(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】抗トランスサイレチン抗体およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20231108BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231108BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231108BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20231108BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P25/28
A61P25/00
C07K16/18 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521103
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021057150
(87)【国際公開番号】W WO2022094152
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】キニー、ジーン
(72)【発明者】
【氏名】ザゴ、ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】トリプラネニ、ラディカ
(72)【発明者】
【氏名】バード、フレデリック
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
(57)【要約】
ミスフォールディングされたトランスサイレチンタンパク質を検出、低減、および阻害するための方法および組成物が本明細書に提供される。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象におけるミスフォールディングされたトランスサイレチン(misTTR)のレベルを低減する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、misTTRの前記レベルを低減する量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記ヒト対象におけるmisTTRの前記レベルが、前記ヒト対象におけるmisTTRの血漿レベルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記投与することが、前記ヒト対象におけるmisTTRの前記血漿レベルの約10%~約99%の低減をもたらす、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記投与することが、前記ヒト対象におけるmisTTRの前記血漿レベルの約20%~約90%の低減をもたらす、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記投与することが、前記ヒト対象におけるmisTTRの前記血漿レベルの約40%~約80%の低減をもたらす、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記投与することが、前記ヒト対象におけるmisTTRの前記血漿レベルの約50%~約75%の低減をもたらす、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
トランスサイレチンアミロイド沈着物をオプソニン化することを必要とするヒト対象においてトランスサイレチンアミロイド沈着物をオプソニン化する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、前記トランスサイレチンアミロイド沈着物をオプソニン化する量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、方法。
【請求項10】
前記投与することが、前記対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物の約50%~約99%のオプソニン化をもたらす、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記投与することが、前記対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物の約80%~約99%のオプソニン化をもたらす、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記投与することが、前記対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物の約90%~約99%のオプソニン化をもたらす、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
トランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてトランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを低減する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド沈着物の前記レベルを低減する量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、方法。
【請求項14】
前記投与することが、前記対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物の前記レベルの約50%~約99%の低減をもたらす、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記投与することが、前記対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物の前記レベルの約80%~約99%の低減をもたらす、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記投与することが、前記対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物の前記レベルの約90%~約99%の低減をもたらす、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項9~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む、請求項9~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
トランスサイレチンアミロイド線維形成を阻害することを必要とするヒト対象においてトランスサイレチンアミロイド線維形成を阻害する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド線維形成を阻害する量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、方法。
【請求項20】
前記投与することが、前記ヒト対象の血漿におけるトランスサイレチンアミロイド線維形成の約50%~約99%の阻害をもたらす、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記投与することが、前記ヒト対象の血漿におけるトランスサイレチンアミロイド線維形成の約80%~約99%の阻害をもたらす、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記投与することが、前記ヒト対象の血漿におけるトランスサイレチンアミロイド線維形成の約90%~約99%の阻害をもたらす、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてトランスサイレチンアミロイド線維のレベルを低減する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド線維の前記レベルを低減する量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、方法。
【請求項24】
トランスサイレチンアミロイド線維の前記レベルが、トランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記投与することが、前記ヒト対象におけるトランスサイレチンアミロイド線維の前記血漿レベルの約50%~約99%の低減をもたらす、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記投与することが、前記ヒト対象におけるトランスサイレチンアミロイド線維の前記血漿レベルの約60%~約99%の低減をもたらす、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む、請求項19~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
misTTRの可溶性凝集体形態を中和することを必要とするヒト対象においてmisTTRの可溶性凝集体形態を中和する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、misTTRの可溶性凝集体形態を中和する量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、方法。
【請求項30】
前記投与することが、前記ヒト対象の血漿におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の約50%~約99%の中和をもたらす、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記投与することが、前記ヒト対象の血漿におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の約80%~約99%の中和をもたらす、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記投与することが、前記ヒト対象の血漿におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の約90%~約99%の中和をもたらす、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
misTTRの可溶性凝集体形態のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてmisTTRの可溶性凝集体形態のレベルを低減する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、misTTRの可溶性凝集体形態の前記レベルを低減する量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、方法。
【請求項34】
前記ヒト対象におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の前記レベルが、前記ヒト対象におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の血漿レベルである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記投与することが、前記ヒト対象におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の前記血漿レベルの約50%~約99%の低減をもたらす、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記投与することが、前記ヒト対象におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の前記血漿レベルの約80%~約99%の低減をもたらす、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記投与することが、前記ヒト対象におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の前記血漿レベルの約90%~約99%の低減をもたらす、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項29~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む、請求項29~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を増加させることを必要とするヒト対象において不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を増加させる方法であって、
それを必要とするヒト対象に、不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を増加させる量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、方法。
【請求項41】
前記投与することが、前記ヒト対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルの低減をもたらす、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の前記レベルが、前記ヒト対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記投与することが、前記対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の前記血漿レベルの約50%~約99%の低減をもたらす、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記投与することが、前記対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の前記血漿レベルの約80%~約99%の低減をもたらす、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記投与することが、前記対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の前記血漿レベルの約90%~約99%の低減をもたらす、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを減少させることを必要とするヒト対象において不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを減少させる方法であって、
それを必要とするヒト対象に、不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の前記レベルを減少させる量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、方法。
【請求項47】
前記対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の前記レベルが、前記ヒト対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記投与することが、前記対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の前記血漿レベルの約50%~約99%の低減をもたらす、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記投与することが、前記対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の前記血漿レベルの約80%~約99%の低減をもたらす、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記投与することが、前記対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の前記血漿レベルの約90%~約99%の低減をもたらす、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項40~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む、請求項40~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
トランスサイレチンアミロイド沈着物の形成を阻害することを必要とするヒト対象においてトランスサイレチンアミロイド沈着物の形成を阻害する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド沈着物の形成を阻害する量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、方法。
【請求項54】
前記投与することが、前記ヒト対象の血漿におけるトランスサイレチンアミロイド線維形成の約50%~約99%の阻害をもたらす、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記投与することが、前記ヒト対象の血漿におけるトランスサイレチンアミロイド線維形成の約80%~約99%の阻害をもたらす、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記投与することが、前記ヒト対象の血漿におけるトランスサイレチンアミロイド線維形成の約90%~約99%の阻害をもたらす、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
ことを必要とするヒト対象においてアミロイドトランスサイレチンアミロイドーシスを治療する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、方法。
【請求項58】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
ニューロパチーを改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象においてニューロパチーを改善する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、方法。
【請求項61】
前記投与することが、ニューロパチー障害スコア(NIS)の低減をもたらす、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記投与することが、前記ヒト対象における約1~約15の低減されたNISをもたらす、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記投与することが、前記ヒト対象における約5~約15の低減されたNISをもたらす、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記投与することが、前記ヒト対象における約10~約15の低減されたNISをもたらす、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約1のNISの低減をもたらす、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約5のNISの低減をもたらす、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約10のNISの低減をもたらす、請求項61に記載の方法。
【請求項68】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約20のNISの低減をもたらす、請求項61に記載の方法。
【請求項69】
ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてATTRアミロイドーシスを治療する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、
前記投与することが、前記それを必要とするヒト対象においてNISを低減する、方法。
【請求項70】
前記投与することが、前記ヒト対象における約1~約15の低減されたNISをもたらす、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記投与することが、前記ヒト対象における約5~約15の低減されたNISをもたらす、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記投与することが、前記ヒト対象における約10~約15の低減されたNISをもたらす、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約1のNISの低減をもたらす、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約5のNISの低減をもたらす、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約10のNISの低減をもたらす、請求項69に記載の方法。
【請求項76】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約20のNISの低減をもたらす、請求項69に記載の方法。
【請求項77】
心臓収縮機能を改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心臓収縮機能を改善する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含む、方法。
【請求項78】
前記投与することが、グローバル長軸方向ストレイン(GLS)の低減をもたらす、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記投与することが、前記ヒト対象における約0.1%~約10%のGLSの低減をもたらす、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記投与することが、前記ヒト対象における約0.5%~約10%のGLSの低減をもたらす、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記投与することが、前記ヒト対象における約1%~約10%のGLSの低減をもたらす、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約0.5%のGLSの低減をもたらす、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約1.0%のGLSの低減をもたらす、請求項78に記載の方法。
【請求項84】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約2.0%のGLSの低減をもたらす、請求項78に記載の方法。
【請求項85】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約10%のGLSの低減をもたらす、請求項78に記載の方法。
【請求項86】
ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてATTRアミロイドーシスを治療する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、
前記投与することが、前記それを必要するヒト対象において前記グローバル長軸方向ストレイン(GLS)を低減する、方法。
【請求項87】
前記投与することが、前記ヒト対象における約0.1%~約10%のGLSの低減をもたらす、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記投与することが、前記ヒト対象における約0.5%~約10%のGLSの低減をもたらす、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記投与することが、前記ヒト対象における約1%~約10%のGLSの低減をもたらす、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約0.5%のGLSの低減をもたらす、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約1.0%のGLSの低減をもたらす、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約2.0%のGLSの低減をもたらす、請求項86に記載の方法。
【請求項93】
前記投与することが、前記ヒト対象における少なくとも約10%のGLSの低減をもたらす、請求項86に記載の方法。
【請求項94】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項60~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む、請求項60~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
心不全を治療することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心不全を治療する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、
前記それを必要とするヒト対象のニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスが増加しない、方法。
【請求項97】
前記投与することが、前記ヒト対象においてNYHAクラスI、II、またはIIIを治療するのに十分な期間後に前記NYHAクラスの増加をもたらさない、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
心不全を治療することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心不全を治療する方法であって、
それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、
前記投与することが、前記ヒト対象においてNYHAクラスI、II、III、またはIVを治療するのに十分な期間後に、改善されたNYHAクラスをもたらす、方法。
【請求項99】
前記ヒト対象が、ATTRアミロイドーシスを有すると以前に診断されているか、または特定されている、請求項1~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記ATTRアミロイドーシスが、遺伝性ATTRアミロイドーシス(hATTR)である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記hATTRが、心筋症を伴うhATTR(hATTR-CM)または多発ニューロパチーを伴うhATTR(hATTR-PN)である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記ATTRアミロイドーシスが、野生型アミロイドーシス(wtATTR)である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
