(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】移動型四肢圧迫システム
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20231108BHJP
A61H 15/02 20060101ALI20231108BHJP
A61F 7/00 20060101ALI20231108BHJP
【FI】
A61H7/00 322B
A61H15/02 A
A61F7/00 331H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525600
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 SG2021050676
(87)【国際公開番号】W WO2022098308
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10202011034T
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511002216
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティー ホスピタル (シンガポール) ピーティーイー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】507335687
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール
(71)【出願人】
【識別番号】513025163
【氏名又は名称】パックスマン クーラーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PAXMAN COOLERS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】サンダー ラグハヴ
(72)【発明者】
【氏名】バンドラ アイシュワルヤ
(72)【発明者】
【氏名】パックスマン ニール
(72)【発明者】
【氏名】パックスマン グレン
(72)【発明者】
【氏名】モーゼズ ロドニー
【テーマコード(参考)】
4C099
4C100
【Fターム(参考)】
4C099AA02
4C099CA07
4C099CA09
4C099GA02
4C099GA23
4C099LA27
4C099PA04
4C099PA07
4C099TA03
4C100AD01
4C100AF03
4C100BA05
4C100BB05
4C100BC14
4C100CA15
4C100DA09
4C100DA10
4C100EA06
(57)【要約】
対象に圧力を加えるための圧迫装置が提供される。圧迫装置は、圧迫システムと、圧迫システムに接続され、対象の周囲に固定された1つまたは複数の圧迫コンポーネントであって、空気キャビティを備える、1つまたは複数の圧迫コンポーネントとを備える。対象に圧力を加える方法も提供される。一実施形態では、圧迫装置は、液体キャビティ、および液体キャビティを通して冷却剤を循環させる方法をさらに備える。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に圧力を加えるための圧迫装置であって、前記圧迫装置は、
圧迫システムと、
前記圧迫システムに接続され、前記対象の周囲に固定された1つまたは複数の圧迫コンポーネントであって、空気キャビティを備える、1つまたは複数の圧迫コンポーネントと
を備え、
前記圧迫システムは、オペレータが設定した治療時間に達するまで、所定の圧迫時間および所定の減圧時間に基づいて1分以内に周期的に前記空気キャビティから空気を導入および放出する、圧迫装置。
【請求項2】
前記所定の圧迫時間は、30~50秒である、請求項1に記載の圧迫装置。
【請求項3】
前記所定の減圧時間は、10~30秒である、請求項1に記載の圧迫装置。
【請求項4】
前記オペレータが設定した治療時間は、2~5時間である、請求項1に記載の圧迫装置。
【請求項5】
前記圧迫システムは、前記1つまたは複数の圧迫コンポーネントの前記空気キャビティに接続された空気回路を備え、前記空気回路は、1つまたは複数の空気ポンプと、1つまたは複数のソレノイドバルブと、1つまたは複数の圧力スイッチとを備える、請求項10に記載の圧迫装置。
【請求項6】
前記1つまたは複数の空気ポンプは、前記空気キャビティ内に空気を導入し、前記1つまたは複数のソレノイドバルブは、前記空気キャビティから空気を放出する、請求項5に記載の圧迫装置。
【請求項7】
前記空気キャビティ内の圧力が設定圧力を超えた場合、前記1つまたは複数の圧力スイッチは、前記空気キャビティから空気を放出する、請求項5に記載の圧迫装置。
【請求項8】
前記1つまたは複数の圧迫コンポーネントは、液体キャビティをさらに備え、前記液体キャビティは、前記対象の周囲に固定される場合、前記空気キャビティと前記対象との間に配置される、請求項1に記載の圧迫装置。
【請求項9】
前記圧迫システムは、
タンクを備える液体回路であって、前記1つまたは複数の圧迫コンポーネントの前記液体キャビティに接続され、前記タンクは、冷却剤を含有し、液体ポンプと前記タンクとの間の冷却剤の連続フローを可能にするためにオーバーフローチャネルを備える、液体回路と、
前記液体回路の前記タンクに接続された冷却回路と
をさらに備える、請求項8に記載の圧迫装置。
【請求項10】
前記タンク内の前記冷却剤は、前記冷却回路によって冷却される、請求項9に記載の圧迫装置。
【請求項11】
前記冷却剤は、オペレータによって所定の温度に冷却される、請求項10に記載の圧迫装置。
【請求項12】
前記冷却剤は、6~24℃の温度を有する、請求項10に記載の圧迫装置。
【請求項13】
対象に圧力を加える方法であって、
圧迫システムを提供するステップと、
空気キャビティを備える1つまたは複数の圧迫コンポーネントを提供するステップと、
