(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】高性能構造部材の固体複合増材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21C 23/01 20060101AFI20231107BHJP
B22F 3/20 20060101ALI20231107BHJP
B22F 10/18 20210101ALI20231107BHJP
【FI】
B21C23/01 Z
B22F3/20 C
B22F10/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527307
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 CN2021125830
(87)【国際公開番号】W WO2022089331
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】202011204437.9
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523162030
【氏名又は名称】中国航空製造技術研究院
【氏名又は名称原語表記】AVIC MANUFACTURING TECHNOLOGY INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】GUO, Jinpei AVIC Manufacturing Technology Institute,No. 1 Chaoyang Rd., Chaoyang District Beijing 100024 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】李 志強
(72)【発明者】
【氏名】趙 氷
(72)【発明者】
【氏名】陳 福龍
【テーマコード(参考)】
4E029
4K018
【Fターム(参考)】
4E029AA06
4E029AC03
4E029SA01
4E029UA04
4E029VA04
4K018AA14
4K018EA29
4K018EA35
(57)【要約】
本発明は、高性能構造部材の固体複合増材の製造方法に関し、当該方法は、固体複合増材の棒状素材を固溶温度まで加熱し、棒状素材は鋳造方法により製造されるものであること、固溶後の固体複合増材の棒状素材を押出金型に入れて設定の形状に押出成形すること、押出成形後の固体複合増材の素材を、圧延などの圧力接合方法により軌跡に従って逐層で基板上に敷設して、固体複合増材のプリフォームを形成すること、プリフォームは数値制御加工されて、金属部品を得ることを含む。高性能構造部材の固体複合増材の製造方法は、結晶粒を微細化し、表面の酸化膜を破砕し、固体複合増材の製造中において、構造部材に高密度の夾雑物が混入しやすく、構造部材の機械的特性を低下させるという技術的問題を解決することを目的とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高性能構造物の固体複合増材の製造方法であって、
固体複合増材の棒状素材を固溶温度まで加熱し、棒状素材は鋳造方法により製造されるものであること、
固溶後の固体複合増材の棒状素材を押出金型に入れて設定の形状に押出成形すること、
押出成形後の固体複合増材の素材を、圧延の方法により軌跡に従って逐層で基板上に敷設して、固体複合増材のプリフォームを形成すること、
前記固体複合増材のプリフォームは数値制御加工されて、金属部品を得ることを含むことを特徴とする高性能構造物の固体複合増材の製造方法。
【請求項2】
固溶温度は、0.3Tm~0.75Tmであり、ここで、Tmは固体複合増材の素材の融点であることを特徴とする請求項1に記載の高性能構造物の固体複合増材の製造方法。
【請求項3】
固溶後の固体複合増材の棒状素材を押出金型に入れて設定の形状に押出成形することは、具体的には、
真空雰囲気下又はアルゴンガス雰囲気下で、押出ヘッドと押出金型により、固溶後の固体複合増材の棒状素材に横向き押出を施し、ここで、横向き押出の押出比は5~15であることを特徴とする請求項1に記載の高性能構造物の固体複合増材の製造方法。
