(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】ノボラック型フェノール樹脂及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 37/18 20060101AFI20231108BHJP
C07C 39/15 20060101ALI20231108BHJP
C08G 61/02 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
C07C37/18
C07C39/15
C08G61/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525576
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2021015763
(87)【国際公開番号】W WO2022098075
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0147726
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516167059
【氏名又は名称】ソンウォン インダストリアル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Songwon Industrial Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】83, Jangsaengpo-ro, Nam-gu, Ulsan, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム ウォンジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヘヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク ドンギョン
【テーマコード(参考)】
4H006
4J032
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB99
4H006AC24
4H006AC92
4H006BB31
4H006BC10
4H006BC19
4H006BC31
4H006BC35
4J032CA04
4J032CA14
4J032CB04
4J032CC01
4J032CE03
4J032CE22
4J032CE24
4J032CF05
4J032CG00
4J032CG01
4J032CG06
4J032CG07
(57)【要約】
ノボラック型フェノール樹脂の製造方法が開示される。本発明の一実施形態に係るノボラック型フェノール樹脂の製造方法は、酸触媒の不在下での反応で、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニル及びフェノール系化合物を添加して混合溶液を製造するステップ、前記混合溶液を40~180℃で1~10時間反応させるステップ、及び前記反応溶媒及び残留物質を蒸発除去し、反応物を固化するステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸触媒の不在下での反応で、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニル及びフェノール系化合物の混合溶液を製造するステップと、
前記混合溶液を40~180℃で1~10時間反応させるステップと、
前記反応溶媒及び残留物質を蒸発除去し、反応物を固化するステップと、
を含むノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項2】
反応過程で生成した塩化水素の全部または一部を前記反応溶媒である水に溶解させた状態で排出するステップをさらに含む請求項1に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記混合溶液を製造するステップは、
前記4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルの重量に対して10wt%~500w%の水を添加するステップを含む請求項1に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルに対して1.5~5mol-当量のフェノール系化合物を添加するステップをさらに含む請求項3に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項5】
ノボラック型フェノール樹脂は、下記の化学式(I)で表される請求項1~4のいずれか1項に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項6】
ヒドロキシル当量が200~235g/eqであり、軟化点が86~92℃である下記の化学式(I)で表される化合物を含むノボラック型フェノール樹脂組成物。
【請求項7】
下記の化学式(II)で表される化合物または化学式(III)で表される化合物の含有量がノボラック型フェノール樹脂組成物重量に対して0.5wt%未満であるノボラック型フェノール樹脂組成物。
【請求項8】
前記化学式(II)で表される化合物または化学式(III)で表される化合物を含まない請求項7に記載のノボラック型フェノール樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノボラック型フェノール樹脂及びその製造方法に関し、より詳細には、エーテル系またはハロゲン化アルキルなどの副産物の反応を抑制し、反応過程でヒドロキシル基の消失を最小化したノボラック型フェノール樹脂及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ノボラック型フェノール樹脂(Phenolic Novolac Resin)は、優れた耐熱性及び耐湿性などにより、接着剤、成形材料、塗料、フォトレジスト材料、エポキシ樹脂原料などに広く使用されている。
