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特表2023-547910接地ブラシ端点を有するねじ締結具のシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】接地ブラシ端点を有するねじ締結具のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 39/24 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
H01R39/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525573
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 US2021055747
(87)【国際公開番号】W WO2022093586
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/105,723
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/505,391
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】リチャード フランシス ナイ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ロマン
(57)【要約】
回転プレートにかかる電圧を軽減するシステム及び方法が開示される。一例示の接地ペンブラシは、互いに閾値距離だけ分離される導電性フィラメントの2つ以上の束を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転プレートにかかる電流を軽減する接地ペンブラシであって、
該ペンブラシを前記回転プレートのねじ開口内に固定する複数の雄ねじ山を備える本体と、
該ペンブラシが前記回転プレートに固定されるときに前記開口から延在するように構成される導電性フィラメントの2つ以上の束を備える接地ブラシ組立体であって、前記導電性フィラメントは、前記回転プレートの回転運動中に導電性素子と電気接触する、接地ブラシ組立体と、
を備える、接地ペンブラシ。
【請求項2】
前記導電性フィラメントの2つ以上の束のそれぞれは、前記接地ブラシ組立体の基部において閾値距離だけ分離される、請求項1に記載の接地ペンブラシ。
【請求項3】
前記導電性フィラメントの2つ以上の束は、導電性フィラメントの第1の束及び導電性フィラメントの第2の束を含み、前記接地ブラシ組立体は、導電性フィラメントの前記第1の束及び導電性フィラメントの前記第2の束を分離するように構成される1つ以上の保持具を更に備える、請求項1に記載の接地ペンブラシ。
【請求項4】
前記1つ以上の保持具又は前記導電性フィラメントの2つ以上の束は、締結具によって前記接地ブラシ組立体に固定される、請求項3に記載の接地ペンブラシ。
【請求項5】
前記1つ以上の保持具又は前記導電性フィラメントの2つ以上の束は、接着剤によって前記接地ブラシ組立体に固定される、請求項3に記載の接地ペンブラシ。
【請求項6】
前記1つ以上の保持具は、誘電材料を含む、請求項3に記載の接地ペンブラシ。
【請求項7】
前記1つ以上の保持具は、導電材料を含む、請求項3に記載の接地ペンブラシ。
【請求項8】
前記第1の束の導電性フィラメントは、第1の長さであり、前記第2の束の導電性フィラメントは、前記第1の長さよりも大きい第2の長さである、請求項3に記載の接地ペンブラシ。
【請求項9】
前記第1の束は、第1の数の導電性フィラメントを含み、前記第2の束は、前記第1の数よりも多い第2の数の導電性フィラメントを含む、請求項3に記載の接地ペンブラシ。
【請求項10】
1つ以上の導電性フィラメントは、複合繊維を含む、請求項1に記載の接地ペンブラシ。
【請求項11】
1つ以上の導電性フィラメントは、炭素繊維、ニッケル、ステンレス鋼、織り繊維、又は導電性プラスチックのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の接地ペンブラシ。
