレーアセンブリ420とチャンバ出口413との間に設けられ、単方向スプレー430は冷却液体を下方にスプレー可能に構成され、これにより、冷却効果が高まる。
【0128】
図11は冷却吸収塔500の概略図を示す。該冷却吸収塔は、第2塔体510と、第1吸収層と、第2吸収層と、を含み、第2塔体510は垂直方向に沿って設けられ、垂直方向に延びている冷却吸収チャンバを有し、第2塔体510は、それぞれ冷却吸収チャンバに連通しているガス供給口及びガス排出口を含み、ガス供給口は第2塔体510の下部に設けられ、ガス排出口は第2塔体510の上部に設けられる。第1吸収層と第2吸収層は垂直方向に沿って冷却吸収チャンバ内にスペースを空けて設けられ、ここで、第1吸収層は冷却吸収チャンバ内に吸収液をスプレーすることができる第1スプレー機構520を含み、第2吸収層は冷却吸収チャンバ内に吸収液をスプレーすることができる第2スプレー機構530を含む。
【0129】
第2塔体510は垂直方向に沿って設けられ、垂直方向に延びている冷却吸収チャンバを有するため、該冷却吸収塔の占有面積が減少し、使用コストが低下する。また、冷却吸収チャンバ内には第1吸収層と第2吸収層が垂直方向に沿ってスペースを空けて設けられるので、第1吸収層は冷却吸収チャンバ内に吸収液をスプレーすることができる第1スプレー機構520を含み、第2吸収層は冷却吸収チャンバ内に吸収液をスプレーすることができる第2スプレー機構530を含み、このため、プロセスガスはガス供給口から冷却吸収チャンバに入った後、第1スプレー機構520によってスプレーされた吸収液及び第2スプレー機構530によってスプレーされた吸収液のそれぞれと吸収反応を行い、吸収液はプロセスガス中の三酸化硫黄を十分に吸収し、これにより、プロセスガスを洗浄する効果が得られる。
【0130】
さらに、第2塔体510の冷却吸収チャンバ内にセパレータ513が設けられていてもよく、該セパレータ513によって冷却吸収チャンバは下方から上方へ第1チャンバと第2チャンバに仕切られ、第1吸収層は第1チャンバ内に設けられ、第2吸収層は第2チャンバ内に設けられる。第2塔体510には、吸気口511と、排気口512と、第1チャンバと第2チャンバを連通させる通気口とが開けられ、吸気口511は第1チャンバに連通しており、該第1チャンバの下部に位置し、外部のプロセスガスを受けることに用いられ、排気口512は第2チャンバに連通しており、該第2チャンバの上部に位置し、プロセスガスを下流の工程に排出することに用いられる。第1スプレー機構520及び第2スプレー機構530は、それぞれ第1チャンバ及び第2チャンバ内に吸収液をスプレーするとともに冷凍液をスプレー可能に構成され、冷凍液の温度が冷却液の温度よりも低い。このように構成すると、冷凍液によってプロセスガスの温度をさらに低下できるという利点があり、例えば、冷却液の温度は28~32℃であり、プロセスガスは第1吸収層を経て洗浄され約35℃に降温し、次に、温度7~10℃の冷凍液でさらに降温した後、第2吸収層を経て洗浄され約15℃に降温することができ、これによって、冷却効果が大幅に高まる。
【0131】
冷却液の利用効率を高め、エネルギーを節約し、生産コストを下げるために、冷却吸収塔500は水ポンプ560と冷却器570を含み、これにより、吸収液及び冷凍液は冷却されてから冷却チャンバ内に再循環される。
【0132】
吸収液とプロセスガスとの接触をより十分にするために、第1吸収層は第1パッキン540を含んでもよく、第1スプレー機構520は吸収液を下方にスプレー可能に構成され、第1パッキン540は第1スプレー機構520の下方に設けられる。第2吸収層は第2パッキン550を含んでもよく、第2スプレー機構530は吸収液を下方にスプレー可能に構成され、第2パッキン550は第2スプレー機構530の下方に設けられる。理解すべきことは、パッキンは様々な材質を採用することができ、吸収液とプロセスガスとをさらに十分に接触できればよく、一実施形態では、第1パッキン540及び第2パッキン550はポリプロピレンヘリックスリングである。
【0133】
プロセスガスは、浄化冷却及び乾燥ユニット700による乾燥処理を施された後、酸化吸収ユニット800に導入され、その中の二酸化硫黄が三酸化硫黄に転化され、この三酸化硫黄が吸収されて硫酸になる。図12は酸化吸収ユニット800の概略図を示し、図13は該酸化吸収ユニット800の転化器840の構造概略図である。
【0134】
