(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】飲料供給アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B67D 1/04 20060101AFI20231107BHJP
B67D 1/08 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
B67D1/04 F
B67D1/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525085
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 NL2021050650
(87)【国際公開番号】W WO2022093018
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591211799
【氏名又は名称】ハイネケン サプライ チェーン ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】Heineken Supply Chain B.V.
【住所又は居所原語表記】Tweede Weteringplantsoen21 1017 ZD Amsterdam The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・アンリ・サミュエル・ウィグマン
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス・ヨハンネス・コルネリス・カウテルス
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB03
3E082CC01
3E082EE02
3E082FF05
(57)【要約】
飲料供給アセンブリは、飲料を収容するための飲料チャンバを画定する容器本体を有する、飲料容器であって、容器本体は、飲料出口の開口を可能にするように構成された飲料容器シーリング部材を備えた飲料出口を備えた飲料容器を備える。飲料供給ラインは、飲料容器と、ディスペンサの供給出口において飲料を供給するためのディスペンサとの間を延びる。カプラデバイスは、容器本体に取り外し可能に結合されると共に飲料供給ラインの第2の飲料導管に結合されており、飲料供給ラインの第1の飲料導管は、飲料容器とカプラデバイスとの間を延びる。第1の飲料導管は、その第1の端部において、飲料容器シーリング部材をカバーするように飲料容器にぴったりと配置されたアダプタ本体を備える。ピストンは、アダプタ本体に作用するようにカプラデバイスに可動に配置されており、アダプタ本体は、起動時にピストンが飲料容器シーリング部材に飲料出口を開口させて飲料チャンバと第1の飲料導管との間の流体接続を設けることによって、飲料容器シーリング部材を開口するように構築されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料、特にアルコールフリービールなどのアルコールフリー飲料を収容するための飲料チャンバを画定する容器本体を有する、飲料容器であって、前記容器本体は、飲料出口の開口を可能にするように構成された飲料容器シーリング部材を備えた前記飲料出口を備える、飲料容器と、
前記飲料容器と、ディスペンサの供給出口において前記飲料を供給するためのタップハンドル付き水栓などの前記ディスペンサと、の間を延びる、飲料供給ラインと、
前記容器本体に取り外し可能に結合すると共に前記飲料供給ラインに結合するように構成されたカプラハウジングを備える、カプラデバイスであって、前記カプラハウジングは、前記飲料容器シーリング部材に前記飲料出口を開口させて前記飲料チャンバと前記飲料供給ラインとの間に流体接続を設けるためのピストンが可動に配置された、ピストン空間を画定する、カプラデバイスと、
を備える、飲料供給アセンブリであって、
前記飲料供給ラインは、第1の飲料導管と、前記第1の飲料導管とは別個の第2の飲料導管と、を備え、前記飲料出口と流体連絡する前記飲料容器に接続された第1の端部および前記カプラデバイスに接続された第2の端部を有する前記第1の飲料導管は、前記飲料出口が開口しているときに前記飲料チャンバから前記カプラデバイスに飲料の流れを案内するように構成された第1の飲料流路の少なくとも一部分を形成し、前記カプラデバイスに接続された前記第2の飲料導管は、前記カプラデバイスから前記ディスペンサに飲料の流れを案内するように構成された第2の飲料流路を形成し、前記第1の飲料導管は、その前記第1の端部において、前記第1の飲料流路が通って延びるアダプタ本体を備え、前記アダプタ本体は、前記飲料容器シーリング部材をカバーするように前記飲料容器にぴったりと配置され、前記アダプタ本体は、前記カプラデバイスの前記ピストンの動きが前記アダプタ本体に作用するときに、前記飲料容器シーリング部材を開口するように構築されている、飲料供給アセンブリ。
【請求項2】
前記飲料容器シーリング部材は、前記飲料出口において前記飲料チャンバが閉止された閉位置と、前記飲料チャンバが飲料の供給のために開口された開位置と、の間で可動に配置された飲料バルブを備える、請求項1に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項3】
前記アダプタ本体は、前記飲料容器の前記飲料出口に封止状態で配置された環状フランジを備え、前記アダプタ本体は突出部材を備え、前記突出部材は、前記環状フランジから軸方向に延び、前記カプラデバイスの前記ピストンの動きが前記アダプタ本体に作用して前記飲料チャンバの開閉のために前記シーリング部材に係合するときに、軸方向に変位するように構成されている、請求項1または請求項2に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項4】
前記アダプタ本体はガス流動チャネルを備え、前記ガス流動チャネルは、前記環状フランジを通って、前記カプラデバイスの前記ピストンを向いた前記アダプタ本体の第1の面にあるガス入口開口部から、前記飲料チャンバを向いた前記アダプタ本体の第2の面にあるガス出口開口部まで延びる、請求項3に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項5】
前記カプラデバイスはガス流路を備え、前記ガス流路は、前記飲料容器にガスを支給するために、前記カプラデバイスにガス導管を結合するように構成されたガス導管入口開口部から、前記アダプタ本体の前記ガス入口開口部と流体連絡するガス出口開口部まで延びる、請求項4に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項6】
前記ガス流路は、前記入口開口部から前記可動ピストンを通って前記ガス出口まで延びる、請求項5に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項7】
前記カプラデバイスは、前記カプラハウジングの内側に冷却体を備え、前記冷却体は、前記第1の飲料導管が前記カプラデバイスに結合されているときに、前記第1の飲料導管の少なくとも一部分を冷却するために、前記第1の飲料導管と熱接続するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項8】
前記冷却体は、前記第1の飲料導管の前記少なくとも一部分に隣接する冷却面を有する冷却プレートを備える、請求項7に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項9】
前記第1の飲料導管の前記少なくとも一部分は、導管渦巻きセクションを備え、前記導管渦巻きセクションは、少なくとも前記導管渦巻きセクションを冷却するために前記冷却プレート冷却面に隣接する面において渦巻き状になっている、請求項8に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項10】
前記冷却プレートは、実質的に金属または金属と同様の熱伝導率特性を有する他の材料から作製され、好ましくは、実質的にニッケルめっき黄銅から作製されている、請求項7~9のいずれか一項に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項11】
前記アセンブリはさらに、前記冷却体を冷却するために、冷却剤流体を冷却剤流体源から前記冷却体に沿って循環させるための冷却剤回路を備える、請求項7~10のいずれか一項に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項12】
前記冷却剤回路は、前記カプラハウジングの内側で前記冷却体に隣接した冷却剤チャンバを含み、前記冷却剤チャンバは、前記冷却剤チャンバに前記冷却剤を支給するために、一端が前記冷却剤流体源に結合され、反対側の端部が前記カプラデバイスに結合された、前記冷却剤回路の冷却剤支給チャネルと流体連絡している、請求項11に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項13】
前記カプラデバイスは、前記冷却剤回路の前記冷却剤チャンバから冷却剤回収チャネルに前記冷却剤を排出するための冷却剤排出チャネルを含む、請求項12に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項14】