【0003】
特に、エポキシ樹脂などの硬化剤として、半導体封止材やプリント配線板用絶縁材料などの電気電子分野で幅広く使用されている。
【0004】
従来のノボラック型フェノール樹脂は、有機溶媒またはアルコール系溶媒に4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルとフェノールを添加した後、酸触媒の存在下で反応させて合成させる方法で合成されていた。
【0005】
しかし、反応工程で有機溶媒を使用する場合、エーテル系の副産物が発生する副反応を引き起こし、ヒドロキシルのg当量(単位g当たりOHの個数の逆数)値が高く表れるという問題点があった。
【0006】
ヒドロキシルg当量(hydroxyl equivalent weight)が高くなるとは、単位分子当たりヒドロキシル基の数が減るということを意味するが、この場合、エポキシ化され得る部分が減ることになり、結果的に、製品の硬化後、ポリマーの架橋密度低下のため、製品の物理化学的特性が劣化する可能性があるという問題を引き起こすようになる。
【0007】
また、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒を使用する場合、酸触媒とアルコールとの反応によりハロゲン化アルキルが生成し、ハロゲン化アルキルは、反応物であるフェノールと反応してアルキルフェノールなどの様々な副産物を形成するようになる。副産物の形成は、最終製品の収率を低下させるだけでなく、反応物であるフェノールの回収及び再使用過程においてもさらなる問題を引き起こすようになる。
【0008】
したがって、様々な形態の副産物を形成する副反応を抑制しながら、優れた品質のノボラック型フェノール樹脂を製造できる新たな製造方法に対する必要性が出現した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するために案出されたものであって、本発明の目的は、副産物を引き起こす副反応を抑制して製造した高品質のノボラック型フェノール樹脂及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の課題は、上記の課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための本発明の一実施形態に係るノボラック型フェノール樹脂の製造方法は、酸触媒の不在下、反応溶媒である水に4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニル及びフェノール系化合物を添加して混合溶液を製造するステップ、前記混合溶液を40~180℃で1~10時間反応させるステップ、及び前記反応溶媒、残留物質を蒸発除去し、反応物を固化するステップを含む。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、反応過程で生成した塩化水素の全部または一部を前記反応溶媒である水に溶解させた状態で排出するステップをさらに含むことができる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記混合溶液を製造するステップは、前記4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルの重量に対して10wt%~500w%の水を添加するステップを含むことができる。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、前記4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルに対して1.5~5mol-当量のフェノール系化合物を添加するステップをさらに含むことができる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、ノボラック型フェノール樹脂は、下記の化学式(I)で表される。
【0016】
本発明のさらに他の実施形態に係るノボラック型フェノール樹脂組成物は、ヒドロキシル当量が200~235g/eqであり、軟化点が86~92℃である下記の化学式(I)で表される化合物を含む。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、下記の化学式(II)で表される化合物または化学式(III)で表される化合物の含有量はノボラック型フェノール樹脂組成物重量に対して0.5wt%未満であり得る。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記化学式(II)で表される化合物または化学式(III)で表される化合物を含まなくてもよい。
【発明の効果】
【0019】
上記のノボラック型フェノール樹脂及びその製造方法によれば、エーテル系またはアルキルフェノールなどの副産物の生成を抑制して、高純度のノボラック型フェノール樹脂を製造できるという効果を達成できる。
【0020】
また、ヒドロキシルのg当量が目標レベルに合致するノボラック型フェノール樹脂を製造できるという効果を達成できる。
【0021】
本発明の効果は、上記の効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は、請求の範囲の記載から当業者に明確に理解され得るであろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について添付した図面を参照して詳細に説明する。ただし、添付された図面は、本発明の内容をより容易に開示するために説明されるだけであり、本発明の範囲が添付された図面の範囲に限定されるものでないことは、この技術分野の通常の知識を有する者であれば、容易に分かるであろう。
【0023】
そして、本発明の実施形態を説明するにあたり、同一の機能を有する構成要素に対しては、同一の名称及び同一の符号を使用するだけであり、実質的には、従来技術の構成要素と完全に同一でないことを予め明らかにしておく。
