(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】空間を暖めるための移動式装置
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
F24F5/00 101B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525608
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 IT2021050356
(87)【国際公開番号】W WO2022091162
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】102020000025504
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512129996
【氏名又は名称】デロンギ アップリアンチェース エッセエレエッレ コン ウーニコ ソーチオ
【氏名又は名称原語表記】DE’LONGHI APPLIANCES SRL CON UNICO SOCIO
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】トッフォロ、ラッファエーレ
(72)【発明者】
【氏名】ストルティ、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】トレヴィジオール、ジャコモ
(57)【要約】
空間を暖めるための移動式装置は、加熱された熱伝達流体が流れる1つまたは複数の放射要素(12a、12b)が設けられた加熱電池(11a、11b)を備えており、加熱電池(11a、11b)は、その機能を調整および制御するように構成された制御パネル(13a、13b)に関連付けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を暖めるための移動式装置(10a、10b)であって、
加熱された熱伝達流体が流れる1つまたは複数の放射要素(12a、12b)が設けられた加熱電池(11a、11b)を備えており、加熱電池(11a、11b)は、その機能を調整および制御するように構成された制御パネル(13a、13b)に関連付けられている、移動式装置(10a、10b)において、
移動式装置(10a、10b)は、加熱電池(11a、11b)と制御パネル(13a、13b)との間に配置されるとともに、加熱電池(11a、11b)の周囲空間との熱交換を増加させ、かつ、制御パネル(13a、13b)との熱交換を減少させるように構成された熱保護アセンブリ(14a、14b)を備えており、
加熱電池(11a、11b)は、制御パネル(13a、13b)に面し、かつ、移動式装置を囲む空間と接触する少なくとも1つの自由表面(15a、15b)を有しており、
熱保護アセンブリ(14a、14b)は、加熱電池(11a、11b)と制御パネル(13a、13b)との間に配置されるとともに、加熱電池(11a、11b)と制御パネル(13a、13b)との相互間の距離により形成される少なくとも1つの熱交換領域(19、22、23)を有していることを特徴とする、空間を加熱するための移動式装置(10a、10b)。
【請求項2】
前記制御パネル(13a、13b)が、該制御パネル(13a、13b)を前記加熱電池(11a、11b)から離し、かつ、前記熱交換領域(19、22、23)を少なくとも部分的に形成する支持体(20、24)に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項3】
前記熱保護アセンブリ(13a)が、前記加熱電池(11a)と前記制御パネル(13a)との間に配置された少なくとも1つの遮蔽要素(17a)を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項4】
前記遮蔽要素(17a)と前記加熱電池(11a)との間には、自然対流によって空気がその内部を流れるように構成された少なくとも1つの実質的に垂直なダクト(18)が配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項5】
前記遮蔽要素(17a)と前記加熱電池(11a)との間には、絶縁材料で作られた少なくとも1つの要素が配置されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項6】
前記ダクト(18)が金属材料で作られていることを特徴とする、請求項4または5に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項7】
前記遮蔽要素(17a)が、プラスチック材料または金属材料あるいはこれら両方の材料で作られていることを特徴とする、請求項3~6のいずれか一項に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項8】
