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特表2023-548046抗C5抗体を使用する、補体障害を有する患者の処置方法
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  • 特表-抗C5抗体を使用する、補体障害を有する患者の処置方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】抗C5抗体を使用する、補体障害を有する患者の処置方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20231108BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 15/06 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20231108BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20231108BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20231108BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20231108BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K39/395 D ZNA
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P37/02
A61P13/12
A61P9/10
A61P13/00
A61P27/02
A61P25/02
A61P25/00
A61P15/06
A61P7/04
A61P17/02
A61P17/00
A61P9/00
A61P1/00
A61P3/10
A61P25/28
A61P31/04
A61P7/00
A61P37/06
A61P17/06
A61P7/06
C07K16/18
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524629
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021056153
(87)【国際公開番号】W WO2022087339
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/105,018
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503102674
【氏名又は名称】アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, クリスタ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】タンブリーニ, ポール ピー.
(72)【発明者】
【氏名】シェリダン, ダグラス エル.
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB31
4C085BB41
4C085BB43
4C085BB44
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書において、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されており、次いで第2の(異なる)抗C5抗体で処置される、補体媒介障害(例えば、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)又は非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS))を有するヒト患者における、有害な多価免疫複合体の形成を予防又は最小化するように設計された処置方法、及び患者を第1の抗C5抗体による処置から第2の(異なる)抗C5抗体に安全に切り替える方法が提供される。第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されている患者を処置するための、第2の抗C5の調整された治療用量及び/又は投与タイミングを含む、調整されたレジメン抗体を決定する方法(例えば、多価免疫複合体の形成を予防又は最小化するレジメン)も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補体媒介障害に罹患している患者を処置する方法であって、前記患者が、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されており、前記方法が、
(a)補体C5、前記第1の抗C5抗体、及び第2の抗C5抗体を含む、多価免疫複合体の形成に十分な条件下で、前記患者からの生体サンプルを治療用量の第2の抗C5抗体と接触させること;
(b)(a)の下で形成された多価免疫複合体のレベルを測定すること;
(c)測定された多価免疫複合体のレベルが閾値レベルを超えているかを決定すること;並びに
(d)測定されたレベルが前記閾値レベルを超える前記患者に、前記第2の抗C5抗体の調整されたレジメンを投与することであって、前記調整されたレジメンが、C5阻害は維持されるが前記閾値レベルを超えないように、前記第2の抗C5抗体の用量及び/又は投与タイミングの調整を含むこと
を含む、方法。
【請求項2】
補体媒介障害に罹患している患者を処置するための第2の抗C5抗体の調整された治療用量及び/又は投与タイミングを含む、調整されたレジメンを決定する方法であって、前記患者が、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されており、前記方法が、
(a)補体C5、前記第1の抗C5抗体、及び第2の抗C5抗体を含む、多価免疫複合体の形成に十分な条件下で、前記患者からの生体サンプルを治療用量の前記第2の抗C5抗体と接触させること;
(b)(a)の下で形成された多価免疫複合体のレベルを測定すること;
(c)測定された多価免疫複合体のレベルが閾値レベルを超えているかを決定すること;並びに
(d)測定されたレベルが前記閾値レベルを超える前記患者に、C5阻害は維持されるが前記閾値レベルを超えないように、前記第2の抗C5抗体療法の前記レジメンを調整すること
を含む、方法。
【請求項3】
前記患者を第1の抗C5抗体療法による処置から離脱させることをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されている、補体媒介障害を有する患者を、第2の抗C5抗体に切り替える方法であって、前記方法が、
(a)補体C5、前記第1の抗C5抗体、及び第2の抗C5抗体を含む、多価免疫複合体の形成に十分な条件下で、前記患者からの生体サンプルを治療用量の第2の抗C5抗体と接触させること;
(b)(a)の下で形成された多価免疫複合体のレベルを測定すること;
(c)測定された多価免疫複合体のレベルが閾値レベルを超えているかを決定すること;並びに
(d)前記患者に、前記第2の抗C5抗体の調整されたレジメンを投与することであって、前記調整されたレジメンが、C5阻害は維持されるが前記閾値レベルを超えないように、前記第2の抗C5抗体の用量及び/又は投与タイミングの調整を含むこと;並びに
(d)測定されたレベルが前記閾値レベルを超える前記患者を前記第1の抗C5抗体療法による処置から離脱させ、それにより、前記患者を前記第1の抗C5抗体から前記第2の抗C5抗体に切り替えること
を含む、方法。
【請求項5】
前記第2の抗C5抗体が、前記閾値を超えなくなるまで、低減された用量及び/又は低減された頻度で投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記調整されたレジメンが、
a)臨床的に有効な投与レジメン又はスケジュールレジメンの修正;及び/又は
b)標準的なスケジュールと比較して緩和された速度及び/又は間隔での投与
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記修正が、標準的な治療用量よりも低い用量の投与である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記投与が、より遅い投与速度及び/又はより低頻度の投与を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記閾値が、前記多価免疫複合体の最小質量からなる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記閾値が、500kDa、600kDa、700kDa、800kDa、900kDa、1000kDa、1100kDa、1200kDa、1300kDa、1400kDa、1500kDa、1600kDa、1700kDa、又は1800kDaを超える質量である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記閾値が、補体C5の分子に特異的に結合する2つを超える抗C5抗体を含む多価免疫複合体、例えば、
a)2つの抗C5抗体及び1つのC5分子;
b)3つの抗C5抗体及び2つのC5分子;
c)4つの抗C5抗体及び3つのC5分子;又は
d)5つの抗C5抗体及び4つのC5分子
を超える抗体:抗原の化学量論比を含む免疫複合体の形成である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記閾値レベルが、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び/又は多角光散乱(MALS)によって決定される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(a)において、前記患者からの前記生体サンプルを、治療用量の第2の抗C5抗体と、インビボ、エクスビボ、又はインビトロで接触させる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記閾値レベルを超える場合、前記患者からの前記第1の抗C5抗体のクリアランスを可能にするために、前記患者への前記第2の抗C5抗体の投与が2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40日延期される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1及び/又は第2の抗C5抗体が、全長抗体又はその抗原結合断片、ヒト化抗体、二重特異性抗体、免疫抱合体、キメラ抗体、フィブロネクチン又はアンキリンリピートなどの抗体様特性を有するタンパク質足場、Fab、Fab’2、scFv、アフィボディ、アビマー、ナノボディ、及びドメイン抗体からなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1及び/又は第2の抗C5抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1及び第2の抗C5抗体が、C5上の異なるエピトープに結合する抗体又はC5への結合について競合しない抗体であり、好ましくは、前記第1及び/又は前記第2の抗C5抗体がモノクローナル抗体であり;より好ましくは、前記第1及び/又は前記第2の抗C5抗体が、C5の異なるドメインに結合するモノクローナル抗体である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1又は第2の抗C5抗体が、
(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;
(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;
(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;及び/又は
(d)SOLIRIS(登録商標)(エクリズマブ)である、
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1又は第2の抗C5抗体が、(a)~(d)の前記抗体を含み、前記調整されたレジメンが、成人患者における前記補体媒介障害の前記治療のための前記治療レジメンの調整を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記治療レジメンが、
(a)PNHの前記処置のために、4週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に5回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mg;又は
(b)aHUS又はMGの前記処置のために、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mg
の用量を含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1又は第2の抗C5抗体が、(a)~(d)の前記抗体を含み、前記調整されたレジメンが、小児患者における前記補体媒介障害の前記治療のための前記第2の抗体の前記治療レジメンの調整を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記治療レジメンが、以下の用量:
(a)体重40kg以上のaHUS患者には、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mgの用量;
(b)体重30kgから40kg未満のaHUS患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mgの用量;
(c)体重20kgから30kg未満のaHUS患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として600mg、次いでその後2週間ごとに600mgの用量;
(d)体重10kgから20kg未満のaHUS患者には、1週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後2週間ごとに300mgの用量;又は
(e)体重5kgから10kg未満のaHUS患者には、1週間にわたって週に300mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後3週間ごとに300mgの用量
の前記第1又は第2の抗C5抗体の投与を含む、請求項18又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1又は第2の抗C5モノクローナル抗体が、
(a)配列番号19、18及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;
(b)配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;
(c)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;
(d)配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む;及び/又は
(e)ULTOMIRIS(登録商標)(ラブリズマブ)である、
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1又は第2の抗C5抗体が、(a)~(e)の前記抗体を含み、前記調整されたレジメンが、成人患者における前記補体媒介障害の前記治療のための前記第2の抗体の前記治療レジメンの調整を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の抗C5抗体の前記治療レジメンが、
(a)前記投与サイクルの1日目に1回;≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mgの用量;及び
(b)前記投与サイクルの15日目及びそれ以降8週間ごとに≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、又は≧100kgの体重の患者に3600mgの用量
を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1又は第2の抗C5抗体が、(a)~(e)の前記抗体を含み、前記調整されたレジメンが、小児患者における前記補体媒介障害の前記治療のための前記第2の抗体の前記治療レジメンの調整を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
小児患者におけるPNH又はaHUSを処置するための前記第1又は第2の抗C5抗体の前記治療レジメンが、
(a)1日目に1回、≧5~<10kgの体重の患者に600mg、≧10~<20kgの体重の患者に600mg、≧20~<30kgの体重の患者に900mg、≧30~<40kgの体重の患者に1200mg、≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mgの用量;及び
(b)15日目及びそれ以降4週間ごとに≧5~<10kgの体重の患者に300mg若しくは≧10~<20kgの体重の患者に600mgの用量において;又は15日目及びそれ以降8週間ごとに≧20~<30kgの体重の患者に2100mg、≧30~<40kgの体重の患者に2700mg、≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、若しくは≧100kgの体重の患者に3600mgの用量
を含む、請求項23又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の抗C5抗体が、エクリズマブ及びラブリズマブからなる群から選択される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1又は前記第2の抗C5抗体が、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体、及びポゼリマブ(REGN3918抗体)、テシドルマブ(LFG316)、クロバリマブ(RG6107)、ABP959抗体、ELIZARIA(登録商標)、BCD-148(JSC BIOCAD)及び/又はSB12、又はそれらの抗原結合断片を含むものからなる群から選択される、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記生体サンプルが、血液、血清、血漿、尿、唾液、リンパ、髄液、細胞間液、硝子体液、及び汗からなる群から選択される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記生体サンプルが、血液である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1及び/又は第2の抗C5抗体が、静脈内又は皮下投与される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記補体関連状態が、関節リウマチ、抗リン脂質抗体症候群、ループス腎炎、虚血再灌流傷害、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、典型溶血性尿毒症症候群、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、デンスデポジット病、視神経脊髄炎、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、黄斑変性症、HELLP症候群、自然流産、血栓性血小板減少性紫斑病、微量免疫型血管炎、表皮水疱症、習慣性流産、外傷性脳損傷、心筋炎、脳血管障害、末梢血管障害、腎血管障害、腸間膜/腸管血管障害、血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病腎炎、全身性エリテマトーデス関連血管炎、関節リウマチに伴う血管炎、免疫複合体血管炎、高安病、拡張型心筋症、糖尿病性血管症、川崎病、静脈ガス塞栓症(venous gas embolus)、ステント留置、回転性粥腫切除術、経皮経管冠動脈形成術後の再狭窄、重症筋無力症、寒冷凝集素症、皮膚筋炎、発作性寒冷ヘモグロビン尿症、抗リン脂質症候群、グレーブス病、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、全身性炎症反応敗血症、敗血症性ショック、脊髄損傷、糸球体腎炎、移植拒絶反応、橋本甲状腺炎、I型糖尿病、乾癬、天疱瘡、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、デゴス病、及び劇症型抗リン脂質症候群からなる群から選択される、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記補体関連状態が、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記補体関連状態が、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記処置が、前記第2の抗C5抗体の投与の結果として形成される多価免疫複合体に関連する毒性を伴わずに、前記補体媒介障害の少なくとも1つの徴候又は症状を消散させる、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
第1の抗C5抗体で処置されているか、又は処置されたことがある患者における補体媒介疾患(例えば、aHUS、PNH、HSCT-TMA、CM-TMA、NMOSD、gMG又はALS)の処置のための、第1の抗C5抗体と非競合的である治療有効量の第2の抗C5抗体の使用であって、前記第2の抗C5抗体が、前記第1及び前記第2の抗C5抗体並びに補体C5を含む多価免疫複合体の形成が防止又は低減されるように、前記患者の系(例えば、血液)中の前記第1の抗C5抗体のレベルを低減するのに十分なウォッシュアウト後に投与される、使用。
【請求項38】
前記多価免疫複合体が、補体C5抗原に特異的に結合する少なくとも1つの第1の抗体及び少なくとも1つの第2の抗体、並びに任意選択で、追加のC5抗原を含む、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