前記対象の周囲に前記1つまたは複数の圧迫コンポーネントを固定し、前記1つまたは複数の圧迫コンポーネントを前記圧迫システムに接続するステップと、
オペレータが設定した治療時間に達するまで、所定の圧迫時間および所定の減圧時間に基づいて1分以内に周期的に前記空気キャビティから空気を導入および除去するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記所定の圧迫時間は、30~50秒である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記所定の減圧時間は、10~30秒である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記オペレータが設定した治療時間は、2~5時間である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記1つまたは複数の圧迫コンポーネントは、液体キャビティをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記1つまたは複数の圧迫コンポーネントの前記液体キャビティを通して冷却剤を循環させるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記冷却剤は、6~24℃の温度を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記冷却剤は、25~45mL/秒の流量で前記1つまたは複数のコンポーネント内に循環される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
対象における化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を予防および/または治療する際の使用のための圧迫装置であって、前記圧迫装置は、
圧迫システムと、
前記圧迫システムに接続され、前記対象の周囲に固定された1つまたは複数の圧迫コンポーネントであって、空気キャビティを備える、1つまたは複数の圧迫コンポーネントと
を備え、
前記圧迫システムは、オペレータが設定した治療時間に達するまで、所定の圧迫時間および所定の減圧時間に基づいて1分以内に周期的に前記空気キャビティから空気を導入および放出する、圧迫装置。
【請求項22】
前記対象は、がん患者である、請求項22に記載の使用のための圧迫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、支持療法(supportive care)の分野における加圧および冷却の適用に関する。特に、本開示は、化学療法誘発性末梢神経障害(chemotherapy-induced peripheral neuropathy)の予防を含む、様々な目的のための冷却を含み得る圧迫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
圧迫(compression)は、身体部分に圧力を加えるためにデバイス、ラップまたはスリーブ内で身体部分を締め付けることである。身体部分の温度を下げながら同時に身体部分に圧力を加える凍結圧迫(cryocompression)を行うために、冷却が同時に行われることもある。凍結圧迫は、化粧品および医療分野を含む、様々な分野で使用されている。例えば、凍結圧迫は、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を予防および/または治療するために使用することができる。CIPNは、がん治療のための化学療法において一般的に使用されるいくつかの化学療法剤の重篤な用量制限副作用(dose-limiting side-effect)である。CIPNは、進行性であり、多くの場合、手足に不可逆的な痛み/過敏症を引き起こし、化学療法の遅延および中止を引き起こす可能性があるため、がんの生存率に影響を及ぼす。全体として、CIPNは、毎年世界中でかなりの数のがん患者に影響を及ぼし、がん患者の長期的な罹患率(morbidity)の一因となっている。CIPNはまた、経済的負担を大幅に増加させ、医療費は、CIPNを有しない患者よりもCIPNを有するがん患者においてUS$17,000を超えると推定される。CIPNはまた、患者の労働損失を引き起こし、通常のケアで約50日間の生産性が損失する。
【0003】
化学療法治療(chemotherapy treatment)を受けているがん患者のCIPNを予防および/または治療するためのシステム、デバイスおよび方法に対して満たされておらず、増大している臨床的必要性(clinical need)が存在している。CIPNに対する利用可能な治療法は、錯感覚(paraesthesia)、感覚異常(dysesthesia)および疼痛などの症状を緩和することに限られている。ビタミンEまたはオメガ-3の補給などの薬剤(pharmacological agent)を含むいくつかの方法が開発されているが、大規模な臨床試験(clinical trial)において有効性が証明されているものはない。
【0004】
化学療法治療中の四肢の冷却は、CIPNの重症度(severity)を予防/軽減することにより、神経保護効果(neuroprotective effect)を実証している。研究によると、神経保護の程度は、四肢の低体温(hypothermia)の効率、すなわち、達成された冷却の程度に依存することが示されている。また、研究によると、患者は、冷却と同時に圧迫が加えられると、低温に長時間耐えることができることが示されている。
【0005】
