(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】半導体デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20231107BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20231107BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20231107BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L21/20
H01L23/36 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526332
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 CN2020125328
(87)【国際公開番号】W WO2022088055
(87)【国際公開日】2022-05-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ホゥ,ビン
(72)【発明者】
【氏名】ドワン,ホワンタオ
【テーマコード(参考)】
5F102
5F136
5F152
【Fターム(参考)】
5F102FA04
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
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5F102GT01
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5F152NN03
5F152NN05
5F152NN09
5F152NP09
5F152NQ09
(57)【要約】
この出願の実施形態は、半導体デバイス及びその製造方法を開示する。当該半導体デバイスは、基板と、該基板上に配置されたエピタキシャル層及び電極とを含み得る。基板は、当該基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造を持つ。ダイヤモンド構造は、第1のダイヤモンド部分と該第1のダイヤモンド部分の下の第2のダイヤモンド部分とに縦方向に分割され得る。第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分は相異なる横方向寸法を持つ。ダイヤモンド部分の良好な熱伝導率により、基板を貫通するダイヤモンド構造が縦方向の熱伝導チャネルを形成して、半導体デバイスの放熱性能を改善し得る。これは、半導体デバイスの高出力性能を効果的に発揮する助けとなる。また、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分の構造を制御する助けとなるよう、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とが異なる横方向寸法を持つ。さらに、放熱性能及びエピタキシャル層と基板との間の格子整合が実現され、より高品質なエピタキシャル層及び高性能な半導体デバイスを得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
基板であり、当該基板は、当該基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造を持ち、該ダイヤモンド構造は、第1のダイヤモンド部分と該第1のダイヤモンド部分の下の第2のダイヤモンド部分とに縦方向に分割され、該第1のダイヤモンド部分及び該第2のダイヤモンド部分は、相異なる横方向寸法を持つ、基板と、
前記基板上に順次配置されたエピタキシャル層及び電極と、
を有するデバイス。
【請求項2】
複数の第1のダイヤモンド部分及び複数の第2のダイヤモンド部分が存在し、該複数の第1のダイヤモンド部分が該複数の第2のダイヤモンド部分に一対一に対応し、該複数の第1のダイヤモンド部分は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つのものである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
第2のダイヤモンド部分の数は、第1のダイヤモンド部分の数よりも少なく、同一の第2のダイヤモンド部分に複数の第1のダイヤモンド部分が接続され、前記第1のダイヤモンド部分は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つのものである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
1つの第2のダイヤモンド部分が存在し、該第2のダイヤモンド部分が縦方向に前記第1のダイヤモンド部分のうちの全て又は一部に接続される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
複数の第2のダイヤモンド部分が存在し、該複数の第2のダイヤモンド部分が、前記基板の表面に平行な予め定められた方向に延在し、少なくとも1つの第2のダイヤモンド部分が縦方向に前記複数の第1のダイヤモンド部分に接続される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1のダイヤモンド部分の横方向寸法は1μmから10μmの範囲であり、前記第1のダイヤモンド部分の縦方向寸法は1μmから10μmの範囲であり、異なる第1のダイヤモンド部分間の間隔は1μmから10μmの範囲であり、前記基板の厚さは50μmから100μmの範囲である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記基板の材料は、シリコン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、及びサファイアのうちの1つ以上である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ダイヤモンド構造は、単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記エピタキシャル層はバッファ層及びバリア層を有し、該バッファ層は窒化ガリウム層であり、該バリア層の材料は、AlGaN、InAlN、AlN、及びScAlNのうちの1つ以上である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記窒化ガリウム層の厚さは0.1μmから2μmの範囲であり、前記バリア層の厚さは5nmから20nmの範囲である、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記電極は、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極を有し、前記電極の材料は、Au、Ti、Al、Ni、及びTaのうちの少なくとも1つである、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
半導体デバイスを製造する方法であって、
基板を用意する工程と、
前記基板の第1表面をエッチングして第1の溝を得る工程と、
前記第1の溝をダイヤモンド材料で充填する工程と、
前記基板の前記第1表面上に順次にエピタキシャル層及び電極を形成する工程と、
前記基板の第2表面をエッチングして第2の溝を得る工程であり、該第2の溝及び前記第1の溝は接続され且つ相異なる横方向寸法を持ち、前記第1表面及び前記第2表面は2つの反対側の表面である、工程と、
前記第2の溝をダイヤモンド材料で充填する工程と、
を有する方法。
【請求項13】
複数の第1の溝及び複数の第2の溝が存在し、該複数の第1の溝が該複数の第2の溝に一対一に対応し、前記第1の溝及び前記第2の溝の中のダイヤモンド材料の形状が、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の溝の数が前記第1の溝の数よりも少なく、同一の第2の溝に複数の第1の溝が接続され、前記第1の溝の形状が、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
1つの第2の溝が存在し、前記複数の第1の溝の中のダイヤモンド材料のうちの全て又は一部が前記第2の溝の底で露出される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の溝は、前記基板の表面に平行な予め定められた方向に延在する複数の溝であり、前記複数の第1の溝の中のダイヤモンド材料が、少なくとも1つの第2の溝の底で露出される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記基板の第2表面をエッチングして第2の溝を得る前記工程の前に、当該方法は更に、
前記基板の前記第2表面から前記基板を薄化する工程、
を有する、請求項12乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
半導体デバイスを製造する方法であって、
基板を用意する工程と、
前記基板の第1表面をエッチングして第1の溝を得て、該第1の溝をダイヤモンド材料で充填し、且つ前記基板の第2表面をエッチングして第2の溝を得て、該第2の溝を前記ダイヤモンド材料で充填する工程であり、前記第2の溝及び前記第1の溝は接続され且つ相異なる横方向寸法を持ち、前記第1表面及び前記第2表面は2つの反対側の表面である、工程と、
前記基板の前記第1表面上に順次にエピタキシャル層及び電極を形成する工程と、
を有する方法。
【請求項19】
複数の第1の溝及び複数の第2の溝が存在し、該複数の第1の溝が該複数の第2の溝に一対一に対応し、前記第1の溝及び前記第2の溝の中のダイヤモンド材料の形状が、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の溝の数が前記第1の溝の数よりも少なく、同一の第2の溝に複数の第1の溝が接続され、前記第1の溝は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つのものである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
1つの第2の溝が存在し、該第2の溝が前記第1の溝の後に形成される場合に、前記複数の第1の溝の中のダイヤモンド材料のうちの全て又は一部が該第2の溝の底で露出され、該第2の溝が前記第1の溝の前に形成される場合に、該第2の溝の中のダイヤモンド材料が前記複数の第1の溝の底で露出される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の溝は、前記基板の表面に平行な予め定められた方向に延在する複数の溝であり、前記第2の溝が前記第1の溝の後に形成される場合に、前記複数の第1の溝の中のダイヤモンド材料が、少なくとも1つの第2の溝の底で露出され、前記第2の溝が前記第1の溝の前に形成される場合に、同一の第2の溝の中のダイヤモンド材料が前記複数の第1の溝の底で露出される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記基板の第2表面をエッチングして第2の溝を得る前記工程の前に、当該方法は更に、
前記基板の前記第2表面から前記基板を薄化する工程、
を有する、請求項18乃至22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の半導体デバイスを有するパワーアンプチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、半導体製造技術の分野に関し、特に、半導体デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスにおいて、基板の放熱性能は、デバイスの性能に影響する重要なファクタである。一部のシナリオでは、基板の放熱の限界により、半導体デバイスの高出力性能を効果的に発揮することができない。
【0003】
例えば、半導体デバイスが高周波数及び高出力に向けて発展するにつれて、窒化ガリウム(gallium nitride,GaN)系の高電子移動度トランジスタ(high-electron-mobility transistor,HEMT)が、第5世代モバイル通信技術(the 5th generation mobile network,5G)の分野におけるパワーアンプ(power amplifier,PA)チップにますます適用されている。第3世代ワイドバンドギャップ半導体材料として、窒化ガリウムは、例えば高い二次元電子ガス濃度、高い絶縁破壊電圧、高い電子飽和速度などの利点を持つ。これらの利点は、高出力デバイスとしての窒化物デバイス構造にとって好ましい条件を提供し、これらの新しい適用シナリオはまた、窒化ガリウム系HEMTデバイスの出力、周波数、効率、及び信頼性に対していっそう高い要求を課す。しかしながら、放熱が窒化ガリウム系HEMTデバイスにとっての主要なボトルネックになっている。これは何故なら、現在、基板が大抵は例えばシリコンベース及びサファイアなどの材料からなっており、これらの材料の熱伝導率が乏しいためである。窒化ガリウムデバイスが出力用の高出力デバイスとして使用される場合、大量の熱が発生し、低い熱伝導率を持つ基板材料では、大量の熱を時間内に放散することができない。結果として、窒化ガリウム機能デバイスの性能が制限される。
【発明の概要】
【0004】
これに鑑み、この出願の第1態様は、半導体デバイスの放熱性能を向上させ、半導体デバイスの高出力性能を効果的に発揮するための、半導体デバイス及びその製造方法を提供する。
【0005】
第1態様によれば、この出願の一実施形態は、基板と、該基板上に順次に配置されたエピタキシャル層及び電極と、を含む半導体デバイスを提供する。基板は、当該基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造を持つ。ダイヤモンド構造は、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とに縦方向に分割される。第2のダイヤモンド部分は第1のダイヤモンド部分の下に位置し得る。第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分は相異なる横方向寸法を持つことができる。具体的には、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分は、完全に異なる又は部分的に異なる横方向寸法を持ち得る。ダイヤモンド部分の良好な熱伝導率により、基板を貫通するダイヤモンド構造が縦方向の熱伝導チャネルを形成して、動作するデバイスによって生成された熱がデバイスの周囲に効率的に伝導され得るようになり得る。従って、半導体デバイスの放熱性能が改善され、半導体デバイスの高出力性能が効果的に発揮される。また、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とが異なる横方向寸法を持つので、2つのエッチングプロセスを使用することができ、エッチングの深さ対幅比が低減され、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分の構造を制御する助けとなる。さらに、放熱性能及びエピタキシャル層と基板との間の格子整合が実現され、より高品質なエピタキシャル層及び高性能な半導体デバイスを得ることができる。
【0006】
一部の取り得る実装において、複数の第1のダイヤモンド部分及び複数の第2のダイヤモンド部分が存在し、該複数の第1のダイヤモンド部分が該複数の第2のダイヤモンド部分に一対一に対応し、該複数の第1のダイヤモンド部分は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つのものである。
【0007】
この出願のこの実施形態では、第1のダイヤモンド部分が第2のダイヤモンド部分と一対一の対応関係にあるとし得る。斯くして、1つの第1のダイヤモンド構造と1つの第2のダイヤモンド構造とで縦方向の熱伝導チャネルを形成し、複数の熱伝導チャネルを用いて熱をデバイスの周囲に放散し得る。従って、高い放熱効率が実現される。第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分は複数の形状を持つことができ、具体的に、様々なエピタキシャル層に合わせて設計され得る。これは、放熱性能及び格子整合を考慮し、エピタキシャル品質を改善する。
【0008】
一部の取り得る実装において、第2のダイヤモンド部分の数は、第1のダイヤモンド部分の数よりも少なく、同一の第2のダイヤモンド部分に複数の第1のダイヤモンド部分が接続され、第1のダイヤモンド部分は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つのものである。
【0009】
この出願のこの実施形態では、第1のダイヤモンド部分の下に位置する第2のダイヤモンド部分の数が第1のダイヤモンド部分の数よりも少ないとし得る。斯くして、1つの第2のダイヤモンド部分が複数の第1のダイヤモンド部分に接続されることで、第2のダイヤモンド部分の横方向寸法を第1のダイヤモンド部分の横方向寸法よりも大きくすることができ、エピタキシャル層から離れた側で基板上にあるダイヤモンド部分が、より多く露出され、エピタキシャル層に近い側で基板上にあるダイヤモンド部分が、より少なく露出される。従って、デバイスの放熱性能が確保され、エピタキシャル品質が考慮される。
【0010】
一部の取り得る実装において、1つの第2のダイヤモンド部分が存在し、該第2のダイヤモンド部分が縦方向に第1のダイヤモンド部分のうちの全て又は一部に接続される。
【0011】
この出願のこの実施形態では、第2のダイヤモンド部分が1つ存在する。斯くして、第2のダイヤモンド部分が大きい横方向寸法を持つことができる。これは、エピタキシャル層の品質に影響を与えることなく、デバイスの放熱性能を更に向上させる。
【0012】
一部の取り得る実装において、複数の第2のダイヤモンド部分が存在し、該複数の第2のダイヤモンド部分が、基板の表面に平行な予め定められた方向に延在し、少なくとも1つの第2のダイヤモンド部分が縦方向に複数の第1のダイヤモンド部分に接続される。
【0013】
この出願のこの実施形態では、第2のダイヤモンド部分も複数存在することができ、それら複数の第2のダイヤモンド部分が同じ方向に延在し得る。斯くして、第2のダイヤモンド部分が大きい横方向寸法を持つことができる。これは、エピタキシャル層の品質に影響を与えることなく、デバイスの放熱性能を更に向上させる。
【0014】
一部の取り得る実装において、第1のダイヤモンド部分の横方向寸法は1μmから10μmの範囲であり、第1のダイヤモンド部分の縦方向寸法は1μmから10μmの範囲であり、異なる第1のダイヤモンド部分間の間隔は1μmから10μmの範囲であり、基板の厚さは50μmから100μmの範囲である。
【0015】
この出願のこの実施形態において、第1のダイヤモンド部分は、基板の厚さのうちの小さい部分を占めることができ、第1のダイヤモンド部分が適切に間隔を空けられる。これは、エピタキシャル層の品質を確保しつつ、デバイスの放熱性能を確保する。
【0016】
一部の取り得る実装において、基板の材料は、シリコン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、又はサファイアのうちの1つ以上である。
【0017】
この出願のこの実施形態において、基板は、シリコン基板、炭化ケイ素基板、窒化アルミニウム基板、又はサファイア基板のうちの1つ以上とし得る。基板の放熱性能が十分に良くない場合であっても、ダイヤモンドを用いることによって放熱チャネルが形成された後にデバイスの放熱性能が確保され、基板の製造プロセスが単純であり、基板を大規模に生産するのが容易である。
【0018】
一部の取り得る実装において、ダイヤモンド構造は、単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドである。
【0019】
この出願のこの実施形態において、ダイヤモンド構造は、単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドとすることができ、ダイヤモンド構造が単結晶ダイヤモンドであるか多結晶ダイヤモンドであるかは、良好な放熱を実現することができるという条件の下で、実際の状況に基づいて決定され得る。