【請求項12】
前記回転プレートは、モーター内に配置される、請求項1に記載の接地ペンブラシ。
【請求項13】
前記回転プレートは、風力タービン内に配置される、請求項1に記載の接地ペンブラシ。
【請求項14】
移動プレートにかかる電流を軽減する接地ペンブラシであって、
該ペンブラシを前記移動プレートのねじ開口内に固定する複数の雄ねじ山を備える本体と、
該ペンブラシが前記移動プレートに固定されるときに前記開口から延在するように構成される導電性フィラメントの2つ以上の束を備える接地ブラシ組立体であって、前記導電性フィラメントは、前記移動プレートの移動中に導電性素子と電気接触する、接地ブラシ組立体と、
を備える、接地ペンブラシ。
【請求項15】
前記導電性フィラメントの2つ以上の束のそれぞれは、前記接地ブラシ組立体の基部において閾値距離だけ分離される、請求項14に記載の接地ペンブラシ。
【請求項16】
前記移動プレート又は前記導電性素子のうちの1つ以上は、歯車である、請求項14に記載の接地ペンブラシ。
【請求項17】
前記導電性素子は、前記移動プレートの移動に対して固定された位置にあるプレートを含む、請求項14に記載の接地ペンブラシ。
【請求項18】
前記導電性素子は、前記移動プレートの移動に対して固定された位置にあるプレート上に配置される、請求項14に記載の接地ペンブラシ。
【請求項19】
前記移動プレートは、前記接地ペンブラシを受ける1つ以上のねじ開口を有する、請求項14に記載の接地ペンブラシ。
【請求項20】
前記接地ペンブラシを前記移動プレートの前記1つ以上のねじ開口の内外に駆動するように構成される頭部を更に備える、請求項19に記載の接地ペンブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「接地ブラシ端点を有するねじ締結具のシステム及び方法」と題される2020年10月26日付けで出願された米国仮特許出願第63/105,723号、及び「接地ブラシ端点を有するねじ締結具のシステム及び方法」と題される2021年10月19日付けで出願された米国特許出願第17/505,391号による優先権及びその利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/105,723号及び米国特許出願第17/505,391号はあらゆる目的でその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0002】
モーター又は発電機が稼働しているとき等、回転部材を利用する用途において、機器に電荷が蓄積すると、軸受を通じて放電が発生し、結果として機械的損傷及び早期の軸受故障をもたらすおそれがある。この問題を克服しようとして、接地への経路を有する回転部材と接触する導電性ブラシを含む、数多くの軽減技術が使用されている。しかしながら、導電性ブラシと回転部材の表面との間の極端な並進力により、電圧を軽減する従来のシステム及び方法に損傷を与え、十分な保護を提供しない場合がある。
【発明の概要】
【0003】
回転プレートにかかる電流を軽減する接地ペンブラシを利用するシステム及び方法が開示される。特に、特許請求の範囲においてより完全に記載されるように、実質的に、図面のうちの少なくとも1つによって示され、これに関連して説明されるように、接地ペンブラシは、互いに閾値距離だけ分離される導電性フィラメントの2つ以上の束を備える。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の態様に係る一例示の接地ペンブラシを示す図である。
図2A】本開示の態様に係る、図1の接地ペンブラシの接地ブラシ組立体における例示のフィラメント構成を示す図である。
図2B】本開示の態様に係る、図1の接地ペンブラシの接地ブラシ組立体における例示のフィラメント構成を示す図である。
図2C】本開示の態様に係る、図1の接地ペンブラシの接地ブラシ組立体における例示のフィラメント構成を示す図である。
図2D】本開示の態様に係る、図1の接地ペンブラシの接地ブラシ組立体における例示のフィラメント構成を示す図である。
図3A】本開示の態様に係る図1の接地ペンブラシの例示の構成を示す図である。