前記冷却剤回収チャネルは、一端が前記カプラデバイスに、反対側の端部が前記冷却剤流体源に結合されており、前記冷却剤支給チャネルおよび前記冷却剤回収チャネルのうちの少なくとも一方は、前記第2の飲料導管を通る飲料の流れを冷却するために、前記第2の飲料導管と同軸上を少なくとも部分的に延びる、請求項13に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項15】
前記カプラデバイスは、前記カプラデバイスと前記第1の飲料導管の前記第1の端部との間の接続を固定するための固定機構を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項16】
前記カプラデバイスは、前記ピストン空間において、前記ピストンが前記アダプタ本体に作用しない開栓解除位置と、前記ピストンが前記アダプタ本体に作用して前記飲料容器シーリング部材を開口する開栓位置と、の間を動くように前記可動ピストンを起動するための、前記可動ピストンに結合された開栓レバーを備え、前記カプラデバイスは、前記開栓レバーが前記ピストンを起動するのを防止するように構成された第1のブロッキング機構を備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項17】
前記第1のブロッキング機構は、前記開栓解除位置から前記開栓位置までの前記可動ピストンの動きをブロックするブロッキング状態と、前記開栓解除位置から前記開栓位置までの前記可動ピストンの移動が前記開栓レバーの起動によって可能であるブロッキング解除状態と、の間を動くように構成された、第1のブロッキング本体を備える、請求項16に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項18】
前記固定機構は、前記カプラデバイスと前記第1の飲料導管の前記第1の端部との接続が固定された固定状態と、前記カプラデバイスと前記第1の飲料導管の前記第1の端部との間の前記接続が固定解除された固定解除状態と、を含み、前記固定機構は、前記固定機構を固定状態にするときは前記第1のブロッキング機構がブロッキング解除状態にされ、前記固定機構を前記固定解除状態にするときは前記第1のブロッキング機構が前記ブロッキング状態にされるようにして、前記第1のブロッキング機構に動作可能に結合されている、請求項15および請求項16~17のいずれか一項に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項19】
前記固定機構は、前記カプラデバイスと前記第1の飲料導管の前記第1の端部との間の接続の存在を検出するための検出器機構を備え、前記検出器機構は、前記検出器機構が前記接続の存在を検出した場合には、前記検出器機構が前記固定機構を前記固定状態にできるようにして前記固定機構と協働するように、かつ前記検出器機構が前記接続の不存在を検出した場合には、前記検出器機構が、前記固定機構が前記固定状態にされることを含まないようにして前記固定機構と協働するように構築されている、請求項18に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項20】
前記第1の飲料導管の前記第1の端部は、前記第1の飲料導管を前記カプラデバイスに接続するように構成された接続部本体を備え、前記接続部本体は、前記第1の飲料導管の前記第1の端部が前記カプラデバイスに接続されて、前記固定機構を前記固定状態にするときに、そのことが前記検出器機構によって検出されるように構成された検出部材を備える、請求項19に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項21】
前記固定機構は、前記カプラハウジングに結合された可動の固定部本体、好ましくは、枢動式のドアを備え、前記可動の固定部本体は、閉状態のときは、前記可動のカバー本体と前記カプラハウジングとの間に画定された空間を囲み、開状態のときは、前記空間へのアクセスを提供し、前記第1の飲料導管の前記第1の端部は、前記カプラデバイスに接続されているときに前記空間に嵌まるように構成されている、請求項15~20のいずれか一項に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項22】
前記カプラデバイスは、前記第1の飲料流路と前記第2の飲料流路と間にバルブ、好ましくはボールバルブを備え、前記バルブは、前記バルブが前記第1の飲料流路と前記第2の飲料流路との間の流体連絡を開く開位置と、前記バルブが前記第1の飲料流路と前記第2の飲料流路との間の流体連絡を止める閉位置と、の間で前記バルブを動かすように、バルブ動作デバイスによって動作可能である、請求項1~21のいずれか一項に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項23】
前記カプラデバイスは、前記バルブが前記開状態にある場合に、前記開栓位置から前記開栓解除位置までの前記可動ピストンの起動をブロックするための第2のブロッキング機構を備える、請求項16~21のいずれか一項および請求項22に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項24】
前記第2のブロッキング機構は、前記第2のブロッキング機構が前記ピストンの前記起動をブロックするブロッキング状態と、前記第2のブロッキング機構が前記ピストンの前記起動をブロック解除して、前記開栓レバーの起動によって前記開栓位置から前記開栓解除位置までの前記ピストンの動きを可能にする、ブロッキング解除状態と、の間を動くことができ、前記第2のブロッキング機構は、前記バルブを前記開位置から前記閉位置まで動かすことによって、前記ブロッキング状態から前記ブロッキング解除状態まで動くことができ、前記第2のブロッキング機構は、前記バルブを前記閉位置から前記開位置まで動かすことによって、前記ブロッキング解除状態から前記ブロッキング状態まで動くことができる、請求項23に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項25】
前記カプラデバイスは、前記開栓ピストンが前記開栓位置にある場合に、前記閉位置から前記開位置までの前記バルブの動作をブロックするように構成された第3のブロッキング機構を備える、請求項23~24のいずれか一項に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項26】
前記第1のブロッキング本体は、前記第1のブロッキング本体の前記ブロッキング解除状態では、前記可動ピストンの一部分の断面形状と位置合わせして前記可動ピストンの前記部分が前記貫通孔内に延びることを可能にし、前記第1のブロッキング本体が前記ブロッキング状態にあるときに、前記可動ピストンが動くことを物理的にブロックするように構築された、成形貫通孔を備える、請求項17~25のいずれか一項に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項27】
前記第2のブロッキング機構は、前記第2のブロッキング機構の前記ブロッキング状態において、前記ピストンに係合して前記開栓位置から前記開栓解除位置までの前記ピストンの動きをブロックするように構成された第2のブロッキング本体を備え、前記第2のブロッキング本体は、前記第2のブロッキング本体の前記ブロッキング解除状態では、前記可動ピストンの一部分の断面形状と位置合わせして、前記可動ピストンの前記部分が前記第2の貫通孔内に延びることを可能にし、前記第2のブロッキング本体が前記ブロッキング状態にあるときは、前記可動ピストンが動くことを物理的にブロックするように構築された、第2の成形貫通孔を備える、請求項23~26のいずれか一項に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項28】
前記ピストンは、前記第1のブロッキング構造および/または前記第2のブロッキング構造と協働するように構築されたショルダーを備える、請求項26または請求項26に従属した請求項27に記載の飲料供給アセンブリ。
【請求項29】
請求項1~28のいずれか一項に記載の飲料供給アセンブリにおいて使用するためのカプラデバイスであって、請求項1~28のいずれか一項に記載されているようなカプラデバイスによる、カプラデバイス。
【請求項30】
請求項1~26のいずれか一項に記載の飲料供給アセンブリにおいて第1の飲料導管として使用するための飲料導管であって、前記飲料導管は、第1の飲料流路を画定し、前記飲料供給アセンブリの飲料容器に結合するための第1の端部と、カプラデバイスに結合するための反対側の第2の端部と、を備え、前記第1の端部は、前記第1の飲料流路が通って延びるアダプタ本体を備え、前記アダプタ本体は、飲料容器シーリング部材をカバーするように前記飲料供給アセンブリの飲料容器の飲料出口に嵌まるように構築されており、前記飲料導管の前記第2の端部は、前記カプラデバイスに接続するための導管接続部本体内の面において渦巻き状になっている導管渦巻きセクションを備える、飲料導管。
【請求項31】
前記第1の端部および前記第2の端部は、飲料アセンブリにおいて使用される前に、手で除去できるシールを用いて封止されている、請求項30に記載の飲料導管。
【請求項32】