【請求項4】
前記した、押出成形後の固体複合増材の素材を、圧延の方法により軌跡に従って逐層で基板上に敷設して、固体複合増材のプリフォームを形成することは、具体的には、
設定温度と設定変形量の条件下で、圧延ロール又はパンチにより、押出成形後の固体複合増材の素材に圧力を加えること、
押出成形後の固体複合増材の素材が基板に接合された後、押出成形後の固体複合増材の素材を軌跡に従って逐層で積み重ねて、固体複合増材のプレフォームを形成することを含むことを特徴とする請求項1に記載の高性能構造物の固体複合増材の製造方法。
【請求項5】
設定温度は、室温~0.75Tmの温度であり、ここで、Tmは固体複合増材の素材の融点であることを特徴とする請求項4に記載の高性能構造物の固体複合増材の製造方法。
【請求項6】
設定変形量は、15%~60%であることを特徴とする請求項4に記載の高性能構造物の固体複合増材の製造方法。
【請求項7】
圧延ロールにより、押出成形後の固体複合増材の素材に圧力を加える際に、2つの対称の圧延ロールからの一体化圧力による接合を利用することを特徴とする請求項4に記載の高性能構造物の固体複合増材の製造方法。
【請求項8】
前記した、押出成形後の固体複合増材の素材を、圧延の方法により軌跡に従って逐層で積み重ねて、固体複合増材のプリフォームを形成後、さらに、
成形後の固体複合増材のプレフォームに対して後続熱処理を行うことを含むことを特徴とする請求項1に記載の高性能構造物の固体複合増材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の塑性加工成形の技術分野に関し、特に、高性能構造部材の固体複合増材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の増材の製造法は、一般的に、溶接性の優れた特定の金属にのみ適用される。溶接性のよくない材料に対して、増材製造プロセスにおいて、組織の不均一、熱亀裂、穴などの冶金欠陥が発生しやすいため、性能が受け入れられない又は予見できないことを招く。増材製造の硬化プロセスにおいて、初期平衡相はまず液体金属から析出して、温度の急激な低下によって、固液界面に枝晶を形成して、穴が生じやすいため、構造部材の力学的性能が均一ではないことを招く。また、硬化プロセスにおいて、熱接触と隣接材料の熱が合わないため、熱亀裂が生じやすくなる。部品の成形後の非一様温度場にも大きな熱残応力が生じ、部品の変形や反りを引き起こす可能性がある。異なる層を成形する時、加熱と冷却の循環熱勾配の作用を受け、予見できない又は避けられない欠陥が発生する。これらの問題は、増材製造の適用材料の範囲を大きく制限している。
【0003】
固体条件下での増材製造は、金属材料の溶融を回避し、凝固プロセスにおける熱温度勾配を低減し、様々な冶金欠陥を効果的に回避することができる。一般的な固体増材の製造方法は2つあり、その1つは、MELD社の攪拌摩擦増材製造技術であり、攪拌摩擦増材製造技術は、固体条件下で変形と接合を実現し、成形後も例えば熱などの静圧プロセス、又は焼結など時間のかかる後続処理によって性能を向上させることを必要とせず、様々なアルミニウム合金を含む様々な金属材料にほぼ適している。しかしながら、攪拌摩擦増材製造の主要な問題と不足について、成形プロセスにおいて、撹拌ヘッドと材料の間に激しい摩擦が発生し、このような激しい摩擦は、撹拌ヘッドの激しい磨耗を招きやすく、成形後の部品の中に硬質の夾雑物が混入し、部品の力学的性能、特に疲労性能を大幅に低下させる。もう1つの個体増材の製造方法は、超音波増材製造方法(UAM、ultrasonic additive manufacturing)であり、この方法は、超音波溶接により層間の金属の接合を実現し、環境と金型に対する要求が低く、環境にやさしい金属成形方法である。しかしながら、UAM方法は、一般的に、箔材しか接合できず、製造効率は各層の溶接可能な厚さによって影響される。もう1つの問題は、粗い箔材表面が原因で、成形後の部品は層間接合時に層間穴が形成されやすいことである。
【0004】