該酸化吸収ユニット800は転化装置と吸収装置を含み、前記転化装置は乾燥ユニット700に連通しており、乾燥ユニット700で得られた第4ガス中の二酸化硫黄を酸化し、三酸化硫黄含有ガスを得ることに用いられ、前記吸収装置は転化装置に連通しており、三酸化硫黄含有ガスを吸収処理し、硫酸及び排出ガスを得ることに用いられる。具体的には、図示した好適な実施形態では、酸化吸収ユニット800は、第1外部熱交換器830、第2外部熱交換器870、多段吸収塔880、第1熱交換器850、第2熱交換器860、硫酸冷却器890、吸収循環ポンプ、及び第1熱交換管路845aと第2熱交換管路845bに設けられる転化器840を含む。点線は昇温管路を表し、実線はプロセス管路を表し、矢印は昇温時の媒体の流通方向を表し、具体的には、以下のように流通する。プロセスガスは送風機810によって昇温炉820に送られ、その後、第1外部熱交換器830に入り、次に、転化器840に入り、その後、第2外部熱交換器870に入り、最後に、第2熱交換器860を経て送風機810に戻り、このように、循環が完了する。この昇温過程においては、媒体は送風機810、昇温炉820及び転化器840内を循環し、多段吸収塔880に入らず、昇温管路及びプロセス管路は一部が重なるが、プロセスの正常な流れに影響しない。
【0135】
図13に示す転化器840は、転化器ハウジング841と、触媒層アセンブリと、熱交換管路845a、845bと、を含み、転化器ハウジング841の内部に転化チャンバを有し、転化器ハウジング841には、それぞれ転化チャンバに連通している転化ガス入口842a、842b及び転化ガス出口843a、843bが開けられ、触媒層アセンブリは少なくとも2つの触媒層844a、844b、844c、844dを含み、複数の触媒層は転化チャンバ内に設けられ、プロセスガスの流れ方向にスペースを空けて配置され、熱交換管路845a、845bの数と触媒層844a、844b、844c、844dの数とが一致し、熱交換管路は転化チャンバに少なくとも部分的に位置し、隣接する2つの触媒層の間に設けられる。熱交換管路は転化チャンバに位置するように構成され、隣接する2つの触媒層の間に設けられることによって、占有空間を大幅に小さくし、使用コストを効果的に下げることができる。
【0136】
具体的には、該転化器840は、転化器ハウジング841内に形成された第1転化チャンバと第2転化チャンバ、第1触媒層844a、第2触媒層844b、第3触媒層844c、第4触媒層844d、第1転化ガス入口842a、第2転化ガス入口842b、第1転化ガス出口843a及び第2転化ガス出口843bを含み、第1転化ガス入口842aと第1転化ガス出口843aはすべて第1転化チャンバに連通しており、これにより、プロセスガスは第1転化ガス入口842aから第1転化ガス出口843aに流れることができ、第2転化ガス入口842bと第2転化ガス出口843bはすべて第2転化チャンバに連通しており、これにより、プロセスガスは第2転化ガス入口842bから第2転化ガス出口843bに流れることができ、第1触媒層844aと第2触媒層844bはすべて第1転化チャンバ内に設けられ、プロセスガスの流れ方向にスペースを空けて設けられ、第3触媒層844cと第4触媒層844dはすべて第2転化チャンバ内に設けられ、プロセスガスの流れ方向にスペースを空けて配置される。
【0137】
本発明では、プロセスガスは、第1転化ガス入口842aから第1転化チャンバに入り、まず、第1触媒層844aと反応し、次に、第2触媒層844bと反応し、反応完了後、第1転化ガス出口843aから外部の熱交換器に直接入り、反応を完了した三酸化硫黄含有プロセスガスは、外部の熱交換器で熱交換されることにより温度が150℃以上に制御され、次に、多段吸収塔の第1段に入る。一次転化の転化率は95~96%であり、100wt%硫酸で吸収されたところ、吸収率は99.99%である。吸収を完了したプロセスガスは、さらに外部の熱交換器を順次通過して熱交換を行い、熱交換後のプロセスガスは、温度が415~420℃に達し、第2転化ガス入口842bから第2転化チャンバに入り、まず、第3触媒層844cと反応し、反応を完了した三酸化硫黄含有プロセスガスは、第2熱交換管路845bで熱交換されてから、第4層触媒層844dと反応し、反応後のプロセスガスは、温度が130℃以上に制御され、第2転化ガス出口843bから多段吸収塔の第2段に入る。吸収率は99.99%であり、吸収を完了したプロセスガスは外部に排出され、SO濃度は50mg/m以下、NO濃度は100mg/m以下、酸ミストは5mg/m以下、粒子濃度は30mg/m以下である。このため、本発明の転化器には、転化効率が高い利点がある。
【0138】
