(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(54)【発明の名称】スラフ洗浄孔を有する長期装用ドレッシング
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20231107BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527317
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 IB2021060396
(87)【国際公開番号】W WO2022101795
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520500336
【氏名又は名称】ケーシーアイ マニュファクチャリング アンリミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】KCI Manufacturing Unlimited Company
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】イングラム,シャノン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョニエッツ,ブラッドリー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA40
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB05
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB24
4C267BB39
4C267BB40
4C267BB62
4C267CC06
4C267GG02
4C267HH08
4C267JJ02
4C267JJ03
4C267JJ06
4C267JJ08
4C267JJ12
(57)【要約】
組織部位を処置するためのドレッシング、システム、及び方法について記載されている。ドレッシングは、第1の側及び第2の側を有する第1の層と、第1の側から第2の側まで第1の層を通って延びる複数の貫通孔とを含むことができる。ドレッシングはまた、第1の層の第2の側に隣接して配置されるように構成された第2の層を含むことができる。第2の層は、第2の層に配置された複数の流体制限部及び複数の穿孔を有することができる。複数の穿孔は、第1の層の複数の貫通孔と位置合わせされるように構成され得る。
【選択図】
図1および
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧を用いて組織部位を処置するためのドレッシングであって、
第1の側及び第2の側を備える第1の層と、
前記第1の側から前記第2の側まで前記第1の層を通って延びる複数の貫通孔と、
前記第1の層の前記第2の側に隣接して配置されるように構成された第2の層と、
前記第2の層に配置された複数の流体制限部と、
前記第2の層に配置され、前記複数の貫通孔と位置合わせされるように構成された複数の穿孔と、
を備える、ドレッシング。
【請求項2】
前記複数の穿孔の各々の少なくとも周縁部が、前記第2の層にわたる圧力勾配に応答して、前記複数の貫通孔の中に延びるように構成されている、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項3】
前記第1の層が、前記第1の側から前記第2の側まで延びる厚さを有し、前記複数の貫通孔の各々が前記厚さに平行な側壁を形成し、前記複数の穿孔の各々の前記周縁部が、前記側壁の少なくとも一部分を覆う、請求項2に記載のドレッシング。
【請求項4】
前記複数の穿孔の各々の周縁部が前記側壁を完全に覆う、請求項3に記載のドレッシング。
【請求項5】
前記複数の貫通孔の各々が、約5ミリメートル~約20ミリメートルの有効直径を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項6】
前記複数の貫通孔が、前記第1の層の長手方向長さに沿って、第1の列の貫通孔及び第2の列の貫通孔を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項7】
前記貫通孔の第1の列内の前記貫通孔のうちの1つ以上が前記貫通孔の第2の列からオフセットされる、請求項6に記載のドレッシング。
【請求項8】
前記複数の貫通孔が、芯々約2ミリメートル~約10ミリメートルの間で離間されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項9】
前記複数の流体制限部の一部分が、前記複数の貫通孔の一部分と位置合わせされる、請求項1~8のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項10】
前記複数の穿孔の各々が、前記複数の貫通孔の各々よりも小さい、請求項1~9のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項11】
前記複数の穿孔の各々が、前記複数の貫通孔の各々と同じサイズである、請求項1~9のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項12】
前記複数の穿孔の各々が、前記複数の貫通孔の各々の有効直径よりも小さい有効直径を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項13】
前記複数の穿孔が、前記複数の貫通孔の中に延びるように構成された複数の突起部を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項14】
前記第1の層がマニホールドである、請求項1~13のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項15】
前記第1の層が発泡体を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項16】
前記発泡体が圧縮されている、請求項15に記載のドレッシング。
【請求項17】
前記発泡体がフェルト化されている、請求項15に記載のドレッシング。
【請求項18】
前記発泡体が約3~約5の硬度係数を有する、請求項17に記載のドレッシング。
【請求項19】
前記発泡体が少なくとも約18lb/ft
3の密度を有する、請求項15に記載のドレッシング。
【請求項20】
前記発泡体が約133マイクロメートル~約600マイクロメートルの平均孔サイズを有する、請求項15に記載のドレッシング。
【請求項21】
前記発泡体が網状発泡体である、請求項15に記載のドレッシング。
【請求項22】
前記発泡体が、圧縮されている網状発泡体である、請求項15に記載のドレッシング。
【請求項23】
前記発泡体が、フェルト化されている網状発泡体である、請求項15に記載のドレッシング。
【請求項24】
前記第1の層が、前記第1の側から前記第2の側まで延びる厚さを備える、請求項1又は4~23のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項25】
前記第1の層の前記厚さが約5ミリメートル~約15ミリメートルである、請求項24に記載のドレッシング。
【請求項26】
前記複数の貫通孔が円形である、請求項1~25のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項27】
前記複数の貫通孔が楕円形である、請求項1~25のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項28】
前記複数の貫通孔が多角形である、請求項1~25のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項29】
前記複数の貫通孔が不定形である、請求項1~25のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項30】
前記第2の層がポリマーフィルムを含む、請求項1~29のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項31】
前記ポリマーフィルムが疎水性である、請求項30に記載のドレッシング。
【請求項32】
前記ポリマーフィルムが、90度より大きい水との接触角を有する、請求項30に記載のドレッシング。
【請求項33】
前記ポリマーフィルムがポリエチレンである、請求項30に記載のドレッシング。
【請求項34】
前記ポリマーフィルムが、約30グラム/平方メートル未満の面積密度を有するポリエチレンフィルムである、請求項30に記載のドレッシング。
【請求項35】
前記複数の流体制限部が複数のスロットを備え、前記スロットの各々は約6ミリメートル未満の長さを有する、請求項1~34のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項36】
前記複数の流体制限部が複数のスロットを備え、前記スロットの各々が約2ミリメートル未満の幅を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項37】
前記複数の流体制限部が、前記第2の層に複数の開窓を備える、請求項1~36のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項38】
前記複数の流体制限部が、前記第2の層に複数のスリットを備える、請求項1~36のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項39】
前記第2の層が、前記組織部位と直接接触して配置されるように構成されている、請求項1~38のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項40】
前記第2の層が、前記第1の層の前記第2の側に結合されている、請求項1~39のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項41】
前記組織部位において前記第1の層及び前記第2の層を含む封止空間を作り出すように構成されたカバーを更に備える、請求項1~40のいずれか一項に記載のドレッシング。
【請求項42】
組織部位のためのドレッシングを製造する方法であって、
第1の層を設けることと、
前記第1の層に複数の貫通孔を形成することと、
第2の層を設けることと、
前記第2の層に複数の流体制限部を形成することと、
前記第2の層に複数の穿孔を形成することと、
前記第2の層を前記第1の層に隣接して配置することと、
を含む、方法。
【請求項43】
前記第2の層に前記複数の穿孔を形成することが、前記複数の穿孔を前記複数の貫通孔と位置合わせすることを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の層を前記第1の層に隣接して配置することが、前記第2の層を前記第1の層に接着剤で結合することを含む、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の層が発泡体を含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記複数の貫通孔を形成することが、
前記発泡体をダイカットして複数のスラグを形成することと、
前記複数のスラグを除去することと、
を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記発泡体をフェルト化することを更に含む、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
前記複数の穿孔を形成することが、前記複数の貫通孔の中に延びるように構成された複数の突起部を熱成形することを含む、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記複数の貫通孔及び前記複数の突起部が円形である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記複数の貫通孔及び前記複数の突起部が楕円形である、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記複数の貫通孔及び前記複数の突起部が多角形である、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記複数の貫通孔及び前記複数の突起部が不定形である、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
減圧を用いて組織部位を処置するためのシステムであって、
第1の側及び第2の側を有するデブリドマンツールであって、前記デブリドマンツールを通って、前記第1の側から前記第2の側まで延びる複数の開口部を備える、デブリドマンツールと、
前記デブリドマンツールの前記第2の側に隣接して配置されるように構成された接触層であって、複数の開窓及び複数の開口を含み、前記複数の開口が前記複数の開口部と位置合わせされるように構成された、接触層と、
を備える、ドレッシングと、
前記ドレッシングの上に配置され、前記組織部位を取り囲む組織に封止されるように構成された封止部材と、
前記封止部材を通して前記ドレッシングに流体的に結合されるように構成された減圧源と、
を備える、システム。
【請求項54】
前記接触層が、前記デブリドマンツールの前記第1の側に結合されている、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記接触層が、前記デブリドマンツールの前記第1の側に接着剤で結合されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記接着剤がホットメルト接着剤を含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
