(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(54)【発明の名称】管状部品用の供給装置
(51)【国際特許分類】
A61M 25/01 20060101AFI20231108BHJP
【FI】
A61M25/01
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526143
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 CN2021124689
(87)【国際公開番号】W WO2022105512
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】22020020148.5
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522501247
【氏名又は名称】普鋭醫療(香港)有限公司
【氏名又は名称原語表記】PRECISION ROBOTICS (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】Suite 611-612, Lakeside 2, HK Science Park, Shatin, N.T. Hong Kong
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リュー ニン
(72)【発明者】
【氏名】ツリス ソティリス
(72)【発明者】
【氏名】クォック シウ ルン アラン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA32
4C267CC19
4C267EE07
4C267EE20
4C267HH14
4C267HH15
4C267HH30
(57)【要約】
本出願は、管状部品用の供給装置に関する。この管状部品用の供給装置は、第1ドライバー(32)及び前記第1ドライバ(32)によって駆動される第1車輪セット(31)と、第2ドライバー(42)及び第2ドライバ(42)によって駆動される第2車輪セット(41)とを備え、前記管状部品(2)は、前記第1車輪セット(31)と前記第2車輪セット(41)との間にクランプされ、前記第1車輪セット(31)と前記第2車輪セット(41)の摩擦作用の下で移動するように駆動されることができ、前記第1車輪セット(31)は、複数の第1駆動輪を有し、前記複数の第1駆動輪の進行方向は互いに平行であり、前記管状部品(2)の被クランプ部の延在方向と角度を形成し、前記角度は鋭角であり、前記第2車輪セット(41)は、進行方向が互いに平行な複数の第2駆動輪を有する、ことを特徴とする管状部品用の供給装置。従来技術と比較して、本出願の技術的解決策は、簡単な構造、低コスト、及び独創的な原理を含み、リジッドな及びフレキシブルな管状部品の両方に適用可能であり、優れた信頼性を保証する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状部品用の供給装置であって、
第1ドライバー(32)及び前記第1ドライバ(32)によって駆動される第1車輪セット(31)と、
第2ドライバー(42)及び前記第2ドライバ(42)によって駆動される第2車輪セット(41)とを備え、
前記管状部品(2)は、前記第1車輪セット(31)と前記第2車輪セット(41)との間にクランプされ、前記第1車輪セット(31)と前記第2車輪セット(41)の摩擦作用の下で移動するように駆動されることができ、
前記第1車輪セット(31)は、複数の第1駆動輪を有し、前記複数の第1駆動輪の進行方向は互いに平行であり、前記管状部品(2)の被クランプ部の延在方向と角度を形成し、前記角度は鋭角であり、
前記第2車輪セット(41)は、進行方向が互いに平行な複数の第2駆動輪を有する、ことを特徴とする管状部品用の供給装置。
【請求項2】
前記角度は、15°~75°の範囲にある、ことを特徴とする請求項1に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項3】
前記第1駆動輪は、前記管状部品(2)の被クランプ部の延在方向に等間隔に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項4】