転化チャンバ内に各触媒層を安定的に設けるために、本発明の一実施形態では、転化器840は、第1触媒層844a、第2触媒層844b、第3触媒層844c及び第4触媒層844dにそれぞれ対応する複数の支持アセンブリを含み、支持アセンブリは格子板846を含み、格子板846の縁部が転化器ハウジング841の内側壁に接続されて触媒層を支持する。さらに、支持アセンブリは、触媒層の格子板846から離れた側に設けられる耐熱性セラミックボール847を含む。本発明では、耐熱性セラミックボール847の主な作用は、触媒層を押えて触媒層を格子板846上に平坦に被覆し、触媒層が気流により吹き飛ばされて飛散することを防止する。また、耐熱性セラミックボール847は、これを経るプロセスガスと熱交換を行い、プロセスガスの温度を、触媒層と反応するのに適切な温度に下げる一方、プロセスガス中の不純物粒子を吸収し、浄化の作用を果たすことができる。
【0139】
上記の反応炉アセンブリ及び硫黄含有廃棄物処理システムに基づいて、本発明はまた、硫黄含有廃棄物の燃焼方法、及び硫黄含有廃棄物再生による硫酸製造方法を提供する。燃焼対象の硫黄含有廃棄物は、廃硫酸、硫黄含有廃液や硫黄含有廃ガスなどであってもよく、燃料は天然ガス、硫黄、液化炭化水素、硫化水素や重油有機物から選択された少なくとも1種であってもよい。燃焼によるプロセスガスでは、二酸化硫黄の含有量は3~12mol%であり、NOの含有量は100mg/m以下、酸素の含有量は0.5~5mol%である。
【0140】
以上は図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の技術構想範囲内で本発明の技術案について各種の簡単な変形を行うことができ、不要な重複をしないように、本発明では、各種の可能な組み合わせについて別途説明しない。ただし、これらの簡単な変形及び組み合わせも本発明の開示内容とみなすべきであり、すべて本発明の特許範囲に属する。
【0141】
〔符号の説明〕
100 反応炉アセンブリ
110 反応炉体
111 火炉
112 燃料ガス入口
113 プロセスガス出口
114 第1助燃空気入口
115 第2助燃空気入口
116 液体スプレーガン
120 加熱装置
121 加熱ハウジング
122 電熱機構
123 加熱チャンバ
124 加熱ガス入口
125 加熱ガス排出口
130 送風機
200 集塵ユニット
210 サイクロン集塵器
220 セラミックメンブランフィルタ
300 熱エネルギー回収ユニット
310 廃熱ボイラー
320 蒸気過熱器
400 急冷加湿塔
410 第1塔体
411 冷却チャンバ
412 チャンバ入口
413 チャンバ出口
420 スプレーアセンブリ
421 第1スプレー口
422 第2スプレー口
430 単方向スプレー
500 冷却吸収塔
510 第2塔体
511 吸気口
512 排気口
513 セパレータ
520 第1スプレー機構
530 第2スプレー機構
540 第1パッキン
550 第2パッキン
560 水ポンプ
570 冷却器
600 電気デミスター
700 乾燥ユニット
800 酸化吸収ユニット
810 送風機
820 昇温炉
830 第1外部熱交換器
840 転化器
841 転化器ハウジング
842a 第1転化ガス入口
842b 第2転化ガス入口
843a 第1転化ガス出口
843b 第2転化ガス出口
844a 第1触媒層
844b 第2触媒層
844c 第3触媒層
844d 第4触媒層
845a 第1熱交換管路
845b 第2熱交換管路
846 格子板
847 耐熱性セラミックボール
850 第1熱交換器
860 第2熱交換器
870 第2外部熱交換器
880 多段吸収塔
890 硫酸冷却器
【図面の簡単な説明】
【0142】
図1】本発明の一実施形態における反応炉アセンブリの概略図である。
図2】本発明の反応炉アセンブリの火炉の側面図である。
図3】本発明の反応炉アセンブリの火炉の正面図である。
図4】本発明の反応炉アセンブリの加熱装置の概略図である。
図5】本発明の一実施例による硫黄含有廃棄物処理システムの反応炉燃焼制御方法のフローチャートである。
図6】本発明の一実施例による硫黄含有廃棄物処理システムの反応炉燃焼制御方法のフローチャートである。
図7】本発明の実施例による硫黄含有廃棄物処理システムのプロセス流れの概略図である。
図8】本発明の硫黄含有廃棄物再生による硫酸製造方法のフローチャートである。
図9】集塵ユニット及び熱エネルギー回収ユニットの概略図である。
図10】急冷加湿塔の概略図である。
図11】冷却吸収塔の概略図である。
図12】酸化吸収ユニットの概略図である。
図13】転化器の概略図である。
図1
図2
図3
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図5
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図10
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図12
図13
【国際調査報告】