(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】SMDタイプTCOデバイス
(51)【国際特許分類】
H01H 37/04 20060101AFI20231108BHJP
H01H 9/02 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H01H37/04 A
H01H9/02 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522933
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 CN2020127258
(87)【国際公開番号】W WO2022094969
(87)【国際公開日】2022-05-12
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522092284
【氏名又は名称】ドングアン リテルヒューズ エレクロトニクス、カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーラー、ウェルナー
(72)【発明者】
【氏名】フ、チェン
(72)【発明者】
【氏名】ブ、ジアンミン
(72)【発明者】
【氏名】リアン、ケビン
【テーマコード(参考)】
5G041
5G052
【Fターム(参考)】
5G041AA14
5G041CA04
5G041CD10
5G052AA12
5G052BB10
5G052HC04
(57)【要約】
表面実装リフロープロセスに適したサーマルカットオフ(Thermal Cut-Off:TCO)デバイスを開示する。本TCOデバイスは、既存のリード線取り付けTCOデバイス構造体の後にモデル化されているが、表面実装リフロー操作に適したコンパクトで小型化された構造体に改善されている。アーム及びベース端子は、表面実装リフローのためのパッドを含む。ベースモールドは、PTCデバイス、バイメタルデバイス、及びアーム端子機構を受容するように設計されており、単一のベース端子又は複数部品のベース端子のいずれかを用いて動作する場合がある。複数のカバーの設計は、ベース端子に対してTCOデバイスの上部プレートの熱容量を下げるために開示されている。統合アーム及びバイメタルデバイス端子を特徴とするTCOデバイスもまた、統合端子を支持するように更新されたベース部と共に開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースモールド及びベース端子を有するベース部、ここで、前記ベース端子は、第1及び第2のパッドを含む;
前記ベース部に収容されているバイメタルディスク、前記バイメタルディスクは、前記ベース端子及びアーム端子の間に配設されている;及び
前記ベース端子に電気的に接続するための前記アーム端子;
を備え、ここで、前記第1及び第2のパッドは、表面実装リフロープロセスを用いて基板に取り付け可能である、サーマルカットオフ(TCO)デバイス。
【請求項2】
前記アーム端子が、前記表面実装リフロープロセスを用いて前記基板に取り付け可能な第3及び第4のパッドをさらに有する、請求項1に記載のTCOデバイス。
【請求項3】
前記ベース部が、
前記バイメタルディスクを収容するための第1の受容開口部;及び
前記アーム端子を収容するための第2の受容開口部
をさらに有する、請求項1又は2に記載のTCOデバイス。
【請求項4】
前記ベース部が、正温度係数(PTC)デバイスを収容するための第3の受容開口部をさらに有する、請求項3に記載のTCOデバイス。
【請求項5】
前記TCOデバイスの通常動作中に、前記ベース端子及び前記アーム端子が互いに電気的に連結されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のTCOデバイス。
【請求項6】
前記ベース端子及び前記アーム端子が、過電流又は過温度の事象に応答して、前記バイメタルディスクによって切り離される、請求項5に記載のTCOデバイス。
【請求項7】
第1の対のパッドを有するベース端子;
第2の対のパッドを有するアーム端子;
前記ベース端子及び前記アーム端子の間に配設されているバイメタルディスク;及び
第1の熱容量を有するカバープレート、ここで、前記ベース端子は、第2の熱容量を有し、前記第1の熱容量は、前記第2の熱容量よりも低い、
を備える、サーマルカットオフ(TCO)デバイス。
【請求項8】
前記カバープレートが、前記カバープレートの体積を減少させるための穴を有する、請求項7に記載のTCOデバイス。
【請求項9】
前記カバープレートが窪みを有する、請求項7に記載のTCOデバイス。