前記第2の抗体が、エクリズマブ及びラブリズマブ又はそれらのバイオシミラーから選択される前記第1の抗体と非競合的である、請求項37に記載の使用。
【請求項40】
前記第1の抗体が、エクリズマブ及びラブリズマブ又はそれらのバイオシミラーから選択され、前記第2の抗体が、305LO5、SKY59、ポゼリマブ、テシドルマブ、クロバリマブ、ABP959、又はそのバイオシミラーから選択され;好ましくは、第2の抗体が、ポゼリマブ、テシドルマブ、又はクロバリマブである、請求項37に記載の使用。
【請求項41】
前記補体媒介障害が、aHUS又はPNHである、請求項37に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月23日に出願された米国仮特許出願第63/105,018号の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照により全体として本明細書に組み込まれる配列表を含有する。前記ASCIIコピーは、2021年10月8日に作成され、0641_WO_SL.txtと命名され、58,786バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
例えば治療用途における使用のために、モノクローナル抗体を開発する場合、標的抗原によって形成される循環免疫複合体の特性を考慮する必要がある。このような複合体の原子価は、クリアランス、エフェクター機能、及び食細胞による取り込みに影響を与え得る。医療現場では、二次抗体の存在下、インビボで多価免疫複合体を形成する場合、疾患の診断及び/又は治療に使用される従来のモノクローナル抗体の安全性プロファイルが変化又は進化し得る。したがって、レシピエントが、異なる部位で一価の標的に結合する複数の抗体に曝露され、多価免疫複合体の形成を引き起こす可能性がある場合を考慮しなければならない。したがって、本開示の目的は、患者が1つのそのような抗体による処置から別の抗体による処置に変換される場合など、複数のモノクローナル抗体(例えば、抗C5抗体)に同時に曝露され得る患者(例えば、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)又は非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)などの補体媒介障害の処置を受けている患者)を処置するための改善された方法を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書において、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されており、次いで第2の(異なる)抗C5抗体で処置される、補体媒介障害を有するヒト患者における、有害な多価免疫複合体の形成を予防又は最小化するように設計された処置方法が提供される。本開示は、部分的に、抗原抗体複合体(例えば、C5-エクリズマブ複合体)が、非競争的に複合体と会合する(例えば、第2の抗体も、第1の抗体(例えば、エクリズマブ)のエピトープとは異なるエピトープで抗原(例えば、C5)に結合する能力による)第2の抗体と接触(例えば、投与)されると、大きな多価免疫複合体が形成されるという発見に基づいている。特に、本出願の発明者らは、第1の抗体(例えば、エクリズマブ)の濃度がその治療用量(例えば、C5阻害のための最小血漿濃度(Cmin)を達成するのに十分な用量)以上である状況では、第2の非競合的抗体(例えば、クロバリマブ又はポゼリマブ)の投与により、高分子量(HMW)複合体が形成され、一部の種では分子量(MW)が1500kDaを超えることを発見した。驚くべきことに、これらのHMW複合体は、同じエピトープについて第2の抗体が第1の抗体と競合する場合には観察されなかった(例えば、エクリズマブ及びラブリズマブ)。これらのデータは、第1の抗体のウォッシュアウトがなければ(例えば、抗体のクリアランス又はその抗原への抗体の結合の阻害を介して)、第2の非競合的抗体の添加により、約5分子の抗体に特異的に結合した約4分子のC5を含むものを含む、大きな(例えば、ヘテロオリゴマー)免疫複合体が形成されることを示している。
【0005】
2つの非競合的な抗体が使用される状況において、未知のPK/PD特性及び安全性/有効性プロフィールを有するこれらのHMW複合体の形成を防止又は低減するために、本出願は、毒性のリスクを最小化し、且つ/又は安全性/有効性を改善するために、採用され得るいくつかの戦略を開示する。そのような手段の1つは、第2の抗体の投与前に、第1の抗体が系(例えば、血液又は別の標的組織)から除去される離脱期間を使用することを含む。別の潜在的な戦略は、系から第1の抗体を除去するためのアフェレーシス手順の使用を含み得る(例えば、第1の抗体が結合する抗原決定基を含むポリペプチドでコーティングされた表面を使用する)。第3の方法は、第1の抗体には結合するが第2の抗体には結合しない(インビボ又はエクスビボ)エピトープを含む補体C5抗原断片を投与することを含み得る。
【0006】
本開示のシステム及び方法は、補体媒介障害、例えば、PNH又はaHUSの抗体療法に特に適用可能であり、ここで、患者は、第1の抗C5抗体から第2の非競合的抗C5抗体に切り替えられる。第1の抗体の代表的な例としては、例えば、エクリズマブ又はラブリズマブが挙げられ、第2の抗体の代表的な例としては、例えば、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体、ポゼリマブ、テシドルマブ、クロバリマブ、ABP959抗体、ELIZARIA(登録商標)、BCD-148及び/又はSB12、又はそれらの抗原結合断片;好ましくは、305LO5、SKY59、ポゼリマブ、テシドルマブ、クロバリマブ、又はABP959が挙げられる。
【0007】
本開示は、以下の非限定的な実施形態に関する。
【0008】
一部の実施形態において、補体媒介障害に罹患している患者を安全に処置する方法が本明細書に提供され、ここで、患者は、第1の抗C5抗体で処置されているか、又は処置されたことがあり、この方法は、第1及び第2の抗C5抗体並びに補体C5を含む多価免疫複合体の形成が防止又は低減されるように、患者の系中の第1の抗C5抗体のレベルを低減するのに十分なウォッシュアウト後に、第1の抗C5抗体と非競合的である治療有効量の第2の抗C5抗体を投与することを含む。一部の実施形態において、系は、血液又は眼液などの体液を含む。一部の実施形態において、第1の抗体は、エクリズマブ又はラブリズマブである。一部の実施形態において、ウォッシュアウトは、離脱期間、例えば、第1の抗体の半減期(t1/2)以上の期間、例えば、少なくとも1、2、3以上の第1の抗体の半減期以上の期間の使用を含む。一部の実施形態において、第1の抗体がエクリズマブである場合、ウォッシュアウトは、少なくとも約7.8日(体重100kgの成人)及び19.5日(体重40kgの成人)の離脱期間を含み、平均離脱期間は少なくとも約12日である(例えば、エクリズマブのt1/2)。一部の実施形態において、第1の抗体がエクリズマブである場合、ウォッシュアウトは、少なくとも約31日(体重100kgの成人)から約80日(体重40kgの成人)の離脱期間を含み、平均離脱期間は少なくとも約42日である(例えば、ラブリズマブのt1/2)。一部の実施形態において、ウォッシュアウトは、例えば血漿交換を使用した、患者からの第1の抗体の除去を含む。一部の実施形態において、ウォッシュアウトは、第1の抗体の抗原結合領域には結合するが、第2の抗体の抗原結合領域には結合しないペプチド抗原の使用を含む。一部の実施形態において、第1及び第2の抗体は、非競合的である(例えば、抗原の同じエピトープに実質的に結合しない)。一部の実施形態において、ウォッシュアウトの十分性は、系内の多価免疫複合体の特徴(例えば、質量)を測定することによって決定される。一部の実施形態において、多価免疫複合体は、単一又は複数のC5抗原に特異的に結合する少なくとも1つの第1の抗体及び少なくとも1つの第2の抗体を含む。
【0009】
一実施形態において、補体媒介障害に罹患している患者を処置する方法が提供され、ここで、患者は、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されており、方法は、
(a)補体C5、第1の抗C5抗体、及び第2の抗C5抗体を含む、多価免疫複合体の形成に十分な条件下で、患者からの生体サンプルを治療用量の第2の抗C5抗体と接触させること;
(b)(a)の下で形成された多価免疫複合体のレベルを測定すること;
(c)測定された多価免疫複合体のレベルが閾値レベルを超えているかを決定すること;並びに
(d)測定されたレベルが閾値レベルを超える患者に、第2の抗C5抗体の調整されたレジメンを投与することであって、調整されたレジメンが、C5阻害は維持されるが閾値レベルを超えないように、第2の抗C5抗体の用量及び/又は投与タイミングの調整を含むこと
を含む。
【0010】
本明細書において、補体媒介障害に罹患している患者を処置するための第2の(異なる)抗C5の調整された治療用量及び/又は投与タイミングを含む、調整されたレジメン抗体を決定する方法(例えば、多価免疫複合体の形成を予防又は最小化するレジメン)も提供され、ここで、患者は、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されており、方法は、
(a)補体C5、第1の抗C5抗体、及び第2の抗C5抗体を含む、多価免疫複合体の形成に十分な条件下で、患者からの生体サンプルを治療用量の第2の抗C5抗体と接触させること;
(b)(a)の下で形成された多価免疫複合体のレベルを測定すること;
(c)測定された多価免疫複合体のレベルが閾値レベルを超えているかを決定すること;並びに
(d)測定されたレベルが閾値レベルを超える患者に、C5阻害は維持されるが閾値レベルを超えないように、第2の抗C5抗体療法のレジメンを調整すること
を含む。
【0011】
一部の実施形態において、方法は、患者を第1の抗C5抗体療法による処置から離脱させる(例えば、中止する)ことをさらに含む。
【0012】
さらに、本明細書において、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されている、補体媒介障害を有するヒト患者を、第2の(異なる)抗C5抗体による処置に切り替える方法が提供される。一実施形態において、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されている、補体媒介障害を有するヒト患者を、第2の抗C5抗体に切り替える方法が提供され、方法は、
(a)補体C5、第1の抗C5抗体、及び第2の抗C5抗体を含む、多価免疫複合体の形成に十分な条件下で、患者からの生体サンプルを治療用量の第2の抗C5抗体と接触させること;
(b)(a)の下で形成された多価免疫複合体のレベルを測定すること;
(c)測定された多価免疫複合体のレベルが閾値レベルを超えているかを決定すること;並びに
(d)第2の抗C5抗体の調整されたレジメンを患者に投与することであって、調整されたレジメンが、C5阻害は維持されるが閾値レベルを超えないように、第2の抗C5抗体の用量及び/又は投与タイミングの調整を含むこと;並びに
(e)測定されたレベルが閾値レベルを超える患者を第1の抗C5抗体療法による処置から離脱させ、それにより、患者を第1の抗C5抗体から第2の抗C5抗体に切り替えること
を含む。
【0013】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態において、第2の抗C5抗体は、閾値を超えなくなるまで、低減された用量及び/又は低減された頻度で投与される。
【0014】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態において、調整されたレジメンは、臨床的に有効な投与レジメン又はスケジュールレジメンの修正を含む。例えば、一実施形態において、調整されたレジメンは、標準的な治療用量よりも低い用量、例えば、治療用量未満の用量である。他の実施形態において、調整されたレジメンは、例えば、より遅い投与速度及び/又はより低頻度の投与による、標準的なスケジュールと比較して緩和された速度又は間隔での投与を含む。
【0015】
第2の抗C5抗体による処置に切り替える前に、追加の技術を本明細書に記載の方法と組み合わせて使用して、第1の抗C5抗体を除去又はそのクリアランスを向上させることができる。例示的な技術としては、限定されるものではないが、血漿交換又は輸血が挙げられる。
【0016】
任意の好適な抗C5抗体、又はその抗原結合断片を、本明細書に記載の方法において使用することができる。一実施形態において、第1及び/又は第2の抗C5抗体は、全長抗体又はその抗原結合断片、ヒト化抗体、二重特異性抗体、免疫抱合体、キメラ抗体、フィブロネクチン又はアンキリンリピートなどの抗体様特性を有するタンパク質足場、Fab、Fab’2、scFv、アフィボディ、アビマー、ナノボディ、及びドメイン抗体からなる群から選択される。別の実施形態において、第1及び/又は第2の抗C5抗体は、モノクローナル抗体である。別の実施形態において、第1及び第2の抗C5抗体は、C5上の異なるエピトープに結合する抗体である。別の実施形態において、第1及び第2の抗C5抗体は、C5への結合について競合しない抗体であり;より好ましくは、第1及び/又は第2の抗C5抗体は、C5の異なるドメインに結合する抗体であり、例えば、ここで、第1の抗体は、C5のMG7ドメインに結合し、第2の抗体は、C5のMG1又はMG6ドメインに結合する。
【0017】
例示的な抗C5抗体は、エクリズマブである。エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標)としても公知)は、配列番号1、2、及び3にそれぞれ示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む、抗C5抗体である。エクリズマブは、配列番号7に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号8に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。エクリズマブは、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、抗体は、エクリズマブの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)又は可変領域(VR)を含む。したがって、一実施形態において、抗体は、配列番号7に示される配列を有するエクリズマブの重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するエクリズマブの軽鎖(VL)領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号1、2、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号7及び配列番号8にそれぞれ示されるアミノ酸配列を有するVH及びVL領域を含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0019】
別の例示的な抗C5抗体は、配列番号14及び11にそれぞれ示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含むラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))、又はその抗原結合断片及びバリアントである。いくつかの実施形態において、抗体は、ラブリズマブの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)又は可変領域(VR)を含む。したがって、一実施形態において、抗体は、配列番号12に示される配列を有するラブリズマブの重鎖可変(VH)領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するラブリズマブの軽鎖(VL)領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む。
【0020】
別の実施形態において、抗体は、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域を含み、バリアントヒトFc CH3定常領域は、各々EUナンバリング慣例に従う天然ヒトIgG Fc定常領域のメチオニン428及びアスパラギン434に対応する残基におけるMet429Leu及びAsn435Ser置換を含む。
【0021】
別の実施形態において、抗体は、配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号12及び配列番号8にそれぞれ示されるアミノ酸配列を有するVH及びVL領域を含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号13に示される重鎖定常領域を含む。別の実施形態において、抗体は、ラブリズマブ又はそのバイオシミラーを含む。
【0022】
一部の実施形態において、第1及び第2の抗C5抗体は、補体C5の異なるエピトープに結合する。一部の実施形態において、第1の抗C5抗体は、C5のMG7ドメインに結合する抗体であり、第2の抗C5抗体は、MG7以外のドメイン、例えば、C5のMG1ドメイン又はMG6ドメインに結合する抗体である。一部の実施形態において、第1の抗C5抗体は、C5のMG1ドメインに結合する抗体であり、第2の抗C5抗体は、MG1以外のドメイン、例えば、C5のMG7ドメイン又はMG6ドメインに結合する抗体である。一部の実施形態において、第1の抗C5抗体は、C5のMG6ドメインに結合する抗体であり、第2の抗C5抗体は、MG6以外のドメイン、例えば、C5のMG7ドメイン又はMG1ドメインに結合する抗体である。これらの実施形態において、C5のMG7ドメインに結合する抗C5抗体は、エクリズマブ又はラブリズマブを含んでもよく;MG1ドメインに結合する抗体はクロバリマブを含んでもよく;MG6ドメインに結合する抗体はポゼリマブを含んでもよい。
【0023】
別の実施形態において、第1及び/又は第2の抗C5抗体は、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体、及びポゼリマブ(REGN3918抗体)、テシドルマブ(LFG316)、クロバリマブ(RG6107)、ABP959抗体、ELIZARIA(登録商標)、BCD-148(JSC BIOCAD)及びSB12、又はそれらの抗原結合断片(例えば、それぞれの抗体又はそのバイオシミラーの重鎖及び軽鎖CDRを含む)からなる群から選択される抗体である。一実施形態において、第1の抗体、又は好ましくは第2の抗体は、クロバリマブ、ポゼリマブ、又はそれらのバイオシミラーである。
【0024】
別の実施形態において、抗C5抗体は、BNJ421抗体(国際公開第2015134894号パンフレット及び米国特許第9,079,949号明細書に記載)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、BNJ421抗体又はそのバイオシミラーを含む。
【0025】
別の実施形態において、抗C5抗体は、7086抗体(米国特許第8,241,628号明細書及び同第8,883,158号明細書参照)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、7086抗体又はそのバイオシミラーを含む。
【0026】
別の実施形態において、抗C5抗体は、8110抗体(米国特許第8,241,628号明細書及び同第8,883,158号明細書参照)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、7086抗体又はそのバイオシミラーを含む。
【0027】
別の実施形態において、抗C5抗体は、305LO5抗体(米国特許第9,765,135号明細書参照)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、7086抗体又はそのバイオシミラーを含む。
【0028】
別の実施形態において、抗C5抗体は、SKY59抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、SKY59抗体又はそのバイオシミラーを含む。
【0029】
別の実施形態において、抗C5抗体は、ポゼリマブ(REGN3918抗体)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、ポゼリマブ又はそのバイオシミラーを含む。
【0030】
別の実施形態において、抗C5抗体は、テシドルマブ(LFG316)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、テシドルマブ又はそのバイオシミラーを含む。
【0031】
別の実施形態において、抗C5抗体は、クロバリマブ(RG6107)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、クロバリマブ又はそのバイオシミラーを含む。
【0032】
別の実施形態において、抗C5抗体は、ABP 959抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、ABP959抗体又はそのバイオシミラーを含む。
【0033】
別の実施形態において、抗C5抗体は、ELIZARIA(登録商標)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、ELIZARIA(登録商標)又はそのバイオシミラーを含む。
【0034】
別の実施形態において、抗C5抗体は、抗体SB12の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、抗体SB12又はそのバイオシミラーを含む。
【0035】