前記飲料導管は、前記アダプタ本体と前記接続部本体との間を延びる可撓性のプラスチック飲料チューブを備える、請求項30または請求項31に記載の飲料導管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料供給アセンブリに関する。本発明はさらに、飲料供給アセンブリにおいて使用されるカプラデバイスに関する。本発明は、飲料供給アセンブリにおいて使用される飲料導管にも関する。
【背景技術】
【0002】
あらゆる種類の飲料を供給するために利用できる多種多様な飲料供給アセンブリがある。バーおよびレストランなどの飲食サービス施設および接客業において飲料を供給するために使用されることが多い、一般的な飲料供給アセンブリは、飲料を収容する飲料容器と、その飲料容器と、ディスペンサの供給出口において飲料を供給するためのタップハンドル付きの水栓などのディスペンサと、の間を延びる、飲料供給ラインと、を備え、カプラデバイスが、飲料供給ラインを飲料容器に結合するように構成されており、カプラデバイス内のピストンは、飲料容器シーリング部材を開口させて飲料容器と飲料供給ラインとの間に流体接続を提供するように可動に配置されている。したがって、公知の飲料供給アセンブリの場合は、まず、カプラデバイス内のピストンを起動して飲料容器シーリング部材を開口させること、いわゆる飲料容器の開栓によって飲料を供給することができる。開栓後は、飲料容器に収容された飲料は、開口されたシーリング部材を越えてカプラデバイスを通って飲料供給ライン中に自由に流れて、通常はディスペンサに設けられている供給バルブに達することができる。ディスペンサは、供給バルブを開閉するように所望の通りに動作でき、供給バルブが開かれると、ある量の飲料が飲料容器からカプラデバイスおよび供給ラインを通って流れて、飲み物のグラスまたはカップなど適切な入れ物に飲料を供給するためのディスペンサの供給開口部に達することができる。
【0003】
供給アセンブリは、その使用耐用年数の間に、供給アセンブリの環境に存在する微生物に曝露される。それらの微生物は、例えば飲料容器の交換の間に、特に供給ラインに侵入するリスクをもたらす。続いて、新たな量の飲料を保持する新規の飲料容器にカプラデバイスを結合するときに、このような微生物は、供給ラインから、飲料容器に維持された飲料中に移動する可能性があり、そのような飲料は、微生物が増殖によって急速に広がるのに適切かつ十分な栄養源を形成している。その結果、飲料容器に収容されたこのような飲料の保存期間、すなわち容器内の飲料が通常通りに適切に消費される期間が短くなる可能性があり、かつ/またはそうではなく飲料が早く品質低下する可能性がある。さらに、飲料が体積百分率で低アルコールであるかもしくは完全にアルコールフリーであり、かつ/または何らかのアルコールフリービールなど糖含量が比較的高い場合は、その飲料は野生酵母などの発酵微生物による汚染を特に受けやすく、そのことから、発酵のせいで飲料のアルコール含有量の望ましくない上昇につながることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料の品質低下を減速させる飲料供給アセンブリを提供することが、本発明の一目的である。具体的には、このような飲料供給アセンブリの飲料容器に収容された飲料の微生物汚染を防ぐことが本発明の一目的である。詳細には、飲料供給ラインからこのような飲料供給アセンブリの飲料容器中への流体および微生物の逆流を防ぐことが本発明の一目的である。より詳細には、飲料容器を冷却する必要なしに、飲料容器に収容された飲料におけるアルコール形成を防ぐ飲料供給アセンブリを提供することが本発明の一目的である。本発明は、このような飲料供給アセンブリにおいて使用するためのカプラデバイスを提供するという別の目的を有する。さらに、本発明は、このような飲料供給アセンブリにおいて使用するための適切な飲料導管を提供するという目的を有する。より詳細には、飲料容器を冷却する必要なしに、飲料供給アセンブリの飲料容器におけるアルコール形成を防ぐ、このような飲料供給アセンブリにおいて使用するための飲料導管を提供することが本発明の一目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の第1の態様では、飲料、例えばアルコールフリービールなどのアルコールフリー飲料を収容するための飲料チャンバを画定する容器本体を有する、飲料容器であって、容器本体は、飲料出口の開口を可能にするように構成された飲料容器シーリング部材を備えた飲料出口を備える、飲料容器と、その飲料容器と、ディスペンサの供給出口において飲料を供給するためのタップハンドル付き水栓などのディスペンサと、の間を延びる、飲料供給ラインと、容器本体に取り外し可能に結合すると共に飲料供給ラインに結合するように構成されたカプラハウジングを備える、カプラデバイスであって、カプラハウジングは、飲料容器シーリング部材に飲料出口を開口させて飲料チャンバと飲料供給ラインとの間に流体接続を設けるためのピストンが可動に配置された、ピストン空間を画定する、カプラデバイスと、を備える、飲料供給アセンブリであって、飲料供給ラインは、第1の飲料導管と、第1の飲料導管とは別個の第2の飲料導管と、を備え、飲料出口と流体連絡する飲料容器に接続された第1の端部およびカプラデバイスに接続された第2の端部を有する第1の飲料導管は、飲料出口が開口しているときに飲料チャンバからカプラデバイスに飲料の流れを案内するように構成された第1の飲料流路の少なくとも一部分を形成し、カプラデバイスに接続された第2の飲料導管は、カプラデバイスからディスペンサに飲料の流れを案内するように構成された第2の飲料流路を形成し、第1の飲料導管は、その第1の端部において、第1の飲料流路が通って延びるアダプタ本体を備え、アダプタ本体は、飲料容器シーリング部材をカバーするように飲料容器にぴったりと配置され、アダプタ本体は、カプラデバイスのピストンの動きがアダプタ本体に作用するときに、飲料容器シーリング部材を開口するように構築されている、飲料供給アセンブリが提供される。
【0006】
この第1の態様の飲料供給アセンブリは、飲料容器シーリング部材の開口のときの、飲料容器とカプラデバイスとの間の直接的な流体交換を防ぐ、すなわち、流体および起こり得る汚染は、まず、飲料容器とカプラデバイスとの間を延びる第1の飲料導管を通る距離を進まなければならない。これは、特に、通常は供給ラインにおける微生物の侵入の主な「ホットスポット」であるカプラデバイスから、飲料チャンバに維持されている飲料まで、微生物が進む距離を増大させる。飲料容器を開栓するために使用されるカプラデバイスのピストンは、第1の飲料導管のアダプタ本体がピストンと飲料容器の飲料出口との間に事実上の流体バリアを形成するため、飲料容器に収容された飲料の汚染源となる可能性はない。したがって、侵入された供給ラインに結合するときに飲料チャンバの飲料がほぼ即座の汚染されることが防止される。
【0007】
飲料容器シーリング部材は、使用前に飲料チャンバを流体密に封止する任意の適切な手段を備えることができる。例えば、飲料容器シーリング部材は流体密のカバーまたはシールでよく、それは、カプラデバイスのピストンの動きがアダプタ本体に作用するときに、アダプタ本体によるカバーもしくはシールの穿孔またはカバーもしくはシールの少なくとも一部の除去による飲料出口の開口を可能にする。しかし、好ましい態様において、飲料供給アセンブリは飲料容器シーリング部材を有し、飲料容器シーリング部材は、飲料出口に配置され、飲料チャンバが閉止された閉位置と、飲料チャンバが飲料の供給のために開口された開位置と、の間を動くことができる、飲料バルブを備える。例えば、飲料バルブは、枢動可能および/または並進可能な弁体、例えば、薄い金属プレートを備えることができ、その弁体は、弁体を外側の端部で押すピストンなど、それに作用するピストンによって、閉位置から開位置に動くことができる。任意選択で、飲料バルブは、開位置から閉位置に戻るように構成することができる。例えば、飲料バルブは、飲料バルブを閉位置に付勢するばねを備えることができる。
【0008】
第1の飲料導管は、特に、飲料容器に収容された飲料の保存期間が少なくともほとんど影響を受けないままであり、そうでないなら飲料容器を冷却する必要なしに飲料が早く品質低下されないように構成されている。好ましくは、第1の飲料導管は、微生物が飲料チャンバ中に移動することを完全に防止するように構成されている。
【0009】
第1の飲料導管は、使用時に飲料チャンバからカプラデバイスまで水平または下向きの流動方向に延びる第1の飲料流路の少なくとも一部分を形成するように構成することができる。容器からカプラデバイスまでの流動方向において水平にまたは下向きに延びる供給ラインのこのような飲料流路は、飲料チャンバ中への微生物の動きを重力が助けないため、飲料流路を通って反対方向に、すなわち水平または上向きに移動することはそれによって微生物の増殖による広がりに完全に依存するようにされるので、微生物の移動率の低下に効果的である。このように、流動チャネルは、第1の飲料導管の下流から飲料チャンバに向かう第1の飲料導管の上流方向への微生物の移動に対するバリア手段として働く。微生物は、特に、容器に到達するために、重力に抗して水平または上向き方向に第1の飲料導管の長さを通って移動する必要がある。使用時に、飲料供給アセンブリは、カプラデバイスに微生物が含まれているときに飲料の品質低下が起こる前に飲料の全量を平均的な消費速度で消費可能にする、すなわち、微生物汚染による飲料の早期品質低下が防止されるように、飲料チャンバの飲料の汚染を十分に妨害または減少させる。典型的には、飲料供給アセンブリにおいて、飲料容器はディスペンサの下方に設けられる。例えば、飲料容器は、バーカウンターの下に設けられることがあり、ディスペンサはカウンターの上方に設けられる。そのような場合は、供給ラインの流路は、容器からディスペンサに向かう流動方向に対して上向きに延びる。その代わりに、カプラデバイスの上流で第1の飲料導管に下向きに延びる流路を設けることによって、カプラデバイスおよび/または供給ラインの第2の飲料導管に侵入できた微生物は、飲料容器の飲料チャンバから離れた位置で、供給ラインの低い領域に、例えば、局所的に最小の領域に沈殿する。水平または下向きに延びる流路は、第1の飲料導管の全長にわたって設けられてもよく、第1の飲料導管の一部分であり、その他の部分が別の方向、例えば、飲料チャンバから結合手段まで上向きの流動方向に延びていてもよい。