【0020】
一部の取り得る実装において、エピタキシャル層はバッファ層及びバリア層を含み、該バッファ層は窒化ガリウム層であり、該バリア層の材料は、AlGaN、InAlN、AlN、及びScAlNのうちの1つ以上である。
【0021】
この出願のこの実施形態において、エピタキシャル層は、バッファ層とバリア層とを含むことができ、バッファ層は窒化ガリウム層とすることができる。従って、半導体構造は窒化ガリウムデバイスとすることができ、バリア層と窒化ガリウム層との間に二次元電子ガスが形成されて、より良好なデバイス性能を提供し得る。
【0022】
一部の取り得る実装において、窒化ガリウム層の厚さは0.1μmから2μmの範囲であり、バリア層の厚さは5nmから20nmの範囲である。
【0023】
この出願のこの実施形態において、窒化ガリウム層及びバリア層の厚さは、デバイス性能を確保するために適切な範囲内とし得る。
【0024】
一部の取り得る実装において、電極は、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極を含み、電極の材料は、Au、Ti、Al、Ni、及びTaのうちの少なくとも1つである。
【0025】
この出願のこの実施形態において、電極は、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極を含むことができ、デバイスの完全性及び高い性能を確保するために複数の電極材料が存在し得る。
【0026】
この出願の実施形態の第2態様は、半導体デバイスを製造する方法を提供し、当該方法は、
基板を用意する工程と、
基板の第1表面をエッチングして第1の溝を得る工程と、
第1の溝をダイヤモンド材料で充填する工程と、
基板の第1表面上に順次にエピタキシャル層及び電極を形成する工程と、
基板の第2表面をエッチングして第2の溝を得る工程であり、第2の溝が第1の溝に接続され、第2の溝及び第1の溝が相異なる横方向寸法を持ち、第1表面及び第2表面は2つの反対側の表面である、工程と、
第2の溝をダイヤモンド材料で充填する工程と、を含む。
【0027】
この出願のこの実施形態では、最初に、基板の第1表面のダイヤモンド材料が形成され、基板上のデバイス構造が形成され、その後、第2表面のダイヤモンド構造が形成され得る。これは、デバイス構造が形成された後にボンディングを行うためにデバイスを裏返す従来技術の工程に一致する。従って、この出願のこの実施形態における高性能で高放熱のデバイスを、可能な限り少ない工程で得ることができる。
【0028】
一部の取り得る実装において、複数の第1の溝及び複数の第2の溝が存在し、該複数の第1の溝が該複数の第2の溝に一対一に対応し、第1の溝及び第2の溝の中のダイヤモンド材料の形状が、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つである。
【0029】
一部の取り得る実装において、第2の溝の数が第1の溝の数よりも少なく、同一の第2の溝に複数の第1の溝が接続され、第1の溝の形状が、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの1つである。
【0030】
一部の取り得る実装において、1つの第2の溝が存在し、複数の第1の溝の中のダイヤモンド材料のうちの全て又は一部が第2の溝の底で露出される。
【0031】
一部の取り得る実装において、第2の溝は、基板の表面に平行な予め定められた方向に延在する複数の溝であり、複数の第1の溝の中のダイヤモンド材料が、少なくとも1つの第2の溝の底で露出される。
【0032】
一部の取り得る実装において、基板の第2表面をエッチングして第2の溝を得る工程の前に、当該方法は更に、
基板の第2表面から基板を薄化する工程、を含む。
【0033】
この出願の実施形態の第3態様は、半導体デバイスを製造する方法を提供し、当該方法は、
基板を用意する工程と、
基板の第1表面をエッチングして第1の溝を得て、該第1の溝をダイヤモンド材料で充填し、且つ基板の第2表面をエッチングして第2の溝を得て、該第2の溝をダイヤモンド材料で充填する工程であり、第2の溝及び第1の溝は接続され且つ相異なる横方向寸法を持ち、第1表面及び第2表面は2つの反対側の表面である、工程と、
基板の第1表面上に順次にエピタキシャル層及び電極を形成する工程と、を含む。
【0034】
この出願のこの実施形態では、最初に、基板の第1表面のダイヤモンド材料が形成され、次いで第2表面のダイヤモンド構造が形成され、次いで、基板上のデバイス構造が形成され得る。斯くして、デバイス構造が形成される前に完全な基板を得ることができ、そして、デバイス構造が、第1表面上に形成されるか、第2表面上に形成されるかし得る。従って、様々な要求を満たすことができる。
【0035】
一部の取り得る実装において、複数の第1の溝及び複数の第2の溝が存在し、該複数の第1の溝が該複数の第2の溝に一対一に対応し、第1の溝及び第2の溝の中のダイヤモンド材料の形状が、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つである。
【0036】
一部の取り得る実装において、第2の溝の数が第1の溝の数よりも少なく、同一の第2の溝に複数の第1の溝が接続され、第1の溝は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つである。
【0037】
一部の取り得る実装において、1つの第2の溝が存在し、該第2の溝が第1の溝の後に形成される場合に、複数の第1の溝の中のダイヤモンド材料のうちの全て又は一部が該第2の溝の底で露出され、該第2の溝が第1の溝の前に形成される場合に、該第2の溝の中のダイヤモンド材料が複数の第1の溝の底で露出される。
【0038】
一部の取り得る実装において、第2の溝は、基板の表面に平行な予め定められた方向に延在する複数の溝であり、第2の溝が第1の溝の後に形成される場合に、複数の第1の溝の中のダイヤモンド材料が、少なくとも1つの第2の溝の底で露出され、第2の溝が第1の溝の前に形成される場合に、同一の第2の溝の中のダイヤモンド材料が複数の第1の溝の底で露出される。
【0039】
一部の取り得る実装において、基板の第2表面をエッチングして第2の溝を得る工程の前に、当該方法は更に、
基板の第2表面から基板を薄化する工程、を含む。
有する、請求項18乃至22のいずれか一項に記載の方法。
【0040】
この出願の実施形態の第4態様は、この出願の実施形態の第1態様で提供される半導体デバイスを含むパワーアンプチップを提供する。
【0041】
上述の技術的ソリューションによれば、この出願の実施形態が以下の利点を有することが分かる。
【0042】
この出願の実施形態は、半導体デバイス及びその製造方法を提供する。当該半導体デバイスは、基板と、該基板上に配置されたエピタキシャル層及び電極と、を含み得る。基板は、当該基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造を持つ。ダイヤモンド構造は、第1のダイヤモンド部分と、該第1のダイヤモンド部分の下の第2のダイヤモンド部分とに縦方向に分割され得る。第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分は相異なる横方向寸法を持つ。ダイヤモンド部分の良好な熱伝導率により、基板を貫通するダイヤモンド構造が縦方向の熱伝導チャネルを形成し得る。故に、動作するデバイスによって生成された熱がデバイスの周囲に効率的に伝導され得る。従って、半導体デバイスの放熱性能が改善され、半導体デバイスの高出力性能が効果的に発揮される。また、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とが異なる横方向寸法を持つので、2つのエッチングプロセスを使用することができ、エッチングの深さ対幅比が低減され、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分の構造を制御する助けとなる。さらに、放熱性能及びエピタキシャル層と基板との間の格子整合が実現され、より高品質なエピタキシャル層及び高性能な半導体デバイスを得ることができる。同時に、当該半導体デバイスの製造プロセスは複雑でなく、この基板は大規模に生産するのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
この出願の特定の実装形態を明確に理解するために、以下にて、この出願の特定の実装を説明するために使用される添付の図面を簡単に説明するが、添付の図面がこの出願の単に一部の実施形態を示すにすぎないことは明らかである。
【
図1】この出願の一実施形態に従った基地局の概略図である。
【
図2A】この出願の一実施形態に従った半導体デバイスの構造の概略図である。
【
図2B】この出願の一実施形態に従った他の半導体デバイスの構造の概略図である。
【
図3】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体デバイスの構造の概略図である。
【
図4】この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法のフローチャートである。
【
図5】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図6】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図7】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図8】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図9】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図10】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図11】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図12】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図13】この出願の一実施形態に従った他の半導体デバイス製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
この出願の実施形態は、半導体デバイスの放熱性能を向上させ、半導体デバイスの高出力性能を効果的に発揮するための、半導体デバイス及びその製造方法を提供する。
【0045】
この出願の明細書、特許請求の範囲、及び添付図面において、“第1”、“第2”、“第3”、及び“第4”などの用語(存在する場合)は、同様の対象間で区別することを意図しており、必ずしも特定の順序又はシーケンスを示すものではない。理解されるべきことには、そのように称されるデータは適切な状況において相互に入れ替え可能であり、それ故に、ここで説明されるこの出願の実施形態は、ここで図示又は説明される順序以外の順序で実装されることができる。また、用語“含む”及び“持つ”並びにこれらの任意の変形は、非排他的な包含に及ぶことを意図している。例えば、ステップ又はユニットのリストを含むプロセス、方法、システム、プロダクト、又はデバイスは、それら明示的に列挙されたステップ又はユニットに必ずしも限定されず、明示的に列挙されていない他のステップ又はユニット、あるいはそのようなプロセス、方法、プロダクト、又はデバイスに生来的に備わる他のステップ又はユニットを含み得る。
【0046】
この出願を、概略図を参照して詳細に説明する。この出願の実施形態を詳細に説明するとき、説明を容易にするために、コンポーネント構造を示す断面図は部分的に、一般的な縮尺に従って拡大されてはいない。また、概略図は単なる例であり、ここでのこの出願の保護範囲を限定するものではない。また、実際の製造においては、長さ、幅、及び奥行きの3次元空間寸法が含まれるべきである。
【0047】
半導体デバイスにおいて、基板の放熱性能は、デバイスの性能に影響する重要なファクタである。一部のシナリオでは、基板の放熱の限界により、半導体デバイスの高出力性能を効果的に発揮することができない。
【0048】
例えば、第3世代ワイドバンドギャップ半導体材料として、窒化ガリウムは、例えば高い二次元電子ガス濃度、高い絶縁破壊電圧、高い電子飽和速度などの利点を持つ。これらの利点は、高出力デバイスとしての窒化物デバイス構造にとって好ましい条件を提供する。しかしながら、基板の放熱の限界により、半導体デバイスの高出力性能を効果的に発揮することができない。これは何故なら、現在、基板が大抵は例えばシリコンベース及びサファイアなどの材料からなっており、これらの材料の熱伝導率が乏しいためである。半導体デバイスが出力用の高出力デバイスとして使用される場合、大量の熱が発生し、低い熱伝導率を持つ基板材料では、大量の熱を時間内に放散することができない。結果として、半導体機能デバイスの性能が制限される。一般に、サファイア材料の熱伝導率は30~40W/mkであり、シリコン基板材料の熱伝導率は130~150W/mkであり、単結晶の構造型が4Hである炭化ケイ素(silicon carbide,SiC)基板(これは4H-SiC基板と表記される)の熱伝導率は280~370W/mkの範囲である。炭化ケイ素基板の熱伝導率は従来のシリコン基板又はサファイア基板のそれの数倍ではあるものの、炭化ケイ素基板でもなおも、窒化ガリウム高出力電子デバイスの放熱要求を満たすことができない。従って、窒化ガリウム高出力デバイスの高出力性能がある程度制限されてしまう。
【0049】
半導体デバイスが高周波数及び高出力のトレンドに向かって発展するにつれて、窒化ガリウム系HEMTデバイスが5G分野のPAチップにますます適用されるようになっている。以下にて、PAの適用シナリオを説明する。
図1は、この出願の一実施形態に従った基地局の概略図である。基地局のアクティブアンテナユニット(active antenna unit,AAU)は、デジタル-アナログ変換器(digital-to-analog converter,DAC)、無線周波数(radio frequency,RF)ユニット、パワーアンプ(PA)、及びアンテナなどを含み得る。デジタル-アナログ変換器が、AAUにおける主なデジタル情報をアナログ信号に変換する。そして、無線周波数ユニットがアナログ信号を高周波信号へと変調する。最後に、パワーアンプが高周波信号を十分なパワーまで増幅し、そして、増幅された信号をアンテナユニットが送信する。PAは、基地局の全体の電力消費において主要な電力消費ユニットである。加えて、5G基地局では、AAU内のPAの電力消費において大量のエネルギーが熱の形態で消費される。従って、PAは、無線周波数PAチップの安全性を保証するために、より良好な放熱能力を持つ必要がある。大量の熱を時間内にデバイスの外に伝導することができない場合、PAは致命的な影響を受け、PAの信頼性が低下し、そして、PAが損傷されることさえある。例えば、アンテナの無線周波数出力電力は100Wである。PAの電力消費効率が50%である場合、PAは200Wのエネルギーを消費する必要があり、100Wのエネルギーが熱の形態で消費される必要がある。PAの電力消費効率が30%である場合、PAは333Wのエネルギーを消費する必要があり、233Wのエネルギーが熱の形態で消費される必要がある。これは、デバイスの放熱に対して非常に高い要求を課す。
【0050】
高出力デバイスの放熱問題を解決するための一ソリューションは、高出力デバイスの基板として良好な熱伝導率を持つ材料を見つけ、そして、その材料上に直接的にエピタキシャル層材料を成長させるか、エピタキシャル層材料を基板の材料と効果的に接合するかすることである。斯くして、良好な放熱が実現される。ダイヤモンドが良好な熱伝導率(500W/mkから2000W/mk)を持つことが見出され、ダイヤモンドを半導体高出力デバイスの基板として使用することによって放熱問題を効果的に解決することができる。例えば、ダイヤモンドがHEMTデバイスの基板として使用され、そのデバイスは現在、10GHzで10W/mmを超える出力パワーという良好な性能を達成している。
【0051】
しかしながら、ダイヤモンドをデバイス基板として使用する場合、なおも一連の課題が存在する。例えば、ダイヤモンド基板上に直接エピタキシャル層材料を成長させる場合、エピタキシャル成長が難しい。結果として、エピタキシャル層材料の膜形成が影響を受け、デバイスの電気性能が乏しい。また、ダイヤモンド基板は一般に小さく、大規模な工業的大量生産を実現することが難しい。ダイヤモンド基板を半導体デバイスの裏側に接合する場合には、低い熱伝導率を持つ界面接合材料が必要とされる。これは、デバイスの全体としての放熱性能を低下させ、その結果、デバイスの性能上の利点を十分に利用することができない。
【0052】
上述の技術的問題に基づき、この出願の実施形態は、半導体デバイス及びその製造方法を提供する。当該半導体デバイスは、基板と、該基板上に配置されたエピタキシャル層及び電極とを含み得る。基板は、当該基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造を持つ。ダイヤモンド構造は、第1のダイヤモンド部分と、該第1のダイヤモンド部分の下の第2のダイヤモンド部分とを含む。第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分は相異なる横方向寸法を持つ。ダイヤモンド部分の良好な熱伝導率により、基板を貫通するダイヤモンド構造が縦方向の熱伝導チャネルを形成し、それ故に、動作するデバイスによって生成された熱がデバイスの周囲に効率的に伝導され得る。従って、半導体デバイスの放熱性能が改善され、半導体デバイスの高出力性能が効果的に発揮される。また、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とが異なる横方向寸法を持つので、2つのエッチングプロセスを使用することができ、エッチングの深さ対幅比が低減され、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分の構造を制御する助けとなる。さらに、放熱性能及びエピタキシャル層と基板との間の格子整合が実現され、より高品質なエピタキシャル層及び高性能な半導体デバイスを得ることができる。同時に、当該半導体デバイスの製造プロセスは複雑でなく、この基板は大規模に生産するのが容易である。
【0053】
この出願の目的、特徴、及び利点をより明白かつ理解可能にするために、以下、添付の図面を参照してこの出願の特定の実装を詳細に説明する。
【0054】
図2A、
図2B、及び
図3は、この出願の実施形態に従った半導体デバイスの構造の概略図である。当該半導体デバイスは、下から上に、基板100と、エピタキシャル層200と、電極401、402、及び403とを含み得る。
【0055】
この出願のこの実施形態において、基板100は、デバイスの支持を提供するコンポーネントであり、一定の熱伝導率を持ち、デバイスが動作するときに発生する熱を外部に放散することができる。基板100は、半絶縁性の半導体材料とし得る。具体的に、基板100の材料は、シリコン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、及びサファイアのうちの1つ以上とし得る。以下では、基板100の材料が炭化ケイ素、具体的には4H-SiC単結晶、である例について説明する。4H-SiC単結晶基板材料の熱伝導率は一般に280~370W/mkの範囲である。これは半導体デバイスの高出力性能を制限してしまう。
【0056】
この出願のこの実施形態において、基板100は、当該基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造110を持つことができ、ダイヤモンド構造110は単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドである。ダイヤモンドの良好な熱伝導率(500~2000W/mk)により、基板100を縦方向に貫通するダイヤモンド構造110が縦方向の放熱チャネルを形成し得る。これはデバイスの放熱効率を大幅に向上させる。
【0057】