前記遮蔽要素(17a)が、移動式装置の外側に向いた凹面を有することを特徴とする、請求項3~7のいずれか一項に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項9】
少なくとも1つの熱交換領域(19)が、前記遮蔽要素(17a)と前記加熱電池(11a)の自由表面(15a)との間に形成されるとともに、移動式装置の内側から外側に広がる形状を有していることを特徴とする、請求項3~8のいずれか一項に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項10】
第2の熱交換領域(23)が、前記遮蔽要素(17a)と前記制御パネル(13a)との間に形成されていることを特徴とする、請求項3~9のいずれか一項に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項11】
前記第1の熱交換領域(19)が、自然対流による熱交換を可能にするように構成されていることを特徴とする、請求項9に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項12】
前記第2の熱交換領域(23)が、自然対流による熱交換を可能にするように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項13】
前記第1の熱交換領域(19)または前記第2の熱交換領域(23)あるいはこれら両方の領域には、絶縁材料から作られた少なくとも1つの要素が配置されていることを特徴とする、請求項9および/または10に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項14】
前記熱保護アセンブリ(14a)が、移動式装置の中央長手方向軸(A)に対して鏡面反射をなす2つの第1の熱交換領域(19)を有していることを特徴とする、請求項9に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項15】
前記熱保護アセンブリ(14a)が、移動式装置の中央長手方向軸(A)に対して鏡面反射をなす2つの第2の熱交換領域(23)を有していることを特徴とする、請求項10に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項16】
前記熱保護アセンブリ(14b)が、前記加熱電池(11b)と前記支持体(20)との間に配置された少なくとも1つの金属箱状要素(21)を備えており、前記金属箱状要素(21)の周りに前記熱交換領域(22)が少なくとも部分的に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項17】
前記熱交換領域(22)が、自然対流による熱交換を可能にするように構成されていることを特徴とする、請求項16に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項18】
前記熱交換領域(22)において、絶縁材料で作られた少なくとも1つの要素が配置されていることを特徴とする、請求項16に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項19】
前記金属箱状要素(21)が、前記加熱電池(11b)に組み込まれていることを特徴とする、請求項16に記載の移動式装置(10a、10b)。
【請求項20】
前記金属箱状要素(21)が、前記加熱電池(11b)の両端に設けられていることを特徴とする、請求項16に記載の移動式装置(10a、10b)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝達流体が流れる加熱電池(heating battery)を画定する1つまたは複数の放射要素を備える、空間を暖めるための移動式装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動式暖房装置が知られており、例えば、上部および下部集熱器によって、互いに接続され、かつ、流体連通する1つまたは複数の放射要素からなる熱放射器などがある。
1つまたは複数の電気抵抗によって加熱された透熱性油(diathermic oil)は、放射要素内を流れ、集熱器(collector)を通って、1つの放射要素から別の放射要素へと流れる。電気抵抗は、通常、油浴に浸漬されて、移動式暖房装置の下部に配置される。
【0003】
したがって、1つまたは複数の放射要素は、通常は制御パネルに関連付けられた加熱電池を画定し、制御パネルによって、使用者は暖房装置のオン/オフを切り替えることができ、制御パネルには、例えば、所望の温度を選択するためのノブを設けることができる。ノブは、暖房装置用のオン/オフサーモスタット、温度を見るための適切なディスプレイ、および/または他の電気もしくは電子部品に関連付けることができる。