【0010】
本明細書において、第1の態様の飲料供給アセンブリにおいて使用するのに適した飲料容器の一実施形態では、第1の飲料導管は、容器本体に封止状態で取り付けられており、そうすることで、容器本体と第1の飲料導管との間の取付けインターフェースを通して微生物が飲料チャンバ中に入ることが防止されている。例えば、第1の飲料導管は、容器本体とまたはその少なくとも一部分と一体にできる。任意選択で、第1の飲料導管は、飲料容器と一緒に予め組み立てることができ、例えば、アダプタ本体が飲料容器出口に封止状態で固定される。そうすることで、容器本体および第1の飲料導管を通る微生物による飲料チャンバへの直接的な侵入が防止され、第1の飲料導管は、飲料容器をカプラデバイスに結合させるときに飲料チャンバ中に微生物が移動することに逆らうように働く。
【0011】
飲料供給アセンブリの一態様において、アダプタ本体は、飲料容器の飲料出口に封止状態で配置された環状フランジを備え、アダプタ本体は突出部材を備え、突出部材は、環状フランジから軸方向に延び、カプラデバイスのピストンがアダプタ本体に作用する位置まで動いて飲料チャンバの開閉のためにシーリング部材に係合するときに軸方向に変位するように構成されている。したがって、アダプタ本体は、飲料チャンバ飲料出口とカプラデバイスのピストンとの間に介在して、カプラデバイスと飲料出口から流出する飲料との間の直接的な接触を防止する。
【0012】
第1の飲料導管は、好都合には、飲料流路を画定するチューブを備えることができ、そのチューブは、一端がアダプタ本体によって容器本体に取り付けられており、チューブの反対側の端部が、カプラデバイスに結合するための結合手段を備える。第1の飲料導管または少なくともチューブは、容器本体とは別個の本体でよく、例えば使い捨ての本体として設計できる。使い捨てであることは、第1の飲料導管またはチューブは製造が比較的廉価かつ/または簡単であり、その使用後に捨てられる、例えば廃棄できることを示唆していることがある。したがって、第1の飲料導管またはチューブは、全体的に飲料供給アセンブリに適したポリマー、例えばシリコーンから作製できる。このように、第1の飲料導管は、プラスチックチューブを含んでもよく、プラスチックチューブから作製されてもよい。第1の飲料導管は、任意選択で、リサイクルできるかまたはリサイクル可能な材料から作製できる。第1の飲料導管は、反対側の端部に、カプラデバイスを冷却する冷却手段を備えることができる。例えば、結合手段は、カプラデバイス対応するスナップ嵌め手段に結合するためのスナップ嵌めコネクターを備えることができる。任意選択で、第1の飲料導管の反対側の端部は、使用前に第1の飲料流路の開口端を流体密に封止する、流体シール、例えば、剥離シールまたは除去可能なカバーを備えることができる。使用時に、すなわち、第1の飲料導管をカプラデバイスに接続するときに、流体シールは開口または除去されて、第1の飲料流路からカプラデバイスへの飲料の流れが可能になる。
【0013】
任意選択で、第1の飲料導管と容器本体との間に設けられた結合インターフェースは、第2の飲料導管とカプラデバイスとの間の結合インターフェースとは異なっており、そのため、供給ラインの第2の飲料導管を容器本体に第1の飲料導管およびカプラデバイスなしで直接的に結合することができない。
【0014】
好ましくは、飲料供給アセンブリは、容器本体に取り付けられた第1の飲料導管を備える飲料容器を、第2の飲料導管に接続されたカプラデバイスに結合することによって設けられる。飲料容器を形成するために、第1の飲料導管および容器本体は予め組み立てられていてよい。第1の飲料導管および容器本体は、それらを予め組み立てた後に殺菌されてもよく、および/または好ましくは殺菌した環境で予め組み立てられる。好ましくは、第1の飲料導管および容器本体は、それらをカプラデバイスおよびディスペンサに結合して飲料供給アセンブリを形成するまで、殺菌状態に維持されており、すなわち、環境から閉鎖されている。例えば、第1の飲料導管の結合自由端は、結合前は、例えばシールによって閉じられていてよい。飲料容器とカプラデバイスとの間に第1の飲料導管を結合した後に第1の飲料流路を通る飲料の流れを可能にするように、第1の飲料導管のそれぞれの端部にあるシールは少なくとも部分的に開口可能または除去可能であってよい。各シールは、例えば、第1の飲料導管のそれぞれの結合自由端にそれを全体に覆って取り付けられたホイルを備えることができる。ホイルは、例えば、飲料容器もしくはカプラデバイスに結合するときに孔が開けられてよく、または、飲料容器もしくはカプラデバイスに結合する前に第1の飲料導管の結合端部から手で剥離されて、第1の飲料導管を通る第1の飲料流路を開くことができる。
【0015】
第2の飲料導管は、例えば、供給開口部を含む水栓などのディスペンサに接続された標準的なビールチューブによって形成できる。第2の飲料導管は、ディスペンサに取り外し可能に接続できる。第2の飲料導管およびディスペンサは予め組み立てることができる。
【0016】
前述の事項による飲料供給アセンブリは、バーなどにあるような現行のディスペンサに現地で飲料容器を結合および結合解除する、すなわち交換することを可能にし、カプラデバイス、第2の飲料導管、もしくはディスペンサに存在する可能性のあるまたは結合中にカプラデバイス、第2の飲料導管、もしくはディスペンサに入る可能性のある微生物が、結合された飲料容器の飲料チャンバ中に移動するリスクが低減される。
【0017】
任意選択で、第1の飲料流路は、飲料チャンバからカプラデバイスまでの流動方向において下向きに延びる湾曲部を備える。供給ラインは、その湾曲部に沿って、微生物に対する適切な移動バリアを作るために勾配を一様にすることもできる。
【0018】
任意選択で、湾曲部は、第1の飲料流路においてほぼ360°の回転を画定し、好ましくは、第1の飲料導管にルーピングとして設けられる。360°の回転は、飲料容器中への微生物の移動に対する適切なバリアを作る。特に、ほぼ360度の回転において、供給ラインは、垂直に向いた流路セクションおよび張り出した流路セクションを画定し、それらの両方を微生物が移動することが特に難しい。
【0019】
任意選択で、第1の飲料導管は、第1の飲料流路に沿って連続的に設けられた複数のループを備える。供給ラインにおいて微生物の大部分が、低い領域に、例えば、最初の360度のうちの結合手段に対して回転の最も低い部分に沈殿する。一部の微生物が前記最初の360度の回転を越えて移動する場合は、連続的な360度の回転によって、そのような微生物が飲料容器の飲料チャンバ中に移動することを事実上防ぐ。
【0020】
任意選択で、ループまたはルーピングは、流路の渦巻き状セクションを画定する。渦巻き状セクションにおいて、ループまたはルーピングは、同じループ径を含むことができ、すなわち、複数のループのうちの2つ以上のループが同じサイズを有するか、または一様でないループ径を含むことができ、すなわち、複数のループのうちの2つ以上のループが異なるサイズを有する。渦巻き状セクションにおいて、ループまたはルーピングは、同じ面内に設けることができるか、または3次元に設けられ、すなわちらせんセクションまたはらせんを形成することができる。任意選択で、流路の渦巻き状セクションは、流路のらせんセクションを画定する。渦巻き状セクションは、飲料容器と結合手段との間に必要とする空間を最小限に抑えながら、そこを通る微生物の移動を事実上防止している。渦巻き状セクションまたはらせんセクションの中心線、すなわち、ループまたはルーピングがその周りを回る軸は、結合手段に対する最初の360度の回転の下流の流路方向に対してどの方向に延びてもよい。任意選択で、渦巻き状セクションまたはらせんセクションの中心線は、結合手段に対する最初の360度の回転の下流の流路と同じ方向に、すなわち直列に延びる。そうではなく、渦巻き状セクションまたはらせんセクションの中心線は、結合手段に対して最初の360度の回転の下流の流路に対してある角度で、すなわち直列でないように、例えば、結合手段に対して最初の360度の回転の下流の流路を横切るように延びることもできる。
【0021】