【請求項10】
前記第1の対のパッド及び前記第2の対のパッドが、表面実装リフロープロセスを用いて基板に取り付け可能である、請求項7から9のいずれか一項に記載のTCOデバイス。
【請求項11】
カバープレート;
ベース部、前記ベース部は、ベースモールド及びベース端子を有し、ここで、前記ベース端子は、表面実装リフロープロセスに適したパッドを含む;及び
前記カバープレート及び前記ベース部の間に配設されている統合端子、前記統合端子は、
第1の熱膨張係数をもつ第1の金属;
第2の熱膨張係数をもつ第2の金属、ここで、前記第1の熱膨張係数は、前記第2の熱膨張係数とは異なる;及び
電流を導電するのに適した低い抵抗率をもつ第3の金属
をさらに有する、
を備える、サーマルカットオフ(TCO)デバイス。
【請求項12】
前記ベース端子が、第1及び第2のパッドを含む第1の部分をさらに有する、請求項11に記載のTCOデバイス。
【請求項13】
前記ベース端子が、第3及び第4のパッドを含む第2の部分をさらに有する、請求項12に記載のTCOデバイス。
【請求項14】
前記ベースモールドが、
前記統合端子を収容するための第1の受容開口部
をさらに有する、請求項11から13のいずれか一項に記載のTCOデバイス。
【請求項15】
前記TCOデバイスの通常動作中に、前記統合端子及び前記ベース端子が電気的に接続されている、請求項11から14のいずれか一項に記載のTCOデバイス。
【請求項16】
前記統合端子及び前記ベース端子が、前記TCOデバイスの過電流又は過温度の状態である間に、電気的に切り離される、請求項15に記載のTCOデバイス。
【請求項17】
正温度係数(PTC)デバイスをさらに備える、請求項14に記載のTCOデバイス。
【請求項18】
前記ベースモールドが、
前記PTCデバイスを収容するための第2の受容開口部、ここで前記第1の受容開口部が、前記第2の受容開口部の上方にある、
をさらに有する、請求項17に記載のTCOデバイス。
【請求項19】
前記統合端子が第1の接触部をさらに有し、前記ベース端子が第2の接触部をさらに有し、ここで、前記第1の接触部及び前記第2の接触部が、前記統合端子及び前記ベース端子の間に接続を確立するために接合する、請求項11から18のいずれか一項に記載のTCOデバイス。
【請求項20】
前記カバープレートがカバー部及びプレート部をさらに有する、請求項11から19のいずれか一項に記載のTCOデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、サーマルカットオフ(thermal cut-off:TCO)デバイスに関し、より詳細には、表面実装リフロープロセスに適したTCOデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電気デバイスは、過電流状態、過電圧状態、又は過剰な温度などの特定の故障状態に対して保護するように設計されているコンポーネントを含む。例えば、サーマルカットオフ(TCO)デバイスは、電子デバイス内の回路を損傷し得る過温度状態に応答する。TCOは、例えば、バイメタルコンポーネント及び正温度係数(positive temperature coefficient:PTC)デバイスを特徴とする場合がある。
【0003】
バイメタルコンポーネントは、異なる熱膨張係数をもつ2つの金属製コンポーネントからなり、温度の変化を受けたときに湾曲する。バイメタルコンポーネントは、電気デバイスに含まれている場合、その電気デバイスが過剰な電流などにより、異常で過剰な温度に到達したときに作動する。バイメタルコンポーネントの湾曲は、電気デバイスを通した電流の流れを遮断するスイッチとして作用する。温度が過剰な温度未満に降下すると、バイメタルコンポーネントは、その元々の形状に戻って、電流が電気デバイスを通って再び流れることを可能にする。
【0004】
バイメタルコンポーネントは、接触点での抵抗が低く、電流をよく伝える性能があり、温度の変化に対して急速に応答する。バイメタルコンポーネントは、PTCコンポーネントと結合されることもあり、PTCコンポーネントは、バイメタルコンポーネントのラッチを改善するヒータとして作用する。バイメタルコンポーネントは、保護される電子デバイスの回路と直列に配設され、一方でPTCコンポーネントは、バイメタルコンポーネントに並列に配設される。バイメタルコンポーネントが作動状態であるとき、それを通って流れる電流は、PTCコンポーネントに迂回させられてPTCコンポーネントを加熱し、この熱は、バイメタルコンポーネントに伝達されて、バイメタルコンポーネントを作動状態のままにする。
【0005】