【0024】
さらに、本出願において使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されるものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において「含む」または「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらの組み合わせが存在することを示すことを意図するものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除されないことを理解しなければならない。
【0025】
化学式1で表される化合物は、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルとフェノール系化合物を縮合反応させて得ることができる。
【化1】
【0026】
ここで、フェノール系化合物は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、ハイドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、α-ナフトールのうち、いずれか1つであり得る。望ましくは、フェノール系化合物は、フェノールである。
【0027】
フェノール系化合物としてフェノールが使用される場合、フェノールの使用量は、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルを基準に1.5~5mol-当量が使用される。望ましくは、2~4.5mol-当量が使用される。
【0028】
一方、本発明の一実施形態に係る製造方法での反応溶媒としては、水が使用される。具体的には、反応溶媒としての水は、反応器に4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニル、フェノール系化合物と同時に添加されるか、順次添加される。
【0029】
反応溶媒としての水は、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルの重量に対して10wt%~300w%、望ましくは、30wt%~200w%、より望ましくは、50wt%~100w%が使用される。
【0030】
反応溶媒として水を使用すると、ヒドロキシル基の消失を伴わずに、エーテル系、ハロゲン化アルキル化合物、またはジアルキルエーテル化合物の副産物の生成を抑制して、製品の収率を高めることができるという効果を達成できる。
【0031】
また、反応過程で必ず発生するガス相のHClを捕集するための大容量のスクラバー装置を備えなくとも、HCLの全部または一部を反応溶媒である水に溶解させて排出できるという効果を達成できる。
【0032】
また、反応物質として添加されるフェノール系化合物が反応過程中、他の化合物と反応することを抑制できるようになるので、フェノール系化合物の回収及び再使用を容易にできるという効果を達成できる。
【0033】
上記の反応物質及び反応溶媒を反応器に投入した後、常圧条件下で反応温度を40~180℃に設定する。望ましくは、反応温度は、90~110℃である。また、反応時間は、1~10時間である。
【0034】
上記の条件下で反応器内部の温度が90~110℃に到達すると、塩化水素ガスが発生する。塩化水素ガスは、反応溶媒である水に溶解して外部に排出することができる。
【0035】
反応終了後、反応器に有機溶媒を添加して有機物を抽出する。有機物を抽出するための有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトンなどが使用され得る。望ましくは、トルエンが使用される。
【0036】
さらに、反応溶媒である水とフェノールなどを分留管を用いて蒸発除去し、ろ過により各種異物を除去する。蒸留が全て完了したら、製品を冷却して固化させる。
【0037】
上記の工程により得られた化学式1で表されるノボラック型フェノール樹脂のヒドロキシル当量(単位g当たりOHの個数の逆数)は、200~235g/eqである。望ましくは、225~235g/eqである。
【0038】
ヒドロキシル当量測定方法は、次のとおりである。
電位差測定器:Metrohm社 888titrando
電極:Metrohm社 6.0229.100 Solvotrode
【0039】
まず、無水酢酸7.8mlとピリジン35mlを混合して溶液を調製し、混合溶液5mlを試料1gと混合して160℃で1時間反応させた。次に、蒸溜水を1~1.5ml追加した後、15分以上さらに反応させて、冷却した。
【0040】
次に、THFとアセトンを添加して希釈し、当該サンプル溶液とBlankを各々0.5N-KOH(EtOH)溶液を用いて電位差滴定を行った。
【0041】
測定されたBlankとサンプル溶液の値を次の式に代入してヒドロキシル当量を算出した。
28.05×(B-V)×F/試料量[g]=OH value[KOH mg/g]
【0042】
ここで、B=Blank溶液の測定値であり、Vは、サンプル溶液の測定値である。
【0043】
ヒドロキシル当量[g/eq]=26110/OH value[KOH mg/g]
【0044】
一方、化学式1で表されるノボラック型フェノール樹脂の軟化点は、86~92℃である。
【0045】
軟化点は、Metler Toledo社のモデル名DP70を用いて測定した。まず、測定しようとする試料を140℃~160℃で溶融させた後、測定装置に備えられたカップに満たした後、表面を平坦にした。カップの上部にはカバーを覆い、下部は、ガラス管を挿してキャリヤに固定させた後、キャリヤを測定装置に入れた状態で測定を開始した。
【0046】
測定装置に試料を入れた後、初期温度を60℃に設定し、10秒間維持した状態で2℃/minの速度で加熱し、カップ内の試料が軟化し、流れ落ちて重力により最終地点に到達したときの温度を軟化点として決定した。
【0047】