前記デブリドマンツールが発泡体を含む、請求項53~56のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項58】
前記接触層がポリマーフィルムを含む、請求項53~57のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項59】
前記ポリマーフィルムが親水性である、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記ポリマーフィルムが疎水性である、請求項58に記載のシステム。
【請求項61】
前記複数の開口が、前記複数の開口部の中に延びるように構成された複数の円筒状の突起部を備える、請求項53~60のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項62】
組織部位を処置する方法であって、
前記組織部位にドレッシングを配置することであって、前記ドレッシングが、
第1の側及び第2の側を有する第1の層であって、前記第1の側から前記第2の側まで前記第1の層を通って延びる複数の貫通孔を備える、第1の層と、
前記第1の層の前記第2の側に隣接して配置されるように構成された第2の層であって、複数の流体制限部及び複数の穿孔を含み、前記複数の穿孔が前記複数の貫通孔と位置合わせされるように構成された、第2の層と、を備える、配置することと、
前記ドレッシングに陰圧源を流体的に結合することと、
前記陰圧源からの陰圧をドレッシングに適用することと、
前記複数の穿孔の各々の周縁部を前記複数の貫通孔の中に引き伸ばして、前記第1の層を通してポートを作り出すことと、
前記ポートを通して流体を引き込むことと、
を含む、方法。
【請求項63】
前記第1の層が、前記第1の側から前記第2の側まで延びる厚さを更に備え、前記複数の貫通孔の各々が、前記厚さに平行な側壁を形成する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記複数の穿孔の各々の前記周縁部を前記複数の貫通孔の中に引き伸ばすことが、前記側壁を前記複数の穿孔の各々の前記周縁部で完全に覆うことを更に含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記第2の層を通って、かつ前記第1の層の中に流体を引き込むことを更に含む、請求項62~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記複数の穿孔が複数の円筒状の突起部を含み、前記複数の穿孔の各々の前記周縁部を前記複数の貫通孔の中に引き伸ばすことが、前記複数の円筒状の突起部を前記複数の貫通孔内に配置することを含む、請求項62~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記ポートを通して流体を引き込むことが、前記複数の円筒状の突起部内に流体を収集することを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
本明細書で説明及び図示されるようなシステム、方法、及び装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によりその全ての内容が本明細書に組み込まれている、2020年11月11日に出願された米国特許仮出願第63/112,240号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
添付の特許請求の範囲に記載の本発明は、概して組織処置システムに関し、特に、組織処置のためのドレッシング、及び組織処置のためにドレッシングを使用する方法に関するが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0003】
臨床研究及び臨床診療は、組織部位の近接の圧力の低減が、組織部位における新しい組織の成長を増強及び加速させることができることを示している。この現象の用途は数多くあるが、創傷を治療するために特に有利であることが判明している。創傷の原因に関わらず、外傷、手術、又は別の原因かどうかに関わらず、創傷の適切なケアが転帰に重要である。創傷又は他の組織の減圧での処置は、一般的に、「陰圧療法」と称され得るが、例えば、「陰圧創傷療法」、「減圧療法」、「真空療法」、「陰圧閉鎖」、及び「局所陰圧」を含む他の名称によっても知られている。陰圧治療は、上皮組織及び皮下組織の移行、血流の改善、及び創傷部位における組織の微小変形などを含む多くの利益をもたらすことができる。これらの利益は全体として、肉芽組織の成長を促進させることができ、治癒時間を低減することができる。
【0004】
組織部位の清浄が、新しい組織の成長に非常に有益であり得ることも広く受け入れられている。例えば、創傷又は空洞は、治療用液体溶液を用いて洗い流され得る。これらの行為は、一般的に、それぞれ「灌注法(irrigation)」及び「洗浄(lavage)」と称される。「滴下」とは、組織部位に流体をゆっくり導入し指示された期間にわたり流体を残して流体を除去するプロセスを全般的に指す別の行為である。例えば、創傷床の上への局所治療用溶液の滴下は、陰圧療法と組み合わされて、創傷床における可溶性混入物質を動揺させることと、感染性物質を除去することとによって創傷治癒を更に促進することができる。結果として、可溶性細菌負荷が減少し得、混入物質が除去され得、創傷を清浄にし得る。
【0005】
陰圧療法及び/又は滴下療法の臨床的利点は広く知られているが、治療システム、構成要素及びプロセスの改善は、医療提供者及び患者に利益をもたらすことができる。
【発明の概要】
【0006】
陰圧療法環境において組織を処置するための新規の有用なシステム、装置、及び方法が、添付の特許請求の範囲に記載されている。特許請求されている主題を当業者が作製及び使用することを可能にするための例示的実施形態も提供されている。
【0007】
例えば、いくつかの実施形態では、組織部位を処置するためのドレッシングが記載される。ドレッシングは、第1の側及び第2の側を有する第1の層を含むことができる。第1の層は、第1の側から第2の側まで第1の層を通って延びる複数の貫通孔を含むことができる。ドレッシングは、第1の層の第1の側に隣接して配置されるように構成された、第2の層を含むことができる。第2の層は、第2の層に配置された複数の流体制限部を含むことができる。第2の層はまた、第2の層に配置され、かつ複数の貫通孔と位置合わせされるように構成された複数の穿孔を含むことができる。
【0008】
組織部位のためのドレッシングを製造する方法もまた、本明細書に記載されており、いくつかの例示的実施形態は、第1の層を設けることと、第1の層に複数の貫通孔を形成することと、を含む。第2の層を設けることができ、複数の流体制限部及び複数の穿孔を第2の層に形成することができる。第2の層は、第1の層に隣接して配置することができる。
【0009】
代替的に、他の例示的実施形態は、減圧を用いて組織部位を処置するためのシステムを記載し得る。本システムは、ドレッシングと、ドレッシングの上に配置されかつ組織部位を取り囲む組織に封止されるように構成された封止部材と、この封止部材を通してドレッシングに流体的に結合されるように構成された減圧源と、を含むことができる。ドレッシングは、第1の側及び第2の側を有するデブリドマンツールと、デブリドマンツールの第1の側に隣接して配置されるように構成された接触層とを含むことができる。デブリドマンツールは、第1の側から第2の側へデブリドマンツールを通って延びる複数の開口部を含むことができる。接触層は、複数の開窓及び複数の開口を含むことができる。複数の開口は、複数の開口部と位置合わせされるように構成され得る。
【0010】
組織部位を処置する方法もまた本明細書に記載され、いくつかの例示的実施形態は、ドレッシングを組織部位に配置することを含む。ドレッシングは、第1の層と第2の層とを含むことができる。第1の層は、第1の側及び第2の側を有し得て、第2の層は、第1の層の第1の側に隣接して配置されるように構成され得る。第1の層は、第1の側から第2の側まで第1の層を通って延びる複数の貫通孔を有してもよい。第2の層は、複数の流体制限部及び複数の穿孔を有してもよい。複数の穿孔は、複数の貫通孔と位置合わせされるように構成され得る。陰圧源は、ドレッシングに流体的に結合され得て、陰圧源からの陰圧は、ドレッシングに印加され得る。複数の穿孔の各々の周縁部は、複数の貫通孔の中へ延びて、第1の層を通るポートを作り出すことができる。流体は、ポートを通って引き込まれ得る。
【0011】
特許請求される主題を作製及び使用する目的、利点、及び好ましい態様が、例示的実施形態の以下の詳細な説明と併せて添付の図面を参照することによって最もよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本明細書にしたがって組織部位に陰圧処置及び滴下処置を提供することができる治療システムの例示的実施形態の機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図1の組織インタフェースの実施例の組立図である。
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図2の組織インタフェースの第1の層の平面図である。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図3の参照
図4でとられた第1の層の詳細図である。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図2の組織インタフェースの第2の層の平面図である。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図5の参照
図6でとられた第2の層の詳細図である。
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図6の参照
図7でとられた第2の層の詳細図である。
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、線8-8に沿った
図2の組み立てられた組織インタフェースの断面図である。
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、陰圧療法中の、線8-8に沿った
図2の組み立てられた組織インタフェースの断面図である。
【
図10】
図10は、陰圧療法中の組織インタフェースの動作の追加的詳細を示す、
図9の組織インタフェースの一部分の詳細図である。
【
図11】
図11は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図2の第2の層の斜視図である。
【
図12】
図12は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、線12-12に沿った
図11の第2の層の断面図である。
【
図13】
図13は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図1の組織インタフェースの別の実施例の組立図である。
【
図14】
図14は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、線14-14に沿った
図13の組み立てられた組織インタフェースの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例示的実施形態の以下の説明は、当業者が添付の特許請求の範囲に記載されている主題を作製及び使用することを可能にする情報を提供するが、当該技術分野において既に周知のある特定の詳細を省略する場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、限定ではなく例示として解釈されたい。
【0014】
例示的実施形態はまた、添付の図面に示す様々な要素間の空間的関係又は様々な要素の空間的向き(orientation)を参照して本明細書に記載され得る。概して、このような関係又は向きは、処置を受ける位置にある患者と整合する又は当該患者に対する基準系をとる。しかしながら、この基準系は厳密な規定ではなく、単に説明上の便宜的なものであることが当業者には理解されよう。
【0015】
図1は、本明細書による治療システム100の例示的実施形態の簡略化された機能ブロック図であり、治療システム100は、組織部位への局所治療溶液の滴下を用いる陰圧療法を提供することができる。
【0016】
本文脈において、用語「組織部位」は、表面創傷、骨組織、脂肪組織、筋組織、神経組織、真皮組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、又は靭帯を含むがこれらに限定されない組織上にある又は組織内にある、創傷、欠損、又は他の治療標的を広範に指す。用語「組織部位」とはまた、必ずしも創傷又は欠損がある任意の組織の領域ではないが、代わりに、追加の組織の成長を追加又は促進することが望ましいことがある領域を指し得る。例えば、陰圧は、採取及び移植され得る追加の組織を成長させるために組織部位に適用されてもよい。表面創傷は、本明細書で使用される場合、表皮、真皮、及び/若しくは皮下層に対する負傷又は損傷など、身体の外面に露出している身体の表面上の創傷である。表面創傷としては、例えば、潰瘍又は閉鎖切開部を挙げることができる。本明細書で使用される場合、表面創傷は、腹腔内の創傷は含まない。創傷は、例えば、慢性の、急性の、外傷性の、亜急性の、及び裂開した創傷、中間層熱傷、潰瘍(糖尿病潰瘍、圧迫潰瘍、又は静脈不全潰瘍など)、皮弁、及び移植組織を含み得る。
【0017】
治療システム100は、陰圧源102などの陰圧源又は陰圧供給部と、1つ以上の分配構成要素とを含み得る。分配構成要素は、好ましくは着脱可能であり、使い捨て可能、再使用可能、又はリサイクル可能であってもよい。ドレッシング104などのドレッシング、及び、容器106などの流体容器は、治療システム100のいくつかの実施例に関連し得る分配構成要素の例である。