既存のTCOデバイスは、リテルヒューズ(登録商標)によって製造されている金属ハイブリッド保護(Metal Hybrid Protection:MHP)デバイスを含む。MHPデバイスは、MHP-TA(thermal activation、熱活性化)デバイスを含み、例えば、ノートPC、ウルトラブック、タブレット、及びスマートフォンで用いられる高容量のリチウムポリマー及び角柱セルに対してバッテリセル保護を提供するMHP-TAM、さらにゲーミングPCで用いられるMHP-TAT、及びそれらの比較的小さなサイズによりさらに電子タバコ及びバッテリ駆動の携帯型デバイスで用いられるMHP-TACデバイスがある。
【0006】
これらのデバイスは現在、リード線取り付けの用途で用いられて、取り付けられた電気デバイスに過電流及び過温度の保護を提供する。しかしながら、それらは表面実装の用途向けには設計されていない。
【0007】
本改善が有用になり得るのは、これら及び他の考慮事項に対してである。
【発明の概要】
【0008】
この概要は、以下の発明を実施するための形態においてさらに説明される概念の一部を、簡略化した形態で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の重要又は不可欠な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する助けとなることを意図するものでもない。
【0009】
本開示によるサーマルカットオフ(TCO)デバイスの例示的な一実施形態は、ベースモールド及びベース端子を有するベース部を備え得る。ベース端子は、第1及び第2のパッドを含む。TCOデバイスはまた、バイメタルディスク、及びベース端子と電気的に接続するためのアーム端子を備える。TCOデバイスの第1及び第2のパッドは、表面実装リフロープロセスを用いて基板に取り付け可能である。
【0010】
本開示によるTCOデバイスの別の例示的な実施形態は、カバープレート、統合端子、及びベース部を備え得る。ベース部は、ベースモールド及びベース端子を有する。ベース端子は、表面実装リフロープロセスに適したパッドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的な実施形態によるTCOデバイスを示す略図である。
【0012】
【
図2】例示的な実施形態による、
図1のTCOデバイスのベース部を示す略図である。
【0013】
【
図3】例示的な実施形態による、
図1のTCOデバイスのパッドを示す略図である。
【0014】
【
図4】例示的な実施形態によるTCOデバイスを示す略図である。
【0015】
【
図5】例示的な実施形態による、
図4のTCOデバイスのベース部を示す略図である。
【0016】
【
図6】例示的な実施形態による、
図4のTCOデバイスのカバーモールドを示す略図である。
【0017】
【
図7】例示的な実施形態によるTCOデバイスを示す略図である。
【0018】
【
図8】例示的な実施形態によるTCOデバイスを示す略図である。
【0019】
【
図9】例示的な実施形態による、
図8のTCOデバイスのカバーモールドを示す略図である。
【0020】
【
図10】例示的な実施形態による、
図8のTCOデバイスのベース部を示す略図である。
【0021】
【
図11】例示的な実施形態による、
図8のTCOデバイスの断面図を示す略図である。
【0022】
【
図12】例示的な実施形態によるTCOデバイスを示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
表面実装リフロープロセスに適したサーマルカットオフ(TCO)デバイスを開示する。本TCOデバイスは、既存のリード線取り付けTCOデバイス構造体の後にモデル化されているが、表面実装リフロー操作に適したコンパクトで小型化された構造体に改善されている。アーム及びベース端子は、表面実装リフローのためのパッドを含む。ベースモールドは、PTCデバイス、バイメタルデバイス、及びアーム端子機構を受容するように設計されており、単一のベース端子又は複数部品のベース端子のいずれかを用いて動作する場合がある。複数のカバーの設計は、ベース端子に対してTCOデバイスの上部プレートの熱容量を下げるために開示されている。統合されたアーム及びバイメタルデバイス端子を特徴とするTCOデバイスもまた、統合端子を支持するように更新されたベース部と共に開示されている。
【0024】
