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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/11 20060101AFI20231108BHJP
   H01P 1/04 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
H05K1/11 D
H01P1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525595
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 CN2021128318
(87)【国際公開番号】W WO2022095874
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】202011208923.8
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520076244
【氏名又は名称】南京中興新軟件有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャオ リー
【テーマコード(参考)】
5E317
5J011
【Fターム(参考)】
5E317AA04
5E317AA11
5E317AA24
5E317GG16
5E317GG20
5J011DA12
(57)【要約】
コネクタの端子アレイに整合する信号孔アレイを含み、信号孔アレイのうちの少なくとも一部の信号孔が第1信号孔(20)である回路基板であって、第1信号孔(20)はブラインドホールであり、回路基板の一部の配線層に連通して、補助配線層に位置する補助線(03)を介して補助導電構造(30)を接続し、補助導電構造(30)は、補助配線層と第1信号孔(20)が連通していない主配線層とに少なくとも連通して、主配線層に位置する信号引出線(04)に接続され、信号引出線(04)は、信号孔アレイが位置する領域から延伸する、回路基板を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタの端子アレイに整合する信号孔アレイを含み、前記信号孔アレイのうちの少なくとも一部の信号孔が第1信号孔である回路基板であって、
前記第1信号孔はブラインドホールであり、前記回路基板の一部の配線層に連通して、補助配線層に位置する補助線を介して対応する補助導電構造を接続し、
前記補助導電構造は、補助配線層と前記第1信号孔が連通していない主配線層とに少なくとも連通して、前記主配線層に位置する信号引出線に接続され、
前記信号引出線は、前記信号孔アレイが位置する領域から延伸する、
回路基板。
【請求項2】
前記回路基板に平行な平面において、少なくとも一部の前記信号引出線の正投影は、前記第1信号孔の正投影と重複している、
請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記第1信号孔は、第1方向に平行な複数の行として配列され、各行は複数の第1信号孔を含み、前記第1信号孔は複数のグループに分けられ、各グループは隣接する2行の第1信号孔を含み、
各行の第1信号孔に対応する複数の補助導電構造は、第1方向に垂直な方向に沿って、該行の第1信号孔の同じグループの他行の第1信号孔から遠い側に位置し、
前記信号引出線は、該信号引出線に対応する第1信号孔が位置するグループのグループ内に延伸する第1部分と、第1方向に沿った第2部分を含む、
請求項1に記載の回路基板。
【請求項4】
前記補助導電構造は孔である、
請求項1に記載の回路基板。
【請求項5】
前記補助導電構造はスルーホールである、
請求項4に記載の回路基板。
【請求項6】
前記補助導電構造は、金属化スルーホールを電気的に独立した複数の部分に分割し、各部分が1つの補助導電構造であるというように形成される、
請求項1に記載の回路基板。
【請求項7】
少なくとも一部の前記第1信号孔は差動信号孔である、
請求項1に記載の回路基板。
【請求項8】
前記回路基板は、第1サブプレートと第2サブプレートを含み、
前記第1信号孔は、前記第1サブプレートの全ての配線層に連通し、前記補助導電構造は、補助配線層と前記第2サブプレートに位置する主配線層とに少なくとも連通する、