ダイヤモンド構造110は縦方向に第1のダイヤモンド部分112と第2のダイヤモンド部分113とに分割され得る。第2のダイヤモンド部分113は第1のダイヤモンド部分112の下に位置する。第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、相異なる横方向寸法を持つ。例えば、第1のダイヤモンド部分112の横方向寸法は第2のダイヤモンド部分113の横方向寸法よりも大きく、又は第1のダイヤモンド部分112の横方向寸法は第2のダイヤモンド部分113の横方向寸法よりも小さい。あるいは、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、相異なる構造を持つ。従って、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、相異なる寸法特性を有する。横方向は、基板の表面に沿った方向を指し、縦方向は、基板表面に垂直な方向を指し、基板100とエピタキシャル層200とが積層される方向でもある。
図2A、
図2B、及び
図3において、横方向は図中の水平方向及び紙面に垂直な方向であり、縦方向は図中の鉛直方向である。第1のダイヤモンド部分112は、異なる高さで同じ横方向寸法又は異なる横方向寸法を持つことができ、第2のダイヤモンド部分113は、異なる高さで同じ横方向寸法又は異なる横方向寸法を持つことができる。第1のダイヤモンド部分112と第2のダイヤモンド部分113とが縦方向に接続され、接触位置は同じ横方向寸法又は異なる横方向寸法を持ち得る。
【0058】
この出願のこの実施形態において、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113が相異なる横方向寸法を持つことは、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113が完全に異なる横方向寸法を持つこと、又は完全には異ならない横方向寸法を持つことを含み得る。具体的に、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113が完全に異なったり完全には異ならなかったりする複数のケースが存在し得る。第1のケースで、第1のダイヤモンド部分112が異なる高さで同じ横方向寸法を持ち、第2のダイヤモンド部分113が異なる高さで同じ横方向寸法を持ち、且つ第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113が相異なる横方向寸法を持つ場合、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分は完全に異なる横方向寸法を持つ。第2のケースで、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113のうち一方が異なる高さで同じ横方向寸法を持ち、他方のダイヤモンド部分が異なる高さで異なる横方向寸法を持つ場合、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、完全に異なる横方向寸法又は完全には異ならない横方向寸法を持つ。第3のケースで、第1のダイヤモンド部分112が異なる高さで異なる横方向寸法を持ち、第2のダイヤモンド部分113が異なる高さで異なる横方向寸法を持つ場合、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、完全に異なる横方向寸法又は完全には異ならない横方向寸法を持つ。例えば、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113が異なる形状を持ち得る又は同じ形状を持ち得る場合、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、部分的に異なる又は完全に異なる横方向寸法を持つ。
【0059】
ダイヤモンド構造110は基板100を縦方向に貫通するので、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の縦方向寸法の合計は、基板100の厚さと同じである。この出願のこの実施形態において、基板100の厚さは50~100μmの範囲とすることができ、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の縦方向寸法は、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の形状に基づいて決定され得る。
【0060】
具体的に、複数の第1のダイヤモンド部分112及び複数の第2のダイヤモンド部分113が存在することができ、複数の第1のダイヤモンド部分112が複数の第2のダイヤモンド部分113に一対一に対応する。換言すれば、1つの第1のダイヤモンド部分112が1つの第2のダイヤモンド部分113に接続されて、基板100を貫通するダイヤモンド構造110を形成し得る。第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。具体的に、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の形状は同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1のダイヤモンド部分112が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、第1のダイヤモンド部分112は異なる高さで異なる横方向寸法を持つとすることができ、より大きい横方向寸法を持つ一端が、一般に、基板10の表面の方向に位置する。第2のダイヤモンド部分113が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、第2のダイヤモンド部分113は異なる高さで異なる横方向寸法を持つとすることができ、より大きい横方向寸法を持つ一端が、一般に、基板10の表面の方向に位置する。第1のダイヤモンド部分112が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、第1のダイヤモンド部分112の側壁と基板の表面との間の夾角は10度から80度であり、具体的に、30度から60度であってもよい。ボウル形構造の側壁と基板100の表面との間の夾角は、ボウル形状の構造の底の中心点とボウル形構造の上縁とを接続する直線と基板の表面との間の夾角として定義され得る。第2のダイヤモンド部分113も同様の特性を持つ。
【0061】
図2Aに示すように、第1のダイヤモンド部分112は円錐台構造のものとすることができ、第2のダイヤモンド部分113は円柱構造のものとすることができる。確かなことには、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、相異なる直径を持つ円柱構造のものであってもよいし(
図2Bに示すように、第1のダイヤモンド部分112の直径が、第2のダイヤモンド部分113の直径よりも大きいとし得る)、他の構造のものであってもよい。第1のダイヤモンド部分112の縦方向寸法は1~10μmとすることができ、第1のダイヤモンド部分112の横方向寸法は1~10μmの範囲とすることができ、第1のダイヤモンド部分112同士の間の間隔は1~10μmの範囲とすることができ、第2のダイヤモンド部分113の横方向寸法は5~20μmの範囲とすることができる。第1のダイヤモンド部分112が異なる高さで異なる横方向寸法を持つとき、上述の寸法は、基板の表面における第1のダイヤモンド部分112の寸法を表す。第2のダイヤモンド部分113が異なる高さで異なる横方向寸法を持つとき、上述の寸法は、基板の表面における第2のダイヤモンド部分113の寸法を表す。第1のダイヤモンド部分112が基板の表面で円として表されるとき、第1のダイヤモンド部分112の寸法は第1のダイヤモンド部分112の直径である。第1のダイヤモンド部分112が基板の表面で多角形として表されるとき、第1のダイヤモンド部分112の寸法は第1のダイヤモンド部分112の辺長である。第2のダイヤモンド部分113も同様の特性を持つ。
【0062】
具体的に、第1のダイヤモンド部分112は、第2のダイヤモンド部分113と一対一に対応していなくてもよく、第2のダイヤモンド部分113の数の方が第1のダイヤモンド部分112の数より少なくてもよい。斯くして、同一の第2のダイヤモンド部分113に複数の第1のダイヤモンド部分112が接続され、第1のダイヤモンド部分112の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとすることができ、全ての第1のダイヤモンド部分112の形状が一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
図3を参照されたい。第2のダイヤモンド部分113は一体構造のものであってもよく、第2のダイヤモンド部分113は、縦方向に第1のダイヤモンド部分112の各々に接続されてもよいし、縦方向に第1のダイヤモンド部分112のうち一部のみに接続されてもよいし、あるいは、複数の第2のダイヤモンド部分113が存在してもよい。また、第2のダイヤモンド部分113は、基板の表面に平行な予め定められた方向に延在し、少なくとも1つの第2のダイヤモンド部分113が縦方向に複数の第1のダイヤモンド部分112に接続されて、下から上まで貫通構造を形成する。
【0063】
基板100上にエピタキシャル層200が形成され得る。GaN系HEMTデバイスにおいて、エピタキシャル層200はバッファ層及びバリア層を含み得る。バッファ層とバリア層とでヘテロ構造を形成して二次元電子ガスを生成することができ、形成された半導体デバイスは、該ヘテロ構造によって生成された二次元電子ガスを用いて動作することができる。確かなことには、この出願のこの実施形態における半導体デバイスは、別のエネルギー源デバイス又はレーザであってもよく、半導体デバイスが別のエネルギー源デバイス又はレーザである場合、エピタキシャル層は、その別のデバイス内のエピタキシャル層である。ここで例を列挙することはしない。バッファ層は窒化ガリウム層とすることができ、バリア層の材料は、AlGaN、InAlN、AlN、及びScAlNのうちの少なくとも1つとすることができる。バッファ層の厚さは0.1~2μmの範囲とすることができ、バリア層の厚さは5~20nmの範囲とすることができる。基板100が炭化ケイ素基板であり、ダイヤモンド構造の一部が基板の表面で露出され、且つ窒化ガリウム層と基板100との間の格子整合度が高いので、この窒化ガリウム層は良好なエピタキシャル品質を持つ。これは、高性能デバイスを形成する助けとなる。窒化ガリウム層は、低温窒化ガリウム層と高温窒化ガリウム層とを含んでもよく、低温窒化ガリウム層が、高温窒化ガリウム層と基板との間のバッファ層として機能して、高温窒化ガリウム層のエピタキシャル品質を向上させる。
【0064】
エピタキシャル層200上に電極401、402、及び403が形成され得る。電極は、ソース電極401、ドレイン電極403及びゲート電極402を含み得る。ゲート電極402は、ソース電極401とドレイン電極403との間に位置し得る。電極401、402、及び403の材料は、金属材料とすることができ、例えば、Au、Ti、Al、Ni、及びTaのうちの少なくとも1つとし得る。取り得る一実装において、電極の材料は、Au、Ti/Al/Ni/Auスタック、又はTa/Al/Taスタックとし得る。
【0065】
この出願の一実施形態は半導体デバイスを提供する。当該半導体デバイスは、基板と、該基板上に配置されたエピタキシャル層及び電極とを含み得る。基板は、当該基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造を持つ。ダイヤモンド構造は、第1のダイヤモンド部分と、該第1のダイヤモンド部分の下の第2のダイヤモンド部分とを含む。第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分は相異なる横方向寸法を持つ。ダイヤモンド部分の良好な熱伝導率により、基板を貫通するダイヤモンド構造が縦方向の熱伝導チャネルを形成し、それ故に、動作するデバイスによって生成された熱がデバイスの周囲に効率的に伝導され得る。従って、半導体デバイスの放熱性能が改善され、半導体デバイスの高出力性能が効果的に発揮される。また、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とが異なる横方向寸法を持つので、2つのエッチングプロセスを使用することができ、エッチングの深さ対幅比が低減され、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分の構造を制御する助けとなる。さらに、放熱性能及びエピタキシャル層と基板との間の格子整合が実現され、より高品質なエピタキシャル層及び高性能な半導体デバイスを得ることができる。同時に、当該半導体デバイスの製造プロセスは複雑でなく、この基板は大規模に生産するのが容易である。
【0066】
上述の実施形態で提供される半導体デバイスに基づき、この出願の一実施形態は更に半導体デバイス製造方法を提供する。
図4は、この出願の一実施形態に従った基板100を提供する半導体デバイス製造方法のフローチャートである。
図5~
図12は、デバイス製造プロセスにおけるコンポーネントの構造の概略図である。この方法では、最初にダイヤモンド構造の第1のダイヤモンド部分112が基板100内に形成され、次いで、基板100上のデバイス構造が形成され、そして、ダイヤモンド構造の第2のダイヤモンド部分113が基板100内に形成され得る。具体的に、当該方法は以下の工程を含み得る。
【0067】
S101:
図5に示すように、基板100を用意する。
【0068】
この出願のこの実施形態において、基板100は、デバイスの支持を提供するコンポーネントであり、一定の熱伝導率を持ち、動作するデバイスによって発生される熱を外部に放散することができる。基板100は、半絶縁性の半導体材料とし得る。具体的に、基板100の材料は、シリコン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、及びサファイアのうちの1つ以上とし得る。以下では、基板100の材料が炭化ケイ素、具体的には4H-SiC単結晶、である例について説明する。4H-SiC単結晶基板材料の熱伝導率は一般に280~370W/mkの範囲である。これは半導体デバイスの高出力性能を制限してしまう。
【0069】
S102:
図6~
図8に示すように、第1の溝101を得るべく基板100の第1表面をエッチングし、第1の溝101をダイヤモンド材料で充填する。
【0070】
この出願のこの実施形態では、第1の溝101を得るように基板100の第1表面がエッチングされ得る。
図6を参照されたい。第1の溝101がダイヤモンド材料で充填され、第1の溝101に充填されたダイヤモンド材料が、
図8に示すように、上述の実施形態における第1のダイヤモンド部分112として使用され得る。基板100は、例えばプラズマエッチングなどの乾式異方性エッチングによってエッチングされ得る。エッチングを通じて得られる第1の溝101の横方向寸法は1~10μmであり、エッチング深さは1~10μmであり、異なる第1の溝101間の間隔は1~10μmの範囲であり、第1の溝101は周期的配列で配置され得る。
【0071】
第1の溝101の形状は、基板100のエッチングパラメータを制御することによって制御され得る。第1の溝101の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。円錐台構造、四角錐台構造、及びボウル形構造の、より大きい寸法を持つ一端が、基板の表面に面する。エッチングプロセスにおいて、エッチングガスによって第1の溝101の側壁に生じるダメージを減らすために、エッチング速度が遅くされ得る。斯くして、上部で大きく下部で小さい構造を持つ第1の溝101が形成される。
【0072】
エッチングを通じて第1の溝101が形成された後、第1の溝101をダイヤモンド材料で充填することができ、該ダイヤモンド材料は単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドである。具体的に、第1の溝101が形成された基板100上にダイヤモンド材料を成長させることができる。成長期間の後、
図7に示すように、1~50μmの厚さの高品質多結晶ダイヤモンド層111が基板上に生成され得る。次いで、基板100の表面を露出させるように、ダイヤモンド層111の一部が研削及び研磨により除去される。斯くして、
図8に示すように、第1の溝101内にダイヤモンド材料が充填され、ダイヤモンド材料の寸法は、第1の溝101の寸法と一致する又はそれに近いものとなる。ダイヤモンド材料は、マイクロ波プラズマ化学気相成長(microwave plasma chemical vapor deposition,MPCVD)方式で成長されることができ、ダイヤモンド材料が成長される温度は、800~1200℃とすることができ、ダイヤモンド材料が成長される圧力は、1~15kPaの範囲とすることができる。MPCVD法は、例えば安定したプラズマ放電及びより少ない汚染などの利点を持ち、その結果、高品質のダイヤモンド材料を成長させることができる。
【0073】
S103:
図9~
図10に示すように、基板100の第1表面上に順次にエピタキシャル層200並びに電極401、402、及び403を形成する。
【0074】
基板100の第1表面上にエピタキシャル層200が形成され得る。
図9を参照されたい。半導体デバイスがGaN系HEMTデバイスである場合、エピタキシャル層200はバッファ層及びバリア層を含み得る。バッファ層とバリア層とでヘテロ構造を形成して二次元電子ガスを生成することができ、形成された半導体デバイスは、該ヘテロ構造によって生成された二次元電子ガスを用いて動作することができる。バッファ層は窒化ガリウム層とすることができ、バリア層の材料は、AlGaN、InAlN、AlN、及びScAlNのうちの少なくとも1つとすることができる。バッファ層の厚さは0.1~2μmの範囲とすることができ、バリア層の厚さは5~20nmの範囲とすることができる。
【0075】
具体的に、基板100の第1表面上にバッファ層を形成することができ、次いで、バッファ層上にバリア層を形成することができる。窒化ガリウム層は、有機金属化学気相成長(Metal organic chemical vapor deposition,MOCVD)によって形成され得る。ダイヤモンド材料と窒化ガリウムとの間の格子不整合が深刻であるため、窒化ガリウムは炭化ケイ素上で急速に成長し、ダイヤモンド材料上ではゆっくりと成長する、又は成長することができないことさえある。斯くして、炭化ケイ素上での窒化ガリウムの横方向成長が強化され、転位が結合される。従って、より高品質な窒化ガリウム層が得られる。第1の溝内に形成されたダイヤモンド材料が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものである場合、それは、基板上での窒化ガリウムの成長にいっそう資する。従って、より高品質な窒化ガリウム層が得られる。該窒化ガリウム層は、低温窒化ガリウム層と高温窒化ガリウム層とを含んでもよく、低温窒化ガリウム層が、高温窒化ガリウム層と基板との間のバッファ層として機能して、高温窒化ガリウム層のエピタキシャル品質を向上させる。バリア層もMOCVD方式で形成され得る。
【0076】
エピタキシャル層200上に電極401、402、及び403が形成され得る。電極401、402、及び403は、ソース電極401、ドレイン電極403及びゲート電極402を含み得る。
図10に示すように、ゲート電極402は、ソース電極401とドレイン電極403との間に位置し得る。電極401、402、及び403の材料は、金属材料とすることができ、例えば、Au、Ti、Al、Ni、及びTaのうちの少なくとも1つとし得る。取り得る一実装において、電極401、402、及び403の材料は、Au、Ti/Al/Ni/Auスタック、又はTa/Al/Taスタックとし得る。
【0077】
S104:第2の溝102を得るべく基板100の第2表面をエッチングし、第2の溝102は第1の溝101に接続され、第1の溝101及び第2の溝102は相異なる横方向寸法を持ち、第2の溝102をダイヤモンド材料で充填する。
図11、
図12、
図2A、
図2B、及び
図3を参照されたい。
【0078】