前記第1駆動輪と前記第2駆動輪の数が等しい、ことを特徴とする請求項請求項1に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項5】
前記第1車輪セット(31)における第1駆動輪は、同じ第1速度で同期して回転し、前記第2車輪セット(41)における第2駆動輪は、同じ第2速度で同期して回転し、前記第1速度は第2速度と等しく、
前記第1駆動輪の軸方向は、前記第2駆動輪の軸方向と一致し、
前記第1駆動輪の回転方向は、前記第2駆動輪の回転方向と同じか又は逆である、ことを特徴とする請求項請求項1に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項6】
前記第1ドライバ(32)は、第1駆動モーター(321)と、前記第1駆動モーター(321)に連結された第1伝達機構(322)とを備え、前記第1駆動輪のそれぞれは、前記第1駆動モーター(321)によって駆動されるように、前記第1伝達機構(322)を介して前記第1駆動モーター(321)と駆動接続される、ことを特徴とする請求項請求項5に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項7】
前記第1伝達機構(322)は、
第1駆動モーター(321)と接続された主伝達ロッド(3221)であって、複数の第1伝達輪(3223)が装着された主伝達ロッド(3221)と、
前記第1駆動輪のそれぞれと同軸に接続された複数の副伝達ロッド(3222)であって、第2駆動輪(3224)が装着された副伝達ロッド(3222)とを備え、
前記第1伝達輪(3223)は、第2伝達輪(3224)に一対一対応で駆動接続される、ことを特徴とする請求項請求項6に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項8】
前記第1伝達輪(3223)と前記第2伝達輪(3224)は両方とも傘歯車であり、それらに垂直な別の傘歯車と噛合し、又は
前記第1伝達輪(3223)と前記第2伝達輪(3224)は両方ともはすば歯車であり、互いに直接噛合する、ことを特徴とする請求項7に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項9】
前記副伝達ロッド(3222)は、互いに着脱可能に接続された第1部分と第2部分を備え、前記第1部分は前記第2伝達輪(3224)と接続され、前記第2部分は前記第1駆動輪と接続され、
前記供給装置は、前記第1部分と前記第2部分との間に配置された静菌膜(5)をさらに備え、前記第2部分は、前記静菌膜(5)を通過して前記第1部分と着脱可能に接続される、ことを特徴とする請求項7に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項10】
前記管状部品(2)を前記第1車輪セット(31)と前記第2車輪セット(41)との間で制限するように、前記管状部品(2)の両側に対をなして配置されたリミット機構(6)をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項11】
前記リミット機構(6)は、
前記管状部品(2)の前記被クランプ部の延在方向に間隔をおいて配置された数対のガイド輪、又は、
前記管状部品(2)の前記被クランプ部に向かって突出する数対の転動ボール、又は
前記管状部品(2)の前記被クランプ部に向かって突出する数対の平滑な面を備える、ことを特徴とする請求項10に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項12】
ハウジング(1)をさらに備え、
前記ハウジング(1)は、
前記第1車輪セット(31)と前記第2車輪セット(41)との間に配置された支持プラットフォーム(11)であって、一方の側のリミット機構(6)が配置された支持プラットフォーム(11)と、
他方の側のリミット機構(6)が配置された可動プラットフォーム(12)であって、前記リミット機構(6)により前記管状部品(2)を前記第1車輪セット(31)と前記第2車輪セット(41)との間で制限するように、前記支持プラットフォーム(11)に対向する位置に前記支持プラットフォーム(11)に対して移動可能な可動プラットフォーム(12)とを備える、ことを特徴とする請求項10に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項13】
前記第1車輪セット(31)が設置される第1ブラケット(13)と、