図3B】本開示の態様に係る図1の接地ペンブラシの例示の構成を示す図である。
図4】本開示の態様に係る図3Bの接地ペンブラシの構成の一例示の実施態様を示す図である。
図5A】本開示の態様に係る、図1の接地ペンブラシの接地ブラシ組立体における例示のフィラメント及び保持具の構成を示す図である。
図5B】本開示の態様に係る、図1の接地ペンブラシの接地ブラシ組立体における例示のフィラメント及び保持具の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図面は、必ずしも正確な縮尺ではない。適切な場合は、同様の又は同一の参照番号を使用して、同様の又は同一の構成要素を指す。
【0006】
回転プレートにかかる電流を軽減する接地ペンブラシを利用するシステム及び方法が開示される。特に、接地ペンブラシは、ペンブラシが回転プレートに固定されるときに開口から延在するように構成される2つ以上の束の導電性フィラメント(又は繊維)を備える接地ブラシ組立体を備える。例えば、導電性フィラメントの2つ以上の束のそれぞれは、互いに(例えば、接地ブラシ組立体の基部において及び/又はフィラメントが接地ブラシ組立体から延在するとき)閾値距離だけ分離される。この分離は、導電性フィラメントの第1の束を導電性フィラメントの第2の束から分離するように構成される1つ以上の保持具を利用することによって維持することができる。
【0007】
いくつかの例において、接地ペンブラシは、接地ペンブラシを回転プレートのねじ開口内に固定するために使用される複数の雄ねじ山を備える本体によって画定され、導電性フィラメントは、回転プレートの回転運動中に導電性素子と電気接触する。例においては回転プレートとして記載するが、プレートは、導電性素子からの蓄積電荷の電流経路を提供する任意の物体、表面、及び/又はデバイスとすることができる。
【0008】
いくつかの例においては、各束は等しい数の導電繊維を有してもよく、いくつかの例においては、各束は可変の数の導電繊維を有してもよい。各束の導電繊維は、共通の長さ、直径、及び/又は組成を有してもよく、又は多様な長さ、直径、及び/又は組成を有してもよい。
【0009】
一例示の応用形態において、単数又は複数の接地ペンブラシは、単数又は複数の回転プレートに取り付けられ、このとき、導電性フィラメントの束は、回転プレートの表面から延在する。回転プレートは、回転プレートに対して固定される別のプレート(又は物体、表面、デバイス等)に面するように配置され、回転プレートは、固定プレートに対して並進するように構成されるようになっている。
【0010】
導電性フィラメントの束(例えば、回転経路、直線運動経路等に沿う)には、(例えば、1つ以上のブラケットを介して)固定プレートに取り付けられる1つ以上の導電性素子(例えば、金属、導電性合金、半導体等)が位置合わせされる。このような構成において、導電性フィラメントの束は、導電性素子に接触するように構成され、これにより、接地ペンブラシ及び/又は回転プレートを介して、固定プレートから基準電圧(例えば、電気接地)への電流経路が提供される。いくつかの例において、接地ペンブラシは、固定プレート又は物体に取り付けられ、回転又は移動プレートは、固定プレートに対して並進する。
【0011】
電気モーター及び伝動装置等の関連する機械的に結合された機器を含む、多様な用途において静電結合及び誘導結合の電圧蓄積が発生する。比較的少数及び/又は小型の導電性フィラメントには何らかの接地が実装される。微細繊維導電性素子の用途に関するいくつかの事例では、低インピーダンスに起因して接地が可能であり、更には、連続的な接触を伴わず及び/又は移動表面と接触することなく電流の軽減も可能になる。
【0012】
回転又は並進表面の一例では、回転表面にかかる電圧により、寄生電流又は別様に望ましくない電流が軸受を通って接地へと流れる。短期間にわたって、電荷が高レベルにまで蓄積し得る。電荷が、電気抵抗が最小の経路の放電閾値を超えると、場合によっては移動部品の間の玉軸受を通って、電気エネルギーの瞬間的なバースト又は放電が経路に沿って通る可能性がある。放電により、経路に沿って放電加工(EDM)が生じ得て、抵抗が最小の経路が軸受を通るものである場合、軸受レースの表面及び軸受内の玉を損傷するおそれがある。電気エネルギーバーストは溶融クレーターを生み出し、クレーター形成による微粒子は、典型的には、軸受内部の潤滑剤の中に捕捉されたままとなる。軸受内の溶融クレーター及び微粒子物質の両方は、軸受の自由回転を擾乱する作用を及ぼし、機械的損傷及び早期の軸受故障につながるおそれがある。いくつかの開示される例は回転プレートを参照して記載するが、導電性フィラメントは、回転又は並進表面内に寄生電圧蓄積を発生させる任意の用途と電気接触するために使用してもよい。