電極401、402、及び403が形成された後、これらの電極を保護するために、電極401、402、403を覆うように誘電体層が形成され得る(図には示していない)。そして、
図11及び
図12に示すように、第2の溝102を得るべく基板100の第2表面をエッチングすることができ、ここで、第1表面及び第2表面は2つの反対側の表面である。さらに、第2の溝102をダイヤモンド材料で充填し、第2の溝102内のダイヤモンド材料を、上述の実施形態における第2のダイヤモンド部分113として使用することができる。
図2A、
図2B、及び
図3に示したように、第1の溝101が第2の溝102に接続されることで、第1の溝101内のダイヤモンド材料と第2の溝102内のダイヤモンド材料とが接触して、基板を貫通するダイヤモンド構造110を形成する。第1の溝101及び第2の溝102が相異なる横方向寸法を持つので、第1の溝101及び第2の溝102によって別々に形成されたダイヤモンド構造、すなわち、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、相異なる横方向寸法を持つ。ダイヤモンドの良好な熱伝導率により、基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造が、縦方向の放熱チャネルを形成し得る。これは、デバイスの放熱効率を大幅に向上させる。基板100の第2表面をエッチングする前に、基板100の厚さが50~100μmの範囲となるように、基板100の第2表面から基板100を更に薄化してもよく、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の縦方向寸法の合計が基板100の厚さと同じである。
【0079】
実際の処理では、デバイスが形成された後にチップをボンディングすることができ、このとき、ボンディングを実施するためにチップの基板が上を向くように、チップがひっくり返され、基板の第2表面をエッチングする上述のステップは、実際の処理における工程と適合する。従って、過度に多くの工程を追加することなく、より高性能なデバイスを得ることができる。
【0080】
具体的に、
図11に示すように、複数の第1の溝101及び複数の第2の溝102が存在することができ、第1の溝101が第2の溝102と一対一の対応関係にあることができ、1つの第1の溝101が1つの第2の溝102に接続されて、基板を貫通するスルーホールを形成し得る。第1の溝101及び第2の溝102の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。第1の溝101及び第2の溝102の形状は同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1のダイヤモンド部分112が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、より大きい横方向寸法を持つ一端が、一般に、基板の表面の方向に位置する。第2のダイヤモンド部分113が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、より大きい横方向寸法を持つ一端が、一般に、基板の表面の方向に位置する。第1の溝101が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、第1の溝101の側壁と基板の表面との間の夾角は10度から80度であり、具体的に、30度から60度であってもよい。ボウル形構造の側壁と基板の表面との間の夾角は、ボウル形状の構造の底の中心点とボウル形構造の上縁とを接続する直線と基板の表面との間の夾角として定義され得る。第2のダイヤモンド部分113も同様の特性を持つ。
【0081】
第2の溝102の横方向寸法は5~20μmの範囲であり、第2の溝の縦方向寸法は40~99μmとし得る。第1の溝101が異なる高さで異なる横方向寸法を持つとき、上述の寸法は、基板の表面での第1の溝101の開口の寸法を表す。第2の溝102が異なる高さで異なる横方向寸法を持つとき、上述の寸法は、基板の表面での第2の溝102の開口の寸法を表す。第1の溝101が基板の表面で円として表されるとき、第1の溝101の寸法は第1の溝101の直径である。第1の溝101が基板の表面で多角形として表されるとき、第1の溝101の寸法は第1の溝101の辺長である。第2の溝102も同様の特性を持つ。
【0082】
具体的に、第1の溝101は第2の溝102と一対一の対応関係になくてもよく、第2の溝102の数の方が第1の溝101の数より少なくてもよい。斯くして、
図12に示すように、同一の第2の溝102に複数の第1の溝101の溝が接続され、第1の溝101の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。
図12に示すように、第2の溝102は一体構造のものであってもよい。第2の溝102は、縦方向に第1の溝101の各々に接続されてもよいし、縦方向に第1のダイヤモンド部分112のうち一部のみに接続されてもよく、すなわち、第1の溝101内のダイヤモンド材料の全て又は一部が第2の溝102の底で露出される。第2の溝102も複数存在してもよく、それら第2の溝102が、基板の表面に平行な予め定められた方向に延在する。少なくとも1つの第2の溝102が縦方向に複数の第1の溝101に接続されて、下から上まで貫通構造を形成する。換言すれば、複数の第1の溝101内のダイヤモンド材料が、少なくとも1つの第2の溝102の底で露出される。
【0083】
このシナリオでは、基板の第2表面の大きい領域をエッチングし、基板の第2表面の大部分の材料を除去して、第2の溝102として使用されるキャビティ構造を得ることができる。該キャビティ構造が第1の溝101内のダイヤモンド材料を露出させる。斯くして、第2の溝102がダイヤモンド材料で充填された後、第1の溝101内のダイヤモンド材料と第2の溝102内のダイヤモンド材料とが接触して、基板を貫通するダイヤモンド構造を形成し、縦方向の熱伝導経路を形成する。ダイヤモンド構造の第1のダイヤモンド部分112は基板上のエピタキシャル層と接触し、ダイヤモンド構造の第2のダイヤモンド部分113は基板の外側に露出される。斯くして、デバイスの内部で発生した熱がデバイスの外部に向けて伝導され得る。基板の下に更にヒートシンクが配置されてもよい。この場合、ダイヤモンド構造の第2のダイヤモンド部分113がヒートシンクと接触して、熱を素早くヒートシンクに伝導し得る。従って、デバイスの高速な放熱が実現される。第2の溝102が大面積キャビティ構造である場合、基板の外側に露出されるダイヤモンド構造の面積が大きく、ダイヤモンド構造がヒートシンクと接触する面積も大きい。従って、放熱効率が更に向上される。
【0084】
なお、基板100内に第2の溝102に接続されない第1の溝101が存在し、該第1の溝101が第3の溝として使用されてもよく、あるいは、第1の溝101に接続されない第2の溝102が存在し、該第2の溝102が第4の溝として使用されてもよい。第3の溝及び第4の溝は基板100を貫通せず、第3の溝及び第4の溝の中のダイヤモンド材料は、基板100の深さのうち一部にて充填される。この場合、上下に貫通する放熱チャネルは形成されない。しかしながら、第3の溝内のダイヤモンド材料及び第4の溝内のダイヤモンド材料は依然として熱を外側に放散することができる。例えば、横方向の熱伝導によって熱が他のダイヤモンド材料に伝導されたり、デバイスの外部に向けて直接拡散されるように熱が下方に放散されたり、基板100を介してデバイスの外部に向けて熱が伝導されたり、基板100及び他のダイヤモンド材料を介してデバイスの外部に向けて熱が伝導されたりする。
【0085】
この出願のこの実施形態で提供される半導体デバイス製造方法によれば、第1の溝を得るべく基板の第1表面でエッチングが行われ、第1の溝がダイヤモンド材料で充填され、基板の第1表面上に順次にエピタキシャル層及び電極が形成され得る。次いで、第2の溝を得るべく基板の第2表面がエッチングされ、ここで、第2の溝及び第1の溝が接続され、相異なる横方向寸法を持ち、そして、第2の溝がダイヤモンド材料で充填される。斯くして、第1の溝内のダイヤモンド材料と第2の溝内のダイヤモンド材料とが接触して、基板を貫通するダイヤモンド構造を形成する。ダイヤモンド部分の良好な熱伝導率により、基板を貫通するダイヤモンド構造が縦方向の熱伝導チャネルを形成し、それ故に、動作するデバイスによって生成された熱がデバイスの周囲に効率的に伝導され得る。従って、半導体デバイスの放熱性能が改善され、半導体デバイスの高出力性能が効果的に発揮される。また、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とが異なる横方向寸法を持つので、2つのエッチングプロセスを使用することができ、エッチングの深さ対幅比が低減され、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分の構造を制御する助けとなる。さらに、放熱性能及びエピタキシャル層と基板との間の格子整合が実現され、より高品質なエピタキシャル層及び高性能な半導体デバイスを得ることができる。同時に、当該半導体デバイスの製造プロセスは複雑でなく、この基板は大規模に生産するのが容易である。
【0086】
上述の実施形態で提供される半導体デバイスに基づき、この出願の一実施形態は更に半導体デバイス製造方法を提供する。
図13は、この出願の一実施形態に従った他の半導体デバイス製造方法のフローチャートである。この方法では、最初に基板100内にダイヤモンド構造の第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113が形成され、次いで、その上のデバイス構造が形成され得る。具体的に、当該方法は以下の工程を含み得る。
【0087】
S201:基板100を用意する。
【0088】
この出願のこの実施形態において、基板100は、デバイスの支持を提供するコンポーネントであり、一定の熱伝導率を持ち、動作するデバイスによって発生される熱を外部に放散することができる。基板100は、半絶縁性の半導体材料とし得る。具体的に、基板100の材料は、シリコン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、及びサファイアのうちの1つ以上とし得る。以下では、基板100の材料が炭化ケイ素、具体的には4H-SiC単結晶、である例について説明する。4H-SiC単結晶基板材料の熱伝導率は一般に280~370W/mkの範囲である。これは半導体デバイスの高出力性能を制限してしまう。
【0089】
S202:第1の溝101を得るべく基板100の第1表面をエッチングし、第1の溝101をダイヤモンド材料で充填し、第2の溝102を得るべく基板100の第2表面をエッチングし、第2の溝102が第1の溝101に接続され、第1の溝101及び第2の溝102は相異なる横方向寸法を持ち、そして、第2の溝102をダイヤモンド材料で充填する。
【0090】
この出願のこの実施形態では、第1の溝101を得るように基板100の第1表面がエッチングされ、第1の溝101がダイヤモンド材料で充填される。第1の溝101に充填されたダイヤモンド材料が、上述の実施形態における第1のダイヤモンド部分112として使用され得る。基板100は、例えばプラズマエッチングなどの乾式異方性エッチングによってエッチングされ得る。エッチングを通じて得られる第1の溝101の横方向寸法は1~10μmであり、エッチング深さは1~10μmであり、異なる第1の溝101間の間隔は1~10μmの範囲であり、第1の溝101は周期的配列で配置され得る。
【0091】
第1の溝101の形状は、基板100のエッチングパラメータを制御することによって制御され得る。第1の溝101の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。円錐台構造、四角錐台構造、及びボウル形構造の、より大きい寸法を持つ一端が、基板の表面に面する。エッチングプロセスにおいて、エッチングガスによって第1の溝101の側壁に生じるダメージを減らすために、エッチング速度が遅くされ得る。斯くして、上部で大きく下部で小さい構造を持つ第1の溝101が形成される。
【0092】
エッチングを通じて第1の溝101が形成された後、第1の溝101をダイヤモンド材料で充填することができ、該ダイヤモンド材料は単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドである。具体的に、第1の溝101が形成された基板100上にダイヤモンド材料を成長させることができる。成長期間の後、1~50μmの厚さの高品質多結晶ダイヤモンド層111が基板100上に生成され得る。次いで、基板100の表面を露出させるように、ダイヤモンド層111の一部が研削及び研磨により除去される。斯くして、第1の溝101内にダイヤモンド材料が充填され、ダイヤモンド材料の寸法は、第1の溝101の寸法と一致する又はそれに近いものとなる。ダイヤモンド材料は、MPCVD法を用いて成長されることができ、ダイヤモンド材料が成長される温度は800~1200℃の範囲とすることができ、圧力は1~15kPaの範囲とすることができる。MPCVD法は、例えば安定したプラズマ放電及びより少ない汚染などの利点を持ち、その結果、高品質のダイヤモンド材料を成長させることができる。
【0093】
この出願のこの実施形態では、第2の溝102を得るべく更に基板100の第2表面がエッチングされ、第2の溝102がダイヤモンド材料で充填される。第1表面及び第2表面は2つの反対側の表面である。第2の溝102内のダイヤモンド材料が、上述の実施形態における第2のダイヤモンド部分113として使用され得る。第1の溝101と第2の溝102とが接続され、第1の溝101内のダイヤモンド材料と第2の溝102内のダイヤモンド材料とが接触して、基板100を貫通するダイヤモンド構造を形成する。第1の溝101及び第2の溝102が相異なる横方向寸法を持つので、第1の溝101及び第2の溝102によって別々に形成されたダイヤモンド構造、すなわち、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、相異なる横方向寸法を持つ。ダイヤモンドの良好な熱伝導率により、基板100を縦方向に貫通するダイヤモンド構造が、縦方向の放熱チャネルを形成し得る。これは、デバイスの放熱効率を大幅に向上させる。基板100の第2表面をエッチングする前に、基板100の厚さが50~100μmの範囲となるように、基板100の第2表面から基板100を更に薄化してもよく、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の縦方向寸法の合計が基板100の厚さと同じである。
【0094】
なお、第1の溝101と第2の溝102のエッチングシーケンスは任意とし得る。第2の溝102の前に第1の溝101がエッチングされる場合、第2の溝102がエッチングされる前に第1の溝101がダイヤモンド材料で充填される必要があり、第1の溝101内のダイヤモンド材料が第2の溝102の底で露出される。第1の溝101の前に第2の溝102がエッチングされる場合、第1の溝101がエッチングされる前に第2の溝102がダイヤモンド材料で充填される必要があり、第2の溝102内のダイヤモンド材料が第1の溝101の底で露出される。
【0095】
具体的に、第1の溝101が第2の溝102と一対一の対応関係にあることができ、1つの第1の溝101が1つの第2の溝102に接続されて、基板100を貫通するスルーホールを形成し得る。第1の溝101及び第2の溝102の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。第1の溝101及び第2の溝102の形状は同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1のダイヤモンド部分112が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、より大きい横方向寸法を持つ一端が、一般に、基板100の表面の方向に位置する。第2のダイヤモンド部分113が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、より大きい横方向寸法を持つ一端が、一般に、基板100の表面の方向に位置する。第1の溝101が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、第1の溝101の側壁と基板の表面との間の夾角は10度から80度であり、具体的に、30度から60度であってもよい。ボウル形構造の側壁と基板の表面との間の夾角は、ボウル形状の構造の底の中心点とボウル形構造の上縁とを接続する直線と基板の表面との間の夾角として定義され得る。第2のダイヤモンド部分113も同様の特性を持つ。
【0096】
第2の溝102の横方向寸法は5~20μmの範囲であり、第2の溝の縦方向寸法は40~99μmとし得る。第1の溝101が異なる高さで異なる横方向寸法を持つとき、上述の寸法は、基板の表面での第1の溝101の開口の寸法を表す。第2の溝102が異なる高さで異なる横方向寸法を持つとき、上述の寸法は、基板の表面での第2の溝102の開口の寸法を表す。第1の溝101が基板の表面で円として表されるとき、第1の溝101の寸法は第1の溝101の直径である。第1の溝101が基板の表面で多角形として表されるとき、第1の溝101の寸法は第1の溝101の辺長である。第2の溝102も同様の特性を持つ。
【0097】
具体的に、第1の溝101は第2の溝102と一対一の対応関係になくてもよく、第2の溝102の数の方が第1の溝101の数より少なくてもよい。斯くして、同一の第2の溝102に複数の第1の溝101の溝が接続され、第1の溝101の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。
【0098】
第2の溝102は一体構造のものであってもよく、第2の溝102は、縦方向に第1の溝101の全てに接続されてもよいし、縦方向に第1の溝101のうち一部のみに接続されてもよい。具体的に、第1の溝101の後に第2の溝102が形成される場合、第1の溝101内のダイヤモンド材料の全て又は一部が第2の溝102の底で露出され得る。第1の溝101の前に第2の溝102が形成される場合、第2の溝102内のダイヤモンド材料が複数の第1の溝101の底で露出される。
【0099】
第2の溝102も複数存在してもよく、それら第2の溝102が、基板の表面に平行な予め定められた方向に延在する。少なくとも1つの第2の溝102が縦方向に複数の第1の溝101に接続されて、下から上まで貫通構造を形成する。具体的に、第1の溝101の前に第2の溝102が形成される場合、複数の第1の溝101内のダイヤモンド材料が少なくとも1つの第2の溝102の底で露出される。第1の溝101の後に第2の溝102が形成される場合、同一の第2の溝102内のダイヤモンド材料が複数の第1の溝101の底で露出される。
【0100】
このシナリオでは、基板100の第2表面の大きい領域をエッチングし、基板100の第2表面の大部分の材料を除去して、第2の溝102として使用されるキャビティ構造を得ることができ、第1の溝101が第2の溝102に接続される。斯くして、第1の溝101及び第2の溝102がダイヤモンド材料で充填された後、第1の溝101内のダイヤモンド材料と第2の溝102内のダイヤモンド材料とが接触して、基板100を貫通するダイヤモンド構造を形成し、縦方向の熱伝導経路を形成する。ダイヤモンド構造の第1のダイヤモンド部分112は基板100上のエピタキシャル層と接触し、ダイヤモンド構造の第2のダイヤモンド部分113は基板100の外側に露出される。斯くして、デバイスの内部で発生した熱がデバイスの外部に向けて伝導され得る。基板100の下に更にヒートシンクが配置されてもよい。この場合、ダイヤモンド構造の第2のダイヤモンド部分113がヒートシンクと接触して、熱を素早くヒートシンクに伝導し得る。従って、デバイスの高速な放熱が実現される。第2の溝102が大面積キャビティ構造である場合、基板100の外側に露出されるダイヤモンド構造の面積が大きく、ダイヤモンド構造がヒートシンクと接触する面積も大きい。従って、放熱効率が更に向上される。
【0101】