前記第2車輪セット(41)が設置される第2ブラケット(14)と、
前記第1ブラケット(13)及び前記第2ブラケット(14)の両方が配置されるガイドバー(71)であって、前記第1車輪セット(31)と前記第2車輪セット(41)との間に前記管状部品(2)をクランプするように、前記第2ブラケット(14)は、前記ガイドバー(71)に沿って前記第1ブラケット(13)に向かう方向又は前記第1ブラケット(13)から離れる方向に移動可能なガイドバー(71)とをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項14】
第3駆動モーター(73)と伝達ベルト(72)をさらに備え、
前記ガイドバー(71)は、前記伝達ベルト(72)を介して前記第3駆動モーター(73)と接続された親ねじであり、
前記第3駆動モーター(73)は、前記伝達ベルト(72)を介して前記ガイドバー(71)を駆動して回転させ、前記第2ブラケット(14)が前記ガイドバー(71)に沿って前記第1ブラケット(13)に向かう方向又は前記第1ブラケット(13)から離れる方向に移動可能にする、ことを特徴とする請求項13に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項15】
前記管状部品(2)はフレキシブルなホースである、ことを特徴とする請求項1に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項16】
感知モジュール(8)をさらに備え、
前記感知モジュール(8)は、前記管状部品(2)の隣に配置され、前記管状部品(2)の前記被クランプ部の監視された運動状態情報を外部ホストコンピューターに送信する、ことを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項17】
前記運動状態情報は、挿入深さ、回転角度、並進速度又は回転速度を含む、ことを特徴とする請求項16に記載の管状部品用の供給装置。
【請求項18】
前記感知モジュール(8)、前記第1ドライバー(32)及び前記第2ドライバ(42)とそれぞれ通信する処理モジュールをさらに備え、
前記感知モジュール(8)は、前記管状部品(2)の前記被クランプ部の監視された運動状態情報を前記処理モジュールに送信し、
前記処理モジュールは、前記運動状態情報に応じて駆動補償信号を生成し、前記第1ドライバー(32)及び/又は前記第2ドライバ(42)に送信して、前記管状部品(2)のらせん運動又は歪みを回避する、ことを特徴とする請求項16に記載の管状部品用の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医療装置の技術分野に関し、特に、管状部品用の供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療処置、特に、内視鏡検査、心臓カテーテル検査、及びシングルポート手術などの低侵襲手術では、通常、医師は、病的状態を検査し、又は治療のために組織を操作することができるように、患者体内に管状部品を挿入する必要がある。
【0003】
人体に入る管状部品は、リジッド又はフレキシブルであり得る。人体に介入するプロセスは、人間の手又は機械装置で操作することができる。人間の手による操作では、医師は、一方の手で管状部品の近位ハンドルを持ち、もう一方の手で管状部品の遠位挿入管を持って人体に供給する必要がある。このような操作は、医師に疲れを感じさせやすく、また医師が他の活動のために離れるのを困難にする。したがって、先行技術の介入操作は、通常、組織サンプリングなどの作業を完了するために多くの人の協力を必要とする。
【0004】
機械装置での操作では、リジッドな装置に適した、管状部品をその近位端から押したり回転させたりする手段は、フレキシブルなホースの座屈やねじれにつながりやすいため、フレキシブルな装置には適用できない。先行技術はさらに、外科医の手を模倣して段階的に管状部品を供給するなど、幾つかの他の解決策を提案しているが、複雑なメカニズムはそれを分厚い高価なものにしている。さらに悪いことに、結果として生じる断続的な動きは、遠隔手動操作には直感的ではなく、自動制御に支障をきたす可能性があるため、外科用ロボットには適さない。
【発明の概要】
【0005】