【0013】
この問題を克服しようとして、数多くの軽減技術が使用されている。従来の技法として、単一の結束又はアプリケーターである複数の導電性フィラメントを使用することが挙げられる。別の従来の技法は、電流の連続流を接地に提供するばね荷重固体ブラシ(例えば、銅、銀グラファイト等)を使用して回転表面を接地することである。しかしながら、ばね荷重ブラシは、摩耗が早く、頻繁に周期的な保守及び交換が必要になり得る。また、ばね荷重ブラシは、ブラシと回転表面との間の交流摩擦関係に起因して振動する傾向がある。原因は何であれ、ブラシの振動は結果として、望ましくない発火、及び/又は軸受及び/又は下流の機器を流れる電流の増大をもたらすおそれがある。しかしながら、これらの欠点は、以下の説明及び図面に従って開示される接地ペンブラシを通じて克服される。
【0014】
開示される例において、回転プレートにかかる電流を軽減する接地ペンブラシは、ペンブラシを回転プレートのねじ開口内に固定する複数の雄ねじ山を備える本体と、ペンブラシが回転プレートに固定されるときに開口から延在するように構成される導電性フィラメントの2つ以上の束を備える接地ブラシ組立体であって、導電性フィラメントは、回転プレートの回転運動中に導電性素子と電気接触する、接地ブラシ組立体とを備える。
【0015】
いくつかの例において、導電性フィラメントの2つ以上の束のそれぞれは、接地ブラシ組立体の基部において閾値距離だけ分離される。
【0016】
例において、導電性フィラメントの2つ以上の束は、導電性フィラメントの第1の束及び導電性フィラメントの第2の束を含み、接地ブラシ組立体は、導電性フィラメントの第1の束及び導電性フィラメントの第2の束を分離するように構成される1つ以上の保持具を更に備える。例において、1つ以上の保持具又は導電性フィラメントの2つ以上の束は、締結具によって接地ブラシ組立体に固定される。
【0017】
いくつかの例において、1つ以上の保持具又は導電性フィラメントの2つ以上の束は、接着剤によって接地ブラシ組立体に固定される。いくつかの例において、1つ以上の保持具は、誘電材料を含む。例において、1つ以上の保持具は、導電材料を含む。
【0018】
例において、第1の束の導電性フィラメントは、第1の長さであり、第2の束の導電性フィラメントは、第1の長さよりも大きい第2の長さである。いくつかの例において、第1の束は、第1の数の導電性フィラメントを含み、第2の束は、第1の数よりも多い第2の数の導電性フィラメントを含む。
【0019】
いくつかの例において、1つ以上の導電性フィラメントは、複合繊維を含む。例において、1つ以上の導電性フィラメントは、炭素繊維、ニッケル、ステンレス鋼、織り繊維、又は導電性プラスチックのうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
いくつかの例において、回転プレートは、モーター内に配置される。
【0021】
いくつかの例において、回転プレートは、風力タービン内に配置される。
【0022】
開示される例において、移動プレートにかかる電流を軽減する接地ペンブラシは、ペンブラシを移動プレートのねじ開口内に固定する複数の雄ねじ山を備える本体と、ペンブラシが移動プレートに固定されるときに開口から延在するように構成される導電性フィラメントの2つ以上の束を備える接地ブラシ組立体であって、導電性フィラメントは、移動プレートの移動中に導電性素子と電気接触する、接地ブラシ組立体とを備える。
【0023】
いくつかの例において、導電性フィラメントの2つ以上の束のそれぞれは、接地ブラシ組立体の基部において閾値距離だけ分離される。
【0024】
例において、移動プレート又は導電性素子のうちの1つ以上は、歯車である。