なお、基板100内に第2の溝102に接続されない第1の溝101が存在し、該第1の溝101が第3の溝として使用されてもよく、あるいは、第1の溝101に接続されない第2の溝102が存在し、該第2の溝102が第4の溝として使用されてもよい。第3の溝及び第4の溝は基板100を貫通せず、第3の溝及び第4の溝の中のダイヤモンド材料は、基板100の深さのうち一部にて充填される。この場合、上下に貫通する放熱チャネルは形成されない。しかしながら、第3の溝内のダイヤモンド材料及び第4の溝内のダイヤモンド材料は依然として熱を外側に放散することができる。例えば、横方向の熱伝導によって熱が他のダイヤモンド材料に伝導されたり、デバイスの外部に向けて直接拡散されるように熱が下方に放散されたり、基板100を介してデバイスの外部に向けて熱が伝導されたり、基板100及び他のダイヤモンド材料を介してデバイスの外部に向けて熱が伝導されたりする。
【0102】
S203:基板100上に順次にエピタキシャル層200並びに電極401、402、及び403を形成する。
【0103】
基板100上にエピタキシャル層200が形成され得る。半導体デバイスがGaN系HEMTデバイスである場合、エピタキシャル層200はバッファ層及びバリア層を含み得る。バッファ層とバリア層とでヘテロ構造を形成して二次元電子ガスを生成することができ、形成された半導体デバイスは、該ヘテロ構造によって生成された二次元電子ガスを用いて動作することができる。バッファ層は窒化ガリウム層とすることができ、バリア層の材料は、AlGaN、InAlN、AlN、及びScAlNのうちの少なくとも1つとすることができる。バッファ層の厚さは0.1~2μmの範囲とすることができ、バリア層の厚さは5~20nmの範囲とすることができる。
【0104】
具体的に、基板100の第1表面上にバッファ層を形成することができ、次いで、バッファ層上にバリア層を形成することができる。窒化ガリウム層はMOCVD方式で形成され得る。ダイヤモンド材料と窒化ガリウムとの間の格子不整合が深刻であるため、窒化ガリウムは炭化ケイ素上で急速に成長し、ダイヤモンド材料上ではゆっくりと成長する、又は成長することができないことさえある。斯くして、炭化ケイ素上での窒化ガリウムの横方向成長が強化され、転位が結合されて、より高品質な窒化ガリウム層が得られる。第1の溝101内に形成されたダイヤモンド材料が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものである場合、それは、基板100上での窒化ガリウムの成長にいっそう資する。従って、より高品質な窒化ガリウム層が得られる。該窒化ガリウム層は、低温窒化ガリウム層と高温窒化ガリウム層とを含んでもよく、低温窒化ガリウム層が、高温窒化ガリウム層と基板100との間のバッファ層として機能して、高温窒化ガリウム層のエピタキシャル品質を向上させる。バリア層もMOCVD方式で形成され得る。
【0105】
エピタキシャル層200上に電極401、402、及び403が形成され得る。電極401、402、及び403は、ソース電極401、ドレイン電極403及びゲート電極402を含み得る。ゲート電極402は、ソース電極401とドレイン電極403との間に位置し得る。電極401、402、及び403の材料は、金属材料とすることができ、例えば、Au、Ti、Al、Ni、及びTaのうちの少なくとも1つとし得る。取り得る一実装において、電極401、402、及び403の材料は、Au、Ti/Al/Ni/Auスタック、又はTa/Al/Taスタックとし得る。電極401、402、及び403が形成された後、電極401、402、及び403を保護するために、これらの電極を覆うように誘電体層も形成され得る。
【0106】
この出願のこの実施形態で提供される半導体デバイス製造方法によれば、第1の溝を得るべく基板の第1表面でエッチングが行われ、第1の溝がダイヤモンド材料で充填され、第2の溝を得るべく基板の第2表面がエッチングされる。第2の溝が第1の溝に接続され、第1の溝及び第2の溝は相異なる横方向寸法を持つ。次いで、第2の溝がダイヤモンド材料で充填され、そして、基板の第1表面上に順次にエピタキシャル層及び電極が形成される。斯くして、第1の溝内のダイヤモンド材料と第2の溝内のダイヤモンド材料とが接触して、基板を貫通するダイヤモンド構造を形成する。ダイヤモンド部分の良好な熱伝導率により、基板を貫通するダイヤモンド構造が縦方向の熱伝導チャネルを形成し、それ故に、動作するデバイスによって生成された熱がデバイスの周囲に効率的に伝導され得る。従って、半導体デバイスの放熱性能が改善され、半導体デバイスの高出力性能が効果的に発揮される。また、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とが異なる横方向寸法を持つので、2つのエッチングプロセスを使用することができ、エッチングの深さ対幅比が低減され、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分の構造を制御する助けとなる。さらに、放熱性能及びエピタキシャル層と基板との間の格子整合が実現され、より高品質なエピタキシャル層及び高性能な半導体デバイスを得ることができる。同時に、当該半導体デバイスの製造プロセスは複雑でなく、この基板は大規模に生産するのが容易である。
【0107】
この明細書における実施形態は全て進行的に記載されている。実施形態における同じ又は同様の部分については、これらの実施形態を参照されたく、各実施形態は、他の実施形態との差異に焦点を当てている。特に、方法実施形態は基本的に構造実施形態と同様であり、従って手短に説明されている。関連する部分については、構造実施形態の一部説明を参照されたい。
【0108】
以上、この出願の具体的な実装を提供した。理解されるべきことには、上述の実施形態は、この出願を限定するのではなく、この出願の技術的ソリューションを説明することを意図しているにすぎない。この出願は上述の実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者が理解するはずのことには、この出願の実施形態の技術的ソリューションの範囲から逸脱することなく、上述の実施形態で説明された技術的ソリューションになおも変更を行ったり、その一部の技術的特徴に対して均等な置換を行ったりすることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、半導体製造技術の分野に関し、特に、半導体デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスにおいて、基板の放熱性能は、デバイスの性能に影響する重要なファクタである。一部のシナリオでは、基板の放熱の限界により、半導体デバイスの高出力性能を効果的に発揮することができない。
【0003】
例えば、半導体デバイスが高周波数及び高出力に向けて発展するにつれて、窒化ガリウム(gallium nitride,GaN)系の高電子移動度トランジスタ(high-electron-mobility transistor,HEMT)が、第5世代モバイル通信技術(the 5th generation mobile network,5G)の分野におけるパワーアンプ(power amplifier,PA)チップにますます適用されている。第3世代ワイドバンドギャップ半導体材料として、窒化ガリウムは、例えば高い二次元電子ガス濃度、高い絶縁破壊電圧、高い電子飽和速度などの利点を持つ。これらの利点は、高出力デバイスとしての窒化物デバイス構造にとって好ましい条件を提供し、これらの新しい適用シナリオはまた、窒化ガリウム系HEMTデバイスの出力、周波数、効率、及び信頼性に対していっそう高い要求を課す。しかしながら、放熱が窒化ガリウム系HEMTデバイスにとっての主要なボトルネックになっている。これは何故なら、現在、基板が大抵は例えばシリコンベース及びサファイアなどの材料からなっており、これらの材料の熱伝導率が乏しいためである。窒化ガリウムデバイスが出力用の高出力デバイスとして使用される場合、大量の熱が発生し、低い熱伝導率を持つ基板材料では、大量の熱を時間内に放散することができない。結果として、窒化ガリウム機能デバイスの性能が制限される。
【発明の概要】
【0004】
これに鑑み、この出願の第1態様は、半導体デバイスの放熱性能を向上させ、半導体デバイスの高出力性能を効果的に発揮するための、半導体デバイス及びその製造方法を提供する。
【0005】
第1態様によれば、この出願の一実施形態は、基板と、該基板上に順次に配置されたエピタキシャル層及び電極と、を含む半導体デバイスを提供する。基板は、当該基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造を持つ。ダイヤモンド構造は、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とに縦方向に分割される。第2のダイヤモンド部分は第1のダイヤモンド部分の下に位置し得る。第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分は相異なる横方向寸法を持つことができる。第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分は、完全に異なる又は部分的に異なる横方向寸法を持ち得る。ダイヤモンド部分の良好な熱伝導率により、基板を貫通するダイヤモンド構造が縦方向の熱伝導チャネルを形成して、動作するデバイスによって生成された熱がデバイスの周囲に効率的に伝導され得るようになり得る。従って、半導体デバイスの放熱性能が改善され、半導体デバイスの高出力性能が効果的に発揮される。また、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とが異なる横方向寸法を持つので、2つのエッチングプロセスを使用することができ、エッチングの深さ対幅比が低減され、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分の構造を制御する助けとなる。さらに、放熱性能及びエピタキシャル層と基板との間の格子整合が実現され、より高品質なエピタキシャル層及び高性能な半導体デバイスを得ることができる。
【0006】
一部の取り得る実装において、複数の第1のダイヤモンド部分及び複数の第2のダイヤモンド部分が存在し、該複数の第1のダイヤモンド部分が該複数の第2のダイヤモンド部分に一対一に対応し、該複数の第1のダイヤモンド部分は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つのものである。
【0007】
この出願のこの実施形態では、第1のダイヤモンド部分が第2のダイヤモンド部分と一対一の対応関係にあるとし得る。斯くして、1つの第1のダイヤモンド構造と1つの第2のダイヤモンド構造とで縦方向の熱伝導チャネルを形成し、複数の熱伝導チャネルを用いて熱をデバイスの周囲に放散し得る。従って、高い放熱効率が実現される。第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分は複数の形状を持つことができ、様々なエピタキシャル層に合わせて設計され得る。これは、放熱性能及び格子整合を考慮し、エピタキシャル品質を改善する。
【0008】
一部の取り得る実装において、第2のダイヤモンド部分の数は、第1のダイヤモンド部分の数よりも少なく、同一の第2のダイヤモンド部分に複数の第1のダイヤモンド部分が接続され、第1のダイヤモンド部分は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つのものである。
【0009】
この出願のこの実施形態では、第1のダイヤモンド部分の下に位置する第2のダイヤモンド部分の数が第1のダイヤモンド部分の数よりも少ないとし得る。斯くして、1つの第2のダイヤモンド部分が複数の第1のダイヤモンド部分に接続されることで、第2のダイヤモンド部分の横方向寸法を第1のダイヤモンド部分の横方向寸法よりも大きくすることができ、エピタキシャル層から離れた側で基板上にあるダイヤモンド部分が、より多く露出され、エピタキシャル層に近い側で基板上にあるダイヤモンド部分が、より少なく露出される。従って、デバイスの放熱性能が確保され、エピタキシャル品質が考慮される。
【0010】
一部の取り得る実装において、1つの第2のダイヤモンド部分が存在し、該第2のダイヤモンド部分が縦方向に第1のダイヤモンド部分のうちの全て又は一部に接続される。
【0011】
この出願のこの実施形態では、第2のダイヤモンド部分が1つ存在する。斯くして、第2のダイヤモンド部分が大きい横方向寸法を持つことができる。これは、エピタキシャル層の品質に影響を与えることなく、デバイスの放熱性能を更に向上させる。
【0012】
一部の取り得る実装において、複数の第2のダイヤモンド部分が存在し、該複数の第2のダイヤモンド部分が、基板の表面に平行な予め定められた方向に延在し、少なくとも1つの第2のダイヤモンド部分が縦方向に複数の第1のダイヤモンド部分に接続される。
【0013】
この出願のこの実施形態では、第2のダイヤモンド部分も複数存在することができ、それら複数の第2のダイヤモンド部分が同じ方向に延在し得る。斯くして、第2のダイヤモンド部分が大きい横方向寸法を持つことができる。これは、エピタキシャル層の品質に影響を与えることなく、デバイスの放熱性能を更に向上させる。
【0014】
一部の取り得る実装において、第1のダイヤモンド部分の横方向寸法は1μmから10μmの範囲であり、第1のダイヤモンド部分の縦方向寸法は1μmから10μmの範囲であり、異なる第1のダイヤモンド部分間の間隔は1μmから10μmの範囲であり、基板の厚さは50μmから100μmの範囲である。
【0015】
この出願のこの実施形態において、第1のダイヤモンド部分は、基板の厚さのうちの小さい部分を占めることができ、第1のダイヤモンド部分が適切に間隔を空けられる。これは、エピタキシャル層の品質を確保しつつ、デバイスの放熱性能を確保する。
【0016】
一部の取り得る実装において、基板の材料は、シリコン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、又はサファイアのうちの1つ以上である。
【0017】
この出願のこの実施形態において、基板は、シリコン基板、炭化ケイ素基板、窒化アルミニウム基板、又はサファイア基板のうちの1つ以上とし得る。基板の放熱性能が十分に良くない場合であっても、ダイヤモンドを用いることによって放熱チャネルが形成された後にデバイスの放熱性能が確保され、基板の製造プロセスが単純であり、基板を大規模に生産するのが容易である。
【0018】
一部の取り得る実装において、ダイヤモンド構造は、単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドである。
【0019】
この出願のこの実施形態において、ダイヤモンド構造は、単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドとすることができ、ダイヤモンド構造が単結晶ダイヤモンドであるか多結晶ダイヤモンドであるかは、良好な放熱を実現することができるという条件の下で、実際の状況に基づいて決定され得る。
【0020】
一部の取り得る実装において、エピタキシャル層はバッファ層及びバリア層を含み、該バッファ層は窒化ガリウム層であり、該バリア層の材料は、AlGaN、InAlN、AlN、及びScAlNのうちの1つ以上である。
【0021】
この出願のこの実施形態において、エピタキシャル層は、バッファ層とバリア層とを含むことができ、バッファ層は窒化ガリウム層とすることができる。従って、半導体構造は窒化ガリウムデバイスとすることができ、バリア層と窒化ガリウム層との間に二次元電子ガスが形成されて、より良好なデバイス性能を提供し得る。
【0022】
一部の取り得る実装において、窒化ガリウム層の厚さは0.1μmから2μmの範囲であり、バリア層の厚さは5nmから20nmの範囲である。
【0023】
この出願のこの実施形態において、窒化ガリウム層及びバリア層の厚さは、デバイス性能を確保するために適切な範囲内とし得る。
【0024】
一部の取り得る実装において、電極は、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極を含み、電極の材料は、Au、Ti、Al、Ni、及びTaのうちの少なくとも1つである。
【0025】
この出願のこの実施形態において、電極は、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極を含むことができ、デバイスの完全性及び高い性能を確保するために複数の電極材料が存在し得る。
【0026】
この出願の実施形態の第2態様は、半導体デバイスを製造する方法を提供し、当該方法は、
基板を用意する工程と、
基板の第1表面をエッチングして第1の溝を得る工程と、
第1の溝をダイヤモンド材料で充填する工程と、
基板の第1表面上に順次にエピタキシャル層及び電極を形成する工程と、
基板の第2表面をエッチングして第2の溝を得る工程であり、第2の溝が第1の溝に接続され、第2の溝及び第1の溝が相異なる横方向寸法を持ち、第1表面及び第2表面は2つの反対側の表面である、工程と、
第2の溝をダイヤモンド材料で充填する工程と、を含む。
【0027】
この出願のこの実施形態では、最初に、基板の第1表面のダイヤモンド材料が形成され、基板上のデバイス構造が形成され、その後、第2表面のダイヤモンド構造が形成され得る。これは、デバイス構造が形成された後にボンディングを行うためにデバイスを裏返す従来技術の工程に一致する。従って、この出願のこの実施形態における高性能で高放熱のデバイスを、可能な限り少ない工程で得ることができる。
【0028】
一部の取り得る実装において、複数の第1の溝及び複数の第2の溝が存在し、該複数の第1の溝が該複数の第2の溝に一対一に対応し、第1の溝及び第2の溝の中のダイヤモンド材料の形状が、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つである。
【0029】
一部の取り得る実装において、第2の溝の数が第1の溝の数よりも少なく、同一の第2の溝に複数の第1の溝が接続され、第1の溝の形状が、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの1つである。
【0030】
一部の取り得る実装において、1つの第2の溝が存在し、複数の第1の溝の中のダイヤモンド材料のうちの全て又は一部が第2の溝の底で露出される。
【0031】
一部の取り得る実装において、第2の溝は、基板の表面に平行な予め定められた方向に延在する複数の溝であり、複数の第1の溝の中のダイヤモンド材料が、少なくとも1つの第2の溝の底で露出される。
【0032】
一部の取り得る実装において、基板の第2表面をエッチングして第2の溝を得る工程の前に、当該方法は更に、
基板の第2表面から基板を薄化する工程、を含む。
【0033】
この出願の実施形態の第3態様は、半導体デバイスを製造する方法を提供し、当該方法は、
基板を用意する工程と、
基板の第1表面をエッチングして第1の溝を得て、該第1の溝をダイヤモンド材料で充填し、且つ基板の第2表面をエッチングして第2の溝を得て、該第2の溝をダイヤモンド材料で充填する工程であり、第2の溝及び第1の溝は接続され且つ相異なる横方向寸法を持ち、第1表面及び第2表面は2つの反対側の表面である、工程と、
基板の第1表面上に順次にエピタキシャル層及び電極を形成する工程と、を含む。
【0034】
この出願のこの実施形態では、最初に、基板の第1表面のダイヤモンド材料が形成され、次いで第2表面のダイヤモンド構造が形成され、次いで、基板上のデバイス構造が形成され得る。斯くして、デバイス構造が形成される前に完全な基板を得ることができ、そして、デバイス構造が、第1表面上に形成されるか、第2表面上に形成されるかし得る。従って、様々な要求を満たすことができる。
【0035】
一部の取り得る実装において、複数の第1の溝及び複数の第2の溝が存在し、該複数の第1の溝が該複数の第2の溝に一対一に対応し、第1の溝及び第2の溝の中のダイヤモンド材料の形状が、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つである。
【0036】
一部の取り得る実装において、第2の溝の数が第1の溝の数よりも少なく、同一の第2の溝に複数の第1の溝が接続され、第1の溝は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つである。
【0037】