投与することが、約0.1mg/kg~約40mg/kgの前記抗体または前記その抗原結合性抗体断片を投与することを含む、請求項1~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
投与することが、約1mg/kg~約30mg/kgの前記抗体または前記その抗原結合性抗体断片を投与することを含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
投与することが、約3mg/kg~約10mg/kgまたは約10mg/kg~約30mg/kgの前記抗体または前記その抗原結合性抗体断片を投与することを含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
投与することが、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、約3mg/kg、約10mg/kg、または約30mg/kgの前記抗体または前記その抗原結合性抗体断片を投与することを含む、請求項103に記載の方法。
【請求項107】
投与することが、静脈内投与を含む、請求項103に記載の方法。
【請求項108】
前記投与することが、約14日毎、約2週間毎、約3週間毎、約28日毎、約4週間毎、約毎月、約5週間毎、約6週間毎、約7週間毎、約8週間毎、または約2ヶ月毎の間隔で実施される、請求項1~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
投与することが、約1ヶ月~約1年の期間にわたって実施される、請求項1~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
キットであって、
抗体またはその抗原結合性断片であって、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む、抗体またはその抗原結合性断片と、
請求項1~109のいずれか一項を実施するための説明書と、を含む、キット。
【請求項111】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項110に記載のキット。
【請求項112】
前記抗体または前記その抗原結合性断片が、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む、請求項111に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月28日に出願された米国仮特許出願第63/106,853号、2020年10月28日に出願された米国仮特許出願第63/106,855号、および2020年12月8日に出願された米国仮特許出願第63/122,720号に対する優先権を主張するものである。各出願の内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
本文書は、抗トランスサイレチン抗体およびその使用方法を記載する。
【背景技術】
【0003】
トランスサイレチン(TTR)は、主に肝臓によって合成される127-アミノ酸、55kDaの血清および脳脊髄液輸送タンパク質である。その天然状態では、TTRは四量体として存在し、ホロ-レチノール結合タンパク質を輸送する。ホモ接合体では、四量体は、同一の127-アミノ酸ベータ-シート-リッチサブユニットを含む。ヘテロ接合体では、TTR四量体は、バリアントおよび/または野生型サブユニットから構成され、典型的には統計的方法で組み合わされる。
【0004】
TTRは、細胞外ミスフォールディングおよび/または凝集体構造のスペクトル内へのミスアセンブリ(アミロイド形成)を経ることができ、アミロイド疾患と称される変性疾患を引き起こすと考えられている。TTRは、アミロイド形成性となるために立体配座変化を経る。TTR四量体の解離と部分的なアンフォールディングは、主に非構造化の球状凝集体へと効率的にミスアセンブリされる伸長した立体配座において、主に荷電されていない疎水性残基の広がりを曝露する。
【0005】
トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)は、病原性でミスフォールディングされたTTRと、TTRから構成されるアミロイド線維の細胞外沈着によって特徴付けられる全身性障害である。ATTRは、一般的に、天然のTTR四量体形態の不安定化(環境または遺伝的状態による)によって引き起こされ、解離、ミスフォールディング、ならびに様々な器官および組織に蓄積するアミロイド線維へのTTRの凝集がもたらされ、進行性の機能障害を引き起こす。例えば、非特許文献1、非特許文献2を参照されたい。アミロイド沈着は、遺伝性および野生型ATTRの両方の器官機能障害および不全の原因である。
【0006】
TTRの非天然(例えば、ミスフォールディングされた)の立体配座を結合するが、天然のTTRは結合しない、ミスフォールディングされたTTRタンパク質を検出する、立体配座特異的モノクローナル抗体は、以前に記載されている。そのような立体配座特異的モノクローナル抗体は、ATTRを有する対象に対する治療価値を有し得る。例えば、ミスフォールディングされたTTRに対する抗体は、ミスフォールディングされたTTRを除去し、対象におけるTTRアミロイドの沈着を防止し、そのクリアランスを強化する可能性を有し、インビトロで、TTR線維形成を阻害すること、および凝集TTRタンパク質の食細胞取込みを刺激することが示されている(非特許文献3、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、ミスフォールディングされたTTRを検出する抗体を使用して、対象に存在するミスフォールディングされたTTRタンパク質を検出し、定量化することができる。
【0007】
現在、共通する原理を共有する、TTRの病原性経路への侵入を遅らせる2つの治療アプローチがある。これは、少なくとも理論上、新しいアミロイドの形成を遅らせる。これは、正常なTTR四量体を安定化するか、またはタンパク質合成の産生を抑制することによって、安定剤またはサイレンサーとして分類される療法が意図することである。しかしながら、タンパク質が病原性経路に入るのを単に防止することは、重要な器官に実質的に既存のアミロイド沈着があるために早期死亡のリスクが高い患者には適切ではない。代わりに、必要なのは、組織からアミロイドを除去することによって、アミロイドが害を引き起こすのを止める機構である。
【0008】
現在、アミロイド(ミスフォールディングされたTTRタンパク質沈着物を含む)を器官および組織から除去する治療法は承認されていない。したがって、ヒト対象への投与に好適なミスフォールディングされたTTR種に特異的な抗体に対する必要性が残っている。したがって、本明細書では、ミスフォールディングされたTTRタンパク質沈着物-アミロイド-を器官および組織から除去し得るミスフォールディングされたTTRの量を減少させる、対象への投与に好適な方法および組成物が本明細書に開示される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Almeida and Saraiva,FEBS Letters 586:2891-2896(2012)
【非特許文献2】Ando et al.,Orphanet Journal of Rare Diseases 8:31(2013)
【非特許文献3】Higaki,J.,et al.,Novel conformation-specific monoclonal antibodies against amyloidogenic forms of transthyretin,Amyloid,23,86-97(2016)
【発明の概要】
【0010】
本開示は概して、アミロイド線維形成を阻害し、ミスフォールディングされたTTRの可溶性凝集体形態を中和し、不溶性アミロイド線維を食作用を介して除去するための組成物および方法を記載する。
【0011】
ヒト対象におけるミスフォールディングされたトランスサイレチン(misTTR)のレベルを低減する方法が本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、misTTRのレベルを低減する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0012】
ヒト対象におけるミスフォールディングされたトランスサイレチン(misTTR)のレベルを低減するいくつかの実施形態では、ヒト対象におけるmisTTRのレベルは、ヒト対象におけるmisTTRの血漿レベルである。
【0013】
ヒト対象におけるミスフォールディングされたトランスサイレチン(misTTR)のレベルを低減するいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象におけるmisTTRの血漿レベルの約10%~約99%の低減をもたらす。ヒト対象におけるミスフォールディングされたトランスサイレチン(misTTR)のレベルを低減するいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象におけるmisTTRの血漿レベルの約20%~約90%の低減をもたらす。ヒト対象におけるミスフォールディングされたトランスサイレチン(misTTR)のレベルを低減するいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象におけるmisTTRの血漿レベルの約40%~約80%の低減をもたらす。ヒト対象におけるミスフォールディングされたトランスサイレチン(misTTR)のレベルを低減するいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象におけるmisTTRの血漿レベルの約50%~約75%の低減をもたらす。
【0014】
ヒト対象におけるミスフォールディングされたトランスサイレチン(misTTR)のレベルを低減するいくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む。ヒト対象におけるミスフォールディングされたトランスサイレチン(misTTR)のレベルを低減するいくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む。
【0015】
トランスサイレチンアミロイド沈着物をオプソニン化することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド沈着物をオプソニン化する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0016】
トランスサイレチンアミロイド沈着物をオプソニン化することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、投与することは、対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物の約50%~約99%のオプソニン化をもたらす。トランスサイレチンアミロイド沈着物をオプソニン化することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法、投与することは、対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物の約80%~約99%のオプソニン化をもたらす。トランスサイレチンアミロイド沈着物をオプソニン化することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法、投与することは、対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物の約90%~約99%のオプソニン化をもたらす。
【0017】
トランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを低減する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0018】
トランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルの約50%~約99%の低減をもたらす。トランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルの約80%~約99%の低減をもたらす。トランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルの約90%~約99%の低減をもたらす。
【0019】
トランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む。トランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む。
【0020】
トランスサイレチンアミロイド線維形成を阻害することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド線維形成を阻害する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0021】
トランスサイレチンアミロイド線維形成を阻害することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象の血漿におけるトランスサイレチンアミロイド線維形成の約50%~約99%の阻害をもたらす。トランスサイレチンアミロイド線維形成を阻害することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象の血漿におけるトランスサイレチンアミロイド線維形成の約80%~約99%の阻害をもたらす。トランスサイレチンアミロイド線維形成を阻害することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象の血漿におけるトランスサイレチンアミロイド線維形成の約90%~約99%の阻害をもたらす。
【0022】
トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを低減する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0023】
トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、トランスサイレチンアミロイド線維のレベルは、トランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルである。
【0024】
トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象におけるトランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルの約50%~約99%の低減をもたらす。トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象におけるトランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルの約50%~約99%の低減をもたらす。トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象におけるトランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルの約50%~約99%の低減をもたらす。
【0025】
トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む。トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む。
【0026】
misTTRの可溶性凝集体形態を中和することを必要とするヒト対象においてそれを中和する方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、misTTRの可溶性凝集体形態を中和する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0027】
misTTRの可溶性凝集体形態を中和することを必要とするヒト対象においてそれを中和する方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象の血漿におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の約50%~約99%の中和をもたらす。misTTRの可溶性凝集体形態を中和することを必要とするヒト対象においてそれを中和する方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象の血漿におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の約80%~約99%の中和をもたらす。misTTRの可溶性凝集体形態を中和することを必要とするヒト対象においてそれを中和する方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象の血漿におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の約90%~約99%の中和をもたらす。
【0028】
misTTRの可溶性凝集体形態のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、misTTRの可溶性凝集体形態のレベルを低減する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0029】
misTTRの可溶性凝集体形態のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、ヒト対象におけるmisTTRの可溶性凝集体形態のレベルは、ヒト対象におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の血漿レベルである。
【0030】
misTTRの可溶性凝集体形態のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の約50%~約99%の低減をもたらす。
【0031】
misTTRの可溶性凝集体形態のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の約80%~約99%の低減をもたらす。misTTRの可溶性凝集体形態のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象におけるmisTTRの可溶性凝集体形態の約90%~約99%の低減をもたらす。
【0032】
misTTRの可溶性凝集体形態のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む。misTTRの可溶性凝集体形態のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む。
【0033】
不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を増加させることを必要とするヒト対象においてそれを増加させる方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を増加させる量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0034】
不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を増加させることを必要とするヒト対象においてそれを増加させるいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルの低減をもたらす。不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を増加させることを必要とするヒト対象においてそれを増加させるいくつかの実施形態では、対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルは、ヒト対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルである。
【0035】
不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を増加させることを必要とするヒト対象においてそれを増加させるいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルの約50%~約99%の低減をもたらす。不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を増加させることを必要とするヒト対象においてそれを増加させるいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルの約80%~約99%の低減をもたらす。不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を増加させることを必要とするヒト対象においてそれを増加させるいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルの約90%~約99%の低減をもたらす。
【0036】
不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを減少させることを必要とするヒト対象においてそれを減少させる方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを減少させる量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0037】
不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを減少させることを必要とするヒト対象においてそれを減少させるいくつかの実施形態では、対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルは、ヒト対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルである。
【0038】
不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを減少させることを必要とするヒト対象においてそれを減少させるいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルの約50%~約99%の低減をもたらす。不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを減少させることを必要とするヒト対象においてそれを減少させるいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルの約80%~約99%の低減をもたらす。不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを減少させることを必要とするヒト対象においてそれを減少させるいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の血漿レベルの約90%~約99%の低減をもたらす。
【0039】
不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを減少させることを必要とするヒト対象においてそれを減少させるいくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む。不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを減少させることを必要とするヒト対象においてそれを減少させるいくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む。
【0040】
トランスサイレチンアミロイド沈着物の形成を阻害することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド沈着物の形成を阻害する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0041】
トランスサイレチンアミロイド沈着物の形成を阻害することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象の血漿におけるトランスサイレチンアミロイド線維形成の約50%~約99%の阻害をもたらす。トランスサイレチンアミロイド沈着物の形成を阻害することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象の血漿におけるトランスサイレチンアミロイド線維形成の約80%~約99%の阻害をもたらす。トランスサイレチンアミロイド沈着物の形成を阻害することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象の血漿におけるトランスサイレチンアミロイド線維形成の約90%~約99%の阻害をもたらす。
【0042】
アミロイドトランスサイレチンアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0043】
アミロイドトランスサイレチンアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む。アミロイドトランスサイレチンアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行ういくつかの実施形態では、その抗原結合性断片は、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む。
【0044】
ニューロパチーを改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象においてニューロパチーを改善する方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0045】
ニューロパチーを改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象においてニューロパチーを改善するいくつかの実施形態では、投与することは、ニューロパチー障害スコア(NIS)の低減をもたらす。ニューロパチーを改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象においてニューロパチーを改善するいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における約1~約15の低減されたNISをもたらす。ニューロパチーを改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象においてニューロパチーを改善するいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における約5~約15の低減されたNISをもたらす。ニューロパチーを改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象においてニューロパチーを改善するいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における約10~約15の低減されたNISをもたらす。