請求項1に記載の回路基板。
【請求項9】
前記信号孔アレイの全ての信号孔は、いずれも第1信号孔である、
請求項1に記載の回路基板。
【請求項10】
前記信号孔アレイは、一部の信号孔が第2信号孔であり、前記第2信号孔はスルーホールである、
請求項1に記載の回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年11月3日に提出された中国特許出願NO.202011208923.8の優先権を主張し、その中国特許出願の内容は参照によりその全体がここに併せられる。
【0002】
本開示の実施例は回路技術分野に関するものであり、特に回路基板に関するものである。
【背景技術】
【0003】
コネクタは回路システムの電気接続に必須の核心的な基礎部品の1つであり、工業、自動車、通信などの製品に広く応用されている。技術、特に5G技術の発展に伴い、コネクタも高速、高周波数、高密度の方向に発展している。コネクタの発展に伴い、コネクタの内部回路に引き込む必要がある信号もますます増えている。
【0004】
コネクタはHDI(High Density Interconnector、高密度相互接続)技術を使用することができないため、コネクタに接続された回路基板は、配線層の層数を増やすことで、コネクタの信号が回路基板の内部回路に引き込まれることを保証するしかないが、回路基板の層数が多いほど、回路基板のコストは高くなる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施例では、コネクタの端子アレイに整合する信号孔アレイを含み、前記信号孔アレイのうちの少なくとも一部の信号孔アレイが第1信号孔である回路基板であって、
前記第1信号孔はブラインドホールであり、前記回路基板の一部の配線層に連通して、補助配線層に位置する補助線を介して対応する補助導電構造を接続し、
前記補助導電構造は、補助配線層と前記第1信号孔が連通していない主配線層とに少なくとも連通して、前記主配線層に位置する信号引出線に接続され、
前記信号引出線は、前記信号孔アレイが位置する領域から延伸する、回路基板を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の実施例における図面は以下の通りである。
図1】関連技術における信号引出線のレイアウト概念図である。
図2】関連技術における回路基板の構造概念図である。
図3】本開示の実施例が提供する回路基板の構造概念図である。
図4】本開示の実施例が提供する回路基板の断面構造概念図である。
図5】本開示の実施例が提供する回路基板の孔線距離関係の概念図である。
図6】本開示の実施例が提供する回路基板の補助導電構造の作製の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の実施例の技術案を当業者によりよく理解させるために、以下では図面を組み合わせて本開示の実施例が提供する回路基板について詳細に説明する。
【0008】
以下では、図面を参照して本開示の実施例についてより十分に説明するが、提示する実施例は異なる形式で具現化することができ、且つ本開示で説明する実施例に限定されると解釈すべきではない。これらの実施例を提供する目的は、本開示をより詳らかにかつ完全にし、本開示の範囲を当業者に十分に理解させることである。
【0009】
本開示の実施例の図面は、本開示の実施例に対してさらなる理解を提供するためのものであり、明細書の一部を構成し、本開示の実施例とともに本開示を解釈するためのものであって、本開示への制限を構成するものではない。詳細な例示的な実施例について図面を参照して説明することにより、上記及びその他の特徴及び利点は、当業者にとってより明確になるであろう。
【0010】
本開示の実施例は、本開示の理想的な概念図を用いて、平面図及び/又は断面図を参照して説明することができる。従って、製造技術及び/又は許容範囲に基づいて例示的な図面を修正することができる。
【0011】
矛盾しなければ、本開示の各実施例及び実施例における各特徴は互いに組み合わせてもよい。
【0012】