図1の実施例に示すように、ドレッシング104は、組織インタフェース108、カバー110、又はいくつかの実施形態では両方を備えてもよく、又はこれらから本質的になってもよい。
【0018】
流体導管は、分配構成要素の別の例示的な例である。この文脈での「流体導管」とは、2つの端部間で流体を搬送するように適合された1つ以上の管腔又は開放経路を有する、チューブ、パイプ、ホース、導管、又は他の構造体を広範に含む。典型的には、チューブは、ある程度の可撓性を有する細長い円筒状の構造体であるが、幾何学的形状及び剛性は変化し得る。また、いくつかの流体導管は、他の構成要素内に成形されてもよく、又はそうでなければ他の構成要素と一体的に組み合わされてもよい。分配構成要素はまた、他の構成要素の結合及び分離を容易にするために、インタフェース又は流体ポートを含んでもよい又は備えてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、ドレッシングインタフェースは、流体導管をドレッシング104に結合することを容易にしてもよい。例えば、このようなドレッシングインタフェースは、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio,Texas)から入手可能なSENSAT.R.A.C(商標)Padであってもよい。
【0019】
治療システム100はまた、コントローラ112などの、調整器又はコントローラをも含み得る。追加的に、治療システム100は、動作パラメータを測定し、動作パラメータを示すフィードバック信号をコントローラ112に提供するためのセンサを含み得る。例えば、
図1に示すように、治療システム100は、コントローラ112に結合された第1のセンサ114及び第2のセンサ116を含み得る。
【0020】
治療システム100はまた、滴下用溶液の源を含んでもよい。例えば、溶液源118は、
図1の例示的実施形態に示すように、ドレッシング104に流体的に結合されてもよい。溶液源118は、陽圧源120などの陽圧源、陰圧源102などの陰圧源、又はいくつかの実施形態ではその両方に流体的に結合されてもよい。滴下調整器122などの調整器はまた、組織部位への滴下用溶液(例えば、生理食塩水)の適切な投与量を確実にするために、溶液源118及びドレッシング104に流体的に結合されてもよい。例えば、滴下調整器122はピストンを含み得て、ピストンは、陰圧間隔中に溶液源から滴下用溶液を引き込むために、また通気間隔中に溶液をドレッシングに滴下するために、陰圧源102によって空気圧で作動され得る。追加的に又は代替的に、コントローラ112は、組織部位への滴下用溶液の投与量を制御するために、陰圧源102、陽圧源120、又はその両方に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、滴下調整器122は、ドレッシング104を介して陰圧源102に流体的に結合されてもよい。
【0021】
治療システム100のいくつかの構成要素は、療法を更に容易にするセンサ、処理ユニット、アラームインジケータ、メモリ、データベース、ソフトウェア、ディスプレイデバイス、又はユーザインターフェースなどの他の構成要素内に収容されてもよく、又はこれらと共に使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、陰圧源102は、コントローラ112、溶液源118、及び他の構成要素と組み合わされて治療ユニットにすることができる。
【0022】
一般に、治療システム100の構成要素は、直接又は間接的に結合されてもよい。例えば、陰圧源102は、容器106に直接結合されてもよく、容器106を介してドレッシング104に間接的に結合されてもよい。結合は、流体的な結合、機械的な結合、熱的な結合、電気的な結合、若しくは化学的な結合(化学結合など)、又は、いくつかの文脈では、結合のある組み合わせを含むことができる。例えば、陰圧源102は、コントローラ112に電気的に結合されてもよく、組織部位への流体経路を提供するために1つ以上の分配構成要素に流体的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、構成要素はまた、物理的近接によって、単一の構造に一体化されることによって、又は同じ材料片から形成されることによって、結合されてもよい。
【0023】
陰圧源102などの陰圧供給部は、陰圧での空気のリザーバであってもよく、又は、例えば、真空ポンプ、吸引ポンプ、多くの医療施設で使用可能な壁面吸引ポート、若しくはマイクロポンプなどの手動若しくは電動のデバイスであってもよい。「陰圧」とは、一般的に、封止治療環境の外部の局所的環境における周囲圧力などの局所的周囲圧力未満の圧力を指す。多くの場合、局所的周囲圧力はまた、組織部位が位置する大気圧であり得る。代替的に、圧力は、組織部位における組織に関連する静水圧未満であり得る。別途指示のない限り、本明細書に記載されている圧力の値は、ゲージ圧である。陰圧の増加についての言及は、典型的には、絶対圧力の減少を指し、陰圧の減少は、典型的には、絶対圧力の増加を指す。陰圧源102によって提供される陰圧の量及び性質は、治療要件に応じて変化してもよいが、圧力は一般的に、-5mmHg(-667Pa)~-500mmHg(-66.7kPa)の低真空(rough vacuum)とも一般的に称される低い真空(low vacuum)である。一般的な療法範囲は、-50mmHg(-6.7kPa)~-300mmHg(-39.9kPa)の間である。
【0024】
容器106は、組織部位から引き出された滲出液及び他の流体を管理するために使用され得る容器、キャニスタ、パウチ、又は他の貯蔵構成要素を表す。多くの環境では、剛性の容器が、流体の収集、貯蔵、及び廃棄のために好ましい又は必要とされることがある。他の環境では、流体は、剛性の容器に貯留されずに適切に廃棄される場合もあり、再使用可能な容器であれば、陰圧療法に関連する廃棄物及びコストを低減することができる。いくつかの実施形態では、容器106は、収集チャンバと、収集チャンバに流体的に結合された第1の入口と、収集チャンバに流体的に結合され、陰圧源から陰圧を受けるように適合された第1の出口と、を有するキャニスタを備えてもよい。
【0025】
コントローラ112などのコントローラは、治療システム100の1つ以上の構成要素、例えば陰圧源102などを動作させるようにプログラムされたマイクロプロセッサ又はコンピュータであってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、コントローラ112はマイクロコントローラであってもよく、これは一般的に、プロセッサコアと、治療システム100の1つ以上の動作パラメータを直接又は間接的に制御するようにプログラムされたメモリとを含む集積回路を含む。動作パラメータは、例えば、陰圧源102に適用される電力、陰圧源102によって生成される圧力、又は組織インタフェース108に分配される圧力を含み得る。コントローラ112はまた、好ましくは、フィードバック信号などの1つ以上の入力信号を受信するように構成されており、入力信号に基づいて1つ以上の動作パラメータを修正するようにプログラムされている。
【0026】
第1のセンサ114及び第2のセンサ116などのセンサは、一般的に、当該技術分野において、物理的現象若しくは特性を検出又は測定するように動作可能な任意の装置として知られており、一般的に、検出又は測定された現象若しくは特性を示す信号を提供する。例えば、第1のセンサ114及び第2のセンサ116は、治療システム100の1つ以上の動作パラメータを測定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1のセンサ114は、空気通路内の圧力を測定し、測定値を、測定された圧力を示す信号に変換するように構成されたトランスデューサであってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、第1のセンサ114は、ピエゾ抵抗型歪みゲージであってもよい。いくつかの実施形態では、第2のセンサ116は、陰圧源102の動作パラメータ、例えば電圧又は電流などを任意選択的に測定することができる。好ましくは、第1のセンサ114及び第2のセンサ116からの信号は、コントローラ112への入力信号として好適であるが、いくつかの実施形態では、ある信号調整が適切であり得る。例えば、信号は、信号がコントローラ112によって処理され得る前に、フィルタリング又は増幅される必要があり得る。典型的には、信号は電気信号であるが、光信号などの他の形態で表されてもよい。
【0027】
組織インタフェース108は、一般的に、組織部位に部分的又は完全に接触するように適合されてもよい。組織インタフェース108は多くの形態をとってもよく、実施されている処置のタイプ、又は組織部位の性質及びサイズなどの様々な要因に応じて、多くのサイズ、形状、又は厚さを有してもよい。組織インタフェース108は、封止された療法環境内の圧力が低減したときに、組織部位における肉芽形成を更に促進し得る。例えば、組織インタフェース108のサイズ及び形状は、深い不規則な形状の組織部位の輪郭に適合されてもよい。組織インタフェース108の表面の一部又は全てが、平坦でない、粗い、又はギザギザしたプロファイルを有してもよく、これにより、組織インタフェース108を通して陰圧が適用された場合に、組織部位において微小歪み及び応力が誘起され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、組織インタフェース108は、マニホールドを備えてもよく、又はマニホールドから本質的になってもよい。この文脈でのマニホールドは、圧力下で組織インタフェース108にわたって流体を収集又は分配するための手段を備えてもよく、又はこの手段から本質的になってもよい。例えば、マニホールドは、源から陰圧を受け取る、及び複数の開口を介して組織インタフェース108にわたって陰圧を分配するように適合されてもよく、これは、組織部位にわたって流体を収集し流体を源に向けて引き込む効果を有し得る。いくつかの実施形態では、流体経路は逆にされてもよく、又は二次流体経路は、滴下用溶液の源からの流体などの流体を組織部位にわたって送達することを容易にするために提供されてもよい。
【0029】
組織インタフェース108は、疎水性又は親水性のいずれかであり得る。組織インタフェース108が親水性であり得る例では、組織インタフェース108はまた、陰圧を組織部位に分配し続けつつ、流体を組織部位から離れるように吸い上げることができる。組織インタフェース108の吸い上げ特性は、毛細管流又は他の吸い上げ機構によって流体を組織部位から離れるように引き寄せることができる。好適であり得る親水性材料の一例は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio,Texas)から入手可能なV.A.C.WHITEFOAM(商標)ドレッシングなどのポリビニルアルコールの連続気泡発泡体である。他の親水性発泡体は、ポリエーテルから作製されたものを含み得る。親水性特徴を呈し得る他の発泡体は、親水性を付与するように処理又はコーティングされた疎水性発泡体を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、組織インタフェース108は、生体吸収性材料から構築され得る。好適な生体吸収性材料は、ポリ乳酸(PLA)とポリグリコール酸(PGA)とのポリマーブレンドを含み得るが、これらに限定されない。ポリマーブレンドはまた、限定するものではないが、ポリカーボネート、ポリフマレート、及びカプロラクトン(capralactone)をも含み得る。組織インタフェース108は、新しい細胞成長のためのスキャフォールドとして更に機能してもよく、又はスキャフォールド材料は、細胞成長を促進するために、組織インタフェース108と共に使用されてもよい。スキャフォールドは、一般に、細胞の成長又は組織の形成を強化又は促進するために使用される物質又は構造体、例えば、細胞成長のためのテンプレートを提供する3次元多孔質構造体などである。スキャフォールド材料の例示的な例としては、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラル(coral)ヒドロキシアパタイト、カーボネート、又は、加工された同種移植片材料が挙げられる。
【0031】
いくつかの実施形態では、カバー110は、細菌に対する障壁、及び物理的外傷からの保護を提供し得る。カバー110はまた、蒸発損失を低減することができ、2つの構成要素間又は2つの環境間の流体封止、例えば、療法環境と局所的外部環境との間の流体封止などを提供することができる材料から構築され得る。カバー110は、例えば、組織部位において所与の陰圧源の陰圧を維持するのに適切なシールを提供することができるエラストマーのフィルム又は膜を含んでもよく、又はこれからなってもよい。カバー110は、いくつかの用途において、高い水蒸気透過率(moisture-vapor transmission rate、MVTR)を有し得る。例えば、MVTRは、いくつかの実施形態では、38℃及び相対湿度(RH)10%において、ASTM E96/E96MのUpright Cup Methodによる直立カップ法を使用して測定された際、24時間当たり少なくとも250グラム/平方メートルであり得る。いくつかの実施形態では、24時間当たり最大5,000グラム/平方メートルのMVTRが、有効な通気性及び機械的特性を提供し得る。
【0032】