【0046】
ニューロパチーを改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象においてニューロパチーを改善するいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における少なくとも約1のNISの低減をもたらす。ニューロパチーを改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象においてニューロパチーを改善するいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における少なくとも約5のNISの低減をもたらす。ニューロパチーを改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象においてニューロパチーを改善するいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における少なくとも約10のNISの低減をもたらす。ニューロパチーを改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象においてニューロパチーを改善するいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における少なくとも約20のNISの低減をもたらす。
【0047】
ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含み、投与することは、NISを低減することを必要とするヒト対象においてそれを低減する。
【0048】
ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における約1~約15の低減されたNISをもたらす。ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における約5~約15の低減されたNISをもたらす。ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における約10~約15の低減されたNISをもたらす。
【0049】
ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における少なくとも約1のNISの低減をもたらす。ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における少なくとも約5のNISの低減をもたらす。ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における少なくとも約10のNISの低減をもたらす。ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における少なくとも約20のNISの低減をもたらす。
【0050】
心臓収縮機能を改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心臓収縮機能を改善する方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0051】
心臓収縮機能を改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心臓収縮機能を改善する方法のいくつかの実施形態では、投与することは、グローバル長軸方向ストレイン(GLS)の低減をもたらす。心臓収縮機能を改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心臓収縮機能を改善する方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における約0.1%~約10%のGLSの低減をもたらす。心臓収縮機能を改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心臓収縮機能を改善する方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における約0.5%~約10%のGLSの低減をもたらす。心臓収縮機能を改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心臓収縮機能を改善する方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における約1%~約10%のGLSの低減をもたらす。
【0052】
心臓収縮機能を改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心臓収縮機能を改善する方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における少なくとも約0.5%のGLSの低減をもたらす。
【0053】
心臓収縮機能を改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心臓収縮機能を改善する方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における少なくとも約1.0%のGLSの低減をもたらす。心臓収縮機能を改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心臓収縮機能を改善する方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における少なくとも約2.0%のGLSの低減をもたらす。心臓収縮機能を改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心臓収縮機能を改善する方法のいくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象における少なくとも約10%のGLSの低減をもたらす。
【0054】
ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含み、投与することは、グローバル長軸方向ストレイン(GLS)を低減することを必要とするヒト対象においてそれを行う。
【0055】
ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、方法はそれを必要とする対象に投与することを含み、投与することは、ヒト対象における約0.1%~約10%のGLSの低減をもたらす。ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、方法はそれを必要とする対象に投与することを含み、投与することは、ヒト対象における約0.5%~約10%のGLSの低減をもたらす。ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、方法はそれを必要とする対象に投与することを含み、投与することは、ヒト対象における約1%~約10%のGLSの低減をもたらす。
【0056】
ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、方法はそれを必要とする対象に投与することを含み、投与することは、ヒト対象における少なくとも約0.5%のGLSの低減をもたらす。ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、方法はそれを必要とする対象に投与することを含み、投与することは、ヒト対象における少なくとも約1.0%のGLSの低減をもたらす。ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、方法はそれを必要とする対象に投与することを含み、投与することは、ヒト対象における少なくとも約2.0%のGLSの低減をもたらす。ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法のいくつかの実施形態では、方法はそれを必要とする対象に投与することを含み、投与することは、ヒト対象における少なくとも約10%のGLSの低減をもたらす。
【0057】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む。
【0058】
心不全を治療することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心不全を治療する方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含み、それを必要とするヒト対象のニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスは増加しない。
【0059】
いくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象においてNYHAクラスI、II、またはIIIを治療するのに十分な期間後にNYHAクラスの増加をもたらさない。
【0060】
心不全を治療することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心不全を治療する方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含み、投与することは、ヒト対象のNYHAクラスI、II、III、またはIVを治療するのに十分な期間後に改善されたNYHAクラスをもたらす。
【0061】
本明細書に記載される方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、ヒト対象は、アミロイドトランスサイレチンアミロイドーシスを有すると以前に診断されているか、または特定されている。本明細書に記載される方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、アミロイドトランスサイレチンアミロイドーシスは、遺伝性アミロイドトランスサイレチンアミロイドーシスである。本明細書に記載される方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、アミロイドトランスサイレチンアミロイドーシスは、野生型アミロイドーシスである。
【0062】
本明細書の方法のいくつかの実施形態では、投与することは、約0.1mg/kg~約40mg/kgの抗体またはその抗原結合性抗体断片を投与することを含む。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、投与することは、約1mg/kg~約30mg/kgの抗体またはその抗原結合性抗体断片を投与することを含む。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、投与することは、約3mg/kg~約10mg/kgまたは約10mg/kg~約30mg/kgの抗体またはその抗原結合性抗体断片を投与することを含む。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、投与することは、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1mg/kg、約3mg/kg、約10mg/kg、または約30mg/kgの抗体またはその抗原結合性抗体断片を投与することを含む。
【0063】
本明細書の方法のいくつかの実施形態では、投与することは、静脈内投与を含む。
【0064】
本明細書の方法のいくつかの実施形態では、投与することは、約14日毎、約2週間毎、約3週間毎、約28日毎、約4週間毎、約毎月、約5週間毎、約6週間毎、約7週間毎、約8週間毎、または約2ヶ月毎の間隔で実施される。本明細書の方法のいくつかの実施形態では、投与することは、約1ヶ月~約1年の期間にわたって実施される。
【0065】
抗体またはその抗原結合性断片と、本明細書に記載される方法のうちのいずれかを実施するための説明書とを含むキットもまた本明細書に提供され、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0066】
抗体またはその抗原結合性断片を含むいくつかのキットでは、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0067】
抗体またはその抗原結合性断片を含むいくつかのキットでは、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む。
【0068】
インターネット上で入手可能である、かつ本明細書に記述されるすべての刊行物、特許、特許出願、および情報は、あたかも各個々の刊行物、特許、特許出願、または情報の項目が、参照により組み込まれるものとして具体的かつ個別に示されるのと同じ程度で、本明細書に組み込まれる。
【0069】
参照により組み込まれる刊行物、特許、特許出願、および情報の項目が、本明細書に含まれる開示と矛盾する限りにおいて、本明細書は、任意のそのような矛盾する資料に優先し、および/または先行することが意図される。
【0070】
値が範囲に関して記載される場合、説明は、そのような範囲内のすべての可能なサブ範囲の開示、ならびに特定の数値または特定のサブ範囲が明示的に記載されているかどうかに関わらず、そのような範囲内の特定の数値を含むことが理解されるべきである。
【0071】
項目の一群に関連して使用される場合、「各」という用語は、項目内の個々の項目を特定することが意図されているが、明示的に別段の記載がない限り、またはそうでなければ使用の内容が明確に示さない限り、必ずしも項目内のすべての項目を指すわけではない。
【0072】
本開示の特徴の様々な実施形態が本明細書に記載されている。しかしながら、そのような実施形態は単に例として提供されるものであり、本開示の範囲から逸脱することなく、数多くの変形、変化、および置換が当業者に明らかであることが理解されるべきである。本明細書に記載される特定の実施形態に対する様々な代替物もまた、本開示の範囲内であることも理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】
図1A~Bは、コホート1~6の1ヶ月目の初回用量後(
図1A)および3ヶ月目の用量後(
図1B)の経時的なPRX004の濃度(μg/ml)を示すグラフである。
【
図2】
図2A~Cは、PRX004用量に対するATTRアミロイド結合を示すグラフである。
【
図3A】
図3A~Bは、コホート3、4、5、および6の1ヵ月目のPRX004の投与後(
図3A)および3ヶ月目の用量後(
図3B)の、経時的なベースラインのパーセントとしてのmisTTRの量を示すグラフである。
【
図3B】
図3A~Bは、コホート3、4、5、および6の1ヵ月目のPRX004の投与後(
図3A)および3ヶ月目の用量後(
図3B)の、経時的なベースラインのパーセントとしてのmisTTRの量を示すグラフである。
【
図4A】
図4Aは、コホート3、4、5、および6のmisTTRの用量依存的な減少を示すグラフである。
【
図4B】
図4Bは、PRX004の用量後の経時的な総トランスサイレチンタンパク質(ベースライン%)を示すグラフである。
【
図4C】
図4Cは、PRX004の用量後の経時的な総ランスサイレチンタンパク質(ベースライン%)を示すグラフである。
【
図5A】
図5A~Gは、心臓アミロイド沈着物への対照抗体(
図5A)および様々な濃度のPRX004のマウス前駆体(mPRX004)(
図5B~F)の結合を示す画像である。
図5Gは、心臓アミロイド沈着物に対するmPRX004の結合曲線を示すグラフである。
【
図5B】
図5A~Gは、心臓アミロイド沈着物への対照抗体(
図5A)および様々な濃度のPRX004のマウス前駆体(mPRX004)(
図5B~F)の結合を示す画像である。
図5Gは、心臓アミロイド沈着物に対するmPRX004の結合曲線を示すグラフである。
【
図5C】
図5A~Gは、心臓アミロイド沈着物への対照抗体(
図5A)および様々な濃度のPRX004のマウス前駆体(mPRX004)(
図5B~F)の結合を示す画像である。
図5Gは、心臓アミロイド沈着物に対するmPRX004の結合曲線を示すグラフである。
【
図5D】
図5A~Gは、心臓アミロイド沈着物への対照抗体(
図5A)および様々な濃度のPRX004のマウス前駆体(mPRX004)(
図5B~F)の結合を示す画像である。
図5Gは、心臓アミロイド沈着物に対するmPRX004の結合曲線を示すグラフである。
【
図5E】
図5A~Gは、心臓アミロイド沈着物への対照抗体(
図5A)および様々な濃度のPRX004のマウス前駆体(mPRX004)(
図5B~F)の結合を示す画像である。
図5Gは、心臓アミロイド沈着物に対するmPRX004の結合曲線を示すグラフである。
【
図5F】
図5A~Gは、心臓アミロイド沈着物への対照抗体(
図5A)および様々な濃度のPRX004のマウス前駆体(mPRX004)(
図5B~F)の結合を示す画像である。
図5Gは、心臓アミロイド沈着物に対するmPRX004の結合曲線を示すグラフである。
【
図5G】
図5A~Gは、心臓アミロイド沈着物への対照抗体(
図5A)および様々な濃度のPRX004のマウス前駆体(mPRX004)(
図5B~F)の結合を示す画像である。
図5Gは、心臓アミロイド沈着物に対するmPRX004の結合曲線を示すグラフである。
【
図5H】
図5H~Mは、心臓対照組織における対照抗体(
図5H)および様々な濃度のmPRX004(
図5I~M)の結合を示す画像である。
【
図5I】
図5H~Mは、心臓対照組織における対照抗体(
図5H)および様々な濃度のmPRX004(
図5I~M)の結合を示す画像である。
【
図5J】
図5H~Mは、心臓対照組織における対照抗体(
図5H)および様々な濃度のmPRX004(
図5I~M)の結合を示す画像である。
【
図5K】
図5H~Mは、心臓対照組織における対照抗体(
図5H)および様々な濃度のmPRX004(
図5I~M)の結合を示す画像である。
【
図5LM】
図5H~Mは、心臓対照組織における対照抗体(
図5H)および様々な濃度のmPRX004(
図5I~M)の結合を示す画像である。
【
図6A】
図6Aは、治療期間にわたるニューロパチー障害スコア(NIS)のベースラインからの変化を示すグラフである。
【
図6B】
図6Bは、治療期間にわたるNISのベースラインからの変化を示すグラフである。
【
図7】
図7は、治療期間にわたるグローバル長軸方向ストレイン(GLS)のベースラインからの変化を示すグラフである。矢印付きの点は、PRX004を単独で投与された患者である。
【
図8】
図8は、線維形成の阻害を示すグラフである。
【
図10】
図10は、内在化したATTRを有する細胞の割合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本明細書に示される本開示の理解を促進するために、用語を以下に定義する。概して、本明細書で使用される命名法、ならびに本明細書に記述される生化学、遺伝学、分子生物学、および分子診断における実験室手順は、周知のものであり、当該技術分野で一般的に用いられるものである。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。別段に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明で使用するための方法および材料が本明細書に記載されており、当該技術分野で既知の他の好適な方法および材料も使用することができる。材料、方法、および実施例は、例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。本明細書および添付される付属書全体を通して言及される特許、出願、公開された出願、およびその他の刊行物の各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。
【0075】
モノクローナル抗体または他の生物学的実体は、典型的には、単離された形態で提供される。これは、抗体または他の生物学的実体が、典型的には、その産生または精製から生じる、少なくとも50%w/w純粋な干渉タンパク質および他の汚染物質であるが、モノクローナル抗体が、その使用を容易にすることを意図とした、過剰な薬学的に許容可能な担体または他のビヒクルと組み合わされる可能性を排除しないことを意味する。モノクローナル抗体は、産生または精製からの、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、または99%w/w純粋な干渉タンパク質および汚染物質である。多くの場合、単離されたモノクローナル抗体または他の生物学的実体は、その精製後に残っている主要な高分子種である。
【0076】
抗体のその標的抗原への特異的結合は、少なくとも106、107、108、109、または1010M-1の親和性を意味する。特異的結合は、大きさが検出可能により高く、少なくとも一つの無関係な標的に対して生じる非特異的結合と区別可能である。特異的結合は、特定の官能基または特定の空間的適合(例えば、ロックおよびキータイプ)の間の結合の形成の結果であり得るが、非特異的結合は通常、ファンデルワールス力の結果である。しかしながら、特異的結合は、抗体が1つの標的のみと結合することを必ずしも意味するものではない。
【0077】
塩基性抗体構造ユニットは、サブユニットの四量体である。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対を含み、各対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識に関与する約100~110以上のアミノ酸の可変領域を含む。この可変領域は、最初に、切断可能なシグナルペプチドに連結されて発現される。シグナルペプチドを含まない可変領域は、時には成熟可変領域と称される。したがって、例えば、軽鎖成熟可変領域は、軽鎖シグナルペプチドを含まない軽鎖可変領域を意味する。各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能に関与する定常領域を画定する。
【0078】
軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかに分類される。重鎖は、ガンマ、mu、アルファ、デルタ、またはエプシロンに分類され、抗体のアイソタイプを、それぞれ、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEとして定義する。軽鎖および重鎖内では、可変領域および定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって結合され、重鎖はまた、約10個以上のアミノ酸の「D」領域を含む。概して、Fundamental Immunology,Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.,1989,Ch.7を参照されたい(参照によりその全体がすべての目的のために組み込まれる)。
【0079】
イムノグロブリン軽鎖または重鎖可変領域(本明細書では、「軽鎖可変ドメイン」(「VLドメイン」)または「重鎖可変ドメイン」(「VHドメイン」)とも呼称される)は、それぞれ、3つの「相補性決定領域」または「CDR」によって中断された「フレームワーク」領域からなる。フレームワーク領域は、抗原のエピトープへの特異的結合のためにCDRをアライメントする働きをする。CDRは、主に抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を含む。アミノ末端からカルボキシル末端まで、VLドメインおよびVHドメインは両方とも、以下のフレームワーク(FR)およびCDR領域を含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4。VLドメインのCDR1、2、および3は、それぞれ、本明細書ではCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3とも称され、VHドメインのCDR1、2、および3もまた、それぞれ、本明細書ではCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3と称される。
【0080】
各VLドメインおよびVHドメインへのアミノ酸の割り当ては、CDRの任意の従来的な定義に従う。従来的な定義には、Kabatの定義(Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1987 and 1991))、Chothiaの定義(Chothia&Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917,1987、Chothia et al.,Nature 342:878-883,1989);CDR-H1がChothiaおよびKabatのCDRの複合物である、Chothia KabatのCDRの複合物;Oxford Molecularの抗体モデリングソフトウェアによって使用されるAbM定義;ならびにMartin et al(bioinfo.org.uk/abs)(表1を参照されたい)のコンタクトの定義が含まれる。Kabatは、広く使用されている番号付け規則(Kabat番号付け)を提供し、この規則では、異なる重鎖間または異なる軽鎖間の対応する残基は、同じ番号を割り当てられる。抗体がCDRの特定の定義(例えば、Kabat)によってCDRを含むと言われる場合、その定義は、抗体中に存在するCDR残基(すなわち、KabatのCDR)の最小数を指定する。これは、別の従来のCDR定義内であるが、指定された定義外である他の残基も存在することを除外するものではない。例えば、Kabatにより定義されるCDRを含む抗体は、とりわけ、CDRがKabat CDR残基を含み、他のCDR残基を含まない抗体と、CDR H1がChothia-Kabat CDR H1および他のCDRの複合物がKabat CDR残基を含み、他の定義に基づく追加のCDR残基を含まない抗体とを含む。
【0081】
「抗体」という用語は、インタクトな抗体およびその結合性断片を含む。典型的には、断片は、別個の重鎖、軽鎖Fab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)c、Dab、ナノボディ、およびFvを含む標的への特異的結合のために誘導されたインタクト抗体と競合する。断片は、組換えDNA技術によって、またはインタクト免疫グロブリンの酵素的もしくは化学的分離によって産生され得る。「抗体」という用語はまた、二重特異性抗体および/またはヒト化抗体を含む。二重特異性または二官能性抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖の対および2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である(例えば、Songsivilai and Lachmann,Clin.Exp.Immunol.,79:315-321(1990)、Kostelny et al.,J.Immunol.,148:1547-53(1992)を参照されたい)。いくつかの二重特異性抗体では、2つの異なる重鎖/軽鎖の対は、ヒト化PRX004重鎖/軽鎖の対、およびPRX004によって結合されたものとは異なるトランスサイレチン上のエピトープに特異的な重鎖/軽鎖の対を含む。