本開示で使用される技術用語は、特定の実施例を説明するためにのみ使用され、本開示を限定することを意図するものではない。本開示で使用される「及び/又は」という用語は、1つ又は複数の関連する列挙項目の任意及び全ての組み合わせを含む。本開示で使用される「1つ」及び「該」のような単数形は、文脈が特に明確に示さない限り、複数形も含むことを意図する。本開示で使用される「含む」、「…により作成される」という用語は、特定の特徴、全体、ステップ、操作、構成部品及び/又はコンポーネントの存在を指すが、1つ以上の他の特徴、全体、ステップ、操作、構成部品、コンポーネント及び/又はそれらのグループが存在すること又は追加可能であることを除外しない。
【0013】
特に限定しない限り、本開示で使用される全ての技術用語(技術用語及び科学用語を含む)の意味は、当業者が通常理解しているものと同じである。また、一般的な辞書に定義されているような技術用語は、本開示で明確に定義しない限り、関連する技術及び本開示の背景における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想的又は過度な形式上の意味を有すると解釈されないことも理解されるであろう。
【0014】
本開示の実施例は、図面に示す実施例に限定されず、製造技術に基づいて形成される構成の変更を含む。従って、図面に例示された領域は概念的な属性を有し、図面に示された領域の形状は要素の領域の具体的な形状を例示しているが、限定的なものではない。
【0015】
いくつかの関連技術において、コネクタのピン(ピン脚とも呼ばれる)は信号ピン(端子)と呼ぶことができ、回路基板にはコネクタの信号ピンに対応する信号孔が存在し、信号ピンは回路基板上のそれに対応する信号孔に挿入することができ、回路基板上の信号ピンに対応する信号孔は、信号引出線を介して回路基板の内部回路(即ち、回路基板内でコネクタの信号ピンからの信号を処理する回路)に接続され、即ち、信号ピンは、回路基板上のそれに対応する信号孔と、該信号孔の信号引出線を介して回路基板の内部回路に接続することができ、信号を回路基板の内部回路に引き込む。
【0016】
コネクタの発展に伴い、信号ピンを介して回路基板の内部回路に引き込む必要のある信号はますます多くなり、コネクタの信号ピンもますます多くなるため、回路基板上の信号ピンに対応する信号孔もますます多くなり、信号孔と信号孔との間の空間もますます小さくなり、即ち、信号引出線をレイアウトするための空間がますます小さくなる。そのため、回路基板の配線層の層数を増やすことができ、異なる信号孔の信号引出線を回路基板における異なる配線層に配置し、信号引出線のレイアウト空間を「増大」させて、全ての信号が回路基板の内部回路に引き込まれることをさらに保証することができる。
【0017】
図1(図面では信号孔と信号引出線の空間位置のみを示している)と図2(図面では信号孔と信号引出線の投影関係のみを示している)を参照すると、図面における信号孔11と信号孔12はいずれもコネクタの信号ピンに対応する信号孔であり、2つの信号孔11は1対の差動信号孔であり(即ち、2つの孔に対応する信号ピンが引き込む信号は1対の差動信号である)、2つの信号孔12は別の1対の差動信号孔であり、信号引出線01は信号孔11の信号引出線であり、信号引出線02は信号孔12の信号引出線であり、信号引出線01と信号引出線02の引き出し方向は同じである。
【0018】
さらに、信号孔が差動信号孔である場合、対をなす差動信号孔に対応する信号引出線は回路基板の同一の配線層にレイアウトしなければならないので、2つの信号孔の間に最大3本の信号引出線をレイアウトできる時、例えば2つの信号孔の間のpitch(ピッチ)が1.46mm(ミリ)の場合、対をなす信号引出線は回路基板の同一の配線層にレイアウトしなければならないため、各配線層において、2行の信号孔の間に実際には2本の信号引出線しかレイアウトできない。
【0019】
このように、同一の配線層において、2行の差動信号孔間のairgap(空隙)が4本の信号引出線をレイアウトするに足るものではない時、2つの信号孔11に対応する2本の信号引出線01は、2つの信号孔12に対応する2本の信号引出線02と回路基板における同じ層にレイアウトすることができないのは明らかであり、回路基板における異なる配線層にしかレイアウトできない。
【0020】
一方、回路基板の配線層の層数の増加は、回路基板のコストが増えるだけでなく、同時に回路基板の厚さも増すことになり、さらには回路基板の溶接に影響を与え、回路基板の溶接信頼性を低下させる。