従って、本発明者は、高性能構造部材の固体複合増材の製造方法を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、高性能構造部材の固体複合増材の製造方法を提供し、材料の溶融温度の下で、前処理を経た後、更に、押出と延圧による圧力接合の方法により増材製造を実現し、固体複合増材によって、鋳造状態の金属材料を、熱機械加工組織を持つ構造部材に直接形成し、これにより、固体複合増材の製造中において、構造部材に高密度の夾雑物が混入しやすく、構造部材の機械的特性を低下させるという技術的問題を解決した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、高性能構造物の固体複合増材の製造方法を提供し、当該方法は、
固体複合増材の鋳造された棒状素材を固溶温度まで加熱すること、
固溶後の固体複合増材の棒状素材を押出金型に入れて設定の形状に押出成形すること、
押出成形後の固体複合増材の素材を、圧延の方法により軌跡に従って逐層で基板上に敷設して、固体複合増材のプリフォームを形成すること、
プリフォームは数値制御加工されて、金属部品を得ることを含む。
【0007】
更に、固溶温度は、0.3Tm~0.75Tmであり、ここで、Tmは固体複合増材の素材の融点である。
【0008】
更に、固溶後の固体複合増材の棒状素材を押出金型に入れて設定の形状に押出成形することは、具体的には、
真空雰囲気下又はアルゴンガス雰囲気下で、押出ヘッドと押出金型により、固溶後の固体複合増材の素材に横向き押出を施し、ここで、横向き押出の押出比は5~15である。
【0009】
更に、押出成形後の固体複合増材の素材を、圧延の方法により軌跡に従って逐層で基板上に敷設して、固体複合増材のプリフォームを形成することは、具体的には、
設定温度と設定変形量の条件下で、圧延ロール又はパンチにより、押出成形後の固体複合増材の素材に圧力を加えること、
押出成形後の固体複合増材の素材が基板に接合された後、押出成形後の固体複合増材の素材を軌跡に従って逐層で積み重ねて、固体複合増材のプレフォームを形成することを含む。
【0010】
更に、設定温度は、室温~0.75Tmの温度であり、ここで、Tmは固体複合増材の素材の融点である。
【0011】
更に、設定変形量は、15%~60%である。
【0012】
更に、圧延ロールにより、押出成形後の固体複合増材の素材に圧力を加える際に、2つの対称の圧延ロールからの一体化圧力による接合を利用する。
【0013】
更に、押出成形後の固体複合増材の素材を軌跡に従って逐層で積み重ねて、固体複合増材のプリフォームを形成後、さらに、
成形後の固体複合増材のプレフォームに対して後続熱処理を行うことを含む。
【発明の効果】
【0014】
以上より、本発明は、材料の溶融温度の下で、前処理を経た後、更に、押出と圧延による圧力接合の方法により増材製造を実現し、曲角押出成形により、結晶粒の微細化を実現して、表面の酸化膜を破砕し、圧延などの圧力接合方法により、層間金属の接合を実現し、固体復合増材によって鋳造状態の金属材料を均一な熱机械加工組織を持つ構造部材に直接成形し、これにより、固体複合増材の製造中において、構造部材に高密度の夾雑物が混入しやすく、構造部材の機械的特性を低下させるという技術的問題を解決した。また、冶金欠陥を解消し、良好な強度、塑性と靭性、及び疲労抵抗性能を持ち、特に溶接しにくい材料に適する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、本発明の実施形態における技術案をより明確に説明するために、本発明の実施形態の説明に必要な図面を簡単に説明する。勿論、以下に説明する図面は、本発明の一部の実施形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働を要しない前提で、更にこれらの図面に基づいてその他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明の実施形態に係る高性能構造部材の固体複合増材の製造方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施形態に係る高性能構造部材の固体複合増材の製造原理の図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る他の高性能構造部材の固体複合増材の製造原理の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面及び実施形態を参照しながら本発明の実施形態を更に詳細に説明する。以下の実施形態の詳細な説明及び図面は、本発明の原理を例示的に説明するために使用されるが、本発明の範囲を限定するためのものではない。即ち、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱することなく、部品、部材及び接合形態の任意の変更、置換及び改善をカバーする。