任意選択で、供給ラインの第1の飲料導管は、可撓性のチューブまたは他の可撓性の液体導管を備える。チューブまたは他の液体導管の可撓性は、例えば可撓性のチューブまたは他の液体導管を湾曲させることによって、飲料チャンバから結合手段までの間に水平または下向きの流動方向に延びる飲料流動チャネルを備えるように、上流の流路を簡単に構成することを可能にする。チューブまたは他の液体導管は、下流部分からそこを通って飲料チャンバに至る微生物の移動率を十分に低下させるのに適切な長さで設けられてよく、そうすることで、微生物汚染のせいで飲料が早く品質低下することが防止される。適切な長さは、消費された飲料の体積および飲料容器に維持されている飲料の体積の合計体積に応じて変わることがある。好ましくは、チューブまたは他の液体導管の長さは、少なくとも5cmである。チューブまたは他の液体導管の長さは、好ましくは、チューブまたは他の液体導管にループを設けるのに十分であり、より好ましくは、チューブまたは他の液体導管に複数のループまたは渦巻き状セクションを設けるのに十分である。チューブまたは他の液体導管の長さは、例えば、少なくとも30cmでよい。貯蔵、輸送、および取扱いを便利にするために、チューブまたは他の液体導管の長さは、好ましくは、過度に長くない。例えば、チューブまたは他の液体導管が容器本体と共に予め組み立てられるときは、長さは、好ましくは、1~2メートルを超えないが、必要に応じてまたは何らかの理由で望ましい場合はより大きい長さを使用してもよい。チューブまたは液体導管の長さによって、第1の飲料流路および/または飲料流動チャネルの長さが決まることがある。すなわち、湾曲部もしくはループまたは複数のループを備えた可撓性のチューブまたは可撓性の他の液体導管の長さは、このようなチューブまたは液体導管が直線的な形態において、第1の飲料流路および/またはそこに画定される飲料流動チャネルの長さと同一でよい。このように、チューブまたは他の液体導管は、例えば、渦巻き状セクションを備え、長さが約100cmでよいが、チューブまたは他の液体導管の一端にある容器本体と、チューブまたは他の液体導管の反対側の端部にある供給ラインの第2の部分の結合端部と、の間の距離は、わずか数センチメートルである。
【0022】
任意選択で、第1の飲料流路は酵母トラップを備える。酵母トラップは、第1の飲料流路において、特に飲料チャンバ中に移動する酵母に対するさらなるバリアを提供する。酵母トラップは、例えば、飲料が飲料チャンバからディスペンサまでそれを通って流動できる主飲料流動チャネルに加えて、1つ以上の空間、例えば、飲料チャンバに向かう微生物の移動方向において主飲料流動チャネルから枝分かれしたチャンバまたはサイドチャネルを備え、その1つ以上の空間は、微生物を捕捉するように適合されているが、主飲料流動チャネルを通る飲料チャンバからディスペンサへの流体の流れを妨げることがない。例えば、第1の飲料導管における第1の飲料流路は、高さ方向に1回または複数回分岐してよく、上側の分岐通路は主飲料流動チャネルの一部として続き、下側の分岐通路は、例えば袋小路を有することによって、酵母細胞を捕捉するように適合されている。酵母は、重力下で下側の分岐通路に堆積し、したがって、上側の分岐通路を通って飲料チャンバに向かってさらに移動することが阻止される。
【0023】
任意選択で、酵母トラップは、遠心力手段など、流体から酵母を能動的に分離するための手段を備えることができる。例えば、遠心力手段は、酵母が遠心力によって能動的に外向きに押しやられるように、第1の飲料流路において流体の旋回を引き起こすように提供および構成された磁気要素などの磁気手段を備えることができる。代替的または付加的に、上流方向にさらに動く酵母を捕捉するように、第1の飲料導管において第1の飲料流路に沿って酵母捕捉空間を設けることができる。例えば、第1の供給ライン部分は、第1の飲料流路において飲料流動チャネルを画定する中央流体管腔を有するチューブなどの本体を備えることができ、その管腔を通って、加圧流体が使用時に遠心力の影響下で流れることができる。第1の供給ラインの本体は、中央流体管腔の長さに沿って1つ以上の酵母捕捉チャンバを備え、1つ以上の酵母捕捉チャンバは、使用時に加圧流体の流動方向が、中央流体管腔を通ってチャンバを越えるように、すなわち、遠心力によってチャンバ内で酵母の捕捉を可能にしながらチャンバには加圧流体の流れがないように構成されている。
【0024】
飲料供給アセンブリの別の態様において、アダプタ本体はガス流動チャネルを備え、ガス流動チャネルは、環状フランジを通って、カプラデバイスのピストンを向いたアダプタ本体の第1の面にあるガス入口開口部から、飲料チャンバを向いたアダプタ本体の第2の面にあるガス出口開口部まで延びる。したがって、ガスは、飲料容器に収容された飲料を加圧するために飲料チャンバに提供できる。
【0025】
飲料供給アセンブリの別の態様はカプラデバイスを有し、カプラデバイスはガス流路を備え、ガス流路は、飲料容器にガスを支給するために、カプラデバイスにガス導管を結合するように構成されたガス導管入口開口部から、アダプタ本体のガス入口開口部と流体連絡するガス出口開口部まで延びる。
【0026】
飲料供給アセンブリの別の態様において、ガス流路は、入口開口部から可動ピストンを通ってガス出口まで延びる。
【0027】
本明細書において第1の態様による飲料供給アセンブリの好ましい実施形態では、微生物が、第1の飲料流路に存在するある量の飲料を通って移動して飲料容器に入ることが防止されるように、第1の飲料導管の少なくとも一部分を冷却するための冷却手段が提供および構成されている。第1の飲料流路をさらに冷却することは、前記流路中に前進した可能性のある、存在し得る微生物の成長および繁殖を阻止して、それらの微生物が増殖によって広がることおよび飲料容器に到達することを防ぐ。
【0028】
任意選択で、冷却手段は、液体冷却システム、空気冷却システム、および蒸発冷却システムからなる群から選択された1つ以上の冷却システムを備える。このような冷却手段は、具体的には飲料供給アセンブリの第1の飲料流路を冷却するように構成できる。飲料供給アセンブリの他の部品の冷却は任意選択である。第1の飲料流路だけを冷却することは、供給ラインのその部分だけを冷却するために、冷却手段を比較的単純かつコンパクトにできる。
【0029】
任意選択で、冷却液手段、例えば、冷却液がそれを通って流れる冷却剤回路は、熱交換によって第1の飲料流路を冷却するために、第1の飲料導管の第1の飲料流路と共に熱交換領域に設けることができる。例えば、供給ラインの第1の飲料導管は、冷却液回路と熱交換接触している冷却手段の内部冷却チャンバ内で、複数のループを有するようにまたは渦巻き状セクションとして構成できる。
【0030】
別の態様において、飲料供給アセンブリはカプラデバイスを有し、カプラデバイスはカプラハウジングの内側に冷却体を備え、冷却体は、第1の飲料導管がカプラデバイスに結合されているときに、第1の飲料導管の少なくとも一部分を冷却するために、第1の飲料導管と熱接続するように構成されている。
【0031】
飲料供給アセンブリの別の態様において、冷却体は、第1の飲料導管の少なくとも一部分に隣接する冷却面を有する冷却プレートを備える。
【0032】
飲料供給アセンブリの別の態様において、第1の飲料導管の少なくとも一部分は、導管渦巻きセクションを備え、導管渦巻きセクションは、少なくとも導管渦巻きセクションを冷却するために冷却プレート冷却面に隣接する面において渦巻き状になっている。
【0033】
別の態様において、飲料供給アセンブリは冷却プレートを有し、冷却プレートは、実質的に金属または金属と同様の熱伝導率特性を有する他の材料から作製され、好ましくは、実質的にニッケルめっき黄銅から作製されている。
【0034】
別の態様において、飲料供給アセンブリはさらに、冷却体を冷却するために、冷却剤流体を冷却剤流体源から冷却体に沿って循環させるための冷却剤回路を備える。
【0035】
飲料供給アセンブリの別の態様は冷却剤回路を有し、冷却剤回路は、カプラハウジングの内側で冷却体に隣接した冷却剤チャンバを含み、冷却剤チャンバは、冷却剤チャンバに冷却剤を支給するために、一端が冷却剤流体源に結合され、反対側の端部がカプラデバイスに結合された、冷却剤回路の冷却剤支給チャネルと流体連絡している。
【0036】
飲料供給アセンブリの別の態様はカプラデバイスを有し、カプラデバイスは、冷却剤回路の冷却剤チャンバから冷却剤回収チャネルに冷却剤を排出するための冷却剤排出チャネルを含む。
【0037】
飲料供給アセンブリの別の態様において、冷却剤回収チャネルは、一端がカプラデバイスに、反対側の端部が冷却剤流体源に結合されており、冷却剤支給チャネルおよび冷却剤回収チャネルのうちの少なくとも一方は、第2の飲料導管を通る飲料の流れを冷却するために、第2の飲料導管と同軸上を少なくとも部分的に延びる。
【0038】
任意選択で、冷却手段は、供給ラインの第1の飲料導管の少なくとも一部分を温度が6℃以下になるまで冷却するように構成されている。6℃未満では微生物の代謝が低下し、その結果、微生物の成長率および繁殖率が下がる。第1の飲料流路を通る微生物の移動は、温度が4℃以下になると事実上止まる。好ましくは、供給ラインの第1の飲料流路は、流路に存在する飲料の凍結を防ぐように0℃~3℃まで冷却される。
【0039】
任意選択で、飲料容器は、体積百分率で2%以下、好ましくは1.2%以下、より好ましくは0.5%以下のアルコールを含む飲料を収容する。アルコール含有量が低い飲料は酵母などの微生物にとって特に適切な成長環境を形成するため、汚染の防止は特に重要である。さらに、酵母および/または他の微生物は飲料中に存在する糖を変換することがあり、そのことは、飲料の味に悪影響を及ぼす可能性があり、酵母は、特に、アルコール中の糖を発酵によって変換してそのアルコール含有量を不都合に上昇させる可能性がある。
【0040】
任意選択で、飲料には本質的にアルコールフリーである。
【0041】
任意選択で、飲料は、アルコールフリーモルト飲料、例えば、アルコールフリービール、またはアルコールフリーの発酵果実飲料、例えば、アルコールフリーのリンゴ酒である。
【0042】