図1は、例示的な実施形態による、表面実装デバイス(Surface Mount Device:SMD)技術として使用可能なTCOデバイス100の代表的な分解斜視図である。上面100A及び下面100Bの両方が示されているTCOデバイス100は、ベースモールド104及びベース端子106で構成されているベース部102、バイメタルディスク108、アーム端子110、カバー112、及び第2のモールド114を含む。TCOデバイス100はさらに、任意選択でPTCデバイス(図示せず)を支持する。例示的な一実施形態において、TCOデバイス100は、表面実装リフロー用途向けに設計されている。
図2及び
図3は、TCOデバイス100の一部のコンポーネントのさらなる詳細を提供する。
【0025】
ベース部102は、ベースモールド104及びベース端子106からなる。例示的な一実施形態において、ベース端子106及びベースモールド104は、1つのコンポーネント、ベース部102として共にモールドされる。ベース部にはバイメタルディスク108が配置され、次にベースモールド104にはアーム端子110がモールドされる。その組立体の上にカバー112が配置され、次に第2のモールド114がコンポーネントを包囲して、図示のようなTCOデバイス100をもたらす。例示的な一実施形態において、ベース端子106及びアーム端子110の両方は、銅で作られている。例示的な実施形態において、導電路の一部ではないカバー112は、絶縁材料のカバーリングを伴わないステンレス鋼又は銅で作られ、又はエポキシコーティング又はプラスチックモールディング材料のような、絶縁材料のカバーリングを伴うステンレス鋼又は銅で作られている。
【0026】
通常動作の間、TCOデバイス100は、バッテリ又は他の回路などの保護されるべきデバイスに直列に接続されている。電流は、第1の端子と考えられ得るベース端子106から、存在する場合にはPTCデバイスを通って、第2の端子と考えられ得るアーム端子110に、そして保護されているデバイスに流れ、逆もまた同様である。過温度状態などの異常状態が生じると、ベース端子106及びアーム端子110の間に(又はPTCデバイス及びアーム端子の間に)配設されているバイメタルディスク108は、凸状の位置などに湾曲又は変形する。このことは、ベース端子106及びアーム端子110の間の接続を除去するように、バイメタルディスク108に自身を「持ち上げ」させ、電流の流れを途絶し、そうして、TCOデバイス100が接続されているデバイス又は回路を保護する効果を有する。
【0027】
リテルヒューズ(登録商標)のMHP TCOデバイスなどの既存TCOデバイスは、過電流及び過加熱の保護を回路、回路コンポーネント、又はデバイスに提供するために、リード線取り付け用途向けに設計されている。対照的に、本明細書に開示されている例示的なTCOデバイス100は、特に表面実装リフロープロセス向けに設計されている。例示的な実施形態において、TCOデバイス100は、既存のMHP TCOプラットフォームのロバスト設計の概念をとり、それらをコンパクトで小型化された用途、並びに表面実装リフロー向けに更新する。
【0028】
コンポーネントをプリント回路基板(printed circuit board:PCB)に取り付けるために用いられる従来のはんだ付け技法とは対照的に、リフローはんだ付けは、コンポーネントの配置をはんだ付けプロセスから分離することにより、大量生産及び速さを可能にする最近の技法である。従来のはんだ付けでは、コンポーネントは、PCBの上に位置付けられはんだ付けされる。第2のコンポーネントなどが配置されはんだ付けされることが、PCBのすべてのコンポーネントが定位置にはんだ付けされるまでこれに続く。リフローはんだ付けの場合、通常は銅であるPCBのパッドは、はんだペーストで覆われる。小型化により、パッドは、旧式のPCBに対して、非常に小さく互いに近接したものであり得る。したがって、はんだペーストをパッドに正確に塗布することを確実にするために、しばしばステンシルが用いられる。次にコンポーネントは、粘着性のあるはんだペーストの上に1つずつ配置され、はんだペーストの粘着性によって、コンポーネントが確実に定位置に留まる。最後にPCBは、265℃などはんだペーストの融解温度と等しい温度まで加熱される。はんだペーストを加熱/融解するための様々な技法があるが、1つの一般的な技法は、この目的のための特殊な炉にPCBを配置することである。融解したはんだペーストは次に、その上に配置されていたコンポーネントの端子の上に「リフロー」し、その後にPCBは冷却されることができる。このように、PCB上のすべてのコンポーネントは、表面実装リフロープロセスを用いて同時に組み立てられる。
【0029】
図2は、例示的な実施形態による、