別の実施形態において、第1の抗C5抗体は、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))である。別の実施形態において、第1の抗C5抗体は、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))であり、第2の抗体は、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体、ポゼリマブ(REGN3918抗体)、テシドルマブ(LFG316)、クロバリマブ(RG6107)、ABP959抗体、ELIZARIA(登録商標)、BCD-148(JSC BIOCAD)、SB12、それらの抗原結合断片、又はそれらのバイオシミラーである。別の実施形態において、第1の抗C5抗体は、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))であり、第2の抗体は、クロバリマブ、ポゼリマブ、又はそれらのバイオシミラーである。
【0036】
別の実施形態において、抗体は、上記抗体のいずれかと同じC5上のエピトープとの結合について競合し、及び/又はそれに結合する。別の実施形態において、抗体は、上記抗体のいずれかと少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性を有する(例えば、配列番号12又は配列番号8と少なくとも約90%、95%又は99%の可変領域同一性)。
【0037】
別の実施形態において、抗体は、0.1nM≦K≦1nMの範囲の親和性解離定数(K)でpH7.4及び25℃においてヒトC5に結合する。別の実施形態において、抗体は、約0.5nMの親和性解離定数(K)でpH7.4及び25℃においてヒトC5に結合する。別の実施形態において、抗体は、pH6.0及び25℃においてK≧10nMでヒトC5に結合する。別の実施形態において、抗体は、pH6.0及び25℃において約22nMのKでヒトC5に結合する。さらに別の実施形態において、抗体の[(pH6.0及び25℃におけるヒトC5に対する抗体又はその抗原結合断片のK)/(pH7.4及び25℃におけるヒトC5に対する抗体又はその抗原結合断片のK)]は、25超である。
【0038】
一実施形態において、閾値レベルは、多価免疫複合体の最小質量に基づく。例えば、一実施形態において、閾値レベルは、約500kDa、510kDa、520kDa、530kDa、540kDa、550kDa、560kDa、570kDa、580kDa、590kDa、600kDa、610kDa、620kDa、630kDa、640kDa、650kDa、660kDa、670kDa、680kDa、690kDa、700kDa、710kDa、720kDa、730kDa、740kDa、750kDa、760kDa、770kDa、780kDa、790kDa、800kDa、810kDa、820kDa、830kDa、840kDa、850kDa、860kDa、870kDa、880kDa、890kDa、900kDa、910kDa、920kDa、930kDa、940kDa、950kDa、960kDa、970kDa、980kDa、990kDa、1000kDa、1010kDa、1020kDa、1030kDa、1040kDa、1050kDa、1060kDa、1070kDa、1080kDa、1090kDa、1100kDa、1110kDa、1120kDa、1130kDa、1140kDa、1150kDa、1160kDa、1170kDa、1180kDa、1190kDa、1200kDa、1210kDa、1220kDa、1230kDa、1240kDa、1250kDa、1260kDa、1270kDa、1280kDa、1290kDa、1300kDa、1310kDa、1320kDa、1330kDa、1340kDa、1350kDa、1360kDa、1370kDa、1380kDa、1390kDa、1400kDa、1410kDa、1420kDa、1430kDa、1440kDa、1450kDa、1460kDa、1470kDa、1480kDa、1490kDa、1500kDa、1510kDa、1520kDa、1530kDa、1540kDa、1550kDa、1560kDa、1570kDa、1580kDa、1590kDa、1500kDa、1610kDa、1620kDa、1630kDa、1640kDa、1650kDa、1660kDa、1670kDa、1680kDa、1690kDa、1700kDa、1710kDa、1720kDa、1730kDa、1740kDa、1750kDa、1760kDa、1770kDa、1780kDa、1790kDa、1800kDa、1810kDa、1820kDa、1830kDa、1840kDa、1850kDa、1860kDa、1870kDa、1880kDa、1890kDa、又は1900kDaを超える質量である。別の実施形態において、閾値レベルは、約532kDa、540kDa、569kDa、907kDa、913kDa、921kDa、963kDa、1277kDa、1278kDa、1286kDa、1314kDa、1574kDa、1649kDa、1659kDa、又は1788kDaを超える質量である。
【0039】
別の実施形態において、閾値レベルは、1分子の補体C5に特異的に結合する2つを超える抗C5抗体を含む多価免疫複合体(例えば、抗体:抗原の化学量論比を含む免疫複合体)の形成に基づく。別の実施形態において、閾値レベルは、3つを超える抗C5抗体及び2つのC5分子からなる多価免疫複合体の形成である。別の実施形態において、閾値レベルは、4つを超える抗C5抗体及び3つのC5分子からなる多価免疫複合体の形成である。別の実施形態において、閾値レベルは、5つを超える抗C5抗体及び4つを超えるC5分子からなる多価免疫複合体の形成である。
【0040】
閾値レベルは、任意の好適なアッセイ又は技術によって決定することができる。一実施形態において、閾値レベルは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び/又は多角光散乱(MALS)によって決定される。
【0041】
閾値レベルを超える場合には、患者からの第1の抗C5抗体のクリアランスを可能にするために、患者への第2の抗C5抗体の投与が延期される。例えば、実施形態において、患者への第2の抗C5抗体の投与は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40日延期される。
【0042】
第1及び/又は第2の抗C5抗体は、任意の好適な投薬レジメンに従って投与することができる。一実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片の用量は、患者の体重に基づく。ある実施形態において、投与量レジメンは、最適所望応答(例えば、有効応答)を提供するように調整する。
【0043】
一実施形態において、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、4週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に5回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mgの用量で投与される。
【0044】
別の実施形態において、患者(例えば、成人患者)は、PNHを有し、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、4週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に5回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mgの用量で投与される。
【0045】
別の実施形態において、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mgの用量で患者(例えば、成人患者)に投与される。
【0046】
別の実施形態において、患者は、aHUSを有し、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mgの用量で患者(例えば、成人患者)に投与される。
【0047】
別の実施形態において、患者は、重症筋無力症(MG)を有し、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mgの用量で患者(例えば、成人患者)に投与される。
【0048】
別の実施形態において、第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)(エクリズマブ)であり、調整されたレジメンは、患者(例えば、成人患者)における補体媒介障害の治療のための治療レジメンの調整を含む。別の実施形態において、治療レジメンは、PNHの処置のために、4週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に5回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mgの用量を含む。別の実施形態において、治療レジメンは、aHUSの処置のために、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mgの用量を含む。別の実施形態において、治療レジメンは、MGの処置のために、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mgの用量を含む。
【0049】
別の実施形態において、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、
(a)体重40kg以上の患者には、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mg;
(b)体重30kgから40kg未満の患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mg;
(c)体重20kgから30kg未満の患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として600mg、次いでその後2週間ごとに600mg;
(d)体重10kgから20kg未満の患者には、1週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後2週間ごとに300mg;又は
(e)体重5kgから10kg未満の患者には、1週間にわたって週に300mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後3週間ごとに300mg
の用量で患者(例えば、小児患者)に投与される。
【0050】
別の実施形態において、患者(例えば、小児患者)は、aHUSを有し、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、
(a)体重40kg以上の患者には、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mg;
(b)体重30kgから40kg未満の患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mg;
(c)体重20kgから30kg未満の患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として600mg、次いでその後2週間ごとに600mg;
(d)体重10kgから20kg未満の患者には、1週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後2週間ごとに300mg;又は
(e)体重5kgから10kg未満の患者には、1週間にわたって週に300mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後3週間ごとに300mg
の用量で患者に投与される。
【0051】
別の実施形態において、第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)(エクリズマブ)であり、調整されたレジメンは、患者(例えば、小児患者)における補体媒介障害の治療のための治療レジメンの調整を含む。別の実施形態において、治療レジメンは、
(a)体重40kg以上の患者には、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mg;
(b)体重30kgから40kg未満の患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mg;
(c)体重20kgから30kg未満の患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として600mg、次いでその後2週間ごとに600mg;
(d)体重10kgから20kg未満の患者には、1週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後2週間ごとに300mg;又は
(e)体重5kgから10kg未満の患者には、1週間にわたって週に300mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後3週間ごとに300mg
の用量での患者への第2の抗体の投与を含む。
【0052】
別の実施形態において、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号19、18及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;(d)配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む;且つ/又は(e)ULTOMIRIS(登録商標)(ラブリズマブ)であり、(a)投与サイクルの1日目に1回;≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mgの用量において;及び(b)投与サイクルの15日目及びそれ以降8週間ごとに≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、又は≧100kgの体重の患者に3600mgの用量において、患者(例えば、成人患者)に投与される。
【0053】
別の実施形態において、患者(例えば、成人患者)は、aHUSのPNHを有し、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号19、18及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;(d)配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む;且つ/又は(e)ULTOMIRIS(登録商標)(ラブリズマブ)であり、(a)投与サイクルの1日目に1回;≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mgの用量において;及び(b)投与サイクルの15日目及びそれ以降8週間ごとに≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、又は≧100kgの体重の患者に3600mgの用量において、患者に投与される。
【0054】
別の実施形態において、第2の抗C5抗体は、(a)配列番号19、18及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;(d)配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む;且つ/又は(e)ULTOMIRIS(登録商標)(ラブリズマブ)であり、調整されたレジメンは、患者(例えば、成人患者)における補体媒介障害の治療のための治療レジメンの調整を含む。別の実施形態において、治療レジメンは、(a)投与サイクルの1日目に1回;≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mg;及び(b)投与サイクルの15日目及びそれ以降8週間ごとに≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、又は≧100kgの体重の患者に3600mgの用量での患者への第2の抗体の投与を含む。
【0055】
別の実施形態において、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号19、18及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;(d)配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む;且つ/又は(e)ULTOMIRIS(登録商標)(ラブリズマブ)であり、(a)1日目に1回、≧5~<10kgの体重の患者に600mg、≧10~<20kgの体重の患者に600mg、≧20~<30kgの体重の患者に900mg、≧30~<40kgの体重の患者に1200mg、≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mgの用量において;(b)15日目及びそれ以降4週間ごとに≧5~<10kgの体重の患者に300mg若しくは≧10~<20kgの体重の患者に600mgの用量において;又は15日目及びそれ以降8週間ごとに≧20~<30kgの体重の患者に2100mg、≧30~<40kgの体重の患者に2700mg、≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、若しくは≧100kgの体重の患者に3600mgの用量において、患者(例えば、小児患者)に投与される。
【0056】
別の実施形態において、患者(例えば、小児患者)は、aHUSのPNHを有し、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号19、18及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;(d)配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む;且つ/又は(e)ULTOMIRIS(登録商標)(ラブリズマブ)であり、(a)1日目に1回、≧5~<10kgの体重の患者に600mg、≧10~<20kgの体重の患者に600mg、≧20~<30kgの体重の患者に900mg、≧30~<40kgの体重の患者に1200mg、≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mgの用量において;(b)15日目及びそれ以降4週間ごとに≧5~<10kgの体重の患者に300mg若しくは≧10~<20kgの体重の患者に600mgの用量において;又は15日目及びそれ以降8週間ごとに≧20~<30kgの体重の患者に2100mg、≧30~<40kgの体重の患者に2700mg、≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、若しくは≧100kgの体重の患者に3600mgの用量において、患者に投与される。
【0057】
別の実施形態において、第2の抗C5抗体は、(a)配列番号19、18及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;(d)配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む;且つ/又は(e)ULTOMIRIS(登録商標)(ラブリズマブ)であり、調整されたレジメンは、患者(例えば、小児患者)における補体媒介障害の治療のための治療レジメンの調整を含む。別の実施形態において、治療レジメンは、(a)1日目に1回、≧5~<10kgの体重の患者に600mg、≧10~<20kgの体重の患者に600mg、≧20~<30kgの体重の患者に900mg、≧30~<40kgの体重の患者に1200mg、≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mg;(b)15日目及びそれ以降4週間ごとに≧5~<10kgの体重の患者に300mg若しくは≧10~<20kgの体重の患者に600mgの用量において;又は15日目及びそれ以降8週間ごとに≧20~<30kgの体重の患者に2100mg、≧30~<40kgの体重の患者に2700mg、≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、若しくは≧100kgの体重の患者に3600mgの用量での患者(例えば、小児患者)への第2の抗体の投与を含む。
【0058】
第1及び/又は第2の抗C5抗体は、任意の好適な手段又は当技術分野で認識されている技術を介して患者に投与することができる。一実施形態において、第1及び/又は第2の抗C5抗体は、患者に静脈内投与される。別の実施形態において、第1及び/又は第2の抗C5抗体は、患者に皮下投与される。
【0059】
任意の生体サンプルを本明細書に記載の処置方法において使用することができる。例示的な生体サンプルとしては、限定されるものではないが、血液、血清、血漿、尿、唾液、リンパ、髄液、細胞間液、硝子体液、及び汗が挙げられる。一実施形態において、体液は、血液である。
【0060】
一実施形態において、患者からの生体サンプルを、治療用量の第2の抗C5抗体とインビボで接触させる。一実施形態において、患者からの生体サンプルを、治療用量の第2の抗C5抗体とエクスビボで接触させる。別の実施形態において、患者からの生体サンプルを、治療用量の第2の抗C5抗体とインビトロで接触させる。
【0061】