前述の技術的問題を解決又は少なくとも部分的に解決するために、本出願は管状部品用の供給装置を提供する。この供給装置は、第1ドライバー及び第1ドライバーによって駆動される第1車輪セットと、第2ドライバー及び第2ドライバーによって駆動される第2車輪セットとを備え、前記管状部品は、前記第1車輪セットと前記第2車輪セットとの間にクランプされ、前記第1車輪セットと前記第2車輪セットの摩擦作用の下で移動するように駆動されることができ、前記第1車輪セットは、複数の第1駆動輪を有し、前記複数の第1駆動輪の進行方向は互いに平行であり、かつ前記管状部品の被クランプ部の延在方向と角度を形成し、前記角度は鋭角であり、前記第2車輪セットは、複数の第2駆動輪を有し、前記複数の第2駆動輪の進行方向は前記第1車輪セットの進行方向と一致する。好ましくは、上記の管状部品用の供給装置では、前記第1車輪セットにおける第1駆動輪は、同じ第1速度で同期して回転し、前記第2車輪セットにおける第2駆動輪は、同じ第2速度で同期して回転し、前記第1速度は前記第2速度と等しく、前記第1駆動輪の軸方向は、前記第2駆動輪の軸方向と一致し、前記第1駆動輪の回転方向は、前記第2駆動輪の回転方向と同じか又は逆である。
【0006】
第1車輪セットと第2車輪セットが管状部品の被クランプ部の延在方向と同じ角度を形成するように構成し、該角度を鋭角とすることにより、第1車輪セットと第2車輪セットの回転方向が個別に制御される限り、管状部品の前方への移動、後方への移動、時計方向の回転及び反時計方向の回転は簡単に達成することができ、それによって、医療用ロボットが管状部品を人体に挿入するニーズが満たされる。本出願の技術的解決策は、簡単な構造、低コスト、及び独創的な原理を含み、リジッドな及びフレキシブルな管状部品の両方に適用可能であり、優れた信頼性を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本出願の実施形態をより好ましく説明するために、関連する図面を以下に簡単に紹介する。以下に説明する図面は、本出願の幾つかの実施形態を例示するためにのみ使用され、当業者は、これらの図面に基づいて、本明細書で言及されていない多くの他の技術的特徴及び接続関係を得ることができることが理解できる。
【
図2】管状部品用の供給装置の内部構造の概略斜視図である。
【
図3】車輪セットが管状部品を駆動してその軸に沿って移動させるときの管状部品用の供給装置の概略上面図である。
【
図4】車輪セットが管状部品を駆動してその軸に沿って移動させるときの管状部品用の供給装置の概略側面図である。
【
図5】車輪セットが管状部品を駆動して回転させるときの管状部品用の供給装置の概略上面図である。
【
図6】車輪セットが管状部品を駆動して回転させるときの管状部品用の供給装置の概略側面図である。
【
図7】車輪セットが管状部品を駆動して移動させるときの管状部品用の供給装置の概略斜視図である。
【
図8】モーターが各駆動輪に直接接続されているときの管状部品用の供給装置の概略図である。
【
図9】伝達のためにはすば歯車を使用するときの管状部品用の供給装置の第1伝達機構の概略図である。
【
図10】伝達のために傘歯車を使用するときの管状部品用の供給装置の第1伝達機構の概略図である。
【
図11】管状部品用の供給装置のリミット機構とガイドバーの概略斜視図である。
【
図12】管状部品用の供給装置の感知モジュールの配置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本出願を詳細に説明する。
【0009】
本出願は、管状部品用の供給装置を提供する。
図1~12を参照すると、供給装置は、第1ドライバー32及び第1ドライバー32によって駆動される第1車輪セット31と、第2ドライバー42及び第2ドライバー42によって駆動される第2車輪セット41とを備える。第1ドライバー32と第2ドライバー42の両方は、それぞれの車輪セットに直接接続されてもよいか、又は他の構造を介してそれぞれの車輪セットに駆動接続されてもよいモーター又はモーターセットであってもよい。
【0010】