【0021】
別の関連技術では、信号ファンアウト方式と信号引出線の方向を最適化することにより、信号引出線の数を減少させるとともに、同じ層の回路基板により多くの信号引出線をレイアウトすることができ、回路基板の配線層の層数を減少させることができる。しかし、信号完全性の制約により、ほとんどの信号引出線は最適化すること又は簡単に方向を変更することができず、該方法の回路基板の配線層の層数を減少させるという効果は顕著ではない。
【0022】
図3を参照すると、本開示の実施例は回路基板を提供し、具体的に、コネクタの端子アレイに整合する信号孔アレイを含み、信号孔アレイのうちの少なくとも一部の信号孔が第1信号孔20であり、第1信号孔20はブラインドホールであり、回路基板の一部の配線層に連通して、補助配線層に位置する補助線03を介して対応する補助導電構造30を接続し、補助導電構造30は、補助配線層と第1信号孔20が連通されていない主配線層とに少なくとも連通して、主配線層に位置する信号引出線04に接続され、信号引出線04は、信号孔アレイが位置する領域から延伸する。
【0023】
コネクタの端子アレイとはコネクタの複数の信号ピンが構成するアレイを指し、回路基板上の、端子アレイを構成する信号ピンに対応する信号孔が構成するアレイが回路基板の信号孔アレイであって、端子アレイにおける各信号ピンに対応する信号孔とは、該信号ピンと相対する位置に位置し、コネクタが回路基板に接続されている時に信号ピンが挿入できる信号孔である。
【0024】
図3を参照すると(図面では、第1信号孔20、補助導電構造30、補助線03、信号引出線04の投影関係のみを示している)、信号孔アレイを構成する全ての信号孔のうちの少なくとも一部の信号孔は第1信号孔20であり、第1信号孔20は具体的にブラインドホールであり、回路基板の一部の配線層に連通して、それが連通する配線層のうちの1層(即ち、補助配線層)に位置する補助線03(より明確にするために、図3では1本の補助線03のみ表記しているが、図3において第1信号孔20と補助導電構造30とを接続する線はいずれも補助線03である)を介して補助導電構造30を接続する。
【0025】
異なる第1信号孔20には異なる補助導電構造30が接続され、異なる第1信号孔20は回路基板における異なる配線層に連通することができるため、異なる第1信号孔20に対応する補助配線層も異なってもよく、つまり、第1信号孔20、補助線03及び補助導電構造30はいずれも対応している。
【0026】
1つの第1信号孔20に対応する補助導電構造30は、該第1信号孔20が連通する補助配線層と、該第1信号孔20が連通していない配線層とに少なくとも連通して、第1信号孔20が連通していない主配線層に位置する信号引出線04(より明確にするために、図3では1本の信号引出線04のみ表記しているが、図3において補助導電構造30を接続して外へ延伸する線はいずれも信号引出線04である)を接続し、該信号引出線により、補助導電構造30は、信号孔アレイが位置する領域外に位置する、回路基板内で信号を処理する内部回路に接続される。
【0027】
本開示の実施例の回路基板の信号孔アレイは、第1信号孔20のほかに、第2信号孔を含むこともでき、第2信号孔は、具体的にスルーホール(図2における信号孔11及び信号孔12)であってよく、信号引出線を接続することによって回路基板の内部回路を直接接続する。具体的に、第2信号孔の信号引出線は、第1信号孔20に対応する信号引出線04と一緒に主配線層にレイアウトすることができる。
【0028】
具体的に、図4を参照すると、本開示の実施例の回路基板のスルーホール、第1信号孔、及び補助導電構造は、関連技術における大小孔設計、バックドリル工法等と組み合わせることができ、例えば、図4における一部の第1信号孔20と全ての補助導電構造30はバックドリル工法を採用しており、一部の層のみを導電し、例えば、補助導電構造30は、補助配線層と信号引出線04が位置する配線層(即ち、主配線層)との間の層の対応する一部のみを導電して、導電部分が多すぎることによる分流、環流などの現象、即ち、stub効果(残留効果)を回避し、信号の完全性を向上させることができる。
【0029】