本明細書に記載の方法に従って処置される患者は、1つ以上の補体媒介障害を有する。例示的な補体媒介障害としては、限定されるものではないが、関節リウマチ、抗リン脂質抗体症候群、ループス腎炎、虚血再灌流傷害、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、典型溶血性尿毒症症候群、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、デンスデポジット病、視神経脊髄炎、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、黄斑変性症、HELLP症候群、自然流産、血栓性血小板減少性紫斑病、微量免疫型血管炎、表皮水疱症、習慣性流産、外傷性脳損傷、心筋炎、脳血管障害、末梢血管障害、腎血管障害、腸間膜/腸管血管障害、血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病腎炎、全身性エリテマトーデス関連血管炎、関節リウマチに伴う血管炎、免疫複合体血管炎、高安病、拡張型心筋症、糖尿病性血管症、川崎病、静脈ガス塞栓症(venous gas embolus)、ステント留置、回転性粥腫切除術、経皮経管冠動脈形成術後の再狭窄、重症筋無力症、寒冷凝集素症、皮膚筋炎、発作性寒冷ヘモグロビン尿症、抗リン脂質症候群、グレーブス病、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、全身性炎症反応敗血症、敗血症性ショック、脊髄損傷、糸球体腎炎、移植拒絶反応、橋本甲状腺炎、I型糖尿病、乾癬、天疱瘡、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、デゴス病、及び劇症型抗リン脂質症候群が挙げられる。一実施形態において、補体媒介障害は、aHUSである。別の実施形態において、補体媒介障害は、PNHである。
【0062】
本明細書に提供される処置方法の有効性は、任意の好適な手段を使用してアセスメントすることができる。一実施形態において、処置は、第2の抗C5抗体の投与の結果として形成される多価免疫複合体に関連する毒性を伴わずに、補体媒介障害の少なくとも1つの徴候又は症状を消散させる。
【0063】
一部の実施形態において、本開示は、第1の抗C5抗体で処置されているか、又は処置されたことがある患者における補体媒介疾患(例えば、aHUS、PNH、HSCT-TMA、CM-TMA、NMOSD、gMG又はALS)の処置のための、第1の抗C5抗体と非競合的である治療有効量の第2の抗C5抗体の使用に関し、ここで、第2の抗C5抗体は、第1及び第2の抗C5抗体並びに補体C5を含む多価免疫複合体の形成が防止又は低減されるように、患者の系(例えば、血液)中の第1の抗C5抗体のレベルを低減するのに十分なウォッシュアウト後に投与される。好ましくは、多価免疫複合体は、補体C5抗原に特異的に結合する少なくとも1つの第1の抗体及び少なくとも1つの第2の抗体、並びに任意選択で、追加のC5抗原を含む。
【0064】
一部の実施形態において、本開示は、前述に従って、エクリズマブ及びラブリズマブから選択される第1の抗体又は第1の抗体のバイオシミラーと非競合的である、治療有効量の第2の抗体の使用に関する。
【0065】
一部の実施形態において、本開示は、前述に従って、エクリズマブ又はラブリズマブと非競合的である治療有効量の第2の抗体の使用に関し、ここで、第2の抗体は、305LO5、SKY59、ポゼリマブ、テシドルマブ、クロバリマブ、ABP959、又はそのバイオシミラーから選択され;好ましくは、第2の抗体は、ポゼリマブ、テシドルマブ、又はクロバリマブである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】組換え抗C5モノクローナル抗体クロバリマブ模倣体及びポゼリマブ模倣体が、エクリズマブと非競合的にヒトC5に結合することを示す。以下の異なる第2の抗体:エクリズマブ(図1A)、ラブリズマブ(図1B)、mAbクロバリマブ模倣体(図1C)、及びmAbポゼリマブ模倣体(図1D)への、C5上の異なる部位へ結合することが知られているmAb N19/8に関するデータが示される。スケールバーは、1.0nmのバイオセンサーシグナルに対応する偏向を示す。
図2】クロバリマブ模倣体が、エクリズマブ及びC5の存在下で、エクリズマブがCminに近づくにつれてヒト血液中のものを模倣するエクリズマブ及びC5濃度において、非常に大きな複合体の形成を誘導することを示す。図2Aに示されるとおり、クロバリマブ模倣体(700nM)単独は、単一のピークとして移動し、1:1及び1:2のクロバリマブ模倣体:C5複合体に対応するC5(400nM)の存在下で2つの追加の種を形成した。図2Bに示されるとおり、エクリズマブ(700nM)とC5(400nM)によるクロバリマブ模倣体(700nM)の再構成は、アスタリスクで示される一連のより大きく早期の溶出ピークの形成をもたらした。図2C及び2Dに示されるとおり、PBS中でクロバリマブ模倣体、C5及びエクリズマブの間で形成された複合体は、一部の場合において、再構成がエクリズマブと等モル(700nM)の濃度のクロバリマブ模倣体(図2C)で行われたか、又は5倍モル過剰(3500nM)のエクリズマブ(図2D)で行われたかにかかわらず、MALSにより150万Daを超えた。
図3】ポゼリマブ模倣体が、エクリズマブとC5の存在下で、エクリズマブがCminに近づくにつれてヒト血液中のものを模倣するエクリズマブ及びC5の濃度において、非常に大きな複合体の形成を誘導することを示す。図3Aに示されるとおり、ポゼリマブ模倣体(700nM)単独は、単一のピークとして移動し、1:1及び1:2のポゼリマブ模倣体:C5複合体に対応するC5(400nM)の存在下で2つの追加の種を形成した。エクリズマブ(700nM)とC5(400nM)によるポゼリマブ模倣体(700nM)の再構成は、アスタリスクで示される一連のより大きく早期の溶出ピークの形成をもたらした。図3Bに示されるとおり、ポゼリマブ模倣体(700nM)を、標識エクリズマブ(700nM)を用いて80%ヒト血漿中で再構成した場合には、高度に類似した保持時間(*)を有する早期溶出複合体も観察されたが、ポゼリマブ模倣体が存在しない場合には観察されなかった。図3C~3Dに示されるとおり、PBS中でポゼリマブ模倣体、C5及びエクリズマブの間で形成された複合体は、一部の場合において、MALSにより150万Daを超え(図3C)、ポゼリマブ模倣体がエクリズマブの5倍過剰である3500nMであった場合でも大きいままであった(図3D)。
図4】ラブリズマブが、エクリズマブの不存在下又は存在下のいずれにおいても、C5と1:1及び1:2複合体のみを形成することを示す。図4Aに示されるとおり、具体的には、ラブリズマブ単独では単一のピークとして移動したが、C5又はC5とエクリズマブの存在下では3つのピークが観察された。図4Bに示されるとおり、C5+エクリズマブ及びラブリズマブの組成物で溶出する最後のピークは、非結合抗体に対応し、遊離エクリズマブ及びラブリズマブがわずかに異なる保持時間を有したため、ショルダーを有していた。ラブリズマブ及びC5(図4C)、並びにラブリズマブ及びC5+エクリズマブ(図4D)を含む組成物は、1:1及び1:2 mAb:C5複合体のみの形成と一致するMALSによる質量を示した。
図5】エクリズマブ、C5、及び抗C5mAb、クロバリマブ模倣体又はポゼリマブ模倣体のいずれかの間で形成される複合体の質量が、複数の抗体及びC5分子を含む複合体の形成と一致することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
I.一般的な定義
用語「及び/又は」には、関連する列挙項目の1つ以上のあらゆる可能な組み合わせ、及び代替(「又は」)として解釈される場合、組み合わせがないことが含まれる。
【0068】
用語「約」は、開示の文脈で別段の指示がないか、又はそのような解釈と矛盾しない限り、その値のプラス又はマイナス10%の範囲を意味し、例えば「約5」は4.5~5.5を意味する。例えば、「約49、約50、約55」などの数値の列挙では、「約50」は、前後の値の間の間隔の半分未満に及ぶ範囲、例えば、49.5超52.5未満を意味する。
【0069】
本開示において値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限の間の各中間値、及びその記載された範囲内の他の記載された値又は介在する値が本開示内に包含されることが意図される。例えば、1mM~8mMの範囲が記載されている場合、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、及び7mMも明示的に開示されることが意図される。
【0070】
本明細書において使用される場合、用語「複数」は、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上であり得る。
【0071】
用語「第1」及び「第2」は、時間又は空間における関係を有するものとして解釈されるべきではなく、単に、例えば構造、特性又は機能における、それらの間の区別に関するものである。
【0072】
「実質的に」という用語は、意図された目的のために機能するのに十分であることを意味する。したがって、用語「実質的に」は、全体的なパフォーマンスに相当の影響を及ぼさない、当分野で予想されるような、絶対的又は完全な状態、寸法、測定値、結果などからの、小さく有意でない変動(例えば、+/-10%)を許容する。
【0073】
本明細書において使用される場合、用語「マーカー」は、正常な生物学的プロセス、病原性プロセス、又は治療的介入(例えば、抗C5抗体による処置)に対する薬理学的応答の指標として、客観的に測定できる特徴を指す。
【0074】
本明細書において使用される場合、「パネル」は、特定の疾患若しくは健康状態を示すか、又はそれと相関することが示されている2つ以上の異なる分子種の群を指す。このような「分子種」は「バイオマーカー」と呼ばれる場合があり、用語「バイオマーカー」は、その存在又は不在又はレベルが特定の生物学的状態の指標として機能する生物学的分子を意味すると理解される。例えば、対象における免疫複合体の蓄積による毒性の発生(又は可能性)。換言すれば、バイオマーカーは、正常な生物学的プロセス、病原性プロセス、又は薬物に対する薬理学的応答の指標として客観的に測定及び評価できる特徴である。
【0075】
用語「調節する」は、特定のレベル又は活性の向上(例えば、増加)又は阻害(例えば、減少)を指す。用語「向上する」又は「増加する」は、特定のパラメータ(例えば、免疫複合体の質量)の少なくとも約1.25倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、12倍、又は15倍もの増加を指す。用語「阻害する」又は「低減する」、又はその文法的変形は、標的の特定のレベル又は活性の減少又は減退、例えば、標的の検出可能なレベル又は活性がほとんど又は本質的にないこと(多くとも有意でない量)を指す。
【0076】
本明細書において使用される場合、用語「低減すること」は、相当の、例えば統計的に有意な、量又は質の減少又は低下を指す。実施形態において、低減することは、活性を部分的若しくは完全に阻害すること、又は活性を減少若しくは低下させることを指す。他の実施形態において、「低減すること」は、基準レベルと比較して少なくとも10%の減少、例えば、参照レベルと比較して、少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は最大100%の減少を意味する。本明細書において使用される場合、用語「発生率を低減すること」及び「機能を改善すること」は、有益な効果、例えば、ベースラインを超える好転又は改善を指す。多くの場合、ベースラインに対する改善は統計的に有意である。例えば、「発生率を低減すること」及び「機能を向上させること」は、参照レベルと比較して少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、若しくは100%、又は対照と比較して少なくとも約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍以上、例えば、20倍の好転を指し得る。
【0077】
本明細書において使用される場合、用語「診断」は、対象が所与の疾患又は状態、例えば、補体媒介障害に罹患している可能性が高いかを決定することができる方法を指す。当業者は、多くの場合、1つ以上の診断指標、例えば、疾患又は状態の存在、重症度、又は不存在を示す、マーカー、その存在、不存在、量、又は量の変化に基づいて診断を行う。他の診断指標としては、患者の病歴;身体症状、例えば、バイタルの原因不明の変化、又は表現型、遺伝子型又は環境若しくは遺伝因子を挙げることができる。当業者は、用語「診断」という用語が、特定の経過又はアウトカムが発生する増加した確率を指すこと;すなわち、所与の特徴、例えば診断指標の存在又はレベルを示す患者では、その特徴を示さない個人と比較した場合、経過又はアウトカムが発生する可能性がより高いことを理解するであろう。本開示の診断方法は、独立して、又は他の診断方法と組み合わせて使用して、所与の形質を示す患者において経過又はアウトカムが起こる可能性がより高いかを決定することができる。
【0078】
本明細書において使用される場合、用語「検出すること」は、サンプル中の1つ以上のパラメータの測定によってサンプルに関連する値又は値のセットを決定するプロセスを指し、検査サンプルを参照サンプルと比較することをさらに含み得る。例えば、抗体媒介拒絶の検出には、マーカー、例えば多価免疫複合体の形成の、同定、アッセイ、測定及び/又は定量が含まれ得る。
【0079】
本明細書において使用される場合、用語「決定する」は、プロセス、例えば、インビボでの免疫複合体の形成に関する現象を科学的に測定するプロセスを指す。これは、当業者がその技術の範囲内でその現象を観察及び測定するための検査を行うことを想定している。用語「モニタリングする」は、状態の進行を決定すること、又は特定の処置プロトコル(例えば、抗体治療の離脱)又は組成物(例えば、中和ペプチドの投与)の有効性を決定することを指す。
【0080】
本明細書において使用される場合、用語「可能性」は、一般に、確率、相対的確率、存在若しくは不存在、又は程度を指す。本明細書において使用される場合、疾患又は障害に関する「リスクがある」という用語は、特定の疾患を経験する傾向にある対象(例えば、ヒト)を指す。この素因は、遺伝的又は環境的なものであり得る。したがって、本開示が何らかの特定のリスクに限定されることは意図されていない。用語「アウトカム」は、測定できる診断又は治療の特定の結果又は効果を意味する。
【0081】
本明細書において使用される場合、用語「対照」、対照の健康な対象又は未処置の対象などの検査サンプルの参照を指す。本明細書において使用される場合、「参照サンプル」とは、比較のために使用される、疾患を有する場合も有しない場合もある組織又は細胞のサンプルを指す。したがって、「参照」サンプルは、別のサンプル、例えば、本開示に従って処置された患者のサンプルと比較できる基礎を提供し得る。対照的に、「検査サンプル」は、参照サンプルと比較されるサンプルを指す。参照サンプルと検査サンプルが、本発明の方法(例えば、第2の抗体の投与前にウォッシュアウトを組み込む)に従って処置された又はそうでない(例えば、ウォッシュアウトを組み込まない)同じ患者から得られる場合など、参照サンプルは無疾患である必要はない。
【0082】
本明細書において使用される場合、用語「閾値」は、特定の状況における(例えば、抗C5抗体の単独療法を受けた対象からのサンプルにおける)マーカー(例えば、多価免疫複合体)のパラメータ(例えば、レベル又は量)を指す。
【0083】
用語「レベル」は、特定の分子種の存在を示す二値情報(例えば、不存在/存在)、定性的情報(例えば、不存在/低/中/高)、又は定量的情報(例えば、数、頻度、又は濃度に比例する値)を指し得る。
【0084】
本明細書において使用される場合、用語「対象」又は「患者」は、ヒト患者(例えば、PNH又はaHUSなどの補体媒介障害を有する患者)である。
【0085】
本明細書において使用される場合、用語「小児」患者は、医師又は介護者によって非成人カテゴリーに属すると分類されたヒト患者であり、例えば、新生児(早産及び正期産の両方)、乳児、子供、及び青年を含み得る。典型的には、小児患者は18歳未満(<18歳)の患者である。
【0086】
本明細書において使用される場合、用語「成人」患者は、医師又は介護者によってそのように、例えば、年齢、発達段階、生理的特徴などに基づいて、例えば、新生児、乳児、子供、又は青年ではないと分類されたヒト患者である。典型的には、成人患者は18歳以上(≧18歳)の患者である。本明細書において使用される場合、「予防を必要とする」、「処置を必要とする」、又は「それを必要とする」対象は、適切な医療従事者(例えば、ヒトの場合は、医師、看護師、看護師など)の判断により、所与の処置、例えば状態を処置するための特定の治療剤又は予防剤から合理的に利益を得るであろう対象を指す。
【0087】
本明細書において使用される場合、用語「処置する」又は「処置すること」は、介入を提供すること、例えば、対象に任意のタイプの医学的又は外科的管理を提供することを指す。処置は、障害若しくは状態を逆転、軽減、その進行を阻害、その可能性を予防若しくは軽減するために、又は障害若しくは状態の1つ以上の症状若しくは兆候を逆転、軽減、その進行を阻害若しくは予防、その可能性を予防若しくは軽減するために、提供することができる。「予防する」は、少なくとも一部の個体において、障害若しくは状態、又はその症状若しくは発現が少なくとも一定期間起こらないようにすることを指す。処置には、状態を示す1つ以上の症状又は兆候の発症に続いて、例えば、重症度を逆転、軽減、低減するために、及び/又は状態の進行を阻害若しくは予防するために、及び/又は重症度を逆転、軽減、低減するために、及び/又は状態の1つ以上の症状又は兆候を阻害するために、治療剤(例えば、抗C5抗体)を対象に投与することが含まれ得る。したがって、組成物は、補体媒介障害を発症しているか、又は一般集団のメンバーと比較して補体媒介障害を発症するリスクが高い対象に投与することができる。このような組成物は、例えば何らかの症状の発症又は状態の発現の前に、予防的に投与することができる。好ましくは、組成物は、例えば、何らかの症状の発症又は状態の発現後に、治療的に投与される。
【0088】
用語「症状」は、疾患、疾病、怪我、又は身体に何か異常があることの兆候を指す。症状は、その症状を経験している個人によって感じられ、又は気付かれるが、他の人には簡単には気付かれない場合がある。用語「徴候」は、医師、看護師、又はその他の医療専門家が確認できる、身体に何か異常があるという兆候を指す。
【0089】
用語「投与」又は「投与すること」は、薬剤、例えば、薬物と組み合わせて使用される場合、薬剤を細胞又は標的組織の中又は上に直接送達すること、又は薬剤を患者に提供し、それにより、薬剤が標的となる組織に影響を与えることを意味する。用語「接触する」は、薬剤(例えば、抗C5抗体)と標的(例えば、C5)を、一方が他方に生物学的効果(例えば、標的の阻害)を及ぼすために互いに十分に近接させることを指す。一部の実施形態において、接触という用語は、薬剤の標的への結合を意味する。
【0090】
本明細書において使用される場合、「輸血」は、血液、血液産物、又は他の流体、例えば、生理食塩水を、対象の循環系中に移す行為を指す。
【0091】
用語「静脈内(intravenous)」は、一般に「静脈内(within a vein)」を意味し、血管系を介して対象の標的細胞又は組織にアクセスすることを指す。静脈内(IV)治療では、液体物質が静脈に直接投与される。他の投与経路と比較して、静脈内経路は、おそらく身体全体に薬剤を送達する最も速い方法である。一部の医薬、輸血、及び非経口(例えば、非食物)栄養は、標準的な送達系を使用して静脈内投与される。
【0092】
本明細書において使用される場合、「有効な処置」は、有益な効果、例えば、疾患又は障害の少なくとも1つの症状の好転を生じさせる処置を指す。有益な効果は、ベースラインに対する改善、例えば、本方法による治療法の開始前になされた測定又は観察に対する改善の形態を取り得る。有効な処置は、補体媒介障害(例えば、PNH、aHUS、HSCT-TMA、CM-TMA、NMOSD、gMG又はALS)の少なくとも1つの徴候/症状の軽減を指し得る。実施形態において、有効な処置は、PNHの少なくとも1つの徴候/症状(例えば、蒼白、疲労、黄疸、貧血、血球減少症、腹痛、呼吸困難、嚥下障害、胸痛又は勃起機能障害)の軽減を指し得る。実施形態において、有効な処置は、aHUSの少なくとも1つの徴候/症状(例えば、重度の高血圧、タンパク尿症、尿毒症、倦怠感/疲労、過敏症、血小板減少症、微小血管症性溶血性貧血、及び腎機能障害(例えば、急性腎不全))の軽減を指し得る。実施形態において、有効な処置は、造血幹細胞移植(HSCT)-TMAの少なくとも1つの徴候/症状、例えば、HSCT後のTMA(例えば、血清クレアチニンの上昇、糸球体濾過量(GFR)の低減、投薬を必要とする高血圧;及びタンパク尿又は尿タンパククレアチニン比の上昇)の軽減を指し得る。実施形態において、有効な処置は、補体媒介TMA(CM-TMA)の少なくとも1つの徴候/症状、例えば、腹痛、錯乱、疲労、浮腫、悪心、嘔吐及び下痢の軽減を指し得る。実施形態において、有効な処置は、視力及び脊髄機能の喪失から選択されるNMOの少なくとも1つの徴候/症状(例えば、色覚喪失を伴う可能性を伴う視力低下、5年以内の片目又は両目の失明、全体的な筋力低下及び感覚の低減、膀胱及び腸の制御の喪失)の軽減を指し得る。実施形態において、有効な処置は、特に、運動、熱及び感染症などの様々なストレス要因によって症状が悪化する場合、全身性重症筋無力症(gMG)の少なくとも1つの徴候/症状、例えば、眼瞼下垂(まぶたの垂れ下がり)及び/又は複視(二重視)を引き起こす眼力低下、脚力低下、嚥下障害及び不明瞭な発語又は鼻声の軽減を指し得る。実施形態において、有効な処置は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の少なくとも1つの徴候/症状(例えば、筋肉の硬直、筋力低下、筋消耗、発話困難、嚥下困難、呼吸困難、咀嚼困難、歩行困難、線維束性収縮、筋痙攣、又はそれらの任意の組み合わせ)の軽減を指し得る。
【0093】
用語「有効量」は、所望の生物学的、治療的、及び/又は予防的結果を提供する薬剤の量を指す。その結果は、疾患の徴候、症状若しくは原因の1つ以上の低減、好転、緩和、低下、遅延、及び/又は軽減、又は生物系の任意の他の所望の変更であり得る。一例では、「有効量」は、上記で提供されるような補体媒介障害(例えば、PNH、aHUS、HSCT-TMA、CM-TMA、NMOSD、gMG又はALS)の少なくとも1つの徴候/症状を軽減することが臨床的に証明された抗C5抗体、又はその抗原結合断片の量である。有効量は、1回以上の投与で投与することができる。
【0094】