【0082】
「エピトープ」という用語は、抗体が結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、1つ以上のタンパク質の三次フォールディングによって並置された連続アミノ酸または非連続アミノ酸から形成され得る。連続アミノ酸から形成されるエピトープ(線形エピトープとしても知られる)は、典型的には、変性溶媒への曝露で保持されるが、一方で三次フォールディングによって形成されるエピトープ(立体配座エピトープとしても知られる)は、典型的には、変性溶媒を用いた処理で失われる。エピトープは、典型的には、固有の空間的立体配座に少なくとも3個、およびより一般的には少なくとも5個または8~10個のアミノ酸を含む。エピトープの空間的立体配座を決定する方法には、例えば、X線結晶構造解析および2次元核磁気共鳴が含まれる。例えば、Epitope Mapping Protocols,in Methods in Molecular Biology,Vol.66,Glenn E.Morris,Ed.(1996)を参照されたい。
【0083】
構造トランスサイレチン(TTR)に関する「天然」という用語は、適切に機能している状態のTTRの正常なフォールディングされた構造(すなわち、TTR四量体)を指す。TTRは、その天然にフォールディングされた形態の四量体であるため、非天然形態のTTRには、例えば、ミスフォールディングされたTTR四量体、TTR単量体、凝集された形態のTTR、および線維形態のTTRが含まれる。非天然形態のTTRには、野生型TTRアミノ酸配列または変異を含む分子が含まれ得る。
【0084】
TTRに関する「ミスフォールディングされた」という用語は、TTRポリペプチド単量体または多量体の二次構造および三次構造を指し、ポリペプチドが、そのタンパク質が適切に機能している状態では正常ではない立体配座を採用したことを示す。TTRのミスフォールディングは、タンパク質の変異(例えば、欠失、置換、または付加)によって引き起こされ得るが、疾患では野生型TTRタンパク質もミスフォールディングされ得、特定のエピトープを曝露させる。
【0085】
「薬学的に許容可能な」という用語は、担体、希釈剤、賦形剤、または補助剤が、製剤の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに対して実質的に有害ではないことを意味する。
【0086】
「生物学的試料」は、生物学的源、例えば、ヒトまたは哺乳類の対象内、またはそれから取得可能な生物学的物質の試料を指す。そのような試料は、器官、細胞小器官、組織、組織切片、体液、末梢血、血漿、血清、細胞、タンパク質およびペプチドなどの分子、ならびにそれらから誘導される任意の部分または組み合わせであり得る。生物学的試料という用語は、試料を処理することによって誘導される任意の物質も包含することができる。誘導された物質は、細胞またはその子孫を含み得る。生物学的試料の処理は、干渉成分の濾過、蒸留、抽出、濃縮、固定、不活性化などのうちの1つ以上を伴い得る。
【0087】
「対照試料」は、未知であるか、またはTTRアミロイド沈着物中など、単量体、ミスフォールディング、凝集、もしくは線維形態のトランスサイレチン(TTR)を含むと疑われる、生物学的試料を指す。対照試料は、TTRアミロイドーシスまたは具体的に選択されたタイプのTTRアミロイドーシスに罹患していない個体から得ることができる。あるいは、対照試料は、TTRアミロイドーシスまたは具体的に選択されたタイプのTTRアミロイドーシスに罹患している個体から得ることができる。そのような試料は、TTRアミロイドーシスを含むと考えられる生物学的試料と同時に、または異なる機会に得ることができる。生物学的試料および対照試料の両方を、同じ組織(例えば、TTRアミロイド沈着物および周囲の正常組織の両方を含む組織切片)から得ることができる。好ましくは、対照試料は、本質的にまたは完全にTTRアミロイド沈着物を含まない組織から成り、TTRアミロイド沈着物を含むと考えられる生物学的試料と比較して使用され得る。好ましくは、対照試料中の組織は、生物学的試料中の組織(例えば、心臓における心筋細胞)と同じタイプである。いくつかの実施形態では、対照試料またはレベルは、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片のうちのいずれかを投与する前の同じ対象におけるレベルであり得る。
【0088】
「疾患」という用語は、生理学的機能を損なう任意の異常な状態を指す。この用語は、病因の性質にかかわらず、生理学的機能が損なわれている任意の障害、病気(illness)、異常、病理、病気(sickness)、状態、または症候群を包含するために広く使用される。
【0089】
「治療する」または「治療すること」という用語は、対象で観察される疾患の重症度、頻度、期間、または兆候もしくは症状の数のうちの1つ以上の低減を指す。
【0090】
値の範囲の指定には、その範囲内またはその範囲を定義するすべての整数、およびその範囲内の整数で定義されるすべてのサブ範囲が含まれる。
【0091】
文脈から別途明らかでない限り、「約」という用語は、所定の値の測定誤差の標準マージン(例えば、SEM)内の値を包含する。
【0092】
統計的有意性は、p≦0.05を意味する。
【0093】
「症状」という用語は、対象によって知覚可能なように、歩行の変化などの疾患の主観的証拠を指す。兆候は、医師によって観察可能な疾患の客観的証拠を指す。
【0094】
アミノ酸置換を保存的または非保存的と分類する目的で、アミノ酸を以下のようにグループ化する:第I群(疎水性側鎖):met、ala、val、leu、ile;第II群(中性親水性側鎖):asn、gln、cys、ser、thr;第III群(酸性側鎖):asp、glu;第IV群(塩基性側鎖):hes、lys、arg;第V群(鎖の配向に影響を及ぼす残基):gly、pro;および第VI群(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。保存的置換は、同じクラスのアミノ酸間の置換を伴う。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のメンバーと交換することを構成する。
【0095】
配列同一性割合は、Kabat番号付けの慣習によって最大限にアラインメントされた抗体配列を用いて決定される。アライメント後、対象の抗体領域(例えば、重鎖または軽鎖の成熟可変領域全体)が、参照抗体の同じ領域と比較されている場合、対象と参照抗体領域との間の配列同一性割合は、対象と参照抗体領域の両方の同じアミノ酸によって占有される位置の数を、2つの領域のアラインメントされた位置の総数で割ったものであり、ギャップは数えられず、100を乗算して割合に変換する。
【0096】
1つ以上の列挙された要素を「含む(comprising)」、または「含む(including)」組成物または方法は、具体的に列挙されていない他の要素を含み得る。例えば、抗体を「含む(comprises)または「含む(includes)」組成物は、抗体を単独で、または他の成分と組み合わせて含み得る。
【0097】
トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTR)は、主に心臓および末梢神経においてミスフォールディングされたトランスサイレチンタンパク質の沈着によって特徴付けられる、稀な進行性かつ多くの場合致死的な疾患であり、重大な罹患率および死亡率を引き起こす。これらのタンパク質沈着物は、脳と脊髄を筋肉と触覚、疼痛、熱、および音などの感覚を検出する感覚細胞につなぐ神経から構成される末梢神経系で最も頻繁に発生する。これらの神経におけるタンパク質沈着物は、四肢の感覚消失(末梢性ニューロパチー)をもたらす。血圧、心拍数、および消化など、身体の不随意機能を制御する、自律神経系を含む他の系も、アミロイドーシスによって影響を受け得る。いくつかの場合、脳および脊髄(中枢神経系)が影響を受ける。アミロイドーシスの他の領域には、心臓、腎臓、眼、および消化管が含まれる。ATTRアミロイドーシスには、心筋症を伴う遺伝性ATTR(hATTR-CM)(以前はFACとして知られている)、多発ニューロパチーを伴う遺伝性ATTR(hATTR-PN)(以前はFAPとして知られている)、および野生型ATTR(wtATTR)の3つの種類がある。hATTR-CMおよびhATTR-PNは遺伝性である一方、wtATTRは遺伝性ではなく、散発的に起こる。
【0098】
具体的には、ATTRは、身体の様々な組織におけるミスフォールディングされたトランスサイレチン(TTR)タンパク質の沈着によって引き起こされ、これは器官機能障害につながり得る。TTRの非天然(例えば、ミスフォールディングされた)の立体配座を結合するが、天然のTTRは結合しない、ミスフォールディングされたTTRタンパク質を検出する、立体配座特異的モノクローナル抗体は、以前に記載されている。そのような立体配座特異的モノクローナル抗体は、ATTRを有する対象に対する治療価値を有し得る。例えば、ミスフォールディングされたTTRに対する抗体は、ATTRアミロイドーシスを有する対象におけるTTRアミロイドの沈着を防止し、そのクリアランスを強化する可能性を有し、インビトロで、TTR線維形成を阻害すること、および凝集TTRタンパク質の食細胞取込みを刺激することが示されている(Higaki,J.,et al.,Novel conformation-specific monoclonal antibodies against amyloidogenic forms of transthyretin,Amyloid,23,86-97(2016)、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、ミスフォールディングされたものを検出する抗体を使用して、ATTR対象に存在するミスフォールディングされたTTRタンパク質を検出し、定量化することができる。
【0099】
現在、ミスフォールディングされたTTRタンパク質沈着物を器官および組織から除去する治療法は承認されていない。
【0100】
トランスサイレチン(TTR)は、主に肝臓によって合成される127-アミノ酸、55kDaの血清および脳脊髄液輸送タンパク質である。また、プレアルブミン、チロキシン結合プレアルブミン、ATTR、およびTBPAとも称されている。その天然状態では、TTRは四量体として存在する。ホモ接合体では、四量体は、同一の127-アミノ酸ベータ-シート-リッチサブユニットを含む。ヘテロ接合体では、TTR四量体は、バリアントおよび/または野生型サブユニットから構成され、典型的には統計的方法で組み合わされる。
【0101】
血液中のTTRの確立された機能は、ホロ-レチノール結合タンパク質を輸送することである。TTRは、齧歯類の血液中のチロキシン(T4)の主要な担体であり、ホロ-レチノール結合タンパク質に使用される結合部位に直交する結合部位を利用するが、ヒトではT4結合部位は効果的に占有されていない。
【0102】
TTRは、細胞外ミスフォールディングおよび/または凝集体構造のスペクトル内へのミスアセンブリ(アミロイド形成)が、アミロイド疾患と称される変性疾患を引き起こすと考えられている、少なくとも30個の異なるヒトタンパク質のうちの1つである。TTRは、アミロイド形成性となるために立体配座変化を経る。TTR四量体の解離と部分的なアンフォールディングは、最終的にクロスβシートアミロイド構造への立体配座変換を経る、主に非構造化の球状凝集体へと効率的にミスアセンブリされる伸長した立体配座において、主に荷電されていない疎水性残基の広がりを曝露する。
【0103】
トランスサイレチン(TTR)アミロイドーシスは、病原性でミスフォールディングされたTTRと、TTRから構成されるアミロイド線維の細胞外沈着によって特徴付けられる全身性障害である。TTRアミロイドーシスは、一般的に、天然のTTR四量体形態の不安定化(環境または遺伝的状態による)によって引き起こされ、解離、ミスフォールディング、ならびに様々な器官および組織に蓄積するアミロイド線維へのTTRの凝集がもたらされ、進行性の機能障害を引き起こす。例えば、Almeida and Saraiva,FEBS Letters 586:2891-2896(2012)、Ando et al.,Orphanet Journal of Rare Diseases 8:31(2013)を参照されたい。
【0104】
ヒトでは、変異型および野生型サブユニットからなる野生型TTR四量体および混合四量体の両方が、解離、ミスフォールディング、および凝集することができ、アミロイド形成の過程が罹患組織の変性につながる。したがって、TTRアミロイドーシスは、TTRの変異から生じるか、または非変異のミスフォールディングTTRから生じる、病原性ミスフォールディングTTRによって引き起こされる疾患を包含する。
【0105】
例えば、野生型ATTRアミロイドーシス(老人性全身性アミロイドーシスまたはSSAとも称される)および老人性心臓アミロイドーシス(SCA)は、野生型TTRアミロイドの心臓の外側および心筋細胞内への沈着から生じるアミロイドーシスの加齢性タイプである。TTRアミロイドーシスはまた、遺伝性(家族性)アミロイドーシスの最も一般的な形態でもあり、これはTTRタンパク質を不安定化する変異によって引き起こされる。TTR遺伝子の点変異に関連するTTRアミロイドーシスには、家族性アミロイド多発ニューロパチー(FAP)、家族性アミロイド心筋症(FAC)、および希少な中枢神経系選択性アミロイドーシス(CNSA)が含まれる。遺伝性(家族性)TTRアミロイドーシスを有する患者はほぼ常にヘテロ接合体であり、TTR四量体は変異型および/または野生型TTRサブユニットで構成され、一般的に統計的に分布していることを意味する。遺伝性(家族性)のTTRアミロイドーシスは、一般的に常染色体優性であり、典型的には散発性疾患(SSAおよびSCA)よりも早期に発症する。
【0106】
常染色体優性遺伝疾患であるFAPおよびFACに関係しているTTRをコードする遺伝子には、100を超える変異がある。例えば、US2014/0056904、Saraiva,Hum.Mutat.17(6):493-503(2001)、Damas and Saraiva,J.Struct.Biol.130:290-299、Dwulet and Benson,Biochem.Biophys.Res.Commun.114:657-662(1983)を参照されたい。これらのアミロイドを引き起こす変異は、TTRの分子全体に分布している。一般的に、TTR四量体構造に対して変異型サブユニットが不安定になるほど、アミロイド疾患の発症が早くなる。TTRバリアントの病原性の可能性は、一般的にその不安定性およびその細胞分泌効率の組み合わせによって決定される。いくつかのTTRバリアントによって引き起こされる初期病理は、心臓組織の選択的破壊に由来するが、他のTTRバリアントに由来する病理は、末梢神経系および自律神経系を損傷することに由来する。TTRアミロイド形成によって引き起こされる組織損傷は、主に小さな拡散性TTR凝集体の毒性から生じているように思われるが、細胞外アミロイドの蓄積が寄与し、TTRアミロイドーシス後期の器官構造をほぼ確実に損傷し得る。例示的なTTR変異としては、V30M、Y114C、G47R、S50I、E61L、T49S、F33V、A45T、E89K、E89Q、およびV122Iが挙げられる。
【0107】
TTRアミロイドーシスは、多くの異なる形態で存在し、個体および地理的な場所にわたってかなり表現型の変化がある。例えば、TTRアミロイドーシスは、進行性の軸索型感覚性自律性ニューロパチーおよび運動性ニューロパチーとして存在し得る。TTRアミロイドーシスはまた、浸潤性心筋症として存在し得る。
【0108】
疾患関連症状の発症年齢は、10代から90代の間で異なり、異なる集団間で大きく異なる。TTRアミロイドーシスの多系統的関与は、その診断の手掛かりとなる。例えば、TTRアミロイドーシスの診断は、以下のうちの1つまたはいくつかが存在する場合に考慮される:(1)神経障害性疾患の家族歴、特に心不全に関連するもの;(2)病因不明の神経障害性疼痛または進行性の感覚障害;(3)明らかな原因のない手根管症候群、特に、それが両側性であり、外科的開放術を必要とする場合;(4)病因不明の消化管運動障害または自律性神経機能障害(例えば、勃起不全、起立性低血圧、神経因性膀胱);(5)高血圧の不在下で厚くなった心室壁によって特徴付けられる心疾患;(6)起源不明の高度房室ブロック、特に厚くなった心臓を伴う場合;ならびに(6)綿花様白斑タイプの硝子体封入体。Ando et al.,Orphanet Journal of Rare Diseases 8:31(2013)を参照されたい。他の症状としては、例えば、多発ニューロパチー、感覚消失、疼痛、下肢の衰弱、異汗症、下痢、便秘、体重減少、および尿失禁/尿閉が挙げられ得る。
【0109】
TTRアミロイドーシスの診断は、典型的には、標的器官の生検に依存し、続いて、切除された組織をアミロイド特異的色素であるコンゴレッドで組織学的染色を行う。アミロイドの陽性検査が観察される場合、その後、TTRの免疫組織化学染色および質量分析による特定を行い、アミロイド形成に関与する前駆体タンパク質が実際にTTRであることを確実にする。本明細書に開示される抗体は、TTRアミロイドーシスを非TTRアミロイドーシス、例えば、原発性全身性アミロイドーシスとしても知られるアミロイド軽鎖(AL)アミロイドーシスと区別するのに有用である。次いで、疾患の家族性形態については、診断が下され得る前に、TTRをコードする遺伝子における変異の実証が必要とされる。これは、例えば、等電点電気泳動、ポリメラーゼ連鎖反応、またはレーザー解離/液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析を介して達成され得る。例えば、US2014/0056904、Ruberg and Berk,Circulation 126:1286-1300(2012)、Ando et al.,Orphanet Journal of Rare Diseases 8:31(2013)を参照されたい。
【0110】
本発明の抗体は、抗体と同じ適応症に対する別の治療と同時に投与することができ、抗体が投与される期間中、他の治療が少なくとも1回投与され、そのような期間は、抗体の最初の投薬の1ヶ月前に始まり、抗体の最後の投薬の1ヶ月後に終了する。他の治療は、この期間の間に繰り返される間隔で投与することができ、これは、抗体が投与される間隔と同じであってもなくてもよい。他の治療は、対症療法であってもよい。
【0111】
PRX004は、単量体およびミスフォールディングされたTTRを標的とするモノクローナル抗体(mAb)である。PRX004は、野生型ATTR(wtATTR)および遺伝性ATTR(hATTR)アミロイドーシス患者の両方からの、様々な器官におけるミスフォールディングされたATTRアミロイド沈着物、およびミスフォールディングされた単量体(アミロイド前駆体)に見出される潜在性エピトープに特異的に免疫反応し、一方で正常にフォールディングされたTTR(例えば、四量体)とは反応しない。前臨床試験では、インビトロで結合すると、PRX004は、アミロイド線維形成を阻害し、ミスフォールディングしたTTRの可溶性凝集形態を中和し、不溶性アミロイド線維のクリアランスを促進することが示されている。
【0112】
現在、米国(US)においてhATTRアミロイドーシスの利用可能な治療選択肢には、関与する器官に応じて、肝臓移植および支持療法、成人におけるhATTRの多発ニューロパチーの治療のためのパチシランおよびイノテルセン、ならびに成人におけるwtATTRおよびhATTRの心筋症の治療のためのタファミジスが含まれる。心筋症の治療のためのタファミジス、ステージ1の末梢性ニューロパチーを有する患者のためのタファミジスの追加、およびhATTRアミロイドーシスを有する成人患者におけるステージ1または2の多発ニューロパチーの治療のためのイノテルセンおよびパチシランを除いて、欧州では同じ治療選択肢が利用可能である。四量体安定化剤からの公表されたデータは、疾患進行の減速の可能性を示唆しているが(Waddington,2016)、これらの療法は、組織内に既に沈着したアミロイドの除去を標的としないため、高いアンメットメディカルニーズが依然として存在する。いかなる理論によっても拘束されることを望むものではないが、1つの提案される作用機序において、PRX004は、ATTR沈着物に結合して、それをオプソニン化し、組織常在マクロファージと係合して、器官機能を改善し得る食作用を介して沈着物を除去することによってアミロイドを除去し得る。これを、現在ATTRに処方されているTTR安定剤およびサイレンサーとは異なる、枯渇(depleter)作用機序と称する。ミスフォールディングされた可溶性TTR種が神経または心筋細胞にも毒性である場合、PRX004は、これらの毒性種にも結合し、中和し得る。したがって、PRX004は、現在の標準治療と比較して、有効性の著しい改善を示す可能性を有する。
【0113】
PRX004は、TTRの固有のエピトープ、アミノ酸残基89~97(配列番号11 EHAEVVFTA)と特異的に結合するヒト化免疫グロブリン(Ig)G1カッパmAbであり、それは、TTRの単量体、ミスフォールディング、および凝集形態にのみ曝露されるが、天然四量体立体配座に隠れている。このエピトープは、最近、TTR凝集プロセスに直接関与することが見出されたTTRタンパク質のβ鎖Fの凝集しやすい領域内に位置し(Saelices,L.,et al.,Uncovering the mechanism of aggregation of human transthyretin,J Biol Chem.290(48):28932-43.2015、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、タンパク質のミスフォールディングされた形態と天然形態との間の重要な分化エピトープである。この領域へのPRX004の結合は、線維形成に必要な病原性の、ミスフォールディングされた単量体およびオリゴマーの自己会合を阻害し、それによってTTRアミロイド形成および沈着を防止する。
【0114】
この作用機序の裏付けとなる証拠は、他のアミロイド形成性タンパク質を標的とする抗体を用いた免疫療法に由来する。具体的には、アルツハイマー病用のmAbは、インビトロの食作用とインビボでの有効性との間に大きなレベルの一致を示した(Bard,2000、Sevigny,J.,The antibody aducanaumab reduces Aβ plaques in Alzheimer’s disease,Nature,537(7618):50-6(2016)、それらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。さらに、Bard,2003(Bard,F.et al.,Epitope and isotype specificities of antibodies to beta-amyloid peptide for protection against Alzheimer’s disease-like neuropathology.Proc Natl Acad Sci USA 100(4):2023-8 Epub 03 Feb(2003)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、インビボで食作用を誘発した抗体のみが、Aβプラーク担持トランスジェニックマウスの脳からプラークを除去することができたと報告した。臨床試験では、抗Aβ抗体は、中枢神経系に進入し、アルツハイマー病患者の脳から既存のアミロイド沈着物のクリアランスを誘発することが示された(Liu,E.,et al.,Amyloid-β 11C-PiB-PET imaging results from 2 randomized bapineuzumab phase 3 AD trials,Neurology,85(8):692-700 doi:10.1212/WNL.0000000000001877 Epub 24 Jul(2015)、Rinne,J.O.,et al.,11C-PiB PET assessment of change in fibrillary amyloid-beta load in patients with Alzheimer’s disease treated with bapineuzumab:a phase 2,double-blind,placebo-controlled,ascending-dose study,Lancet Neurol.9(4):363-72(2010)、Sevigny,2016、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0115】
いくつかまたはすべて(例えば、3、4、5、および6個)のCDRを有する(例えば、PRX004)抗体が本明細書に開示される。本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ、重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3に対応する配列番号1、配列番号2、および配列番号3を含む、少なくとも2個、および通常は3個すべてのCDRを有する重鎖可変ドメインを含み得る。本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ、軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3に対応する配列番号4、配列番号5、および配列番号6を含む、少なくとも2個、および通常は3個すべてのCDRを有する軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ、配列番号1、配列番号2、および配列番号3に対応するCDR1~3を含む重鎖可変ドメインと、それぞれ、配列番号4、配列番号5、および配列番号6に対応するCDR1~3を含む軽鎖可変ドメインとを含み得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7を含む重鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、PRX004は、配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号9を含む重鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号10を含む軽鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、C末端リジンを含まない重鎖を含む。例えば、そのような一実施形態では、配列番号9に含まれるC末端リジンは不在である。
【0117】
本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片は、動物モデルにおいて、TTRの凝集を阻害または低減し得るか、TTR線維形成を阻害または低減し得るか、TTR沈着物または凝集TTRを低減または除去し得るか、またはTTRの非毒性立体配座を安定化させ得る。
【0118】