図1Aおよび1Bを参照すると、それぞれ、四肢の低体温法を用いた、および用いていない化学療法治療を受けている対象(subject)が示されている。対象は、パクリタキセル(Paclitaxel)のような神経毒性化学療法剤(neurotoxic chemotherapeutics)104の腕への導入によって化学療法を受けることができる。神経毒性化学療法剤を用いた体系的ながん治療は、例えば、尺骨神経108に炎症および神経損傷を引き起こすことが示されている。この神経損傷は、手112などの四肢のしびれおよびヒリヒリする感覚として現れ、CIPNとして知られている。四肢低体温法116は、尺骨静脈120などの冷却した領域の血管収縮を引き起こすことによってCIPNを防ぎ、領域への血流を減少させることによって化学療法剤への領域の曝露を減少させる。四肢低体温法はまた、対象の炎症を軽減する。
【0006】
使用可能な様々な凍結療法モダリティ(modality)の中で、アイスパックおよび市販のゲル(gel)パックが、最も頻繁に使用されるモダリティである。凍傷のリスクおよび対象の温度に対する不耐容性(intolerability)のために、研究は、30分の再加温を組み合わせた30分の冷却の断続的な冷却スケジュールを推奨している。しかしながら、このような断続的なルーチンは有効ではないか、またはさらに悪いことに、血流の反動のために逆効果になる場合もある。さらに、アイスパックは、融解中の相変化のために温度の大きな変動を引き起こす可能性がある。
【0007】
四肢凍結療法を施すために以前にグローブ(glove)が凍結して使用されていた。しかしながら、これらのグローブは、操作者に扱いやすくなく、不安定な冷却を提供し、対象に不快感を引き起こし、凍結療法を適用する期間を制限していた。これらのグローブは、凍傷の発生により最終的に市場から撤退した。
【0008】
他の既存の冷却解決策は、かさばり、人力集約的であり、エネルギー効率が悪く、がん患者のCIPNを予防する用途には対応していない。連続的に制御された冷却剤(coolant)の流れを利用する既存の凍結療法/冷却装置は、重く/扱いにくい旧式の(dated)蒸気圧縮技術を使用しており、患者の可動性(patient-mobility)、使用環境、およびその結果としてその適用範囲を制限している。冷却するための他の方法も存在するが、それらは問題または関連する制限がある。例えば、ペルチェ効果(the Peltier effect)を使用した冷却は、移動性を保ちながら必要な冷却速度を達成することはできない。他方で、磁気熱量効果(the Magnetocaloric effect)を使用した冷却は、まだ研究段階にあり、市場で入手することはできない。
【0009】
したがって、凍結療法を安全かつ便利な方法で提供するために特別に開発された装置および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の1つの一般的な態様は、対象に圧力を加えるための圧迫装置(compression apparatus)を含む。圧迫装置はまた、圧迫システムも備える。装置はまた、圧迫システムに接続され、対象の周囲に固定された1つまたは複数の圧迫コンポーネント(compression component)も備え、1つまたは複数の圧迫コンポーネントは、空気キャビティ(air cavity)を備えることができる。
【0011】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。圧迫装置において、圧迫システムは、オペレータが設定した治療時間に達するまで、所定の圧迫時間および所定の減圧時間に基づいて周期的に空気キャビティから空気を導入および放出する。所定の圧迫時間は30~50秒である。所定の減圧時間は10~30秒である。オペレータが設定した治療時間は2~5時間である。圧迫システムは、1つまたは複数の圧迫コンポーネントの空気キャビティに接続された空気回路(air circuit)を備えることができ、空気回路は、1つまたは複数の空気ポンプと、1つまたは複数のソレノイドバルブ(solenoid valve)と、1つまたは複数の圧力スイッチ(pressure switch)とを備えることができる。1つまたは複数の空気ポンプは、空気キャビティ内に空気を導入し、1つまたは複数のソレノイドバルブは、空気キャビティから空気を放出する。1つまたは複数の圧力スイッチは、空気キャビティ内の圧力が設定圧力を超えると、空気キャビティから空気を放出する。1つまたは複数の圧迫コンポーネントは、液体キャビティ(liquid cavity)をさらに備えることができ、液体キャビティは、対象の周囲に固定される場合、空気キャビティと対象との間に配置される。圧迫システムは、タンクを備えることができ、1つまたは複数の圧迫コンポーネントの液体キャビティに接続された液体回路(liquid circuit)と、液体回路のタンクに接続された冷却回路(refrigeration circuit)とをさらに備えることができる。液体回路のタンクは冷却剤を含有し、タンク内の冷却剤は冷却回路によって冷却される。冷却剤はオペレータによって所定の温度に冷却される。冷却剤は6~24℃の温度を有する。記載した技術の実施態様は、ハードウェア、方法もしくはプロセス、またはコンピュータアクセス可能媒体でのコンピュータソフトウェアを備えることができる。
【0012】
1つの一般的な態様は、対象に圧力を加える方法を含む。圧力を加える方法はまた、圧迫システムを提供することを含む。圧力はまた、1つまたは複数の圧迫コンポーネントが空気キャビティを備えることができることを提供することを含む。圧力はまた、対象の周囲に1つまたは複数の圧迫コンポーネントを固定し、1つまたは複数の圧迫コンポーネントを圧迫システムに接続することを含む。圧力はまた、オペレータが設定した治療時間に達するまで、所定の圧迫時間および所定の減圧時間に基づいて周期的に空気キャビティから空気を導入および除去することを含む。
【0013】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。方法において所定の圧迫時間は30~50秒である。所定の減圧時間は10~30秒である。オペレータが設定した治療時間は2~5時間である。1つまたは複数の圧迫コンポーネントは、液体キャビティをさらに備えることができる。方法は、1つまたは複数の圧迫コンポーネントの液体キャビティを通して冷却剤を循環させることを含むことができる。冷却剤は6~24℃の温度を有する。冷却剤は、オペレータによって所定の温度に冷却される。