図1のTCOデバイス100のベース部102の代表的な斜視図である。ベース部102は、任意選択のPTCデバイス(図示せず)を受容するための受容開口部202を含む。受容開口部202の下部又は底部には、ベース端子106の可視部分がある。これにより、存在する場合にはPTCデバイス、及びベース端子106の間で、電気的接続を確立することができる。バイメタルディスクの1つの不利点は、それらが非ラッチの機械的な接触をすることである。PTCデバイス及びバイメタルディスクを並列に結合することによって、PTCデバイスはラッチを提供するヒータとして作用し、これにより、バイメタルディスクは、TCOデバイスが異常事象の間にトリップされたままとなるように、凸状の配置などで湾曲した状態で保持される。TCOデバイス100は、PTCデバイスを伴って又は伴わずに動作する場合がある。
【0030】
図2では、受容開口部202は、穴又は円形の開口として形状を定められている。したがって、PTCデバイス(図示せず)は、受容開口部202の中にぴったりと嵌合するように、円柱状のディスクとして形状を定められる。そうして、PTCデバイスは、ベース端子106の可視部分と物理的に接触することになる。しかしながら、受容開口部202の形状は、異なる形状のPTCデバイスを収容できるように変化し得る。例えば、受容開口部は、直方体形状のPTCデバイスを受容するように、直方体として形状を定められる場合がある。他の形状の受容開口部202及び関連するPTCデバイスも考えられる。
【0031】
さらに、
図2のベース部102は、受容開口部202の上方に配設されている第2の受容開口部204を特徴とする。例示的な一実施形態において、第2の受容開口部204は、直方体形状であって、同じく直方体形状であるバイメタルディスク108を受容する。PTCデバイスが存在する場合、バイメタルディスク108は、PTCデバイスに隣接することになる。受容開口部202と同様に、受容開口部204は、異なる形状のバイメタルデバイスを収容できるように変化し得る。
【0032】
さらに、
図2のベース部102は、第2の受容開口部204の上方に配設されている第3の受容開口部206を特徴とする。この受容開口部206は、2つの部分、ベース部102の片側にある206A、及びベース部の他方側にある206Bで示されている。受容開口部206は、アーム端子110を収容するように設計されている。ベース端子106はまた、接続部208を含む。
図1に戻ると、アーム端子110は、アーム端子をベース端子106に電気的に連結するための接触部118を特徴とする。アーム端子110がベース部102の受容開口部206の中に収容されると、アーム端子の接触部118は、ベース端子106の接続部208に載って、アーム端子及びベース端子の間の接続を可能にする。
【0033】
図3は、例示的な実施形態による、
図1のTCOデバイス100の代表的な斜視図を提供する。再び、上面100A及び下面100B、並びにコンポーネント、ベース端子106及びアーム端子110が示されている。ベース端子及びアーム端子は、端子であることに加えて、TCOデバイス100のパッドを構成する追加の特徴を含む。下面100Bで見えるように、TCOデバイスは、パッド304、306、308及び310を特徴とする。2つのパッド304及び306は、ベース端子106の一部であり、一方で他の2つのパッド308及び310は、(図面ではパッド310が遮られているが)アーム端子110の一部である。
【0034】
ベース端子106の縁部302もまた、TCOデバイスの上面100A及び下面100Bの両方で見える。例示的な一実施形態において、縁部302は、縁部が突き出しわずかに見えるように、TCOデバイスの片側の長方形の開口を通って挿入される。ベース端子106の接続部208(
図2)との接触を作るための、アーム端子110の接触部118もまた図示されている。ベース端子106の中心部314もまた、TCOデバイスの下面100Bに現れている。中心部314は、モールディング用金型に位置付け及び固定するために外側に露出しているが、外部に電気的接続を作らない。
【0035】
旧式のTCOデバイスでは、デバイスの端子は、保護されるべき回路又はデバイスの外部コンポーネントへの接続を確立する。旧式のTCOデバイスとは対照的に、TCOデバイス100は、外部コンポーネントへの接続のために各端子の上にパッドをさらに含む。そうして、パッド304、306、308及び310により、TCOデバイス100が表面実装リフロープロセスの用途に適したものになる。
【0036】
図4は、例示的な実施形態による、SMD技術として使用可能なTCOデバイス400の分解斜視図を表している。TCOデバイス400は、ベースモールド404及びベース端子406を伴うベース部402を有することに加えて、ベース部に嵌合するPTCデバイス416を特徴とする。TCOデバイス400は、バイメタルディスク408、アーム端子410、カバーモールド412、及び第2のモールド414をさらに含む。例示的な一実施形態において、ベース端子406及びアーム端子410の両方は、銅で作られている。