ヒト対象におけるミスフォールディングされたトランスサイレチン(misTTR)のレベルを低減する方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、misTTRのレベルを低減する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のmisTTRのレベルを、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%(例えば、投与前のヒト対象の血漿中のmisTTRのレベルと比較して)低減する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその結合性断片を投与することは、血漿中のmisTTRのレベルを、約10%~約99%、約20%~約90%、約30%~約80%、約40%~80%、または約50%~75%(例えば、投与前のヒト対象の血漿中のmisTTRのレベルと比較して)低減する。いくつかの実施形態では、投与することは、約10%~約99%の低減(例えば、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約85%、約10%~約80%、約10%~約75%、約10%~約70%、約10%~約65%、約10%~約60%、約10%~約55%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約99%、約15%~約95%、約15%~約90%、約15%~約85%、約15%~約80%、約15%~約75%、約15%~約70%、約15%~約65%、約15%~約60%、約15%~約55%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約85%、約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約65%、約20%~約60%、約20%~約55%、約20%~約50%、約20%~約45%、約20%~約40%、約20%~約35%、約20%~約30%、約20%~約25%、約25%~約99%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約85%、約25%~約80%、約25%~約75%、約25%~約70%、約25%~約65%、約25%~約60%、約25%~約55%、約25%~約50%、約25%~約45%、約25%~約40%、約25%~約35%、約25%~約30%、約30%~約99%、約30%~約95%、約30%~約90%、約30%~約85%、約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、約30%~約60%、約30%~約55%、約30%~約50%、約30%~約45%、約30%~約40%、約30%~約35%、約35%~約99%、約35%~約95%、約35%~約90%、約35%~約85%、約35%~約80%、約35%~約75%、約35%~約70%、約35%~約65%、約35%~約60%、約35%~約55%、約35%~約50%、約35%~約45%、約35%~約40%、約40%~約99%、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、約40%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、約40%~約45%、約45%~約99%、約45%~約95%、約45%~約90%、約45%~約85%、約45%~約80%、約45%~約75%、約45%~約70%、約45%~約65%、約45%~約60%、約45%~約55%、約45%~約50%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約65%、約50%~約60%、約50%~約55%、約55%~約99%、約55%~約95%、約55%~約90%、約55%~約85%、約55%~約80%、約55%~約75%、約55%~約70%、約55%~約65%、約55%~約60%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約60%~約65%、約65%~約99%、約65%~約95%、約65%~約90%、約65%~約85%、約65%~約80%、約65%~約75%、約65%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約85%、約70%~約80%、約70%~約75%、約75%~約99%、約75%~約95%、約75%~約90%、約75%~約85%、約75%~約80%、約80%~約99%、約80%~約95%、約80%~約90%、約80%~約85%、約85%~約99%、約85%~約95%、約85%~約90%、約90%~約99%、約90%~約95%、または約95%~約99%の減少)(例えば、投与前のヒト対象の血漿中のmisTTRのレベルと比較して)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)をもたらす。
【0120】
トランスサイレチンアミロイド沈着物をオプソニン化することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド沈着物をオプソニン化する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のトランスサイレチンアミロイド沈着物を、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%オプソニン化する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のトランスサイレチンアミロイド沈着物を、約10%~約90%、約20%~約80%、約30%~約70%、約40%~60%、約50%~約99%、約80%~約99%、または約90~99%オプソニン化する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、ヒト対象の血漿中のトランスサイレチンアミロイド沈着物を、約10%~約99%(例えば、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約85%、約10%~約80%、約10%~約75%、約10%~約70%、約10%~約65%、約10%~約60%、約10%~約55%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約99%、約15%~約95%、約15%~約90%、約15%~約85%、約15%~約80%、約15%~約75%、約15%~約70%、約15%~約65%、約15%~約60%、約15%~約55%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約85%、約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約65%、約20%~約60%、約20%~約55%、約20%~約50%、約20%~約45%、約20%~約40%、約20%~約35%、約20%~約30%、約20%~約25%、約25%~約99%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約85%、約25%~約80%、約25%~約75%、約25%~約70%、約25%~約65%、約25%~約60%、約25%~約55%、約25%~約50%、約25%~約45%、約25%~約40%、約25%~約35%、約25%~約30%、約30%~約99%、約30%~約95%、約30%~約90%、約30%~約85%、約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、約30%~約60%、約30%~約55%、約30%~約50%、約30%~約45%、約30%~約40%、約30%~約35%、約35%~約99%、約35%~約95%、約35%~約90%、約35%~約85%、約35%~約80%、約35%~約75%、約35%~約70%、約35%~約65%、約35%~約60%、約35%~約55%、約35%~約50%、約35%~約45%、約35%~約40%、約40%~約99%、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、約40%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、約40%~約45%、約45%~約99%、約45%~約95%、約45%~約90%、約45%~約85%、約45%~約80%、約45%~約75%、約45%~約70%、約45%~約65%、約45%~約60%、約45%~約55%、約45%~約50%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約65%、約50%~約60%、約50%~約55%、約55%~約99%、約55%~約95%、約55%~約90%、約55%~約85%、約55%~約80%、約55%~約75%、約55%~約70%、約55%~約65%、約55%~約60%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約60%~約65%、約65%~約99%、約65%~約95%、約65%~約90%、約65%~約85%、約65%~約80%、約65%~約75%、約65%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約85%、約70%~約80%、約70%~約75%、約75%~約99%、約75%~約95%、約75%~約90%、約75%~約85%、約75%~約80%、約80%~約99%、約80%~約95%、約80%~約90%、約80%~約85%、約85%~約99%、約85%~約95%、約85%~約90%、約90%~約99%、約90%~約95%、または約95%~約99%)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)オプソニン化する。
【0122】
トランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを低減する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のトランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを、約5%超、約10%超、約15%超、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、または約99%超だけ(例えば、投与前のヒト対象の血漿中のトランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルと比較して)低減する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のトランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを、約10%~約90%、約20%~約80%、約30%~約70%、約40%~60%、約50%~約99%、約80%~約99%、または約90~99%(例えば、投与前のヒト対象の血漿中のトランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルと比較して)低減する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、ヒト対象の血漿中のトランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルの約10%~約99%の減少(例えば、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約85%、約10%~約80%、約10%~約75%、約10%~約70%、約10%~約65%、約10%~約60%、約10%~約55%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約99%、約15%~約95%、約15%~約90%、約15%~約85%、約15%~約80%、約15%~約75%、約15%~約70%、約15%~約65%、約15%~約60%、約15%~約55%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約85%、約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約65%、約20%~約60%、約20%~約55%、約20%~約50%、約20%~約45%、約20%~約40%、約20%~約35%、約20%~約30%、約20%~約25%、約25%~約99%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約85%、約25%~約80%、約25%~約75%、約25%~約70%、約25%~約65%、約25%~約60%、約25%~約55%、約25%~約50%、約25%~約45%、約25%~約40%、約25%~約35%、約25%~約30%、約30%~約99%、約30%~約95%、約30%~約90%、約30%~約85%、約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、約30%~約60%、約30%~約55%、約30%~約50%、約30%~約45%、約30%~約40%、約30%~約35%、約35%~約99%、約35%~約95%、約35%~約90%、約35%~約85%、約35%~約80%、約35%~約75%、約35%~約70%、約35%~約65%、約35%~約60%、約35%~約55%、約35%~約50%、約35%~約45%、約35%~約40%、約40%~約99%、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、約40%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、約40%~約45%、約45%~約99%、約45%~約95%、約45%~約90%、約45%~約85%、約45%~約80%、約45%~約75%、約45%~約70%、約45%~約65%、約45%~約60%、約45%~約55%、約45%~約50%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約65%、約50%~約60%、約50%~約55%、約55%~約99%、約55%~約95%、約55%~約90%、約55%~約85%、約55%~約80%、約55%~約75%、約55%~約70%、約55%~約65%、約55%~約60%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約60%~約65%、約65%~約99%、約65%~約95%、約65%~約90%、約65%~約85%、約65%~約80%、約65%~約75%、約65%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約85%、約70%~約80%、約70%~約75%、約75%~約99%、約75%~約95%、約75%~約90%、約75%~約85%、約75%~約80%、約80%~約99%、約80%~約95%、約80%~約90%、約80%~約85%、約85%~約99%、約85%~約95%、約85%~約90%、約90%~約99%、約90%~約95%、または約95%~約99%の減少)(例えば、投与前のヒト対象の血漿中のトランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルと比較して)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)をもたらす。
【0124】
トランスサイレチンアミロイド線維形成を阻害することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド線維形成を阻害する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のトランスサイレチンアミロイド線維形成を、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、または約99%超だけ阻害する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のトランスサイレチンアミロイド線維形成を、約10%~約90%、約20%~約80%、約30%~約70%、約40%~60%、約50%~約99%、約80%~約99%、または約90~99%阻害する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のトランスサイレチンアミロイド線維形成を、約10%~約99%(例えば、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約85%、約10%~約80%、約10%~約75%、約10%~約70%、約10%~約65%、約10%~約60%、約10%~約55%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約99%、約15%~約95%、約15%~約90%、約15%~約85%、約15%~約80%、約15%~約75%、約15%~約70%、約15%~約65%、約15%~約60%、約15%~約55%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約85%、約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約65%、約20%~約60%、約20%~約55%、約20%~約50%、約20%~約45%、約20%~約40%、約20%~約35%、約20%~約30%、約20%~約25%、約25%~約99%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約85%、約25%~約80%、約25%~約75%、約25%~約70%、約25%~約65%、約25%~約60%、約25%~約55%、約25%~約50%、約25%~約45%、約25%~約40%、約25%~約35%、約25%~約30%、約30%~約99%、約30%~約95%、約30%~約90%、約30%~約85%、約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、約30%~約60%、約30%~約55%、約30%~約50%、約30%~約45%、約30%~約40%、約30%~約35%、約35%~約99%、約35%~約95%、約35%~約90%、約35%~約85%、約35%~約80%、約35%~約75%、約35%~約70%、約35%~約65%、約35%~約60%、約35%~約55%、約35%~約50%、約35%~約45%、約35%~約40%、約40%~約99%、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、約40%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、約40%~約45%、約45%~約99%、約45%~約95%、約45%~約90%、約45%~約85%、約45%~約80%、約45%~約75%、約45%~約70%、約45%~約65%、約45%~約60%、約45%~約55%、約45%~約50%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約65%、約50%~約60%、約50%~約55%、約55%~約99%、約55%~約95%、約55%~約90%、約55%~約85%、約55%~約80%、約55%~約75%、約55%~約70%、約55%~約65%、約55%~約60%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約60%~約65%、約65%~約99%、約65%~約95%、約65%~約90%、約65%~約85%、約65%~約80%、約65%~約75%、約65%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約85%、約70%~約80%、約70%~約75%、約75%~約99%、約75%~約95%、約75%~約90%、約75%~約85%、約75%~約80%、約80%~約99%、約80%~約95%、約80%~約90%、約80%~約85%、約85%~約99%、約85%~約95%、約85%~約90%、約90%~約99%、約90%~約95%、または約95%~約99%)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)阻害する。
【0126】
トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを低減する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のトランスサイレチンアミロイド線維のレベルを、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、または約99%超だけ低減する。いくつかの実施形態では、投与することは、血漿中のトランスサイレチンアミロイド線維のレベルを、約10%~約90%、約20%~約80%、約30%~約70%、約40%~60%、約50%~約99%、約80%~約99%、または約90~99%(例えば、投与前のヒト対象の血漿中のトランスサイレチンアミロイド線維のレベルと比較して)低減する。いくつかの実施形態では、投与することは、対象の血漿中のトランスサイレチンアミロイド線維のレベルの約10%~約99%の減少(例えば、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約85%、約10%~約80%、約10%~約75%、約10%~約70%、約10%~約65%、約10%~約60%、約10%~約55%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約99%、約15%~約95%、約15%~約90%、約15%~約85%、約15%~約80%、約15%~約75%、約15%~約70%、約15%~約65%、約15%~約60%、約15%~約55%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約85%、約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約65%、約20%~約60%、約20%~約55%、約20%~約50%、約20%~約45%、約20%~約40%、約20%~約35%、約20%~約30%、約20%~約25%、約25%~約99%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約85%、約25%~約80%、約25%~約75%、約25%~約70%、約25%~約65%、約25%~約60%、約25%~約55%、約25%~約50%、約25%~約45%、約25%~約40%、約25%~約35%、約25%~約30%、約30%~約99%、約30%~約95%、約30%~約90%、約30%~約85%、約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、約30%~約60%、約30%~約55%、約30%~約50%、約30%~約45%、約30%~約40%、約30%~約35%、約35%~約99%、約35%~約95%、約35%~約90%、約35%~約85%、約35%~約80%、約35%~約75%、約35%~約70%、約35%~約65%、約35%~約60%、約35%~約55%、約35%~約50%、約35%~約45%、約35%~約40%、約40%~約99%、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、約40%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、約40%~約45%、約45%~約99%、約45%~約95%、約45%~約90%、約45%~約85%、約45%~約80%、約45%~約75%、約45%~約70%、約45%~約65%、約45%~約60%、約45%~約55%、約45%~約50%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約65%、約50%~約60%、約50%~約55%、約55%~約99%、約55%~約95%、約55%~約90%、約55%~約85%、約55%~約80%、約55%~約75%、約55%~約70%、約55%~約65%、約55%~約60%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約60%~約65%、約65%~約99%、約65%~約95%、約65%~約90%、約65%~約85%、約65%~約80%、約65%~約75%、約65%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約85%、約70%~約80%、約70%~約75%、約75%~約99%、約75%~約95%、約75%~約90%、約75%~約85%、約75%~約80%、約80%~約99%、約80%~約95%、約80%~約90%、約80%~約85%、約85%~約99%、約85%~約95%、約85%~約90%、約90%~約99%、約90%~約95%、または約95%~約99%の減少)(例えば、投与前のヒト対象の血漿中のトランスサイレチンアミロイド線維のレベルと比較して)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)をもたらす。
【0128】