【0004】
制御パネルおよび加熱電池は、実質的に相反する要件を有する。加熱電池は、空間において均一で長く持続する熱を保証する必要があるが、一方、制御パネルは、電気または電子部品などの構成要素の有効性および正しい機能性を保証するために、できるだけ低温に保つ必要がある。
【0005】
制御パネルが過度に加熱されると、内蔵する部品の機能に悪影響を及ぼすだけでなく、パネルの表面が過度に高温になるため、使用者にとっても危険な状態となる。
さらに、制御パネル自体は、通常、プラスチック製であり、耐熱性を満足できるものの中から選択する必要があるため、移動式加熱装置の構造上、コストの増加につながる。また、制御パネル内に収容される電気部品および/または電子部品には、高温に耐えられるものが必要なため、その品質もコストの増加につながる。
【0006】
したがって、制御パネルに使用されるプラスチック材料は、現在ではかなり限られており、また、より魅力的な人間工学的または審美的な形態などを与える可能性も制限されている。
【0007】
上述の問題を有するいくつかの既知の移動式暖房装置は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4に記載されている。これらの移動式装置では、特に、制御パネルは、加熱電池に隣接または近接しているため、加熱電池の存在によって悪影響を受けることがあり、過熱する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2008/086652号
【特許文献2】米国特許第4493974号明細書
【特許文献3】米国特許第5966498号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2018/372340号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、最新技術の欠点のうちの少なくとも1つを克服することができる、空間を暖めるための移動式装置を完成させる必要がある。
特に、本発明の1つの目的は、加熱電池が発する熱が制御パネルに大きな影響を与えないように、加熱電池と制御パネルとを組み合わせることができる、すなわち、制御パネルを、今日知られている移動式暖房装置で生じるよりも低温に保つことができる、空間を暖めるための移動式装置を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、制御パネルの表面を低温に保つことができ、使用者に対する安全性を高めることができるとともに、制御パネル内に収容された電気および/または電子部品を低温に保つことができ、その効率と耐用期間(duration)を高めることができる、空間を暖めるための移動式装置を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、とりわけ、制御パネルの材料が、例えば、熱抵抗の特定の特性を持たないプラスチック材料であり、加えて、電気および/または電子部品も熱抵抗の特性を持つ必要がないため、経済的に製造できる、空間を暖めるための移動式装置を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、その構造、特に制御パネルの構造のために、当技術分野で知られている移動式暖房装置で使用することができるものと比較して、より広い範囲の材料を使用することができる、空間を暖めるための移動式装置を提供することである。
【0013】
本出願人は、従来技術の欠点を克服し、これらおよび他の目的ならびに利点を得るために、本発明を考案し、試験し、かつ具現化した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、独立請求項に記載されるとともに特徴付けられる。従属請求項は、本発明の他の特徴または主な発明の概念の変形例を説明する。
上記の目的によれば、本発明による空間を暖めるための移動式装置は、加熱された熱伝達流体が流れる1つまたは複数の放射要素が設けられた加熱電池を備えており、加熱電池は、その機能を調整および制御するように構成された制御パネルに関連付けられている。
【0015】
本発明の一態様によれば、移動式装置は、加熱電池と制御パネルとの間に配置されるとともに、周囲空間との加熱電池の熱交換の増加と、制御パネルとの熱交換の減少とを可能にするように構成された熱保護アセンブリを備えている。加熱電池は、制御パネルに面するとともに、移動式装置を囲む空間と接触する少なくとも1つの自由表面を有する。したがって、自由表面は自然対流によって空冷される。熱保護アセンブリはまた、加熱電池と制御パネルとの間に配置されるとともに、加熱電池と制御パネルとの相互間の距離(reciprocal distancing)によって形成される少なくとも1つの熱交換領域を有する。
【0016】