本明細書において使用される場合、用語「負荷用量」は、投与される最初の用量を指す(例えば、投与サイクル中)。本明細書において使用される場合、用語「維持」及び「維持期」は、互換的に使用され、第2期の処置を指す。ある実施形態において、処置は、臨床的利益が観察される限り、又は管理不能な毒性若しくは疾患進行が生じるまで継続する。本明細書において使用される場合、「治療用量」は、補体媒介障害を処置するのに有効な処方レジメンの一部として対象に投与される薬物の任意の好適な量又は濃度を意味する。具体的な投与量は、設計上の選択の問題であり、対象の特性によって異なり得る。
【0095】
本明細書において使用される場合、用語「治療量未満」は、補体媒介障害を処置するために従来使用されている薬剤の量よりも少ない薬剤(例えば、抗C5抗体)の量/用量を指す。例えば、治療量未満の量は、障害の治療に必要である又は推奨されるものとして製造元によって定義された量よりも少ない量である。
【0096】
本明細書において使用される場合、用語「血清トラフレベル」は、薬剤(例えば、抗C5抗体、又はその抗原結合断片)又は医薬が血清中に存在する最低レベルを指す。対照的に、「ピーク血清レベル」は、血清中の薬剤の最高レベルを指す。「平均血清レベル」は、経時的な血清中の薬剤の平均レベルを指す。
【0097】
本明細書において使用される場合、用語「阻害剤」又は「アンタゴニスト」は、別の物質の効果に干渉する物質を指す。機能的又は生理学的アンタゴニズムは、2つの物質が同じ生理学的機能に対して反対の効果を生むときに発生する。化学的アンタゴニズム又は不活化は、その効果を中和する、2つの物質間の反応、例えば、抗原への抗体の結合であり、これにより、抗原がその標的に作用するのが妨げられる。性質的アンタゴニズムは、物質の性質(吸収、生体内変換、分布、又は排泄)が変化し、その結果、より少ない量の薬剤が標的に到達するか、又は標的でのその持続性が低減されることである。
【0098】
用語「抗体」は、少なくとも1つの抗体由来抗原結合部位(例えば、VH/VL領域若しくはFv、又はCDR)を含むポリペプチドを記載する。抗体は、公知の形態の抗体を含み、例えば、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異的抗体、又はキメラ抗体であり得る。抗体は、Fab、Fab’2、ScFv、SMIP、AFFIBODY(登録商標)、ナノボディ又は単一ドメイン抗体でもあり得る。抗体は、以下のアイソタイプ:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD、IgE又はそれらの組み合わせのいずれかのものでもあり得る。抗体は、天然に存在する抗体、又はタンパク質工学操作技術により(例えば、突然変異、欠失、置換、非抗体部分へのコンジュゲーションにより)変更された抗体であり得る。抗体は、例えば、抗体の特性(例えば、機能的特性)を変化させる1つ以上のバリアントアミノ酸(天然に存在する抗体と比較して)を含み得る。多数のそのような変更は当技術分野で公知であり、それらは、例えば、患者における抗体の半減期、エフェクター機能、及び/又はそれに対する免疫応答に影響を及ぼす。抗体という用語には、少なくとも1つの抗体由来抗原結合部位を含む人工又は工学操作ポリペプチド構築物も含まれる。
【0099】
標的への結合について別の抗体と「競合的な」「競合する」抗体は、標的への他の抗体の結合を(部分的又は完全に)阻害する抗体を指す。一部の実施形態において、競合的抗体は、抗原抗体複合体から互いに置き換えることができる。対照的に、「非競合的な」抗体は、標的への結合について別の抗体と競合しない、すなわち、標的への他の抗体の結合を(部分的又は完全に)阻害しない。一部の実施形態において、非競合的抗体は、複合体から互いに置き換えることができない。
【0100】
用語「バイオシミラー」は、例えば、アミノ酸配列などの一次構造において、認可された参照生物由来製品と高度に類似している生物由来製品を指す。代表的な例として、エクリズマブバイオシミラーには、例えば、ABP959(Amgen);Elizaria(Generium);及びSB12(Samsung)が含まれる。
【0101】
本明細書において使用される場合、用語「k」は、抗原への抗体の会合についての速度定数を指す。用語「k」は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離についての速度定数を指す。そして、用語「K」は、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。平衡解離定数は、速度論的速度定数の比K=k/kから推定される。このような決定は好ましくは、25℃又は37℃において測定される(実施例参照)。例えば、ヒトC5への抗体結合のキネティクスは、抗Fc捕捉方法を使用してBIAcore3000機器での表面プラズモン共鳴(SPR)を介してpH8.0、7.4、7.0、6.5及び6.0において決定することができる。
【0102】
本明細書において使用される場合、用語「C5阻害」は、補体経路における補体C5の阻害又はアンタゴニズムに関する。C5切断の阻害を測定するための好適な方法は、当技術分野で公知である。例えば、体液中のC5a及び/又はC5bの濃度及び/又は生理学的活性は、例えば、走化性アッセイ、IA、又はELISA(C5aについて);及び溶血アッセイ又は可溶性C5b-9のアッセイ(C5bについて)によって測定することができる。細胞溶解を調節する、TCC形成、補体成分C5の阻害を測定するための他のアッセイは、従来の溶血アッセイを使用して測定することができる。
【0103】
本明細書において使用される場合、用語「ウォッシュアウト」は、最も広い意味で、系(例えば、血液)からの組成物(例えば、抗C5抗体などの薬物)のレベル(例えば、量又は濃度)又は活性(例えば、中和特性)の低減を指す。
【0104】
本明細書において使用される場合、用語「レベル」は、最も広い意味で、量(質量/重量)又は濃度(量/体積)などの物理的特性の尺度、及び非物理的特性(例えば、酵素動態、シグナル伝達活性によって測定される活性)の尺度を指す。
【0105】
本明細書において使用される場合、用語「多価免疫複合体」は、例えば単一抗原内の複数のエピトープの、それに特異的に結合する複数の異なる抗体による認識を介して形成される、抗原抗体複合体を指す。代表的な例には、2:1より大きい、例えば、3:2、4:3、5:4、及びそれを超える、抗体:抗原化学量論比を示す抗体-抗原複合体が含まれる。質量比によって決定される、C5-αC5抗体を含む特定のタイプの多価免疫複合体が実施例に提供される。
【0106】
生物学的物質(抗体など)に関して本明細書において使用される用語「半減期」は、一般に、系(例えば、血液又は同様の体液)内の生物学的物質の濃度を、例えば、生物学的物質の分解及び/又は自然機構による生物学的物質のクリアランス又は隔離により、50%低減するのにかかる時間を指す。インビボ半減期の文脈において、このパラメータは、薬物動態(PK)分析によるものなど、それ自体公知の任意の方法で決定することができる。好適な技術は、米国特許第8,629,244号明細書(及び相当する国際公開第2008/020079号パンフレット)に記載されている。典型的には、半減期は、t1/2-アルファ、t1/2-ベータ、及び曲線下面積(AUC)などのパラメータを使用して表すことができる。部分的に生理学的要因によって、抗体のインビボ半減期は、対象の体重に依存する。
【0107】
用語「アフェレーシス」は、対象(例えば、患者)の血液を、特定の1つの構成要素又は成分を分離し、残りを循環に戻す装置を通過させる医療技術を包含する。したがって、これは体外治療である。血漿が分離されている場合、アフェレーシスは、血漿交換と呼ばれる。抗原特異的抗体アフェレーシスでは、抗原特異的決定基(例えば、標的抗体、例えば、C5抗体に特異的なエピトープを含むペプチド)を使用して、抗原特異的抗体が患者の血漿から除去され、残りの血漿成分が同じ患者に戻される。しかし、血漿から総免疫グロブリンを非特異的に除去する血漿交換又は選択的アフェレーシスも使用され得る。
【0108】
用語「細胞」は、ヒトからの細胞などの、組織の基本構成要素を指す。正常細胞及び形質転換細胞が含まれる。
【0109】
II.抗C5抗体
用語「抗体」は、少なくとも1つの抗体由来抗原結合部位(例えば、VH/VL領域若しくはFv、又はCDR)を含むポリペプチドを記載する。抗体は、周知の形態の抗体を含み、例えば、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異的抗体、又はキメラ抗体であり得る。抗体は、Fab、Fab’2、ScFv、SMIP、Affibody(登録商標)、ナノボディ又は単一ドメイン抗体でもあり得る。抗体は、以下のアイソタイプ:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgAsec、IgD、IgE又はそれらの組み合わせのいずれかのものでもあり得る。抗体は、天然に存在する抗体、又はタンパク質工学操作技術により(例えば、突然変異、欠失、置換、非抗体部分へのコンジュゲーションにより)変更された抗体であり得る。抗体は、例えば、抗体の特性(例えば、機能的特性)を変化させる1つ以上のバリアントアミノ酸(天然に存在する抗体と比較して)を含み得る。多数のそのような変更は当技術分野で周知であり、それらは、例えば、患者における抗体の半減期、エフェクター機能、及び/又はそれに対する免疫応答に影響を及ぼす。抗体という用語には、少なくとも1つの抗体由来抗原結合部位を含む人工又は工学操作ポリペプチド構築物も含まれる。
【0110】
本明細書に記載の抗C5抗体は、補体成分C5(例えば、ヒトC5)に結合し、C5の断片C5a及びC5bへの開裂を阻害する。本明細書に記載の方法における使用に好適な抗C5抗体(又はそれから誘導されるVH/VLドメイン)は、当技術分野で周知の方法を使用して生成することができる。或いは、当技術分野で認識されている抗C5抗体を使用することができる。C5への結合について、技術分野で認識される抗体又は本明細書に記載の抗体のいずれかと競合する抗体も使用することができる。
【0111】
別の例示的な抗C5抗体は、配列番号14及び11にそれぞれ示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含むラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))、又はその抗原結合断片及びバリアントである。ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標)、BNJ441及びALXN1210としても周知)は、国際公開2015134894号パンフレット及び米国特許第9,079,949号明細書に記載されており、それらの教示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。ラブリズマブ、BNJ441、及びALXN1210という用語は、本文書全体を通して互換的に使用され得るが、すべて同じ抗体を指す。ラブリズマブは、ヒト補体タンパク質C5に選択的に結合し、補体活性化の間のそのC5a及びC5bへの開裂を阻害する。この阻害は、微生物のオプソニン化及び免疫複合体のクリアランスに不可欠な補体活性化の近位又は早期成分(例えば、C3及び3b)を保存しつつ、炎症促進性メディエーターC5aの放出及び細胞溶解細孔形成膜侵襲複合体(MAC)C5b-9の形成を防止する。
【0112】
他の実施形態において、抗体は、ラブリズマブの重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。したがって、一実施形態において、抗体は、配列番号12に示される配列を有するラブリズマブのVH領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するラブリズマブのVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号19、18、及び3にそれぞれ示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号12及び配列番号8にそれぞれ示されるアミノ酸配列を有するVH及びVL領域を含む。他の実施形態において、抗体は、ラブリズマブ又はそのバイオシミラーを含む。
【0113】
別の例示的な抗C5抗体は、配列番号20及び11にそれぞれ示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含む抗体BNJ421、又はその抗原結合断片及びバリアントである。BNJ421(ALXN1211としても周知)は、国際公開2015134894号パンフレット及び米国特許第9,079,949号明細書に記載されており、それらの教示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
他の実施形態において、抗体は、BNJ421の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。したがって、一実施形態において、抗体は、配列番号12に示される配列を有するBNJ421のVH領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するBNJ421のVL領域のCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号19、18、及び3にそれぞれ示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号12及び配列番号8にそれぞれ示されるアミノ酸配列を有するVH及びVL領域を含む。別の実施形態において、抗体は、抗体BNJ421又はそのバイオシミラーを含む。
【0115】
CDRの正確な境界は、様々な方法に従って様々に定義されている。一部の実施形態において、軽鎖又は重鎖可変ドメイン内のCDR又はフレームワーク領域の位置は、Kabat et al.[(1991)“Sequences of Proteins of Immunological Interest.”NIH Publication No.91-3242,U.S.Department of Health and Human Services,Bethesda,MD]により定義されている。このような場合、CDRは、「Kabat CDR」(例えば、「Kabat LCDR2」又は「Kabat HCDR1」)と称することができる。一部の実施形態において、軽鎖又は重鎖可変領域のCDRの位置は、Chothia et al.(Nature 342:877-83,1989)により定義されるとおりである。したがって、これらの領域は、「Chothia CDR」(例えば、「Chothia LCDR2」又は「Chothia HCDR3」)と称することができる。一部の実施形態において、軽鎖及び重鎖可変領域のCDRの位置は、Kabat-Chothia組み合わせ定義により定義され得る。このような実施形態において、これらの領域は、「組み合わせKabat-Chothia CDR」と称することができる。Thomas,C.et al.(Mol.Immunol.,33:1389-401,1996)は、Kabat及びChothiaのナンバリング方式に従うCDR境界の同定を例示している。
【0116】
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許第8,241,628号明細書及び同第8,883,158号明細書に記載の7086抗体である。一実施形態において、抗体は、7086抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む(米国特許第8,241,628号明細書及び同第8,883,158号明細書参照)。別の実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号21、22、及び23にそれぞれ示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号24、25、及び26にそれぞれ示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号27に示される配列を有する7086抗体のVH領域、及び配列番号28に示される配列を有する7086抗体のVL領域を含む。別の実施形態において、抗体は、ラブリズマブ又はそのバイオシミラーを含む。別の実施形態において、抗体は、7086抗体又はそのバイオシミラーを含む。
【0117】
別の例示的な抗C5抗体は、同様に米国特許第8,241,628号明細書及び同第8,883,158号明細書に記載の8110抗体である。一実施形態において、抗体は、8110抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号29、30、及び31にそれぞれ示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号32、33、及び34にそれぞれ示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号35に示される配列を有する8110抗体のVH領域、及び配列番号36に示される配列を有する8110抗体のVL領域を含む。別の実施形態において、抗体は、8110抗体又はそのバイオシミラーを含む。
【0118】
別の例示的な抗C5抗体は、米国特許第9,765,135号明細書に記載の305LO5抗体である。一実施形態において、抗体は、305LO5抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号37、38、及び39にそれぞれ示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメイン、並びに配列番号40、41、及び42にそれぞれ示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体は、配列番号43に示される配列を有する305LO5抗体のVH領域、及び配列番号44に示される配列を有する305LO5抗体のVL領域を含む。別の実施形態において、抗体は、305LO5抗体又はそのバイオシミラーを含む。
【0119】
別の例示的な抗C5抗体は、SKY59抗体である(Fukuzawa,T.et al.,Sci.Rep.,7:1080,2017)。一実施形態において、抗体は、SKY59抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号45を含む重鎖及び配列番号46を含む軽鎖を含む。別の実施形態において、抗体は、SKY59抗体又はそのバイオシミラーを含む。
【0120】
一部の実施形態において、抗C5抗体は、ポゼリマブ(REGN3918抗体、米国特許第10,633,434号明細書参照)の重鎖及び軽鎖可変領域又は重鎖及び軽鎖を含む。一部の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号47に示される重鎖可変領域配列及び配列番号48に示される配列を含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、配列番号49に示される重鎖配列及び配列番号50に示される軽鎖配列を含む。別の実施形態において、抗体は、ポゼリマブ又はそのバイオシミラーを含む。
【0121】
他の実施形態において、抗C5抗体は、テシドルマブ(LFG316)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、テシドルマブ又はそのバイオシミラーを含む。
【0122】
別の実施形態において、抗C5抗体は、クロバリマブ(RG6107)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、クロバリマブ又はそのバイオシミラーを含む。
【0123】
別の実施形態において、抗C5抗体は、ABP 959抗体の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、ABP959抗体又はそのバイオシミラーを含む。
【0124】
別の実施形態において、抗C5抗体は、ELIZARIA(登録商標)の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、ELIZARIA(登録商標)又はそのバイオシミラーを含む。
【0125】
別の実施形態において、抗C5抗体は、抗体SB12の重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を含む。別の実施形態において、抗体は、抗体SB12又はそのバイオシミラーを含む。
【0126】
別の実施形態において、第1の抗C5抗体は、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))である。別の実施形態において、第1の抗C5抗体は、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))であり、第2の抗体は、7086抗体、8110抗体、305LO5抗体、SKY59抗体、ポゼリマブ(REGN3918抗体)、テシドルマブ(LFG316)、クロバリマブ(RG6107)、ABP959抗体、ELIZARIA(登録商標)、BCD-148(JSC BIOCAD)、SB12、それらの抗原結合断片、又はそれらのバイオシミラーである。別の実施形態において、第1の抗C5抗体は、ラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))であり、第2の抗体は、クロバリマブ、ポゼリマブ、又はそれらのバイオシミラーである。
【0127】
一部の実施形態において、第1の抗C5抗体は、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))若しくはラブリズマブ(ULTOMIRIS(登録商標))又はそれらの抗原結合断片(例えば、エクリズマブの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(それぞれ、HCDR1~3及びLCDR1~3)を含む)を含み、第2の抗C5抗体は、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))のバイオシミラーではなく、例えば、ABP959抗体(Amgen Inc.,USA製)、ELIZARIA(登録商標)(Generium JNC,Russia製)、又はSB12(Samsung Bioepis,Incheon,South Korea製)から選択される抗体ではない。