図5及び
図6は、TCOデバイス400の一部のコンポーネントのさらなる詳細を提供する。
【0037】
図5は、例示的な実施形態による、
図4のTCOデバイス400のベース部402の代表的な斜視図である。ベース部402は、PTCデバイス416を受容するための受容開口部502を含む。受容開口部402の下部又は底部は、ベース端子106の可視部分である。これにより、存在する場合にはPTCデバイス416、及びベース端子406の間で、電気的接続を確立することができる。上記で説明したように、PTCデバイス及びバイメタルディスクを並列に結合することによって、PTCデバイスはラッチを提供するヒータとして作用し、これにより、バイメタルディスクは、TCOデバイスが異常事象の間にトリップされたままとなるように、湾曲した状態で保持される。
図1のTCOデバイス100と同様に、TCOデバイス400は、PTCデバイスを伴って又は伴わずに動作する場合がある。
【0038】
さらに、受容開口部502は、PTCデバイスの形状に応じて、円形又は他の形状の開口として形状を定められ得る。
【0039】
ベース部102(
図2)と同様に、TCOデバイス400のベース部402は、(存在する場合には)PTCデバイスを収容するための受容開口部502、受容開口部502の上方に配設されておりバイメタルディスク408を収容するための第2の受容開口部504、及びアーム端子406を収容するための(2つの部分506A及び506Bで示されている)第3の受容開口部506を特徴とする。これらの受容開口部502、504及び506は、異なる形状の対応するデバイスを収容できるように、異なる形状を定められ得る。
【0040】
例示的な一実施形態において、ベース部402は接続部508をさらに含む。この接続部508はベース端子406の一部であり、受容開口部502中に見える部分よりも上がった又は高い平面にあり、また、受容開口部504よりも高い平面にある。
図4に戻ると、アーム端子410は、アーム端子をベース端子406に電気的に連結するための接触部418を特徴とする。アーム端子410がベース部402の受容開口部506の中に収容されると、アーム端子の接触部418は、ベース端子406の接続部506に載って、アーム端子及びベース端子の間の接続を可能にする。このように、TCOデバイス400が構成されると、PTCデバイス416及びバイメタルディスク408は互いに隣接し、バイメタルディスク408はアーム端子410で覆われる。
【0041】
図4に戻ると、例示的なTCOデバイス400のカバーモールド412は、TCOデバイス100のカバー112とは異なる。
図6は、例示的な実施形態による、TCOデバイス400のカバーモールド412の代表的な斜視図である。カバーモールド412は、カバー602及びカバープレート604からなる。例示的な一実施形態において、カバー602はプラスチック材料で作られており、一方でカバープレート604は、ステンレス鋼のあるタイプ、SUS304などのわずかに導電性のある材料で作られている。SUS304は、非磁性で簡単に様々な形状へ形成されることが知られており、錆びにくい。別の実施形態において、カバープレート604は、真鍮で作られている。
【0042】
ステンレス鋼は銅に対して劣った電気導体であり、一方で真鍮は銅の約28%の導電性がある。したがって、例示的な実施形態において、これらの材料はそれらの導電特性ではなく、それらの強度、モールド性、及び錆びにくさについて選択される。例示的な実施形態において、TCOデバイス400のカバーモールド412は、TCOデバイス100のカバーモールド112(
図1)に対してカバーの厚さを減少させるように設計されている。1つの実施形態では、カバーモールド412はカバー112よりも薄い。さらに、カバーモールド412の体積を減少させるために、カバープレート604には穴が付加されている。
【0043】
さらに、例示的な一実施形態において、カバーモールド412及び特にカバープレート604は、ベース部402のベース端子406のものよりも低い熱容量を有するように選択される。表1は、銅で作られているベース端子406のものに対する4つの異なる例示的なカバープレート604の熱容量を示している。材料特性Tは厚さを表している。
【0044】
表1 TCOデバイス400のカバープレート及びベース端子の熱容量
【表1】
【0045】