【0014】
この態様の他の実施形態は、対応するハードウェア、機械、コンピュータシステム、装置、およびコンピュータプログラムを備え、各々は、方法の動作を実行するように構成される。
【0015】
本開示の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の図面に関してより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1Aおよび1Bは、それぞれ、四肢低体温法を用いた、および用いていない化学療法治療を受けている対象を示す。
【
図2A】本開示の実施形態による、凍結圧迫システムの外部の正面斜視図の概略図である。
【
図2B】本開示の実施形態による、凍結圧迫システムの外部の後方斜視図の概略図である。
【
図3A】本開示の実施形態による、凍結圧迫システムのコンポーネントの概略図である。
【
図3B】本開示の実施形態による、凍結圧迫システムのコンポーネントの概略図である。
【
図4】本開示の実施形態による、凍結圧迫システムによる凍結圧迫コンポーネントの凍結圧迫プロセスを制御する方法を示す概略フローチャートである。
【0017】
ここで図面を詳細に具体的に参照すると、示された詳細は、例示であり、本開示の実施形態の例示的な説明を目的としていることが強調される。これに関して、図面を用いた説明は、本開示の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【0018】
1つまたは複数の図面に現れる同一または重複または同等または類似の構造、要素、または部品は、全体的に同じ参照番号で標識付けされ、必要に応じて、類似の実体または実体の変形を区別するために追加の1つの文字または複数の文字で標識付けされ、繰り返して標識付け、および/または記載されない場合もある。以前に提示された要素への参照は、それらが現れる図面または説明を必ずしもさらに引用することなく示される。
【0019】
図面に示されるコンポーネントおよび特徴の寸法は、表現の便宜上または明瞭さのために選択され、必ずしも縮尺通りまたは実際の遠近法で示されているわけではない。便宜上または明瞭さのために、一部の要素または構造は示されていないか、または部分的にのみ、および/もしくは異なる遠近法で、もしくは異なる視点から示されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が説明される。しかしながら、当業者は、本発明がこれらの具体的な詳細がなくても実施され得ることを理解するであろう。他の例では、周知の方法、手順、コンポーネント、モジュール、ユニット、および/または回路は、本発明を不明瞭にしないように詳細には記載されていない。
【0021】
図面に示されるコンポーネントおよび特徴の寸法は、表現の便宜上または明瞭さのために選択され、必ずしも縮尺通りまたは実際の遠近法で示されているわけではない。便宜上または明瞭さのために、一部の要素または構造は示されていないか、または部分的にのみ、および/もしくは異なる遠近法で、もしくは異なる視点から示されている。
【0022】
本発明の実施形態はこれに関して限定されないが、本明細書で使用される場合、「複数(plurality)」および「複数(a plurality)」という用語は、例えば、「多数(multiple)」または「2つ以上」を含み得る。「複数(plurality)」または「複数(a plurality)」という用語は、本明細書全体を通して、2つ以上のコンポーネント、デバイス、要素、ユニット、パラメータなどを説明するために使用され得る。明示的に述べられていない限り、本明細書に記載される方法の実施形態は、特定の順序または配列に制約されない。さらに、記載される方法の実施形態またはその要素のいくつかは、同時に、同じ時点で、または並行して発生または実行することができる。別段の指示がない限り、本明細書で使用される場合、「または」という接続詞の使用は、包括的(記載された選択肢のいずれかまたは全て)であると理解されるべきである。
【0023】
ここで図面を詳細に具体的に参照すると、示された詳細は、例示であり、本開示の実施形態の例示的な説明を目的としていることが強調される。これに関して、図面を用いた説明は、本開示の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【0024】
本開示は、対象に圧力を加えるための圧迫装置に関する。圧迫装置は、対象の身体部分の周りに固定される1つまたは複数の圧迫コンポーネントに接続された圧迫システムを備えることができる。いくつかの実施形態では、圧迫システムは、空気を1つまたは複数の圧迫コンポーネントに導入することによってのみ圧力を加えるように構成され得る。いくつかの実施形態では、および以下で言及するように、圧迫システムは、対象の身体部分に同時に圧力を加え、冷却するために空気および冷却剤の両方を、1つまたは複数の凍結圧迫(cryocompression)コンポーネント304(
図3Aを参照のこと)内の別個の(separate)キャビティに導入する凍結圧迫システム200(
図2A、2B、3A、および3Bを参照のこと)であり得る。
【0025】
図2Aを参照すると、これは、凍結圧迫システム200の外部の正面斜視(front perspective view)図の概略図であり、一方、
図2Bは、本発明の実施形態による、凍結圧迫システム200の外部の後方斜視(rear perspective view)図の概略図である。凍結圧迫システム200は、いくつかの特徴を備え得る。いくつかの実施形態では、凍結圧迫システム200は、正確な液体温度の制御および調節を提供するために最先端の蒸気圧縮器(vapor compressor)を利用した小型冷凍ユニットを備え得る(