いくつかの例示的実施形態では、カバー110は、水蒸気に透過性であるが液体に不透過性である、ポリウレタンフィルムなどのポリマードレープであってもよい。このようなドレープは、典型的には、25~50マイクロメートルの範囲の厚さを有する。透過性材料については、透過性は、一般に、所望の陰圧を維持できる程度に低くすべきである。カバー110は、例えば、以下の材料の1つ以上を含み得る。親水性ポリウレタンなどのポリウレタン(PU)、セルロース誘導体、親水性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、親水性アクリル、親水性シリコーンエラストマーなどのシリコーン、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、エチレン酢酸ビニル(EVA)、コポリエステル、及びポリエーテルブロックポリミドコポリマー。そのような材料は、例えば、3M Company(Minneapolis Minnesota)から市販のTegaderm(登録商標)ドレープ;Avery Dennison Corporation(Pasadena,California)から市販のポリウレタン(PU)ドレープ、例えばArkema S.A.(Colombes,France)製のポリエーテルブロックポリアミドコポリマー(PEBAX)、並びに、Expopack Advanced Coatings(Wrexham,United Kingdom)から市販のInspire 2301及びInspire 2327ポリウレタンフィルム、として市販されている。いくつかの実施形態では、カバー110は、2600g/m2/24時間のMVTR(直立カップ法)及び約30マイクロメートルの厚さを有するINSPIRE2301を含み得る。
【0033】
取り付けデバイスは、カバー110を、無傷の表皮、ガスケット、又は別のカバーなどの取付面に取り付けるために使用されてもよい。取り付けデバイスは、多くの形態を取り得る。例えば、取り付けデバイスは、カバー110を組織部位の周りの表皮に接合するように構成された医学的に許容可能な感圧接着剤であってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、カバー110の一部又は全ては、約25~65グラム/平方メートル(g.s.m.)のコーティング重量を有し得るアクリル接着剤などの接着剤でコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、より厚い接着剤、又は接着剤の組み合わせが、シールを改善し漏れを低減するために適用されてもよい。取り付けデバイスの他の例示的な実施形態は、両面テープ、糊、ヒドロコロイド、ヒドロゲル、シリコーンゲル、又はオルガノゲルを含み得る。
【0034】
溶液源118はまた、滴下療法用の溶液を提供することができる容器、キャニスタ、パウチ、バッグ、又は他の貯留構成要素を表すことができる。溶液の組成は、指示された療法に応じて変化してもよいが、いくつかの処方に好適であり得る溶液の例としては、次亜塩素酸塩系溶液、硝酸銀(0.5%)、イオウ系溶液、ビグアニド類、カチオン性溶液、及び等張溶液が挙げられる。
【0035】
動作中、組織インタフェース108は、組織部位内に、組織部位の上に、組織部位上に、又はそうでなければ組織部位に近接して配置されてもよい。例えば、組織部位が創傷である場合、組織インタフェース108は、部分的若しくは完全に創傷を塞いでもよく、又は、創傷の上に配置されてもよい。カバー110は、組織インタフェース108の上に配置され、組織部位の近傍の取付面に封止されてもよい。例えば、カバー110は、組織部位の周辺の無傷の表皮に封止されてもよい。したがって、ドレッシング104は、外部環境から実質的に隔離された封止治療環境を組織部位に近接して提供することができ、陰圧源102は、その封止治療環境中の圧力を低減することができる。
【0036】
封止治療環境内などの別の構成要素又は位置における圧力を低減するために陰圧源を使用する流体力学は、数学的に複雑であり得る。しかし、陰圧療法及び滴下に適用可能な流体力学の基本原理は、概して、当業者に周知であり、圧力を低減するプロセスは、例えば、陰圧を「送達する」、「分配する」、又は「生成する」ものとして本明細書で例示的に説明され得る。
【0037】
一般に、滲出液及び他の流体は、流体経路に沿って、より低い圧力に向けて流れる。したがって、「下流」という用語は、典型的には、陰圧源に相対的により近い、又は陽圧源からより遠く離れる流体経路内のものを意味する。逆に、「上流」という用語は、陰圧源から相対的により遠く離れる又は陽圧源により近いものを意味する。同様に、このような基準系における流体の「入口」又は「出口」の観点からある特徴部を記載することが便利であり得る。この向きは、概して、本明細書において様々な特徴部及び構成要素を記載する目的で想定されている。しかしながら、流体経路はまた、いくつかの用途では、陰圧源を陽圧源に置き換えることなどによって逆転されてもよく、この記載上の規定は、限定的な規定として解釈されるべきではない。
【0038】
封止治療環境において、組織インタフェース108を介して組織部位にわたって印加される陰圧は、組織部位における巨大歪み及び微小歪みを誘発することができる。陰圧はまた、組織部位から滲出液及び他の流体を除去することができ、滲出液及び他の流体は容器106内に収集され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、コントローラ112は、第1のセンサ114などの1つ以上のセンサからデータを受信し処理することができる。コントローラ112はまた、組織インタフェース108に送達される圧力を管理するために、治療システム100の1つ以上の構成要素の動作を制御することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ112は、所望の目標圧力を受け取るための入力を含み得て、組織インタフェース108に適用される目標圧力の設定及び入力に関するデータを処理するようにプログラムされ得る。いくつかの例示的実施形態では、目標圧力は固定圧力値であってもよく、固定圧力値は、組織部位における療法に所望される目標陰圧として操作者によって設定され、次いで、コントローラ112に入力として提供される。目標圧力は、組織部位を形成する組織のタイプ、(存在する場合)傷害又は創傷のタイプ、患者の健康状態、及び主治医の選好に基づいて、組織部位に応じて変化してもよい。所望の目標圧力の選択後、コントローラ112は、目標圧力に基づいて、陰圧源102を1つ以上の制御モードで動作させることができ、組織インタフェース108における目標圧力を維持するために、1つ以上のセンサからフィードバックを受信することができる。
【0040】
組織部位の処置中、一部の組織部位は、通常の医療プロトコルに従って治癒しないことがあり、壊死組織の領域を広げることがある。壊死組織は、感染、毒、又は外傷の結果としてもたらされる死組織である場合があり、これは、死組織の除去を調節する通常の身体プロセスによって組織が除去され得るよりも速く組織を死滅させる。時には、壊死組織は、組織の粘稠液体の塊を含み得るスラフの形態であり得る。一般に、スラフは、組織における炎症反応を刺激する細菌感染及び真菌感染によって生じる。スラフは、クリーム色がかった黄色である場合があり、膿と称される場合もある。壊死組織はまた、痂皮も含み得る。痂皮は、乾燥して硬化した壊死組織の一部分であり得る。痂皮は、火傷、壊疽、潰瘍、真菌感染、クモの咬傷、又は炭疸の結果であり得る。外科用切除器具を使用することなく、痂皮を除去することは困難であり得る。
【0041】
例えば、壊死組織、スラフ、及び痂皮に加えて、組織部位は、バイオフィルム、裂傷組織、失活組織、汚染組織、損傷組織、感染組織、滲出液、高粘稠滲出液、線維素脱落(fibrinous slough)、及び/又は一般にデブリと称され得る他の物質を含み得る。デブリは、組織処置の有効性を阻害し、組織部位の治癒を遅らせる場合がある。デブリが組織部位内にある場合、組織部位は、デブリを破壊するために様々なプロセスで処理してもよい。破壊の例としては、デブリの軟化、皮下組織などの所望の組織からのデブリの分離、組織部位から除去するためのデブリの準備、及び組織部位からのデブリの除去を挙げることができる。
【0042】
デブリは、手術室で実施されるデブリドマンを必要とする可能性がある。場合によっては、デブリドマンを必要とする組織部位が生命を脅かさないことがあり、デブリドマンは優先度が低いと考慮され得る。優先度が低いケースは、より生命が脅かされる他のケースのために手術室の優先度が与えられるので、治療前の遅延を経験する可能性がある。結果として、優先度が低いケースは、一時しのぎの処置を必要とする場合がある。一時しのぎの処置には、デブリドマン、陰圧療法、又は滴下などの、他の療法の前に組織部位が劣化するのを制限する、組織部位の体液流停止が含まれ得る。
【0043】
デブリドマンに際して、臨床医は、健康な生存組織と壊死組織とを区別することを困難に感じる場合がある。結果として、通常のデブリドマン技術は、健康な組織を過度に除去したり、壊死組織を十分に除去しなかったりする場合がある。生存不能な組織の境界が深部真皮層よりも深くまで及んでいない場合、又は組織部位がスラフ若しくはフィブリンなどのデブリによって覆われている場合、デブリを除去する穏やかな方法を考慮して、組織部位への過剰な損傷を回避するべきである。
【0044】
いくつかのデブリドマンプロセスでは、機械的プロセスを使用してデブリを除去する。機械的プロセスは、組織部位からデブリを切除するための薄刃を有するメス又は他の切除ツールの使用を含み得る。他の機械的プロセスは、デブリに衝撃を与える粒子の流れを提供して摩耗プロセスにおいてデブリを除去できるデバイス、又は、デブリに衝撃を与える高圧流体のジェットを提供して水ジェット切除若しくは洗浄によってデブリを除去できるデバイスを使用し得る。典型的に、組織部位を創傷清拭する機械的プロセスは疼痛を伴う場合があり、局所麻酔剤の適用を必要とし得る。機械的プロセスには、組織部位に更なる損傷を引き起こし、治癒プロセスを遅延させる可能性がある、健康な組織の過度な除去のリスクもある。いくつかのデブリドマンプロセスにおいて、組織部位を覆っていてもよいドレッシングは、一般に、デブリドマンのための組織部位へのアクセスを可能にするために除去され、長期の装用時間にわたってドレッシングの使用を阻止する。したがって、デブリドマンを必要とする患者は、医学的に有益な期間にわたってドレッシングを装用することによって提供される、保護及び療法に関連する利益を受けない可能性がある。
【0045】
デブリドマンはまた、自己分解プロセスによって実施され得る。例えば、自己分解プロセスは、壊死組織及びデブリを軟化して液化するために、組織部位によって生成される酵素及び水分の使用を伴い得る。典型的に、組織部位によって生成された流体が定位置に留まり、デブリに水分を与え得るように、デブリを有する組織部位の上にドレッシングを配置し得る。自己分解プロセスは、疼痛をなくすことができるが、緩慢であり、多くの日数を要する可能性がある。自己分解プロセスは、緩慢であるため、ドレッシングの何回もの交換を伴う場合もある。いくつかの自己分解プロセスは、デブリに水分が与えられるときに組織部位に供給される陰圧がデブリを引き離し得るように、陰圧療法と対にされ得る。場合によっては、組織部位に配置されて、組織部位にわたって陰圧を分配するマニホールドが、自己分解プロセスによって分解されたデブリによってブロックされ又は詰まってしまうことがある。マニホールドが詰まった場合、陰圧が、デブリを除去できなくなることがあり、自己分解プロセスが減速又は停止する可能性がある。加えて、例えば、デブリが除去される際に組織部位の治癒を助けるために、マニホールドを長期間にわたって組織部位に残した場合、肉芽組織の内部成長が懸念され得る。
【0046】
デブリドマンはまた、組織を消化する酵素又は他の薬剤を組織部位に添加することによって実施され得る。多くの場合、酵素の配置、及び酵素が組織部位と接触する時間の長さを厳密に制御し続けなければならない。酵素が必要以上に長く組織部位に残された場合、酵素が、健康な組織を過度に除去する、組織部位を汚染する、又は患者の他の領域に運ばれることがある。患者の他の領域に運ばれると、酵素は、無傷の組織を分解し、他の合併症を引き起こす場合がある。
【0047】
これらの制限及びその他は、陰圧療法、滴下療法、及びデブリの破壊をもたらすことができる療法システム100によって対処され得る。いくつかの実施形態では、療法システム100は、組織部位の表面での機械的移動を、デブリの可溶化を助ける局所溶液の周期的な送達及び滞留と組み合わせてもたらすことができる。例えば、陰圧源は、組織部位に流体的に結合されて、陰圧療法のための陰圧を組織部位に提供し得る。いくつかの実施形態では、流体源が、組織部位に流体的に結合されて、滴下療法のための治療流体を組織部位に提供し得る。いくつかの実施形態では、療法システム100は、デブリを有する組織部位の領域を破壊するために、陰圧療法、滴下療法、又はその両方によって使用され得る、組織部位に隣接して配置される接触層を含み得る。デブリの破壊に続いて、陰圧療法、滴下療法、及び他のプロセスを使用して、組織部位からデブリを除去し得る。いくつかの実施形態では、療法システム100は、他の組織除去及びデブリドマン技術と併用され得る。例えば、療法システム100は、デブリを軟化させるために酵素的デブリドマンの前に使用され得る。別の例では、機械的デブリドマンを使用して組織部位におけるデブリの一部分を除去し得て、次に療法システム100を使用して、組織部位に対する外傷のリスクを低減しながら残りのデブリを除去し得る。療法システム100はまた、長時間にわたって装用され、肉芽組織の内部成長を防止しながら、組織のデブリドマンを提供することができるドレッシングを提供してもよい。長時間装用可能なドレッシングは、コスト削減、時間効率、及びドレッシング交換中の患者への外傷の低減をもたらすことができる。
【0048】
図2は、