表1が示すように、所与の材料についての比熱容量パラメータAは、厚さに基づいて変化しない。そうして、0.08mmのSUS304カバープレート及び0.01mmのSUS304カバープレートの両方は、460J/(kg・K)(ジュール毎ケルビン毎キログラム)の比熱容量を有する。同様に、密度パラメータBは材料の厚さの変化では変化しない。体積パラメータCは、厚さの変化と共に変化する。表1で与られている4つのバージョンのカバープレート412の熱容量はすべて、ベース端子406の熱容量よりも低い。したがって、例示的な一実施形態において、TCOデバイス400の場合、
カバープレートの熱容量<ベース端子の熱容量(1)
である。
【0046】
図7は、例示的な実施形態による、SMD技術として使用可能なTCOデバイス700の分解斜視図を表している。TCOデバイス400(
図4)と同様に、TCOデバイス700は、ベースモールド704及びベース端子706を伴うベース部702、ベース部702の受容開口部に嵌合する任意選択のPTCデバイス716、バイメタルディスク708、アーム端子710、及び第2のモールド714を特徴とする。TCOデバイス700のカバープレート712は、TCOデバイス100及び400のそれぞれのカバーとは異なる。
【0047】
例示的な一実施形態において、カバープレート712は、それをより強固にする特殊な構造を有する。カバープレート712は、TCOデバイス400でのような別個のプラスチックカバーを含まない。いくつかの実施形態において、カバープレート712は、代わりにカバープレートの表面からわずかに上がっている隆起又は窪みで覆われている。例示的な一実施形態において、カバープレート712の特殊な構造は、その強度を増加させ、より薄い材料の使用を可能にし、上記で説明した表面実装リフロープロセスを容易にするTCOデバイス700に強度を付加する。高温度のリフロープロセスにより、従来技術のTCOデバイスに対してより大きなバイメタルディスクを作ることができる。いくつかの実施形態では、より大きなバイメタルディスクは、より高い力でアーム端子710を持ち上げるように変形する。したがって、変形することなく、アーム端子からの持ち上げる力に耐えることができる強固なカバープレートを有することが好ましい。設計が悪いカバープレートはアーム端子からの力に耐えられなくなり、それにより、TCOデバイスが変形し、モールディング材料のひび割れ、及び抵抗が高いアーム端子のゆるみなどの構造問題を引き起こす場合がある。1つの実施形態では、カバープレート712を作るために、SUS304ステンレス鋼材料が用いられる。
【0048】
表2は、例示的な実施形態による、銅で作られているベース端子706のものに対するカバープレート712の熱容量を示している。前のとおり、表2で与られているカバープレート712の熱容量は、ベース端子706の熱容量よりも低い。したがって、例示的な一実施形態において、TCOデバイス700は、TCOデバイス400のように上記の等式(1)を満たす。
【0049】
表2 TCOデバイス700のカバープレート及びベース端子の熱容量
【表2】
【0050】
図8は、例示的な実施形態による、SMD技術として使用可能なTCOデバイス800の分解斜視図を表している。TCOデバイス800は、カバープレート810、統合されたバイメタル及びアーム端子808(本明細書では統合端子808としても知られる)、及びベース部802を特徴とする。前のとおり、ベース部802は、ベースモールド804及びベース端子806を含む。統合されたバイメタル及びアーム端子808は、本明細書で示し説明する他の実施形態に対してTCOデバイス800の構造体を簡略化する。例示的な一実施形態において、統合端子808のバイメタル材料は、1)通常動作中に電流を伝えるために抵抗率が低い材料から作られており、2)過温度又は過電流の状況などの異常状態の間、端子が作動する(例えば、構造体を「持ち上げる」ように凸状状態に変形する)ように、異なる熱特性をもつ2つの金属から作られている。このように統合端子808は、少なくとも3つの金属材料、作動動作のための2つの金属、及びTCOデバイス800を通して電流を導電するために抵抗率が低い第3の金属を用いて作られている。統合端子808は、より詳細に
図11に示され以下で説明されている。
図9~
図11は、TCOデバイス800の一部のコンポーネントのさらなる詳細を提供する。
【0051】
例示的な一実施形態において、ベース部802は、より詳細に
図10に示され以下で説明されている統合端子808を受け取るための構造とされている。統合端子808は接触部812を含む;同様に、ベース部802のベース端子806は接触部814を含む。PTCデバイスがベース部802の中に挿入されている又はいない場合のいずれでも、接触部812及び814は、統合端子808及びベース端子806の間に接続が作られることを確実にする。過温度の状態などにより統合端子808の変形が生じると、接触部812及び814は分離する。