misTTRの可溶性凝集体形態を中和することを必要とするヒト対象においてそれを中和する方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、misTTRの可溶性凝集体形態を中和する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のmisTTRの可溶性凝集体形態を、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、または約99%超だけ中和する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のmisTTRの可溶性凝集体形態を、約10%~約90%、約20%~約80%、約30%~約70%、約40%~60%、約50%~約99%、約80%~約99%、または約90~99%中和する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、ヒト対象の血漿中のmisTTRの可溶性凝集体形態の約10%~約99%(例えば、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約85%、約10%~約80%、約10%~約75%、約10%~約70%、約10%~約65%、約10%~約60%、約10%~約55%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約99%、約15%~約95%、約15%~約90%、約15%~約85%、約15%~約80%、約15%~約75%、約15%~約70%、約15%~約65%、約15%~約60%、約15%~約55%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約85%、約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約65%、約20%~約60%、約20%~約55%、約20%~約50%、約20%~約45%、約20%~約40%、約20%~約35%、約20%~約30%、約20%~約25%、約25%~約99%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約85%、約25%~約80%、約25%~約75%、約25%~約70%、約25%~約65%、約25%~約60%、約25%~約55%、約25%~約50%、約25%~約45%、約25%~約40%、約25%~約35%、約25%~約30%、約30%~約99%、約30%~約95%、約30%~約90%、約30%~約85%、約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、約30%~約60%、約30%~約55%、約30%~約50%、約30%~約45%、約30%~約40%、約30%~約35%、約35%~約99%、約35%~約95%、約35%~約90%、約35%~約85%、約35%~約80%、約35%~約75%、約35%~約70%、約35%~約65%、約35%~約60%、約35%~約55%、約35%~約50%、約35%~約45%、約35%~約40%、約40%~約99%、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、約40%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、約40%~約45%、約45%~約99%、約45%~約95%、約45%~約90%、約45%~約85%、約45%~約80%、約45%~約75%、約45%~約70%、約45%~約65%、約45%~約60%、約45%~約55%、約45%~約50%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約65%、約50%~約60%、約50%~約55%、約55%~約99%、約55%~約95%、約55%~約90%、約55%~約85%、約55%~約80%、約55%~約75%、約55%~約70%、約55%~約65%、約55%~約60%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約60%~約65%、約65%~約99%、約65%~約95%、約65%~約90%、約65%~約85%、約65%~約80%、約65%~約75%、約65%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約85%、約70%~約80%、約70%~約75%、約75%~約99%、約75%~約95%、約75%~約90%、約75%~約85%、約75%~約80%、約80%~約99%、約80%~約95%、約80%~約90%、約80%~約85%、約85%~約99%、約85%~約95%、約85%~約90%、約90%~約99%、約90%~約95%、または約95%~約99%)の中和(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)をもたらす。
【0130】
不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を増加させることを必要とするヒト対象においてそれを増加させる方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を増加させる量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中の不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を、約20%超、約25%超、約30%超、約35%超、約40%超、約45%超、約50%超、約55%、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、または約99%超だけ増加させる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中の不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の食作用を、約10%~約90%、約20%~約80%、約30%~約70%、約40%~60%、約50%~約99%、約80%~約99%、または約90%~99%増加させる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、ヒト対象の血漿中の不溶性トランスサイレチンアミロイド線維の食作用の約10%~約99%の増加(例えば、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約85%、約10%~約80%、約10%~約75%、約10%~約70%、約10%~約65%、約10%~約60%、約10%~約55%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約99%、約15%~約95%、約15%~約90%、約15%~約85%、約15%~約80%、約15%~約75%、約15%~約70%、約15%~約65%、約15%~約60%、約15%~約55%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約85%、約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約65%、約20%~約60%、約20%~約55%、約20%~約50%、約20%~約45%、約20%~約40%、約20%~約35%、約20%~約30%、約20%~約25%、約25%~約99%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約85%、約25%~約80%、約25%~約75%、約25%~約70%、約25%~約65%、約25%~約60%、約25%~約55%、約25%~約50%、約25%~約45%、約25%~約40%、約25%~約35%、約25%~約30%、約30%~約99%、約30%~約95%、約30%~約90%、約30%~約85%、約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、約30%~約60%、約30%~約55%、約30%~約50%、約30%~約45%、約30%~約40%、約30%~約35%、約35%~約99%、約35%~約95%、約35%~約90%、約35%~約85%、約35%~約80%、約35%~約75%、約35%~約70%、約35%~約65%、約35%~約60%、約35%~約55%、約35%~約50%、約35%~約45%、約35%~約40%、約40%~約99%、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、約40%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、約40%~約45%、約45%~約99%、約45%~約95%、約45%~約90%、約45%~約85%、約45%~約80%、約45%~約75%、約45%~約70%、約45%~約65%、約45%~約60%、約45%~約55%、約45%~約50%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約65%、約50%~約60%、約50%~約55%、約55%~約99%、約55%~約95%、約55%~約90%、約55%~約85%、約55%~約80%、約55%~約75%、約55%~約70%、約55%~約65%、約55%~約60%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約60%~約65%、約65%~約99%、約65%~約95%、約65%~約90%、約65%~約85%、約65%~約80%、約65%~約75%、約65%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約85%、約70%~約80%、約70%~約75%、約75%~約99%、約75%~約95%、約75%~約90%、約75%~約85%、約75%~約80%、約80%~約99%、約80%~約95%、約80%~約90%、約80%~約85%、約85%~約99%、約85%~約95%、約85%~約90%、約90%~約99%、約90%~約95%、または約95%~約99%の増加)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)をもたらす。
【0132】
不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを減少させることを必要とするヒト対象においてそれを減少させる方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを減少させる量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中の不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%(例えば、投与前のヒト対象の血漿中の不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルと比較して)減少させる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中の不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルを、約10%~約90%、約20%~約80%、約30%~約70%、約40%~60%、約50%~約99%、約80%~約99%、または約90~99%(例えば、投与前のヒト対象の血漿中の不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルと比較して)減少させる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、ヒト対象の血漿中の不溶性トランスサイレチンアミロイド線維のレベルの約10%~約99%の減少(例えば、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約85%、約10%~約80%、約10%~約75%、約10%~約70%、約10%~約65%、約10%~約60%、約10%~約55%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約99%、約15%~約95%、約15%~約90%、約15%~約85%、約15%~約80%、約15%~約75%、約15%~約70%、約15%~約65%、約15%~約60%、約15%~約55%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約85%、約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約65%、約20%~約60%、約20%~約55%、約20%~約50%、約20%~約45%、約20%~約40%、約20%~約35%、約20%~約30%、約20%~約25%、約25%~約99%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約85%、約25%~約80%、約25%~約75%、約25%~約70%、約25%~約65%、約25%~約60%、約25%~約55%、約25%~約50%、約25%~約45%、約25%~約40%、約25%~約35%、約25%~約30%、約30%~約99%、約30%~約95%、約30%~約90%、約30%~約85%、約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、約30%~約60%、約30%~約55%、約30%~約50%、約30%~約45%、約30%~約40%、約30%~約35%、約35%~約99%、約35%~約95%、約35%~約90%、約35%~約85%、約35%~約80%、約35%~約75%、約35%~約70%、約35%~約65%、約35%~約60%、約35%~約55%、約35%~約50%、約35%~約45%、約35%~約40%、約40%~約99%、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、約40%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、約40%~約45%、約45%~約99%、約45%~約95%、約45%~約90%、約45%~約85%、約45%~約80%、約45%~約75%、約45%~約70%、約45%~約65%、約45%~約60%、約45%~約55%、約45%~約50%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約65%、約50%~約60%、約50%~約55%、約55%~約99%、約55%~約95%、約55%~約90%、約55%~約85%、約55%~約80%、約55%~約75%、約55%~約70%、約55%~約65%、約55%~約60%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約60%~約65%、約65%~約99%、約65%~約95%、約65%~約90%、約65%~約85%、約65%~約80%、約65%~約75%、約65%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約85%、約70%~約80%、約70%~約75%、約75%~約99%、約75%~約95%、約75%~約90%、約75%~約85%、約75%~約80%、約80%~約99%、約80%~約95%、約80%~約90%、約80%~約85%、約85%~約99%、約85%~約95%、約85%~約90%、約90%~約99%、約90%~約95%、または約95%~約99%の減少)(例えば、投与前のヒト対象の血漿中の不溶性アミロイドトランスサイレチンアミロイド線維のレベルと比較して)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)をもたらす。
【0134】
トランスサイレチンアミロイド沈着物の形成を阻害することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド沈着物の形成を阻害する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のトランスサイレチンアミロイド沈着物の形成を、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%阻害する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のトランスサイレチンアミロイド沈着物の形成を、約10%~約90%、約20%~約80%、約30%~約70%、約40%~60%、約50%~約99%、約80%~約99%、または約90~99%阻害する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、血漿中のトランスサイレチンアミロイド沈着物の形成を、約10%~約99%(例えば、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約85%、約10%~約80%、約10%~約75%、約10%~約70%、約10%~約65%、約10%~約60%、約10%~約55%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約99%、約15%~約95%、約15%~約90%、約15%~約85%、約15%~約80%、約15%~約75%、約15%~約70%、約15%~約65%、約15%~約60%、約15%~約55%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約85%、約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約65%、約20%~約60%、約20%~約55%、約20%~約50%、約20%~約45%、約20%~約40%、約20%~約35%、約20%~約30%、約20%~約25%、約25%~約99%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約85%、約25%~約80%、約25%~約75%、約25%~約70%、約25%~約65%、約25%~約60%、約25%~約55%、約25%~約50%、約25%~約45%、約25%~約40%、約25%~約35%、約25%~約30%、約30%~約99%、約30%~約95%、約30%~約90%、約30%~約85%、約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、約30%~約60%、約30%~約55%、約30%~約50%、約30%~約45%、約30%~約40%、約30%~約35%、約35%~約99%、約35%~約95%、約35%~約90%、約35%~約85%、約35%~約80%、約35%~約75%、約35%~約70%、約35%~約65%、約35%~約60%、約35%~約55%、約35%~約50%、約35%~約45%、約35%~約40%、約40%~約99%、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、約40%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、約40%~約45%、約45%~約99%、約45%~約95%、約45%~約90%、約45%~約85%、約45%~約80%、約45%~約75%、約45%~約70%、約45%~約65%、約45%~約60%、約45%~約55%、約45%~約50%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約65%、約50%~約60%、約50%~約55%、約55%~約99%、約55%~約95%、約55%~約90%、約55%~約85%、約55%~約80%、約55%~約75%、約55%~約70%、約55%~約65%、約55%~約60%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約60%~約65%、約65%~約99%、約65%~約95%、約65%~約90%、約65%~約85%、約65%~約80%、約65%~約75%、約65%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約85%、約70%~約80%、約70%~約75%、約75%~約99%、約75%~約95%、約75%~約90%、約75%~約85%、約75%~約80%、約80%~約99%、約80%~約95%、約80%~約90%、約80%~約85%、約85%~約99%、約85%~約95%、約85%~約90%、約90%~約99%、約90%~約95%、または約95%~約99%)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)阻害する。
【0136】
トランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、トランスサイレチンアミロイド沈着物のレベルを低減する量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、ヒト対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物のレベル(例えば、血漿レベル)の約10%~約99%の減少(例えば、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約85%、約10%~約80%、約10%~約75%、約10%~約70%、約10%~約65%、約10%~約60%、約10%~約55%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約99%、約15%~約95%、約15%~約90%、約15%~約85%、約15%~約80%、約15%~約75%、約15%~約70%、約15%~約65%、約15%~約60%、約15%~約55%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約85%、約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約65%、約20%~約60%、約20%~約55%、約20%~約50%、約20%~約45%、約20%~約40%、約20%~約35%、約20%~約30%、約20%~約25%、約25%~約99%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約85%、約25%~約80%、約25%~約75%、約25%~約70%、約25%~約65%、約25%~約60%、約25%~約55%、約25%~約50%、約25%~約45%、約25%~約40%、約25%~約35%、約25%~約30%、約30%~約99%、約30%~約95%、約30%~約90%、約30%~約85%、約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、約30%~約60%、約30%~約55%、約30%~約50%、約30%~約45%、約30%~約40%、約30%~約35%、約35%~約99%、約35%~約95%、約35%~約90%、約35%~約85%、約35%~約80%、約35%~約75%、約35%~約70%、約35%~約65%、約35%~約60%、約35%~約55%、約35%~約50%、約35%~約45%、約35%~約40%、約40%~約99%、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、約40%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、約40%~約45%、約45%~約99%、約45%~約95%、約45%~約90%、約45%~約85%、約45%~約80%、約45%~約75%、約45%~約70%、約45%~約65%、約45%~約60%、約45%~約55%、約45%~約50%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約65%、約50%~約60%、約50%~約55%、約55%~約99%、約55%~約95%、約55%~約90%、約55%~約85%、約55%~約80%、約55%~約75%、約55%~約70%、約55%~約65%、約55%~約60%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約60%~約65%、約65%~約99%、約65%~約95%、約65%~約90%、約65%~約85%、約65%~約80%、約65%~約75%、約65%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約85%、約70%~約80%、約70%~約75%、約75%~約99%、約75%~約95%、約75%~約90%、約75%~約85%、約75%~約80%、約80%~約99%、約80%~約95%、約80%~約90%、約80%~約85%、約85%~約99%、約85%~約95%、約85%~約90%、約90%~約99%、約90%~約95%、または約95%~約99%の減少)(例えば、投与前のヒト対象におけるトランスサイレチンアミロイド沈着物のレベル(例えば、血漿レベル)と比較して)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)をもたらす。
【0138】
アミロイドトランスサイレチンアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0139】
PRX004はまた、例えば、TTRアミロイドーシスの診断、TTRアミロイドーシスの進行のモニタリング、および/または治療の有効性の評価にも使用され得る。そのような抗体は、TTRアミロイドーシスを有するか、もしくはそれに感受性である対象において、またはそのような対象から得られた適切な生物学的試料において、そのような決定を実施するために特に有用である。
【0140】
「対象」または「患者」という用語は、治療未経験の個体を含む、予防的治療または治療的処置のいずれかを受けるヒト対象を含む。治療未経験の個体は、PRX004治療または他の治療を経験していなくてもよい。
【0141】
トランスサイレチン(TTR)、特にTTRの単量体、ミスフォールディング、凝集、または線維形態(例えば、TTRアミロイドーシス)によって少なくとも部分的に媒介される疾患または状態を診断する、モニタリングする、治療する、またはその予防をもたらすいくつかの方法が本明細書に提供される。そのような疾患の例としては、家族性アミロイド心筋症(FAC)(例えば、ATTR-CM)または運動選手もしくは過度な有酸素運動を行っている他の者における心筋症もしくは肥大などの家族性TTRアミロイドーシス、家族性アミロイド多発ニューロパチー(FAP)、または中枢神経系選択性アミロイドーシス(CNSA)、ならびに老人性全身性アミロイドーシス(SSA)または老人性心臓アミロイドーシス(SCA)などの散発性TTRアミロイドーシスが挙げられる。TTRアミロイドーシスはまた、組織または器官の変性または外傷によって特徴付けられる様々な疾患および状態の原因または結果として関連し得る。TTR沈着物の蓄積は、疾患または状態に関連する器官または組織の機能障害の原因となる。本薬剤および方法を用いた治療または予防が可能であるそのような状態の例は、脊柱管狭窄症である(Westermark et al.,Upsala J.Medical Sciences 119,223-238(2014)およびYanagisawa et al.,Modern Pathology 28,201-207(2015))。治療または予防が同様に可能である別の疾患は、変形性関節症である(Takanashi et al.,Amyloid 20,151-155 (2013)、Gu et al.,Biomed&Biotechnol.15,92-99、Takinami et al.,Biomarker Insights 8,85-95(2014)、Akasaki et al.,Arthritis Rheumatol.67,2097-2107(2015))。治療または予防に同様に可能である別の疾患は、関節リウマチである(Clement et al.,JCI Insight 1 epublish(2016))。治療または予防が可能である別の疾患は、若年性特発性関節炎である(Sharma et al.,PLOSone 9,1-12(2014))。治療または予防が可能な別の疾患は、加齢黄斑変性(滲出型または萎縮型)である。治療または予防に同様に可能である別のクラスの状態は、回旋筋腱板の障害などの靱帯および腱の障害である(Sueyoshi et al,.Human Pathol.42,1259-64(2011))。
【0142】