【0025】
いくつかの例において、導電性素子は、移動プレートの移動に対して固定された位置にあるプレートを含む。いくつかの例において、導電性素子は、移動プレートの移動に対して固定された位置にあるプレート上に配置される。
【0026】
例において、移動プレートは、接地ペンブラシを受ける1つ以上のねじ開口を有する。いくつかの例において、接地ペンブラシを移動プレートの1つ以上のねじ開口の内外に駆動するように構成される頭部。
【0027】
ここで、図面をより具体的に参照すると、図1は、導電性フィラメント(又は繊維)の2つ以上の束を有する接地ブラシ組立体12を備える接地ペンブラシ10の切欠き図を提供している。いくつかの例において、各フィラメントは、炭素繊維、ニッケル、ステンレス鋼、導電性プラスチック、又は、ニッケルコーティング炭素繊維若しくは銅コーティング鋼繊維等、上記のハイブリッド複合材を含む、他の任意の導電性繊維タイプのフィラメントから作製される微細な毛髪様のフィラメントである。
【0028】
接地ペンブラシ10は、ペンブラシ10をねじ開口内に固定するために使用される複数の雄ねじ山20を備える本体14によって画定される。頭部16は、接地ペンブラシ10を開口の内外へと転回する工具面18を有することができる。限定しないが、本体14、ねじ山20、頭部16、及び/又は接地組立体12の一部を含む、接地ペンブラシ10の1つ以上の構成要素は、一体部品として形成してもよい。いくつかの例において、接地ペンブラシ10の構成要素は、別々に形成されて接合される。接地ペンブラシ10の1つ以上の構成要素は、電流を流すのに十分な導電性材料(例えば、金属、金属合金、炭素複合材等)から形成することができる。
【0029】
図2A図2Dは、導電性フィラメントの束の種々の構成を混ぜたものを示す。いくつかの例においては、各束は等しい数の導電性フィラメントを有してもよく、いくつかの例においては、各束は可変の数の導電性フィラメントを有してもよい。各束の導電性フィラメントは、共通の長さ、直径、及び/又は組成を有してもよく、又は多様な長さ、直径、及び/又は組成を有してもよい。図1図5において同様又は同一の参照符号は、同様又は同一の構成要素を参照するために使用され、「A」又は「B」を用いて代替の構成要素を区別している。
【0030】
図2Aの例示のブラシ組立体12において、導電性フィラメント又は繊維の束24のそれぞれは、互いに1つ以上の保持具又は緩衝体26によって分離される。図示のように、保持具26は、接地ブラシ組立体12の基部22内に配置され、導電性フィラメントの束24は、各束の間に閾値距離27を置いて接地ブラシ組立体12から延在するようになっている。保持具26及び/又は束24のうちの1つ以上は、基部から延在する1つ以上の側壁28を通る締結具30の使用によって、基部26内に固定される。加えて又は代替的に、繊維が壁28を越えて突き出る長さ29は、回転運動中の摩耗、接触圧等を制限するように最適化することができる。
【0031】
いくつかの例において、導電性フィラメントは、付加製造等によって接地ブラシ組立体12とともに一体的に形成される。
【0032】
基部22内で保持具26を利用することによって分離が維持されるものとして示されているが、所望の閾値分離を維持するために、束は基部22の穴の中に及び/又はプレート又は他の要素(例えば、側壁28の上)の穴を通して挿入することができる。
【0033】
図2Bは、別の例示のブラシ組立体12Aを提供しており、追加又は代替の接着剤又は結合剤32(例えば、導電性プラスチック、導電性接着剤、非導電性の不連続接着剤等)が側壁28の間の空間内に追加され、ブラシ組立体12A内の保持具26及び/又は束24を強化及び/又は固定している。
【0034】
図2Cは、更に別の例示のブラシ組立体12Bを提供しており、追加又は代替の保持具26Aが束の間の空間を変更するために設けられている。加えて又は代替的に、導電性フィラメントの束24Aは、可変の数の繊維を含んでもよく、ブラシ組立体12B内の束24よりも多数又は少数となる。
【0035】
図2Dは、更に別の例示のブラシ組立体12Cを提供しており、ブラシ組立体12Cは、第1の長さの繊維34Aと第2の長さの繊維34Bとを含む導電性フィラメントの追加又は代替の束24Bを備える。