図3Aおよび3Bを参照のこと)。いくつかの実施形態では、凍結圧迫システム200は、強力な液体ポンプと、最適な熱交換および熱流体最適化動力学(thermal fluid optimized dynamics)のための特別に設計された蒸発器技術(evaporator technology)とを備え得る(
図3Aおよび3Bを参照のこと)。いくつかの実施形態では、凍結圧迫システム200は、高度にプログラム可能で多機能のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)302(
図3Bを参照のこと)システムを備え得る。いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックコントローラ302は、Prefaceによって提供され得る。いくつかの実施形態では、PLC302システムは、スクリーン202に接続されてもよく、PLC302システムは、ヘルスケア専門家、対象閲覧スクリーン(subject viewing screen)、ならびにサービスおよびメンテナンス診断、ならびにデータ収集のための別個のユーザインターフェースを表示するように設計されている。いくつかの実施形態では、スクリーン202は、冷却剤の温度、バッテリのレベル、冷却剤のレベル、および流量などの情報を表示することができる。いくつかの実施形態では、凍結圧迫システム200は、世界中のユーザにとっての最適なユーザエクスペリエンスのためにプログラム可能であり得る。いくつかの実施形態では、PLC302上に実装されるソフトウェアは、ラダーロジック(ladder logic)と呼ばれるグラフィカルプログラミング言語を使用することができるが、他のグラフィカルプログラミング言語を利用することもできる。いくつかの実施形態では、凍結圧迫システム200は、ユーザがPLC302のための情報、データ、または命令を入力できるようにする入力デバイスを備え得る。好ましくは、スクリーン202は、スクリーン202が入力デバイスでもあるようなタッチスクリーンであってもよい。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態によれば、凍結圧迫システム200は、複数のポート204を備え得る。いくつかの実施形態では、ポート204は、凍結圧迫システム200に電力を供給するように外部電源から電力を受け取るように構成することができる。他の実施形態では、凍結圧迫システム200は、外部トランス(transformer)(低電圧システム)を備えた再充電可能なポータブル内蔵バッテリ電源を備え得る。いくつかの実施形態では、ポート204は、対象の1つまたは複数の四肢の周りに固定または巻き付けられる1つまたは複数の外部四肢冷却アクセサリ304に接続するように構成されたアクセサリポート(accessory port)であってもよい(
図3Aおよび3Bを参照のこと)。いくつかの実施形態では、凍結圧迫システム200は、化学療法の注入を妨げないように独立した四肢の制御可能な空気間欠圧迫技術(air intermittent compressive technology)と、二重の四肢冷却のための2つのアクセサリポートとを備え得る。いくつかの実施形態では、凍結圧迫システム200は、対象の両腕または二本脚のいずれかで四肢の冷却を実行するために使用されてもよく、上肢または下肢の間の選択を可能にする統合(integrated)プログラミングを含んでもよい。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態によれば、凍結圧迫システム200は、単一の持ち運び用ハンドル206を備えて検討および設計された移動型国際標準化機構(ISO)60601のケース内に収容され得る。いくつかの実施形態では、凍結圧迫システム200は、非常に移動可能で軽量であってもよく、好ましくは約10kgの重量で、対象の移動の容易を可能にする。いくつかの実施形態では、凍結圧迫システム200は、約30℃の周囲温度で機能することができる。いくつかの実施形態では、凍結圧迫システム200は、ISO13485の設計考慮事項(design considerations)に沿って設計され得る。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態によれば、凍結圧迫システム200は、空気が凍結圧迫システム200に出入りできるようにする1つまたは複数のベント(vent)208を備え得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のベント208は、凍結圧迫システム200が過熱するのを防ぐために、高温空気(hot air)が凍結圧迫システム200の外に出ることを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のベント208は、凍結圧迫システム200を冷却するために、低温空気が凍結圧迫システム200に入ることを可能にするように構成され得る。
【0029】
図3Aおよび3Bを参照すると、これらは、本開示の実施形態による、凍結圧迫システム200のコンポーネントの概略図である。いくつかの実施形態によれば、凍結圧迫システム200は、3つの回路:空気回路300、液体回路400、および冷却回路500を備え得る。いくつかの実施形態によれば、プログラマブルロジックコントローラ302は、電源303を制御し、1つまたは複数の凍結圧迫コンポーネント304またはアクセサリ304によって凍結圧迫を行うために空気回路300、液体回路400、および冷却回路500内のコンポーネントに電力を供給することができる(