本開示の実施例の回路基板がコネクタの信号ピンの信号を回路基板の内部回路に引き込む過程は、具体的に、第1信号孔20に対応するコネクタの信号ピンが該第1信号孔20に挿入される時、信号ピンの信号が第1信号孔20に引き込まれ、その後補助線03を介して第1信号孔20に対応する補助導電構造30に引き込まれて、補助導電構造30を接続する信号引出線04を介して回路基板の内部回路に引き込まれるというものであってよい。
【0030】
第1信号孔20はブラインドホールであるため、補助導電構造30に接続された信号引出線04が位置する配線層に連通しておらず、つまり、補助導電構造30を介して第1信号孔20の信号を第1信号孔20が連通していない主配線層に引き込むため、補助導電構造30に接続された信号引出線04は、それが対応する第1信号孔20の正投影位置に配置することができ、これにより、レイアウト時に第1信号孔との安全距離を維持することを考慮せずに、他の信号引出線04との間の安全距離だけを考慮し、信号引出線04のレイアウト空間を増大させることができる。配線層の大きさが同じである場合、本開示の実施例の回路基板の補助導電構造30に接続された信号引出線04が位置する配線層は、より多くの信号引出線04をレイアウトすることができ、さらには回路基板の配線層の層数を減少させるとともに、配線層の数が低減されるため、回路基板の厚さも低減し、大型BGAの溶接信頼性が向上する。
【0031】
本開示の実施例の回路基板に対応するコネクタは、信号孔を介して回路基板に接続する必要がある任意の部品であってよく、例えば、他のデバイスの出力/コネクタなどであってもよい。具体的に、本開示の実施例の回路基板は、PCB(Printed Circuit Board、プリント回路基板)であってもよく、具体的に基地局系通信回路基板であってもよい。
【0032】
PCBの設計は一般的に原理図に基づいて、作図ソフトウェアを使用して一定の設計規則の下で自動レイアウトを行い、その後人工的に調整して、最終設計を完成する。PCB加工、PCB組立能力の制約を受け、最終的に設計されたPCBは、機能の実現をするほか、生産性、信頼性、低コストのニーズにも対応しなければならない。
【0033】
技術発展に伴い、PCBは高速、高周波数、高密度、多機能に向かって発展し、PCBの設計はPCB製造技術の重要な構成部分として、高速、高周波数、高密度、多機能に向かって発展する必要がある。
【0034】
一般的なPCB設計では、BGA(Ball Grid Array、ボールグリッドアレイパッケージ)の配線設計が最適化の重点であり、一部の関連技術では、一次レーザー孔、二次/三次レーザー孔などを用いてBGAの配線空間を十分に利用し、BGAの配線密度を向上させる。
【0035】
しかし、いくつかの回路基板、特に基地局系通信回路基板では、BGAの配線空間及び部品レイアウト空間が十分であり、逆にコネクタはHDI(High Density Interconnector、高密度相互接続)技術を使用できないため、回路基板の配線層の層数を増やすことによって、コネクタの信号ピンに対応する信号孔の信号引出線のレイアウト空間を増大するしかなく、コストが増えることが多い。
【0036】
一方、本開示の実施例の回路基板は、第1信号孔20をブラインドホールとして設計し、第1信号孔20に、対応する補助導電構造30を設計することにより、第1信号孔20の信号を第1信号孔20が連通していない配線層に引き込み、信号引出線のレイアウト空間を増大させ、さらには回路基板の配線層の層数を低減し、基地局系通信回路基板のコストを大幅に低減することができる。
【0037】
具体的に、本開示の実施例の回路基板に対応するコネクタは、高速コネクタであってもよい。つまり、高速コネクタに接続される回路基板は、具体的に本開示の実施例の回路基板であってもよい。
【0038】
高速コネクタのピン(あるいは信号ピン)密度は大きく、信号孔の信号引出線をレイアウトする空間が要求を満たすことができず、回路基板の配線層の層数を増やすことで信号孔の信号引出線をレイアウトする空間を「増大」させる必要があるという状況が発生しやすい。また、高速コネクタのピン(あるいは信号ピン)の長さは一般的に短くなるため、それに対応する回路基板の信号孔の深さも短くなり、信号孔の信号引出線をレイアウトするために使用できる空間がさらに減少する。高速コネクタに接続される回路基板が本開示の実施例の回路基板である場合、回路基板の配線層の層数を著しく低減し、回路基板のコストを低減することができる。
【0039】