また、上記の工程によって合成したノボラック型フェノール樹脂組成物に含まれる化学式2または化学式3で表される化合物の含有量は、全体ノボラック型フェノール樹脂組成物重量に対して0.5wt%未満である。望ましくは、0.3wt%未満である。より望ましくは、ノボラック型フェノール樹脂組成物は、下記の化学式2または化学式3で表される化合物を実質的に含まない。
【化2】
【化3】
【0048】
前記化学式2及び化学式3で表される副産物の含有量は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)分析をにより測定した。
【0049】
カラム:Shoedex社 KF-801、802、803
検出器:water社 2414RI
ポンプ:water社 1515
オートサンプラー:water社 2707
移動相:THF(GPC grade) 1ml/min
移動相THF(GPC grade)を1ml/minに設定し、GPCを稼動後、THFを十分に流して安定化させた。次に、サンプル0.05gをTHFに溶解させてサンプル溶液を調製した。
【0050】
Blank THFとサンプル溶液を50μlずつ注入して各々分析を行った。全てのピークに対してベースライン(base line)が水平になるように積分した後、各ピークの谷(Valley)を基準に垂直に分割した。測定されたサンプル分析結果でBlankと対照して共通したピークを排除し、各ピークのArea%を記入した。
【0051】
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。
【0052】
[実施例1]
4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルを基準にフェノール2.3モル-当量を反応器に投入した。反応溶媒として、水を使用した。水は、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルを基準に50wt%使用した。
【0053】
次に、反応器の温度を80~110℃に上昇させた後、反応が進行するにつれて発生した塩酸ガスを反応器外部に排出して水または水酸化ナトリウム溶液に捕集されるようにした。
【0054】
反応を3時間継続した後、反応が終了したら、有機溶媒であるトルエンを添加して油水層分離により酸廃水を除去した。そして、蒸留により反応溶媒である水と副産物である塩酸、抽出溶媒であるトルエン及び残留フェノールを除去した。蒸留が完了したら、最終生成物を冷却して、化学式1で表される化合物を含むノボラック型フェノール樹脂組成物を得た。
【0055】
上記の過程によって得られたノボラック型フェノール樹脂組成物に含まれる化学式2または化学式3で表される化合物は検出されなかった。
【0056】
また、化学式1で表されるノボラック型フェノール樹脂のヒドロキシル当量は、227g/eq、軟化点は、91.6℃と測定された。
【0057】
[実施例2]
4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルを基準にフェノール2.5モル-当量を反応器に投入した。反応溶媒として、水を使用した。水は、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルを基準に100wt%使用した。
【0058】
次に、反応器の温度を80~110℃に上昇させた後、反応が進行するにつれて発生した塩酸ガスを反応器外部に排出して、水または水酸化ナトリウム溶液に捕集されるようにした。
【0059】
反応を3時間継続した後、反応が終了したら、有機溶媒であるトルエンを添加して油水層分離により酸廃水を除去した。そして、蒸留により反応溶媒である水と副産物である塩酸、抽出溶媒であるトルエン及び残留フェノールを除去した。蒸留が完了したら、最終生成物を冷却して、化学式1で表される化合物を含むノボラック型フェノール樹脂組成物を得た。
【0060】
上記の過程により得られたノボラック型フェノール樹脂組成物に含まれる化学式2または化学式3で表される化合物は、0.06wt%であることを確認した。
【0061】
また、ノボラック型フェノール樹脂のヒドロキシル当量は、227g/eq、軟化点は、89.1℃と測定された。
【0062】
[比較例1]
4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルを基準にフェノール2.1モル-当量と35%濃度で希釈した塩酸を反応器に投入した。反応溶媒として、トルエンを使用した。水は、4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1-ビフェニルを基準に100wt%使用し、塩酸は、0.8wt%を使用した。
【0063】
次に、反応器の温度を110~115℃に上昇させてトルエンを還流させ、反応が進行するにつれて発生した塩酸ガスを反応器外部に排出して、水または水酸化ナトリウム溶液に捕集されるようにした。
【0064】
反応を8時間継続した後、反応が終了したら、蒸留により反応溶媒であるトルエンと触媒及び副産物である塩酸及び残留フェノールを除去した。蒸留が完了したら、最終生成物を冷却して、化学式1で表されるノボラック型フェノール樹脂組成物を得た。
【0065】
上記の過程により得られたノボラック型フェノール樹脂組成物に含まれる化学式2または化学式3で表される化合物は、4.55wt%であることを確認した。
【0066】
また、化学式1で表されるノボラック型フェノール樹脂のヒドロキシル当量は、244g/eq、軟化点は、85.9℃と測定された。
【0067】
上記のように、本発明に係る望ましい実施形態を説明してきたが、前述した実施形態の他にも、本発明がその趣旨や範疇から逸脱することなく、他の特定形態に具体化され得るという事実は、当該技術において通常の知識を有する者には自明なものである。したがって、上記の実施形態は制限的なものではなく、例示的なものとみなされなければならず、これにより、本発明は、上記の説明に限定されず、添付した請求項の範疇及びその均等の範囲内で変更することもできる。
【国際調査報告】