図1のドレッシング104の一例の組立図であり、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す。ドレッシング104は、組織インタフェース108とカバー110とを備えてもよい。いくつかの実施形態では、組織インタフェース108は、第1の層202などのマニホールド又はデブリドマンツールと、第2の層204などの接触層とを含んでもよい。第1の層は、第1の側206と、第1の側206とは反対側の第2の側208とを備えてもよい。第1の層202は、第1の側206から第2の側208まで延びる実質的に均一な厚さ220を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1の層2020の厚さ220は、約2ミリメートル~約12ミリメートルであり得る。他の実施形態では、第1の層202の厚さ220は、組織インタフェース108の特定の用途のために選択されてもよい。第2の層204はまた、第2の層204が組織部位の表面の外形に合わせられ得るように、可撓性であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1の層202は発泡体を備えてもよい。例えば、第1の層202は、指示された療法の必要性に応じて変化し得る孔サイズ及び自由容積を有する網状発泡体を含み得る。例えば、少なくとも90%の自由容積を有する網状発泡体は多くの療法用途に好適であり得て、400~600マイクロメートルの範囲の平均孔サイズを有する発泡体は、いくつかのタイプの療法に特に好適であり得る。第1の層202の引張強度もまた、指示された療法の必要性に応じて変化してもよい。例えば、発泡体の引張強度は、局所処置用溶液の滴下のために増加してもよい。第1の層202の25%圧縮荷重たわみは、少なくとも2.2ポンド/平方インチであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の層202の引張強度は、少なくとも18ポンド/平方インチであってもよい。第1の層202は、1インチ当たり少なくとも4ポンドの引裂強度を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1の層202は、ポリエステル又はポリエーテルなどのポリオールと、トルエンジイソシアネートなどのイソシアネートと、アミン及びスズ化合物などの重合調整剤とから構成される発泡体であってもよい。いくつかの例では、第1の層202は、KCI(San Antonio,Texas)から両方とも入手可能なGRANUFOAM(商標)ドレッシング又はV.A.C.VERAFLO(商標)ドレッシングにおいて使用されるような網状ポリウレタン発泡体であってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1の層202は、周囲圧力での発泡体の密度を増加させるために、多くの場合、熱成形プロセスの一部として機械的又は化学的に圧縮される発泡体から形成され得る。機械的又は化学的に圧縮された発泡体は、圧縮発泡体又はフェルト発泡体と称される場合がある。いくつかの実施形態では、第1の層202は、フェルト化プロセスから形成され得る。フェルト化は、相互接続された経路を維持しながら発泡体の密度を増加させるために発泡体を恒久的に圧縮する熱成形プロセスを含む。例えば、フェルト化は、多孔質材料又は発泡体材料に熱及び圧力を印加することによって行われてもよい。いくつかの方法は、1つ以上の加熱されたプラテン又はダイ(図示せず)の間で、特定の期間、特定の温度で発泡体ブランクを圧縮することを含んでもよい。圧縮方向は、発泡体ブランクの厚さに沿っていてもよい。
【0051】
圧縮の期間は、10分から24時間までの範囲であってよいが、使用される多孔質材料の特定のタイプに応じて、それより長くても短くてもよい。更に、いくつかの例では、温度は120℃~260℃の間の範囲であってもよい。一般に、プラテンの温度が低いほど、多孔質材料は圧縮状態でより長く保持されなければならない。特定の期間が経過した後、圧力及び熱は、多孔質材料若しくは多孔質材料の一部の上又は中を通ってフェルト構造又は表面を形成する。
【0052】
フェルト化プロセスは、孔形状及び/又はサイズ、弾性、密度、ならびに密度分布を含む、元の材料の特定の特性を変化させ得る。例えば、発泡体中の孔を画定する支柱は、フェルト化プロセス中に変形されて、平坦化された孔形状をもたらし得る。変形した支柱はまた、発泡体の弾性を減少させ得る。発泡体の密度は、一般に、フェルト化によって増加する。いくつかの実施形態では、フェルト化プロセスにおけるホットプレスプラテンとの接触はまた、密度が表面でより高くなり、孔サイズが表面でより小さくなるか又は除去される密度勾配をもたらし得る。例えば、第1の層202の少なくとも一部分は、孔を有さないところまでフェルト化され得る。いくつかの実施形態では、フェルト構造は、多孔質材料の任意の未仕上げ若しくはフェルト化されていない表面又は部分よりも比較的平滑であってもよい。更に、フェルト構造内の孔は、多孔質材料の任意の未仕上げ若しくはフェルト化されていない表面又は部分全体にわたる孔よりも小さくてもよい。いくつかの例では、フェルト構造は、多孔質材料の全ての表面又は部分に適用されてもよい。更に、いくつかの例では、フェルト構造は、多孔質材料の全体がフェルト化されるように、多孔質材料の厚さ全体にわたっていてもよい。
【0053】
フェルト発泡体は、発泡体の圧縮を示す硬度係数によって特徴付けることができる。フェルト発泡体の硬度係数は、最終厚さに対する元の厚さの比として特定され得る。圧縮発泡体又はフェルト発泡体は、1より大きい硬度係数を有し得る。圧縮度は、フェルト発泡体の物理的特性に影響を及ぼし得る。例えば、フェルト発泡体は、フェルト化されていない同じ材料の発泡体よりも高い有効密度を有する。フェルト化プロセスはまた、流体と泡との相互作用に影響を及ぼし得る。例えば、密度が増加するにつれて、圧縮性又は圧潰性は低下し得る。したがって、異なる圧縮性又は圧潰性を有する発泡体は、異なる硬度係数を有し得る。いくつかの例示的実施形態において、硬度係数は、約2~約10、及び好ましくは約3~約5の範囲であり得る。例えば、第1の層202のフェルト発泡体の硬度係数は、いくつかの実施形態では、約5であってもよい。硬度レベル、密度、孔サイズ(又は1インチ当たりの孔)及び圧縮性との間には一般的な線形関係がある。例えば、3の硬度係数にフェルト化された発泡体は3倍の密度増加を示し、元の厚さの約3分の1に圧縮されている。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1の層202を形成するために、1つ以上の好適な発泡体ブランク(例えば、予めフェルト化された発泡体)が使用されてもよい。発泡体ブランク(複数可)は、平均して1インチ当たり約40~約150個の孔、約5.1~約6.3lb/ft3の密度、約133~約600マイクロメートルの範囲の平均孔サイズ、少なくとも2.2ポンド/平方インチの25%圧縮荷重たわみ、及び/又は少なくとも2.2ポンド/平方インチの65%圧縮荷重たわみを有し得る。いくつかの実施形態では、発泡体ブランク(複数可)は、10ミリメートル超の厚さを有し得る。例えば、発泡体ブランク(複数可)は、約10~約35ミリメートル、約10~約25ミリメートル、約10~約20ミリメートル、又は約15~約20ミリメートルの範囲の厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、発泡体ブランク(複数可)は、第1の層202のためのより高密度の発泡体を提供するためにフェルト化されてもよい。例えば、1つ以上の発泡体ブランクは、2~10の硬度係数にフェルト化されて第1の層202を形成し得る。いくつかの実施形態では、発泡体ブランクは、3~7の硬度係数までフェルト化されてもよい。いくつかの実施形態は、発泡体ブランクを5の硬度係数までフェルト化し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の層202は、約9%~約45%の範囲の自由容積、約2.6~約16lb/ft3の範囲の密度、圧縮方向に測定した際に平均して1インチ当たり約80~約500個の孔、圧縮方向に測定した際に約40~約300マイクロメートルの範囲の平均孔サイズ、及び/又は約0.7~約3.5ポンド/平方インチの25%圧縮荷重たわみ及び約0.86~約4.3ポンド/平方インチの65%圧縮荷重たわみを有する連続気泡発泡体であってもよく、これは陰圧下で特に有利であり得る。いくつかの実施形態では、第1の層202は、約18%~約45%の範囲の自由容積、約2.6~約8lb/ft3の範囲の密度、平均して1インチ当たり約40~約250個の孔(例えば、圧縮方向に測定した際)、約80~約600マイクロメートルの範囲の平均孔サイズ(例えば、圧縮方向に測定した際)、及び/又は約2.2ポンド/平方インチの25%圧縮荷重たわみ及び約2.2ポンド/平方インチの65%圧縮荷重たわみを有する連続気泡発泡体であってもよく、これは陰圧下で特に有利であり得る。
【0056】
図2に更に示すように、第1の層202は、第1の側206から第2の側208まで第1の層202を通って延びる複数の貫通孔210を含んでもよい。複数の貫通孔210は、第1の層202にわたって均一に又はランダムに分布することができる。第1の層202を通って延びる複数の貫通孔210は、第1の層202を通って延びる壁212を形成し得る。貫通孔210は、第1の層202の厚さ220にほぼ等しい深さを有し得る。例えば、貫通孔210は、約2ミリメートル~約12ミリメートルの深さを有し得る。一部の実施形態では、貫通孔210は、約8ミリメートルの深さを有し得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、複数の貫通孔210のうちの少なくとも1つは、第1の層202の縁部に配置されてもよい。例えば、複数の貫通孔210のうちの少なくとも1つは、第1の層202の周縁部222に配置されてもよく、貫通孔210の内側部分は露出されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の層202の周縁部222に又はその付近に配置された複数の貫通孔210は、周縁部222の周りに実質的に等間隔で離間され得る。追加的に又は代替的に、第1の層202の周縁部222に近接する複数の貫通孔210の間隔は不規則であってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、第2の層204は、第1の層202の第2の側208に隣接して配置されるように構成されてもよい。例えば、第2の層204と第1の層202は、第2の層204が第1の層202と接触するように重ね合わされてもよい。いくつかの実施形態では、第2の層204は、第1の層202の第2の側208に結合され得る。
【0059】
第2の層204は、流体流動を制御又は管理するための手段を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の層204は、液体不透過性のエラストマー材料を含む流体制御層であってもよい。例えば、第2の層204は、ポリウレタンフィルムなどのポリマーフィルムであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の層204は、カバー110と同じ材料であってもよい。第2の層204は、いくつかの実施形態では、平滑な又は艶消しの表面テクスチャをも有していてもよい。SPI(プラスチック工業会)規格による等級B3以上の、艶出し仕上げ又は光沢仕上げが、一部の用途に特に有利であり得る。いくつかの実施形態では、表面高さの変動は、許容可能な公差に制限され得る。例えば、第2の層204の表面は、実質的に平坦な表面を有し、高さの変動が1センチメートルにわたって0.2ミリメートルまでに制限され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、第2の層204は疎水性であってもよい。第2の層204の疎水性は多様であり得るが、いくつかの実施形態では、水との接触角が少なくとも90度であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の層204は、水との接触角が150度以下であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第2の層204の接触角は、少なくとも90度~約120度の範囲、又は少なくとも120度~150度の範囲であってもよい。水接触角は、任意の標準装置を使用して測定され得る。手動ゴニオメータが、接触角を視覚的に概算するために使用され得るが、接触角測定器は、多くの場合、とりわけ、水平ステージ、シリンジなどの液体滴下器、カメラ、及び、接触角をより正確かつ精密に算出するように設計されているソフトウェアを伴う統合システムを含み得る。このような統合システムの非限定的な例としては、First Ten Angstroms,Inc.(Portsmouth,VA)から全てが市販されているFTÅ125、FTÅ200、FTÅ2000、及びFTÅ4000システム、並びに、Kruss GmbH(Hamburg,Germany)から全てが市販されているDTA25、DTA30、及びDTA100システムが挙げられ得る。別途指定のない限り、本明細書における水接触角は、20~25℃及び相対湿度20~50%の空気中、5cm以下の高さから添加される、液滴用の水平のサンプル表面上の脱イオン蒸留水を使用して測定される。本明細書における接触角は、最高測定値及び最低測定値の両方を破棄して、5~9個の測定値の平均を表す。第2の層204の疎水性は、液体又はプラズマのいずれかによるコーティングに際して、シリコーンやフルオロカーボンなどの他の材料の疎水性コーティングによって更に強化されてもよい。
【0061】
第2の層204は、第1の層202を含む他の層に溶着するのにも好適であり得る。例えば、第2の層204は、熱、高周波(RF)溶着、又は、超音波溶着などの熱を発生させる他の方法を使用して、ポリウレタン発泡体に溶着するように適合されてもよい。RF溶着は、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、及びアクリレートなどの極性のより高い材料に特に好適であり得る。犠牲極性インタフェースが、ポリエチレンなどの極性のより低いフィルム材料のRF溶着を容易にするために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の層204は、第1の層202にフレームラミネート加工されてもよい。