図3を参照すると、いくつかの実施例では、回路基板に平行な平面において、少なくとも一部の信号引出線04の正投影は、第1信号孔20の正投影と重複する。
【0040】
本開示の実施例に係る回路基板の補助導電構造30に接続する信号引出線04は、配線層における該信号引出線04に対応する第1信号孔20の正投影に対応する位置を通過することができ、第1信号孔20は信号引出線04が位置する配線層に連通していないため、信号引出線04は、配線層における第1信号孔20の正投影に対応する位置にレイアウトされていても、第1信号孔20と導通して回路基板の正常な動作に影響を与えることはない。
【0041】
第1信号孔20が連通する配線層に信号引出線04がレイアウトされるというものと比較して(第1信号孔20に対応する位置に信号引出線04をレイアウトすることはできず、また、信号引出線04と第1信号孔20との間に安全距離を空ける必要がある)、本開示の実施例の信号引出線04のレイアウト可能空間は明らかに大きい。
【0042】
回路基板の信号孔アレイには複数の第1信号孔20がある場合があり、異なる第1信号孔20は異なる配線層に連通する可能性があり、補助導電構造30に接続された信号引出線04が位置する配線層の他の位置には、該層に連通する他の第1信号孔20又はスルーホールがレイアウトされている可能性があり、対応する第1信号孔20の正投影に対応する位置を除く位置に、補助導電構造30に接続される信号引出線04をレイアウトするには、他の第1信号孔20やスルーホールに連通するかどうか、他の第1信号孔20やスルーホールと安全距離をとるかどうかなどの問題を考慮しなければならないのは明らかであり、補助導電構造体30に接続される信号引出線04のレイアウトの難易度が高まる。
【0043】
また、補助導電構造30に接続される信号引出線04の最終目的は、第1信号孔20に引き込まれた信号を信号孔アレイが位置する領域に引き出すことであり、補助導電構造30に接続される信号引出線04を第1信号孔20の正投影に対応する位置にレイアウトし、異なる第1信号孔20に対応する信号引出線04間の交差による信号引出線04のレイアウトの乱れなどの問題を回避でき、信号引出線04のレイアウトをより合理的にすることができる。
【0044】
図3を参照すると、いくつかの実施例において、第1信号孔20は、第1方向に平行な複数の行として配列され、各行は複数の第1信号孔20を含み、第1信号孔20は複数のグループに分けられ、各グループは隣接する2行の第1信号孔20を含み、各行の第1信号孔20に対応する複数の補助導電構造30は、第1方向に垂直な方向に沿って、該行の第1信号孔20の同じグループの他の行の第1信号孔20から遠い側に位置し、信号引出線04は、該信号引出線04に対応する第1信号孔20が位置するグループのグループ内に延伸する第1部分と、第1方向に沿った第2部分を含む。
【0045】
図3を参照すると、信号孔アレイにおける複数の第1信号孔20は、一定方向(即ち、第1方向、例えば、図3における横方向)に平行な複数の行として配列されており、各行(例えば、図3における横方向の複数の第1信号孔20が1行である)には少なくとも1つの第1信号孔20があり、各2行の第1信号孔20は1組である(例えば、図3における縦方向の中間2行が1組である)。
【0046】
各グループの第1信号孔20に対応する補助導電構造30は、第1方向に垂直な方向に沿って該グループの第1信号孔20の「外側」に位置し、具体的には、各第1信号孔20に対応する補助導電構造30は自らにより近い「外側」に位置し、対応する補助導電構造30に接続された信号引出線04は、属するグループのグループ内(即ち、「外側」に対向する「内側」)に延伸する第1部分と、第1方向に平行で、且つ信号を信号孔アレイが位置する領域に引き出す第2部分との2つの部分を含む。
【0047】
具体的に、図3を参照すると、複数の第1信号孔20は水平方向の複数の行として配列されており、中間2行(2行目と3行目)の第1信号孔20は、1グループの第1信号孔20であり、該グループにおける各第1信号孔20に対応する補助導電構造30は、水平方向に垂直な方向に沿ってそれぞれ、該グループの第1信号孔20の自らにより近い「外側」に位置し、第2行の第1信号孔20に対応する補助導電構造30は第1行の第1信号孔20と第2行の第1信号孔20との間に位置し、第3行の第1信号孔20に対応する補助導電構造30は第3行の第1信号孔20と第4行の第1信号孔20との間に位置し、補助導電構造30に接続された信号引出線04は、補助導電構造30からグループ内(即ち、第2行の第1信号孔20と第3行の第1信号孔20との間)に延伸する第1部分と、水平方向から外側(信号孔アレイが位置する領域外)に延伸する第2部分を含む。