飲料供給アセンブリの別の態様はカプラデバイスを有し、カプラデバイスは、カプラデバイスと第1の飲料導管の第1の端部との間の接続を固定するための固定機構を備える。
【0043】
飲料供給アセンブリの特定の態様はカプラデバイスを有し、カプラデバイスは、ピストン空間において、ピストンがアダプタ本体に作用しない開栓解除位置と、ピストンがアダプタ本体に作用して飲料容器シーリング部材を開口する開栓位置と、の間を動くように可動ピストンを起動するための、可動ピストンに結合された開栓レバーを備え、カプラデバイスは、開栓レバーがピストンを起動するのを防止するように構成された第1のブロッキング機構を備える。
【0044】
飲料供給アセンブリのさらなる態様は第1のブロッキング機構を有し、第1のブロッキング機構は、開栓解除位置から開栓位置までの可動ピストンの動きをブロックするブロッキング状態と、開栓解除位置から開栓位置までの可動ピストンの移動が開栓レバーの起動によって可能であるブロッキング解除状態と、の間を動くように構成された、第1のブロッキング本体を備える。
【0045】
別の態様において、固定機構は、カプラデバイスと第1の飲料導管の第1の端部との接続が固定された固定状態と、カプラデバイスと第1の飲料導管の第1の端部との間の接続が固定解除された固定解除状態とを含み、固定機構は、固定機構を固定状態にするときは第1のブロッキング機構がブロッキング解除状態にされ、固定機構を固定解除状態にするときは第1のブロッキング機構がブロッキング状態にされるようにして、第1のブロッキング機構に動作可能に結合されている。
【0046】
飲料供給アセンブリの別の態様は固定機構を有し、固定機構は、カプラデバイスと第1の飲料導管の第1の端部との間の接続の存在を検出するための検出器機構を備え、検出器機構は、検出器機構が接続の存在を検出した場合には、検出器機構が固定機構を固定状態にできるようにして固定機構と協働するように、かつ検出器機構が接続の不存在を検出した場合には、検出器機構が、固定機構が固定状態にされることを含まないようにして固定機構と協働するように構築されている。
【0047】
さらなる態様において、飲料供給アセンブリは第1の飲料導管の第1の端部を有し、第1の飲料導管の第1の端部は、第1の飲料導管をカプラデバイスに接続するように構成された接続部本体を備え、接続部本体は、第1の飲料導管の第1の端部がカプラデバイスに接続されて固定機構を固定状態にすれるときにそのことが検出器機構によって検出されるように構成された検出部材を備える。
【0048】
飲料供給アセンブリの別の態様は固定機構を有し、固定機構は、カプラハウジングに結合された可動の固定部本体、好ましくは、枢動式のドアを備え、可動の固定部本体は、閉状態のときは、可動のカバー本体とカプラハウジングとの間に画定された空間を囲み、開状態のときは、空間へのアクセスを提供し、第1の飲料導管の第1の端部は、カプラデバイスに接続されているときに空間に嵌まるように構成されている。
【0049】
別の態様において、飲料供給アセンブリはカプラデバイスを有し、カプラデバイスは、第1の飲料流路と第2の飲料流路と間にバルブ、好ましくはボールバルブを備え、バルブは、バルブが第1の飲料流路と第2の飲料流路との間の流体連絡を開く開位置と、バルブが第1の飲料流路と第2の飲料流路との間の流体連絡を止める閉位置と、の間でバルブを動かすように、バルブ動作デバイスによって動作可能である。
【0050】
飲料供給アセンブリのさらなる態様はカプラデバイスを有し、カプラデバイスは、バルブが開状態にある場合に、開栓位置から開栓解除位置までの可動ピストンの起動をブロックするための第2のブロッキング機構を備える。
【0051】
飲料供給アセンブリの別の態様は第2のブロッキング機構を有し、第2のブロッキング機構は、第2のブロッキング機構がピストンの起動をブロックするブロッキング状態と、第2のブロッキング機構がピストンの起動をブロック解除して、開栓レバーの起動によって開栓位置から開栓解除位置までのピストンの動きを可能にする、ブロッキング解除状態と、の間を動くことができ、第2のブロッキング機構は、バルブを開位置から閉位置まで動かすことによって、ブロッキング状態からブロッキング解除状態まで動くことができ、第2のブロッキング機構は、バルブを閉位置から開位置まで動かすことによって、ブロッキング解除状態からブロッキング状態まで動くことができる。
【0052】
さらなる態様において、飲料供給アセンブリはカプラデバイスを有し、カプラデバイスは、開栓ピストンが開栓位置にある場合に、閉位置から開位置までのバルブの動作をブロックするように構成された第3のブロッキング機構を備える。
【0053】
別の態様において、飲料供給アセンブリは第1のブロッキング本体を有し、第1のブロッキング本体は、第1のブロッキング本体のブロッキング解除状態では、可動ピストンの一部分の断面形状と位置合わせして可動ピストンの前記部分が貫通孔内に延びることを可能にし、第1のブロッキング本体がブロッキング状態にあるときに、可動ピストンが動くことを物理的にブロックするように構築された、成形貫通孔を備える。
【0054】
飲料供給アセンブリのさらなる態様は第2のブロッキング機構を有し、第2のブロッキング機構は、第2のブロッキング機構のブロッキング状態において、ピストンに係合して開栓位置から開栓解除位置までのピストンの動きをブロックするように構成された第2のブロッキング本体を備え、第2のブロッキング本体は、第2のブロッキング本体のブロッキング解除状態では、可動ピストンの一部分の断面形状と位置合わせして、可動ピストンの前記部分が第2の貫通孔内に延びることを可能にし、第2のブロッキング本体がブロッキング状態にあるときは、可動ピストンが動くことを物理的にブロックするように構築された、第2の成形貫通孔を備える。
【0055】
特定の態様において、飲料供給アセンブリはピストンを有し、ピストンは、第1のブロッキング構造および/または第2のブロッキング構造と協働するように構築されたショルダーを備える。
【0056】
本発明の第2の態様によれば、本明細書に記載する第1の態様による飲料供給アセンブリにおいて使用するためのカプラデバイスが提供される。
【0057】
本発明の第3の態様において、本明細書に記載する第1の態様による飲料供給アセンブリにおいて第1の飲料導管として使用するための導管が提供され、飲料導管は、第1の飲料流路を画定し、飲料供給アセンブリの飲料容器に結合するための第1の端部と、カプラデバイスに結合するための反対側の第2の端部と、を備え、第1の端部は、第1の飲料流路が通って延びるアダプタ本体を備え、アダプタ本体は、飲料容器シーリング部材をカバーするように飲料供給アセンブリの飲料容器の飲料出口に嵌まるように構築されており、飲料導管の第2の端部は、カプラデバイスに接続するための導管接続部本体内の面において渦巻き状になっている導管渦巻きセクションを備える。
【0058】
別の態様において、導管は第1の端部および第2の端部を有し、それらの端部は、飲料アセンブリにおいて使用される前に、手で除去できるシールを用いて封止されている。
【0059】
導管の別の態様は飲料導管を有し、飲料導管は、アダプタ本体と接続部本体との間を延びる可撓性のプラスチック飲料チューブを備える。
【0060】
本発明のこれらのおよび他の態様は、本願の一部を成す添付の図面および対応する実施形態によって、本明細書で以下にさらに解明される。図面は、明確かつ明示的に示されない限り、決して本発明の範囲の限定を示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】飲料供給アセンブリのある状態の断面図を示す。
【
図2】飲料供給アセンブリのある状態の断面図を示す。
【
図3】飲料供給アセンブリの第1の飲料導管のそれぞれの2つの斜視図を示す。
【
図4】飲料供給アセンブリのある状態の断面図を示す。
【
図5】飲料供給アセンブリのある状態の断面図を示す。
【
図6】飲料供給アセンブリのある状態の断面図を示す。
【
図7】飲料供給アセンブリのカプラデバイスの部分詳細斜視図を示す。
【
図8】飲料供給アセンブリのカプラデバイスの部分詳細斜視図を示す。
【
図9】飲料供給アセンブリのカプラデバイスの部分詳細斜視図を示す。
【
図10】カプラデバイスのある状態の断面図を示す。
【
図11】カプラデバイスのある状態の断面図を示す。
【
図12】カプラデバイスのある状態の断面図を示す。
【
図13】飲料供給アセンブリのカプラデバイスの部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本願において、同様のまたは対応する特徴は同様のまたは対応する参照符号によって示されている。実施形態の説明は、図に示された例および詳細な説明に用いられた参照番号に限定されず、特許請求の範囲は、実施形態の説明を限定するものではないが、図に示された例を参照することによって実施形態を明らかにするために含まれている。
【0063】
図は飲料供給アセンブリ1の断面図を示す。アセンブリ1は、飲料を収容するための飲料容器、例えば、ビールなどの飲料を収容するための従来の金属製のケグを備え、その上側部分100が
図1~
図2に示されている。ケグの上側部分100は、上側において飲料容器の飲料チャンバの範囲を定める上壁101を備える。ケグの上壁101は、飲料出口103を画定するネック部105を備え、ネック部105には、飲料チャンバの開閉のための飲料容器シーリング部材104が、ここではバルブが設けられている。バルブは、ばね106によるばね荷重で閉位置にある。ケグの上側部分100はさらに、ケグの簡単な運搬を可能にするために上壁101の外周から上向きに延びる運搬用スカート107を備える。