【0017】
なお、衝突しない場合には、本願における実施形態及び実施形態における特徴を組み合わせることができる。以下、図面と実施形態を併せて参照しながら本願を詳細に説明する。
【0018】
一般的な金属増材の製造方法は主に、選択的レーザー溶融(SLM、Selective Laser Melting)、電子ビーム溶融(EBM、Electron Beam Melting)、選択的レーザー焼結(SLS、Selective Laser Sintering)、レーザー溶融堆積(LMD、Laser Melting Deposition)、アーク増材製造(WAAM、WireArc Additive Manufacturing)、プラズマ増材製造(PAW、Plasma Additive Manufacturing)を含む。これらの増材製造方法は、一般的に、熱源を用いて金属粉末又は糸材を溶融してから、硬化して設計された幾何学的形状に成形する。これらの方法は、成形プロセスにおいて、いずれも液体から固体への転換過程が存在し、温度勾配が比較的に高い。
【0019】
従来の溶融に基づく増材製造方法には、下記のいくつかの不足がある。
【0020】
金属溶融に基づく増材製造方法では、金属溶融後に単一鋳造状態の組織を堆積形成し、異なる需要に応じて異なる組織状態を得ることができず、性能に対する様々な需要を満たすことができず、また航空機筐体、着陸機、エンジンのロータなどの重要な部品の製造に使用することができない。
【0021】
高エネルギービームを熱源とする増材製造技術は、コストが高く、装置のサイズが大きく、また成形効率は期待に応えられない。
【0022】
従来の固体摩擦溶接に基づく増材製造方法にも、下記のいくつかの不足がある。
【0023】
攪拌摩擦溶接に基づく増材製造技術では、攪拌ヘッドによって材料に対して攪拌摩擦変形と接続する必要があり、攪拌ヘッドの摩耗が激しく、構造部材に高密度の夾雑物が混入しやすいため、構造部材の機械的性能、特に疲労性能を低下させる。
【0024】
線形摩擦溶接による増材製造技術は、設備に対する要求が高く、ある程度の複雑な形状を有する構造物を、軌跡に従って点ごとに、行ごとに成形するのは難しい。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る高性能構造物の固体複合増材の製造方法のフローチャートであり、
図1に示すように、本方法は、以下のステップS1~S4を含む。
【0026】
S1:固体複合増材の素材を固溶温度まで加熱する。
【0027】
このステップにおいて、素材は、鋳造材料又は任意の適用可能な材料形態を採用してもよく、固溶温度まで加熱することは、一般には、0.3~0.75Tmの温度であり、ここで、Tmは材料の融点である。
【0028】
S2:固溶後の固体複合増材の棒状素材を押出金型に入れて設定の形状に押出成形する。
【0029】
このステップにおいて、固溶後の材料を押出金型に入れて、部材の需要に応じて、素材を一定の形状に押出成形する。一般的には、狭帯又は狭板に押出成形してから、それを前に成形された層の上に敷設する。
【0030】
S3:押出成形後の固体複合増材の素材を、圧延の方法により軌道に従って逐層で基板上に敷設して、固体複合増材のプレフォームを形成する。
【0031】
S4:プリフォームは数値制御加工されて、金属部品を得る。
【0032】
このステップでは、設定された軌跡に従って、圧力による接合を採用して狭帯又は狭板の接合を実現する。一定の温度区間(室温~0.75Tmの温度区間)と変形量の条件下で、押出成形後の材料は、1つ又は2つのロール、又はパンチにより、層間の金属材料の接合を実現する。
【0033】
好ましい実施形態として、ステップS1において、固溶温度は0.3Tm~0.75Tmであり、ここで、Tmは固体複合増材の棒状素材の融点である。