【0048】
いくつかの実施例において、少なくとも一部の第1信号孔20は差動信号孔である。
【0049】
各グループの第1信号孔20は、複数対の第1信号孔20を含み、図3を参照すると、第2行の第1信号孔20及び第3行の第1信号孔20のうちの1列の第1信号孔20が1対の差動信号孔である。
【0050】
差動信号は様々な分野の一般的な信号であり、常にコネクタの信号ピンを介して回路基板の内部回路に引き込む必要がある信号でもある。差動信号は対で出現するため、対応する信号引出線も必ず対で同じ配線層にレイアウトしなければならず、これにより、配線層空間は3本の信号引出線をレイアウトできるが、実際には2本の信号引出線しかレイアウトできないという状況を招くため、差動信号を回路基板の内部回路に引き込む信号引出線のレイアウトはより複雑になることが多い。
【0051】
いくつかの実施例において、回路基板は、第1サブプレートと第2サブプレートを含み、第1信号孔20は、第1サブプレートの全ての配線層に連通し、補助導電構造30は、補助配線層と第2サブプレートに位置する主配線層とに少なくとも連通する。
【0052】
本開示の実施例の回路基板は二次圧着技術を用いて実現することができ、即ち、2つのサブプレートが互いに圧着されて1つの回路基板を構成し、各サブプレートは回路基板の1つのサブ部分であり、回路基板の厚さが3.6mmであると仮定すると、二次圧着技術を用いて、2つの厚さが1.8mmのサブプレートを圧着して該回路基板を形成することができる。
【0053】
第1信号孔20は、第1サブプレートの全ての配線層を接続し、つまり、第1サブプレートから見て、第1信号孔20は1つのスルーホールであるため、第1信号孔20は、1つのサブプレート(つまり、第1サブプレート)に1つのスルーホールを制作し、もう1つのサブプレート(つまり、第2サブプレート)の該スルーホールに対応する部分には何の処理も施さないことにより実現することができる。
【0054】
スルーホールの実現技術はブラインドホールの実現技術よりも簡単であり、このような処理により第1信号孔20が得られ、第1信号孔20の作製技術が簡略化される。第1信号孔20は、二次圧着技術を採用しない場合、深型ブラインドホール加工技術によって得ることもできる。
【0055】
いくつかの実施例において、信号孔アレイの全ての信号孔は、いずれも第1信号孔20である。
【0056】
図3を参照すると、信号孔アレイの全ての信号孔は、いずれも第1信号孔20であり、つまり、信号孔アレイにおける全ての信号孔はブラインドホールであり、回路基板の一部の配線層に連通して、その連通する配線層のうちの一層(つまり、補助配線層)に位置する補助線03を介して補助導電構造30を接続する。
【0057】
本開示の実施例の回路基板において、信号引出線04の数が同じ場合、第1信号孔20に対応する信号引出線04は、スルーホールに対応する信号引出線04が要する配線層よりも明らかに少なく、信号孔アレイの全ての信号孔が第1信号孔20である際、回路基板の配線層を最大限に低減することができ、回路基板のコストを低減することができる。
【0058】
いくつかの実施例において、補助導電構造体30は孔である。
【0059】
いくつかの実施例において、補助導電構造はスルーホールである。
【0060】
補助導電構造は、具体的に、円孔、楕円孔、長溝孔などの孔であってもよい。
【0061】
孔は回路基板において常用の形状であり、その製作技術は比較的成熟しており、補助導電構造30は孔であって、信号を信号孔アレイの位置する領域に引き出す機能を実現することができ、製作も容易である。
【0062】
補助導電構造30はスルーホールであって、第1信号孔20と補助導電構造30との接続を容易にし、信号引出線の選択可能な配線層を増やしており、スルーホールの製作技術はブラインドホールより簡単である。
【0063】
いくつかの実施例において、補助導電構造30は、金属化スルーホールを電気的に独立した複数の部分に分割し、各部分が1つの補助導電構造30であるというように形成される。