図2と7を参照すると、前記管状部品2は、第1車輪セット31と第2車輪セット41との間にクランプされ、第1車輪セット31と第2車輪セット41の摩擦作用の下で移動するように駆動されることができる。第1車輪セット31は、複数の第1駆動輪を有する。第1駆動輪の進行方向は互いに平行であり、管状部品2の被クランプ部の延在方向と角度を形成し、前記角度は鋭角である。第1駆動輪の数は、少なくとも1つであってもよく、通常は2~6つが好ましい。管状部品は、リジッドな管又はフレキシブルなホースであってもよい。リジッドな管部品が採用されると、管状部品の縦方向が安定し、フレキシブルなホースが採用されると、管状部品の縦方向が必然的にその自重又は外力の影響で曲がる。従って、本出願は、「管状部品の被クランプ部の延在方向」を定義する。管状部品の被クランプ部は、クランプ力の影響下で直線形状を維持する傾向があるので、その延在方向は、前記部分と同一線上の直線方向である。
【0011】
図3を参照すると、第1駆動輪は、管状部品2の被クランプ部の延在方向と角度θを形成する。明らかに、角度θが鋭角である場合、第1駆動輪と管状部品2との間に、前記角度θを補う別の鈍角が存在しなければならない。説明を簡単にするために、鋭角θのみを両者間の角度として説明する。一実施形態では、角度θは調整可能である。
【0012】
図2及び4を参照すると、前記第2車輪セット41は、進行方向が互いに平行な複数の第2駆動輪を有する。好ましくは、第1駆動輪の回転方向が第2駆動輪の回転方向と同じか又は逆になるように、第1駆動輪の軸方向は、第2駆動輪の軸方向と一致する。ここで、「軸方向」は、それぞれの駆動輪が回転する軸の向きを指し、駆動輪の進行方向と直交する。従って、管状部品2の移動は、第1と第2車輪セット41におけるそれぞれの駆動輪の移動を制御することによって実現することができる。
【0013】
具体的には、
図4に示す矢印方向において、第1車輪セット31における第1駆動輪と第2車輪セット41における第2駆動輪の一方が反時計回りに回転し、他方が時計回りに回転すると、その接線方向における管状部品2に作用する合力が相殺され、その軸方向に作用する合力が重畳されるので、管状部品2は、第1車輪セット31と第2車輪セット41の協働作用の下でその軸に沿って移動する。管状部品2の前後移動は、それぞれの第1駆動輪及び第2駆動輪の回転方向を変更することによって制御することができる。
【0014】
図5と6を参照すると、第1車輪セット31における第1駆動輪と第2車輪セット41における第2駆動輪の両方が、
図6に示す矢印方向において、反時計回り又は時計回りに回転すると、その軸方向における管状部品2に作用する合力が相殺され、その接線方向に作用する合力が重畳されるので、管状部品2は、第1車輪セット31と第2車輪セット41の協働作用の下でその周方向に回転する。管状部品2の回転方向は、それぞれの第1駆動輪と第2駆動輪の回転方向を変更することによって制御することができる。
【0015】
明らかに、上述の角度θが鋭角の範囲内である限り、管状部品2の移動を容易に制御することができる。角度θが比較的小さい場合、車輪セットが管状部品2を軸方向に直線的に移動するように駆動することがより容易であり、角度θが比較的大きい場合、車輪セットが管状部品2をその周方向に回転するように駆動することがより容易である。従って、角度θは、実際のニーズに応じて選択及び設定することができる。角度θを15°~75°の範囲内に設定することにより、管状部品2に両方向に作用する力をより穏やかにすることができる。管状部品2が人体に挿入されるとき、管状部品2の軸方向の移動がより重み付けされるので、角度θは、30°~45°の範囲内に設定することができる。
【0016】
要約すると、本出願の一実施形態では、第1車輪セット31と第2車輪セット41は、管状部品2の被クランプ部の延在方向と同じ鋭角を形成するように構成される。よって、第1車輪セット31と第2車輪セット41の回転方向が個別に制御される限り、管状部品2の前方への移動、後方への移動、時計方向の回転及び反時計方向の回転は簡単に達成することができ、それによって、医療用ロボットが管状部品2を人体に挿入するニーズが満たされる。本出願の技術的解決策は、簡単な構造、低コスト、及び独創的な原理を含み、リジッドな及びフレキシブルな管状部品の両方に適用可能であり、優れた信頼性を保証する。
【0017】
さらに、管状部品用の供給装置は、管状部品2を第1車輪セット31と第2車輪セット41との間で制限するように、管状部品2の両側に対をなして配置されたリミット機構6をさらに備えてもよい。リミット機構6は、管状部品2が第1車輪セット31及び第2車輪セット41からクランプを取り除くことを防止し、その移動の安定性を向上させることができる。
【0018】
リミット機構6は、複数の手段で実施されてもよい。例えば、リミット機構6は、