有利には、特に熱保護アセンブリを備えることにより、空間を暖めるための本発明の移動式装置は、加熱電池によって放出される熱が制御パネルに大きく影響しないように、加熱電池と制御パネルを組み合わせることができ、すなわち、知られている移動式暖房装置よりも制御パネルを低温に保つことができる。
【0017】
したがって、本発明の空間を暖めるための移動式装置は、制御パネルの表面を低温に保つことができ、その結果、使用者の安全性が向上するとともに、制御パネルの内部に収容された、または制御パネルに関連付けられた電気および/または電子部品を低温に保つことができ、よって、その効率および耐用期間を向上させる。
【0018】
本発明の空間を暖めるための移動式装置は経済的に製造でき、制御パネルの材料は、電気部品および/または電子部品の場合と同様に、例えば、より低い熱抵抗特性を有するプラスチック材料であってもよく、電気部品および/または電子部品もより低い熱抵抗特性を有している。
【0019】
さらに、本発明の移動式装置を製造するために、特に制御パネルを製造するために、当技術分野で知られている移動式暖房装置で使用することができるものよりも広い範囲の材料を使用することが可能である。
【0020】
さらに、本解決策により、局所的な暖房効果が低減されるので、より高い精度で周囲温度を検出することができる。
制御パネルは、支持体に配置することもでき、支持体は、制御パネルを加熱電池から離間させ、少なくとも部分的に熱交換領域を形成することを可能にする。
【0021】
いくつかの実施形態では、熱保護アセンブリは、加熱電池と制御パネルとの間に配置された少なくとも1つの遮蔽要素を備えることができる。
遮蔽要素と加熱電池との間には、自然対流によって空気が流れる少なくとも1つの実質的に垂直なダクトを配置することができる。このダクトは金属材料で作ることができる。
【0022】
遮蔽要素と加熱電池との間に、絶縁材料(insulating material)からなる少なくとも1つの要素を配置することができる。
遮蔽要素は、プラスチック材料および/または金属材料から作ることができる。
【0023】
遮蔽要素は、移動式装置の外側に向いた凹面を有することができる。
遮蔽要素と加熱電池の自由表面との間に、移動式装置の内側から外側に向かって広がる(diverging)形状を有する、少なくとも第1の熱交換領域を形成することができる。
【0024】
第1の熱交換領域は、熱交換が自然対流によって生じる領域であってもよい。
第1の熱交換領域には、絶縁材料で作られた少なくとも1つの要素を配置することができる。
【0025】
遮蔽要素と制御パネルとの間に、少なくとも第2の熱交換領域を形成することもできる。
第2の熱交換領域は、熱交換が自然対流によって生じる領域であってもよい。
【0026】
第2の熱交換領域には、絶縁材料で作られた少なくとも1つの要素を配置することができる。
熱保護アセンブリは、移動式装置の中央長手方向軸に対して鏡面反射(specular)をなす2つの第1の熱交換領域を有することができる。
【0027】
熱保護アセンブリは、移動式装置の中央長手方向軸に対して鏡面反射をなす2つの第2の熱交換領域を有することができる。
さらに、熱保護アセンブリは、加熱電池と制御パネルの支持体との間に配置された少なくとも1つの金属箱状の要素を備えることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、金属箱状の要素は、加熱電池に組み込まれてもよい。
さらに、金属箱状の要素は、加熱電池の両端に設けることができる。
本発明のこれらおよび他の態様、特徴ならびに利点は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられた、いくつかの実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1の実施形態による空間を暖めるための移動式装置の立体図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による空間を暖めるための移動式装置の立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
理解を容易にするため、可能な場合、図面中の同一の共通要素を特定するために同じ参照番号が使用される。一実施形態の要素および特徴は、さらなる説明なしに他の実施形態と都合よく組み合わせるか、または組み込むことができる。
【0031】
ここで、本発明の可能な実施形態を詳細に参照するが、その1つまたは複数の例が、非限定的な例示として添付の図面に示されている。また、ここで使用する表現および用語もまた、非限定的な例を提供するためのものである。
【0032】
添付図面、特にその
図1および
図2を参照すると、空間を暖めるための移動式装置10aは、加熱された熱伝達流体が流れる1つまたは複数の放射要素12aが設けられた加熱電池11aを備えており、加熱電池11aは、その機能を調整および制御するように構成された制御パネル13aに関連付けられている。