【0064】
いくつかの実施例において、金属化スルーホールを電気的に独立した複数の部分に分割することは、金属化スルーホールの孔壁の部分を除去することにより、金属化スルーホールを電気的に独立した複数の部分に分割することを含む。
【0065】
補助導電構造30は金属化スルーホールを分割することにより得られ、図3に示すように、第1行の第1信号孔20に対応する補助導電構造30と第2行の第1信号孔20に対応する補助導電構造30は、1つの金属化スルーホールを電気的に独立した2つの部分に分割することにより得られ、同様に、第3行の第1信号孔20に対応する補助導電構造30と第4行の第1信号孔20に対応する補助導電構造30も、1つの金属化スルーホールを電気的に独立した2つの部分に分割することにより得られる。
【0066】
金属化スルーホールの分割には関連技術を用いることができ、図6(1)及び図6(2)を参照すると、金属化スルーホール上に1つ又は複数の非金属化のスロット40を穿孔するか、又は図6(3)を参照すると、金属化スルーホールに2つの非金属化スロット40を穿孔する。あるいは図6(4)を参照すると、エッチング方式を採用して、直接金属化スルーホールの孔壁を一部除去する。
【0067】
1つの金属化スルーホールを電気的に独立した複数の部分に分割することにより、孔の重複利用を実現し、補助導電構造30の数も低減しており、信号引出線レイアウトの空間をさらに増大させている。
【0068】
具体的に、図3及び図5を参照すると、回路基板の線と孔との間の安全距離はCであり、Cの値は回路基板の層数、厚さなどと関連し、一般的には0.228mm、即ち、9mil(マイクロインチ)であり、線と線との間の安全距離は0.102mm、即ち、4milであってよく、線の幅は0.102mm、即ち、4milであってよい。第1信号孔20が差動信号孔であると仮定すると、その孔径は0.34mmであり、それに対応する穿孔の孔径は0.40mmであり、各対の第1信号孔20(例えば、図3における第2行の第1信号孔20と第3行の第1信号孔20)の中心間隔は1.46mmである。補助導電構造30(例えば、図3における補助導電構造30)は、金属化スルーホールを分割して得られたものであり、金属化スルーホールの孔径は0.55mm、対応する穿孔孔径は0.6mmであって、該金属化スルーホールを電気的に独立した2つの部分に分割し、得られた補助導電構造30の非金属化スロット幅は0.3mmである。
【0069】
図3を参照すると、常規の設計において、信号引出線のレイアウト可能な部分はaだけであり、aの長さは1.46mm-(0.4mm+0.4mm)/2、即ち、1.06mmであり、3本の信号引出線を配置することができる(3本の信号引出線が要する占有する長さは0.228mm*2+0.102mm*5、即ち、0.966mmであり、残りの0.094mmは1本の信号引出線を配置するに足るものではない)。1対の差動信号の信号引出線は必ず同じ配線層にレイアウトしなければならないため、1つの配線層には2本の信号引出線しか配置できない。
【0070】
一方、本開示の実施例の回路基板において、その第2サブプレートの配線層が信号引出線をレイアウト可能な領域はbであり、その長さは1.46mm×2-0.6mm/2-0.6mm/2、即ち、2.32mmであり、上記の計算を参考にすると、10本の信号引出線、即ち、5対の差動信号の信号引出線を配置することができる。
【0071】
本開示は例示的な実施例を開示し、具体的な技術用語を用いているが、それらは一般的な説明的な意味としてのみ使用されまたそのように解釈されるべきであり、制限の目的で用いられるものではない。いくつかの実施例では、特定の実施例と組み合わせて説明された特徴、特性、及び/又は要素は、特に明確に指摘されない限り、単独で使用することができ、又は他の実施形態と組み合わせて説明された特徴、特性、及び/又は要素と組み合わせて使用できることが当業者には明らかである。従って、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって明らかにされた本開示の範囲を逸脱することなく、様々な形態及び詳細での変更が可能であることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】