図2と7に示すように、管状部品2の被クランプ部の延在方向に間隔をおいて配置された数対のガイド輪を備えてもよい。また、リミット機構6は、管状部品2の被クランプ部に向かって突出する数対の転動ボール、又は管状部品2の被クランプ部に向かって突出する数対の平滑な面を備えてもよい。そのうち、転動ボールの構成は、すべての方向に均一な摩擦を有し、管状部品2の軸方向及び回転方向の移動をよくサポートすることができる。前述のリミット機構6が適用される場合、管状部品2とリミット機構6との間の摩擦は、管状部品2の移動を容易にするように最小化され得る。
【0019】
供給装置における前述の部材の多くは、相対的に固定された位置を提供するために、ハウジング1又はブラケット内に設置することができる。
図2を参照すると、管状部品用の供給装置は、ハウジング1を含んでもよい。さらに
図11を参照すると、ハウジング1は、第1車輪セット31と第2車輪セット41との間に配置された、一方の側のリミット機構6が配置された支持プラットフォーム11と、他方の側のリミット機構6が配置された可動プラットフォーム12とを備えてもよい。可動プラットフォーム12は、支持プラットフォーム11に対して、支持プラットフォーム11に対向する位置に移動することができるので、リミット機構6は、第1車輪セット31と第2車輪セット41との間で管状部品2を制限する。可動プラットフォーム12の相対移動は、回転シャフト又はスライドレールを介して実現することができる。支持プラットフォーム11と可動プラットフォーム12との協働により、管状部品2の配置及び取り外しを容易にすることができる。
【0020】
管状部品用の供給装置は、第1車輪セット31が設置される第1ブラケット(13)と、第2車輪セット41が設置される第2ブラケット14とを備えてもよい。第1ブラケット13と第2ブラケット14の両方は、ハウジング1の一部であってもよい。また、管状部品用の供給装置は、ガイドバー71をさらに含んでもよい。第1ブラケット13と第2ブラケット14の両方は、ガイドバー71上に配置される。第2ブラケット14は、管状部品2を第1車輪セット31と第2車輪セット41との間にクランプするように、ガイドバー71に沿って第1車輪セット31に向かう方向又は第1車輪セット31から離れる方句に移動することができる。
【0021】
ガイドバー71のための利用可能な配置は多くある。例えば、ガイドバー71は、スライドレールであってもよい。第1ブラケット13はガイドレール上に固定され、第2ブラケット14はガイドレール上をスライド可能である。ガイドバー71上の第2ブラケット14の相対位置を固定するために、第2ブラケット14にロックを設けることができる。さらに、ガイドバー71にバネを設けることで、バネの作用下で第2ブラケット14が第1ブラケット13に向かう方向に移動し易くなるようにしてもよい。バネの調整又は交換によって、管状部品2に対する第1車輪セット31及び第2車輪セット41の圧力を調整することができる。
【0022】
図11を参照すると、ガイドバー71は親ねじであってもよい。この場合、供給装置は、第3駆動モーター73と伝達ベルト72を含んでもよい。ガイドバー71は、伝達ベルト72を介して第3駆動モーター73と接続される。第3駆動モーター73は、伝達ベルト72を介してガイドバー71を駆動して回転させるので、第2ブラケット14がガイドバー71に沿って第1ブラケット13に向かう方向又は第1ブラケット13から離れる方向に移動する。第3駆動モーター73が第2ブラケット14を駆動して移動させるように構成される場合、第2ブラケット14は、手動操作を必要とせずに自動的に制御することができる。親ねじ自体は、第2ブラケット14の制御されないスライドを防止することができる。第3駆動モーター73の回転パラメータを制御することによって、様々な径の管状部品2に最適な圧力を与える第2ブラケット14の位置を記憶することができ、非常に便利である。
【0023】
実際の使用では、管状部品2を支持プラットフォーム11に置くことができ、第2ブラケット14をガイドバー71に沿って、第1車輪セット31及び第2車輪セット41が管状部品2に適切な圧力を与える位置に移動させることができる。次に、可動プラットフォーム12を支持プラットフォーム11に対向する位置に移動させ、管状部品2の位置を制限する。従来技術の管状部品用の供給装置と比較して、本出願で提供される供給装置は、必要に応じていつでも管状部品2に対する第1車輪セット31及び第2車輪セット41の圧力を調整することができ、かつ必要に応じていつでも管状部品2を出し入れすることができ、非常に便利である。