【0128】
一部の実施形態において、本明細書に記載の抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列:GHIFSNYWIQ(配列番号19)を含み、又はそれからなる重鎖CDR1を含む。一部の実施形態において、本明細書に記載の抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列:EILPGSGHTEYTENFKD(配列番号18)を含み、又はそれからなる重鎖CDR2を含む。一部の実施形態において、本明細書に記載の抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列:
【化1】

を含む重鎖可変領域を含む。
【0129】
一部の実施形態において、本明細書に記載の抗C5抗体は、以下のアミノ酸配列:
【化2】

を含む軽鎖可変領域を含む。
【0130】
本明細書に記載の抗C5抗体は、一部の実施形態において、バリアントヒトFc定常領域が由来した天然ヒトFc定常領域の親和性よりも高い親和性でヒト新生児Fc受容体(FcRn)に結合するバリアントヒトFc定常領域を含む。Fc定常領域は、例えば、バリアントヒトFc定常領域が由来した天然ヒトFc定常領域と比べて1つ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、又は8つ以上の)アミノ酸置換を含み得る。置換は、相互作用のpH依存性を維持しつつ、pH6.0におけるバリアントFc定常領域を含有するIgG抗体のFcRnに対する結合親和性を増加させ得る。抗体のFc定常領域中の1つ以上の置換がpH6.0においてFcRnに対するFc定常領域の親和性を(相互作用のpH依存性を維持しつつ)増加させるか否かを検査する方法は、当技術分野において周知であり、実施例に例示されている。例えば、国際公開第2015134894号パンフレット及び米国特許第9,079949号明細書を参照されたい。これらのそれぞれの開示は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0131】
抗体のFc定常領域のFcRnに対する結合親和性を向上させる置換は当技術分野で周知であり、それとしては、例えば、(1)M252Y/S254T/T256E三重置換(Dall’Acqua,W.et al.,J.Biol.Chem.,281:23514-24,2006);(2)M428L又はT250Q/M428L置換(Hinton,P.et al.,J.Biol.Chem.,279:6213-6,2004;Hinton,P.et al.,J.Immunol.,176:346-56,2006);及び(3)N434A又はT307/E380A/N434A置換(Petkova,S.et al.,Int.Immunol.,18:1759-69,2006)が挙げられる。追加の置換ペア:P257I/Q311I、P257I/N434H及びD376V/N434H(Datta-Mannan,A.et al.,J.Biol.Chem.,282:1709-17,2007)、それぞれの開示は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0132】
一部の実施形態において、バリアント定常領域は、EUアミノ酸255位におけるバリンについての置換を有する。一部の実施形態において、バリアント定常領域は、EUアミノ酸位309におけるアスパラギンについての置換を有する。一部の実施形態において、バリアント定常領域は、EUアミノ酸位312におけるイソロイシンについての置換を有する。一部の実施形態において、バリアント定常領域は、EUアミノ酸位386における置換を有する。
【0133】
一部の実施形態において、バリアントFc定常領域は、それが由来した天然定常領域に対して30個以下(例えば、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2つ以下)のアミノ酸置換、挿入、又は欠失を含む。一部の実施形態において、バリアントFc定常領域は、M252Y、S254T、T256E、N434S、M428L、V259I、T250I、及びV308Fからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、バリアントヒトFc定常領域は、EUナンバリングで各々天然ヒトIgGのFc定常領域の428位におけるメチオニン及び434位におけるアスパラギンを含む。一部の実施形態において、バリアントFc定常領域は、例えば、米国特許第8,088,376号明細書に記載のとおり428L/434S二重置換を含む。
【0134】
一部の実施形態において、これらの突然変異の正確な位置は、抗体工学操作に起因して天然ヒトFc定常領域位置からシフトされ得る。例えば、428L/434S二重置換は、IgG2/4キメラFcにおいて使用される場合、ラブリズマブに見出され、米国特許第9,079,949号明細書に記載のM429L及びN435Sバリアントのように429L及び435Sに対応し得、その開示は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0135】
一部の実施形態において、バリアント定常領域は、天然ヒトFc定常領域に対してアミノ酸237、238、239、248、250、252、254、255、256、257、258、265、270、286、289、297、298、303、305、307、308、309、311、312、314、315、317、325、332、334、360、376、380、382、384、385、386、387、389、424、428、433、434、又は436位(EUナンバリング)における置換を含む。一部の実施形態において、置換は、すべてEUナンバリングで、237位におけるグリシンに代えてメチオニン;238位におけるプロリンに代えてアラニン;239位におけるセリンに代えてリジン;248位におけるリジンに代えてイソロイシン;250位におけるトレオニンに代えてアラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、メチオニン、グルタミン、セリン、バリン、トリプトファン、又はチロシン;252位におけるメチオニンに代えてフェニルアラニン、トリプトファン、又はチロシン;254位におけるセリンに代えてトレオニン;255位におけるアルギニンに代えてグルタミン酸;256位におけるトレオニンに代えてアスパラギン酸、グルタミン酸、又はグルタミン;257位におけるプロリンに代えてアラニン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、セリン、トレオニン、又はバリン;258位におけるグルタミン酸に代えてヒスチジン;265位におけるアスパラギン酸に代えてアラニン;270位におけるアスパラギン酸に代えてフェニルアラニン;286位におけるアスパラギンに代えてアラニン、又はグルタミン酸;289位におけるトレオニンに代えてヒスチジン;297位におけるアスパラギンに代えてアラニン;298位におけるセリンに代えてグリシン;303位におけるバリンに代えてアラニン;305位におけるバリンに代えてアラニン;307位におけるトレオニンに代えてアラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、バリン、トリプトファン、又はチロシン;308位におけるバリンに代えてアラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、又はトレオニン;309位におけるロイシン又はバリンに代えてアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、又はアルギニン;311位におけるグルタミンに代えてアラニン、ヒスチジン、又はイソロイシン;312位におけるアスパラギン酸に代えてアラニン又はヒスチジン;314位におけるロイシンに代えてリジン又はアルギニン;315位におけるアスパラギンに代えてアラニン又はヒスチジン;317位におけるリジンに代えてアラニン;325位におけるアスパラギンに代えてグリシン;332位におけるイソロイシンに代えてバリン;334位におけるリジンに代えてロイシン;360位におけるリジンに代えてヒスチジン;376位におけるアスパラギン酸に代えてアラニン;380位におけるグルタミン酸に代えてアラニン;382位におけるグルタミン酸に代えてアラニン;384位におけるアスパラギン又はセリンに代えてアラニン;385位におけるグリシンに代えてアスパラギン酸又はヒスチジン;386位におけるグルタミンに代えてプロリン;387位におけるプロリンに代えてグルタミン酸;389位におけるアスパラギンに代えてアラニン又はセリン;424位におけるセリンに代えてアラニン;428位におけるメチオニンに代えてアラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、又はチロシン;433位におけるヒスチジンに代えてリジン;434位におけるアスパラギンに代えてアラニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、セリン、トリプトファン、又はチロシン;及び436位におけるチロシン又はフェニルアラニンに代えてヒスチジンからなる群から選択される。
【0136】
本明細書に記載の方法における使用のための好適な抗C5抗体は、一部の実施形態において、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び/又は配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。或いは、本明細書に記載の方法における使用のための抗C5抗体は、一部の実施形態において、配列番号20に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び/又は配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む。
【0137】
一実施形態において、抗体は、pH7.4及び25℃において(そうでなければ生理学的条件下で)少なくとも0.1(例えば、少なくとも0.15、0.175、0.2、0.25、0.275、0.3、0.325、0.35、0.375、0.4、0.425、0.45、0.475、0.5、0.525、0.55、0.575、0.6、0.625、0.65、0.675、0.7、0.725、0.75、0.775、0.8、0.825、0.85、0.875、0.9、0.925、0.95、又は0.975)nMの親和性解離定数(K)でC5に結合する。一実施形態において、抗体は、pH7.4及び25℃において(そうでなければ生理学的条件下で)約0.5nMの親和性解離定数(K)でC5に結合する。一部の実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片のKは、1nM以下(例えば、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、又は0.2nM以下)である。一部の実施形態において、抗体は、pH6.0及び25℃において(そうでなければ生理学的条件下で)約22nMのKでC5に結合する。
【0138】
他の実施形態において、[(pH6.0、25℃におけるC5に対する抗体のK)/(pH7.4、25℃におけるC5に対する抗体のK)]は、21超(例えば、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、又は8000超)である。
【0139】
抗体がタンパク質抗原に結合するか否か及び/又はタンパク質抗原に対する抗体についての親和性を決定する方法は、当技術分野で周知である。抗体のタンパク質抗原への結合は、例えば、種々の技術、例えば、限定されるものではないが、ウェスタンブロット、ドットブロット、表面プラズモン共鳴(SPR)検出(例えば、BIAcoreシステム;Pharmacia Biosensor AB,Uppsala,Sweden and Piscataway,N.J.)、又は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して検出及び/又は定量化することができる;Benny K.C.Lo(2004)“Antibody Engineering:Methods and Protocols,”Humana Press(ISBN:1588290921);Johne,B.et al.,J.Immunol.Meth.,160:191-8,1993:Joensson,U.et al.,Ann.Biol.Clin.,51:19-26,1993,Joensson,U.et al.,Biotechniques,11:620-7,1991)。さらに、親和性(例えば、解離及び会合定数)を測定する方法は実施例に示される。
【0140】
本明細書において使用される場合、用語「k」は、抗原への抗体の会合についての速度定数を指す。用語「k」は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離についての速度定数を指す。そして、用語「K」は、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。平衡解離定数は、速度論的速度定数の比K=k/kから推定される。このような決定は、例えば、25℃又は37℃において測定され得る(実施例参照)。ヒトC5への抗体結合のキネティクスは、例えば、抗体を固定化するための抗Fc捕捉方法を使用してBIAcore3000機器でのSPRを介して、pH8.0、7.4、7.0、6.5及び6.0において決定することができる。
【0141】
一実施形態において、抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、C5のC5a及びC5bへの開裂を遮断する。この遮断効果を介して、例えば、C5aの炎症促進効果及び細胞の表面におけるC5b-9膜侵襲複合体(MAC)の生成が阻害される。
【0142】
本明細書に記載の特定の抗体がC5開裂を阻害するか否かを決定する方法は、当技術分野で周知である。ヒト補体成分C5の阻害は、対象の体液中の補体の細胞溶解能を低減し得る。体液中に存在する補体の細胞溶解能のそのような低減は、当技術分野で周知の方法により、例えば、慣用の溶血アッセイなど、例えば、溶血アッセイ(Kabat and Mayer(eds.),“Experimental Immunochemistry,2ndEdition,”135-240,Springfield,IL,CC Thomas(1961),pages 135-139)、又はそのアッセイの慣用の変法、例えばニワトリ赤血球溶血法により測定することができる(Hillmen,P.et al.,N.Engl.J.Med.,350:552-9,2004)。候補化合物がヒトC5の形態C5a及びC5bへの開裂を阻害するか否かを決定する方法は、当技術分野で周知である(Evans ,M.et al.,Mol.Immunol.,32:1183-95,1995)。体液中のC5a及びC5bの濃度及び/又は生理学的活性は、例えば、当技術分野で周知の方法により測定することができる。C5bについては、本明細書に考察される溶血アッセイ又は可溶性C5b-9についてのアッセイを使用することができる。当技術分野で周知の他のアッセイを使用することもできる。これらの又は他の好適なタイプのアッセイを使用して、ヒト補体成分C5を阻害し得る候補剤をスクリーニングすることができる。
【0143】
免疫学的技術、例えば、限定されるものではないが、ELISAを使用してC5及び/又はその分割産物のタンパク質濃度を測定して抗C5抗体、又はその抗原結合断片がC5の生物学的に活性な生成物への変換を阻害する能力を決定することができる。一部の実施形態において、C5aの生成を測定する。一部の実施形態において、C5b-9ネオエピトープ特異的抗体を使用してMAC形成を検出する。
【0144】
溶血アッセイを使用して補体活性化に対する抗C5抗体、又はその抗原結合断片の阻害活性を決定することができる。インビトロで血清検査溶液において古典的補体経路媒介溶血に対する抗C5抗体、又はその抗原結合断片の効果を決定するために、例えば、溶血素で被覆されたヒツジ赤血球又は抗ニワトリ赤血球抗体で感作されたニワトリ赤血球を標的細胞として使用する。溶解の割合は、阻害剤の不存在下で生じる溶解に等しい100%の溶解を考慮することにより正規化する。一部の実施形態において、古典的補体経路は、例えば、Wieslab(登録商標)Classical Pathway Complement Kit(Wieslab(登録商標)COMPL CP310,Euro-Diagnostica,Sweden)において利用されるように、ヒトIgM抗体により活性化される。簡潔に述べると、検査血清をヒトIgM抗体の存在下で抗C5抗体、又はその抗原結合断片とインキュベートする。生成されるC5b-9の量は、混合物を酵素コンジュゲート抗C5b-9抗体及び蛍光性基質と接触させ、適切な波長において吸光度を測定することにより測定する。対照として、検査血清を抗C5抗体、又はその抗原結合断片の不存在下でインキュベートする。一部の実施形態において、検査血清は、C5ポリペプチドで再構成されたC5欠損血清である。
【0145】
副経路媒介溶血に対する抗C5抗体、又はその抗原結合断片の効果を決定するため、未感作ウサギ又はモルモット赤血球を標的細胞として使用することができる。一部の実施形態において、血清検査溶液は、C5ポリペプチドで再構成されたC5欠損血清である。溶解の割合は、阻害剤の不存在下で生じる溶解に等しい100%の溶解を考慮することにより正規化する。一部の実施形態において、代替補体経路は、例えば、Wieslab(登録商標)Alternative Pathway Complement Kit(Wieslab(登録商標)COMPL AP330,Euro-Diagnostica,Sweden)において利用されるように、リポ多糖分子により活性化される。簡潔に述べると、検査血清をリポ多糖の存在下で抗C5抗体、又はその抗原結合断片とインキュベートする。生成されるC5b-9の量は、混合物を酵素コンジュゲート抗C5b-9抗体及び蛍光性基質と接触させ、適切な波長において蛍光度を測定することにより測定する。対照として、検査血清を抗C5抗体、又はその抗原結合断片の不存在下でインキュベートする。
【0146】
一部の実施形態において、C5活性、又はその阻害は、CH50eqアッセイを使用して定量化する。CH50eqアッセイは、血清における総古典的補体活性を測定する方法である。この検査は、古典的補体経路の活性化因子としての抗体感作赤血球及び検査血清の種々の希釈物を使用して50%溶解を得るために要求される量(CH50)を決定する溶解アッセイである。溶血率は、例えば、分光光度計を使用して決定することができる。CH50eqアッセイは、終末補体複合体(TCC)形成の間接的尺度を提供するが、それはTCC自体が、測定される溶血を直接担うためである。このアッセイは周知であり、当業者により一般的に実施される。簡潔に述べると、古典的補体経路を活性化させるため、非希釈血清サンプル(例えば、再構成されたヒト血清サンプル)を、抗体感作赤血球を含有するマイクロアッセイウェルに添加し、それによりTCCを生成する。次に、活性化された血清を、捕捉試薬(例えば、TCCの1つ以上の成分に結合する抗体)で被覆されたマイクロアッセイウェル中で希釈する。活性化されたサンプル中に存在するTCCは、マイクロアッセイウェルの表面を被覆するモノクローナル抗体に結合する。ウェルを洗浄し、各ウェルに、検出可能に標識され、結合したTCCを認識する検出試薬を添加する。検出可能な標識は、例えば、蛍光標識又は酵素標識であり得る。アッセイ結果は、1ミリリットル当たりのCH50単位当量(CH50U Eq/mL)で表現する。
【0147】
阻害としては、例えば、終末補体活性に関する場合、同様の条件下で等モル濃度において対照抗体(又はその抗原結合断片)の効果と比較して、例えば、溶血アッセイ又はCH50eqアッセイにおいて終末補体の活性の少なくとも5(例えば、少なくとも6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、又は60)%の減少が挙げられる。有意な阻害は、本明細書において使用される場合、少なくとも40(例えば、少なくとも45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、若しくは95又はそれを超える)%の所与の活性(例えば、終末補体活性)の阻害を指す。一部の実施形態において、本明細書に記載の抗C5抗体は、エクリズマブのCDR(すなわち、配列番号1~6)に対して1つ以上のアミノ酸置換を含有し、溶血アッセイ又はCH50eqアッセイにおいてエクリズマブの補体阻害活性の少なくとも30(例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、又は95)%を依然として保持する。
【0148】
一実施形態において、抗体は、本明細書に記載の抗体と同じC5上のエピトープとの結合について競合し、及び/又はそれに結合する。2つ以上の抗体に関する用語「同じエピトープに結合する」は、抗体が、所与の方法により決定してアミノ酸残基の同じセグメントに結合することを意味する。抗体が本明細書に記載の抗体と「同じC5上のエピトープ」に結合するか否かを決定するための技術としては、例えば、エピトープマッピング法、例えば、抗原:抗体複合体の結晶のX線分析及び水素/重水素交換質量分析(HDX-MS)が挙げられる。他の方法は、抗原のペプチド抗原断片又は突然変異バリエーションへの抗体の結合をモニタリングし、その場合、抗原配列内のアミノ酸残基の改変に起因する結合の損失がエピトープ成分の指標と見なされることが多い。さらに、エピトープマッピングのためのコンビナトリアル計算法を使用することもできる。これらの方法は、コンビナトリアルファージディスプレイペプチドライブラリーから特異的な短いペプチドを親和性単離する目的抗体の能力に依存する。同じVH及びVL又は同じCDR1、CDR2及びCDR3配列を有する抗体は、同じエピトープに結合することが予測される。
【0149】