【0052】
図9は、例示的な実施形態による、
図8のTCOデバイス800のカバープレート810の代表的な分解斜視図である。カバープレート810は、プラスチック又は他の非導電性材料であり得るカバー部904、及びステンレス鋼、真鍮、又は他の材料で形成され得るプレート部902を含む。
【0053】
図10は、例示的な実施形態による、
図8のTCOデバイス800のベース部802の代表的な分解斜視図である。ベース部の上面802A及び802Bの両方が示されている。以前の実施形態とは対照的に、ベース端子806は2つの別個の部分、806A及び806Bからなる。ベースモールド804は、任意選択のPTCデバイスを収容するための第1の受容開口部1002、及び統合端子808を受容するための第2の受容開口部1004を含む。バイメタルディスク及びアーム端子が共に統合されているので、ベース部802は、3つの受容開口部を必要としないが代わりに2つを有する。ベース端子部分806Aは統合端子808の接触部812(
図8)と接続するための接触部814を含む。
【0054】
さらに、TCOデバイス100と同様に、TCOデバイス800のベース部802は、4つのパッド1008、1010、1012及び1014を含む。ベース端子の第1の部分806Aは、パッド1010及び1008を含み、一方でベース端子の第2の部分806Bはパッド1014及び1012を含む。例示的な一実施形態において、パッド1008、1010、1012及び1014は、表面実装リフロープロセスを用いてTCOデバイス800をPCBなどの基板に取り付けることを容易にする。
【0055】
このように、TCOデバイス800は、アーム端子及びバイメタルデバイスを単一の構造体へと統合して、デバイスを簡略化する。さらにベース端子806は、TCOデバイス100、400及び700のベース端子とは対照的に、2つの別個の部分へと分離している。
【0056】
図11は、例示的な実施形態による、
図8のTCOデバイス800の断面図である。ベース端子806Aは、接触部1006(
図10)によってデバイス800の中に包囲されており、一方で統合端子808は、接触部812(
図8)によってデバイスの中に包囲されている。また、任意選択のPTCデバイスを収容するための第1の受容開口部1002、及び統合端子808を収容するための第2の受容開口部1004が図示されている。例示的な一実施形態において、統合端子808は、ベースモールド804の中でベース端子806に溶接されている。
【0057】
図12は、例示的な実施形態による、SMD技術として使用可能なTCOデバイス1200の分解斜視図を表している。TCOデバイス1200は、ベースモールド1204及びベース端子1206を含むベース部1202、任意選択のPTCデバイス1208、バイメタルディスク1210。アーム端子1212、上部プレート1214、及びオーバーモールド1216を特徴とする。例示的な実施形態において、ベースモールド1204及びオーバーモールド1216は、液晶ポリマー(liquid crystal polymer:LCP)を用いて作られており、ベース端子1206及びアーム端子1212は銅及び銀で作られており、上部プレート1214はステンレス鋼で作られている。本明細書に開示されている他のTCOデバイスのように、TCOデバイス1200は、過電流及び過温度の保護を他の回路コンポーネントに提供する。
【0058】
本明細書において使用するとき、単数形で記載され、「一」又は「1つ」という語の後にある要素又は段階は、複数の要素又は段階を除外しないものとして理解されるべきであるが、ただしそのような除外が明示的に記載されている場合を除く。さらに、本開示の「一実施形態」への言及は、記載された特徴を同様に組み込む追加の実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図するものではない。
【0059】
本開示は、特定の実施形態に言及している一方、添付の特許請求の範囲で定義されるような本開示の領域及び範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に対する多くの改変、修正、及び変更を行うことが可能である。したがって、本開示は、説明した実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の文言及びその均等物により定義される完全な範囲を有することが意図されている。
【国際調査報告】