一実施形態では、上に記載される抗体(例えば、PRX004)は、それを必要とする対象への投与に好適な組成物に組み込まれ得る。別の実施形態では、上に記載される抗体(例えば、PRX004)は、上述の疾患および状態のうちのいずれかの治療または予防の使用のために医薬組成物に組み込まれ得る。一般に、抗体または抗体を含む医薬組成物は、それを必要とする対象に投与される。治療が可能な患者には、TTRアミロイドーシスのリスクがあるが、症状を示していない個体、および現在症状を示している患者が含まれる。一部の患者は、TTRアミロイドーシスの前駆期の間に治療され得る。
【0143】
TTRアミロイドーシスを患う個体は時に、以下のうちの1つ以上を含む、TTRアミロイドーシスの臨床症状から認識され得る:(1)神経障害性疾患の家族歴、特に心不全に関連するもの;(2)病因不明の神経障害性疼痛または進行性の感覚障害;(3)明らかな原因のない手根管症候群、特に、それが両側性であり、外科的開放術を必要とする場合;(4)病因不明の消化管運動障害または自律性神経機能障害(例えば、勃起不全、起立性低血圧、神経因性膀胱);(5)高血圧の不在下で厚くなった心室壁によって特徴付けられる心疾患;(6)起源不明の高度房室ブロック、特に厚くなった心臓を伴う場合;ならびに(6)綿花様白斑タイプの硝子体封入体。Ando et al.,Orphanet Journal of Rare Diseases 8:31(2013)を参照されたい。しかしながら、TTRアミロイドーシスの確定診断は、典型的には、標的器官の生検に依存し、続いて、切除された組織をアミロイド特異的色素であるコンゴレッドで組織学的染色を行う。アミロイドの陽性検査が観察される場合、その後、TTRの免疫組織化学染色を行い、アミロイド形成に関与する前駆体タンパク質が実際にTTRであることを確実にする。次いで、疾患の家族性形態については、確定診断が下され得る前に、TTRをコードする遺伝子の変異の実証が必要とされる。
【0144】
対象の特定は、臨床状況、または例えば、対象が自己検査キットを自身で使用することを介する、対象の自宅などの他の場所で起こり得る。例えば、対象は、末梢性ニューロパチー(感覚および運動)、自律性ニューロパチー、消化管障害、心筋症、腎症、または眼の沈着などの様々な症状に基づいて特定することができる。Ando et al.,Orphanet Journal of Rare Diseases 8:31(2013)を参照されたい。実施例に開示されているように、対象は、対照試料と比較して、対象からの血漿試料中の非天然形態のTTRのレベルの増加によっても特定することができる。
【0145】
TTRアミロイドーシスの家族歴、遺伝子検査、または医学的スクリーニングによって保証されるように、治療は、どの年齢(例えば、20歳、30歳、40歳、50歳、60歳、または70歳)でも開始することができる。治療は、典型的には、ある期間にわたって複数の用量を伴い、抗体、または治療剤(例えば、アミノ酸残基89~97を含むTTRの切断形態)に対する活性化T細胞もしくはB細胞応答を経時的にアッセイすることによって、モニタリングすることができる。応答が落ちると、追加用量が示される。
【0146】
予防的用途では、抗体またはその医薬組成物は、疾患のリスクの低減、疾患の重症度の減少、または疾患の少なくとも1つの兆候もしくは症状の発症の遅延に効果的なレジメン(用量、頻度、および投与経路)で、疾患(例えば、TTRアミロイドーシス)に感受性であるか、またはそうでなければ疾患のリスクがある対象に投与される。治療用途では、抗体または抗体を誘発するための免疫原は、疾患の少なくとも1つの兆候または症状を改善するか、またはそのさらなる悪化を少なくとも阻害するのに効果的なレジメン(用量、頻度、および投与経路)で、疾患(例えば、TTRアミロイドーシス)が疑われるか、または疾患をすでに患っている対象に投与される。
【0147】
ニューロパチーを改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象においてニューロパチーを改善する方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、投与することは、ニューロパチー障害スコア(NIS)の低減をもたらす。
【0149】
ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含み、投与することは、NISを低減することを必要とするヒト対象においてそれを行う。
【0150】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、約1~約50(例えば、約1~約45、約1~約40、約1~約35、約1~約30、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、約1~約5、約5~約50、約5 約45、約5~約40、約5~約35、約5~約30、約5~約25、約5~約20、約5~約15、約5~約10、約15~約50、約15~約45、約15~約40、約15~約35、約15~約30、約15~約25、約15~約20、約20~約50、約25~約45、約20~約40、約20~約35、約20~約30、約20~約25、約25~約50、約25~約45、約25~約40、約25~約35、約25~約30、約30~約50、約30~約45、約30~約40、約30~約35、約35~約50、約35~約45、約35~約40、約40~約50、または約45~約50)(例えば、投与前のヒト対象におけるNISと比較して)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)の低減されたNISをもたらす。
【0151】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、約0.1~約5.0(例えば、約0.1~約5、約0.1~約4.9、約0.1~約4.8、約0.1~約4.7、約0.1~約4.6、約0.1~約4.5、約0.1~約4.4、約0.1~約4.3、約0.1~約4.2、約0.1~約4.1、約0.1~約4、約0.1~約3.9、約0.1~約3.8、約0.1~約3.7、約0.1~約3.6、約0.1~約3.5、約0.1~約3.4、約0.1~約3.3、約0.1~約3.2、約0.1~約3.1、約0.1~約3、約0.1~約2.9、約0.1~約2.8、約0.1~約2.7、約0.1~約2.6、約0.1~約2.5、約0.1~約2.4、約0.1~約2.3、約0.1~約2.2、約0.1~約2.1、約0.1~約2、約0.1~約1.9、約0.1~約1.8、約0.1~約1.7、約0.1~約1.6、約0.1~約1.5、約0.1~約1.4、約0.1~約1.3、約0.1~約1.2、約0.1~約1.1、約0.1~約1、約0.1~約0.9、約0.1~約0.8、約0.1~約0.7、約0.1~約0.6、約0.1~約0.5、約0.1~約0.4、約0.1~約0.3、約0.1~約0.2、約0.5~約5、約0.5~約4.9、約0.5~約4.8、約0.5~約4.7、約0.5~約4.6、約0.5~約4.5、約0.5~約4.4、約0.5~約4.3、約0.5~約4.2、約0.5~約4.1、約0.5~約4、約0.5~約3.9、約0.5~約3.8、約0.5~約3.7、約0.5~約3.6、約0.5~約3.5、約0.5~約3.4、約0.5~約3.3、約0.5~約3.2、約0.5~約3.1、約0.5~約3、約0.5~約2.9、約0.5~約2.8、約0.5~約2.7、約0.5~約2.6、約0.5~約2.5、約0.5~約2.4、約0.5~約2.3、約0.5~約2.2、約0.5~約2.1、約0.5~約2、約0.5~約1.9、約0.5~約1.8、約0.5~約1.7、約0.5~約1.6、約0.5~約1.5、約0.5~約1.4、約0.5~約1.3、約0.5~約1.2、約0.5~約1.1、約0.5~約1、約0.5~約0.9、約0.5~約0.8、約0.5~約0.7、約0.5~約0.6、約1~約5、約1~約4.9、約1~約4.8、約1~約4.7、約1~約4.6、約1~約4.5、約1~約4.4、約1~約4.3、約1~約4.2、約1~約4.1、約1~約4、約1~約3.9、約1~約3.8、約1~約3.7、約1~約3.6、約1~約3.5、約1~約3.4、約1~約3.3、約1~約3.2、約1~約3.1、約1~約3、約1~約2.9、約1~約2.8、約1~約2.7、約1~約2.6、約1~約2.5、約1~約2.4、約1~約2.3、約1~約2.2、約1~約2.1、約1~約2、約1~約1.9、約1~約1.8、約1~約1.7、約1~約1.6、約1~約1.5、約1~約1.4、約1~約1.3、約1~約1.2、約1~約1.1、約1.5~約5、約1.5~約4.9、約1.5~約4.8、約1.5~約4.7、約1.5~約4.6、約1.5~約4.5、約1.5~約4.4、約1.5~約4.3、約1.5~約4.2、約1.5~約4.1、約1.5~約4、約1.5~約3.9、約1.5~約3.8、約1.5~約3.7、約1.5~約3.6、約1.5~約3.5、約1.5~約3.4、約1.5~約3.3、約1.5~約3.2、約1.5~約3.1、約1.5~約3、約1.5~約2.9、約1.5~約2.8、約1.5~約2.7、約1.5~約2.6、約1.5~約2.5、約1.5~約2.4、約1.5~約2.3、約1.5~約2.2、約1.5~約2.1、約1.5~約2、約1.5~約1.9、約1.5~約1.8、約1.5~約1.7、約1.5~約1.6、約2~約5、約2~約4.9、約2~約4.8、約2~約4.7、約2~約4.6、約2~約4.5、約2~約4.4、約2~約4.3、約2~約4.2、約2~約4.1、約2~約4、約2~約3.9、約2~約3.8、約2~約3.7、約2~約3.6、約2~約3.5、約2~約3.4、約2~約3.3、約2~約3.2、約2~約3.1、約2~約3、約2~約2.9、約2~約2.8、約2~約2.7、約2~約2.6、約2~約2.5、約2~約2.4、約2~約2.3、約2~約2.2、約2~約2.1、約2.5~約5、約2.5~約4.9、約2.5~約4.8、約2.5~約4.7、約2.5~約4.6、約2.5~約4.5、約2.5~約4.4、約2.5~約4.3、約2.5~約4.2、約2.5~約4.1、約2.5~約4、約2.5~約3.9、約2.5~約3.8、約2.5~約3.7、約2.5~約3.6、約2.5~約3.5、約2.5~約3.4、約2.5~約3.3、約2.5~約3.2、約2.5~約3.1、約2.5~約3、約2.5~約2.9、約2.5~約2.8、約2.5~約2.7、約2.5~約2.6、約3~約5、約3~約4.9、約3~約4.8、約3~約4.7、約3~約4.6、約3~約4.5、約3~約4.4、約3~約4.3、約3~約4.2、約3~約4.1、約3~約4、約3~約3.9、約3~約3.8、約3~約3.7、約3~約3.6、約3~約3.5、約3~約3.4、約3~約3.3、約3~約3.2、約3~約3.1、約3.5~約5、約3.5~約4.9、約3.5~約4.8、約3.5~約4.7、約3.5~約4.6、約3.5~約4.5、約3.5~約4.4、約3.5~約4.3、約3.5~約4.2、約3.5~約4.1、約3.5~約4、約3.5~約3.9、約3.5~約3.8、約3.5~約3.7、約3.5~約3.6、約4~約5、約4~約4.9、約4~約4.8、約4~約4.7、約4~約4.6、約4~約4.5、約4~約4.4、約4~約4.3、約4~約4.2、約4~約4.1、約4.5~約5、約4.5~約4.9、約4.5~約4.8、約4.5~約4.7、または約4.5~約4.6)(例えば、投与前のヒト対象におけるNISと比較して)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)の低減されたNISをもたらす。
【0152】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、少なくとも約0.1、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約21、少なくとも約22、少なくとも約23、少なくとも約24、少なくとも約25、少なくとも約26、少なくとも約27、少なくとも約28、少なくとも約29、少なくとも約30、少なくとも約31、少なくとも約32、少なくとも約33、少なくとも約34、少なくとも約35、少なくとも約36、少なくとも約37、少なくとも約38、少なくとも約39、少なくとも約40、少なくとも約41、少なくとも約42、少なくとも約43、少なくとも約44、少なくとも約45、少なくとも約46、少なくとも約47、少なくとも約48、少なくとも約49、または少なくとも約50(例えば、投与前のヒト対象におけるNISと比較して)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)のNISの低減をもたらす。
【0153】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、少なくとも約0.1、少なくとも約0.2、少なくとも約0.3、少なくとも約0.4、少なくとも約0.5、少なくとも約0.6、少なくとも約0.7、少なくとも約0.8、少なくとも約0.9、少なくとも約1、少なくとも約1.1、少なくとも約1.2、少なくとも約1.3、少なくとも約1.4、少なくとも約1.5、少なくとも約1.6、少なくとも約1.7、少なくとも約1.8、少なくとも約1.9、少なくとも約2、少なくとも約2.1、少なくとも約2.2、少なくとも約2.3、少なくとも約2.4、少なくとも約2.5、少なくとも約2.6、少なくとも約2.7、少なくとも約2.8、少なくとも約2.9、少なくとも約3、少なくとも約3.1、少なくとも約3.2、少なくとも約3.3、少なくとも約3.4、少なくとも約3.5、少なくとも約3.6、少なくとも約3.7、少なくとも約3.8、少なくとも約3.9、少なくとも約4、少なくとも約4.1、少なくとも約4.2、少なくとも約4.3、少なくとも約4.4、少なくとも約4.5、少なくとも約4.6、少なくとも約4.7、少なくとも約4.8、少なくとも約4.9、または少なくとも約5(例えば、投与前のヒト対象におけるNISと比較して)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)のNISの低減をもたらす。
【0154】
心臓収縮機能を改善することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心臓収縮機能を改善する方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、投与することは、ヒト対象におけるグローバル長軸方向ストレイン(GLS)の低減をもたらす。
【0156】
ATTRアミロイドーシスを治療することを必要とするヒト対象においてそれを行う方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含み、投与することは、グローバル長軸方向ストレイン(GLS)を低減することを必要とするヒト対象においてそれを行う。
【0157】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、グローバル長軸方向ストレイン(GLS)によって測定された場合、約0.1%~約99%(例えば、約0.1%~約99%、約0.1%~約95%、約0.1%~約90%、約0.1%~約85%、約0.1%~約80%、約0.1%~約75%、約0.1%~約70%、約0.1%~約65%、約0.1%~約60%、約0.1%~約55%、約0.1%~約50%、約0.1%~約45%、約0.1%~約40%、約0.1%~約35%、約0.1%~約30%、約0.1%~約25%、約0.1%~約20%、約0.1%~約15%、約0.1%~約10%、約0.1%~約5%、約0.1%~約1%、約1%~約99%、約1%~約95%、約1%~約90%、約1%~約85%、約1%~約80%、約1%~約75%、約1%~約70%、約1%~約65%、約1%~約60%、約1%~約55%、約1%~約50%、約1%~約45%、約1%~約40%、約1%~約35%、約1%~約30%、約1%~約25%、約1%~約20%、約1%~約15%、約1%~約10%、約1%~約5%、約5%~約99%、約5%~約95%、約5%~約90%、約5%~約85%、約5%~約80%、約5%~約75%、約5%~約70%、約5%~約65%、約5%~約60%、約5%~約55%、約5%~約50%、約5%~約45%、約5%~約40%、約5%~約35%、約5%~約30%、約5%~約25%、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約10%~約95%、約10%~約90%、約10%~約85%、約10%~約80%、約10%~約75%、約10%~約70%、約10%~約65%、約10%~約60%、約10%~約55%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約99%、約15%~約95%、約15%~約90%、約15%~約85%、約15%~約80%、約15%~約75%、約15%~約70%、約15%~約65%、約15%~約60%、約15%~約55%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、約15%~約20%、約20%~約99%、約20%~約95%、約20%~約90%、約20%~約85%、約20%~約80%、約20%~約75%、約20%~約70%、約20%~約65%、約20%~約60%、約20%~約55%、約20%~約50%、約20%~約45%、約20%~約40%、約20%~約35%、約20%~約30%、約20%~約25%、約25%~約99%、約25%~約95%、約25%~約90%、約25%~約85%、約25%~約80%、約25%~約75%、約25%~約70%、約25%~約65%、約25%~約60%、約25%~約55%、約25%~約50%、約25%~約45%、約25%~約40%、約25%~約35%、約25%~約30%、約30%~約99%、約30%~約95%、約30%~約90%、約30%~約85%、約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、約30%~約60%、約30%~約55%、約30%~約50%、約30%~約45%、約30%~約40%、約30%~約35%、約35%~約99%、約35%~約95%、約35%~約90%、約35%~約85%、約35%~約80%、約35%~約75%、約35%~約70%、約35%~約65%、約35%~約60%、約35%~約55%、約35%~約50%、約35%~約45%、約35%~約40%、約40%~約99%、約40%~約95%、約40%~約90%、約40%~約85%、約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、約40%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、約40%~約45%、約45%~約99%、約45%~約95%、約45%~約90%、約45%~約85%、約45%~約80%、約45%~約75%、約45%~約70%、約45%~約65%、約45%~約60%、約45%~約55%、約45%~約50%、約50%~約99%、約50%~約95%、約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約65%、約50%~約60%、約50%~約55%、約55%~約99%、約55%~約95%、約55%~約90%、約55%~約85%、約55%~約80%、約55%~約75%、約55%~約70%、約55%~約65%、約55%~約60%、約60%~約99%、約60%~約95%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、約60%~約65%、約65%~約99%、約65%~約95%、約65%~約90%、約65%~約85%、約65%~約80%、約65%~約75%、約65%~約70%、約70%~約99%、約70%~約95%、約70%~約90%、約70%~約85%、約70%~約80%、約70%~約75%、約75%~約99%、約75%~約95%、約75%~約90%、約75%~約85%、約75%~約80%、約80%~約99%、約80%~約95%、約80%~約90%、約80%~約85%、約85%~約99%、約85%~約95%、約85%~約90%、約90%~約99%、約90%~約95%、または約95%~約99%の減少)(例えば、投与前のヒト対象におけるGLSと比較して)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)の改善された心臓収縮機能をもたらす。
【0158】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、グローバル長軸方向ストレイン(GLS)によって測定された場合、少なくとも約少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、少なくとも約2.5%、少なくとも約3%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4%、少なくとも約4.5%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、少なくとも約20%、少なくとも約21%、少なくとも約22%、少なくとも約23%、少なくとも約24%、少なくとも約25%、少なくとも約26%、少なくとも約27%、少なくとも約28%、少なくとも約29%、少なくとも約30%、少なくとも約31%、少なくとも約32%、少なくとも約33%、少なくとも約34%、少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約41%、少なくとも約42%、少なくとも約43%、少なくとも約44%、少なくとも約45%、少なくとも約46%、少なくとも約47%、少なくとも約48%、少なくとも約49%、少なくとも約50%、少なくとも約51%、少なくとも約52%、少なくとも約53%、少なくとも約54%、少なくとも約55%、少なくとも約56%、少なくとも約57%、少なくとも約58%、少なくとも約59%、少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)の改善された心臓収縮機能をもたらす。
【0159】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片を投与することは、GLSによって測定された場合、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約1.1%、少なくとも約1.2%、少なくとも約1.3%、少なくとも約1.4%、少なくとも約1.5%、少なくとも約1.6%、少なくとも約1.7%、少なくとも約1.8%、少なくとも約1.9%、少なくとも約2%、少なくとも約2.1%、少なくとも約2.2%、少なくとも約2.3%、少なくとも約2.4%、少なくとも約2.5%、少なくとも約2.6%、少なくとも約2.7%、少なくとも約2.8%、少なくとも約2.9%、少なくとも約3%、少なくとも約3.1%、少なくとも約3.2%、少なくとも約3.3%、少なくとも約3.4%、少なくとも約3.5%、少なくとも約3.6%、少なくとも約3.7%、少なくとも約3.8%、少なくとも約3.9%、少なくとも約4%、少なくとも約4.1%、少なくとも約4.2%、少なくとも約4.3%、少なくとも約4.4%、少なくとも約4.5%、少なくとも約4.6%、少なくとも約4.7%、少なくとも約4.8%、少なくとも約4.9%、または少なくとも約5%)(例えば、本明細書に記載される例示的な用量および/または頻度のいずれかを使用して投与されたとき)の改善された心臓収縮機能をもたらす。
【0160】
心不全を治療することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心不全を治療する方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含み、それを必要とするヒト対象のニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスは増加しない。
【0161】
一般に、対象の心不全は、その症状の重症度に従って分類される。ニューヨーク心臓協会(NYHA)の分類システムは、4つのクラス(I、II、III、およびIV)を含む。各クラスに関連する対象の症状を以下に列挙する。
クラスI:身体活動の制限はない。通常の身体活動は、過度の疲労、動悸、呼吸困難(息切れ)を引き起こさない。
クラスII:身体活動のわずかな制限。安静時に快適である。通常の身体活動は、疲労、動悸、呼吸困難(息切れ)をもたらす。
クラスIII:身体活動の著しい制限。安静時に快適である。通常の活動よりも少ないことで、疲労、動悸、または呼吸困難が引き起こされる。
クラスIV:不快感なくいかなる身体活動も続けることができない。安静時に心不全の症状。何らかの身体活動が行われると、不快感が増加する。
【0162】
したがって、アミロイドトランスサイレチンアミロイドーシスを治療するいくつかの実施形態では、治療有効量の、本明細書に記載される抗体または抗原結合性断片を投与することは、ヒト対象においてNYHAクラスI、II、またはIIIを治療するのに十分な期間の後にNYHAクラスの増加をもたらさない。
【0163】
例えば、ベースラインのNYHAクラス判定がクラスIである対象は、次のNYHAクラスまたはそれ以上に進行するのではなく、対象を治療するのに十分な期間の後にNYHAクラスIに留まっている。
【0164】
心不全を治療することを必要とする、ATTRアミロイドーシスを有するヒト対象において心不全を治療する方法もまた本明細書に提供され、方法は、それを必要とするヒト対象に、治療有効量の抗体またはその抗原結合性断片を投与することを含み、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含み、投与することは、ヒト対象のNYHAクラスI、II、III、またはIVを治療するのに十分な期間後に改善されたNYHAクラスをもたらす。
【0165】
例えば、ベースラインのNYHAクラス判定がクラスIIである対象は、後の時点で評価されたときに、クラスIIに留まるか、または次のNYHAクラスもしくはそれ以上に進行するのではなく、対象を治療するのに十分な期間(例えば、本明細書に記載されるような期間)の後にNYHAクラスIに改善する。他の可能な例(例えば、クラスIIIからクラスIIに移動する対象)は、以前の例によって理解される。
【0166】
上に記載される重鎖および軽鎖のいずれかをコードする核酸(例えば、配列番号7~10)もまた本明細書に提供される。核酸のコード配列は、調節配列と作動可能に連結されて、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、転写終結シグナルなどのコード配列の発現を確実にすることができる。重鎖および軽鎖をコードする核酸は、単離形態で発生し得るか、または1つ以上のベクターにクローニングされ得る。核酸は、例えば、重複オリゴヌクレオチドの固体合成またはPCRによって合成され得る。重鎖および軽鎖をコードする核酸は、例えば、発現ベクター内で、1つの連続核酸として結合され得るか、または例えば、各々をそれ自身の発現ベクター内にクローニングするなど、分離され得る。