【0064】
飲料供給アセンブリ1はさらに、飲料容器のネック部105に解放可能に結合されたカプラハウジング201を有するカプラデバイス200を備える。カプラハウジング201はピストン空間202を画定し、ピストン空間202内でピストン203が可動に配置されている。カプラデバイス200は、典型的には、飲料供給アセンブリが使用される、バーまたは他のタイプの飲料を供給する施設で使用でき、そこでは、バーの水栓または他のタイプのディスペンサに飲料容器を好都合に安全に接続するためにカプラデバイス200が使用される。カプラデバイス200は、このような飲料容器を別の飲料容器に交換可能にし、例えば、空の飲料容器を、新たな量の飲料を運搬する新規の飲料容器に取り替えるために、飲料容器のネック部105から簡単に解放できる。
【0065】
飲料容器は、使用前に、典型的には、飲料チャンバ内で飲料を保存するためにシーリング部材104によって封止されている。飲料容器を開口すると、開口された飲料出口103を通って微生物が飲料チャンバに入る可能性があるため、飲料チャンバに収容された飲料に汚染のリスクをもたらす。飲料容器に収容された飲料の汚染の発生を制限するために、飲料供給アセンブリ1はさらに、飲料容器シーリング部材104と協働するように構成されたアダプタ本体300を備える。アダプタ本体300は、好ましくは、飲料容器100と関連付けられており、すなわち、各飲料容器100は、それ独自のアダプタ本体を備える。アダプタ本体300は、飲料供給アセンブリの飲料ライン400の第1の飲料導管401の一端を形成し、その第1の飲料導管401は、飲料チャンバ102からカプラデバイス200に延びる可撓性のチューブを備える。アダプタ本体300は、飲料容器シーリング部材104が開いているときに飲料チャンバ102を可撓性のチューブと流体接続するように構築されている。アダプタ本体300は環状シーリングフランジ302を備え、アダプタ本体300は、そのフランジ302を用いて、飲料容器の飲料出口103において封止状態で結合されている。アダプタ本体300の突出部材301は、環状フランジ302に対して軸方向に延び、突出部材301は、飲料チャンバの開閉のためにシーリング部材104に係合するように構成されている。
【0066】
カプラハウジング201にはピストン203が設けられており、ピストン203は、カプラハウジング201によって形成されたピストン空間202に可動に配置されている。ピストン203は、開栓レバー204によってユーザーが起動できる。カプラデバイス200のピストン203は、アダプタ本体300に係合して、飲料チャンバ102と第1の飲料導管401との間に流体接続を設けるように構成されている。本例では、ピストン203は、ピストン空間202内でカプラハウジング201に対して垂直に可動であり、ピストン203の下向きの動きがアダプタ本体300を押し下げ、アダプタ本体300が突出部材でバルブ104を押して、バルブ104を飲料出口103内でその閉位置から開位置に動かしてばね106を圧縮し、そうすることで、飲料容器100によって収容されている飲料が出口103を出て第1の飲料導管401中に流れる通路が設けられる。
【0067】
カプラハウジング201において、推進ガスが外部ガス源から飲料チャンバ102に流入して、飲料容器に収容された飲料を加圧するために、推進ガス用の、例えば炭酸ガス用の通路が設けられている。ここで、カプラデバイス200は、外部ガス源から延びるガス導管をそれに接続するガス導管入口開口部207からガス出口開口部までのガス流路を備える。ガス流路は、入口開口部207から可動ピストン203を通ってガス出口開口部まで延びる。アダプタ本体300はガス流動チャネルを備え、そのガス流動チャネルは、環状のシーリングフランジ302を通って、カプラデバイスのピストンのガス出口開口部を向いたアダプタ本体の第1の面にあるガス入口開口部310から、飲料チャンバを向いたアダプタ本体の第2の面にあるガス出口開口部まで延びる。
【0068】
カプラハウジング201の一端において飲料容器に結合されたカプラデバイス200は、カプラハウジング201の別の端部において飲料ライン400の第2の飲料導管402に結合されている。第2の飲料導管402は、例えば、カプラハウジング201と、飲料を飲料入れ物に供給するための水栓と、の間を延びる、可撓性の飲料チューブを備える。
【0069】
カプラデバイス200はさらに、第1の飲料導管401の結合部材403に結合されるように構成されている。結合部材403は、第1の飲料導管401のうちのアダプタ本体300を備える方の端部の反対側にある、第1の飲料導管401の第2の端部に設けられている。
【0070】
この例では、第1の飲料導管401は、第2の端部にまたはその近くに渦巻き状セクション404を備え、そこでは、第1の飲料導管401は、渦巻き飲料ラインセクションを画定する。渦巻き状セクション404は、カプラデバイス200から飲料チャンバ102中に移動する微生物に対するバリアになる。特定のコンパクトなセットアップを得るために、第1の飲料導管401は、第1の飲料流路が渦巻き状セクション404において軸の周りの平面内で渦巻き状になる接続部本体を備え、第1の飲料導管401は、実質的に渦巻き面から軸に沿って延びる、接続部本体のオス型結合構造403で終端する。オス型結合部材403は、カプラデバイス200のメス型結合構造にカチッと嵌まるように構築されている。第1の飲料導管401の渦巻き状セクション404を収納するために、カプラデバイス200は、渦巻き状セクション404に相補形の着座部を備える。第1の飲料導管401とカプラデバイス200との間の結合を固定する固定部本体205が設けられてよい。固定部本体205はカバーまたはドア206を備え、そのカバーまたはドア206は、カプラハウジング201の残りの部分にヒンジ接続されており、カプラハウジング201との第1の飲料導管401の結合を可能にするためにカバー206が渦巻き着座部から外されている開状態と、カプラハウジング201との第1の飲料導管401の前記結合を固定するためにカバー206がカプラハウジング201に掛止する閉状態と、の間を動くことができる。
【0071】
固定部本体205は、カプラデバイス200と第1の飲料導管401の第1の端部との間の接続の存在を検出する検出器機構406を備える固定機構の一部である。検出器機構406は、検出器機構が前記接続の存在を検出した場合には、固定機構が固定状態にされること、すなわち、カプラハウジングに対してカバー206を閉じることを可能にするようにして検出器機構が固定機構と協働し、検出器機構が前記接続の不存在を検出した場合には、固定機構が固定状態にされることを含まないようにして検出器機構が固定機構と協働するように構築されている。したがって、第1の飲料導管401がカプラデバイス200に接続されていないときには、カバー206はカプラハウジングに掛止する閉状態にできない。
【0072】
第1の飲料導管401の接続部本体はさらに、検出部材405を備える。検出部材405は、第1の飲料導管の第1の端部がカプラデバイスに接続されて固定機構を固定状態にするときにそのことが検出器機構406によって検出されるように構成されている。
図3および
図13に最もよく示されているように、検出部材は、接続部本体のうちのオス型結合部材403の反対側から延びるウイング様の本体405によって形成されている。第1の飲料導管401がカプラデバイス200に接続されているときには、ウイング様の本体405は、カバー206を閉じたときに検出器機構406のばね付勢の可動ラッチが動かされるように位置決めされている。そのために、可動ラッチは傾斜面を有し、その傾斜面に対して、ウイング様の本体405が、固定解除状態から固定状態にラッチを動かすように作用する。
【0073】
カプラデバイスにおいて第1の飲料導管401と第2の飲料導管402との間に、バルブが、ここではボールバルブ500が設けられており、そのボールバルブ500は、ボールバルブ500が飲料ライン400を開いて飲料の通過を可能にする開位置と、ボールバルブ500が飲料ライン400を閉じる閉位置と、の間で可動である。ボールバルブ500は、カプラハウジング201に枢動可能に接続されたボールバルブレバー501によってユーザーが手動で操作できる。ボールバルブ500はボール弁体503を含み、ボール弁体503は、それを貫通するボールバルブチャネル504を有する。ボール弁体503は、ボールバルブチャネル504が第2の飲料導管402と位置合わせして飲料の通過を可能にする開位置と、ボール弁体503が開位置に対して約90度回転されて弁体503が第2の飲料導管402を閉塞させる閉位置と、の間をハウジング505内で回転可能である。他のタイプのバルブも使用できることが理解されよう。
【0074】
カプラデバイス200は、冷却体、特に、冷却プレート210を備える。冷却プレート210は、ここでは、実質的に環状であり、冷却プレート210の中央開口部は、そこを通して第1の飲料導管401のオス型結合構造を受けるように構築されている。第1の飲料導管401がカプラデバイス200に結合されているときに、冷却プレート210は第1の飲料導管401に接触している。より具体的には、結合された状態において、第1の飲料導管の渦巻き状セクションの渦巻き面は、冷却プレート210が延びる面に平行に延び、そうすることで、冷却プレートと第1の飲料導管401との間に大きい接触面が得られる。したがって、第1の飲料導管401が、その中の飲料を冷却するために冷却される。第1の飲料導管の渦巻き状セクション404における飲料の冷却は、カプラデバイス200から飲料チャンバ102に向かって移動する微生物に対するバリアになり、その結果、飲料の汚染が防止される。さらに、清涼な飲料を得るために、冷却プレート210は、飲料が第1の飲料導管401を通して導かれている間にその飲料を冷却し、そのことは、飲料容器全体を冷却する必要をなくす。