【0034】
好ましい実施形態として、ステップS2において、固溶後の固体複合増材の棒状素材を押出金型に入れて設定の形状に押出成形することは、具体的には、
【0035】
真空雰囲気下又はアルゴンガス雰囲気下で、押出ヘッドと押出金型により、固溶後の固体複合増材の素材に横向き押出を施し、ここで、側面押出の押出比は5~15である。
【0036】
好ましい実施形態として、ステップS3において、押出成形後の固体複合増材の素材を、圧延などの圧力による接合の方法により軌跡に従って逐層で基板上に敷設して、固体複合増材のプリフォームを形成することは、具体的には、以下のステップS301~S303を含む。
【0037】
S301:設定温度と設定変形量の条件下で、圧延ロール又はパンチにより、押出成形後の固体複合増材の素材に圧力を加える。
【0038】
S302:押出成形後の固体複合増材の素材が基板に接合された後、押出成形後の固体複合増材の素材を軌跡に従って逐層で積み重ねて、固体複合増材のプレフォームを形成する。
【0039】
S303:プリフォームは数値制御加工されて、金属部品を得る。
【0040】
好ましい実施形態として、ステップS3において、設定温度は、室温~0.75Tmの温度であり、ここで、Tmは固体複合増材の素材の融点である。
【0041】
好ましい実施形態として、ステップS3において、設定変形量は、15%~60%である。
【0042】
好ましい実施形態として、ステップS3において、圧延ロールにより、押出成形後の固体複合増材の素材に圧力を加える際に、2つの対称の圧延ロールからの一体化圧力による接合を利用する。
【0043】
好ましい実施形態として、押出成形後の固体複合増材の棒状素材を、軌跡に従って逐層で積み重ねて、固体複合増材のプリフォームを形成後、下記のステップS4を更に含む。
【0044】
S4:成形後の固体複合増材のプレフォームに対して後続熱処理を行う。
【0045】
このステップにおいて、成形後の部品を空気又はアルゴン雰囲気下で冷却したり、他の後続熱処理を行ったりする。
【0046】
本発明は、従来技術に比べて、次のような利点を有する。
【0047】
1. 増材製造後のエンジニアリング材料に均一な組織状態を持たせ、熱(熱欠陥ではなく冶金欠陥)欠陥を解消し、特に、例えばアルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金、ニッケル合金、金属間化合物などの溶接しにくい材料に適する。
【0048】
2. 結晶粒のサイズを微細化し、構造完全性を高める。押出成形と圧力接合のプロセスは、素材の結晶粒を激しく微細化することができ、複数のロールによって加えられた圧縮応力は、材料を繰り返し加熱及び冷却する際に発生する残留応力を低減することができるため、増材製造部品により良い構造完全性を持たせることができる。
【0049】
3. 結合強度を高める。圧力接合前の前処理は、材料のミクロ組織を効果的に微細化することができ、さらに重要なのは、自由表面の酸化層を破壊することができため、層間材料の結合強度を著しく高めることができる。
【0050】
4. 成形自由度が高い。2つの対称の圧延ロールからの一体化圧力による接合を採用して、双方向の移動軌跡を実現することができ、増材製造の効率を高めた。
【0051】
5. 素材のコストが安い。素材は、様々なサイズのインゴット、鍛造ブロックなどであってもよく、素材に対する制限を低減し、粉末に比べて素材のコストを大幅に低減することができる。
【0052】
以下、本発明を具体的な実施例によって詳細に説明する。
【0053】
実施例1
固体成形材料の結合強度とミクロ組織に対する圧力接合の実行可能性と有効性を研究した。アルミニウム合金を例として圧力接合試験を行い、圧延により圧力を加えて接合を実現する。
【0054】
1. 7075アルミニウム合金の棒状素材2を押出金型3に充填し、真空チャンバを真空にするか、あるいはグローブボックス内の空気を高純度アルゴンガスで置き換え、原料を450℃~500℃に加熱する。
【0055】
2. 押出ヘッド1と押出金型3によって予熱された棒状素材に横向き押出を加え、横向き押出成形プロセスにおいて、押出比は5~15であり、棒状原料にせん断応力を加えたため、酸化膜を破砕し、結晶粒を著しく微細化することができ、アルゴン雰囲気下又は真空雰囲気下で動作するため、成形プロセス全体において、酸化膜が破砕した表面に新たな酸化膜が生成しない。