【0167】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、PRX004は、約0.1mg/kg~約50mg/kgのPRX004でヒト対象に投与される。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、PRX004は、約1mg/kg~約30mg/kgのPRX004でヒト対象に投与される。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、PRX004は、ヒト対象に投与され、約3mg/kg~約10mg/kgまたは約10mg/kg~約30mg/kgを含む。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、PRX004は、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、約32mg/kg、約33mg/kg、約34mg/kg、約35mg/kg、約36mg/kg、約37mg/kg、約38mg/kg、約39mg/kg、約40mg/kg、約41mg/kg、約42mg/kg、約43mg/kg、約44mg/kg、約45mg/kg、約46mg/kg、約47mg/kg、約48mg/kg、約49mg/kg、または約50mg/kgでヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、PRX004は、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約1.0mg/kg、約3mg/kg、約10mg/kg、または約30mg/kgのPRX004でヒト対象に投与される。
【0168】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、PRX004は、対象に静脈内投与される。
【0169】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、PRX004は、それを必要とする対象に無期限に投与される。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、PRX004は、約1ヶ月~約1年、約2ヶ月~約11ヶ月、約3ヶ月~約10ヶ月、約4ヶ月~約9ヶ月、または約5ヶ月~約8ヶ月投与される。いくつかの実施形態では、PRX004は、約12ヶ月、18ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月、約36ヶ月、約42ヶ月、約48ヶ月、約54ヶ月、約60ヶ月、約66ヶ月、約72ヶ月、約78ヶ月、約84ヶ月、約90ヶ月、約96ヶ月、約102ヶ月、約108ヶ月、約114ヶ月、または約120ヶ月間投与される。
【0170】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、PRX004は、約14日毎、約2週間毎、約3週間毎、約28日毎、約4週間毎、約毎月、約5週間毎、約6週間毎、約7週間毎、約8週間毎、または約2ヶ月毎の間隔(または投与頻度)でそれを必要とする対象に投与される。
【0171】
抗体またはその抗原結合性断片と、本明細書に記載される方法のうちのいずれかを実施するための説明書とを含むキットもまた本明細書に提供され、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変ドメイン、ならびに配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0172】
いくつかのキットでは、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号8を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0173】
いくつかのキットでは、抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号9を含む重鎖、および配列番号10を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、C末端リジンを含まない。
【実施例】
【0174】
実施例1.PRX004抗体の評価
この第I相、非盲検、多施設、3+3用量漸増試験(NCT03336580)では、hATTRを有する21人の患者が4ヵ国で登録され、用量漸増(DE)段階で、28日毎に1回、最大3回の注入でPRX004を静脈内投与された。患者は、最低用量から開始して、0.1、0.3、1、3、10、および30mg/kgの以下の6つのPRX004用量コホートのうちの1つに登録された。用量制限毒性(DLT)が全く観察されなかったときに、次のより高い用量レベルへの登録を行った。適格な患者は、長期延長(LTE)段階で最大15回の追加の注入を投与された。タファミジスまたはジフルシナルの安定用量が許可された。
【0175】
この第I相試験では、以下の目的を評価した。主要目的:安全性、忍容性、PKおよびターゲットエンゲージメント(misTTRアッセイ)の評価、MTDまたはRP2Dの決定。副次的目的:免疫原性の評価。探索的目的:hATTR-CMを有する、または有さないhATTR-PNを有する患者における有効性(NIS)の特徴付け(コホート4~6)。
【0176】
研究患者21人のうち、大半は男性のコーカソイドであり、42~78歳の範囲であった。3人の患者は心筋症(CM)のみを有し、7人は末梢性ニューロパチー(PN)のみを有し、11人はCMおよびPNの両方を有していた(表1)。
【表1】
【0177】
21人の患者全員がDE段階を完了し、その後17人がLTEに登録され、1~14回の追加用量のPRX004が投与された。試験のDE段階またはLTE段階のいずれにおいても、薬剤関連の重篤な有害事象(AE)、薬剤関連の≧グレード3の事象、死亡、またはDLTは報告されなかった。最も頻繁なTEAE≧10%は、転倒、貧血、便秘、上気道感染症、背部痛、下痢、および不眠であった。(表2)。
【表2】
【0178】
2人の対象が一過性の抗薬物抗体陽性であったが、しかしながら、これらの対象に臨床的続発症はなく、PKに変化は認められなかった。
【0179】
研究のLTE部分は、COVID-19のパンデミックが始まった時点で継続中であった。パンデミックの結果として、患者は長期延長試験で研究訪問せず、この研究部分は最終的に中止された。結果として、第I相試験のコホート4、5、および6で、9ヵ月間にわたってすべての注入を投与された7人の患者が、有効性の評価可能とみなされた。
【0180】
PRX004の薬物動態解析
PRX004は、IgG1モノクローナル抗体と一致するPKプロファイルを示し、曝露は用量に比例して増加した。
図1Aおよび1Bは、コホート1~6(それぞれ、0.1mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg、および30mg/kg)に対して、1ヵ月目の初回用量(
図1A)および3ヵ月目の用量(
図1B)における経時的なPRX004の濃度(μg/ml)を示す。表3は、3ヵ月目での薬物動態データを示す。データは、抗体への曝露が用量比例的様式で増加することを示す。約31日間の平均の観察されたT
1/2は、6つの用量レベルのコホートすべてにわたって類似していた。
【0181】
PRX004用量選択の検証
現在、患者におけるアミロイドレベルの定量的非侵襲的測定は存在しないため、ミスフォールディングされたTTRに対する専有のアッセイを使用して、患者の血漿中のミスフォールディングされたTTR種へのPRX004の結合の測定を利用した。
【0182】
予期されるアミロイド結合を評価するために、血漿希釈およびアミロイド対血漿単量体への結合動態の原因となるPRX004による遊離非天然TTRの低減、ならびに心臓における抗体曝露を含む、いくつかの変数を解析に組み入れた。例えば、これらの非天然血漿種は主に単量体から構成され、血液中のTTR解離の直接的な産物である可能性が高い。PRX004は、アミロイドよりも低い親和性で単量体に結合する。さらに、アッセイに特異的な分析前条件は、血漿が採取された後のPRX004の解離をもたらす。これらの因子を考慮すると、アミロイド結合を正確に推定することができる。
【0183】
得られたモデルを
図2A~Cに示し、それは、3mg/kg以上のPRX004の用量レベルが、組織内の飽和を達成するのに同等かつ十分であることを示す。
図2Aは、異なる用量コホートからのミスフォールディングされたTTRへのPRX004の結合に基づくモデル化されたアミロイド結合の結果を示す。
図2Bは、上に記載される要因に基づく、曲線への調整(赤色の線が左にシフトした)を示す。
図2Cは、異なる用量に対する血液中のPRX004の濃度(μg/mL)を重ね合わせ、PRX004の用量≧3mg/kgが、アミロイドの>90%を占める曝露に到達すると予期されることを示す。これらの所見に基づき、有効性評価のために、コホート4、5、および6(それぞれ、3mg/kg、10mg/kg、および30mg/kgの用量)をプールした。
【0184】
PRX004のターゲットエンゲージメント
ターゲットエンゲージメントは、結合されていないmisTTRの血漿レベルの時間および用量依存的減少によって示された。
図3A~Bは、コホート3、4、5、および6の1ヵ月目のPRX004の投与後(
図3A)および3ヶ月目の用量後(
図3B)の、経時的なベースラインのパーセントとしてのmisTTRの量を示すグラフである。
【0185】
図4Aは、コホート3、4、5、および6のmisTTRの用量依存的な減少を示すグラフである。遊離misTTRの低減は、ターゲットエンゲージメントの証拠を提供する。患者がベースラインで定量限界未満であったため、コホート3および4(1mg/kgおよび3mg/kg)のベースラインの正常化は、パチシランの残留効果によって影響を受け得、コホート3(1mg/kg)はn=2、およびコホート6(30mg/kg)はn=5である。
【0186】
図4Bは、PRX004の用量後の経時的な総トランスサイレチンタンパク質(ベースライン%)を示すグラフである。すべての患者は、以前にパチシランで治療されていない(n=15)。正常なTTRレベルの変化の欠如は、PRX004に対して提案された作用機序と一致している。データを、平均±測定の標準誤差で示す。
【0187】
図4Cは、PRX004の用量後の経時的な総トランスサイレチンタンパク質(ベースライン%)を示すグラフである。すべての患者は、以前にパチシランで治療されていない(n=15)。正常なTTRレベルの変化の欠如は、PRX004に対して提案された作用機序と一致している。データを、平均±標準偏差で示す。
【0188】
PRX004のアミロイド占有率を、PK-PDモデルによって評価した。BIACOREの結果は、PRX004が、凝集TTR(親和性+アビディティー)に対して3.2nM(0.48mg/mL)、および単量体TTR(親和性)に対して134nMの見かけの親和性(KD)で結合することを示す。より高い結合強度は、主に、単量体に対するアミロイドからのより遅いオフレートによって駆動される(2.0e-4s-1対3.7e-3s-1)。
【0189】
血漿Cmaxは、薬剤が投与された後、および第2の用量の投与前に、指定された試験領域で薬剤が達成する最大(またはピーク)血清濃度である。3ヵ月目のPRX004 3mg/kg用量の血漿Cmaxは、686nM(103ug/ml)である。3mg/kg用量での心臓におけるPRX004の濃度は、約68nM(10.3μg/ml)と予期され、これは親和性の尺度およびエクスビボデータに基づいて、>90%のアミロイド占有率に達するであろう。遅いオフレートに起因するアミロイドに結合した抗体の滞留時間の増加は、経時的に蓄積および用量反応占有率の左シフトにつながり得る。
【0190】
図5A~Gは、心臓アミロイド沈着物への対照抗体(
図5A)および様々な濃度のPRX004のマウス前駆体(mPRX004)(
図5B~F)の結合を示す画像である。
図5Gは、心臓アミロイド沈着物に対するmPRX004の結合曲線を示すグラフである。mPRX004は、約20nM(3mg/ml)以上で予期される1.75nM(0.26mg/ml)および>90%の結合の見かけの親和性で、エクスビボで心臓アミロイドに結合する。
図5H~Mは、対照心臓組織における対照抗体(
図5H)および様々な濃度のマウス前駆体mPRX004(
図5I~M)の結合を示す画像である。データは、対照抗体もmPRX004も対照心臓組織と結合しないことを示し、心臓アミロイド沈着物に対するmPRX004の特異性を示している。
【0191】
観察されたPRX004曝露、アミロイドに対するPRX004の親和性、およびエクスビボATTRアミロイド占有率アッセイに基づいて、PRX004の>3mg/kgの用量は、アミロイド沈着物の>90%のオプソニン化およびクリアランスを可能にするのに十分であると推定した。
【0192】
ニューロパチーの評価
ニューロパチー障害スコア(NIS)は、筋力、反射活性、ならびに足の指および手の指の感覚を試験する臨床評価である。末梢性ニューロパチーを伴うhATTRを有する対象については、NISを使用して経時的に神経学的機能を評価することができる。NISは、下肢、上肢、および脳神経の神経学的検査を含み、総スコアは244(筋力低下[192]、感覚[32]、反射[20])である(Dyck,P.J.,et al.,Quantitating overall neuropathic symptoms,impairments,and outcomes.In:Dyck PJ,Thomas PK,editors.Peripheral neuropathy.4th ed.Philadelphia,PA:Elsevier Saunders;pgs.1031-51(2005))。
【0193】
mNIS+7は、同じ運動強度および筋力低下ならびに反射評価を含む304ポイント尺度である。mNIS+7の主な違いは、QSTまたは定量的感覚試験コンポーネントであり、これは、NISにおける感覚尺度を置き換え、より大きなダイナミックレンジ、80ポイント対32を提供し、感覚コンポーネントの変化を証明する。両方の尺度で、スコアが高いほど障害が大きいことを示す。
【0194】
上述のように、上記のPK-PDモデルの結果は、PRX004>3mg/kgの用量は、アミロイド沈着物をオプソニン化し、かつ>90%のクリアランスを可能にするのに十分であり、3、10および30mg/kgの用量コホートにわたって、NISスコアの変化のプールの事前指定を正当化した。
【0195】
ニューロパチーの重症度は、7人の患者において、ベースラインおよび9ヵ月時点でNISを用いて評価した。ATTRを有する患者において予期されるニューロパチーの自然歴は、NISでは月当たり約1ポイントの進行である。より具体的には、9ヵ月にわたって、9.2ポイントの増加によって表されるように、NISの悪化が予期される。この進行は、未治療患者およびプラセボ治療患者におけるNISの変化を記載する2つの刊行物に基づいて計算される。これらの9ヵ月の値は、Adams D et al.,Neurology.2015)およびBerk JL et al.,JAMA.2013における12ヵ月のNIS縦断的データセットからの線形補間に基づく(N=283、n=66)。
【0196】
PRX004治療患者は、この進行性疾患における公表された過去のデータの分析に基づいて、予期されるものに対して、平均ニューロパチー進行の速度が約86%遅くなったことを示した。
【0197】
7人の患者すべてについて、ニューロパチーの進行の減速は、9ヵ月時点で、1.29ポイントのNISのベースラインからの平均増加によって示された。これを、遺伝性ATTR末梢性ニューロパチーを有する患者の公表された過去データの分析に基づいて、未治療患者およびプラセボ治療患者における9ヵ月時点での9.2ポイントのNISの計算された平均増加と有利に比較する。7人の患者の間での平均改善に加えて、7人の評価可能患者の各々に対するNISの変化も、公表された過去データよりも良好であった。
【0198】
3人の患者は、ベースラインからのNISスコアの数値的な減少(改善)を示し(9ヵ月目で-3.33の平均変化)、4人は、自然歴と比較してより遅い低下を示した(9ヵ月目でPRX004の平均変化+4.75対予期される平均変化+9)。(Berk,J.L.et al.,Repurposing diflunisal for familial amyloid polyneuropathy:a randomized clinical trial.JAMA,10(24):2658-2667(2013)、Adams,D.,et al.Rapid progression of familial amyloidotic polyneuropathy:a multinational natural history study.Neurology,85(8):675-682(2015)を参照されたい)。この観察されたNISの減少は、この高度に進行性の疾患において励みとなるものであった。
【0199】
併用安定剤療法なしで、PRX004を単独で投与された2人の患者について(
図6Bの矢印のある点)、9ヵ月時点でのNISの平均変化はゼロであった。
【0200】
比較として、末梢性ニューロパチーを有する遺伝性ATTRの治療に承認された薬剤であるパチシランの別の研究では、NISの平均増加は18ヵ月時点で2.6ポイントであった。Coelho et al.Orphanet Journal of Rare Diseases,2020、Onpattro EPAR public assessment report EMA/55462/2018 October 30,2018を参照されたい。
【0201】
図6Aは、コホート4(3mg/kg)、5(10mg/kg)、および6(30mg/kg)に対する、治療間隔(9ヵ月または12ヶ月)にわたる、ベースラインからのニューロパチー障害スコア(NIS)の変化を示すグラフである。
【0202】
図6Bは、コホート4(3mg/kg)、5(10mg/kg)、および6(30mg/kg)に対する、治療間隔(9ヵ月または12ヶ月)にわたる、ベースラインからのNISの変化を示す
図5Aのデータの別の表示である。
図6Bの矢印付きの点は、併用安定剤療法なしで、PRX004を単独で投与された2人の患者のデータを表す。表3は、
図6A~Bに示されるデータを要約する。
【表3】
【0203】
心臓収縮機能
心臓収縮機能の重要な尺度であるグローバル長軸方向ストレイン(GLS)を評価した。この尺度の減少は、改善を示す。
【0204】
グローバル長軸方向ストレイン(GLS)の改善が、7人の患者すべてで観察された(平均変化は-1.21%)。NISスコアの数値的な減少(改善)があった3人の患者について、GLSは、-1.51%の平均変化によって改善した。NISと同様に、これらの陽性結果は、安定剤療法の併用の有無に関わらず、患者で観察された。PRX004を単独で投与された2人の患者について、GLSの平均変化は-2.16%であった。
【0205】
APOLLO試験では、パチシラン治療患者は、18ヵ月時点で0.08%のGLSの平均増加があった。APOLLOのプラセボ治療群において、GLSの平均増加は、18ヵ月時点で1.46%であり、それは、このプラセボ治療患者集団における正常な進行を示す。Solomon et al.Circulation.2019を参照されたい。
【0206】
NISの結果とともに、PRX004で治療された患者における心臓収縮機能の改善が見られることは励みである。
【0207】
図7は、コホート4(3mg/kg)、5(10mg/kg)、および6(30mg/kg)に対する、治療(9ヵ月または12ヶ月)にわたる、ベースラインからのNISの変化を示すグラフである。
図7の矢印付きの点は、PRX004を単独で投与された患者のデータを表す。
【表4】
【0208】
NYHA分類
NHYA分類を、ベースラインおよび9ヵ月時点で、7人の患者の各々について評価した。データを表5に要約する。
【表5】
【0209】
データは、すべての患者が最後に評価された時点で安定していたことを示す。ベースラインでNYHA Iを有する5人の患者は、9ヵ月目で安定したままであった。ベースラインでNYHAを有する1人の患者は、9ヵ月目でNYHA IIに一過性に移行したが、その後NYHA Iに戻った。ベースラインでNYHA IIを有する1人の患者は、9ヵ月目で安定したままであった。したがって、データは、7人の患者すべてが、ベースラインでのNYHAクラスに関して9ヵ月の治療後に安定したままであったことを示す。
【0210】
まとめると、データは、PRX004の毎月のIV注入が、試験された最高用量レベルである30mg/kgまでのすべての用量レベルで安全かつ忍容性が良好であったことを示した。ターゲットエンゲージメントは、結合されていないmisTTRの血漿レベルの時間および用量依存的減少によって示された。この研究では、PRX004を投与されている患者において、9ヵ月時点でニューロパチーおよび心臓収縮機能に対する利益が観察された。患者は、自然歴と比較して、NISによって測定されるニューロパチーの改善またはより少ない低下を示した。これらの患者はすべてGLSの改善があった。これらの観察された臨床的改善は、アミロイド標的化が患者に治療的利益を提供することを示唆している。この第I相試験は、罹患した器官においてアミロイドを枯渇させるように設計された新規の作用機序を有する、ATTRアミロイドーシスの潜在的な治療のための療法の初めての臨床結果を表す。
【0211】
実施例2.mPRX004の特徴付け
図8は、mPRX004による用量依存的様式での線維形成の阻害を示すグラフである。
図9A~Dは、心臓組織(
図9A~B)、坐骨神経組織(
図9C)、およびGI管組織(
図9D)におけるアミロイドへのmPRX004結合の免疫組織化学画像を示す(Higaki,J.N.,et al.,Preclinical studies of mPRX004,the murine form of PRX004,Amyloid,23,86-97(2016)を参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
図10は、内在化した(例えば、貪食された)ATTRを有する細胞の割合を示すグラフである。
【0212】
まとまると、これらのデータは、mPRX004が、線維形成を効果的に阻害し(
図8)、示されるように、特定のアミノ酸置換を用いて、wtATTR(
図9A)およびhATTR対象(
図9B~D)の両方において複数の器官におけるアミロイド沈着物に特異的に結合し、インビボでアミロイドを除去し得る(
図10)。
【0213】
実施例3.PRX004の臨床調査
中等度から高度のATTR-CMを有する患者におけるPRX004のさらなる臨床試験が計画されている。患者がATTRと診断された時点で、患者は、NYHAクラスIIIまたはNYHAクラスIVに分類される疾患を有し得る。ATTRを有するNYHAクラスIIIおよびIVの患者では、全生存期間中央値は、1.3~2.1年である。Pinney J et al.2013、Gonzalez-Lopez E et al.2017を参照されたい。
【0214】
タファミジスは、現在、ATTR心筋症を有する患者に唯一承認されている療法である。しかしながら、ATTR-ACTの第3相試験では、タファミジスは、これらのNYHAクラスIIIの患者にほとんど利益を提供せず、タファミジスは、NYHAクラスIVの患者においては研究されていない。Maurer M et al.2018を参照されたい。さらに、タファミジスによる生存利益は、18ヵ月後まで観察されなかった。非常に多くの場合、中等度から高度の心臓患者は、それほど長く待つことができない。これらの患者における高レベルの心臓アミロイド沈着は、重度の臨床症状および早期の死亡につながる。
【0215】
サイレンサー療法は、ATTR心筋症の治療には承認されていない。この適応症のサイレンサーを調査する臨床試験もあるが、NYHAクラスIIIの高リスク患者とクラスIVのすべての患者を除外する。
【0216】
したがって、ATTRを有する患者の大部分を代表する、この中等度から高度の患者集団に対する療法を提供する必要がある。PRX004は、組織からアミロイドを特異的に標的にし、除去するように設計されているため、アミロイド沈着による早期死亡のリスクが高い患者における生存率を改善する可能性がある。
【0217】
配列付録
配列番号1 PRX004 重鎖CDR1
SYTMS
配列番号2 PRX004 重鎖CDR2
EINNSGDTTYYPDTVKG
配列番号3 PRX004 重鎖CDR3
HYYYGGGYGGWFFDV
配列番号4 PRX004 軽鎖CDR1
RSSKSLLHSNGNTYLY
配列番号5 PRX004 軽鎖CDR2
RVSNLAS
配列番号6 PRX004 軽鎖CDR3
MQHLEYPLT
配列番号7 PRX004 重鎖可変ドメイン
EVQLVESGGGLVQPGGSLKLSCAASGFTFSSYTMSWVRQTPEKRLELVAEINNSGDTTYYPDTVKGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLKSEDTAMYYCARHYYYGGGYGGWFFDVWGQGTLVTVSS
配列番号8 PRX004 軽鎖可変ドメイン
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSKSLLHSNGNTYLYWFLQKPGQSPQLLIYRVSNLASGVPSRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCMQHLEYPLTFGQGTKLEIKR
配列番号9 PRX004 重鎖成熟アミノ酸配列(C末端リジンは任意選択である)
EVQLVESGGG LVQPGGSLKL SCAASGFTFS SYTMSWVRQT PEKRLELVAE
INNSGDTTYY PDTVKGRFTI SRDNAKNTLY LQMSSLKSED TAMYYCARHY
YYGGGYGGWF FDVWGQGTLV TVSSASTKGP SVFPLAPSSK STSGGTAALG
CLVKDYFPEP VTVSWNSGAL TSGVHTFPAV LQSSGLYSLS SVVTVPSSSL
GTQTYICNVN HKPSNTKVDK RVEPKSCDKT HTCPPCPAPE LLGGPSVFLF
PPKPKDTLMI SRTPEVTCVV VDVSHEDPEV KFNWYVDGVE VHNAKTKPRE
EQYNSTYRVV SVLTVLHQDW LNGKEYKCKV SNKALPAPIE KTISKAKGQP
REPQVYTLPP SREEMTKNQV SLTCLVKGFY PSDIAVEWES NGQPENNYKT
TPPVLDSDGS FFLYSKLTVD KSRWQQGNVF SCSVMHEALH NHYTQKSLSL
SPGK
配列番号10 PRX004 軽鎖成熟アミノ酸配列
DIVMTQSPLS LPVTPGEPAS ISCRSSKSLL HSNGNTYLYW FLQKPGQSPQ
LLIYRVSNLA SGVPSRFSGS GSGTDFTLKI SRVEAEDVGV YYCMQHLEYP
LTFGQGTKLE IKRTVAAPSV FIFPPSDEQL KSGTASVVCL LNNFYPREAK
VQWKVDNALQ SGNSQESVTE QDSKDSTYSL SSTLTLSKAD YEKHKVYACE
VTHQGLSSPV TKSFNRGEC
配列番号11 トランスサイレチンの残基89~97
EHAEVVFTA
【0218】
他の実施形態
方法およびキットは、その詳細な説明と併せて記載されてきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される、本明細書に記載される方法およびキットの範囲を例示することを意図しており、限定するものではないことが理解されるべきである。他の態様、利点、および修飾は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【配列表】
【国際調査報告】