図3Bを参照のこと)。いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックコントローラ302は、現在のバッテリレベル307に関する入力を受信することができる。好ましくは、凍結圧迫システム200は、プログラマブルロジックコントローラ302が、バッテリレベル307が特定のパーセンテージ未満であるという入力を受信すると、オペレータに警告するための可聴表示(audible indication)を生成するスピーカを備え得る。いくつかの実施形態では、バッテリレベルが40%を下回るとビープ音が生成され得、バッテリレベルが20%を下回ると連続音が生成される。いくつかの実施形態では、凍結圧迫コンポーネント304は、空気キャビティおよび液体キャビティを備えてもよく、液体キャビティは対象の皮膚の近位に配置され、空気キャビティは液体キャビティの上に配置される。凍結圧迫コンポーネント304の液体キャビティは、液体回路400から冷却剤を受け取る。凍結圧迫は、空気回路300を介して、冷却剤を含有する液体キャビティの上の空気キャビティに空気を導入することによって実行され、それによって液体キャビティを対象の皮膚に押し付ける。いくつかの実施形態では、使用される冷却剤は、pH緩衝剤(buffer)を含む有機塩ベースの凍結抑制剤(freeze depressant)であってもよい。冷却剤は、6~24℃のいずれかの温度であってもよい。好ましくは、冷却剤は、四肢凍結圧迫中に凍結圧迫システム200と凍結圧迫コンポーネント304内およびそれらの間で円滑な流れを可能にするために20℃で1.0~1.1kg
*m
2の密度を有してもよい。いくつかの実施形態では、冷却剤は、ギ酸カリウム(CAS番号:590-29-4)(20~40%)、リン酸二カリウム(CAS番号:7758-11-4)(0.5~5%)および脱イオン水(CAS番号:7732-18-5)(50~70%)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、凍結圧迫コンポーネント304は、プログラマブルロジックコントローラ302に接続された1つまたは複数の圧力センサ(図示せず)をさらに備えることができ、この圧力センサは、対象の四肢に加えられる圧力の量に関する情報を提供する。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態によれば、冷凍圧迫システム200は、対象の四肢の圧迫および冷却のために、1つまたは複数の凍結圧迫コンポーネント304またはアクセサリ304に接続され得る。好ましくは、凍結圧迫システム200は、対象の両腕または両脚を同時に圧迫および冷却するために、2つの凍結圧迫コンポーネント304に接続される。凍結圧迫コンポーネント304は、圧縮器508から対象の四肢に装着または配置される凍結圧迫コンポーネント304への冷却剤の圧縮および移送を提供することができる、冷却ミトン(cooling mitten)、グローブ、カバー、または他の要素を備え得る。いくつかの実施形態では、凍結圧迫コンポーネント304は、対象の四肢に配置されなくても、または対象の四肢に配置された後に、作動および操作することができる。いくつかの実施形態では、凍結圧迫コンポーネント304は、美容上の利点などの非医療上の利点のために他のユーザに適用することもできる。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態によれば、空気回路300は、1つまたは複数の凍結圧迫コンポーネント304によって加えられる圧力を決定するために、1つまたは複数の凍結圧迫コンポーネント304への空気の流れを制御することができる。凍結圧迫システム200の空気回路300は、1つまたは複数の空気ポンプ308、1つまたは複数のソレノイドバルブ310(または空気圧バルブ310)、および1つまたは複数の圧力スイッチ312を備え得る。プログラマブルロジックコントローラ302は、1つまたは複数のソレノイドバルブ310(または空気圧バルブ310)、1つまたは複数の圧力スイッチ312、および1つまたは複数の空気ポンプ308に電子的に接続され得る。
【0032】
本開示のいくつかの実施形態によれば、空気ポンプ308、ソレノイドバルブ310、および圧力スイッチ312は、凍結圧迫コンポーネント304に接続された空気チャネル(air channel)314に接続され得る。空気ポンプ308は、空気を空気チャネル314および凍結圧迫コンポーネント304に圧送することができるので、凍結圧迫コンポーネント304の空気キャビティ内の空気の量が増加し、その結果、凍結圧迫コンポーネント304によって対象に加えられる圧力が増加する。ソレノイドバルブ310は、空気チャネル314および凍結圧迫コンポーネント304から空気を放出することができるので、凍結圧迫コンポーネント304の空気キャビティ内の空気の量を減少させ、その結果、凍結圧迫コンポーネント304によって対象に加えられる圧力を減少させる。圧力スイッチ312は、空気チャネル314および凍結圧迫コンポーネント304内の圧力を感知することができ、空気チャネル314および凍結圧迫コンポーネント304から空気を放出することができ、空気チャネル314および凍結圧迫コンポーネント304内の空気の量および空気圧を減少させることができるので、凍結圧迫コンポーネント304によって加えられる圧力を減少させる。好ましくは、圧力スイッチ312は機械的であるが、いくつかの実施形態では、圧力スイッチ312は電子的であってもよい。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態によれば、液体回路400は、1つまたは複数の凍結圧迫コンポーネント304の中および外へ冷却剤の流れを制御することができる。凍結圧迫システム200の液体回路400は、液体ポンプ402、1つまたは複数のタービン404(または流量計)およびタンク406を備え得る。いくつかの実施形態では、タンク406は、レベルセンサ410、温度センサ412、および蒸発器506を備え得る。いくつかの実施形態では、タンク406は、必要に応じてより多くの冷却剤をタンク406に充填するためのバルブを備えた開口部を備えるフィラー(filler)407、および余分な冷却剤または液体を除去するためのドレーナ(drainer)409をさらに備え得る。