【0036】
加えて又は代替的に、導電性フィラメントのうちの1つ以上は、他のフィラメント繊維よりも小さい又は大きい材料剛性(例えば、より頑丈な材料)を有してもよい。例えば、繊維は、より大きい直径を有し、より剛性の高い材料から作製し、及び/又は特定の加工処理によって調製することができる(例えば、限定しないが、押出成形又は引抜成形等の工程において、より小さい複数の繊維と、限定しないが、ナイロン、ポリエステル、ビニルエステル、又はエポキシ等のポリマーマトリクス材料とがともに結合した複合材)。さらに、導電性フィラメントのうちのいくつかは、概ね丸い形状を有することができ、他の幾何学形状、例えば、非限定的な例を挙げると、実質的に平坦、矩形、三角形、及び楕円形が想定される。いくつかの例において、導電性フィラメントは、エポキシ内にコーティングされ又は別様に処理され、接地ペンブラシ10が固定プレート(図3A図3B及び図4に提供されるような)に対して回転するときの剛性及び/又は耐久性を改善する。
【0037】
図3に示す一例示の応用形態において、接地ペンブラシ10は、固定プレート又は物体38に対して回転又は移動するプレート又は物体36上に設置されるように構成される。例示の接地ブラシ組立体10は、プレート38上に蓄積し得る電荷を放散する。接地ブラシ組立体10は、種々の厚さ又は幾何学形状のプレート36において使用するために多様な種々のサイズで提供することができる。接地ブラシ組立体10は、回転表面を有する多様な用途、例えば、モーター、タービン、コンベヤ、並びに電荷を蓄積し得る他の組立体及び構造において使用することができる。
【0038】
接地ペンブラシ10は、導電性フィラメントの1つ以上の束が、直接又は接地を通じて間接的に、(例えば、モーター、タービン、歯車等の)動作時に、導電性素子40を通じて固定プレート38上に蓄積する静電荷、コモンモード電圧、及び/又は他の電荷を放散するように配置される。いくつかの例において、導電性素子40の追加は任意選択であり、導電性フィラメント24は表面37に直接接触してもよい。いくつかの例において、本体14は、ねじ山20と、1つ以上の代替又は追加の締結具、例えば、スナップ嵌合、リベット留め、ボルト、接着剤、はんだ付け、溶接、又は他の適切な締結技法とを介してプレート36内に固定される。
【0039】
図3A及び図3Bに示すように、例示の接地ブラシペン10は、プレート36が周りを回転する中心軸の周辺に配置される実質的に連続的なプレート又は環状リング36において個々に配置することができる。いくつかの例において、各導電性フィラメントは、固定プレート又は物体38の表面37に向かって指向される。接地ペンブラシ10は、表面37に対して実質的に垂直に配置されるものとして示されているが、いくつかの例において、表面に対して角度を付けて設置してもよい。
【0040】
薄く軽量な導電性フィラメントは、図3Aに示すように、プレート38の表面37に物理的に直接接触する。いくつかの例において、導電性フィラメントは、導電性素子40を介してプレートに接触する。両方の例において、動作時に大きな摩耗を伴うことなく、プレート38から電荷が直接移動する。プレート38から束24の導電性フィラメントへの電荷の移動は、(例えば、導電性素子40を介した)プレート38に対する束24の導電性フィラメントの直接的な接触を通じて生じる。電荷は、導電性フィラメント24と、プレート36及び接地の接続部との間で移動することができる。そのため、プレート38上に蓄積する電荷は、アーク放電が生じ得る前に接地ブラシ組立体10を通じて接地に放散される。本明細書において使用される場合、「接地」という用語は、プレート38と、軸受及び/又は歯車、軸受等の下流の機器のうちの1つ以上との間の電圧差の低減を接地デバイスがもたらすことを可能にする任意の回路経路を指す。
【0041】