一部の取り得る実装において、1つの第2の溝が存在し、該第2の溝が第1の溝の後に形成される場合に、複数の第1の溝の中のダイヤモンド材料のうちの全て又は一部が該第2の溝の底で露出され、該第2の溝が第1の溝の前に形成される場合に、該第2の溝の中のダイヤモンド材料が複数の第1の溝の底で露出される。
【0038】
一部の取り得る実装において、第2の溝は、基板の表面に平行な予め定められた方向に延在する複数の溝であり、第2の溝が第1の溝の後に形成される場合に、複数の第1の溝の中のダイヤモンド材料が、少なくとも1つの第2の溝の底で露出され、第2の溝が第1の溝の前に形成される場合に、同一の第2の溝の中のダイヤモンド材料が複数の第1の溝の底で露出される。
【0039】
一部の取り得る実装において、基板の第2表面をエッチングして第2の溝を得る工程の前に、当該方法は更に、
基板の第2表面から基板を薄化する工程、を含む。
有する、請求項18乃至22のいずれか一項に記載の方法。
【0040】
この出願の実施形態の第4態様は、この出願の実施形態の第1態様で提供される半導体デバイスを含むパワーアンプチップを提供する。
【0041】
上述の技術的ソリューションによれば、この出願の実施形態が以下の利点を有することが分かる。
【0042】
この出願の実施形態は、半導体デバイス及びその製造方法を提供する。当該半導体デバイスは、基板と、該基板上に配置されたエピタキシャル層及び電極と、を含み得る。基板は、当該基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造を持つ。ダイヤモンド構造は、第1のダイヤモンド部分と、該第1のダイヤモンド部分の下の第2のダイヤモンド部分とに縦方向に分割され得る。第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分は相異なる横方向寸法を持つ。ダイヤモンド部分の良好な熱伝導率により、基板を貫通するダイヤモンド構造が縦方向の熱伝導チャネルを形成し得る。故に、動作するデバイスによって生成された熱がデバイスの周囲に効率的に伝導され得る。従って、半導体デバイスの放熱性能が改善され、半導体デバイスの高出力性能が効果的に発揮される。また、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とが異なる横方向寸法を持つので、2つのエッチングプロセスを使用することができ、エッチングの深さ対幅比が低減され、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分の構造を制御する助けとなる。さらに、放熱性能及びエピタキシャル層と基板との間の格子整合が実現され、より高品質なエピタキシャル層及び高性能な半導体デバイスを得ることができる。同時に、当該半導体デバイスの製造プロセスは複雑でなく、この基板は大規模に生産するのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
この出願の特定の実装形態を明確に理解するために、以下にて、この出願の特定の実装を説明するために使用される添付の図面を簡単に説明するが、添付の図面がこの出願の単に一部の実施形態を示すにすぎないことは明らかである。
【
図1】この出願の一実施形態に従った基地局の概略図である。
【
図2A】この出願の一実施形態に従った半導体デバイスの構造の概略図である。
【
図2B】この出願の一実施形態に従った他の半導体デバイスの構造の概略図である。
【
図3】この出願の一実施形態に従った更なる他の半導体デバイスの構造の概略図である。
【
図4】この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法のフローチャートである。
【
図5】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図6】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図7】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図8】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図9】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図10】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図11】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図12】
図5~
図12は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法におけるコンポーネントの構造の概略図である。
【
図13】この出願の一実施形態に従った他の半導体デバイス製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
この出願の実施形態は、半導体デバイスの放熱性能を向上させ、半導体デバイスの高出力性能を効果的に発揮するための、半導体デバイス及びその製造方法を提供する。
【0045】
この出願の明細書、特許請求の範囲、及び添付図面において、“第1”、“第2”、“第3”、及び“第4”などの用語(存在する場合)は、同様の対象間で区別することを意図しており、必ずしも特定の順序又はシーケンスを示すものではない。理解されるべきことには、そのように称されるデータは適切な状況において相互に入れ替え可能であり、それ故に、ここで説明されるこの出願の実施形態は、ここで図示又は説明される順序以外の順序で実装されることができる。また、用語“含む”及び“持つ”並びにこれらの任意の変形は、非排他的な包含に及ぶことを意図している。例えば、ステップ又はユニットのリストを含むプロセス、方法、システム、プロダクト、又はデバイスは、それら明示的に列挙されたステップ又はユニットに必ずしも限定されず、明示的に列挙されていない他のステップ又はユニット、あるいはそのようなプロセス、方法、プロダクト、又はデバイスに生来的に備わる他のステップ又はユニットを含み得る。
【0046】
この出願を、概略図を参照して詳細に説明する。この出願の実施形態を詳細に説明するとき、説明を容易にするために、コンポーネント構造を示す断面図は部分的に、一般的な縮尺に従って拡大されてはいない。また、概略図は単なる例であり、ここでのこの出願の保護範囲を限定するものではない。また、実際の製造においては、長さ、幅、及び奥行きの3次元空間寸法が含まれるべきである。
【0047】
半導体デバイスにおいて、基板の放熱性能は、デバイスの性能に影響する重要なファクタである。一部のシナリオでは、基板の放熱の限界により、半導体デバイスの高出力性能を効果的に発揮することができない。
【0048】
例えば、第3世代ワイドバンドギャップ半導体材料として、窒化ガリウムは、例えば高い二次元電子ガス濃度、高い絶縁破壊電圧、高い電子飽和速度などの利点を持つ。これらの利点は、高出力デバイスとしての窒化物デバイス構造にとって好ましい条件を提供する。しかしながら、基板の放熱の限界により、半導体デバイスの高出力性能を効果的に発揮することができない。これは何故なら、現在、基板が大抵は例えばシリコンベース及びサファイアなどの材料からなっており、これらの材料の熱伝導率が乏しいためである。半導体デバイスが出力用の高出力デバイスとして使用される場合、大量の熱が発生し、低い熱伝導率を持つ基板材料では、大量の熱を時間内に放散することができない。結果として、半導体機能デバイスの性能が制限される。一般に、サファイア材料の熱伝導率は30~40W/mkであり、シリコン基板材料の熱伝導率は130~150W/mkであり、単結晶の構造型が4Hである炭化ケイ素(silicon carbide,SiC)基板(これは4H-SiC基板と表記される)の熱伝導率は280~370W/mkの範囲である。炭化ケイ素基板の熱伝導率は従来のシリコン基板又はサファイア基板のそれの数倍ではあるものの、炭化ケイ素基板でもなおも、窒化ガリウム高出力電子デバイスの放熱要求を満たすことができない。従って、窒化ガリウム高出力デバイスの高出力性能がある程度制限されてしまう。
【0049】
半導体デバイスが高周波数及び高出力のトレンドに向かって発展するにつれて、窒化ガリウム系HEMTデバイスが5G分野のPAチップにますます適用されるようになっている。以下にて、PAの適用シナリオを説明する。
図1は、この出願の一実施形態に従った基地局の概略図である。基地局のアクティブアンテナユニット(active antenna unit,AAU)は、デジタル-アナログ変換器(digital-to-analog converter,DAC)、無線周波数(radio frequency,RF)ユニット、パワーアンプ(PA)、及びアンテナなどを含み得る。デジタル-アナログ変換器が、AAUにおける主なデジタル情報をアナログ信号に変換する。そして、無線周波数ユニットがアナログ信号を高周波信号へと変調する。最後に、パワーアンプが高周波信号を十分なパワーまで増幅し、そして、増幅された信号をアンテナユニットが送信する。PAは、基地局の全体の電力消費において主要な電力消費ユニットである。加えて、5G基地局では、AAU内のPAの電力消費において大量のエネルギーが熱の形態で消費される。従って、PAは、無線周波数PAチップの安全性を保証するために、より良好な放熱能力を持つ必要がある。大量の熱を時間内にデバイスの外に伝導することができない場合、PAは致命的な影響を受け、PAの信頼性が低下し、そして、PAが損傷されることさえある。例えば、アンテナの無線周波数出力電力は100Wである。PAの電力消費効率が50%である場合、PAは200Wのエネルギーを消費する必要があり、100Wのエネルギーが熱の形態で消費される必要がある。PAの電力消費効率が30%である場合、PAは333Wのエネルギーを消費する必要があり、233Wのエネルギーが熱の形態で消費される必要がある。これは、デバイスの放熱に対して非常に高い要求を課す。
【0050】
高出力デバイスの放熱問題を解決するための一ソリューションは、高出力デバイスの基板として良好な熱伝導率を持つ材料を見つけ、そして、その材料上に直接的にエピタキシャル層材料を成長させるか、エピタキシャル層材料を基板の材料と効果的に接合するかすることである。斯くして、良好な放熱が実現される。ダイヤモンドが良好な熱伝導率(500W/mkから2000W/mk)を持つことが見出され、ダイヤモンドを半導体高出力デバイスの基板として使用することによって放熱問題を効果的に解決することができる。例えば、ダイヤモンドがHEMTデバイスの基板として使用され、そのデバイスは現在、10GHzで10W/mmを超える出力パワーという良好な性能を達成している。
【0051】
しかしながら、ダイヤモンドをデバイス基板として使用する場合、なおも一連の課題が存在する。例えば、ダイヤモンド基板上に直接エピタキシャル層材料を成長させる場合、エピタキシャル成長が難しい。結果として、エピタキシャル層材料の膜形成が影響を受け、デバイスの電気性能が乏しい。また、ダイヤモンド基板は一般に小さく、大規模な工業的大量生産を実現することが難しい。ダイヤモンド基板を半導体デバイスの裏側に接合する場合には、低い熱伝導率を持つ界面接合材料が必要とされる。これは、デバイスの全体としての放熱性能を低下させ、その結果、デバイスの性能上の利点を十分に利用することができない。
【0052】
上述の技術的問題に基づき、この出願の実施形態は、半導体デバイス及びその製造方法を提供する。当該半導体デバイスは、基板と、該基板上に配置されたエピタキシャル層及び電極とを含み得る。基板は、当該基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造を持つ。ダイヤモンド構造は、第1のダイヤモンド部分と、該第1のダイヤモンド部分の下の第2のダイヤモンド部分とを含む。第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分は相異なる横方向寸法を持つ。ダイヤモンド部分の良好な熱伝導率により、基板を貫通するダイヤモンド構造が縦方向の熱伝導チャネルを形成し、それ故に、動作するデバイスによって生成された熱がデバイスの周囲に効率的に伝導され得る。従って、半導体デバイスの放熱性能が改善され、半導体デバイスの高出力性能が効果的に発揮される。また、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とが異なる横方向寸法を持つので、2つのエッチングプロセスを使用することができ、エッチングの深さ対幅比が低減され、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分の構造を制御する助けとなる。さらに、放熱性能及びエピタキシャル層と基板との間の格子整合が実現され、より高品質なエピタキシャル層及び高性能な半導体デバイスを得ることができる。同時に、当該半導体デバイスの製造プロセスは複雑でなく、この基板は大規模に生産するのが容易である。
【0053】
この出願の目的、特徴、及び利点をより明白かつ理解可能にするために、以下、添付の図面を参照してこの出願の特定の実装を詳細に説明する。
【0054】
図2A、
図2B、及び
図3は、この出願の実施形態に従った半導体デバイスの構造の概略図である。当該半導体デバイスは、下から上に、基板100と、エピタキシャル層200と、電極401、402、及び403とを含み得る。
【0055】
この出願のこの実施形態において、基板100は、デバイスの支持を提供するコンポーネントであり、一定の熱伝導率を持ち、デバイスが動作するときに発生する熱を外部に放散することができる。基板100は、半絶縁性の半導体材料とし得る。基板100の材料は、シリコン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、及びサファイアのうちの1つ以上とし得る。以下では、基板100の材料が炭化ケイ素、具体的には4H-SiC単結晶、である例について説明する。4H-SiC単結晶基板材料の熱伝導率は一般に280~370W/mkの範囲である。これは半導体デバイスの高出力性能を制限してしまう。
【0056】
この出願のこの実施形態において、基板100は、当該基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造110を持つことができ、ダイヤモンド構造110は単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドである。ダイヤモンドの良好な熱伝導率(500~2000W/mk)により、基板100を縦方向に貫通するダイヤモンド構造110が縦方向の放熱チャネルを形成し得る。これはデバイスの放熱効率を大幅に向上させる。
【0057】
ダイヤモンド構造110は縦方向に第1のダイヤモンド部分112と第2のダイヤモンド部分113とに分割され得る。第2のダイヤモンド部分113は第1のダイヤモンド部分112の下に位置する。第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、相異なる横方向寸法を持つ。例えば、第1のダイヤモンド部分112の横方向寸法は第2のダイヤモンド部分113の横方向寸法よりも大きく、又は第1のダイヤモンド部分112の横方向寸法は第2のダイヤモンド部分113の横方向寸法よりも小さい。あるいは、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、相異なる構造を持つ。従って、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、相異なる寸法特性を有する。横方向は、基板の表面に沿った方向を指し、縦方向は、基板表面に垂直な方向を指し、基板100とエピタキシャル層200とが積層される方向でもある。
図2A、
図2B、及び
図3において、横方向は図中の水平方向及び紙面に垂直な方向であり、縦方向は図中の鉛直方向である。第1のダイヤモンド部分112は、異なる高さで同じ横方向寸法又は異なる横方向寸法を持つことができ、第2のダイヤモンド部分113は、異なる高さで同じ横方向寸法又は異なる横方向寸法を持つことができる。第1のダイヤモンド部分112と第2のダイヤモンド部分113とが縦方向に接続され、接触位置は同じ横方向寸法又は異なる横方向寸法を持ち得る。
【0058】
この出願のこの実施形態において、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113が相異なる横方向寸法を持つことは、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113が完全に異なる横方向寸法を持つこと、又は完全には異ならない横方向寸法を持つことを含み得る。第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113が完全に異なったり完全には異ならなかったりする複数のケースが存在し得る。第1のケースで、第1のダイヤモンド部分112が異なる高さで同じ横方向寸法を持ち、第2のダイヤモンド部分113が異なる高さで同じ横方向寸法を持ち、且つ第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113が相異なる横方向寸法を持つ場合、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分は完全に異なる横方向寸法を持つ。第2のケースで、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113のうち一方が異なる高さで同じ横方向寸法を持ち、他方のダイヤモンド部分が異なる高さで異なる横方向寸法を持つ場合、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、完全に異なる横方向寸法又は完全には異ならない横方向寸法を持つ。第3のケースで、第1のダイヤモンド部分112が異なる高さで異なる横方向寸法を持ち、第2のダイヤモンド部分113が異なる高さで異なる横方向寸法を持つ場合、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、完全に異なる横方向寸法又は完全には異ならない横方向寸法を持つ。例えば、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113が異なる形状を持ち得る又は同じ形状を持ち得る場合、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、部分的に異なる又は完全に異なる横方向寸法を持つ。
【0059】
ダイヤモンド構造110は基板100を縦方向に貫通するので、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の縦方向寸法の合計は、基板100の厚さと同じである。この出願のこの実施形態において、基板100の厚さは50~100μmの範囲とすることができ、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の縦方向寸法は、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の形状に基づいて決定され得る。
【0060】
複数の第1のダイヤモンド部分112及び複数の第2のダイヤモンド部分113が存在することができ、複数の第1のダイヤモンド部分112が複数の第2のダイヤモンド部分113に一対一に対応する。換言すれば、1つの第1のダイヤモンド部分112が1つの第2のダイヤモンド部分113に接続されて、基板100を貫通するダイヤモンド構造110を形成し得る。第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。具体的に、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の形状は同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1のダイヤモンド部分112が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、第1のダイヤモンド部分112は異なる高さで異なる横方向寸法を持つとすることができ、より大きい横方向寸法を持つ一端が、一般に、基板10の表面の方向に位置する。第2のダイヤモンド部分113が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、第2のダイヤモンド部分113は異なる高さで異なる横方向寸法を持つとすることができ、より大きい横方向寸法を持つ一端が、一般に、基板10の表面の方向に位置する。第1のダイヤモンド部分112が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、第1のダイヤモンド部分112の側壁と基板の表面との間の夾角は10度から80度であり、30度から60度であってもよい。ボウル形構造の側壁と基板100の表面との間の夾角は、ボウル形状の構造の底の中心点とボウル形構造の上縁とを接続する直線と基板の表面との間の夾角として定義され得る。第2のダイヤモンド部分113も同様の特性を持つ。