プログラマブルロジックコントローラ302は、液体ポンプ402、1つまたは複数のタービン404(または流量計404)、ならびにレベルセンサ410および温度センサ412を備える、タンク406内のコンポーネントに電子的に接続され得る。レベルセンサ410は、現在の冷却剤レベルに関してプログラマブルロジックコントローラ302にデータを提供し、冷却剤のレベルが十分であるかどうか、または冷却剤のレベルが低いかどうかをプログラマブルロジックコントローラ302に通知する。次に、プログラマブルロジックコントローラ302は、スクリーン202上に冷却剤のレベルに関する情報を表示することができる。1つまたは複数のタービン404(または流量計404)は、冷却剤が流れているというデータおよび冷却剤の流量をプログラマブルロジックコントローラ302に提供する。次に、プログラマブルロジックコントローラ302は、スクリーン202上に流量に関する情報を表示することができる。温度センサ412は、冷却剤の現在の温度に関するデータをプログラマブルロジックコントローラ302に提供することができる。プログラマブルロジックコントローラ302は、スクリーン202上に表示される温度読み取り(temperature readout)414を生成することができる。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態によれば、タンク406内の冷却剤は冷却され、液体ポンプ402に送達され得る。液体ポンプ402からの冷却剤は、タービン404(または流量計404)を通して1つまたは複数の凍結圧迫コンポーネント304に圧送することができ、少量の冷却剤はオーバーフローチャネル(overflow channel)408を通ってタンク406に送り返され、冷却剤の流れのショート回路を形成する。いくつかの実施形態では、オーバーフローチャネル408は、凍結圧迫コンポーネント304が、冷却剤の撹拌を可能にするために切断され、凍結または局所的な冷却スポット(local cold spot)を防止している場合でも、液体ポンプ402とタンク406との間の冷却剤の連続的な流れを可能にすることができ、冷却剤回路全体にわたって均一な温度を維持する。凍結圧迫コンポーネント304に圧送される冷却剤は、1つまたは複数の凍結圧迫コンポーネント304の液体キャビティを通って循環し、1つまたは複数の凍結圧迫コンポーネント304を出てタンク406に入る。
【0035】
本開示のいくつかの実施形態によれば、冷却回路500は、タンク406内の冷却剤を冷却することができる。冷却回路500は、タンク406内の蒸発器506、圧縮器(compressor)508、凝縮器(condenser)510、乾燥器(dryer)502、および毛細管(capillary)504を備え得る。いくつかの実施形態では、冷却回路500は、圧縮器508、凝縮器510、乾燥器502、毛細管504から、タンク406内の蒸発器506を通して冷媒(refrigerant)を循環させ、周期的に圧縮器508に戻すことができる。いくつかの実施形態では、圧縮器508は、冷媒ガスの圧力および温度を上昇させることによって冷媒ガスを圧縮する。圧縮器508によって利用されるパルス幅変調は、冷却剤の温度およびオペレータ設定温度に基づくことができる。高温の加圧冷媒ガスは、排出ライン(discharge line)516を通って凝縮器510に送られ得、次いで乾燥器502を通過して水を除去した後に、高温の加圧冷媒ガスが膨張して減圧される毛細管504に送られ得る。いくつかの実施形態では、空気が、冷却回路500を冷却するために凍結圧迫システム200の外部から凝縮器510上に吹き込まれ得る。いくつかの実施形態では、空気は、冷却回路500から熱を除去するために凍結圧迫システム200から押し出され得る。いくつかの実施形態では、空気は、ベント208を通して凍結圧迫システム200に導入され得るか、または凍結圧迫システム200から除去され得る。いくつかの実施形態では、次いで冷媒は蒸発器506に送られ、そこで沸騰して蒸発し(vaporised)、したがって冷媒の温度を氷点下まで下げることができる。次いで蒸発した冷媒は、吸引ライン514を介して圧縮器508に吸い戻され得、それ自体でサイクルが繰り返される。
【0036】
ここで、本開示の実施形態による、凍結圧迫システム200によって凍結圧迫コンポーネント304の凍結圧迫プロセスを制御する方法600を示す概略フローチャートである
図4を参照する。凍結圧迫プロセスを制御する方法600は、凍結圧迫システム200の異なるコンポーネントを制御する、凍結圧迫システム200内のプログラマブルロジックコントローラ302によって実装され得る。好ましくは、凍結圧迫システム200は、低電圧24V DC電力によって電力を供給されるが、他の適切な電源が使用されてもよい。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態によれば、凍結圧迫プロセスを制御する方法600は、凍結圧迫システム200がオンにされ、凍結圧迫コンポーネント304がオンにされる操作602から開始し、その後、凍結圧迫システム200は冷却剤を冷却し、操作604において凍結圧迫コンポーネント304内を循環する冷却剤の温度を読み取る。凍結圧迫システム200は、操作606において、冷却剤の温度がオペレータによって設定された温度よりも低いかどうかを自動的に判定することができる。好ましくは、オペレータは、低、中、および高の3つの冷却モードから選択することができる。好ましくは、低冷却モードの設定温度は、6~12℃、理想的には10℃である。好ましくは、中冷却モードの設定温度は、13~17℃、理想的には15℃である。好ましくは、高冷却モードの設定温度は、18~24℃、理想的には20℃である。冷却剤の温度がオペレータによって設定された温度よりも低い場合、凍結圧迫システム200は、操作610において、対象の腕にカニューレ(cannulated)が挿入されているかどうか、そうである場合、どの腕にカニューレが挿入されているかをオペレータに示すことができる。冷却剤の温度がオペレータによって設定された温度よりも低くない場合、凍結圧迫システム200は、操作604を再度実行して冷却剤の温度を読み取る前に、操作608において0.1秒の遅延を実行することができる。