「標的への結合について別の抗体と競合する」抗体は、標的への他の抗体の結合を(部分的又は完全に)阻害する抗体を指す。2つの抗体が標的への結合について互いに競合するか否か、すなわち、一方の抗体が他方の抗体の標的への結合を阻害するか否か及びその程度は、周知の競合実験を使用して決定することができる。ある実施形態において、抗体は、別の抗体と競合し、標的への別の抗体の結合を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%だけ阻害する。阻害又は競合のレベルは、どの抗体が「遮断抗体」(すなわち、標的と最初にインキュベートされる抗体)であるかに応じて異なり得る。競合する抗体は、例えば、同じエピトープ、重複エピトープ、又は隣接エピトープに結合し得る(例えば、立体障害により証明される)。
【0150】
一部の実施形態において、本開示の第1及び第2の抗C5抗体は、補体C5の異なるドメインに結合する。C5の様々なドメインには、例えば、M1ドメイン、M6ドメイン及びM7ドメインが含まれる。C5のMG7ドメインに結合する抗C5抗体の代表的な例としては、例えば、エクリズマブ及びラブリズマブが含まれ;C5のMG1ドメインに結合する抗C5抗体の代表的な例としては、例えば、クロバリマブが含まれ;C5のMG6ドメインに結合する抗C5抗体の代表的な例としては、例えば、ポゼリマブが含まれる。Schatz-Jakobsen et al.(J Immunol.,2016 Jul 1;197(1):337-44);Fukuzawa et al.(Sci Rep.,2017 Apr 24;7(1):1080);及びLatuszek et al.(PLoS One,2020 May 8;15(5):e0231892)を参照されたい。一部の実施形態において、第1の抗C5抗体は、C5のMG7ドメインに結合する抗体であり、第2の抗C5抗体は、MG7以外のドメイン、例えば、C5のMG1ドメイン又はMG6ドメインに結合する抗体である。一部の実施形態において、第1の抗C5抗体は、C5のMG1ドメインに結合する抗体であり、第2の抗C5抗体は、MG1以外のドメイン、例えば、C5のMG7ドメイン又はMG6ドメインに結合する抗体である。一部の実施形態において、第1の抗C5抗体は、C5のMG6ドメインに結合する抗体であり、第2の抗C5抗体は、MG6以外のドメイン、例えば、C5のMG7ドメイン又はMG1ドメインに結合する抗体である。
【0151】
本明細書に記載の方法において使用される本明細書に記載の抗C5抗体、又はその抗原結合断片は、種々の当技術分野で認識されている技術を使用して生成することができる。モノクローナル抗体は、当業者が精通する種々の技術により得ることができる。簡潔に述べると、所望の抗原で免疫された動物からの脾細胞を、一般に骨髄腫細胞との融合により不死化させる(Koehler,G & Milstein,C.,Eur.J.Immunol.,6:511-9,1976))。不死化の方法としては、エプスタインバールウイルス、癌遺伝子、若しくはレトロウイルスを用いる形質転換、又は当技術分野で周知の他の方法が挙げられる。単一不死化細胞から生じたコロニーを、抗原に対する所望の特異性及び親和性の抗体の産生についてスクリーニングし、そのような細胞により産生されたモノクローナル抗体の収率は、種々の技術、例として、脊椎動物宿主の腹腔中への注射により向上させることができる。或いは、ヒトB細胞からのDNAライブラリーをスクリーニングすることによりモノクローナル抗体、又はその結合断片をコードするDNA配列を単離することができる(Huse,W.et al.,Science,246:1275-81,1989)。
【0152】
第1及び/又は第2の抗C5抗体は、任意の好適な手段又は当技術分野で認識されている技術を介して患者に投与することができる。一実施形態において、第1及び/又は第2の抗C5抗体は、患者に静脈内投与される。別の実施形態において、第1及び/又は第2の抗C5抗体は、患者に皮下投与される。
【0153】
III.多価免疫複合体
複数の抗体が異なる部位で一価の標的抗原に結合すると、多価免疫複合体が形成され得る。本明細書において使用される場合、語句「多価免疫複合体」は、2つを超える抗体分子(例えば、抗C5抗体分子)が標的抗原(例えば、補体C5の分子)に特異的に結合するときに形成される免疫複合体を指す。このような複合体の原子価は、クリアランス、エフェクター機能、食細胞による取り込みに影響を及ぼし、有害な効果を有し得る。したがって、本明細書に記載される方法は、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されており、次いで第2の抗C5抗体で処置される患者における、そのような多価免疫複合体の形成を予防又は最小化するように設計される。
【0154】
一実施形態において、本明細書に記載の方法は、補体C5、第1の抗C5抗体、及び第2の抗C5抗体を含む、多価免疫複合体の形成に十分な条件下で、患者からの生体サンプル(例えば、血液、血清、血漿、尿、唾液、リンパ、髄液、細胞間液、硝子体液、又は汗)を治療用量の第2の抗C5抗体と接触させるステップを含む。一実施形態において、接触するステップはインビボで行われる。好ましい実施形態において、接触ステップは、エクスビボ又はインビトロで行われる。
【0155】
別の実施形態において、方法は、第1の接触するステップで形成された多価免疫複合体のレベルを測定するステップをさらに含む。多価免疫複合体のレベルは、任意の好適なアッセイ又は技術によって決定することができる。一実施形態において、レベルは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定される。モレキュラーシーブクロマトグラフィーとしても知られるSECは、溶液中の分子をそのサイズ、場合によっては分子量によって分離するクロマトグラフィー方法である。これは通常、タンパク質及び工業用ポリマーなどの大分子又は高分子複合体に適用される。別の実施形態において、レベルは、多角光散乱(MALS)によって決定される。MALSは、サンプルによって複数の角度に散乱された光を測定する技術である。これは、分子が光をどのように散乱させるかを検出することにより、溶液中の分子の絶対モル質量及び平均サイズの両方を決定するために使用される。別の実施形態において、レベルは、SEC及びMALSによって決定される。
【0156】
別の実施形態において、方法は、多価免疫複合体の測定レベルが閾値レベルを超えているかを決定するステップをさらに含む。一実施形態において、閾値レベルは、多価免疫複合体の最小質量に基づく。例えば、一実施形態において、閾値レベルは、約500kDa、510kDa、520kDa、530kDa、540kDa、550kDa、560kDa、570kDa、580kDa、590kDa、600kDa、610kDa、620kDa、630kDa、640kDa、650kDa、660kDa、670kDa、680kDa、690kDa、700kDa、710kDa、720kDa、730kDa、740kDa、750kDa、760kDa、770kDa、780kDa、790kDa、800kDa、810kDa、820kDa、830kDa、840kDa、850kDa、860kDa、870kDa、880kDa、890kDa、900kDa、910kDa、920kDa、930kDa、940kDa、950kDa、960kDa、970kDa、980kDa、990kDa、1000kDa、1010kDa、1020kDa、1030kDa、1040kDa、1050kDa、1060kDa、1070kDa、1080kDa、1090kDa、1100kDa、1110kDa、1120kDa、1130kDa、1140kDa、1150kDa、1160kDa、1170kDa、1180kDa、1190kDa、1200kDa、1210kDa、1220kDa、1230kDa、1240kDa、1250kDa、1260kDa、1270kDa、1280kDa、1290kDa、1300kDa、1310kDa、1320kDa、1330kDa、1340kDa、1350kDa、1360kDa、1370kDa、1380kDa、1390kDa、1400kDa、1410kDa、1420kDa、1430kDa、1440kDa、1450kDa、1460kDa、1470kDa、1480kDa、1490kDa、1500kDa、1510kDa、1520kDa、1530kDa、1540kDa、1550kDa、1560kDa、1570kDa、1580kDa、1590kDa、1500kDa、1610kDa、1620kDa、1630kDa、1640kDa、1650kDa、1660kDa、1670kDa、1680kDa、1690kDa、1700kDa、1710kDa、1720kDa、1730kDa、1740kDa、1750kDa、1760kDa、1770kDa、1780kDa、1790kDa、1800kDa、1810kDa、1820kDa、1830kDa、1840kDa、1850kDa、1860kDa、1870kDa、1880kDa、1890kDa、又は1900kDaを超える質量である。別の実施形態において、閾値レベルは、約532kDa、540kDa、569kDa、907kDa、913kDa、921kDa、963kDa、1277kDa、1278kDa、1286kDa、1314kDa、1574kDa、1649kDa、1659kDa、又は1788kDaを超える質量である。
【0157】
別の実施形態において、閾値レベルは、1分子の補体C5に特異的に結合する2つを超える抗C5抗体を含む多価免疫複合体(例えば、抗体:抗原の化学量論比を含む免疫複合体)の形成に基づく。別の実施形態において、閾値レベルは、3つを超える抗C5抗体及び2つのC5分子からなる多価免疫複合体の形成である。別の実施形態において、閾値レベルは、4つを超える抗C5抗体及び3つのC5分子からなる多価免疫複合体の形成である。別の実施形態において、閾値レベルは、5つを超える抗C5抗体及び4つのC5分子からなる多価免疫複合体の形成である。
【0158】
IV.補体媒介障害
本明細書において、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されており、次いで第2の抗C5抗体で処置される、補体媒介障害を有するヒト患者に関わる方法が提供される。本明細書に記載の方法に従って処置される患者は、1つ以上の補体媒介障害を有する。例示的な補体媒介障害としては、限定されるものではないが、関節リウマチ、抗リン脂質抗体症候群、ループス腎炎、虚血再灌流傷害、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、典型溶血性尿毒症症候群、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、デンスデポジット病、視神経脊髄炎、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、黄斑変性症、HELLP症候群、自然流産、血栓性血小板減少性紫斑病、微量免疫型血管炎、表皮水疱症、習慣性流産、外傷性脳損傷、心筋炎、脳血管障害、末梢血管障害、腎血管障害、腸間膜/腸管血管障害、血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病腎炎、全身性エリテマトーデス関連血管炎、関節リウマチに伴う血管炎、免疫複合体血管炎、高安病、拡張型心筋症、糖尿病性血管症、川崎病、静脈ガス塞栓症(venous gas embolus)、ステント留置、回転性粥腫切除術、経皮経管冠動脈形成術後の再狭窄、重症筋無力症、寒冷凝集素症、皮膚筋炎、発作性寒冷ヘモグロビン尿症、抗リン脂質症候群、グレーブス病、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、全身性炎症反応敗血症、敗血症性ショック、脊髄損傷、糸球体腎炎、移植拒絶反応、橋本甲状腺炎、I型糖尿病、乾癬、天疱瘡、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、デゴス病、及び劇症型抗リン脂質症候群が挙げられる。一実施形態において、補体媒介障害は、aHUSである。別の実施形態において、補体媒介障害は、PNHである。
【0159】
V.治療レジメン及び調整されたレジメン
本明細書に記載の方法において、患者は、第1の抗C5抗体で処置されているか、又は処置されており、次いで第2の(異なる)抗C5抗体で処置される(例えば、それに切り替えられる)。第1及び/又は第2の抗C5抗体は、任意の好適な治療レジメンに従って投与することができる。一部の実施形態において、第1及び/又は第2の抗C5抗体は、臨床的に有効な投薬レジメン又はスケジュールレジメンに従って投与される。
【0160】
本明細書に記載の方法の他の実施形態において、治療レジメンは、例えば、患者が第1の抗C5抗体から第2の抗C5抗体に移行するときに多価免疫複合体形成を防止又は最小化するために調整される。調整されたレジメンは、臨床的に有効な投与レジメン又はスケジュールレジメンの修正を含む。例えば、一実施形態において、調整されたレジメンは、標準的な治療用量よりも低い用量、例えば、治療用量未満の用量である。他の実施形態において、調整されたレジメンは、例えば、より遅い投与速度及び/又はより低頻度の投与による、標準的なスケジュールと比較して緩和された速度又は間隔での投与を含む。他の実施形態において、調整されたレジメンは、標準的なスケジュールと比較して緩和された用量、例えば低減用量での投与を含む。他の実施形態において、第2の抗C5抗体は、閾値を超えなくなるまで、低減された用量及び/又は低減された頻度で投与される。
【0161】
一実施形態において、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、4週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に5回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mgの用量で投与される。
【0162】
別の実施形態において、患者(例えば、成人患者)は、PNHを有し、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、4週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に5回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mgの用量で投与される。
【0163】
別の実施形態において、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mgの用量で患者(例えば、成人患者)に投与される。
【0164】
別の実施形態において、患者は、aHUSを有し、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mgの用量で患者(例えば、成人患者)に投与される。
【0165】
別の実施形態において、患者は、重症筋無力症(MG)を有し、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mgの用量で患者(例えば、成人患者)に投与される。
【0166】
別の実施形態において、第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)(エクリズマブ)であり、調整されたレジメンは、患者(例えば、成人患者)における補体媒介障害の治療のための治療レジメンの調整を含む。別の実施形態において、治療レジメンは、PNHの処置のために、4週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に5回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mgの用量を含む。別の実施形態において、治療レジメンは、aHUSの処置のために、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mgの用量を含む。別の実施形態において、治療レジメンは、MGの処置のために、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mgの用量を含む。
【0167】
別の実施形態において、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、
(f)体重40kg以上の患者には、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mg;
(g)体重30kgから40kg未満の患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mg;
(h)体重20kgから30kg未満の患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として600mg、次いでその後2週間ごとに600mg;
(i)体重10kgから20kg未満の患者には、1週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後2週間ごとに300mg;又は
(j)体重5kgから10kg未満の患者には、1週間にわたって週に300mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後3週間ごとに300mg
の用量で患者(例えば、小児患者)に投与される。
【0168】
別の実施形態において、患者(例えば、小児患者)は、aHUSを有し、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)であり、
(f)体重40kg以上の患者には、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mg;
(g)体重30kgから40kg未満の患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mg;
(h)体重20kgから30kg未満の患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として600mg、次いでその後2週間ごとに600mg;
(i)体重10kgから20kg未満の患者には、1週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後2週間ごとに300mg;又は
(j)体重5kgから10kg未満の患者には、1週間にわたって週に300mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後3週間ごとに300mg
の用量で患者に投与される。
【0169】
別の実施形態において、第2の抗C5抗体は、(a)配列番号1、2及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号7に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;且つ/又は(d)SOLIRIS(登録商標)(エクリズマブ)であり、調整されたレジメンは、患者(例えば、小児患者)における補体媒介障害の治療のための治療レジメンの調整を含む。別の実施形態において、治療レジメンは、
(f)体重40kg以上の患者には、4週間にわたって週に900mg、続いて1週間後に5回目の用量として1200mg、次いでその後2週間ごとに1200mg;
(g)体重30kgから40kg未満の患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として900mg、次いでその後2週間ごとに900mg;
(h)体重20kgから30kg未満の患者には、2週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に3回目の用量として600mg、次いでその後2週間ごとに600mg;
(i)体重10kgから20kg未満の患者には、1週間にわたって週に600mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後2週間ごとに300mg;又は
(j)体重5kgから10kg未満の患者には、1週間にわたって週に300mg、続いて1週間後に2回目の用量として300mg、次いでその後3週間ごとに300mg
の用量での患者への第2の抗体の投与を含む。
【0170】
別の実施形態において、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号19、18及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;(d)配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む;且つ/又は(e)ULTOMIRIS(登録商標)(ラブリズマブ)であり、(a)投与サイクルの1日目に1回;≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mgの用量において;及び(b)投与サイクルの15日目及びそれ以降8週間ごとに≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、又は≧100kgの体重の患者に3600mgの用量において、患者(例えば、成人患者)に投与される。
【0171】
別の実施形態において、患者(例えば、成人患者)は、aHUSのPNHを有し、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号19、18及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;(d)配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む;且つ/又は(e)ULTOMIRIS(登録商標)(ラブリズマブ)であり、(a)投与サイクルの1日目に1回;≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mgの用量において;及び(b)投与サイクルの15日目及びそれ以降8週間ごとに≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、又は≧100kgの体重の患者に3600mgの用量において、患者に投与される。