【0062】
第2の層204の面積密度は、処方される療法又は用途に応じて変化してもよい。いくつかの実施形態では、40グラム/平方メートル未満の面積密度が好適であり得、約20~30グラム/平方メートルの面積密度が、いくつかの用途に特に有利であり得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、例えば、第2の層204は、ポリエチレンフィルムなどの疎水性ポリマーであってもよい。ポリエチレンの単純かつ不活性な構造は、生体組織及び流体との相互作用を、あるとしても殆ど起こさない面を提供することができ、液体の自由な流れ及び低付着性を助長し得る面を提供し、これは、多くの用途に特に有利であり得る。他の好適なポリマーフィルムは、ポリウレタン、アクリル、ポリオレフィン(環状オレフィンコポリマーなど)、ポリアセテート、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、PEBAXブロックコポリマー、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、スチレン系(styreneics)、シリコーン、フルオロポリマー、及びアセテートを含む。20マイクロメートル~100マイクロメートルの厚さが、多くの用途に好適であり得る。フィルムは、透明であってもよく、有色であってもよく、又は印刷されていてもよい。ポリエチレンフィルムに積層するのに好適な極性のより高いフィルムは、ポリアミド、コポリエステル、アイオノマー、及びアクリルを含む。ポリエチレンと極性フィルムとの接合を補助するために、エチレン酢酸ビニル又は変性ポリウレタンなどのタイ層が使用されてもよい。エチルメチルアクリレート(EMA)フィルムもまた、いくつかの構成に好適な疎水性及び溶着特性を有し得る。
【0064】
第2の層204は、第2の層204にわたって均一に又はランダムに分布され得る、1つ以上の流体通路のセットを有してもよい。いくつかの実施形態では、通路は、双方向性かつ圧力応答性であってもよい。例えば、通路の各々は、一般に、液体の流れを実質的に低減させるために通常緊張しておらず、圧力勾配に応答して、及び/又は第1の層202の収縮に応答して、拡張又は開放し得る弾性通路であってもよい。いくつかの実施形態では、複数の流体制限部214が第2の層204に配置されてもよい。複数の流体制限部214は、第2の層204から材料を除去することによって形成されてもよい。例えば、複数の流体制限部214は、第2の層204を切り開くことによって形成されてもよい。複数の流体制限部214にわたって圧力勾配が存在しない場合、複数の流体制限部214は、液体の流れを実質的に低減又は阻止することができるシールを形成するのに十分に小さくてもよい。加えて、又は代替として、通路のうちの1つ以上は、液体の流れを実質的に阻止するように緊張していないときは通常閉じられており、圧力勾配に応答して及び/又は第1の層202の収縮に応答して開放し得るエラストマー弁であってもよく、又はそれとして機能してもよい。いくつかの実施形態では、複数の流体制限部214は、第2の層204の開窓であってもよい。いくつかの実施形態では、複数の流体制限部214の少なくとも一部分が、第1の層202の複数の貫通孔210の少なくとも一部分と位置合わせされてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、複数の穿孔216も第2の層204に配置されてもよい。複数の穿孔216は、例えば、切断によって、又は局所的な無線周波数(RF)若しくは超音波エネルギーの印加によって、又は開口部を形成するための他の適切な技術によって形成されてもよい。第2の層204内の複数の穿孔216は、第1の層202内の複数の貫通孔210と位置合わせされるように構成され得る。他の実施形態においては、複数の穿孔216は、均一な分布パターンを有してもよく、又は、第2の層204上にランダムに分布してもよい。複数の穿孔216はまた、円形、正方形、楕円形、多角形、及び不定形を含む、多くの形状を有してもよい。
【0066】
複数の穿孔216のうちの少なくとも1つは、第2の層204の縁部に配置され得る。例えば、複数の穿孔216のうちの少なくとも1つは、第2の層204の周縁部218に配置されてもよく、穿孔216の内側部分は、露出していてもよい。第2の層204の周縁部218に又はその付近に配置された複数の穿孔216は、周縁部218の周りに実質的に等間隔で離間され得る。追加的に又は代替的に、第2の層204の周縁部218に近接する複数の穿孔216の間隔は、不規則であってもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、ドレッシング104は、流体導管224及びドレッシングインタフェース226を含んでもよい。いくつかの実施形態では、流体導管224は可撓性チューブであってもよい。いくつかの実施形態では、流体導管は、第1の端部230及び第2の端部232を備えてもよい。流体導管224の第1の端部230は、ドレッシングインタフェース226に流体的に結合されるように構成されてもよく、流体導管224の第2の端部232は、陰圧源102(図示せず)に流体的に結合されるように構成されてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、ドレッシングインタフェース226は、
図2の例に示すように、カバー110内の開口228の上に配置されることにより、流体導管224と組織インタフェース108との間に流体経路を設けることができる、エルボ形コネクタであってもよい。他の実施形態では、流体導管224の第1の端部230は、カバー110を通って組織インタフェース108に直接挿入されてもよい。カバー110は、組織部位806において第1の層202及び第2の層204を含む封止空間を作り出すように構成され得る。いくつかの実施形態では、カバー110は、開口228を含んでもよい。他の実施形態では、開口228は、カバー110を組織インタフェース108の上に配置する前又は後に、カバー110に切り込まれてもよい。いくつかの実施形態では、開口228は、カバー110の中央に配置されてもよい。他の実施形態では、開口228の位置は、カバー110の中心から外れていてもよく、又は端部若しくは縁部に隣接していてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、組織インタフェース108は、ドレッシング104を形成するアセンブリの一部分として提供されてもよい。他の実施形態では、組織インタフェース108は、使用時にドレッシング104を組み立てるために、カバー110、流体導管224、及びドレッシングインタフェース226とは別個に提供されてもよい。
【0070】
まだ構成されていない場合、ドレッシングインタフェース226は、開口228の上に配置されて、カバー110に取り付けられてもよい。流体導管224の第1の端部230は、ドレッシングインタフェース226に流体的に結合されてもよく、流体導管224の第2の端部232は、陰圧源102に流体的に結合されてもよい。
【0071】
図3は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図2の第1の層202の平面図である。第1の層202は、第1の層202を通って延びる複数の貫通孔210を含んで、壁212を形成し得る。いくつかの実施形態では、貫通孔210は、円形の形状を有し得る。他の実施形態では、貫通孔210は、他の形状及び向き、例えば、楕円形、六角形、正方形、三角形、多角形、又は不定形若しくは不規則形を有してもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、壁212の内面が、第1の層202の厚さ220と平行であり得る。他の実施形態では、壁212の内面は、第1の層202の第1の側206及び第2の側208に略垂直であってもよい。壁212の内面又は表面は、各貫通孔210の外周部302を形成し得て、第1の側206を第2の側208に接続し得る。他の実施形態では、貫通孔210は、貫通孔210の壁212の内面が第1の側206と垂直以外の角度を形成するように形成され得る。また他の実施形態では、貫通孔210の壁212の内面は、貫通孔210の中心312に向かって先細になり、円錐形、角錐形、又は他の不規則な貫通孔形状を形成してもよい。貫通孔210の壁212の内面が先細になっている場合、貫通孔210は、第1の層202の厚さ220よりも低い高さを有し得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、第1の層202は、第1の方位線304と、第1の方位線304と垂直な第2の方位線306とを有し得る。第1の方位線304及び第2の方位線306は、第1の層202の対称線であり得る。対称線は、例えば、第1の層202の第1の側206又は第2の側208を横切る仮想線であって、第1の層202が対称線で折り畳まれた場合に、貫通孔210と壁212とが各々の側で、同時に位置合わせされるような折り線を規定し得る。第1の層202が長手方向縁部308及び円形の縁部310を含む略卵形のものとして示されているが、第1の層202は他の形状を有してもよい。例えば、第1の層202は、矩形、ひし形、正方形、円形、三角形、又は不定形の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の層202の形状は、処置されている組織部位のタイプに適応するように選択され得る。例えば、第1の層202は、円形の組織部位に適応するように円形の形状を有し得る。第1の層202はまたかなりの大きさであり得る。例えば、第1の層202は、より小さい組織部位用に第1の層202がサイズを縮小されることを可能にするように、切断され、引き裂かれ、又はそうでない場合は部分に分離されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の方位線304は、長手方向縁部308と平行であり得る。
【0074】
図4は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図3の第1の層202の一部分の詳細図である。第1の層202は、平行な行に位置合わせされて、配列を形成する複数の貫通孔210を含み得る。貫通孔210の配列は、貫通孔210の第1の行402と、貫通孔210の第2の行404と、貫通孔210の第3の行406とを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の行402などの連続して隣接する貫通孔210の外周部302の間にある壁212の幅418は、約2ミリメートル~約15ミリメートルであってもよい。いくつかの実施形態では、約5ミリメートルの幅が好まれ得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、隣接する行の中心312同士を結ぶ線が、第1の方位線304との筋交角度(SA;strut angle)を形成し得る。例えば、第1の行402における第1の貫通孔210Aが、中心312Aを有し得て、第2の行404における第2の貫通孔210Bが、中心312Bを有し得る。筋交線412が、中心312Aと中心312Bとを結び得る。筋交線412は、第1の方位線304と角度414を形成し得る。角度414は、第1の層202の筋交角度(SA)であり得る。いくつかの実施形態では、筋交角度(SA)は約90°未満であり得る。他の実施形態では、筋交角度(SA)は、第1の方位線304に対して約30°~約70°であり得る。他の実施形態では、筋交角度(SA)は、第1の方位線304から約66°であり得る。一般に、筋交角度(SA)が減少するにつれて、第1の方位線304と平行な方向での第1の層202の剛性が高まり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、互い違いの行における貫通孔210の中心312、例えば、第1の行402における第1の貫通孔210Aの中心312A、及び第3の行406における貫通孔210Cの中心312Cは、互いに第2の方位線306と平行に長さ416だけ離間され得る。いくつかの実施形態では、長さ416は、貫通孔210の有効直径よりも大きくなり得る。いくつかの実施形態では、長さ416は、約2mm~約10mmであり得る。互い違いの行における貫通孔210の中心312が長さ416でだけ隔てられる場合、第1の方位線304と平行な壁212の外面は連続していると考えられ得る。一般に、壁212の外面が貫通孔210の間に不連続部又は破断部を有していない場合、壁212の外面は連続し得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、貫通孔210は、第1の層202の成形中に形成されてもよい。他の実施形態では、貫通孔210は、第1の層202が形成された後に、第1の層202を切除、溶融、孔あけ、又は蒸発させることによって形成されてもよい。例えば、貫通孔210は、第1の層202の圧縮発泡体をレーザ切除することにより、第1の層202内に形成され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、貫通孔210の有効直径は、貫通孔210を通る粒状物の流れを可能にするように選択され得る。いくつかの実施形態では、貫通孔210は、約5ミリメートル~約20ミリメートルの平均有効直径を有することができる。いくつかの実施形態では、約10ミリメートルの直径が好ましい。
【0079】