【0024】
車輪セットのそれぞれは、複数の駆動輪を備えてもよい。
図2と7を参照すると、これらの駆動輪は、管状部品2が曲がるのをより好ましく防止するように適切な間隔で配置することができる。オプションで、第1駆動輪は、管状部品2の被クランプ部の延在方向に等間隔で配置され、それにより車輪セットの駆動安定性を向上させることができる。第2車輪セット41の配置は、第1車輪セット31の配置と一致してもよい。以下、特に説明しない限り、第1車輪セット31の限定は第2車輪セット41にも適用できるので、第2車輪セット41の具体的な構造についてはこれ以上説明しない。
【0025】
第1駆動輪と第2駆動輪の数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。数が異なる場合、管状部品2に作用する逆方向の合力が、それらが同じ方向に回転するときに依然として相殺できることを保証するために、2セットの駆動輪の回転速度の追加の計算、調整及び構成が必要になり、これはシステムの複雑さの増加につながる。本出願では、第1駆動輪と第2駆動輪は同数であり、1対1に対応して配置されている。第1車輪セット31のそれぞれの第1駆動輪は、同じ第1速度で同期して回転し、第2車輪セット41のそれぞれの第2駆動輪は、同じ第2速度で同期して回転し、第1速度は、第1速度と等しい。第1駆動輪の回転方向は、第2駆動輪の回転方向と同じか又は逆である。このような構成は、システムの複雑さを軽減するだけでなく、管状部品2に2方向に作用する力をバランスよくすることを保証し、それによってねじれを防止し、システムの信頼性を向上させることができる。
【0026】
図8は、車輪セットがモーターのシャフトに直接接続されている設計を示す。この設計は、簡単な構造を有する。しかしながら、異なるモーターの出力が異なり、事前の調整が必要な場合がある。一定期間使用すると、その差がさらに大きくなり、メンテナンスがさらに面倒になる場合がある。この欠点を回避するために、第1ドライバー32は、第1駆動モーター321と、第1駆動モーター321に接続された第1伝達機構322を含んでもよい。各第1駆動輪は、第1駆動モーター321によって駆動されるように、第1伝達機構322を介して第1駆動モーター321に駆動接続される。従って、第1伝達機構322により、1つの単一のモーターの出力は異なる駆動輪に作用することができ、駆動輪の一致性が向上する。
【0027】
図9及び10を参照すると、第1伝達機構322は、第1駆動モーター321に接続された主伝達ロッド3221であって、複数の第1伝達輪3223が装着された主伝達ロッド3221と、前記第1駆動輪のそれぞれと同軸に接続された複数の副伝達ロッド3222であって、第2駆動輪3224が装着された副伝達ロッド3222とを含んでもよい。前記第1伝達輪3223は、前記第2伝達輪3224に一対一対応で駆動接続される。
図8に示す実施形態では、第1伝達輪3223と第2伝達輪3224は両方ともはすば歯車であり、互いに直接噛合する。この場合、主伝達ロッド3221と副伝達ロッド3222との間のリンケージを実現し、力の伝達方向を変換するためには、2つのはすば歯車のみが必要である。この設計は非常に簡単な構造、及び小さな空間占有でも非常に高い安定性を備えている。
図9に示す実施形態では、第1伝達輪3223と第2伝達輪3224は両方とも傘歯車であり、両者に垂直な別の傘歯車と噛合する。はすば歯車の代わりに傘歯車を採用すると、歯車の損失が小さくなり、耐用年数が長くなる。また、副伝達ロッド3222を設けた第1伝達機構322については、副伝達ロッド3222は、互いに着脱可能に接続された第1部分と第2部分をさらに含んでもよく、第1部分は第2伝達輪3224と接続され、第2部分は第1駆動輪と接続される。
【0028】
当然のことながら、第1伝達機構322は、他の多くの方法で配置されてもよい。例えば、第1伝達機構322は、伝達ロッドによって接続された輪列構造を含んでもよく、各輪列は、傘歯車によって伝達方向を変えて各駆動輪を駆動して移動させる。第1伝達機構322は、力の伝達方向を変換するために平歯車と傘歯車の組み合わせを採用してもよい。
【0029】