【0172】
別の実施形態において、第2の抗C5抗体は、(a)配列番号19、18及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;(d)配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む;且つ/又は(e)ULTOMIRIS(登録商標)(ラブリズマブ)であり、調整されたレジメンは、患者(例えば、成人患者)における補体媒介障害の治療のための治療レジメンの調整を含む。別の実施形態において、治療レジメンは、(a)投与サイクルの1日目に1回;≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mg;及び(b)投与サイクルの15日目及びそれ以降8週間ごとに≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、又は≧100kgの体重の患者に3600mgの用量での患者への第2の抗体の投与を含む。
【0173】
別の実施形態において、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号19、18及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;(d)配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む;且つ/又は(e)ULTOMIRIS(登録商標)(ラブリズマブ)であり、(a)1日目に1回、≧5~<10kgの体重の患者に600mg、≧10~<20kgの体重の患者に600mg、≧20~<30kgの体重の患者に900mg、≧30~<40kgの体重の患者に1200mg、≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mgの用量において;及び(b)15日目及びそれ以降4週間ごとに≧5~<10kgの体重の患者に300mg若しくは≧10~<20kgの体重の患者に600mgの用量において;又は15日目及びそれ以降8週間ごとに≧20~<30kgの体重の患者に2100mg、≧30~<40kgの体重の患者に2700mg、≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、若しくは≧100kgの体重の患者に3600mgの用量において、患者(例えば、小児患者)に投与される。
【0174】
別の実施形態において、患者(例えば、小児患者)は、aHUSのPNHを有し、第1又は第2の抗C5抗体は、(a)配列番号19、18及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;(d)配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む;且つ/又は(e)ULTOMIRIS(登録商標)(ラブリズマブ)であり、(a)1日目に1回、≧5~<10kgの体重の患者に600mg、≧10~<20kgの体重の患者に600mg、≧20~<30kgの体重の患者に900mg、≧30~<40kgの体重の患者に1200mg、≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mgの用量において;及び(b)15日目及びそれ以降4週間ごとに≧5~<10kgの体重の患者に300mg若しくは≧10~<20kgの体重の患者に600mgの用量において;又は15日目及びそれ以降8週間ごとに≧20~<30kgの体重の患者に2100mg、≧30~<40kgの体重の患者に2700mg、≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、若しくは≧100kgの体重の患者に3600mgの用量において、患者に投与される。
【0175】
別の実施形態において、第2の抗C5抗体は、(a)配列番号19、18及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列を含む;(b)配列番号12に示される重鎖可変領域及び配列番号8に示される軽鎖可変領域を含む;(c)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖ポリペプチド及び配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖ポリペプチドを含む;(d)配列番号19、18、及び3にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3重鎖配列、並びに配列番号4、5、及び6にそれぞれ示されるCDR1、CDR2及びCDR3軽鎖配列、並びに配列番号13に示される重鎖定常領域を含む;且つ/又は(e)ULTOMIRIS(登録商標)(ラブリズマブ)であり、調整されたレジメンは、患者(例えば、小児患者)における補体媒介障害の治療のための治療レジメンの調整を含む。別の実施形態において、治療レジメンは、(a)1日目に1回、≧5~<10kgの体重の患者に600mg、≧10~<20kgの体重の患者に600mg、≧20~<30kgの体重の患者に900mg、≧30~<40kgの体重の患者に1200mg、≧40~<60kgの体重の患者に2400mg、≧60~<100kgの体重の患者に2700mg、又は≧100kgの体重の患者に3000mg;及び(b)15日目及びそれ以降4週間ごとに≧5~<10kgの体重の患者に300mg若しくは≧10~<20kgの体重の患者に600mgの用量において;又は15日目及びそれ以降8週間ごとに≧20~<30kgの体重の患者に2100mg、≧30~<40kgの体重の患者に2700mg、≧40~<60kgの体重の患者に3000mg、≧60~<100kgの体重の患者に3300mg、若しくは≧100kgの体重の患者に3600mgの用量での患者(例えば、小児患者)への第2の抗体の投与を含む。
【0176】
VI.処置方法
一実施形態において、補体媒介障害に罹患している患者を処置する方法が提供され、ここで、患者は、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されており、方法は、
(a)補体C5、第1の抗C5抗体、及び第2の抗C5抗体を含む、多価免疫複合体の形成に十分な条件下で、患者からの生体サンプルを治療用量の第2の抗C5抗体と接触させること;
(b)(a)の下で形成された多価免疫複合体のレベルを測定すること;
(c)測定された多価免疫複合体のレベルが閾値レベルを超えているかを決定すること;並びに
(d)測定されたレベルが閾値レベルを超える患者に、第2の抗C5抗体の調整されたレジメンを投与することであって、調整されたレジメンが、C5阻害は維持されるが閾値レベルを超えないように、第2の抗C5抗体の用量及び/又は投与タイミングの調整を含むこと
を含む。
【0177】
一部の実施形態において、方法は、患者を第1の抗C5抗体療法による処置から離脱させる(例えば、中止する)ことをさらに含む。
【0178】
VII.調整されたレジメンの決定方法
本明細書において、補体媒介障害に罹患している患者を処置するための第2の抗C5の調整された治療用量及び/又は投与タイミングを含む、調整されたレジメン抗体を決定する方法(例えば、多価免疫複合体の形成を予防又は最小化するレジメン)も提供され、ここで、患者は、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されており、方法は、
(a)補体C5、第1の抗C5抗体、及び第2の抗C5抗体を含む、多価免疫複合体の形成に十分な条件下で、患者からの生体サンプルを治療用量の第2の抗C5抗体と接触させること;
(b)(a)の下で形成された多価免疫複合体のレベルを測定すること;
(c)測定された多価免疫複合体のレベルが閾値レベルを超えているかを決定すること;並びに
(d)測定されたレベルが閾値レベルを超える患者に、C5阻害は維持されるが閾値レベルを超えないように、第2の抗C5抗体療法のレジメンを調整すること
を含む。
【0179】
一部の実施形態において、方法は、患者を第1の抗C5抗体療法による処置から離脱させる(例えば、中止する)ことをさらに含む。
【0180】
VIII.患者を第1のC5抗体から第2のC5抗体に切り替える方法
さらに、本明細書において、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されている、補体媒介障害を有するヒト患者を、第2の抗C5抗体による処置に切り替える方法が提供される。一実施形態において、第1の抗C5抗体で処置されたことがあるか、又は処置されている、補体媒介障害を有するヒト患者を、第2の抗C5抗体に切り替える方法が提供され、方法は、
(a)補体C5、第1の抗C5抗体、及び第2の抗C5抗体を含む、多価免疫複合体の形成に十分な条件下で、患者からの生体サンプルを治療用量の第2の抗C5抗体と接触させること;
(b)(a)の下で形成された多価免疫複合体のレベルを測定すること;
(c)測定された多価免疫複合体のレベルが閾値レベルを超えているかを決定すること;並びに
(d)第2の抗C5抗体の調整されたレジメンを患者に投与することであって、調整されたレジメンが、C5阻害は維持されるが閾値レベルを超えないように、第2の抗C5抗体の用量及び/又は投与タイミングの調整を含むこと;並びに
(e)測定されたレベルが閾値レベルを超える患者を第1の抗C5抗体療法による処置から離脱させ、それにより、患者を第1の抗C5抗体から第2の抗C5抗体に切り替えること
を含む。
【0181】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態において、第2の抗C5抗体は、閾値を超えなくなるまで、低減された用量及び/又は低減された頻度で投与される。
【0182】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態において、調整されたレジメンは、臨床的に有効な投与レジメン又はスケジュールレジメンの修正を含む。例えば、一実施形態において、調整されたレジメンは、標準的な治療用量よりも低い用量、例えば、治療用量未満の用量である。他の実施形態において、調整されたレジメンは、例えば、より遅い投与速度及び/又はより低頻度の投与による、標準的なスケジュールと比較して緩和された速度又は間隔での投与を含む。
【0183】
IX.追加の処置
第2の抗C5抗体による処置に切り替える前に、追加の技術を本明細書に記載の方法と組み合わせて使用して、第1の抗C5抗体を除去又はそのクリアランスを向上させることができる。例示的な技術としては、限定されるものではないが、血漿交換又は輸血が挙げられる。
【0184】
X.アウトカム
本明細書に提供される処置方法の有効性は、任意の好適な手段を使用してアセスメントすることができる。一実施形態において、処置は、第2の抗C5抗体の投与の結果として形成される多価免疫複合体に関連する毒性を伴わずに、補体媒介障害の少なくとも1つの徴候又は症状を消散させる。
【0185】
以下の実施例は単なる例示であり、多くの変法及び均等物が本開示の精読時に当業者に明らかになるため、本開示の範囲をいかなる形でも限定するものと解釈すべきでない。本出願全体にわたり引用されるすべての刊行物、Genbankエントリ、特許及び公開特許出願の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例
【0186】
実施例1:
モノクローナル抗体(mAb)を開発する場合、標的抗原によって形成される循環免疫複合体の特性を考慮する必要がある。このような複合体の原子価は、クリアランス、エフェクター機能、及び食細胞による取り込みに影響を及ぼし得る。したがって、レシピエントが、異なる部位で一価の標的に結合する複数の免疫グロブリンG抗体に曝露され、多価免疫複合体の形成を引き起こす可能性がある場合を考慮しなければならない。したがって、本研究の目的は、循環中のエクリズマブの検出可能なレベルを維持しながら、他の非競合的抗C5抗体のレシピエントにおける多価複合体の形成の可能性をよりよく理解することである。
【0187】
1.方法
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、多角光散乱(MALS)と組み合わせて使用して、エクリズマブ、C5、及び現在臨床試験中のmAbと同じ配列を有するが異なるC5エピトープに結合する2つの他の抗C5モノクローナル抗体間で、インビトロで形成される三元複合体のサイズ分布をアセスメントした。mAbクロバリマブ模倣体は、現在クロバリマブとして知られているモノクローナル抗体(中外製薬、東京、日本)の配列を使用して生成された。ポゼリマブ模倣体は、現在ポゼリマブとして知られているモノクローナル抗体の配列に基づいていた(Regeneron Pharmaceuticals,New York,NY,USA)。
【0188】
エクリズマブは、Alexa Fluor488色素(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)で標識された。抗C5 mAb間の競合は、バイオレイヤー干渉法を使用して評価した。
【0189】
溶血は、0.15mM CaCl2及び0.5mM MgCl2(GVB++)を含有するゼラチンベロナール緩衝生理食塩水及び15%(v/v)正常ヒト血清中で、2.5×106個の抗体感作ニワトリ赤血球と様々な濃度の抗C5モノクローナル抗体を37℃で30分間インキュベートした後、415nmで測定される可溶性ヘモグロビンの放出によってアセスメントした。すべてのC5モノクローナル抗体は機能的であり、同等の半最大阻害濃度(IC50)値を有していた(データ示さず)。
【0190】
免疫複合体の同定、特徴付け、及び質量決定を行うために、精製エクリズマブ、ヒトC5、及びクロバリマブ模倣体又はポゼリマブ模倣体のいずれかを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、様々なモル比で、室温で一緒に約30分間インキュベートした。サンプルは、高速液体クロマトグラフィー用の冷蔵オートインジェクター(1260LC System,Agilent,Santa Clara,CA,USA)内に2~8℃で置き、上流インライン0.2μmフィルターを備えた4.6×300mm Bio SEC-5カラム(Agilent)に順番に適用し(45μL/注入)、事前に平衡化し、移動相としてPBSを使用して、0.3mL/分で実行した。溶離液を吸光度280nmでモニタリングし、示差屈折率検出器(Optilab T-rEX,Wyatt Technology)を備えたインラインMALS検出器(Treos-II,Wyatt Technology,Santa Barbara,CA,USA)を使用して、分子量を定量した。このような複合体がヒト血漿中で形成される可能性を評価するために、エクリズマブを標識エクリズマブに置き換え、SECカラムに35μLを注入して、最終ヒト血漿の少なくとも80%(v/v)でインキュベーションを実施した。蛍光検出器(Agilent)を使用するインライン蛍光検出でクロマトグラフィーをモニタリングし、490nmの励起及び525nmの発光で溶出をモニタリングすることを除き、PBSで希釈したサンプルについて上記と同じクロマトグラフィー方法を使用した。
【0191】
2.結果
ビオチン化エクリズマブをストレプトアビジンバイオセンサープローブ上に捕捉し、洗浄(W)し、精製ヒトC5(赤及び黒トレース)又は緩衝液(青トレース)で処理した(図1A~1D参照)。追加の洗浄後、プローブをエクリズマブ(黒トレース)、又は異なる第2の抗体(赤トレース)又は緩衝液(青トレース)のいずれかで処理した(図1A~1D参照)。図1A~Dは、以下の異なる二次抗体のデータを示す。図1A:エクリズマブとは異なるC5上の部位に結合することが知られているmAbN19/8;図1B:ラブリズマブ;図1C:mAbクロバリマブ模倣体;及び図1D:mAbポゼリマブ模倣体。スケールバーは、1.0nmのバイオセンサーシグナルに対応する偏向を示す。mAb、モノクローナル抗体。まとめると、組換えモノクローナル抗体クロバリマブ模倣体及びポゼリマブ模倣体はそれぞれ、インビトロ古典経路溶血の機能的かつ強力な阻害剤であり(データ示さず)、両方のモノクローナル抗体はエクリズマブ結合C5と非競合的に会合することができた。
【0192】
クロバリマブ模倣体(図2A及びC)又はポゼリマブ模倣体(図3A及びC)のいずれか、及びエクリズマブが最小血漿濃度(Cmin)に近づくにつれてインビボで予想されるレベルのC5+エクリズマブを共に含む、PBS中の組成物は、一連の高分子量複合体を含有し、一部は1500kDaよりも大きく、これは、最大4分子のC5及び5分子のmAbの組み込みと一致した(図5)。
【0193】
SECにおいて同様の遊走を有する大きな複合体は、クロバリマブ模倣体(図2B)又はポゼリマブ模倣体(図3B)で観察され、これらの組成物は80%超血漿であった。大きな複合体は、クロバリマブ模倣体(図2C及びD)又はポゼリマブ模倣体(図3C及びD)が、エクリズマブと等モル又は5倍過剰の場合の両方で観察された。
【0194】
より具体的には、図2Aに示されるとおり、クロバリマブ模倣体(700nM)単独は、単一のピークとして移動し、1:1及び1:2のクロバリマブ模倣体:C5複合体に対応するC5(400nM)の存在下で2つの追加の種を形成した(MALSデータ示さず)。エクリズマブ(700nM)とC5(400nM)によるクロバリマブ模倣体(700nM)の再構成は、アスタリスクで示される一連のより大きく早期の溶出ピークの形成をもたらした。図2Bに示されるとおり、クロバリマブ模倣体(700nM)を、標識エクリズマブ(700nM)を用いて80%ヒト血漿中で再構成した場合には、高度に類似した保持時間(*)を有する早期溶出複合体が観察されたが、クロバリマブ模倣体が存在しない場合には観察されなかった。PBS中でクロバリマブ模倣体、C5及びエクリズマブの間で形成された複合体は、一部の場合において、再構成がエクリズマブと等モル(700nM)の濃度のクロバリマブ模倣体(図2C)で行われたか、又は5倍モル過剰(3500nM)のエクリズマブ(図2D)で行われたかにかかわらず、MALSにより150万Daを超えた。
【0195】
要約すると、クロバリマブ模倣体は、エクリズマブ及びC5の存在下で、エクリズマブがCminに近づくにつれてヒト血液中のものを模倣するエクリズマブ及びC5濃度において、非常に大きな複合体の形成を誘導する。
【0196】
さらに、図3A~3Dに示されるとおり、ポゼリマブ模倣体は、エクリズマブとC5の存在下で、エクリズマブがCminに近づくにつれてヒト血液中のものを模倣するエクリズマブ及びC5の濃度において、非常に大きな複合体の形成を誘導することを示す。具体的には、図3Aに示されるとおり、ポゼリマブ模倣体(700nM)単独は、単一のピークとして移動し、1:1及び1:2のポゼリマブ模倣体:C5複合体に対応するC5(400nM)の存在下で2つの追加の種を形成した(MALSデータ示さず)。エクリズマブ(700nM)とC5(400nM)によるポゼリマブ模倣体(700nM)の再構成は、アスタリスクで示される一連のより大きく早期の溶出ピークの形成をもたらした。図3Bに示されるとおり、ポゼリマブ模倣体(700nM)を、標識エクリズマブ(700nM)を用いて80%ヒト血漿中で再構成した場合には、高度に類似した保持時間(*)を有する早期溶出複合体も観察されたが、ポゼリマブ模倣体が存在しない場合には観察されなかった。PBS中でポゼリマブ模倣体、C5及びエクリズマブの間で形成された複合体は、一部の場合において、MALSにより150万Daを超え(図3C)、ポゼリマブ模倣体がエクリズマブの5倍過剰である3500nMであった場合でも非常に大きいままであった(図3D)。
【0197】
しかし、ラブリズマブはエクリズマブ結合C5と会合せず(図1B)、1:1及び1:2 mAb:C5複合体について予想されるサイズを超える複合体を形成しなかった(図4A~4D)。ラブリズマブは、エクリズマブの不存在下又は存在下のいずれにおいても、C5と1:1及び1:2複合体のみを形成する。具体的には、ラブリズマブ単独では単一のピークとして移動したが、C5又はC5とエクリズマブの存在下では3つのピークが観察された。C5+エクリズマブ及びラブリズマブの組成物で溶出する最後のピークは、非結合抗体に対応し、遊離エクリズマブ及びラブリズマブがわずかに異なる保持時間を有したため、ショルダーを有していた(図4B)。ラブリズマブ及びC5(図4C)、並びにラブリズマブ及びC5+エクリズマブ(D)を含む組成物は、1:1及び1:2 mAb:C5複合体のみの形成と一致する多角度光散乱(MALS)による質量を示した。これらより大きな複合体は、観察されなかった。
【0198】
3.結論
これらの実験は、C5と、異なるC5エピトープに結合する2つのモノクローナル抗体との組み合わせから多価複合体を形成できることを実証している。これらの多価複合体は、未知の薬理学的特性を有しており、このような複合体がインビボで形成された場合の安全性は現時点では不明である。したがって、これらの発見は、レシピエントが複数の非競合的抗C5モノクローナル抗体に同時に曝露され得る場合(患者が1つのそのような抗体から別の抗抗体に変換される場合など)、及びPD抑制の継続的な維持が必須である場合に潜在的な意義を有する。
【0199】
この研究は、このような複合体の性質及び特性を理解し、患者における複合体の形成の可能性をアセスメントし、防止するための、モニタリング及び緩和プロセスを組み込むことの重要性を強調している。インビボで形成された場合、このような複合体は、Fcγ又はClq依存性エフェクター機能の結合活性による再構成、組織内の複合体の沈着、新生児Fc受容体(FcRn)との多価相互作用に関連する構成要素に対する抗原プロセシング及び免疫原性の変化、好中球活性化、サイトカイン放出、脱顆粒並びにNETosisなどの、多価免疫複合体に関連する1つ以上のメカニズムを介して炎症誘発性である可能性がある。
【0200】
【表1】
【0201】
【表2】
【0202】
【表3】
【0203】
【表4】
【0204】
【表5】
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
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【国際調査報告】