【0033】
本発明によれば、移動式装置10aは、加熱電池11aと制御パネル13aとの間に配置されるとともに、加熱電池11aの周囲空間との熱交換の増加および制御パネル13aとの熱交換の減少を可能にするように構成された熱保護アセンブリ14aを備えている。
【0034】
加熱電池11aは、制御パネル13aに面し、かつ、移動式装置10aを囲む空間と接触する少なくとも1つの自由表面15aを有しており、したがって、自由表面15aは自然対流によって空冷される。
【0035】
熱保護アセンブリ14aは、加熱電池11aと制御パネル13aとの間に配置されるとともに、加熱電池11aと制御パネル13aとの相互間の距離によって形成される、少なくとも1つの熱交換領域(
図2の領域19および/または23を参照)を備えている。
【0036】
この熱交換領域により、加熱電池11aによって生じた熱は外部空間に放散され、ユニットから適当に離れた制御パネル13aは、加熱電池11aによって生じた熱によって影響を受けないか、またはほとんど影響を受けない。
【0037】
制御パネル13aは支持体24に配置されており、支持体24は、制御パネル13aを加熱電池13から離間させるとともに、熱交換領域19および/または熱交換領域23を少なくとも部分的に形成することができる。支持体24は、例えば箱状の要素とすることができ、移動式装置10aの高さの全体または一部にわたって延在することもできる。
【0038】
加熱電池の自由表面15aは、例えば、実質的に垂直な表面であってもよく、制御パネル13aに対して実質的に平行である。
制御パネル13aは、加熱電池11aの機能を調整および制御するための一連の電気部品および/または電子部品を備える。これらの部品は、制御パネル13a上に設けられた、移動式装置10aの機能を調整するためのノブ16と関連付けることができる。ノブ16は、例えば、移動式装置10aのオンおよびオフを切り替える、温度を調節する等のために設けることができる。移動式装置10aの温度および/または他の特性を表示するために、制御パネル13a上にディスプレイを設けることもできる。
【0039】
熱保護アセンブリ14aはまた、加熱電池11aと制御パネル13aとの間に配置された少なくとも1つの遮蔽要素17aを備えることができる。遮蔽要素17aは、プラスチック材料および/または金属材料から作られてもよい。
【0040】
支持体24は、制御パネル13aから遮蔽要素17aまで延在する一対の対向壁25を備えることができる。壁25の延在する範囲(extension)は、遮蔽要素17aの制御パネル13aからの距離を実質的に決定する。さらに、遮蔽要素17aは、構造上必要な箇所のみであるが、制御パネル13aへの熱伝導の現象が起こらないように、加熱電池11aに接続することができる。
【0041】
したがって、実質的に、特に
図2を参照すると、遮蔽要素17aと加熱電池11aの自由表面15aとの間に、特に移動式装置10aの内側から外側に広がる形状を有する、少なくとも1つの第1の熱交換領域19を形成することができる。
【0042】
第2の熱交換領域23は、特に支持体24によって、遮蔽要素17aと制御パネル13aとの間に形成することができる。
第1の熱交換領域19は、熱交換が自然対流によって生じる領域であってもよい。したがって、実質的に、遮蔽要素17aと自由表面15aとは空気によって分離される。
【0043】
第2の熱交換領域23は、熱交換が自然対流によって生じる領域であってもよい。したがって、実質的に、遮蔽要素17aと自由表面15aとは空気によって分離される。
第1の熱交換領域19および/または第2の熱交換領域23には、絶縁材料からなる少なくとも1つの要素を設けることができる。
【0044】
好ましくは、遮蔽要素17aの形状も考慮して、移動式装置10aの中央長手方向軸Aに対して鏡面反射をなす2つの第1の熱交換領域19が形成される。
さらに、移動式装置10aの中央長手方向軸Aに対して鏡面反射をなす2つの第2の熱交換領域23を設けることも可能である。
【0045】
遮蔽要素17aによって分離された2つの熱交換領域19、23は、実際には、加熱電池11aによって放出される熱から制御パネル13aを二重に保護することを表している。
【0046】
遮蔽要素17aと加熱電池11aとの間には、空気が自然対流によって流れる少なくとも1つの実質的に垂直なダクト18を配置することもできる。したがって、このダクト18はさらに、制御パネル13aの冷却に役立つ。
【0047】
ダクト18は、任意の内部断面を有するように作製することができ、また、金属材料で作製することができる。遮蔽要素17aは、ダクト18に固定されかつ移動可能に接続される。
【0048】
遮蔽要素17aは、特に