図9を参照すると、供給装置は、第1部分と第2部分との間に配置された静菌膜5をさらに備えてもよく、ここで、第2部分は、静菌膜5を通過して第1部分と着脱可能に接続される。これにより、管状部品用の供給装置が1人の患者に使用された後、静菌膜5、管状部品2、副伝達ロッド3222の第2部分及び各駆動輪などの機構を廃棄し、ドライバーや主伝達ロッド3221などの汚染されていない高価な部品を残すことができる。従って、使用後に使い捨て部分が捨てられ、より衛生的な条件が満たされると同時に、供給装置の使用コストも削減されることが保証される。
【0030】
また、
図2、3、5及び7を参照すると、管状部品用の供給装置は、管状部品2の隣に配置され、管状部品2の被クランプ部の監視された運動状態情報(例えば、挿入深さ、回転角度、及び対応する並進速度又は回転速度など)を外部ホストコンピューターに送信することができる感知モジュール8をさらに含んでもよい。ホストコンピューターは、医療用ロボットを制御するコンピューターとすることができる。一般に、医療用ロボットのそれぞれの機構は、ホストコンピューターによって制御することができるので、これらの機構は互いに協働することができる。本出願では、感知モジュール8によって提供される運動状態情報を用いて、ホストコンピューターは、管状部品2の現在の供給深さと角度を得ることができ、医師が操作することをより便利にする。
【0031】
感知モジュール8は、管状部品2の周りの異なる位置に配置された複数のセンサーを含んでもよい。具体的には、感知モジュール8は、レーザー表面速度計、格子定規変位センサーなどの光学センサーを採用してもよい。光学センサーは、管状部品2の移動速度、回転速度及び進行距離を非接触で測定することができるため、管状部品2の移動に影響を与えることなく、豊富な運動状態情報を得ることができる。
【0032】
さらに、管状部品用の供給装置に処理モジュールが設けられてもよい。処理モジュールは、感知モジュール8、第1ドライバー32及び第2ドライバー42とそれぞれ通信する。感知モジュール8は、管状部品2の被クランプ部の監視された運動状態情報を処理モジュールに送信することができ、処理モジュールは、運動状態情報に従って駆動補償信号を生成し、第1ドライバー32及び/又は第2ドライバー42に送信することができる。処理モジュールは、運動状態情報を受信し、信号フィードバックを第1ドライバー32又は第2ドライバー42に適時に提供することができる。信号フィードバックは重要な役割を果たす。例えば、管状部品2が軸方向に沿って前進するだけでよいシナリオでは、第1車輪セット31と第2車輪セット41の回転速度が十分に一致していない場合、管状部品2は、前進中に回転させられる可能性があり、これは歪みにつながる。場合によっては、第1車輪セット31及び第2車輪セット41からクランプされた管状部品に加えられる摩擦は、同じではない可能性があり、これは、特定の輪の横滑りや、又はこれらの2つの車輪セットの異なる回転速度に起因する可能性がある。それにより、クランプされた管状部品2は、純粋な並進又は回転ではなく、混合した螺旋運動を受ける。これを回避するために、処理モジュールによって生成された駆動補償信号は、各ドライバーの出力を適時に調整し、歪みの発生を修正して回避し、供給プロセスの継続性と安定性を保証できる。
【0033】
限定された数の実施形態のみを参照して本出願を詳細に説明したが、本出願は、そのような開示された実施形態に限定されないことが理解されるべきである。むしろ、本出願は、これまで説明していないが、本出願の精神及び範囲に相応する任意の数の変形、変更、置換、又は同等の配置を組み込むように修正することができる。さらに、本出願の様々な実施例を説明したが、本出願の各態様は、説明した実施例の幾つかのみを含み得ることが理解されるべきである。したがって、本出願は、前述の説明によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0034】
1 ハウジング、
11 支持プラットフォーム、
12 可動プラットフォーム、
13 第1ブラケット、
14 第2ブラケット、
2 管状部品、
31 第1車輪セット、
32 第1ドライバー、
321 第1駆動モーター、
322 第1伝達機構、
3221 主伝達ロッド、
3222 副伝達ロッド、
3223 第1伝達輪、
3224 第2伝達輪、
41 第2車輪セット、
42 第2ドライバー、
5 静菌膜、
6 リミット機構、
71 ガイドバー、
72 伝達ベルト、
73 第3駆動モーター、
8 感知モジュール
【国際調査報告】