さらに、束の間の閾値分離距離と、繊維タイプ及び幾何学形状に適切な束サイズとを維持する結果として、繊維と異なる隣接する繊維又は繊維束とが相互作用しても、いずれかの個々の繊維又は繊維の束が過度に剛性になって、理想的な接触圧よりも大きく作用を及ぼすこと、及び/又は接触表面から持ち上げられること、及び/又は閾値レベルを超えて変形することは起こりにくい。繊維の間の支持相互作用、部分複合作用又は完全複合作用は、剛性の増大を調節して導電性素子40との接触を維持することを支援するために使用される。いくつかの例において、複数のフィラメント(例えば、各束内の及び/又は束の間の)のうちの1つ以上は結束することができ、繊維の間でより大きい度合いの複合作用(完全複合作用まで及びこれを含む)が達成され、結束された繊維(複数の場合もある)を更に剛性にすることができる。
【0042】
いくつかの例において、束24の導電性フィラメントは、曲げ角度、繊維又はその一部が受ける歪み又は力に基づいて、閾値変形量内等の所望の態様で変形することができ、繊維の特性(例えば、直径、長さ、材料タイプ、材料強度、処理工程等)及び/又は環境の特性(例えば、温度、接地組立体12と表面37との間の距離、インピーダンス等)を含む多様な要因に基づいて最適化することができる。この調節は、適切なシャフト電圧軽減を提供しながら繊維が受ける摩耗が最小になるように、接触圧を最適化する役割を果たす。束24の導電性フィラメントは、回転方向を問わず、プレート36の回転時の表面37に従うように曲がる又は屈曲するように構成される。そのため、開示される組立体の動作及び利点は、単一方向又は逆方向の回転を伴うプレートに適用可能である。
【0043】
いくつかの例において、繊維の特性は、材料剛性、繊維の直径及び繊維の露出長さ、並びに適切な接触圧において表面37との繊維の結果として生じる重なりに基づいて最適化される。また、特定の用途に対する最適化は、個々の繊維の直径及び/又はその束の直径のうちの1つ以上を調整することと、必要に応じて(一方又は両方に対して)より小さい及び/又は大きい直径を利用して、接触圧、環境、及び摩耗による性能を最適化することとを含むこともできる。
【0044】
いくつかのそのような例において、導電性フィラメントのうちの1つ以上は、約150ミクロン未満の直径を有することができる。導電性フィラメントは、約5ミクロン~約100ミクロンの範囲内の直径を有することができる。代替的に、導電性フィラメントは、導電性素子40と接触状態で保持される導電材料のより大きい繊維とすることができる。
【0045】
加えて又は代替的に、繊維は、2つ以上の指向を有する繊維又は繊維の束の混合物とすることができ、特定の用途又は所望の結果に応じて連続としても、不連続としてもよい。いくつかの例において、連続繊維は、繊維の両端部が本体に固定され、繊維の中央部が屈曲して表面と接触するように、ループを形成する。一端が本体に固定され、他端が表面に接触する不連続繊維よりも、連続繊維は長い摩耗寿命を提供することができる。
【0046】
繊維の数は、いくつかの実施形態において、図示したものよりもはるかに多くてもよく、近接度をはるかに近くしてもよく、図面は、見やすいように間隔を大きくして繊維の数を少なくして示していることを理解されたい。
【0047】
図4の例に示すように、プレート36は、環状本体によって画定され、複数の接地ペンブラシ10は、環状本体内でその周辺に配置される。図示のように、接地ペンブラシ10の単一の列が中心軸から所与の径方向距離を置いて配置される。しかしながら、複数の径方向距離にある複数の列を、各距離に任意の数の接地ペンブラシ10を置いて利用してもよい。例示の環状プレート36は、限定しないが、アルミニウム、ステンレス鋼、ブロンズ及び/又は銅を含む金属、及び/又は導電性プラスチック等の導電材料から作製される。
【0048】
プレート36がプレート38に対して(又はその逆も同様)方向42において回転すると、導電性フィラメント束24は、従来の繊維とは異なる態様で導電性素子の表面と重なる(例えば、動作時に曲がって又は屈曲して導電性素子の表面に接触する)。導電性フィラメントは、各繊維が受ける力、ひいては曲げが、従来の構成の繊維(例えば、分離距離を伴わない)よりも小さくなるように、表面37に重なることができる。そのため、個々の導電性フィラメント及び束ねた導電性フィラメントは、正しい接触圧に調節されることによって受ける摩耗を少なくすることができる。
【0049】