【0056】
3. 押出後の狭帯4は、横向き押出方法により得られ、押出後の狭帯4の断面寸法は2mm~5mm(厚さ)×5mm~15mm(幅)であり、圧延ロール5は敷設された狭帯のすぐ後ろにあり、圧力を加えることで層間接合を実現し、圧延変形量は15%~60%であり、このプロセスにおいて、動的なプリフォームの界面と圧延後の狭帯4の界面は、圧延ロール5によって加熱される。
【0057】
4. 狭帯と基板7又はプリフォーム6との接合は、圧延中に加えられた塑性変形によって実現され、押出後の狭帯4と基板7とが接合されたと、単層材料の堆積が実現され、新しい層は接合された層の上に敷き続けられる。
【0058】
5. 押出後の狭帯4は切断され、基板7は、単層の厚さの距離だけ下げてから、逆方向に移動して、前層の開始点y値の位置に達し、開始点に戻る過程で押出成形は一時的に停止し、その後、前のプロセスを繰り返して、増材製造の加工ヘッドは棒状素材2を押出成形し続け、押出後の狭帯4と前層との接合を実現し、それによって、1つの多層の部品を成形する。プリフォーム6を成形する場合、上記のプロセスを繰り返するように、堆積経路と圧力接合の速度はコンピュータによって制御され、成形後のプリフォーム6は、空気又はアルゴン雰囲気下で冷却され、最後に後続の熱処理が行われる。
【0059】
実施例2
固体成形材料の結合強度とミクロ組織に対する圧力接合の実行可能性と有効性を研究した。アルミニウム合金を例として圧力接合試験を行い、圧延により圧力を加えて結合を実現する。
【0060】
1. 7075アルミニウム合金の棒状素材2を押出金型3に充填し、真空チャンバを真空にするか、あるいはグローブボックス内の空気を高純度アルゴンガスで置き換え、原料を450℃~500℃に加熱する。
【0061】
2. 押出ヘッド1と押出金型3によって予熱された棒状素材に横向き押出を加え、横向き押出成形プロセスにおいて、押出比は5~15であり、棒状原料にせん断応力を加えたため、酸化膜を破砕し、結晶粒を著しく微細化することができ、アルゴン雰囲気下又は真空雰囲気下で動作するため、成形プロセスにおいて、酸化膜が破砕した表面に新たな酸化膜が生成しない。
【0062】
3. 押出後の狭帯4は、横向き押出方法により得られ、押出後の狭帯4の断面寸法は2mm~5mm(厚さ)×5mm~15mm(幅)であり、圧延ロール5は敷設された狭帯4のすぐ後ろにあり、圧力を加えることで層間接合を実現し、圧延変形量は15%~60%である。
【0063】
4. 狭帯と基板7又はプリフォーム6との接合は、圧延中に加えられた塑性変形によって実現され、押出後の狭帯4が基板7とが接合されたと、単層材料の堆積が実現され、新しい層は接合された層の上に敷き続けられる。
【0064】
5. 押出後の狭帯4は切断されず、基板7は、単層の厚さの距離だけ下げてから、逆方向に移動して、前層の開始点y値の位置に達し、開始点に戻る過程で押出/圧延成形は停止せず、こうして押出後の狭帯4は圧延変形によって前層と連続的に接合され、上記のプロセスを繰り返すと、多層の部品が成形され、最終の位置に接合された狭帯4が切断され、成形後のプレフォーム6は、空気又はアルゴン雰囲気下で冷却され、最後に後続の熱処理が行われる。
【0065】
なお、本明細書における各実施形態は漸進的に説明され、各実施形態間の同一又は類似の部分は、互いに参照可能であり、各実施形態は、他の実施形態との違いを強調して説明する。本発明は、上述の説明及び図面に例示した特定のステップと構造に限定されない。また、簡潔にするために、ここでは公知の方法及び技術の詳細な説明は省略する。
【0066】
上記の説明は、本願の実施形態に過ぎず、本願に限定されるものではない。当業者にとって、本発明の範囲から逸脱しない範囲で、本願は様々な変更及び変形を有し得る。本願の精神及び原則の範囲内でなされた任意の修正、等価置換、改善等は、いずれも本願の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 押出ヘッド、2 棒材素材、3 押出金型、4 狭帯、5 ロール、6 プリフォーム、7 基板
【国際調査報告】