いくつかの実施形態では、貫通孔210の直径は、組織部位から持ち上げられる可溶化デブリのサイズに基づいて選択され得る。貫通孔210が大きいほど、より大きなデブリが第1の層202を通過することが可能となり、貫通孔210が小さいほど、貫通孔210よりも大きなデブリをブロックしながら、より小さなデブリが第1の層202を通過することが可能となり得る。いくつかの実施形態では、ドレッシング104の連続した適用には、組織部位の可溶化デブリのサイズが減少するにつれて、貫通孔210の連続的により小さな直径を有する第1の層202を使用することができる。貫通孔210の直径を連続的に小さくすることは、組織部位の処置中に、デブリに対する組織破壊のレベルを微調整することにも役立ち得る。貫通孔210の直径は、第1の層202内及びドレッシング104内の流体の移動に影響を与えることもできる。例えば、第1の層202は、ドレッシング104内の流体を貫通孔210に向かって流して、組織部位上のデブリの破壊を補助することができる。貫通孔210の直径を変動させることにより、流体の除去と陰圧の印加の両方に関して、ドレッシング104を通る流体の移動の仕方を変動させることができる。
【0080】
他の実施形態では、複数の貫通孔210の壁212の内面は、組織肉芽及び組織内部成長を阻止又は低減するように製造されてもよい。例えば、複数の貫通孔210は、第1の層202を熱成形することによって形成され、壁212の内面が滑らかになり得る。本明細書で使用される場合、平滑性は、第1の側206と第2の側208との間に延びる壁212の内面を生じさせる貫通孔210の形成を指し得る。例えば、第1の層202の中に貫通孔210をレーザ切除することにより、第1の層202の材料を塑性変形し、第1の側206と第2の側208との間に延びる壁212の内面にある孔を閉鎖し得る。いくつかの実施形態では、壁212の平滑な内面により、貫通孔210を通した第1の層202の中への組織の内部成長を、制限、又は阻害し得る。他の実施形態では、壁212の平滑な内面は、壁212の内面に適用される平滑な材料又は平滑なコーティングによって形成され得る。このような実施形態では、第2の層204の複数の穿孔216は、複数の貫通孔210の直径と実質的に等しい直径を有して、スラフ及び他の流体が穿孔216及び貫通孔210を通して組織部位から除去されることを可能にし得る。
【0081】
図5は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図2の第2の層204の平面図である。複数の流体制限部214が、第2の層204のスリット又はスロットとして形成されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の流体制限部214は、第2の層204に均一に分布されてもよい。例えば、流体制限部214は、第2の層204と実質的に同一の広がりを有し、平行な行及び列からなる格子で第2の層204にわたって分布し、スロットも互いに平行である。流体制限部214の隣接する列は、距離D
1だけ離間されてもよく、列の各々内の流体制限部214は、距離D
2だけ離間されてもよい。例えば、芯々約3ミリメートルの距離D
1及び芯々約3ミリメートルの距離D
2が、いくつかの実施形態に好適であり得る。隣接する列の流体制限部214は、整列されてもオフセットされてもよい。例えば、流体制限部214の隣接する列は、
図5に示すようにオフセットされてもよく、その結果、流体制限部214は、距離D
3だけ分離されて交互の列に整列される。いくつかの例については、約6ミリメートルの距離D
3が好適であり得る。いくつかの実施形態では、流体制限部214の間隔は、治療要件に従って流体制限部214の密度を増加させるように変化してもよい。
【0082】
第2の層204に配置された複数の穿孔216の各々は、均一又は同様の幾何学的特性を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、複数の穿孔216の各々は、円形であって実質的に同じ直径を有し得る。いくつかの実施形態では、複数の穿孔216の各々は、複数の貫通孔210の各々の有効直径よりも小さい有効直径を有し得る。
【0083】
第2の層204は略卵形の形状を有するものとして示されているが、第2の層204は他の形状を有してもよい。例えば、第2の層204は、矩形、ひし形、正方形、円形、三角形、又は不定形の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、第2の層204の形状は、処置されている組織部位のタイプに適応するように選択され得る。例えば、第2の層204は、円形の組織部位に適応するように円形の形状を有し得る。第2の層204はかなりの大きさであり得る。例えば、第2の層204は、第2の層204がより小さい組織部位用にサイズを縮小されることを可能にするように、切断され、引き裂かれ、又は別様に部分に分離されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の層204は、第1の層202のサイズ及び形状に実質的に対応するようにサイズ決めし、かつ形作ってもよい。
【0084】
図6は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図5の第2の層204の一部分の詳細図である。複数の流体制限部214は、第2の層204内のスリット又はスロットとして形成されてもよい。複数の流体制限部214はそれぞれ、長さL
P及び幅W
Pを有する1つ以上の線状のスロットから本質的になってもよく、長さL
Pは第2の方位線306に平行に延び、かつ幅W
Pは第1の方位線304に平行に延びる。いくつかの実施形態では、複数の流体制限部214は、6ミリメートル未満の長さL
P及び2ミリメートル未満の幅W
Pを有する線状のスロットであってもよい。いくつかの実施形態では、長さL
Pは少なくとも3ミリメートルであってもよく、幅W
Pは少なくとも0.5ミリメートルであってもよい。約3ミリメートルの長さL
P及び約1ミリメートルの幅W
Pが、多くの用途に特に好適であり得、約0.1ミリメートルの公差が許容可能であり得る。長さL
Pは特定の用途のために選択されてもよく、約0.1ミリメートルの公差もまた許容可能であり得る。このような寸法及び公差は、例えば、レーザーカッターで達成され得る。このような構成のスロットは、正常に閉じた状態又は静止した状態で液体の流れを実質的に低減することができる不完全なエラストマー弁として機能し得る。例えば、このようなスロットは、完全に閉じられることなく又は完全に封止されることなく流れ制限部を形成してもよい。圧力勾配に応答して、及び/又は第1の層202の収縮に応答して、スロットをより広く拡張又は開くことができ、液体の流れを増加させることができる。
【0085】
図7は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図5の第2の層204の一部分の詳細図である。第2の層204は、平行な行に位置合わせされて配列を形成する、複数の穿孔216を含み得る。穿孔216の配列は、穿孔216の第1の行702と、穿孔216の第2の行704と、穿孔216の第3の行706と、を含み得る。複数の穿孔216の各々は、中心708を有し得る。隣接する行、例えば、第1の行702及び第2の行704における穿孔216の中心708は、第1の方位線304に沿って、第2の方位線306からオフセットされていることによって特徴付けられてもよい。いくつかの実施形態では、隣接する行における穿孔216の中心708は、約2ミリメートル~約6ミリメートルだけ離間されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の層204内の穿孔216の中心708は、第1の層202内の複数の貫通孔210の中心312と整列するように構成されてもよい。例えば、穿孔216の中心708は、複数の貫通孔210の各々の中心312と一致してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、穿孔216の隣接する行の中心708同士を結ぶ線が、第1の方位線304との筋交角度(SA;strut angle)を形成し得る。例えば、第1の行702における第1の穿孔216Aが中心708Aを有し得て、第2の行704における第2の穿孔216Bが中心708Bを有し得る。筋交線710が、中心708Aと中心708Bとを結び得る。筋交線710は、第1の方位線304と角度712を形成し得る。角度712は、第2の層204の筋交角度(SA)であり得る。いくつかの実施形態では、筋交角度(SA)は約90°未満であり得る。他の実施形態では、筋交角度(SA)は、第1の方位線304に対して約30°~約70°であり得る。他の実施形態では、筋交角度(SA)は、第1の方位線304から約66°であり得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、互い違いの行における穿孔216の中心708、例えば、第1の行702における第1の穿孔216Aの中心708A、及び第3の行706における第3の穿孔216Cの中心708Cは、互いに第2の方位線306と平行に長さ714だけ離間され得る。いくつかの実施形態では、長さ714は約4mm~約6mmであってもよい。いくつかの実施形態では、長さ714は、穿孔216の有効直径より大きくてもよい。
【0088】
図8は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、線8-8に沿ってとられた
図2の組み立てられた組織インタフェース108の断面図である。組織インタフェース108は、第1の層202及び第2の層204を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の層204は、第1の層202の第2の側208に結合されるように構成された第1の側802を有してもよい。例えば、第2の層204の第1の側802は、第1の層202の第2の側208に接合、接着、溶着、又は他の方法で固定されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の層204は、第1の側802の反対側に、組織部位806と直接接触して配置されるように構成された第2の側804を有してもよい。
【0089】
複数の貫通孔210は、第1の側206から第2の側208まで第1の層202の厚さ220を通って延びていてもよい。いくつかの実施形態では、壁212は、第1の層202の厚さ220に平行であってもよい。複数の穿孔216は、第1の側802から第2の側804まで第2の層204を通って延びていてもよく、周縁部808を有してもよい。いくつかの実施形態では、複数の穿孔216の各々の中心は、複数の貫通孔210の各々の中心と位置合わせされ得る。加えて、複数の穿孔216の各々の直径は、貫通孔210の各々の直径よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、複数の穿孔216の各々の周縁部808は、以下でより詳細に説明するように、陰圧の印加下で貫通孔210の各々の中に延び、壁212の少なくとも一部分を覆うように構成され得る。
【0090】
図9は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、陰圧療法中の、線8-8に沿った
図2の組み立てられた組織インタフェースの断面図である。カバー110が、封止環境を作り出すために、第1の層202及び第2の層204の上に配置され得る。
図9は、封止環境内の圧力が約-125mmHgの陰圧となり得る時点を示し得る。陰圧は、第1の層202の貫通孔210に隣接する組織部位806に応力を集中させる圧力勾配を第2の層204にわたって生成することができる。この集中した応力は、第2の層204の複数の穿孔216の各々の少なくとも周縁部808が、第1の層202の複数の貫通孔210の各々の中に延びることを引き起こし得る。いくつかの実施形態では、複数の穿孔216の各々の周縁部は、壁212を完全に覆ってポートを形成するように構成されてもよい。他の実施形態では、複数の穿孔216の各々の周縁部は、壁212の少なくとも一部分を覆うように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、集中した応力は、組織部位806における皮下組織902の一部分を貫通孔210の中に引き込むことができる。
【0091】
図10は、陰圧療法の動作中の組織インタフェース108の追加的詳細を示す、
図9の組織インタフェース108の一部分の詳細図である。概して、封止環境内の圧力は、圧力が印加される面積に比例する力を及ぼすことができる。いくつかの実施形態では、力は、第1の層202の貫通孔210及び第2の層204の複数の穿孔216に集中してもよい。なぜなら、貫通孔210及び複数の穿孔216における陰圧の印加に対する抵抗は、壁212における抵抗よりも小さいからである。貫通孔210及び複数の穿孔216における圧力によって生成された力に応答して、複数の穿孔216の各々の周縁部808は、貫通孔210の各々の中に引き込まれ、貫通孔210の各々を通過し得る。複数の穿孔216の各々の周縁部808は、貫通孔210の壁212の内面の少なくとも一部分を覆って、ポートを作り出すことができる。いくつかの実施形態では、複数の穿孔216の各々の周縁部808は、貫通孔210の壁212の内面を完全に覆って、ポートを作り出すことができる。ポートは、厚いスラフ及び創傷滲出液が第1の層202の中へ、及び/又は第1の層202を通過することを可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、皮下組織902の少なくとも一部分が、貫通孔210の中に引き込まれてもよい。加えて、第2の層204内の複数の流体制限部214は、陰圧の印加下で、創傷滲出液などの流体が、組織部位806から複数の流体制限部214を通って、第1の層202の中に除去されることを可能にし得る。
【0092】