【0061】
図2Aに示すように、第1のダイヤモンド部分112は円錐台構造のものとすることができ、第2のダイヤモンド部分113は円柱構造のものとすることができる。確かなことには、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、相異なる直径を持つ円柱構造のものであってもよいし(
図2Bに示すように、第1のダイヤモンド部分112の直径が、第2のダイヤモンド部分113の直径よりも大きいとし得る)、他の構造のものであってもよい。第1のダイヤモンド部分112の縦方向寸法は1~10μmとすることができ、第1のダイヤモンド部分112の横方向寸法は1~10μmの範囲とすることができ、第1のダイヤモンド部分112同士の間の間隔は1~10μmの範囲とすることができ、第2のダイヤモンド部分113の横方向寸法は5~20μmの範囲とすることができる。第1のダイヤモンド部分112が異なる高さで異なる横方向寸法を持つとき、上述の寸法は、基板の表面における第1のダイヤモンド部分112の寸法を表す。第2のダイヤモンド部分113が異なる高さで異なる横方向寸法を持つとき、上述の寸法は、基板の表面における第2のダイヤモンド部分113の寸法を表す。第1のダイヤモンド部分112が基板の表面で円として表されるとき、第1のダイヤモンド部分112の寸法は第1のダイヤモンド部分112の直径である。第1のダイヤモンド部分112が基板の表面で多角形として表されるとき、第1のダイヤモンド部分112の寸法は第1のダイヤモンド部分112の辺長である。第2のダイヤモンド部分113も同様の特性を持つ。
【0062】
第1のダイヤモンド部分112は、第2のダイヤモンド部分113と一対一に対応していなくてもよく、第2のダイヤモンド部分113の数の方が第1のダイヤモンド部分112の数より少なくてもよい。斯くして、同一の第2のダイヤモンド部分113に複数の第1のダイヤモンド部分112が接続され、第1のダイヤモンド部分112の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとすることができ、全ての第1のダイヤモンド部分112の形状が一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
図3を参照されたい。第2のダイヤモンド部分113は一体構造のものであってもよく、第2のダイヤモンド部分113は、縦方向に第1のダイヤモンド部分112の各々に接続されてもよいし、縦方向に第1のダイヤモンド部分112のうち一部のみに接続されてもよいし、あるいは、複数の第2のダイヤモンド部分113が存在してもよい。また、第2のダイヤモンド部分113は、基板の表面に平行な予め定められた方向に延在し、少なくとも1つの第2のダイヤモンド部分113が縦方向に複数の第1のダイヤモンド部分112に接続されて、下から上まで貫通構造を形成する。
【0063】
基板100上にエピタキシャル層200が形成され得る。GaN系HEMTデバイスにおいて、エピタキシャル層200はバッファ層及びバリア層を含み得る。バッファ層とバリア層とでヘテロ構造を形成して二次元電子ガスを生成することができ、形成された半導体デバイスは、該ヘテロ構造によって生成された二次元電子ガスを用いて動作することができる。確かなことには、この出願のこの実施形態における半導体デバイスは、別のエネルギー源デバイス又はレーザであってもよく、半導体デバイスが別のエネルギー源デバイス又はレーザである場合、エピタキシャル層は、その別のデバイス内のエピタキシャル層である。ここで例を列挙することはしない。バッファ層は窒化ガリウム層とすることができ、バリア層の材料は、AlGaN、InAlN、AlN、及びScAlNのうちの少なくとも1つとすることができる。バッファ層の厚さは0.1~2μmの範囲とすることができ、バリア層の厚さは5~20nmの範囲とすることができる。基板100が炭化ケイ素基板であり、ダイヤモンド構造の一部が基板の表面で露出され、且つ窒化ガリウム層と基板100との間の格子整合度が高いので、この窒化ガリウム層は良好なエピタキシャル品質を持つ。これは、高性能デバイスを形成する助けとなる。窒化ガリウム層は、低温窒化ガリウム層と高温窒化ガリウム層とを含んでもよく、低温窒化ガリウム層が、高温窒化ガリウム層と基板との間のバッファ層として機能して、高温窒化ガリウム層のエピタキシャル品質を向上させる。
【0064】
エピタキシャル層200上に電極401、402、及び403が形成され得る。電極は、ソース電極401、ドレイン電極403及びゲート電極402を含み得る。ゲート電極402は、ソース電極401とドレイン電極403との間に位置し得る。電極401、402、及び403の材料は、金属材料とすることができ、例えば、Au、Ti、Al、Ni、及びTaのうちの少なくとも1つとし得る。取り得る一実装において、電極の材料は、Au、Ti/Al/Ni/Auスタック、又はTa/Al/Taスタックとし得る。
【0065】
この出願の一実施形態は半導体デバイスを提供する。当該半導体デバイスは、基板と、該基板上に配置されたエピタキシャル層及び電極とを含み得る。基板は、当該基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造を持つ。ダイヤモンド構造は、第1のダイヤモンド部分と、該第1のダイヤモンド部分の下の第2のダイヤモンド部分とを含む。第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分は相異なる横方向寸法を持つ。ダイヤモンド部分の良好な熱伝導率により、基板を貫通するダイヤモンド構造が縦方向の熱伝導チャネルを形成し、それ故に、動作するデバイスによって生成された熱がデバイスの周囲に効率的に伝導され得る。従って、半導体デバイスの放熱性能が改善され、半導体デバイスの高出力性能が効果的に発揮される。また、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とが異なる横方向寸法を持つので、2つのエッチングプロセスを使用することができ、エッチングの深さ対幅比が低減され、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分の構造を制御する助けとなる。さらに、放熱性能及びエピタキシャル層と基板との間の格子整合が実現され、より高品質なエピタキシャル層及び高性能な半導体デバイスを得ることができる。同時に、当該半導体デバイスの製造プロセスは複雑でなく、この基板は大規模に生産するのが容易である。
【0066】
上述の実施形態で提供される半導体デバイスに基づき、この出願の一実施形態は更に半導体デバイス製造方法を提供する。
図4は、この出願の一実施形態に従った基板100を提供する半導体デバイス製造方法のフローチャートである。
図5~
図12は、デバイス製造プロセスにおけるコンポーネントの構造の概略図である。この方法では、最初にダイヤモンド構造の第1のダイヤモンド部分112が基板100内に形成され、次いで、基板100上のデバイス構造が形成され、そして、ダイヤモンド構造の第2のダイヤモンド部分113が基板100内に形成され得る
。当該方法は以下の工程を含み得る。
【0067】
S101:
図5に示すように、基板100を用意する。
【0068】
この出願のこの実施形態において、基板100は、デバイスの支持を提供するコンポーネントであり、一定の熱伝導率を持ち、動作するデバイスによって発生される熱を外部に放散することができる。基板100は、半絶縁性の半導体材料とし得る。基板100の材料は、シリコン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、及びサファイアのうちの1つ以上とし得る。以下では、基板100の材料が炭化ケイ素、具体的には4H-SiC単結晶、である例について説明する。4H-SiC単結晶基板材料の熱伝導率は一般に280~370W/mkの範囲である。これは半導体デバイスの高出力性能を制限してしまう。
【0069】
S102:
図6~
図8に示すように、第1の溝101を得るべく基板100の第1表面をエッチングし、第1の溝101をダイヤモンド材料で充填する。
【0070】
この出願のこの実施形態では、第1の溝101を得るように基板100の第1表面がエッチングされ得る。
図6を参照されたい。第1の溝101がダイヤモンド材料で充填され、第1の溝101に充填されたダイヤモンド材料が、
図8に示すように、上述の実施形態における第1のダイヤモンド部分112として使用され得る。基板100は、例えばプラズマエッチングなどの乾式異方性エッチングによってエッチングされ得る。エッチングを通じて得られる第1の溝101の横方向寸法は1~10μmであり、エッチング深さは1~10μmであり、異なる第1の溝101間の間隔は1~10μmの範囲であり、第1の溝101は周期的配列で配置され得る。
【0071】
第1の溝101の形状は、基板100のエッチングパラメータを制御することによって制御され得る。第1の溝101の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。円錐台構造、四角錐台構造、及びボウル形構造の、より大きい寸法を持つ一端が、基板の表面に面する。エッチングプロセスにおいて、エッチングガスによって第1の溝101の側壁に生じるダメージを減らすために、エッチング速度が遅くされ得る。斯くして、上部で大きく下部で小さい構造を持つ第1の溝101が形成される。
【0072】
エッチングを通じて第1の溝101が形成された後、第1の溝101をダイヤモンド材料で充填することができ、該ダイヤモンド材料は単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドである
。第1の溝101が形成された基板100上にダイヤモンド材料を成長させることができる。成長期間の後、
図7に示すように、1~50μmの厚さの高品質多結晶ダイヤモンド層111が基板上に生成され得る。次いで、基板100の表面を露出させるように、ダイヤモンド層111の一部が研削及び研磨により除去される。斯くして、
図8に示すように、第1の溝101内にダイヤモンド材料が充填され、ダイヤモンド材料の寸法は、第1の溝101の寸法と一致する又はそれに近いものとなる。ダイヤモンド材料は、マイクロ波プラズマ化学気相成長(microwave plasma chemical vapor deposition,MPCVD)方式で成長されることができ、ダイヤモンド材料が成長される温度は、800~1200℃とすることができ、ダイヤモンド材料が成長される圧力は、1~15kPaの範囲とすることができる。MPCVD法は、例えば安定したプラズマ放電及びより少ない汚染などの利点を持ち、その結果、高品質のダイヤモンド材料を成長させることができる。
【0073】
S103:
図9~
図10に示すように、基板100の第1表面上に順次にエピタキシャル層200並びに電極401、402、及び403を形成する。
【0074】
基板100の第1表面上にエピタキシャル層200が形成され得る。
図9を参照されたい。半導体デバイスがGaN系HEMTデバイスである場合、エピタキシャル層200はバッファ層及びバリア層を含み得る。バッファ層とバリア層とでヘテロ構造を形成して二次元電子ガスを生成することができ、形成された半導体デバイスは、該ヘテロ構造によって生成された二次元電子ガスを用いて動作することができる。バッファ層は窒化ガリウム層とすることができ、バリア層の材料は、AlGaN、InAlN、AlN、及びScAlNのうちの少なくとも1つとすることができる。バッファ層の厚さは0.1~2μmの範囲とすることができ、バリア層の厚さは5~20nmの範囲とすることができる。
【0075】
基板100の第1表面上にバッファ層を形成することができ、次いで、バッファ層上にバリア層を形成することができる。窒化ガリウム層は、有機金属化学気相成長(Metal organic chemical vapor deposition,MOCVD)によって形成され得る。ダイヤモンド材料と窒化ガリウムとの間の格子不整合が深刻であるため、窒化ガリウムは炭化ケイ素上で急速に成長し、ダイヤモンド材料上ではゆっくりと成長する、又は成長することができないことさえある。斯くして、炭化ケイ素上での窒化ガリウムの横方向成長が強化され、転位が結合される。従って、より高品質な窒化ガリウム層が得られる。第1の溝内に形成されたダイヤモンド材料が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものである場合、それは、基板上での窒化ガリウムの成長にいっそう資する。従って、より高品質な窒化ガリウム層が得られる。該窒化ガリウム層は、低温窒化ガリウム層と高温窒化ガリウム層とを含んでもよく、低温窒化ガリウム層が、高温窒化ガリウム層と基板との間のバッファ層として機能して、高温窒化ガリウム層のエピタキシャル品質を向上させる。バリア層もMOCVD方式で形成され得る。
【0076】
エピタキシャル層200上に電極401、402、及び403が形成され得る。電極401、402、及び403は、ソース電極401、ドレイン電極403及びゲート電極402を含み得る。
図10に示すように、ゲート電極402は、ソース電極401とドレイン電極403との間に位置し得る。電極401、402、及び403の材料は、金属材料とすることができ、例えば、Au、Ti、Al、Ni、及びTaのうちの少なくとも1つとし得る。取り得る一実装において、電極401、402、及び403の材料は、Au、Ti/Al/Ni/Auスタック、又はTa/Al/Taスタックとし得る。
【0077】
S104:第2の溝102を得るべく基板100の第2表面をエッチングし、第2の溝102は第1の溝101に接続され、第1の溝101及び第2の溝102は相異なる横方向寸法を持ち、第2の溝102をダイヤモンド材料で充填する。
図11、
図12、
図2A、
図2B、及び
図3を参照されたい。
【0078】
電極401、402、及び403が形成された後、これらの電極を保護するために、電極401、402、403を覆うように誘電体層が形成され得る(図には示していない)。そして、
図11及び
図12に示すように、第2の溝102を得るべく基板100の第2表面をエッチングすることができ、ここで、第1表面及び第2表面は2つの反対側の表面である。さらに、第2の溝102をダイヤモンド材料で充填し、第2の溝102内のダイヤモンド材料を、上述の実施形態における第2のダイヤモンド部分113として使用することができる。
図2A、
図2B、及び
図3に示したように、第1の溝101が第2の溝102に接続されることで、第1の溝101内のダイヤモンド材料と第2の溝102内のダイヤモンド材料とが接触して、基板を貫通するダイヤモンド構造110を形成する。第1の溝101及び第2の溝102が相異なる横方向寸法を持つので、第1の溝101及び第2の溝102によって別々に形成されたダイヤモンド構造、すなわち、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、相異なる横方向寸法を持つ。ダイヤモンドの良好な熱伝導率により、基板を縦方向に貫通するダイヤモンド構造が、縦方向の放熱チャネルを形成し得る。これは、デバイスの放熱効率を大幅に向上させる。基板100の第2表面をエッチングする前に、基板100の厚さが50~100μmの範囲となるように、基板100の第2表面から基板100を更に薄化してもよく、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の縦方向寸法の合計が基板100の厚さと同じである。
【0079】
実際の処理では、デバイスが形成された後にチップをボンディングすることができ、このとき、ボンディングを実施するためにチップの基板が上を向くように、チップがひっくり返され、基板の第2表面をエッチングする上述のステップは、実際の処理における工程と適合する。従って、過度に多くの工程を追加することなく、より高性能なデバイスを得ることができる。
【0080】
図11に示すように、複数の第1の溝101及び複数の第2の溝102が存在することができ、第1の溝101が第2の溝102と一対一の対応関係にあることができ、1つの第1の溝101が1つの第2の溝102に接続されて、基板を貫通するスルーホールを形成し得る。第1の溝101及び第2の溝102の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。第1の溝101及び第2の溝102の形状は同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1のダイヤモンド部分112が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、より大きい横方向寸法を持つ一端が、一般に、基板の表面の方向に位置する。第2のダイヤモンド部分113が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、より大きい横方向寸法を持つ一端が、一般に、基板の表面の方向に位置する。第1の溝101が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、第1の溝101の側壁と基板の表面との間の夾角は10度から80度であり、又は30度から60度であってもよい。ボウル形構造の側壁と基板の表面との間の夾角は、ボウル形状の構造の底の中心点とボウル形構造の上縁とを接続する直線と基板の表面との間の夾角として定義され得る。第2のダイヤモンド部分113も同様の特性を持つ。
【0081】
第2の溝102の横方向寸法は5~20μmの範囲であり、第2の溝の縦方向寸法は40~99μmとし得る。第1の溝101が異なる高さで異なる横方向寸法を持つとき、上述の寸法は、基板の表面での第1の溝101の開口の寸法を表す。第2の溝102が異なる高さで異なる横方向寸法を持つとき、上述の寸法は、基板の表面での第2の溝102の開口の寸法を表す。第1の溝101が基板の表面で円として表されるとき、第1の溝101の寸法は第1の溝101の直径である。第1の溝101が基板の表面で多角形として表されるとき、第1の溝101の寸法は第1の溝101の辺長である。第2の溝102も同様の特性を持つ。
【0082】
第1の溝101は第2の溝102と一対一の対応関係になくてもよく、第2の溝102の数の方が第1の溝101の数より少なくてもよい。斯くして、
図12に示すように、同一の第2の溝102に複数の第1の溝101の溝が接続され、第1の溝101の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。
図12に示すように、第2の溝102は一体構造のものであってもよい。第2の溝102は、縦方向に第1の溝101の各々に接続されてもよいし、縦方向に第1のダイヤモンド部分112のうち一部のみに接続されてもよく、すなわち、第1の溝101内のダイヤモンド材料の全て又は一部が第2の溝102の底で露出される。第2の溝102も複数存在してもよく、それら第2の溝102が、基板の表面に平行な予め定められた方向に延在する。少なくとも1つの第2の溝102が縦方向に複数の第1の溝101に接続されて、下から上まで貫通構造を形成する。換言すれば、複数の第1の溝101内のダイヤモンド材料が、少なくとも1つの第2の溝102の底で露出される。
【0083】