【0038】
本開示のいくつかの実施形態によれば、オペレータが、操作610において対象の腕にカニューレが挿入されているかどうかを示した後、凍結圧迫システム200は、カニューレが挿入された対象の腕の凍結圧迫コンポーネント304の空気圧をオフにし、操作612においてカニューレが挿入されていない腕に対して凍結圧迫コンポーネント304における圧力の適用を開始することができる。好ましくは、圧迫コンポーネントにおける圧力は、周期的に加えられる。好ましくは、圧力は、30秒~50秒の所定の圧迫時間、および10秒~30秒の所定の減圧時間で、理想的には50秒の所定の圧迫時間、および10秒の所定の減圧時間で、1分の所定のサイクルで加えられる。凍結圧迫システム200はまた、操作612において凍結圧迫コンポーネント304への冷却剤の循環を開始することができる。好ましくは、冷却剤は、25~45ml/秒、理想的には35~40ml/秒の流量で、1つまたは複数の凍結圧迫コンポーネント304に循環される。
【0039】
本開示のいくつかの実施形態によれば、プログラマブルロジックコントローラ302は、操作614において凍結圧迫コンポーネント304内の周期的な圧力の適用を開始する。操作614において、プログラマブルロジックコントローラ302は、減圧し、凍結圧迫コンポーネント304から空気を放出するためにソレノイドバルブ310を開き、空気ポンプ308をオフにし、圧力スイッチ312を非アクティブ(inactivates)にする。次に凍結圧迫システム200は、タイマーを0秒にリセットし、タイマーを0秒に設定することによって操作618においてタイマーを開始する前に、操作616において所定の減圧時間によって決定される時間遅延を実行する。操作618においてタイマーが0秒に設定されると、プログラマブルロジックコントローラ302はソレノイドバルブ310を閉じ、操作620において空気を凍結圧迫コンポーネント304に導入するために空気ポンプ308をオンにする。圧力スイッチ312は非アクティブのままである。操作622において所定の圧迫時間に達したことをタイマーが判定すると、プログラマブルロジックコントローラ302は、加圧サイクルを繰り返すために再び操作614を実行する。所定の圧迫時間に達していない場合、プログラマブルロジックコントローラ302は、凍結圧迫コンポーネント304内の空気圧を測定する操作624を実行する。凍結圧迫コンポーネント304内の空気圧が設定圧力未満である場合、プログラマブルロジックコントローラ302は、より多くの空気を凍結圧迫コンポーネント304に導入し、それによって凍結圧迫コンポーネント304内の空気圧を上昇させるために操作620を継続する。凍結圧迫コンポーネント304内の空気圧が設定圧力よりも低くない場合、プログラマブルロジックコントローラ302は、圧力スイッチ312を閉じ、空気ポンプ308をオフにすることによって空気圧を維持するために操作626を実行する。ソレノイドバルブ310は閉じたままである。圧力スイッチ312は、空気圧が設定圧力を超えると空気を放出する。好ましくは、設定圧力は、5~150mmHg(0.09~3PSI)であり、理想的には15mmHg(0.3PSI)である。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態によれば、操作626が実行された後、プログラマブルロジックコントローラ302は、操作628において凍結圧迫コンポーネント304内の空気圧をモニタリングし続ける。凍結圧迫コンポーネント304内の空気圧が設定圧力未満である場合、プログラマブルロジックコントローラ302は、空気圧を設定圧力まで上昇させるために操作620を継続する。凍結圧迫コンポーネント304内の空気圧が設定圧力を下回らない場合、プログラマブルロジックコントローラ302は操作630を実行し、タイマーが所定の圧迫時間に達したと判定するまで待機する。操作630においてタイマーが所定の圧迫時間に達したと判定すると、プログラマブルロジックコントローラ302は、オペレータが設定した治療継続時間に達したかどうかを判定するために操作632を実行する。好ましくは、オペレータが設定する治療時間は、2時間~5時間であり、理想的には3時間である。オペレータが設定した治療時間に達していない場合、プログラマブルロジックコントローラ302は、加圧サイクルを繰り返すために操作614を再度実行する。オペレータが設定した治療時間に達した場合、プログラマブルロジックコントローラ302は、凍結圧迫プロセス600が停止する操作634を実行する。
【0041】
異なる実施形態が本明細書で開示される。特定の実施形態の特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができ、したがって、特定の実施形態は、複数の実施形態の特徴の組み合わせであってもよい。本発明の実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的のために提示されている。包括的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することは意図されていない。上記の教示に照らして、多くの修正、変形、置換、変更、および等価物が可能であることを当業者は理解すべきである。したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の精神に含まれる全てのこのような修正および変更をカバーすることを意図していることを理解されたい。
【0042】
開示された主題の特定の実施形態が例示および説明されてきたが、本開示が本明細書に記載された実施形態に限定されないことは明らかであろう。多数の修正、変更、変形、置換、および均等物は除外されない。
【国際調査報告】