図5A及び図5Bは、フィラメント束24及び保持具(複数の場合もある)26の例示の構成を示している。図5Aに示すように、保持具26は、個々の束24を分離するように配置される。保持具26は、格子パターンで示しているが、繊維の各束24の周りに個々の保持具として構成してもよく、及び/又は束のサブセットを囲んでもよい。図5Bは、個々の束24が貫通することができる開口又は穴を有することができる単一の保持具26Aを示している。
【0050】
束24及び/又は保持具26を固定するために単一の締結具30を示しているが、複数の締結具を利用してもよい(例えば、束及び/又は保持具の2つ以上の、又は各行及び/又は列に対して)。さらに、側壁(複数の場合もある)28は、概ね円形として示しているが、円形、矩形、三角形、又は任意の適切な多角形を含む、任意の適切な幾何学形状とすることができ、側壁を通って繊維のより大きい部分を示す1つ以上の開放セクションを有することができる。
【0051】
そのため、本出願において開示するように、接地ペンブラシは、そこから延在する複数の導電性フィラメントを備え、導電性フィラメントは、接地ペンブラシが表面に対して又はその逆に並進するときに導電性素子に接触するように配置される。いくつかの例において、接地ペンブラシは、導電性素子が取り付けられる固定プレート又は表面に対して並進(例えば、回転、直線等)するように構成されるプレート又はハブに固定される。例えば、プレートは、概ね平面の構造体、例えば、ディスク、リング、プレート、又は他の適切な構造体とすることができる。プレートは、ペンブラシを受け入れるようにプレートの所与の表面から別の表面まで延在する1つ以上の穴を有し、導電性フィラメントは、固定されるとプレートから延在する。
【0052】
導電性フィラメントは、プレートから延在して、導電性素子が取り付けられる固定プレートの表面に接触することができ、導電性フィラメントは、プレート及び固定プレートが接合されると導電性素子に接触するようになっている。いくつかの例において、ハブは、中心軸の周りに回転するように構成され、導電性素子は、固定プレートに取り付けられるストリップとして構成される。プレート(ひいては、接地ペンブラシ)が回転すると、導電性フィラメントは、導電性素子と接触し、放電のために接地への経路を提供する。
【0053】
本明細書において使用される場合、「及び/又は」は、「及び/又は」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1つ以上の項目を意味する。一例として、「x及び/又はy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x及び/又はy」は、「x及びyのうちの一方又は両方」を意味する。別の例として、「x、y及び/又はz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、y及び/又はz」は、「x、y及びzのうちの1つ以上」を意味する。本明細書において使用される場合、「例示的な」という用語は、非限定的な例、事例又は例証としての役割を果たすことを意味する。本明細書において使用される場合、「例えば」という用語は、1つ以上の非限定的な例、事例又は例証のリストを開始する。
【0054】
本方法及び/又はシステムを、或る特定の実施態様を参照して記載してきたが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができること及び均等物に置き換えることができることを理解するであろう。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況又は材料を適合させるように多くの改変を行うことができる。例えば、開示した例のシステム、ブロック及び/又は構成要素を、組み合わせ、分割し、再配置し、及び/又は他の方法で変更することができる。したがって、本方法及び/又はシステムは、開示されている特定の実施態様に限定されない。代わりに、本方法及び/又はシステムは、字義どおりにでも均等論のもとにおいても、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含む。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】