このシナリオでは、基板の第2表面の大きい領域をエッチングし、基板の第2表面の大部分の材料を除去して、第2の溝102として使用されるキャビティ構造を得ることができる。該キャビティ構造が第1の溝101内のダイヤモンド材料を露出させる。斯くして、第2の溝102がダイヤモンド材料で充填された後、第1の溝101内のダイヤモンド材料と第2の溝102内のダイヤモンド材料とが接触して、基板を貫通するダイヤモンド構造を形成し、縦方向の熱伝導経路を形成する。ダイヤモンド構造の第1のダイヤモンド部分112は基板上のエピタキシャル層と接触し、ダイヤモンド構造の第2のダイヤモンド部分113は基板の外側に露出される。斯くして、デバイスの内部で発生した熱がデバイスの外部に向けて伝導され得る。基板の下に更にヒートシンクが配置されてもよい。この場合、ダイヤモンド構造の第2のダイヤモンド部分113がヒートシンクと接触して、熱を素早くヒートシンクに伝導し得る。従って、デバイスの高速な放熱が実現される。第2の溝102が大面積キャビティ構造である場合、基板の外側に露出されるダイヤモンド構造の面積が大きく、ダイヤモンド構造がヒートシンクと接触する面積も大きい。従って、放熱効率が更に向上される。
【0084】
なお、基板100内に第2の溝102に接続されない第1の溝101が存在し、該第1の溝101が第3の溝として使用されてもよく、あるいは、第1の溝101に接続されない第2の溝102が存在し、該第2の溝102が第4の溝として使用されてもよい。第3の溝及び第4の溝は基板100を貫通せず、第3の溝及び第4の溝の中のダイヤモンド材料は、基板100の深さのうち一部にて充填される。この場合、上下に貫通する放熱チャネルは形成されない。しかしながら、第3の溝内のダイヤモンド材料及び第4の溝内のダイヤモンド材料は依然として熱を外側に放散することができる。例えば、横方向の熱伝導によって熱が他のダイヤモンド材料に伝導されたり、デバイスの外部に向けて直接拡散されるように熱が下方に放散されたり、基板100を介してデバイスの外部に向けて熱が伝導されたり、基板100及び他のダイヤモンド材料を介してデバイスの外部に向けて熱が伝導されたりする。
【0085】
この出願のこの実施形態で提供される半導体デバイス製造方法によれば、第1の溝を得るべく基板の第1表面でエッチングが行われ、第1の溝がダイヤモンド材料で充填され、基板の第1表面上に順次にエピタキシャル層及び電極が形成され得る。次いで、第2の溝を得るべく基板の第2表面がエッチングされ、ここで、第2の溝及び第1の溝が接続され、相異なる横方向寸法を持ち、そして、第2の溝がダイヤモンド材料で充填される。斯くして、第1の溝内のダイヤモンド材料と第2の溝内のダイヤモンド材料とが接触して、基板を貫通するダイヤモンド構造を形成する。ダイヤモンド部分の良好な熱伝導率により、基板を貫通するダイヤモンド構造が縦方向の熱伝導チャネルを形成し、それ故に、動作するデバイスによって生成された熱がデバイスの周囲に効率的に伝導され得る。従って、半導体デバイスの放熱性能が改善され、半導体デバイスの高出力性能が効果的に発揮される。また、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とが異なる横方向寸法を持つので、2つのエッチングプロセスを使用することができ、エッチングの深さ対幅比が低減され、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分の構造を制御する助けとなる。さらに、放熱性能及びエピタキシャル層と基板との間の格子整合が実現され、より高品質なエピタキシャル層及び高性能な半導体デバイスを得ることができる。同時に、当該半導体デバイスの製造プロセスは複雑でなく、この基板は大規模に生産するのが容易である。
【0086】
上述の実施形態で提供される半導体デバイスに基づき、この出願の一実施形態は更に半導体デバイス製造方法を提供する。
図13は、この出願の一実施形態に従った他の半導体デバイス製造方法のフローチャートである。この方法では、最初に基板100内にダイヤモンド構造の第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113が形成され、次いで、その上のデバイス構造が形成され得る
。当該方法は以下の工程を含み得る。
【0087】
S201:基板100を用意する。
【0088】
この出願のこの実施形態において、基板100は、デバイスの支持を提供するコンポーネントであり、一定の熱伝導率を持ち、動作するデバイスによって発生される熱を外部に放散することができる。基板100は、半絶縁性の半導体材料とし得る。基板100の材料は、シリコン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、及びサファイアのうちの1つ以上とし得る。以下では、基板100の材料が炭化ケイ素、具体的には4H-SiC単結晶、である例について説明する。4H-SiC単結晶基板材料の熱伝導率は一般に280~370W/mkの範囲である。これは半導体デバイスの高出力性能を制限してしまう。
【0089】
S202:第1の溝101を得るべく基板100の第1表面をエッチングし、第1の溝101をダイヤモンド材料で充填し、第2の溝102を得るべく基板100の第2表面をエッチングし、第2の溝102が第1の溝101に接続され、第1の溝101及び第2の溝102は相異なる横方向寸法を持ち、そして、第2の溝102をダイヤモンド材料で充填する。
【0090】
この出願のこの実施形態では、第1の溝101を得るように基板100の第1表面がエッチングされ、第1の溝101がダイヤモンド材料で充填される。第1の溝101に充填されたダイヤモンド材料が、上述の実施形態における第1のダイヤモンド部分112として使用され得る。基板100は、例えばプラズマエッチングなどの乾式異方性エッチングによってエッチングされ得る。エッチングを通じて得られる第1の溝101の横方向寸法は1~10μmであり、エッチング深さは1~10μmであり、異なる第1の溝101間の間隔は1~10μmの範囲であり、第1の溝101は周期的配列で配置され得る。
【0091】
第1の溝101の形状は、基板100のエッチングパラメータを制御することによって制御され得る。第1の溝101の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。円錐台構造、四角錐台構造、及びボウル形構造の、より大きい寸法を持つ一端が、基板の表面に面する。エッチングプロセスにおいて、エッチングガスによって第1の溝101の側壁に生じるダメージを減らすために、エッチング速度が遅くされ得る。斯くして、上部で大きく下部で小さい構造を持つ第1の溝101が形成される。
【0092】
エッチングを通じて第1の溝101が形成された後、第1の溝101をダイヤモンド材料で充填することができ、該ダイヤモンド材料は単結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンドである。第1の溝101が形成された基板100上にダイヤモンド材料を成長させることができる。成長期間の後、1~50μmの厚さの高品質多結晶ダイヤモンド層111が基板100上に生成され得る。次いで、基板100の表面を露出させるように、ダイヤモンド層111の一部が研削及び研磨により除去される。斯くして、第1の溝101内にダイヤモンド材料が充填され、ダイヤモンド材料の寸法は、第1の溝101の寸法と一致する又はそれに近いものとなる。ダイヤモンド材料は、MPCVD法を用いて成長されることができ、ダイヤモンド材料が成長される温度は800~1200℃の範囲とすることができ、圧力は1~15kPaの範囲とすることができる。MPCVD法は、例えば安定したプラズマ放電及びより少ない汚染などの利点を持ち、その結果、高品質のダイヤモンド材料を成長させることができる。
【0093】
この出願のこの実施形態では、第2の溝102を得るべく更に基板100の第2表面がエッチングされ、第2の溝102がダイヤモンド材料で充填される。第1表面及び第2表面は2つの反対側の表面である。第2の溝102内のダイヤモンド材料が、上述の実施形態における第2のダイヤモンド部分113として使用され得る。第1の溝101と第2の溝102とが接続され、第1の溝101内のダイヤモンド材料と第2の溝102内のダイヤモンド材料とが接触して、基板100を貫通するダイヤモンド構造を形成する。第1の溝101及び第2の溝102が相異なる横方向寸法を持つので、第1の溝101及び第2の溝102によって別々に形成されたダイヤモンド構造、すなわち、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113は、相異なる横方向寸法を持つ。ダイヤモンドの良好な熱伝導率により、基板100を縦方向に貫通するダイヤモンド構造が、縦方向の放熱チャネルを形成し得る。これは、デバイスの放熱効率を大幅に向上させる。基板100の第2表面をエッチングする前に、基板100の厚さが50~100μmの範囲となるように、基板100の第2表面から基板100を更に薄化してもよく、第1のダイヤモンド部分112及び第2のダイヤモンド部分113の縦方向寸法の合計が基板100の厚さと同じである。
【0094】
なお、第1の溝101と第2の溝102のエッチングシーケンスは任意とし得る。第2の溝102の前に第1の溝101がエッチングされる場合、第2の溝102がエッチングされる前に第1の溝101がダイヤモンド材料で充填される必要があり、第1の溝101内のダイヤモンド材料が第2の溝102の底で露出される。第1の溝101の前に第2の溝102がエッチングされる場合、第1の溝101がエッチングされる前に第2の溝102がダイヤモンド材料で充填される必要があり、第2の溝102内のダイヤモンド材料が第1の溝101の底で露出される。
【0095】
第1の溝101が第2の溝102と一対一の対応関係にあることができ、1つの第1の溝101が1つの第2の溝102に接続されて、基板100を貫通するスルーホールを形成し得る。第1の溝101及び第2の溝102の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。第1の溝101及び第2の溝102の形状は同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1のダイヤモンド部分112が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、より大きい横方向寸法を持つ一端が、一般に、基板100の表面の方向に位置する。第2のダイヤモンド部分113が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、より大きい横方向寸法を持つ一端が、一般に、基板100の表面の方向に位置する。第1の溝101が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものであるとき、第1の溝101の側壁と基板の表面との間の夾角は10度から80度であり、又は30度から60度であってもよい。ボウル形構造の側壁と基板の表面との間の夾角は、ボウル形状の構造の底の中心点とボウル形構造の上縁とを接続する直線と基板の表面との間の夾角として定義され得る。第2のダイヤモンド部分113も同様の特性を持つ。
【0096】
第2の溝102の横方向寸法は5~20μmの範囲であり、第2の溝の縦方向寸法は40~99μmとし得る。第1の溝101が異なる高さで異なる横方向寸法を持つとき、上述の寸法は、基板の表面での第1の溝101の開口の寸法を表す。第2の溝102が異なる高さで異なる横方向寸法を持つとき、上述の寸法は、基板の表面での第2の溝102の開口の寸法を表す。第1の溝101が基板の表面で円として表されるとき、第1の溝101の寸法は第1の溝101の直径である。第1の溝101が基板の表面で多角形として表されるとき、第1の溝101の寸法は第1の溝101の辺長である。第2の溝102も同様の特性を持つ。
【0097】
第1の溝101は第2の溝102と一対一の対応関係になくてもよく、第2の溝102の数の方が第1の溝101の数より少なくてもよい。斯くして、同一の第2の溝102に複数の第1の溝101の溝が接続され、第1の溝101の形状は、円錐台構造、四角錐台構造、ボウル形構造、円柱構造、及び角柱構造のうちの少なくとも1つとし得る。
【0098】
第2の溝102は一体構造のものであってもよく、第2の溝102は、縦方向に第1の溝101の全てに接続されてもよいし、縦方向に第1の溝101のうち一部のみに接続されてもよい。第1の溝101の後に第2の溝102が形成される場合、第1の溝101内のダイヤモンド材料の全て又は一部が第2の溝102の底で露出され得る。第1の溝101の前に第2の溝102が形成される場合、第2の溝102内のダイヤモンド材料が複数の第1の溝101の底で露出される。
【0099】
第2の溝102も複数存在してもよく、それら第2の溝102が、基板の表面に平行な予め定められた方向に延在する。少なくとも1つの第2の溝102が縦方向に複数の第1の溝101に接続されて、下から上まで貫通構造を形成する。第1の溝101の前に第2の溝102が形成される場合、複数の第1の溝101内のダイヤモンド材料が少なくとも1つの第2の溝102の底で露出される。第1の溝101の後に第2の溝102が形成される場合、同一の第2の溝102内のダイヤモンド材料が複数の第1の溝101の底で露出される。
【0100】
このシナリオでは、基板100の第2表面の大きい領域をエッチングし、基板100の第2表面の大部分の材料を除去して、第2の溝102として使用されるキャビティ構造を得ることができ、第1の溝101が第2の溝102に接続される。斯くして、第1の溝101及び第2の溝102がダイヤモンド材料で充填された後、第1の溝101内のダイヤモンド材料と第2の溝102内のダイヤモンド材料とが接触して、基板100を貫通するダイヤモンド構造を形成し、縦方向の熱伝導経路を形成する。ダイヤモンド構造の第1のダイヤモンド部分112は基板100上のエピタキシャル層と接触し、ダイヤモンド構造の第2のダイヤモンド部分113は基板100の外側に露出される。斯くして、デバイスの内部で発生した熱がデバイスの外部に向けて伝導され得る。基板100の下に更にヒートシンクが配置されてもよい。この場合、ダイヤモンド構造の第2のダイヤモンド部分113がヒートシンクと接触して、熱を素早くヒートシンクに伝導し得る。従って、デバイスの高速な放熱が実現される。第2の溝102が大面積キャビティ構造である場合、基板100の外側に露出されるダイヤモンド構造の面積が大きく、ダイヤモンド構造がヒートシンクと接触する面積も大きい。従って、放熱効率が更に向上される。
【0101】
なお、基板100内に第2の溝102に接続されない第1の溝101が存在し、該第1の溝101が第3の溝として使用されてもよく、あるいは、第1の溝101に接続されない第2の溝102が存在し、該第2の溝102が第4の溝として使用されてもよい。第3の溝及び第4の溝は基板100を貫通せず、第3の溝及び第4の溝の中のダイヤモンド材料は、基板100の深さのうち一部にて充填される。この場合、上下に貫通する放熱チャネルは形成されない。しかしながら、第3の溝内のダイヤモンド材料及び第4の溝内のダイヤモンド材料は依然として熱を外側に放散することができる。例えば、横方向の熱伝導によって熱が他のダイヤモンド材料に伝導されたり、デバイスの外部に向けて直接拡散されるように熱が下方に放散されたり、基板100を介してデバイスの外部に向けて熱が伝導されたり、基板100及び他のダイヤモンド材料を介してデバイスの外部に向けて熱が伝導されたりする。
【0102】
S203:基板100上に順次にエピタキシャル層200並びに電極401、402、及び403を形成する。
【0103】
基板100上にエピタキシャル層200が形成され得る。半導体デバイスがGaN系HEMTデバイスである場合、エピタキシャル層200はバッファ層及びバリア層を含み得る。バッファ層とバリア層とでヘテロ構造を形成して二次元電子ガスを生成することができ、形成された半導体デバイスは、該ヘテロ構造によって生成された二次元電子ガスを用いて動作することができる。バッファ層は窒化ガリウム層とすることができ、バリア層の材料は、AlGaN、InAlN、AlN、及びScAlNのうちの少なくとも1つとすることができる。バッファ層の厚さは0.1~2μmの範囲とすることができ、バリア層の厚さは5~20nmの範囲とすることができる。
【0104】
基板100の第1表面上にバッファ層を形成することができ、次いで、バッファ層上にバリア層を形成することができる。窒化ガリウム層はMOCVD方式で形成され得る。ダイヤモンド材料と窒化ガリウムとの間の格子不整合が深刻であるため、窒化ガリウムは炭化ケイ素上で急速に成長し、ダイヤモンド材料上ではゆっくりと成長する、又は成長することができないことさえある。斯くして、炭化ケイ素上での窒化ガリウムの横方向成長が強化され、転位が結合されて、より高品質な窒化ガリウム層が得られる。第1の溝101内に形成されたダイヤモンド材料が円錐台構造、四角錐台構造、又はボウル形構造のものである場合、それは、基板100上での窒化ガリウムの成長にいっそう資する。従って、より高品質な窒化ガリウム層が得られる。該窒化ガリウム層は、低温窒化ガリウム層と高温窒化ガリウム層とを含んでもよく、低温窒化ガリウム層が、高温窒化ガリウム層と基板100との間のバッファ層として機能して、高温窒化ガリウム層のエピタキシャル品質を向上させる。バリア層もMOCVD方式で形成され得る。
【0105】
エピタキシャル層200上に電極401、402、及び403が形成され得る。電極401、402、及び403は、ソース電極401、ドレイン電極403及びゲート電極402を含み得る。ゲート電極402は、ソース電極401とドレイン電極403との間に位置し得る。電極401、402、及び403の材料は、金属材料とすることができ、例えば、Au、Ti、Al、Ni、及びTaのうちの少なくとも1つとし得る。取り得る一実装において、電極401、402、及び403の材料は、Au、Ti/Al/Ni/Auスタック、又はTa/Al/Taスタックとし得る。電極401、402、及び403が形成された後、電極401、402、及び403を保護するために、これらの電極を覆うように誘電体層も形成され得る。
【0106】
この出願のこの実施形態で提供される半導体デバイス製造方法によれば、第1の溝を得るべく基板の第1表面でエッチングが行われ、第1の溝がダイヤモンド材料で充填され、第2の溝を得るべく基板の第2表面がエッチングされる。第2の溝が第1の溝に接続され、第1の溝及び第2の溝は相異なる横方向寸法を持つ。次いで、第2の溝がダイヤモンド材料で充填され、そして、基板の第1表面上に順次にエピタキシャル層及び電極が形成される。斯くして、第1の溝内のダイヤモンド材料と第2の溝内のダイヤモンド材料とが接触して、基板を貫通するダイヤモンド構造を形成する。ダイヤモンド部分の良好な熱伝導率により、基板を貫通するダイヤモンド構造が縦方向の熱伝導チャネルを形成し、それ故に、動作するデバイスによって生成された熱がデバイスの周囲に効率的に伝導され得る。従って、半導体デバイスの放熱性能が改善され、半導体デバイスの高出力性能が効果的に発揮される。また、第1のダイヤモンド部分と第2のダイヤモンド部分とが異なる横方向寸法を持つので、2つのエッチングプロセスを使用することができ、エッチングの深さ対幅比が低減され、第1のダイヤモンド部分及び第2のダイヤモンド部分の構造を制御する助けとなる。さらに、放熱性能及びエピタキシャル層と基板との間の格子整合が実現され、より高品質なエピタキシャル層及び高性能な半導体デバイスを得ることができる。同時に、当該半導体デバイスの製造プロセスは複雑でなく、この基板は大規模に生産するのが容易である。
【0107】
この明細書における実施形態は全て進行的に記載されている。実施形態における同じ又は同様の部分については、これらの実施形態を参照されたく、各実施形態は、他の実施形態との差異に焦点を当てている。特に、方法実施形態は基本的に構造実施形態と同様であり、従って手短に説明されている。関連する部分については、構造実施形態の一部説明を参照されたい。
【0108】
以上、この出願の具体的な実装を提供した。理解されるべきことには、上述の実施形態は、この出願を限定するのではなく、この出願の技術的ソリューションを説明することを意図しているにすぎない。この出願は上述の実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者が理解するはずのことには、この出願の実施形態の技術的ソリューションの範囲から逸脱することなく、上述の実施形態で説明された技術的ソリューションになおも変更を行ったり、その一部の技術的特徴に対して均等な置換を行ったりすることができる。
【国際調査報告】