【0075】
冷却プレート210を冷却するために、冷却剤流体を冷却流体源から冷却プレート210に沿って循環させるための冷却剤導管回路が設けられている。冷却剤回路は、カプラハウジング201の内側で冷却プレート210に隣接した冷却剤チャンバ510を含み、その冷却剤チャンバ510は、冷却剤チャンバ510に冷却剤を支給するために、冷却剤回路の冷却剤流入チャネル511と流体連絡している。冷却剤チャンバ510から冷却剤を排出するための冷却剤回路の冷却剤排出チャネル512が配置されている。冷却剤排出チャネル512は冷却剤回路の冷却剤回収導管513と流体連絡しており、冷却剤回収導管513は、一端がカプラデバイス200に、別の端部が冷却流体源に結合されている。冷却剤回収導管513は、少なくとも部分的に、第2の飲料導管402を通る飲料の流れを冷却するために第2の飲料導管402と共に同軸上を延びる。
【0076】
供給ライン400との飲料容器100の安全な接続を確保するために、カプラデバイス200は1つ以上のブロッキング機構を備える。例えば、第1の飲料導管401が第2の飲料導管402に接続された後にのみ飲料容器シーリング部材104を開栓することが好ましい。1つ以上のブロッキング機構は、飲料容器100を流体接続する前に所定の順序の操作をユーザーに課す。具体的には、ブロッキング機構は、1番目に、第1の飲料導管401の結合部材403をカプラハウジング201に結合し、2番目に、ピストン203を用いてアダプタ本体300を押し下げることによって飲料容器100のシーリング部材104を開栓し、3番目に、ボールバルブ500を開くことをユーザーに課す。同様に、1つ以上のブロッキング機構は、飲料容器100の接続解除の前に、飲料容器100を接続する場合と反対の順序である、所定の順序の操作をユーザーに課す。具体的には、ブロッキング機構は、1番目に、ボールバルブ500を閉じ、2番目に、ピストンレバー204を用いてピストン203を開栓解除位置まで上向きに動かし、3番目に、第1の飲料導管401の結合部材403をカプラハウジング201から接続解除するようにユーザーに課す。
【0077】
第1の飲料導管401の結合部材403がカプラデバイス200から結合解除されている場合に、開栓解除位置から開栓位置へのピストン203の起動をブロックするための第1のブロッキング機構が構成されている。
図4を見ると最もよく分かるように、ピストン203は、開栓解除位置に、ここではアダプタ本体300に対して最も上の位置にあり、第1の飲料導管401はカプラデバイス200から接続解除されている。第1のキーホールプレート601がピストンの第1のショルダー602と協働し、そうすることで、アダプタ本体300に向かうピストン203の軸方向下向きの動きがブロックされる。第1のキーホールプレートは、キーホール形の開口部を有するプレート本体を備える。したがって、第1のキーホールプレート601は、第1の飲料導管401がカプラデバイス200から接続解除されている場合に、シーリング部材104の開栓を防止する。
図5を見ると最もよく分かるように、ここで、第1の飲料導管401はカプラデバイス200に結合されている。前記結合は、第1のキーホールプレート601の並進に影響を与え、そうすることで、アダプタ本体300に向かうピストン203の軸方向下向きの動きを可能にするようにピストン203が解放されている。
図5では、ピストン203は開栓位置に、ここでは、アダプタ本体300に対して最も下の位置にある。ピストン203は、開栓レバー204の起動によって動くことができる。
図10~
図12から最もよく分かるように、開栓レバー204はレバーロッキング機構を備え、レバーロッキング機構は、開栓レバー204と関連付けられた可動の第1のレバーロッキング部材611と、カプラハウジング201と関連付けられた第2のレバーロッキング部材612と、を含む。開栓レバー204は、カプラハウジング201にヒンジ接続されており、開栓位置と開栓解除位置との間を動くようにピストン203を起動する。手動操作できる開栓レバーラッチ410によって、第1のレバーロッキング部材611を、第1のロッキング部材611が第2のロッキングレバー612を乗り越える程度まで軸方向に後退させることによって、レバー204を動かすことができる。ピストン203が開栓位置に達すると、第1のロッキング部材611を伸長でき、開栓レバー204が、したがって、ピストン203が開栓解除位置に戻ることのないように、第1のロッキング部材611と第2のロッキング部材612とが噛み合う。
【0078】
開栓位置から開栓解除位置への可動開栓ピストンの動きをブロックするための第2のブロッキング機構が設けられている。第2のブロッキング機構は、ピストン203の第2のショルダー604と協働するように構成された第2のキーホールプレート603を備える。第2のブロッキング機構は、ボールバルブレバー501によって動作可能である。
図7~
図9から最もよく分かるように、ボールバルブレバー501は、ボールバルブレバー501と関連付けられたカム605および第2のキーホールプレート603と関連付けられたスロットによって第2のキーホールプレート603に結合されている。ボールバルブレバー501を回すことによって、カム605は、スロット606に係合し、ピストン203の軸方向を横切る面において第2のキーホールプレート603を並進させる。
図9から最もよく分かるように、第2のキーホールプレート603は、ピストン203が開栓位置にロックされるようにピストン203の第2のショルダー604と協働する。第2のブロッキング機構のブロッキング状態において、
図9に示すように、ボールバルブ500は、飲料ライン400を通る飲料の流れを可能にするように開状態にある。したがって、ピストン203は、まずボールバルブ500が閉位置になって初めて、開栓位置から開栓解除位置に動かすことができる。同様に、第2のキーホールプレート603のキーホール形の開口部のおかげで、ボールバルブ501は、ピストン203が開栓位置にある場合にのみ開くことができる。
【0079】
本明細書において、本発明は、本発明の実施形態の特定の例を参照しながら説明されている。しかし、本発明の本質から逸脱することなく、様々な修正、変形、代替、および変更が行われ得ることが明らかである。本明細書では、明確かつ簡潔に説明するために、同じまたは別個の実施形態の一部として特徴が記載されているが、それらの別々の実施形態においてそれらの特徴のすべてまたはいくつかの組み合わせを有する代替の実施形態も想定され、本発明の枠組み内に入ることが理解される。したがって、明細書、図および例は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で考えるべきである。本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にあるすべての代替、修正および変形を包含するものである。さらに、説明される要素の多くは、任意の適切な組み合わせおよび位置において、個別のまたは分散された構成要素としてまたは他の構成要素と併用して実装できる機能エンティティである。
【0080】
特許請求の範囲では、括弧で挟んだ参照符号はいずれも請求項を限定するものとして解釈されない。「備える(comprising)」という語は、請求項に列挙されたもの以外の他の特徴またはステップの存在を排除しない。さらに、「1つ(a)」および「1つ(an)」という語は、「1つだけ(only one)」に限定されるものと解釈されず、その代わりに「少なくとも1つ(at least one)」の意味で用いられている。一定の手段が互いに異なる請求項で列挙されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせを有利に使用できないことを示すものではない。
【符号の説明】
【0081】
1 飲料供給アセンブリ
100 飲料容器
101 容器本体
102 飲料チャンバ
103 飲料出口
104 シーリング部材
105 ネック部
106 ばね
107 容器運搬用スカート
200 カプラデバイス
201 カプラハウジング
202 ピストン空間
203 ピストン
204 開栓レバー
205 固定部本体
206 カバー
207 ガス導管入口開口部
210 冷却プレート
300 アダプタ本体
301 突出部材
302 環状のシーリングフランジ
310 ガス入口開口部
400 飲料供給ライン
401 第1の飲料導管
402 第2の飲料導管
403 結合部材
404 渦巻き状セクション
405 検出部材
406 検出機構
410 開栓レバーラッチ
500 ボールバルブ
501 ボールバルブレバー
503 ボール弁体
504 ボールバルブチャネル
510 冷却剤チャンバ
511 冷却剤流入チャネル
512 冷却剤排出チャネル
513 冷却剤回収導管
601 第1のキーホールプレート
602 第1のショルダー
603 第2のキーホールプレート
604 第2のショルダー
605 カム
606 スロット
611 第1のレバーロッキング部材
612 第2のレバーロッキング部材
【国際調査報告】