図2を参照すると、実質的にU字形に作ることができ、すなわち、移動式装置10aの外側に向いた凹面を有することができる。このようにして、加熱電池11aの自由表面15aを遮蔽要素17aからさらに離して、加熱電池11aと周囲空気との熱交換をより良好にすることができる。
【0049】
遮蔽要素17aは、放射要素12aの高さに実質的に等しい高さを有することが好ましく、したがって、遮蔽要素17aは、加熱電池11aの高さ全体を覆う。
本発明による移動式装置10bの別の実施形態によれば、特に
図3および
図4を参照すると、熱保護アセンブリ14bは、1つまたは複数の放射要素12bによって形成された加熱電池11bと、制御パネル13bとの間に配置される。熱保護アセンブリ14bは、加熱電池11bの周囲空間との熱交換の増加と、制御パネル13bとの熱交換の減少とを可能にするように構成される。
【0050】
加熱電池11bは、制御パネル13bに面するとともに、移動式装置10bを囲む空間と接触する少なくとも1つの自由表面15bを有しており、したがって、自由表面15bは自然対流によって空冷される。
【0051】
熱保護アセンブリ14bは、加熱電池11bと制御パネル13bとの間に配置されるとともに、加熱電池11bと制御パネル13bとの相互間の距離により形成される少なくとも1つの熱交換領域22を有する。
【0052】
加熱電池の自由表面15aは、例えば、実質的に垂直な表面であってもよく、制御パネル13aに対して実質的に平行である。
熱保護アセンブリ14bは、制御パネル13bが配置される支持体20を備えていてもよく、支持体20は、加熱電池11bから制御パネル13bを離すように構成されている。熱交換領域22は、支持体20の周りに少なくとも部分的に形成される。
【0053】
支持体20は、箱状の形状を有することができ、移動式装置10bの高さの全体または一部にわたって延在することもできる。支持体20は、制御パネル13bから加熱電池11bまで延在する一対の対向壁26を備えることができる。これらの壁26の延在する範囲は、加熱電池11bからの制御パネル13bの距離を実質的に決定する。支持体20は、ケーブル巻取機の機能を有することもできる。
【0054】
熱保護アセンブリ14bはまた、加熱電池11bと支持体20との間に配置された少なくとも1つの金属箱状要素21を備えることができる。空気は、自然対流によって箱状要素21の内部を流れる。
【0055】
熱交換領域22は、熱交換が自然対流によって生じる領域であってもよい。
このような熱交換領域22には、絶縁材料からなる少なくとも1つの要素を設けることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、金属箱状要素21は、
図4に例として示すように、加熱電池11bの内部に組み込むことができる。金属箱状要素21は、加熱電池11bの外側に配置することもできる。
【0057】
したがって、箱状要素21および支持体20は、実際に、加熱電池11bによって放出される熱から制御パネル13bを保護するための二重保護領域を表す。
図面から分かるように、金属箱状要素21は、加熱電池11bの両端に設けることができる。このようにして、制御パネル13bは、加熱電池11bの一方の側または他方の側に区別なく配置することができる。
【0058】
空間を暖めるための本発明の移動式装置10a、10bは、最終的に、制御パネル13a、13bと加熱電池11a、11bとの間の効果的な熱分離を可能にする。特に、制御パネル13a、13bは、公知の移動式暖房装置よりも、加熱電池11a、11bによって放出される熱の影響を受けにくく、したがって、制御パネルは、公知の移動式暖房装置において現在生じるものよりも実質的に低温に保たれる。
【0059】
これにより、使用者の安全性がより保証されるとともに、制御パネル13a,13bを幅広い材料、例えばプラスチック材料、特に熱抵抗に特定の特性を持たないプラスチック材料で製造できる可能性があるため、経済的である。
【0060】
制御パネルに関連付けられた電気および/または電子部品も高温の影響を受けないため、その効率および耐用期間が高まる。本解決策により、局所的な加熱の影響が軽減されるため、より高い精度で周囲温度を検出することができる。
【0061】
さらに、制御パネル13a、13bが低温に保たれるという事実により、制御パネル13a、13bを、人間工学的かどうかにかかわらず、より魅力的な美的形態を与えることを可能にする材料で製造することも可能である。
【0062】
特許請求の範囲によって定義される本発明の分野および範囲から逸脱することなく、これまでに説明したような空間を暖めるための移動式装置に修正および/または部品の追加を行うことができることは明らかである。
【0063】
以下の特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、読みやすくするためのものであり、特定の特許請求の範囲に記載された保護分野に関する限定的な要因と見なされるべきではない。
【国際調査報告】