壁212の高さ、貫通孔210の直径、及び穿孔216の直径は、第2の層204内の複数の穿孔216の周縁部808が貫通孔210の壁212を完全に覆って、組織肉芽形成及び組織内部成長を阻止し得ることを確実にするように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の層204は伸長するように構成されてもよく、複数の穿孔216の直径は、複数の穿孔216の各々の周縁部808が貫通孔210の中に伸長して壁212を覆う可能性があることを確実にするように選択されてもよい。
【0093】
図11は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図2の第2の層204の別の実施例の斜視図である。いくつかの実施形態では、第2の層204は、複数の流体制限部214及び複数の突起部1102を備えてもよい。複数の突起部1102は、第2の層205の第1の側802から延びてもよい。いくつかの実施形態では、複数の突起部1102は、円筒状の形状を作り出すように熱成形されてもよい。他の実施形態では、複数の突起部1102は、他の形状及び向き、例えば、楕円形、六角形、正方形、三角形、多角形、又は不定形若しくは不規則形を有してもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、複数の突起部1102の各々は、複数の貫通孔210のうちの1つに対応し得る。例えば、第2の層204の複数の突起部1102の各々は、第1の層202の複数の貫通孔210のうちの1つの少なくとも一部分の中に延びるように構成され得る。他の実施形態では、第2の層204内の突起部1102よりも、第1の層202内の貫通孔210が多くあり得る。例えば、複数の突起部1102は、あるセットの貫通孔210の中に延びてもよく、かつ別のセットの貫通孔210は、突起部1102のいずれも含まなくてもよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、複数の突起部1102は、貫通孔210の直径と実質的に等しい直径を有することができる。他の実施形態では、複数の突起部1102の直径は、貫通孔210の直径より小さくてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、第2の層204の複数の突起部1102は、組織肉芽形成及び組織内部成長を依然と阻止しながら、突起部1102内の組織部位から除去されたスラフ及び他の流体を保持するように構成されてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、第2の層204内の複数の流体制限部214は、スラフ及び他の流体を第1の層202中に放出するように構成されてもよい。
【0097】
図12は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、線12-12に沿った
図11の第2の層204の断面図である。いくつかの実施形態では、複数の突起部1102は、実質的に一様の高さを有し得る。いくつかの実施形態では、複数の突起部1102は、第1の層202の厚さ220に等しい高さを有し得る。他の実施形態では、複数の突起部1102の高さは、第1の層202の厚さ220よりも大きくてもよい。更に他の実施形態では、複数の突起部1102の高さは、第1の層202の厚さ220未満であってもよい。例えば、複数の突起部1102は、第1の層202の複数の貫通孔210の一部分の中に延びるように構成されてもよい。追加的又は代替的に、複数の突起部1102は、様々な高さを有してもよい。
【0098】
図13は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、
図1のドレッシング104の別の実施例の組立図である。ドレッシング104は、組織インタフェース1308及びカバー104を含み得る。組織インタフェース1308は組織インタフェース108と同様であり得て、
図2~
図8に関して上述したように動作する。例えば、組織インタフェース1308は、第1の層202及び第2の層204含んでもよい。いくつかの実施形態では、組織インタフェース1308は、第3の層1302をも含んでもよい。第3の層1302は、第1の層202の第1の側206に結合されるように構成されてもよい。カバー110は、第3の層1302を覆うように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第3の層1302は、第1の層202の厚さ220以下の厚さ、又は厚さ220と同等の厚さを有するフェルト発泡体であってもよい。
【0099】
図14は、いくつかの実施形態に関連し得る追加的詳細を示す、線14-14に沿った
図13の組み立てられた組織インタフェース1308の断面図である。組織インタフェース108は、第1の層202、第2の層204、及び第3の層1302を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の層204は、第1の層202の第2の側208に結合されるように構成された第1の側802を有してもよい。例えば、第2の層204の第1の側802は、第1の層202の第2の側208に接合、接着、溶着、又は他の方法で固定されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の層204は、第1の側802の反対側に、組織部位806と直接接触して配置されるように構成された第2の側804を有してもよい。いくつかの実施形態では、第3の層1302は、第1の層202の第1の側206に結合されるように構成されてもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、複数の貫通孔210は、第1の側206から第2の側208まで第1の層202の厚さ220を通って延び、
図2~
図10に関して上述したのと同じように動作し得る。他の実施形態では、第1の層202及び第3の層1302は、発泡体の単一層から形成されてもよい。このような実施形態では、貫通孔210は第3の層1302に向かって、第2の層202の第2の側208から延びる止まり穴を含んでもよい。
【0101】
組織部位用のドレッシングを製造する方法も本明細書に記載されている。第1の層が設けられ得て、複数の貫通孔が第1の層に形成され得る。いくつかの実施形態では、第1の層は発泡体を備え得る。いくつかの実施形態では、第1の層に複数の貫通孔を形成する方法は、発泡体をダイカットして複数のスラグを形成することと、複数のスラグを除去することと、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本方法は、発泡体をフェルト化することを更に含んでもよい。
【0102】
本方法は、第2の層を設けることを更に含んでもよい。第2の層は、第1の層に隣接して配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の層は第1の層に結合され得る。例えば、第2の層は、第1の層に接着剤を用いて結合されてもよい。複数の流体制限部及び複数の穿孔が、第2の層に形成されてもよい。第2の層に複数の穿孔を形成することは、複数の穿孔を第1の層の複数の貫通孔と位置合わせすることを含んでもよい。追加的に又は代替的に、第2の層に複数の穿孔を形成することは、第1の層の複数の貫通孔の中に延びるように構成された第2の層の複数の突起部を熱成形することを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の層の複数の貫通孔及び第2の層の複数の突起部は、円形、楕円形、多角形、及び/又は不定形である形状を含み得る。
【0103】
代替的に、他の例示的実施形態は、組織部位を処置するためのシステムを記載し得る。本システムは、ドレッシングと、ドレッシングの上に配置され、組織部位を取り囲む組織に封止されるように構成された封止部材と、封止部材を通ってドレッシングに流体的に結合されるように構成された減圧源と、を備えてもよい。ドレッシングは、第1の側及び第2の側を有するデブリドマンツールを備えてもよい。いくつかの実施形態では、デブリドマンツールは、第1の側から第2の側までデブリドマンツールを通って延びる複数の開口部を有し得る。いくつかの実施形態では、デブリドマンツールは発泡体を含み得る。ドレッシングはまた、デブリドマンツールの第2の側に隣接して配置されるように構成された接触層を備えてもよい。いくつかの実施形態では、接触層は、接触層に配置された複数の開窓及び複数の開口を有してもよい。複数の開口は、デブリドマンツールの複数の開口部と位置合わせされるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の開口は、デブリドマンツールの複数の開口部の中に延びるように構成された、複数の円筒状の突起部を備えてもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、接触層は、デブリドマンツールの第1の側に結合され得る。接触層は、接着剤を用いてデブリドマンツールの第1の側に結合され得る。接着剤は、ホットメルト接着剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、接触層はポリマーフィルムを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーフィルムは親水性であってもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーフィルムは、疎水性であってもよい。
【0105】
組織部位を処置する方法もまた、本明細書に記載されている。ドレッシングを組織部位に配置することができる。ドレッシングは、第1の側及び第2の側を有する第1の層と、第1の層の第2の側に隣接して配置されるように構成された第2の層と、を含むことができる。第1の層は、第1の側から第2の側まで第1の層を通って延びる複数の貫通孔を含むことができる。第2の層は、複数の流体制限部及び複数の穿孔を含むことができる。複数の穿孔は、第1の層の複数の貫通孔と位置合わせされるように構成され得る。この方法はまた、ドレッシングに陰圧源を流体的に結合させることと、陰圧源からの陰圧をドレッシングに適用することと、複数の穿孔の各々の周縁部を複数の貫通孔の中に引き延ばすことと、第1の層にポートを作り出すことと、ポートを通して流体を引き込むことと、を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、ポートを通して流体を引き込むことは、第2の層を通して第1の層の中へ流体を引き込むことを含んでもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、第1の層は、第1の側から第2の側まで延びる厚さを有してもよい。第1の層の複数の貫通孔の各々は、この厚さに平行な側壁を有してもよい。複数の穿孔の各々の周縁部を複数の貫通孔内に引き伸ばすことは、複数の穿孔の各々の周縁部で側壁を完全に覆うことを含んでもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、第2の層の複数の穿孔は、複数の円筒状の突起部を備えてもよい。このような実施形態では、複数の穿孔の各々の周縁部を複数の貫通孔の中に引き伸ばすことは、複数の円筒状の突起部の各々を複数の貫通孔の中に配置することを含んでもよい。追加的、又は代替的に、ポートを通して流体を引き込むことは、複数の円筒状の突起部内に流体を収集することを含んでもよい。
【0108】
本明細書に記載されているシステム、装置、及び方法は、著しい利点を提供することができる。例えば、第2の層204は、第1の層202への組織部位806の露出を低減又は阻止しながら、ドレッシング104が組織部位を創傷清拭することを可能にし得、これにより、第1の層202の中への組織の成長を抑制することができる。第2の層204の複数の穿孔216の各々の周縁部は、貫通孔210の中に引き伸ばされて第1の層202の壁212を完全に覆い、貫通孔210の各々を通してポートを作り出してもよい。濃いスラフ及び創傷滲出液は、各ポートを通して組織部位から除去され得る一方で、ドレッシング104が長期装用できるように第1の層202の中への組織の成長をも阻止し得る。
【0109】
いくつかの例示的な実施形態において示されているが、本明細書に記載されているシステム、装置、及び方法は、添付の特許請求の範囲内の様々な変更及び修正が可能であることが、当業者には理解されよう。また、「又は(or)」などの用語を使用する様々な代替形態の説明は、文脈によって明らかに必要とされない限り、相互排他性を必要とせず、不定冠詞「a」又は「an」は、文脈によって明らかに必要とされない限り、対象を単一の場合に限定しない。構成要素はまた、販売、製造、組み立て、又は使用の目的で、様々な構成で組み合わされてもよく、又は排除されてもよい。例えば、いくつかの構成において、ドレッシング104、容器106、又はその両方が、製造又は販売のために排除されてもよく、又は他の構成要素から分離されてもよい。他の例示的な構成において、コントローラ112はまた、他の構成要素とは独立して製造されてもよく、構成されてもよく、組み立てられてもよく、又は販売されてもよい。
【0110】
添付の特許請求の範囲は、上記の主題の新規性及び進歩性を記載するが、特許請求の範囲はまた、具体的には詳細に記載されていない追加の主題をも包含し得る。例えば、ある特徴、要素、又は態様は、新規性及び進歩性を有する特徴を当業者に既に知られているものから区別するのに必要でない場合、特許請求の範囲から省略され得る。いくつかの実施形態の文脈で記載されている特徴、要素、及び態様はまた、添付の特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、省略されてもよく、組み合わされてもよく、又は同じ目的、均等の目的、若しくは同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられてもよい。
【国際調査報告】